(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、展開画像生成システム、画像処理プログラム及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/698 20230101AFI20240904BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240904BHJP
【FI】
H04N23/698
G06T7/00 610Z
(21)【出願番号】P 2021046232
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】大森 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】徳井 圭
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-086185(JP,A)
【文献】特開平10-214325(JP,A)
【文献】特開2005-227055(JP,A)
【文献】特開2010-066070(JP,A)
【文献】ラインセンサカメラを用いたトンネル変状検査システム,画像ラボ 第23巻 第10号,2012年10月10日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/698
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得する画像取得部と、
前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記第一方向とは反対方向である第二方向に並べた展開画像を生成する展開画像生成部と、
を備え、
前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く、画像処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの側面部分は複数の側面部分であり、
前記展開画像では、前記複数の側面部分が互いに同じ方向を向く、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の入力画像の各々は、前記相対位置が前記第一方向に順に変化し、
前記展開画像では、前記少なくとも一つの側面部分の各々が前記第二方向を向く、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記展開画像生成部は、互いに同一の前記被写体を撮影した二つの前記展開画像を生成し、
前記二つの前記展開画像のうち一方の展開画像では、前記少なくとも一つの側面部分が前記第一方向を向き、
前記二つの前記展開画像のうち他方の展開画像では、前記少なくとも一つの側面部分が前記第二方向を向く、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記二以上の選択画像領域は、前記二以上の入力画像の各々において所定の境界位置よりも前記第一方向側又は前記第二方向側にあり、
前記二以上の入力画像の各々では、前記被写体のうち前記死角となる前記少なくとも一つの側面部分の各々が、前記所定の境界位置から離れる方向を向く、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記展開画像を表示部に表示させる出力部と、を備える展開画像生成システム。
【請求項7】
前記出力部は、前記複数の入力画像のうちの少なくとも一つの表示入力画像と、前記展開画像とを前記表示部に表示させる、請求項6に記載の展開画像生成システム。
【請求項8】
前記出力部は、前記少なくとも一つの表示入力画像に対応する前記展開画像上での位置を示す情報を、前記展開画像に重畳して前記表示部に表示させる、請求項7 に記載の展開画像生成システム。
【請求項9】
前記出力部は、前記少なくとも一つの表示入力画像に対応する前記展開画像上での位置に、前記少なくとも一つの表示入力画像を重畳して前記表示部に表示させる、請求項7に記載の展開画像生成システム。
【請求項10】
請求項4に記載の画像処理装置と、
前記展開画像を表示部に表示させる出力部と、
前記二つの前記展開画像の各々を切り替えて前記表示部に表示させる表示設定変更部とを備える展開画像生成システム。
【請求項11】
前記複数の入力画像のうち、選択された入力画像の画像処理結果に基づいて、前記被写体の検査結果を取得する検査部をさらに備え、
前記出力部は、前記選択された入力画像と前記検査結果とを前記表示部に表示させる、請求項6から10のいずれか1項に記載の展開画像生成システム。
【請求項12】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させる画像処理プログラム。
【請求項13】
請求項6から11のいずれか1 項に記載の展開画像生成システムとしてコンピュータを機能させる画像処理プログラム。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】
撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得するステップと、
前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記
第一方向とは反対方向である第二方向に並べた展開画像を生成するステップと、
を含み、
前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、展開画像生成システム、画像処理プログラム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルや橋梁、ビルなどの構造物について、安全管理の観点から、ひびの有無や漏水、変形の検査が実施されている。構造物の検査では、例えば、検査対象を撮像装置で撮像し、撮像した画像データを用いて検査する画像検査技術が用いられている。画像検査技術を用いることで、検査者による検査で生じる検査結果のばらつきを抑制するとともに、検査者の作業負担を軽減できる。
【0003】
構造物の画像検査技術として、例えば、特許文献1は、車両に搭載したラインセンサカメラでトンネル壁面を撮像し、ラインセンサカメラが出力するラインデータに基づいてトンネル壁面の展開画像を生成する技術を開示する。また、特許文献2は、車両に搭載したエリアセンサカメラでトンネル壁面を撮像し、必要最小限のフレームのみを重ね合わせて展開画像を生成する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-043353号公報
【文献】特開2003-111073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、順次取得したラインデータを、車両速度に基づいて車両の進行方向の伸縮を補正し、展開画像を生成する必要がある。しかし、車両速度を高精度に検出し、正確に伸縮を補正することは容易ではない。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、同一撮影対象を異なる角度から撮像した画像を結合して展開画像を生成する。そのため、特許文献2に記載の技術では、検査対象のうち、車両の進行方向側から撮像可能な部分と、車両の進行方向とは反対方向側から撮像可能な部分とが生成された展開画像に現れるおそれがある。検査対象のうち、車両の進行方向側から撮像可能な部分は、車両の進行方向とは反対方向側から死角となるため、一視点から検査対象全体を撮像した場合、生成された展開画像は、撮像し得ない不自然な画像である。本開示の一態様は、違和感の少ない展開画像を生成できる画像処理装置、展開画像生成システム、画像処理プログラム及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る画像処理装置は、撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得する画像取得部と、前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記第一方向とは反対方向である第二方向に並べた展開画像を生成する展開画像生成部と、を備え、前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く。
【0008】
