IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイリ-バイオ(チェンドゥ)ファーマスーティカル シーオー.,エルティーディー.の特許一覧

特許7549631システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング
<>
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図1
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図2
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図3
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図4
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図5
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図6
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図7
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図8
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図9
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図10
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図11
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図12
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図13
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図14
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図15
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図16
  • 特許-システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合サイトのスクリーニング
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/00 20060101AFI20240904BHJP
   C07K 1/113 20060101ALI20240904BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20240904BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240904BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
C07K1/113
C12N15/10 200Z
C12N15/13
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022158036
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2020551558の分割
【原出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2023011567
(43)【公開日】2023-01-24
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】201710469761.5
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522263714
【氏名又は名称】バイリ-バイオ(チェンドゥ)ファーマスーティカル シーオー.,エルティーディー.
【住所又は居所原語表記】139 Baili Road, Wenjiang District, Chengdu, Sichuan 611130, the People’ s Republic of China.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】朱義
(72)【発明者】
【氏名】王一茜
(72)【発明者】
【氏名】卓識
(72)【発明者】
【氏名】李傑
(72)【発明者】
【氏名】余永国
(72)【発明者】
【氏名】万維李
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-511637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/00
C12N 15/13
C07K 1/113
C12N 15/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システイン改変抗体であって、
抗体は、1つ又は複数のシステイン挿入部位に挿入されたシステインを有し
システイン挿入部位は、kappa/λ軽鎖定常領域軽鎖の第110位、第111位、第142位、IgG抗体重鎖定常領域重鎖の第254位、第255位、第258位、第259位、第354位、第355位、第357位、第378位、第379位、第386位、第387位、第410位から選択される1つ又は複数の部位を含む、システイン改変抗体
