IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NXキャッシュ・ロジスティクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-硬貨選別機及び硬貨選別方法 図1
  • 特許-硬貨選別機及び硬貨選別方法 図2
  • 特許-硬貨選別機及び硬貨選別方法 図3
  • 特許-硬貨選別機及び硬貨選別方法 図4
  • 特許-硬貨選別機及び硬貨選別方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】硬貨選別機及び硬貨選別方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 3/00 20060101AFI20240904BHJP
   G07D 5/02 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
G07D3/00 E
G07D5/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022097396
(22)【出願日】2022-06-16
(65)【公開番号】P2023183730
(43)【公開日】2023-12-28
【審査請求日】2022-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】523101394
【氏名又は名称】NXキャッシュ・ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】後藤 弘和
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】野崎 大進
【審判官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160631(JP,A)
【文献】特開2022-77808(JP,A)
【文献】特開平10-239243(JP,A)
【文献】特開平8-89910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 3/00 - 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記念硬貨旧硬貨及び損貨を含む特定金種の硬貨の一方の面を吸着し、前記硬貨を移動する吸着部と、
前記吸着部によって吸着された前記硬貨の他方の面の画像を撮像する撮像部と、
前記特定金種の硬貨の種類と、前記特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、前記特定金種の硬貨の素材量目とを対応付けて記憶する特定金種記憶部と、
前記硬貨の他方の面の画像及び前記基準画像に基づいて、前記硬貨の種類として、前記記念硬貨及び前記旧硬貨の種類、前記損貨並びにリジェクト硬貨を1枚ずつ識別する金種識別部と、
識別された前記硬貨を所定の種別毎に収納する収納部と、
を備える
硬貨選別機。
【請求項2】
前記吸着部によって前記硬貨の一方の面を吸着する前に前記硬貨の一方の面の外形画像を撮像する外形撮像部と、
前記特定金種の硬貨が配置され、一定の周期又は任意のタイミングで回転するターンテーブルと、
ロボットアーム及び前記ロボットアームの先端に配置される吸着部を有する仕分けロボットであって、前記ターンテーブル上の硬貨のうちの1枚の硬貨の一方の面を前記吸着部によって吸着し、前記ロボットアームによって前記硬貨の他方の面を下側にした状態で移動する仕分けロボットと、
を更に備え、
前記特定金種記憶部は、前記特定金種の硬貨の種類と、前記特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む前記基準画像と、前記特定金種の硬貨の素材量目と、前記特定金種の硬貨の外形を示す外形情報とを対応付けて記憶し、
前記金種識別部は、前記硬貨の他方の面の画像、前記硬貨の一方の面の外形画像、前記基準画像及び前記外形情報に基づいて、前記硬貨の種類として、前記記念硬貨及び前記旧硬貨の種類、前記損貨並びにリジェクト硬貨を1枚ずつ識別し