本開示の一態様に係る展開画像生成システムは、撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得する画像取得部と、前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記第一方向とは反対方向である第二方向に並べた展開画像を生成する展開画像生成部と、を備え、前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く画像処理装置と、前記展開画像を表示部に表示させる出力部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る画像処理プログラムは、撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得する画像取得部と、前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記第一方向とは反対方向である第二方向に並べた展開画像を生成する展開画像生成部と、を備え、前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く画像処理装置としてコンピュータを機能させる。
【0010】
本開示の他の態様に係る画像処理プログラムは、撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得する画像取得部と、前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記第一方向とは反対方向である第二方向に並べた展開画像を生成する展開画像生成部と、を備え、前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く画像処理装置と、前記展開画像を表示部に表示させる出力部と、を備える展開画像生成システムとしてコンピュータを機能させる。
【0011】
本開示の一態様に係る画像処理方法は、撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得するステップと、前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記第二方向に並べた展開画像を生成するステップと、を含み、前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】第一実施形態に係る撮像装置とその被写体の一態様を示す図である。
【
図1B】第一実施形態に係る異なる位置における撮像装置の撮影範囲の一例を示す図である。
【
図2】第一実施形態に係る展開画像生成システムの機能的構成の一例を示す図である。
【
図3】第一実施形態に係る展開画像生成システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4A】第一実施形態に係る入力画像の一例を示す図である。
【
図4B】
図4Aに示す入力画像が撮像される場合の撮像装置の位置と被写体の位置関係を示す図である。
【
図5A】第一実施形態に係る展開画像の一例を示す図である。
【
図5B】第一実施形態に係る展開画像の一例を示す図である。
【
図5C】生成され得ない展開画像の一例を示す図である。
【
図6A】第二実施形態に係る撮像装置とその被写体の一態様を示す図である。
【
図6B】第二実施形態に係る被写体の斜視図の一例である。
【
図7A】第二実施形態に係る入力画像の一例を示す図である。
【
図7B】
図7Aに示す入力画像が撮像される場合の撮像装置の位置と被写体の位置関係を示す図である。
【
図8A】第二実施形態に係る展開画像の一例を示す図である。
【
図8B】第二実施形態に係る展開画像の一例を示す図である。
【
図8C】第二実施形態に係る展開画像の一例を示す図である。
【
図8D】生成され得ない展開画像の一例を示す図である。
【
図9A】第三実施形態に係る撮像装置とその被写体の一例を示す図である。
【
図9B】第三実施形態に係る被写体の斜視図の一例である。
【
図10A】第三実施形態に係る被写体のうち、複数の撮影範囲の一例を示す図である。
【
図10B】第三実施形態に係る被写体のうち、複数の撮影範囲の一例を示す図である。
【
図10C】第三実施形態に係る被写体のうち、複数の撮影範囲の一例を示す図である。
【
図10D】第三実施形態に係る入力画像の一例を示す図である。
【
図11A】第四実施形態に係る展開画像の一例を示す図である。
【
図11B】第四実施形態に係る展開画像の一例を示す図である。
【
図11C】
図11Aに示す展開画像を生成する場合の基準位置と、
図11Bに示す展開画像を生成する場合の基準位置と被写体との位置関係を示す図である。
【
図12】第五実施形態に係る展開画像生成システムの機能的構成の一例を示す図である。
【
図13】第五実施形態に係る表示画面の一例を示す図である。
【
図14】第五実施形態に係る表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一実施形態)
図1Aから
図5Cを参照して、第一実施形態について説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1Aから
図2を参照して、撮像装置103とその被写体101の一態様、及び展開画像生成システム200の機能的構成について説明する。
【0015】
図1Aは、撮像装置103とその被写体101の一態様を示す図である。
図1Aは、トンネル内に設置された排煙設備である被写体101と、移動体102と、撮像装置103とを示す。移動体102は、撮像装置103を搭載し、例えば、車両等である。撮像装置103は、被写体101を撮像する。なお、被写体101は、トンネル内に設置された排煙設備に代えて、又は、トンネル内に設置された排煙設備に加えて、トンネル内に設置された排煙設備以外の構造物を含んでもよい。例えば、被写体101は、トンネル内に設置された排煙設備及びトンネル壁面であってもよい。
【0016】
図1Bは、異なる位置における撮像装置103の撮影範囲104の一例を示す図である。
図1Bに例示するように、撮像装置103の撮影範囲104には、被写体101の全体が含まれないため、撮像装置103は、撮像装置103に対する被写体101の相対位置がそれぞれに異なる位置で被写体101を撮像する。つまり、撮像装置103は、移動しながら、異なる位置から被写体101を撮像する。
【0017】
図2は、展開画像生成システム200の機能的構成の一例を示す図である。
図2に例示するように、展開画像生成システム200は、撮像装置103、操作部201、表示部202、出力部203、記憶部204、制御部205、画像処理装置210等を含む。画像処理装置210は、撮像装置103、操作部201、表示部202、出力部203、記憶部204、制御部205に接続されている。画像処理装置210は、画像取得部211、領域特定部212、展開画像生成部213、検査画像選択部214、検査部215等を含む。
【0018】
操作部201は、ユーザの操作の入力を受け付け、例えば、タッチパネル、マウス等により実現される。操作部201は、検査対象に対する各種検査処理に関する入力、画像の保存等の各種入力処理等を受け付ける。表示部202は、各種画像を表示し、例えば、液晶ディスプレイ等により実現される。表示部202は、撮像装置103によって撮像された複数の入力画像220、複数の入力画像220に基づいて展開画像生成部213によって生成された展開画像、検査画像選択部214によって複数の入力画像から選択された検査対象画像222、検査部215による検査対象画像222に対する検査結果等を表示する。また、表示部202と操作部201とは、タッチパネルディスプレイにより構成されてもよい。
【0019】
出力部203は、展開画像、検査対象画像222、検査結果等を表示部202に表示させる。
【0020】
記憶部204は、各種データ、プログラムを記録可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶デバイスによって構成される。記憶部204には、例えば、入力画像220、展開画像、検査結果等が記憶される。さらに、記憶部204は、展開画像生成システム200が動作するために必要な各種情報を記憶する。
【0021】
制御部205は、記憶部204に記憶されるプログラム及びデータに従って、各種処理を実行し、撮像装置103、操作部201、表示部202、出力部203、記憶部204を制御する。制御部205は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって構成される。
【0022】
画像処理装置210は、複数の入力画像220を取得し、取得した複数の入力画像220に基づいて展開画像を生成する。画像処理装置210は、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC等によって構成される。または、画像処理装置210は、制御部205を構成するCPUによって構成されてもよい。
【0023】
