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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】半導体製造方法および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240904BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240904BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240904BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240904BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240904BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
H01L21/205
H10B43/27
H01L29/78 371
C23C16/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021044822
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022143997
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】福本 敦之
(72)【発明者】
【氏名】相宗 史記
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-032712(JP,A)
【文献】特開2017-135344(JP,A)
【文献】特開2014-179465(JP,A)
【文献】特開2011-249764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264547(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0037975(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0221699(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H10B 43/27
H01L 21/336
H01L 21/788
H01L 21/792
C23C 16/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノシラン系の第1ガスで下地層上に第1シード層を形成し、
アミノ基を含まないシラン系の第2ガスで前記第1シード層上に第1アモルファスシリコン層を形成し、
アミノシラン系の第3ガスで前記第1アモルファスシリコン層上に不純物を含有する第2シード層を形成し、
アミノ基を含まないシラン系の第4ガスで前記第2シード層上に第2アモルファスシリコン層を形成することを含
前記不純物は、炭素および窒素を含み、
前記下地層は、基板の上方に設けられた第1層と第2層との積層体を貫通する貫通孔の側壁に沿って設けられたトンネル絶縁層であり、
前記貫通孔の中央に位置するように前記第1アモルファスシリコン層上および前記第2アモルファスシリコン層上に、ドープアモルファスシリコン層を形成し、
前記ドープアモルファスシリコン層上にニッケルを含有する金属層を形成し、
前記金属層、前記第1アモルファスシリコン層および前記第2アモルファスシリコン層に対してシリサイドアニールを実施することで、前記第1アモルファスシリコン層および前記第2アモルファスシリコン層の上端側にニッケルダイシリサイド層を形成し、
前記ニッケルダイシリサイド層の下方へのマイグレーションにともなって前記ニッケルダイシリサイド層を触媒とした前記第1アモルファスシリコン層および前記第2アモルファスシリコン層の単結晶化を行うことを更に含む、半導体製造方法。
【請求項2】
前記シリサイドアニールを実施することで、前記ニッケルダイシリサイド層は、前記ドープアモルファスシリコン層の下端と、前記第1アモルファスシリコン層および前記第2アモルファスシリコン層の上端と、の間に形成され、
前記ニッケルダイシリサイド層の下方へのマイグレーションにともなって、前記ドープアモルファスシリコン層の下端と、前記ニッケルダイシリサイド層の上端との間に単結晶シリコンが形成される、請求項1に記載の半導体製造方法。
【請求項3】
前記第3ガスは、前記第1ガスと同一のガスである、請求項1または2に記載の半導体製造方法。
【請求項4】
前記第3ガスは、前記第1ガスと異なるガスである、請求項1または2に記載の半導体製造方法。
【請求項5】
前記第4ガスは、前記第2ガスと同一のガスである、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体製造方法。
【請求項6】
前記第1ガスおよび前記第3ガスは、ブチルアミノシラン、ビスターシャリブチルアミノシラン、ジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、トリジメチルアミノシラン、ジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、ジプロピルアミノシラン、およびジイソプロピルアミノシランからなる群より選択される少なくとも1種類のアミノシランを含有するガスであり、
