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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】測定装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
G01C15/00 103Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021560560
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020025165
(87)【国際公開番号】W WO2020207629
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】102019002516.4
(32)【優先日】2019-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521443128
【氏名又は名称】アンドロテック ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】AndroTec GmbH
【住所又は居所原語表記】Hauptstrasse 186, 67714 Waldfischbach-Burgalben, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ エスリンク
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-168625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定放射線が面状ビームへ放射される測定用のベースステーションであって、
前記ベースステーションは、前記面状ビームのぐらつき運動を生成するように構成されており、
前記ぐらつき運動によって、前記面状ビームの法線の姿勢は、前記法線の方向付けが繰り返し生じるように既知の様式で周期的に変えられ、
前記ベースステーションは、面状ビーム法線循環のサイクルにおける現下の位相に関する情報を提供するように構成されている、
ベースステーション。
【請求項2】
記面状ビームの前記法線の回転ごとに少なくとも2回、ターゲットを掃引するために、前記面状ビームの前記法線、前記法線に対して平行ではなく、事前に規定された傾斜角度で前記法線に対して立っている回転軸線を中心に、時間に関係して判明している位相角で循環する、
請求項1記載のベースステーション。
【請求項3】
前記回転軸線は、一定の傾斜角度で前記面状ビームの前記法線に対して立っている、
請求項2記載のベースステーション。
【請求項4】
前記ベースステーションは、ターゲットとしての再帰反射器に測定放射線を放射し、測定放射線を送出するとともに、前記再帰反射器から受信するように構成されている、
請求項3記載のベースステーション。
【請求項5】
前記ベースステーションは、
測定放射線を送出するオプトエレクトロニクス要素と、
前記オプトエレクトロニクス要素から送出された測定放射線を、少なくとも角度情報を符号化するデータ信号で変調する手段と、
を有する、
請求項1から4までのいずれか1項記載のベースステーション。
【請求項6】
前記ベースステーションは、回転可能なビーム偏向手段を有しており、エンコーダディスクは、前記ビーム偏向手段に回動不能に割り当てられ、前記ベースステーションは、前記エンコーダディスクの走査に基づく回転角度を表す信号を生成するように構成されている、
請求項5記載のベースステーション。
【請求項7】
前記ベースステーションは、ビーム拡張手段を有している、
請求項5または6記載のベースステーション。
【請求項8】
前記ビーム拡張手段は、測定放射線を送出する前記オプトエレクトロニクス要素から放射された放射線を、ぐらつく面状ビームへ拡張するように構成されている、
請求項7記載のベースステーション。
【請求項9】
前記放射線は、測定放射線である、
請求項8記載のベースステーション。
【請求項10】
前記ベースステーションは、傾斜センサもしくは傾斜補償器を有している、
請求項1から9までのいずれか1項記載のベースステーション。
【請求項11】
前記ベースステーションは、変調する手段を有しており、
前記手段は角度情報に加えて、傾斜センサの傾斜、前記ベースステーションの一義的な識別子、前記ベースステーションの温度および前記ベースステーションのバッテリ状態から成る情報の少なくとも1つを符号化する、
請求項5から8までのいずれか1項記載のベースステーション。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載のベースステーションを少なくとも1つと、
少なくとも1つの属するリモートステーションと、
を有している測定装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのリモートステーションは、能動的なリモートステーションであり、属する測定ビーム受信機として構成されている、
請求項12記載の測定装置。
【請求項14】
測定ビーム受信機であって、
前記測定ビーム受信機は、請求項1から11までのいずれか1項記載のベースステーションからのビームを受信するように構成されている、
ことを特徴とする測定ビーム受信機。
【請求項15】
記測定ビーム受信機は、
ぐらつく面状ビームの繰り返しの検出に応答して、前記検出の時点を決定して、かつ/または、前記検出の時点での、前記面状ビームのぐらつきによって回転する面状ビーム法線の少なくとも2つの角度位置を決定して、前記ベースステーションの極座標系に関した少なくとも1つの角度または前記角度に関連付けられたデータを決定するように構成されている、
請求項14記載の測定ビーム受信機。
【請求項16】
前記測定ビーム受信機は、角度符号化を行うデータ信号および場合によっては補助データで変調された放射線をデコーディングして、前記角度位置を決定するように構成されており、かつ/または、
前記測定ビーム受信機は、前記ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの鉛直角を計算するように構成されており、かつ/または、
前記測定ビーム受信機は、前記ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの水平角を計算するように構成されている、
請求項15記載の測定ビーム受信機。
【請求項17】
前記測定ビーム受信機は、動作時に異なる高さに配置されている、相互に離間している少なくとも2つの感光性要素を有しており、
前記測定ビーム受信機は、前記感光性要素の掃引の時間サインから、測定の曖昧さを解決するように構成されている、
請求項14から16までのいずれか1項記載の測定ビーム受信機。
【請求項18】
前記測定ビーム受信機は、前記ベースステーションからの間隔も決定するように構成されている、
請求項17記載の測定ビーム受信機。
【請求項19】
移動物体を誘導するための方法であって、
前記方法では、共同で請求項12または13記載の測定装置を形成する、請求項1記載のベースステーションと、前記移動物体に固定的に関連付けられた少なくとも1つの能動的なリモートステーションと、が使用され、
少なくとも1つの他の能動的なリモートステーションが据え付けで設置され、
前記ベースステーションと、前記他の、据え付けで設置された、移動する能動的なリモートステーションと、の間の仮想接続ラインを求め、
次に、前記移動物体に固定的に関連付けられた前記能動的なリモートステーションに関連付けられたビーム検出および前記仮想接続ラインを参照して、前記移動物体を誘導するための誘導データを求める、
方法。
【請求項20】
前記移動物体は、車両である、
請求項19記載の方法。
【請求項21】
が決定され、前記面では、前記仮想接続ラインが前記ベースステーションと、前記据え付けの能動的なリモートステーションと、の間に位置しており、前記面は、付加的に、定められた横方向傾斜を有している
請求項19記載の方法。
【請求項22】
標誘導ラインが前記面において決定される、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
記移動物体を前記面に沿って誘導するために、誘導データを決定する、
請求項21記載の方法。
【請求項24】
ベースステーションと、据え付けで設置された能動的なリモートステーションと、がチェーンに沿って交互に生じ、セグメントの前記チェーンが仮想の誘導ワイヤを形成するように、仮想接続ラインのセグメントの前記チェーンを構成する、
請求項19から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
々のセグメントに対して決定可能な前記誘導データを平滑化し、かつ/または、少なくとも前記セグメントの移行箇所で補間を行う、
請求項24記載の方法。
【請求項26】
それぞれ付加的な情報を参照して、種々のセグメントに対して決定可能な前記誘導データを平滑化し、かつ/または、少なくとも前記セグメントの移行箇所で補間を行う、
請求項25記載の方法。
【請求項27】
誘導路の計画されたコースと方向角との交点および/またはオドメータの値を参照して、種々のセグメントに対して決定可能な前記誘導データを平滑化し、かつ/または、少なくとも前記セグメントの移行箇所で補間を行う、
請求項25記載の方法。
【請求項28】
誘導データとして、前記移動物体の自動的な移動のための制御パラメータを決定する、
請求項25記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位概念の請求事項に関し、したがって測定を扱う。
【背景技術】
【0002】
物体のポジションおよび/または姿勢および/またはベースステーションに対する個々の座標を測定することができる測定装置は多くの分野において、例えば、産業測量および工事測量、工事機械制御等における、仮想現実の作成のための実際の物体の検出において適用される。そのために、測定もしくは測量用の多くの装置が知られている。
【0003】
したがって、タキメータ、レーザートラッカ、回転レーザー、リアルタイムキネマティックGNSS受信機等、多くのさまざまな技術が開発されてきた。これらの一部は、比較的安価な複数の装置による、例えば1つのベースステーションに対する複数のリモートステーションによる、多くの測定箇所での同時使用を可能にするが、一連の問題を有している。これらの問題は、過度に低い測定精度、複数経路での受信および例えばストリートキャニオンにおけるシャドウイングならびに修正サービスおよび衛星システムの可用性等である。
【0004】
したがって、多くの適用では、実証済みのアプローチとして、回転するビームまたは扇状ビームを送出する中央のベースステーションが設置される。適切なビーム受信機によって、ベースステーションに対する受信機のポジションを推測することができる。原則として、例えば受動的な再帰反射器によって、受信機からベースにビームを送り返し、ベースで、このビームがどこから反射されたのかを決定することができるだろう。しかし、いわゆる能動的な受信機の方がより使用が容易であり、現在では測量において幅広く使用されている。能動的な受信機では、感光性要素によって、光の受信に応じて、電気信号の生成および評価が行われ得る。ここで、ビームがビーム受信機で検出される際のサインは一方ではベースステーションがビームを放射する様式に関連し、他方ではビーム受信機が構成されている様式に関連している。例えば、ビーム受信機に、細長い感光性要素または点状の感光性要素が装備されていてよく、ベースステーションは、扇状ビームとして、または単一のビームとして、一定の強度で、または時間的な変調を伴って光を放射することができる。ビームは可視であっても、不可視であってもよく、場合によっては、高周波範囲のビームが使用されてもよいことが言及されるべきである。簡略化のために、そうでないことが明らかでない限り、本明細書では通常、場合によって不可視放射線または高周波放射線が使用される場合でも、「光学的に」または少なくとも「準光学的に」ポジション決定が行われると言及される。
【0005】
中央のベースステーションを伴う、記載されたシステムではすでに、コストを削減し、精度ならびに可用性を高めるための一連のアプローチが存在している。これは例示的に、図1a~図1dに示されている、従来技術から知られているベースステーションで示される。
【0006】
図1aは、本出願人のUS7394527およびUS5767960において開示されている、回転するベースから放射される3つの扇状ビームを伴うベースステーションであり、これらは、無線もしくは有線で同期させられた能動的なリモートステーション、すなわち照射された能動的なターゲットが、能動的なターゲットへの3つの扇状ビームの時間的に一連の入射から、ベースステーションに関する円筒座標における能動的なターゲットの間隔、高さおよび水平角を計算することを可能にする。
【0007】
図1bは、回転中心から放射される3つの面状ビームを伴う、EP1434029のベースステーションを示しており、これは、適切な能動的なターゲットによって、ベースステーションの極座標系における水平角と鉛直角とを計算することを可能にする。
【0008】
図1cは、US4441809による従来技術の装置を示しており、その特性は実質的に、図1aの特性に対応するが、複数の仰角を決定するために少なくとも2つの能動的なターゲットが必要とされる。
【0009】
図1dは同様に、回転する2つの扇状ビームを伴う、US5110202のベースステーションを示しており、これによって、能動的なターゲットは、ベースステーションの極座標系における水平角および鉛直角を計算することができる。
【0010】
図1に示された、従来技術のアプローチは、それらが、能動的なターゲットに関して最大2つの方向角を決定することを可能にするために、少なくとも2つ~3つの扇状ビームを送出する、回転するレーザー光学系に基づいているという共通点を有している。このために、個々の扇状ビームの入射時間の時間測定が使用される。ここでこれらのアプローチによって、少なくとも原則的に、測定された鉛直角および水平角を用いて、ほぼ任意の数の仮想(レーザー)面を、ベースステーションを中心とした測定空間に跨がって設けることも可能になる。すなわち、多くの高さで測定することが可能になる。
【0011】
しかし、これらの既知の装置および必要とされる受信機は多くの場合、特に高い精度が得られるべき場合、構造的に、不所望な程に複雑になってしまう。すなわち、そのような光学装置の精度は、とりわけ、ベースを通して光の放出が行われる精度によって決定される。ここでは、限定はされないが、とりわけ、機械的な構築が行われる精度が関与し、これは、高い精度のベースステーションの高いコストにつながってしまう。到達範囲に関しては、多くの場合、ビームが良好に見えるべきであることに注意されたい。これによって、受信機を比較的容易にビーム経路に入れることができる。さらに、多くの場合、ビームが眼の高さに近い高さで放出されることに注意されたい。したがって、安全上の理由から、眼の安全性をもたらすために、ビームエネルギが制約されるべきである。これによっても、到達範囲が低減されてしてしまう。
【0012】
