(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】発光モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240904BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240904BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240904BHJP
【FI】
F21S2/00 340
H01L33/58
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022540670
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2021050769
(87)【国際公開番号】W WO2021144402
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020101038.9
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン エンゲター
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ギュンター
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-106047(JP,A)
【文献】特表2017-510061(JP,A)
【文献】特開昭58-140901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0225147(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0226839(US,A1)
【文献】特表2003-517383(JP,A)
【文献】特開平10-125115(JP,A)
【文献】特開2014-175126(JP,A)
【文献】特開2015-149307(JP,A)
【文献】特表2012-503335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 1/00 - 15/04
F21V 19/00 - 19/06
H01L 33/00 - 33/64
G02B 7/00 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光モジュールであって、
取付け側(1a)を有する接続支持体(1)と、
前記接続支持体(1)の前記取付け側(1a)に固定されていて、電気的に接続されている光源(2)と、
前記接続支持体(1)の前記取付け側(1a)を部分的に覆っていて、前記光源(2)の側方を取り囲んでいるカバー(3)と、
前記光源(2)の、前記接続支持体(1)に背を向ける側に配置された中央領域(41)を備えた光学素子(4)と
を備え、
前記光源(2)は、前記接続支持体(1)と前記光学素子(4)との間に配置されており、
前記光源(2)から前記カバー(3)に衝突することによって生じる反射光(6)が、前記光学素子(4)の前記中央領域(41)に衝突するのを阻止する措置が講じられて
おり、
前記光学素子(4)の中心領域に前記反射光(6)が入射するのを防ぐ遮光体(8)によって前記措置が講じられており、
前記遮光体(8)は、前記光源(2)と前記光学素子(4)との間に配置されており、
前記遮光体(8)は、前記光源(2)と前記カバー(3)とを覆い、
前記遮光体(8)は、前記光学素子(4)の前記中央領域(41)の直下の領域に光学開口を有し、
前記光源(2)からの光は、前記光学開口を通過することができる、発光モジュール。
【請求項2】
前記カバー(3)は、前記光源(2)から放射された光(5)を前記光学素子(4)の前記中央領域(41)から逸らすように構成されており、前記カバー(3)の形状、光学特性、またはカバー(3)の材質によって、前記措置が講じられている、請求項1記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記カバー(3)は、前記光源(2)から離れる方向で増大する厚さ(D)を有する、請求項1または2記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記カバー(3)は、前記接続支持体(1)とは反対の側に反射性の外面(3a)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の発光モジュール。
【請求項5】
