(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】旅客搭乗橋
(51)【国際特許分類】
B64F 1/305 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
B64F1/305
(21)【出願番号】P 2021049484
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村下 善朗
(72)【発明者】
【氏名】中田 直理
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/096773(WO,A1)
【文献】特開2007-271512(JP,A)
【文献】特開2020-147284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナルビルに接続されたロタンダと、
前記ロタンダに接続されたトンネル部と、
前記トンネル部の先端に設けられたキャブと、
前記キャブと航空機との間の距離を計測する距離計と、
を備え、
前記距離計の筐体は、前記距離計の計測部を収容するとともに、前記計測部を上方から覆うための蓋部を備え、
前記筐体は、前記キャブの床に固定され、前記筐体には、前記距離を計測するための開口が設けられており、前記開口が、前記床の主面の上方に位置している旅客搭乗橋
であって、
前記計測部は、レーザー距離計であり、前記レーザー距離計は、光軸調整ブラケットを用いて前記筐体に固定され、前記レーザー距離計のレーザーの光軸が前記光軸調整ブラケットを用いて前記キャブの床の主面と平行な水平軸に対して下方に延伸するように調整される旅客搭乗橋。
【請求項2】
前記距離計は、前記床の左右のいずれか一方の第1端部に設けられた第1センサと、前記第1端部よりも、前記床の左右のいずれか他方の第2端部に近接するように設けられた第2センサと、を備える請求項1に記載の旅客搭乗橋。
【請求項3】
ターミナルビルに接続されたロタンダと、
前記ロタンダに接続されたトンネル部と、
前記トンネル部の先端に設けられたキャブと、
前記キャブと航空機との間の距離を計測する距離計と、
を備え、
前記距離計の筐体は、前記距離計の計測部を収容するとともに、前記計測部を上方から覆うための蓋部を備え、
前記筐体は、前記キャブの床に固定され、前記筐体には、前記距離を計測するための開口が設けられており、前記開口が、前記床の主面の上方に位置している旅客搭乗橋であって、
前記計測部は、レーザー距離計であり、
前記開口は、前記レーザー距離計のレーザーが通過するように構成されており、
前記距離計は、前記レーザーの通過位置よりも下方で敷設されたポーラス体を備え
る旅客搭乗橋。
【請求項4】
前記筐体は、前記レーザー距離計を下方から覆うための受部と、前記ポーラス体を裏面から保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材によって、前記ポーラス体の裏面と前記受部の底面を含む水平面との間に隙間が形成されている請求項3に記載の旅客搭乗橋。
【請求項5】
前記筐体は、前記レーザー距離計に対向する仕切板を備え、
前記仕切板には、前記レーザーの通過口が設けられている請求項3または4に記載の旅客搭乗橋。
【請求項6】
前記蓋部は、前記蓋部の天板から前記ポーラス体に向かって立設する第1壁部および第2壁部を備え、
前記レーザーが、前記天板と前記第1壁部と前記第2壁部と前記ポーラス体とによって囲まれた空間を通過する請求項3乃至5のいずれか1項に記載の旅客搭乗橋。
【請求項7】
前記筐体は、前記計測部を下方から覆うための受部と、前記受部に対して前記蓋部を開閉するためのロック解除手段を備える請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の旅客搭乗橋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は旅客搭乗橋に関する。
【背景技術】
【0002】
空港において、航空機に乗降する際には、ターミナルビルと航空機とを連結する旅客搭乗橋が用いられる。このような旅客搭乗橋の移動を自動化することが提案されている(例えば特許文献1-3参照)。
【0003】
例えば、特許文献1-2には、予め制御装置に与えられた情報により旅客搭乗橋を航空機ドアの予想位置の手前まで接近させ、旅客搭乗橋のキャブに設けられたカメラからの画像により航空機ドアと旅客搭乗橋との相対的な位置関係を測量することで得られた情報を元に旅客搭乗橋が航空機ドアに接機するまでの移動制御を行うことが提案されている。
【0004】
特許文献3には、上記カメラの他、キャブ先端に設けられたバンパーの左右方向に並んでキャブ床面よりも下方に設けられ、キャブと航空機との間の距離を検出する一対の距離計測計(例えば、レーザー距離計)が開示されている。これにより、制御装置が、航空機ドアに対する旅客搭乗橋の自動装着において、キャブと航空機との距離および両者間の平行度の情報を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭63-43900号公報