【請求項2】
システイン挿入部位のアミノ酸配列は、
LC-110ins:EIKRTCVAAPS(配列番号:45)
LC-111ins:IKRTVCAAPSV(配列番号:46)
LC-142ins:NNFYPCREAKV(配列番号:47)
HC-254ins:ISRTPCEVTCV(配列番号:48)
HC-255ins:SRTPECVTCVV(配列番号:49)
HC-258ins:PEVTCCVVVDV(配列番号:50)
HC-259ins:EVTCVCVVDVS(配列番号:51)
HC-354ins:PSRDECLTKNQ(配列番号:52)
HC-355ins:SRDELCTKNQV(配列番号:53)
HC-357ins:DELTKCNQVSL(配列番号:54)
HC-378ins:IAVEWCESNGQ(配列番号:55)
HC-379ins:AVEWECSNGQP(配列番号:56)
HC-386ins:GQPENCNYKTT(配列番号:57)
HC-387ins:QPENNCYKTTP(配列番号:58)
HC-410ins:KLTVDCKSRWQ(配列番号:59)
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のシステイン改変抗体
【請求項3】
前記抗体軽鎖は、kappa又はλアイソタイプを含む、請求項1に記載のシステイン改変抗体
【請求項4】
前記抗体重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプを含む、請求項1に記載のシステイン改変抗体
【請求項5】
前記挿入されたシステインは、チオール基を含む、請求項1に記載のシステイン改変抗体
【請求項6】
チオール基は、化学的に結合することができる、請求項に記載のシステイン改変抗体
【請求項7】
請求項1に記載のシステイン改変抗体の製造方法であって、
マスキングされたチオール基及びマスキング基を有するマスキングされたシステインを含むシステイン改変抗体を還元し、
還元剤でマスキングされたシステインからマスキング基を除去し、遊離マスキング基、及びチオール基を有するマスキングされていないシステインを含む還元された抗体を形成し、
陽イオン交換クロマトグラフィー又は限外濾過により、遊離マスキング基及び過剰の還元剤を除去し、
酸化剤で還元された抗体を酸化し、抗体の鎖間ジスルフィド結合を再結合させる、ことを含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、その製造方法及び使用に関し、特にシステイン改変抗体-毒素複合体(TDC)、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体-毒素複合体(Antibody drug conjugate,ADC)は、標的療法のホットな分野である。米国での販売が承認されている2つの薬物であるAdcetrisとKadcylaは、優れた臨床効果を示しており、50以上のADC薬物が臨床段階の研究を行っている。本発明は、非部位特異的結合的ADCに比べ、薬物の均一性が良好で、副作用が小さい等の利点を有し、前臨床研究の結果が非部位特異的結合ADCよりもはるかに優れていることを示している新しいシステイン改変抗体-毒素複合体(TDC)を提供する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の化合物システイン改変抗体-毒素複合体(TDC)では、システイン挿入部位は、軽鎖の第110位(Kabat番号;アミノ酸配列:EIKRTCVAAPS、配列番号:45)、軽鎖の第111位(Kabat番号;アミノ酸配列:IKRTVCAAPSV、配列番号:46)、軽鎖の第142位(Kabat番号;アミノ酸配列:NNFYPCREAKV、配列番号:47)、重鎖の第254位(アミノ酸配列:ISRTPCEVTCV、配列番号:48)、重鎖の第255位(アミノ酸配列:SRTPECVTCVV、配列番号:49)、重鎖の第258位(アミノ酸配列:PEVTCCVVVDV、配列番号:50)、重鎖の第259位(アミノ酸配列:EVTCVCVVDVS、配列番号:51)、重鎖の第354位(アミノ酸配列:PSRDECLTKNQ、配列番号:52)、重鎖の第355位(アミノ酸配列:SRDELCTKNQV、配列番号:53)、重鎖の第357位(アミノ酸配列:DELTKCNQVSL、配列番号:54)、重鎖の第378位(アミノ酸配列:IAVEWCESNGQ、配列番号:55)、重鎖の第379位(アミノ酸配列:AVEWECSNGQP、配列番号:56)、重鎖の第386位(アミノ酸配列:GQPENCNYKTT、配列番号:57)、重鎖の第387位(アミノ酸配列:QPENNCYKTTP、配列番号:58)、重鎖の第410位(アミノ酸配列:KLTVDCKSRWQ、配列番号:59)のうちの1つ又は複数の挿入部位を含む。1つ又は複数の前記システイン挿入変異を含む抗体は、その親抗体の抗原との結合能力(親和力)を保持する。その軽鎖を介して挿入されたシステインのチオール基及び/又は重鎖を介して挿入されたシステインのチオール基は、payloadと抗体-毒素複合体(TDC)の部位特異的結合を行い、毒素/抗体比DARは、1.6-2.0又は3.2-4.0である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】実施例16の結果図である。
図2】実施例16の結果図である。
図3】実施例16の結果図である。