前記外面(3a)は、前記接続支持体(1)の前記取付け側(1a)における取付け面(11)に対して斜めに延びている、請求項4記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記カバー(3)は、その外面(3a)に光反射層(31)を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記光源(2)と前記カバー(3)との間に、前記光源(2)から放射された光(5)を前記光学素子(4)の前記中央領域(41)から逸らす光学体(7)が配置されて
おり、
前記光学体(7)は、光導体またはプリズムである、請求項1から6までのいずれか1項記載の発光モジュール。
【請求項8】
前記光学素子(41)は、前記中央領域(41)の側方を取り囲む縁領域(42)を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の発光モジュール。
【請求項9】
前記光学素子(4)は、前記縁領域(42)において、前記光学素子(4)の、前記接続支持体(1)に向けられた側で、光(6,61)を吸収するように構成された光吸収層(43)によって覆われている、請求項8記載の発光モジュール。
【請求項10】
前記光学素子(4)は、前記縁領域(42)において、前記光学素子(4)の、前記接続支持体(1)に向けられた側で、光(6,61)を反射させるように構成された光反射層(44)によって覆われている、請求項8または9記載の発光モジュール。
【請求項11】
前記遮光体(8)は、基体(81)と光非透過層(82)とを備え、前記光非透過層(82)は、前記基体(81)を前記カバー(3)の上方の領域で覆っており、前記基体(81)は、前記光源(2)の上方の領域に前記光非透過層(82)を備えない、請求項
1から10までのいずれか1項1記載の発光モジュール。
【請求項12】
前記カバー(3)は、前記取付け側(1a)における前記光源(2)を越えて前記接続支持体(1)の面方向に対して垂直方向に突出している、請求項1から
11までのいずれか1項記載の発光モジュール。
【請求項13】
前記光源(2)は、ピクセル配列された2つ以上の発光ダイオードチップ(21)を備える、請求項1から
12までのいずれか1項記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュールに関する。発光モジュールは、例えば自動車のヘッドライトまたは投影装置に使用することができる。発光モジュールは、作動中、赤外線と紫外線との間の波長帯域における光を発するように構成されている。例えば、発光モジュールは、作動中に白色光を発するように構成されている。
【0002】
解決すべき課題は、特に高い品質の光を放射する発光モジュールを提供することである。
【0003】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、発光モジュールは接続支持体を備えている。接続支持体は、例えば発光モジュールの電気コンポーネントを接触接続させるための接触箇所を備えたプリント基板である。接続支持体は、例えば、金属コアボードであってもよいし、金属製の接触箇所を備えたセラミック支持体であってもよいし、プリント配線板であってもよい。接続支持体は、取付け側に、発光モジュールの電気コンポーネントが装着されている取付け面を備えている。発光モジュールの電気コンポーネントを接触接続させるための接続支持体の電気的な特性のほかに、接続支持体は、特に、発光モジュールにおける機械的な支持機能をも有している。すなわち、発光モジュールの幾つかのコンポーネントは、接続支持体によって機械的に支持または保持される。
【0004】
少なくとも1つの実施形態によれば、発光モジュールは光源を備えている。光源は、電磁光線、特に発光モジュールから作動中に放射される光を生じさせるために形成されている。発光モジュールは、1つまたは複数の光源を備えていてよく、これらの光源は、同一であってもよいし、互いに異なって形成されていてもよい。
【0005】
光源は、そのために、例えば1つまたは複数の発光ダイオードチップを備えている。発光ダイオードチップは、例えばピクセル配列された(pixeliert.)発光ダイオードチップであってよい。ピクセル配列された発光ダイオードチップは、互いに別個に制御可能である2つ以上の発光領域を有している。例えばピクセル配列された発光ダイオードチップの発光領域は、格子状のグリッドのグリッドポイントに配置されている。
【0006】
光源の1つまたは複数の発光ダイオードチップは、例えば、作動中に紫外線および/または青色光の波長帯域における一次光線を生じさせる活性領域を備えている。この活性領域には、変換要素が後置されていてよく、この変換要素は、一次光線の一部を、より低エネルギの波長帯域二次光線に変換し、これによって、全体として混合光、例えば白色の混合光が放射される。