さらに、図示されたアプローチは、とりわけ、2つ以上の扇状ビームが、それぞれ異なる(円筒)光学系を介して誘導されなければならないことに基づいているが、これらの光学系は原則的に、相違する、かつ相殺し合わない結像エラーを有している。したがって特に、扇状ビームの必要な平坦性もしくは並行性が極めてクリチカルであるため、複数の自由度における、手間とコストと時間とがかかる工場での較正なくして、鉛直角の高い精度の決定は不可能である。さらに、能動的な受信機とベースステーションとの間の同期は多くの場合、単に緩んでいるまたは完全に欠落しており、高い角度精度が望まれている場合は、これは同様に、回転するレーザーヘッドの並行性に高い要求を課す。典型的に、鉛直角および水平角に対するわずかな秒角の角度精度を得るためには、約0.001%~0.0001%の並行性の値が必要である。これらの要求のため、ベースステーションは、高価で脆弱な底摩擦ベアリングと大きなフライホイール質量とに依存しなければならず、これによって、ロバスト性が低下し、多くの適用で実用的な適合性が疑問視される。とりわけベースステーションが大型化、かつ重量化するため、システム価格も耐用年数にわたったユーザの総体的なコストも急上昇してしまう。
【0013】
したがって、ここでの改良を可能にすることが望まれるだろう。とりわけ、少なくとも、図1bおよび図1dに示された従来技術から既知のアプローチは、工事機械制御および産業測量の分野のユーザに依然として非常に人気がある。
【0014】
したがって、個々のリモートステーションがベースステーションによって追跡される、特定の適用のための自動追跡距離測定機器がすでに開発されている。これらの個々のリモートステーションは、受動的な再帰反射器または能動的な受信機であってよく、もしくはベースステーションがリモートステーションからの放射線を受信するように明示的に構成されている場合には、能動的な送信機であってよい。このような、多くの場合に産業測量用のレーザートラッカとして、もしくは土地測量用のロボットタキメータとして知られているシステムは、依然として非常に人気があるが、高価であるだけでなく、ベースごとに、個々のターゲットの追跡しか可能でないという欠点を有している。
【0015】
特定の適用、例えば、有利には全体的な、できればむしろ自律的な道路舗装縦列、すなわち一連のロードフィニッシャおよび複数のローラの工事機械制御では、これはほぼ法外なコストを生じさせてしまう。なぜなら、追跡されるべきまたは測量されるべき各物体もしくはその上にある測定点ごとに、独自のベースステーションが提供されないといけないからである。
【0016】
工事機械制御の分野では、さらに、ポジションもしくは所在場所を測定するだけでなく、高さを正確にコントロールすることも必要とされることがよくある。これは、限定はされないが、例えば道路工事において必要とされ、ここでは、例えば、路面の設置高さもしくは路面の層の厚さがコントロールされるべきである。これに使用されるシステムの多くは、回転レーザーといわゆる機械受信機、すなわち回転レーザーに適した、道路工事機械でのライン状の受信機で構成されており、これは正確な高さコントロールを可能にするが、唯一のレーザー面に結び付けられており、これはまさに起伏のある地形では、大きな欠点になり得る。
【0017】
したがって、従来は、起伏のある地形では誘導ワイヤもしくは基準線が使用されることが多かったが、その敷設には同様に多くの手間がかかった。特に受信機が統合されているベースステーションを使用して、それ以外の場合に使用される実際の基準線を仮想誘導ラインに置き換えるアプローチも、典型的には、依然として、機器に関する多くの手間を必要とする。
【0018】
したがって、例えば、欧州特許出願公開第2998699明細書は、道路工事機械の設置高さの誘導および層厚コントロールのための方法を提案している。この文書の開示内容は、参照によって組み込まれている。従来技術から既知のこの方法は、図13を参照して簡単に示されている。
【0019】
この既知の方法では、同時に、ベースステーションとして、および別のステーションの放射線の受信機として使用可能な、すなわち回転レーザートランシーバであるステーションが使用される。ロードフィニッシャの設置高さを制御するために、それ以外で一般に利用される誘導ワイヤを、チェーン状の配置の、互いにレベリングする複数の回転レーザートランシーバ66a~66g(TRX)によって置き換えるために、これらはこの既知の方法で使用される。これは、ベースステーションによって生成されたレーザー面72を参照して、道路67に沿って、セグメントごとに、仮想の誘導ワイヤが規定されることによって行われる。回転レーザートランシーバは、この誘導ワイヤに対して、補間点として機能する。これらの補間点の間で補間、場合によって平滑化が行われることによって、それらの間隔が広げられ、所与の区間に対する較正の手間がいくらか減らされるはずである。
【0020】
このようなシステムは、測量士が従来の誘導ワイヤを使って数キロメートルの長さの区間を較正するコストよりも割安であるはずなので、システムの価格がすぐに償却されるように思われるが、補間の場合でさえ、互いにレベリングする多くの回転レーザートランシーバが必要であるので、これらはいずれにせよ構造的に特に手間がかかる。
【0021】
さらに、既知のこのシステムは別の欠点も有している。例えば、高さ測定範囲における制約は、記載したチェーン状の配置によって大幅に軽減されるが、完全に排除されるわけではない。これは図12に示されており、ここでは、2台の機械を備えた、高温のアスファルト取り付けの典型的なコンステレーションが示されている。
【0022】
起伏のある地形でのレーザー面の受信には極めて長い時間がかかり、したがって原則的に、道路工事機械では特にコストのかかるレーザー受信機ラインが必要になることが明らかである。この点に関して、ついでに、特に、本出願人の米国特許出願公開第2018/0259332号明細書を参照されたい。これも、参照によって本願に完全に組み込まれている。しかし、これらの装置の長さは、機械が振動する場合に、例えばロードフィニッシャのスクリードでの使用またはロードローラの転動体のサスペンションでの使用の場合に、測定の不正確さをもたらす可能性があり、これは、柔軟性とコストと可用性との間の妥協を必要とする。
【0023】
この既知の従来技術の別の欠点は、各トランシーバ66が1つのレーザー面しか放射することができず、放射線が唯一の面へのみ放出することであり、したがって、従来技術の仮想誘導ラインの各補間点に対して独自のトランシーバが設けられなければならない。このトランシーバはベースステーションと能動的なターゲットとの両方を同時に含んでいる。したがって、これらの機器は特定の使用目的に制約されており、普遍的な適用にはほとんど適していない。
【0024】
安価な測定システムを、特に、同時に高い精度とともに提供できるのは有利であろう。
【0025】
仮想誘導ワイヤ(「ストリングライン」)を安価に提供できることも有利であろう。さらに、より広い使用目的に使用可能なベースステーションを使用できることも有利であろう。さらに、高さ測定範囲において課せられる制約が、従来技術において知られているものよりも少なくなることは有利であろう。
【0026】
とりわけ、システムコストをさらに削減するために、特に高価なベースステーションを必要とせずに仮想ストリングラインの補間点を可能にすることができる測定装置および方法も有利であろう。
【0027】
光学的なポジション決定または準光学的なポジション決定のための改良された測定配置および/または方法を提示することも望ましいだろう。
【0028】
上で概説した利点の少なくとも1つを少なくとも部分的に得ることが望ましいだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の課題は、商業的な適用のための新たなものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上述の課題は、独立した形式の請求事項によって解決される。
【0031】
有利な実施形態のいくつかは、従属請求項に記載されている。別の有利な実施形態ならびに進歩性を有する別の解決策は、明細書に記載されている。
【0032】
すなわち、本発明の最初の基本的な考察では、測定用のベースステーションが提示され、ここで測定ビームが面へ放射され、ここで、ベースステーションは、面状ビームのぐらつき運動のために次のように構成されている。すなわち、面状ビームの法線の姿勢が、既知の様式で、かつこの法線の方向付けが繰り返し生じるように変えられるように構成されている。
【0033】
したがって最初の基本的な認識は、既知の様式で意図的に設定された、コントロールされて行われる、面状ビームのぐらつき運動によって、鉛直角を決定することが可能になる、もしくはさらなる情報を用いて、高さを特に容易に決定することができるということである。例えば、ベースステーションが、受信機によって検出されるビームを放射する場合、ベースステーションの高さに対する受信機の高さを容易に確定することができる。
【0034】
これを理解するために、面状ビームが固定されて立っている、すなわち面状ビームの配向が変わらないと仮定する。このような場合には、現在、面状ビーム内に位置している受信機、すなわち面に拡張されたビームで現在照射されている受信機も、継続して面状ビーム内に位置し続ける。
【0035】
これに対して、面状ビームがぐらつく場合、これによって、ビームは、受信機の場所で、自身の高さを、ぐらつき運動に相応して徐々に変える。より正確には、ビームは、ベースステーションから離れた所与の箇所で、すなわちぐらつき運動に相応して、最高高さと最低高さとの間で上下に移動する。分かりやすくするために、周期的なぐらつき運動を仮定し、さらに、ビーム受信機が、ベースステーションから離れた所与の箇所に、面状ビームが到達する最高高さと最低高さとの間の高さで場所固定して配置されていると仮定すると、1回のぐらつきサイクル中に、面状ビームが受信機を2回掃引する。すなわち、1回は面状ビームが、上から下に下がって受信機の高さに到達したとき、もう1回は面状ビームが下から上に上がって受信機の高さに到達したときである。受信機の高さが最高高さに極めて近い場合、上昇時に最初の掃引が観察された後、再び下降する面状ビームが2回目に受信機に到達するまで、短時間しかかからない。受信機の高さが最低高さに極めて近く、下降する面状ビームがちょうど受信機の高さを初めて掃引した場合も同様である。それでも、はじめに自身の最低高さまで下降する面状ビームが再び受信機まで上昇するまでの時間は短い時間にすぎない。これに対して、受信機の高さが、面状ビームが所与の距離で到達できる最低高さと最高高さとの間のほぼ中間にある場合、ぐらつき速度が同じ場合には、受信機が再び掃引されるまでに、相応により長い時間がかかる。したがって、ぐらつき行動とベースステーションからの距離とが判明している場合には、掃引の時間間隔から、受信機の高さを推測することができる。
【0036】
受信機が、周期的なぐらつき運動のもとで、所与の高さで繰り返し掃引される場合、2つの掃引の間に2つの異なる間隔が発生し得ることが指摘されるべきである。第1の間隔は、面状ビームが上から下に動くときの掃引と下から上に動くときの掃引との間の時間に相当し、第2の間隔は、下から上に動くときの掃引と上から下に動くときの掃引との間の時間に相当する。2つの間隔は合わせて、ぐらつき期間に相当する。しかし間隔の同一の組み合わせは、高さの極大値の近くでも極小値の近くでも観察され得る。面状ビームが、まさにぐらつき運動によって、上へまたは下へ傾斜しているのかが明確でない場合、これは場合によっては曖昧さをもたらすが、さまざまな様式でこれを解決することができる。
【0037】
さらに、ぐらつきによって引き起こされる、面状ビームの所与の傾斜のもとでビームが到達できる最高高さは、ベースステーションからの間隔に関連していることが明らかであろう。ここで時間間隔は、ぐらつきによって引き起こされる、面状ビームの所与の傾斜のもとでビームがこの間隔において到達できる最低高さもしくは最高高さに受信機の高さがどれだけ近いかに関連している。
【0038】
したがって、受信機からベースステーションまでの距離が判明していない場合には、使用可能な測定値として、例えば、すでに鉛直角が取得されてよい。しかし、受信機からベースステーションまでの距離を決定するために、かつ/または高さ決定の曖昧さを解決するために、付加的な措置を取ることが可能であり、有利である。これには、さまざまな可能性がある。
【0039】
場合によって、高さに関する明確さを得るために、測定空間を、例えば、ベースステーションの座標中心がその分割面を通る半分の空間に制限することができ、その結果、例えば、測定は、水平線より上の高さでのみ、または水平線より下の高さでのみ行われる。受信機で、その場所でのぐらつき運動が、まさに、面状ビームの上昇をもたらすのか、または下降をもたらすのかを、例えば2つの感光性要素の使用によって求めることもできる。ここで、一度得られた明瞭性は、能動的なリモートステーションがベースに対してどのように移動するかが追跡されている限り、維持されることが指摘されるべきである。これは、長期的に明瞭性を保証するのに十分である。この追跡は、例えば、能動的なリモートステーションの1つまたは複数の感光性要素の一時的なシャドウイングのために、多数の感光性要素でもってしても曖昧さを常に解決できるとは限らないことが考慮されなければならない場合に特に有利である。
【0040】
ここで有利には、感光性要素同士は既知の間隔で、原則として両方の感光性要素が掃引されるように離れて重なり合って配置されている。このような場合には、はじめに、一連の掃引から、最初に上部の感光性要素が掃引され、次に下部の感光性要素が掃引されたのか、またはその逆であるのかが識別される。すなわち、受信イベントの経過から、受信機の場所でのぐらつきによって面状ビームが現在上昇しているのか、または下降しているのかを識別することができる。さらにここで、受信機とベースステーションとの間の距離も決定することができる。光受信機における十分に大きな2つの感光性要素を動かすための機器に関する手間およびこれらの受信機のサインを評価するための時間が非常に短いことが言及されるべきである。さらに、このような受信機を振動に耐えるように構成することができるため、道路工事機械で生じるような強い振動の場合でも、制御不可能な振動が妨害することはない。
【0041】
原則的に、ベースステーションは放射線を放出し、リモートステーションは、ベースステーションから送出された放射線を受信する受信機として構成される。受信機は、能動的なリモートステーションであり、内部に典型的にフォトダイオード等のフォトエレクトロニクス要素が設けられており、これは放射線の入射に応答して電気信号を生成し、この電気信号が能動的なリモートステーションにおいて原則的にさらに処理される、すなわち例えば信号調整されるので、アナログ受信信号に応答してデジタル信号が決定され、このデジタル信号に応答して、例えばベースステーションに対する角度または座標等の他の変数が計算される。
【0042】
ベースステーションが放射する「光ビーム」という用語は、ここでは単に可視の光放射線を指すのではない。可視または不可視、特に赤外で発光する通常のレーザーダイオード、固体レーザー、LEDならびにコリメータ光学系等の下流側の同じ光学系を共有する、個別または共同で駆動制御可能な要素のアレイ配置、ならびに準光学的な波長範囲の場合には、ガンダイオードおよびその他のHF放射器が、ここで、用語「光ビーム」に含まれるこのような放射線の適切な供給源として言及される。