画像取得部211は、撮像装置103によって撮像された、撮像装置103に対する被写体101の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像220を取得する。複数の入力画像220の各々には、それぞれ被写体101の異なる領域が撮影される。例えば、第一方向は、移動体102の進行方向である。
【0024】
領域特定部212は、複数の入力画像220のうち被写体101の領域を含む、二以上の入力画像の各々から選択画像領域221を特定する。二以上の選択画像領域221の各々には、それぞれ被写体101の異なる領域が撮影される。
【0025】
展開画像生成部213は、領域特定部212によって特定された二以上の選択画像領域221を第一方向又は第一方向とは反対方向の第二方向に並べた展開画像を生成する。
【0026】
検査画像選択部214は、複数の入力画像220から検査対象画像222を選択する。検査部215は、検査画像選択部214によって選択された検査対象画像222の画像処理結果に基づいて、被写体101の検査結果を取得する。検査部215は、画像処理結果に基づいて、被写体101のひび、剥離、歪み等の有無を検出し、検出結果を検査結果として取得する。また、検査部215は、画像処理結果に基づいて、被写体101の長さ、厚さ、体積等を算出し、算出結果を検査結果として取得してもよい。
【0027】
次に、
図3から
図5Cを参照し、本実施形態に係る画像処理装置210の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る画像処理装置210の動作の一例を示すフローチャートである。
【0028】
ステップS301において、画像取得部211は、撮像装置103によって被写体101を撮像した複数の入力画像220を取得する。例えば、撮像装置103が、被写体101を撮像した複数の入力画像220を画像処理装置210に送信し、画像取得部211は、撮像装置103から送信された複数の入力画像220を取得する。または、撮像装置103は、被写体101を撮像した複数の入力画像220を記憶部204に記憶してもよい。その場合、画像取得部211は、記憶部204に記憶された複数の入力画像220を取得する。または、画像取得部211は、ネットワークを介して、被写体101を撮像した複数の入力画像220を取得してもよい。または、画像取得部211は、取り外し可能な記憶デバイスに記憶された複数の入力画像220を取得してもよい。
【0029】
ステップS302において、領域特定部212は、取得された複数の入力画像220から被写体101の重複する領域を含む二以上の入力画像を選択する。重複する領域を含む二つの入力画像の各々に含まれる境界位置は、当該二つの入力画像において重複する領域内であり、且つ、当該重複する領域内の同一の特徴点の位置であるものとする。これにより、重複する領域を含む二つの入力画像の各々から特定された二つの選択画像領域221は、連続する領域を含むものとなる。例えば、領域特定部212は、被写体101の表面のキズ、ひび等の位置を、特徴点の位置として探索する。または、領域特定部212は、入力画像に撮影されるトンネル壁面のキズ、ひび等を、特徴点として探索してもよい。例えば、被写体101の表面の付帯物は、被写体101の表面に取り付けられたボルトである。
【0030】
または、領域特定部212は、撮像装置103との移動速度と、撮像装置103のフレームレートとに基づいて、一の入力画像と、当該一の入力画像に連続する他の入力画像との重複する領域を算出してもよい。そして、領域特定部212は、複数の入力画像220のうちの被写体101の領域が、互いに重複する割合が所定割合以下である二以上の入力画像を選択してもよい。
【0031】
ステップS303において、領域特定部212は、選択された二以上の入力画像の各々から二以上の選択画像領域221を特定する。選択画像領域221は、二以上の入力画像の各々において所定の境界位置よりも第一方向側又は第二方向側にあるものとする。さらに、領域特定部212は、二以上の選択画像領域221の各々において、被写体101のうち撮像装置103の死角となる少なくとも一つの側面部分の各々が、所定の境界位置から離れる方向を向くように、二以上の選択画像領域221を特定する。つまり、領域特定部212は、被写体101のうち所定の境界位置から離れる方向を向く側面部分が死角となるように境界位置を決定して、二以上の選択画像領域を決定する。
【0032】
ステップS304において、展開画像生成部213は、特定された二以上の選択画像領域221を第一方向又は第二方向に並べた展開画像を生成する。二以上の選択画像領域221の各々には、それぞれ被写体101の異なる領域が撮影されるため、展開画像生成部213が、二以上の選択画像領域221を並べた展開画像を生成することで、展開画像では、一の入力画像に含まれる被写体101の領域よりも被写体101の広範な領域が現れる。
【0033】
さらに、展開画像では、被写体101のうち撮像装置103の死角となる少なくとも一つの側面部分の各々が選択画像領域の境界位置から離れる方向を向くため、展開画像では、当該側面部分の各々が単一の基準位置から離れる方向を向く。つまり、単一の基準位置から見た像である展開画像では、当該側面部分の各々は、被写体101の他の部分に隠れて現れない。被写体101が一の視点から観察される場合、被写体101のうちで、当該一の視点側を向く部分は見えるが、当該一の視点側とは反対方向を向く部分は、被写体101の他の部分に隠れて見ることができないものである。そのため、展開画像では、単一の基準位置を視点とし、且つ自然な見え方である被写体101の領域が現れる。
【0034】
ステップS305において、検査画像選択部214は、複数の入力画像220から検査対象画像222を選択する。例えば、検査画像選択部214は、操作部201に対するユーザの操作により、複数の入力画像220から検査対象画像222を選択する。
【0035】
ステップS306において、検査部215は、選択された検査対象画像222に対する画像処理結果に基づいて、検査結果を取得する。検査部215は、検査対象画像222に撮影される被写体101の領域の特徴を検出するために、検査対象画像222に対して画像処理を実行する。例えば、検査部215は、検査対象画像222に含まれる物体の領域のエッジを検出する画像処理を実行してもよい。または、検査部215は、検査対象画像222に含まれる被写体101の色、明るさ等の分布を算出する画像処理を実行してもよい。そして、検査部215は、選択された検査対象画像222に対する画像処理結果に基づいて、検査対象である被写体101の異常検知、測定、計測等の処理を実行する。これにより、展開画像生成システム200は、検査者の負担を低減できる。
【0036】
ステップS307において、出力部203は、ステップS304で生成された展開画像と、ステップS306で取得された検査結果を出力する。さらに、出力部203は、被写体101における異常の有無を示す情報を出力してもよい。また、出力部203は、検査結果が被写体101に異常があることを示す場合、警告音をスピーカ(図示せず)に出力させてもよい。これにより、出力部203は、被写体101に異常があることをユーザに通知できる。
【0037】
次に、
図4Aから
図5Cを参照して、展開画像を生成する処理の一例について説明する。
図4Aは、入力画像400から入力画像403の一例を示す図である。入力画像400から入力画像403は、撮像装置103に対する被写体101の相対位置がそれぞれ第一方向に異なる位置で撮像された画像である。本例では、撮像装置103が移動することで、撮像装置103によって入力画像400から入力画像403が順に生成されたものとする。
図4Aから
図4Bにおいては、紙面左側、紙面右側をそれぞれ第一方向、第二方向とする。
図4Bは、
図4Aに示す入力画像400から入力画像403が撮像される場合の、撮像装置103の位置(基準位置)と被写体101の位置関係を示す図である。
【0038】
入力画像400には、被写体101のうち、第一方向を向く側面部分404と側面部分405とが撮影される。基準位置411から被写体101が観察される場合、側面部分404と側面部分405とが見えるものである。そのため、例えば、撮像装置103が基準位置411から被写体101を撮像した場合、入力画像400が生成される。また、入力画像400には、入力画像400の第二方向側の端部にある境界位置421よりも第一方向側に領域422が含まれる。
【0039】
入力画像401には、被写体101のうち、第一方向を向く側面部分404と側面部分405とが撮影されていない。基準位置412から被写体101が観察される場合、側面部分404と、側面部分405とは見えないものである。そのため、例えば、撮像装置103が基準位置412から被写体101を撮像した場合、入力画像401が生成される。また、入力画像401には、入力画像401内の第二方向側の端部にある境界位置423よりも第一方向側に領域424が含まれる。さらに、入力画像401には、入力画像401内の境界位置431よりも第二方向側に領域432が含まれる。境界位置431は、被写体101において、入力画像400の境界位置421と同一の位置に対応するものとする。