【0007】
発光モジュールの光源は、接続支持体の取付け側に固定されていて、電気接続されている。例えば光源は、ろう材または接着剤を用いて接続支持体の取付け面に固定されている。
【0008】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、発光モジュールは、接続支持体の取付け側を部分的に覆う、光源の側方を取り囲んでいるカバーを備えている。カバーは、光源を鉛直方向で覆うことなしに、光源を例えばその側方で完全に取り囲んでいてよい。側方は、例えば接続支持体の主延在方向に対して平行に、かつ/または接続支持体の取付け面に対して平行に延びている。鉛直方向は、側方に対して垂直に延びている。
【0009】
カバーは、そのために、接続支持体の取付け面に直接接触していてよい。カバーは例えば、発光モジュールの電気コンポーネントを接続支持体に導電接続している接続要素、例えばワイヤを覆っている。例えばカバーは、光源を接続支持体に導電接続しているワイヤを覆っている。カバーは、光源を特に環状にまたは枠状に取り囲んでいてよい。カバーは、例えばグローブトップである。
【0010】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、発光モジュールは、接続支持体の取付け側における光源に後置されている中央領域を備えた光学素子を備えている。言い換えれば、光源は、接続支持体と光学素子との間に配置されている。光学素子は、光学素子の縁領域によって側方が取り囲まれていてよい中央領域を有している。中央領域で光学素子に入射する光には、光学素子によって、目的に適った光学的な影響が与えられる。縁領域において入射する光には、望ましくない影響が与えられることがあり、したがって、縁領域における光線入射または縁領域から光学素子の中央領域への光線入射は所望されていない。
【0011】
光学素子は、例えば光学レンズ、フレネルレンズ、反射体、透明プレート、または集光器であってよい。光学素子は、例えば、光源から作動中に放射された光をファーフィールドに結像する、すなわち、例えば光源の輝度分布をファーフィールドに投影するために働く。光学素子は、ガラスまたはプラスチックのような鮮明に見える材料を含んで形成されている。
【0012】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子の中央領域への光の衝突を阻止する少なくとも1つの措置が講じられている。光は、特に反射した光であってよい。言い換えれば、この場合、光源から直接放射された光だけが光学素子の中央領域に衝突する措置が講じられている。発光モジュールの他のコンポーネント、例えば接続支持体において少なくとも一度反射させられた光は、この措置によって中央領域への衝突が阻止される。さらに、この措置によって、反射した光が、後続の光学系の受光角内に入射することを阻止することが可能である。
【0013】
付加的にまたは代替的に、光が部分的に、中央領域への入射が阻止される反射しない光であることも可能である。
【0014】
少なくとも1つの実施形態によれば、
- 取付け側を有する接続支持体と、
- 接続支持体の取付け側に固定されていて、電気的に接続されている光源と、
- 接続支持体の取付け側を部分的に覆っていて、光源の側方を取り囲んでいるカバーと、
- 接続支持体の取付け側における光源に後置されている中央領域を備えた光学素子と
を備え、
光学素子の中央領域への光の衝突を阻止する措置が講じられている、
発光モジュールが特定されている。
【0015】
本明細書に記載した発光モジュールは、特に下記の考察に基づいている。例えば自動車のヘッドライトまたは投影装置への発光モジュールの使用時には、光源の輝度分布は、ファーフィールドに直接結像されることが望ましい。このとき、照明領域の縁領域で、望ましくない鮮明な線または不明瞭な領域がファーフィールドに結像されるという問題が発生することがある。ファーフィールドへのこの望ましくない結像は、例えば、発光モジュールの他のコンポーネントで反射した光が、光学素子の中央領域に達し、こうしてファーフィールドに結像されることによって発生する。例えばカバーおよび/または接続支持体では、望ましくない形でファーフィールドに結像される反射が発生することがある。
【0016】
本明細書に記載した発光モジュールは、光学素子の中央領域への反射した光および/または反射しなかった光の一部の衝突を阻止することによって、光源の、ファーフィールドに投影された輝度を妨害因子となるアーティファクトなしに得ることができるという知見に基づいている。
