(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】測定ロールを介してガイドされる帯状の物品の特性を検出するための測定ロール
(51)【国際特許分類】
B21B 38/02 20060101AFI20240904BHJP
B21B 38/06 20060101ALI20240904BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20240904BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240904BHJP
G01B 21/30 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B21B38/02
B21B38/06
B21C51/00 C
B21C51/00 L
G01L5/00 C
G01B21/30 101F
(21)【出願番号】P 2021531347
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2019084051
(87)【国際公開番号】W WO2020120329
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】102018009611.5
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514019291
【氏名又は名称】ファオデーエーハー-ベトリープスフォルシュングスインスティトゥート ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VDEh-Betriebsforschungsinstitut Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Sohnstrasse 69,40237 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲアト ミュッケ
(72)【発明者】
【氏名】ユリアン クレーマイアー
(72)【発明者】
【氏名】トアステン フォス
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-059430(JP,A)
【文献】特開2016-080704(JP,A)
【文献】独国実用新案第202007001066(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 38/02,38/06
B21C 51/00
G01B 21/30
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定ロールを介してガイドされる帯状の物
品の特性を検出するための測定ロールであって、前記測定ロールは、
内実のロールとして形成され、周面を有する測定ロール本体、
前記測定ロール本体における少なくとも1つの凹部であって、前記周面に対して間隔を置いて配置されているか、または前記周面から前記測定ロール本体の内部へと通じている少なくとも1つの凹部、および
前記凹部内に配置されている第1の力センサ、および前記凹部内にまたは前記凹部に隣接する別の凹部内に配置されている第2の力センサ、
を有しており、
前記第1の力センサはセンサ面を有しており、前記第1の力センサは、前記第1の力センサの前記センサ面の位置が変化する際にセンサ信号を生成することができ、前記第2の力センサはセンサ面を有しており、前記第2の力センサは、前記第2の力センサの前記センサ面の位置が変化する際にセンサ信号を生成することができる、測定ロールにおいて、
前記第1の力センサは前記凹部内で前記第2の力センサに隣接して配置されていて、前記第1の力センサの前記センサ面は、前記第2の力センサの前記センサ面
に隣接しているか、
または前記第1の力センサは、前記測定ロールの半径方向で延在し、前記第2の力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記第1の力センサの前記センサ面の点と交差する
線である第1の線と、
第2の線との間の角度が65°未満となる程度に近くに、前記第2の力センサに近接して配置され、
前記第2の線は、
前記第2の力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記第1の力センサの前記センサ面の点と、前記第1の力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記第2の力センサの前記センサ面の点とを結ぶ線と、前記
第1の線とを含む平面に延在しており、かつ
前記
第1の線と前記周面との交点で前記
第1の線と交差しており、かつ
前記第1の力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記第2の力センサの前記センサ面の点に交差してい
る、ことを特徴とする、測定ロール。
【請求項2】
前記測定ロール本体は、1つの長手方向軸線に沿って延在する内実のロールであって、前記凹部は前記長手方向軸線に対して平行に延在している、請求項1記載の測定ロール。
【請求項3】
前記凹部は、前記測定ロール本体の一方の端面に配置されている開口を有している、請求項1または2記載の測定ロール。
【請求項4】
それぞれ1つのセンサ面を有する複数の力センサであって、前記複数の力センサの前記それぞれのセンサ面の位置が変化する際にそれぞれセンサ信号を生成することができる複数の力センサは、前記凹部内に、または互いに隣接する凹部内に配置されており、
1つの力センサの前記センサ面は、前記力センサに隣接する力センサのセンサ面
に隣接しているか、
または前記それぞれの力センサが、前記測定ロールの半径方向で延在し、前記それぞれの力センサに隣接する力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記それぞれの力センサの前記センサ面の点と交差する
第1の線と、
第2の線との間の角度が、65°未満となる程度に近くに、前記それぞれの力センサに隣接する力センサに近接して配置されており、
前記第2の線は、
前記隣接する力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記それぞれの力センサの前記センサ面の点と、前記それぞれの力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記隣接する力センサの前記センサ面の点とを結ぶ線と、前記
第1の線とを含む平面に延在しており、かつ
前記
第1の線と前記周面との交点で前記
第1の線と交差しており、かつ
前記それぞれの力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記それぞれの力センサに隣接する前記力センサの前記センサ面の点に交差してい
る、請求項1から3までのいずれか1項記載の測定ロール。
【請求項5】
前記凹部内における各力センサにおいて、
前記力センサの前記センサ面は、前記力センサに隣接する力センサの前記センサ面
に隣接しているか、
または前記それぞれの力センサが、前記測定ロールの半径方向で延在し、前記それぞれの力センサに隣接する力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記それぞれの力センサの前記センサ面の点と交差する
第1の線と、
第2の線との間の角度が、65°未満となる程度に近くに、前記それぞれの力センサに隣接する力センサに近接して配置されており、
前記第2の線は、
前記隣接する力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記それぞれの力センサの前記センサ面の点と、前記それぞれの力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記隣接する力センサの前記センサ面の点とを結ぶ線と、前記
第1の線とを含む平面に延在しており、かつ
前記
第1の線と前記周面との交点で前記
第1の線と交差しており、かつ
前記それぞれの力センサの前記センサ面の最も近くにある、前記それぞれの力センサに隣接する前記力センサの前記センサ面の点に交差してい
る、請求項4記載の測定ロール。
【請求項6】
前記第1の力センサおよび前記第2の力センサは、それぞれ圧電式力センサ、ひずみゲージ、または光学的力センサである、請求項1から5までのいずれか1項記載の測定ロール。
【請求項7】
前記第1の力センサは、予荷重をかけられて前記凹部内に組み込まれている、請求項1から6までのいずれか1項記載の測定ロール。
【請求項8】
前記第1の線と前記第2の線との間の角度が65°未満となる程度に近くに、近接して配置される前記力センサは、同一の凹部内に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の測定ロール。
【請求項9】
測定ロールを介してガイドされる帯状の物
品の特性を検出するための方法であって、
前記帯状の物品を、請求項1から
8までのいずれか1項記載の測定ロールを介して、前記帯状の物品が前記測定ロールに部分的に巻き掛けられるようにガイドし、
巻き掛けにより生じる押圧力に基づき生じる、第1の力センサのセンサ面の位置の変化により前記第1の力センサが生成するセンサ信号を、評価ユニットへと供給し、
巻き掛けにより生じる押圧力に基づき生じる、第2の力センサのセンサ面の位置の変化により前記第2の力センサが生成するセンサ信号を、評価ユニットへと供給し、
前記評価ユニットは、前記第1の力センサの前記センサ信号と、前記第2の力センサの前記センサ信号とに依存した情報を生成する
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
測定ロールを介してガイドされる帯状の物
品の特性を検出するための
、請求項1から
8までのいずれか1項記載の測定ロールの使用。
【請求項11】
前記測定ロールを介してガイドされる帯状の物品は金属帯である、請求項1から8までのいずれか1項記載の測定ロール。
【請求項12】
前記測定ロールを介してガイドされる帯状の物品は金属帯である、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記測定ロールを介してガイドされる帯状の物品は金属帯である、前記帯状の物品の平坦度を検出するための、請求項10記載の測定ロールの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ロールを介してガイドされる帯状の物品、特に金属帯の特性を検出するための測定ロールに関する。さらに本発明は、測定ロールを介してガイドされる帯状の物品、特に金属帯の特性を検出するための方法に関する。また本発明は、このような測定ロールの使用に関する。
【0002】
測定ロールは、金属帯の冷間圧延および熱間圧延の際に使用され、例えば、独国特許出願公開第4236657号明細書により公知である。
【0003】
帯材の圧延の際の平坦度の従来の測定のために、実質的に、力センサを備えた測定ロールを介して帯材を所定の巻き掛け角度でガイドする方法が使用される。
【0004】
このようにして、独国特許出願公開第4236657号明細書に記載の測定ロールでは、力エンコーダ、または測定ロール表面に向かって開放された、測定ロールの半径方向の凹部内に配置された、力エンコーダのカバーと、帯材との間で接触が生じる。凹部の底面に緊締された力センサと、力センサを取り囲む凹部壁との間には、円筒状のギャップがある。汚染物、例えば帯材摩耗屑および潤滑剤が、力センサと測定ロール本体との間のリングギャップ内に進入するのを阻止するために、このギャップを、Oリングによって肩部を密封するように、またはプラスチック層によって正面部を密封するように閉鎖することができる。独国特許出願公開第4236657号明細書の