図4】実施例17の結果図である。
図5】実施例17の結果図である。
図6】実施例17の結果図である。
図7】実施例17の結果図である。
図8】実施例18の結果図である。
図9】実施例18の結果図である。
図10】実施例18の結果図である。
図11】実施例18の結果図である。
図12】実施例18の結果図である。
図13】実施例19の結果図である。
図14】実施例19の結果図である。
図15】実施例20の結果図である。
図16】実施例20の結果図である。
図17】実施例20の結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
実施例
実施例1:mcの合成
【化1】
30ml氷酢酸に6-アミノカプロン酸3.9g(0.03mol)及び1.2eqの無水マレイン酸3.5g(0.036mol)を加えた。反応液を120℃で4~6時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、加熱を停止させ、室温まで自然に冷却した。60℃で減圧濃縮してほとんどの酢酸を除去した。得られた黄褐色粘稠液を水に入れ、さらに酢酸エチル20ml×3を加えて抽出し、有機層を合わせた。有機層を順に水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して黄褐色油状物を得、50ml水を加えて撹拌し、類白色固体が析出した後、濾過し、50℃で減圧乾燥させ、目的製品5.08gを得た。収率は80%であった。mp:89-92℃。m/z:212.2[M+H]+。1HNMR(400Mz,DMSO):13.21(br,1H,COOH)、6.75(s,2H,COCH=CHCO)、3.63(t,2H,J=7.2Hz,NCH2CH2)、2.42(t,2H,J=7.4Hz,CH2COOH)、1.52-1.68(m,4H,NCH2CH2CH2CH2)、1.30-1.42(m,2H,NCH2CH2CH2CH2)。
【0006】
実施例2:Mc-OSuの合成
【化2】
窒素ガスの保護下で50mlアセトニトリルに4.7g(22mmol)MC及び25g(22mmol)HOSuを加えた。4.5g(22mmol)DCCを25mlアセトニトリルに溶解し、内温を約0℃に保持しながら反応液にゆっくりと滴下した。反応液を0℃で2時間反応させた後、室温で一晩反応させた。濾過し、濾過ケーキをアセトニトリル10ml×3で洗浄し、濾液を減圧濃縮して乾燥させた。得られた油状物を室温で6時間減圧乾燥させ、淡褐色固体6.4gを得た。収率は95%であった。生成物を精製せずにそのまま次の反応に用いた。
m/z:309.2[M+H]+。1HNMR(400Mz,CDCl3):1~2(m,6H,CCH2CH2CH2C)、2.68(t,2H,CH2CO),2.95(s,4H,COCH2CH2CO)、3.68(t,2H,CH2N)、6.81(s,2H,CH=CH)。
【0007】
実施例3:Fmoc-Val-OSuの合成
【化3】
100mlTHFに10gのFmoc-Val及び3.4gのHOSuを加えた。6gのDCCを50mlアセトニトリルに溶解し、内温を約0℃に保持しながら反応液にゆっくりと滴下した。反応液を室温で24時間撹拌しながら反応させた。濾過し、濾過ケーキをTHFで洗浄し、濾液を減圧濃縮し、透明油状物を得た。油状物を精製せずにそのまま次の反応に用いた。m/z:437.4[M+H]+
【0008】
実施例4:Fmoc-vcの合成
【化4】
20mlTHFに4.0g(1.05eq)のCit及び炭酸水素ナトリウムの水溶液60ml(NaHCO 2g,1.05eq)を加えた。22.35mmolのFmoc-Val-OSuを60mlDMEに溶解し、さらに反応液に加えた。反応液を室温下で24時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、反応系に15%クエン酸水溶液110mlを加え、EAで2回抽出し、有機層を合わせ、減圧濃縮して白色固体を得た。白色固体にメチルtert-ブチルエーテル100mlを加え、撹拌し、濾過し、濾過ケーキを40℃で4時間減圧乾燥させ、製品4.83gを得た。収率は65%であった。m/z:497.6(M+H)+。1HNMR(400Mz,DMSO):0.92(6H,m)、1.35~1.65(4H,m)、2.10(1H,m)、3.01(2H,q)、3.99(1H,t)、4.01-4.45(2H,m)、4.45(2H,t)、5.46(2H,br)、6.03(1H,t)、7.20-8.02(8H,m)、8.25(1H,d)。
【0009】
実施例5:Fmoc-vc-PABOHの合成
【化5】
反応フラスコにDCM/MeOH=2/1混合溶媒60mlを加え、さらに2g(4.2mmol)のFmoc-vc及び1.04g(2eq)のPABOHを加え、撹拌して一部を溶解した後、2.0g(2eq)のEEDQを加えた。反応系を室温の条件下で暗所で2.0日間撹拌しながら反応させた。反応終了後、40℃で減圧濃縮し、白色固体を得た。白色固体を収集し、メチルtert-ブチルエーテル100mlを加え、撹拌し、濾過し、濾過ケーキをメチルtert-ブチルエーテルで洗浄し、得られた白色固体を40℃で減圧乾燥させ、製品2.2gを得た。収率は約88%であった。m/z:602.6(M+H)+。1HNMR(400Mz,DMSO):0.95(6H,m)、1.45~1.69(4H,m)、2.10(1H,m)、3.11(2H,m)、3.99(1H,m)、4.30(2H,d)、4.05~-4.66(2H,m)、4.55(2H,d)、5.21(1H,t)、5.51(2H,br)、6.11(1H,t)、7.09-8.10(12H,m)、8.21(1H,d)、10.51(1H,br)。