【0017】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、カバーは、光源から放射された光を光学素子の中央領域から逸らすように構成されている。すなわち、この実施形態では、カバーは、例えば形状に関して、その光学特性に関して、かつ/またはその材料に関して、光学素子の中央領域への、例えば反射した光の衝突を阻止する措置が講じられているように形成されている。特に、この措置によって、光を後続の光学系の受光角から逸らすことが可能である。
【0018】
例えばカバーは、光源から離れる方向で少なくともまずは増大する厚さを有していてよい。こうして、カバーは、接続支持体とは反対の側に、光源から発生した光を光学素子の中央領域から逸らす外面を有していてよい。
【0019】
外面は、例えば少なくとも部分的に、接続支持体の取付け側における取付け面に対して斜めに延びている。例えば外面は、接続支持体の取付け面との間に鋭角を成している。つまり、カバーの横断面は、例えばくさび形に形成されていてよい。このようになっていると、光源から放射された光は、光学素子の、特に光源の真上に配置されている中央領域の方向に向けられるのではなく、光学素子の、カバーの上方に配置されていてよい縁領域または光学素子の側方を越えて配置されていてよい縁領域に向けられる。
【0020】
そのために特に、カバーは、接続支持体とは反対の側に、衝突した光を指向性反射させる反射性の外面を有していることが可能である。このことは例えば、カバーが反射性の材料を含んで形成されていて、かつ/またはカバーの、取付け側とは反対側の表面が、平滑な表面を有していることによって達成することができる。
【0021】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、カバーは、その外面に光反射層を有している。この実施形態では、カバーの外面が反射性に形成されている必要はなく、衝突した光を可能な限り指向性反射させるように構成された別の層が、カバーに装着されている。例えば光反射層は、互いに異なる屈折率を備えた層の層セットによって形成されており、これらの層はそれぞれ、金属酸化物および/または金属窒化物および/または半導体酸化物および/または半導体窒化物のような電気絶縁材料から形成されている。例えば反射層は、交互に、酸化シリコンおよび窒化シリコンを備えて形成された下側層を備えていてよい。代替的に、光反射層は、例えば銀および/またはアルミニウムを含むまたはこれらの材料のうちの1つの材料から成る金属層であってよい。
【0022】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光源とカバーとの間に、光源から放射された光を光学素子の中央領域から逸らす光学体が配置されている。光学体は、例えば反射体であってよい。反射体は、カバーの、光源に向けられた側で、カバーに直接隣接していてもよいし、カバーと光学体との間に間隙が配置されていてもよい。
【0023】
光学体は、例えば指向性反射性の材料を含んで形成されているか、またはその外面が、指向性反射性の材料によって被覆されている。光学体の横断面は、例えばくさび形に形成されていてよく、くさびは、光源に向かって先細りになっている。光学体は、接続支持体の取付け面に対して斜めに延びる外面を有している。
【0024】
さらに光学体は、光学体に入射する光を光学素子の中央領域から逸らす光導要素であってよい。この場合、光学体は、例えば光導体を備えていてもよいし、光導体であってもよい。さらに光学体は、衝突する光を光学素子の中央領域から逸らすように屈折させる、例えばプリズムのような光屈折要素であってよい。
【0025】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子は、中央領域の側方を取り囲む縁領域において、光学素子の、接続支持体に向けられた側に、光吸収層を有している。光吸収層は、光を吸収するように構成されている。言い換えれば、この実施形態では、光学素子の中央領域は、光学素子の、接続支持体に向けられた側で、衝突した光を吸収する光吸収層によって取り囲まれている。これによって、縁領域に入射する光は、光学素子の中央領域に達することができなくなる。このようにして、光学素子の中央領域への、例えば反射した光の衝突を阻止する措置が講じられている。光吸収層は、例えば、衝突する可視光の少なくとも90%を吸収する光吸収材料から成っている。光吸収層は、好ましくは反射しなかった光をも吸収することができ、このようにして、中央領域への入射を阻止することができる。光吸収層を形成するための材料としては、例えば有機の光学リムラッカまたは無機の被覆層が使用可能である。