前記収納部は、識別された前記硬貨を、前記硬貨を受け付けた顧客名、前記硬貨の金種及び前記硬貨の素材量目毎に仕分けて収納する、請求項1に記載の硬貨選別機。
【請求項3】
識別された前記硬貨に関する識別硬貨情報を記憶する識別硬貨情報記憶部を更に備え、
前記識別硬貨情報は、前記硬貨を受け付けた顧客名、顧客の支店名、前記硬貨の金種、前記硬貨の種類及び前記硬貨の枚数を含む、請求項1又は2に記載の硬貨選別機。
【請求項4】
前記金種識別部は、
前記外形撮像部によって撮像された前記硬貨の一方の面の前記外形画像及び前記特定金種記憶部に記憶された前記外形情報に基づいて前記外形画像の画像処理を行い、前記硬貨の外形を判断し、
前記撮像部によって撮像された前記硬貨の他方の面の画像と、前記特定金種記憶部に記憶された前記基準画像とを比較し、前記硬貨の模様を判断することによって、前記硬貨の種類を識別する、
請求項2に記載の硬貨選別機。
【請求項5】
硬貨選別機における硬貨選別方法であって、
吸着部によって、記念硬貨旧硬貨及び損貨を含む特定金種の硬貨の一方の面を吸着し、前記硬貨を移動する工程と、
前記吸着部によって吸着された前記硬貨の他方の面の画像を撮像部によって撮像する工程と、
金種識別部によって、前記硬貨の他方の面の画像並びに特定金種記憶部に記憶された前記特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像に基づいて、前記硬貨の種類として、前記記念硬貨及び前記旧硬貨の種類、前記損貨並びにリジェクト硬貨を1枚ずつ識別する工程と、
収納部によって、識別された前記硬貨を所定の種別毎に収納する工程と、
を備える
硬貨選別方法。
【請求項6】
前記硬貨選別機は、
前記特定金種の硬貨が配置され、一定の周期又は任意のタイミングで回転するターンテーブルと、
ロボットアーム及び前記ロボットアームの先端に配置される吸着部を有する仕分けロボットであって、前記ターンテーブル上の硬貨のうちの1枚の硬貨の一方の面を前記吸着部によって吸着し、前記ロボットアームによって前記硬貨の他方の面を下側にした状態で移動する仕分けロボットと、を備え、
前記硬貨選別方法は、外形撮像部によって、前記吸着部によって前記硬貨の一方の面を吸着する前に前記硬貨の一方の面の外形画像を撮像する工程を更に備え、
前記硬貨の種類を識別する工程は、前記硬貨の他方の面の画像、前記硬貨の一方の面の外形画像、前記特定金種記憶部に記憶された前記基準画像及び前記特定金種の硬貨の外形を示す外形情報に基づいて、前記硬貨の種類として、前記記念硬貨及び前記旧硬貨の種類、前記損貨並びにリジェクト硬貨を1枚ずつ識別することを含み
前記収納する工程は、識別された前記硬貨を、前記硬貨を受け付けた顧客名、前記硬貨の金種及び前記硬貨の素材量目毎に仕分けて収納することを含む、
請求項に記載の硬貨選別方法。
【請求項7】
識別された前記硬貨に関する識別硬貨情報を識別硬貨情報記憶部に記憶する工程を更に備え、
前記識別硬貨情報は、前記硬貨を受け付けた顧客名、顧客の支店名、前記硬貨の金種、前記硬貨の種類及び前記硬貨の枚数を含む、請求項又はに記載の硬貨選別方法。
【請求項8】
前記硬貨の種類を識別する工程は、
前記外形撮像部によって撮像された前記硬貨の一方の面の前記外形画像及び前記特定金種記憶部に記憶された前記外形情報に基づいて前記外形画像の画像処理を行い、前記硬貨の外形を判断し、
前記撮像部によって撮像された前記硬貨の他方の面の画像と、前記特定金種記憶部に記憶された前記基準画像とを比較し、前記硬貨の模様を判断することによって、前記硬貨の種類を識別することを含む、請求項に記載の硬貨選別方法。
【請求項9】
記念硬貨旧硬貨及び損貨を含む特定金種の硬貨が1枚ずつ置かれる載置部と、
前記硬貨の一方の面を吸着し、前記硬貨を前記載置部へ移動する吸着部と、
前記吸着部と一体化され、前記吸着部によって前記硬貨を吸着した状態で前記硬貨の一方の面の第1画像を撮像する第1撮像部と、
前記載置部の下側に配置され、前記載置部に置かれた前記硬貨の他方の面の第2画像を撮像する第2撮像部と、
前記特定金種の硬貨の種類と、前記特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、前記特定金種の硬貨の素材量目とを対応付けて記憶する特定金種記憶部と、