前記第2ガスおよび前記第4ガスは、SiH 、SiH 、SiH 、Si 、Si 、Si 2m+2 (ただし、mは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物、およびSi 2n (ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物からなる群より選択される少なくとも1種類のシランを含有するガスである、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造方法および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置の製造において、MILC(Metal-induced Lateral Crystalization)法によってメモリホール内のアモルファスシリコンを単結晶化する際に、アモルファスシリコンの多結晶化が起こることで単結晶化が阻害されることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-249764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アモルファスシリコンを適切に単結晶化することができる半導体製造方法および半導体製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体製造方法は、アミノシラン系の第1ガスで下地層上に第1シード層を形成することを含む。前記方法はさらに、アミノ基を含まないシラン系の第2ガスで第1シード層上に第1アモルファスシリコン層を形成することを含む。前記方法はさらに、アミノシラン系の第3ガスで第1アモルファスシリコン層上に不純物を含有する第2シード層を形成することを含む。前記方法はさらに、アミノ基を含まないシラン系の第4ガスで第2シード層上に第2アモルファスシリコン層を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態による半導体製造装置を示す図である。
図2】第1の実施形態による半導体製造方法を示すフローチャートである。
図3】第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図4図3に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図5図4に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図6図5に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図7図6に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図8図7に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図9図8に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図10図9に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図11図10に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
図12】第2の実施形態による半導体製造装置を示す図である。
図13】第3の実施形態による半導体製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1から図13において、同一または類似する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体製造装置1を示す図である。図1に示すように、第1実施形態による半導体装置1は、処理室2と、ボート3と、第1ガス供給チューブ4と、第2ガス供給チューブ5と、カバー部材6と、加熱装置7と、ガス供給制御部8と、加熱制御部9と、ポンプ10と、圧力制御部11とを備える。
【0008】
処理室2は、複数枚の半導体基板100を収容可能な中空構造体である。処理室2には、半導体基板100を処理した排ガスを排気する排気口21が設けられている。例えば、排気口21は、鉛直方向に延びる長孔で構成されており、また、鉛直方向に直交する方向の排気口21の幅は一定である。
【0009】
ボート3は、処理室2内に配置されている。ボート3は、鉛直方向に延びる支柱31を有し、支柱31には、鉛直方向に間隔を空けて複数の水平な溝(図示せず)が設けられている。ボート3は、各溝内に半導体基板100を挿入することで、複数の半導体基板100を鉛直方向(すなわち、半導体基板100の厚み方向)に間隔を空けて積層状態に保持することができる。
【0010】
