(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】認証システム、制御装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240904BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20240904BHJP
【FI】
E05B49/00 K
B60R25/24
(21)【出願番号】P 2021079673
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】松末 真也
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-28550(JP,A)
【文献】特開2012-17558(JP,A)
【文献】特開2014-234667(JP,A)
【文献】特開2012-89023(JP,A)
【文献】特開2012-67463(JP,A)
【文献】特開2006-342620(JP,A)
【文献】特開2019-33330(JP,A)
【文献】特開2008-127887(JP,A)
【文献】特開2012-167446(JP,A)
【文献】特開2019-41348(JP,A)
【文献】特開2019-105026(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031524(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60R 25/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置との間で電波の通信が可能である通信装置と、
前記電波に含まれる認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御する制御装置と、
を備えており、
前記認証処理は、前記モバイル装置または前記通信装置において受信される前記電波の強度の変化率または変化量が閾値を上回ると行なわれる、
認証システム。
【請求項2】
前記認証処理は、前記被制御装置について定められた位置からの距離に対する前記電波の強度の変化率または変化量が閾値を上回ると行なわれる、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記モバイル装置に加わる加速度を検出する加速度センサが前記モバイル装置に搭載されており、
前記距離は、前記加速度に基づく慣性航法処理により特定される、
請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記慣性航法処理は、前記モバイル装置により実行される、
請求項3に記載の認証システム。
【請求項5】
前記モバイル装置が前記被制御装置について定められた位置にあることが検出された時点で、当該時点に至るまでの前記電波の強度の変化率または変化量が取得される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項6】
前記被制御装置は、開閉体を施解錠する施解錠装置である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項7】
前記通信装置は、移動体に搭載されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記移動体に搭載されている、
請求項7に記載の認証システム。
【請求項9】
人物による携帯が可能であるモバイル装置から通信装置へ送信される電波に含まれる認証情報を受け付ける受付部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御する処理部と、
を備えており、
前記認証処理は、前記モバイル装置または前記通信装置において受信される前記電波の強度の変化率または変化量が閾値を上回ると行なわれる、
制御装置。
【請求項10】
制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
人物による携帯が可能であるモバイル装置から通信装置へ送信される電波に含まれる認証情報を受け付け、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御し、
前記認証処理は、前記モバイル装置または前記通信装置において受信される前記電波の強度の変化率または変化量が閾値を上回ると行なわれる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物による携帯が可能なモバイル装置を用いる認証システムに関連する。本発明は、当該認証システムの一部を構成しうる制御装置、および当該制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例としての車両に搭載される認証システムを開示している。当該システムにおいては、被制御装置の一例としての施解錠装置の動作を制御する制御装置と人物に携帯されたモバイル装置との間で、電波による通信を通じて認証が行なわれる。認証が成立すると、当該車両のドアを解錠するように施解錠装置が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、モバイル装置を用いる認証システムの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、認証システムであって、
人物による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置との間で電波の通信が可能である通信装置と、
前記電波に含まれる認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御する制御装置と、
を備えており、
前記認証処理は、前記モバイル装置または前記通信装置において受信される前記電波の強度の変化率または変化量が閾値を上回ると行なわれる。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、制御装置であって、
人物による携帯が可能であるモバイル装置から通信装置へ送信される電波に含まれる認証情報を受け付ける受付部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御する処理部と、
を備えており、
前記認証処理は、前記モバイル装置または前記通信装置において受信される前記電波の強度の変化率または変化量が閾値を上回ると行なわれる。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
