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特許7549605エアロゾル生成システム及びエアロゾル生成デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】エアロゾル生成システム及びエアロゾル生成デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20240904BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240904BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021564207
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2020066148
(87)【国際公開番号】W WO2020249648
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】19179942.8
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギル, マーク
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/030366(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03295813(EP,A1)
【文献】特表2019-500854(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190606(WO,A1)
【文献】特表2016-528874(JP,A)
【文献】特表2016-524458(JP,A)
【文献】国際公開第2018/138072(WO,A1)
【文献】特表2018-529323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイス(10、50)と、エアロゾル生成材料(26)及び誘導加熱可能サセプタ(28)を含むエアロゾル生成物品(24、52)とを備えるエアロゾル生成システム(1、2)であって、前記エアロゾル生成デバイス(10、50)は、
第1の平面コイル(42、62)及び第2の平面コイル(44、64)を含む電磁場発生器(40)と、
前記エアロゾル生成物品(24、52)を収容するための加熱チャンバ(22)であって、前記第1の平面コイル(42、62)と前記第2の平面コイル(44、64)との間に配置され、空気入口(22a)と空気出口(22b)とを含む、加熱チャンバ(22)と、
前記空気入口(22a)と前記空気出口(22b)との間に延びる空気流路(25)と、
を備え、
前記第1の平面コイル(42、62)は、コンデンサを含まず、電源から電力が断続的に供給されるアクティブコイルであり、前記第2の平面コイル(44、64)は、コンデンサ(72)を含むパッシブコイルであり、前記第1の平面コイル(42、62)及び前記第2の平面コイル(44、64)は、互いに向き合うように構成される、
エアロゾル生成システム(1、2)。
【請求項2】
前記第2の平面コイルの前記コンデンサは、前記第1の平面コイルがアクティブ化されている期間中に充電され、前記第1の平面コイルが非アクティブ化されている期間中に放電される、請求項1に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項3】
前記加熱チャンバ(22)は、開口部(36)を含み、前記エアロゾル生成物品(24、52)は、前記開口部(36)を通して前記加熱チャンバ(22)内へと挿入される、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項4】
前記エアロゾル生成物品(24)は、実質的に板状であり、前記加熱チャンバ(22)の断面は、主表面(21)及び側面(23)を有し、前記第1の平面コイル(42)及び前記第2の平面コイル(44)は、前記加熱チャンバ(22)の前記主表面(21)の外側に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記誘導加熱可能サセプタ(28)は、前記加熱チャンバ(22)の前記主表面(21)に平行である主表面(29a、29b)を含む、請求項4に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記加熱チャンバ(22)は、前記加熱チャンバ(22)内で前記エアロゾル生成物品(24)を支持するため、及び前記空気入口(22a)と前記空気出口(22b)との間で前記エアロゾル生成物品(24)の表面の周囲に前記空気流路(25)を提供するための、突起(38)又は溝を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記電磁場発生器(40)は、前記加熱チャンバ(22)を取り囲む少なくとも3つの平面コイル(41、42、43、44)を含み、前記平面コイル(41、42、43、44)は、逐次的にアクティブ化される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記加熱チャンバ(22)は、湾曲した断面形状を有し、前記平面コイル(62、64)は、前記加熱チャンバ(22)を取り囲む湾曲面上に位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記エアロゾル生成デバイスは、前記第2の平面コイル(44、64)と外側カバーとの間に配置された電磁シールドを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記第1の平面コイル(42、62)及び前記第2の平面コイル(44、64)内で反対方向に電流が流れる、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項11】
エアロゾル生成材料(24)と誘導加熱可能サセプタ(28)とを含むエアロゾル生成物品(24、52)を加熱するためのエアロゾル生成デバイス(10、50)であって、前記エアロゾル生成デバイス(10、50)は、
第1の平面コイル(42、62)及び第2の平面コイル(44、64)を含む電磁場発生器(40)と、
前記エアロゾル生成物品(24、52)を収容するための加熱チャンバ(22)であって、前記第1の平面コイル(42、62)と前記第2の平面コイル(44、64)との間に配置され、空気入口(22a)と空気出口(22b)とを含む、加熱チャンバ(22)と、
前記空気入口(22a)と前記空気出口(22b)との間に延びる空気流路(25)と、
を備え、
前記第1の平面コイル(42、62)は、コンデンサを含まず、電源から電力が断続的に供給されるアクティブコイルであり、前記第2の平面コイル(44、64)は、コンデンサ(72)を含むパッシブコイルであり、前記第1の平面コイル(42、62)及び前記第2の平面コイル(44、64)は、互いに向き合うように構成される、
エアロゾル生成デバイス(10、50)。
【請求項12】
前記第2の平面コイルの前記コンデンサは、前記第1の平面コイルがアクティブ化されている期間中に充電され、前記第1の平面コイルが非アクティブ化されている期間中に放電される、請求項11に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項13】