第1ガス供給チューブ4は、処理室2内に配置されている。第1ガス供給チューブ4は、半導体基板100にアミノシラン系の第1ガスG1を供給するチューブである。具体的には、第1ガス供給チューブ4は、ボート3に側方から面するように鉛直方向に延びている。第1ガス供給チューブ4には、ボート3に保持される複数の半導体基板100に向けて第1ガスG1を吐出する複数の第1吐出口41が設けられている。複数の第1吐出口41は、複数の半導体基板100と一対一の位置関係で設けられている。例えば、第1吐出口41は、ボート3に保持される半導体基板100と同数設けられており、対応する第1吐出口41と半導体基板100とは、鉛直方向の位置すなわち高さがほぼ一致している。各第1吐出口41は、例えば一定の断面積を有する。第1吐出口41が半導体基板100と一対一の位置関係で設けられていることで、後述する第1シード層108および第2シード層110の厚みを複数の半導体基板100の間で均一化することができる。なお、図1に示される例において、第1ガス供給チューブ4の数は1つであるが、複数の第1ガス供給チューブ4を処理室2内に配置してもよい。
【0011】
アミノシラン系の第1ガスG1としては、例えば、ブチルアミノシラン、ビスターシャリブチルアミノシラン、ジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、トリジメチルアミノシラン、ジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、ジプロピルアミノシラン、およびジイソプロピルアミノシランからなる群より選択される少なくとも1種類のアミノシランを含有するガスを好適に用いることができる。
【0012】
第2ガス供給チューブ5は、処理室2内に配置されている。第2ガス供給チューブ5は、半導体基板100にアミノ基を含まないシラン系の第2ガスG2を供給するチューブである。具体的には、第2ガス供給チューブ5は、ボート3に側方から面するように鉛直方向に延びている。第2ガス供給チューブ5には、ボート3に保持される複数の半導体基板100に向けてアミノ基を含まないシラン系の第2ガスG2を吐出する複数の第2吐出口51が設けられている。各第2吐出口51は、例えば一定の断面積を有する。なお、図1に示される例において、第2ガス供給チューブ5の数は1つであるが、複数の第2ガス供給チューブ5を処理室2内に配置してもよい。
【0013】
アミノ基を含まないシラン系の第2ガスG2としては、例えば、SiH、SiH、SiH、Si、Si、Si2m+2(ただし、mは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物、およびSi2n(ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物からなる群より選択される少なくとも1種類のシランを含有するガスを好適に用いることができる。
【0014】
カバー部材6は、処理室2の外側に処理室2を覆うように配置されている。カバー部材6は、排気口61が設けられている。処理室2の排気口21から排出された排ガスは、排気口61から外部に排出される。
【0015】
加熱装置7は、カバー部材6の外側にカバー部材6を包囲するように配置されている。加熱装置7は、カバー部材6の外側から処理室2を加熱することで、処理室2に供給されたガスG1、G2を活性化するとともに半導体基板100を加熱する。
【0016】
ガス供給制御部8は、第1ガス供給チューブ4による第1ガスG1の供給を制御する。具体的には、ガス供給制御部8は、第1ガスG1のガス源から第1ガス供給チューブ4への第1ガスG1の流入の有無および流量を制御する。また、ガス供給制御部8は、第2ガス供給チューブ5による第2ガスG2の供給を制御する。具体的には、ガス供給制御部8は、第2ガスG2のガス源から第2ガス供給チューブ5への第2ガスG2の流入の有無および流量を制御する。ガス供給制御部8は、例えば、マスフローコントローラおよび電磁弁等を備えていてもよい。
【0017】
加熱制御部9は、加熱装置7による加熱を制御することで処理室2内の温度すなわち半導体基板100の処理温度を制御する。
【0018】
ポンプ10は、排気口61に対してガスの下流側に配置されている。ポンプ10は、処理室2内を排気することで半導体基板100を処理した排ガスを処理室2から排出する。
【0019】
圧力制御部11は、ポンプ10による排気を制御することで処理室2内の圧力すなわち半導体基板100の処理圧力を制御する。
【0020】
次に、以上のように構成された半導体装置1を適用した第1の実施形態による半導体製造方法について説明する。
【0021】
図2は、第1の実施形態による半導体製造方法を示すフローチャートである。図3は、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。
【0022】
第1の実施形態による半導体製造方法は、図2のフローチャートにしたがった熱処理による成膜工程を有する。少なくとも図2の成膜工程は、上述した半導体製造装置1で実施される。ただし、図2の初期状態として、半導体基板100には、図2の前工程によって図3に示される構造が形成されている。図3に示すように、図2の初期状態において、半導体基板100は、シリコン基板101の上方に、積層体104とメモリ膜120とを有する。積層体104は、例えばシリコン酸化膜で構成された絶縁層102と、例えばシリコン窒化膜で構成された犠牲層103とを交互に積層した構造である。メモリ膜120は、積層体104を積層方向に貫通するメモリホールMHの側壁に沿って設けられている。メモリ膜120は、外側(すなわち、メモリホールMHの側壁側)から順に、ブロック絶縁層105と、電荷蓄積層106と、トンネル絶縁層107とを有する。ブロック絶縁層105およびトンネル絶縁層107は、例えばシリコン酸化膜で構成されている。電荷蓄積層106は、例えばシリコン窒化膜で構成されている。