【0040】
入力画像402には、被写体101のうち、第二方向を向く側面部分406と側面部分407とが撮影されていない。基準位置413から被写体101が観察される場合、側面部分406と側面部分407とは見えないものである。そのため、例えば、撮像装置103が基準位置413から被写体101を撮像した場合、入力画像402が生成される。また、入力画像402には、入力画像402内の境界位置425よりも第二方向側に領域426が含まれる。
【0041】
入力画像403には、被写体101のうち、第二方向を向く側面部分406と側面部分407とが撮影される。基準位置414から被写体101が観察される場合、側面部分406と側面部分407とが見えるものである。そのため、例えば、撮像装置103が基準位置414から被写体101を撮像した場合、入力画像403が生成される。また、入力画像403には、入力画像403の第一方向側の端部にある境界位置427よりも第二方向側に領域428が含まれる。入力画像403には、被写体101のうち、第二方向を向く側面部分406と側面部分407とが撮影される。
【0042】
入力画像400から入力画像403のうちの一の入力画像と、当該一の入力画像に連続する他の入力画像には、被写体101のうち、少なくとも一部の重複する領域が撮影される。さらに、入力画像400から入力画像403には、被写体101の互いに異なる領域が撮影される。そのため、展開画像生成部213は、入力画像400から入力画像403から選択された選択画像領域221を並べることで、被写体101の広範な領域が現れた展開画像を生成できる。
【0043】
図5Aおよび
図5Bは、展開画像生成部213によって生成される展開画像500及び展開画像501の一例を示す。
図5Cは、
図5Aおよび
図5Bに対する比較例として、展開画像生成部213によって生成され得ない展開画像502の一例を示す。
図5Aから
図5Cにおいては、紙面左側、紙面右側をそれぞれ第一方向、第二方向とする。
【0044】
例えば、展開画像生成システム200が、
図4Bに例示する基準位置411を視点とする展開画像を生成する指示を、ユーザの操作により受け付けた場合、領域特定部212は、指定された基準位置411よりも第二方向側に第一方向を向く側面部分が撮影された領域422と、当該領域の境界位置421よりも第二方向側では境界位置よりも第二方向側の領域426とを、選択画像領域221として特定する。そして、
図5Aに例示するように、展開画像生成部213は、領域422と領域426とを第二方向に並べた展開画像500を生成する。または、展開画像生成部213は、領域426と領域422とを第一方向に並べることで展開画像500を生成してもよい。
【0045】
図5Aに例示するように、展開画像500では、指定された基準位置411よりも第二方向側に、被写体101のうちの第一方向を向く側面部分404と側面部分405とが現れ、且つ第二方向を向く側面部分406と側面部分407とが死角となる。つまり、展開画像500では、側面部分404と側面部分405とが現れ、側面部分406と側面部分407とが被写体101の他の部分に隠れて現れない。指定された基準位置411から被写体101が観察される場合、側面部分404と側面部分405とは見えるが、側面部分406と側面部分407とは被写体101の他の部分に隠れて基準位置411から見ることができないものである。そのため、展開画像500では、被写体101の側面部分404及び側面部分405よりも第一方向側の単一の基準位置411を視点とし、且つ自然な見え方である被写体101の領域が現れている。
【0046】
また、例えば、展開画像生成システム200が、
図4Bに例示する基準位置414を視点とする展開画像を生成する指示を、ユーザの操作により受け付けた場合、領域特定部212は、
図4Aに例示する入力画像401と入力画像403とから、領域424と領域428とを選択画像領域221として特定する。そして、
図5Bに例示するように、展開画像生成部213は、選択画像領域221である領域424と領域428とを第二方向に並べた展開画像501を生成する。または、展開画像生成部213は、領域428と領域424とを第一方向に並べることで展開画像501を生成してもよい。
【0047】
図5Bに例示するように、展開画像501では、指定された基準位置414よりも第一方向側に、被写体101のうちの第二方向を向く側面部分406と側面部分407とが現れ、且つ第一方向を向く側面部分404と側面部分405とが死角となる。つまり、展開画像501では、側面部分406と側面部分407とが現れ、側面部分404と側面部分405とが被写体101の他の部分に隠れて現れない。指定された基準位置414から被写体101が観察される場合、側面部分406と側面部分407とは見えるが、側面部分404と側面部分405とは被写体101の他の部分に隠れて基準位置414から見ることができないものである。そのため、展開画像501では、被写体101の側面部分406及び側面部分407よりも第二方向側の単一の基準位置414を視点とし、且つ自然な見え方である被写体101の領域が現れている。
【0048】
一方、
図5Cに例示する展開画像502は、入力画像400に含まれる領域422と、入力画像401に含まれる境界位置431よりも第二方向側の領域432と、入力画像403に含まれる領域428とを第二方向側に並べた画像である。展開画像502では、第一方向を向く側面部分404と側面部分405が現れるとともに、第二方向を向く側面部分406と側面部分407とが現れる。撮像装置103が如何なる位置から被写体101を撮像しても、被写体101のうちの相反する方向を向く両側面は撮影され得ない。従って、展開画像502では、不自然な見え方である被写体101の領域が現れている。
【0049】
しかし、領域特定部212は、被写体101のうちで撮像装置103の死角となる少なくとも一つの側面部分の各々が所定の境界位置から離れる方向を向くように、二以上の入力画像の各々から二以上の選択画像領域221を特定する。つまり、領域特定部212は、少なくとも一つの側面部分は被写体101の他の部分に隠れて見えなくなるように、二以上の選択画像領域221を特定する。一方、領域422には、第一方向を向く側面部分404と側面部分405が撮影され、且つ領域428には第一方向を向く側面部分404と側面部分405が撮影されている。そのため、展開画像生成システム200は、領域422と領域432と領域428との組み合わせを選択画像領域221として特定し得ない。従って、領域422と領域432と領域428とを並べた展開画像502を生成し得ない。
【0050】
以上の通り、展開画像生成システム200は、自然な見え方であり、且つ違和感の少ない展開画像を生成できる。
【0051】
(変形例1)
本実施形態に係る展開画像生成システム200の変形例1として、検査部215は、ユーザにより指定された位置、領域等に対する検査処理を実行してもよい。例えば、ユーザが表示部202に表示された展開画像上の二点を選択した場合、検査部215は、選択された二点間の距離を算出する。また、ユーザが表示部202に表示された展開画像上に現れるひびの始点と終点とを特定した場合、検査部215は、選択されたひびの始点と終点とに基づいて、ひびの長さを算出してもよい。また、ユーザが表示部202に表示された展開画像上の領域を選択した場合、検査部215は、選択された領域の平均画素値を算出してもよい。このように、本変形例に係る展開画像生成システム200は、表示部202に表示された展開画像上でユーザにより選択された位置、領域等に関して検査処理を実行する。これにより、展開画像生成システム200は、ユーザが検査を望む部分について検査処理を実行でき、ユーザの利便性を向上できる。
【0052】
(第二実施形態)
図6Aから
図8Dを参照して、第二実施形態について説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第一実施形態と実質的に共通の機能を有する構成及び処理を共通の符号で参照して説明を省略し、第一実施形態と異なる点を説明する。
【0053】
図6Aは、本実施形態に係る撮像装置601とその被写体602の一態様を示す図である。
図6Bは、被写体602の斜視図の一例である。
図6Bに例示するように、被写体602には、加工穴605~加工穴607が形成されている。本実施形態に係る展開画像生成システム200は、撮像装置103に代えて撮像装置601を備える。
【0054】