前記加熱チャンバ(22)は、開口部(36)を含み、前記エアロゾル生成物品(24、52)は、前記開口部(36)を通して前記加熱チャンバ(22)内へと挿入可能である、請求項11又は12に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項14】
前記加熱チャンバ(22)の断面は、主表面(21)及び側面(23)を有し、前記第1の平面コイル(42)及び前記第2の平面コイル(44)は、前記加熱チャンバ(22)の前記主表面(21)の外側に配置される、請求項11~13のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項15】
前記加熱チャンバ(22)は、前記加熱チャンバ(22)内で板状のエアロゾル生成物品(24)を支持するため、及び前記空気入口(22a)と前記空気出口(22b)との間で前記板状のエアロゾル生成物品(24)の表面の周囲に前記空気流路(25)を提供するための、突起(38)又は溝を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項16】
前記電磁場発生器(40)は、前記加熱チャンバ(22)を取り囲む少なくとも3つの平面コイル(41、42、43、44)を含み、前記平面コイル(41、42、43、44)は、逐次的にアクティブ化されるように構成される、請求項11~15のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル生成システム及び/又はエアロゾル生成デバイスに関し、より具体的には、エアロゾル生成物品と共に使用して、ユーザが吸入するためのエアロゾルを生成するための、エアロゾル生成システム及び/又はエアロゾル生成デバイスに関する
【背景技術】
【0002】
近年、エアロゾル生成材料を燃やすのではなく、加熱して、吸入のためのエアロゾルを生じさせるデバイスが消費者に人気になってきている。
【0003】
そのようなデバイスは、いくつかの異なる手法のうちの1つを使用して、エアロゾル生成材料に熱を供給することができる。そのような手法の1つは、誘導加熱システムを用いるエアロゾル生成デバイスを提供することであり、このエアロゾル生成デバイスには、エアロゾル生成材料を含むエアロゾル生成物品をユーザが着脱可能に挿入することができる。そのようなデバイスでは、誘導コイルがデバイスに設けられ、誘導加熱可能サセプタが、典型的にはエアロゾル生成物品に設けられる。ユーザがデバイスをアクティブ化させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、次いでこれにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生させ、この熱は、例えば伝導によって、エアロゾル生成材料に伝達され、エアロゾル生成材料が加熱されるとエアロゾルが発生する。
【0004】
本開示の実施形態は、改善されたエアロゾル生成システム及びデバイスを提供しようとするものである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル生成デバイスと、エアロゾル生成材料及び誘導加熱可能サセプタを含むエアロゾル生成物品と、を備えるエアロゾル生成システムであって、エアロゾル生成デバイスは、
第1の平面コイル及び第2の平面コイルを含む電磁場発生器と、
エアロゾル生成物品を収容するための加熱チャンバであって、第1の平面コイルと第2の平面コイルとの間に配置され、空気入口と空気出口とを含む、加熱チャンバと、
空気入口と空気出口との間に延びる空気流路と、を備える、エアロゾル生成システムが提供される。
【0006】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル生成材料と誘導加熱可能サセプタとを含むエアロゾル生成物品を加熱するためのエアロゾル生成デバイスであって、
第1の平面コイル及び第2の平面コイルを含む電磁場発生器と、
エアロゾル生成物品を収容するための加熱チャンバであって、第1の平面コイルと第2の平面コイルとの間に配置され、空気入口と空気出口とを含む、加熱チャンバと、
空気入口と空気出口との間に延びる空気流路と、を備える、エアロゾル生成デバイスが提供される。
【0007】
エアロゾル生成システム/デバイスは、エアロゾル生成材料を燃やすことなく、エアロゾル生成材料を加熱して、エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、それにより、エアロゾル生成システム/デバイスのユーザによる吸入のための蒸気又はエアロゾルを発生させるように適合されている。
【0008】
一般論として、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を低下させることなく圧力を増加させることにより蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味する。一方、エアロゾルは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して互換的に使用され得ることに留意されたい。
【0009】
本明細書で使用する場合、「平面コイル」という用語は、コイルが位置する面に垂直な巻き軸を有する螺旋状に巻かれたコイルを意味する。平面コイルは、平坦な面内にあってもよい。よって、平面コイルは、本質的に平坦なコイルでってもよい。平面コイルは、湾曲した面にあってもよい。例えば、平面コイルは、平坦なユークリッド平面内で巻かれてもよく、その後で湾曲した面に位置するように操作され(例えば、曲げられ)てもよい。
【0010】
第1の平面コイル及び第2の平面コイルを含む電磁場発生器の提供により、特に、加熱チャンバの周りに延びる螺旋誘導コイルを利用する電磁場発生器を備える従来のエアロゾル生成デバイスと比較して、エアロゾル生成デバイスの寸法を最小化することが可能になる。
【0011】
第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、異なる方向に加熱チャンバを貫通する電磁場を生成するように構成されてもよい。これは、電磁場と誘導加熱可能サセプタとの結合を改善することにより、エネルギー効率を最大化しながら、誘導加熱可能サセプタの加熱の改善を確実にする。誘導加熱可能サセプタの加熱の改善は、転じて、エアロゾル生成材料の加熱の改善をもたらすことにより、生成されるエアロゾルの量を最大化し、ユーザ体験を改善する。
【0012】
加熱チャンバは、開口部を含んでもよく、開口部を通してエアロゾル生成物品が加熱チャンバ内に挿入されてもよい。エアロゾル生成物品は、開口部を介して容易に加熱チャンバに挿入すること、及び加熱チャンバから取り外すことができる。エアロゾル生成物品は、加熱チャンバの長手方向軸に平行な方向に沿って加熱チャンバ内に挿入され得る。
【0013】
エアロゾル生成物品は、実質的に円筒状又はロッド状のエアロゾル生成物品を含んでもよい。エアロゾル生成物品は、任意の好適な断面、例えば、円形又は楕円形の断面を有してもよい。加熱チャンバは、実質的に円筒状又はロッド状のエアロゾル生成物品を収容するように構成されてもよい。したがって、エアロゾル生成物品は、円筒形を有する従来の喫煙物品を製造するために使用される装置及び方法を使用して製造できる。さらに、実質的に円筒状又はロッド状のエアロゾル生成物品を収容する加熱チャンバの能力は、エアロゾル生成物品が円筒形で包装され及び販売されることが多いことから有利である。エアロゾル生成物品は、一体型フィルタを含んでもよく、加熱時に放出されるエアロゾルを、ユーザが一体型フィルタを通して吸入してもよい。したがって、デバイスは、一体型フィルタを含むエアロゾル生成物品を収容するように構成されてもよい。
