(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】シリコーン含有ポリマーを含む活性剤含有層及びシリコーンゲル接着剤を含む皮膚接触層を含む経皮治療システム
(51)【国際特許分類】
A61K 9/70 20060101AFI20240904BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240904BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240904BHJP
A61K 31/27 20060101ALI20240904BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20240904BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240904BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20240904BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
A61K9/70 401
A61K47/34
A61K47/32
A61K31/27
A61K31/485
A61P25/28
A61P25/36
A61P25/04
(21)【出願番号】P 2022500858
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2020069270
(87)【国際公開番号】W WO2021005117
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・エムゲンブロイフ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・クラッフェンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ニコ・ロイム
(72)【発明者】
【氏名】ガーブリエル・ヴァウアー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・モーア
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・シュリューター
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ヴェルナー・ヴォルフ
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-502419(JP,A)
【文献】特表2015-530375(JP,A)
【文献】特表2018-511662(JP,A)
【文献】特開2013-139554(JP,A)
【文献】特表2016-507598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 31/00- 33/44
A61P 1/00- 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムであって、前記活性剤含有層構造が、
A)裏地層と、
B)少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む活性剤含有層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
前記皮膚接触層が、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、前記接着剤層は前記活性剤含有層に直接的に付着さ
れており、
前記活性剤が、リバスチグミンまたはブプレノルフィンである、前記経皮治療システム。
【請求項2】
前記活性剤含有層が、
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマーであって
、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10の重量比で含む、前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、または
-シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、前記シリコーン系ポリマーが、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて少なくとも20重量%の量で存在する、前記ポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びシリコーン系ポリマーを含むポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンド、を含む、請求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
前記アクリルポリマーが、アクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t-オクチルアクリルアミド、及び酢酸ビニルから選択される1つ以上のモノマーか
ら得られる、請求項2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
前記シリコーン系ポリマーが、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシ
リケート樹脂との重縮合によって得
られる、請求項2または3に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、シリコーンポリマー、シリコーン樹脂、及びアクリルポリマーの反応生成物を含み、前記アクリルポリマーが、共有結合によって自己架橋され、前記シリコーンポリマー及び/または前記シリコーン樹脂に共有結合される、請求項2~4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む、シリコーン含有感圧接着組成物、から得
られるシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である、請求項2~4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む、シリコーン含有感圧接着組成物と、
(b)エチレン性不飽和モノマーと、
(c)反応開始剤と、の反応生成物を含む、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である、請求項2~4、または6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む前記シリコーン含有感圧接着組成物が、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む、シリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含む、請求項6または7に記載の経皮治療システム。
【請求項9】
前記エチレン性不飽和モノマーが、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記化合物の各々が、アルキルラジカル中に最大20個の炭素原子を
有する、請求項7または8に記載の経皮治療システム。
【請求項10】
前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、連続したシリコーン外部相及び不連続なアクリル内部相、または連続したアクリル外部相及び不連続なシリコーン内部相を含有する、請求項2~9のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項11】
前記シリコーンゲル接着剤が、(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、(ii)ケイ素結合水素原子を含有する少なくとも1つのオルガノシロキサンと、(iii)SiH基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、を含むゲル生成組成物を反応させることによって得
られる、請求項1~10のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項12】
前記シリコーンゲル接着剤が、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得
られる、請求項1~11のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項13】
前記シリコーンゲル接着剤が、約2~約45重量%の少なくとも1つのヒドロキシル置換シリケート樹脂を含有する、シリケート樹脂増強化シリコーンゲル接着剤である、請求項1~12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項14】
前記経皮治療システムが、剥離ライナーをさらに含む、請求項1~
13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項15】
治療方法における使用のためのものであり、前記経皮治療システムが
、前記患者の皮膚に、少なくとも24時間、または少なくとも72時間適用される、請求項1~
14のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項16】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の経皮治療システムにおける使用のための活性剤含有層構造を製造するためのプロセスであって、
1.1)
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーン含有ポリマー、
を含むコーティング組成物を、第1の箔にコーティングするステップと、
1.2)前記コーティングしたコーティング組成物を乾燥させて、前記活性剤含有層を形成するステップと、
1.3)前記活性剤含有層を裏地層と積層するステップと、
2.1)
(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、
(ii)ケイ素結合水素原子を含有する、少なくとも1つのオルガノシロキサンと、
(iii)SiH基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、
を含むゲル生成組成物を第2の箔上にコーティングするステップと、
2.2)前記ゲル生成組成物を、50℃~150℃の温度で、またはUV光を適用することによって架橋して、前記皮膚接触層を形成するステップと、
2.3)前記皮膚接触層を剥離ライナーと積層するステップと、
3.1)前記活性剤含有層及び前記皮膚接触層から前記箔を除去するステップと、
3.2)前記活性剤含有層の開放面を前記皮膚接触層の開放面に積層して、活性剤含有層構造を得るステップと、を
含み、
前記活性剤が、リバスチグミンまたはブプレノルフィンである、前記プロセス。
【請求項17】
前記アクリルポリマーが、エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び酢酸ビニルから選択される1つ以上のモノマーから得られる、請求項3に記載の経皮治療システム。
【請求項18】
前記エチレン性不飽和モノマーが、2-エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレートの組み合わせであって、40:60~70:30の比である、請求項9に記載の経皮治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性剤の全身循環への経皮投与のための経皮治療システム(TTS)であって、シリコーン含有ポリマーを含む活性剤含有層と、シリコーンゲル接着剤を含む皮膚接触層と、を含むTTS、その製造プロセス、治療方法、及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野において、経皮治療システム(TTS)は、接着剤層によっては皮膚刺激を引き起こし得ることが知られている。
【0003】
シリコーンゲル接着剤(SGA)は、特許文献1に記載されており、活性剤含有層の上に重ねる、シリコーンゲル接着剤をベースとする活性物質無含有皮膚接触層を使用することによってこの問題に対処して、2つの異なる接着剤層を有するシステムを得る。さらに、特許文献2は、裏地基材、活性物質含有層、支持基材、及びシリコーンゲル接着剤をベースとする活性物質無含有皮膚接触層を含むシステムを記載している。
【0004】
しかしながら、当技術分野で説明されるシステムは、異なる接着剤層の間、または接着剤層と支持基剤の間、のいずれかの不安定な接続の観点において、欠点を有することが認められている。
【0005】
例えば、アクリレートポリマーをベースとするリバスチグミン含有層、及びシリコーンポリマーをベースとする皮膚接触層を含む市販のリバスチグミン含有TTS Exelon(登録商標)が、シリコーンゲル接着剤をベースとする皮膚接触層を使用することによって変更される場合、リバスチグミン含有層と皮膚接触層との間の不安定な接続から問題が生じることが認められている。特に、TTSは、剥離ライナーの除去時に損傷する可能性があることが認められている。
【0006】
したがって、皮膚刺激の問題を克服し、それにもかかわらず、活性剤安定性ならびに放出及び接着性に関して有利な特性を有する、活性剤の経皮送達のためのTTSを提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2011/022199A2
【文献】WO2014/028049A1
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、従来技術で報告されているシステムと比較して改善される、活性剤の経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、皮膚刺激の問題を低減する、活性剤の経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、高い機械的安定性を有する、活性剤の経皮投与のためのTTSを提供することである。特に、TTSの層が、剥離ライナーの除去時に一緒に粘着し、TTSの損傷を回避できることが、本発明の目的である。
【0011】
本発明のさらなる目的は、複雑な構造を避ける、活性剤の経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、適切な薬物送達特性、及び治療上有効である活性剤の血漿濃度を提供する、活性剤の経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、少なくとも24時間または少なくとも72時間の投与のために必要とされる接着特性を有する、活性剤の経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、治療方法において使用することができる、活性剤の経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0015】
驚くべきことに、これらの目的及び他の目的のうちの少なくとも1つが、本発明によって達成されることが認められており、一態様によれば、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のためのTTSに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む活性剤含有層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着される。
【0016】
本発明によるTTSは、シリコーンゲル接着剤をベースとする皮膚接触層を含み、それは少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む活性剤含有層に直接的に付着されており、皮膚刺激の低減に関して有利な特性を有するが、同時に、システムからの剥離ライナーの除去時の潜在的な損傷に関して高い安定性を有することが認められている。特に、シリコーン含有ポリマーの含有量は、TTSの安定性において決定的であることが認められている。
【0017】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである。シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びシリコーン系ポリマーに関するさらなる詳細は、以下で提供される。本発明の文脈において特に好ましいのは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーである。
【0018】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、活性剤含有層に、活性剤含有層の総重量に基づいて、20~90重量%、好ましくは60~90重量%の量で存在する。
【0019】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、活性剤含有層に、活性剤含有層の総重量に基づいて、5~25重量%、好ましくは8~22重量%の量で存在する。
【0020】
別の好ましい実施形態では、活性剤含有層は、活性剤含有マトリックス層である。
【0021】
したがって、特定の一態様によれば、本発明は、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)活性剤含有マトリックス層の総重量に基づいて各々の場合に、活性剤を5~25重量%の量、及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを20~90重量%の量で含む、活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着されており、
シリコーンゲル接着剤は、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる。
【0022】
別の特定の態様によれば、本発明は、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)活性剤含有マトリックス層の総重量に基づいて各々の場合に、活性剤を8~22重量%の量、及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを60~90重量%の量で含む、活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着されており、
シリコーンゲル接着剤は、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる。
【0023】
本発明の文脈における好ましい活性剤は、ブプレノルフィン及びリバスチグミンである。少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーである。
【0024】
さらなる態様では、本発明は、治療方法における使用のための本明細書に記載のTTSに関するものであり、経皮治療システムは、好ましくは、患者の皮膚に、少なくとも24時間または少なくとも72時間適用される。
【0025】
なおさらに別の態様では、本発明は、本発明による経皮治療システムにおける使用のための活性剤含有層構造を製造するためのプロセスに関するものであり、
1.1)
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーン含有ポリマー、
を含むコーティング組成物を、第1の箔にコーティングするステップと、
1.2)コーティングしたコーティング組成物を乾燥させて、活性剤含有層を形成するステップと、
1.3)活性剤含有層を裏地層と積層するステップと、
2.1)
(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、
(ii)ケイ素結合水素原子を含有する、少なくとも1つのオルガノシロキサンと、
(iii)SiH基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、を含むゲル生成組成物を第2の箔上にコーティングするステップと、
2.2)ゲル生成組成物を、50℃~150℃の温度で、またはUV光を適用することによって架橋して、皮膚接触層を形成するステップと、
2.3)皮膚接触層を剥離ライナーと積層するステップと、
3.1)活性剤含有層及び皮膚接触層から箔を除去するステップと、
3.2)活性剤含有層の開放面を皮膚接触層の開放面に積層して、活性剤含有層構造を得るステップと、を含む。
【0026】
ステップ1.1)~1.3)は、活性剤含有層の調製のためのものであり、一方、ステップ2.1)~2.3)は、皮膚接触層の調製のためのものであり、そして一方、ステップ3.1)~3.2)は、前に調製された2つの層を含む活性剤含有層構造の調製のためのものであることを理解されたい。活性剤含有層の調製及び皮膚接触層の調製は、任意の順序で行われ得、すなわち、皮膚接触層は、活性剤含有層が調製される前に調製され得、またはその逆であり得ることを理解されたい。さらに、活性剤含有層の調製及び皮膚接触層の調製は、同時に行うこともできる。2つの層が調製されると、ステップ3.1)及び3.2)が行われる。
【0027】
定義
本発明の意味の範囲内で、「経皮治療システム」(TTS)という用語は、活性剤(例えば、リバスチグミン)が経皮送達を介して全身循環に投与されるシステムを指し、任意選択的に存在する剥離ライナーを除去した後に患者の皮膚に適用され、かつ活性剤含有層構造及び任意選択的に活性剤含有層構造の上に重ねる追加の接着剤オーバーレイ中に治療有効量の活性剤を含む個々の投薬単位全体を指す。活性剤含有層構造は、剥離ライナー(取り外し可能な保護層)上に配置されてもよく、よって、TTSは、剥離ライナーをさらに含んでもよい。本発明の意味の範囲内で、「TTS」という用語は特に、経皮送達を提供するシステムを指し、例えば、イオントフォレシスまたはマイクロポレーションを介した活性物質送達を除外する。経皮治療システムは、経皮薬物送達システム(TDDS)または経皮送達システム(TDS)と称されてもよい。
【0028】
本発明の意味の範囲内で、「活性剤含有層構造」という用語は、本明細書に記載の裏地層、活性剤含有層、及び皮膚接触層を含む層構造を指す。活性剤含有層構造は、治療有効量の活性剤を含む。好ましくは、活性剤含有層構造は、活性剤含有自己接着性層構造である。
【0029】
本発明の意味の範囲内で、「治療有効量」という用語は、TTSによって患者に投与される場合、所望の薬理学的効果を提供するのに十分なTTS中の活性剤の量を指す。TTSは、通常、皮膚及び全身循環に実際に提供されるよりも多くの活性物質をシステム中に含有する。この過剰量の活性剤は、通常、TTSから全身循環への送達に十分な駆動力を提供するために必要である。
【0030】
本発明の意味の範囲内で、「活性物質」、「活性剤」などの用語、ならびに「リバスチグミン」または「ブプレノルフィン」という用語は、任意の薬学的に許容される化学的及び形態学的形態ならびに物理的状態におけるそれぞれの活性剤を指す。これらの形態には、限定されないが、遊離塩基形態/遊離酸形態、プロトン化または部分的にプロトン化された形態、脱プロトン化または部分的に脱プロトン化された形態、塩、共結晶、及び特に塩酸塩または酒石酸塩などの無機または有機の酸/塩基の付加によって形成される酸/塩基付加塩、溶媒和物、水和物、キレート、錯体など、ならびにミクロン化した、結晶性及び/または非晶質であり得る粒子の形態の活性剤、及び上記形態の任意の混合物が含まれる。活性剤は、溶媒などの媒体中に含まれる場合、溶解もしくは分散し得るか、または部分的に溶解し、部分的に分散し得る。
【0031】
活性剤がTTSの製造において特定の形態で使用されることが言及されている場合、これは、この形態の活性剤と、活性剤含有層構造の他の成分との間の相互作用、例えば、最終TTSにおける塩形成または錯体化を除外するものではない。これは、活性剤がその遊離塩基/酸形態で含まれる場合であっても、それがプロトン化もしくは部分的にプロトン化/または脱プロトン化もしくは部分的に脱プロトン化された形態または酸付加塩の形態で最終TTS中に存在してもよく、あるいはそれが塩の形態で含まれる場合、その一部は、最終TTS中に遊離塩基として存在してもよいことを意味する。別段示されない限り、特に層構造中の活性剤の量は、TTSの製造中にTTSに含まれる活性剤の量と関連し、活性剤それ自体に基づくが、その他の形態には基づかずに計算される。例えば、a)0.1mmol(25.03mgに等しい)のリバスチグミン塩基またはb)0.1mmol(40.04mgに等しい)のリバスチグミン酒石酸塩が製造中にTTSに含まれる場合、層構造中のリバスチグミンの量は、本発明の意味の範囲内で、いずれの場合も0.1mmolまたは25.03mgである。
【0032】
TTSの製造中にTTSに含まれる活性剤出発物質は、粒子の形態であり得る。活性剤は、例えば、活性剤含有層構造に、粒子の形態で、及び/または溶解されて、存在し得る。
【0033】
本発明の意味の範囲内で、「粒子」という用語は、個別の粒子を含む固体の粒子状物質を指し、その寸法はその物質と比較してごくわずかである。具体的には、粒子は、固体であり、非晶質及び結晶性の物質を含む、可塑性/変形可能な固体を含む。
【0034】
本発明の意味の範囲内で、「分散させる」という用語は、出発物質(例えば、リバスチグミン)が完全に溶解していないステップまたはステップの組み合わせを指す。本発明の意味における分散は、出発物質の溶解度(例えば、コーティング組成物中のリバスチグミンの溶解度)に応じた、出発物質の一部(例えば、リバスチグミン粒子)の溶解を含む。
【0035】
活性剤送達のためのTTSには、2つの主要な種類、すなわち、マトリックス型TTS及びリザーバ型TTSがある。マトリックス型TTS中の活性剤の放出は、活性剤自体を含むマトリックスによって主に制御される。これに対して、リザーバ型TTSは典型的には、活性剤の放出を制御する速度制御膜を必要とする。原理的には、マトリックス型TTSも速度制御膜を含有してもよい。しかしながら、マトリックス型TTSは、リザーバ型TTSと比較して、通常、速度決定膜が不要であり、膜の破断による用量ダンピングが起こり得ない点で有利である。要約すると、マトリックス型経皮治療システム(TTS)は、製造がより複雑でなく、患者による使用が容易で便利である。
【0036】
本発明の意味の範囲内で、「マトリックス型TTS」とは、活性物質がポリマー担体、すなわち、マトリックス内に均質に溶解及び/または分散しているシステムまたは構造であり、活性剤及び任意選択的に残存する成分とともにマトリックス層を形成するものを指す。かかるシステムでは、マトリックス層は、TTSからの活性剤の放出を制御する。好ましくは、マトリックス層は、他の層間の封止が必要とされないように、自己支持性となるのに十分な凝集性を有する。したがって、活性剤含有層は、本発明の一実施形態では、活性剤がポリマーマトリックス内に均質に分布した活性剤含有マトリックス層であってもよい。ある特定の実施形態では、活性剤含有マトリックス層は、一緒に積層されてもよい2つの活性剤含有マトリックス層を含んでもよい。マトリックス型TTSは、特に、活性物質が感圧接着剤マトリックス中に均質に溶解及び/または分散しているシステムを指す「接着剤中薬物」タイプのTTSの形態であり得る。これに関連して、活性剤含有マトリックス層はまた、活性剤含有感圧接着剤層または活性剤含有感圧接着剤マトリックス層と称されてもよい。ポリマーゲル内、例えばヒドロゲル内に溶解及び/または分散した活性剤を含むTTSもまた、本発明に従ってマトリックス型のものであるとみなされる。活性剤含有マトリックス層を含むTTSは、さらに、皮膚接触層も含み得ることを理解されたい。
【0037】
液体活性剤含有リザーバを有するTTSは、「リザーバ型TTS」という用語で称される。そのようなシステムでは、活性剤の放出は、好ましくは、速度制御膜によって制御される。特に、リザーバは、裏地層と速度制御膜との間に封止される。したがって、活性剤含有層は、一実施形態では、好ましくは活性剤を含む液体リザーバを含む活性剤含有リザーバ層であってもよい。さらに、リザーバ型TTSは、典型的には、皮膚接触層を追加的に含み、リザーバ層及び皮膚接触層は、速度制御膜によって分離されてもよい。リザーバ層において、活性剤は、好ましくは、エタノールもしくは水などの溶媒またはシリコーン油に溶解されている。皮膚接触層は、典型的には、接着特性を有する。
