(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】オピオイドアンタゴニストを送達するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/485 20060101AFI20240904BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240904BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240904BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
A61K31/485
A61K47/02
A61K9/08
A61P25/36
(21)【出願番号】P 2021521485
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 US2019059852
(87)【国際公開番号】W WO2020097068
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505016643
【氏名又は名称】パーデュー、ファーマ、リミテッド、パートナーシップ
【氏名又は名称原語表記】PURDUE PHARMA L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ヒュアン,ハイヨング ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】シェト,マンジュナス,エス.
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/093666(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0180916(US,A1)
【文献】特表2010-513569(JP,A)
【文献】国際公開第2010/138918(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/183559(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103705448(CN,A)
【文献】中国特許第104922061(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 45/00-45/08
A61K 47/00-47/69
A61P 25/00
A61P 39/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、0.5%(w/v)~1%(w/v)の濃度で塩化マグネシウムを含む非経口的に許容可能な補助剤と、を含む非経口製剤であって、前記製剤が、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされている対象への注射を介する投与から5分未満の時間でオピオイドアンタゴニスト作用を発現させる、前記非経口製剤。
【請求項2】
治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、0.5%(w/v)~1%(w/v)の濃度で塩化マグネシウムを含む非経口的に許容可能な補助剤と、を含む非経口製剤であって、前記製剤が、健康な対象の集団への筋肉内投与から2.0時間以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる、前記非経口製剤。
【請求項3】
治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、0.5%(w/v)~1%(w/v)の濃度で塩化マグネシウムを含む非経口的に許容可能な補助剤と、を含む非経口製剤であって、前記製剤が、健康な対象の集団への注射から1.0時間以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる、前記非経口製剤。
【請求項4】
前記製剤が、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされている対象への注射から4分以内、3分以内、2分以内、または1分以内の時間でオピオイドアンタゴニスト作用を臨床的に明らかに発現させる、請求項1に記載の非経口製剤。
【請求項5】
前記製剤が、健康な対象の集団への筋肉内注射から1.5時間以内、1時間以内、0.5時間以内、20分以内、15分以内、または10分以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる、請求項2に記載の非経口製剤。
【請求項6】
前記製剤が、健康な対象の集団への注射から0.5時間以内、20分以内、15分以内、または10分以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる、請求項3に記載の非経口製剤。
【請求項7】
前記製剤が、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされている対象への筋肉内注射から5分以内、4分以内、3分以内、2分以内、または1分以内の時間でオピオイドアンタゴニスト作用を臨床的に明らかに発現させる、請求項2に記載の非経口製剤。
【請求項8】
前記製剤が、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされている対象への注射から5分以内、4分以内、3分以内、2分以内、または1分以内の時間でオピオイドアンタゴニスト作用を臨床的に明らかに発現させる、請求項3に記載の非経口製剤。
【請求項9】
ナルメフェン塩酸塩を含む、請求項1~8のいずれかに記載の非経口製剤。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれかに記載の非経口製剤を含む注射機器を含む薬物送達系。
【請求項11】
前記注射機器に前記非経口製剤が事前に充填される、請求項
10に記載の薬物送達系。
【請求項12】
前記非経口製剤が、事前充填式注射器、バイアル、ペン型注射器、または自己注射器の中に含められる、請求項
10に記載の薬物送達系。
【請求項13】
治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、0.5%(w/v)~1%(w/v)の濃度で塩化マグネシウムを含む非経口的に許容可能な補助剤と、を含むキットであって、前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩と、前記補助剤とが、別々の容器中に存在する、前記キット。
【請求項14】
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩が、溶液形態のものであり、前記補助剤が、溶液形態のものである、請求項
13に記載のキット。
【請求項15】
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩が、溶液形態のものであり、前記補助剤が、粉末形態のものである、請求項
13に記載のキット。
【請求項16】
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩が、粉末形態のものであり、前記補助剤が、溶液形態のものである、請求項
13に記載のキット。
【請求項17】
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩が、粉末形態のものであり、前記補助剤が、粉末形態のものである、請求項
13に記載のキット。
【請求項18】
前記ナルメフェンまたは前記その治療的に許容可能な塩のものとも、前記補助剤のものとも別の容器中に存在する医薬的に許容可能な溶媒をさらに含む、請求項
17に記載のキット。
【請求項19】
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩の前記粉末と、前記補助剤粉末とが、別々の容器中に保存される、請求項
17または
18に記載のキット。
【請求項20】
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩の前記粉末と、前記補助剤粉末とが、1つの容器中で一緒に混合される、請求項
17または
18に記載のキット。
【請求項21】
注射器及び針をさらに含む、請求項
13~
18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項22】
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩と、前記補助剤とが、別々の容器中に保存される、請求項
13~
16及び
21のいずれか1項に記載のキット。
【請求項23】
容器が、バイアル、注射筒、または自己注射器の区画である、請求項
19、
20及び
22のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ある特定の実施形態では、本発明は、オピオイド過剰摂取から対象を救命するための医薬組成物、過剰摂取からの救命を施す方法、オピオイド曝露が生じ得る環境に入る前にオピオイド過剰摂取に対する保護として対象への事前投与を行うこと、アルコール依存を治療するための方法、便秘を治療するための方法、及びその薬物送達系の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製品は、乱用されることがある。例えば、特定の用量のオピオイド鎮痛剤は、非経口的に投与されると、同じ用量が経口的に投与された場合と比較して作用強度が増し得る。医薬製品を乱用すると、命に関わり得る過剰摂取に繋がり得る。同様に、強力なオピオイドは、エアロゾル化または他の分散手段を介してヒトを致死用量に曝露してヒトを死に至らしめるために意図的または非意図的に毒性化学物質として使用され得る。
【0003】
オピオイド過剰摂取の症状には、限定されないが、意識喪失、外からの刺激に対する無反応性、覚醒してはいるが、会話不能であること、呼吸抑制または呼吸停止、嘔吐、体の脱力、皮膚の青白さまたはべたつき、指の爪及び唇の青み、心拍の鈍化、心拍の不規則化、心拍の消失、ならびに最終的な死が含まれる。
【0004】
オピオイド過剰摂取作用を相殺するには、救急隊員または他の者による解毒剤の投与(オピオイドアンタゴニストの筋肉内注射など)が行われ得る。投与された解毒剤が血流に吸収される必要があることを考慮すると、解毒剤が投与されてから、オピオイドの作用を効果的に相殺する上で十分な治療レベルに解毒剤が到達するまでには、不可避的にタイムラグが生じることになる。不幸なことに、このタイムラグは、解毒剤治療が十分に効果を果たす時間が、過剰摂取に起因する病的状態及び死の運命を阻止する上で十分なものにならないという結果を招き得る。
【0005】
当該技術分野では、オピオイド過剰摂取から対象を救命するための医薬組成物、及び作用を迅速に発現させる、オピオイド過剰摂取からの対象の救命方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的及び概要
本発明のある特定の実施形態の目的は、オピオイド過剰摂取から対象を救命するための医薬組成物、またはオピオイド過剰摂取に対象がさらされることを阻止する(もしくはそのリスクを低減する)ための医薬組成物(例えば、非経口製剤)を提供することである。
【0007】
本発明のある特定の実施形態の目的は、オピオイド過剰摂取から対象を救命するための非経口製剤、またはオピオイド過剰摂取に対象がさらされることを阻止する(もしくはそのリスクを低減する)ための非経口製剤を提供することである。
【0008】
本発明のある特定の実施形態の目的は、オピオイド過剰摂取から対象を救命するための方法、またはオピオイド過剰摂取に対象がさらされることを阻止する(もしくはそのリスクを低減する)ための方法を提供することである。
【0009】
本発明のある特定の実施形態の目的は、毒性量のオピオイドアゴニスト(例えば、フェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、またはその塩もしくは誘導体)に曝露されるリスクを有する対象(例えば、第1対応者または法執行機関の一員)に対して本明細書に開示の医薬組成物を予防的に投与する方法を提供することである。
【0010】