【0014】
エアロゾル生成物品は、その長手方向軸線又は長手方向に沿って延びる誘導加熱可能サセプタを備えてもよい。
【0015】
誘導加熱可能サセプタは、エアロゾル生成材料の第1の端部から第2の端部まで延びてもよい。
【0016】
エアロゾル生成物品は、複数の誘導加熱可能サセプタを備えてもよく、各サセプタは、その長手方向軸線又は長手方向に沿って延在する。このようなエアロゾル生成物品は、製造が簡単であり得る。各サセプタは、シート又はストリップの形態で提供されてもよく、これにより、加熱が効率的になり、エアロゾル生成物品の製造が容易になり得る。
【0017】
エアロゾル生成物品は、実質的に板状であってもよい。加熱チャンバの断面は、主表面及び側面を有してもよく、第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、加熱チャンバの主表面の外側に配置されてもよい。この構成では、第1の平面コイル及び第2の平面コイルによって生成される電磁場の大部分が加熱チャンバを、したがって板状のエアロゾル生成物品の主表面を貫通して、電磁場と誘導加熱可能サセプタとの結合の改善が可能になり、したがって誘導加熱可能サセプタの加熱の改善が確実になる。また、エアロゾル生成物品の板状の形状によって、誘導加熱可能サセプタは第1の平面コイル及び第2の平面コイルの近くに確実に位置するようになり、これにより、電磁場と誘導加熱可能サセプタとの結合の改善がさらに確実になり、誘導加熱可能サセプタへのエネルギーの入力が最大化される。また、板状のエアロゾル生成物品を使用することで、エアロゾル生成システム/デバイスの寸法を最小化して小型のシステム/デバイスを提供することが可能となる。
【0018】
エアロゾル生成デバイスは、一体型フィルタを含まないエアロゾル生成物品(例えば、板状のエアロゾル生成物品)を収容するように構成されてもよく、したがって、エアロゾル生成デバイスは、マウスピースをさらに備えてもよい。
【0019】
誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバの主表面に平行であり得る主表面を含み得る。主表面は、第1及び/又は第2の平面コイルによって生成される電磁場の大部分が容易に貫通し、それにより、生成された電磁場と誘導加熱可能サセプタとの結合の改善が、したがって誘導加熱可能サセプタの加熱の改善が確実になる。
【0020】
加熱チャンバは、加熱チャンバ内でエアロゾル生成物品を支持するため、及び空気入口と空気出口との間でエアロゾル生成物品の表面の周囲に前述した空気流路を提供するための、突起又は溝を含んでもよい。空気流路により、エアロゾル生成システム/デバイスの使用中に生成された蒸気及び/又はエアロゾルが、容易に加熱チャンバを通って空気出口に、そして、例えば空気出口に配置され得るマウスピースを通ってユーザに送達されることが確実になる。
【0021】
電磁場発生器は、加熱チャンバを取り囲む少なくとも3つの平面コイルを含み得る。平面コイルは、逐次的にアクティブ化されてもよい。平面コイルのそれぞれは、他の平面コイルとは異なる方向に加熱チャンバを貫通する電磁場を生成するように構成されてもよい。誘導加熱可能サセプタの主面は、平面コイルによって生成された電磁場が貫通し、電磁場と結合される。この構成により、誘導加熱可能サセプタがたとえランダムな向きを有していたとしても、エネルギー結合の効率が改善され得る。
【0022】
加熱チャンバは、湾曲した断面形状を有してもよく、平面コイルは、加熱チャンバを取り囲む湾曲面に位置してもよい。誘導加熱可能サセプタの主面は、平面コイルによって生成された電磁場が貫通し、電磁場と結合される。この構成は、エアロゾル生成物品が湾曲した断面形状、例えば円形又は楕円形を有し、及び/又は誘導加熱可能サセプタがランダムな向きを有する実施形態に特に適する場合がある。
【0023】
エアロゾル生成デバイスは、電源を含んでもよく、コントローラを含んでもよい。
【0024】
第1の平面コイル及び第2の平面コイルに交互に電力が供給されてもよい。電磁場発生器は、第1の平面コイル及び第2の平面コイルに交互に電力を供給するように構成されてもよい。例えば、コントローラは、電源から第1の平面コイル及び第2の平面コイルに交互に電力を供給するように構成されてもよい。第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、センタータップによって接続されてもよく、電力が第1の平面コイル及び第2の平面コイルに交互に供給されてもよい。これにより、第1の平面コイル及び第2の平面コイルを交互に(すなわち、一度に1つずつ)アクティブ化させて、所望の加熱効果を提供することが可能になる。
【0025】
第2の平面コイルは、コンデンサを含んでもよく、第1の平面コイルに電力が断続的に供給されてもよく、第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、互いに向き合うように構成されてもよい。この構成により、第1の平面コイル及び第2の平面コイルによって生成される電磁場が抑制され、電磁漏洩が低減される。これにより、システム/デバイスの使用中に生成される電流及び電磁場が強化される。
【0026】
第2の平面コイルは、コンデンサを含んでもよく、エアロゾル生成デバイスは、第2の平面コイルと外側カバーとの間に配置された電磁シールドを含んでもよい。この構成は、電磁漏洩を低減させるのにさらに役立つ。
【0027】
第1の平面コイル及び第2の平面コイルはそれぞれ、第1の電極及び第2の電極を含んでもよい。第1の電極は、第1の平面コイル及び第2の平面コイルの外側端部に接続されてもよく、第2の電極は、第1の平面コイル及び第2の平面コイルの内側端部に接続されてもよい。第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、第1の電極から第2の電極へと同じ方向に、例えば、各コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に時計回り方向又は反時計回り方向に巻かれてもよい。第1のコイル及び第2のコイルは、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、第1の電極から第2の電極へと反対方向に、例えば、各コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に時計回り方向又は反時計回り方向に巻かれてもよい。
【0028】
第1の構成では、電磁場発生器は、第1の平面コイル及び第2の平面コイルに電力を供給して、第1の平面コイルと第2の平面コイル内とで反対方向に、特に各平面コイルの第1の電極と第2の電極とで反対方向に、電流を流すように構成されてもよい。例えば、コントローラが、電源から第1の平面コイル及び第2の平面コイルに電力を供給して、第1の平面コイルと第2の平面コイルとで反対方向に、特に各平面コイルの第1の電極と第2の電極の間で反対方向に、電流を流すように構成されてもよい。各平面コイル内の電流が反対方向であることで、第1の平面コイルが位置する平面内にある第1の平面コイルの軸において第1の平面コイルによって生成される電磁場の主方向が、第2の平面コイルが位置する平面内にある第2の平面コイルの軸において第2の平面コイルによって生成される電磁場の主方向とは反対となるように、第1の平面コイル及び第2の平面コイルに電磁場が生成され、それにより誘導加熱可能サセプタの加熱が改善され得る。また、各平面コイル内の電流が反対方向であることは、誘導加熱可能サセプタが磁性材料から形成される場合に、誘導加熱可能サセプタ内の磁気ロスを増加させることで、誘導加熱可能サセプタ内の熱の発生量の増大をもたらし得る。