【文献】特開昭59-156897号公報
【文献】国際公開第2019/012648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、キャブと航空機との距離を従来よりも高精度に計測し得る旅客搭乗橋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様(aspect)の旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されたロタンダと、前記ロタンダに接続されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられたキャブと、前記キャブと航空機との間の距離を計測する距離計と、を備え、前記距離計の筐体は、前記距離計の計測部を収容するとともに、前記計測部を上方から覆うための蓋部を備え、前記筐体は、前記キャブの床に固定され、前記筐体には、前記距離を計測するための開口が設けられており、前記開口が、前記床の主面の上方に位置している。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様の旅客搭乗橋は、キャブと航空機との距離を従来よりも高精度に計測し得る、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の旅客搭乗橋の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、雨粒の跳ね返りによる微小水滴の発生を抑制するための検証実験の概略を示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の旅客搭乗橋の距離計の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の旅客搭乗橋の距離計の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
キャブおよび航空機間の高精度な距離計測について鋭意検討が行われ、以下の知見が得られた。
【0011】
航空機胴体の断面は、平面ではなく、航空機の機種毎に異なる卵型の湾曲面になっていることから、航空機に最も接近するキャブの床先端と航空機との間の距離を計測することが、両者間の距離の正確な把握にとって理想的であると考えられる。つまり、キャブの床先端に距離計を設けると、距離計の計測値がキャブおよび航空機間の真の距離にほぼ等しくなるので望ましい(以下、距離計の理想的な設置箇所)。しかし、かかる構成を取るには、キャブの床先端のバンパー内に距離計を組込む必要がある。すると、距離計のメンテナンス性が低下する可能性がある。また、距離計が組み込まれたバンパーの部分において、キャブの床が航空機に接触した時の衝撃を緩和するというバンパーの機能が損なわれる可能性がある。
【0012】
そこで、本開示者らは、特許文献3に開示されたキャブの床の下方に距離計を設置する構成について鋭意検討した結果、かかる距離計の設置は、距離計の理想的な設置箇所から偏倚しやすいことを見出した。例えば、航空機胴体が最も膨らんだ水平位置よりも下方の航空機胴体の湾曲部においてキャブを航空機に装着する場合、特許文献3に開示された発明では、キャブと航空機とが最接近する距離計の理想的な設置箇所に比べて、キャブおよび航空機間の距離が長い箇所において、両者間の距離計測が行われる。この場合、距離計の計測値に基づいて、航空機ドアに対する旅客搭乗橋の自動装着が行われると、キャブと航空機ドアとが、両者間の予め定められた距離(例えば、約0mm~10mm程度)よりも接近する可能性がある。
【0013】
以上の状況に鑑みると、キャブの床の主面(おもて面;以下、キャブ床面という場合がある)よりも上方に距離計を設ける方が、両者間の配置位置を逆にする場合に比べて、距離計の計測値と、キャブおよび航空機間の真の距離との誤差を小さくすることが可能であると考えられる。これにより、キャブと航空機との距離を高精度に計測することができる。
【0014】
しかし、本開示者らは、以上の構成を採用する場合、雨粒が距離計に直接、降り注ぎやすくなることで、距離計に水滴が付着するという新たな課題を見出して、以下の本開示の一態様に想到した。
【0015】
すなわち、本開示の第1態様の旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されたロタンダと、ロタンダに接続されたトンネル部と、トンネル部の先端に設けられたキャブと、キャブと航空機との間の距離を計測する距離計と、を備え、距離計の筐体は、距離計の計測部を収容するとともに、計測部を上方から覆うための蓋部を備え、筐体は、キャブの床に固定され、筐体には、キャブと航空機との間の距離を計測するための開口が設けられており、開口が、キャブの床の主面の上方に位置している。
【0016】
かかる構成によると、本態様の旅客搭乗橋は、キャブと航空機との距離を従来よりも高精度に計測し得る。具体的には、本態様の旅客搭乗橋は、上記開口がキャブ床面よりも上方に位置することで、両者の配置位置を逆にする従来例に比べて、航空機胴体の断面形状に起因する、距離計の計測値と、キャブおよび航空機間の真の距離との誤差を小さくすることができる。