前記第1画像及び前記第2画像と、前記基準画像とを比較し、前記硬貨の種類として、前記記念硬貨及び前記旧硬貨の種類、前記損貨並びにリジェクト硬貨を1枚ずつ識別する金種識別部と、
識別された前記硬貨を所定の種別毎に収納する複数の収納部と、
を備える硬貨選別機。
【請求項10】
硬貨選別機における硬貨選別方法であって、
記念硬貨旧硬貨及び損貨を含む特定金種の硬貨の一方の面を吸着部によって吸着し、前記硬貨を載置部へ移動する工程と、
前記吸着部によって前記硬貨を吸着した状態で前記硬貨の一方の面の第1画像を第1撮像部によって撮像する工程と、
前記載置部に置かれた前記硬貨の他方の面の第2画像を第2撮像部によって撮像する工程と、
前記第1画像及び前記第2画像と、特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像とを比較し、前記硬貨の種類として、前記記念硬貨及び前記旧硬貨の種類、前記損貨並びにリジェクト硬貨を1枚ずつ識別する工程と、
識別された前記硬貨を所定の種別毎に収納する工程と、
を備える硬貨選別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨選別機及び硬貨選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自販機等からの回収硬貨を選別する機器の小型化、大容量化、コスト低減等を目的とした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の硬貨入金機は、通常の硬貨を選別し、別々に収納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-299406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した硬貨入金機では、損貨、旧硬貨及び記念硬貨等のような特定金種の硬貨を選別することができず、特定金種の硬貨は、まとめて収納されている。そして、現状では、特定金種の硬貨の個別の仕分け作業は、人手によって行われている。
【0005】
そこで、本発明は、通常の硬貨選別機では処理できない特定金種の硬貨(損貨、旧硬貨及び記念硬貨)を自動的に選別することができる硬貨選別機及び硬貨選別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、記念硬貨及び旧硬貨を含む特定金種の硬貨の一方の面を吸着し、前記硬貨を移動する吸着部と、前記吸着部によって吸着された前記硬貨の他方の面の画像を撮像する撮像部と、前記特定金種の硬貨の種類と、前記特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、前記特定金種の硬貨の素材量目とを対応付けて記憶する特定金種記憶部と、前記硬貨の他方の面の画像及び前記基準画像に基づいて、前記硬貨の種類を識別する金種識別部と、識別された前記硬貨を所定の種別毎に収納する収納部と、を備える硬貨選別機に関する。
【0007】
また、前記硬貨選別機は、前記吸着部によって前記硬貨の一方の面を吸着する前に前記硬貨の一方の面の外形画像を撮像する外形撮像部を更に備え、前記特定金種記憶部は、前記特定金種の硬貨の種類と、前記特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、前記特定金種の硬貨の素材量目と、前記特定金種の硬貨の外形を示す外形情報とを対応付けて記憶し、前記金種識別部は、前記硬貨の他方の面の画像、前記硬貨の一方の面の外形画像、前記基準画像及び前記外形情報に基づいて、前記硬貨の種類を識別することが好ましい。
【0008】
また、前記硬貨選別機は、識別された前記硬貨に関する識別硬貨情報を記憶する識別硬貨情報記憶部を更に備え、前記識別硬貨情報は、前記硬貨を受け付けた顧客名、顧客の支店名、前記硬貨の金種、前記硬貨の種類及び前記硬貨の枚数を含むことが好ましい。
【0009】
また、前記収納部は、識別された前記硬貨を、前記硬貨を受け付けた顧客名、前記硬貨の金種及び前記硬貨の素材量目毎に仕分けて収納することが好ましい。