【0023】
図4は、図3に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。図3に示した初期状態から、図2に示すように、半導体基板100を加熱しながら半導体基板100にアミノシラン系の第1ガスG1を供給する。このとき、加熱制御部9は、処理室2内の温度を325℃以上450℃以下に制御することが好ましい。また、圧力制御部11は、処理室2内の圧力を27Pa以上1000Pa以下に制御することが好ましい。成膜温度が低温ほど高圧な条件が好ましい。半導体基板100を加熱しながら半導体基板100に第1ガスG1を供給することで、図4に示すようにトンネル絶縁層107上(すなわち、トンネル絶縁層107の内側)に第1シード層108が形成される。第1シード層108は、下地であるトンネル絶縁層107上にシリコンの核を均一に発生させ、モノシランを吸着させやすくする層である。なお、第1シード層108の形成には、アミノ基を含まないシラン系のガス(例えば、Si)がさらに用いられてもよい。
【0024】
図5は、図4に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。第1シード層108を形成した後、図2に示すように、半導体基板100を加熱しながら半導体基板100にアミノ基を含まないシラン系の第2ガスG2を供給する。このとき、加熱制御部9は、処理室2内の温度を第1シード層108の形成時よりも高く制御することが好ましい。より好ましくは、処理室2内の温度は、450℃以上550℃以下である。処理室2内の圧力は、第1シード層108の形成時と同程度でよい。半導体基板100を加熱しながら半導体基板100に第2ガスG2を供給することで、図5に示すように第1シード層108上(すなわち、第1シード層108の内側)に第1アモルファスシリコン層109が形成される。
【0025】
図6は、図5に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。第1アモルファスシリコン層109を形成した後、図2に示すように、半導体基板100を加熱しながら半導体基板100に第1ガスG1を供給する。このとき、加熱制御部9は、処理室2内の温度を第1アモルファスシリコン層109の形成時よりも低く制御することが好ましい。より好ましくは、処理室2内の温度は、325℃以上450℃以下である。半導体基板100を加熱しながら半導体基板100に第1ガスG1を供給することで、図6に示すように第1アモルファスシリコン層109上(すなわち、第1アモルファスシリコン層109の内側)に第2シード層110が形成される。第2シード層110は、下地である第1アモルファスシリコン層109上にシリコンの核を均一に発生させ、モノシランを吸着させやすくする層である。トンネル絶縁層107を下地とした第1シード層108と異なり、第2シード層110は、第1アモルファスシリコン層109を下地としている。これにより、第2シード層110は、不純物としてのC(炭素)およびN(窒素)を含有することができる。CおよびNのドース量は、好ましくは1013atms/cm台である。第2シード層110を設けることで、後述するMILC法の実施の際にアモルファスシリコン層の多結晶化が生じることを抑制することができる。
【0026】
図7は、図6に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。第2シード層110を形成した後、図2に示すように、半導体基板100を加熱しながら半導体基板100に第2ガスG2を供給する。このとき、加熱制御部9は、処理室2内の温度を第2シード層110の形成時よりも高く制御することが好ましい。より好ましくは、処理室2内の温度は、450℃以上550℃以下である。半導体基板100を加熱しながら半導体基板100に第2ガスG2を供給することで、図7に示すように第2シード層110上(すなわち、第2シード層110の内側)に第2アモルファスシリコン層111が形成される。以下、第1シード層108、第1アモルファスシリコン層109、第2シード層110および第2アモルファスシリコン層111の積層構造のことをアモルファスシリコン層108~111とも呼ぶ。
【0027】
図8は、図7に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。第2アモルファスシリコン層111を形成した後、図8に示すように、メモリホールMHの中央に位置するように第2アモルファスシリコン層111上に、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法によってコア層112を形成する。コア層112は、例えば、シリコン酸化膜で構成されている。コア層112の形成は、アモルファスシリコン層108~111が多結晶化しない成膜温度で実施する。