【0038】
リザーバ型TTSは、本発明の意味の範囲内で、マトリックス型のものと理解されるべきではない。しかしながら、薬物輸送及び薬物送達の概念において、均質な単相マトリックス型TTS及びリザーバ型TTSとは異なる、マトリックス型TTS及びリザーバ型TTSの混合形態であると当該技術分野で考えられているマイクロリザーバTTS(ポリマー外相中に分散した活性物質含有内相の堆積物(例えば、球体、液滴)を有する二相系)は、本発明の意味の範囲内でマトリックス型であると考えられる。マイクロリザーバ液滴のサイズは、必要とされる検出限界に応じて、10~400倍の増大係数でマイクロリザーバの写真を異なる位置で撮影することによって光学顕微鏡測定によって(例えば、カメラを含むLeica MZ16、例えば、Leica DSC320によって)決定され得る。画像分析ソフトウェアを使用することによって、マイクロリザーバのサイズが決定され得る。
【0039】
本発明の意味の範囲内で、「活性剤含有層」という用語は、活性剤を含有し、放出領域を提供する層を指す。本用語は、活性剤含有マトリックス層及び活性剤含有リザーバ層を包含する。活性剤含有層が活性剤含有マトリックス層である場合、当該層は、マトリックス型TTSに存在する。本発明によれば、追加の皮膚接触層が、接着剤層として存在する。さらに、接着剤オーバーレイが存在してもよい。皮膚接触層は、典型的には、それが活性剤を含まないように製造される。しかしながら、濃度勾配のため、活性剤は、平衡に達するまで、時間の経過とともにマトリックス層から皮膚接触層に移動する。活性剤含有層が活性剤含有リザーバ層である場合、当該層は、リザーバ型TTSに存在し、層は活性剤を液体リザーバに含む。加えて、接着特性を提供するために、皮膚接触層が存在する。皮膚接触層は、典型的には、それが活性剤を含まないように製造される。皮膚接触層が活性剤を含まない場合、活性剤は、濃度勾配のため、平衡に達するまで、時間の経過とともにリザーバ層から皮膚接触層に移動する。加えて、接着剤オーバーレイが提供されてもよい。
【0040】
本明細書で使用される場合、活性剤含有層は、好ましくは、活性剤含有マトリックス層であり、これは最終固化層と称される。好ましくは、活性剤含有マトリックス層は、本明細書に記載されるように溶媒含有コーティング組成物をコーティングし、乾燥させた後に得られる。代替的に、活性剤含有マトリックス層は、溶融コーティング及び冷却後に得られる。活性剤含有マトリックス層はまた、所望の面積重量を提供するために、同じ組成物の2つ以上のかかる固化層(例えば、乾燥または冷却した層)を積層することによって製造され得る。好ましくは、マトリックス層は、感圧接着剤マトリックス層である。任意選択で、接着剤オーバーレイが存在してもよい。
【0041】
本発明の意味の範囲内で、「感圧接着剤」(「PSA」とも略される)という用語は、特に指圧で接着し、永久的に粘着性であり、強い保持力を発揮し、残留物を残すことなく滑らかな表面から除去可能であるべき材料を指す。感圧接着剤層は、皮膚と接触したときに、「自己接着性」であり、すなわち、典型的には、皮膚への固定のためにさらなる補助が必要とされないように皮膚に接着力を提供する。本発明による「自己接着性」層構造は、追加の層の形態で提供される皮膚接触のための感圧接着剤層、すなわち、感圧接着剤皮膚接触層を含む。感圧接着剤の感圧接着特性は、使用されるポリマーまたはポリマー組成物に依存する。
【0042】
本発明の意味の範囲内で、「シリコーンアクリルハイブリッドポリマー」という用語は、シリコーン亜種及びアクリレート亜種の反復単位を含む重合生成物を指す。したがって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーン相及びアクリル相を含む。「シリコーンアクリルハイブリッド」という用語は、シリコーン系亜種及びアクリレート系亜種の単一ブレンドよりも多いブレンドを示すことが意図されている。代わりに、本用語は、一緒に重合されているシリコーン系亜種及びアクリレート系亜種を含む重合ハイブリッド種を示す。シリコーンアクリルハイブリッドポリマーはまた、アクリレート及びアクリルという用語が、一般に、本発明で使用されるハイブリッドポリマーの文脈において互換的に使用されるため、「シリコーンアクリレートハイブリッドポリマー」と称され得る。
【0043】
本発明の意味の範囲内で、「シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤」という用語は、感圧接着剤の形態におけるシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを指す。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、例えば、EP2599847及びWO2016/130408に記載されている。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤の例としては、Dow Corningによって製造されてn-ヘプタンまたは酢酸エチル中で供給されるPSAシリーズ7-6100及び7-6300(7-610X及び7-630X、X=1はn-ヘプタン系/X=2は酢酸エチル系)が挙げられる。シリコーンアクリルハイブリッドPSAが供給される溶媒に応じて、シリコーンまたはアクリル連続外部相及び対応する不連続内部相を提供するシリコーン相及びアクリル相の配置が異なることが認められた。シリコーンアクリルハイブリッドPSAがn-ヘプタンで供給される場合、組成物は、連続したシリコーン外部相及び不連続なアクリル内部相を含有する。シリコーンアクリルハイブリッドPSA組成物が酢酸エチルで供給される場合、組成物は、連続したアクリル外部相及び不連続なシリコーン内部相を含有する。
【0044】
本発明の意味の範囲内で、「アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物」という用語は、シリコーン樹脂と、シリコーンポリマーと、当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含む。アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物は、アクリレート官能性のみ、メタクリレート官能性のみ、またはアクリレート官能性及びメタクリレート官能性の両方を含むことができると理解されたい。
【0045】
本発明の意味の範囲内で、「非ハイブリッドポリマー」という用語は、ハイブリッド種を含まないポリマーと同義的に使用される。好ましくは、非ハイブリッドポリマーは、感圧接着剤(例えば、シリコーン系またはアクリレート系の感圧接着剤)である。本発明による好ましい非ハイブリッドポリマーは、「シリコーン系ポリマー」であり、本明細書で使用される場合、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンとシリケート樹脂との重縮合によって得ることができるポリマーである。
【0046】
本発明の意味の範囲内で、「シリコーン含有ポリマー」という用語は、ポリシロキサンを含有するポリマーを指す。本用語は、上記で定義されたシリコーンアクリレートハイブリッドポリマーならびにシリコーン系の非ハイブリッドポリマーを包含するが、両ポリマーがポリシロキサンを含有するためである。好ましくは、本発明によるシリコーン含有ポリマーは、以下でさらに詳細に説明されるような非硬化性ポリマーである。したがって、シリコーン含有ポリマーは、典型的には、熱溶融または溶媒に基づいたプロセスによって適用され、好ましくは、固化するためにさらなる硬化を受けない。
【0047】
本発明の意味の範囲内で、「シリコーンゲル接着剤」という用語は、シリコーンポリマーをわずかに架橋することによって形成される弾性のゼリー状物質を指す。これは、硬化時に、以下でさらに説明されるようなゲル生成組成物から調製され得る。特に、シリコーンゲル接着剤は、好ましくは、Si-H反応性基及び脂肪族不飽和基などのヒドロシリル化触媒の存在下で互いに反応する反応性基を含むポリシロキサンの硬化時に形成することが好ましい。したがって、シリコーンゲル接着剤は、硬化可能なゲル生成組成物から得られるが、本発明によるシリコーン含有ポリマーは、好ましくは非硬化性ポリマーである。したがって、シリコーンゲル接着剤は、典型的には、硬化時に固化する硬化可能なゲル生成組成物を使用することによって適用される。
【0048】
本明細書で使用される場合、活性剤含有マトリックス層は、少なくとも1つのアクリルポリマーに溶解もしくは分散した活性剤を含有するか、または少なくとも1つのアクリルポリマーに堆積物(特に液滴)の形態で分散した活性剤-溶媒混合物を形成するために溶媒に溶解した活性剤を含有する層である。好ましくは、少なくとも1つのポリマーは、ポリマーベースの感圧接着剤(例えば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤)である。本発明の意味の範囲内で、「感圧接着剤層」という用語は、フィルム上にコーティングし、溶媒を蒸発させた後、溶媒含有接着剤コーティング組成物から得られる感圧接着剤層を指す。
【0049】
本発明の意味の範囲内で、「皮膚接触層」という用語は、投与中に患者の皮膚と直接的に接触している活性剤含有層構造に含まれる層を指す。TTSが皮膚接触層を含む場合、活性剤含有層構造の他の層は、皮膚に接触せず、必ずしも自己接着特性を有さない。上記で概説されるように、活性剤含有層に付着した追加の皮膚接触層は、時間の経過とともに活性剤の一部を吸収し得る。皮膚接触層及び活性剤含有層のサイズは、通常、同延であり、放出領域に対応する。しかしながら、皮膚接触層の領域はまた、活性剤含有層の領域よりも大きくてもよい。かかる場合、放出領域は、依然として、活性剤含有層の領域を指す。
【0050】
本発明の意味の範囲内で、「面積重量」という用語は、特定の層、例えば、マトリックス層の乾燥重量を指し、g/m2で提供される。面積重量値は、製造による変動のため、±10%、好ましくは±7.5%の許容誤差となる。
【0051】
別段示されない場合、「%」は重量%(重量による%)を指す。
【0052】
本発明の意味の範囲内で、「ポリマー」という用語は、1つ以上のモノマーを重合することによって得られるいわゆる繰り返し単位からなる任意の物質を指し、1種類のモノマーからなるホモポリマー及び2種類以上のモノマーからなるコポリマーを含む。ポリマーは、線状ポリマー、星形ポリマー、櫛形ポリマー、ブラシ形ポリマー等の任意の構造のもの、コポリマーの場合には任意のモノマー配列のもの、例えば、交互、統計的、ブロックコポリマー、またはグラフトポリマーであり得る。最小分子量は、ポリマーの種類に応じて変化し、当業者に既知である。ポリマーは、例えば、2000ダルトン超、好ましくは5000ダルトン超、より好ましくは10,000ダルトン超の分子量を有し得る。これに対応して、2000ダルトン未満、好ましくは5000ダルトン未満、またはより好ましくは10,000ダルトン未満の分子量を有する化合物は、通常、オリゴマーと称される。
【0053】
本発明の意味の範囲内で、「架橋剤」という用語は、ポリマー中に含まれている官能基を架橋することができる物質を指す。
【0054】
本発明の意味の範囲内で、「接着剤オーバーレイ」という用語は、活性剤を含まず、活性剤含有構造よりも面積が大きく、かつ皮膚に接着する追加の面積を提供するが、活性剤の放出面積を提供しない自己接着性層構造を指す。それにより、TTSの全体的な接着特性が増強される。接着剤オーバーレイは、閉鎖性または非閉鎖性の特性を提供し得る裏地層及び接着剤層を含む。好ましくは、接着剤オーバーレイの裏地層は、非閉鎖特性を提供する。
【0055】
本発明の意味の範囲内で、「裏地層」という用語は、活性剤含有層を支持するか、または接着剤オーバーレイの裏地を形成する層を指す。TTSにおける少なくとも1つの裏地層、及び通常は活性剤含有層の裏地層は、保存及び投与の持続期間中、層に含有されている活性剤に対して実質的に不浸透性であり、そのため、規制要件に従って活性物質の損失または交差汚染を防止する。好ましくは、裏地層はまた、水及び水蒸気に対して実質的に不浸透性であることを意味する閉鎖性である。裏地層のための好適な材料には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル-コポリマー(EVA)、ポリウレタン、及びそれらの混合物が含まれる。よって、好適な裏地層は、例えば、PET積層体、EVA-PET積層体及びPE-PET積層体である。織布または不織布の裏地層も好適である。
【0056】
本発明によるTTSは、インビトロ皮膚透過試験で測定される特定のパラメータを特徴とし得る。
【0057】
一般に、インビトロ透過試験は、EVA膜(例えば、9%酢酸ビニル及び50μm厚、好ましくは3Mによって提供される)を用いて、受容培地としてリン酸緩衝液pH5.5または7.4(32℃、0.1%アジ化生理食塩水)によって、フランツ拡散セルで実施される。
【0058】
さらに、インビトロ透過試験は、フランツ拡散セル中で、ヒトまたは動物の皮膚を用いて、好ましくは、800μmの厚さ及び無傷の表皮を有する採皮されたヒト分層皮膚を用いて、受容培地(32℃、0.1%アジ化生理食塩水)としてリン酸緩衝液pH5.5または7.4を、受容培地が、例えば60体積%のリン酸緩衝液pH5.5、30体積%のジプロピレングリコール、及び10体積%のアセトニトリルを含有し得るように、最大40体積%の有機溶媒、例えば、エタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、ジプロピレンエングリコール、PEG400の添加、または無添加で用いて実施される。
【0059】
別段示されない場合、インビトロ透過試験は、EVA膜(9%酢酸ビニル、50μm)を用い、受容培地としてリン酸緩衝液pH5.5(32℃、0.1%アジ化生理食塩水)によって実施される。受容培地に透過した活性物質の量は、UV光度検出器を備えた検証済みのHPLC法(カラム:C18塩基及び酸非活性化した静止相を有するステンレス鋼カラム150mm×内径4.6mm、粒子サイズ3.5μm、例えばZorbax SB C18(Agilent)、カラム温度:25℃、移動相:アセトニトリル/水/TEA=20:80:0.35(v/v/v)pH3.5、流量:1.0ml/分、圧力:135bar、注入量:50μL、停止時間:8分)を使用して、試料体積を取り込むことによって定期的に検出した。受容培地は、試料体積を取り込む際に新鮮な培地で完全にまたは部分的に置き換えられ、透過した活性物質の測定された量は、最後の2つの試料採取時点の間で透過した量に関連し、それまでに透過した総量には関連しない。
【0060】
したがって、本発明の意味の範囲内で、「透過量」というパラメータは、μg/cm2で提供され、特定の経過時間での試料間隔で透過した活性物質の量に関する。例えば、上記のインビトロ透過試験において、受容培地に透過した活性物質の量は、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間で測定され、活性物質の「透過量」は、例えば、8時間~12時間の試料間隔について得ることができ、12時間での測定結果に対応し、受容培地は、8時間で完全に交換されている。
【0061】
透過量は、ある特定の時点で透過した活性物質の累積量に相当する「累積透過量」としても提供され得る。例えば、上記のインビトロ透過試験において、受容培地に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間で測定され、12時間での活性物質の「累積透過量」は、0時間~2時間、2時間~4時間、4時間~8時間、及び8時間~12時間の透過量の合計に相当する。
【0062】
本発明の意味の範囲内で、特定の経過時間での特定の試料間隔における「皮膚透過速度」というパラメータは、μg/(cm2*h)で提供され、上記のインビトロ透過試験によって測定される当該試料間隔におけるμg/cm2での透過量を、当該試料間隔の時間で除することによって計算される。例えば、上記のインビトロ透過試験において、受容培地に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間で測定され、12時間での「皮膚透過速度」は、8時間~12時間までの試料間隔における透過量を4時間で除したものとして計算される。
【0063】
「累積皮膚透過速度」は、それぞれの累積透過量から、累積透過量を経過時間で除することによって計算することができる。例えば、上記のインビトロ透過試験において、受容培地に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間で測定され、12時間での「累積皮膚透過速度」は、12時間にわたる累積透過量(上記参照のこと)を12時間で除したものとして計算される。
【0064】
本発明の意味の範囲内で、「透過量」及び「皮膚透過速度」(ならびに「累積透過量」及び「累積皮膚透過速度」)という上記パラメータは、少なくとも3回のインビトロ透過試験実験から計算された平均値を指す。別段示さない場合、これらの平均値の標準偏差(SD)は、式:
【数1】
(式中、nは、試料サイズであり、{x
1、x
2、…x
n}は、観察された値であり、
【数2】
は、観察された値の平均値である)を使用して計算される、補正された試料標準偏差を指す。
【0065】
本発明によるTTSは、インビボ臨床研究で測定される特定のパラメータを特徴とすることができる。
【0066】
本発明の意味の範囲内で、パラメータ「平均放出速度」は、活性剤がヒトの皮膚を通して全身循環に放出される、投与期間(例えば、1~7日)にわたるμg/時(μg/時間)またはmg/日での平均放出速度を指し、臨床研究における当該投与期間にわたって得られたAUCに基づく。
【0067】
本発明の意味の範囲内で、「長期間」という用語は、少なくとも、もしくは約、24時間、少なくとも、もしくは約、48時間、少なくとも、もしくは約、84時間、少なくとも、もしくは約、168時間、少なくとも、もしくは約、1日間、少なくとも、もしくは約、3.5日間、または少なくとも、もしくは約、7日間、または約24時間~約168時間もしくは1~7日間、または約24時間~約84時間もしくは1~3.5日間の期間に関する。
【0068】
継続的な薬物治療の場合、薬物投与の頻度は、好ましくは、治療有効血漿濃度を維持するように十分に高く保たれる。言い換えれば、投薬間隔とも呼ばれる2つの投薬形態投与間の間隔が、適宜に適応される必要がある。本発明の意味の範囲内で、「投薬間隔」という用語は、2つの連続するTTS投与間の期間、すなわち、TTSが患者の皮膚に適用される2つの連続する時点間の間隔を指す。適用されると、TTSは、通常、全投薬間隔にわたって患者の皮膚で維持され、投薬間隔の終了時にのみ除去され、その時点で新たなTTSが皮膚に適用される。例えば、投薬間隔が24時間または1日である場合、TTSは、患者の皮膚に適用され、24時間または1日維持される。24時間または1日後、TTSは皮膚から除去され、新しいTTSが適用される。よって、24時間または1日の投薬間隔により、24時間体制の治療において毎日のTTS交換様式が可能となる。
【0069】
本発明の意味の範囲内で、「室温」という用語は、実験が行われる実験室内で見られる修正されていない温度を指し、通常、15~35℃、好ましくは約18~25℃の範囲内である。
【0070】
本発明の意味の範囲内で、「患者」という用語は、治療の必要性を示唆する特定の症状(単数または複数)の臨床兆候を呈した対象、病態に対して防止的または予防的に治療される対象、または治療すべき病態の診断を受けた対象を指す。
【0071】
本発明の意味の範囲内で、「薬物動態パラメータ」という用語は、例えば、健常ヒト対象への活性剤含有TTS、例えば、リバスチグミン含有TTSの単回投与、複数回投与、または定常状態投与によって、臨床研究で得られる血漿曲線、例えば、Cmax、Ct、及びAUCt1~t2を説明するパラメータを指す。個々の対象の薬物動態パラメータは、算術平均及び幾何平均、例えば、平均Cmax、平均AUCt、及び平均AUCINF、ならびに追加の統計値、例えば、それぞれの標準偏差及び標準誤差、最小値、最大値、及び値のリストがランク付けされる場合に中間値(中央値)を使用して要約される。本発明の文脈において、薬物動態パラメータ、例えば、Cmax、Ct、及びAUCt1~t2は、別段示されない限り、幾何平均値を指す。臨床研究である特定のTTSについて得られた絶対平均値が研究毎にある程度異なることを除外することはできない。研究間の絶対平均値の比較を可能にするために、参照製剤、例えば、将来的には本発明に基づくいずれかの製品が、内部標準として使用され得る。前の研究と後の研究におけるそれぞれの参照製品の放出面積毎のAUCの比較を使用して補正係数を取得して、研究毎の差を考慮に入れることができる。
【0072】
本発明による臨床研究とは、医薬品規制調和国際会議(ICH)ならびに全ての適用可能な地域の良き臨床上の基準(GCP)及び規制に完全に準拠して行われた研究を指す。
【0073】
本発明の意味の範囲内で、「健常ヒト対象」という用語は、55kg~100kgの範囲の体重及び18~29.4の範囲の肥満度指数(BMI)、ならびに血圧等の正常な生理学的パラメータを有する男性または女性対象を指す。本発明の目的のための健常ヒト対象は、ICHの推奨に基づき、かつそれに従う、選択基準及び除外基準に従って選択される。
【0074】
本発明の意味の範囲内で、「対象集団」という用語は、少なくとも5名、好ましくは、少なくとも10名の個別の健常ヒト対象を指す。
【0075】
本発明の意味の範囲内で、「幾何平均」という用語は、元のスケールに逆変換された対数変換データの平均を指す。
【0076】
本発明の意味の範囲内で、「算術平均」という用語は、全ての観測値の合計を総観測数で割ったものを指す。
【0077】
本発明の意味の範囲内で、「AUC」というパラメータは、血漿濃度-時間曲線下面積に相当する。AUC値は、血液循環に吸収される活性剤の量の合計に比例し、それ故に、バイオアベイラビリティの尺度になる。
【0078】
本発明の意味の範囲内で、別段示されない限り、「AUCt1~t2」というパラメータは、(ng/mL)hで提供され、時間t1からt2までの血漿濃度-時間曲線下面積に関するものであり、線形台形法によって計算される。他の計算方法は、例えば、対数及び線形対数の台形法である。
【0079】
本発明の意味の範囲内で、「Cmax」というパラメータは、(ng/mL)で提供され、活性剤の観察された最大血漿濃度に関する。
【0080】
本発明の意味の範囲内で、「Ct」というパラメータは、(ng/mL)で提供され、時間t時点で観察された活性剤の血漿濃度に関する。
【0081】
本発明の意味の範囲内で、「tmax」というパラメータは、時間で提供され、Cmax値に到達する時点に関する。言い換えれば、tmaxは、観察された最大血漿濃度の時点である。
【0082】
本発明の意味の範囲内で、「平均血漿濃度」という用語は、(ng/mL)で提供され、各時点での活性剤、例えば、リバスチグミンの個々の血漿濃度の平均である。
【0083】
本発明の意味の範囲内で、「コーティング組成物」という用語は、裏地層または剥離ライナー上にコーティングされて乾燥時にマトリックス層を形成することができる、溶媒中のマトリックス層の全ての成分を含む組成物を指す。
【0084】
本発明の意味の範囲内で、「感圧接着剤組成物」という用語は、少なくとも溶媒(例えば、n-ヘプタンまたは酢酸エチル)と混合した感圧接着剤を指す。
【0085】
本発明の意味の範囲内で、「溶解する」という用語は、肉眼で確認できる透明でいかなる粒子も含有しない溶液を得るプロセスを指す。
【0086】
本発明の意味の範囲内で、「溶媒」という用語は、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、n-ヘプタン、トルエン、及びそれらの混合物などの揮発性有機液体である任意の液体物質を指す。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】実施例1a、1b、2a、及び2bに従って調製したTTS、ならびに比較例1(Exelon(登録商標))のリバスチグミン累積透過量を示す。
【
図2】実施例3a、3b、4a、及び4bに従って調製したTTS、ならびに比較例1(Exelon(登録商標))のリバスチグミン累積透過量を示す。
【
図3】実施例5及び比較例2に従って調製したTTSのブプレノルフィン累積透過量を示す。
【
図4】実施例6a及び6bならびに比較例3a及び3bに従って調製したTTSのブプレノルフィン累積透過量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
TTS構造
本発明は、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む活性剤含有層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着される。
【0089】
本発明によるTTSは、マトリックス型TTSまたはリザーバ型TTSであり得る。したがって、活性剤含有層は、好ましくは、マトリックス層またはリザーバ層であり得る。好ましくは、本発明によるTTSは、マトリックス型TTSであり、活性剤は、活性剤及び任意選択的にさらなる成分とともにマトリックス層を形成するポリマー担体、すなわち、マトリックス内に、均質に溶解及び/または分散される。したがって、活性剤含有層は、活性剤含有マトリックス層であることが好ましい。そのため、本発明によるTTSの好ましい実施形態では、活性剤含有層は、
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーン含有ポリマー、を含む活性剤含有マトリックス層である。
【0090】
そのため、好ましい実施形態において、本発明は、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーン含有ポリマー、を含む活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着される。
【0091】
少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、ポリシロキサンを含むハイブリッドまたは非ハイブリッドポリマーである。それは、好ましくは、熱可塑性ポリマーであり、熱溶融または溶媒をベースとしたプロセスによって適用され、通常、固化するためのさらなる硬化を受けない。好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである。これらのポリマーに関するさらなる詳細は、以下に提供される。本発明の特に好ましい実施形態では、TTSにおける少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーである。任意選択的に、さらなるポリマー、特にアクリルポリマーまたはシリコーン系ポリマー等の非ハイブリッドポリマーが、追加的に存在し得る。
【0092】
そのため、好ましい実施形態において、本発明は、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)
-活性剤、及び
-少なくとも1つの非硬化性シリコーン含有ポリマー、を含む活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着される。
【0093】
別の好ましい実施形態において、本発明は、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーンアクリルハイブリッドポリマー、を含む活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着される。
【0094】
本発明によるTTSは、皮膚接触層を含む。皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着される。したがって、本発明によるTTSは、少なくとも2つの層を含む。皮膚接触層におけるシリコーンゲル接着剤は、接着特性を備えると同時に、皮膚刺激の問題を低減する。典型的には、皮膚接触層は、活性物質無含有で製造される。しかしながら、濃度勾配のため、活性剤は、平衡に達するまで、時間の経過とともに活性剤含有層から皮膚接触層に移動し得る。
【0095】