【0010】
また、前記金種識別部は、前記外形撮像部によって撮像された前記硬貨の一方の面の前記外形画像及び前記特定金種記憶部に記憶された前記外形情報に基づいて前記外形画像の画像処理を行い、前記硬貨の外形を判断し、前記撮像部によって撮像された前記硬貨の他方の面の画像と、前記特定金種記憶部に記憶された前記基準画像とを比較し、前記硬貨の模様を判断することによって、前記硬貨の種類を識別することが好ましい。
【0011】
本発明は、吸着部によって、記念硬貨及び旧硬貨を含む特定金種の硬貨の一方の面を吸着し、前記硬貨を移動する工程と、前記吸着部によって吸着された前記硬貨の他方の面の画像を撮像部によって撮像する工程と、金種識別部によって、前記硬貨の他方の面の画像並びに特定金種記憶部に記憶された前記特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像に基づいて、前記硬貨の種類を識別する工程と、収納部によって、識別された前記硬貨を所定の種別毎に収納する工程と、を備える硬貨選別方法に関する。
【0012】
また、前記硬貨選別方法は、外形撮像部によって、前記吸着部によって前記硬貨の一方の面を吸着する前に前記硬貨の一方の面の外形画像を撮像する工程を更に備え、前記硬貨の種類を識別する工程は、前記硬貨の他方の面の画像、前記硬貨の一方の面の外形画像、前記特定金種記憶部に記憶された前記基準画像及び前記特定金種の硬貨の外形を示す外形情報に基づいて、前記硬貨の種類を識別することが好ましい。
【0013】
また、前記硬貨選別方法は、識別された前記硬貨に関する識別硬貨情報を識別硬貨情報記憶部に記憶する工程を更に備え、前記識別硬貨情報は、前記硬貨を受け付けた顧客名、顧客の支店名、前記硬貨の金種、前記硬貨の種類及び前記硬貨の枚数を含むことが好ましい。
【0014】
また、前記硬貨を所定の種別毎に収納する工程は、識別された前記硬貨を、前記硬貨を受け付けた顧客名、前記硬貨の金種及び前記硬貨の素材量目毎に仕分けて収納することを含むことが好ましい。
【0015】
また、前記硬貨の種類を識別する工程は、前記外形撮像部によって撮像された前記硬貨の一方の面の前記外形画像及び前記特定金種記憶部に記憶された前記外形情報に基づいて前記外形画像の画像処理を行い、前記硬貨の外形を判断し、前記撮像部によって撮像された前記硬貨の他方の面の画像と、前記特定金種記憶部に記憶された前記基準画像とを比較し、前記硬貨の模様を判断することによって、前記硬貨の種類を識別することを含むことが好ましい。
【0016】
本発明は、記念硬貨及び旧硬貨を含む特定金種の硬貨が1枚ずつ置かれる載置部と、前記硬貨の一方の面を吸着し、前記硬貨を前記載置部へ移動する吸着部と、前記吸着部と一体化され、前記吸着部によって前記硬貨を吸着した状態で前記硬貨の一方の面の第1画像を撮像する第1撮像部と、前記載置部の下側に配置され、前記載置部に置かれた前記硬貨の他方の面の第2画像を撮像する第2撮像部と、前記特定金種の硬貨の種類と、前記特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、前記特定金種の硬貨の素材量目とを対応付けて記憶する特定金種記憶部と、前記第1画像及び前記第2画像と、前記基準画像とを比較し、前記硬貨の種類を識別する金種識別部と、識別された前記硬貨を所定の種別毎に収納する複数の収納部と、を備える硬貨選別機に関する。
【0017】
本発明は、記念硬貨及び旧硬貨を含む特定金種の硬貨の一方の面を吸着部によって吸着し、前記硬貨を載置部へ移動する工程と、吸着部によって前記硬貨を吸着した状態で前記硬貨の一方の面の第1画像を第1撮像部によって撮像する工程と、前記載置部に置かれた前記硬貨の他方の面の第2画像を第2撮像部によって撮像する工程と、前記第1画像及び前記第2画像と、特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像とを比較し、前記硬貨の種類を識別する工程と、識別された前記硬貨を所定の種別毎に収納する工程と、を備える硬貨選別方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