【0029】
第1の構成の第1の実施例では、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、各コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極に向かって反対方向に巻かれてもよく、第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第1の電極は、センタータップによって接続されてもよい。第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第2の電極は、1つ以上のスイッチングデバイスに、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などの電界効果トランジスタ(FET)に接続されてもよい。第1の平面コイルは、加熱チャンバの外側のある位置から見て、コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよく、第2の平面コイルは、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、同じ巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで反時計回り方向に巻かれてもよい。この実施例では、電流は、第1の平面コイル内を第1の電極から第2の電極に(すなわち、時計回り方向に)流れ、第2の平面コイル内を第1の電極から第2の電極に(すなわち、反時計回り方向に)流れる。
【0030】
第1の構成の第2の実施例では、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、各コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極に向かって反対方向に巻かれてもよく、第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第2の電極は、センタータップによって接続されてもよい。第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第1の電極は、1つ以上のスイッチングデバイスに、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などの電界効果トランジスタ(FET)に接続されてもよい。第1の平面コイルは、加熱チャンバの外側のある位置から見て、コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよく、第2の平面コイルは、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、同じ巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで反時計回り方向に巻かれてもよい。この実施例では、電流は、第1の平面コイル内を第2の電極から第1の電極に(すなわち、反時計回り方向に)流れ、第2の平面コイル内を第2の電極から第1の電極に(すなわち、時計回り方向に)流れる。
【0031】
第1の構成の第3の実施例では、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、各コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極に向かって同じ方向に巻かれてもよく、第1の平面コイルの第1の電極と第2の平面コイルの第2の電極は、センタータップによって接続されてもよい。第1の平面コイルの第2の電極及び第2の平面コイルの第1の電極は、1つ以上のスイッチングデバイスに、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などの電界効果トランジスタ(FET)に接続されてもよい。第1の平面コイルは、加熱チャンバの外側のある位置から見て、コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよく、第2の平面コイルは、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、同じ巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよい。この実施例では、電流は、第1の平面コイル内を第1の電極から第2の電極に(すなわち、時計回り方向に)流れ、第2の平面コイル内を第2の電極から第1の電極に(すなわち、反時計回り方向に)流れる。
【0032】
第2の構成では、電磁場発生器は、第1の平面コイル及び第2の平面コイルに電力を供給して、第1の平面コイル及び第2の平面コイル内で同じ方向に、特に各平面コイルの第1の電極と第2の電極とで同じ方向に、電流を流すように構成されてもよい。例えば、コントローラは、電源から第1の平面コイル及び第2の平面コイルに電力を供給して、第1の平面コイル及び第2の平面コイル内で同じ方向に、特に各平面コイルの第1の電極と第2の電極とで同じ方向に、電流を流すように構成されてもよい。
【0033】
第2の構成の第1の実施例では、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、各コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極に向かって同じ方向に巻かれてもよく、第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第1の電極は、センタータップによって接続されてもよい。第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第2の電極は、1つ以上のスイッチングデバイスに、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などの電界効果トランジスタ(FET)に接続されてもよい。第1の平面コイルは、加熱チャンバの外側のある位置から見て、コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよく、第2の平面コイルは、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、同じ巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよい。この実施例では、電流は、第1の平面コイル内を第1の電極から第2の電極に(すなわち、時計回り方向に)流れ、第2の平面コイル内を第1の電極から第2の電極に(すなわち、時計回り方向に)流れる。
【0034】