図1cに示されているように、エンコーダを、内実のロールの凹部内に配置してから、取付け加工されたダイヤフラムによってカバーすることもできる。
【0005】
力センサを取り囲む壁から間隔を置いた力センサの配置、およびOリングまたは十分に弾性的なプラスチック(独国特許出願公開第19616980号明細書)によるリングギャップの閉鎖によって、圧延中、測定ロールの本体で生じる横方向力が、力センサもしくは測定結果に外乱として作用することを阻止している。このような外乱力は、測定ロールに作用する帯張力、およびこれに伴う測定ロールの撓みの結果、生じる。この場合、測定ロールの横断面は、その長軸が帯材に対して平行に延在している楕円の形状をとる。測定ロールの撓みが力の分岐によりエンコーダに伝達されると、測定ロールの撓みは、力センサに帯材の非平坦性として誤認される。リングギャップ内でシール部材を使用する場合、シール力は必然的に力センサに作用するので、このような力の分岐を完全に回避することはできない。
【0006】
独国特許第10207501号明細書により、帯状の物品、特に金属帯を処理する際の平坦度偏差を検出するための内実のロールが公知であり、この内実のロールは、凹部内に配置された力センサを有していて、この力センサには軸方向でアクセス可能である。軸方向に延在する凹部の形成は、しばしば、深穴加工工具によって実施される。1000mmよりも大きいロール幅を備えた測定ロールでは、凹部の端面側からの穿孔のために、穴加工工具を最初に、部分的に極めて長いジャーナルを越えて通さなければならないので、極めて長い穴加工工具を使用しなければならない。穿孔通路の延在がしばしば原因である。
【0007】
独国実用新案第202007001066号明細書により、帯状の物品、特に金属帯を加工する際の平坦度偏差を検出するための測定ロールであって、測定ロール本体と、測定ロール本体を少なくとも部分的に取り囲むカバー管と、凹部内に配置された力センサとを有した測定ロールが公知であり、この場合、凹部は、測定ロールの一方の端面から、測定ロール本体内へかつ/またはカバー管内へ延在している。凹部を端面側でカバーによって閉鎖することができる。この測定ロールのそれぞれ端面に設けられたジャーナルは、測定ロール本体に成形されている。この測定ロールの欠点は、凹部を設けることにより、測定ロール本体もしくはカバー管が脆弱になることである。幅の広い測定ロールでは、深穴加工の場合のように、軸受ジャーナルを通過することも大きな欠点である。別の問題は、通路/溝は、独国特許第10207501号明細書の場合のように、穿孔工具(円形の通路)によってではなく、フライス工具(多角形の通路)によって製作されるので、端面まで設けられた通路/溝の摩耗が生じることにある。
【0008】
従来技術の測定ロールは、測定ロールの周囲にわたって分配された個々のセンサによって帯材の平坦度を求める。この場合、個々のセンサの測定結果は、平坦度を求めるために評価の際にしばしば相互に関連付けられる。従来技術の測定ロールでは、金属帯が振動するときに常に測定誤差が発生する。これは例えば、測定ロールがリールの近くに配置されている場合である。振動により、個々の力センサに作用する力の値はもはや帯材の帯張力および平坦度のみに依存するものではなくなり、振動によって増減されるようになる。これにより、周囲にわたって分配された個々のセンサの測定結果を相互に比較する評価方法ではまさに測定誤差が生じる。
【0009】
本発明の根底にある課題は、このような測定ロールによって実施される、測定ロールを介してガイドされる帯状の物品の特性の検査の情報価値を高めることにある。
【0010】
この課題は、請求項1、8、および9の対象により解決される。好適な実施形態は、従属請求項に記載されており、以下の説明で詳しく説明する。
【0011】
本発明は、測定ロールの測定ロール本体の1つの凹部内に第1の力センサを第2の力センサの側方に配置するという基本的思想から出発しており、両力センサは、第1の力センサのセンサ面が第2の力センサのセンサ面に直接隣接する程度に近く互いに隣接して配置されているか、または第1の力センサは、測定ロールの半径方向で延在し、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と交差する端部境界線と、
・第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線と周面との交点で端部境界線と交差しており、かつ
・第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点に交差している線との間の角度が、65°未満である程度に近く、第2の力センサに隣接して配置されている。代替的に本発明は、第1の力センサを測定ロールの測定ロール本体の第1の凹部内に配置し、第2の力センサを、第1の凹部に隣接する第2の凹部内に配置するという基本的思想から出発しており、これらの両力センサは、測定ロールの半径方向で延在し、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と交差する端部境界線と、
・第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線と周面との交点で端部境界線と交差しており、かつ
・第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点に交差している線との間の角度が、65°未満である程度に近く、互いに隣接して配置されている。
【0012】
従来技術により、複数の力センサを、測定ロール本体の1つの凹部内に配置することが公知である。独国特許第10207501号明細書の3段落1~2行では、複数の力センサを1つの凹部内に互いに間隔を置いて配置することが教示されている。米国特許出願公開第2013/0298625号明細書の
図2にも同様に、互いに離間して配置された複数の力センサが示されている。独国特許出願公開第102014012426号明細書の段落[0021]には、複数の力センサを1つの凹部内に配置することが教示されており、この教示はこの明細書の
図2において、この凹部内に複数の力センサが互いに離間されて配置されていることにより具体化されている。従来技術からは、1つの凹部内に配置された複数の力センサの場合、これら力センサは明らかに互いに間隔を置いて配置されているという一般的な教示が読み取れる。その根底には、設けられている(少数の)力センサをそれぞれの凹部内にできるだけ広く分配させて、凹部の長さによって規定される可能な測定領域の幅にわたってできるだけ広く測定を行おうとする努力がうかがえる。さらに、凹部内における複数の力センサの広く間隔を置いたこのような配置の根底には、誤測定を回避するための考えがあるのだろう。測定ロール本体の1つの凹部内に、測定ロール本体の周面から離間されて配置された1つの力センサによって、測定ロールの測定ロール本体に半径方向で作用する力を測定する場合には、半径方向に作用する力が、力センサのセンサ面に到達するために通過しなければならない測定ロール本体の材料によって、散乱されるという問題がある。このような現象は応力コーンまたは「Roetscherkegel」と呼ばれる。この作用により、1つの凹部内において互いに大きく離間された複数の力センサの配置が有利とされる。このようにして、互いに隣接して配置された2つの力センサが、平坦度測定の過程で、測定ロール本体の周面の一点に作用する唯1つの半径方向力によって生じる測定信号を送り、従来技術のいくつかの評価方法のために実際に、2つのセンサのうちの一方のみによって測定しなければならないことを回避することができる。
【0013】
本発明により、今や、帯状の物品、特に金属帯の平坦度測定の範疇でも、測定ロールを介してガイドされる帯状の物品の別の特性の検出でも、凹部内の第1の力センサが、第1の力センサのセンサ面が第2の力センサのセンサ面に直接隣接する程度に近く第2の力センサに隣接して配置されているか、または測定ロールの半径方向で延在し、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と交差する端部境界線と、
・第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線と周面との交点で端部境界線と交差しており、かつ
・第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点に交差している線との間の角度が、65°未満である程度に近く、第2の力センサに隣接して配置されているならば、効果が得られることが認識された。
【0014】
本発明により、可能な限り多数の力センサを一列に配置することができる。これにより、測定ロールの周囲に沿った測定個所数を減じることができる。さらに好適な実施形態では、特性を、例えば平坦度を検出するために必要な全ての力センサを、軸方向に延在する唯1つの凹部内に、または半径方向に延在する互いに隣接して配置された複数の孔かから成る唯1つの列内に配置することが考えられる。1つの線上における個々のセンサの集中的なこのような配置により、振動による測定結果への影響が減じられる。このように配置された全てのセンサは、帯状の物品を同じ振動状態で見るので、相対的な情報をより正確に得ることができる。これにより、このような測定ロールによって実施される、測定ロールを介してガイドされる帯状の物品の特性の検査の情報価値が高められる。平坦度の測定のために、本発明による力センサの配置により、実際の平坦度のより高い解像度およびより正確な結像という利点が提供され得る。
【0015】
本発明による測定ロールは測定ロール本体を有している。好適には、測定ロール本体は、閉じた周面を有している。好適な実施形態では、測定ロール本体は、長手方向軸線に沿って延在する内実のロールである。内実のロールとは、一体的であって、その形状は、一次成形法、例えば鋳造によって製作されており、かつ/またはそのジオメトリ形状は、分離法、特に機械加工によって、特に旋削、穿孔、フライス加工、または研削によって、一体的な半製品から製作される測定ロール本体を意味する。好適な実施形態では、内実のロールとして形成されたこのような測定ロール本体はでは、例えばボールベアリングで測定ロールを回転可能に軸受するために、測定ロールのそれぞれ端面に配置された測定ロールジャーナルも、一体的な本体の部分である。しかしながら、例えば独国実用新案第202014006820号明細書の
図2に示されているような、測定ロール本体の主要部分が円筒状の内実のロールとして形成されていて、この内実のロールが端面に配置されたカバーを有していて、カバーに測定ロールジャーナルが形成されている構成形式も考えられる。さらに、本発明による測定ロール本体は、例えば、独国実用新案第202014006820号明細書の
図3で説明されている測定ロール本体のように形成することができ、この場合、測定ロール本体に一体のジャーナルが形成されていて、測定ロール本体上にカバー管が被せられている。しかしながら、特に好適な実施形態では、測定ロールはカバー管を有しておらず、内実のロールとして形成されている。本発明による測定ロール本体が、例えば独国特許第2630410号明細書に示されているように、互いに隣接して配置された個別のプレートから形成される実施形態も考えられる。
【0016】