人物による携帯が可能であるモバイル装置から通信装置へ送信される電波に含まれる認証情報を受け付け、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御し、
前記認証処理は、前記モバイル装置または前記通信装置において受信される前記電波の強度の変化率または変化量が閾値を上回ると行なわれる。
【0008】
上記の各態様に係る構成によれば、モバイル装置を携帯した人物の被制御装置への接近の実態を、受信される電波の強度の絶対値のみに着目した閾値設定に基づく場合よりも正確に検出できる。この検出結果に基づいて認証処理が開始されるので、モバイル装置を携帯した人物以外の者に対して予期せず被制御装置の動作が許可される事態の発生を抑制できる。したがって、モバイル装置を用いる認証システムの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る遠隔制御システムの構成を例示している。
【
図2】
図1の遠隔制御システムの機能構成の一例を示している。
【
図3】
図2の制御装置により実行される処理の流れを例示している。
【
図4】
図2のモバイル装置により実行される処理の流れを例示している。
【
図5】
図2の遠隔制御システムの動作を説明する図である。
【
図6】
図1の遠隔制御システムの機能構成の別例を示している。
【
図7】
図6の制御装置により実行される処理の流れを例示している。
【
図8】
図6のモバイル装置により実行される処理の流れを例示している。
【
図9】
図1の遠隔制御システムの機能構成の別例を示している。
【
図10】
図9の遠隔制御システムの動作を説明する図である。
【
図11】
図9の制御装置により実行される処理の流れを例示している。
【
図12】
図9のモバイル装置により実行される処理の流れを例示している。
【
図13】
図1の遠隔制御システムの機能構成の別例を示している。
【
図14】
図13の制御装置により実行される処理の流れの一例を示している。
【
図15】
図13のモバイル装置により実行される処理の流れの一例を示している。
【
図16】
図13の制御装置により実行される処理の流れの別例を示している。
【
図17】
図13のモバイル装置により実行される処理の流れの別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る認証システム10の構成を例示している。認証システム10は、遠隔制御システムの一例である。
【0011】
認証システム10は、モバイル装置11を含んでいる。モバイル装置11は、人物20による携帯が可能な装置である。認証システム10は、例えば、モバイル装置11を認証することにより、モバイル装置11を携帯している人物20による車両30の利用を許可するために使用されうる。車両30の形状は、例示に過ぎない。車両30は、移動体の一例である。
【0012】
認証システム10は、制御装置12を含んでいる。本例においては、制御装置12は、車両30に搭載されている。制御装置12は、モバイル装置11を認証する認証処理に基づいて、車両30に搭載された施解錠装置31の動作を制御するように構成されている。施解錠装置31は、車両30のドア32を施解錠する装置である。ドア32は、開閉体の地霊である。施解錠装置31は、被制御装置の一例である。
【0013】
認証システム10は、通信装置13を含んでいる。本例においては、通信装置13は、車両30に搭載されている。通信装置13は、認証処理を行なうためにモバイル装置11と短距離無線通信を行なうことが可能なアンテナを備えている。
【0014】
本明細書において用いられる「短距離無線通信」という語は、標準規格であるIEEE802.15またはIEEE802.11に準拠して行なわれる無線通信を意味する。そのような無線通信を実行可能な技術としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが挙げられる。本明細書における「短距離無線通信」は、読取装置から送信される電波から微小な電力を得てモバイル装置が情報の送信を行なう非接触通信技術を用いる「近接無線通信」とは区別される。近接無線通信を実行可能な技術としては、RF-IDやNFCなどが挙げられる。
【0015】
本明細書において用いられる「信号を第一/第二電波で送信する」という表現は、上記の短距離無線通信規格において定められる周波数あるいは周波数帯の電波で信号を無線送信することを意味する。第一電波の周波数あるいは周波数帯と第二電波の周波数あるいは周波数帯は、同一であってもよいし、相違していてもよい。
【0016】
図2に例示されるように、通信装置13は、送信部131を備えている。送信部131は、トリガ信号TRを第一電波で送信するように構成されている。トリガ信号TRは、所定の時間間隔をおいて断続的に送信されてもよいし、時間連続的に送信されてもよい。
【0017】
モバイル装置11は、受信部111を備えている。受信部111は、送信部131から第一電波で送信されたトリガ信号TRを受信可能なアンテナを備えている。
【0018】
モバイル装置11は、処理部112と送信部113を備えている。処理部112は、受信部111により受信されたトリガ信号TRの強度が閾値を上回る場合に、送信部113から確認信号AKを第二電波で送信するように構成されている。すなわち、送信部113は、確認信号AKを送信可能なアンテナを備えている。
【0019】
他方、通信装置13は、受信部132を備えている。受信部132は、第二電波で送信された確認信号AKを受信可能なアンテナを備えている。
【0020】
制御装置12は、受付部121を備えている。受付部121は、受信部132における確認信号AKの受信電波強度を示す受信強度情報IAを取得するインターフェースとして構成されている。受信強度情報IAがアナログデータの形態で提供される場合、受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0021】
制御装置12は、処理部122を備えている。処理部122は、受信強度情報IAが示す受信部132における確認信号AKの受信電波強度の時間変化率が閾値を上回る場合に、認証処理を開始するように構成されている。本明細書で用いられる「受信電波強度の時間変化率」という語は、受信された電波強度の単位時間あたりの変化量を意味する。
【0022】
制御装置12は、記憶部123を備えている。記憶部123は、半導体メモリやハードディスク装置などにより実現されうる。
【0023】