シリコーンゲル接着剤は、シリコーンポリマーをわずかに架橋することによって形成される弾性のゼリー状物質である。これは、硬化時に、以下でさらに説明するようなゲル生成組成物から調製され得る。したがって、本発明のTTSの活性剤含有層で使用されるシリコーン含有ポリマーは、好ましくは非硬化性ポリマー、すなわち、固化する硬化反応を受けないポリマーであり、シリコーンゲル接着剤は、Si-H反応性基及び脂肪族不飽和基などの、ヒドロシリル化触媒の存在下で互いに反応する反応性基を含むシリコーンの硬化時に生成する。この点のさらなる詳細は、以下に提供される。
【0096】
そのため、好ましい実施形態において、本発明は、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)
-活性剤、及び
-少なくとも1つの非硬化性シリコーン含有ポリマー、を含む活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、それは活性剤含有層に直接的に付着されており、
シリコーンゲル接着剤は、反応性基、特にSi-H基及び脂肪族不飽和基を含む硬化可能なシリコーンから得られる。
【0097】
別の好ましい実施形態において、本発明は、活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムに関するものであり、当該活性剤含有層構造は、
A)裏地層と、
B)
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーンアクリルハイブリッドポリマー、を含む活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
皮膚接触層は、活性剤含有層に直接的に付着してされるシリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、
シリコーンゲル接着剤は、反応性基、特にSi-H基及び脂肪族不飽和基を含む硬化可能なシリコーンから得られる。
【0098】
活性剤含有層と皮膚接触層との間の優れた接着が本発明に従って達成できることが驚くべきことに認められている。これは、活性剤含有層中の(非硬化性)シリコーン含有ポリマーの含有量に起因する。それは、(非硬化性)シリコーン含有ポリマーが、活性剤含有層に少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも60重量%の量で存在する場合に効果的であるあることが認められている。好ましい実施形態では、少なくとも1つの(非硬化性)シリコーン含有ポリマーは、活性剤含有層に、活性剤含有層の総重量に基づいて、20~90重量%、好ましくは60~90重量%の量で存在する。
【0099】
シリコーン含有ポリマーがシリコーンアクリルハイブリッドポリマーである場合、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、活性剤含有層に、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも60重量%の量で存在することが好ましい。好ましい実施形態では、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、活性剤含有層に、活性剤含有層の総重量に基づいて、20~90重量%、好ましくは60~90重量%の量で存在する。
【0100】
本発明によるTTSは、治療有効量の活性剤を含有することを理解されたい。好ましい活性剤としては、リバスチグミン及びブプレノルフィンが挙げられる。好ましい実施形態では、活性剤は、活性剤含有層に、活性剤含有層の総重量に基づいて、5~25重量%、好ましくは8~22重量%の量で存在する。
【0101】
本発明によるTTSの放出面積は、1~30cm2、好ましくは2~22cm2であり得る。
【0102】
裏地層は、好ましくは、活性剤に対して実質的に不透過性である。好ましい実施形態では、裏地層は、上記で概説したように、閉塞性である。
【0103】
本発明のある特定の実施形態によれば、TTSは、接着剤オーバーレイをさらに含んでもよい。この接着剤オーバーレイは、活性剤含有構造よりも領域が特に大きく、経皮治療システム全体の接着特性を増強させるためにそれに付着される。当該接着剤オーバーレイは、裏地層及び接着剤層を含む。接着剤オーバーレイは、皮膚に接着する追加の領域を提供するが、活性剤の放出領域を追加することはない。接着剤オーバーレイは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、アクリルポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される自己接着性ポリマーまたは自己接着性ポリマー混合物を含み、これらは、リバスチグミン含有層構造に含まれる任意のポリマーまたはポリマー混合物と同一かまたは異なり得る。
【0104】
本発明による活性剤含有層構造は通常、取り外し可能な保護層(剥離ライナー)上に配置され、これは、そこから患者の皮膚の表面に適用される直前に除去される。したがって、TTSは、剥離ライナーをさらに含み得る。このように保護されたTTSは、通常、ブリスターパックまたはシーム封止パウチ内に保存される。この包装は、チャイルドレジスタンス及び/またはシニアフレンドリーであり得る。
【0105】
活性剤含有層
上記でより詳細に概説されるように、本発明によるTTSは、とりわけ、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む、活性剤含有層を含む、活性剤含有層構造を含む。
【0106】
好ましい実施形態では、活性剤含有層は、治療有効量の活性剤を含む。特に好ましい実施形態では、活性剤は、活性剤含有層に、活性剤含有層の総重量に基づいて、5~25重量%、好ましくは8~22重量%の量で存在する。好ましい活性剤としては、リバスチグミン及びブプレノルフィンが挙げられる。
【0107】
活性剤は、好ましくは、活性剤含有層内に均質に分布される。したがって、好ましい実施形態では、活性剤含有層は、活性剤含有マトリックス層である。
【0108】
シリコーン含有ポリマーは、好ましくは、少なくとも1つのポリシロキサン部分を含む非硬化性ハイブリッドまたは非ハイブリッドポリマーである。好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである。これらのポリマーに関するさらなる詳細は、以下に提供される。好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、活性剤含有層に、活性剤含有層の総重量に基づいて、20~90重量%、好ましくは60~90重量%の量で存在する。上記の重量パーセント量は、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーの総量を指すことを理解されたい。例えば、2つのシリコーン含有ポリマーが存在する場合、活性剤含有層におけるその全量は、活性剤含有層の総重量に基づいて、20~90重量%、好ましくは60~90重量%である。
【0109】
好ましい一実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーン系ポリマーであり、好ましくは、活性剤含有層の総重量に基づいて、20~90重量%、特に60~90重量%の量で存在する。別の好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーである。好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、活性剤含有層の総重量に基づいて、20~90重量%の量、特に60~90重量%の量で存在する。本発明の特に好ましい実施形態では、TTSにおける少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーであり、好ましくは、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10の重量比で含む。
【0110】
シリコーン含有ポリマーに加えて、活性剤含有層は、アクリルポリマー等の非シリコーン含有ポリマーをさらに含み得る。好ましい実施形態では、活性剤含有層は、任意選択的に、さらに少なくとも1つのアクリルポリマーを、活性剤含有層の総重量に基づいて、5~80重量%、好ましくは5~20重量%の量で含む。好ましくは、アクリルポリマーは、アクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t-オクチルアクリルアミド、及び酢酸ビニルから選択される1つ以上のモノマーから、好ましくは、エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び酢酸ビニルから選択される1つ以上のモノマーから得ることができる、
【0111】
上記の観点において、活性剤含有層は、シリコーン含有ポリマー単独、シリコーン含有ポリマーの組み合わせ、または少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーとアクリルポリマー等の少なくとも1つの非シリコーン含有ポリマーとの組み合わせ、のいずれかを含むことが好ましいことがある。好ましい実施形態では、活性剤含有層は、
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、または
-シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンド、または
-シリコーン系ポリマー及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含むポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンド、を含む。
シリコーンアクリルハイブリッドポリマーに関連して、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10、より好ましくは40:60~60:40の重量比で含むことが好ましい。シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドに関連して、シリコーン系ポリマーは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の量で、より好ましくは50~90重量%の量で存在することが好ましい。シリコーン系ポリマー及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含むポリマーブレンドに関連して、重量比は広範囲にわたって変化し得る。しかしながら、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の量で、より好ましくは50~90重量%の量で存在することが好ましい。シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドに関連して、重量比は、広範囲にわたって変化し得る。しかしながら、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の量で、より好ましくは50~90重量%の量で存在することが好ましい。
【0112】
より好ましい実施形態では、活性剤含有層は、
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマーであって、好ましくは、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10の重量比で含む、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、または
-シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、シリコーン系ポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づいて少なくとも20重量%の量で存在する、ポリマーブレンド、または
-シリコーン系ポリマー及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含むポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づいて少なくとも20重量%の量で存在する、ポリマーブレンド、を含む。
【0113】
さらに好ましい実施形態では、活性剤含有層は、
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマーであって、好ましくは、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10の重量比で含む、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、または
-シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、シリコーン系ポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づいて50~90重量%の量で存在する、ポリマーブレンド、または
-シリコーン系ポリマー及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含むポリマーブレンドであって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、50~90重量%の量で存在し、好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10の重量比で含む、ポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、50~90重量%の量で存在し、好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10の重量比で含む、ポリマーブレンド、を含む。
【0114】
さらに好ましい実施形態では、活性剤含有層は、
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマーであって、シリコーン相及びアクリレート相を60:40~40:60の重量比で含む、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、または
-シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、シリコーン系ポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、50~90重量%の量で存在する、ポリマーブレンド、または
-シリコーン系ポリマー及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含むポリマーブレンドであって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、50~90重量%の量で存在し、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、シリコーン相及びアクリレート相を60:40~40:60の重量比で含む、ポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、50~90重量%の量で存在し、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、シリコーン相及びアクリレート相を60:40~40:60の重量比で含む、ポリマーブレンド、を含む。
【0115】
本発明の一実施形態では、活性剤含有層の面積重量は、40~250g/m2、好ましくは50~200g/m2の範囲である。本発明の別の実施形態では、活性剤含有層は、50~150μmの厚さを有する。
【0116】
皮膚接触層
上記でより詳細に概説したように、本発明によるTTSは、とりわけ、皮膚接触層を含む活性剤含有層構造を含み、皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層である。皮膚接触層は、活性剤含有層に直接的に付着される。
【0117】
皮膚接触層は、典型的には、活性剤を含まずに提供される。しかしながら、濃度勾配のため、活性剤は、平衡に達するまで、時間の経過とともに活性剤含有層から皮膚接触層に移動し得る。
【0118】
皮膚接触層におけるシリコーンゲル接着剤は、接着特性、ならびにとりわけその復元性による皮膚刺激の低減において決定的である。さらに、シリコーンゲル接着剤は、活性剤の経皮送達に悪影響を及ぼさない。好ましい実施形態では、皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%の量で含む。特に好ましくは、皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤から本質的になる。
【0119】
シリコーンゲル接着剤は、いわゆるゲル生成組成物として提供されるシリコーンポリマーをわずかに架橋することによって形成される弾性のゼリー状物質である。シリコーンゲル接着剤は、一般に、そこに反応性基を有する直鎖または分岐鎖シリコーンから生成される。かかる反応性基は、硬化中に架橋反応を受ける。架橋反応の例としては、Si-H反応性基を有するシリコーンが、脂肪族不飽和反応性基を有するシリコーンと、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応するヒドロシリル化反応が挙げられる。典型的には、シリコーンゲル接着剤は、(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、(ii)ケイ素結合水素原子を含有する少なくとも1つのオルガノシロキサンと、(iii)Si-H基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、を含むゲル生成組成物を反応させることによって得ることができる。好ましくは、シリコーンゲル接着剤は、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる。これに関するさらなる詳細は、以下に提供される。
【0120】
好ましい実施形態では、皮膚接触層は、30~220μm、好ましくは40~160μmの厚さを有する。別の好ましい実施形態において、皮膚接触層は、20~120g/m2、好ましくは30~90g/m2の面積重量を有する。
【0121】
シリコーンアクリルハイブリッドポリマー
上記で示されるように、本発明によるTTSは、活性剤含有層に少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む。好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである。シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、以下にさらに詳細に説明される。
【0122】
シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、一緒に重合されているシリコーン系亜種及びアクリレート系亜種を含む重合ハイブリッド種を含む。したがって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーン相及びアクリル相を含む。シリコーン相中のポリシロキサン含有量の観点において、それは本発明の文脈におけるシリコーン含有ポリマーであると考えられる。好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である。
【0123】
シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、通常、n-ヘプタン及び酢酸エチルのような溶媒中で供給され、使用される。感圧接着剤の固形分は、通常、30%~80%である。当業者は、固形分が適切な量の溶媒を添加することによって変更され得ることを認識している。
【0124】
好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤におけるシリコーンのアクリレートに対する重量比は、5:95~95:5、または20:80~80:20、より好ましくは40:60~60:40であり、最も好ましくは、シリコーンのアクリレートに対する重量比は、約50:50である。50:50のシリコーンのアクリレートに対する重量比を有する好適なシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、例えば、市販のシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤7-6102、シリコーン/アクリレート比50/50、及び7-6302、シリコーン/アクリレート比50/50であり、Dow Corningによって酢酸エチル中で供給される。
【0125】
本発明による好ましいシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、25℃及び酢酸エチル中の約50%固形分で、好ましくは、主軸番号5を備えたBrookfield RVT粘度計を50RPMで使用して測定したとき、約400cP超、または約500cP~約3,500cP、特に約1,000cP~約3,000cP、より好ましくは約1,200cP~約1,800、または最も好ましくは約1,500cP、あるいはこれに代えて、より好ましくは約2,200cP~約2,800cP、または最も好ましくは約2,500cPの溶液粘度を特徴とする。
【0126】
これらのシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤はまた、30℃、0.1rad/秒で、8mmプレート及び0設定されたギャップを備えた、好ましくは、Rheometrics ARESレオメーターを使用して測定されたとき、約1.0e9ポアズ未満、または約1.0e5ポアズ~約9.0e8ポアズ、またはより好ましくは約9.0e5ポアズ~約1.0e7ポアズ、または最も好ましくは約4.0e6ポアズ、あるいはこれに代えて、より好ましくは約2.0e6ポアズ~約9.0e7ポアズ、または最も好ましくは約1.0e7ポアズの複素粘度を特徴とする。
【0127】
Rheometrics ARESレオメーターを使用してレオロジー挙動を測定するための試料を調製するために、2~3グラムの接着剤溶液をSCOTCH-PAK1022フルオロポリマー剥離ライナーに注ぎ、周囲条件下で60分間静置させる。接着剤の本質的に無溶媒のフィルムを達成するために、それらを110℃±10℃のオーブンに60分間配置することができる。オーブンから取り出した後、室温に平衡化させる。フィルムは剥離ライナーから取り外し、折り畳んで四角形を形成することができる。気泡を排除するために、フィルムは、Carverプレスを使用して圧縮することができる。次いで、試料は、プレート間に装填することができ、30℃で1.5±0.1mmに圧縮する。余分な接着剤はトリミングし、最終的なギャップが記録される。0.01~100rad/秒の周波数掃引は、温度=30℃、ひずみ=0.5~1%の設定で行うことができ、データは3点/10ディケードで収集される。
【0128】
市販されている好適なシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤には、Dow Corningによって製造され、n-ヘプタンまたは酢酸エチルで供給されるPSAシリーズ7-6100及び7-6300(7-610X及び7-630X、X=1はn-ヘプタン系/X=2は酢酸エチル系)が挙げられる。例えば、50/50のシリコーン/アクリレート比を有する7-6102シリコーンアクリルハイブリッドPSAは、25℃及び酢酸エチル中の50%固形分で2,500cPの溶液粘度、ならびに30℃の0.1rad/秒で1.0e7ポアズの複素粘度によって特徴付けられる。50/50のシリコーン/アクリレート比を有する7-6302シリコーンアクリルハイブリッドPSAは、25℃及び酢酸エチル中の50%固形分で1,500cPの溶液粘度、ならびに30℃の0.1rad/秒で4.0e6ポアズの複素粘度によって特徴付けられる。
【0129】
シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が供給される溶媒に応じて、シリコーンまたはアクリル連続外部相及び対応する不連続内部相を提供するシリコーン相及びアクリル相の配置が異なる。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が、n-ヘプタンで提供される場合、組成物は、連続したシリコーン外部相及び不連続なアクリル内部相を含有する。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が、酢酸エチル中で提供される場合、組成物は、連続したアクリル外部相及び不連続なシリコーン内部相を含有する。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が提供される溶媒を蒸発させた後、得られる感圧接着剤フィルムまたは層の相配置は、溶媒含有接着剤コーティング組成物の相配置に対応する。例えば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤組成物中の相配置の反転を誘発し得る任意の物質が存在しない場合、n-ヘプタン中のシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤から調製される感圧接着剤層は、連続したシリコーン外部相及び不連続なアクリル内部相を提供し、酢酸エチル中のシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤から調製される感圧接着剤層は、連続したアクリル外部相及び不連続なシリコーン内部相を提供する。組成物の相配置は、例えば、シリコーン化剥離ライナーに付着されるシリコーンアクリルハイブリッドPSA組成物から調製される感圧接着剤フィルムまたは層を用いた剥離力試験で決定することができる。感圧接着剤フィルムは、シリコーン剥離ライナーが2つのシリコーン表面のブロッキングによって、(裏地フィルムに積層された)感圧接着剤フィルムから除去することができないか、またはほとんどできない場合、連続したシリコーン外部相を含む。ブロッキングは、類似の表面エネルギーを含む2つのシリコーン層の付着から生じる。シリコーン接着剤は、シリコーン化ライナーに優れた広がりを示すため、ライナーへの優れた接着性を生み出すことができる。シリコーン化剥離ライナーを容易に除去され得る場合、感圧接着剤フィルムは、連続したアクリル外部相を含む。アクリル接着剤は、異なる表面エネルギーによって良好な広がりを有さず、したがって、シリコーン化ライナーへの接着力が低いか、またはほとんどない。
【0130】
本発明の好ましい実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物から得ることができるシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である。アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物は、アクリレート官能性のみ、メタクリレート官能性のみ、またはアクリレート官能性及びメタクリレート官能性の両方を含むことができると理解される。
【0131】
本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、(a)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、(b)エチレン性不飽和モノマーと、(c)反応開始剤と、の反応生成物を含む。すなわち、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、これらの反応物((a)、(b)、及び(c))間の化学反応の生成物である。特に、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、(a)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、(b)(メタ)アクリレートモノマーと、(c)反応開始剤(すなわち、反応開始剤の存在下で)と、の反応生成物を含む。すなわち、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、これらの反応物((a)、(b)、及び(c))間の化学反応の生成物を含む。