【0043】
送出された放射線は面を通り、この面は本発明に相応にぐらつく。場合によっては、回転ベアリングの不正確さもしくは消耗等によって、回転するビームを伴う既知のベースステーションにおいて一種のよろめき運動が観察されることがあるが、これはぐらつき運動ではなく、特に、すなわち、特に法線の現下の姿勢が得られるパラメータが存在している、既知のぐらつき動きではないことが示唆されるべきである。ぐらつき運動場合とは異なり、よろめき運動では、面状ビームの法線の姿勢は既知の制御された様式で変化せず、ましてや、法線の方向付けが既知のように繰り返し実行されるように変化しない。
【0044】
本発明のぐらつき運動は、原則的に、面状ビームの傾斜にかなりの変化をもたらすことも指摘されるべきである。平均して水平な面状ビームでは、ぐらつき運動は、水平線に対して、それぞれ360°の完全な円に関して、少なくとも±2.5°、有利には±5°、より有利には少なくとも±10°、特に有利には少なくとも±15°の傾斜をもたらすことが明らかである。
【0045】
光学的または準光学的な波長スペクトルにおいて、平面状のプロファイルのビーム、平面状ビームまたは扇状ビームとして送出された放射線を伴う、ベースステーションによってぐらついて放射される唯一の面状ビームがすでに、ベースステーションに対する2つの方向角、すなわち能動的なリモートステーションの掃引の際の鉛直角λ(ラムダ)と水平角ψ(プサイ)とを決定するのに十分であることが強調されるべきである。この点で、据え付けのまたはほぼ据え付けのリモートステーションの場合には、法線が繰り返し同じ姿勢を取ることができるので、値を平均化することができ、それによって精度を高めることができることにも言及されるべきである。
【0046】
面状ビーム法線の姿勢を既知の制御された様式で変えることができる、さまざまな様式がある。例えば、完全な回転または2つの終点間を(走査方式もしくは振動方式で)行き来する運動が設定されてよい。走査方式の行き来する運動は、特定の領域がより頻繁に掃引されるという利点を有している。これに対して、完全な回転は、原則的に、構造的により容易に実現される。
【0047】
原則的に、ビーム路が、回転または走査運動の2回のビーム通過のもとで、ベースステーションの同じ光学部品を通り、したがって、そうでない場合には特に関連性のあるエラーの大部分が互いに打ち消し合う、特に鉛直角の測定に関する線形性エラーが互いに打ち消し合うことも可能である。したがって、鉛直角オフセットの迅速な1次元較正で十分に、サブ秒角範囲までの精度でも鉛直角を検出することが可能になる。
【0048】
能動的な受信機を能動的なリモートステーションとして使用することは必須ではないが、場合によっては能動的なリモートステーションを、それ自体がビームを送出することによって能動的にすることもできることが強調されるべきである。この場合には、ベースは、例えば、感光性要素の前に適切な受信光学系を接続することによってぐらつく面からのみ放射線を受信する。すなわち、本明細書で、そうでない場合にはオプトエレクトロニクスビーム送信要素と言及されている箇所で、送信機と受信機との間のそのような反転の場合に、フォトダイオード、APD、SiPM、検出器アレイ、CCD等のオプトエレクトロニクスビーム受信要素が代わりに設けられてよく、その逆もまた同様である。この場合にはこれによって、そうでない場合には通常のビーム方向が逆にされる。面状ビームは、送出された測定放射線の方向特性ではなく、光ビーム受信の方向特性を表す。これは明らかに、ベースステーションだけでなく、原則的に受信機として構成されているリモートステーションでも可能である。これについて、以降のすべての箇所でさらなる検討がされるということはないが、放射線を正確にまたは大まかにベースに向けることができ、これは必要に応じて所与のビーム強度での人へのリスクを減らすので、この点で利点を有している。
【0049】
さらに、ベースステーションにおいて、オプトエレクトロニクスビーム送信要素とオプトエレクトロニクスビーム受信要素との両方が同時に、例えばλ/4プレートを備えた偏光ビームスプリッタを使用して、コリメーション光学系の焦点に配置されることも設定され得る。これによってベースステーションは光放射線の送信と受信とを同時に行うことができるようになり、これによって、高い反射性の受動的なターゲットでの方向測定が可能になる。この受動的なターゲットは例えば、トータルステーションで使用されるコーナ/キューブリフレクタ(キャッツアイ)である。さらに、3D座標の完全なセットを決定するためのパルス時間測定が可能になる。そのような場合も、面状ビームはぐらつく。これは、複数のベースステーションが例えば相互に較正し合うことを可能にし、ロボットタキメータに匹敵する3D測定を実行することも可能にするため、それ自体ですでに新規性を有していると見なされる。以前から知られているベースステーション・トランシーバに対する利点は、従来のタキメータでの2つの回転軸線に対して、ここでは、格段に単純なオプトメカニクスが1つの正確な回転軸線しか必要としないことである。以降でさらに説明され、誘導ラインを形成するセグメントチェーンに対するそのような装置の有用性は、特に有利かつ安価であるとして明示的に開示され、同様にそれ自体が新規性を有していると見なされる。
【0050】
それぞれ特定の方向からの放射線のみが受信されるようにベースステーションを放射線受信用に装備し、能動的なリモートステーションをビーム放射用に装備することも、それ自体が特許に値すると見なされることが言及されるべきである。これは特に、ぐらつく面で動作が行われる場合であり、ここではこの場合に、ベースステーションはぐらつく受信特性を有している。
【0051】
すなわち、上述の記載から明らかであるように、特に光学的または準光学的なポジション決定のための測定装置を設けることができ、この測定装置は、自身のポジションまたは姿勢において決定されるべき物体に対して、この物体に空間的に固定的に関連付けられた少なくとも1つの能動的なターゲットと、少なくとも1つのベースステーションと、を有しており、測定で検出可能な、ベースステーションの領域には能動的なターゲットが存在しており、ここではベースステーションがぐらつく面状ビームを生成する。
【0052】
面もしくは面状ビームという用語が、多種多様なビーム配列を指すことも説明されるべきである。したがって、本発明では、例えば、平面状のビームプロファイルが使用されてよく、これは例えば、有利には実質的に、すなわち結像エラーおよび突き合わせエラーを除いて、歪んでいない平坦な平面である。しかし、本発明では、円形、楕円形またはわずかに波打つ基本プロファイルを有する円錐面を、以降に記載する円錐形ミラーまたは以降に記載する、アキシコンの全反射円錐窪みに使用することができ、扇状ビームもしくは多重扇状ビームも参照され、これは例えばシャドウイングによって引き起こされる同一平面多重扇状ビームである。さらに結像エラーおよび突き合わせエラーによって歪んでいる、上記のタイプの平面状ビームが参照される。この用語のこのような幅広い解釈にもかかわらず、特に、数式が提示されている場合には、提示されている数式の理解を容易にするために、理想的な平坦な面が想定される。しかし、この点に関しては、平面状のビームプロファイル、扇状ビーム、または(ぐらつきがさらに重ね合わされていないぐらつきからの解放が想定されている場合)面を循環するビームが特に有利であることが言及されるべきであり、これは詳細には、有利な変化形が、結像エラーおよび/または突き合わせエラーによって歪んでいる場合にも当てはまる。
【0053】
ぐらつき運動は、有利には、面状ビームに対する法線の終点が、この法線に平行ではない軸線の周りを循環し、詳細には、常に判明している、有利には、平行ではない軸線に対して一定または実質的に一定の傾斜角度で循環することによって実現され、規定される。ここでは、平行ではない軸線を中心とした、面状ビーム法線の循環の位相も常に判明しており、能動的なリモートステーション、すなわち原則的に能動的なターゲットに、法線の周期的な循環ごとに少なくとも2回、面状ビームが入射し、詳細にはψの法線位相角とψの法線位相角との際に入射する(これらの位相角が、以降では回転角度または角度位置とも称されることに注意されたい)。ジャイロスコープから知られているように、法線は一種の歳差運動に追従する。
【0054】
一方では、原則的に、平行ではない軸線は一般に鉛直に立っており、これによって平均して、面状ビームが水平面を中心にぐらつく。鉛直に立っている軸線は、ぐらつき運動が周期的なぐらつき運動として光学要素、すなわち、ベースによって放射される放射線のための回転するビーム偏向部品の回転させることによって実現される場合に、この光学要素の回転軸線であってよい。
【0055】
しかし、平行ではない軸線を正確に鉛直に配向することが必ずしも必要ではないことが言及されるべきである。特に、平行ではない軸線の正確に鉛直ではない配向を補償することが可能であり、これによって、特に手間のかかる設置の必要性がなくなり、さらに地面が柔らかすぎる等の理由で、測定中に、設置されたベース自体が徐々に傾いてしまう場合には、エラーを回避するのに役立つ。すなわち、この点では、平行ではない軸線は通常は実質的に鉛直に立っているが、その配向は必ずしもそのような配向に限定されないことが強調されるべきである。
【0056】
上述の記載から、本発明の測定装置では、平行ではない軸線を中心に面状ビーム法線が循環するときに能動的なリモートステーションが掃引される少なくとも2つの位相角もしくは少なくとも2つの時点が、ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの方向角を計算するために使用可能であることが理解される。能動的なリモートステーション、すなわち能動的なターゲットが、ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの鉛直な方向角λ(ラムダ)を計算するように構成されているのは有利であろう。さらに、能動的なターゲットが、ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの水平な方向角ψ(プサイ)を計算するように構成され得ることが明らかである。
【0057】
上述の記載から、面状ビームの法線が自身の姿勢を周期的に通ることによって、面状ビーム法線が自身の方向付けを繰り返し実行することが容易に可能であることが理解される。したがって、有利な実施例では、面状ビームの法線が自身の姿勢を周期的に繰り返すように、面状ビームのぐらつき運動を生成するように、ベースステーションを構成することも提案される。特に有利な周期的な運動を、一般的には鉛直な軸線を中心とした面状ビーム法線の歳差運動のような回転によって実現することができる。
【0058】
ここで、特に容易に、ぐらつく面状ビーム運動を実現するために、ベースステーションは回転するビーム偏向部品さえ含んでいればよい。これに対する例としては、回転する透過性の屈折角型プリズム、鉛直な軸線もしくは回転軸線に対して傾斜して配置された回転するミラー、点光源を光学レンズ軸線に沿った線上に結像させるもしくはレーザービームをリングに変換する円錐形に研磨されたレンズとして形成可能なアキシコンまたは円錐光学系が挙げられ、コリメートされたビームをその伝搬方向を中心に角度aで回転偏向させることができる複数の光学部品の他の回転可能な各装置と同様に参照される。そのような要素を用いて容易に実装可能であるので、ベースステーションが回転するビーム偏向部品を含むのは明らかに有利である。
【0059】
さらに、構造的に特に良好に実現されるので、ベースステーションが能動的な受信機とともに使用されるように構成されており、ぐらつき運動を次のように生成するのは有利である。すなわち面状ビームの法線が、この法線に対して平行ではなく、この法線に対して事前に規定された、少なくとも実質的に一定の傾斜角度で立っている回転軸線を中心に、常に判明している回転角度で循環し、能動的な受信機に、法線の回転ごとに少なくとも2回、面状ビームが入射するようぐらつき運動を生成するのは有利である。
【0060】
上述のように、多くのビームプロファイルが可能である。レーザーダイオード、固体レーザーまたはLED等の従来のビーム源からこれらを得るために、ビーム拡張部品を使用するのは有利である。したがって、ベースステーションがビーム拡張部品もしくはビーム拡張手段、例えばビームを面状ビームに拡張する部品を有しているのは有利である。場合によっては、ビームを拡張して1つまたは複数の扇が形成可能であることが指摘される。さらにシャドウイング、選択的吸光等によって、発光の空間分布に影響を与えることができることが指摘される。
【0061】
面状ビームを生成するためのビーム拡張部品は、例えば、円錐形ミラーの形もしくは機能を有することができる。これは任意の円錐角度、有利には、90°で構成されていてよい。同様に、アキシコンの使用、例えば、内部反射および外套面を介した横方向の取り出しを伴う平凹アキシコンの使用が開示され、さらに円筒光学系も使用可能であることが言及され、適切な光学部品の他の任意の組み合わせも同様である。
【0062】
さらに、ベースステーションがオプトエレクトロニクスビーム送信要素を含んでおり、このオプトエレクトロニクスビーム送信要素の後に光学要素が配置されており、かつ/またはオプトエレクトロニクスビーム送信要素が光学要素と一体的に設けられていることも設定されていてよく、これによって、送出された放射線を特定の開口角度、もしくは有利にはできるだけ平行な拡散にコリメートすることができる。このために可能であるのは、レーザーダイオード、固体レーザー、LED、ならびに同じコリメータ光学系を共有する個別に駆動制御可能な要素のアレイ装置であり、これと並んで準光学的な波長範囲の場合には、ガンダイオードまたは他のHF放射器も可能である。
【0063】
同様に、オプトエレクトロニクスビーム送信要素と、オプトエレクトロニクスビーム受信要素と、の両方が同時に、例えば、λ/4プレートを備えた偏光ビームスプリッタによって、コリメーション光学系の焦点に入れられることが設定されていてよい。したがって、ベースステーションは、トータルステーションで使用されるコーナキューブリフレクタ(キャッツアイ)等の高い反射性の受動的なターゲットで方向測定を実行することができ、これと並んで、3D座標全体を決定するために、パルス伝搬時間測定を実行することができる。したがって、ベースステーションは、例えば較正し合うことができる、またはロボットタキメータに匹敵する3D測定を実行することができる。しかしここでの利点は、タキメータにおける2つの回転軸線に対して、格段に単純なオプトメカニクスが1つの正確な回転軸線しか必要としないことである。
【0064】
さらに有利には、コリメートされたビームは、回転するビーム偏向部品によって偏向され、面状ビーム拡張部品によって、ぐらつく面状ビームを形成するように拡張される。
【0065】
上述の記載から明らかであるように、ベースステーションは有利な実施例では、オプトエレクトロニクス光放射線送信要素と、その放射線用のコリメータと、を有しており、ここでさらに、回転するビーム偏向部品が設けられており、この回転するビーム偏向部品は、それらが、オプトエレクトロニクス光放射線送信要素から放射された光を、ぐらつく面状ビームを形成するように拡張するように構成されている。これによって、ベースステーションを特に容易に構成することが可能になることは明らかである。