処理部122は、受付部121により受け付けられた受信強度情報IAを、時刻情報に関連付けて記憶部123に記憶するように構成されている。すなわち、受信部132における確認信号AKの受信電波強度と受信時刻が記憶される。受信部132により確認信号AKが受信される度に当該処理がなされることにより、確認信号AKの受信電波強度の経時変化情報が記録される。受信電波強度の時間変化率は、記憶部123に記録された情報から規定された単位時間内に生じた受信電波強度の経時変化情報を抽出することによって算出される。
【0024】
制御装置12は、出力部124を備えている。出力部124は、処理部122による制御の下で送信制御信号TCを出力可能なインターフェースとして構成されている。送信制御信号TCは、通信装置13の送信部131の動作を制御するための信号である。送信制御信号TCは、デジタル信号でもよいし、アナログ信号でもよい。送信制御信号TCがアナログ信号である場合、出力部124は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0025】
認証処理が開始されると、処理部122は、送信部131に要求信号RQを第一電波で送信させる送信制御信号TCを、出力部124から出力する。要求信号RQは、モバイル装置11に認証情報AUの無線送信を要求する信号である。
【0026】
すなわち、送信部131のアンテナは、要求信号RQも送信可能に構成されている。他方、モバイル装置11の受信部111のアンテナは、要求信号RQも受信可能に構成されている。
【0027】
モバイル装置11の処理部112は、要求信号RQへの応答として、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信するように構成されている。認証情報AUは、モバイル装置11と人物20の少なくとも一方を特定しうる情報である。認証情報AUは、アナログデータの形態でもよいし、デジタルデータの形態でもよい。
【0028】
すなわち、送信部113のアンテナは、認証情報AUも送信可能に構成されている。他方、通信装置13の受信部132のアンテナは、認証情報AUも受信可能に構成されている。
【0029】
制御装置12の受付部121は、受信部132を通じて認証情報AUも受け付け可能なインターフェースとして構成されている。認証情報AUがアナログデータの形態である場合、受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0030】
制御装置12の処理部122は、不図示の記憶装置に格納された認証情報AUの読み出しまたは参照を行なう処理を実行可能に構成されている。処理部122は、受付部121により受け付けられた認証情報AUと、記憶装置に記憶された認証情報AUとの照合を行ない、両者の一致度が閾値を上回る場合に認証を成立させる。当該記憶装置は、記憶部123により実現されてもよい。
【0031】
出力部124は、装置制御信号DCの出力も可能なインターフェースとして構成されている。装置制御信号DCは、施解錠装置31の動作を制御する信号である。モバイル装置11の認証が成立すると、処理部122は、出力部124から装置制御信号DCを出力する。装置制御信号DCは、デジタル信号でもよいし、アナログ信号でもよい。装置制御信号DCがアナログ信号である場合、出力部124は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0032】
例えば、装置制御信号DCは、施解錠装置31による車両30のドアの解錠を許可する信号でありうる。すなわち、モバイル装置11の認証が成立すると、当該モバイル装置11を携帯している人物20が車両30のユーザとみなされ、ドアの解錠が許可される。本例においては、モバイル装置11の認証が成立した状態でドアノブへの手の接触が検出されると、施解錠装置31による解錠が行なわれるように構成されている。ドアノブへの手の接触は、静電センサ、感圧センサ、画像処理などの各種公知技術を用いて検出される。
【0033】
図3と
図4を参照しつつ、上記のように構成されたモバイル装置11と制御装置12の間で行なわれる処理の流れを説明する。
図3は、制御装置12の処理部122により実行される処理の流れを例示している。
図4は、モバイル装置11の処理部112により実行される処理の流れを例示している。
【0034】
図3に例示されるように、制御装置12の処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131にトリガ信号TRを第一電波で送信させる(STEP11)。
【0035】
他方、
図4に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、所定の周期(時間間隔)で受信部111によりトリガ信号TRが受信されたかを判断する(STEP21)。トリガ信号TRが受信されたと判断されるまで、当該判断が繰り返される(STEP21においてNO)。
【0036】
受信部111によりトリガ信号TRが受信されたと判断されると(STEP21においてYES)、処理部112は、送信部113から確認信号AKを第二電波で送信する(STEP22)。
【0037】
図3に例示されるように、制御装置12の処理部122は、通信装置13の受信部132により確認信号AKが受信されたかを判断する(STEP12)。トリガ信号TRの送信から所定時間内に確認信号AKが受信されていないと判断された場合(STEP12においてNO)、処理はSTEP11に戻る。
【0038】
受信部132により確認信号AKが受信されたと判断されると(STEP12においてYES)、処理部122は、受付部121により受け付けられた受信強度情報IAを、時刻情報に関連付けて記憶部123に記憶する(STEP13)。
【0039】
続いて、処理部122は、記録された確認信号AKの受信電波強度の経時変化情報に基づいて、受信電波強度の時間変化率が閾値を上回るかを判断する(STEP14)。
【0040】
確認信号AKの受信電波強度の時間変化率が閾値を上回らないと判断された場合(STEP14においてNO)、処理はSTEP11に戻る。
【0041】
確認信号AKの受信電波強度の時間変化率が閾値を上回ると判断された場合(STEP14においてYES)、処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131に要求信号RQを第一電波で送信させる(STEP15)。
【0042】
他方、
図4に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、確認信号AKの送信後に受信部111により要求信号RQが受信されたかを判断する(STEP23)。確認信号AKの送信から所定時間内に要求信号RQが受信されていないと判断された場合(STEP23においてNO)、処理はSTEP21に戻る。