本実施形態においては、固定された設置位置の撮像装置601が、回転するベルトコンベア603上の被写体602を撮像する。撮像装置601は、撮像装置601の撮影範囲604に位置する被写体602の一部を撮像可能であり、ベルトコンベア603が回転して被写体602が移動することで、撮像装置601によって生成される複数の入力画像の各々には、それぞれ被写体602の異なる領域が撮影される。
【0055】
図7Aは、ベルトコンベア603の回転に伴い、撮像装置601によって被写体602が撮像された入力画像700から入力画像703の一例を示す図である。本例では、ベルトコンベア603の回転に伴い、撮像装置601によって入力画像700から入力画像703が順に生成されたものとする。
図7Aにおいて、加工穴605から加工穴607の濃色部分は、撮像装置601の撮影範囲内に撮影された加工穴605から加工穴607の側面部分を示すものとする。
図7Aにおいては、紙面左側、紙面右側をそれぞれ第一方向、第二方向とする。
図7Bは、
図7Aに示す入力画像700から入力画像703が撮像される場合の、撮像装置601の位置(基準位置)と被写体602の位置関係を示す図である。基準位置741は加工穴605と加工穴606間の位置し、基準位置742は加工穴607より第二方向側に位置し、基準位置743は加工穴605より第一方向側に位置している。
【0056】
入力画像700には、入力画像700の第二方向側の端部にある境界位置721よりも第一方向側に領域722が含まれる。領域722には、第一方向を向く加工穴605の側面部分が撮影され、第二方向を向く加工穴605の側面部分が死角となる。
【0057】
入力画像701には、入力画像700内の境界位置723よりも第一方向側に領域724が含まれる。境界位置723は、被写体602において、入力画像700の境界位置721と同一の位置に対応している。領域724には、第二方向を向く加工穴605の側面部分が撮影され、第一方向を向く加工穴605の側面部分が死角となる。また、入力画像701には、入力画像701内の境界位置723よりも第二方向側に領域725が含まれる。領域725には、第一方向を向く加工穴606の側面部分が撮影され、第二方向を向く加工穴606の側面部分が死角となる。また、領域724と領域725を合わせた領域を領域732とする。
【0058】
入力画像702には、入力画像702内の境界位置726よりも第一方向側に領域727が含まれる。境界位置726は、被写体602において、入力画像701の境界位置731と同一の位置に対応している。領域727には、第二方向を向く加工穴606の側面部分が撮影され、第一方向を向く加工穴606の側面部分が死角となる。また、入力画像702には、入力画像702内の境界位置726よりも第二方向側に領域728が含まれる。領域728には、第一方向を向く加工穴607の側面部分が撮影され、第二方向を向く加工穴607の側面部分が死角となる。
【0059】
入力画像703には、入力画像703の第一方向側の端部にある境界位置729よりも第二方向側に領域730が含まれる。領域730には、第二方向を向く加工穴607の側面部分が撮影され、第一方向を向く加工穴607の側面部分が死角となる。
【0060】
図8Aから
図8Cは、入力画像700から入力画像703から選択された二以上の入力画像に基づいて、展開画像生成部213によって生成される展開画像800から展開画像803の一例を示す。
図8Dは、
図8Aから
図8Cに対する比較例として、展開画像生成部213によって生成され得ない展開画像803の一例を示す。
図8Aから
図8Dにおいては、紙面左側、紙面右側をそれぞれ第一方向、第二方向とする。
【0061】
例えば、展開画像生成システム200が、被写体602の加工穴605と加工穴606間の単一の基準位置741を視点とする展開画像を生成する指示を、ユーザの操作により受け付けた場合、領域特定部212は、指定された基準位置741よりも第一方向側に第二方向を向く側面部分が撮影される領域732を、選択画像領域221として選択する。さらに、領域特定部212は、境界位置731に対応する境界位置726よりも第二方向側の領域では、領域728を、選択画像領域221として特定する。具体的には、領域特定部212は、
図7Aに例示する入力画像701及び入力画像702から、領域732と、領域728とを選択画像領域221として特定する。そして、
図8Aに例示するように、展開画像生成部213は、領域732と、領域728とを第二方向に並べた展開画像800を生成する。または、展開画像生成部213は、領域728と、領域732とを、第一方向に並べることで展開画像800を生成してもよい。
【0062】
これにより、
図8Aに例示するように、展開画像800では、第二方向を向く加工穴605の側面部分と、第一方向を向く加工穴606の側面部分と、第一方向を向く加工穴607の側面部分が現れる。さらに、展開画像800では、第一方向を向く加工穴605の側面部分と、第二方向を向く加工穴606の側面部分と、第二方向を向く加工穴607の側面部分とが死角となる。
【0063】
従って、展開画像800では、加工穴605から加工穴607の側面部分のうち、基準位置741に近づく方向を向く側面部分が現れ、基準位置741から離れる方向を向く加工穴605から加工穴607の側面部分は死角となる。指定された基準位置741から被写体602が観察される場合、第二方向を向く加工穴605の側面部分と第一方向を向く加工穴606の側面部分および加工穴607の側面部分が見えるが、第一方向を向く加工穴605の側面部分と第二方向を向く加工穴606の側面部分および加工穴607の側面部分は、被写体602の他の部分の死角となり見ることができない。その結果、展開画像800では、被写体602の加工穴605と加工穴607間の単一の基準位置741を視点とし、且つ自然な見え方である被写体602の領域が現れている。
【0064】
また、例えば、展開画像生成システム200が、被写体602の加工穴607よりも第二方向側の単一の基準位置742を視点とする展開画像を生成する指示を、ユーザの操作により受け付けた場合、領域特定部212は、
図7Aに例示する入力画像701から入力画像703の各々から、領域724と、領域727と、領域730とを選択画像領域221として特定する。そして、
図8Bに例示するように、展開画像生成部213は、領域724と、領域727と、領域730とを第二方向に並べた展開画像801を生成する。または、展開画像生成部213は、領域730と、領域727と、領域724とを、第一方向に並べることで展開画像801を生成してもよい。
【0065】
これにより、
図8Bに例示するように、展開画像801では、加工穴605から加工穴607の側面部分のうち、第二方向を向く側面が現れ、第一方向を向く側面部分は死角となる。
【0066】
従って、展開画像801では、加工穴605から加工穴607の側面部分のうち、基準位置742に近づく方向の側面部分が現れ、基準位置742から離れる方向を向く加工穴605から加工穴607の側面部分は死角となる。指定された基準位置742から被写体602が観察される場合、第二方向を向く加工穴605から加工穴607の側面部分が見えるが、第一方向を向く加工穴605~加工穴607の側面部分は、被写体602の他の部分の死角となり見ることができない。その結果、展開画像801では、加工穴607よりも第二方向側の単一の基準位置742を視点とし、且つ自然な見え方である被写体602の領域が現れている。
【0067】
また、例えば、展開画像生成システム200が、加工穴605よりも第一方向側の単一の基準位置743を視点とする展開画像を生成する指示を、ユーザの操作により受け付けた場合、領域特定部212は、
図7Aに例示する入力画像700から入力画像702から、領域722と、領域725と、領域728とを選択画像領域221として特定する。そして、
図8Cに例示するように、展開画像生成部213は、領域722と、領域725と、領域728とを第二方向に並べた展開画像802を生成する。または、展開画像生成部213は、領域728と、領域725と、領域722とを、第一方向に並べることで展開画像802を生成してもよい。
【0068】
これにより、
図8Cに例示するように、展開画像802では、撮像装置601の撮影範囲に、第一方向を向く加工穴605から加工穴607の側面部分が現れ加工穴605から607の第二方向を向く側面部分は死角となる。
【0069】
従って、展開画像802では、加工穴605から加工穴607の側面部分のうち、基準位置743に近づく方向の側面部分が現れ、基準位置743から離れる方向を向く加工穴605から加工穴607の側面部分は死角となる。指定された基準位置743から被写体602が観察される場合、第一方向を向く加工穴605から加工穴607の側面部分が見えるが、第二方向を向く加工穴605から加工穴607の側面部分は、被写体602の他の部分の死角となり見ることができない。その結果、展開画像802には、加工穴605よりも第一方向側の単一の基準位置743を視点とし、且つ自然な見え方である被写体602の領域が現れている。
【0070】