【0066】
鉛直な軸線を中心に循環する面状ビーム法線の例を上で紹介した。ここでは、この軸線が必ずしも正確に鉛直である必要はないことが説明された。正確に鉛直ではない姿勢を補償することが可能であることがすでに指摘された。したがって、有利には、本発明のベースステーションでは傾斜補償器が設けられている。傾斜補償器は、例えば、誤った姿勢を、アクチュエータを用いて補正することによって、場合によっては、変化する、誤った姿勢を、繰り返し、アクチュエータを用いて補正することによって、水平方向の配向を機械的に強制することができるが、有利には、ベースステーションの構造的に規定された軸線、例えば回転する光学部品の回転軸線の傾斜角度さえ十分に正確に検出されればよく、対応する情報が評価に使用されることが指摘されるべきである。したがって、ぐらつきのない面状ビームの基本的な傾斜、すなわち、面状ビームの中央の方向付けは、2つの異なる様式で補償可能である。すなわち、一方では機械的な配向によって、他方では計測技術による検出と計算による補償とによって補償可能である。計測技術による検出および計算による補償は原則的に安価であり、したがって構造的にも動作においても有利であることが言及されるべきである。
【0067】
さらに有利には、ベースステーションは、オプトエレクトロニクス要素から送出された光放射線をデータ信号で変調する手段を有しており、この変調は有利には角度符号化を行うデータ信号によって、かつ/または他の補助データを符号化するデータ信号によって、有利にはベースステーションの一義的な識別子(IDまたはシリアル番号)および/またはベースステーションの温度、ベースステーションのバッテリ状態等によって、ならびに傾斜センサまたは傾斜補償器の姿勢によって行われる。すなわち面状ビームの現下の実際の傾斜、ひいては中央の方向付けに関する情報が、有利には、ベースステーションによって放射される放射線の上に、変調のために載せられてよい。同様に、角度符号化を行うデータ信号によって、面状ビーム法線循環のサイクルにおける現下の位相が、能動的なリモートステーションに伝送されてよい。面状ビーム法線循環のサイクルにおける現下の位相、すなわち、例えば、自身の回転によって面状ビームのぐらつきを生じさせる回転光学系、すなわち回転する角型プリズムの現下の回転角度を伝送することの特別な利点は、有線伝送もしくは無線伝送等用の付加的な要素を省くことによる構造的な簡素化に加えて、とりわけ、レイテンシからの解放にある。多重受信の場合、平均化が可能であり、以降で、回転角度情報のコーディングのための特に適切な方法が開示されることが指摘されるべきである。したがって、測定装置は有利には、オプトエレクトロニクスビーム送信要素を、角度符号化を行うデータ信号で変調するための手段が設けられているように構成される。
【0068】
したがって、ベースステーションと能動的なリモートステーションとの間の角度の同期は、これまでのように(時間オフセットされ、単に緩んで)、干渉の影響を受けやすい個別の無線データ伝送または赤外データ伝送を介して行われるのではなく、ベースステーションからの角度符号化されたデータ信号ならびに選択的に他の補助情報での面状ビームの放射線の変調によって直接に得ることが可能である。この装置だけですでに、回転の並行性への要件を典型的に、2桁以上減らすことができ、そうでない場合には必要となる、コストのかかるベアリングおよびフライホイール質量を省くことができる。放射されたビーム上に、適切な情報を、変調のために載せることによって回転角度を伝達することは、さらにここでも有利であり、それ自体、すなわち特に面状ビームのぐらつき運動に関係なく、新規性を有していると見なされる。ここでベースステーションは回転するビームもしくは回転する面状ビームまたは扇を送出し、ビーム受信の際の現下の回転角度が、特に測定ビーム受信機の座標を決定するために判明していなければならない。ここで、放射された放射線に、変調のために載せられるデータ信号は、例えば、ビーム偏向部品の回転軸線の現下の角度位置を符号化することができ、ここで角度位置は、同様に、ビーム偏向部品の回転に結合された角度エンコーダによって取得される。
【0069】
この点では、本明細書で請求されている、もしくは開示されている、本明細書で開示された発明の一部の態様、特に、回転角度データを伴う、レーザービームを介した光学的なデータ伝送および/または例えば一義的な識別子(IDまたはシリアル番号)等の補助情報の伝送等が一般的に、欧州特許出願公開第2998699号明細書のレーザートランシーバにも有利に適用され、同様に、任意のあらゆる回転レーザーにも適用されることが明確に指摘されるべきである。これらの回転レーザーは、これによって、水平方向の角度を決定することができるようになる。これは、例えば無線または別個のIRデータ伝送による外部の同期は実現されずに行われる、または受信されたレーザービームを一義的にレーザートランスミッタに割り当てることを可能にするために行われる。
【0070】
上述の記載から、少なくとも断続的に、角度データに加えて、放射線もしくは面状ビームに関するさらなる補助データを伝送することがどのように有利であり得るのかも明らかになる。これは特に例えば、能動的なリモートステーションでの、かつ能動的なリモートステーションを通る、ベースステーションの傾斜を後から補償するための傾斜センサまたは傾斜補償器の配向、すなわち姿勢であり、同様に、バッテリ状態、温度等が伝送可能であり、これによって、測定が長く続く場合に、潜在的にクリチカルなベースステーションの動作状態を早期に識別することが可能になる。この際に、ベースステーションで人がこれをコントロールする必要はない。
【0071】
能動的なリモートステーションにおける感光性要素のサイズが、典型的に、感光性要素の掃引、ひいてはベースステーションによる放射線の受信に一定の時間がかかるほど大きいことが言及されるべきである。これはすでに極めて小さい面積の感光性要素の場合に当てはまるので、掃引期間中に得られた、面状ビーム法線の位相位置、すなわち回転軸線を中心とした自身の回転の角度位置を、ビーム受信の時間的な重心を考慮に入れ、計算して決定するように能動的なリモートステーションが構成されている限り、能動的なリモートステーションでの特別な構造上の手間なく、方向角を特に正確に決定することが可能になる。
【0072】
すなわち、面状ビーム法線の位相位置は、典型的に、離散的な角度ステップでコード化される。これらの離散的な角度ステップで符号化された放射線が長期間にわたって受信される場合、複数の離散的な角度ステップ間を補間することが可能である。
【0073】
すなわち、有利には、ビーム受信中、すなわち能動的なリモートステーションの掃引中にベースステーションから伝送され、能動的なリモートステーションで受信された複数の離散的な角度ステップ間が補間される。択一的かつ/または付加的に、ビーム受信サインを、例えば、LMS法または相応にトレーニングされたニューラルネットワーク(KI、AI)による典型的なビーム受信の経過のモデルの最適化によって評価することもできる。
【0074】
ベースステーションと感光性要素との間の距離が大きい場合には、ビーム受信イベントはノイズを著しく多く含む、かつ/または極めて短くしか継続しないので、多くの場合、受信側で1つの角度ステップしかデコード可能ではない。しかし、その場合でも、ぐらつき速度と受信された信号のエンベロープ曲線とが考慮されることで、サブサンプリング精度で、すなわち符号化された角度ステップよりも格段に正確に、時間的な重心の位相位置を推測し続けることができる。対応する計算の際に、ぐらつき速度が特に正確に判明している必要はなく、上記の条件下でのその時間的変動も測定精度に大きな影響を与えないことが明らかである。
【0075】
上述の記載から明らかであるように、はじめに、ベースステーションに対する保護が請求される。しかし、保護はまた、上記のような少なくとも1つの対応するベースステーションならびに少なくとも1つの属する能動的なリモートステーションを含んでいる測定装置に対しても請求される。場合によっては、能動的なリモートステーションが、特に高い構造的な手間を必要とせずに、記載したように、別のベースステーションに配置されていてよいことが言及されるべきである。しかし、他のケースでは、かつ/または付加的に、能動的なリモートステーションが能動的な受信機によって実現されていてもよい。ここでは、その中に能動的な電子要素もしくは能動的な電子回路もしくはデータ評価ユニット等が存在する場合に、能動的な受信機が想定される。ベースステーションを備えた本発明の測定システムは、複数の能動的なリモートステーションに呼びかけることができ、これに相応に、複数の能動的なリモートステーションが測定システムに属することができることが言及されるべきである。特に、例えば仮想誘導ラインを規定するために、少なくとも、移動ユニットに設けられている能動的なリモートステーションと、据え付けで配置されている能動的なリモートステーションと、が設けられていてよい。
【0076】
すでに説明したように、能動的なリモートステーションを適切に構成することによって、高さ決定時の曖昧さを容易に解決することも可能である。特に、これは、鉛直方向に間隔を置いた複数の感光性要素を使用することによって可能になり、この場合には、そこで使用される感光性要素相互の間隔が判明している場合、同時に、能動的なターゲットとしての能動的な光受信機等の能動的なリモートステーションとベースステーションとの間の間隔を決定することができる。
【0077】
したがって、測定ビーム受信機の有利な実施形態は、測定ビーム受信機が、動作時に異なる高さに配置されている、相互に離間している少なくとも2つの感光性要素を有しており、かつ測定ビーム受信機が、感光性要素の掃引の時間サインから、高さ決定の曖昧さを解決し、有利には、ベースステーションからの間隔も決定するように構成されていることを設定する。同様に、放射線を送出するリモートステーションでは、少なくとも2つのビーム源が、相応に、互いに離間して設けられ得ることが言及されるべきである。
【0078】
特に、有利な実施形態に関係して、能動的な測定ビーム受信機等の能動的なリモートステーションが、本発明のベースステーションとともに使用するために特別に改良されることが明らかになるであろう。
【0079】
したがって、測定ビーム受信機についても保護が請求される。測定ビーム受信機は、ここで開示されるように、もしくは上述のように、ベースステーションからの光ビームを受信するように構成されており、特に、ぐらつく面状ビームの繰り返しの検出に応答して、ベースステーションの極座標系に関連して少なくとも1つの角度を計算するように構成されていてよい。この計算は有利には検出の時点を決定して、かつ/または検出の時点での、面状ビームのぐらつきのために回転する面状ビーム法線の少なくとも2つの角度位置を決定して行われる。原則として、本発明のベースステーションおよび属する能動的なリモートステーションを使用して、ベースステーションに対する能動的なリモートステーションの完全なポジションおよび場合によっては姿勢を決定することが可能であり、任意の座標も明確に決定可能であることが言及されるべきである。この際に、説明のために、ベースステーションを原点とする特にわかりやすい円筒座標もしくは球面座標を参照する必要はない。
【0080】
本発明の測定ビーム受信機では、上述の記載から明らかなように、有利には、測定ビーム受信機は、角度符号化を行うデータ信号および場合によっては補助データで変調された放射線をデコーディングして、角度位置を決定するように構成されており、かつ/または測定ビーム受信機は、ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの鉛直角を計算するように構成されている。
【0081】
さらに有利には、測定ビーム受信機は、ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの水平角を計算するように構成されている。すなわち典型的に、信号調整部および/またはデジタルデータ処理段階が設けられる。
【0082】
高い精度で方向角を決定するために、能動的なリモートステーション、すなわち能動的なターゲットは、入射時点で、角度符号化されたデータ信号もしくは場合によっては補助データで変調された、面状ビームの放射線から、ならびに伝送された離散的な角度ステップ間の補間のためのビーム受信の時間的な重心点の計算とともに、回転軸線を中心とした面状ビームの法線の回転の角度位置を決定するように構成されていてよい。
【0083】
測定システム、発光ベースおよび/または本発明の測定ビーム受信機の特に有利かつ典型的な用途は、移動物体、特に車両、例えば自律走行車を誘導することである。
【0084】
したがって、保護は、移動物体、特に車両を誘導するための方法についても請求され、ここでは、放射線を放射するベースステーションおよびその放射線のための、移動物体に固定的に関連付けられた少なくとも1つの測定ビーム受信機が使用される。ここで少なくとも1つの他の測定ビーム受信機が据え付けで設置され、ベースステーションと、他の、据え付けで設置された測定ビーム受信機と、の間の仮想接続ラインが求められ、次に、移動物体に固定的に関連付けられた測定ビーム受信機による放射線検出および仮想接続ラインを参照して、移動物体を誘導するための誘導データが求められる。有利にはこれは、面が決定されることによって行われ、この面では、接続ラインがベースステーションと、据え付けの測定ビーム受信機と、の間に位置しており、これは付加的に、定められた横方向傾斜を有している。さらに有利には、目標誘導ラインがこの面において決定され、さらに有利には誘導データが決定され、これによって、移動物体をこの面に沿って誘導することができる。横方向傾斜を、例えば、ユーザによって設定された傾斜値によって、または他の、据え付けで設置された測定ビーム受信機に対するベースステーションの接続ラインによって規定することができる。
【0085】
特に、光学的または準光学的なポジション決定のための測定装置によって、車両の高さおよび姿勢を決定するための方法が提案される。この測定装置は、車両に固定的に関連付けられた少なくとも1つの能動的なターゲットと少なくとも1つのベースステーションとを有している。ここで、ベースステーションの検出範囲に能動的なターゲットが配置され、少なくとも1つの他の据え付けの能動的なターゲットが設けられ、ベースステーションと据え付けの能動的なターゲットとの間の接続ラインを跨がって、仮想誘導ワイヤのセグメントならびに事前に規定された横方向傾斜を有する仮想レーザー面が設けられ、ここで、車両は、自身の作業高さにおいて、従来の誘導ワイヤと同様に、能動的なターゲットによって得られるベースステーションの方向角を使用して誘導される。
【0086】
このような方法では有利には、仮想接続ラインのセグメントのチェーンが、放射線、有利には光放射線を放射するベースステーションと、据え付けで設置された能動的なリモートステーション、すなわち有利には測定ビーム受信機と、がこのチェーンに沿って交互に生じ、セグメントのこのチェーンが仮想の誘導ワイヤを形成するように構成されることが可能である。ここでは、各ベースステーションには、2つの仮想レーザー面が割り当て可能であり、これらの仮想レーザー面は、隣接したそれぞれの据え付けの能動的なリモートステーションもしくはターゲットによって、ステーションの方向角から、計算によって決定される。