本発明による測定ロールの測定ロール本体は、好適には閉じた周面を有している。閉じた周面は例えば、測定ロール本体を内実のロールとして形成し、測定ロール本体内に設けられた全ての凹部を、いずれの凹部も凹部から周面へと通じていないように形成することにより得ることができる。このような実施形態では、凹部は特に好適には軸方向にガイドされ、測定ロール本体の端面に1つの開口を有しているか、または測定ロール本体の内側で、凹部から半径方向でさらに測定ロール本体の内部へと、例えば測定ロール本体の中央における集合通路へと通じる横方向通路が設けられる。測定ロール本体の閉じた周面はさらに、それぞれの凹部が、周面に向かう方向で通じている凹部を有している実施形態では、これらの凹部が閉鎖エレメントによって閉鎖されることにより得られる。このような閉鎖エレメントは、例えば独国特許出願公開第102014012426号明細書の
図3および
図4に示されたような、測定ロール本体の基体を全体的に取り囲むカバー管であり得る。しかしながら、閉鎖エレメントを、独国特許出願公開第19747655号明細書に示されたカバーの形式で形成することもできる。しかしながら好適な実施形態では、測定ロールはカバー管を有しておらず、内実のロールとして形成されていて、いずれの凹部も、凹部から周面へと通じていないものとして、またはそれぞれの凹部が、周面に向かう方向で通じている凹部であるが、例えばカバーのような閉鎖エレメントによって閉鎖されているものとして形成されている。さらに、例えば測定ロールを介してガイドすべき帯状の物品の摩擦低減のために、または保護のために、内実のロールの周面を、またはカバー管の周面を被覆することも考えられる。
【0017】
本発明による測定ロールの測定ロール本体には、少なくとも1つの凹部が設けられている。本発明の利点は、測定ロール本体に設けられる単一の凹部によって既に得ることができることが示されている。したがって、平坦度測定の際には、測定ロールを介してガイドされる帯状の物品の平坦度についての情報を測定ロールの一回転につき一度提供することが考えられる。
【0018】
好適な実施形態では、測定ロール本体は複数の凹部を有している。好適な実施形態では、これら複数の凹部は、測定ロール本体の長手方向軸線に対して同じ半径方向の間隔で形成されている。好適な実施形態では、全ての凹部は周方向で互いに等距離に分配配置されている。しかしながら、特に好適には、長手方向軸線に対して同じ半径方向の間隔で、周方向で等距離に分配配置された第1のグループの凹部が設けられていて、この第1のグループの凹部に加えて付加的に、少なくとも1つの別の凹部が設けられており、この別の凹部は、長手方向軸線に対する半径方向の間隔が第1のグループの凹部とは異なるように形成されていて、かつ/またはその他の凹部に対して、その他の凹部が互いに対して有している等間隔は周方向で有していない実施形態も考えられる。したがって、例えば、平坦度測定に関しては、測定ロールを、例えば独国特許出願公開第10207501号明細書により公知の内実のロールのような、または独国特許出願公開第102014012426号明細書により公知の測定ロールのような従来技術の測定ロールのように構成することが考えられるが、この場合、本発明による構成のために、従来技術のこのような測定ロールに、例えば別の測定を実施する、パターンの外側に構成された別の凹部を設けることができる。好適には、この段落で挙げた凹部は、測定ロール本体の軸方向で延在する凹部である。測定ロールが唯1つの凹部を有していて、測定ロールの全ての力センサが、唯1つの凹部内に、例えば軸方向で延在する唯1つの凹部内に配置されている実施形態も考えられる。
【0019】
好適な実施形態では、測定ロール本体は、閉じた周面を有しており、端面側でそれぞれ端面によって閉じられている。好適な実施形態では、端面は、周面に対して約90°の角度で配置されている。
【0020】
好適な実施形態では、測定ロールは軸受ジャーナルを有している。好適な実施形態では、軸受ジャーナルは、端面を有する測定ロールの実施形態では、端面に形成されている。
【0021】
好適な実施形態では、測定ロール本体は円筒状に形成されている。
【0022】
本発明による測定ロールは、本発明の第1の態様では、測定ロール本体に少なくとも1つの凹部を備えて形成されていて、この凹部は周面に対して間隔を置いて配置されており、この凹部は、周面に向かって開かれておらず、もしくは凹部から続く別の凹部、例えば孔は周面へと通じていない。本発明の第2の態様では、凹部は、周面から、測定ロール本体の内部へと通じているが、閉鎖エレメントによって閉鎖されている。好適な実施形態では、測定ロールが、測定ロール本体に複数の凹部を有して形成されている実施形態で、これら凹部は周面に対して間隔を置いて配置されており、全ての凹部は、凹部が、例えば孔が、凹部から周面へと通じていない(かつ凹部自体が周面に開口していない)ように形成されているか、またはいくつかの凹部が、それぞれの凹部から周面へと凹部が通じていないように形成されていて、別の凹部では、周面に向かう方向で通じる凹部が設けられているが、これら凹部は閉鎖エレメントによって閉鎖されているように形成されている。閉鎖エレメントは、上述したように、カバーまたは例えばカバー管である。
【0023】
好適な実施形態では、測定ロール本体の1つの凹部が、測定ロール本体の長手方向軸線に対して平行な方向に延在している。好適な実施形態によれば、測定ロール本体に複数の凹部が設けられている場合、測定ロール本体の全ての凹部がそれぞれ、測定ロール本体の長手方向軸線に対して平行な方向で延在していると好適である。好適な実施形態では、それぞれの凹部は、少なくとも一方の端部で、好適には両方の端部で、測定ロール本体の端面で開口している。測定ロール本体の一方の端面で終端している凹部を、エンドキャップによって閉鎖することができ、このエンドキャップはこの凹部のみを閉鎖する。また、例えば独国特許出願公開第102014012426号明細書の
図1および
図2もしくは
図4に示されたように、測定ロール本体の端面をカバーによって全体的に閉鎖する実施形態も考えられる。
【0024】
好適な実施形態では、凹部は細長く形成されていて、この場合「細長く」とは、凹部が第1の方向(凹部の長手方向)で、この方向に対してほぼ垂直に延びる方向よりも大きいことを意味する。好適な実施形態では、細長い凹部の長手方向での延在は、この方向に対してほぼ垂直に延びる方向よりも2倍、または特に好適には2倍よりも大きい複数倍大きい。好適な実施形態では、凹部の長手方向は、測定ロール本体の長手方向と共に、75°未満の、特に好適には45°未満の、特に好適には30°未満の、特に好適には10°未満の、特に好適には5°未満の角度を成している。好適な実施形態では、凹部の長手方向は、測定ロール本体の長手方向軸線に対して垂直には延在していない。1つの実施形態において考えられるように、凹部の長手方向軸線と測定ロール本体の長手方向軸線とが交差しない場合には、上述したような設計規定は、測定ロール本体の長手方向軸線を含む平面への凹部の長手方向軸線の投影図に該当する。したがってこのような実施形態では、測定ロール本体の長手方向軸線を含む平面への凹部の長手方向軸線の投影図は、凹部の長手方向の投影図が、測定ロール本体の長手方向と共に、75°未満の、特に好適には45°未満の、特に好適には30°未満の、特に好適には10°未満の、特に好適には5°未満の角度を成すように形成されている。凹部が測定ロール本体の長手方向軸線に対して平行に延在している好適な実施形態では、凹部の長手方向軸線は明らかに、測定ロール本体の長手方向軸線と交差せず、同様に、測定ロール本体の長手方向軸線を含む平面への長手方向軸線の投影図も測定ロール本体の長手方向軸線と殆ど交差しない。独国実用新案第202007001066号には例えば、細長く形成された凹部を備えた測定ロールが示される。
【0025】
別の好適な実施形態では、凹部は細長く形成されるのではなく、例えば独国特許出願公開第19838457号明細書のように、半径方向に延びるポケットとして形成されている。このような実施形態では、半径方向に延在する凹部をその横断面で、例えば横断面が数字の8の形状を有している場合に2つの力センサを収容することができるような大きさに形成することができる。代替的にこの実施形態では、凹部につきそれぞれ1つの力センサを設けることができるが、この場合、これらの凹部は、測定ロールの半径方向で延在し、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と交差する端部境界線と、
・第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線と周面との交点で端部境界線と交差しており、かつ
・第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点に交差している線との間の角度が、65°未満である程度に近く、互いに隣接して配置されている。
【0026】
好適な実施形態では、測定ロールの1つの凹部に(測定ロールが1つの凹部しか有していない場合には、その凹部に)、第1の力センサと第2の力センサとが配置されている。第1の力センサはセンサ面を有しており、この場合、この力センサは、第1の力センサのセンサ面の位置が変化した場合にセンサ信号を生成することができる。さらに第2の力センサはセンサ面を有しており、この場合、第2の力センサは、第2の力センサのセンサ面の位置が変化した場合にセンサ信号を生成することができる。力センサは、力を、特に好適には押圧力を測定するために使用されるので、力センサと呼ばれる。力センサに作用する力を測定するために、力センサは、センサ面を有していて、センサ面の位置が変化した場合にセンサ信号を生成することができるように形成されている。力センサは多くの場合、所属の基準系を有しており、この基準系におけるセンサ面の位置の変化に反応する。しばしば力センサはケーシングを有している。この場合、基準系はしばしばケーシングである。力センサは、このような実施形態では、例えば、ケーシングに対して相対的にセンサ面の位置が変化したかどうかを検出することができる。力センサが、例えば圧電式の力センサとして形成されているならば、圧電石英を有しており、圧電石英は、基準面に対して相対的に、例えば圧電石英の対向する表面に対して相対的に、圧電石英の表面の位置が変化した場合に、例えば圧電石英が圧縮された場合に、電気信号を生成することができる。ひずみゲージとして形成された力センサでは、力センサの表面の位置変化により、測定ワイヤの、もしくは測定ワイヤから形成された測定格子の長さが変化し、主として延伸され、しかしながら部分的には押し潰される。光学的な力センサとして形成された力センサでは、力センサの光学特性、例えば屈折率または反射特性が、表面の位置変化により変化する。
【0027】
本発明により装着される力センサはセンサ面を有していて、力センサに作用する力を特定するために、力センサのセンサ面の位置変化が監視される。センサ面が、センサ信号を生成するためにその特性が変化するエレメントの表面である、例えば圧電石英自体の表面である実施形態が考えられる。しかしながら多くの場合、このような形式の力センサでは、センサ面が形成されている中間部材が設けられている。多くの場合、このような形式の中間部材は剛性のブロックであって、このブロックでは、剛性のブロックの一方の表面の位置の変化は、ブロックの剛性に基づき、対向する面の位置の変化に直接つながる。このような形式の中間部材は、センサ面を、力センサのその他の部分から、特にケーシングから突出させて形成するために使用することができる。力センサの他の部分よりも突出したセンサ面により、環境が作用することができる明確に定義された面が形成されるので、測定精度は高まる。突出したセンサ面により、例えば、力の分岐による測定誤差は回避され得る。本発明による力センサは、例えば独国特許出願公開第1773551号明細書に示された力センサのように形成することができ、1つのケーシング内に配置された、2つの力伝達プレートの間に配置された、多層の結晶アッセンブリから成る圧電素子を有することができる。このような実施形態では、センサ面は、独国特許出願公開第1773551号明細書の
図1の上方の力伝達プレートの外表面または独国特許出願公開第1773551号明細書の
図1の下方の力伝達プレートの外表面である。