【0010】
実施例6:vc-PABOHの合成
【化6】
10mlNMPに490mg(0.815mmol)のFmoc-vc-PABOHを加え、撹拌して溶解させ、さらにジエチルアミン2mlを加えた。室温下で24時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、40℃で減圧濃縮し、得られた油状物に20mlDCMを加え、撹拌して晶析させ、濾過し、濾過ケーキをDCMで洗浄し、得られた固体を減圧乾燥し、製品277mgを得た。収率は90%であった。m/z:380.2(M+H)+。1HNMR(400Mz,DMSO):0.89(6H,m),1.31~1.61(4H,m),1.82(1H,m),2.86(1H,m),2.89(2H,d),4.38(2H,d),4.44(1H,m),5.01(1H,br),5.35(2H,br),5.84(1H,br),7.14(2H,d),7.42(2H,d),8.08(1H,br),9.88(1H,br)。
【0011】
実施例7:mc-vc-PABOHの合成
【化7】
10mlNMPに205mg(0.54mmol)のvc-PABOH及び184mg(1.1eq)のMC-OSuを加え、その後、室温で24時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、40℃で減圧濃縮し、得られた油状物に20mlメチルtert-ブチルエーテルを加え、撹拌して晶析させた。濾過し、濾過ケーキをメチルtert-ブチルエーテルで洗浄し、製品310mgを得た。収率は100%であった。m/z:573.3(M+H)+。1HNMR(400Mz,DMSO):0.89(6H,m)、1.15-1.99(10H,m)、2.11(1H,m)、2.31(2H,t)、3.21(2H,m)、3.53(2H,t)、4.32(1H,t)、4.51(1H,m)、4.59(2H,br)、5.24(1H,br)、5.56(2H,br)、6.20(1H,br)、7.12(2H,s)、7.23(2H,d),7.58(2H,d)、7.94(1H,d),8.17(1H,d)、10.21(1H,br)。
【0012】
実施例8:mc-vc-PAB-PNPの合成
【化8】
窒素ガスの保護下で168.6mg(0.294mmol)のmc-vc-PABOHを5ml無水ピリジンに溶解し、反応系を約0℃に冷却した。PNP179mg(3eq)を5mlDCMに溶解し、それを反応系にゆっくりと加えた。約0℃に10分間保持した後、氷浴を取り外し、室温で3時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、70mlのEA及び100mlの15%クエン酸水溶液を加え、有機層を分取した。有機層を順にクエン酸、水、飽和食塩水で洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、淡黄色油状物を得、メチルtert-ブチルエーテルで晶析させ、類白色固体86mgを得た。収率は40%であった。m/z:738(M+H)+。1HNMR(400Mz,CDCl3/CD3OD):0.84(6H,m)、1.11-1.84(10H,m)、2.05(1H,m)、2.15(2H,t)、3.09(2H,m)、3.32(2H,t)、4.12(1H,m)、4.38(1H,m)、5.15(2H,s)、6.61(2H,s)、6.84(1H,d),7.61(1H,d)、7.21(2H,d),7.50(2H,d)、7.61(2H,d),8.18(2H,d)、9.59(1H,br)。
【0013】
実施例9:mc-vc-PAB-MMAEの合成
【化9】
2mlDMFに20mgのmc-vc-PAB-PNP(1.5eq)及び3mgのHOBTを加えた。室温でしばらく撹拌した後、13mgのMMAE、0.5mlのピリジン、25ulのDIEAを加えた。反応液を室温で2日間撹拌しながら反応させた。反応終了後、反応液をそのまま分取カラムで精製し、必要な成分を収集した後、濃縮して凍結乾燥させ、約10mg製品を得た。収率は約42%であった。m/z:1317.1(M+H)+。
【0014】
実施例10:mc-vc-PAB-MMAFの合成
【化10】
実施例9と同様にして約12.5mgのmc-vc-PAB-MMAFを得た。収率は45.2%であった。m/z:1345.7(M+H)+
【0015】
実施例11:mc-vc-PAB-PBDの合成
【化11】
実施例9と同様にして約9.5mgのmc-vc-PAB-PBDを得た。収率は32.5%であった。m/z:1325.4(M+H)+
【0016】
実施例12:mc-vc-PAB-DOXの合成
【化12】
実施例9と同様にして約11.2mgのmc-vc-PAB-DOXを得た。収率は38.9%であった。m/z:1143.2(M+H)+
【0017】
実施例13:mc-vc-PAB-SN-38の合成
【化13】
100mgの10-O-Boc-SN-38を10ml乾燥ジクロロメタンで溶解させた後、25.6mg(1eq)DMAPを加え、0℃でトリホスゲンのジクロロメタン溶液(62mgトリホスゲンを2mlジクロロメタンで溶解させたもの)を滴下し、その後、引き続き0℃で2時間反応させ、減圧でジクロロメタンを除去し、10ml乾燥DMFで溶解させた後、144mgのmc-vc-PABOHを加え、室温で24時間撹拌し、分取液体クロマトグラフィーにより分離して41mgのmc-vc-PAB-SN-38を得た。二段階の総収率は19.7%であった。m/z:1063.2(M+H)+