【0132】
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、(b)エチレン性不飽和モノマーと、(c)反応開始剤と、の反応生成物は、連続したシリコーン外部相及び不連続なアクリル内部相を含有し得るか、または(a)と、(b)と、(c)と、の反応生成物は、連続したアクリル外部相及び不連続なシリコーン内部相を含有し得る。
【0133】
アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物(a)は、典型的には、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤中に、ハイブリッド感圧接着剤の100重量分に基づいて、5~95重量分、より典型的には25~75重量分の量で存在する。
【0134】
エチレン性不飽和モノマー(b)は、典型的には、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤中に、ハイブリッド感圧接着剤の100重量分に基づいて、5~95重量分、より典型的には25~75重量分の量で存在する。
【0135】
反応開始剤(c)は、典型的には、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤中に、ハイブリッド感圧接着剤の100重量分に基づいて、0.005~3重量分、より典型的には0.01~2重量分の量で存在する。
【0136】
本発明の特定の実施形態によれば、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物(a)は、(a1)シリコーン樹脂と、(a2)シリコーンポリマーと、(a3)当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含む。シリコーン樹脂(a1)はまた、シリケート樹脂またはシリカ樹脂と称され得る。好ましくは、シリコーンポリマー(a2)は、ポリシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサンである。(a1)及び(a2)は、重縮合によってシリコーン系感圧接着剤を生成し、アクリレートまたはメタクリレート官能性は、(a3)との反応によって導入されることを理解されたい。
【0137】
本発明の特定の実施形態によれば、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物(a)は、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含み、当該シリコーン含有キャッピング剤は、一般式XYR’bSiZ3-bであり、式中、
Xは、一般式AE-の一価ラジカルであり、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価アルキレンラジカルであり、
R’は、メチルまたはフェニルラジカルであり、
Zは、一価の加水分解可能な有機ラジカルまたはハロゲンであり、
bは、0または1であり、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応して感圧接着剤を生成し、シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応する前、反応中、または反応後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を生成した後に、シリコーン含有キャッピング剤が感圧接着剤と反応するか、または
シリコーン含有キャッピング剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する。
【0138】
本発明の特定の実施形態によれば、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物は、感圧接着剤と、当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含む。すなわち、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物は、本質的に、当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤でキャッピングまたは末端ブロック化されている感圧接着剤であり、感圧接着剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーの縮合反応生成物を含む。好ましくは、シリコーン樹脂は、30~80重量分の量で反応して感圧接着剤を生成し、シリコーンポリマーは、20~70重量分の量で反応して感圧接着剤を生成する。これらの両方の分量は、感圧接着剤の100重量分に基づいている。必要とされないが、感圧接着剤は、触媒量の縮合触媒を含み得る。多種多様なシリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが、感圧接着剤を作成するのに好適である。
【0139】
本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物であって、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含み、当該シリコーン含有キャッピング剤は、一般式XYR’bSiZ3-bであり、式中、
Xは、一般式AE-の一価ラジカルであり、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価アルキレンラジカルであり、
R’は、メチルまたはフェニルラジカルであり、
Zは、一価の加水分解可能な有機ラジカルまたはハロゲンであり、
bは、0または1であり、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応して感圧接着剤を生成し、シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応する前、反応中、または反応後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を生成した後に、シリコーン含有キャッピング剤が感圧接着剤と反応するか、または
シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する、シリコーン含有感圧接着剤組成物と、
(b)エチレン性不飽和モノマーと、
(c)反応開始剤と、の反応生成物である。
【0140】
本発明で使用されるシリコーンアクリルハイブリッド組成物は、
(i)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物を提供するステップであって、
シリコーン樹脂と、
シリコーンポリマーと、
当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含み、当該シリコーン含有キャッピング剤は、一般式XYR’bSiZ3-bであり、式中、
Xは、一般式AE-の一価ラジカルであり、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価アルキレンラジカルであり、
R’は、メチルまたはフェニルラジカルであり、
Zは、一価の加水分解可能な有機ラジカルまたはハロゲンであり、
bは、0または1であり、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応して感圧接着剤を生成し、シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応する前、反応中、または反応後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を生成した後に、シリコーン含有キャッピング剤が感圧接着剤と反応するか、または
シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する、提供するステップと、
(ii)エチレン性不飽和モノマーと、ステップ(i)のアクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、を反応開始剤の存在下で重合して、任意選択的に、50℃~100℃、または65℃~90℃の温度で、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を形成するステップと、を含む方法によって調製されることで説明され得る。
【0141】
エチレン性不飽和モノマーと、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、の重合中に、アクリルに対するシリコーンの比は、所望に応じて制御及び最適化することができる。アクリルに対するシリコーンの比は、方法中及び方法の間に多種多様な機構によって制御され得る。かかるメカニズムの例証例として、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物への、エチレン性不飽和モノマー(複数可)の速度制御された添加が挙げられる。特定の適用では、シリコーン系亜種または全体的なシリコーン含有量を、アクリレート系亜種または全体的なアクリル含有量を超えて有することが望ましいものであり得る。他の適用では、逆が真であることが望ましいものであり得る。最終適用にかかわらず、上記のように、概して、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物は、シリコーンアクリルハイブリッド組成物に、好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッド組成物の100重量分に基づいて、約5~約95重量分、より好ましくは約25~約75重量分、さらにより好ましくは約40~約60重量分の量で存在する。
【0142】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明で使用されるシリコーンアクリルハイブリッド組成物は、
(i)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物を提供するステップであって、
シリコーン樹脂と、
シリコーンポリマーと、
当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含み、当該シリコーン含有キャッピング剤は、一般式XYR’bSiZ3-bであり、式中、
Xは、一般式AE-の一価ラジカルであり、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価アルキレンラジカルであり、
R’は、メチルまたはフェニルラジカルであり、
Zは、一価の加水分解可能な有機ラジカルまたはハロゲンであり、
bは、0または1であり、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応して感圧接着剤を生成し、シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応する前、反応中、または反応後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を生成した後に、シリコーン含有キャッピング剤が感圧接着剤と反応するか、または
シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する、シリコーン含有感圧接着剤組成物を提供するステップと、
(ii)エチレン性不飽和モノマーと、ステップ(i)のアクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、を第1の溶媒中で反応開始剤の存在下、50℃~100℃の温度で重合させて、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を生成するステップと、
(iii)第1の溶媒を除去するステップと、
(iv)第2の溶媒を添加して、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を生成するステップであって、シリコーンアクリルハイブリッド組成物の相配置が、第2の溶媒の選択によって選択的に制御される、生成するステップと、を含む方法によって調製されることで説明され得る。
【0143】
本発明で使用されるシリコーンアクリルハイブリッドPSA組成物もまた、
(i)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物を提供するステップであって、
シリコーン樹脂と、
シリコーンポリマーと、
当該アクリレートまたはメタクリレート官能性を提供するシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含み、当該シリコーン含有キャッピング剤は、一般式XYR’bSiZ3-bであり、式中、
Xは、一般式AE-の一価ラジカルであり、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価アルキレンラジカルであり、
R’は、メチルまたはフェニルラジカルであり、
Zは、一価の加水分解可能な有機ラジカルまたはハロゲンであり、
bは、0または1であり、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応して感圧接着剤を生成し、シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが反応する前、反応中、または反応後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を生成した後に、シリコーン含有キャッピング剤が感圧接着剤と反応するか、または
シリコーン含有キャッピング剤が、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する、シリコーン含有感圧接着剤組成物を提供するステップと、
(ii)エチレン性不飽和モノマーと、ステップ(i)のアクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、を第1の溶媒中で反応開始剤の存在下、50℃~100℃の温度で重合させて、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を生成するステップと、
(iii)処理溶媒を添加するステップであって、処理溶媒が、第1の溶媒よりも高い沸点を有する、添加するステップと、
(iv)第1の溶媒の大部分が選択的に除去されるように、70℃~150℃の温度で熱を加えるステップと、
(v)処理溶媒を除去するステップと、
(vi)第2の溶媒を添加して、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を生成するステップであって、シリコーンアクリルハイブリッド組成物の相配置が、第2の溶媒の選択によって選択的に制御される、生成するステップと、を含む方法によって調製されることで説明され得る。
【0144】
前段落によるシリコーン樹脂は、式RX
3SiO1/2のトリオルガノシロキシ単位及び式SiO4/2の四官能性シロキシ単位を含む共重合体を、各四官能性シロキシ単位についてトリオルガノシロキシ単位を0.1~0.9、好ましくは約0.6~0.9の比で含むコポリマーを含有し得る。好ましくは、各RXは、独立して、1~6個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカル、ビニル、ヒドロキシル、またはフェニル基を示す。
【0145】
前段落によるシリコーンポリマーは、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンを含み得、好ましくは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、水素化物基、ビニル基、またはそれらの混合物からなる群から選択される官能基で末端キャッピング(末端ブロック化)される。ジオルガノ置換基は、ジメチル、メチルビニル、メチルフェニル、ジフェニル、メチルエチル、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチル、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。好ましくは、ジオルガノ置換基は、メチル基のみを含む。ポリジオルガノシロキサンの分子量は、典型的には、約50,000~約1,000,000、好ましくは、約80,000~約300,000の範囲である。好ましくは、ポリジオルガノシロキサンは、末端ブロッキングTRXASiO1/2単位で終結したARXSiO単位を含み、ポリジオルガノシロキサンは、25℃で約100センチポアズ~約30,000,000センチポアズの粘度を有し、各Aラジカルは、独立して、RXまたは1~6個の炭素原子を有するハロ炭化水素ラジカルから選択され、各Tラジカルは、独立して、RX、OH、H、またはORYからなる群から選択され、各RYは、独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。
【0146】
好ましいシリコーン樹脂及び好ましいシリコーンポリマーの形態を使用する例として、1つのタイプの感圧接着剤は、
(i)ケイ素結合ヒドロキシルラジカルを含有し、RX
3SiO1/2単位及びSiO4/2単位から本質的になり、各SiO4/2単位に対して0.6~0.9RX
3SiO1/2単位のモル比である、重量で30~80含有重量分の少なくとも1つの樹脂コポリマーと、(ii)末端ブロッキングTRXASiO1/2単位で終結したARXSiO単位を含むポリジオルガノシロキサンであって、ポリジオルガノシロキサンが25℃で約100センチポアズ~約30,000,000センチポアズの粘度を有し、各RXが、1~6個の包含炭素原子の炭化水素ラジカルからなる群から選択される一価有機ラジカルであり、各Aラジカルが、独立して、RXまたは1~6個の包含炭素原子を有するハロ炭化水素ラジカルから選択され、各Tラジカルが、独立して、RX、OH、H、またはORYからなる群から独立して選択され、各RYが、独立して、1~4個の包含炭素原子のアルキルラジカルである、約20~約70重量分の少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンと、十分な量の(iiii)末端ブロッキング剤とも全体を通して称され、以下で説明され、シラノール含有量または濃度を5,000~15,000、より典型的には8,000~13,000ppmの範囲で提供する、シリコーン含有キャッピング剤のうちの少なくとも1つと、望ましい場合に追加の触媒量の(iv)(ii)によって何も提供されない事象における穏やかなシラノール縮合触媒と、必要な場合に、効果的な量の(v)(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)に対して不活性で(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の混合物の粘度を低下させ、(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の混合物を、少なくとも、シリコーン含有キャッピング剤(複数可)のほとんどの量が、(i)及び(ii)のケイ素結合ヒドロキシルラジカル及びTラジカルと反応しているまで縮合させている有機溶媒と、を混合することとによって作成される。追加のオルガノシリコーンブロッキング剤を、本発明のシリコーン含有末端キャッピング剤(複数可)(iii)と併用して使用することができる。
【0147】
前段落によるシリコーン含有キャッピング剤は、アクリレート官能性シラン、アクリレート官能性シラザン、アクリレート官能性ジシラザン、アクリレート官能性ジシロキサン、メタクリレート官能性シラン、メタクリレート官能性シラザン、メタクリレート官能性ジシラザン、メタクリレート官能性ジシロキサン、及びそれらの組み合わせの群から選択され得、一般式XYR’bSiZ3-bのものとして記載され得、式中、Xは、一般式AE-の一価ラジカルであり、Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、Yは、1~6個の炭素原子を有する二価アルキレンラジカルであり、R’は、メチルまたはフェニルラジカルであり、Zは、一価加水分解性有機ラジカルまたはハロゲンであり、bは、0、1、または2である。好ましくは、一価加水分解性有機ラジカルは、一般式R”0-のものであり、R”は、アルキレンラジカルである。最も好ましくは、この特定の末端ブロッキング剤は、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルジクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシ-プロピルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルシラザン、3-アクリロキシ-プロピルジメチルクロロシラン、3-アクリロキシプロピルジクロロシラン、3-アクリロキシプロピル-トリクロロシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-アクリロキシ-プロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピル-ジメチルシラザン、及びそれらの組み合わせの群から選択される。
【0148】
前段落によるエチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する任意のモノマーであることができる。好ましくは、前段落によるエチレン性不飽和モノマーは、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物であり得る。化合物である、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、及び脂環式メタクリレートの各々は、アルキルラジカルを含むことが理解されよう。これらの化合物のアルキルラジカルは、最大20個の炭素原子を含むことができる。エチレン性不飽和モノマーのうちの1つとして選択され得る脂肪族アクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソ-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソ-オクチルアクリレート、イソ-ノニルアクリレート、イソ-ペンチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。エチレン性不飽和モノマーのうちの1つとして選択され得る脂肪族メタクリレートは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソ-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソ-オクチルメタクリレート、イソ-ノニルメタクリレート、イソ-ペンチルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。エチレン性不飽和モノマーのうちの1つとして選択され得る脂環式アクリレートは、シクロヘキシルアクリレートであり、エチレン性不飽和モノマーのうちの1つとして選択され得る脂環式メタクリレートは、シクロヘキシルメタクリレートである。
【0149】
シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤を調製するために使用されるエチレン性不飽和モノマーは、1つを超えるエチレン性不飽和モノマーであり得ることを理解されたい。すなわち、エチレン性不飽和モノマーの組み合わせは、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物及び反応開始剤とともに、重合され得、より具体的には共重合され得る。本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、アクリルモノマーとして、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレートからなる群から、より好ましくは50%2-メチルヘキシルアクリレート及び50%メチルアクリレートの比で、または60%2-エチルヘキシルアクリレート及び40%メチルアクリレートの比で、選択される少なくとも2つの異なるエチレン性不飽和モノマーを使用することによって調製される。
【0150】
前段落による反応開始剤は、アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、エチレン性不飽和モノマーとの重合を開始して、シリコーンアクリルハイブリッドを生成するのに好適である任意の物質であり得る。例えば、ペルオキシド、アゾ化合物、レドックス反応開始剤、及び光重合開始剤からなる群から選択されるフリーラジカル反応開始剤が使用され得る。
【0151】
前段落に従って使用され得るさらなる好適なシリコーン樹脂、シリコーンポリマー、シリコーン含有キャッピング剤、エチレン性不飽和モノマー、及び反応開始剤は、WO2007/145996、EP2599847A1、及びWO2016/130408に詳述されている。
【0152】
本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーンポリマー、シリコーン樹脂、及びアクリルポリマーの反応生成物を含み、アクリルポリマーは、共有結合で自己架橋され、シリコーンポリマー及び/またはシリコーン樹脂に共有結合される。
【0153】
本発明の特定の他の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーンポリマー、シリコーン樹脂、及びアクリルポリマーの反応生成物を含み、シリコーン樹脂は、トリオルガノシロキシ単位R3SiO1/2(Rは有機基)、及び四官能性シロキシ単位SiO4/2を、各SiO4/2に対して0.1~0.9R3SiO1/2単位のモル比で含有する。
【0154】
アクリルポリマーは、少なくともアルコキシシリル官能性モノマー、ポリシロキサン含有モノマー、ハロシリル官能性モノマー、またはアルコキシハロシリル官能性モノマーを含み得る。好ましくは、アクリルポリマーは、トリアルコキシルシリル(メタ)アクリレート、ジアルコキシアルキルシリル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるアルコキシシリル官能性モノマーから調製されるか、または末端キャッピングされたアルコキシシリル官能基を含む。アルコキシシリル官能基は、好ましくは、トリメトキシルシリル基、ジメトキシメチルシリル基、トリエトキシルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0155】
アクリルポリマーはまた、ポリシロキサン含有モノマーを含む混合物、好ましくは、ポリジメチルシロキサンモノ(メタ)アクリレートを含む混合物から調製され得る。
【0156】
シリル官能性モノマーは、典型的には、アクリルポリマーの0.2~20重量%の量で使用され、より好ましくは、シリル官能性モノマーの量は、アクリルポリマーの約1.5~約5重量%の範囲で使用される。
【0157】
ポリシロキサン含有モノマーの量は、典型的には、アクリルポリマーの1.5~50重量%の量で使用され、より好ましくは、ポリシロキサン含有モノマーの量は、アクリルポリマーの5~15重量%の範囲である。
【0158】
あるいは、アクリルポリマーは、アクリル及びポリシロキサンのブロックまたはグラフト化コポリマーを含む。ポリシロキサンブロックコポリマーの例は、ポリジメチルシロキサン-アクリルブロックコポリマーである。好ましい量のシロキサンブロックは、全ブロックポリマーの10~50重量%である。
【0159】
アクリルポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む。使用され得る好ましいアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基に最大約18個の炭素原子、好ましくはアルキル基に1~約12個の炭素原子を有する。約0℃未満のホモポリマーガラス転移温度(Tg)を有する好ましい低Tgアルキルアクリレートは、アルキル基に約4~約10個の炭素原子を有し、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、デシルアクリレート、それらの異性体、及びそれらの組み合わせを含む。特に好ましいのは、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、及びイソオクチルアクリレートである。アクリルポリマー成分は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びイソブチルメタクリレートなどの高Tgを有する(メタ)アクリレートモノマーをさらに含み得る。
【0160】
アクリルポリマー成分は、得られた接着剤の低温流動特性を改善するために、ポリイソブチレン基をさらに含み得る。
【0161】
アクリルポリマー成分は、窒素含有極性モノマーを含み得る。例としては、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-三級オクチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-三級ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、シアノエチルアクリレート、N-ビニルアセトアミド、及びN-ビニルホルムアミドが挙げられる。
【0162】
アクリルポリマー成分は、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、及び/またはヒドロキシプロピルメタクリレートなどの、1つ以上のヒドロキシル含有モノマーを含み得る。
【0163】
アクリルポリマー成分は、望ましい場合は、カルボン酸含有モノマーを含み得る。有用なカルボン酸は、好ましくは、約3~約6個の炭素原子を含有し、とりわけ、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、β-カルボキシエチルアクリレート等を含む。アクリル酸が特に好ましい。
【0164】
他の有用な周知のコモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、シクロヘキシルアクリレート、アルキルジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、及びアリルグリシジルエーテル、ならびに例えば、ポリ(スチリル)メタクリレートなどのマクロマーが挙げられる。
【0165】
本発明の実行において使用することができる1つのアクリルポリマー成分は、約90~約99.5重量%のブチルアクリレート、及び約0.5~約10重量%のジメトキシメチルシリルメタクリレートを含むアクリルポリマーである。
【0166】
本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、a)シリコーンポリマーをシリコーン樹脂と反応させて、生じる生成物を生成することと、b)a)の生じた生成物を、反応官能性を含むアクリルポリマーと反応させることと、によって調製され得、成分は、有機溶媒中で反応させる。
【0167】
本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、a)シリコーン樹脂を、反応官能性を含むアクリルポリマーと反応させて、生じる生成物を生成することと、b)a)の生じた生成物を、シリコーンポリマーと反応させることと、によって調製され得、成分は、有機溶媒中で反応させる。
【0168】
本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、a)シリコーンポリマーを、反応官能性を含むアクリルポリマーと反応させて、生じる生成物を生成することと、b)a)の生じた生成物を、シリコーン樹脂と反応させることと、によって調製され得、成分は、有機溶媒中で反応させる。
【0169】
シリコーンポリマー、シリコーン樹脂、及びアクリルポリマーを一緒に化学反応させて、前段落によるシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを提供するために使用することができる、さらに好適なアクリルポリマー、シリコーン樹脂、及びシリコーンポリマーは、WO2010/124187に詳述されている。
【0170】
本発明の特定の実施形態によれば、TTSにおいて使用されるシリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、1つ以上の非ハイブリッドポリマーとブレンドされ、好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、1つ以上の非ハイブリッド感圧接着剤(例えば、ポリシロキサンまたはアクリレートをベースとした感圧接着剤)とブレンドされる。
【0171】
シリコーン系ポリマー(非ハイブリッド)
上記で示されるように、本発明によるTTSは、活性剤含有層に少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む。好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである。シリコーン系ポリマーは、以下でさらに詳細に説明される。
【0172】
本明細書で使用される場合、シリコーン系ポリマーは、非ハイブリッドポリマー、すなわち、ハイブリッド種を含まないポリマーである。シリコーン系ポリマーは、ポリシロキサンをベースとする。したがって、それらはまた、ポリシロキサンをベースとするポリマーと称され得る。好ましくは、シリコーン系ポリマーは、シリコーン系感圧接着剤、すなわち、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤である。
【0173】
シリコーン系ポリマーは、好ましくは、非硬化性ポリマーであり、それは、典型的には、n-ヘプタン及び酢酸エチルなどの溶媒中で供給され、使用される。固形分は、通常、30%~80%である。
【0174】
好適なシリコーン系ポリマーは、商標名BIO-PSA(ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤)で市販されている。
【0175】
ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、好適な粘着性のため、かつ湿った皮膚を含む様々な皮膚タイプへの迅速な結合のため、好適な接着的及び粘着的品質、皮膚への長期持続的な接着性、高い柔軟性、水分に対する透過性、ならびに多くの活性物質及びフィルム基材への適合性を備える。十分なアミン耐性、したがってアミンの存在下で増強された安定性を有する、ポリシロキサンをベースとした感圧接着剤を提供することが可能である。かかる感圧接着剤は、樹脂インポリマーコンセプトに基づいており、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリカ樹脂(シリケート樹脂とも称される)との縮合反応によって、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤が調製され、アミン安定性のために、残留シラノール官能性がトリメチルシロキシ基によって追加的にキャッピングされる。シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサン含有量は、粘弾性挙動の粘性成分に寄与し、接着剤の湿潤性及び拡散性の特性に影響を与える。樹脂は粘着剤及び増強剤として作用し、弾性成分に関与する。シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンと樹脂との間の正しいバランスは、正しい接着特性を提供する。
【0176】
上記の観点において、シリコーン系ポリマー、特にシリコーン系感圧接着剤は、一般に、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂との重縮合よって得ることができる。アミン適合性シリコーン系ポリマー、特にアミン適合性シリコーン系感圧接着剤は、シリコーン系ポリマー、特にシリコーン系感圧接着剤を、トリメチルシリル(例えば、ヘキサメチルジシラザン)と反応させることによって得て、ポリマーのシラノール含有量を減少させることができる。結果として、残留シラノール官能性は、少なくとも部分的に、好ましくは大部分または完全にトリメチルシロキシ基でキャッピングされる。
【0177】
上記で示されるように、シリコーン系ポリマーの粘着性は、樹脂-ポリマー比、すなわち、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂に対する比によって変更され得、好ましくは70:30~50:50、好ましくは65:35~55:45の範囲である。粘着性は、樹脂に対してポリジメチルシロキサンの量が増加するにつれて増加する。高粘度シリコーン系ポリマーは、好ましくは、樹脂-ポリマー比が55:45であり、中粘度シリコーン系ポリマーは、好ましくは、樹脂-ポリマー比が60:40であり、低粘度シリコーン系ポリマーは、好ましくは、樹脂-ポリマー比が65:35である。高粘着シリコーン系ポリマーは、好ましくは、0.01rad/秒及び30℃で約5×106ポアズの複素粘度を有し、中粘着シリコーン系ポリマーは、好ましくは、0.01rad/秒及び30℃で約5×107ポアズの複素粘度を有し、低粘着シリコーン系ポリマーは、好ましくは、0.01rad/秒及び30℃で約5×108ポアズの複素粘度を有する。高粘着性アミン適合性シリコーン系ポリマーは、好ましくは、0.01rad/秒及び30℃で約5×106ポアズの複素粘度を有し、中粘着性アミン適合性シリコーン系ポリマーは、好ましくは、0.01rad/秒及び30℃で約5×108ポアズの複素粘度を有し、低粘着性アミン適合性シリコーン系ポリマーは、好ましくは、0.01rad/秒及び30℃で約5×109ポアズの複素粘度を有する。
【0178】
市販されているシリコーン系PSA組成物の例には、標準的なBIO-PSAシリーズ(7-4400、7-4500、及び7-4600シリーズ)、アミン適合性(末端キャッピングされた)BIO-PSAシリーズ(7-4100、7-4200、及び7-4300シリーズ)、ならびにSoft Skin Adhesivesシリーズ(7-9800)が挙げられ、Dow Corningによって製造され、典型的には、n-ヘプタンまたは酢酸エチル中で供給される。例えば、BIO-PSA7-4201は、25℃及びヘプタン中の約60%固形分で450mPa/秒の溶液粘度、ならびに0.01rad/秒、30℃で1×108ポアズの複素粘度を特徴とする。BIO-PSA7-4301は、25℃及びヘプタン中の約60%固形分で500mPa/秒の溶液粘度、ならびに0.01rad/秒、30℃で5×106ポアズの複素粘度を有する。
【0179】
ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、n-ヘプタン、酢酸エチル、または他の揮発性シリコーン流体のような溶媒中で供給され、使用される。溶媒中のポリシロキサンをベースとする感圧接着剤の固形分は、通常、60~85%、好ましくは70~80%、または60~75%である。当業者は、固形分が適切な量の溶媒を添加することによって変更され得ることを認識している。
【0180】
ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、例えば、Dow Corningから入手可能であり、以下のスキームに従って得ることができる。
【化1】
ポリシロキサンをベースとするかかる感圧接着剤は、Dow Corningから入手可能であり、例えば、商標名BIO-PSA7-4401、BIO-PSA7-4501、またはBIO-PSA7-4601で、溶媒n-ヘプタン(コード「01」によって示される)中に提供され、あるいは商標名BIO-PSA7-4402、BIO-PSA7-4502、及びBIO7-4602で、溶媒酢酸エチル(コード「02」によって示される)中に提供される。溶媒中の典型的な固形分は、60~75%の範囲である。コード「44」は、低粘着性をもたらす65:35の樹脂-ポリマー比を示し、コード「45」は、中粘着性をもたらす60:40の樹脂-ポリマー比を示し、コード「46」は、高粘着性をもたらす55:45の樹脂-ポリマー比を示す。
【0181】
ポリシロキサンをベースとするアミン適合性感圧接着剤は、例えば、Dow Corningから入手可能なであり、以下のスキームに従って得ることができる。
【化2】
ポリシロキサンをベースとするかかるアミン適合性感圧接着剤は、Dow Corningから入手可能であり、例えば、商標名BIO-PSA7-4101、BIO-PSA-7-4201、またはBIO-PSA7-4301で、溶媒n-ヘプタン(コード「01」によって示される)中に提供され、あるいは商標名BIO-PSA7-4102、BIO-PSA7-4202、及びBIO7-4302で、溶媒酢酸エチル(コード「02」によって示される)中に提供される。溶媒中の典型的な固形分は、60~75%の範囲である。コード「41」は、低粘着性をもたらす65:35の樹脂-ポリマー比を示し、コード「42」は、中粘着性をもたらす60:40の樹脂-ポリマー比を示し、コード「43」は、高粘着性をもたらす55:45の樹脂-ポリマー比を示す。
【0182】
本発明によるポリシロキサンをベースとする好ましい感圧接着剤は、25℃及びn-ヘプタン中の60%固形分で、好ましくは、主軸番号5を備えたBrookfield RVT粘度計を50rpmで使用して測定されるとき、約150mPa/秒超、または約200mPa/秒~約700mPa/秒の溶液粘度を特徴とする。これらはまた、30℃、0.01rad/秒で、約1×109ポアズ未満または約1×105~約9×108ポアズの複素粘度を特徴とし得る。
【0183】
さらなる非ハイブリッドポリマー
上記で示されるように、本発明によるTTSは、活性剤含有層に少なくとも1つのさらなる非ハイブリッドポリマーを追加的に含み得る。かかる非ハイブリッドポリマーには、好ましくは、アクリレートをベースとする非ハイブリッドポリマー(例えば、非ハイブリッド感圧接着剤)、ポリイソブチレン、または好ましくはアクリレートをベースとするスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーが含まれる。
【0184】
非ハイブリッド感圧接着剤は、通常、n-ヘプタン及び酢酸エチルのような溶媒中で供給され、使用される。感圧接着剤の固形分は、通常、30%~80%である。
【0185】
活性剤含有層に追加的に存在し得る好適な非ハイブリッドポリマーは、例えば、商標名Oppanol(商標)(ポリイソブチレン)、JSR-SIS(スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー)、またはDuro-Tak(商標)(アクリルポリマー)で市販されている。
【0186】
本発明による好適なポリイソブチレンは、商標名Oppanol(登録商標)で入手可能である。高分子量ポリイソブチレン(B100/B80)及び低分子量ポリイソブチレン(B10、B11、B12、B13)の組み合わせが、使用され得る。低分子量ポリイソブチレンの高分子量ポリイソブチレンとの好適な比率は、100:1~1:100、好ましくは95:5~40:60、より好ましくは90:10~80:20の範囲である。ポリイソブチレンの組み合わせの好ましい例は、85/15の比におけるB10/B100である。Oppanol(登録商標)B100は、1,110,000の粘度平均分子量Mv、1,550,000の重量平均分子量Mw、及び2.9の平均分子量分布Mw/Mnを有する。Oppanol(登録商標)B10は、40,000の粘度平均分子量Mv、53,000の重量平均分子量Mw、及び3.2の平均分子量分布Mw/Mnを有する。特定の実施形態では、ポリブテンがポリイソブチレンに添加され得る。溶媒中のポリイソブチレンの固形分は、通常、30~50%、好ましくは35~40%である。当業者は、固形分が適切な量の溶媒を添加することによって変更され得ることを認識している。
【0187】
アクリレートをベースとする感圧接着剤はまた、アクリレート系感圧接着剤、またはアクリレート感圧接着剤と称され得る。アクリレートをベースとする感圧接着剤は、好ましくは30%~60%の固形分を有してもよい。そのようなアクリレートベースの感圧接着剤は、ヒドロキシ基、カルボン酸基、中和カルボン酸基、及びそれらの混合物などの官能基を含む場合も含まない場合もある。そのため、「官能基」という用語は特に、ヒドロキシ基及びカルボン酸基、ならびに脱プロトン化カルボン酸基を指す。
【0188】
対応する市販製品は、例えば、HenkelからDuro Tak(登録商標)の商標名で入手可能である。かかるアクリレート系感圧接着剤は、アクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t-オクチルアクリルアミド、及び酢酸ビニルのうちの1つ以上から選択されるモノマーをベースとしており、酢酸エチル、ヘプタン、n-ヘプタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2,4-ペンタンジオン、トルエン、もしくはキシレン、またはそれらの混合物中に提供される。
【0189】
特定のアクリレートベースの感圧接着剤は、
-Duro-Tak(商標)387-2287またはDuro-Tak(商標)87-2287(架橋剤を用いずに酢酸エチル中の溶液として提供される、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレート、及びグリシジル-メタクリレートをベースとするコポリマー)、
-Duro-Tak(商標)387-2516またはDuro-Tak(商標)87-2516(チタン架橋剤を用いずに酢酸エチル、エタノール、n-ヘプタン、及びメタノール中の溶液として提供される酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレート及びグリシジル-メタクリレートをベースとするコポリマー)、
-Duro-Tak(商標)387-2051またはDuro-Tak(商標)87-2051(酢酸エチル及びヘプタン中の溶液として提供される、アクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマー)、
-Duro-Tak(商標)387-2353またはDuro-Tak(商標)87-2353(酢酸エチル及びヘキサン中の溶液として提供される、アクリル酸、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート及びメチルアクリレートをベースとするコポリマー)、
-Duro-Tak(商標)87-4098(酢酸エチル中の溶液として提供される、2-エチルヘキシル-アクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマー)、として入手可能である。
【0190】
また、凝集性及び/または接着性を向上させるために追加のポリマーが添加されてもよい。
【0191】
他のポリマーは、特に、低温流動を減少させ、そのため特に追加のポリマーとして好適である。かかるポリマー組成物が、多くの場合、非常に高い粘度にもかかわらず、非常に緩徐に流動する能力を呈するため、ポリマーマトリックスは低温流動を示し得る。したがって、貯蔵中に、マトリックスは、裏地層の縁を越えてある程度流動し得る。これは、貯蔵安定性による問題であり、特定のポリマーの添加によって防止することができる。例えば、塩基性アクリレートポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)E100)を使用して、低温流動を減少させることができる。したがって、特定の実施形態では、マトリックス層組成物は、さらに塩基性ポリマー、特に、Eudragit(登録商標)E100などのアミン官能性アクリレートを含む。Eudragit(登録商標)E100は、2:1:1の比を有するジメチルアミノエチルメタクリレートと、ブチルメタクリレートと、メチルメタクリレートと、に基づくカチオン性コポリマーである。モノマーは、コポリマー鎖に沿ってランダムに分布する。SEC法に基づき、Eudragit(登録商標)E100の重量平均モル質量(Mw)は、約47,000g/molである。さらに、Plastoid B、Eudragit、キトサンなどのアクリルポリマー、セルロース及びそれらの誘導体、ならびにポリスチレンなどのポリマーは、接着剤(例えば、マトリックス層)の乾燥度を増加させるのに有用であり得る。
【0192】
シリコーンゲル接着剤
上記で示されるように、本発明によるTTSは、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層である皮膚接触層を含む。シリコーンゲル接着剤は、シリコーンポリマーをわずかに架橋することによって形成される弾性のゼリー状固体物質である。したがって、本明細書で使用されるシリコーン含有ポリマーとは対照的に、シリコーンゲル接着剤は、硬化可能なゲル生成組成物をベースとする。シリコーンゲル接着剤は、皮膚へのTTSの接着性を備えると同時に、皮膚刺激の問題を低減させる。さらに、TTSの薬物送達は、悪影響を受けない。
【0193】
シリコーンゲル接着剤は、シリコーンゲルとも呼ばれ、例えば、WO2011/022199A2に記載されている。
【0194】
シリコーンゲル接着剤は、一般に、そこに反応性基を有する直鎖状または分枝状シリコーンから形成される。かかる反応性基は、硬化中に架橋を受ける。架橋反応の例としては、Si-H基を有するシリコーンが、脂肪族不飽和反応性基を有するシリコーンと、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応するヒドロシリル化反応が挙げられる。これらの物質は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS5,656,279、US5,891,076、EP0322118、及びUS4,991,574に記載されている。代替的な反応は、アルコキシ及び/またはヒドロキシ含有シロキサンを触媒で硬化させる縮合硬化であり、参照により本明細書に組み込まれるUS4,831,070に記載されている。
【0195】
典型的には、シリコーンゲル接着剤は、(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、(ii)ケイ素結合水素原子を含有する少なくとも1つのオルガノシロキサンと、(iii)SiH基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、を含むゲル生成組成物を反応させることによって得ることができる。これらの組成物は、通常の周囲温度で硬化するが、硬化は、高温、例えば、40~140℃に加熱することによって、またはUV光を適用することによって促進することができる。
【0196】
好適なアルケニル基は、2個の炭素~約6個の炭素原子を含有し、ビニル、アリル、及びヘキセニルによって例示されるが、これらに限定されない。この成分におけるアルケニル基は、末端、ペンダント(非末端)、または末端及びペンダントの両方の位置に配置され得る。アルケニル置換ポリジオルガノシロキサン中の残りのケイ素結合有機基は、独立して、脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される。これらの基は、典型的には、1個の炭素~約20個の炭素原子、あるいは1個の炭素~8個の炭素原子を含有し、メチル、エチル、プロピル、及びブチルなどのアルキル、フェニルなどのアリール、ならびに3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキルによって例示されるが、これらに限定されない。典型的には、アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンにおける有機基の少なくとも50%はメチルである。アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンの構造は典型的には直鎖状であるが、三官能性シロキサン単位の存在によって、いくつかの分岐を含有し得る。アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンの粘度は、任意の所望のものであることができる。例えば、それは、>0mm2/秒~100,000mm2/秒、あるいは50mm2/秒~80,000mm2/秒、あるいは300mm2/秒~3,000mm2/秒であることができる。
【0197】
本発明のアルケニル置換ポリジオルガノシロキサン(i)の調製方法は、対応するハロシランの縮合または環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化など、当該技術分野で周知である。
【0198】
アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンは、ゲル生成組成物中で、組成物の重量に基づいて10重量%~90重量%、あるいは40重量%~90重量%、あるいは50重量%~80重量%の量で使用することができる。アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンに存在するアルケニル基の量は、典型的には、アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンの重量に基づいて、0.05重量%~1重量%、あるいは0.05重量%から1重量%までの範囲である。
【0199】
ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサン(ii)も、例えば、米国特許第3,983,298号に記載されるように、当該技術分野において知られている。この成分における水素原子は、末端、ペンダント(非末端)、または末端及びペンダントの両方の位置に配置され得る。この成分中の残りのケイ素結合有機基は、独立して、脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される。これらの基は、典型的には、1個の炭素~約20個の炭素原子、あるいは1個の炭素~8個の炭素原子を含有し、メチル、エチル、プロピル、及びブチルなどのアルキル、フェニルなどのアリール、ならびに3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキルによって例示されるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態では、ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンにおける有機基の少なくとも50%は、メチルである。
【0200】
ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンの構造は、典型的には直鎖状であるが、三官能性シロキサン単位の存在によって、いくつかの分岐を含有し得る。ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンの粘度は、任意の所望のものであり得る。例えば、それは、>0mm2/秒~100,000mm2/秒、あるいは、5mm2/秒~500mm2/秒であることができる。
【0201】
ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンは、ゲル生成組成物において、組成物の重量に基づいて、1重量%~30重量%、あるいは5重量%~20重量%、あるいは5重量%~15重量%の量で使用することができる。一実施形態では、ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンに存在する水素基の量は、ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンの重量に基づいて、0.05重量%~1.44重量%である。
【0202】
本発明のケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンを、適切なクロロシランの共加水分解によって調製する方法は、当該技術分野、米国特許第2,877,255号(Clark)、日本公開特許出願(KOKAI)SHO62(1987)-39660(Mogiら)、ならびに米国特許第5,446,185号及び米国特許第5,493,040号(Cobbら)で既知であり、これらはいずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0203】