【0028】
好適な実施形態では、センサ面は平坦に形成されている。好適な実施形態では、第1の力センサの平坦なセンサ面の面法線は、周面に向かう方向に向いている。第2の力センサのセンサ面の面法線も、好適な実施形態では同様に平坦に形成されていて、好適な実施形態では同様に周面に向かう方向に向いている。好適な実施形態では、第1の力センサのセンサ面の面法線は、第2の力センサのセンサ面の面法線に対して平行である。好適な実施形態では、測定ロール本体の半径方向は、第1の力センサおよび/または第2の力センサのセンサ面の面法線である。
【0029】
好適な実施形態では、平坦に形成されたセンサ面の面法線は、センサ面が測定ロール本体の半径方向の線と交差する、センサ面の点で、測定ロール本体のこの半径方向の線に対して、45°未満の、特に好適には20°未満の、特に好適には10°未満の、特に好適には5°未満の角度を成している。
【0030】
好適な実施形態では、本発明による測定ロールで使用される力センサの、特に第1の力センサおよび/または第2の力センサのセンサ面は、平坦な面である。
【0031】
好適な実施形態では、第1の力センサのセンサ面は、測定ロール本体の長手方向軸線を含み、力センサのセンサ面に交差し、センサ面の面法線も位置している平面に関して対称に形成されている。
【0032】
好適な実施形態では、センサ面はリング状に、特に円環状に形成されている。センサ面が円形または楕円形に形成されている実施形態も好適である。方形の、正方形の、または多角形のセンサ面も考えられる。好適な実施形態では、センサ面は平坦に形成されている。
【0033】
好適な実施形態では、センサ面は、力センサのその他のエレメントから突出した面であって、凹部の境界面と接触している、もしくは凹部を周面に対して閉鎖する閉鎖面と接触している面である。
【0034】
好適な実施形態では、本発明による測定ロールで使用される少なくとも2つの力センサは、特に好適には本発明による測定ロールで使用される力センサのうちのいくつかは、特に好適には、本発明による測定ロールで使用される全ての力センサは、同様に形成されていて、したがって、同じ形式で、特に同じ型式で、特に好適には同一に形成されている。
【0035】
本発明による測定ロールの第1の変化態様によれば、第1の力センサは凹部内で、第2の力センサに隣接して配置されている。これは、第1の力センサのセンサ面は、第2の力センサのセンサ面よりも、測定ロール本体の端面により近く配置されていることを意味する。第1の力センサが凹部内で、第2の力センサに対して周方向でずらされて配置されていることが考えられる。しかしながら、好適な実施形態では、第1の力センサと第2の力センサとは周方向で互いにずらされずに配置されている。
【0036】
好適な実施形態では、第1の力センサおよび第2の力センサは、測定ロール本体の長手方向軸線に対して同じ半径方向の間隔を置いて配置されている。
【0037】
本発明による測定ロールでは、第1の力センサのセンサ面が、第2の力センサのセンサ面に直接隣接しているか、または第1の力センサは、測定ロールの半径方向で延在し、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と交差する端部境界線と、
・第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線と周面との交点で端部境界線と交差しており、かつ
・第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点に交差している線との間の角度が、65°未満である程度に近く、第2の力センサに隣接して配置されている。
【0038】
上述した本発明による両代替的な態様のうち、第1の力センサのセンサ面が、第2の力センサのセンサ面に直接隣接している態様が特に好適である。したがって例えば、円形のまたは円環状のセンサ面の場合、円形にまたは円環状に形成された第1のセンサ面の周囲に位置する点が、円形にまたは円環状に形成された第2のセンサ面の周囲に位置する点に隣接している。本発明のこのような構成では、測定ロールの周囲に作用する半径方向力は、完全に測定することができる。しかしながらこのような形式の配置は力の分岐につながり、第1のセンサ面に作用する力に基づく第1のセンサ面の動きは、例えば、センサ面の周縁における摩擦によって、第2のセンサ面を動かすことが予想される。力の分岐は、センサ面の周面が、摩擦力を伝達しないほど平滑に形成されている場合にのみ阻止され得る。したがって、実際に関連する実施の際には主として、各センサ面の測定結果が、隣接するセンサ面の負荷により影響を受けないように、センサ面を互いに僅かに間隔を置いて配置することが前提とされている。
【0039】
本発明による別の代替的な態様では、センサ面が互いに間隔を置いて配置されてはいるが、測定ロールの半径方向で延在し、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と交差する端部境界線と、
・第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線と周面との交点で端部境界線と交差しており、かつ
・第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点に交差している線との間の角度が、65°未満である程度に互いに近くに配置されている。
【0040】
本発明による特許請求された設計規定は、半径方向に延在する端部境界線を前提としている。測定ロールは、実際の使用では通常、半径方向に作用する力の測定のために使用される。このような力は、検査すべき帯状の物品が測定ロールに部分的に巻き掛けられている場合に生じる。端部境界線は、端部境界線が周面に交差する点によって、半径方向に作用する力がまだまっすぐに、一方の力センサのセンサ面の上方に位置している点を規定し、円形に形成されたセンサ面であっても円環状に形成されたセンサ面であっても、センサ面の周囲に位置する点の上方でのみ規定する。
【0041】
このような端部境界線を前提として、本発明は、隣接するセンサ面に対する間隔を、
・第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線と周面との交点で端部境界線と交差しており、かつ
・第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点に交差している線の角度位置を介して、規定している。
【0042】
本発明によれば、これらの線の間の角度は、65°未満、特に好適には55°未満、特に好適には45°以下、特に好適には40°以下、特に好適には35°以下、特に好適には30°以下、特に好適には20°以下、特に好適には10°以下、特に好適には5°以下である。
【0043】
したがって、本発明によれば、第2のセンサ面の部分が、端部境界線と周面との交点で周面に作用する、半径方向で作用する力を起点とする「Roetscherkegel」の内側にある実施形態も設けられる。
【0044】
好適な実施形態では、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線は、測定ロールの長手方向軸線に対して平行に延在している。これは、特に、第1の力センサと第2の力センサとが、1つの細長い凹部内に配置されていて、凹部の長手方向延在の方向が、測定ロールの長手方向軸線に対して平行に延びている場合である。しかしながら、第1の力センサが第1の半径方向の凹部内に、好適にはポケット内に配置されていて、第2の力センサが第2の半径方向の凹部内に好適にはポケット内に配置されている実施形態も考えられる。このような実施形態では、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線は、同様に測定ロールの長手方向軸線に対して平行に延在している。しかしながら、第1の力センサの半径方向の凹部が軸方向で(測定ロールの長手方向軸線に対して半径方向で)かつ測定ロールの周方向で、第2の力センサの半径方向の凹部に対してずらされて配置されている実施形態も考えられる。このような実施形態では、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線は、測定ロールの長手方向軸線に対して平行に延在していない。この線のこのような向きは、細長い凹部であって、その長手方向軸線が測定ロール本体の長手方向軸線に対して平行に延在しているのではなく、周方向に向けられた成分を有している凹部でも生じる。
【0045】
好適な実施形態では、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線が、測定ロールの長手方向軸線に対して垂直に延在している平面に対して角度を成して、好適には1°よりも大きい角度を、特に好適には5°よりも大きい角度を、特に好適には10°よりも大きい角度を、特に好適には15°よりも大きい角度を、特に好適には20°よりも大きい角度を、特に好適には25°よりも大きい角度を、特に好適には30°よりも大きい角度を、特に好適には45°よりも大きい角度を、成して延在している。好適な実施形態では、この角度は90°以下である。この角度が、特に好適な実施形態により90°であるならば、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線は、測定ロールの長手方向軸線に対して平行に延在している。好適な実施形態では、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とは、周方向で相前後して位置していない。
【0046】
本発明による認識は、センサ面が、測定ロール本体の周面の最も近くに位置する凹部境界面に接している実施形態のために、ウェブの高さに関して表現することができ、この場合、ウェブとは、測定ロール本体の周面と、測定ロール本体の周面の最も近くに位置する凹部境界面との間の材料を意味する。ウェブの高さは、2mm以上であってよく、好適には5mm以上であってよく、かつ好適には20mm以下であり、好適には15mm以下であり、特に好適には12mm以下である。本発明による認識の代替的な表現方法では、第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点は、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点から、ウェブの高さの2.2倍未満だけ離れていて、好適にはウェブの高さの2倍未満だけ離れており、特に好適には1倍以下だけ離れている。
【0047】
好適な実施形態では、第1の力センサおよび第2の力センサは、測定ロール本体一方の端面から、測定ロール本体の対向する端面へと通じている1つの凹部内に配置されている。代替的な構成形態では、第1の力センサと第2の力センサとが配置されている凹部は、測定ロール本体の長手方向軸線に対して平行な方向で続いていて、測定ロール本体の長さを端面から端面へと(すなわちジャーナルを考慮せずに)測定した場合に得られる測定ロール本体の長さの少なくとも50%を超えて、特に好適には少なくとも60%を超えて、特に好適には少なくとも75%を超えて、特に好適には少なくとも80%を超えて、特に好適には少なくとも90%を超えて、特に好適には少なくとも95%を超えて延在している。
【0048】
測定ロールが複数の凹部を有している実施形態では、全ての凹部が同様に形成されている、すなわち互いに平行な長手方向の延在を有していて、同じ長さを有している実施形態が考えられる。代替的な実施形態では、複数の凹部を備えた測定ロールが、少なくとも1つの凹部が上述の設計規定を満たすように、すなわち測定ロール本体の長さを端面から端面へと(すなわちジャーナルを考慮せずに)測定した場合に得られる測定ロール本体の長さの少なくとも50%を超えて、特に好適には少なくとも60%を超えて、特に好適には少なくとも75%を超えて、特に好適には少なくとも80%を超えて、特に好適には少なくとも90%を超えて、特に好適には少なくとも95%を超えて延在しているように構成されていることが考えられ、他の凹部については、より短く構成されていることが考えられる。独国特許第10207501号明細書の