定金種の硬貨を自動的に選別することができる硬貨選別機及び硬貨選別方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る硬貨選別機の概要を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る硬貨選別機の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るメイン制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る硬貨選別機による特定金種の硬貨を選別する処理の概要を示す図である。
図5】本実施形態に係る硬貨選別機による硬貨選別方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る硬貨選別機1の概要を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る硬貨選別機1の機能的な構成を示すブロック図である。本実施形態に係る硬貨選別機1は、通常の硬貨選別機では処理できない特定金種の硬貨(損貨、旧硬貨及び記念硬貨)を自動的に選別するための装置である。
【0021】
図1及び図2に示すように、硬貨選別機1は、本体10と、投入ホッパ11と、コンベア12と、ターンテーブル13と、外形撮像部14と、仕分けロボット15と、選別部16と、排出カウントセンサ17と、収納部18と、ロボット制御装置19と、メイン制御装置20と、を備える。
本体10は、基台、フレーム等で構成され、硬貨選別機1の他の構成要素を支持及び搭載する。
投入ホッパ11は、通常の硬貨選別機では処理できない特定金種の硬貨(損貨、旧硬貨及び記念硬貨)を投入するためのホッパである。
【0022】
コンベア12は、投入ホッパ11に投入された硬貨をターンテーブル13へ搬送する。
ターンテーブル13は、一定の周期又は任意のタイミングで回転するテーブルを有し、テーブル上にコンベア12によって搬送された硬貨が配置される。
外形撮像部14は、例えば、カメラ等によって構成され、ターンテーブル13の上部に配置される。外形撮像部14は、仕分けロボット15の吸着パッド151によって硬貨の一方の面を吸着する前に、ターンテーブル13上の硬貨の一方の面の外形画像を撮像する。
【0023】
仕分けロボット15は、ロボットアーム(図示せず)、吸着パッド151等を有する。吸着パッド151は、ロボットアームの先端に配置され、硬貨の一方の面を吸着する。仕分けロボット15は、ロボット制御装置19の指令に従って、ターンテーブル13上の硬貨のうちの1枚を吸着パッド151によって吸着し、硬貨の他方の面を下側にした状態で硬貨を選別部16の撮像部162の上部に移動する。なお、吸着パッド151は、図示されないコンプレッサー及び電磁弁の制御等によって真空吸着のオン/オフを切り替える。
【0024】
選別部16は、硬貨の他方の面の模様を識別するために間接的に光を出射するLED161と、仕分けロボット15によって移動された硬貨の他方の面の画像を撮像する撮像部162と、を有する。
【0025】
仕分けロボット15は、撮像部162によって画像を撮像した後に、ロボット制御装置19の指令に従って、吸着した硬貨を収納部18へ受け渡す。
【0026】
排出カウントセンサ17は、仕分けロボット15が吸着した硬貨を収納部18へ受け渡す位置と、収納部18との間に設けられ、収納部18に収納される硬貨の枚数をカウントするためのセンサである。
【0027】
収納部18は、複数個設けられ、仕分けロボット15及びメイン制御装置20によって識別された硬貨を所定の種別毎に収納する。収納部18は、仕分けロボット15が硬貨を受け渡すトレイ181と、トレイ181に受け渡された硬貨を収納する払い出し袋182と、を有する。
【0028】
ロボット制御装置19は、メイン制御装置20の制御に従って、仕分けロボット15等の動作を制御する。
メイン制御装置20は、上述した硬貨選別機1の各構成の制御を行う。メイン制御装置20の具体的な制御については、後述する。
【0029】