【0028】
図9は、図8に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。コア層112を形成した後は、MILC法によるアモルファスシリコン層108~111の単結晶化を実施する。すなわち、先ず、図9に示すように、イオン注入法によってアモルファスシリコン層108~111に例えばn型の不純物(P、As、Bなど)をドープすることで、アモルファスシリコン層108~111の上端にドープアモルファスシリコン層113を形成する。
【0029】
図10は、図9に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。ドープアモルファスシリコン層113を形成した後、図10に示すように、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法またはMO(Metal Organic)-CVD法により、半導体基板100の全面を覆うように金属層114を形成する。金属層114は、ニッケルを含有する。なお、金属層114は、シリサイドを形成できる元素であればよく、CoやYなどであってもよい。金属層114を形成した後、金属層114およびアモルファスシリコン層108~111に対してシリサイドアニールを実施することで、アモルファスシリコン層108~111の上端側にニッケルダイシリサイド層115を形成する。
【0030】
図11は、図10に続く、第1の実施形態による半導体製造方法を示す断面図である。ニッケルダイシリサイド層115を形成した後、アモルファスシリコン層108~111およびニッケルダイシリサイド層115をアモルファスシリコン層108~111が多結晶化しない成膜温度で加熱する。これにより、図11に示すように、ニッケルダイシリサイド層115の下方へのマイグレーションにともなってニッケルダイシリサイド層115を触媒としたアモルファスシリコン層108~111の単結晶116化が行われる。このとき、第2シード層110の不純物(C、N)によって、アモルファスシリコン層108~111の多結晶化が抑制される。アモルファスシリコン層108~111の多結晶化が抑制されることで、ニッケルダイシリサイド層115のマイグレーションが多結晶によって阻害されることを抑制することができる。
【0031】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、第1アモルファスシリコン層109と第2アモルファスシリコン層111との間に不純物を含有する第2シード層110を形成することで、アモルファスシリコン層108~111を適切に単結晶化することができる。
【0032】
また、第1シード層108の形成と第2シード層110の形成に同一の第1ガスG1を用いることで、半導体製造装置1の構成およびプロセスを簡素化することができる。ただし、第2シード層110の形成を第1ガスG1よりも不純物を含有しやすいアミノシラン系ガスを用いて行ってもよい。この場合、アモルファスシリコン層108~111の多結晶化をより効果的に抑制してアモルファスシリコン層108~111をより適切に単結晶化することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態による半導体製造装置1を示す図である。これまでは、排気口21の幅が一定である半導体製造装置1の例について説明した。これに対して、図12に示すように、第2の実施形態において、排気口21の断面積は、第1吐出口41に近い第1部分21a(すなわち、第1吐出口41と高さが一致する部分)が第1吐出口41から遠い第2部分21b(すなわち、第1吐出口41と高さが一致しない部分)よりも大きい。図12に示される例において、第1部分21aは円形である。第1部分21aは、矩形などの多角形であってもよい。第2の実施形態によれば、排ガスの排気効率を向上させることができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態による半導体製造装置1を示す図である。これまでは、複数の第1吐出口41の断面積が一定である半導体製造装置1の例について説明した。これに対して、第3の実施形態において、複数の第1吐出口41のうちのアミノシラン系ガスの下流側(図13における上側)の第1吐出口41は、アミノシラン系ガスの上流側(図13における下側)の第1吐出口41よりも断面積が大きい。これにより、複数の半導体基板100への第1ガスG1の供給圧を均一化することができるので、複数の半導体基板100の間で第1シード層108および第2シード層110の厚みを均一化することができる。
【0035】
また、第3の実施形態において、排気口21の断面積は、アミノシラン系ガスの下流側の吐出口41に近い部分がアミノシラン系ガスの上流側の吐出口41に近い部分よりも大きくてもよい。これにより排ガスの排気効率を向上させることができる。
【0036】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【0037】
(付記)
(1)アミノシラン系の第1ガスで下地層上に第1シード層を形成し、
アミノ基を含まないシラン系の第2ガスで前記第1シード層上に第1アモルファスシリコン層を形成し、