【0043】
受信部111により要求信号RQが受信されたと判断されると(STEP23においてYES)、処理部112は、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信する(STEP24)。その後、モバイル装置11における処理は終了する。
【0044】
図3に例示されるように、制御装置12の処理部122は、認証処理が成立したかを判断する(STEP16)。具体的には、要求信号RQの送信から所定時間内に通信装置13の受信部132により認証情報AUが受信され、不図示の記憶装置に記憶された認証情報AUとの一致度が閾値を上回るかが判断される。認証が成立しなかったと判断されると(STEP16においてNO)、処理はSTEP11に戻る。
【0045】
モバイル装置11の認証が成立したと判断されると(STEP16においてYES)、処理部122は、出力部124から装置制御信号DCを出力し、施解錠装置31によるドアの解錠を許可する(STEP17)。その後、制御装置12における処理は終了する。
【0046】
図5を参照しつつ、上記のように構成された認証システム10の動作について説明する。同図におけるグラフは、通信装置13の受信部132により受信された確認信号AKの受信電波強度の経時変化を示している。本例においては、モバイル装置11を携帯した人物が時点t1において位置P1におり、時点t2において位置P2におり、時点t3において位置P3にいる。位置P2は、位置P1よりも施解錠装置31に近い。位置P3は、位置P2よりも施解錠装置31に近い。
【0047】
本例においては、時点t1において位置P1にいた人物20が施解錠装置31に近づいて時点t2において位置P2に至ることにより、確認信号AKの受信電波強度が上昇している。本例においては、モバイル装置11を携帯している人物20は、位置P2において他の人物21と出会い、その場に留まっている。したがって、時点t2以降のしばらくの間、確認信号AKの受信電波強度は大きく変化していない。その後、人物20は、施解錠装置31にさらに近づき、時点t3において位置P3に至っている。通信距離に対する電波強度の増減の関係は非線形(指数関数的)であるので、この接近により確認信号AKの受信電波強度は急激に上昇する。
【0048】
すなわち、確認信号AKの受信電波強度の時間変化率の閾値は、想定されるモバイル装置11と通信装置13の間の電波通信の仕様に応じて、施解錠装置31の至近距離でのモバイル装置11の接近を検出できるように定められる。
【0049】
このような構成によれば、モバイル装置11を携帯した人物20の施解錠装置31への接近の実態を、確認信号AKの受信電波強度の絶対値のみに着目した閾値設定に基づく場合よりも正確に検出できる。この検出結果に基づいて認証処理が開始されるので、モバイル装置11を携帯した人物20以外の者に対して予期せず施解錠装置31の動作が許可される事態の発生を抑制できる。したがって、モバイル装置11を用いる認証システム10の利便性を高めることができる。
【0050】
なお、上記のように通信装置13の受信部132における確認信号AKの受信電波強度の時間変化率に基づいて認証処理を行なうかが判断される構成に代えて、モバイル装置11の受信部111におけるトリガ信号TRの受信電波強度の時間変化率に基づいて認証処理を行なうかが判断されてもよい。
【0051】
この場合、モバイル装置11の処理部112は、受信部111におけるトリガ信号TRの受信電波強度を示す情報を、確認信号AKに含めて送信部113から送信する。制御装置12の処理部122は、受付部121を通じてトリガ信号TRの受信電波強度を示す情報を取得し、通信装置13の受信部132において確認信号AKが受信された時刻の情報と関連付けて不図示の記憶装置に記憶する。これにより、処理部122は、トリガ信号TRの受信電波強度の時間変化率が閾値を上回るかを判断できる。
【0052】
図6は、認証システム10の構成の別例を示している。本例においては、モバイル装置11は、記憶部114を備えている。記憶部114は、半導体メモリやハードディスク装置などにより実現されうる。
【0053】
処理部112は、受信部111におけるトリガ信号TRの受信電波強度を示す受信強度情報ITを、時刻情報に関連付けて記憶部114に記憶するように構成されている。すなわち、受信部111におけるトリガ信号TRの受信電波強度と受信時刻が記憶される。受信部111によりトリガ信号TRが受信される度に当該処理がなされることにより、トリガ信号TRの受信電波強度の経時変化情報が記録される。
【0054】
処理部112は、受信強度情報ITが示す受信部111におけるトリガ信号TRの受信電波強度の時間変化率が閾値を上回る場合に、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信するように構成されている。
【0055】
図7と
図8を参照しつつ、上記のように構成されたモバイル装置11と制御装置12の間で行なわれる処理の流れを説明する。
図7は、制御装置12の処理部122により実行される処理の流れを例示している。
図8は、モバイル装置11の処理部112により実行される処理の流れを例示している。
【0056】
図7に例示されるように、制御装置12の処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131にトリガ信号TRを第一電波で送信させる(STEP31)。
【0057】
他方、
図8に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、所定の周期(時間間隔)で受信部111によりトリガ信号TRが受信されたかを判断する(STEP41)。トリガ信号TRが受信されたと判断されるまで、当該判断が繰り返される(STEP41においてNO)。
【0058】
受信部111によりトリガ信号TRが受信されたと判断されると(STEP41においてYES)、処理部112は、受信強度情報ITを、時刻情報に関連付けて記憶部114に記憶する(STEP42)。
【0059】
続いて、処理部112は、記録されたトリガ信号TRの受信電波強度の経時変化情報に基づいて、受信電波強度の時間変化率が閾値を上回るかを判断する(STEP43)。
【0060】
トリガ信号TRの受信電波強度が閾値を上回らないと判断された場合(STEP43においてNO)、処理はSTEP41に戻る。
【0061】