図3は、本実施形態に係るメイン制御装置20の機能的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、メイン制御装置20は、制御部201と、記憶部202と、を有する。
【0030】
制御部201は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0031】
また、制御部201は、金種識別部2011を有する。金種識別部2011は、撮像部162によって撮像された硬貨の他方の面の画像及び特定金種記憶部2021に記憶された基準画像(すなわち、特定硬貨の表面及び裏面の画像)に基づいて、硬貨の種類を識別する。
【0032】
より詳細には、金種識別部2011は、撮像部162によって撮像された硬貨の他方の面の画像、外形撮像部14によって撮像された硬貨の一方の面の外形画像、特定金種記憶部2021に記憶された基準画像及び外形情報に基づいて、硬貨の種類を識別する。
【0033】
具体的には、金種識別部2011は、外形撮像部14によって撮像された硬貨の一方の面の外形画像及び特定金種記憶部2021に記憶された外形情報に基づいて、外形画像の画像処理を行い、硬貨の外形を判断する。そして、金種識別部2011は、撮像部162によって撮像された硬貨の他方の面の画像と、特定金種記憶部2021に記憶された基準画像とを比較し、硬貨の模様を判断することによって、記念硬貨及び旧硬貨の種類並びに損貨を識別する。
【0034】
また、金種識別部2011は、撮像部162によって撮像された硬貨の他方の面の画像と、特定金種記憶部2021に記憶された基準画像とを比較し、所定の閾値を下回る硬貨をリジェクト硬貨と判断することによって、特定金種の硬貨の中からリジェクト硬貨を識別する。ここで、所定の閾値は、例えば、硬貨の一定以上の損失、硬貨の一定以上の汚染等である。
【0035】
なお、上述した例では、金種識別部2011は、撮像部162によって撮像された硬貨の他方の面の画像、外形撮像部14によって撮像された硬貨の一方の面の外形画像、特定金種記憶部2021に記憶された基準画像及び外形情報に基づいて、硬貨の種類を識別したが、これに限定されない。例えば、金種識別部2011は、撮像部162によって撮像された硬貨の他方の面の画像と、特定金種記憶部2021に記憶された基準画像とを比較し、硬貨の模様を判断することによって、硬貨の種類を識別してもよい。
【0036】
また、別の実施形態として硬貨選別機1は、外形撮像部14に代えて、硬貨の一方の面の画像を撮像する第2撮像部を備え、金種識別部2011は、第2撮像部によって撮像された硬貨の一方の面の画像及び撮像部162によって撮像された硬貨の他方の面の画像と、特定金種記憶部2021に記憶された基準画像とを比較し、硬貨の種類を識別してもよい。
【0037】
記憶部202は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM等の非一過性の記憶媒体を備える記憶装置、又はRAM等により実現される。また、記憶部202は、特定金種記憶部2021と、識別硬貨情報記憶部2022と、を有する。
【0038】
特定金種記憶部2021は、記念硬貨及び旧硬貨を含む特定金種の硬貨の種類と、特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、特定金種の硬貨の素材量目(材質及び重さ)と、特定金種の硬貨の外形を示す外形情報(例えば、硬貨の半径、硬貨の外径画像等)を対応付けて記憶する。
【0039】
例えば、特定金種記憶部2021は、〇〇記念500円白銅貨幣の場合、〇〇記念500円白銅貨幣(硬貨の種類)、当該〇〇記念500円白銅貨幣の表面及び裏面の画像を含む基準画像、白銅(材質)、13.0g(重さ)及び半径××mm(外形情報)を対応付けて記憶する。
【0040】
このように特定金種記憶部2021は、現在までに発行された全ての記念硬貨及び旧硬貨を含む特定金種の硬貨の種類と、特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、特定金種の硬貨の素材量目と、特定金種の硬貨の外形を示す外形情報とを対応付けて記憶することによって、硬貨選別機1は、特定金種の硬貨を識別することができる。