【0017】
また、本態様の旅客搭乗橋は、計測部を上方から覆うための蓋部によって、計測部に水滴が付着しにくくすることができる。これにより、本態様の旅客搭乗橋は、計測部に付着した水滴に起因する距離計の計測エラーを防止することができる。
【0018】
本開示の第2態様の旅客搭乗橋は、第1態様の旅客搭乗橋において、距離計は、キャブの床の左右のいずれか一方の第1端部に設けられた第1センサと、第1端部よりも、キャブの床の左右のいずれか他方の第2端部に近接するように設けられた第2センサと、を備えてもよい。
【0019】
かかる構成によると、本態様の旅客搭乗橋は、第1センサおよび第2センサのそれぞれによって、キャブと航空機との距離の他、両者間の平行度を知ることができる。
【0020】
ここで、距離計の計測部に水滴が付着するメカニズムについて検討が行われ、以下の知見が得られた。
【0021】
距離計の計測部を上方から蓋部で覆うだけでは、計測部への水滴付着の抑制が不十分であることが次第にわかってきた。具体的には、筐体の開口近傍における雨粒の跳ね返りで発生した微小水滴が、空中を浮遊しながら筐体内に流れ込むことによって、計測部に微小水滴が付着することがわかった。
【0022】
本開示者らは、鋭意検討した結果、雨粒の跳ね返りによる微小水滴の発生を、筐体内にポーラス体を敷設することによって改善し得ることを見出して、以下の本開示の一態様に想到した。詳細は、検証実験で説明する。
【0023】
すなわち、本開示の第3態様の旅客搭乗橋は、第1態様または第2態様の旅客搭乗橋において、距離計の計測部は、レーザー距離計であり、筐体の開口は、レーザー距離計のレーザーが通過するように構成されており、距離計は、レーザーの通過位置よりも下方で敷設されたポーラス体を備えてもよい。
【0024】
かかる構成によると、本態様の旅客搭乗橋は、雨粒の跳ね返りによる微小水滴の発生をポーラス体で改善することで、このようなポーラス体を設けない場合に比べて、レーザー距離計に水滴が付着する可能性を低減することができる。
【0025】
本開示の第4態様の旅客搭乗橋は、第3態様の旅客搭乗橋において、距離計は、レーザー距離計を下方から覆うための受部と、ポーラス体を裏面から保持する保持部材と、を備え、保持部材によって、ポーラス体の裏面と受部の底面を含む水平面との間に隙間が形成されていてもよい。
【0026】
ポーラス体に降り注いだ雨水をポーラス体から排水する性能が劣ると、ポーラス体による上記改善効果が十分に発揮されない可能性がある。詳細は、検証実験で説明する。
【0027】
そこで、本態様の旅客搭乗橋は、ポーラス体に降り注いだ雨水のポーラス体からの排水性を上記隙間の存在により向上させることができるので、このような隙間を設けない場合に比べて、レーザー距離計に水滴が付着する可能性を低減することができる。
【0028】
本開示の第5態様の旅客搭乗橋は、第3態様または第4態様の旅客搭乗橋において、筐体は、レーザー距離計に対向する仕切板を備え、仕切板には、レーザーの通過口が設けられていてもよい。
【0029】
かかる構成によると、本態様の旅客搭乗橋は、仕切板と上記開口が設けられた筐体の前面壁部との間に空間が存在することにより、レーザー距離計と上記開口との間の離隔距離を十分に保つことができる。これにより、本態様の旅客搭乗橋は、レーザー距離計に水滴が付着する可能性を低減することができる。
【0030】
本開示の第6態様の旅客搭乗橋は、第3態様乃至第5態様のいずれか1項の旅客搭乗橋において、蓋部は、蓋部の天板からポーラス体に向かって立設する第1壁部および第2壁部を備え、レーザー距離計のレーザーが、天板と第1壁部と第2壁部とポーラス体とによって囲まれた空間を通過してもよい。
【0031】
かかる構成によると、本態様の旅客搭乗橋は、レーザー距離計のレーザーが通過する空間を、上記の各部材によってトンネル状に囲むことで、レーザー距離計に水滴が付着する可能性を低減することができる。
【0032】
本開示の第7態様の旅客搭乗橋は、第1態様または第2態様の旅客搭乗橋において、距離計の計測部は、レーザー距離計であり、レーザー距離計のレーザーの光軸が、キャブの床の主面と平行な水平軸に対して下方に延伸していてもよい。
【0033】
航空機の機種または航空機胴体における航空機ドアの高さ位置によっては、距離計の筐体の開口をキャブ床面よりも上方に設ける場合に、航空機胴体の断面形状に起因して、距離計の計測値と、キャブおよび航空機間の真の距離との誤差が所定レベル以上になる場合がある。
【0034】
しかし、本態様の旅客搭乗橋は、距離計の筐体の開口がキャブ床面よりも上方に設けられていても、レーザー距離計のレーザーの光軸が、キャブ床面と平行な水平軸に対して下方に延伸することで、キャブが航空機に接近した際にレーザーをキャブの床先端に対向する航空機表面の近くに照射することができる。よって、本態様の旅客搭乗橋は、航空機胴体の断面形状に起因して発生する距離計の計測値と、キャブおよび航空機間の真の距離との誤差を、レーザー距離計のレーザーの光軸をキャブ床面と平行に延伸させる場合に比べて、小さくすることができる。