【0026】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子は、縁領域において、光学素子の、接続支持体に向けられた側で、例えば反射した光を反射させるように構成された光反射層によって覆われている。このようになっていると、縁領域で光学素子に入射する光は、光学素子の中央領域に達することができなくなり、これによって、光学素子の中央領域への、例えば反射した光の衝突を阻止する措置が講じられている。光反射層は、例えば、衝突する可視光の少なくとも85%を反射させる材料を含んで形成されている。光反射層は、好ましくは反射しなかった光を反射させることができ、このようにして、中央領域への入射を阻止することができる。材料は、例えば銀被覆層またはアルミニウム被覆層、および/または絶縁被覆層であってよい。
【0027】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光源と光学素子との間に、光源とカバーとを覆う遮光体が配置されている。遮光体によって、光学素子の中央領域への光の衝突を阻止する措置が講じられている。そのために遮光体は、特に、光学素子の中央領域、つまり、例えば光学素子の中央領域の直下に、光源の光を通過させることができる光学的な開口を有している。この開口は、例えば光源の真上に配置されている。カバーの真上に遮光体は、カバーで反射した光および/または反射しなかった光の一部の入射を阻止する光非透過領域を有している。このようにして、光は光学素子の中央領域に達することができなくなる。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、遮光体は、基体と光非透過層とを備えており、光非透過層は、基体を、前記カバーの上方の領域において少なくとも部分的に覆っており、基体は、光源の上方の領域に光非透過層を備えない。基体は、例えば、プラスチックまたはガラスのような光透過性の材料によって形成されている。基体は、光非透過層によって覆われていない領域において、光源に向けられた側にかつ/または光源とは反対の側に、基体における反射を阻止する例えば反射防止層を有していてよい。カバーの上方の領域で遮光体は、基体における光非透過層によって、光源の光に対して非透過性に形成されている。
【0029】
発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、カバーは、取付け側における光源を越えて突出している。すなわちカバーは、例えば光源よりも肉厚に形成されている。例えば取付け面に対して垂直に延びている鉛直方向において、カバーは光源を越えて突出している。このようになっていると、カバーは光源を機械的に損傷から保護することができる。しかしながら、このような構造に起因して、光源がカバーを越えて突出している事例よりも多くの光がカバーに衝突し得る。ゆえに、光学素子の中央領域への光の衝突を阻止する本明細書に記載した措置は、特に有利であることが判っている。
【0030】
本明細書に記載した発光モジュールでは、特に、中央領域への光の衝突を阻止するための2つ以上の本明細書に記載した措置を1つの発光モジュールにおいて組み合わせることが可能である。このようにして、例えばカバーは、光源から放射された光を光学素子の中央領域から逸らすために構成されていてよく、かつ中央領域への光の衝突をさらに阻止する遮光体が、光源と光学素子との間に配置されていてよい。
【0031】
本明細書に記載した発光モジュールは、特に、ファーフィールドへの望ましくない反射による結像を回避することによって、ファーフィールドに投影された輝度のコントラストが高められている点で優れている。結像された光は、このようにして特に高い光品質を有している。
【0032】
次に、本明細書に記載した発光モジュールについて実施例および添付の図を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本明細書に記載した発光モジュールの実施例を概略的に示す断面図である。
【
図2】本明細書に記載した発光モジュールの実施例を概略的に示す断面図である。
【
図3】本明細書に記載した発光モジュールの実施例を概略的に示す断面図である。
【
図4】本明細書に記載した発光モジュールの実施例を概略的に示す断面図である。
【
図5】本明細書に記載した発光モジュールの実施例を概略的に示す断面図である。
【
図6】本明細書に記載した発光モジュールの実施例を概略的に示す断面図である。
【0034】
等しい、同様の、または等しい作用を有する要素には、図面において等しい符号が付されている。図面、および図面に示した要素相互の寸法関係は、寸法通りであると見なすべきではない。むしろ個々の要素は、図示を明瞭にするために、かつ/または理解をより良好にするために、誇張して大きく示していることがある。