トリガ信号TRの受信電波強度が閾値を上回ると判断された場合(STEP43においてYES)、処理部112は、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信する(STEP44)。その後、モバイル装置11における処理は終了する。
【0062】
他方、
図7に例示されるように、制御装置12の処理部122は、トリガ信号TRの送信後に認証処理が成立したかを判断する(STEP32)。具体的には、トリガ信号TRの送信から所定時間内に通信装置13の受信部132により認証情報AUが受信され、不図示の記憶装置に記憶された認証情報AUとの一致度が閾値を上回るかが判断される。認証が成立しなかったと判断されると(STEP32においてNO)、処理はSTEP31に戻る。
【0063】
モバイル装置11の認証が成立したと判断されると(STEP32においてYES)、処理部122は、出力部124から装置制御信号DCを出力し、施解錠装置31によるドアの解錠を許可する(STEP33)。その後、制御装置12における処理は終了する。
【0064】
本例に係る上記のような構成によっても、
図2から
図5を参照して説明した通りの効果が得られる。
【0065】
図9は、認証システム10の構成の別例を示している。本例においては、モバイル装置11は、加速度センサ115を備えている。加速度センサ115は、モバイル装置11に加わる加速度を検出し、検出された加速度に対応する加速度情報ACを出力するように構成されている。
【0066】
処理部112は、受信部111におけるトリガ信号TRの受信電波強度を示す受信強度情報IT、およびトリガ信号TRの受信時において加速度センサにより検出された加速度を示す加速度情報ACを、確認信号AKに含めて送信部113から第二電波で送信するように構成されている。
【0067】
他方、制御装置12の処理部122は、通信装置13の受信部132により確認信号AKが受信されると、受付部121を通じて受信強度情報ITと加速度情報ACを取得するように構成されている。処理部122は、取得された受信強度情報ITと加速度情報ACを、時刻情報に関連付けて記憶部123に記憶するように構成されている。受信部132により確認信号AKが受信される度に当該処理がなされることにより、モバイル装置11によるトリガ信号TRの受信時における受信電波強度およびモバイル装置11に加わる加速度の経時変化情報が記録される。
【0068】
受付部121は、車両30のドアノブに人物の手が触れたことを示す検出信号を、不図示のセンサから受け付けるように構成されている。処理部122は、受付部121が検出信号を受け付けると、記憶部123に記憶されている加速度情報ACの履歴に基づいて、慣性航法処理を行なうように構成されている。慣性航法処理の基準位置は、施解錠装置31の位置とされうる。施解錠装置31の位置は、被制御装置について定められた位置の一例である。これにより、検出信号が出力されるまでのモバイル装置11の位置の経時変化が取得される。
【0069】
処理部122は、モバイル装置11の位置の経時変化を示す情報とトリガ信号TRの受信電波強度の経時変化を示す情報とを組み合わせることにより、
図10に例示されるような施解錠装置31までの距離とトリガ信号TRの受信電波強度の関係を取得するように構成されている。グラフの横軸は、左側に向かうほど施解錠装置31からの距離が増す(施解錠装置31から離れる)ことを表している。
【0070】
処理部122は、上記の関係が示すモバイル装置11におけるトリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回る場合に、認証処理を開始するように構成されている。本明細書で用いられる「受信電波強度の距離変化率」という語は、受信された電波強度の単位距離あたりの変化量を意味する。
【0071】
図11と
図12を参照しつつ、上記のように構成されたモバイル装置11と制御装置12の間で行なわれる処理の流れを説明する。
図11は、制御装置12の処理部122により実行される処理の流れを例示している。
図12は、モバイル装置11の処理部112により実行される処理の流れを例示している。
【0072】
図11に例示されるように、制御装置12の処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131にトリガ信号TRを第一電波で送信させる(STEP51)。
【0073】
他方、
図12に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、所定の周期(時間間隔)で受信部111によりトリガ信号TRが受信されたかを判断する(STEP61)。トリガ信号TRが受信されたと判断されるまで、当該判断が繰り返される(STEP61においてNO)。
【0074】
受信部111によりトリガ信号TRが受信されたと判断されると(STEP61においてYES)、処理部112は、送信部113から確認信号AKを第二電波で送信する(STEP62)。
【0075】
図11に例示されるように、制御装置12の処理部122は、通信装置13の受信部132により確認信号AKが受信されたかを判断する(STEP52)。トリガ信号TRの送信から所定時間内に確認信号AKが受信されていないと判断された場合(STEP52においてNO)、処理はSTEP51に戻る。
【0076】
受信部132により確認信号AKが受信されたと判断されると(STEP52においてYES)、処理部122は、受付部121により受け付けられた受信強度情報ITおよび加速度情報ACを、時刻情報に関連付けて記憶部123に記憶する(STEP53)。
【0077】
続いて、処理部122は、ドアノブに人物の手が触れたことを示す検出信号が受付部121により受け付けられたかを判断する(STEP54)。検出信号が受け付けられていないと判断されると(STEP54においてNO)、処理はSTEP51に戻る。
【0078】
検出信号が受け付けられたと判断されると(STEP54においてYES)、処理部122は、記憶部123に記憶されている加速度情報ACの履歴に基づいて慣性航法処理を行ない、検出信号が出力されるまでのモバイル装置11の位置の経時変化を示す情報を取得する。さらに、処理部122は、当該情報をトリガ信号TRの受信電波強度の経時変化を示す情報と組み合わせることにより、トリガ信号TRの受信電波強度と施解錠装置31までの距離の関係を取得する(STEP55)。
【0079】
続いて、処理部122は、トリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回るかを判断する(STEP56)。受信電波強度の距離変化率は、STEP55において取得された関係から規定された単位距離内に生じた受信電波強度の変化量を抽出することによって算出される。