ゲル生成組成物では、(i)及び(ii)は、(SiHとしてのH):(Si-アルケニルとしてのアルケニル)の比が一般的に0.1:1~10:1の範囲であるように存在する。
【0204】
ヒドロシリル化触媒(iii)は、アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンのケイ素結合水素を含むオルガノシロキサンとの付加反応を促進する。ヒドロシリル化触媒は、白金族金属、白金族金属を含有する化合物、または微小カプセル化白金族金属、もしくはそれを含有する化合物を含む、周知のヒドロシリル化触媒のいずれかであり得る。これらの白金族金属には、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムが含まれる。白金及び白金化合物は、ヒドロシリル化反応におけるそれらの高い活性レベルに基づいて好ましい触媒である。白金触媒の1つのクラスは、クロロプラチン酸の特定のビニル含有オルガノシロキサン化合物との錯体であり、Willigによって米国特許第3,419,593号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。このタイプの特定の触媒は、クロロプラチン酸と1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの反応生成物である。
【0205】
ヒドロシリル化触媒は、本発明の組成物を硬化させるのに十分な量で存在する。典型的には、触媒の濃度は、(i)及び(ii)の重量に基づいて、0.1ppm~500ppm(百万分率)、あるいは1ppm~100ppm、あるいは1ppm~50ppmの白金族金属を十分に提供する。
【0206】
任意選択的な成分は、ヒドロキシ置換シリコーン樹脂であり、米国特許出願第2007/0202245号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。樹脂は、典型的には、式R3
3SiO1/2を有する基(「M」基)、及び式SiO4/2を有する基(「Q」基)からなり、式中、R3は、1個の炭素~6個の炭素原子を有するアルキル基、または1個の炭素~6個の炭素原子を有するアルキレン基、典型的にはメチルもしくはビニルである。
【0207】
アルケニル基が樹脂中に存在する場合、典型的には、アルケニル基として存在するR基のモル%は、<10モル%、あるいは5モル%である。
【0208】
M基対Q基の数比は、典型的には、0.6:1~4:1、あるいは0.6:1~1.0:1の範囲である。シリコーン樹脂は、典型的には、0.1重量%~5重量%、あるいは1.0重量%~5重量%のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する。
【0209】
樹脂は、ゲル生成組成物中で、ゲル生成組成物及び樹脂の重量に基づき、2重量%~45重量%、あるいは5重量%~40重量%、あるいは10重量%~35重量%の量で使用することができる。
【0210】
シリコーンゲル接着剤層は、当該技術分野において既知のプロセスによって作成することができる。例えば、ゲルは、ライナーなどの基材に、成形、カレンダー加工、押出、噴霧、ブラッシング、手作業での塗布、鋳造、またはコーティングによって予め成形され得る(例えば、シート)。または、シリコーンゲル層は、ゲル生成組成物を噴霧、コーティング、バーコーティング等で基材に塗布することによって作成することができる。基材に塗布されると、ゲル生成組成物は硬化して、基材上にシリコーンゲル接着剤を生成する。
【0211】
上記の観点において、本発明の好ましい実施形態では、シリコーンゲル接着剤は、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる。好ましくは、(i)及び(ii)は、(SiHとしてのH):(Si-アルケニルとしてのアルケニル)の比が一般的に0.1:1~10:1の範囲であるように存在する。
【0212】
さらに、特定の好ましい実施形態では、シリコーンゲル接着剤は、約2~約45重量%の少なくとも1つのヒドロキシル置換シリケート樹脂を含有する、シリケート樹脂強化シリコーンゲル接着剤である。
【0213】
さらなる添加剤
本発明によるTTS、特に活性剤含有層は、少なくとも1つの添加剤または賦形剤をさらに含み得る。当該添加剤または賦形剤は、好ましくは、結晶化抑制剤、可溶化剤、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、防腐剤、粘着付与剤、軟化剤、安定剤、及び浸透促進剤からなる群から、特に、結晶化抑制剤、スキンケア用物質、粘着付与剤、軟化剤、安定剤、及び浸透促進剤から選択される。より好ましくは、当該添加剤は、結晶化抑制剤、可溶化剤、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、防腐剤、粘着付与剤、軟化剤、安定剤、及び浸透促進剤からなる群から、特に、スキンケア用物質、粘着付与剤、軟化剤、及び安定剤、から選択される。かかる添加剤は、活性剤含有層に、活性剤含有層の総重量に基づいて、0.001~15重量%、例えば、1~10重量%または0.01~5重量%の量で存在し得る。
【0214】
薬学的製剤において、製剤成分が、それらの物理化学的及び生理学的特性に従って、かつそれらの機能に従ってカテゴリー化されることに留意されたい。これは、特に、あるカテゴリーに分類される物質または化合物が、製剤成分の別のカテゴリーへの分類から除外されないことを意味する。例えば、特定のポリマーは、結晶化抑制剤のみならず、粘着付与剤でもあり得る。いくつかの物質は、例えば、典型的な軟化剤であり得ると同時に、浸透促進剤としても作用する。当業者であれば、自身の一般知識に基づいて、ある特定の物質または化合物が製剤成分のどのカテゴリー(複数可)に属するかを決定することができる。以下に賦形剤及び添加剤の詳細が提供されるが、これらが排他的であると理解されるべきではない。本明細書に明確に列記されていない他の物質も本発明に従って使用され得、製剤成分の1つのカテゴリーに明確に列記されている物質及び/または化合物は、本発明の意味で別の製剤成分としての使用から除外されない。
【0215】
一実施形態では、活性剤含有層は、結晶化抑制剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、結晶化抑制剤は、活性剤含有層の総重量に基づいて、0.5~10重量%の量で存在し得る。結晶化抑制剤の好適な例には、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル/ビニルピロリドンコポリマー及びセルロース誘導体が挙げられる。結晶化抑制剤は、好ましくは、ポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンである。結晶化抑制剤は、例えば、活性剤が塩の形態で使用される場合、活性剤の溶解度を増加させるか、または活性剤の結晶化を阻害し得る。
【0216】
一実施形態では、活性剤含有層は、安定剤をさらに含み、安定剤は、好ましくは、トコフェロール及びそのエステル誘導体、ならびにアスコルビン酸及びそのエステル誘導体から選択される。いくつかの実施形態では、安定剤は、活性剤含有層の総重量に基づいて、0.001~2.0重量%、好ましくは0.01~1.0重量%の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、好ましい安定剤には、メタ重亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビルなどの脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、及びリノール酸トコフェリルが含まれる。好ましい安定剤には、脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸、トコフェロール、酢酸トコフェリル、及びリノール酸トコフェリルが含まれる。トコフェロールが特に好ましい。トコフェロールとパルミチン酸アスコルビルとの組み合わせも特に好ましい。
【0217】
一実施形態では、活性剤含有層は、軟化剤/可塑剤をさらに含む。例示的な軟化剤/可塑剤には、6~20個の炭素原子を有する線状または分枝状の飽和または不飽和アルコール、トリグリセリド、及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0218】
一実施形態では、活性剤含有層は、可溶化剤をさらに含む。可溶化剤は、好ましくは、活性剤含有層中の活性剤の溶解度を改善する。好ましい可溶化剤には、例えば、中鎖及び/または長鎖脂肪酸のグリセロール-、ポリグリセロール-、プロピレングリコール-、及びポリオキシエチレン-エステル、例えば、モノリノール酸グリセリル、中鎖グリセリド及び中鎖トリグリセリド、ヒマシ油とエチレンオキシドとを反応させることによって作製される非イオン性可溶化剤、ならびに脂肪酸または脂肪アルコールをさらに含有してもよいそれらの任意の混合物;セルロース及びメチルセルロース、ならびにそれらの誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル;様々なシクロデキストリン及びその誘導体;ポロキサマーとして知られるポリオキシエチレンの2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレンの中央疎水性鎖を有する非イオン性トリブロックコポリマー;ビタミンEの水溶性誘導体;医薬品グレードのまたは凝集した球状イソマルト;PVAc-PVCap-PEGとも略記され、Soluplus(登録商標)としても知られる、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー;天然由来のヒマシ油、ポリエチレングリコール400、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80など)、またはプロピレングリコールの精製グレードのもの;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;グルコノ-デルタ-ラクトン;トウモロコシ及びジャガイモデンプン;ならびに下記の可溶性ポリビニルピロリドンのいずれか、それだけでなくクロスポビドンなどの不溶性の/架橋されたポリビニルピロリドンが含まれる。
【0219】
しかしながら、以下に記載の透過促進剤も可溶化剤として作用することができる。さらに、結晶化抑制剤も可溶化剤として作用し得る。
【0220】
一実施形態では、活性剤含有層は、pH調節剤をさらに含む。好適なpH調節剤には、アミン誘導体、無機アルカリ誘導体、及び塩基性または酸性官能基を有するポリマーを含む弱酸及び弱塩基が含まれる。
【0221】
一実施形態では、活性剤含有層は、防腐剤をさらに含む。好適な防腐剤には、パラベン、ホルムアルデヒド放出剤、イソチアゾリノン、フェノキシエタノール、ならびに安息香酸、ソルビン酸、レブリン酸、及びアニス酸などの有機酸が含まれる。
【0222】
一実施形態では、活性剤含有層は、スキンケア用物質をさらに含む。そのような物質は、皮膚反応スコアにより検出可能な皮膚への刺激を回避または低減するために使用されてもよい。好適なスキンケア用物質には、コレステロール、デクスパンテノール、α-ビサボロール、抗ヒスタミン薬などのステロール化合物が含まれる。スキンケア用物質は、好ましくは、活性剤含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で使用される。
【0223】
活性剤含有層が自己接着特性を有する必要があり、十分な自己接着特性を提供しない1つ以上のポリマーが選択される場合、粘着付与剤が添加される。好ましい粘着付与剤としては、長鎖で不飽和の偶数の脂肪酸、及び植物由来の長鎖で不飽和の偶数の脂肪酸アルコールに基づく液体ワックスエステルであるMiglyol、ならびにポリエチレングリコールが挙げられる。特に、粘着付与剤は、ポリビニルピロリドン(水を吸収するその能力のため、マトリックス層の接着特性を維持することができ、したがって、広義の粘着付与剤とみなすことができる)、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペン及びその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、及びポリブテン、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択され得る。好ましくは、粘着付与剤は、ポリビニルピロリドン、トリグリセリド、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペン及びそれらの誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、及びポリブテン、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択され得る。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、活性剤含有層の総重量に基づいて、5~15重量%の量で存在し得る。
【0224】
「可溶性ポリビニルピロリドン」という用語は、少なくともエタノール中に、好ましくは水、ジエチレングリコール、メタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、クロロホルム、塩化メチレン、2-ピロリドン、マクロゴール400、1,2プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、グリセロール、トリエタノールアミン、プロピオン酸及び酢酸中にも10%を超えて可溶性である、ポビドンとしても知られるポリビニルピロリドンを指す。市販されているポリビニルピロリドンの例には、BASFによって供給されるKollidon(登録商標)12PF、Kollidon(登録商標)17PF、Kollidon(登録商標)25、Kollidon(登録商標)30、及びKollidon(登録商標)90F、またはポビドンK90Fが挙げられる。Kollidon(登録商標)の異なるグレードが、ポリビニルピロリドングレードの平均分子量を反映するK値に関して定義されている。Kollidon(登録商標)12PFは、公称K値12に対応するK値範囲10.2~13.8を特徴とする。Kollidon(登録商標)17PFは、公称K値17に対応するK値範囲15.3~18.4を特徴とする。Kollidon(登録商標)25は、公称K値25に対応するK値範囲22.5~27.0を特徴とし、Kollidon(登録商標)30は、公称K値30に対応するK値範囲27.0~32.4を特徴とする。Kollidon(登録商標)90Fは、公称K値90に対応するK値範囲81.0~97.2を特徴とする。好ましいKollidon(登録商標)グレードは、Kollidon(登録商標)12PF、Kollidon(登録商標)30、及びKollidon(登録商標)90Fである。
【0225】
本発明の意味の範囲内で、「K値」という用語は、「ポビドン」についての欧州薬局方(Ph.Eur.)及びUSPモノグラフに従って水中のポリビニルピロリドンの相対粘度から計算される値を指す。
【0226】
シリカゲル、二酸化チタン、及び酸化亜鉛等の充填剤がポリマーと併用されて、粘着力及び結合強度等の特定の物理的パラメータに望ましい方法で影響を与えることができる。
【0227】
一実施形態では、活性剤含有層は、浸透促進剤をさらに含む。浸透促進剤は、活性剤の浸透性を高めるという意味で角質層のバリア特性に影響を与える物質である。浸透促進剤のいくつかの例は、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールなどの多価アルコール;オリーブオイル、スクアレン、及びラノリンなどのオイル;セチルエーテル及びオレイルエーテルなどの脂肪エーテル;ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル;アラントインなどの尿素及び尿素誘導体;ジメチルデシルホスホキシド、メチルセチルスルホキシド、ジメチルアウリルアミン、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、及びジメチルホルムアミドなどの極性溶媒;サリチル酸;アミノ酸;ニコチン酸ベンジル;ラウリル硫酸塩などの高分子量脂肪族界面活性剤である。他の薬剤には、オレイン酸及びリノール酸、アスコルビン酸、パンテノール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピル、及びパルミチン酸イソプロピルが含まれる。
【0228】
活性剤含有層が浸透促進剤をさらに含む場合、浸透促進剤は、好ましくは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ラウリル、及びジメチルプロピレン尿素から選択される。
【0229】
TTSは、浸透促進剤が存在しない場合でも、活性剤の十分な浸透性を提供することが見出された。したがって、本発明の特定の実施形態では、活性剤含有層は、浸透促進剤または可溶化剤を含まない。
【0230】
放出特性
本発明によるTTSは、活性剤、特にリバスチグミンまたはブプレノルフィンの全身循環への経皮投与に好適であり、同時に、当該技術分野で既知の他のTTSと比較して優れた接着特性及び皮膚刺激の低減を提供することが認められている。
【0231】
本発明によるTTSは、活性剤、特にリバスチグミンまたはブプレノルフィンを所定の延長された期間、好ましくは少なくとも24時間または少なくとも72時間、全身循環に経皮投与するために適している。
【0232】
好ましくは、TTSは、治療上有効な血漿濃度の活性剤、好ましくはリバスチグミンまたはブプレノルフィンを、TTSの皮膚への適用後、8時間未満、好ましくは6時間未満、より好ましくは4時間未満内で提供する。
【0233】
好ましくは、TTSは、血漿濃度の定常状態に達した後、活性剤、好ましくはリバスチグミンまたはブプレノルフィンの治療上有効な定常状態の血漿濃度を、少なくとも12時間、好ましくは少なくとも18時間、より好ましくは少なくとも20時間提供するが、但し、定常状態に達して維持できるように、TTSが十分な時間、例えば少なくとも24時間、皮膚に投与されることを条件とする。
【0234】
一実施形態では、TTSは、経皮送達によって、約24時間の投与にわたって、150~3500μg/cm2*日、好ましくは200~3000μg/cm2*日のリバスチグミンの平均放出速度を提供する。
【0235】
別の実施形態において、TTSは、EVA膜を備えたフランツ拡散セルにおいて測定されるとき、約24時間の期間にわたって約600~1200μg/cm2のリバスチグミンの累積透過量を提供する。
【0236】
一実施形態では、TTSは、経皮送達によって、少なくとも48時間、好ましくは少なくとも72時間の投与にわたって、2~25μg/時、好ましくは5~20μg/時のブプレノルフィンの平均放出速度を提供する。
【0237】
別の実施形態では、TTSは、ヒト皮膚を備えたフランツ拡散セルにおいて測定されるとき、約72時間の期間にわたって約60~130μg/cm2のブプレノルフィンの累積透過量を提供する。
【0238】
治療方法/医学的使用
本発明によるTTSは、治療方法における使用に好適である。活性剤がリバスチグミンである場合、TTSは、アルツハイマー病、パーキンソン病に関連する認知症、及び/または外傷性脳損傷の症状を予防、治療、または進行遅延する方法における使用のために好適である。さらに、TTSは、アルツハイマー病またはパーキンソン病によって引き起こされる軽度から中等度の認知症を治療する方法における使用のために好適である。活性剤がブプレノルフィンである場合、TTSは、疼痛の治療における使用のために好適である。
【0239】
一実施形態では、本発明によるTTSは、治療方法における使用のためのものであり、経皮治療システムは、好ましくは、患者の皮膚に、少なくとも24時間または少なくとも72時間適用される。別の実施形態では、本発明は、本発明による経皮治療システムを患者の皮膚に、好ましくは少なくとも24時間または少なくとも72時間にわたって適用することを含む治療方法に関する。
【0240】
一実施形態では、TTSは、活性剤としてリバスチグミンを含み、アルツハイマー病、パーキンソン病に関連する認知症、及び/または外傷性脳損傷の症状を予防、治療、または進行遅延する方法における使用のためのものである。好ましい実施形態では、TTSは、患者の皮膚に、少なくとも24時間、好ましくは約24時間の投薬間隔で適用される。別の実施形態では、本発明は、リバスチグミンを含む本発明による経皮治療システムを、患者の皮膚に、好ましくは少なくとも24時間、特に約24時間適用することを含む、アルツハイマー病、パーキンソン病に関連する認知症、及び/または外傷性脳損傷の症状を予防、治療、または進行遅延する方法に関する。
【0241】
一実施形態では、TTSは、活性剤としてブプレノルフィンを含み、疼痛を治療する方法における使用のためのものである。好ましい実施形態では、TTSは、患者の皮膚に、少なくとも72時間、好ましくは少なくとも84時間の投薬間隔で適用される。別の実施形態では、本発明は、ブプレノルフィンを含む本発明による経皮治療システムを患者の皮膚に、好ましくは少なくとも72時間、特に少なくとも84時間にわたって適用することを含む、疼痛を治療する方法に関する。
【0242】
上記の使用及び治療方法に関連して、本発明によるTTSは、好ましくは、定義された投薬間隔で、上腕外側、上胸部、上背部、または胸部の側部から選択される、対象の少なくとも1つの体表面に適用される。
【0243】
本発明によるTTSの好ましい適用時間は、少なくとも24時間、好ましくは約24時間(1日)または約84時間(3.5日)である。この時間の後、TTSを取り外し、任意選択で新しいTTSを適用して、24時間体制の治療を実現してもよい。
【0244】
製造プロセス
本発明はさらに、経皮治療システムにおける使用のための活性剤含有層構造の製造プロセスに関する。
【0245】
本発明に従い、本発明による経皮治療システムにおける使用のための活性剤含有層を製造するためのプロセスは、
1.1)
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーン含有ポリマー、
を含むコーティング組成物を、第1の箔にコーティングするステップと、
1.2)コーティングしたコーティング組成物を乾燥させて、活性剤含有層を形成するステップと、
1.3)活性剤含有層を裏地層と積層するステップと、を含む。
【0246】
上記で説明されるように、シリコーン含有ポリマーは、好ましくは非硬化性であり、したがって、典型的には、溶媒をベースとするプロセスによって適用される。したがって、少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーは、好ましくは、溶媒中に提供され、溶媒中の固形分は、好ましくは、40~75重量%である。溶媒は、好ましくは、アルコール系溶媒、特に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物、ならびに非アルコール系溶媒、特に、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、トルエン、及びそれらの混合物から選択され、より好ましくは、非アルコール系溶媒から選択され、最も好ましくは、酢酸エチルまたはn-ヘプタンから選択される。活性剤は、好ましくは、コーティング組成物中に均質に溶解または分散される。
【0247】
コーティングされたコーティング組成物は、乾燥させることによって固化される。乾燥は、好ましくは、20~90℃、より好ましくは40~70℃の温度で行われる。
【0248】
本発明による経皮治療システムにおける使用のための皮膚接触層を製造するためのプロセスは、
2.1)
(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、
(ii)ケイ素結合水素原子を含有する、少なくとも1つのオルガノシロキサンと、
(iii)SiH基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、を含むゲル生成組成物を第2の箔上にコーティングするステップと、
2.2)ゲル生成組成物を、50℃~150℃の温度で、またはUV光を適用することによって架橋して、皮膚接触層を形成するステップと、
2.3)皮膚接触層を剥離ライナーと積層するステップと、を含む。
【0249】
上記で説明されるように、ゲル生成組成物は、硬化することで、すなわち、シリコーンポリマーの反応性基を架橋することで、皮膚接触層のシリコーンゲル接着剤を形成する。
【0250】
架橋は、好ましくは、40℃~140℃の温度で行われる。
【0251】
活性剤含有層及び皮膚接触層は、好ましくは上記のように別々に調製され、次いで、箔を除去してから2つの層の開放面を一緒に積層して、活性剤含有層構造を得る。
【0252】
したがって、本発明による経皮治療システムにおける使用のための活性剤含有層構造を製造するためのプロセスは、
1.1)
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーン含有ポリマー、
を含むコーティング組成物を、第1の箔にコーティングするステップと、
1.2)コーティングしたコーティング組成物を乾燥させて、活性剤含有層を形成するステップと、
1.3)活性剤含有層を裏地層と積層するステップと、
2.1)
(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、
(ii)ケイ素結合水素原子を含有する、少なくとも1つのオルガノシロキサンと、
(iii)SiH基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、を含むゲル生成組成物を第2の箔上にコーティングするステップと、
2.2)ゲル生成組成物を、50℃~150℃の温度で、またはUV光を適用することによって架橋して、皮膚接触層を形成するステップと、
2.3)皮膚接触層を剥離ライナーと積層するステップと、
3.1)活性剤含有層及び皮膚接触層から箔を除去するステップと、
3.2)活性剤含有層の開放面を皮膚接触層の開放面に積層して、活性剤含有層構造を得るステップと、を含む。
活性剤含有層の調製は、皮膚接触層の調製の前または後に行われ得、あるいは2つの層の調製は、並行して行われ得る。
【0253】
本発明はまた、上記のプロセスによって得ることができる経皮治療システムに関する。
【実施例】
【0254】
本発明は、これより、付随する実施例を参照してより完全に説明される。しかしながら、以下の説明が例証にすぎず、決して本発明を制限するものと解釈されるべきはないことを理解されたい。組成物中の成分の量または面積重量に関して実施例で提供される数値は、製造変動のため、わずかに変化し得る。
【0255】
実施例1A及び1B
活性物質含有コーティング組成物
実施例1A及び1Bの活性物質含有コーティング組成物の製剤を以下の表1.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表1】
【0256】
活性物質含有コーティング組成物の調製
ビーカーに、約50重量%の固形分を有するシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤(Dow Corning HealthcareのPSA SilAc 7-6101)を加えた。リバスチグミンベースを撹拌しながら加えた。混合物を約800rpmで、均一な混合物が得られるまで(少なくとも20分)撹拌した。
【0257】
活性物質含有コーティング組成物のコーティング
得られた活性物質含有コーティング組成物を、エリクソンコーティング装置を使用した、ハンドオーバーナイフラボコーティング機を使用して、不粘着性を有する箔(Scotchpak 9755 AB1F)に24時間経たない内にコーティングした。ほぼ室温(23±2℃)で約10分間の第1のステップで乾燥させ、続いて約60℃で約20分間の第2の乾燥ステップによって、溶媒を除去した。
【0258】
コーティング厚は、溶液の除去によって活性物質含有層の面積重量が約90.0g/m2になるように選択した。
【0259】