【0041】
識別硬貨情報記憶部2022は、識別された硬貨に関する識別硬貨情報を記憶する。ここで、識別硬貨情報は、硬貨を受け付けた顧客(例えば、金融機関)名、顧客の支店名、硬貨の金種、硬貨の種類及び硬貨の枚数を含む。
【0042】
例えば、識別硬貨情報記憶部2022は、識別硬貨情報として、A銀行(顧客名)、B支店(支店名)、500円(金種)、天皇御即位記念(種類)及び30枚(枚数)を記憶する。このように識別硬貨情報記憶部2022は、識別された硬貨に関する識別硬貨情報を記憶することによって、硬貨選別機1は、顧客である金融機関等へ特定硬貨のデータを報告及び提供することができる。
【0043】
図4は、本実施形態に係る硬貨選別機1による特定金種の硬貨を選別する処理の概要を示す図である。図4に示すように、特定金種の硬貨は、複数の顧客(金融機関)の各支店から収集され、硬貨選別機1へ投入される。この時点では、特定金種の硬貨は、通常の硬貨ではないことが判別しているが、各硬貨の金種や種類等は識別されていない。
【0044】
そして、収集された特定金種の硬貨は、本実施形態に係る硬貨選別機1によって1枚ずつ選別される。選別された特定金種の硬貨は、金融機関別、金種別、素材量目別及び枚数で仕分けられ、日本銀行等の金融機関へ持ち込まれる。選別された特定金種の硬貨に関する識別硬貨情報は、硬貨を受け付けた金融機関名、金融機関の支店名、硬貨の金種、硬貨の種類及び硬貨の枚数を含む。硬貨選別機1の識別硬貨情報記憶部2022に記憶された識別硬貨情報は、顧客である各金融機関及び各支店へ報告される。
【0045】
図5は、本実施形態に係る硬貨選別機1による硬貨選別方法の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1において、複数の種類の記念硬貨及び旧硬貨を含む、複数の(例えば、数十枚から数百枚程度)特定金種の硬貨を投入ホッパ11へ投入する。投入ホッパ11へ投入された特定金種の硬貨は、投入ホッパ11からコンベア12によってターンテーブル13まで移動する。
【0046】
ステップS2において、外形撮像部14は、仕分けロボット15の吸着パッド151によって硬貨の一方の面を吸着する前に、ターンテーブル13上の硬貨の一方の面の外形画像を撮像する。
【0047】
ステップS3において、仕分けロボット15は、ターンテーブル13上の硬貨を1枚ずつ吸着する。このとき、仕分けロボット15は、吸着パッド151によって硬貨の表面又は裏面のいずれかの面を真空吸着する。
【0048】
ステップS4において、仕分けロボット15は、硬貨の他方の面を下側にした状態で硬貨を選別部16の撮像部162の上部に移動する。撮像部162は、硬貨の他方の面の画像を撮像する。
【0049】
ステップS5において、金種識別部2011は、ステップS2において撮像された硬貨の一方の面の外形画像及び特定金種記憶部2021に記憶された外形情報に基づいて、外形画像の画像処理を行い、硬貨の外形を判断する。そして、金種識別部2011は、ステップS4において撮像された硬貨の他方の面の画像と、特定金種記憶部2021に記憶された基準画像とを比較し、硬貨の模様を判断することによって、記念硬貨及び旧硬貨の種類並びに損貨を識別する。
【0050】
ステップS6において、仕分けロボット15は、ステップS5において識別された硬貨を所定の種別毎に収納部18に収納する。更に、制御部191は、識別された硬貨に関する識別硬貨情報を識別硬貨情報記憶部2022に記憶する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る硬貨選別機1は、記念硬貨及び旧硬貨を含む特定金種の硬貨の一方の面を吸着し、硬貨を移動する仕分けロボット15と、仕分けロボット15によって吸着された硬貨の他方の面の画像を撮像する撮像部162と、特定金種の硬貨の種類と、特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、特定金種の硬貨の素材量目とを対応付けて記憶する特定金種記憶部2021と、硬貨の他方の面の画像及び基準画像に基づいて、硬貨の種類を識別する金種識別部2011と、識別された硬貨を所定の種別毎に収納する収納部18と、を備える。