図5は、凹部の深さを螺線状に段階的にする可能性を示している。このような実施形態は、凹部の長さの選択に関して、ここに示した軸方向に延在する凹部が、測定ロールの一方の端面から対向する端面へと延在するように構成されることが補足され得る。
【0049】
好適な実施形態では、凹部は、測定ロール本体の一方の端面に配置されている開口を有している。この凹部は、開放状態で形成されていてよい。しかしながら、凹部をカバーによって閉鎖する構成形態も考えられる。端面に開口している複数の凹部が設けられている場合には、この実施形態では各凹部が固有のカバーを有している。特にこのような実施形態で、測定ロールが複数の凹部を有している本発明による測定ロールの実施形態も考えられ、この場合、測定ロール本体は、凹部の開口をまとめて閉鎖するための1つの端面側のカバーを、例えば、独国特許出願公開第102014012426号明細書の
図1または
図2に示されたようなカバーを有している。同様に、測定ロールが複数の凹部を有している実施形態に関しては特に、これらの凹部がそれぞれ、測定ロール本体の一方の端面に配置されている開口を有していて、これらの開口が、例えば独国特許第10207501号明細書の
図1に示されるような端面側の1つのカバーによって閉鎖されることが考えられる。
【0050】
好適な実施形態では、測定ロールは、全て1つの凹部に配置されている複数の力センサを有している。特に好適には、1つの凹部に5よりも多い、特に好適には7よりも多い、特に好適には10よりも多い、特に好適には15よりも多い力センサが配置されている。
【0051】
好適な実施形態では、測定ロールは、第1の凹部を有していて、第1の凹部には複数の力センサが互いに隣接して配置されていて、特に好適には、5よりも多い、特に好適には7よりも多い、特に好適には10よりも多い、特に好適には15よりも多い力センサが第1の凹部に配置されており、この実施形態では測定ロールは別の凹部を有していて、この別の凹部にはそれぞれ1つだけの力センサが、または15よりも少ない、特に好適には10よりも少ない、特に好適には7よりも少ない、特に好適には5よりも少ない力センサが配置されている。
【0052】
複数の力センサが1つの凹部内に配置されている測定ロールの好適な実施形態では、力センサは、凹部の長さにわたって等距離で分配されていて、(凹部の端部に対する最後の力センサの間隔が、この最後の力センサがその隣接する(最後から1つ前の)力センサに対して有している間隔に相当しない実施形態については)少なくとも互いに等距離に分配されている。しかしながら、第1のグループの力センサが互いに等距離に配置されていて、第2のグループの力センサが、この第1のグループの力センサに対して異なる間隔を置いて配置されている実施形態も考えられ、この場合、第2のグループの力センサも互いに等距離に配置することができる。したがって、凹部の内側には所定の区域を形成することができ、この区域の内側では、力センサは互いにより近く配置されており、この区域の外側に設けられた別の力センサはより広く互いに離間されて配置されている。
【0053】
複数の力センサを有する実施形態は、力センサがポケットに配置されている、測定ロールの本発明による基本型においても置き換えることができる。このような実施形態では、複数の、特に好適には5よりも多い、特に好適には7よりも多い、特に好適には10よりも多い、特に好適には15よりも多いポケットが互いに隣接して配置されていて、各ポケット内に配置されたそれぞれ1つの力センサは、測定ロールの半径方向で延在し、それぞれの力センサに隣接する力センサのセンサ面の最も近くにある、それぞれの力センサのセンサ面の点と交差する端部境界線と、
・隣接する力センサのセンサ面の最も近くにある、それぞれの力センサのセンサ面の点と、それぞれの力センサのセンサ面の最も近くにある、隣接する力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線と周面との交点で端部境界線と交差しており、かつ
・それぞれの力センサのセンサ面の最も近くにある、それぞれの力センサに隣接する力センサのセンサ面の点に交差している線との間の角度が、65°未満である程度に、隣接するポケット内に配置された隣接する力センサの近くにある。好適な実施形態では、このような設計規定は、この測定ロールの全ての力センサによって満たされる。代替的な実施形態では、この設計規定は、測定ロールの力センサのいくつかによって、好適には複数の力センサによって満たされ、この設計規定を満たさない、内部に配置された力センサを有する別のポケットが設けられている。設計規定を満たす力センサを備えたポケットに関しては、これらポケットが1つの線内に配置されているならば、すなわちポケットの中心点が1つの線上に配置されているならば好適である。この線は、好適には、測定ロール本体の長手方向軸線に対して平行に、または測定ロール本体の長手方向軸線を中心として螺線状に延在している。設計規定を満たす力センサを備えたポケットに関しては、代替的な態様において、ポケットが互いにずらされて配置されていて、これによりそれぞれ次の次のポケットが、それぞれのポケットと共に1つの線上に位置していて、次のポケットはそれぞれのポケットに対してずらされて配置されていて、好適には1つの線上で、このポケットの次の次のポケットと共に配置されている。このような配置により、ポケットの密度を高めることができる。
【0054】
好適な構成では、力センサは凹部内に楔固定される。これにより、力センサを、特に好適な実施形態では、予め規定された予荷重により負荷することができる力センサは、楔固定により、凹部内側の力センサの位置で位置固定されるだけでなく、さらに予荷重力によって負荷することができる。測定ロールを通常運転で使用する場合、様々な運転条件のもとで、例えば温度変化によって、力センサのための組込み条件が変化する可能性があるので、予荷重力による負荷は好適である。したがって、力センサを凹部内に組み込む際に、ヒステリシスのない線的な測定を保証するために、運転使用時に全ての作動影響のもとで、力センサと凹部壁との間の力接続を維持し続けるような高さの予荷重力によって負荷することは好適である。
【0055】
力センサは、好適な実施形態では、凹部内で位置固定されるべきであり、すなわち楔固定されるべきであり、好適には楔固定により予荷重をかけられるべきである。好適な実施形態では、楔固定は、予荷重が力センサに加えられるように形成されている。この予荷重は特に好適には、ヒステリシスのない線的な測定を保証するために、運転使用時に全ての作動影響のもとで、力センサと凹部壁との間の力接続を維持し続けるように選択されている。
【0056】
緊締の際に様々な予荷重が生じる場合、これを簡単に測定技術的に補償することができる。しかしながら他方では、予荷重を、力センサおよび凹部の製造誤差を補償するために意図的に調節することができる。この場合、力センサが保持部材の間で不動に挟み込まれるまで、互いに動かされる楔状の保持部材、例えば緊締楔の間に、面平行な面を有する力センサを配置することができる。
【0057】
両保持部材のうち一方は、通常、力センサが配置されるべきところで、凹部内に定置に配置されていて、他方の保持部材は、凹部内に力センサが位置固定されるまで摺動される。これは、測定ロール本体に支持されていて、スペーサスリーブを介して可動な保持部材に作用する緊締ねじによって行うことができる。
【0058】
楔条片によって凹部内に位置固定される半径方向で可動なスライド部材内の複数の力センサの配置が特に好適である。スライド部材を、スペーサ条片内に配置することができ、緊締条片の楔状の保持突起によって半径方向外側に向かって押し、凹部内で緊締することができる。
【0059】
力センサに通じるラインを確実に取り付けるために、凹部を、平行に延在するライン通路に接続することができる。しかしながら代替的に、凹部を、横方向通路を介して、測定ロールに設けられた中央のケーブル凹部に接続することもできる。横方向通路は、測定ロールの本体内で延在することができ、または測定ロールの端面で開かれた通路として延在することができ、この場合はカバーによって閉鎖することができる。
【0060】
力センサのための保持部材または条片を凹部内でガイドするために、凹部に長手方向リブを設けることができ、この長手方向リブは、測定ロールの本体内の相補的なガイド溝内に係合する。
【0061】
好適な実施形態では、力センサは2対の内側および外側楔エレメントの間で保持される。これにより一方では、力センサを、測定すべき押圧力の作用方向に向けることができる。さらにこのような配置により、力センサの組付け位置を通って延在する、測定すべき押圧力の作用方向に対して垂直に配置された平面に関して、ホルダを形状的に対称に、可能であれば軸対称に形成することができる。
【0062】
上方から作用する押圧力を測定することができる力センサのためのホルダにより既に利点が得られ、このホルダは以下の構成要素を有している:
-力センサのために設けられた組込み位置の上方に配置された第1の内側楔エレメントであって、力センサの組込み位置に面した内面と、この内面に対して角度を成し、内面に対向する外面とを有している第1の内側楔エレメント、および
-第1の外側楔エレメントであって、力センサの組込み位置に面していて、第1の内側楔エレメントの外面上に載置される内面と、この内面に対向する外面とを有している第1の外側楔エレメント、および
-力センサのために設けられた組込み位置の下方に配置された第2の内側楔エレメントであって、力センサの組込み位置に面した内面と、この内面に対して角度を成し、内面に対向する外面とを有している第2の内側楔エレメント、および
-第2の外側楔エレメントであって、力センサの組込み位置に面していて、第2の内側楔エレメントの外面上に載置される内面と、この内面に対向する外面とを有している第2の外側楔エレメント。
【0063】
このようにして、凹部内のホルダおよび力センサの、並進運動による予荷重のために必要な楔アッセンブリが、ホルダの内部に設置される。ホルダの外面は、その内部にホルダと力センサとが緊締されている凹部の形状に適合することができ、同時に、力センサの組込み方向に直接的にもしくは間接的に影響を与える内面を所望の向きに合わせることができ、例えばこの内面を、測定すべき押圧力の作用方向に対して垂直に配置することができる。さらに、本発明によるホルダでは、ホルダが装着される凹部(例えば、軸方向凹部)の表面品質を、傾きが生じることなく、低下させてもよいことが示された。これにより、良好な表面品質を形成するための手間のかかる方法、例えばホーニングまたはスピニングが省かれる。
【0064】
好適な実施形態では、力センサの組付け位置を通って延在する、測定すべき押圧力の作用方向に対して垂直に配置された平面に関して、ホルダは形状的に対称に形成されている。力センサの上側および力センサの下側に配置された構成エレメントのジオメトリの調整により既に、予荷重の際に生じる傾動モーメントが減じられ、完全になくすこともできる。
【0065】
代替的にまたは補足的に、ホルダを、力センサの組込み位置を通って延びる、測定すべき押圧力の作用方向に対して垂直に配置された平面に関して、ホルダを形成する構成要素のために使用される材料について、かつ/またはこの構成要素の表面品質について、対称に形成することができる。傾動モーメントは、力センサの上側および下側に設けられた構成エレメントの形状的な相違によってのみ生じ得るのではなく、異なる材料選択または異なる表面品質に基づき、力センサの上側および下側で互いに移動する表面間で異なる摩擦力が生じることによっても生じ得る。このような傾動モーメントは、該当する材料もしくは表面品質を対称に構成することによって防止することができる。