【0035】
図1の概略的な断面図および後続のすべての断面図は、発光モジュールのそれぞれ一部を示す。図面には、発光モジュールの右半分が示してある。発光モジュールの左半分は、例えば右半分に対して軸線対称に形成されており、対称軸線は、接続支持体1に対して垂直に位置していて、図の左の縁部に沿って延びている。
【0036】
図1には、本明細書に記載した第1実施例による発光モジュールが、概略的に断面図で示してある。発光モジュールは、取付け側1aを有する接続支持体1を備えている。接続支持体1は、例えばプリント基板である。発光モジュールは、さらに光源2を備えている。本実施例では、光源2は複数の発光ダイオードチップ21を備えている。発光ダイオードチップ21は、例えば、それぞれ互いに別個に制御可能であるピクセル22を備えるピクセル配列された発光ダイオードチップである。
【0037】
光源は、接続支持体1の取付け面11における取付け側1aに機械的に固定されていて、電気的に接続されている。例えば光源は、図示されていない接続ワイヤによって接続支持体1に導電接続されていてよい。
【0038】
発光モジュールは、さらにカバー3を備えており、このカバー3は、接続支持体1の取付け側1aを部分的に覆っていて、光源の側方を取り囲んでいる。例えばカバー3は、光源2を、接続支持体1の主延在平面に対して平行に延びている側方において完全に取り囲んでいる。カバー3は、接続支持体1の主延在平面に対して垂直に延びている鉛直方向で、光源2を越えて突出している。カバー3は、例えばプラスチック材料を含んで形成されている。カバー3は、特に黒色でまたは着色されて形成されていてよい。カバー3は、例えば、光源を接続支持体1に導電接続している接続ワイヤを覆っている。カバー3は、光源、および例えば接続ワイヤのようなその他のコンポーネントのための機械的な保護部材である。
【0039】
発光モジュールは、さらに光学素子4を備えている。光学素子4は、接続支持体の取付け側1aにおける光源2に後置されている中央領域41を備えている。さらに光学素子4は、側方で中央領域41を完全に取り囲んでいる縁領域42を備えている。縁領域42は、例えばカバー3の上方に配置されている。
【0040】
さらに発光モジュールは、光学素子4の中央領域41への反射した光6の衝突を阻止する手段を備えている。
【0041】
光源2は、作動中に光5を放射する。光5は、部分的に、発光モジュールの他のコンポーネント、本実施例では例えばカバー3に衝突し、そこで反射させられる。図示の事例ではカバー3の形態は、カバー3が、光源2から放射された光5を光学素子の中央領域41から逸らすために、または放射された光を、この光がもはや光学系の受光角に入射しないように反射させるために、構成されているように選択されている。これによって、光学素子4の中央領域への反射した光6の衝突を阻止する措置が講じられている。
【0042】
このことは、
図1の実施例では、カバーが、光源2から離れる方向で増大する厚さDを有していることによって達成されている。さらにカバー3は、接続支持体1とは反対の側に、反射性の外面3aを有しており、この外面3aは、衝突した光を指向性反射させる。増大する厚さに基づいて、外面3aは接続支持体1の取付け側1aにおける取付け面11に対して斜めに延びている。これによって、反射した光6は、中央領域41から逸らされる。
【0043】
図2の実施例では、カバー3は従来の形状を有している。光源2とカバー3との間には、光源2から放射された光5を光学素子4の中央領域41から逸らす光学体7が配置されている。これによって、光学素子4の中央領域への反射した光6の衝突を阻止する、または反射した光を後続の光学系の受光角から逸らす措置が講じられている。例えば受光角は45°である。光学体7は、光源を側方において完全に取り囲んでいる。光学体7の横断面はくさび形に形成されている。光学体7は、接続支持体1とは反対の側の斜めに延びる反射性の外面7aを有しており、この外面7aは、反射した光6を中央領域41から逸らす。
【0044】
代替的に、光学体7は光導体であってよく、この光導体は、衝突した光5を反射によって光学素子4の傍らを通過させて発光モジュールから導出する。このようになっていても、光が中央領域41に反射させられないこと、または反射した光が光学系の受光角に入射しないことが保証されている。
【0045】
図3の概略的な断面図との関連において、本明細書に記載した発光モジュールの別の実施例が記載してある。この実施例では、
図1の実施例とは異なり、カバー3の外面3aに、光反射層31が装着されている。この光反射層31は、衝突した光6を指向性反射させるために構成されており、その結果、このようにして、光学素子4の中央領域41への反射した光6の衝突を阻止する措置、または反射した光を後続の光学系の受光角に入射させない措置が講じられている。