本発明のある特定の実施形態の目的は、オピオイド過剰摂取から対象を救命するための薬物送達系、またはオピオイド過剰摂取に対象(例えば、第1対応者もしくは法執行機関の一員)がさらされることを阻止する(もしくはそのリスクを低減する)ための薬物送達系を提供することである。
【0011】
本発明のある特定の実施形態の目的は、アルコール依存、便秘、及びオピオイドアンタゴニストを用いて治療され得る他の状態を治療するための医薬組成物、薬物送達機器、及び方法を提供することでもある。
【0012】
上記の目的及び他の目的は、本発明によって達成できるものであり、本発明は、ある特定の実施形態では、オピオイド過剰摂取からの救命を対象に施すための医薬組成物、または対象におけるオピオイド過剰摂取を阻止するための医薬組成物を対象とする。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、治療的に有効な量のオピオイドアンタゴニストと、筋肉内注射後または皮下注射後のオピオイドアンタゴニストの体内吸収速度を促進、増進、または迅速化する非経口的に許容可能な吸収増進量の補助剤と、を含む。補助剤は、そのような使用について、現在知られている適切な吸収増進剤、または(製剤分野及び医療分野の)当業者が容易に理解すると想定されるものから選択され得る。ある特定の非限定的な実施形態では、補助剤は、一酸化窒素誘導剤、ナイアシン、ナイアシン誘導体、ナイアシン代謝物、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、硝酸薬、またはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0014】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、吸収増進有効量の医薬的に許容可能な補助剤(例えば、非経口的に許容可能な補助剤)と、を含み、組成物は、オピオイドアゴニストの過剰摂取にさらされているか、またはそのリスクを有する対象への筋肉内注射または皮下注射から5分以内の時間でナルメフェンの作用を発現させる。
【0015】
ある特定の実施形態では、組成物は、健康な対象の集団への筋肉内注射から約2.0時間以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させるか、または健康な対象の集団への皮下注射から約1.0時間以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる。
【0016】
ある特定の実施形態では、本発明は、オピオイド(例えば、オピオイドアゴニスト)の過剰摂取にさらされている対象またはそのリスクを有する対象に対する、オピオイド過剰摂取からの救命方法またはオピオイド過剰摂取の阻止方法を対象とし、この方法は、本明細書に開示の医薬組成物を対象に筋肉内投与または皮下投与することを含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示の医薬組成物を含む機器を含む薬物送達系を対象とする。一実施形態では、そのような機器は、注射を介する医薬組成物の送達に適したものである。ある特定の実施形態では、組成物は、事前充填式注射器、バイアル、ペン型注射器、または自己注射器の中に含められる。
【0018】
本発明の上記の特徴及び他の特徴、その性質、ならびにさまざまな利点は、添付の図面と併せて後述の詳細な説明を考慮することで、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】筋肉内投与後の3匹のイヌ対象における異なる用量(0.1mg、0.25mg、及び1mg)のナルメフェンの単独での平均血漿中濃度プロファイルを比較したものを示す。
【
図2】選択した補助剤を含むさまざまなナルメフェン製剤(各0.25mg用量)を筋肉内投与した後の3匹のイヌ対象におけるナルメフェンの平均血漿中濃度プロファイルを示す。
【
図3】選択した補助剤を含めて製剤化するか、または選択した補助剤を含めずに製剤化したさまざまなナルメフェン製剤(各0.25mg用量)を筋肉内投与した後の3匹のイヌ対象におけるナルメフェンのT
max値を示す。
【
図4】3つの製剤を筋肉内投与した後の3匹のイヌ対象におけるナルメフェンのC
maxを示す。これら3つの製剤は、MgCl
2含量がそれぞれ5%(w/v)、10%(w/v)、及び20%(w/v)となるように含めてナルメフェン(各0.25mg用量)を製剤化したものである。
【
図5】非経口ナルメフェン製剤で筋肉内処理したヒト対象における平均濃度を時間の関数として示す。これらの非経口ナルメフェン製剤は、それぞれさまざまな濃度のMgCl
2を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本明細書で使用される「a」、「an」、及び「the」という単数形は、別に文脈上明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「オピオイドアンタゴニスト」に対する言及は、単一のオピオイドアンタゴニストならびに2つ以上の異なるオピオイドアンタゴニストの混合物を含み、「医薬品添加物」に対する言及は、単一の医薬品添加物ならびに2つ以上の異なる医薬品添加物の混合物を含み、他のものに対する言及も同様である。
【0021】
本明細書で使用される、測定量または測定時間と関連する「約」という用語は、測定を実施し、測定の目的に見合うレベルの注意を払った際に当業者が予想する通常の変動がそうした測定量または測定時間に存在することを指す。ある特定の実施形態では、「約」という用語は、記載の数±10%を含み、その結果、「約10」なら、9~11を含むことになり、「約1時間」なら、54分~66分を含むことになる。
【0022】
本明細書で使用される「活性剤」という用語は、治療効果、予防効果、または他の意図する効果を得ることを意図する任意の材料を指し、そうした目的に対する政府機関の承認の有無は無関係である。特定の薬剤に関するこの用語は、医薬的に活性な薬剤と、その医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び結晶形態のすべてと、を含み、こうした塩、溶媒和物、及び結晶形態は、医薬的に活性である。
【0023】
本明細書で使用される「治療的に有効な」及び「有効量」という用語は、所望の治療結果を得る上で必要な活性剤の量またはその投与速度を指す。
【0024】
「対象」という用語は、救命治療が必要なことを示唆するオピオイド過剰摂取の臨床徴候を示しているヒトもしくは動物を指すか、または毒性量のオピオイドに曝露されるリスクを有するヒトもしくは動物を指す。例えば、第1医療関係対応者または法執行機関との関連では、対象は、オピオイドアンタゴニストを用いて予防的に治療される。「対象」という用語は、痛みを治療または阻止するためにオピオイドを用いて医療提供者によって適切に治療されている患者である人または動物(例えば、イヌ)を含み得る。「対象」という用語は、誤用、乱用、または不慮の曝露を介してオピオイドを不適切に使用している人または動物も含み得る。「対象」という用語は、毒性量のオピオイド(複数可)が見つかる可能性のある現場に入る準備を整えている第1対応者(オピオイド過剰摂取の症例に対応するEMTなど)、または法執行機関の一員、または薬物探知犬も含み得る。「対象」という用語は、過剰なオピオイド曝露と関連する1つ以上の挙動(意識不明、無反応性、呼吸抑制、またはオピオイド誘導性の昏迷もしくは中枢神経系抑制を示唆する他の挙動など)にさらされる臨床的な訓練を受けていない第三者であると思われる任意の人も含み得る。
【0025】
「の治療」及び「治療すること」という用語は、状態の重症度を下げることを意図する活性剤(複数可)を投与することを含む。
【0026】
「の阻止」及び「阻止すること」という用語は、活性剤を予防的に投与することによって状態の発症を回避することを含む。
【0027】
「状態(condition)」または「状態(conditions)」という用語は、オピオイド過剰摂取の結果として一般に認知されている医学的状態を指し得、こうした医学的状態は、無反応性、呼吸抑制、嘔吐、体の脱力、皮膚の青白さまたはべたつき、指の爪または唇の青み、心拍の鈍化、心拍の不規則化、もしくは心拍の消失、またはそれらの組み合わせなどであり、有効量のオピオイドアンタゴニストを対象に適時投与することによって治療、軽減、または阻止され得る。ある特定の実施形態では、「状態(condition)」または「状態(conditions)」という用語は、アルコール依存または便秘を指し得る。
【0028】
「躁病的行為」という用語は、下記の症状のうちの1つ以上によって現れ得る身体的徴候及び精神的徴候によって特徴付けられ得る医学的状態を指す:易刺激性、不安、攻撃性、自己または他者に対する暴力、過敏性、過覚醒、衝動性、過剰な説明を行いたくなる強迫衝動、エネルギーレベルの突然の上昇、睡眠欲求の減少、多動性、失見当識、思考散乱、危険な行為の増加、不注意性、妄想、自尊心の膨張、誇大的態度、転導性など。
【0029】
「闘争的行為」という用語は、対象、及び/または対象の周囲の人、及び/または医学的治療(オピオイドアンタゴニストの投与など)を施す人に対して身体的または精神的な害を及ぼし得る暴力的症状、易刺激的症状、及び/または攻撃的症状を対象が明確に示すことを指す。
【0030】
「補助剤」という用語は、活性剤の吸収を増進させるために医薬組成物に組み込まれる薬剤を指し、この吸収増進は、例えば、Cmaxを上昇させるか、Tmaxを短縮するか、もしくは生物学的利用率を向上させるか、またはそれらの組み合わせによって行われる。補助剤は、すべての他の点において不活性であり得るか、または活性剤の吸収増進の他にも、意図的もしくは非意図的な薬理学的効果をもたらし得る。
【0031】
「毒性量のオピオイドアゴニスト」は、重篤な有害事象(呼吸不全、無反応性、及び呼吸抑制など)を生じさせ可能性が最も高いと想定されるオピオイドアゴニストの量として当業者(例えば、臨床医、第1対応者、及び同様の者)によって理解され得るものである。そのような毒性量は、オピオイドアゴニストによっても、個々の対象によっても異なり得る。
【0032】
「T1/2」という用語は、活性剤の血漿中濃度が半分に減少する時間を指す。
【0033】
本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書に別段の指定がない限り、単に、そうした範囲の中に入る各個別値に個別に言及することを省く術とすることを意図するものにすぎず、各個別値は、それが本明細書に個別に記載される場合と同様に、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の方法はすべて、本明細書に別段の指定がない限り、またはその他の状況で文脈上明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供されるいずれかの例及びすべての例または例示の文言(例えば、「など」)の使用は、単に、ある特定の材料及び方法の例示を意図するものにすぎず、範囲の限定を意図するものでない。本明細書中のいかなる文言も、開示の材料及び方法を使用する上でいずれかの非請求要素が必要不可欠であることを示すものと解釈すべきではない。
【0034】
詳細な説明
剤形及び医薬組成物
さまざまな実施形態によれば、本発明は、オピオイド過剰摂取からの救命またはオピオイド過剰摂取の阻止を目的とする医薬組成物に関する。ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のオピオイドアンタゴニストと、筋肉内注射後または皮下注射後のオピオイドアンタゴニストの吸収速度を促進する医薬的に許容可能な補助剤(例えば、非経口的に許容可能な補助剤)と、を含む医薬組成物を対象とする。補助剤は、一酸化窒素誘導剤、ナイアシン、ナイアシン誘導体、ナイアシン代謝物、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、硝酸薬、またはそれらの組み合わせを含み得る。そのような医薬組成物は、補助剤を含まない同じ医薬組成物と比較してオピオイドアンタゴニストの作用の発現を迅速化し得る。
【0035】
オピオイドアンタゴニストは、オピオイド過剰摂取を効果的に相殺または阻止するような使用について、現在知られている任意のオピオイドアンタゴニスト、または(製剤分野及び医療分野の)当業者が容易に理解すると想定されるものであり得る。ある特定の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含む。ある特定の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナルメフェンである。