【0087】
ここで能動的なリモートステーションが、同時にベースステーションとして機能する必要はなく、純粋にビームを受信する能動的なリモートステーションであってよい。この有利な構成によって、ベースステーション到達範囲が同じ場合、すなわち放射能力が同じ場合に、所与の長さの仮想接続ラインを得るための構造的な手間が大幅に軽減される。すでに、場合によって、他のステーションに、自身の、現下クリチカルであり得る動作状態を通知するため、かつ/または他のステーションの動作状態を照会するために、種々の補間点同士の通信がこのようなシステムにおいて行われ得ることは、有利な変化形として開示されるべきである。
【0088】
移動物体を誘導するための記載された方法の有利な使用の際に、特に有利には、種々のセグメントに対して決定可能な誘導データが平滑化される、かつ/または少なくともセグメントの移行箇所で補間されることも言及されるべきである。有利にはそれぞれ付加的な情報が参照され、特に有利には、誘導路の計画されたコースと方向角との交点および/またはオドメータの値が参照される。ここで有利には、誘導データとして、移動物体の自動的な移動のための制御パラメータが決定される。
【0089】
移動物体を誘導するための上述の方法を、例えば図1に示された従来技術のベースステーションを用いても実現することができることが指摘されるべきである。このこと自体も新規性を有していると見なされ、同様に、ぐらつく面状ビームとの使用も新規性を有していると見なされる。
【0090】
さらに、上述の方法で使用される、本発明のベースステーションまたは従来技術から既知のベースステーションは、欧州特許出願公開第2998699号明細書と同様に測定ビームトランシーバとして構成されてもよい。これは同様に、新規性を有していると見なされる。
【0091】
本発明を以降で、単に例示的に、図面に基づいて記載する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】導入部分で説明された、従来技術の、4つの異なる例示的な測定装置を示す図である。
図2】有利な測定装置の概要を示す図である。
図3】能動的なターゲットを備える、有利な測定装置を示す図であり、2つの異なる高さに対する、能動的なターゲットの受信サインが示されている。
図4】曖昧さを除去し、ベースステーションに対する3D座標を決定するために、鉛直に重なり合う、既知の間隔bの2つの受信機を有している能動的なリモートステーションを備える測定装置を示す図である。
図5】曖昧さを除去するためにGNSSアンテナが割り当てられている能動的なターゲットを備える測定装置を示す図であり、ここで能動的なターゲットによって、GNSSアンテナの3D座標が改良可能である。
図6】ベース間隔bを有している、曖昧さを除去し、能動的なターゲットの3D座標を決定する2つのベースステーションを備える測定装置を示す図である。
図7】ベースステーションでの光学部品の6つの択一的な配置を示す図である。
図8】ベースステーションの特に有利な構成のオプトメカニクスの断面図である。
図9】ベースステーションの特に有利な構成の制御回路のブロック図である。
図10】能動的なターゲットの特に有利な構成のブロック図である。
図11】ベースステーションにおける、能動的なターゲットでの受信後の角度符号化されたデータ信号の可能な構成の例および説明である。
図12】道路工事において工事機械を誘導する方法における、工事機械へのレーザーセンサの取り付けを示す図である(従来技術、すでに説明されている)。
図13】導入部分において説明された、従来技術の方法での道路経過の上面図である。
図14】車両の高さおよび姿勢を決定するための提案された方法における能動的なターゲットの取り付けを示す図である。
図15】仮想誘導ラインもしくは仮想ストリングラインを用いて本発明の方法を実施する際の仮想レーザー面および補間点間の移行部分における補間を示す図である。
図16】仮想ストリングラインを用いる、図15でも説明した方法を実施する際の道路経過およびロードフィニッシャの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図2は、測定放射線を面で放射するベースステーション2を有する、全体的に参照番号1が付けられた測定装置を示している。ここでベースステーション2は、面状ビーム4のぐらつき運動のために構成されており、このぐらつき運動によって、面状ビーム4の法線6の姿勢が既知の様式で、面状ビーム法線6の一連の方向付けが既知の様式で実行されるように変更される。位相角ψ(プサイ)を参照されたい。さらに、測定装置1は、ベースステーション2から放出された測定ビームを受信する能動的なリモートステーション3、すなわち能動的なターゲット3を有している。
【0094】
図示の実施例では、ベースステーション2は、十分に安定した三脚スタンド36上に配置されており、測定放射線として可視光を放射する。図示の実施例では、ベースステーション2は、軸線8が鉛直に配向されているように設置されている。さらに図7を参照して説明されるように、ベースステーション2において、ビームを偏向する光学要素は、この軸線8を中心に回転する。図2の実施例のぐらつき運動によって、ここで、面状ビーム4に対する法線6が軸線8に対して角度α(アルファ)ぶん傾斜され、軸線8と交差する法線単位ベクトル6の終点が、円上で軸線8を中心に循環する。位相角ψ(プサイ)は、この法線ベクトルが存在する、この円循環の位相を示す。
【0095】
能動的なターゲット3は、例えば取り外し可能または取り外し不可能に、測量されるべき物体(図示されていない)に固定されていてよい、またはこの物体に保持されてよい、またはこの物体でのポジション測定のために固定してまたは可動に設置されていてよい。ぐらつく面状ビームが、各ぐらつきサイクルで2回、適切な高さに配置されている能動的なリモートステーション3を掃引することが理解される。能動的なターゲット3は、掃引によって生起される、測定放射線の受信の際に、それぞれ1つの特徴的な信号を生成するために、感光性要素を有している。図2の受信機42での曲線によって象徴される、この特徴的な信号のサインから、以降でさらに記載するように、測定放射線が受信される各時間での法線の方向付けを推測することができる。
【0096】
ぐらつく面状ビームを生成するために、オプトエレクトロニクスビーム送信要素12がベースステーション2内に配置されており(図7a~図7fを参照)、ここではオプトエレクトロニクスビーム送信要素12の後に、オプトエレクトロニクスビーム送信要素12のビームを成形し、反転させる光学要素が配置されている。面状ビーム4の所望のぐらつき運動を実現することができる多数の光学装置が存在している。この多数の光的装置のうちのいくつかが、図7a~図7fを参照して記載される。
【0097】
図7aには、ベースステーション2の特に有利な変化形の光学部品の配置が示されている。ここで、オプトエレクトロニクスビーム送信要素12は、発散ビーム束を放射するレーザーダイオード12である。これは、図示の実施例において、最良の形態の両凸レンズとして構成されているコリメータ10によって、実質的に平行な、コリメートされたビームに変換される。このコリメートされたビームは、続いて、回転するビーム偏向部品7に入射し、回転するビーム偏向部品7は、図7aの図示された実施例では、回転する角型プリズムである。角型プリズムはここで回転軸線8を中心に回転する。この回転軸線8はここでも、コリメートされたビーム束11の伝搬に対して平行である。
【0098】
図2に示された実施例では、回転軸線8は鉛直に立っており、ぐらつく面状ビーム4は、偏向角度αぶん、鉛直な回転軸線8に対して傾斜している法線ベクトル6を有している。角型プリズムの回転を駆動するために、回転運動を生成する、図7aに単に概略的に示された電気モータ18が設けられている。
【0099】
したがって、角型プリズムの回転時に周期的に、異なる方向で、しかし常に鉛直線8に対して傾斜している方向で相応に偏向された、コリメートされたビーム束は、図2の実施例では、90°の円錐形ミラー5に入射する。この円錐形ミラー5は、偏向され、コリメートされたビーム束を面状ビーム4に変換し、ここでこれをさらに傾斜させる。ここで面状ビーム4の傾斜は、面状ビーム4に対する法線6が鉛直な回転軸線8に対して角度αで傾斜して立っているように、円錐形ミラー5の後方に位置する。図2から見て取れるように、法線6は、角型プリズムの回転に相応に、鉛直線8を中心に周期的に循環し、その結果、面状ビーム法線6は角型プリズムが回転する間、繰り返し同じ方向付けを取り、ここで、鉛直な回転軸線8を中心とした、回転モータ18によって引き起こされる角型プリズムの回転によって角型プリズムが現下どのように方向付けされているのかが判明している限り、面状ビーム法線6の現下の方向付けは常に判明している。以降ではさらに、回転モータ18によって引き起こされる角型プリズムの回転によって、角型プリズムの現下の方向付けがどのように決定され、能動的なターゲット3に伝達され得るのかの有利な手法が提示される。
【0100】
円錐形ミラー5は、偏向され、コリメートされたビーム束を、面状ビームを形成するために拡張するので、この点で、ビーム拡張部品が実現される。
【0101】
図示の実施例において、面状ビームが有限の厚さを有しており、この厚さはさらに異なる方向において異なっていることに注意されたい。これは、図7aおよび図7bにおいて見て取ることができる。変化する厚さのこの作用を、円錐形ミラー5の先端が鉛直な軸線8の真上に位置し、さらに、円錐形ミラー5の先端を通る円錐形ミラー対称軸線が鉛直な軸線8の真上に位置すると想定される場合に最もよく理解することができる。さらに、コリメータが、オプトエレクトロニクスビーム送信要素12からの放射線を、平行な個々のビームの正確に円形であり、かつ均質な束にコリメートすることが想定される。(正確な配向のこれらの想定は、異なる厚さの作用をより良く説明できるようにするためにのみ行われ、実際の実行にはこれらの想定の実現は必ずしも必要ではなく、本発明またはこの特別な実施例は、想定されたこの正確さに決して制限されるべきではないことが明確に指摘されるべきである。したがって、鉛直な軸線上の円錐形ミラー先端の正確な配置も、円錐形ミラー5の先端を通る円錐形ミラー対称軸線の、鉛直な軸線との正確な同軸配向も、上述のように、正確に発散なくコリメートされ、正確に円形のビーム束も実際に必要ではなく、それぞれの不正確さおよび偏差は、場合によって容易に甘受可能である、またはより高い精度が望まれている場合には、不正確さの修正が可能であることが読者に指摘されるべきである。しかし、それにもかかわらず、大きな手間をかけずに、高い構造的な精度が、より良い説明のために行われた、この単純化想定の方向で得られることが言及されるべきである。)
【0102】
円錐形ミラー配向のこの単純化想定のもとで、ビームの厚さが異なる方向において変化する理由を特に良好に理解することができる。これは、2つの方向に対してそれぞれ、コリメートされたビーム束の中心もしくは外縁に位置するビームが観察されることによって行われる。すなわち、円錐形ミラー5から離れて、最大の上昇面状ビーム傾斜を有する方向におけるビーム、もしくは最大の下降面状ビーム傾斜を有する、それとは正反対の方向における対応するビームである。
【0103】
コリメートされたビーム束の中心ビームは、円錐の先端の極めて近くで、円錐形ミラー5に入射する。これらはそれぞれ、すなわち面状ビームが上昇する方向においても、面状ビームが下降する、正反対の方向においても、面状ビームの下限を規定する。しかし、コリメートされたビーム束は鉛直線8、ひいては円錐形ミラー軸線に対して傾斜しているので、ビーム束の外側のビームは一方の側では鉛直な軸線8に向かい、これに対して正反対の側では外側のビームは鉛直な軸線8から離れる。これに相応に、コリメートされたビーム束の外側のビームは、それぞれ異なる高さで円錐形ミラー5に入射する。これは、図7aにおいて良好に見て取ることができる。異なる高さでのこの入射によって、円錐形ミラー5による偏向の後、面状ビームの厚さは、異なる方向に向かって、異なっている。図7bは、面状ビームの厚さが、方向において、ビーム傾斜の変化に相応に変化することを示している。ここでは図7aと同じ配置が図7bに示されているが、図7bではビーム路の姿勢が、180°さらに回転された角型プリズムの姿勢に対して、付加的に一点鎖線で示されている。
【0104】
異なる厚さは、光受信機がぐらつく面状ビームによっていつ掃引されたのかが決定されるときに影響を与えることに注意されたい。
【0105】
しかし、この影響は正確に計算可能であり、計算によって補償可能である。さらに、円錐形ミラーの先端は、面状ビームの傾斜角度がプリズム角度に正確に対応している場合に、面状ビームのビームシャドウイングを伴わずに、角型プリズムの表面にほぼ触れることができる。これは、角型プリズムの材料が2.0の屈折率を有している場合である。すなわち、変化する厚さをもたらす、対応する結像エラーは、実際にはクリチカルではない。
【0106】
図7cは、上述した、面状ビームの厚さを変えるオフセット問題が光学的に実質的に補償可能であることおよびその補償方法を示している。ビーム偏向のためにこの実施例において使用される光学要素は、同様に使用される角型プリズム7に加えて、ビーム路においてコリメータ10と角型プリズム7との間に配置され、コリメートされたビームの軸線に対して傾斜した平面平行板を有している。傾斜された平面平行板は、相対回動不能に角型プリズム7に結合されており、その結果、傾斜した平面平行板は、図7cの角型プリズム7の回転に伴って回転する。この実施例では、ビーム偏向部品は、角型プリズムに加えて、傾斜した平行板も含んでいる。
【0107】
図7dはさらなる実施形態を示しており、これは、図7aの実施形態とは次の点で異なっている。すなわち、図7dでは平行な、コリメートされたビームが環状ビームに変換される、すなわち、中心では低いが、中心から離れてより高い強度の環状領域を有する強度を断面にわたって有しているという点で異なっている。この環状ビームプロファイルは、コリメータに2つのアキシコンを追加することによって得られる。環状ビームプロファイルは、鉛直線での面状ビームの発散に関して利点を有している。そのため、ベースステーション2からより離れていても、所与のパワーのビームが検出可能である。ベースステーション2の到達範囲およびベースステーション2で得られる測定精度を、このような環状ビームプロファイルを用いて改良することができる。
【0108】
図7eの実施例では、図7aの円錐形ミラー5は、90°の平凹アキシコンによって置き換えられている。図示された平凹アキシコンは、実施例では、鉛直の円柱として形成されている。これは光送信機12に向かって平坦な端面と、光送信機12とは反対側の端面での円錐形の窪みと、を有している。この平凹アキシコンの表面は光学的に研磨されている。光送信機12の側面から平凹アキシコンの平坦な端面に入射するビーム束は、円錐形の窪みでの内部の全反射によって向きが変えられ、外套面から出射する。このような平凹アキシコンの使用は、ベースステーション2の機械的な構成において利点を有している。なぜなら、アキシコンは、円錐形ミラーとは異なり、容易に保持することが可能なので、ガラス管、ガラスハウジングまたは完全に不透明なフレーム構造が、ビームの一部を遮る、または通過時に弱めることはないからである。
【0109】