【0080】
トリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回ると判断された場合(STEP56においてYES)、処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131に要求信号RQを第一電波で送信させる(STEP57)。
【0081】
他方、
図12に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、確認信号AKの送信後に受信部111により要求信号RQが受信されたかを判断する(STEP63)。確認信号AKの送信から所定時間内に要求信号RQが受信されていないと判断された場合(STEP63においてNO)、処理はSTEP61に戻る。
【0082】
受信部111により要求信号RQが受信されたと判断された場合(STEP63においてYES)、処理部112は、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信する(STEP64)。その後、モバイル装置11における処理は終了する。
【0083】
図11に例示されるように、制御装置12の処理部122は、認証処理が成立したかを判断する(STEP58)。具体的には、要求信号RQの送信から所定時間内に通信装置13の受信部132により認証情報AUが受信され、不図示の記憶装置に記憶された認証情報AUとの一致度が閾値を上回るかが判断される。認証が成立しなかったと判断されると(STEP58においてNO)、処理はSTEP51に戻る。
【0084】
モバイル装置11の認証が成立したと判断されると(STEP58においてYES)、処理部122は、出力部124から装置制御信号DCを出力し、施解錠装置31によるドアの解錠を許可する(STEP59)。その後、制御装置12における処理は終了する。
【0085】
本例に係る構成によれば、
図10に例示されるように、トリガ信号TRの受信電波強度の変化について時間に関する情報が排除されるので、人物20が途中にとった行動に要した時間に依らず、モバイル装置11の移動に伴う受信電波強度の変化をより直接的に観測することができる。すなわち、トリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率の閾値は、想定されるモバイル装置11と通信装置13の間の電波通信の仕様に応じて、施解錠装置31の至近距離でのモバイル装置11の接近を検出できるように定められる。
【0086】
ドアノブへの手の接触が検出されるまでのモバイル装置11の位置の変化とトリガ信号TRの受信電波強度の変化の関係が適正であると判断された場合に、その手がモバイル装置11を携帯している人物20のものである蓋然性が高いと判断されて認証処理が開始されるので、モバイル装置11を携帯した人物20以外の者に対して予期せず施解錠装置31の動作が許可される事態の発生をさらに抑制できる。
【0087】
すなわち、ドアノブに手が触れたことが検出されたにも関わらず、トリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回らないと判断された場合(STEP56においてNO)、その手がモバイル装置11を携帯している人物20のものである蓋然性が低いと判断され、制御装置12における処理は終了する。
【0088】
なお、上記のようにモバイル装置11の受信部111におけるトリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率に基づいて認証処理を行なうかが判断される構成に代えて、通信装置13の受信部132における確認信号AKの受信電波強度の距離変化率に基づいて認証処理を行なうかが判断されてもよい。
【0089】
この場合、モバイル装置11の処理部112は、受信部111における加速度情報ACを、確認信号AKに含めて送信部113から送信する。制御装置12の処理部122は、受付部121を通じて確認信号AKの受信電波強度を示す受信強度情報IAと加速度情報ACを取得し、通信装置13の受信部132において確認信号AKが受信された時刻の情報と関連付けて不図示の記憶装置に記憶する。これにより、処理部122は、確認信号AKの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回るかを判断できる。
【0090】
図13は、認証システム10の構成の別例を示している。本例においては、モバイル装置11の処理部112は、受信部111におけるトリガ信号TRの受信電波強度を示す受信強度情報ITと、加速度センサ115から出力された加速度情報ACとを、時刻情報に関連付けて記憶部114に記憶するように構成されている。すなわち、受信部111によるトリガ信号TRの受信時における受信電波強度とモバイル装置11に加わった加速度が記憶される。受信部111によりトリガ信号TRが受信される度に当該処理がなされることにより、モバイル装置11によるトリガ信号TRの受信時における受信電波強度およびモバイル装置11に加わる加速度の経時変化情報が記録される。
【0091】
他方、制御装置12の処理部122は、車両30のドアノブに人物の手が触れたことを示す検出信号が受付部121により受け付けられると、通信装置13の送信部131に要求信号RQを第一電波で送信させるように構成されている。
【0092】
モバイル装置11の処理部112は、受信部111により要求信号RQが受信されると、記憶部114に記憶されている加速度情報ACの履歴に基づいて、慣性航法処理を行なうように構成されている。慣性航法処理の基準位置は、施解錠装置31の位置とされうる。これにより、検出信号が出力されるまでのモバイル装置11の位置の経時変化が取得される。
【0093】
処理部112は、モバイル装置11の位置の経時変化を示す情報とトリガ信号TRの受信電波強度の経時変化を示す情報とを組み合わせることにより、施解錠装置31までの距離とトリガ信号TRの受信電波強度の関係を取得するように構成されている。
【0094】
処理部112は、上記の関係が示すモバイル装置11におけるトリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回る場合に、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信するように構成されている。
【0095】
図14と
図15を参照しつつ、上記のように構成されたモバイル装置11と制御装置12の間で行なわれる処理の流れを説明する。
図14は、制御装置12の処理部122により実行される処理の流れを例示している。