図8Dに例示する展開画像803は、入力画像700に含まれる領域722と、入力画像701に含まれる領域724と、入力画像702に含まれる領域728とを第二方向側に並べた画像である。展開画像803では、被写体602の加工穴605から加工穴607の側面部分の現れる側面の方向と死角となる側面の方向が、交互に入れ替わっている。撮像装置601が如何なる位置から被写体602を撮像しても、展開画像803に示すように、被写体602の加工穴605から加工穴607の側面部分の現れる側面の方向と死角となる側面の方向とが交互に入れ替わることはあり得ない。従って、展開画像803では、不自然な見え方である被写体602の領域が現れている。
【0071】
しかし、領域特定部212は、被写体602のうちで、撮像装置601から見て死角となる少なくとも一つの側面部分の各々が所定の基準位置から離れる方向を向くように二以上の入力画像の各々から二以上の選択画像領域を特定する。そのため、展開画像生成システム200は、領域722と領域724と領域728とを並べた展開画像803を生成し得ない。
【0072】
以上より、被写体602が移動する場合であっても、展開画像生成システム200は、自然な見え方であり、且つ違和感の少ない展開画像を生成できる。
【0073】
(第三実施形態)
図9Aから
図10Dを参照して、第三実施形態について説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。他の実施形態と実質的に共通の機能を有する構成及び処理を共通の符号で参照して説明を省略し、他の実施形態と異なる点を説明する。
【0074】
図9Aは、撮像装置901とその被写体902の一態様を示す図である。
図9Bは、被写体902の斜視図の一例である。
図9Bに例示するように、被写体902には、加工穴905から加工穴907が形成されている。本実施形態に係る展開画像生成システム200は、撮像装置103に代えて撮像装置901を備える。
【0075】
本実施形態に係る展開画像生成システム900においては、撮像装置901が、設置台904上に固定された被写体902を複数の異なる位置で撮像する。
図9Aに例示するように、撮像装置901の撮影範囲903は、被写体902の一部を撮像可能な範囲であるが、撮像装置901が被写体902を複数の異なる位置で撮像することで、撮像装置901によって生成される複数の入力画像の各々には、それぞれ被写体902の異なる領域が撮影される。
【0076】
図10Aから
図10Cは、被写体902のうち、複数の撮影範囲の一例を示す。
図10Aから
図10Cに例示する点線の矩形は、複数の入力画像の各々に撮影される撮影範囲1001から撮影範囲1011を示す。
図10Aから
図10Cにおいては、紙面左側、紙面右側を、それぞれ第一方向、第二方向とする。
【0077】
図10Aに例示する撮影範囲1001から撮影範囲1004は、被写体902のうちの互いに重複する領域を含まない。この場合、展開画像生成部213は、撮影範囲1001から撮影範囲1004の全領域を並べた展開画像を生成する。
【0078】
図10Aにおいては、加工穴905は撮影範囲1001の中心よりも第二方向側に位置し、加工穴906は撮影範囲1002の中心よりも第二方向側に位置し、加工穴907は撮影範囲1004の中心よりも第一方向側に位置している。したがって、加工穴905および加工穴906は、それぞれの加工穴より第一方向側の基準位置から見える側面が撮影されており、加工穴907は、加工穴907より第二方向側の基準位置から見える側面が撮影されているため、撮影範囲1001から撮影範囲1004の画像を用いて全ての加工穴の側面が単一の基準位置から離れる方向を向く側面が現れるように展開画像を生成することはできない。
【0079】
また、
図10Bは
図10Aと同様に被写体902が撮影されており、
図10Bに示す撮影範囲1005から撮影範囲1008と被写体902との位置関係は、
図10Aに示す撮影範囲1001から撮影範囲1004と被写体902との位置関係と同様である。一方、
図10Cは、各撮影範囲と加工穴との位置関係が
図10Aや
図10Bに比べ各撮影範囲が第二方向(または第一方向)に撮影範囲の半分ずれており、加工穴905は撮影範囲1009の中心よりも第一方向側に位置し、加工穴906も撮影範囲1010の中心よりも第一方向側に位置し、加工穴907は撮影範囲1011の中心よりも第二方向側に位置している。したがって、
図10Bに示す撮影範囲1005から1008と
図10Cに示す撮影範囲1009から1011を組み合わせて用いることで、全ての加工穴の側面が単一の基準位置から離れる方向を向く側面が現れるように展開画像を生成することができる。
【0080】
図10Dは、
図10Bおよび
図10Cに例示する撮影範囲1005から撮影範囲1012の各々の入力画像1021から入力画像1027を示す。
図10Dにおいては、紙面左側、紙面右側を、それぞれ第一方向、第二方向とする。破線の中心線1020は、入力画像1021から入力画像1027の各々の中心線を示す。入力画像1021には、中心線1020よりも第二方向側に加工穴905の領域が撮影される。一方、入力画像1022には、中心線1020よりも第一方向側に加工穴905の領域が撮影される。同様に、入力画像1023には、中心線1020よりも第二方向側に加工穴906の領域が撮影される。一方、入力画像1024には、中心線1020よりも第一方向側に加工穴906が撮影される。
【0081】
このように、撮影範囲の半分を重複して撮像することで、入力画像1021から入力画像1027には、中心線1020よりも第一方向側及び第二方向側のそれぞれにおいて、加工穴905から加工穴907の領域が撮影される。そのため、展開画像生成部213は、被写体902のうちで、撮像装置901の死角となる少なくとも一つの側面部分の各々が、展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向くように、展開画像を生成できる。その結果、展開画像では、単一の基準位置を視点とし、且つ自然な見え方である被写体の領域が現れる。
【0082】
なお、入力画像1021から入力画像1027において重複する領域が、入力画像1021から入力画像1027の各々の半分である場合、被写体902に含まれる凹部である加工穴905から加工穴907が、入力画像の端部又は中心付近で撮像される場合がある。その場合、撮像装置901の移動速度が変化した場合、入力画像において加工穴905から加工穴907が所望の位置に撮影されないおそれがある。
【0083】
しかし、撮像装置901が移動する場合に、撮像装置901の撮像頻度を高くすることで、複数の入力画像220において重複する領域を大きくできる。これにより、検査対象である被写体902の揺れ、撮像装置901の移動速度の変化等により、複数の入力画像の各々の撮影範囲にずれが生じた場合であっても、展開画像生成部213は、被写体902のうちで、撮像装置901の死角となる少なくとも一つの側面部分の各々が、展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向くように、展開画像を生成できる。これにより、展開画像では、単一の基準位置を視点とし、且つ自然な見え方である被写体の領域が現れる。
【0084】
(第四実施形態)
図11Aから
図11Cを参照して、第四実施形態について説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。他の実施形態と実質的に共通の機能を有する構成及び処理を共通の符号で参照して説明を省略し、他の実施形態と異なる点を説明する。
【0085】
本実施形態に係る展開画像生成部213は、複数の入力画像の各々が、被写体に対する撮像装置103の相対位置が第二方向に順に変化した画像である場合、被写体のうち撮像装置103の死角となる、少なくとも一つの側面部分が第二方向を向くように、展開画像を生成する。つまり、本実施形態に係る展開画像生成部213は、複数の入力画像の各々が、被写体に対する撮像装置103の相対位置が第二方向に順に変化した画像である場合、第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が展開画像に現れないように、展開画像を生成する。また、本実施形態に係る展開画像生成部213は、複数の入力画像の各々が、被写体に対する撮像装置103の相対位置が第一方向に順に変化した画像である場合、被写体のうちで撮像装置103の死角となる、少なくとも一つの側面部分が第一方向を向くように、展開画像を生成する。つまり、本実施形態に係る展開画像生成部213は、複数の入力画像の各々が、被写体に対する撮像装置103の相対位置が第一方向に順に変化した画像である場合、第一方向を向く少なくとも一つの側面部分が展開画像に現れないように、展開画像を生成する。
【0086】
図11A及び