【0035】
本開示の第8態様の旅客搭乗橋は、第1態様乃至第7態様のいずれか1項の旅客搭乗橋において、筐体は、計測部を下方から覆うための受部と、受部に対して蓋部を開閉するためのロック解除手段と、を備えてもよい。
【0036】
かかる構成によると、本態様の旅客搭乗橋は、仮に、距離計の計測部に付着した水滴に起因する、距離計の計測エラーなどの問題が発生した場合でも、ロック解除手段を用いて蓋部を開くことで、以上の問題に対して速やかに対処することができる。
【0037】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下で説明する実施形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、本開示を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されてない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
【0038】
(第1実施形態)
[装置構成]
図1は、第1実施形態の旅客搭乗橋の一例を示す図である。ここでは、トンネル部10の全長が伸びた状態が示されている。
【0039】
図1(他の図面も同じ)において、便宜上、旅客搭乗橋100のトンネル部10の全長が伸縮する方向を前後方向、旅客搭乗橋100に重力が作用する方向を上下方向、および、旅客搭乗橋100の幅方向(前後方向および上下方向に直交する方向)を左右方向として説明する。また、
図1に示すように、旅客搭乗橋100において、航空機200側を「前」とし、ターミナルビル(図示せず)側を「後」として説明する。
【0040】
本実施形態の旅客搭乗橋100は、ターミナルビルに接続されたロタンダ(後方円形室)12と、ロタンダ12に対して昇降可能かつ水平方向に旋回可能に接続されたトンネル部10と、トンネル部10の先端に設けられたキャブ(前方円形室)20と、トンネル部10がロタンダ12を中心に昇降するようにトンネル部10を支持するドライブコラム15と、補助階段16と、を備える。
【0041】
トンネル部10は、隣り合うトンネル10A、10Bが、内側と外側の相対関係において入れ子状に嵌合されており、トンネル部10の全長が前後方向に伸縮可能に構成されている。
【0042】
ドライブコラム15(昇降装置)は、トンネル部10と連結することで、トンネル部10の上下動に用いる装置である。つまり、ドライブコラム15は、トンネル部10を左右両側から挟むように外側のトンネル10Bの適所(具体的には、外側のトンネル10Bの前方の部分)に連結されている。これにより、トンネル部10およびキャブ20を、ターミナルビルの乗降部近傍のロタンダ12を基準に、上下方向に揺動運動できる。
【0043】
ドライブコラム15の下端には、駆動装置が配置されている。駆動装置は、ドライブコラム15を支持することで、トンネル部10の伸縮移動および/または水平旋回移動に用いる装置である。例えば、駆動装置のタイヤ14がエプロンの地面18上を左右方向に走行すると、トンネル部10に、水平旋回移動の動力が伝わる。駆動装置のタイヤ14がエプロンの地面18上を前後方向に走行すると、トンネル部10に、前後方向の伸縮移動の動力が伝わる。そして、トンネル部10の全長が伸びることにより、トンネル部10の前方端に配されたキャブ20が航空機ドア201に到達すると、空港のターミナルビルの乗降部(図示せず)と航空機ドア201との間の乗客の歩行通路(
図1では図示せず)が形成される。
【0044】
キャブ20は、トンネル部10の前端に回転可能に配置されている。キャブ20内には、操作盤(
図1では図示せず)が設置され、オペレータが、操作盤のジョイスティックを用いて、旅客搭乗橋100の機器(例えば、ドライブコラム15など)を操作することができる。キャブ20の詳細な構成は後述する。
【0045】
補助階段16は、トンネル部10の内部とエプロンの地面18とを連絡するように、トンネル部10のサイドに設けられている。補助階段16は、例えば、オペレータがキャブ20に出入りするのに使用される。
【0046】
[キャブの構成]
以下、第1実施形態のキャブの一例について図面を参照しながら説明する。
【0047】
図2および
図3は、第1実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
図2には、キャブ20の前端部分を上下方向に平面視した図が示されている。
図3には、キャブ20を前方から見た図が示されている。
【0048】
キャブ20は、歩行通路21と、クロージャー24と、操作盤30と、を備える。
【0049】
歩行通路21は、トンネル部10(
図1参照)の先端で連結する固定床21Bと、固定床21Bに接続されて左右方向に傾斜可能に構成されている傾斜床21Aとを備える。なお、このような傾斜床21Aの傾斜機構は公知であるので、本機構の詳細な図示および説明は行わずに、以下に概説する。
【0050】