次に、得られた活性物質含有層を、裏地層(FO PET、23μm、透明)と積層した。
【0260】
活性物質無含有コーティング組成物
実施例1A及び1Bの活性物質無含有コーティング組成物の製剤を以下の表1.2に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表2】
【0261】
活性物質無含有コーティング組成物の調製
両成分を、適切な容器、例えば、ガラス容器中に別々に秤量した。引き続き、成分Aを混合容器に添加し、続いて成分Bを添加した。次いで、成分Aと成分Bの均質な混合物が得られるまで、混合物を約200rpmで約5分間混合した。
【0262】
活性物質無含有コーティング組成物のコーティング
約30分の時間枠内で、得られた活性物質無含有コーティング組成物を、ハンドオーバーナイフラボコーティング機、例えば、エリクソンコーティング装置を使用して、不粘着性を有する箔にコーティングした。コーティング温度を120℃に設定した。得られた活性物質無含有層をこの温度で約5分間加熱した。
【0263】
コーティング厚は、溶媒の除去によって、活性物質無含有(皮膚接触)層の層厚が、約50μm(実施例1Aの場合)及び100μm(実施例1Bの場合)になるように選択した。
【0264】
得られた活性物質無含有(皮膚接触)層を剥離ライナー(FEP、フッ素化エチレンプロピレン、100μm)と積層した。
【0265】
活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の積層
次に、活性物質無含有(皮膚接触)層を活性物質含有層と積層した。この目的のために、層のコーティング及び乾燥のために使用された不粘着性を有する箔を取り除き、得られた活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の開放面を一緒に積層して、裏地層、活性物質含有層、及び活性物質無含有(皮膚接触)層を含む活性物質含有自己接着性層構造を得、このとき活性物質含有層は、裏地層に付着され、活性物質無含有(皮膚接触)層は、活性物質含有層に付着され、構造は、活性物質無含有(皮膚接触)層に付着された剥離ライナーによって閉鎖される。
【0266】
TTSの調製
個々のシステム(TTS)を、上記のように得られた活性物質含有自己接着性層構造から打ち抜いた。その後、TTSを一次包装材料のポーチに密封した。
【0267】
皮膚透過の測定
比較例1A及び1Bに従って調製したTTSの透過量を、50μmの厚さを有するEVA膜(9%酢酸ビニル、PetroplastVinora AGのNitroderm TTS K-Membrane 343mm)を使用して、10.0mlのフランツ拡散セルを用いて実行した、経皮パッチの品質に関するEMAガイドライン(2014年10月23日採択)に従った実験によって決定した。1.118cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。32±1℃の温度でフランツ拡散セルの受容体媒体(抗菌剤として0.1%アジ化ナトリウムを有するpH5.5のリン酸緩衝液)中のリバスチグミンの浸透量を測定した。
【0268】
【0269】
実施例2A及び2B
活性物質含有コーティング組成物
実施例2A及び2Bの活性物質含有コーティング組成物の製剤を以下の表2.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表4】
【0270】
活性物質含有コーティング組成物の調製
ビーカーに、約50重量%の固形分を有するシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤(Dow Corning HealthcareのPSA SilAc 7-6101)を加えた。リバスチグミンベースを撹拌しながら加えた。混合物を約800rpmで、均一な混合物が得られるまで(少なくとも20分)撹拌した。
【0271】
活性物質含有コーティング組成物のコーティング
得られた活性物質含有コーティング組成物を、エリクソンコーティング装置を使用した、ハンドオーバーナイフラボコーティング機を使用して、不粘着性を有する箔(Scotchpak 9755 AB1F)に、24時間経たない内にコーティングした。ほぼ室温(23±2℃)で約10分間の第1のステップで乾燥させ、続いて約60℃で約20分間の第2の乾燥ステップによって、溶媒を除去した。
【0272】
コーティング厚は、溶液の除去によって活性物質含有層の面積重量が約90.0g/m2になるように選択した。
【0273】
次に、得られた活性物質含有層を、裏地層(FO PET、23μm、透明)と積層した。
【0274】
活性物質無含有コーティング組成物
実施例2A及び2Bの活性物質無含有コーティング組成物の製剤を以下の表2.2に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表5】
【0275】
活性物質無含有コーティング組成物の調製
両成分を、適切な容器、例えば、ガラス容器中に別々に秤量した。引き続き、成分Aを混合容器に添加し、続いて成分Bを添加した。次いで、成分Aと成分Bの均質な混合物が得られるまで、混合物を約200rpmで約5分間混合した。
【0276】
活性物質無含有コーティング組成物のコーティング
約30分の時間枠内で、得られた活性物質無含有コーティング組成物を、ハンドオーバーナイフラボコーティング機、例えば、エリクソンコーティング装置を使用して、不粘着性を有する箔にコーティングした。コーティング温度を120℃に設定した。得られた活性物質無含有層をこの温度で約5分間加熱した。
【0277】
コーティング厚は、溶媒の除去によって、活性物質無含有(皮膚接触)層の層厚が、約50μm(実施例2Aの場合)及び100μm(実施例2Bの場合)になるように選択した。
【0278】
得られた活性物質無含有(皮膚接触)層に、Scotchpak 9709剥離ライナー(フルオロシリコーンコーティングポリエステルフィルム)と積層した。
【0279】
活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の積層
次に、活性物質無含有(皮膚接触)層を活性物質含有層と積層した。この目的のために、層のコーティング及び乾燥のために使用された不粘着性を有する箔を取り除き、得られた活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の開放面を一緒に積層して、裏地層、活性物質含有層、及び活性物質無含有(皮膚接触)層を含む活性物質含有自己接着性層構造を得、このとき活性物質含有層は、裏地層に付着され、活性物質無含有剤(皮膚接触)層は、活性物質含有層に付着され、構造は、活性物質無含有(皮膚接触)層に付着された剥離ライナーによって閉鎖される。
【0280】
TTSの調製
個々のシステム(TTS)を、上記のように得られた活性物質含有自己接着性層構造から打ち抜いた。その後、TTSを一次包装材料のポーチに密封した。
【0281】
皮膚透過の測定
実施例2A及び2Bに従って調製したTTSの透過量を、実施例1A及び1Bで記載したように決定した。
【0282】
【0283】
実施例3A及び3B
活性物質含有コーティング組成物
実施例3A及び3Bの活性物質含有コーティング組成物の製剤を以下の表3.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表7】
【0284】
活性物質含有コーティング組成物の調製
ビーカーに、約50重量%の固形分を有するシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤(Dow Corning HealthcareのPSA SilAc 7-6302)を加えた。約40重量%の固形分を有するアクリレートビニルアセテート接着剤(HenkelのDURO-Tak87-4098)及びリバスチグミンベースを撹拌しながら加えた。混合物を約800rpmで、均一な混合物が得られるまで(少なくとも20分)撹拌した。
【0285】
活性物質含有コーティング組成物のコーティング
得られた活性物質含有コーティング組成物を、エリクソンコーティング装置を使用した、ハンドオーバーナイフラボコーティング機を使用して、不粘着性を有する箔(Scotchpak 9755 AB1F)に、24時間経たない内にコーティングした。ほぼ室温(23±2℃)で約10分間の第1のステップで乾燥させ、続いて約60℃で約20分間の第2の乾燥ステップによって、溶媒を除去した。
【0286】
コーティング厚は、溶液の除去によって活性物質含有層の面積重量が約90.0g/m2になるように選択した。
【0287】
次に、得られた活性物質含有層を、裏地層(FO PET、23μm、透明)と積層した。
【0288】
活性物質無含有コーティング組成物
実施例3A及び3Bの活性物質無含有コーティング組成物の製剤を以下の表3.2に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表8】
【0289】
活性物質無含有コーティング組成物の調製
両成分を、適切な容器、例えば、ガラス容器中に別々に秤量した。引き続き、成分Aを混合容器に添加し、続いて成分Bを添加した。次いで、成分Aと成分Bの均質な混合物が得られるまで、混合物を約200rpmで約5分間混合した。
【0290】
活性物質無含有コーティング組成物のコーティング
約30分の時間枠内で、得られた活性物質無含有コーティング組成物を、ハンドオーバーナイフラボコーティング機、例えば、エリクソンコーティング装置を使用して、不粘着性を有する箔にコーティングした。コーティング温度を120℃に設定した。得られた活性物質無含有層をこの温度で約5分間加熱した。
【0291】
コーティング厚は、溶媒の除去によって、活性物質無含有(皮膚接触)層の層厚が、約50μm(実施例3Aの場合)及び100μm(実施例3Bの場合)になるように選択した。
【0292】
得られた活性物質無含有(皮膚接触)層を剥離ライナー(FEP、100μm)と積層した。
【0293】
活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の積層
次に、活性物質無含有(皮膚接触)層を活性物質含有層と積層した。この目的のために、層のコーティング及び乾燥のために使用された不粘着性を有する箔を取り除き、得られた活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の開放面を一緒に積層して、裏地層、活性物質含有層、及び活性物質無含有(皮膚接触)層を含む活性物質含有自己接着性層構造を得、このとき活性物質含有層は、裏地層に付着され、活性物質無含有剤(皮膚接触)層は、活性物質含有層に付着され、構造は、活性物質無含有(皮膚接触)層に付着された剥離ライナーによって閉鎖される。
【0294】
TTSの調製
個々のシステム(TTS)を、上記のように得られた活性物質含有自己接着性層構造から打ち抜いた。その後、TTSを一次包装材料のポーチに密封した。
【0295】
皮膚透過の測定
実施例3A及び3Bに従って調製したTTSの透過量を、実施例1A及び1Bで記載したように決定した。
【0296】
【0297】
実施例4A及び4B
活性物質含有コーティング組成物
実施例4A及び4Bの活性物質含有コーティング組成物の製剤を以下の表4.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表10】
【0298】
活性物質含有コーティング組成物の調製
ビーカーに、約50重量%の固形分を有するシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤(Dow Corning HealthcareのPSA SilAc 7-6302)を加えた。40重量%の固形分を有するアクリレートビニルアセテート接着剤(HenkelのDURO-Tak87-4098)及びリバスチグミンベースを撹拌しながら加えた。混合物を約800rpmで、均一な混合物が得られるまで(少なくとも20分)撹拌した。
【0299】
活性物質含有コーティング組成物のコーティング
得られた活性物質含有コーティング組成物を、エリクソンコーティング装置を使用した、ハンドオーバーナイフラボコーティング機を使用して、不粘着性を有する箔(Scotchpak 9755 AB1F)に、24時間経たない内にコーティングした。ほぼ室温(23±2℃)で約10分間の第1のステップで乾燥させ、続いて約60℃で約20分間の第2の乾燥ステップによって、溶媒を除去した。
【0300】
コーティング厚は、溶液の除去によって活性物質含有層の面積重量が約90.0g/m2になるように選択した。
【0301】
次に、得られた活性物質含有層を、裏地層(FO PET、23μm、透明)と積層した。
【0302】
活性物質無含有コーティング組成物
実施例4A及び4Bの活性物質無含有コーティング組成物の製剤を以下の表4.2に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表11】
【0303】
活性物質無含有コーティング組成物の調製
両成分を、適切な容器、例えば、ガラス容器中に別々に秤量した。引き続き、成分Aを混合容器に添加し、続いて成分Bを添加した。次いで、成分Aと成分Bの均質な混合物が得られるまで、混合物を約200rpmで約5分間混合した。
【0304】
活性物質無含有コーティング組成物のコーティング
約30分の時間枠内で、得られた活性物質無含有コーティング組成物を、ハンドオーバーナイフラボコーティング機、例えば、エリクソンコーティング装置を使用して、不粘着性を有する箔にコーティングした。コーティング温度を120℃に設定した。得られた活性物質無含有層をこの温度で約5分間加熱した。
【0305】
コーティング厚は、溶媒の除去によって、活性物質無含有(皮膚接触)層の層厚が、約50μm(実施例4Aの場合)及び100μm(実施例4Bの場合)になるように選択した。
【0306】
得られた活性物質無含有(皮膚接触)層を、Scotchpak 9709剥離ライナー(フルオロシリコーンコーティングポリエステルフィルム)と積層した。
【0307】
活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の積層
次に、活性物質無含有(皮膚接触)層を活性物質含有層と積層した。この目的のために、層のコーティング及び乾燥のために使用された不粘着性を有する箔を取り除き、得られた活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の開放面を一緒に積層して、裏地層、活性物質含有層、及び活性物質無含有(皮膚接触)層を含む活性物質含有自己接着性層構造を得、このとき活性物質含有層は、裏地層に付着され、活性物質無含有剤(皮膚接触)層は、活性物質含有層に付着され、構造は、活性物質無含有(皮膚接触)層に付着された剥離ライナーによって閉鎖される。
【0308】
TTSの調製
個々のシステム(TTS)を、上記のように得られた活性物質含有自己接着性層構造から打ち抜いた。その後、TTSを一次包装材料のポーチに密封した。
【0309】
皮膚透過の測定
実施例4A及び4Bに従って調製したTTSの透過量を、実施例1A及び1Bで記載したように決定した。
【0310】
【0311】
実施例5
活性物質含有コーティング組成物
実施例5の活性物質含有コーティング組成物の製剤を以下の表5.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表13】
【0312】
活性物質含有コーティング組成物の調製
10L容器中で、1.00kgのポリビニルピロリドン及び3.00kgのエタノールを溶解させ、25%PVP前溶液を生成した。均質化/混合容器(Becomix LabミキサーRW30Ex)中で、1.368kgのPVP前溶液、0.958kgのレブリン酸、0.027kgのパルミチン酸アスコルビル、及びエタノールの第1の部分(0.912kg)を撹拌によって懸濁させた。所定量のブプレノルフィン塩基を秤量し、均質化/混合容器に添加し、続いて、ブプレノルフィンで使用した秤量容器をエタノールの残りの部分によってすすいだ。ブプレノルフィン塩基含有溶液が生成されるまで、混合物を少なくとも1時間撹拌下で維持した。73重量%の固形分を有するn-ヘプタン中の溶液の形態における15.048kgのシリコーン系ポリマー及び0.319kgのn-ヘプタンを混合/均質化容器に添加した。混合物は、固形分6%で、6.8重量%のブプレノルフィンを有するブプレノルフィン塩基含有接着剤混合物が生成されるまで、少なくとも2時間撹拌した。その後、この混合物を、約2250rpmで均質化ユニットを使用したロータ-ステータ装置を使用して均質化した。
【0313】
活性物質含有コーティング組成物のコーティング
24時間以内に、得られた活性物質含有コーティング組成物を、ポリエチレンテレフタレート箔(3MのScotchpak)に、乾燥トンネル、いくつかの乾燥セクション、巻き戻し及び積層ステーションを含むパイロットプラントのロールコーティング装置を使用してコーティングした。溶媒を、約30~50℃で乾燥させることによって除去した。層は約8分間乾燥トンネル内に残存した。
【0314】
コーティング厚は、溶媒の除去によって活性物質含有層の面積重量が約90.0g/m2になるように選択した。これは、この層に、10重量%のブプレノルフィン、7重量%のレブリン酸、2.5重量%のポリビニルピロリドン(PVP)、0.2重量%のパルミチン酸アスコルビル、及び80.3重量%のシリコーン系ポリマーをもたらす。
【0315】
次に、得られた活性物質含有層を裏地層(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)箔、19μm)と積層した。
【0316】
活性物質無含有コーティング組成物
実施例5の活性物質無含有コーティング組成物の製剤を以下の表5.2に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表14】
【0317】
活性物質無含有コーティング組成物の調製
両成分を、適切な容器、例えば、ガラス容器中に別々に秤量した。引き続き、成分Aを混合容器に添加し、続いて成分Bを添加した。次いで、成分Aと成分Bの均質な混合物が得られるまで、混合物を約200rpmで約5分間混合した。
【0318】
活性物質無含有コーティング組成物のコーティング
約30分の時間枠内で、得られた活性物質無含有コーティング組成物を、ハンドオーバーナイフラボコーティング機、例えば、エリクソンコーティング装置を使用して、不粘着性を有する箔にコーティングした。コーティング温度を120℃に設定した。得られた活性物質無含有層をこの温度で約5分間加熱した。
【0319】
コーティング厚は、溶媒の除去によって、皮膚接触層の面積重量が約20g/m2になるように選択した。これによって、活性物質無含有(皮膚接触)層に100重量%のSoft Skin Adhesiveが得られる。
【0320】
得られた活性物質無含有(皮膚接触)層を剥離ライナー(FEP、100μm)と積層した。
【0321】
活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の積層
次に、活性物質無含有(皮膚接触)層を活性物質含有層と積層した。この目的のために、層のコーティング及び乾燥のために使用された不粘着性を有する箔を取り除き、得られた活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の開放面を一緒に積層して、裏地層、活性物質含有層、及び活性物質無含有(皮膚接触)層を含む活性物質含有自己接着性層構造を得、このとき活性物質含有層は、裏地層に付着され、活性物質無含有剤(皮膚接触)層は、活性物質含有層に付着され、構造は、活性物質無含有(皮膚接触)層に付着された剥離ライナーによって閉鎖される。
【0322】
TTSの調製
個々のシステム(TTS)を、上記のように得られた活性物質含有自己接着性層構造から打ち抜いた。
【0323】
皮膚透過の測定
実施例5に従って調製したTTSの透過量を、9.0mlのフランツ拡散セルを用いて実行したOECDガイドライン(2004年4月13日に採用)に従う実験によって決定した。美容外科手術からの分層ヒト皮膚(女性腹部、出生1988年)を使用した。採皮刀を使用して、全てのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに調製した。長期試験(168時間)のため、推奨される200~400μmの皮膚の代わりに800μmの皮膚を使用する。1.191cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。フランツ拡散セルの受容培地(抗微生物剤として0.1%アジ化ナトリウムを添加したpH5.5のリン酸緩衝液)中のブプレノルフィンの透過量を32±1℃の温度で測定した。
【0324】
【0325】
インビトロ放出速度の測定
実施例5に従って調製したTTSから放出されたブプレノルフィンの量を、USP724及びPharmacopeia 2.9.4に従う回転シリンダー法を使用するインビトロ溶解実験によって決定した。酢酸緩衝液pH4.5±0.1を放出媒体として使用した。この目的のため、それを溶解容器に600mlの体積で充填し、32℃±0.5℃まで加熱した。10cm2のダイカットをTTSから打ち抜き、ポリエステルフィルム(Hostaphan RN 100、Kalle)で裏面を補強し、両面接着テープ(Duplocoll 3205、Lohmann)で片面に積層した。ダイカットの裏面を、両面接着テープ(Duplocoll 3205、Lohmann)を使用して、シリンダーに固定した。続いて、剥離ライナーをTTSから取り外した。シリンダーを放出媒体に浸漬し、直ちに50rpmの速度で回転するように設定した。10mlの試料を、0.5、2、8、24、及び48時間後に放出媒体から取り出した。試料体積は、新しい放出媒体に置き換えなかった。試料は、それらのブプレノルフィン含有量について、ステンレス鋼カラム(ODS相HyperSil ODSを充填した150mm×内径4mm、Thermo Corp.、VDS Optilab)、移動相(流量1.0mL/分、注入体積20μl)としてアセトニトリル/0.05MのKH2PO4溶液(50:50(v/v)、pH3.5)、及び220nmでのUV検出を使用したHPLCによって分析した。
【0326】
【0327】
接着力の測定
引張強度試験機を使用して、TTSを用いて接着力試験を実施した。試験の前に、試料をおよそ室温(23±2℃)及びおよそ50%rh(相対湿度)で制御された条件下で24時間平衡化した。さらに、試料を25mmの固定幅及び好適な長さを有する断片に切断した。不粘着性を有する箔の最初の数ミリメートルを引き剥がし、スプライシングテープをブプレノルフィン含有層構造の開放された接着剤側に適用した。次いで、不粘着性を有する箔を完全に取り除き、試料を、清浄化した試験プレート(アルミニウム)の中央の上に、接着表面を長手方向にして設置した。試験プレートを引張強度機械の下側クランプに固定した。機械をゼロに調節し、スプライシングテープを機械の上側クランプに把持させた。引張角度を90°に設定した。3つの試料の接着力を測定した後、接着力の平均値を計算した。測定値は、単位「N/試料幅」[N/25mm]に基づく。
【0328】
【0329】
粘着性の測定
粘着性(短時間の接触後に物体を接着面から分離するために必要な力)試験は、プローブタックテスターPT-1000(ChemInstruments)を使用して、倒立型プローブ装置を用いた接着剤の感圧接着剤の標準試験法(ASTM D2979-01、2009年再承認)に従って、TTSで実施した。試験の前に、試料をおよそ室温(23±2℃)及びおよそ50%rhで制御された条件下で24時間平衡化した。粘着性を決定するために、5mmの直径を有する清浄化したプローブの先端を、ブプレノルフィン含有接着剤マトリックス層の接着表面と1秒間、所定の速度(10±0.1mm/秒)で、所定の圧力(9.79±0.10kPa)下、所与の温度(23±2℃)で接触させ、引き続き、プローブと接着剤との間に形成された結合を同じ速度で破壊した。粘着性は、粘着結合を破壊するために必要とされる最大の力として測定された(ASTM D2979-01、2009年に再承認、を参照)。完了後、3つの関連する試料の個々の結果からの平均値を計算し、平均粘着値を[N]で報告した。
【0330】
【0331】
実施例6A及び6B
活性物質含有コーティング組成物
実施例6A及び6Bの活性物質含有コーティング組成物の製剤を以下の表6.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表19】
【0332】
活性物質含有コーティング組成物の調製
250mLのワイドネックガラス中で、ブプレノルフィン塩基を、レブリン酸、エタノール、適用できる場合にPVP溶液、及びパルミチン酸アスコルビルに懸濁し、ブプレノルフィンの完全な溶解まで混合物を撹拌した。固形分50重量%を有するn-ヘプタンまたは酢酸エチル中の混合物の形態におけるシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤、及び固形分を調整するn-ヘプタンを添加した。混合物を均質になるまで撹拌して、5.19重量%(実施例6A)及び5.14重量%(実施例6B)のブプレノルフィンを有するブプレノルフィン含有コーティング組成物を、それぞれ固形分51.9%(実施例6A)及び51.4%(実施例6B)で得た。
【0333】
活性物質含有コーティング組成物のコーティング
24時間以内に、得られた活性物質含有コーティング組成物を、エリクソンコーティング装置を使用した、ハンドオーバーナイフラボコーティング機を使用して、不粘着性を有する箔(3MのScotchpak)にコーティングした。ほぼ室温(23±2℃)で約10分間の第1のステップで乾燥させ、続いて約75℃で約10分間の第2の乾燥ステップによって、溶媒を除去した。
【0334】
コーティング厚は、溶媒の除去によって活性物質含有層の面積重量が約90.0g/m2になるように選択した。
【0335】
次に、得られた活性物質含有層を裏地層(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)箔、19μm)と積層した。
【0336】
活性物質無含有コーティング組成物
実施例6A及び6Bの活性物質無含有コーティング組成物の製剤を、以下の表6.2に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表20】
【0337】
活性物質無含有コーティング組成物の調製
両成分を、適切な容器、例えば、ガラス容器中に別々に秤量した。引き続き、成分Aを混合容器に添加し、続いて成分Bを添加した。次いで、成分Aと成分Bの均質な混合物が得られるまで、混合物を約200rpmで約5分間混合した。
【0338】
活性物質無含有コーティング組成物のコーティング
約30分の時間枠内で、得られた活性物質無含有コーティング組成物を、ハンドオーバーナイフラボコーティング機、例えば、エリクソンコーティング装置を使用して、不粘着性を有する箔にコーティングした。コーティング温度を120℃に設定した。得られた活性物質無含有層をこの温度で約5分間加熱した。
【0339】
コーティング厚は、溶媒の除去によって、皮膚接触層の面積重量が約20g/m2になるように選択した。これによって、活性物質無含有(皮膚接触)層に100重量%のSoft Skin Adhesiveが得られる。
【0340】
得られた活性物質無含有(皮膚接触)層を剥離ライナー(FEP、100μm)と積層した。
【0341】
活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の積層
次に、活性物質無含有(皮膚接触)層を活性物質含有層と積層した。この目的のために、層のコーティング及び乾燥のために使用された不粘着性を有する箔を取り除き、得られた活性物質含有層及び活性物質無含有(皮膚接触)層の開放面を一緒に積層して、裏地層、活性物質含有層、及び活性物質無含有(皮膚接触)層を含む活性物質含有自己接着性層構造を得、このとき活性物質含有層は、裏地層に付着され、活性物質無含有剤(皮膚接触)層は、活性物質含有層に付着され、構造は、活性物質無含有(皮膚接触)層に付着された剥離ライナーによって閉鎖される。
【0342】
TTSの調製
個々のシステム(TTS)を、上記のように得られた活性物質含有自己接着性層構造から打ち抜いた。
【0343】
皮膚透過の測定
実施例6A及び6Bに従って調製したTTSの透過量を、実施例5について記載したように決定した。