【0052】
このような構成によって、硬貨選別機1は、通常の硬貨選別機では処理できない特定金種の硬貨(損貨、旧硬貨及び記念硬貨)を自動的に選別することができる。更に、硬貨選別機1は、特定金種の硬貨を1枚ずつ識別し、種別毎に収納することができる。
【0053】
また、硬貨選別機1は、仕分けロボット15によって硬貨の一方の面を吸着する前に硬貨の一方の面の外形画像を撮像する外形撮像部14を更に備え、特定金種記憶部2021は、特定金種の硬貨の種類と、特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、特定金種の硬貨の素材量目と、特定金種の硬貨の外形を示す外形情報とを対応付けて記憶し、金種識別部2011は、硬貨の他方の面の画像、硬貨の一方の面の外形画像、基準画像及び外形情報に基づいて、硬貨の種類を識別する。このような構成によって、硬貨選別機1は、特定金種の硬貨の外形及び表面の画像から特定金種の硬貨を1枚ずつ識別し、種別毎に収納することができる。
【0054】
また、硬貨選別機1は、識別された硬貨に関する識別硬貨情報を記憶する識別硬貨情報記憶部2022を備え、識別硬貨情報は、硬貨を受け付けた顧客名、顧客の支店名、硬貨の金種、硬貨の種類及び硬貨の枚数を含む。このように識別硬貨情報記憶部2022は、識別された硬貨に関する識別硬貨情報を記憶することによって、硬貨選別機1は、顧客である金融機関等へ特定硬貨のデータを報告及び提供することができる。
【0055】
また、収納部18は、識別された硬貨を、硬貨を受け付けた顧客名、硬貨の金種及び硬貨の素材量目毎に仕分けて収納する。このような構成によって、硬貨選別機1は、選別された特定金種の硬貨を、日本銀行等の特定金種の硬貨を受け付ける顧客が指定する状態に仕分けることができる。
【0056】
また、金種識別部2011は、外形撮像部14によって撮像された硬貨の一方の面の外形画像及び特定金種記憶部2021に記憶された外形情報に基づいて、外形画像の画像処理を行い、硬貨の外形を判断する。そして、金種識別部2011は、撮像部162によって撮像された硬貨の他方の面の画像と、特定金種記憶部2021に記憶された基準画像とを比較し、硬貨の模様を判断することによって、記念硬貨及び旧硬貨の種類並びに損貨を識別する。このような構成によって、硬貨選別機1は、特定金種の硬貨を正確に識別することができる。
【0057】
また、上述した実施形態に代えて、硬貨選別機1は、硬貨が1枚ずつ置かれる載置部と、硬貨の一方の面を吸着し、硬貨を載置部へ移動する仕分けロボット15と、仕分けロボット15と一体化され、仕分けロボット15によって硬貨を吸着した状態で硬貨の一方の面の第1画像を撮像する第1撮像部と、載置部の下側に配置され、載置部に置かれた硬貨の他方の面の第2画像を撮像する第2撮像部と、記念硬貨及び旧硬貨を含む特定金種の硬貨の種類と、特定金種の硬貨の表面及び裏面の画像を含む基準画像と、特定金種の硬貨の素材量目とを対応付けて記憶する特定金種記憶部2021と、第1画像及び第2画像と基準画像とを比較し、硬貨の種類を識別する金種識別部2011と、識別された硬貨を所定の種別毎に収納する複数の収納部18と、を備えてもよい。
【0058】
このような構成によって、硬貨選別機1は、通常の硬貨選別機では処理できない特定金種の硬貨(損貨、旧硬貨及び記念硬貨)を自動的に選別することができる。更に、硬貨選別機1は、特定金種の硬貨を1枚ずつ識別し、種別毎に収納することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 硬貨選別機
10 本体
11 投入ホッパ
12 コンベア
13 ターンテーブル
14 外形撮像部
15 仕分けロボット
16 選別部
17 排出カウントセンサ
18 収納部
19 ロボット制御装置
20 メイン制御装置
151 吸着パッド
161 LED
162 撮像部
181 トレイ
182 払い出し袋
201 制御部
202 記憶部
2011 金種識別部
2021 特定金種記憶部
2022 識別硬貨情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5