【0036】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤は、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされているか、または潜在的なオピオイドアゴニスト曝露に対する前処置を受ける対象への筋肉内注射または皮下注射から5分未満の時間で作用(すなわち、オピオイドアンタゴニストの投与と関連して最初に検出可能な治療効果であり、例えば、オピオイド過剰摂取と関連する症状のいずれかの検出可能な軽減または低減である)を発現させる。
【0037】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされているか、または潜在的なオピオイドアゴニスト曝露に対する前処置(すなわち、予防的治療)を必要とする対象への筋肉内注射または皮下注射から約4分以内、約3分以内、約2分以内、または約1分以内の時間で作用(すなわち、オピオイド過剰摂取の症状の少なくとも1つを相殺するもの)を発現させる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされているか、または潜在的なオピオイドアゴニスト曝露に対する前処置(すなわち、予防的治療)を必要とする対象への筋肉内注射または皮下注射から約5秒超、約10秒超、約15秒超、約30秒超、約45秒超、または約1分超から約5分未満、約4分以内、約3分以内、または約2分以内までの時間で作用(すなわち、例えば、臨床徴候(オピオイド過剰摂取の症状の少なくとも1つ)を相殺するもの)を発現させる。
【0038】
他の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤は、対象(例えば、その他の点では健康な対象)の集団への筋肉内注射から約2.0時間以内の平均時間、または対象(例えば、その他の点では健康な対象)の集団への皮下注射から約1時間以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる。
【0039】
他の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤は、対象(例えば、その他の点では健康な対象)の集団への筋肉内注射から約2時間以内、約1.5時間以内、約1時間以内、約0.5時間以内、約20分以内、約15分以内、または約10分以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる。他の実施形態では、製剤は、対象(例えば、その他の点では健康な対象)の集団への筋肉内注射から、約0.1時間以上、約0.2時間以上、約0.3時間以上、または約0.4時間以上から約2.0時間以内、約1.5時間以内、約1時間以内、または約0.5時間以内のいずれかまでの平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる。
【0040】
他の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤は、対象(例えば、その他の点では健康な対象)への筋肉内注射または皮下注射から約2時間以内、約1.5時間以内、約1時間以内、約0.5時間以内、約20分以内、約15分以内、または約10分以内の個々の時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる。他の実施形態では、製剤は、対象(例えば、その他の点では健康な対象)への筋肉内注射または皮下注射から、約0.1時間以上、約0.2時間以上、約0.3時間以上、または約0.4時間以上から約2.0時間以内、約1.5時間以内、約1時間以内、または約0.5時間以内のいずれかまでの個々の時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる。
【0041】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、その他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後に得られる平均T1/2は、約5時間~約20時間、約7時間~約15時間、約8時間~約12時間、または約9時間~約10時間である。
【0042】
他の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤は、対象(例えば、その他の点では健康な対象)の集団への皮下注射から約1時間以内、約0.5時間以内、約20分以内、約15分以内、または約10分以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる。他の実施形態では、製剤は、対象(例えば、その他の点では健康な対象)の集団への皮下注射から、約0.1時間以上、約0.2時間以上、約0.3時間以上、または約0.4時間以上から約1.0時間または約0.5時間以内までの平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる。
【0043】
ある特定の実施形態では、組成物は、対象(例えば、その他の点では健康な対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射から約3.0時間以内、約2.5時間以内、約2.0時間以内、約1時間以内、約0.5時間以内、約15分以内、約12分以内、約10分以内、または約8分以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させると共に、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされているか、または潜在的なオピオイドアゴニスト曝露が理由で前処置を必要とする対象への筋肉内注射または皮下注射から5分未満、約4分以内、約3分以内、約2分以内、または約1分以内に治療作用も発現させる。
【0044】
他の実施形態では、組成物は、対象(例えば、健康な対象もしくはその他の点では健康な対象)の集団への筋肉内注射から約2.0時間以内の平均時間、または対象(例えば、健康な対象もしくはその他の点では健康な対象)の集団への皮下注射から約1.0時間以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させると共に、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされているか、または潜在的なオピオイドアゴニスト曝露が理由で前処置を必要とする対象への筋肉内注射または皮下注射から約15分以内、約12分以内、約10分以内、約8分以内、約5分以内、4分以内、約3分以内、約2分以内、または約1分以内に治療作用も発現させる。
【0045】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後にナルメフェンが最大血漿中濃度に到達する平均時間(Tmax)は、補助剤を含まない比較製剤でナルメフェンが最大血漿中濃度に到達する平均時間と比較して短い。例えば、本発明の平均Tmaxは、補助剤を含まない比較製剤のものと比較して約1.1倍短いか、約1.2倍短いか、約1.3倍短いか、約1.4倍短いか、約1.5倍短いか、約1.6倍短いか、約1.7倍短いか、約1.8倍短いか、約1.9倍短いか、または約2倍短くあり得る。
【0046】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後に得られる平均T1/2は、補助剤を含まない比較製剤のナルメフェンの血漿中濃度が半分に減少する平均時間と比較して長い。例えば、本発明のT1/2は、補助剤を含まない比較製剤のものと比較して約1.1倍長いか、約1.2倍長いか、約1.3倍長いか、約1.4倍長いか、約1.5倍長いか、約1.6倍長いか、約1.7倍長いか、約1.8倍長いか、約1.9倍長いか、または約2倍長くあり得る。
【0047】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後に得られるナルメフェンの平均最大血漿中濃度(Cmax)は、1ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、約7ng/mL~約18ng/mL、約9ng/mL~約16ng/mL、約2ng/mL~約25ng/mL、約4ng/mL~約21ng/mL、約10ng/mL~約21ng/mL、約5~約18ng/mL、約4ng/mL~約10ng/mL、または約12.5ng/mL~約21ng/mLである。
【0048】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後に得られるナルメフェンの平均最大血漿中濃度(Cmax)は、補助剤を含まない比較製剤で得られるナルメフェンの平均最大血漿中濃度と比較して高い。例えば、Cmaxは、補助剤を含まない比較製剤のものと比較して約1.1倍高いか、約1.2倍高いか、約1.3倍高いか、約1.4倍高いか、約1.5倍高いか、約1.6倍高いか、約1.7倍高いか、約1.8倍高いか、約1.9倍高いか、または約2倍高くあり得る。
【0049】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射した後に得られるナルメフェンの個々の最大血漿中濃度(Cmax)は、約1ng/mL~約50ng/mL、約2ng/mL~約25ng/mL、約4ng/mL~約21ng/mL、約10ng/mL~約21ng/mL、約5~約18ng/mL、約4ng/mL~約10ng/mL、または約12.5ng/mL~約21ng/mLである。
【0050】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後に得られる投与後5分間(0.083時間)のナルメフェンの平均血漿中濃度(AUC0-5)は、約0.20ng/mL・時間~約0.50ng/mL・時間、約0.30ng/mL・時間~約0.40ng/mL・時間、約0.32ng/mL・時間~約0.35ng/mL・時間、約0.03ng/mL・時間~約1.2ng/mL・時間、約0.07ng/mL・時間~約1.1ng/mL・時間、約0.12ng/mL・時間~約1ng/mL・時間、約0.5ng/mL・時間~約1ng/mL・時間、約0.03ng/mL・時間超、約0.07ng/mL・時間超、約0.12ng/mL・時間超、または約0.5ng/mL・時間超である。
【0051】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後に得られる投与後10分間(0.167時間)のナルメフェンの平均血漿中濃度(AUC0-10)は、約1.00ng/mL・時間~約2.00ng/mL・時間、約1.20ng/mL・時間~約1.80ng/mL・時間、約1.40ng/mL・時間~約1.60ng/mL・時間、約0.2ng/mL・時間~約3ng/mL・時間、約0.3ng/mL・時間~約2.8ng/mL・時間、約0.7ng/mL・時間~約2.5ng/mL・時間、約1.3ng/mL・時間~約2.5ng/mL・時間、約0.2ng/mL・時間超、約0.3ng/mL・時間超、約0.7ng/mL・時間超、または約1.3ng/mL・時間超である。
【0052】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後に得られる投与後15分間(0.25時間)のナルメフェンの平均血漿中濃度(AUC0-15)は、約1.6ng/mL・時間~約3.5ng/mL・時間、約2.0ng/mL・時間~約3.0ng/mL・時間、約2.4ng/mL・時間~約2.8ng/mL・時間、約0.5ng/mL・時間~約4.2ng/mL・時間、約0.8ng/mL・時間~約4ng/mL・時間、約1.5ng/mL・時間~約3.8ng/mL・時間、約0.5ng/mL・時間超、約0.8ng/mL・時間超、または約1.5ng/mL・時間超である。
【0053】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)の集団に筋肉内注射または皮下注射した後に得られる投与後20分間(0.333時間)のナルメフェンの平均血漿中濃度(AUC0-20)は、約2.1ng/mL・時間~約5.0ng/mL・時間、約2.8ng/mL・時間~約4.0ng/mL・時間、もしくは約3.3ng/mL・時間~約3.7ng/mL・時間、約0.5ng/mL・時間~約5.8ng/mL・時間、約1.2ng/mL・時間~約5.3ng/mL・時間、約2ng/mL・時間~約5ng/mL・時間、約0.5ng/mL・時間超、約1.2ng/mL・時間超、または約2ng/mL・時間超である。