アミノシラン系の第3ガスで前記第1アモルファスシリコン層上に不純物を含有する第2シード層を形成し、
アミノ基を含まないシラン系の第4ガスで前記第2シード層上に第2アモルファスシリコン層を形成することを含む、半導体製造方法。
(2)前記不純物は、炭素を含む、(1)に記載の半導体製造方法。
(3)前記不純物は、窒素を含む、(1)または(2)に記載の半導体製造方法。
(4)前記下地層は、基板の上方に設けられた第1層と第2層との積層体を貫通する貫通孔の側壁に沿って設けられた第1絶縁層である、(1)~(3)のいずれかに記載の半導体製造方法。
(5)前記貫通孔の中央に位置するように前記第2アモルファスシリコン層上に、第2絶縁層を形成し、
前記第1アモルファスシリコン層および前記第2アモルファスシリコン層の上端側にシリサイド層を形成し、
前記シリサイド層を触媒として前記第1アモルファスシリコン層および前記第2アモルファスシリコン層を単結晶化することを更に含む、(4)に記載の半導体製造方法。
(6)前記シリサイド層は、ニッケルダイシリサイド層である(5)に記載の半導体製造方法。
(7)前記第3ガスは、前記第1ガスと同一のガスである、(1)~(6)のいずれかに記載の半導体製造方法。
(8)前記第3ガスは、前記第1ガスと異なるガスである、(1)~(6)のいずれかに記載の半導体製造方法。
(9)前記第4ガスは、前記第2ガスと同一のガスである、(1)~(8)のいずれかに記載の半導体製造方法。
(10)前記第1ガスおよび前記第3ガスは、ブチルアミノシラン、ビスターシャリブチルアミノシラン、ジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、トリジメチルアミノシラン、ジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、ジプロピルアミノシラン、およびジイソプロピルアミノシランからなる群より選択される少なくとも1種類のアミノシランを含有するガスである、(1)~(9)のいずれかに記載の半導体製造方法。
(11)前記第2ガスおよび前記第4ガスは、SiH、SiH、SiH、Si、Si、Si2m+2(ただし、mは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物、およびSi2n(ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物からなる群より選択される少なくとも1種類のシランを含有するガスである、(1)~(10)のいずれかに記載の半導体製造方法。
(12)複数の処理対象基板を収容可能な処理室と、
前記処理室内に配置され、厚み方向に間隔を空けて前記複数の処理対象基板を保持可能な保持部と、
前記処理室内に配置され、前記保持部に保持される前記複数の処理対象基板に向けてアミノシラン系ガスを吐出する複数の吐出口が設けられたガス供給管とを備え、
前記複数の吐出口は、前記複数の処理対象基板と一対一の位置関係で設けられている、半導体製造装置。
(13)前記処理室は、前記厚み方向に沿って前記処理対象基板を処理したガスの排気口が設けられており、
前記排気口の断面積は、前記吐出口に近い部分が前記吐出口から遠い部分よりも大きい、(12)に記載の半導体製造装置。
(14)前記複数の吐出口のうちの前記アミノシラン系ガスの下流側の吐出口は、前記アミノシラン系ガスの上流側の吐出口よりも断面積が大きい、(12)または(13)に記載の半導体製造装置。
(15)前記複数の吐出口のうちの前記アミノシラン系ガスの下流側の吐出口は、前記アミノシラン系ガスの上流側の吐出口よりも断面積が大きく、
前記排気口の断面積は、前記アミノシラン系ガスの下流側の吐出口に近い部分が前記アミノシラン系ガスの上流側の吐出口に近い部分よりも大きい、(13)に記載の半導体製造装置。
(16)前記処理室内に配置され、前記保持部に保持される前記複数の処理対象基板に向けてアミノ基を含まないシラン系ガスを吐出する複数の第2の吐出口が設けられた第2のガス供給管を更に備える、(12)~(15)のいずれかに記載の半導体製造装置。
(17)前記処理対象基板への前記アミノシラン系ガスおよび前記アミノ基を含まないシラン系ガスの供給を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記処理対象基板に設けられた下地層上に第1シード層が形成されるように、前記処理対象基板への前記アミノシラン系ガスの供給を制御し、
前記第1シード層上に第1アモルファスシリコン層が形成されるように、前記処理対象基板への前記アミノ基を含まないシラン系ガスの供給を制御し、
前記第1アモルファスシリコン層上に不純物を含有する第2シード層が形成されるように、前記処理対象基板への前記アミノシラン系ガスの供給を制御し、
前記第2シード層上に第2アモルファスシリコン層が形成されるように、前記処理対象基板への前記アミノ基を含まないシラン系ガスの供給を制御する、(16)に記載の半導体製造装置。
【符号の説明】
【0038】
107:トンネル絶縁層、108:第1シード層、109:第1アモルファスシリコン層、110:第2シード層、111:第2アモルファスシリコン層
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