【0046】
光反射層31の使用には、カバー3の表面が反射性である必要がなく、反射を光反射層31によって生じさせることができるという利点がある。ゆえにカバー3の表面を、例えば、所望の反射を得るために特に平滑に形成する必要がない。粗い表面における反射は、ファーフィールドに結像されてほとんど問題になり得ない。なぜならば、粗い表面によって反射はぼやけて現れるからである。
【0047】
図4との関連において、本明細書に記載した発光モジュールの別の実施例について、概略的な断面図を参照しながら詳説する。
図1の実施例とは異なり、発光モジュールは、基体81と光非透過層82とを有する遮光体8を備えている。この遮光体8は、光源2と光学素子4との間に配置されていて、光源2とカバー3とを覆っている。光非透過層は、基体81をカバーの上方の領域において覆っており、基体81は、光源の上方の領域において、光非透過層によって覆われていない。カバー3は、例えば
図1との関連において記載したように、反射性に形成されていてよい。さらに、カバーには、
図3との関連において記載した反射層31が装着されていてよい。最後に、カバーとして、
図2との関連において記載した従来の形態のカバーを使用することができる。カバーで反射した光6は、光非透過層82によって吸収されるまたは反射させられる。これによって、光学素子4の中央領域41への反射した光6および/または反射しなかった光61の一部の衝突を阻止する措置が講じられている。
【0048】
図5との関連において、本明細書に記載した発光モジュールの別の実施例について、概略的な断面図を参照しながら詳説する。この実施例では光学素子4は、中央領域41の側方を取り囲んでいる縁領域42において、光学素子4の、接続支持体1に向けられた側に、光吸収層43を有している。この光吸収層43は、反射した光6および/または反射しなかった光の61の一部を吸収するために構成されている。このようにして、光学素子4の中央領域41への反射した光6および/または反射しなかった光61の一部の衝突を阻止する措置が講じられている。光吸収層43が取り付けられている光学素子の領域では、つまり、縁領域42の、接続支持体1に向けられた下面では、光学素子4は、特に接続支持体1の取付け面11に対して平行に延びていてよい。
【0049】
図6との関連において、本明細書に記載した発光モジュールの別の実施例について、概略的な断面図を参照しながら詳説する。この実施例では光学素子4は、縁領域42において、光学素子4の、接続支持体1に向けられた側に、光反射層44を有しており、この光反射層44は、反射した光6および/または反射しなかった光61の一部を反射させるために構成されている。これによって、光学素子4の中央領域への反射した光6の衝突を阻止する措置が講じられている。光学素子4の縁領域42の、接続支持体1に向けられた下面で、光学素子の外面は、接続支持体1の取付け面11に対して斜めに延びていてよい。例えばこの外面は、少なくとも部分的に、カバー3の外面3aに対して平行に延びている。このようにして、カバー3で反射した光を、光反射層44における指向性反射によって、特に僅かな反射によって発光モジュールから導出することができる。
【0050】
本明細書に記載した発光モジュールでは、特に、光学素子4の中央領域41への光の衝突を阻止するための本明細書に記載した複数の手段を互いに組み合わせることが可能である。例えば
図4に示した遮光体8の使用を、
図1との関連で示したカバー3の特殊な形状付与と組み合わせることが可能である。
【0051】
本発明は、実施例を参照した記載によってこれらの実施例に制限されるものではない。むしろ本発明は、それぞれの新たな特徴と特徴のそれぞれの組合せ自体が、請求項または実施例に詳しく記載されていない場合でも、この特徴またはこの組合せを含んでおり、このことは、特に請求項における特徴のそれぞれの組合せを備えている。
【0052】
独国特許出願第102020101038.9号明細書の優先権を主張し、これによって、同明細書を参照により援用するものとする。
【符号の説明】
【0053】
1 接続支持体
1a 接続支持体の取付け側
11 接続支持体の取付け面
2 光源
21 発光ダイオードチップ
22 ピクセル
3 カバー
31 カバーの光反射層
3a 外面
4 光学素子
41 光学素子の中央領域
42 光学素子の縁領域
43 光学素子の光吸収層
44 光学素子の光反射層
5 光源から放射された光
6 反射した光
61 反射しなかった光
7 光学体
7a 光学体の外面
8 遮光体
81 基体
82 遮光体の光非透過層