例えば、二点鎖線で略図された連結ヒンジ部などを介して、上記の固定床21Bおよび傾斜床21Aが連結されている。そして、パワーシリンダまたは電動モータなどの図示しない動力発生器の動力により傾斜床21Aの右端部21ARまたは左端部21ALが上下に移動する。すると、傾斜床21Aの前端部は、連結ヒンジ部を中心として揺動する。これにより、傾斜床21Aは左右方向に傾斜し得る。なお、傾斜床21Aの前端部には、合成ゴム製のバンパー21Cが配されている。バンパー21Cは、傾斜床21Aが航空機200に接触した時の衝撃を緩和する機能、および、傾斜床21Aの前端部と航空機ドア201との間隔を維持する機能を備える。
【0051】
図3に示すように、クロージャー24は、前後方向に伸縮可能な蛇腹部と、蛇腹部の前端に設けられ、航空機200に当接する門型の当接部24Bと、蛇腹部が縮む場合に蛇腹部を収容する収容部24Cと、を備える。これにより、キャブ20が航空機200に装着したとき、当接部24Bが、前方へ傾倒することにより航空機ドア201の周囲に当接することができる。
【0052】
図2に示すように、操作盤30は、キャブ20の固定床21Bの適所に配置されている。操作盤30にはジョイスティック(図示せず)が設けられ、操作盤30内には制御装置(図示せず)が配置されている。
【0053】
本実施形態の旅客搭乗橋100は、キャブ20と航空機200との間の距離を非接触で計測する距離計50を備える。距離計50の計測部51として、例えば、レーザー距離計を例示することができるが、これに限定されない。
【0054】
距離計50は、傾斜床21Aの左端部21ALに設けられた第1センサ50Aと、左端部21ALよりも、傾斜床21Aの右端部21ARに近接するように設けられた第2センサ50Bと、を備える。
図3に示す例では、第2センサ50Bは、操作盤30の前方手前の傾斜床21A上に固定されているが、これに限定されない。例えば、第2センサ50Bは、傾斜床21Aの右端部21ARに設けられていてもよい。これにより、第1センサ50Aおよび第2センサ50Bのそれぞれによって、キャブ20の先端部分に設けられたバンパー21Cと航空機200との距離の他、両者間の平行度を知ることができる。
【0055】
ここで、距離計50の筐体60は、距離計50の計測部51を収容するとともに、計測部51を上方から覆うための蓋部60Lを備える。また、距離計50の筐体60は、キャブ20の傾斜床21Aに固定されている。そして、筐体60には、
図3に示す如く、キャブ20と航空機200との間の距離を計測するための開口62が設けられており、この開口62が、傾斜床21Aの主面(おもて面)の上方に位置している。
【0056】
以上のとおり、本実施形態の旅客搭乗橋100は、キャブ20と航空機200との距離を従来よりも高精度に計測し得る。具体的には、本実施形態の旅客搭乗橋100は、上記開口62がキャブ20の傾斜床21Aの主面よりも上方に位置することで、両者の配置位置を逆にする従来例に比べて、航空機胴体の断面形状に起因する、距離計50の計測値と、キャブ20および航空機200間の真の距離との誤差を小さくすることができる。
【0057】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100は、計測部51を上方から覆うための蓋部60Lによって、計測部51に水滴が付着しにくくすることができる。これにより、本実施形態の旅客搭乗橋100は、距離計50の計測部51に付着した水滴に起因する、距離計50の計測エラーを防止することができる。
【0058】
(第2実施形態)
距離計50の計測部51に水滴が付着するメカニズムについて検討が行われ、以下の知見が得られた。
【0059】
距離計50の計測部51を上方から蓋部60Lで覆うだけでは、距離計50の計測部51への水滴付着の抑制が不十分であることが次第にわかってきた。具体的には、以下の検証実験によって、筐体60の開口62近傍における雨粒の跳ね返りで発生した微小水滴が、空中を浮遊しながら筐体60内に流れ込むことによって、距離計50の計測部51に微小水滴が付着することがわかった。
【0060】
<検証実験>
図4は、雨粒の跳ね返りによる微小水滴の発生を抑制するための検証実験の概略を示す図である。
【0061】
まず、
図4(a)に示すように、テーブル71の主面に対して直接、シャワーヘッド72から所定量の水をテーブル71に噴射させた(噴射角度:60°、噴射時間:10秒)。すると、テーブル71から所定の離隔距離L(例えば、約100mm程度)を隔てて置かれた透明プレート70に、水滴が付着することが確認された。これは、テーブル71による水の跳ね返りで発生した微小水滴が、空中を浮遊しながら透明プレート70に到達したことに起因する現象であると考えられる。
【0062】
次に、
図4(b)に示すように、所定の厚みL1のポーラス体80を、テーブル71の主面から隙間L2だけ浮かせた状態でテーブル71上に置いた。このとき、本検証実験では、ポーラス体80として、3次元網目構造のモルトフィルタ(登録商標)を使用した。モルトフィルタ(登録商標)の種類として、フィルタA(細目 MF-20)、フィルタB(中目 MF-13)およびフィルタC(粗目 MF-8)を選んだ。
【0063】