形状が円筒形なので、図示されたアキシコンを、特に、ビーム出射領域の下方で、わずかな手間で、回転するビーム偏向光学要素とともに、回転軸線に対して同軸に、例えば適切な管の中に保持することができる。しかし、アキシコンの円錐形の窪みの先端は、図7aの円錐形ミラー5の先端の場合のように、ビームを偏向する角型プリズムの出射面の近くに配置可能ではないことが指摘されるべきである。このような理由から、異なる面状ビームの厚さを生じさせる、回転する角型プリズムによる上述の偏向がより強い影響をもたらすので、有利には、円錐形ミラー5の代わりに平凹アキシコンが使用される場合には、図7aの個々の回転する角型プリズムの代わりに、作用し合う、ビームを異なる強さで偏向させる2つの角型プリズムが使用される。これらの角型プリズムは一緒になって、平凹アキシコンの円錐面への偏向されたビームの中央またはほぼ中央の入射を保証する。
【0110】
特に高い測定精度はもたらさないが、特に小さい構造サイズおよび極めて低いコストを可能にする実施形態が、図7fに示されている。この実施例では、ビーム偏向手段は、ビームを面状ビームに拡張する手段と同一である。換言すればここでは、ビーム偏向部品7は面状ビーム拡張部品5と同一である。ここでは円錐形ミラー5が使用され、その対称軸線は、(図2では鉛直な)回転軸線8に対して、角度α/2ぶん傾斜されている。これは卓越して容易な解決策であるが、偏向の安定性における問題を伴う。なぜなら、通常の構成での回転軸線の機械的な支承の動的なエラーとぐらつく面の法線の通常の傾斜角度とが、図7aの配置の場合の10倍を上回る強さの影響を有しているからである。すなわち、図7fのこの変化形は、例えばスマートフォン等へのベースステーションの小型化された統合等の場合のように、極めて高い測定精度は重要ではないが、その代わりに極めて小さい構造サイズおよび極めて低いコストが重要である場合に限って有利である。
【0111】
図示された光学部品は、ベースステーション2の有利なオプトメカニクス構築を可能にする。これは、図7aの構成に実質的に対応する実施形態の機械的な構造に対して、例として図8で説明される。
【0112】
図8は、ここでベースステーション2のこの特に有利な変化形のオプトメカニクスの断面図を示している。
【0113】
オプトエレクトロニクスビーム送信要素12はここで、発散ビーム束を放射するレーザーダイオードである。発散ビーム束は、コリメータレンズ10によって平行(無限遠)集束ビームに変換される。見て取れるように、レーザーダイオード12とコリメータレンズ10とは互いに固定的に取り付けられている。それらは、それらを中心に回転可能な中空シャフト8の内部にあり、中空シャフト8は、角型プリズム7と固定的に結合されている。より正確には、角型プリズムは中空シャフト内にはめ込まれている。
【0114】
中空シャフトは、遊びのない状態に事前にテンションがかけられたベアリングユニット9によって回転可能に支承され、ブラシレスモータ18として実現された回転駆動部によって駆動され、したがって角型プリズムとともに回転させられる。このために、モータ18は、固定子19と、中空シャフトと相対回動不能に結合されている磁石回転子20と、を有している。ここで、この回転子に、同時に、エンコーダディスク21が取り付けられており、これは、2つのエンコーダ読み取りヘッド22によって走査される。エンコーダ読み取りヘッド22を用いたエンコーダディスク21の走査時に得られた信号から、磁石回転子の回転角度をリアルタイムで決定することができ、同時に、エンコーダディスクのセンタリングエラーならびにベアリング振れが補償される。
【0115】
角型プリズムによって偏向され、コリメートされたビーム束が円錐形ミラー5に入射し、これは、上述のように、ビーム束を傾斜した面状ビームに拡張し、角型プリズムの回転時に、面状ビームの所望の既知のぐらつきを生じさせるので、エンコーダ読み取りヘッド22によって、エンコーダディスク21の走査によって得られる信号から、磁石回転子の回転角度をリアルタイムで決定することができるだけでなく、同時に、角型プリズムの回転配向、ひいては面状ビーム法線6の運動サイクルにおける位相角が判明する。
【0116】
ベースステーションは、光学部品を保護するために、ビーム出射側に透明なカバー38を有しており、これはガラスハウジングとして、または有利には端部が閉じられたガラス管として成形されており、それを通って、ぐらつく面状ビームが、測量されるべき測定空間へ出射される。
【0117】
特に、レーザーダイオード12によるビーム放射の制御のために、かつモータ18による回転駆動部の制御のために、制御ユニット23が設けられており、制御ユニット23は、エンコーダ読み取りヘッド22の電気的な回転角度信号を検出し、ここから(角度較正データを用いて角度符号化された)データ信号14を生成する。データ信号14は、放射線パワーの変調のために、レーザーダイオード12の駆動回路13に供給される。
【0118】
図9は、この制御ユニットのブロック図を示している。制御ユニットは、電流供給部24と、較正およびデバッグのためのインターフェースと、を有している。制御ユニットはさらに、適切なエンコーダ電子機器およびモータ電子機器25を有しており、これを介して、制御ユニットは、モータ18およびエンコーダ読み取りヘッド22と接続されており、これによって中央計算ユニット33がモータ回転数を決定することができる。
【0119】
制御部は有利には、さらに、ユーザインターフェース27だけを管理するのでなく、例えば、RFID技術またはNFC技術で構成された、ポジションタグもしくはトランスポンダ37用の無線読み取り機器26も管理する。これらはスタンド36に配置されていてよく、もしくはスタンドとベースステーションとの間の接続箇所(例えば三脚、トリブラッシュまたはレベリングプレート)に取り付けられていてよく、事前に求められた絶対ポジションに対応する。絶対ポジションは例えば、測量の前に静止しているGNSSによって測定可能である。ベースステーションのスタンドの絶対的な、例えば静止しているGNSSによって、またはタキメータによって較正されたポジションのそのような参照は、仮想誘導ラインが望まれている場合に、わずかな数の、工事の進捗に相応して移動するベースステーションだけによって、広範な仮想誘導ラインを実現することを可能にする。これは、従来技術と比較して大幅なコスト削減をもたらすと同時に、ユーザによる取り扱いの改良をもたらす。
【0120】
特に静止しているGNSSまたはタキメータを用いて、ベースステーションの設置ポイントを静的な絶対ポジションに較正し、このデータをベースステーションのスタンドもしくは設置ポイントでトランスポンダに格納するアプローチは、従来技術と比較して有利であると見なされ、それ自体が保護可能であると見なされることが言及されるべきである。これによって例えば、仮想誘導ラインを、工事の進捗に応じて、ある静的な較正されたポジションから次の静的な較正されたポジションへ移動するベースステーションで構築することができる。これを目的とした分割申請の提出は明示的に留保されている。このような方法は、規定され、把握された様式でぐらつく面状ビームを放射しない従来のベースステーションとともに適用可能であることが強調されるべきである。同様にこの方法は、特に、従来技術から知られているタキメータならびに二重傾斜レーザー等に適用可能である。
【0121】
制御部23が、絶対ポジション、例えばその前に測定されたポジションタグの絶対ポジションを検出するように構成されている場合、制御ユニット23は、有利には、能動的なターゲットによって受信可能なビームを次のように変調するように構成されている。すなわち、これらに、各ベースステーション2の絶対ポジションが規則的に、例えば数秒ごとに伝達されるように変調するように構成されている。この点で、絶対ポジションは、ベースステーションから送出される放射線に、変調のために載せられる補助情報である。場合によっては、ベースステーション2に独自のGNSS受信機を設けることも可能であり、これによって場合によっては、ベースステーション2に対する目標設置ポジションの事前測定が不要になることが言及されるべきである。
【0122】
ベースステーション2はさらに、傾斜指示信号を制御部23に出力する傾斜補償器28を有しており、この信号は同様に、送出された放射線の繰り返しの変調に使用可能である。
【0123】
図示された、有利な実施形態では、制御ユニット23は補間回路31を有しており、補間回路31によって、角度ポジションを符号化するデータワードがエンコーダに合わせて正確に較正されたポジションで出力される。ここで対応する補正データを較正メモリ32内に格納することによって、線形性の低いエンコーダディスクを正確に較正することができ、これによって、線形性が低くても精度の高い角度データが生成される。これに必要な補正データは、製造時に各エンコーダディスクに対して容易に決定および格納可能である。較正メモリは、特に不揮発性メモリとして構成されていてよいことが指摘されるべきである。
【0124】
補間回路31は、有利には固定された角度ステップのもとで整数のインデックスに関連付けられた角度データ、ならびに有利には他の補助情報も、放射線の変調に適したデータフォーマットに変換し、ここで必要に応じて、冗長性およびチェックサムの存在にも配慮する。
【0125】
固定された角度ポジションでの角度情報の伝送に対して有利な変化形では、固定された時間間隔で角度情報が伝送される。このようにして固定された時点で与えられた角度は、角度エンコーダデータの補間によってベースステーションにおいて決定されてよく、次に固定された時点で角度情報として伝送されてよい。これは、能動的なリモートステーションで、データワードの開始が、強調された開始パルスがなくても、極めて良好に検出できるという利点を有している。利用可能なレーザーパワーをより良好に利用することができ、したがってベースステーションの到達範囲を拡大することができるので、これは同様に有利である。
【0126】
光学的なデータ伝送に適したデータフォーマットの例として、MPPMフォーマットもしくは128個のポジションでの8つのシンボル、すなわち光パルスを備える修正されたMPPM信号が挙げられる。これによって、データワードごとに40ビットの情報のコーディングが可能になる。ベースステーションによって放射される測定放射線に、変調のために載せるために、PPMデータ伝送プロトコル、すなわちMPPMプロトコル以外のデータプロトコルを使用することは、それ自体、新規性を有していると見なされ、これは、そうでない場合は従来技術に従って構築されるベースステーション、回転レーザー等にも当てはまる。
【0127】
使用されるこのデータプロトコルをより詳細に説明する前に、能動的なリモートステーション3の構造について詳細に言及する。これは、有利に使用されるデータプロトコルが、安価で、ロバストな受信機とともに特に高い精度を達成されるように構成されているという点で、理にかなっている。
【0128】
図10は、上述のベースステーション2に属する能動的なリモートステーション、すなわち能動的なターゲット3のブロック図を示している。能動的なターゲット3は、特に工事機械とともに使用されるために、受信コリメータ40を有しており、この受信コリメータ40によって、光がライトガイド41に集束され、ライトガイド41に入力される。ライトガイド41は、ベースステーション2から入射した放射線を、フォトダイオード等の感光性オプトエレクトロニクス要素に導く。ライトガイド41は、特に、プラスチック光ファイバ(POF)であってよく、これは、長さが数メートルであり、能動的なターゲット3への放射線の入射領域と、放射線受信サインの検出および評価に使用されるオプトエレクトロニクス構成要素および電子構成要素と、の間の空間的な分離を可能にする。
【0129】
受信コリメータ40にわたった面状ビームの掃引時に、光放射線はライトガイド41に集束され、ライトガイド41に入力される。独立した部品として実現可能であり、例えば工事機械の用途において機械の内部に確実に取り付け可能な受信機42は、これによって、数メートルの長さであり得るライトガイド41を介してのみ外界と接続される。
【0130】
このような装置では、元来の測定点は、工事機械の外側に取り付けられていてよい受信コリメータ40にあり、これは、とりわけ、装置の、振動に対する全体的な感度および水密性に関して多大な利点をもたらす。感光性オプトエレクトロニクス要素に、光学的な干渉放射線を抑制するための光学的なフィルタが割り当てられていてよく、ここで典型的には、ベースステーション2の発光波長を中心としたわずか数ナノメートルの幅の波長透過範囲を有するバンドパスフィルタ43が使用される。このフィルタを、例えば、受信コリメータ40の入射レンズの前、受信コリメータ40内、受信コリメータ40とライトガイドとの間、またはライトガイドと感光性電子要素との間に配置することができる。しかし有利には、オプトエレクトロニクス要素の可能な限り近くに光学的なフィルタが設けられる。なぜなら、このような場合には、典型的に、単に小さい構造サイズを有しているフィルタを使用することができるからであり、これは、価格および重量の点で利点をもたらす。
【0131】
ここで、有利に、光学的にフィルタリングされた光は、感光性オプトエレクトロニクス受信要素45上に光学的な受信信号44として入射する。特に有利には、このために、通常のアバランシェフォトダイオード(APD)またはそのバイアスが計算ユニット53によってコントロールされる線形動作シリコン光電子増倍管が使用される。
【0132】
感光性オプトエレクトロニクス受信要素は、信号調整回路48に供給される電気信号を出力する。ここでこの例では、アナログの最適化フィルタを備えたトランスインピーダンス増幅器(TIA)が使用される。信号調整後に得られたアナログ出力信号が、同様に、高速ADC49によってデジタルデータストリーム50のデータに変換される。このデータストリームは、デジタル前処理回路および圧縮回路51に供給される。この回路は、受信したデータストリームをデジタルでさらに処理する。これは、データストリームから、ノイズおよび役に立たない信号または散乱光による干渉イベント等の干渉信号を除去することによって行われ、これによって後続の計算ユニットに、データストリームの、さらなる処理に実際に必要なデータのみが供給される。すなわち、そのようなデジタルデータストリーム処理は、データストリームを圧縮する。
【0133】
有利には、このようなデータ圧縮は、特に安価なデータ処理ユニットによって実行可能である。その理由は特に、同じデータ処理ステップが繰り返し実行されればよいからである。FPGA等の特別に構築可能なユニットは、このようなステップに適している。これらは消費電力が低く、計算能力が比較的低い計算ユニットを、圧縮されたデータストリームのさらなる処理に使用することを可能にするので、データ圧縮の使用は全体的に有利である。これに関して、特に、FPGAベースのデータ圧縮機を使用することによって、そうでない場合には必要になる消費電力を約1/10に減らすことができることが言及されるべきであり、これは、能動的なターゲット3が、完全に統合される、バッテリによって給電される手持ち式受信機として、有利には上述のライトガイドを伴わない、完全に統合される手持ち式受信機として構成されるべき場合に特に有利である。しかし、特に、消費電力がせいぜい従属的な役割しか果たさず、同時に、十分に高い計算能力を備えた計算ユニットが利用可能である場合には、圧縮機51を省くこともできることが言及されるべきである。