図15は、モバイル装置11の処理部112により実行される処理の流れを例示している。
【0096】
図14に例示されるように、制御装置12の処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131にトリガ信号TRを第一電波で送信させる(STEP71)。
【0097】
他方、
図15に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、所定の周期(時間間隔)で受信部111によりトリガ信号TRが受信されたかを判断する(STEP81)。トリガ信号TRが受信されたと判断されるまで、当該判断が繰り返される(STEP81においてNO)。
【0098】
受信部111によりトリガ信号TRが受信されたと判断されると(STEP81においてYES)、処理部112は、受信強度情報ITと加速度情報ACを、時刻情報に関連付けて記憶部114に記憶する(STEP82)。
【0099】
図14に例示されるように、制御装置12の処理部122は、ドアノブに人物の手が触れたことを示す検出信号が受付部121により受け付けられたかを判断する(STEP72)。検出信号が受け付けられていないと判断されると(STEP72においてNO)、処理はSTEP71に戻る。
【0100】
検出信号が受け付けられたと判断されると(STEP72においてYES)、処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131に要求信号RQを第一電波で送信させる(STEP73)。
【0101】
図15に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、受信強度情報ITと加速度情報ACの取得後に、受信部111により要求信号RQが受信されたかを判断する(STEP83)。要求信号RQが受信されていないと判断された場合(STEP83においてNO)、処理はSTEP81に戻る。
【0102】
要求信号RQが受信されたと判断された場合(STEP83においてYES)、処理部112は、記憶部114に記憶されている加速度情報ACの履歴に基づいて慣性航法処理を行ない、検出信号が出力されるまでのモバイル装置11の位置の経時変化を示す情報を取得する。さらに、処理部112は、当該情報をトリガ信号TRの受信電波強度の経時変化を示す情報と組み合わせることにより、トリガ信号TRの受信電波強度と施解錠装置31までの距離の関係を取得する(STEP84)。
【0103】
続いて、処理部112は、トリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回るかを判断する(STEP85)。受信電波強度の距離変化率が閾値を上回らないと判断された場合(STEP85においてNO)、モバイル装置11における処理は終了する。
【0104】
トリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回ると判断された場合(STEP85においてYES)、処理部112は、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信する(STEP86)。その後、モバイル装置11における処理は終了する。
【0105】
図14に例示されるように、制御装置12の処理部122は、認証処理が成立したかを判断する(STEP74)。具体的には、要求信号RQの送信から所定時間内に通信装置13の受信部132により認証情報AUが受信され、不図示の記憶装置に記憶された認証情報AUとの一致度が閾値を上回るかが判断される。認証が成立しなかったと判断されると(STEP74においてNO)、処理はSTEP71に戻る。
【0106】
モバイル装置11の認証が成立したと判断されると(STEP74においてYES)、処理部122は、出力部124から装置制御信号DCを出力し、施解錠装置31によるドアの解錠を許可する(STEP75)。その後、制御装置12における処理は終了する。
【0107】
本例に係る上記のような構成によっても、
図9から
図12を参照して説明した通りの効果が得られる。
【0108】
図16と
図17は、
図13に例示されるモバイル装置11と制御装置12により行なわれうる処理の別例を示している。
図16は、制御装置12の処理部122により実行される処理の流れを例示している。
図17は、モバイル装置11の処理部112により実行される処理の流れを例示している。
【0109】
本例においては、モバイル装置11におけるトリガ信号TRの受信電波強度の経時変化とモバイル装置11に加わる加速度の経時変化は、モバイル装置11により取得されるが、これらの情報に基づくトリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率に係る判断は、制御装置12により行なわれる。
【0110】
図16に例示されるように、制御装置12の処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131にトリガ信号TRを第一電波で送信させる(STEP91)。
【0111】
他方、
図17に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、所定の周期(時間間隔)で受信部111によりトリガ信号TRが受信されたかを判断する(STEP101)。トリガ信号TRが受信されたと判断されるまで、当該判断が繰り返される(STEP101においてNO)。
【0112】
受信部111によりトリガ信号TRが受信されたと判断されると(STEP101においてYES)、処理部112は、受信強度情報ITと加速度情報ACを、時刻情報に関連付けて記憶部114に記憶する(STEP102)。
【0113】
図16に例示されるように、制御装置12の処理部122は、ドアノブに人物の手が触れたことを示す検出信号が受付部121により受け付けられたかを判断する(STEP92)。検出信号が受け付けられていないと判断されると(STEP92においてNO)、処理はSTEP91に戻る。
【0114】
検出信号が受け付けられたと判断されると(STEP92においてYES)、処理部122は、出力部124から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131に要求信号RQを第一電波で送信させる(STEP93)。
【0115】
図17に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、受信強度情報ITと加速度情報ACの取得後に、受信部111により要求信号RQが受信されたかを判断する(STEP103)。要求信号RQが受信されていないと判断された場合(STEP103においてNO)、処理はSTEP101に戻る。