【0054】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射した後に得られる投与後5分間(0.083時間)のナルメフェンの個々の血漿中濃度は、約0.03ng/mL・時間~約1.2ng/mL・時間、約0.07ng/mL・時間~約1.1ng/mL・時間、約0.12ng/mL・時間~約1ng/mL・時間、または約0.5ng/mL・時間~約1ng/mL・時間である。ある特定の実施形態では、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射して得られる投与後約5分間(0.083時間)のナルメフェンの個々の血漿中濃度は、約0.03ng/mL・時間超、約0.07ng/mL・時間超、約0.12ng/mL・時間超、または約0.5ng/mL・時間超である。
【0055】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射して得られる投与後約10分間(0.167時間)のナルメフェンの個々の血漿中濃度は、約0.2ng/mL・時間~約3ng/mL・時間、約0.3ng/mL・時間~約2.8ng/mL・時間、約0.7ng/mL・時間~約2.5ng/mL・時間、または約1.3ng/mL・時間~約2.5ng/mL・時間である。ある特定の実施形態では、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射して得られる投与後約10分間(0.167時間)のナルメフェンの個々の血漿中濃度は、約0.2ng/mL・時間超、約0.3ng/mL・時間超、約0.7ng/mL・時間超、または約1.3ng/mL・時間超である。
【0056】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射して得られる投与後15分間(0.25時間)のナルメフェンの個々の血漿中濃度は、約0.5ng/mL・時間~約4.2ng/mL・時間、約0.8ng/mL・時間~約4ng/mL・時間、または約1.5ng/mL・時間~約3.8ng/mL・時間である。ある特定の実施形態では、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射して得られる投与後15分間(0.25時間)のナルメフェンの個々の血漿中濃度は、約0.5ng/mL・時間超、約0.8ng/mL・時間超、または約1.5ng/mL・時間超である。
【0057】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な補助剤と、を含む医薬組成物を対象とし、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射して得られる投与後20分間(0.333時間)のナルメフェンの個々の血漿中濃度は、約0.5ng/mL・時間~約5.8ng/mL・時間、約1.2ng/mL・時間~約5.3ng/mL・時間、または約2ng/mL・時間~約5ng/mL・時間である。ある特定の実施形態では、製剤を対象(例えば、健康な対象またはその他の点では健康な対象)に筋肉内注射または皮下注射して得られる投与後20分間(0.333時間)のナルメフェンの個々の血漿中濃度は、約0.5ng/mL・時間超、約1.2ng/mL・時間超、または約2ng/mL・時間超である。
【0058】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の薬物動態値は、本明細書に開示の医薬組成物のいずれかが三角筋に筋肉内投与された対象または対象集団から得られる。他の実施形態では、本明細書に記載の薬物動態値は、本明細書に開示の医薬組成物のいずれかが大腿部に筋肉内投与された対象または対象集団から得られる。
【0059】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の薬物動態値は、本明細書に開示の医薬組成物のいずれかを非経口投与した後の個々の対象(健康な対象もしくはその治療が必要な対象)または複数の対象(健康な対象もしくはその治療が必要な対象)から得られ得る。
【0060】
補助剤の役割は、筋肉内注射後または皮下注射後のオピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩)の体内吸収速度を促進または迅速化することである。ある特定の実施形態では、補助剤は、血管拡張剤である。血管拡張剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、硝酸薬、または塩化マグネシウムであり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、補助剤は、塩化マグネシウムであり、医薬組成物中に存在し、この医薬組成物中の塩化マグネシウムの濃度は、例えば、約0.1%(w/v)~約50%(w/v)、約0.1%(w/v)~約30%(w/v)、約5%(w/v)~約30%(w/v)、約1%(w/v)~約25%(w/v)、約15%(w/v)~約25%(w/v)、約0.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約3.5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約3.0%(w/v)、約2.5%(w/v)~約3%(w/v)、約2.0%(w/v)~約4%(w/v)、約2.0%(w/v)~約3.0%(w/v)、約4.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.9%(w/v)、約1%(w/v)、約2.8%(w/v)、約3%(w/v)、約4.7%(w/v)、約5%(w/v)、約10%(w/v)、約15%(w/v)、または約20%(w/v)である。
【0062】
ある特定の実施形態では、補助剤は、ACE阻害剤である血管拡張剤を含み得、こうした血管拡張剤は、例えば、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、エナラプリラト、エスピラプリル(espirapril)、ホシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態では、補助剤は、アンジオテンシン受容体遮断薬である血管拡張剤を含み得、こうした血管拡張剤は、例えば、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、カンデサルタン、オルメサルタン、サプリサルタン、タソサルタン、エリサルタン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態では、補助剤は、カルシウムチャネル遮断薬である血管拡張剤を含み得、こうした血管拡張剤は、例えば、アムロジピン、アニパミル、バルニジピン、ベニジピン、ベプリジル、ダロジピン、ジルチアゼム、エホニジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、リドフラジン、マニジピン、メピロジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ペルヘキシリン、チアパミル、ベラパミル、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせである。
【0063】
ある特定の実施形態では、補助剤は、一酸化窒素誘導剤を含む。一酸化窒素誘導剤は、例えば、アミノ酸(例えば、アルギニン)であり得る。一酸化窒素誘導剤は、限定されないが、L-アルギニン、L-ホモアルギニン、N-ヒドロキシ-L-アルギニン、そのニトロソ化類似体、そのニトロシル化類似体、その前駆物質、またはそれらの組み合わせであり得る。ニトロソ化類似体は、例えば、ニトロソ化L-アルギニン、ニトロソ化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロソ化L-ホモアルギニン、またはそれらの組み合わせであり得る。ニトロシル化類似体は、例えば、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロシル化L-ホモアルギニン、またはそれらの組み合わせであり得る。また、前駆物質は、例えば、シトルリン、オルニチン、グルタミン、リジン、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態では、補助剤は、L-アルギニンであり、医薬組成物中に存在し、医薬組成物当たりのL-アルギニンの濃度は、例えば、約0.1%~約50%(w/v)、約5%~約30%(w/v)、約15%~約25%(w/v)、または約20%(w/v)である。
【0064】
ある特定の実施形態では、一酸化窒素誘導剤は、アルギナーゼ阻害剤、一酸化窒素合成酵素の基質、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、またはそれらの組み合わせを含む。ある特定の実施形態では、アルギナーゼ阻害剤は、例えば、N-ヒドロキシ-L-アルギニン、2(S)-アミノ-6-ボロノヘキサン酸、またはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、一酸化窒素合成酵素の基質は、サイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレティキュリン、ビサコジル、フェノールフタレイン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0065】
他の実施形態では、補助剤は、ナイアシン、ナイアシン誘導体、ナイアシン代謝物、またはそれらの組み合わせを含む。ナイアシン誘導体は、アシフラン、アシピモックス、ニセリトロール、イソニコチン酸、イソニコチノヒドラジド、ピリジンカルボン酸誘導体、3-ピリジン酢酸、5-メチルニコチン酸、ピリダジン-4-カルボン酸、ピラジン-2-カルボン酸、またはそれらの組み合わせであり得る。ある特定の実施形態では、ナイアシン誘導体は、ニコチン酸のエステルであり、こうしたエステルは、例えば、ニコチン酸のアルキルエステル(ニコチン酸メチルなど)である。他の実施形態では、ナイアシン代謝物は、ニコチン尿酸、ニコチンアミド、6-ヒドロキシニコチンアミド、N-メチルニコチンアミド、ニコチンアミド-N-オキシド、N-メチル-2-ピリドン-5-カルボキサミド、N-メチル-4-ピリドン-5-カルボキサミド、またはそれらの組み合わせを含む。ある特定の実施形態では、補助剤は、ナイアシンであり、医薬組成物中に存在し、医薬組成物当たりのナイアシンの濃度は、約0.1%~約15%(w/v)、約0.5%~約5%(w/v)、約1%(w/v)、約2%(w/v)、または約3%(w/v)である。
【0066】
ある特定の実施形態では、補助剤は、ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ホスホジエステラーゼ1阻害剤、ホスホジエステラーゼ2阻害剤、ホスホジエステラーゼ3阻害剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、またはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ビンポセチン、EHNA(エリスロ-9-(2-ヒドロキシ-3-ノニル)アデニン)、アナグレリド、エノキシミン(enoximine)、シロミラスト、エタゾレート、グラウシン、イブジラスト、メセンブリン、ロリプラム、ペントキシフィリン、ピクラミラスト、ジピリダモール、アセチルデナフィル、アバナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル、バルデナフィル、ミルリノン、アムリノン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0067】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物及び剤形は、補助剤を、剤形当たり約0.1%(w/v)、約0.2%(w/v)、約0.3%(w/v)、約0.4%(w/v)、約0.5%(w/v)、約0.6%(w/v)、約0.7%(w/v)、約0.8%(w/v)、約0.9%(w/v)、または約1%~約2%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)、約5%(w/v)、約6%(w/v)、約7%(w/v)、約8%(w/v)、約9%(w/v)、約10%(w/v)、約11%(w/v)、約12%(w/v)、約13%(w/v)、約14%(w/v)、約15%(w/v)、約16%(w/v)、約17%(w/v)、約18%(w/v)、約19%(w/v)、約20%(w/v)、約25%(w/v)、約30%(w/v)、約35%(w/v)、約40%(w/v)、約45%(w/v)、約50%(w/v)、約60%(w/v)、約70%(w/v)、または約80%(w/v)含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物及び剤形は、補助剤を、剤形当たり約0.1%~約30%(w/v)、約0.5%~約25%(w/v)、または約1%~約20%(w/v)含む。