第2の構成の第2の実施例では、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、各コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極に向かって同じ方向に巻かれてもよく、第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第2の電極は、センタータップによって接続されてもよい。第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第1の電極は、1つ以上のスイッチングデバイスに、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などの電界効果トランジスタ(FET)に接続されてもよい。第1の平面コイルは、加熱チャンバの外側のある位置から見て、コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよく、第2の平面コイルは、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、同じ巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよい。この実施例では、電流は、第1の平面コイル内を第2の電極から第1の電極に(すなわち、反時計回り方向に)流れ、第2の平面コイル内を第2の電極から第1の電極に(すなわち、反時計回り方向に)流れる。
【0035】
第2の構成の第3の実施例では、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、第1の平面コイル及び第2の平面コイルは、各コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極に向かって反対方向に巻かれてもよく、第1の平面コイルの第1の電極と第2の平面コイルの第2の電極は、センタータップによって接続されてもよい。第1の平面コイルの第2の電極及び第2の平面コイルの第1の電極は、1つ以上のスイッチングデバイスに、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などの電界効果トランジスタ(FET)に接続されてもよい。第1の平面コイルは、加熱チャンバの外側のある位置から見て、コイルが位置する面に垂直な巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで時計回り方向に巻かれてもよく、第2の平面コイルは、加熱チャンバの外側の同じ位置から見て、同じ巻き軸を中心に第1の電極から第2の電極まで反時計回り方向に巻かれてもよい。この実施例では、電流は、第1の平面コイル内を第1の電極から第2の電極に(すなわち、時計回り方向に)流れ、第2の平面コイル内を第2の電極から第1の電極に(すなわち、時計回り方向に)流れる。
【0036】
平面コイルは、使用時に、約20mT~最高密度点での約2.0Tの磁束密度を有する変動電磁場を伴って動作するように構成されてもよい。
【0037】
電源及びコントローラは、高周波数で動作するように構成されてもよい。電源及びコントローラは、約80kHz~500kHz、場合により約150kHz~250kHz、及び場合により約200kHzの周波数で動作するように構成されてもよい。電源及び回路は、使用される誘導加熱可能サセプタのタイプに応じて、例えばMHzレンジのより高い周波数で動作するように構成されてもよい。
【0038】
平面コイルは、リッツ線又はリッツケーブルを備えてもよい。しかしながら、平面コイルを製造するために他の材料を使用してもよいことが理解されるであろう。
【0039】
誘導加熱可能サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅のうちの1種以上を含み得るが、これらに限定されない。サセプタの付近に電磁場を印加すると、渦電流及び/又は磁気ヒステリシスロスにより電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、誘導加熱可能サセプタは熱を発生させる。
【0040】
エアロゾル生成材料は、任意のタイプの固体又は半固体の材料であり得る。エアロゾル生成固形物の例示的なタイプとしては、粉末、顆粒、ペレット、シュレッド、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートが挙げられる。エアロゾル生成材料は、植物由来の材料を含んでもよく、特にタバコを含んでもよい。
【0041】
発泡材料は、複数の微粒子(例えば、タバコ粒子)を含んでもよく、ある量の水、及び/又は保湿剤などの水分添加物も含むことができる。発泡材料は、多孔質であってよく、発泡材料を通る空気及び/又は蒸気の流れを可能にし得る。
【0042】
エアロゾル生成材料は、エアロゾル形成剤(aerosol-former)を含み得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。典型的には、エアロゾル生成材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含有率を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、乾燥重量ベースで約10%~約20%のエアロゾル形成剤含有率、場合により乾燥重量ベースで約15%を含み得る。
【0043】
加熱すると、エアロゾル生成材料は、揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含んでもよい。
【0044】
本開示の第3の態様によれば、エアロゾル生成材料と、エアロゾル生成材料内に配置された誘導加熱可能サセプタとを含む板状のエアロゾル生成物品が提供される。
【0045】
板状のエアロゾル生成物品は、上で規定されたエアロゾル生成システム/デバイスの実施形態での使用に特に好適である。好ましい実施形態では、エアロゾル生成材料は、発泡材料又は1つ以上のエアロゾル生成シートを含む。
【0046】
誘導加熱可能サセプタは、平坦面内に位置する継目なしループ(endless loop)として形成された実質的に平面的なサセプタ要素を備えてもよい。すなわち、サセプタ要素は、サセプタ要素が位置する面に平行な方向に継目なしループとして形成されてもよい。誘導加熱可能サセプタは、有利には、複数の前述した平面のサセプタ要素を備え、そのサセプタ要素のそれぞれが継目なしループとして形成され得る。上記複数の平面のサセプタ要素を、例えば同じ平面内で、エアロゾル生成材料の全体にわたって分布させることができるであろう。
【0047】
そのサセプタ要素又は各サセプタ要素が位置する面は、エアロゾル生成物品の主表面に平行であってもよい。これにより、エアロゾル生成物品の製造が容易になる。
【0048】
一実施形態では、そのループ又は各ループは、多角形、例えば矩形又は正方形、であってもよい。別の実施形態では、そのループ又は各ループは湾曲していてもよく、例えば、楕円形又は円形のループを備えてもよい。
【0049】
誘導加熱可能サセプタは、サセプタ材料の複数のストリップを備えてもよい。各ストリップは、典型的には、2つの平行な主面と2つの端面とを有する。ストリップは、それらの主面がエアロゾル生成物品の主表面に実質的に平行になるように構成されてもよい。ストリップは、各シート又はストリップの主面の法線が実質的に同じ方向に向くように、エアロゾル生成材料内で互いに整列されてもよい。ストリップは、エアロゾル生成物品の主縁部の間で同じ平面内で間隔を空けて配置されてもよく、及び/又はエアロゾル生成物品の主表面の間で複数の平面内に構成されてもよい。サセプタストリップの使用により、エアロゾル生成物品の加熱が効率化され、及び/又はエアロゾル生成物品の製造が容易になり得る。