【0116】
要求信号RQが受信されたと判断された場合(STEP103においてYES)、処理部112は、記憶部114に記憶されている受信強度情報ITおよび加速度情報ACの履歴、ならびに認証情報AUを含む処理情報を、送信部113から第二電波で送信する(STEP104)。その後、モバイル装置11における処理は終了する。
【0117】
図16に例示されるように、制御装置12の処理部122は、通信装置13の受信部132により受信された処理情報から、受付部121を通じて受信強度情報ITと加速度情報ACの履歴を取得する。処理部122は、加速度情報ACの履歴に基づいて慣性航法処理を行ない、検出信号が出力されるまでのモバイル装置11の位置の経時変化を示す情報を取得する。さらに、処理部112は、当該情報をトリガ信号TRの受信電波強度の経時変化を示す情報と組み合わせることにより、トリガ信号TRの受信電波強度と施解錠装置31までの距離の関係を取得する(STEP94)。
【0118】
続いて、処理部112は、トリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回るかを判断する(STEP95)。受信電波強度の距離変化率が閾値を上回らないと判断された場合(STEP95においてNO)、制御装置12における処理は終了する。
【0119】
トリガ信号TRの受信電波強度の距離変化率が閾値を上回ると判断された場合(STEP95においてYES)、処理部122は、認証処理が成立したかを判断する(STEP96)。具体的には、処理部122は、通信装置13の受信部132により受信された処理情報から、受付部121を通じて認証情報AUを取得し、不図示の記憶装置に記憶された認証情報AUとの一致度が閾値を上回るかが判断される。認証が成立しなかったと判断されると(STEP96においてNO)、処理はSTEP91に戻る。
【0120】
モバイル装置11の認証が成立したと判断されると(STEP96においてYES)、処理部122は、出力部124から装置制御信号DCを出力し、施解錠装置31によるドアの解錠を許可する(STEP97)。その後、制御装置12における処理は終了する。
【0121】
本例に係る上記のような構成によっても、
図9から
図12を参照して説明した通りの効果が得られる。
【0122】
これまで説明した様々な機能を有するモバイル装置11の処理部112は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、不図示の無線通信ネットワークを介して不図示の外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、当該外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0123】
処理部112は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。各プロセッサは、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0124】
これまで説明した様々な機能を有する制御装置12の処理部122は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、不図示の無線通信ネットワークを介して不図示の外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、当該外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0125】
処理部122は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。各プロセッサは、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0126】
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0127】
図9から
図17を参照して説明した構成においては、加速度センサ115を用いてモバイル装置11の移動が検出されている。しかしながら、モバイル装置11がGPS機能を備えている場合、当該機能を用いて基準位置からの移動が検出されてもよい。この場合、基準位置は、施錠処理が完了した時点におけるモバイル装置11の位置として定められてもよいし、車両30における任意の位置として定められてもよい。いずれの位置も被制御装置について定められて位置の一例となりうる。
【0128】
上記の実施形態においては、モバイル装置11または通信装置13において受信された電波強度の変化率が閾値を上回るかに基づいて認証処理が行なわれるかが判断されている。しかしながら、電波強度の変化量が閾値を上回るかに基づいて認証処理が行なわれるかが判断されてもよい。
【0129】
上記の実施形態においては、制御装置12は、車両30に搭載されている。このような構成によれば、モバイル装置11との短距離無線通信において生じうる通信遅延を抑制しやすい。しかしながら、制御装置12の処理部122により行なわれる処理の少なくとも一部は、無線通信ネットワーク40を介してモバイル装置11と通信可能な外部サーバ装置50において行なわれうる。例えば、モバイル装置11の認証処理は、外部サーバ装置50により行なわれうる。この場合、認証の成否を示す情報が、外部サーバ装置50またはモバイル装置11から制御装置12へ通知される。
【0130】
認証処理の結果として制御装置12により制御される被制御装置は、施解錠装置31に限られない。他の被制御装置の例としては、車両30に搭載されたイグニッション電源、空調装置、音響映像機器、照明装置、シートやステアリングホイールの位置調節機構などが挙げられる。
【0131】
認証システム10は、車両30以外の移動体にも適用されうる。他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0132】
施解錠装置31により施解錠される開閉体は、移動体のドアに限られない。住宅や施設における扉や窓もまた開閉体の一例になりうる。すなわち、通信装置13は、移動体に搭載されることを要しない。
【符号の説明】
【0133】
10:認証システム、11:モバイル装置、112:処理部、113:送信部、115:加速度センサ、12:制御装置、121:受付部、122:処理部、13:通信装置、20:人物、30:車両、31:施解錠装置、32:ドア、AU:認証情報