ポーラス体80として、厚みL1が5mmのフィルタA、フィルタBおよびフィルタCのそれぞれと、厚みL1が10mmのフィルタA、フィルタBおよびフィルタCのそれぞれと、について、隙間L2がゼロの状態において、
図4(c)に示すように、上記と同様の水噴射条件で、シャワーヘッド72から所定量の水をフィルタA-Cに噴射させた。
【0064】
実験の結果、フィルタAおよびフィルタBはいずれも、フィルタCに比べて、透明プレート70に付着した水滴量が多かった。これは、フィルタAおよびフィルタBでは、降り注いだ水を排水する性能が、フィルタCに比べて劣るので、フィルタ表面に水膜が形成されたからであると考えられる。
【0065】
そこで、以下の検証実験は、フィルタCについてのみ行った。
【0066】
まず、厚みL1が5mmおよび10mmのフィルタCのそれぞれについて、隙間L2が2mmおよび5mmのそれぞれの状態において、
図4(c)に示すように、上記と同様の水噴射条件で、シャワーヘッド72から所定量の水をフィルタCに噴射させた。
【0067】
実験の結果、厚みが10mmのフィルタCの方が、厚みが5mmのフィルタCよりも、透明プレート70に付着した水滴量が少なかった。これは、厚みが5mmのフィルタCでは、降り注いだ水の重みによってフィルタCが撓むことで、フィルタCの排水性に必要な隙間L2の確保が困難になったからであると考えられる。
【0068】
表1には、以上の検証実験の結果が示されている。表中の「〇」、「△」および「×」はそれぞれ、透明プレート70に付着した水滴量を表しており、これらの順に、水滴量が多いことを示している。また、表中の斜線は、検証実験の未実施を表している。
【0069】
【0070】
なお、以上の検証実験は、例示であって本例に限定されない。
【0071】
以上のとおり、本開示者らは、検証実験を行った結果、雨粒の跳ね返りによる微小水滴の発生を、筐体60内にポーラス体を敷設することによって改善し得ることを見出した。また、本開示者らは、降り注いだ雨水がポーラス体から排水する性能が劣ると、ポーラス体による上記改善効果が十分に発揮されない可能性があることを見出した。そして、本開示者らは、以上の知見に基づいて、以下の距離計を完成させた。
【0072】
図5および
図6は、第2実施形態の旅客搭乗橋の距離計の一例を示す図である。ただし、
図5および
図6において、便宜上、ポーラス体180が、二点鎖線で示されている。なお、ポーラス体180として、矩形板状かつ3次元網目構造の多孔質フィルタを挙げることができる。このような多孔質フィルタとして、モルトフィルタ(登録商標)を例示することができる。この場合、モルトフィルタ(登録商標)として、上記表1に示す如く、厚みL1が約10mm程度のフィルタC(粗目 MF-8)を使用することが望ましいが、これに限定されない。
【0073】
図5および
図6に示す例では、距離計50の筐体160は、距離計50の計測部51(本例では、レーザー距離計151)を収容する容器である。つまり、筐体160は、レーザー距離計151を上方から覆うための蓋部160Lと、レーザー距離計151を下方から覆うための受部160Rと、を備える。
【0074】
ここで、
図6には、距離計50のメンテナンス作業などを行うために筐体160の蓋部160Lが一時的に開放された状態が示されている。距離計50の筐体160には、受部160Rに対して蓋部160Lを開閉するためのヒンジ160LHおよび固定つまみ160LKが設けられている。つまり、本開示の「ロック解除手段」の一例は、ヒンジ160LHおよび固定つまみ160LKによって構成されていてもよい。
【0075】
以上により、距離計50を使用する際、固定つまみ160LKを用いて、蓋部160Lと受部160Rとを当接させ、固定つまみ160LKのネジ(図示せず)をネジ穴SHに接続させることで、蓋部160Lと受部160Rとを固定することができる。
【0076】
また、仮に、レーザー距離計151に付着した水滴に起因する、レーザー距離計151の計測エラーなどの問題が発生した場合でも、固定つまみ160LKを解除するとともに蓋部160Lを開放することで、以上の問題に対して速やかに対処することができる。
【0077】
距離計50の使用時、
図5に示す如く、筐体160の蓋部160Lが閉止される。このとき、ポーラス体180は、レーザー距離計151のレーザーの通過位置よりも下方で敷設されている。なお、図示を省略するが、筐体160がキャブ20の傾斜床21Aに固定された状態において、上記のとおり、この開口162は、キャブ20の傾斜床21Aの主面の上方に位置している。
【0078】
筐体160の蓋部160Lは、矩形状の開口162が設けられた前面壁部160LFを備える。そして、開口162は、レーザー距離計151のレーザーが通過するように構成されている。なお、前面壁部160LFには、開口162の中央かつ上縁において、左右に細長い樋状の水切り部160LDが設けられている。これにより、距離計50の使用時、雨粒が蓋部160Lの天板160LUに降り注いでも、水切り部160LDによって水を左右方向に排水することができる。
【0079】
筐体160の蓋部160Lは、ポーラス体180を裏面から保持する保持部材161(
図6参照)を備える。すると、距離計50の使用時、