【0068】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、オピオイドアンタゴニストの投与、及び過剰摂取からの対象の突然の覚醒によって、不慣れな環境(手錠で拘束されているか、または病院のベッドに拘束されている可能性があり、救命隊員または法執行機関職員(救急車の運転手、看護師、医師、警察官、消防士、善意の第三者などを含む第1対応者など)がいる状況であり得る)に対して引き起こされ得る躁病的行為を解消するために、治療的に有効な量の抗精神病剤をさらに含み得る。医薬組成物の筋肉内投与後または皮下投与後、治療的に有効な量の抗精神病剤は、好ましくは、オピオイドからの救命後に体内利用可能となるか、またはオピオイド過剰摂取からの救命から短時間の内(例えば、約12分以内、約10分以内、約8分以内、約5分以内、約3分以内、もしくは約1分以内)に体内利用可能となる。この様式では、対象が(例えば、救命後に)覚醒した場合、抗精神病剤は、覚醒後に異なる状況の下で対象が行うと想定される任意の闘争的行為を抑制または低減し得る。いくつかの実施形態では、躁病的行為は、対象による物理的な闘争的行為を含む。
【0069】
活性剤
本明細書に開示の送達系及び医薬組成物は、さまざまな活性剤またはその医薬的に許容可能な塩を含む。医薬的に許容可能な塩には、限定されないが、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及び同様のものなど)、有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、及び同様のものなど)、スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及び同様のものなど)、アミノ酸塩(アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、及び同様のものなど)、ならびに金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、及び同様のものなど)、アルカリ土類金属(カルシウム塩、マグネシウム塩、及び同様のものなど)、有機アミン塩(トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、及び同様のものなど)が含まれる。
【0070】
本明細書に開示の送達系及び医薬組成物は、オピオイドアンタゴニストを含む。オピオイドアンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、シクラゾシン、レバロルファン、サミドルファン、メチルサミドルファン、ナロデイン(nalodeine)、アルビモパン、メチルナルトレキソン、ナロキセゴール、ナロキソール、6β-ナルトレキソール、アクセロプラン、ベベノプラン、ナルデメジン、シプロジム、ナルトリンドール、ノルビナルトルフィミン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0071】
ある特定の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、その医薬的に許容可能な塩、及びそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナロキソンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む。別の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む。別の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩(例えば、ナルメフェン塩酸塩)を含む。
【0072】
ある特定の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩であり、非経口投与に適する。こうしたナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩は、約0.05mg/ml~約10mg/ml、約0.1mg/ml~約5mg/ml、約0.3mg/ml~約2.5mg/ml、約0.5mg/ml~約1.5mg/ml、約2mg/ml~約3mg/ml、約1.25mg/ml、約1mg/ml、約1.5mg/ml、約1.75mg/ml、または約2.0mg/ml、または約2.5mg/mlで医薬製剤中に存在する。
【0073】
ある特定の実施形態では、医薬製剤(例えば、非経口製剤)は、約0.25mg、約0.5mg、約0.75mg、約1mg、約1.25mg、約1.5mg、約1.75mg、約2.0mg、約2.25mg、または約2.5mgのいずかから、約2.75mg、約3.0mg、約3.25mg、約3.5mg、約3.75mg、約4.0mg、約4.25mg、約4.5mg、約4.75mg、または約5.0mgのいずれかまでの範囲の用量のオピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩)を供給し得る。
【0074】
ある特定の実施形態によれば、本明細書に開示の送達系及び医薬組成物は、抗精神病剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン、フェノチアジン、チオキサンテン、ベンズアミド、三環系薬、ベンゾイソオキサゾールもしくはベンゾイソチアゾール、フェニルピペラジン、キノリノン、ブロナンセリン、ピマバンセリン、セルチンドール、モリンドン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、ブチロフェノンである。ブチロフェノンは、ベンペリドール、ブロムペリドール、ドロペリドール、ハロペリドール、メルペロン、ピパンペロン、チミペロン、スピペロン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、ジフェニルブチルピペリジンである。ジフェニルブチルピペリジンは、フルスピリレン、ペンフルリドール、ピモジド、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、フェノチアジンである。フェノチアジンは、アセプロマジン、クロルプロマジン、シアメマジン、ジキシラジン、フルフェナジン、レボメプロマジン、メソリダジン、ペラジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、ピポチアジン、プロクロルペラジン、プロマジン、プロメタジン、プロチペンジル、チオプロペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、トリフルプロマジン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、チオキサンテンである。チオキサンテンは、クロルプロチキセン、クロペンチキソール、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、ベンズアミドである。ベンズアミドは、スルピリド、スルトプリド、ベラリプリド、アミスルプリド、ネモナプリド、レモキシプリド、レボスルピリド、チアプリド、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、三環系化合物を含み得る。三環系化合物は、カルピプラミン、クロカプラミン、クロロテピン、クロチアピン、ロキサピン、モサプラミン、アセナピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、ゾテピン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、ベンゾイソオキサゾールまたはベンゾイソチアゾールである。ベンゾイソオキサゾールまたはベンゾイソチアゾールは、イロペリドン、ルラシドン、パリペリドン、パルミチン酸パリペリドン、ペロスピロン、リスペリドン、ジプラシドン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、抗精神病剤は、フェニルピペラジンまたはキノリノンである。フェニルピペラジンまたはキノリノンは、アリピプラゾール、アリピプラゾールラウロキシル、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、その医薬的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0083】
一実施形態では、抗精神病剤は、ハロペリドールまたはその医薬的に許容可能な塩である。別の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナロキソンまたはその医薬的に許容可能な塩であり、抗精神病剤は、ハロペリドールまたはその医薬的に許容可能な塩である。別の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソンまたはその医薬的に許容可能な塩であり、抗精神病剤は、ハロペリドールまたはその医薬的に許容可能な塩である。別の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩であり、抗精神病剤は、ハロペリドールまたはその医薬的に許容可能な塩である。
【0084】
ある特定の実施形態では、抗精神病剤は、ハロペリドールまたは筋肉内投与もしくは皮下投与に適したその医薬的に許容可能な塩を、単位用量当たり約2mg~約40mg、約2mg~約20mg、約5mg~約15mg、約2mg~約10mg、約10mg~約20mg、約5mg~約10mg、約10mg~約15mg、約15mg~約20mg、または約7mg~約12mg含む。
【0085】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の送達系及び医薬組成物は、精神安定剤、CNS抑制剤、CNS刺激剤、催眠鎮静剤、またはそれらの混合物、を構成する活性剤をさらに含み得る。
【0086】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物及び剤形は、オピオイドアンタゴニスト、あるいはオピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び/または抗精神病剤の組み合わせを、剤形当たり約0.1%(w/v)、約0.2%(w/v)、約0.3%(w/v)、約0.4%(w/v)、約0.5%(w/v)、約0.6%(w/v)、約0.7%(w/v)、約0.8%(w/v)、約0.9%(w/v)、約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)、約5%(w/v)、約6%(w/v)、または約7%~約8%(w/v)、約9%(w/v)、約10%(w/v)、約11%(w/v)、約12%(w/v)、約13%(w/v)、約14%(w/v)、約15%(w/v)、約16%(w/v)、約17%(w/v)、約18%(w/v)、約19%(w/v)、約20%(w/v)、約25%(w/v)、約30%(w/v)、約35%(w/v)、約40%(w/v)、約45%(w/v)、約50%(w/v)、約60%(w/v)、約70%(w/v)、または約80%(w/v)含み得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物及び剤形は、オピオイドアンタゴニスト、あるいはオピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び/または抗精神病剤の組み合わせを、剤形当たり約0.1%~約80%(w/v)、約0.5%~約30%(w/v)、または約1%~約10%(w/v)を含み得る。