【0050】
誘導加熱可能サセプタは、粒子状サセプタ材料を含んでもよい。粒子状サセプタ材料の使用により、エアロゾル生成物品の加熱が効率化され、及び/又はエアロゾル生成物品の製造が容易になり得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、エアロゾル生成システムの第1の実施例の概略的側面図である。
図2図2は、図1の線A-Aに沿った断面図である。
図3図3図8は、図1及び図2に示すエアロゾル生成システムの第1の実施例と共に使用するための板状のエアロゾル生成物品の様々な実施例の概略断面図である。図3bは図3aの線A-Aに沿った断面図であり、図3aもまた各板状のエアロゾル生成物品の断面図である。
図4図4bは図4aの線A-Aに沿った断面図であり、図4aもまた各板状のエアロゾル生成物品の断面図である。
図5図5bは図5aの線A-Aに沿った断面図であり、図5aもまた各板状のエアロゾル生成物品の断面図である。
図6図6bは図6aの線A-Aに沿った断面図であり、図6aもまた各板状のエアロゾル生成物品の断面図である。
図7図7bは図7aの線A-Aに沿った断面図であり、図7aもまた各板状のエアロゾル生成物品の断面図である。
図8図8bは図8aの線A-Aに沿った断面図であり、図8aもまた各板状のエアロゾル生成物品の断面図である。
図9】エアロゾル生成システムの第2の実施例の概略的側面図である。
図10】エアロゾル生成システムの第2の実施例の代替構成の、図9における線A-Aに沿った断面図である。
図11】エアロゾル生成システムの第2の実施例の代替構成の、図9における線A-Aに沿った断面図である。
図12】エアロゾル生成システムの第2の実施例の代替構成の、図9における線A-Aに沿った断面図である。
図13a図13a~図13dは、第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第1の電気的構成の概略図である。図13aは、図13bの線A-Aに沿った断面図である。
図13b図13bは、図13aの矢印Bの方向で見た図である。
図13c図13cは、エアロゾル生成物品が第1の平面コイル及び第2の平面コイルの間に配置された斜視図である。
図13d図13dは、エアロゾル生成物品が第1の平面コイル及び第2の平面コイルの間に配置された側面図である。
図14a図14a~図14dは、第1の平面コイル及び第2の平面コイルの第2の電気的構成の概略図である。図14aは、図14bの線A-Aに沿った断面図である。
図14b図14bは、図14aの矢印Bの方向で見た図である。
図14c図14cは、エアロゾル生成物品が第1の平面コイル及び第2の平面コイルの間に配置された斜視図である。
図14d図14dは、エアロゾル生成物品が第1の平面コイル及び第2の平面コイルの間に配置された側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここで、本開示の実施形態について、あくまで例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【0053】
まず、図1及び図2を参照すると、エアロゾル生成システム1の第1の実施形態が図示されている。エアロゾル生成システム1は、エアロゾル生成デバイス10及びエアロゾル生成物品24を備える。エアロゾル生成デバイス10は、近位端12と遠位端14とを有し、デバイス本体16を備える。デバイス本体16は、電源18とコントローラ20とを含む。電源18とコントローラ20は、高周波数で動作するように構成されてもよい。電源18は、典型的には、例えば誘導充電式であり得る1つ以上のバッテリを備える。
【0054】
エアロゾル生成デバイス10は、空気入口22a及び空気出口22bを有する加熱チャンバ22を備える。加熱チャンバ22は、エアロゾル生成デバイス10の近位端12に配置され、エアロゾル生成材料26と誘導加熱可能サセプタ28とを含む板状のエアロゾル生成物品24を収容するように構成される。エアロゾル生成物品24は、使い捨ての物品24であり、例えば、エアロゾル生成材料26としてタバコを含有し得る。加熱チャンバ22は、板状のエアロゾル生成物品24を収容できるように、図2で最もよく分かるように、断面で見たときに矩形である。加熱チャンバ22は、主表面21及び側面23を有する。
【0055】
エアロゾル生成デバイス10は、加熱チャンバ22の空気入口22aに空気を送達するための複数の空気入口30を含む。また、エアロゾル生成デバイス10は、デバイス本体16において近位端12に着脱可能に装着可能なマウスピース32を備え、ユーザは、デバイス10の使用中に生成されたエアロゾルをマウスピース32を通して吸入してもよい。マウスピース32は、デバイス10の使用中に生成されたエアロゾルが、加熱チャンバ22の空気出口22bを介して加熱チャンバ22からユーザの口へと流れることを可能にする空気出口34を含む。
【0056】
加熱チャンバ22は、マウスピース32を取り外すことでアクセス可能になる開口部36を含み、これを通してユーザは、加熱チャンバ22の長手方向軸に平行な方向に、エアロゾル生成物品24を加熱チャンバ22内へと挿入すること、及びエアロゾル生成物品24を加熱チャンバ22から取り出すことができる。図示した実施形態では、加熱チャンバ22の開口部36は、加熱チャンバ22の空気出口22bとしても機能する。加熱チャンバ22は、主表面21及び側面23から延びる複数の突起38を含む。突起38は、エアロゾル生成物品24を加熱チャンバ22内で支持し、エアロゾル生成物品24と主表面21及び側面23との間に空間を形成し、それにより、加熱チャンバ22の空気入口22aと空気出口22bとの間で、エアロゾル生成物品24の表面の周囲に空気流路25を提供する。
【0057】
エアロゾル生成デバイス10は、第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44を含む電磁場発生器40を備える。図1及び図2に示す実施形態では、第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44は、主表面21から外側で、加熱チャンバ22の対向し合う両面に配置された平坦なコイルである。第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44は、加熱チャンバ22を異なる方向に貫通する電磁場を生成するように構成され、したがって、電磁場と誘導加熱可能サセプタ28との結合の改善が可能になる。誘導加熱可能サセプタ28は、加熱チャンバ22の主表面21に平行であり、したがって、第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44に平行である主表面29a、29bを含み、それにより、主表面29a、29bは、第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44によって生成される電磁場が容易に貫通し、その電磁場と容易に結合されることが確実になる。
【0058】