図5に示す如く、保持部材161によって、ポーラス体180の裏面と受部160Rの底面160RDを含む水平面との間に隙間L2が形成される。この隙間L2(上下方向の寸法)は、上記表1に示す如く、約2mm~5mm程度が望ましいが、これに限定されない。
【0080】
図5および
図6に示す例では、保持部材161は、蓋部160Lの左右の側面壁部のそれぞれに設けられており、側面壁部のそれぞれに対して垂直に設けられた、前後方向に延伸する細長い板材で構成されている。また、この板材には、短冊状に突出する一対の突出部161Aが設けられている。これにより、距離計50の使用時、ポーラス体180が、重力の作用によって撓むことが抑制されている。なお、
図6に示すように、保持部材161によってポーラス体180が保持されるとき、ポーラス体180の面内方向および厚み方向の移動を規制するための複数の板材が、上記側面壁部のそれぞれに設けられていてもよい。
【0081】
図6に示すように、筐体160は、レーザー距離計151に対向する仕切板163を備える。仕切板163には、矩形状のレーザーの通過口163Aが設けられている。つまり、仕切板163は、レーザーの通過口163Aとレーザー距離計151のレーザー通過面151A(レンズ面)とが対向するように構成されている。距離計50の使用時、仕切板163によって、筐体160の内部が、レーザー距離計151が配された領域とポーラス体180が配された領域とに仕切られる。
【0082】
ここで、レーザー距離計151は、光軸調整ブラケット168を用いて、受部160Rの後面壁部160RBに固定されている。光軸調整ブラケット168は、矩形板状の第1プレートPAと、矩形板状の第2プレートPBと、矩形板状の支持プレートPCとを備える。第1プレートPAと第2プレートPBとはほぼ相似形であって、第1プレートPAの外寸が第2プレートPBの外寸よりも大きい。
【0083】
第1プレートPAの主面は、固定部材(ここでは、ボルト)によって受部160Rの後面壁部160RBの主面に面状に固定されている。
【0084】
第2プレートPBは、固定部材(ここでは、第2プレートPBの四隅に設けられたバネ付きボルト)によって第1プレートPAの主面と第2プレートPBの主面とが所定の間隔を隔てて略平行になるように、第1プレートPAに固定されている。
【0085】
支持プレートPCは、固定部材(ここでは、図示しないボルト)によって第2プレートPBの主面と支持プレートPCの主面とが垂直になるように、第2プレートPBで支持されている。
【0086】
そして、レーザー距離計151は、レーザー通過面151Aがレーザーの通過口163Aと対向するように、固定部材(ここでは、ボルト)によって支持プレートPCの主面上に置かれている。
【0087】
以上の構成により、レーザー距離計151は、第2プレートPB上のバネ付きボルトを回すことで、第1プレートPAと第2プレートPBとの間に挿入されたバネ反力の作用によって、レーザー通過面151Aの傾きを微調整することができる。
【0088】
筐体160の蓋部160Lは、蓋部160Lの天板160LUからポーラス体180に向かって立設する第1壁部164および第2壁部165を備える。
図6に示す例では、第1壁部164および第2壁部165は、左右方向に所定の間隔を隔てて、天板160LUに対して垂直に立設する一対の板材で構成されている。
【0089】
以上により、距離計50の使用時、レーザー距離計151のレーザーが、天板160LUと第1壁部164と第2壁部165とポーラス体180とによって囲まれたトンネル状の空間Sを通過する。具体的には、距離計50の使用時、第1壁部164および第2壁部165は、仕切板163の前方に配され、これにより、レーザー距離計151のレーザーは、仕切板163のレーザーの通過口163Aを通った後、上記空間Sを通過する。
【0090】
さらに、筐体160の蓋部160Lは、空間Sの出口を構成する第3壁部166および第4壁部167を備える。
【0091】
なお、以上の距離計50の構成は、例示であって本例に限定されない。
【0092】
本実施形態の旅客搭乗橋100は、以上の距離計50を備えることで、以下のような様々な作用効果を奏することができる。
【0093】
まず、本実施形態の旅客搭乗橋100は、雨粒の跳ね返りによる微小水滴の発生をポーラス体180で改善することで、このようなポーラス体を設けない場合に比べて、レーザー距離計151に水滴が付着する可能性を低減することができる。
【0094】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100は、ポーラス体180に降り注いだ雨水のポーラス体180からの排水性を上記隙間L2の存在により向上させることができるので、このような隙間を設けない場合に比べて、レーザー距離計151に水滴が付着する可能性を低減することができる。
【0095】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100は、仕切板163と開口162が設けられた前面壁部160LFとの間に空間が存在することにより、レーザー距離計151と開口162との間の離隔距離を十分に保つことができる。これにより、本実施形態の旅客搭乗橋100は、レーザー距離計151のレーザー通過面151A(レンズ面)に水滴が付着する可能性を低減することができる。