【0344】
【0345】
インビトロ放出速度の測定
実施例6A及び6Bに従って調製したTTSから放出されたブプレノルフィンの量を、実施例5について記載したように決定した。
【0346】
【0347】
接着力の測定
接着力試験を、実施例5について記載したように、実施例6A及び6BによるTTSで実施した。
【0348】
【0349】
粘着性の測定
粘着性試験を、実施例5について記載したように、実施例6A及び6BによるTTSで実施した。
【0350】
【0351】
比較例1
TTS
比較例1(比較1)は、市販のリバスチグミン含有TTS製品Exelon(登録商標)であり、リバスチグミン含有アクリルベースの層(60g/m2)及びリバスチグミン無含有シリコーンベースの皮膚接触層(30g/m2)を有し、Novartis Pharmaから入手可能である。
【0352】
皮膚透過の測定
市販のExelon(登録商標)TTS(比較1)の透過量を、10.0mlのフランツ拡散セルを用いて実施した経皮パッチの品質に関するEMAガイドライン(2014年10月23日採択)に従った実験によって決定し、50μmの厚さを有するEVA膜(9%酢酸ビニル、PetroplastVinora AGのNitroderm TTS K-Membrane 343mm)を使用した。1.118cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。32±1℃の温度でフランツ拡散セルの受容体媒体(抗菌剤として0.1%アジ化ナトリウムを有するpH5.5のリン酸緩衝液)中のリバスチグミンの浸透量を測定した。
【0353】
【0354】
比較例2
活性物質含有コーティング組成物
比較例2(比較2)の活性物質含有コーティング組成物の製剤を、以下の表8.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表26】
【0355】
活性物質含有コーティング組成物の調製
10L容器中で、1.00kgのポリビニルピロリドン及び3.00kgのエタノールを溶解させ、25%PVP前溶液を生成した。均質化/混合容器(Becomix LabミキサーRW30Ex)中で、1.368kgのPVP前溶液、0.958kgのレブリン酸、0.027kgのパルミチン酸アスコルビル、及びエタノールの第1の部分(0.912kg)を撹拌によって懸濁させた。所定量のブプレノルフィン塩基を秤量し、均質化/混合容器に添加し、続いて、ブプレノルフィンで使用した秤量容器をエタノールの残りの部分によってすすいだ。ブプレノルフィン塩基含有溶液が生成されるまで、混合物を少なくとも1時間撹拌下で維持した。73重量%の固形分を有するn-ヘプタン中の溶液の形態における15.048kgのシリコーン系ポリマー及び0.319kgのn-ヘプタンを混合/均質化容器に添加した。混合物は、固形分6%で、6.8重量%のブプレノルフィンを有するブプレノルフィン塩基含有接着剤混合物が生成されるまで、少なくとも2時間撹拌した。その後、この混合物を、約2250rpmで均質化ユニットを使用したロータ-ステータ装置を使用して均質化した。
【0356】
活性物質含有コーティング組成物のコーティング
24時間以内に、得られた活性物質含有コーティング組成物を、ポリエチレンテレフタレート箔(3MのScotchpak)に、乾燥トンネル、いくつかの乾燥セクション、巻き戻し及び積層ステーションを含むパイロットプラントのロールコーティング装置を使用してコーティングした。溶媒を、約30~50℃で乾燥させることによって除去した。層は約8分間乾燥トンネル内に残存した。
【0357】
コーティング厚は、溶媒の除去によって活性物質含有層の面積重量が約90.0g/m2になるように選択した。これは、この層に、10重量%のブプレノルフィン、7重量%のレブリン酸、2.5重量%のポリビニルピロリドン(PVP)、0.2重量%のパルミチン酸アスコルビル、及び80.3重量%のシリコーン系ポリマーをもたらす。
【0358】
次に、得られた活性物質含有層を裏地層(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)箔、19μm)と積層した。
【0359】
TTSの調製
個々のシステム(TTS)を、上記のように得られるブプレノルフィン含有自己接着性層構造から打ち抜いた。
【0360】
皮膚透過の測定
実施例5について記載したように、比較2に従って調製したTTSの透過量を決定した。
【0361】
【0362】
インビトロ放出速度の測定
比較2に従って調製したTTSから放出されたブプレノルフィンの量を、実施例5について記載したように決定した。
【0363】
【0364】
接着力の測定
接着力試験を、実施例5について記載したように、比較2によるTTSで実施した。
【0365】
【0366】
粘着性の測定
粘着性試験を、実施例5について記載したように、比較2によるTTSで実施した。
【0367】
【0368】
比較例3A及び3B
活性物質含有コーティング組成物
比較例3A及び3B(比較3A及び3B)の活性物質含有コーティング組成物の製剤を、以下の表9.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【表31】
【0369】
活性物質含有コーティング組成物の調製
250mLのワイドネックガラス中で、ブプレノルフィン塩基を、レブリン酸、エタノール、適用できる場合にPVP溶液、及びパルミチン酸アスコルビルに懸濁し、ブプレノルフィンの完全な溶解まで混合物を撹拌した。固形分50重量%を有するn-ヘプタンまたは酢酸エチル中の混合物の形態におけるシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤、及び固形分を調整するn-ヘプタンを添加した。混合物を均質になるまで撹拌して、5.19重量%(比較3A)及び5.14重量%(比較3B)のブプレノルフィンを有するブプレノルフィン含有コーティング組成物を、それぞれ固形分51.9%(比較3A)及び51.4%(比較3B)で得た。
【0370】
活性物質含有コーティング組成物のコーティング
24時間以内に、得られた活性物質含有コーティング組成物を、エリクソンコーティング装置を使用した、ハンドオーバーナイフラボコーティング機を使用して、不粘着性を有する箔(3MのScotchpak)にコーティングした。ほぼ室温(23±2℃)で約10分間の第1のステップで乾燥させ、続いて約75℃で約10分間の第2の乾燥ステップによって、溶媒を除去した。
【0371】
コーティング厚は、溶媒の除去によって活性物質含有層の面積重量が約90.0g/m2になるように選択した。
【0372】
次に、得られた活性物質含有層を裏地層(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)箔、19μm)と積層した。
【0373】
TTSの調製
個々のシステム(TTS)を、上記のように得られるブプレノルフィン含有自己接着性層構造から打ち抜いた。
【0374】
皮膚透過の測定
実施例5について記載したように、比較3A及び3Bに従って調製したTTSの透過量を決定した。
【0375】
【0376】
インビトロ放出速度の測定
化合物3A及び3Bに従って調製したTTSから放出されたブプレノルフィンの量を、実施例5について記載したように決定した。
【0377】
【0378】
接着力の測定
接着力試験を、実施例5について記載したように、比較3A及び3BによるTTSで実施した。
【0379】
【0380】
粘着性の測定
粘着性試験を、実施例5について記載したように、比較3A及び3BによるTTSで実施した。
【0381】
【0382】
本発明は、具体的には、以下のさらなる条項に関する。
1.活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムであって、前記活性剤含有層構造が、
A)裏地層と、
B)少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む活性剤含有層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
前記皮膚接触層が、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、前記接着剤層は前記活性剤含有層に直接的に付着される、前記経皮治療システム。
【0383】
2.前記活性剤含有層が、
-前記活性剤、及び
-前記少なくとも1つのシリコーン含有ポリマー、を含む活性剤含有マトリックス層である、条項1に記載の経皮治療システム。
【0384】
3.前記少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーが、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである、条項1または2に記載の経皮治療システム。
【0385】
4.前記少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーが、前記活性剤含有層に、前記活性剤含有層の総重量に基づいて、20~90重量%、好ましくは60~90重量%の量で存在する、条項1~3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0386】
5.前記活性剤が、前記活性剤含有層に、前記活性剤含有層の総重量に基づいて、5~25重量%、好ましくは8~22重量%の量で存在する、条項1~4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0387】
6.前記活性剤含有層が、任意選択的に、少なくとも1つのアクリルポリマーを、前記活性剤含有層の総重量に基づいて、5~80重量%、好ましくは5~20重量%の量でさらに含む、条項1~5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0388】
7.前記活性剤含有層が、
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、または
-シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンド、または
-シリコーン系ポリマー及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含むポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンド、を含む、条項1~6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0389】
8.前記活性剤含有層が、
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマーであって、好ましくは、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10の重量比で含む、前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、または
-シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、前記シリコーン系ポリマーが、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて少なくとも20重量%の量で存在する、前記ポリマーブレンド、または
-シリコーン系ポリマー及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含むポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンド、を含む、条項1~7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0390】
9.前記活性剤含有層が、
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマーであって、好ましくは、シリコーン相及びアクリレート相を20:80~90:10の重量比で含む、前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、または
-シリコーン系ポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、前記シリコーン系ポリマーが、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて少なくとも20重量%の量で存在する、前記ポリマーブレンド、または
-シリコーン系ポリマー及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含むポリマーブレンド、または
-シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及びアクリルポリマーを含むポリマーブレンドであって、前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて少なくとも20重量%の量で存在する、前記ポリマーブレンド、を含む、条項1~8のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0391】
10.前記アクリルポリマーが、アクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t-オクチルアクリルアミド、及び酢酸ビニルから選択される1つ以上のモノマーから、好ましくは、エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び酢酸ビニルから選択される1つ以上のモノマーから得ることができる、条項6~9のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0392】
11.前記シリコーン系ポリマーが、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂との重縮合によって得ることができる、条項3~10のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0393】
12.前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、シリコーンポリマー、シリコーン樹脂、及びアクリルポリマーの反応生成物を含み、前記アクリルポリマーが、共有結合によって自己架橋され、前記シリコーンポリマー及び/または前記シリコーン樹脂に共有結合される、条項3~11のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0394】
13.前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む、シリコーン含有感圧接着組成物、から得ることができるシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である、条項3~11のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0395】
14.前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む、シリコーン含有感圧接着組成物と、
(b)エチレン性不飽和モノマーと、
(c)反応開始剤と、の反応生成物を含む、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である、条項3~11、または13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0396】
15.アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む前記シリコーン含有感圧接着組成物が、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む、シリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含む、条項13または14に記載の経皮治療システム。
【0397】
16.アクリレートまたはメタクリレート官能性を含む前記シリコーン含有感圧接着組成物が、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)アクリレートまたはメタクリレート官能性を含むシリコーン含有キャッピング剤と、の縮合反応生成物を含み、前記シリコーン含有キャッピング剤が、一般式XYR’bSiZ3-bであり、式中、Xが、一般式AEの一価ラジカルであり、Eが、-O-または-NH-であり、Aが、アクリル基またはメタクリル基であり、Yが、1~6個の炭素原子を有する二価アルキレンラジカルであり、R’が、メチルまたはフェニルラジカルであり、Zが、一価加水分解性有機ラジカルまたはハロゲンであり、bが、0または1であり、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーを反応させて感圧接着剤を生成し、前記シリコーン含有キャッピング剤が、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーが反応する前、反応中、または反応した後に導入され、
前記シリコーン含有キャッピング剤が、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーが縮合反応して前記感圧接着剤を生成している後に前記感圧接着剤と反応するか、または前記シリコーン含有キャッピング剤が、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーとその場で反応する、条項13~15のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0398】
17.前記エチレン性不飽和モノマーが、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記化合物の各々が、アルキルラジカル中に最大20個の炭素原子を有し、前記エチレン性不飽和モノマーが、好ましくは、2-エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレートの組み合わせであり、特に好ましくは、40:60~70:30の比である、条項13~16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0399】
18.前記シリコーンアクリルハイブリッドポリマーが、連続したシリコーン外部相及び不連続なアクリル内部相、または連続したアクリル外部相及び不連続なシリコーン内部相を含有する、条項3~17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0400】
19.前記シリコーンゲル接着剤が、(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、(ii)ケイ素結合水素原子を含有する少なくとも1つのオルガノシロキサンと、(iii)SiH基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、を含むゲル生成組成物を反応させることによって得ることができる、条項1~18のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0401】
20.前記シリコーンゲル接着剤が、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる、条項1~19のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0402】
21.前記シリコーンゲル接着剤が、約2~約45重量%の少なくとも1つのヒドロキシル置換シリケート樹脂を含有する、シリケート樹脂増強化シリコーンゲル接着剤である、条項1~20のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0403】
22.前記活性剤が、リバスチグミンまたはブプレノルフィンである、条項1~21のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0404】
23.前記活性剤が、リバスチグミンであり、前記経皮治療システムが、経皮送達によって、約24時間の投与にわたって、150~3500μg/cm2*日、好ましくは200~3000μg/cm2*日のリバスチグミンの平均放出速度を提供する、条項1~22のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0405】
24.前記活性剤が、リバスチグミンであり、前記経皮治療システムが、EVA膜を備えたフランツ拡散セルにおいて測定されたとき、約24時間の期間にわたって約600~1200μg/cm2のリバスチグミンの累積透過量を提供する、条項1~23のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0406】
25.前記活性剤が、ブプレノルフィンであり、前記経皮治療システムが、経皮送達によって、少なくとも48時間、好ましくは少なくとも72時間の投与にわたって、2~25μg/時、好ましくは5~20μg/時のブプレノルフィンの平均放出速度を提供する、条項1~22のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0407】
26.前記活性剤が、ブプレノルフィンであり、経皮治療システムが、ヒト皮膚を備えたフランツ拡散セルで測定されるとき、約72時間1の期間にわたって、約60~130μg/cm2のブプレノルフィンの累積透過量を提供する、条項1~22、または25のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0408】
27.前記経皮治療システムが、剥離ライナーをさらに含む、条項1~26のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0409】
28.治療方法における使用のためのものであり、前記経皮治療システムが、好ましくは、前記患者の皮膚に、少なくとも24時間、または少なくとも72時間適用される、条項1~27のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0410】
29.アルツハイマー病、パーキンソン病に関連する認知症、及び/または外傷性脳損傷の症状を予防、治療、または進行遅延する方法における使用のための、条項1~24、または27のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0411】
30.疼痛を治療する方法における使用のための、条項1~22、25、26、または27のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0412】
31.条項1~27のいずれか1項に記載の経皮治療システムにおける使用のための活性剤含有層構造を製造するためのプロセスであって、
1.1)
-活性剤、及び
-少なくとも1つのシリコーン含有ポリマー、
を含むコーティング組成物を、第1の箔にコーティングするステップと、
1.2)前記コーティングしたコーティング組成物を乾燥させて、前記活性剤含有層を形成するステップと、
1.3)前記活性剤含有層を裏地層と積層するステップと、
2.1)
(i)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、
(ii)ケイ素結合水素原子を含有する、少なくとも1つのオルガノシロキサンと、
(iii)SiH基とSi-アルケニル基との反応のための少なくとも1つの触媒と、を含むゲル生成組成物を第2の箔上にコーティングするステップと、
2.2)前記ゲル生成組成物を、50℃~150℃の温度で、またはUV光を適用することによって架橋して、前記皮膚接触層を形成するステップと、
2.3)前記皮膚接触層を剥離ライナーと積層するステップと、
3.1)前記活性剤含有層及び前記皮膚接触層から前記箔を除去するステップと、
3.2)前記活性剤含有層の開放面を前記皮膚接触層の開放面に積層して、活性剤含有層構造を得るステップと、を含む、前記プロセス。
【0413】
32.前記シリコーン含有ポリマーが、溶液として提供され、前記溶媒が、好ましくは酢酸エチルまたはn-ヘプタンである、条項31に記載のプロセス。
【0414】
33.条項31または32のいずれか1項に記載のプロセスによって得ることができる、経皮治療システム。
【0415】
34.活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムであって、前記活性剤含有層構造が、
A)裏地層と、
B)活性剤、及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを含む、活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
前記皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、前記接着剤層は前記活性剤含有層に直接的に付着されており、
前記シリコーンゲル接着剤が、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる、前記経皮治療システム。
【0416】
35.前記活性剤が、リバスチグミンまたはブプレノルフィンであり、前記活性剤が治療有効量で存在する、条項34に記載の経皮治療システム。
【0417】
36.前記皮膚接触層が、活性剤を含まず、及び/または前記経皮治療システムが剥離ライナーをさらに含む、条項34または35に記載の経皮治療システム。
【0418】
37.活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムであって、前記活性剤含有層構造が、
A)裏地層と、
B)活性剤含有マトリックス層の総重量に基づいて各々の場合に、活性剤を5~25重量%の量、及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを20~90重量%の量で含む、前記活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
前記皮膚接触層は、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、前記接着剤層は前記活性剤含有層に直接的に付着されており、
前記シリコーンゲル接着剤は、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる、前記経皮治療システム。
【0419】
38.前記活性剤が、リバスチグミンまたはブプレノルフィンである、条項37に記載の経皮治療システム。
【0420】
39.前記皮膚接触層が、活性剤を含まず、及び/または前記経皮治療システムが剥離ライナーをさらに含む、条項37または38に記載の経皮治療システム。
【0421】
40.活性剤含有層構造を含む活性剤の経皮投与のための経皮治療システムであって、前記活性剤含有層構造が、
A)裏地層と、
B)活性剤含有マトリックス層の総重量に基づいて各々の場合に、活性剤を8~22重量%の量、及びシリコーンアクリルハイブリッドポリマー、シリコーン系ポリマー、またはそれらの組み合わせである少なくとも1つのシリコーン含有ポリマーを60~90重量%の量で含む、前記活性剤含有マトリックス層と、
C)皮膚接触層と、を含み、
前記皮膚接触層が、シリコーンゲル接着剤を含む接着剤層であり、前記接着剤層は前記活性剤含有層に直接的に付着されており、
前記シリコーンゲル接着剤が、(i)ビニルメチルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、を含むゲル生成組成物を、(ii)トリメチルシリル末端基を有するメチル水素ポリシロキサンと、(iii)白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる、前記経皮治療システム。
【0422】
41.前記活性剤が、リバスチグミンまたはブプレノルフィンである、条項40に記載の経皮治療システム。
【0423】
42.前記皮膚接触層が、活性剤を含まず、及び/または前記経皮治療システムが剥離ライナーをさらに含む、条項40または41に記載の経皮治療システム。