【0134】
受信機、すなわち能動的なターゲット3に、さらに通信インターフェース54が、特にWLANを介した無線接続のために装備されているのが有利であることが言及されるべきである。これによって、必要に応じて他の能動的なターゲット3と通信し、計算されたポジション情報を転送することができる。
【0135】
既知の様式でぐらつく面状ビームを生成するベースステーション2と能動的なリモートステーション3とを有している上述の測定装置1を用いて、水平線に対するどのような角度で、一方の能動的なリモートステーションと、他方の、ベースステーション内に位置する、面状ビームの2つのぐらつき中心と、の間で想定される接続ラインが上昇するのかを決定することができる。この傾斜角度は、以降では鉛直な方向角と称される。図2では、これはギリシャ文字のλ(ラムダ)で示されている。
【0136】
図2では、ベースステーション2に対する能動的なリモートステーション3のポジションが球面座標で与えられおり、その中心点は面状ビームぐらつき運動の中心であり、したがって、鉛直な方向角に加えて、水平な方向角およびベースステーション2までの間隔が必要である。鉛直な方向角と水平な方向角とに対して、0°で方向が定められる必要があることが理解される。鉛直な方向角の場合には、傾斜がゼロの正確な水平な方向が特に優れている。これに対して、水平な方向角の場合には、方向自体が任意に定められてよい。実際には、北等の方向が特に優れているだろうが、ここでは、水平な方向角が、面状ビーム法線の運動サイクルにおける位相角が関連付けられている、0°として定められた方向に関連していれば、十分であると見なされ得る。これに関して、面状ビーム法線の運動サイクルにおける位相角は、角型プリズムを駆動する回転モータの回転角度に対応し、この回転角度を、角度エンコーダで決定することができることが、すでに上述されている。一般性を制限することなく、その0方向を使用して水平方向0°を定めることができる。
【0137】
ベースステーション2における上述の光学系の使用によって、所期のように生成されたぐらつき運動に基づいて、面状ビーム法線6は、図2に示されたように円上で循環する。ここで、各能動的なリモートステーション3は1回の円循環あたり、すなわち各ぐらつきサイクルあたり2回掃引される(いずれにせよ、能動的なリモートステーション3の放射線入射面が、面状ビームが取り得る最高高さと最低高さとの間にある限り)。掃引は特定の位相角で発生する。能動的なリモートステーションが掃引される2つの位相角ψとψとが判明している場合には、水平な方向角は、最初は、それらの平均値から容易に計算され、すなわち(ψ+ψ)/2に対応する。
【0138】
鉛直な方向角λ(ラムダ)、すなわち、一方の能動的なリモートステーションと、他方の、ベースステーション2内に位置する、面状ビームのぐらつき中心と、の間の想定される接続ラインの上昇角度または下降角度を決定するために、さらに、面状ビーム4に対する法線6が、鉛直な軸線8に対して傾斜している角度が使用される必要がある。この角度は、図2では角度α(アルファ)として示されている。
【0139】
能動的なリモートステーション3がぐらつく面状ビーム4によって掃引される所与の位相角ψおよびψにおいて、これらの変数によって、鉛直な方向角λ(ラムダ)を、
【数1】
にしたがって計算することができる。
【0140】
図3では、これに対して、能動的なターゲットがベースステーション2からの所与の距離で、自身の高さを変えるときに、それが、掃引イベントの間隔にどのように影響するのかが象徴的に示されている。高さの変化は、掃引イベント間の時間間隔の変化を伴う。なぜなら、面状ビーム4はターゲットの高さに応じて、1回目の掃引後に、2回目の掃引が観察される配向へさらにぐらつくまでに、異なる長さの時間を必要とするからである。異なる長さの時間の継続は、明らかに、同時に、自身の運動サイクルを実行している面状ビーム法線6の異なる距離の回転に対応する。しかし、図3から、2つの掃引の間の中央の時点が、ターゲットの高さに関連していないことも明らかである。この特性は、上述の式に完全に対応し、上述の式において表現されていることが強調されるべきである。
【0141】
しかし、図2のような単純な装置では、最初は、面状ビーム4による能動的なリモートステーション3の繰り返される掃引のサインだけが検出されるが、ここでは、水平線より上の高さの観察されたサインが発生しているのか、または水平線より下の高さの観察されたサインが発生しているのかは明らかではないことに注意されたい(上の式ではこれは符号の曖昧さによって影響を及ぼす)。
【0142】
測定空間を半分の空間に制限することによって、このような曖昧さを回避することは可能であるが、比較的簡単な措置で、そのような重大な測定空間制限を行うことなく、曖昧さを解決することも可能である。これに対して、図4図6を参照して以降に記載する手法が指摘されるべきである。
【0143】
図4では、2つの能動的なリモートステーション3aと3bとが重なり合って配置されていることによって曖昧さを解決することが提案され、これによって、4つの検出された掃引から、個々の能動的なリモートステーションの高さを一義的に求めることができる。場合によっては、2つの同一の、完全に別個の能動的なリモートステーションを使用する必要はなく、重なり合って配置された2つの光受信機もしくは光コリメータを備える個別のリモートステーションを設けることも可能であることが強調されるべきである。したがって、特に適切な能動的なリモートステーション3は、1つより多くの個々の光受信機を有している。この装置について特に有利には、重なり合って配置された光受信機の鉛直間隔bが判明している場合、能動的なリモートステーション3とベースステーション2との間の間隔も決定可能である。したがって、ベース間隔bを再び取り上げて、ビームぐらつき中心の高さが判明している場合には、能動的なリモートステーション3の高さ座標zおよびベースステーション2までの能動的なリモートステーション3の間隔rを計算することが可能である。
【0144】
したがって、ベースステーションの極座標系における能動的なターゲット3の3Dポジションを、図4に示されているような受信機装置によって決定することができる。付加的な受信機が設けられている場合には、補間によって精度を高めることができ、かつ/または能動的なリモートステーション3上にさらに付加的な受信機が適切に配置される場合には、空間における能動的なリモートステーション3の方向付けも検出可能であることが指摘されるべきである。
【0145】
さらに、有利には、測定精度の妨害されることなく、2つの受信機3bと3bの間の接続ラインが鉛直線に対して正確に垂直に延在するのではなく、傾斜して延在することが許される。したがって、図4を参照して記載された能動的なリモートステーション3の有利な実施形態では、能動的なリモートステーション3は傾斜計を備えており、傾斜計の測定値を、現下の傾斜を補償するために使用することができる。
【0146】
選択肢および/または付加的な可能性として、図5は、能動的なターゲット3をGNSSアンテナのポジション情報もしくは姿勢情報と結び付けることによって曖昧さを解決できることを示している。同時に、GNSSによって決定された絶対ポジションが必要な場合、ベースステーション2の較正された絶対ポジションと、能動的なリモートステーション3によってここで相対的に決定されたポジションと、を参照する場合に、GNSS測定の精度を高めることができる。GNSSポジションの精度を、特に高さ測定に関して大幅に改良することができる。この装置は、高い精度の絶対ポジションが必ず必要である場合に特に有利である。
【0147】
図6は、曖昧さを自動的に解決することができるさらなる装置を示している。ここで2つのベースステーション2aと2bとは、既知のベース間隔bで設置され、それらの水平軸線に関して相互に較正されている。両方のベースステーションの測定空間に位置する、すなわち、測定目的で両方のステーションから放射線を受信することができる能動的なターゲット3の場合、能動的なターゲット3の3Dポジションを、3D三角測量によって決定することができる。
【0148】
ここで次のような実装が特に有利であり、すなわち、使用される2つのベースステーション2のそれぞれに、受動的なターゲット34aおよび34bが、有利にはそれぞれ別のステーションの回転軸線と並んで取り付けられており、この場合にはベースステーション自体が上述のように、放射線の受信のためにも構成されており、詳細には水平角および鉛直角に加えて、第1のベースステーションから第2のベースステーションの反射する受動的なターゲットまで到達し、そこから戻ってくるパルス伝搬時間を決定することによって、2つのベースステーション間の横方向距離も測定可能であるように構成されている。
【0149】
このような構成は、設置時にステーションを自動的に較正することができ、隣接する各ステーションに関する、取得した情報を、補助情報としてともに、放射線の変調を介して、能動的なリモートステーション3に伝送することができるという利点を有している。この際に、これによって較正プロセスを開始する必要がない、または較正プロセスの結果が無線インターフェースを介して照会される必要がない。ここでこの設置プロセスは、トータルステーションの場合のように簡単である。
【0150】
高さ決定に関する限り、基本的に、すべての変化形において、掃引時間を決定し、次に角型プリズムの並行する回転速度を仮定することだけで十分であろう。しかし、これは、並行性の変動が発生するとすぐに、精度を制限するだけでなく、能動的なリモートステーション3のすべての座標の完全な決定も不可能にしてしまう。したがって、上述の説明では、角型プリズム回転の実際の回転角度もしくは面状ビーム法線の運動サイクルにおける位相角自体が既知であると仮定されている。
【0151】
さらに、角度復号器を用いて対応する情報を求めることができ、ベースステーション2からの放射線の対応する角度データを、変調のために載せることができることがすでに指摘されている。
【0152】
図11を参照して、オプトエレクトロニクスビーム送信要素、ここではレーザーダイオード12の変調に特に適しているデータプロトコルの詳細が次に記載される。
【0153】
ぐらつく面状ビーム4が、上で示されたように、異なる方向に変化する可能性があるが、いずれの場合も規則的に有限の厚さを有していることが、まずは、このために思い出されるべきである。したがって、受信機が掃引されると、最初のビームが受信機に入射してから最後のビームが受信機を離れるまで、有限の時間が経過する。一方で、このビーム受信の時間は、符号化された情報を受信するのに十分である。他方で、ぐらつく面状ビームはこの時間の間も動き続ける。すなわち掃引中に、面状ビーム法線6の位相角は変化する。
【0154】
一方では、これを、一連の時間符号化されたデータの受信のために利用することができ、他方では、これを、測定値の精度を高めるために考慮に入れることができる。
【0155】
有利には、この目的のために、特に、回転する角型プリズムの現下の回転角度配向、ひいては面状ビーム法線の運動サイクルにおける現下の各位相に関する情報が、ベースステーション2から上記の能動的なリモートステーション3または各能動的なリモートステーション3に伝送される。ベースから送出された放射線に、変調のために載ることができるデータのための適切なプロトコルは、図11を参照して説明される。
【0156】
さらに、図11a~図11cは、変調のために載せられた情報によって特徴付けられた、ベースステーションから送出された放射線の放射線パワーの時間的な経過を示している。
【0157】
次に、図示された有利な実装では、40ビットの幅を有するデータワード15が使用され、これはそれぞれ、受信機で容易に識別可能な、同期のための開始シンボルならびに8つの後続するデータシンボルから構成されている。各シンボルは、一般的に針状のパルスによって実現されている。
【0158】
データシンボルに対応し、新たな開始シンボルが生成される前に各開始シンボルに続く8つの針状パルスの時間的な位置によって、所望されている情報がコード化される。図示の実施例では、8つの針状パルスのそれぞれは、128個のコード化可能な時間ポジションのうちの1つの時間ポジション上にある。図11cが示すように、これは、伝送されるべきデータに相応に、変調パターンの時間的な変化をもたらす。開始シンボルはデータシンボルとは異なるため、特に容易に識別可能である。これを行う種々の手法がある。図11aでは、開始シンボルにはデータシンボルのパルスよりも強いパルスが使用される。このようなコーディングは、バイレベルコーディングと称される。図11bでは、代わりに、相互に時間的に極めて接近している2つの針状パルスから構築されているダブルパルスが使用される。ダブルパルスの、相互に極めて接近しているパルスピーク間の時間間隔は、それが、データワードの残りの部分には現れないほど短い。すなわち、ダブルピークの時間間隔は、128個のコード化可能な時間ポジションの最短時間間隔よりも短い。
【0159】
開始シンボルは、新たなデータワードを識別するためだけに使用されるのではないことが指摘されるべきである。むしろ、開始シンボルパルスの時間的なシーケンスから、同期も推定可能であり、すなわち能動的なリモートステーション3で、ベースステーション2が完全なデータワードの伝送にどのくらいの時間が必要なのかが決定され、ここから、128個の、プロトコルに従って符号化された時間ポジション間の時間間隔がどれくらい長く続くかを推定することができる。ここでこの同期を、能動的なリモートステーション3における、相応の計算能力を前提条件にして、例えば、開始シンボルパルス間の時間間隔への自動相関の下で実行することができる。
【0160】
さらに、ビーム送信要素の放射能力をより良好に利用し尽くすため、ひいては、得られる到達範囲を拡大するために、開始シンボルがバイレベル符号化されない、すなわち、データパルスと比較して区別可能な振幅で伝送されない、さらにデータワードの開始時にダブルパルスの伝送も行われないのは有利であり得る。むしろ、特定の開始パルスを完全に省略することもできる。このようなケースでは、例えば、チェックサムを使用したブルートフォースデコーディング、またはデータワード間の固定された時間間隔を使用したソフトデコーディングもしくは自己相関を同期のために使用することができる。
【0161】
図11cでは、複数の異なる角度符号化されたデータワード15のシーケンスが示されており、これらのシーケンスのそれぞれは、開始パルスの時点で検出された回転角度ポジションψn-1~ψn+2を符号化する。
【0162】
データプロトコルは、送出された放射線の変調によって、十分に迅速かつ干渉のないデータ送信を可能にする。実際の実施形態では、例えば、上述したようなデータワード15を2.5μs以内で伝送することが可能であった。これによって、現下の回転角度情報もしくは補助情報を十分に頻繁に送信することが可能になる。
【0163】