【0096】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100は、レーザー距離計151のレーザーが通過する空間Sを、蓋部160Lの天板160LUと第1壁部164と第2壁部165とポーラス体180とによってトンネル状に囲むことで、レーザー距離計151のレーザー通過面151Aに水滴が付着する可能性を低減することができる。
【0097】
本実施形態の旅客搭乗橋100は、上記特徴以外は、第1実施形態の旅客搭乗橋100と同様であってもよい。
【0098】
(第3実施形態)
本実施形態の旅客搭乗橋100は、以下に説明するレーザー距離計151のレーザーの光軸方向以外は、第2実施形態の旅客搭乗橋100と同様である。
【0099】
図7は、第3実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
図7には、キャブ20を左側から見た図が示されている。
【0100】
図7に示すように、距離計50におけるレーザー距離計151のレーザーの光軸301が、キャブ20の傾斜床21Aの主面と平行な水平軸300に対して下方に延伸している。
【0101】
ここで、光軸301と水平軸300とのなす角θは、航空機200の機種または航空機胴体における航空機ドア201の位置に応じて、適宜、設定することができる。例えば、なす角θは、約2°程度であってもよいが、これに限定されない。
【0102】
なお、レーザー距離計151の光軸301の方向は、例えば、
図6に示すように、光軸調整ブラケット168を用いて、レーザー通過面151Aの傾きを微調整することで、適宜、変更することができる。
【0103】
航空機200の機種または航空機胴体における航空機ドア201の高さ位置によっては、距離計50の筐体160の開口162(
図7では図示せず)をキャブ20の傾斜床21Aの主面(おもて面)よりも上方に設ける場合に、航空機胴体の断面形状に起因して、レーザー距離計151の計測値と、キャブ20および航空機200間の真の距離との誤差が所定レベル以上になる場合がある。
【0104】
しかし、本実施形態の旅客搭乗橋100は、距離計50の筐体160の開口162がキャブ20の傾斜床21Aの主面よりも上方に設けられていても、レーザー距離計151のレーザーの光軸301が、キャブ20の傾斜床21Aの主面と平行な水平軸300に対して下方に延伸することで、キャブ20が航空機200に接近した際にレーザーをキャブの床先端に対向する航空機表面の近くに照射することができる。よって、本実施形態の旅客搭乗橋100は、航空機胴体の断面形状に起因して発生するレーザー距離計151の計測値と、キャブ20および航空機200間の真の距離との誤差を、レーザー距離計151のレーザーの光軸301をキャブ20の傾斜床21Aの主面と平行に延伸させる場合に比べて、小さくすることができる。
【0105】
本実施形態の旅客搭乗橋100は、上記特徴以外は、第1実施形態または第2実施形態の旅客搭乗橋100と同様であってもよい。
【0106】
なお、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。
【0107】
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示の一態様は、キャブと航空機との距離を従来よりも高精度に計測し得る旅客搭乗橋に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 :トンネル部
10A :トンネル
10B :トンネル
12 :ロタンダ
14 :タイヤ
15 :ドライブコラム
16 :補助階段
18 :地面
20 :キャブ
21 :歩行通路
21A :傾斜床
21AL :左端部
21AR :右端部
21B :固定床
21C :バンパー
24 :クロージャー
24B :当接部
24C :収容部
30 :操作盤
50 :距離計
50A :第1センサ
50B :第2センサ
51 :計測部
60 :筐体
60L :蓋部
62 :開口
70 :透明プレート
71 :テーブル
72 :シャワーヘッド
80 :ポーラス体
100 :旅客搭乗橋
151 :レーザー距離計
151A :レーザー通過面
160 :筐体
160L :蓋部
160LD :水切り部
160LF :前面壁部
160LH :ヒンジ
160LK :固定つまみ
160LU :天板
160R :受部
160RB :後面壁部
160RD :底面
161 :保持部材
161A :突出部
162 :開口
163 :仕切板
163A :通過口
164 :第1壁部
165 :第2壁部
166 :第3壁部
167 :第4壁部
168 :光軸調整ブラケット
180 :ポーラス体
200 :航空機
201 :航空機ドア
300 :水平軸
301 :光軸
A :フィルタ
B :フィルタ
C :フィルタ
L :離隔距離
L1 :厚み
L2 :隙間
PA :第1プレート
PB :第2プレート
S :空間
SH :ネジ穴