【0066】
好適な実施形態では、測定すべき押圧力の作用方向ではない方向での相対的な摺動を回避するために、第1の内側楔エレメントおよび第2の内側楔エレメントを結合する結合部が設けられている。防止すべき傾動モーメントは、力センサの上側および力センサの下側の互いに匹敵する構成エレメントが互いに同期的に動かないことによっても生じ得る。これは、該当する構成エレメントを互いに結合する場合に防止することができる。しかしながら好適にはこのような結合は、結合される両構成エレメントの摺動が、測定すべき押圧力の作用方向で可能であるように形成される。上方から作用する押圧力を測定すべき力センサのためのホルダでは、構造的な措置によって好適には、力の分岐をできるだけ僅かに保とうとされていて、すなわち、ホルダを通って力センサを通過して伝わる測定すべき押圧力の部分を小さく保とうとされている。これは、測定すべき押圧力の作用方向で構成エレメントを互いに相対的にばね的に形成し、接続によって生じる力の橋絡部のばね剛性をできるだけ僅かにすることにより行われる。
【0067】
本発明のさらなる実施形態では、測定すべき押圧力の作用方向ではない方向での相対的な摺動を回避するために、第1の外側楔エレメントおよび第2の外側楔エレメントを結合する結合部が設けられている。これにより、内側楔エレメントの結合の際と同様の利点が得られる。
【0068】
第1の内側楔エレメントの外面および/または第2の内側楔エレメントの外面を、平坦楔の形式で平坦に形成することができるとしても、好適な実施形態では、第1の内側楔エレメントの外面および/または第2の内側楔エレメントの外面は、力センサの組込み位置を通って延在する長手方向軸線を有する円錐の部分面として形成されている。予荷重のもとで生じる傾動モーメントに関しては、互いに相対的に移動する個々の面の互いに面している面のジオメトリをどの程度の精度で製作することができるのかが重要である。例えば半製品の旋削、切削加工による円錐部分面の製作は、平坦楔の平坦面よりも精密に製作できることが示された。したがって、外面のこのような特別な構成により、生じる傾動モーメントをさらに減じることができる。
【0069】
同様の理由から、第1の外側楔エレメントの内面および/または第2の外側楔エレメントの内面が、好適には、力センサの組込み位置を通って延在する長手方向軸線を有する円錐状の凹部の境界部の部分面として形成されている。
【0070】
好適な実施形態では、第1の内側楔エレメントと第2の内側楔エレメントとは、一体的に製作される内側スリーブの部分エレメントである。これにより、ホルダの構成部分の製造に関して、かつ力センサの組込みの際のホルダの取り扱いに関して利点が得られる。
【0071】
好適な実施形態では、内側スリーブは、第1の内側楔エレメントと第2の内側楔エレメントとの間に、測定すべき押圧力の作用方向に対して実質的に垂直に延在する長手方向スリットを有している。これにより、内側スリーブのばね剛性が減じられ、したがって力の分岐は僅かに保たれる。さらに、内側スリーブを僅かな壁厚さで形成することができる。僅かな壁厚さとは、例えば20mm~50mmの通常の内径の場合、例えば0.3mm~5mmの壁厚さを意味する。スリーブの選択された壁厚さは、スリーブ長さ、スライド距離、および傾斜に依存して選択することもできる。壁厚さは、最も薄い個所で1/10mmであってよい。特に、長手方向スリットが、内側スリーブのほぼ全ての長手方向延在を有していて、一方または両方の端部で、第1の内側楔エレメントと第2の内側楔エレメントとの間の結合部として、細いウェブを残しているように、長手方向スリットを形成することができる。好適な実施形態では、内側スリーブは2つの長手方向スリットを有している。好適には、長手方向スリットは、力センサの組付け位置を通って延在する、測定すべき押圧力の作用方向に対して垂直に配置された平面に設けられている。
【0072】
内側楔エレメントの場合と同様に、好適な実施形態では、代替的にまたは補足的に、第1の外側楔エレメントと第2の外側楔エレメントとは、一体的に製作される外側スリーブの部分エレメントもしくは部分部材であってよい。外側スリーブも、好適な実施形態では、同様に、第1の外側楔エレメントと第2の外側楔エレメントとの間に、測定すべき押圧力の作用方向に対して実質的に垂直に延在する少なくとも1つの長手方向スリットを有することができる。
【0073】
好適な実施形態では、第1の内側楔エレメントの内面および/または第2の内側楔エレメントの内面は平坦に形成されていて、測定すべき押圧力の作用方向に対して垂直な平面に配置されている。このような構成により、その上面および下面が主として平坦に形成された力センサを直接内面に接触させて、両内側楔エレメントの間にスライドさせて挿入することができる。
【0074】
代替的に、本発明のさらなる実施形態では、第1の内側楔エレメントと、力センサの組込み位置との間に、球冠を備えた第1の中間部材を、かつ/または第2の内側楔エレメントと力センサの組込み位置との間に、球冠を備えた第2の中間部材を設けることができ、この場合、球冠は、内側楔エレメントの一方の内面に面した面を形成し、内側楔エレメントの所属の内面に対応するように形成されている。この場合、球冠は、好適には、円筒状の本体の部分面のジオメトリ形状を有している。
【0075】
本発明の好適な実施形態では、第1の外側楔エレメントの外面および/または第2の外側楔エレメントの外面は、円筒状の本体の部分面である。このような構成は、力センサをホルダによって凹部内に、例えば測定ロールの軸方向凹部内に保持する使用分野において特に推奨される。
【0076】
ホルダは、構成エレメントにおける中央の凹部に係合するセンタリングピンを有することができる。このようなセンタリングピンによって、例えば力センサのような個々のルーズな構成エレメントを、例えば内側楔エレメントもしくは内側スリーブのような他の構成エレメントに対して、良好かつ正確に位置決めすることができる。
【0077】
好適な実施形態では、ホルダは、第1および第2の外側楔エレメント内に設けられた雌ねじ山と、この雌ねじ山にねじ込まれる圧縮ねじとを有しており、雌ねじ山の長手方向軸線は、力センサの組込み位置を通って延在しており、圧縮ねじは、第1の内側楔エレメントおよび第2の内側楔エレメントに接触することができ、第1および第2の外側楔エレメントに対して相対的に摺動することができる。この圧縮ねじによって、ホルダの予荷重を簡単に生成することができる。互いに協働する内側楔エレメントおよび外側楔エレメントのそれぞれ内面と比較してそれぞれの外面が角を有して構成されていることにより、互いに相対的な楔エレメントの摺動により、力センサの組込み位置から離れるように外側楔エレメントが変位させられる。このようにして、ホルダを凹部内で緊締することができる。
【0078】
代替的に、ホルダは、第1および第2の内側楔エレメント内に設けられた雌ねじ山と、この雌ねじ山にねじ込まれる張力ねじとを有しており、雌ねじ山の長手方向軸線は、力センサの組込み位置を通って延在しており、張力ねじのねじ頭部は、第1の外側楔エレメントおよび第2の外側楔エレメントに接触することができ、第1および第2の内側楔エレメントに対して相対的に摺動することができる。
【0079】
好適な実施形態では、様々な機械的な力を測定するために、測定ロール内に2種以上の力センサが設けられている。これにより温度の影響を検出することができ、本発明者らは、温度の影響を、測定ロール内に存在する機械的力の測定により検知し、次いで相応に校正することができると認識した。したがって、機械的な力のその他通常の測定の他に、高温の帯材で測定ロールを使用することによる熱入力の影響に起因し得る第2の機械的な力が測定される。本発明により構成された測定ロールにより、測定ロール本体内への熱入力により生じる力の割合を、力エンコーダの合計信号から分離することができる。
【0080】
本発明者らは、好適な実施形態により、力センサの1つの形式が半径方向力を測定するための力センサであって、力センサの1つの形式が半径方向力を測定するための力センサの予荷重力を測定するための力センサであるならば特に好適であることを認識した。試験により、測定ロール表面の温度変化が測定ロールの弾性変形をもたらし、これにより予荷重力のもとで組み込まれた通常設けられる、半径方向力を測定するための力センサが、その予荷重力を、ひいてはその線形性も変化させることが示された。第1の形式とは異なる形式の、半径方向力を測定するための力センサに加えられる予荷重力を測定するための力センサにより、測定ロール本体の熱変形の影響を測定することができ、熱変形により生じた、半径方向力を測定するための力の測定信号の割合を、実際に帯状の物品にもたらされる半径方向力から分離することができる。
【0081】
本発明者らはさらに、複数の力センサが測定ロールの長手方向で配置されているならば、機械的な力を測定する別の形式の力センサによって、第1の形式の力センサの測定結果に影響を与える、測定ロールの熱的な変形の他に、帯幅にわたって相対的な温度分布を検出可能であることを認識した。例えば、1℃の高さの熱の入力に関して、単位Nの値xを測定することができ、この値によって、測定された機械的な力に関連付けて温度分布を特定することができる。
【0082】
好適には、長手方向で引っ張られている帯状の物品によって導入される力は、一方の形式の力センサによって動的に測定され、熱的な入力の結果、測定ロールの変形により生じる力は他方の形式の力センサによって静的に測定される。これにより、それぞれ実際に測定される力相互に関連付けて、一方の形式の力センサによって測定された半径方向力を、熱入力もしくは熱変形の分だけ補正することができる。
【0083】
特に1つの形式の力センサを凹部に位置固定する、もしくは緊締することができ、例えば楔固定することができる。この予荷重は予測され、簡単に測定技術的に補償することができる。予荷重を予め規定された値によって調節することができる。例えば、力センサが保持部材の間で不動に挟み込まれるまで、互いに動かされる楔状の保持部材、例えば緊締楔の間に、面平行な面を有する力センサを配置することができる。好適には、別の形式の力センサを、第1の形式の力センサを備えたケーシング内で共に、凹部内で位置固定するもしくは緊締することができる。別の形式の力センサは、例えば、1つの形式の力センサを凹部内で緊締する保持部材の1つに形成された凹部内で、または保持部材の1つに取り付けることができる。
【0084】
両保持部材のうち一方は、力センサが配置されるべきところで、凹部内に定置に位置することができ、他方の保持部材は、凹部内に力センサを位置固定するために摺動される。これは、例えば、測定ロール本体に支持されていて、スペーサスリーブを介して可動な保持部材に作用する緊締ねじによって行うことができる。
【0085】
特に好適には、熱入力による直接的な影響を「現場で」測定するために、かつ別の力センサの信号における影響を修正値として使用するために、様々な形式の力センサが互いに隣接して配置されている。
【0086】
好適な実施形態では、1つの形式の力センサは、別の形式の力センサと共に、製造の際の取り扱いを簡単にするケーシング内にもしくはケーシングの表面にもしくはホルダ内にもしくはホルダの表面に配置されている。ケーシングを、測定ロールの凹部内に配置することができる。例えば、1つの形式の力センサにケーシング内で既に予荷重をかけることができ、この場合、別の形式の力センサは、第1の形式の力センサに配置されていて、予荷重力を測定することができる。第1の形式の力センサにケーシング内でかつ/またはケーシングと共に予荷重をかけることができ、この場合、別の形式の力センサは、ケーシングの予荷重を、ひいては熱入力を求めることができる。両形式の力センサがケーシング内にもしくはケーシング表面に配置されている場合は、一方の形式の力センサが検出する影響を、他方の形式の力センサのために正確に考慮するために、両形式の力センサが互いに隣接して配置されていることも保証される。