第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44は、電源18及びコントローラ20によって励磁され得る。コントローラ20は、他の電子構成要素の中でもとりわけ、電源18からの直流を第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44のための交流高周波電流に変換するように構成されたインバータを含んでもよい。第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44が交流高周波電流によって励磁されると、加熱チャンバ22を異なる方向に貫通する交流の時間変動電磁場が生成される。電磁場は、誘導加熱可能サセプタ28と結合し、誘導加熱可能サセプタ28内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシスロスを発生させ、サセプタを発熱させる。その後、熱は、例えば、伝導、放射、及び対流によって、誘導加熱可能サセプタ28からエアロゾル生成材料26に伝達される。
【0059】
誘導加熱可能サセプタ28からエアロゾル生成材料26に伝達された熱により、エアロゾル生成材料26が加熱され、それにより蒸気又はエアロゾルが生成される。エアロゾル生成材料26のエアロゾル化は、周囲環境から空気入口30、22aを通り、空気流路25に沿って加熱チャンバ22を通り、エアロゾル生成物品24の外側表面の周囲を流れる空気の追加によって促進される。エアロゾル生成材料26を加熱することにより生成されたエアロゾルは、次いで、空気出口22b、34を通って加熱チャンバ22を出て、マウスピース32を通してデバイス10のユーザにより吸入される。加熱チャンバ22を通る空気の流れ、すなわち、空気入口30、22aから加熱チャンバ22を通って空気出口22b、34から出る空気の流れは、ユーザがマウスピース32を使用してデバイス10の出口側から空気を吸い込むことより生成される負圧により促進され得ることが理解されるであろう。
【0060】
エアロゾル生成デバイス10と共に使用するための板状のエアロゾル生成物品24の様々な例が図3図8に示されており、ここでさらに詳細に説明される。
【0061】
図3a及び図3bでは、エアロゾル生成物品24は、エアロゾル生成材料26内に配置された実質的に平面的なサセプタ要素46の形態の誘導加熱可能サセプタ28を含む。サセプタ要素46は、継目なしの矩形ループとして形成されている。図3bから明らかなように、サセプタ要素46が位置する面は、エアロゾル生成物品24の主表面24a、24bに実質的に平行である。したがって、誘導加熱可能サセプタ28の主表面29a、29bは、エアロゾル生成物品24の主表面24a、24bに実質的に平行である。
【0062】
図4a及び図4bでは、エアロゾル生成物品24は、エアロゾル生成材料26内に配置された実質的に板状のサセプタ要素46の形態の誘導加熱可能サセプタ28を含む。誘導加熱可能サセプタ28の主表面29a、29bは、エアロゾル生成物品24の主表面24a、24bに実質的に平行である。
【0063】
図5a及び図5bでは、エアロゾル生成物品24は、エアロゾル生成材料26内に配置された実質的に平面的なサセプタ要素46の形態の誘導加熱可能サセプタ28を含む。サセプタ要素46は、継目なしの楕円形(例えば、卵形)のループとして形成されている。図5bから明らかなように、サセプタ要素46が位置する面は、エアロゾル生成物品24の主表面24a、24bに実質的に平行である。したがって、誘導加熱可能サセプタ28の主表面29a、29bは、エアロゾル生成物品24の主表面24a、24bに実質的に平行である。
【0064】
図6a及び図6bでは、エアロゾル生成物品24は、エアロゾル生成材料26内に配置された実質的に平面的な複数のサセプタ要素46の形態の誘導加熱可能サセプタ28を含む。各サセプタ要素46は、継目なしの円形ループとして形成されている。図6bから明らかなように、サセプタ要素46が位置する面は、エアロゾル生成物品24の主表面24a、24bに実質的に平行である。したがって、誘導加熱可能サセプタ28の主表面29a、29bは、エアロゾル生成物品24の主表面24a、24bに実質的に平行である。
【0065】
図7a及び7bでは、エアロゾル生成物品24は、エアロゾル生成材料26内に配置されたサセプタ材料の複数のストリップ48の形態の誘導加熱可能サセプタ28を含む。各ストリップ48は、2つの実質的に平行な主面48aと2つの端面48bとを有する。ストリップ48は、エアロゾル生成材料26内で互いに整列されており、それらの主面48aがエアロゾル生成物品24の主表面24a、24bに実質的に平行になるように構成される。ストリップ48は、エアロゾル生成材料26にわたって分配され、特に、エアロゾル生成物品24の主縁部24c、24dの間の実質的に同じ面内で間隔を置いて配置され(図7aで最もよく分かる)、かつエアロゾル生成物品の主表面24a、24bの間の複数の平面内に構成される(図7bで最もよく分かる)。
【0066】
図8a及び図8bでは、誘導加熱可能サセプタ28は、エアロゾル生成物品24の主縁部24c、24dの間(図8aで最もよく分かる)、及びエアロゾル生成物品24の主表面24a、24bの間(図8bで最もよく分かる)で、エアロゾル生成材料26にわたって分配される粒子状サセプタ材料を含む。
【0067】
ここで、図9図12を参照すると、エアロゾル生成システム2の第2の実施形態が概略的に示されている。エアロゾル生成システム2は、上述したエアロゾル生成デバイス10に類似するエアロゾル生成デバイス50を備え、この図では、対応する要素が同じ参照番号を使用して特定されている。
【0068】
加熱チャンバ22は、曲がった断面形状を有し、図示した実施形態では円形断面を有し、これは、対応する円形断面を有する円筒状又はロッド状のエアロゾル生成物品52を収容するように適合されている。エアロゾル生成物品52は、エアロゾル生成材料26の本体54と、エアロゾル生成材料26の本体54の下流に配置された中空の管状部材56と、管状部材56の下流に配置された、例えば酢酸セルロース繊維を含む、フィルタ58と、を含む。エアロゾル生成材料26の本体54、管状部材56、及びフィルタ58は、材料のシート、例えば巻紙60によって巻かれて、構成要素の部品とエアロゾル生成物品52との間の位置的関係が維持される。
【0069】
エアロゾル生成物品52は、エアロゾル生成材料26内に配置された誘導加熱可能サセプタ(図示せず)を含む。誘導加熱可能サセプタは、エアロゾル生成物品52の長手方向軸又は長手方向に沿って、例えば第1の端部から第2の端部まで延在してよく、シート又はストリップを備えてもよい。誘導加熱可能サセプタは、管状サセプタ、又はエアロゾル生成材料26にわたって分配された粒子状サセプタ材料を含んでもよい。
【0070】
エアロゾル生成物品52は、エアロゾル生成材料26の本体54を開口部36を介して加熱チャンバ22内へと挿入することにより、加熱チャンバ22内に配置される。加熱チャンバ22及びエアロゾル生成物品52は、エアロゾル生成デバイス50の近位端12においてフィルタ58が加熱チャンバ22から突出するように寸法設定される。
【0071】
図10に示す第1の構成では、エアロゾル生成デバイス50は、図1及び図2を参照して上述したような電磁場発生器40を含む。したがって、電磁場発生器40は、加熱チャンバ22の対向し合う両側に配置された第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44を含み、これら平面コイルは、異なる方向に加熱チャンバ22を貫通する電磁場を生成するように構成される。