【0087】
予防的治療
本発明のある特定の実施形態の目的は、オピオイドアゴニストに曝露されるリスクを有する対象におけるオピオイドアゴニストの過剰摂取を阻止または最少化するための方法を提供することである。例えば、法執行機関職員、第1医療関係対応者、または薬物探知犬は、オピオイド(例えば、フェンタニル、カルフェンタニル、またはスフェンタニル)が意図的もしくは非意図的に放出されている可能性があるか、またはその他の状況で存在することが疑われる環境または現場(例えば、犯罪現場または緊急事態)に入る前に、本発明によるオピオイドアンタゴニストで前処置され得る。同様に、オピオイドが関連する環境的な被災地域での作業者は、そうした環境に存在し得るオピオイドの毒性を回避するために前処置され得る。予防的治療の方法を対象とする実施形態では、投与される組成物には、限定されないが、本明細書に開示の医薬組成物が含まれ得る。例えば、予防的治療のためのオピオイドアンタゴニストの投与では、本明細書に開示の筋肉内投与用製剤もしくは皮下投与用製剤が利用され得るか、または経口経路、経鼻経路、経肺経路、経皮経路、経直腸経路、静脈内経路、口腔経路、もしくは舌下経路を利用してオピオイドアンタゴニストが投与され得る。
【0088】
医薬的に許容可能な医薬品添加物
本発明による医薬組成物は、1つ以上の医薬的に許容可能な担体と、筋肉内投与または皮下投与に適した医薬品添加物と、を含み得る。考え得る医薬的に許容可能な担体及び医薬品添加物の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(6th Edition,2009 Publication)に記載されており、当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。筋肉内製剤及び皮下製剤に適した担体及び医薬品添加物には、限定されないが、抗酸化剤、緩衝剤、希釈剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、親水性ポリマー、追加の吸収増進剤もしくは透過増進剤、保存剤、浸透圧性薬剤、等張剤、pH調整剤、溶媒、共溶媒、粘性剤、ゲル化剤、懸濁剤、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0089】
本明細書に開示の製剤に適した界面活性剤には、限定されないが、ポリソルベート80NF、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、及び同様のもの、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0090】
本明細書に開示の医薬組成物に適した等張剤には、限定されないが、デキストロース、ラクトース、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、さまざまなポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン、グリシン、及び同様のもの、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0091】
本明細書に開示の製剤に適した懸濁剤には、限定されないが、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムNF、ポリアクリル酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、及び同様のもの、ならびにそれらの混合物が含まれる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の懸濁剤を含み得、その含量は、医薬組成物の総量の約0.1wt%~約15wt%、または約0.25wt%~約10wt%、または約1wt%~約8wt%である。
【0092】
過剰摂取からの救命を施す方法
ある特定の実施形態では、本開示は、オピオイド過剰摂取からの救命を、それを必要とする対象に施す方法を対象とする。方法は、それを必要とする対象に対して、オピオイドアンタゴニスト、任意選択の補助剤、及び任意選択の抗精神病剤を投与することを含み、その結果、過剰摂取を打ち消すか、または部分的に打ち消す上で十分な時間でアンタゴニストの作用発現が達成される。ある特定の実施形態では、本発明は、オピオイドアゴニスト過剰摂取によって引き起こされる医療的緊急事態にさらされる対象への緊急投与を意図する。そのような状況では、医薬組成物は、典型的には、対象がオピオイドアゴニスト過剰摂取の症状に罹患していることが観察された後に医師、救急救命士、法執行機関の一員、家族の一員、知人、または第三者によって投与されることになる。いくつかの実施形態では、方法は、投与ステップの前に、対象がオピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされていることを同定することをさらに含み得る。
【0093】
本発明によって治療されるオピオイドアゴニスト過剰摂取は、そのような使用について、現在知られている任意のオピオイドもしくはオピオイドの組み合わせ、または(製剤分野及び医療分野の)当業者が容易に理解すると想定されるものから生じる任意の過剰摂取から起こり得る。こうしたオピオイドまたはオピオイドの組み合わせには、限定されないが、下記のもののいずれも含まれる:アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンプテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニル及び誘導体、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィネ(myrophine)、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、その医薬的に許容可能な塩、ならびにそれらの組み合わせ。
【0094】
ある特定の実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、オピオイドアゴニスト過剰摂取の相殺に有効な量で対象に投与される。ある特定の実施形態では、任意選択の抗精神病剤は、躁病的行為の阻止、低減、または解消に有効な量で、アンタゴニスト及び補助剤と共に対象に同時投与される。こうした躁病的行為は、過剰摂取から回復した直後に対象によっては見られる物理的または精神的な闘争的行為であり得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、オピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び任意選択の抗精神病剤はそれぞれ、別々に投与される。他の実施形態では、オピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び任意選択の抗精神病剤はすべて、単一の剤形中で組み合わせて一緒に投与される。一実施形態では、オピオイドアンタゴニスト及び補助剤は、組み合わせて一緒に投与され得、任意選択の抗精神病剤は、別に投与され得る。一実施形態では、オピオイドアンタゴニスト及び任意選択の抗精神病剤は、組み合わせて一緒に投与され得、補助剤は、別に投与され得る。一実施形態では、任意選択の抗精神病剤及び補助剤は、組み合わせて一緒に投与され得、オピオイドアンタゴニストは、別に投与され得る。
【0096】
ある特定の実施形態では、任意選択の抗精神病剤は、対象の意識が戻る前に対象に投与される。この様式では、対象は、覚醒後または覚醒直後には抗精神病剤の治療効果を既に享受している可能性があり、このことは、オピオイドアゴニスト過剰摂取から救命された後に対象が物理的または精神的な闘争的行為を行うことを阻止する上で役立ち得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、オピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び任意選択の抗精神病剤はすべて、同じ投与経路(すなわち、筋肉内経路または皮下経路)を介して投与される。他の実施形態では、オピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び任意選択の抗精神病剤は、異なる投与経路を介して投与される。例えば、任意選択の抗精神病剤は、静脈内投与、経鼻投与、舌下投与、もしくは口腔投与、または吸入によって投与され得る。
【0098】
一実施形態では、オピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び任意選択の抗精神病剤は両方共、それを必要とする対象に筋肉内投与を介して投与される。
【0099】
別の実施形態では、オピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び任意選択の抗精神病剤は、それを必要とする対象に皮下投与を介して投与される。
【0100】
いくつかの実施形態では、オピオイドアンタゴニスト、補助剤、及び任意選択の抗精神病剤は、同時に投与されるか、同時刻に投与されるか、または連続的に投与される。
【0101】
本明細書で使用される「同時に」という用語は、1つの薬剤の用量が、別の薬剤の投与間隔の終了前に投与されることを意味する。例えば、特定の投与間隔を有するオピオイドアンタゴニストの用量は、当該オピオイドアンタゴニストの投与間隔の中で抗精神病剤用量が投与される場合、当該抗精神病剤用量と同時に投与されたことになる。
【0102】
本明細書で使用される「同時刻に」という用語は、1つの薬剤の用量が、別の薬剤とほぼ同じ時刻に投与されることを意味し、これらの薬剤が、同じもしくは異なる投与経路を介して別々に投与されるか、または単一の医薬組成物もしくは剤形において投与されるかどうかは無関係である。例えば、オピオイドアンタゴニストの用量は、抗精神病剤の用量とは別に投与されるが、それと同じ時刻に投与され得る。
【0103】
本明細書で使用される「連続的に」という用語は、1つの薬剤の用量が1番目に投与され、その後、別の薬剤の用量が2番目に投与されることを意味する。例えば、オピオイドアンタゴニストの用量が1番目に投与され得、その後、抗精神病剤の用量が2番目に投与され得る。2番目の薬剤のこの後続投与は、1番目の薬剤の投与間隔の中または外で行われ得る。
【0104】
他の徴候
本明細書に開示の医薬組成物、薬物送達機器、及び方法は、アルコール依存、便秘、及びオピオイドアンタゴニストを用いて治療され得る他の状態を治療するために代替的に使用され得る。
【0105】
ある特定の実施形態では、本発明は、アルコール依存の治療を、それを必要とする対象において行う方法を対象とする。したがって、方法は、本明細書に開示の医薬組成物のいずれかを、それを必要とする対象に対して、アルコール依存及び/またはその症状を治療するために投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、投与ステップの前に、対象がアルコール依存の症状に罹患していることを同定することをさらに含み得る。
【0106】
ある特定の実施形態では、本発明は、便秘の治療を、それを必要とする対象において行う方法を対象とする。したがって、方法は、本明細書に開示の医薬組成物のいずれかを、それを必要とする対象に対して、便秘及び/またはその症状を治療するために投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、投与ステップの前に、対象が便秘の症状に罹患していることを同定することをさらに含み得る。
【0107】
医薬組成物中の活性剤の量は、標的徴候(例えば、オピオイド過剰摂取、アルコール依存、便秘、及び/またはそれらの症状のうちの1つ以上)の重症度の治療、軽減、または低減に有効なものであり得る。
【0108】
薬物送達系及びキット
ある特定の実施形態では、本発明は、注射機器と、本明細書に開示の医薬製剤(例えば、非経口のもの)のいずれかと、を含む薬物送達系またはキットを対象とする。ある特定の実施形態では、注射機器に医薬製剤が事前に充填される。ある特定の実施形態では、注射機器は、注射器、バイアル、ペン型注射器、または自己注射器を含み、これに本明細書に開示の医薬製剤が事前に充填される。
【0109】
ある特定の実施形態では、薬物送達系またはキットは、別々の容器(例えば、別々のバイアル、別々の注射筒、別々の区画など)中に活性剤及び補助剤を含み得る。一実施形態では、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩は、1つの容器中に存在し得、補助剤(例えば、MgCl2)は、別の容器中に存在し得、その結果、投与前にナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩を混合することができる。