【0087】
「ケーシング」という概念は、本発明によれば、通常のケーシングの閉じられた構成形式を有していないホルダも含む。本発明によるケーシングは、特に、その開示内容が参照により明示的に本明細書に含まれる独国特許出願公開第102006003792号明細書に説明されているように構成することができ、ケーシングもしくはホルダは、半径方向力の測定のための力センサ(一方の形式の力センサ)が配置されている外周コーンを有する内側スリーブと、内側スリーブに係合することができる、もしくは内側スリーブに緊締可能な内周コーンを有する外側スリーブとを有している。例えば、半径方向力に反作用する機械的な力を測定するための力センサ(他方の形式の力センサ)を、内側スリーブまたは内側スリーブの凹部内に配置するもしくは取り付けることができる。例えば、力センサは接着することができる。半径方向力に反作用する機械的な力を測定するための力センサ(他方の形式の力センサ)を、外側スリーブまたは外側スリーブの凹部内に配置されてもよい。半径方向力に反作用する機械的な力を測定するための力センサ(他方の形式の力センサ)を、ケーシングもしくはホルダの組込みのために設けられた場所の領域における測定ロールの凹部内に、それ自体はケーシングもしくはホルダに結合されることなく、配置することもできる。
【0088】
好適な実施形態では、他方の形式の力センサは、第1の形式の力センサに作用する力の流れ内に位置するように配置されている。この配置は、1つの形式の力センサの力の流れ内に位置すべきである。
【0089】
好適な実施形態では、1つの形式の力センサは石英力センサとして形成されており、石英力センサは、圧電素子であると理解され、その結晶表面では、測定すべき力が、測定値として用いられる電荷を生成する。このような力センサは、小さな寸法で、高反応感度、高固有振動数、安定性を備えており、測定結果を損なうことなく、初期荷重を補償することができる。
【0090】
好適には、(別の)1つの形式の力センサは、ひずみゲージとして形成されていて、これは例えば、測定ロールへの熱入力の結果、測定ロールが変形する際に変化する可能性のある、石英力センサの予荷重力を測定することができる。
【0091】
本発明による測定ロールは、金属帯の冷間圧延または熱間圧延の際に金属帯の特性を検出する際に、特に金属帯の平坦度を検出するために、特に好適に使用される。さらなる利用分野は、例えば再圧延フレーム(スキンパスフレーム)、帯材焼きなましライン、亜鉛メッキライン、延伸・曲げ矯正装置のようなさらなる処理ラインであり得る。
【0092】
次に本発明を、図示した実施例につきより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】測定ロールの第1の実施形態を部分的に断面して示す側面図である。
【
図2】ケーブル通路を備えた測定ロールを、カバーを取り外した状態で示す斜視図である。
【
図3】
図2の測定ロールの端面の一部を示す図である。
【
図4】螺旋に沿って段階的に配置された力センサを備えた測定ロールを、カバーを取り外した状態で示す斜視図である。
【
図5】孔内に配置された力センサを断面して示す詳細図である。
【
図7】測定ロールの別の実施形態を部分的に断面して示す側面図である。
【
図8】
図9のB-B線に沿って断面した側面図における部分的に示した測定ロールへの組込み状態の力センサを備えたホルダの断面図である。
【
図9】
図8のA-A線に沿った図で
図8のエレメントを示す図である。
【
図11】
図9に匹敵する図でホルダの代替的な構成形態を示す図である。
【
図12】
図8に匹敵する図でホルダの別の構成形態を示す図である。
【
図16】測定ロールの凹部内に配置された力センサの詳細図である。
【
図17】測定ロールの凹部内に配置された、別の実施形態の力センサの詳細図である。
【
図18】測定ロールに作用する力を概略的に示す図である。
【0094】
本発明による測定ロール1は、ジャーナル2を備えていて、内実のロールとして形成された測定ロール本体1aを有している。測定ロール本体1a内には、測定ロール本体1aの長手方向軸線Aに対して軸平行な孔として形成された凹部3が設けられており、この凹部から、凹部の端面近傍で、横方向通路4が導出されていて、中央のケーブル通路5へと通じている。凹部3は端面側で1つのカバー6によってまたはそれぞれ個別のカバーによって閉鎖されており、第1の力センサ7aと、第1の力センサ7aに隣接して配置された第2の力センサ7bと、第2の力センサ7bに隣接して配置された第3の力センサ7cと、第3の力センサ7cに隣接して配置された第4の力センサ7dとを有していて、これらのセンサからはそれぞれ1つのケーブル8(簡略化のために1つのケーブルとしてのみ示す)が、孔3、横方向通路4、および中央の通路5を通って、外部へと案内されている。
【0095】
図2および
図3に概略的な斜視図で、カバー6が外された状態で示された測定ロール1は、各孔3に対して平行な、互いに向かい合って位置するケーブル通路10,11を、横方向通路4および中央の通路5を介して外部にガイドされるラインのために有している。
【0096】
孔は、
図4および
図5に示したように、ロール1の両端面から延在していて、袋孔として様々な深さを有している。これにより、個々のセンサは、螺旋20に沿って、すなわち段状に配置され、全体として、ロール1の全幅を検出することになる。
【0097】
図1~
図3の実施形態と比較すると、
図4および
図5の実施形態は、内実のロールとして形成されたロール本体1aが、外周に形成された複数の溝を有しており、これらの溝は、溝を閉鎖するカバー管1bで覆われ、力センサ7のための凹部を形成している。
【0098】
図4に示したように、個々の凹部3を、1つだけの力センサ7がその内部に配置されているように形成することができる。しかしながら
図4の実施形態では、複数の力センサ7を有している凹部3も設けられている。凹部3は、
図4の実施形態では、測定ロール本体1aの一方の端面から、測定ロール本体の反対側の端面へと通じるように構成されている。
【0099】
図5は、測定ロールの測定ロール本体1aに設けられた孔103内の2つの力センサ107a,107bの配置を示しており、この測定ロールは、
図1および
図2に示した構成形式により内実のロールとして構成されていて、この内実のロール内に設けられた軸方向孔103を有している。
図5に示した力センサ107a,107bは、それぞれ1つのケーシング120を有している。各ケーシング120の一方の側には、ソケット122が取り付けられている。各力センサ107a,107bは、多層の結晶アッセンブリから成るそれぞれ1つの圧電素子113を有している。各圧電素子113は、2つの力伝達ディスク114,115の間に位置している。力伝達ディスク114,115は弾性的なフランジ116によってケーシング120に結合されている。力センサ107aのセンサ面は、孔103の孔壁に接している、力伝達ディスク114の外表面である。力センサ107bのセンサ面は、孔103の孔壁に接している、力伝達ディスク114の外表面である。
【0100】
図5には、力センサ107aのために、測定ロールの半径方向で延在する端部境界線117が記入されていて、この端部境界線は、第2の力センサ107bのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサ107aのセンサ面の点と交差している。さらに
図5には、線118が記入されていて、この線は、
・第2の力センサのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサのセンサ面の点と、第1の力センサのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサのセンサ面の点とを結ぶ線と、端部境界線117とを含む平面に延在しており、かつ
・端部境界線117と周面との交点119で端部境界線117と交差しており、
・第1の力センサ107aのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサ107bのセンサ面の点に交差している。
【0101】
図5に示したように、端部境界線117と線118との間の角度αは、65°未満であり、すなわち約45°である。
【0102】
力センサ107aおよび107bの、円環状で平坦なセンサ面が、孔103の壁に当接することができるように、孔103は横断面で方形に形成されている。
【0103】
図6は、孔103内に配置された力センサ107a,107bを、上方の孔壁の高さで断面して概略的に示す平面図を示しており、この場合、
図6には、第2の力センサ107bのセンサ面の最も近くにある、第1の力センサ107aのセンサ面の点と、第1の力センサ107aのセンサ面の最も近くにある、第2の力センサ107bのセンサ面の点とを結ぶ線123が記入されている。力センサ107aのセンサ面は、孔103の孔壁に接している、力伝達ディスク114の外表面である。力センサ107bのセンサ面は、孔103の孔壁に接している、力伝達ディスク114の外表面である。
【0104】
図7に示した測定ロール201は、内実のロールとして形成された測定ロール本体201aを有しており、この測定ロール本体の周面には、ロール幅にわたって分配された複数の凹部203,203a,203bが設けられており、これらの凹部にはエンコーダが、例えば、動的および静的な力を測定するための石英ワッシャの形態の、距離または力もしくはピエゾエンコーダ207が、円筒形状のカバー234と共に装着されている。エンコーダ207は、凹部203の底面239とカバー234との間に延在している。カバー234はくぼみを有しており、このくぼみ内には、測定ロール201のねじ山付き孔238内に係合する緊締ねじ237の頭部236が位置している。緊締ねじ237によって、カバー234がエンコーダ207と共に、凹部203の底面239に向かって緊締されている。
【0105】
カバー234には、プラスチック層240が設けられている。エンコーダ207と、ロール201の凹部203の壁との間には、エンコーダの直径と凹部203の直径とが異なることにより、隙間241が生じており、この隙間は、カバーが装着された状態では、プラスチック層240によって、またはその他の方法で外部に対して閉鎖されている。隙間は、エンコーダカバーと、凹部の壁との間にも生じる場合がある。
【0106】
図7には、測定ロール本体201aの長手方向軸線Aに対して平行に延在する線上に隣接して並んで配置されている孔203bが示されている。1つの凹部203b内の各力センサ207のセンサ面の、これに隣接する凹部203b内の隣接する力センサ207のセンサ面と最も近くに位置する点と、この隣接する凹部203b内の隣接する力センサ207のセンサ面の、前述の凹部203b内の各力センサ207のセンサ面の最も近くに位置する点とを結ぶ線は、これらの孔203bの場合には、測定ロール本体201aの長手方向軸線Aに対して平行に延在している。
【0107】
しかしながら
図7は、孔203aの形態において、隣接して並んでいるが、測定ロール本体201aの長手方向軸線Aに対して平行に延在する線上には配置されていない孔を示している。測定ロール本体201aの長手方向軸線Aを含む平面に対して平行に投影した、凹部203a内の各力センサ207のセンサ面の、これに隣接する凹部203a内の隣接する力センサ207のセンサ面と最も近くに位置する点と、この隣接する凹部203a内の隣接する力センサ207のセンサ面の、前述の凹部203a内の各力センサ207のセンサ面の最も近くに位置する点とを結ぶ線は、これらの孔203aの場合には、測定ロール本体201aの長手方向軸線Aに対して角度を成して延在している。