【0018】
実施例14:2A1-HC-Cys254ins抗体の発現及び精製
FreestyleTM 293-F(Invitrogen)懸濁細胞を用いて2A1-HC-Cys254ins抗体を発現した。トランスフェクションの前日、6×10個/mLの密度で細胞を300mLのF17完全培地(FreestyleTM F17発現培地、Gibco社)を含む1L振盪フラスコに接種し、37℃、5%CO、120rpmの条件下で細胞培養用シェーカーで一晩培養した。翌日にPEIで抗体発現プラスミドのトランスフェクションを行った(プラスミド:PEI=2:1)。トランスフェクションの翌日に、2.5%(v/v)でTN1フィード培地を加え、引き続き4日間培養した後、遠心分離し、上清を収集した。
【0019】
収集された細胞発現上清をProtein Aアフィニティークロマトグラフィー用カラム(Mabselect Sure LX,GE社)を通し、0.1Mクエン酸(pH3.0)で溶離し、捕捉された抗体を1M Tris-HCl(pH9.0)により1/10(v/v)でpH7.0に調節し、さらにゲルろ過クロマトグラフィーカラムSEC(Superdex 200,GE社)により多量体及びエンドトキシンなどの不純物を除去し、抗体緩衝液をPBS(pH7.4)に交換し、UV280nmの目標ピークサンプルを収集し、限外濾過用遠沈管(30KD,Pall社)を通して2mg/mlに濃縮した。
この方法で得られた2A1-HC-Cys254ins抗体の濃度は2mg/mlであり、目的抗体モノマー(POI%)は90%を超えた。次の実験に用いた。
【0020】
実施例15:2A1-HC-Cys357ins抗体とmc-vc-PAB-MMAEを結合することで2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE TDCサンプルを製造する。
細胞で発現した2A1-HC-Cys357ins(配列番号:34)抗体をMabselect Sureにより精製し、低pHで溶離した直後、Tris溶液を加えて中和し、pH7.5のTris-HCl緩衝液に交換した。化合物mc-vc-PAB-MMAEは白色粉末であり、DMAに溶解して使用まで保存した。変異システイン残基上のマスキング基を除去するために、抗体を還元する必要がある。40倍の分子比で1MのDTT水溶液を2A1-HC-Cys357ins抗体溶液に加え、均一に混合した後、20℃で2時間反応させた。その後、サンプルのpHを5.0に調整し、SP Sepharose F.F.陽イオン交換クロマトグラフィーによりサンプル中のDTT及びマスキング基を除去した。その後、20倍の分子比でDHAA溶液をサンプルに加え、25℃で暗所で4時間反応させ、抗体鎖間ジスルフィド結合を再結合させた。そして、mc-vc-PAB-MMAE溶液を加え、mc-vc-PAB-MMAEと抗体変異システインを結合させ、均一に混合した後、25℃で2時間反応させた。反応終了後にSP Sepharose F.F.陽イオン交換クロマトグラフィーにより抗体分子に結合されていないmc-vc-PAB-MMAEを除去し、2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE TDCサンプルを得た。
【0021】
実施例16:HIC-HPLCによる毒素/抗体比DARの測定
高速液体疎水クロマトグラフィー方法によりTDCサンプルを分析し、対応するピーク面積に基づいてDARを計算した。具体的な方法は以下の通りである。
カラム:Proteomix(登録商標)HICBu‐NP5(5μm,4.6x35mm)
移動相:A:2M硫酸アンモニウム,0.025M、pH7のリン酸緩衝液;B:0.025M、pH7のリン酸緩衝液;C:100%イソプロパノール
緩衝液Aで平衡化し、緩衝液Bと緩衝液Cでグラジエント溶離し、25℃、214nmで検出した。
【0022】
図1A-1D:HIC-HPLCにより2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE,2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE,2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC DARをそれぞれ検出した。
【0023】
図1に基づいて計算した結果、部位特異的結合DARは1.6-1.7であり、その化合物均一性に優れている。
【0024】
表1:2A1-LC-Cys110ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-LC-Cys111ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-LC-Cys142ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC和2A1-HC-Cys254ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys255ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys258ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys259ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys354ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys355ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys379ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys386ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAE
【0025】
【表1】
表1:TDCの結合効率DAR表
【0026】
表1から分かるように、システイン挿入変異改変により部位特異的結合を行ったTDC化合物の結合効率はいずれも高かく(理論最大値2.0)、DARは1.6以上であった。
【0027】
実施例17:SEC-HPLCによるTDC抗体骨格の安定性状況及びTDCの凝集状況の検出
TDC抗体骨格サンプルを37℃で保存し、0、7、14、21日目にそれぞれSEC-HPLCによりその凝集状況を分析した。具体的な方法は以下の通りである。
カラム:TSKgel SuperSW mAb HR(7.8mm×30cm)
移動相:0.1M硫酸ナトリウム;0.1M、pH6.7のリン酸緩衝液
25℃、280nmで検出した。

【0028】
【表2】
【0029】
図2A-2Dは、2A1-HC-Cys378ins(配列番号:36)の0、7、14、21日目のSEC結果を示す。データから分かるように、サンプルは37℃で3週間保存された後に非常に安定した。
【0030】
表2:SEC-HPLCによりTDC抗体骨格2A1-HC-Cys357ins(配列番号:34)、2A1-HC-Cys387ins(配列番号:42)、2A1-HC-Cys378ins(配列番号:36)及び2A1-HC-Cys410ins(配列番号:44)の凝集状況を検出した結果、サンプルを37℃で3週間した後に、モノマーPOIの含有量はほとんど変化しなかった。
【0031】
2A1-LC-Cys110ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-LC-Cys111ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-LC-Cys142ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys254ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys255ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys258ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys259ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys354ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys355ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys379ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys386ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAE
【0032】
【表3】
表3:TDC目標モノマーの含有量
【0033】
表3から分かるように、システイン部位特異的結合によるTDC化合物の目標モノマーの含有量は90%以上であった。
【0034】
実施例18:システイン挿入変異により改変された骨格抗体及び親抗体2A1のEGFRvIIIに対する親和力
間接ELISA法により2A1-LC-Cys110ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-LC-Cys111ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-LC-Cys142ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC和2A1-HC-Cys254ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys255ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys258ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys259ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys354ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys355ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys379ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys386ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC及び2A1のEGFRvIIIに対する相対親和力を比較した。具体的な手順は以下の通りである。
【0035】