【0110】
ある特定の実施形態では、薬物送達系またはキットにおける活性剤(例えば、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩)は、溶液形態または粉末形態のものであり得る。ある特定の実施形態では、薬物送達系またはキットにおける補助剤は、溶液形態または粉末形態のものであり得る。
【0111】
一実施形態では、薬物送達系またはキットは、1つの容器中に存在する活性剤(例えば、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩)溶液と、別の容器中に存在する補助剤(例えば、MgCl2)溶液と、を含み得る。活性剤溶液及び補助剤溶液は、投与前に混合され得る。一実施形態では、活性剤溶液は、自己注射器の1つの区画中に存在し得、補助剤溶液は、自己注射器の別の区画中に存在し得、これら2つの溶液は、投与前に自己注射器中で混合され得る。別の実施形態では、活性剤溶液は、1つのバイアル中に存在し得、補助剤溶液は、別のバイアル中に存在し得、これらのバイアルの中身は、投与前に混合され得る(この混合は、例えば、本明細書に記載のキットの一部であり得る注射器及び針を用いて1つのバイアルの中身を別のバイアルに移すことによって行われる)。
【0112】
一実施形態では、本明細書に記載の薬物送達系またはキットは、1つの容器中に存在する活性剤(例えば、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩)溶液と、別の容器中に存在する補助剤(例えば、MgCl2)粉末と、を含み得る。活性剤溶液及び補助剤粉末は、投与前に混合され得る。一実施形態では、活性剤溶液は、自己注射器の1つの区画中に存在し得、補助剤粉末は、自己注射器の別の区画中に存在し得、これらの粉末及び溶液は、投与前に自己注射器中で混合され得る。別の実施形態では、活性剤溶液は、1つのバイアル(または事前充填式の注射筒もしくは同様のもの)中に存在し得、補助剤粉末は、別のバイアル中に存在し得、投与前に活性剤溶液を補助剤粉末に添加して補助剤粉末を懸濁または溶解させることができる(この添加は、例えば、本明細書に記載のキットの一部であり得る注射器及び針を用いて活性剤溶液を補助剤粉末容器に移すことによって行われる)。
【0113】
一実施形態では、本明細書に記載の薬物送達系またはキットは、1つの容器中に存在する活性剤(例えば、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩)粉末と、別の容器中に存在する補助剤(例えば、MgCl2)溶液と、を含み得る。活性剤粉末及び補助剤溶液は、投与前に混合され得る。一実施形態では、活性剤粉末は、自己注射器の1つの区画中に存在し得、補助剤溶液は、自己注射器の別の区画中に存在し得、これらの粉末及び溶液は、投与前に自己注射器中で混合され得る。別の実施形態では、活性剤粉末は、1つのバイアル中に存在し得、補助剤溶液は、別のバイアル(または事前充填式の注射筒もしくは同様のもの)中に存在し得、投与前に補助剤溶液を活性剤粉末に添加して活性剤粉末を懸濁または溶解させることができる(この添加は、例えば、本明細書に記載のキットの一部であり得る注射器及び針を用いて補助剤溶液を活性剤粉末容器に移すことによって行われる)。
【0114】
一実施形態では、本明細書に記載の薬物送達系またはキットは、1つの容器中に存在する活性剤(例えば、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩)粉末と、別の容器中に存在する補助剤(例えば、MgCl2)粉末と、さらに別の容器中に存在する溶媒と、を含み得る。これらの活性剤粉末、補助剤粉末、及び溶媒は、投与前に混合され得る。一実施形態では、活性剤粉末は、自己注射器の1つの区画中に存在し得、補助剤粉末は、自己注射器の別の区画中に存在し得、溶媒は、自己注射器のさらに別の区画中に存在し得、その結果、投与前に粉末を溶媒に懸濁または溶解させることができる。別の実施形態では、活性剤粉末は、1つのバイアル中に存在し得、補助剤粉末は、別のバイアル中に存在し得、溶媒は、さらに別のバイアル(または事前充填式の注射筒もしくは同様のもの)中に存在し得、投与前に溶媒を活性剤粉末及び/または補助剤粉末に添加して粉末を懸濁または溶解させることができる(この添加は、例えば、本明細書に記載のキットの一部であり得る注射器及び針を用いて溶媒を活性剤粉末容器及び/または補助剤粉末容器(複数可)に移すことによって行われる)。
【0115】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の薬物送達系またはキットは、活性剤(例えば、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩)及び補助剤(例えば、MgCl2)を粉末形態で一緒に混合して1つの容器中に入れたものを含み得、医薬的に許容可能な溶媒は、別の容器中に保存され、投与まで保たれる。一実施形態では、活性剤粉末及び補助剤粉末は、一緒に混合されて自己注射器の1つの区画中に存在し得、医薬的に許容可能な溶媒は、自己注射器の別の区画中に保存され得、その結果、投与前に粉末混合物を溶媒に懸濁または溶解させることができる。別の実施形態では、活性剤粉末及び補助剤粉末は、一緒に混合されて1つのバイアル中に存在し得、溶媒は、別のバイアル(または事前充填式の注射筒もしくは同様のもの)中に存在し得、投与前に溶媒を粉末混合物に添加して粉末混合物を懸濁または溶解させることができる(この添加は、例えば、本明細書に記載のキットの一部であり得る注射器及び針を用いて溶媒を粉末混合物容器に移すことによって行われる)。
【0116】
ここまでに開示した%(w/v)で表される活性剤及び/または補助剤の濃度範囲及び/または濃度値は、投与直前にすべての成分が一緒に混合される場合、最終濃度を指す。
【実施例】
【0117】
下記の先見的な実施例1~3は、本発明の理解を助けるために示されるものであり、本明細書にて記載及び請求される本発明を具体的に限定するものとして解釈すべきではない。現在知られているか、または今後開発される均等物のいずれかまたはすべてで置き換えたものを含む、本発明のそのような変形形態(当業者の技能範囲に含まれると想定される)及び製剤の変更または治療設計の軽微な変更は、本明細書に組み込まれる本発明の範囲に含まれるものと見なされることになる。
【0118】
実施例1:
【表1】
水溶液を調製し、塩化ナトリウムを添加して浸透圧を調整し、塩酸を添加してpHを約3.8~4.5に調整する。
この溶液を筋肉内投与または皮下投与に適した機器中に含める。
【0119】
実施例2:
【表2】
水溶液を調製し、塩化ナトリウムを添加して浸透圧を調整し、塩酸を添加してpHを約3.8~4.5に調整する。
この溶液を筋肉内投与または皮下投与に適した機器中に含める。
【0120】
実施例3:
【表3】
水溶液を調製し、塩酸を添加してpHを約3.8~4.5に調整する。
この溶液を筋肉内投与または皮下投与に適した機器中に含める。
【0121】
下記の実施例は、イヌにおいて実施した試験を示して本発明の理解を助けるためのものであり、本明細書にて記載及び請求される本発明を具体的に限定するものとして解釈すべきではない。現在知られているか、または今後開発される均等物のいずれかまたはすべてで置き換えたものを含む、本発明のそのような変形形態(当業者の技能範囲に含まれると想定される)及び製剤の変更または治療設計の軽微な変更は、本明細書に組み込まれる本発明の範囲に含まれるものと見なされよう。
【0122】
実施例4:
ナルメフェン塩酸塩を単独で含む製剤、ならびにナルメフェン塩酸塩と、L-アルギニン、MgCl
2、またはニコチン酸から選択される補助剤と、を含む製剤を、以下の表4にまとめた用量(ナルメフェン遊離塩基に基づいて計算したもの)で調製した。これらの製剤を3匹のイヌ対象に筋肉内投与した。投与前、投与後1分、投与後3分、投与後6分、投与後10分、投与後20分、投与後1時間、及び投与後3時間の時点で血液試料を採取した。
【表4】
【0123】
図1には、筋肉内投与後の3匹のイヌ対象における異なる用量(群1:0.1mg、群2:0.25mg、及び群3:1mg)のナルメフェンの平均血漿中濃度プロファイルを比較したものが示される。
【0124】
図2には、さまざまな補助剤(群4~6)を存在させてナルメフェン(0.25mg用量)を筋肉内投与した後の3匹のイヌ対象におけるナルメフェンの平均血漿中濃度プロファイルを比較したものが示される。
図3には、さまざまな補助剤(群4~6)を存在させてナルメフェン(0.25mg用量)を筋肉内投与した後の3匹のイヌ対象におけるナルメフェンのT
max値を比較したものが示される。以下の表5には、群4~6に対して実施した試験から得られた平均薬物動態データのまとめが示される。
【0125】
図4には、医薬組成物当たりMgCl
2を5%(w/v)、10%(w/v)、及び20%(w/v)(群5、8~9)存在させてナルメフェンを投与したイヌ対象から得られたナルメフェンのC
maxを比較したものが示される。
表5-IM投与後のイヌにおけるさまざまな補助剤の存在下でのナルメフェン(0.25mg、1.25mg/mL)の平均PKパラメーターの比較
【表5】
*BLOQは、定量化レベル未満を意味する。
**NDは、非検出を意味する。
【0126】
実施例5:
臨床試験の主要目的は、ナルメフェン塩酸塩のさまざまな用量及び/または製剤の非経口投与後のナルメフェンの薬物動態を評価すること、ならびに筋肉内投与後のナルメフェンに対する初期全身曝露を評価することとした。臨床試験の副次目的は、非経口投与後のナルメフェン塩酸塩の安全性及び忍容性を評価することとした。
【0127】
健康な男性対象及び女性対象における非盲検無作為化単回投与クロスオーバー試験を試験設計として使用してナルメフェン塩酸塩をさまざまな経路、用量、及び/または製剤で投与した後のナルメフェンの薬物動態プロファイルを比較した。
【0128】
ナルメフェン単独の製剤、ならびにMgCl
2をさまざまな濃度で組み合わせたナルメフェンの製剤を調製した。以下の表6には、これらの製剤のまとめが示される。これらの製剤を三角筋への筋肉内注射によって8人のヒト対象に1mL投与して、1.5mg用量のナルメフェンの吸収の速度及び程度に対するMgCl
2の効果を評価した。MgCl
2含量0.9%の1.0mL中にナルメフェンを1.5mg含めた製剤のみ、投与する対象の人数を9人とした。この実施例におけるナルメフェン用量はすべて、ナルメフェンの遊離塩基に基づいて計算した。
【表6】
【0129】
以下の表7には、表6にまとめが示されるナルメフェン製剤で処置した対象から得られた薬物動態データのまとめが示される。PKデータはすべて、ナルメフェンの遊離塩基として表される。
表7-IM投与後のヒト対象におけるさまざまな濃度のMgCl
2の存在下でのナルメフェン(1.5mg/mL)のPKパラメーターの比較
【表7】
【0130】
非経口製剤当たりMgCl
2を0%(w/v)、0.9%(w/v)、2.8%(w/v)、及び4.7%(w/v)存在させて1.5mg/mLのナルメフェンで処置した対象におけるナルメフェンの平均濃度は、それぞれ
図5に示される。
【0131】
前述の説明では、本発明の完全な理解が得られるように多数の特定の詳細記述(特定の材料、寸法、プロセスパラメーターなど)が示される。こうした特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な様式で組み合わせることができる。「例」または「例示」という言葉は、例、実例、または例示となることを意味するために本明細書で使用される。「例」または「例示」として本明細書に記載の態様または設計はいずれも、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいか、または有利であると解釈されることにはならない。むしろ、「例」または「例示」という言葉の使用は、単に、具体的な様式で概念を示すことを意図するものである。本出願で使用される「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図する。すなわち、別段の指定がない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」は、自然な包括的順列のいずれかを意味することを意図する。すなわち、XがAを含むか、XがBを含むか、またはXがA及びBの両方を含む場合、前述の実例のいずれの下でも「XはAまたはBを含む」は満たされる。本明細書を通じて、「実施形態」、「ある特定の実施形態」、または「一実施形態」に対する言及は、そうした実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じてさまざまな箇所に見られる「実施形態」、「ある特定の実施形態」、または「一実施形態」という語句は、必ずしもすべてが、同じ実施形態に言及しているわけではない。