【0108】
測定ロール本体201aは、閉じられた周面を形成するために、図示されていない被覆を有するように構成することができる。
【0109】
図7では、個々に形成された別の孔203が設けられている。これにより
図7は、所望の測定課題に応じて、孔203,203a,203bの様々な配置を1つの測定ロール上に統合することができることを示している。しかしながら、孔203bのみをまたは孔203aのみを設ける構成も考えられる。
【0110】
図8には、力センサ1102のためのホルダ1101が示されている。ホルダ1101は、力センサ1102を、部分的に示された測定ロール1104の軸方向孔1103内に保持している。ホルダ1101は、力センサ1102のために設けられた組込み位置の上方に配置された第1の内側楔エレメント1106を有する内側スリーブ1105を有しており、内側楔エレメントは、力センサ1102の組込み位置に面した内面1107と、この内面1107に対して角度を成し、内面1107に対向する外面1108とを有している。さらに、内側スリーブ1105は、力センサ1102のために設けられた組込み位置の下方に配置された第2の内側楔エレメント1109を有しており、この内側楔エレメントは、力センサ1102の組込み位置に面した内面1110と、この内面1110に対して角度を成し、内面1110に対向する外面1111とを有している。
【0111】
さらに、ホルダ1101は外側スリーブ1112を有している。外側スリーブ112は、力センサの組込み位置に面した内面1114と、この内面1114に対して角度を成し、内面1114に対向する外面1115とを有している第1の外側楔エレメント1113を有している。さらに外側スリーブ1112は、力センサ1102の組込み位置に面した内面1117を有した第2の外側楔エレメント1116を有していて、第2の外側楔エレメント1116は、この内面で、第2の内側楔エレメント1109の外面上に載置されている。さらに、外側楔エレメント1116は、内面1117に対向する外面1118を有している。
【0112】
雄ねじ山を備えた圧縮ねじ1119は、外側スリーブに設けられた雌ねじ山1120にねじ込まれている。圧縮ねじ1119のねじ込み深さは、外側スリーブ1112に対する内側スリーブ1105の相対位置を規定し、ひいては軸方向凹部1103内のホルダ1101の予荷重の程度も規定する。
【0113】
図9からわかるように、内側スリーブ1105と外側スリーブ1112とはスリット1121もしくは1122を有している。これらの長手方向スリット1121,1122は、内側スリーブ1105もしくは外側スリーブ1112のばね剛性を減じており、力の分岐を僅かに保つために役立っている。したがって、矢印Dの作用方向で作用する、検出すべき押圧力は、力センサ1102内へ良好に導入される。外側スリーブ1112と内側スリーブ1105とは、第1の作業ステップで、切削加工による旋削によって製作される。これにより、特に、外側スリーブ1112の内面1114,1117と内側スリーブの外面1108,1111との形状誤差に関しては、特に精密に製作することができ、外側スリーブ1112に対して相対的な内側スリーブ1105の傾動モーメントのない運動が可能である。続く加工ステップでは、
図9で見て側方に配置された内側スリーブ1105の領域を、内側スリーブ1105の側方の壁厚さを減じるために、さらに薄くすることができる。これにより、
図9で見て側方の空間1123,1124が、内側スリーブ1105と外側スリーブ1112との間に生じ、これらの空間により、力センサ1102内への力の導入は最適化され、力の分岐はさらに減じられる。
【0114】
図10には、力センサ1102の平面図が示されている。この図では、力センサ1102へ通じるケーブルの配線を良好に認めることができる。第1のケーブル1125は、図示した力センサ1102へと通じており、別のケーブル1126は、同じ軸方向凹部1103内に配置された、別の力センサ(図示せず)に通じている。
【0115】
図11に示したホルダの別の構成は、基本的に、
図8~
図10に示したホルダと同様の構造を有している。同じ構成エレメントは、100大きい数の符号を有している。しかしながら、この第2の実施形態の内側スリーブ1205では複数の空所1226が設けられており、これら複数の空所により、内側スリーブ1205の側方の壁厚さはさらに減じられていて、ひいては、ばね剛性のさらなる低減、ひいては力の分岐のさらなる低減が得られる。
【0116】
図12~
図14には、本発明の別の実施形態が示されており、この実施形態は、
図8~
図10に示した実施形態とは、内側スリーブ1305と力センサ1302との間に、球冠を備えた中間部材1327および1328が設けられている点で異なっている。その他の点では、図示した構成エレメントは、
図8~
図10に示した部材の構成エレメントに相当する。これらの構成エレメントは、200大きい数の符号で示されている。
【0117】
図15には、
図8に示したものに匹敵するホルダ1401が示されている。このホルダは、
図8に示したものとは、内面1408,1411およびこれに対応する外面1414,1417の異なる向きによって、ならびに内側スリーブ1405の雌ねじ山1430内にねじ込まれている張力ねじ1429によって、異なっている。張力ねじ1429の雌ねじ山1430内へのねじ込み深さは、外側スリーブ1412に対して相対的な内側スリーブ1405の位置を規定し、ひいては測定ロール1404の軸方向孔1403内のホルダ1401の予荷重を規定する。
図8~
図10に示した部材と同じ構成エレメントは、300大きい符号で示す。
【0118】
図16は、
図8の実施形態の別の構成を示しており、測定ロールの凹部1103内に対になって配置された力センサ1102a,1102bの詳細図を示している。ケーシング1101もしくはホルダは、半径方向力を測定するために形成されている第1の形式の力センサ1102aを、部分的に示された測定ロールの凹部1103内に保持している。ケーシング1101は、力センサ1102aのために設けられた組込み位置の上方に配置された第1の内側楔エレメント1106を有する内側スリーブ1105を有しており、内側楔エレメントは、力センサ1102aの組込み位置に面した内面1107と、この内面1107に対して角度を成し、内面1107に対向する外面1108とを有している。さらに、内側スリーブ1105は、力センサ1102aのために設けられた組込み位置の下方に配置された第2の内側楔エレメント1127を有しており、この内側楔エレメントは、力センサ1102aの組込み位置に面した内面1110と、この内面1110に対して角度を成し、内面1110に対向する外面1111とを有している。
【0119】
さらに、ケーシング1101は外側スリーブ1112を有しており、この外側スリーブは、力センサ1102aの組込み位置に面した内面1114と、この内面1114に対して角度を成し、内面1114に対向する外面1115とを有している第1の外側楔エレメント1113を有している。さらに外側スリーブ1112は、力センサ1102aの組込み位置に面した内面1117を有した第2の外側楔エレメント1120を有していて、外側楔エレメント1120は、この内面で、第2の内側楔エレメント1127の外面上に載置されている。さらに、外側楔エレメント1120は、内面1117に対向する外面1116を有している。
【0120】
雄ねじ山を備えた圧縮ねじ1119は、外側スリーブ1112に設けられた雌ねじ山にねじ込まれている。圧縮ねじ1119のねじ込み深さは、外側スリーブ1112に対する内側スリーブ1127の相対位置を規定し、ひいては凹部1103内のケーシング1101の予荷重の程度も規定する。予荷重を検出するために、内側スリーブ1127内の力センサ1102bが、内側スリーブの凹部内に配置されている。力センサ1102bによって、予荷重を測定することができる。
【0121】
半径方向力を測定するための力センサ1102aは、予荷重をかけられており、この予荷重の程度は力センサ1102bによって検出することができる。例えば、熱間圧延の際の金属帯の処理の際に熱が加えられる場合は、長さ方向で引っ張られている状態の帯の変向により、測定ロールの外皮を弾性的に変形させる半径方向力が測定ロールに導入される。凹部1103の上方に「ダイヤフラム状に」形成されるウェブは、この場合、半径方向にずらされ、このことは、圧電式力センサとして形成することができる力センサ1102aによって検出することができる。熱勾配により生じる熱応力が、凹部1103の上方にある周方向で外側に位置するウェブで、半径方向力に反作用する、半径方向の距離変化も生じさせる。これにより、力センサ1102aの測定結果は変化し、静的に測定する力センサとして、特にひずみゲージとして形成することができる力センサ1102bによって、予荷重の変化による距離変化を検出することができる。その都度、実際に測定された予荷重に基づき、力センサ1102aの半径方向力値を修正することができる。
【0122】
対になって、互いに隣接して配置された力センサ1102a,1102bは、内側スリーブ1127および外側スリーブ1112を有するケーシング1101内に装着されて、その後、測定ロール1の凹部1103内に位置決めされ、その位置に緊締される。
【0123】
図17は、
図16とは異なる実施形態の、測定ロール1の凹部1103内に配置された力センサ1102aおよび1102bの詳細図を示す。
図17に示されたような実施形態の構成は、実質的に、
図16に示された実施形態の構成に相当する。力センサ1102aおよび1102bの配置および構成に関してのみ、
図17の実施形態は、
図16の力センサ1102aおよび1102bとは異なっている。力センサ1107aは、圧電式力センサとして構成されており、
図16の力センサ1102aよりも半径方向で幾分短く形成されている。別の形式の力センサとして、静的に測定する力センサとして、特にひずみゲージとして形成されている、力センサ1107bが設けられている。
【0124】
図18は、帯引っ張り状態で測定ロールに部分的に巻き掛けられた金属帯によって、測定ロールに加えられる力を示している。測定ロールの凹部に配置された石英力センサは電荷を発生させる。この電荷は、石英に加えられる力に直接比例している。
【0125】
通常、帯の平坦度を表すものとして使用される、通常は単位I-ユニットで測定される帯長偏差は、以下の関係で計算される。
【0126】
局所的な半径方向力 N
FR,i
【0127】
局所的な引張力 N
FZ,i=FR,i/(2×sin α/2)
α=測定ロール周りの帯変向角度
【0128】
局所的な引張応力 N/mm2
σZ,i=FZ,i/(bEl×d)
【0129】
bEl=測定区域幅
d=帯厚
【0130】
引張応力偏差 N/mm2
ΔσZ,i=σZ,max×σZ,i
【0131】
σZ,max=最大局所的定引張応力
【0132】
帯長偏差 μm/m
ΔL/Li=(ΔσZ,i/E)×106
E=弾性係数(鋼の弾性係数=2.06×105N/mm2)
【0133】
帯長偏差 I-Unit
ΔL/Li=(ΔσZ,i/E)×105
E=弾性係数(鋼の弾性係数=2.06×105N/mm2)
【0134】
例
石英力センサ:感度=4.2pC/N
センサの電荷:=210pC
センサにかかる力:FR,i=50N
FZ,i=50/(2×0.342/2)=146.19Nα=20°σZ,i=146.19/(25×0.5)=11.69N/mm2 bEl=25mm,d=0.5mmΔσZ,i=20-11.69=8.3N/mm2 σZ,max=20N/mm2
ΔL/Li=(ΔσZ,i/E)×106=162.34μm/m E=弾性係数
(鋼の弾性係数=2.06×105N/mm2)
ΔL/Li=(ΔσZ,i/E)×105=16.234 I-Unit