図11Bは、展開画像生成部213によって生成される、二つの展開画像の一例を示す図である。本例では、被写体の設置位置が固定され、撮像装置103が移動するものとする。さらに、
図11Aの例では撮像装置103の撮像時の進行方向が第二方向であるものとし、
図11Bの例では撮像装置103の撮像時の進行方向が第一方向であるものとする。
図11A及び
図11Bにおいては、紙面左側、紙面右側を、それぞれ第一方向、第二方向とする。また、
図11Cは、
図11Aに示す展開画像1100を生成する場合の基準位置1121と、
図11Bに示す展開画像1110を生成する場合の基準位置1122と被写体1101および被写体1102との位置関係を示す図である。基準位置1121は被写体1101および被写体1102より第一方向側に位置し、基準位置1122は被写体1101および被写体1102より第二方向側に位置している。
【0087】
図11Aに例示する展開画像1100では、被写体1101と、被写体1102とが現れる。本例では、撮像時に、撮像装置103が、被写体1101より第一方向側から被写体1102より第二方向側に移動したものとする。さらに、本例では、第一方向側に位置する単一の基準位置1121を視点とする展開画像1100を生成するものとする。その場合に、展開画像生成部213によって生成される展開画像1100では、被写体1101のうちで第一方向を向く側面部分1103と、被写体1102のうちで第一方向を向く側面部分1104とが現れる。さらに、展開画像1100では、被写体1101のうちで第二方向を向く側面部分と、被写体1102のうちで第二方向を向く側面部分は死角となる。
【0088】
撮像装置103が第二方向向きに被写体1101と被写体1102とを撮影する場合、第一方向を向く側面部分1103と側面部分1104とが見え、第二方向を向く側面部分は被写体1101及び被写体1102の他の部分に隠れて見ることができないため、被写体に対する撮像装置103の相対位置が第二方向に順に変化した複数の入力画像から展開画像を生成する場合、被写体1101と被写体1102の第一方向を向く側面部分が現れる展開画像を生成することで、自然な見え方となる。
【0089】
一方、
図11Bに例示する展開画像1110では、被写体1101と、被写体1102とが現れる。本例では、撮像時に、撮像装置103が、被写体1102より第二方向側から被写体1101より第一方向側に移動したものとする。さらに、本例では、第二方向側に位置する単一の基準位置1122を視点とする展開画像1110を生成するものとする。その場合に、展開画像生成部213によって生成される展開画像1110では、被写体1101のうちで第二方向を向く側面部分1113と、被写体1102のうちで第二方向を向く側面部分1114とが現れる。さらに、展開画像1110では、被写体1101のうちで第一方向を向く側面部分と、被写体1102のうちで第二方向を向く側面部分は死角となる。
【0090】
撮像装置103が第一方向向きに被写体1101と被写体1102とを撮影する場合、第二方向を向く側面部分1113と側面部分1114とが見え、第一方向を向く側面部分は被写体1101及び被写体1102の他の部分に隠れて見ることができないため、被写体に対する撮像装置103の相対位置が第一方向に順に変化した複数の入力画像から展開画像を生成する場合、被写体1101と被写体1102の第二方向を向く側面部分が現れる展開画像を生成することで、自然な見え方となる。
【0091】
以上の通り、本実施形態に係る展開画像生成部213は、撮像時の移動方向に基づいた展開画像を生成する。これにより、本実施形態に係る展開画像生成システム200は、生成された展開画像を見るユーザに、撮像時の撮像装置103の進行方向を推測させることができる。
【0092】
(第五実施形態)
図12から
図14を参照して、第五実施形態について説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。他の実施形態と実質的に共通の機能を有する構成及び処理を共通の符号で参照して説明を省略し、他の実施形態と異なる点を説明する。
【0093】
図12は、本実施形態に係る展開画像生成システム200の機能的構成の一例を示す。
図12に例示する展開画像生成システム200は、
図2に例示する展開画像生成システム200の機能的構成に加え、表示設定変更部1201を含んでいる。
【0094】
本実施形態に係る展開画像生成部213は、互いに同一の被写体101を撮影した二つの展開画像を生成する。二つの展開画像のうち一方の展開画像では、被写体101のうち撮像装置103の死角となる複数の側面部分が第一方向を向く。また、二つの展開画像のうち他方の展開画像では、撮像装置103の死角となる被写体101のうちの複数の側面部分が第二方向を向く。
【0095】
本実施形態に係る出力部203は、複数の入力画像220のうちの少なくとも一つの表示入力画像と、展開画像とを表示部202に表示させる。また、本実施形態に係る出力部203は、複数の入力画像のうちの少なくとも一つの表示入力画像に対応する展開画像上での位置を示す情報を、展開画像に重畳して表示部202に表示させる。または、本実施形態に係る出力部203は、複数の入力画像のうちの少なくとも一つの表示入力画像に対応する展開画像上での位置に、少なくとも一つの表示入力画像を重畳して表示部202に表示させてもよい。
【0096】
表示設定変更部1201は、展開画像生成部213によって生成された二つの展開画像の各々を切り替えて表示部202に表示させる。
【0097】
図13は、表示部202に表示される表示画面1300の一例を示す図である。表示画面1300には、展開画像1301と、検査結果表示領域1302と、拡大画像表示領域1303とが表示される。検査結果表示領域1302には、検査部215による検査結果が表示される。拡大画像表示領域1303には、複数の入力画像のうちの少なくとも一つの入力画像、展開画像1301の一部を拡大した画像、検査対象画像222等が表示される。
図13に例示するように、拡大画像表示領域1303に表示される画像に対応する位置を示す表示領域1304を展開画像1301上に重畳してもよい。これにより、展開画像生成システム200は、拡大画像表示領域1303に表示される画像及び検査結果表示領域1302に表示される検査結果が展開画像1301のどの位置に対応するかをユーザに認識させやすくできる。
【0098】
また、被写体101の同一の領域が撮影された異なる入力画像を結合して生成した展開画像1301では、検査対象の凹凸、撮影範囲の照明状態等に応じて、各入力画像の撮影状態が必ずしも一致するとは限らないため、二つの選択画像領域の隣接位置の付近において、画質劣化が生じるおそれがある。展開画像1301に画質劣化した領域が含まれる場合、その他の領域よりも、ユーザの注意をひいてしまうおそれがある。しかし、展開画像生成システム200は、拡大画像表示領域1303に画質劣化のない入力画像を表示させることで、画質劣化による印象悪化を防止できる。
【0099】
また、出力部203は、検査対象の領域が撮影された複数の入力画像から検査対象画像222を選択して、拡大画像表示領域1303に検査対象画像222を表示し、且つ検査結果表示領域1302に、検査対象画像222に対応する検査結果を表示してもよい。これにより、展開画像生成システム200は、拡大画像表示領域1303に検査対象画像222を表示させることで、検査結果表示領域1302に表示される検査結果に対応する検査対象画像222をユーザに確認させることができる。
【0100】
また、展開画像生成システム200は、拡大画像表示領域1303に表示される画像の表示倍率、表示領域等の指定を、操作部201に対するユーザの操作により受け付けてもよい。
【0101】
また、表示設定変更部1201は、基準位置が異なる複数の展開画像の各々を切り替えて表示部202に表示させる。例えば、表示設定変更部1201は、ユーザの操作により複数の展開画像の各々を切り替える指示を受け付ける。表示設定変更部1201は、複数の展開画像の各々を切り替える指示に応じて、複数の展開画像の各々を切り替えて表示部202に表示させる。これにより、展開画像生成システム200は、ユーザの操作に応じて、基準位置が異なる展開画像をユーザに提示できる。
【0102】
また、展開画像生成システム200が、複数の基準位置の候補を選択する指示をユーザの操作により受け付けてもよい。その場合、展開画像生成部213は、ユーザの操作により選択された複数の基準位置の候補の各々に対応する複数の展開画像を生成する。表示設定変更部1201は、複数の展開画像の各々を切り替えて表示部202に表示させる。これにより、展開画像生成システム200は、ユーザの操作により選択された視点から見た被写体101の展開画像をユーザに提示できる。なお、基準位置の候補数の上限が設定されていてもよい。これにより、展開画像生成システム200は、基準位置の候補を選択するときにユーザの負担を低減できる。