組換えEGFRvIII-His*6で培養プレートをコーティングし、魚皮ゼラチンでブロッキングし、各挿入変異抗体をそれぞれ希釈し(最高濃度10ug/ml、4倍段階希釈、合計11個の濃度)、HRPで標識された二次抗体でインキュベートし、TMBで発色させ、450nmでの吸収を検出した。検出結果についてA450-濃度で描画した。図3及び表3に示すように、システイン挿入変異を行った後の抗体は、2A1と類似した親和力を保持し、EC50値が非常に近かった。これは、2A1上の軽鎖又は重鎖挿入変異はEGFRvIII抗原との親和力に影響を与えないことを示している。
【0036】
【表4】

表4:変異抗体の親和力の測定
【0037】
図3及び表4:2A1-LC-Cys110ins(配列番号:16)、2A1-LC-Cys111ins(配列番号:18)、2A1-LC-Cys142ins(配列番号:20)、2A1-HC-Cys254ins(配列番号:22)、2A1-HC-Cys255ins(配列番号:24)、2A1-HC-Cys258ins(配列番号:26)、2A1-HC-Cys259ins(配列番号:28)、2A1-HC-Cys354ins(配列番号:30)、2A1-HC-Cys355ins(配列番号:32)、2A1-HC-Cys357ins(配列番号:34)、2A1-HC-Cys378ins(配列番号:36)、2A1-HC-Cys379ins(配列番号:38)、2A1-HC-Cys386ins(配列番号:40)、2A1-HC-Cys387ins(配列番号:42)、2A1-HC-Cys410ins(配列番号:44)抗体は、2A1と抗原EGFRvIIIとの親和力を保持する。

【0038】
実施例19:細胞毒性薬効の検出
以下の実験によりTDC細胞毒性活性を測定する。
TDCをEGFR過剰発現又はEGFRVIII発現のヒト腫瘍細胞培地に加え、細胞を72時間培養した後、細胞生存率を測定した。細胞のインビトロ実験により細胞生存率、細胞毒性及び本発明のTDC誘発性プログラム細胞死を測定した。
細胞増殖試験により抗体-毒素複合体のインビトロ薬効を測定した。CellTiter 96(登録商標)AqueousOne Solution Cell Proliferation Assayは市販品である(Promega Corp.,Madison,WI)。CellTiter 96(登録商標) AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(a)は、比色法により細胞増殖及び細胞毒性実験における生細胞の数を測定する試薬である。この試薬は、新型のテトラゾール化合物[3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxymethoxyphenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-tetrazolium,inner salt;MTS]及び電子カップリング剤(phenazine ethosulfate;PES)を含む。PESは、増強された化学安定性を有するため、MTSと混合して安定した溶液を形成することができる。このような便利な「単一溶液」の形態は、第一世代CellTiter 96(登録商標)AQueous Assayをもとに改良したものである。CellTiter 96(登録商標)AQueous Assayに用いる電子カップリング剤PMSとMTS溶液は別々に提供される。MTS(Owen's reagent)は、細胞により着色されたフォルマザン生成物に生物学的に還元され、そのまま培地に溶解することができる(図1)。この変換は、代謝が活発な細胞における脱水素酵素により生成したNADPH又はNADHの作用下で達成される可能性がある。検出の際に、少量のCellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Reagentを培養プレートウェルの培地にそのまま加え、1-4時間インキュベートした後、マイクロプレートリーダーで490nmでの吸光度値を読み取ればよい。
【0039】
490nmで検出されたフォルマザン生成物の量と培養中の生細胞の数と比例している。MTSのフォルマザン生成物が組織培地に可溶であるため、CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Assayは、MTT又はINT法に比べ、操作ステップがより少ない。
【0040】
本発明では、A431(EGFR過剰発現細胞)及びU87-EGFRVIII(EGFRVIII変異体安定細胞系)をインビトロ薬効検出の研究系として用いる。96ウェルプレートには、細胞を6000/ウェルで接種し、24時間後、抗体を投与した。A431及びU87-EGFRvIIIに対応する投与濃度は200nM-10pM(4倍希釈)であり、U87-EGFRVIIIに対する投与濃度は500nM-30pMであった。処理した72時間後に、MTSにより細胞活性を検出した。
【0041】
図4A-4B:EGFRwt過剰発現のヒト皮膚扁平上皮がん細胞A431及びEFGRvIII過剰発現のヒト神経膠腫細胞株U87-EGFRvIIIに対する2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE,2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE,2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAEのIC50の検出結果。
【0042】
【表5】
表5:EGFRwt過剰発現細胞系A431及びEGFRvIII発現安定性株U87-EGFRVIIIに対するTDCの細胞毒性IC50の検出結果