【0132】
本発明は、その特定の例示の実施形態に関して記載されている。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示と見なされることになる。本明細書に示されるもの及び本明細書に記載のものに加わる本発明のさまざまな改変形態は、当業者には明らかになるであろうし、添付の特許請求の範囲の中に含まれることが意図される。
本発明は、以下の態様をも含むものである。
<1>
治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な吸収増進量の補助剤と、を含む非経口製剤であって、前記製剤が、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされている対象への筋肉内注射または皮下注射を介する投与から5分未満の時間でオピオイドアンタゴニスト作用を発現させる、前記非経口製剤。
<2>
治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な吸収増進量の補助剤と、を含む非経口製剤であって、前記製剤が、健康な対象の集団への筋肉内投与から約2.0時間以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる、前記非経口製剤。
<3>
治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な吸収増進量の補助剤と、を含む非経口製剤であって、前記製剤が、健康な対象の集団への皮下注射から約1.0時間以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる、前記非経口製剤。
<4>
前記製剤が、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされている対象への筋肉内注射または皮下注射から約4分以内、約3分以内、約2分以内、または約1分以内の時間でオピオイドアンタゴニスト作用を臨床的に明らかに発現させる、上記1に記載の非経口製剤。
<5>
前記製剤が、健康な対象の集団への筋肉内注射から約1.5時間以内、約1時間以内、約0.5時間以内、約20分以内、約15分以内、または約10分以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる、上記2に記載の非経口製剤。
<6>
前記製剤が、健康な対象の集団への皮下注射から約0.5時間以内、約20分以内、約15分以内、または約10分以内の平均時間でナルメフェンを最大血漿中濃度に到達させる、上記3に記載の非経口製剤。
<7>
前記製剤が、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされている対象への筋肉内注射から約5分以内、約4分以内、約3分以内、約2分以内、または約1分以内の時間でオピオイドアンタゴニスト作用を臨床的に明らかに発現させる、上記2に記載の非経口製剤。
<8>
前記製剤が、オピオイドアゴニスト過剰摂取にさらされている対象への皮下注射から約5分以内、約4分以内、約3分以内、約2分以内、または約1分以内の時間でオピオイドアンタゴニスト作用を臨床的に明らかに発現させる、上記3に記載の非経口製剤。
<9>
前記補助剤が、前記補助剤を含まない以外は同じ製剤と比較して、注射後にナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩の体内吸収速度及び/または総吸収量を促進する、上記1~8のいずれかに記載の非経口製剤。
<10>
前記補助剤が、血管拡張剤である、上記9に記載の非経口製剤。
<11>
前記補助剤が、一酸化窒素誘導剤を含む、上記9に記載の非経口製剤。
<12>
前記補助剤が、ナイアシン、ナイアシン誘導体、ナイアシン代謝物、またはそれらの組み合わせを含む、上記9に記載の非経口製剤。
<13>
前記補助剤が、ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む、上記9に記載の非経口製剤。
<14>
前記補助剤が、塩化マグネシウムを含む、上記9に記載の非経口製剤。
<15>
前記一酸化窒素誘導剤が、アミノ酸である、上記11に記載の非経口製剤。
<16>
前記アミノ酸が、アルギニンである、上記15に記載の非経口製剤。
<17>
ナルメフェン塩酸塩を含む、上記1~16のいずれかに記載の非経口製剤。
<18>
治療的に有効な量のオピオイドアンタゴニストと、対象への筋肉内注射後または皮下注射後に前記オピオイドアンタゴニストの体内吸収速度及び/または総吸収量を促進する非経口的に許容可能な補助剤と、を含む非経口製剤。
<19>
前記補助剤が、一酸化窒素誘導剤、ナイアシン、ナイアシン誘導体、ナイアシン代謝物、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、硝酸薬、またはそれらの組み合わせを含む、上記18に記載の非経口製剤。
<20>
オピオイド過剰摂取からの救命を対象に施す方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に対して上記1~19のいずれかに記載の非経口製剤を筋肉内投与または皮下投与することを含む、前記方法。
<21>
オピオイドが毒性レベルで存在する可能性がある現場に入る前に、前記現場に入る結果としてオピオイド過剰摂取にさらされることから対象が保護されるように前記対象の準備を整える方法であって、前記準備が、前記対象が前記現場に入る前に上記1~19のいずれかに記載の非経口製剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
<22>
上記1~19のいずれかに記載の非経口製剤を含む注射機器を含む薬物送達系。
<23>
前記注射機器に前記非経口製剤が事前に充填される、上記22に記載の薬物送達系。
<24>
前記非経口製剤が、事前充填式注射器、バイアル、ペン型注射器、または自己注射器の中に含められる、上記22に記載の薬物送達系。
<25>
前記塩化マグネシウムが、約0.1%(w/v)~約30%(w/v)、約1%(w/v)~約25%(w/v)、約0.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1%(w/v)、約2.5%(w/v)~約3%(w/v)、約4.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.9%(w/v)、約2.8%(w/v)、約5%(w/v)、約10%(w/v)、約15%(w/v)、または約20%(w/v)の濃度で前記非経口製剤中に存在する、上記14に記載の非経口製剤。
<26>
前記補助剤が、約0.1%(w/v)~約50%(w/v)、約5%(w/v)~約30%(w/v)、約15%(w/v)~約25%(w/v)、約20%(w/v)、約0.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1%(w/v)、約2.5%(w/v)~約3%(w/v)、約4.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.9%(w/v)、または約2.8%(w/v)の濃度で前記非経口製剤中に存在する、上記16に記載の非経口製剤。
<27>
前記補助剤が、約0.1%(w/v)~約15%(w/v)、約0.5%(w/v)~約5%(w/v)、または約1%(w/v)の濃度で前記非経口製剤中に存在する、上記12に記載の非経口製剤。
<28>
補助剤を含む前記非経口製剤が、それを必要とする対象への筋肉内注射後または皮下注射後に、前記補助剤を含まない同一の非経口製剤と比較して短い時間でオピオイドアンタゴニスト作用を臨床的に明らかに発現させる、上記1~19及び上記25~27のいずれかに記載の非経口製剤。
<29>
補助剤を含む前記非経口製剤が、健康な対象の集団への筋肉内投与後または皮下投与後に、前記補助剤を含まない同一の非経口製剤と比較して短い平均時間でオピオイドアンタゴニストを最大血漿中濃度に到達させる、上記1~19及び上記25~27のいずれかに記載の非経口製剤。
<30>
補助剤を含む前記非経口製剤が、健康な対象の集団への筋肉内投与後または皮下投与後に、前記補助剤を含まない同一の非経口製剤と比較してオピオイドアンタゴニストの平均最大血漿中濃度を高める、上記1~19及び上記25~27のいずれかに記載の非経口製剤。
<31>
補助剤を含む前記非経口製剤が、健康な対象の集団への筋肉内投与後または皮下投与後に、前記補助剤を含まない同一の非経口製剤と比較して平均AUC
max
を大きくする、上記1~19及び上記25~27のいずれかに記載の非経口製剤。
<32>
治療的に有効な量のナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩と、非経口的に許容可能な吸収増進量の補助剤と、を含むキットであって、前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩と、前記補助剤とが、別々の容器中に存在する、前記キット。
<33>
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩が、溶液形態のものであり、前記補助剤が、溶液形態のものである、上記32に記載のキット。
<34>
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩が、溶液形態のものであり、前記補助剤が、粉末形態のものである、上記32に記載のキット。
<35>
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩が、粉末形態のものであり、前記補助剤が、溶液形態のものである、上記32に記載のキット。
<36>
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩が、粉末形態のものであり、前記補助剤が、粉末形態のものである、上記32に記載のキット。
<37>
前記ナルメフェンまたは前記その治療的に許容可能な塩のものとも、前記補助剤のものとも別の容器中に存在する医薬的に許容可能な溶媒をさらに含む、上記36に記載のキット。
<38>
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩の前記粉末と、前記補助剤粉末とが、別々の容器中に保存される、上記36~37のいずれかに記載のキット。
<39>
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩の前記粉末と、前記補助剤粉末とが、1つの容器中で一緒に混合される、上記36~37のいずれかに記載のキット。
<40>
注射器及び針をさらに含む、上記32~37のいずれかに記載のキット。
<41>
前記ナルメフェンまたは前記その医薬的に許容可能な塩と、前記補助剤とが、別々の容器中に保存される、上記32~35及び上記40のいずれかに記載のキット。
<42>
容器が、バイアル、注射筒、または自己注射器の区画である、上記38~39及び上記41のいずれかに記載のキット。
<43>
投与前に、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩の溶液を補助剤溶液と混合することをさらに含む、上記20に記載の方法。
<44>
投与前に、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩の溶液に補助剤粉末を懸濁または溶解させることをさらに含む、上記20に記載の方法。
<45>
投与前に、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩の粉末を補助剤溶液に懸濁または溶解させることをさらに含む、上記20に記載の方法。
<46>
投与前に、ナルメフェンまたはその医薬的に許容可能な塩の粉末と、補助剤粉末とを、医薬的に許容可能な溶媒に懸濁または溶解させることをさらに含む、上記20に記載の方法。