【0103】
また、基準位置の候補が、被写体101の第一方向側の端部より第一方向側の位置と、被写体101の第二方向側の端部より第二方向側の位置とを含むように予め設定されていてもよい。これにより、展開画像生成システム200は、基準位置の候補を選択するときにユーザの負担を低減できるとともに、第一方向を向く側面部分が現れた展開画像と、第二方向を向く側面部分が現れた展開画像とのうちのいずれかをユーザに提示できる。
【0104】
また、表示設定変更部1201は、予め設定された基準位置とは異なる基準位置をユーザの操作により受け付けてもよい。これにより、展開画像生成システム200は、ユーザにより選択された基準位置を視点とする展開画像をユーザに提示できる。
【0105】
図14は、表示部202に表示される表示画面1400の一例を示す図である。表示画面1400には、展開画像1401と、検査結果表示領域1402と、拡大画像表示領域1403とが表示される。検査結果表示領域1402には、検査部215による検査結果が表示される。拡大画像表示領域1403には、撮像装置103によって生成された入力画像、展開画像1401の一部を拡大した画像、検査対象画像222等が表示される。
【0106】
図14に例示する表示画面1400には、複数の入力画像のうちの少なくとも一つの表示入力画像に対応する展開画像1401上での位置に、拡大画像表示領域1403が重畳して表示される。これにより、展開画像生成システム200は、拡大画像表示領域1403に含まれる画像と、展開画像1401に含まれる被写体101の領域の位置との対応関係を、ユーザに把握させることができる。
【0107】
(付記事項)
上述の実施形態は、以下の形態のように記載してもよいが、以下に限定されない。
【0108】
(形態1)撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得する画像取得部と、前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記第一方向とは反対方向である第二方向に並べた展開画像を生成する展開画像生成部と、を備え、前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く、画像処理装置。
【0109】
(形態2)前記少なくとも一つの側面部分は複数の側面部分であり、前記展開画像では、前記複数の側面部分が互いに同じ方向を向く、形態1に記載の画像処理装置。
【0110】
(形態3)前記複数の入力画像の各々は、前記相対位置が前記第一方向に順に変化し、前記展開画像では、前記少なくとも一つの側面部分の各々が前記第二方向を向く、形態1又は2に記載の画像処理装置。
【0111】
(形態4)前記展開画像生成部は、互いに同一の前記被写体を撮影した二つの前記展開画像を生成し、前記二つの前記展開画像のうち一方の展開画像では、前記少なくとも一つの側面部分が前記第一方向を向き、前記二つの前記展開画像のうち他方の展開画像では、前記少なくとも一つの側面部分が前記第二方向を向く、形態1又は2に記載の画像処理装置。
【0112】
(形態5)前記二以上の選択画像領域は、前記二以上の入力画像の各々において所定の境界位置よりも前記第一方向側又は前記第二方向側にあり、前記二以上の入力画像の各々では、前記被写体のうち前記死角となる前記少なくとも一つの側面部分の各々が、前記所定の境界位置から離れる方向を向く、形態1から4のいずれか一に記載の画像処理装置。
【0113】
(形態6)形態1から5のいずれか一に記載の画像処理装置と、前記展開画像を表示部に表示させる出力部と、を備える展開画像生成システム。
【0114】
(形態7)前記出力部は、前記複数の入力画像のうちの少なくとも一つの表示入力画像と、前記展開画像とを前記表示部に表示させる、形態6に記載の展開画像生成システム。
【0115】
(形態8)前記出力部は、前記少なくとも一つの表示入力画像に対応する前記展開画像上での位置を示す情報を、前記展開画像に重畳して前記表示部に表示させる、形態7に記載の展開画像生成システム。
【0116】
(形態9)前記出力部は、前記少なくとも一つの表示入力画像に対応する前記展開画像上での位置に、前記少なくとも一つの表示入力画像を重畳して前記表示部に表示させる、形態7に記載の展開画像生成システム。
【0117】
(形態10)形態4に記載の画像処理装置と、前記展開画像を表示部に表示させる出力部と、前記二つの前記展開画像の各々を切り替えて前記表示部に表示させる表示設定変更部とを備える展開画像生成システム。
【0118】
(形態11)前記複数の入力画像のうち、選択された入力画像の画像処理結果に基づいて、前記被写体の検査結果を取得する検査部をさらに備え、前記出力部は、前記選択された入力画像と前記検査結果とを前記表示部に表示させる、形態6から10のいずれか一に記載の展開画像生成システム。
【0119】
(形態12)形態1から5のいずれか一に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させる画像処理プログラム。
【0120】
(形態13)形態6から11のいずれか一に記載の展開画像生成システムとしてコンピュータを機能させる画像処理プログラム。
【0121】
(形態14)形態12又は13に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0122】
(形態15)撮像装置によって撮像された、前記撮像装置に対する被写体の相対位置が第一方向にそれぞれ異なる複数の入力画像を取得するステップと、前記複数の入力画像のうち前記被写体の領域を含む二以上の入力画像の各々から特定された二以上の選択画像領域を、前記第一方向又は前記第二方向に並べた展開画像を生成するステップと、を含み、前記展開画像では、前記被写体のうち前記第一方向又は前記第二方向を向く少なくとも一つの側面部分が死角となると共に、前記少なくとも一つの側面部分の各々は、前記展開画像に含まれる単一の基準位置から離れる方向を向く、画像処理方法。
【0123】
本開示における展開画像生成システム200、画像処理装置210、及び画像処理方法の主体は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)など、集積回路(ICチップ)などに形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPUおよびGPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、展開画像生成システム200、画像処理装置210、及び画像処理方法の主体は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータで読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記録媒体ならびに、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示における展開画像生成システム200、画像処理装置210、及び画像処理方法の主体の機能が実現される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワーク等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0124】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態に夫々開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0125】
101 被写体、102 移動体、103 撮像装置、104 撮影範囲、200 展開画像生成システム、201 操作部、202 表示部、203 出力部、204 記憶部、205 制御部、210 画像処理装置、211 画像取得部、212 領域特定部、213 展開画像生成部、214 検査画像選択部、215 検査部、220 入力画像、221 選択画像領域、222 検査対象画像、400~403 入力画像、404~407 側面部分、601 撮像装置、602 被写体、603 ベルトコンベア、604 撮影範囲、605~607 加工穴、700~703 入力画像、900 展開画像生成システム、901 撮像装置、902 被写体、903 撮影範囲、904 設置台、905~907 加工穴、1100 展開画像、1101~1102 被写体、1103~1104 側面部分、1110 展開画像、1113~1114 側面部分、1201 表示設定変更部、1300 表示画面、1301 展開画像、1302 検査結果表示領域、1303 拡大画像表示領域、1304 表示領域、1400 表示画面、1401 展開画像、1402 検査結果表示領域、1403 拡大画像表示領域