記載された伝送方法によって、ベースステーションと能動的なリモートステーションとの間の伝送におけるレイテンシ問題は実際に重要でなくなることが指摘されるべきである。ベースステーション2において、角度復号器によって特定の回転角度ポジションを検出することと、変調のために、送出された放射線上に対応する情報を載せることと、の間に、時間的な遅延が生じ得るが、このレイテンシはベースステーション内で発生し、さらに、良好な近似で、すなわち、例えば温度の影響を無視して(しかし、この温度の影響は、温度調節によって減らすことが可能である)、時間に関係して極めて一定になる。この点でこの伝送は、WiFi等の他の通信経路を介した現下の角度情報の通信とは異なる。なぜならここでは、レイテンシが大きく変動する可能性があるからである。したがって、記載されたデータ伝送は特に有利であり、これは、ぐらつかない面状ビームを伴う従来技術によるベースステーションにも当てはまる。
【0164】
上述の実装では、いわゆるパルス位置変調(PPM)が適用される。そのようなPPM変調に加えて、従来技術からそれ自体が知られているような他の変調方法が適用可能であることが開示されるべきである。特に、マンチェスターコーディングならびにPSK、QPSK、QAM変調方法の有用性は、制限されることなく、明示的に開示される。
【0165】
ここで、記載された変調による角度エンコーダデータの伝送によって、測定精度が高められる。上述のように、能動的なリモートステーション3において受信機が、ぐらつく面状ビームによって完全に掃引されるまでに一定の時間がかかる。なぜなら、面状ビームは有限の厚さを有しており、受信機は有限の拡がりを有しているからである。この持続時間中、ぐらつく面状ビームの配向も変化する。したがって、掃引間隔の時間的な重心を決定し、変調された受信放射線による掃引間隔中に得られた角度情報を、この時間的な重心に対して補間することによって、測定精度を高めることが提案される。
【0166】
ここで能動的なリモートステーション3の受信機で受信されるパワーが、掃引中に変化することに注意されたい。これは、受信機の面全体には掃引間隔の一部の間だけ、面状ビームが入射するのに対して、受信機の一部には掃引の開始時と終了時とに面状ビームが入射しないことによって、すでに容易に説明される。このような作用によって、図11dに例として示されているように、受信されるパワーを変化させるエンベロープ曲線47が存在することになる。
【0167】
角度情報の補間、すなわち面状ビーム法線の運動サイクルにおける位相角の正確な決定のために、まずは、このエンベロープ曲線の時間的な重心を決定する必要がある。次に、この時間的な重心に対して、関連している角度が補間によって決定される。
【0168】
しかし、エンベロープ曲線自体は容易に入手できない。しかし、この曲線によって変形されたパルスピークの高さを考慮するだけで十分であるので、エンベロープ曲線が絶対に必要というわけでもない。すなわち、この点で、エンベロープ曲線によって変形されたデータストリームのアナログの形状46が再び取り上げられる。これを、合理的かつ低い受信パワー閾値が規定され、このような閾値を上回るもしくは下回ると、開始時間tstartと停止時間tendとが決定されることによって、特に容易に行うことができる。図11dを参照されたい。
【0169】
したがって、合理的な境界tstartとtendとの間の時間的な重心を決定することを望む場合は、次の式を離散した近似として使用することができる。
【数2】
【0170】
このようにして得られた時間的な重心の値は、データワードのデータ内容が針状パルスの時間ポジションを介してコード化されているので、このデータ内容にわずかに関連しているが、これは、それにもかかわらず、時間的な重心の決定を極めて良好に行うことを依然として可能にする。
【0171】
図11dでは、時間的な重心はtで示されている。この時間的な重心は、データワードの伝送開始を示す開始パルスが受信される時点tとtn+1との間に位置し、これらは、時間tの直前もしくは直後に求められ、伝送される2つの回転角度もしくは位相角ψもしくはψn+1を符号化する。
【0172】
これらの記号を用いて、光受信機にわたった面状ビームの掃引の時間的な重心に最も良く対応する補間された角度を、次のように決定することができる。
【数3】
【0173】
次に、この回転角度を使用して、上記の式に従って方向角を計算することができる。
【0174】
角度ステップ間隔の1/10よりも格段に良好に、伝送されたデータワードによってコード化された角度ステップ間を補間するために、この手法を使用することができる。典型的に、このようして、2秒角よりも良い精度を得ることができる。例えば、ぐらつく面状ビームが±5°の開き角度α(アルファ)で広がっているベースステーション2の実際の実施形態では、0.17秒角の鉛直な角度分解能が得られた。
【0175】
高い精度と、単純で、したがって安価な機械的構造と、によって、特に、道路工事等の用途において、かつ/または仮想誘導ラインの規定のために、開示された測定システムを使用することが可能になる。
【0176】
図14は、これに対して、能動的なターゲット3がロードローラの転動体69ならびにロードフィニッシャのスクリード70の運動学的中心に取り付けられていることを示している。スクリードは、熱いアスファルト舗装68を所定の高さに均すために用いられる。この所定の高さは、仮想誘導ラインによって設定されるべきである。
【0177】
上で開示された測定システムはここで、得られる高い精度に基づいて、ロードローラがまだ熱い舗装の上を繰り返し走行する際に、いわゆるスランプを決定することを可能にする。すなわち、上を走行することによって道路舗装がどれだけ強く締め固められるのかを示すことを可能にする。これによって同様に、機械のオペレータに、道路舗装の締固めの程度を直接表示することが可能になる。これに対して、対応する出力手段が、能動的なリモートステーションに設けられている。有利には、例示されているように、絶対高さを決定することを可能にする、2つの受信箇所を有する少なくとも2つの能動的なターゲットもしくは能動的なリモートステーションがスクリードに取り付けられる。
【0178】
図15は、2つのベースステーション2aおよび2bならびに据え付けのターゲットRxを伴う仮想ストリングライン64が、どのように、それらの間を跨がって設けられ得るのかを示している。ここで、2つの仮想面65aおよび65bがベースステーション2aのために決定され、2つの仮想面65cおよび65dがベースステーション2bのために決定される。ここで仮想面65bおよび65cは、それらの間に配置された、据え付けのターゲットRxへのベースステーション2aもしくは2bの各接続ラインを含んでいる。仮想面65bおよび65cが完全に規定されるように、さらに、所望の方向を接続ラインに対して垂直に定めることができる。すなわち、複数のベースステーションとそれらの間のターゲットとを接続する仮想面の所望の横方向傾斜が定められる。ここで、これらの仮想面に基づいて、補間された平面を定めることができる、もしくは仮想誘導ラインを規定することができる。したがって、据え付けで配置された能動的なターゲット3によって、すなわち、据え付けで配置された能動的なリモートステーション3によって、補間された平面もしくは誘導ラインのための補間点を提供することができる。これは、ぐらつく面状ビームを伴う、本発明によるベースステーションの使用の場合でさえ、ベースステーションよりも著しく容易に構築されており、したがって安価である。
【0179】
図16には、ロードフィニッシャ61を備え、そのスクリードに能動的なターゲット3が取り付けられている道路工事67の上面図が示されており、能動的なリモートステーションRxを補間点として使用して本発明に従って構築された仮想誘導ライン64を、高さ決定および姿勢決定のために使用できること、およびその使用方法が示されている。方向角の交点等の付加的な情報と車両走行の計画されたコースとが混合される場合、またはオドメータの値がこれらの情報によって差し引いて計算される場合、自由選択的な絶対ポジションの決定を、少なくとも高さコントロールに対して省くことができることが言及されるべきである。それにもかかわらず、セグメントの移行箇所での誘導変数の補間および平滑化に必要な制御パラメータを、十分正確に決定することができる。
【0180】
本発明の測定装置が車両および機械の誘導のために適用可能であること、およびその適用方法が明確に上述されたが、この測定装置が他の多くの適用にも利点を提供することが強調されるべきである。
【0181】
例えばこの測定装置は、とりわけ、工事現場で動作するデュアルスロープレーザーの代わりに使用できる。ここで特に有利には、能動的なターゲットでの仮想レーザー面の傾斜を設定し、能動的なターゲットでの傾斜軸線の任意の設定が可能である。
【0182】
さらに、むしろ、ここで異なるユーザが異なる傾向面で作業することが考えられる。また、例えば、そうでない場合には、高価な特殊レーザーを必要とする、材料の円錐状の堆積に対する円錐面のレベリングでの適用が可能である。
【0183】
マルチクロスレーザーの場合と同様に、ベースステーションを機械的に回転させる必要なく、相互に垂直に立っている複数の仮想面を投影し、それらを能動的なターゲットによって配向することも可能であることが言及されるべきである。これらの特性は、機械とシャフトとを配向する場合に、産業測量にも極めて有利である。
【0184】
この測定装置は、さらに有利には、トンネルボーリング機械でのセグメントの内部の姿勢コントロールに、または革新的な水路工事レーザーの中心的な部品として、ならびに監視用途での変形測定に使用可能である。
【0185】
したがって、とりわけ、ポジション決定のための測定装置が記載されており、この測定装置は、そのポジションまたは姿勢が決定されるべき少なくとも1つの物体と、この物体に空間的に固定的に関連付けられた少なくとも1つの能動的なターゲットと、その検出範囲内に能動的なターゲットが位置している少なくとも1つのベースステーションと、から構成されており、ベースステーションがぐらつく面状ビームを生成し、面状ビームの法線が回転軸線を中心にして常に判明している回転角度で回転し、法線の回転ごとに少なくとも2回、能動的なターゲットに面状ビームが入射することによって、ぐらつき運動が規定されることを特徴とする。この回転軸線は、面状ビームの法線に対して平行ではない、事前に規定されている、実質的に一定の傾斜角度で、面状ビームの法線に対して立っている。
【0186】
対応する測定配置も開示されており、ここでは2つの入射の時点での回転軸線を中心とした面状ビームの法線の回転の少なくとも2つの角度位置が、ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの方向角を計算するために使用される。
【0187】
さらに、ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの鉛直角を計算するように能動的なターゲットが構成されている、対応する測定装置が開示されている。
【0188】
さらに、ベースステーションの極座標系に関して少なくとも1つの水平角を計算するように能動的なターゲットが構成されている、対応する測定装置が開示されている。
【0189】
さらに、ベースステーションが、回転するビーム偏向部品を含んでいる、対応する測定装置が開示されている。
【0190】
さらに、ベースステーションが、面状ビーム拡張部品を含んでいる、対応する測定装置が開示されている。
【0191】
さらに、ベースステーションがオプトエレクトロニクスビーム送信要素を含んでおり、オプトエレクトロニクスビーム送信要素の放射線がコリメートされ、回転するビーム偏向部品によって偏向され、面状ビーム拡張部品によって、ぐらつく面状ビームが形成されるように拡張される、対応する測定装置が開示されている。
【0192】
さらに、ベースステーション内に、オプトエレクトロニクスビーム送信要素を角度符号化されたデータ信号で変調するための手段が設けられている、対応する測定装置が開示されている。
【0193】
さらに、角度データに加えて別の補助データも伝送される、対応する測定装置が開示されている。
【0194】
さらに、伝送された補助データが、ベースステーション内の傾斜補償器の姿勢を含んでいる、対応する測定装置が開示されている。
【0195】
さらに、伝送された補助データが、ベースステーションの一義的な識別子(IDまたはシリアル番号)を含んでいる、対応する測定装置が開示されている。
【0196】
さらに、入射の時点での、角度符号化されたデータ信号と補助データとによって変調された、面状ビームの放射線と時間的な重心とから、回転軸線を中心とした、面状ビームの法線の回転の角度位置を決定するために能動的なターゲットが装備されている、対応する測定装置が開示されている。
【0197】
光学的または準光学的なポジション決定のための測定装置によって、車両の高さおよび姿勢を決定するための方法も記載されており、この測定装置は、車両に固定的に関連付けられた少なくとも1つの能動的なターゲットと、その検出範囲内に能動的なターゲットが位置している少なくとも1つのベースステーションと、を含んでおり、少なくとも1つの他の据え付けの能動的なターゲットが設けられており、ベースステーションと据え付けの能動的なターゲットとの間の接続ラインは、仮想誘導ワイヤのセグメントと、事前に規定されている横方向傾斜を備える仮想面に跨がり、この仮想面で、車両は自身の作業高さで、従来の誘導ワイヤと同様に、能動的なターゲットによって得られた、ベースステーションの方向角を用いて誘導される。
【0198】
有利には、車両の高さおよび姿勢を決定するための、そのような方法では、ベースステーションおよび据え付けの能動的なターゲットから構成されている複数の交互のセグメントが、仮想誘導ワイヤのセグメントのチェーンを形成する。
【0199】
さらに有利には、セグメントの移行箇所での誘導変数の補間および平滑化に必要な制御パラメータを決定するために、方向角の交点等の付加的な情報と車両走行の計画されたコースとが混合される、またはオドメータが差し引いて計算されることが言及されるべきである。
【0200】
これまでに多くの箇所で、ぐらつく面状ビームを生成するベースステーションが言及されたことが指摘されるべきであり、ここで、面状ビームの法線が回転軸線を中心にして常に判明している回転角度で回転し、法線の回転ごとに少なくとも2回、能動的なターゲットに面状ビームが入射することによって、ぐらつき運動が規定される。この回転軸線は、面状ビームの法線に対して平行ではない、事前に規定されている、実質的に一定の傾斜角度で、面状ビームの法線に対して立っている。このような、面状ビームに対する法線の回転によって生成されるぐらつき運動は、特に有利である。なぜならこれは、上記の記載から明らかであるように、容易に生成され、検出されるからである。しかし、場合によっては、他の運動が可能であることが指摘されるべきである。これは、例えば、ビーム傾斜のために使用される光学要素、例えば、円錐形ミラーまたは平凹アキシコンが、単に、入射するビームの軸線に平行な軸線を中心に回転するのでなく、より複雑な運動が重ね合わされることによって行われる。例えば、上述のように、法線の回転を、付加的な、アクチュエータによって引き起こされる傾斜と組み合わせることができる。その点では、同様に完全に規則的である必要がないジャイロスコープの歳差運動が思い出されるべきである。
【0201】
しかし、特定の情報が、他の様式で、例えば無線または有線で伝送され得ることも強調されるべきである。しかし、ここで角度情報が伝送される場合、レイテンシが正確に判明していることが有利である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図12
図13
図14
図15
図16