【0072】
図11に示す第2の構成では、エアロゾル生成デバイス50は、図1及び図2を参照して上述したものと同様であるが、加熱チャンバ22の周囲に配置された4つの平面コイル41、42、43、44を備える電磁場発生器40を含む。この構成では、平面コイル41、42、43、44のそれぞれは、他の平面コイルとは異なる方向に加熱チャンバ22を貫通する電磁場を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、平面コイル41、42、43、44はコントローラ20によって逐次的にアクティブ化されてよい。コントローラ20は、有利には、平面コイルをシーケンス41:43:42:44にてアクティブ化させてもよいが、任意のシーケンスが採用されてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0073】
図12に示す第3の構成では、エアロゾル生成デバイス50は、加熱チャンバ22を取り囲み、加熱チャンバ22の輪郭に従う曲面上に位置する第1の平面コイル62及び第2の平面コイル64を含む電磁場発生器40を含む。第1の平面コイル62及び第2の平面コイル64は、加熱チャンバ22を異なる方向に貫通する電磁場を生成するように構成され、平坦なユークリッド平面内でコイルを巻き、その後でコイルを曲げて曲面にすることにより形成されてもよい。
【0074】
図13a~図13dを参照すると、上述したエアロゾル生成デバイス10、50で使用するための第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44の第1の電気的構成が示されている。第1の平面コイル42が、図13a及び図13bに示されており、第1の電極66a及び第2の電極68aを含む。第1の平面コイル42は、図13aで分かるように、第1の電極66aから第2の電極68aまで時計回り方向に巻かれる。図13c及び図13dで最もよく分かるように、第2の平面コイル44は、第1の平面コイル42と同様の構造を有し、第1及び第2の電極66b、68bを含むが、第1の電極66bから第2の電極68bに反時計回り方向に、換言すれば第1の平面コイル42とは反対方向に巻かれる。
【0075】
第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44は、センタータップ70によって接続され、より具体的には、第1の電極66a、66bは、図13c及び図13dに示すようにセンタータップ70によって接続される。この電気的構成により、コントローラ20は、例えば、第2の電極68a、68bの各々に接続されたMOSFETを切り替えることにより、第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44を交互に(すなわち、一度に1つずつ)アクティブ化させるように構成できる。これにより、電流は第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44内を、図13cの矢印で示すように反対方向に流れるようになる。より具体的には、電流は第1の平面コイル42内を、図13cに示すように第1の電極66aから第2の電極68aに時計回り方向に流れ、及び電流は第2の平面コイル44内を、図13cに示すように第1の電極66bから第2の電極68bに反時計回り方向に流れるようになる。これは、エアロゾル生成物品24が、図13c及び図13dに示すように、例えば上記のエアロゾル生成デバイス10の加熱チャンバ22内で、第1の平面コイル42と第2の平面コイル44との間に配置された場合に所望の加熱効果をもたらす。
【0076】
図14a~図14dを参照すると、上述したエアロゾル生成デバイス10、50で使用するための第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44の第2の電気的構成が示されている。図14c及び図14dに示す第1の平面コイル42は、図13a~図13dを参照して上述したとおりであり、第1及び第2の電極66a、68aを備える。第2の平面コイル44は、図14c及び図14dに示す第1の平面コイル42と同様であるが、第1及び第2の電極66b、68bの間に配置されたコンデンサ72を含む。この第2の電気的構成では、第1の平面コイル42は「アクティブ」コイルであり、第2の平面コイル44は「パッシブ」コイルである。
【0077】
より詳細には、動作中、第1の平面コイル42(「アクティブ」コイル)は、コントローラ20によって、電源18から第1の電極66及び第2の電極68に電力を供給することによってアクティブ化される。これにより電磁場が生成され、この電磁場は、加熱チャンバ22を第1の方向に貫通し、例えば上記のエアロゾル生成デバイス10の加熱チャンバ22内で、図14c及び図14dに示すように第1の平面コイル42と第2の平面コイル44との間に配置されたエアロゾル生成物品24の誘導加熱可能サセプタ28を誘導加熱する。第1の平面コイル42のアクティブ化の期間中、第2の平面コイル44(「パッシブ」コイル)のコンデンサ72が充電される。
【0078】
次いで、第1の平面コイル42がコントローラ20によって非アクティブ化され、第2の平面コイル44のコンデンサ72が放電され、それにより、第2の平面コイル44は、第1の平面コイル42によって生成された電磁場とは異なる方向に加熱チャンバ22を貫通する電磁場を生成する。第2の平面コイル44によって生成された電磁場は、図14c及び図14dに示すように第1の平面コイル42と第2の平面コイル44との間に配置されたエアロゾル生成物品24の誘導加熱可能サセプタ28を誘導加熱する。
【0079】
第1の平面コイル42及び第2の平面コイル44は、上述した形で繰り返しアクティブ化され、その結果、第2の平面コイル44(「パッシブ」コイル)のコンデンサ72は第1の平面コイル42(「アクティブ」コイル)とは逆相で充電及び放電する。
【0080】
図13及び図14を参照して上述した電気的構成は、あくまで一例として提供され、他の好適な電気的構成を採用できることが当業者によって理解されるであろう。
【0081】
これまでの段落では例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正を加えることができることを理解されたい。したがって、特許請求の幅及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0082】
本明細書において別途記載のない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、上述した特徴の任意の組み合わせが、その全ての可能な変形形態にて、本開示によって包含される。
【0083】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む、備える」、「含んでいる、備えている」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
図1
図2
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図5
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図13a
図13b
図13c
図13d
図14a
図14b
図14c
図14d