【0043】
表5の結果から分かるように、2A1-LC-Cys110ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-LC-Cys111ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-LC-Cys142ins-mc-vc-PAB-MMAE TDCと、2A1-HC-Cys254ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys255ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys258ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys259ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys354ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys355ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys379ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys386ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAE TDCは、EGFRwt過剰発現細胞系A431及びEGFRvIII発現安定性株U87-EGFRVIIIに対する細胞毒性活性に相当するものを有している。
【0044】
本発明は、実施例に開示の実施形態の範囲に限定されず、これらの実施例は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、機能的に同等の任意の実施形態は、全て本発明の範囲に含まれる。本明細書に示され、説明されているものに加えて、本発明の様々な変形も当業者にとって自明なものであり、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0045】
実施例20:血漿安定性の検出
所定量のTDCサンプルをヒトIgGが除去されたヒト血漿に加え、各TDCについて3チューブずつ準備し、37℃の水浴でインキュベートし、それぞれ0時間、24時間、96時間インキュベートした後、TDCサンプルを取り出し、各チューブにProteinA(MabSelect SuReTM LX Lot:#10221479 GE、PBS洗浄済み)100ulを加え、縦型混合器で2時間振盪しながら吸着させ、洗浄、溶離した後、インキュベートされたTDCを得た。所定時間インキュベートされたTDCサンプルをHIC-HPLC及びRP-HPLCにより検出し、サンプルの血漿安定性を判定した。
【0046】
図5A-5D:2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC、2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC 2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE TDC HIC-HPLCの血漿安定性検出結果から分かるように、いずれも良好な血漿安定性を有する。
【0047】
【表6】

表6:TDC血漿安定性の検出結果
【0048】
実施例21:担癌マウスの薬効検出
ヒト膵臓腺がん細胞BxPC3のヌードマウス皮下移植腫瘍モデルを構築し、2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE等のTDC結合薬物のインビボ薬効を評価した。5×10でA431細胞を4~6週齢のBALB/cヌードマウスの背中に皮下注射し、マウス腫瘍の平均サイズが約150~200mmまで増殖した後、6匹/群でランダムに群分けした。1日目に、2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE(2A1-HC-Cys357ins TDC)、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAE(2A1-HC-Cys410ins TDC、2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE(2A1-HC-Cys387insTDC)、2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE(2A1-HC-Cys378insTDC)を5mg/kgの用量で尾静脈に単回投与した(図6)。テータは、測定時の腫瘍平均体積±SEを示す。

【0049】
図6:2A1-HC-Cys357ins-mc-vc-PAB-MMAE(2A1-HC-Cys357ins TDC)、2A1-HC-Cys410ins-mc-vc-PAB-MMAE(2A1-HC-Cys410ins TDC、2A1-HC-Cys387ins-mc-vc-PAB-MMAE(2A1-HC-Cys387insTDC)、2A1-HC-Cys378ins-mc-vc-PAB-MMAE(2A1-HC-Cys378insTDC)を5mg/kgの用量で尾静脈に単回投与した結果、抗腫瘍効果が顕著である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
0007549631000001.xml