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特許7549674PUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法
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  • 特許-PUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】PUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 60/04 20060101AFI20240904BHJP
   C22B 3/32 20060101ALI20240904BHJP
   G21F 9/06 20060101ALI20240904BHJP
   G21F 9/12 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
C22B60/04
C22B3/32
G21F9/06 581H
G21F9/12 512B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022557989
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2022084634
(87)【国際公開番号】W WO2023155278
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202210147589.2
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517344295
【氏名又は名称】中国原子能科学研究院
【氏名又は名称原語表記】CHINA INSTITUTE OF ATOMIC ENERGY
【住所又は居所原語表記】No.1 Sanqiang road, new town, fangshan district, Beijing 102413, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リウ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ リャン
(72)【発明者】
【氏名】ハオ シュエン
(72)【発明者】
【氏名】ラン ヨウシ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン スーリャン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン グォシン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン グォグォ
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111863301(CN,A)
【文献】特開昭56-143999(JP,A)
【文献】特開昭61-219900(JP,A)
【文献】米国特許第05510090(US,A)
【文献】HAO Xuan et al.,Study on Adsorption of DPA-Pu(IV)/U(VI) Complex on Strongly Basic Anion Exchange Resin,Atomic Energy Science and Technology,中国,2021年,vol.56,No.8,p.1616-1625,DOI: 10.7538/yzk.2021.youxian.0532,オンラインで2021年より閲覧可能
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
G21F 9/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤及びプルトニウムを含有するPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法であって、
前記PUREXプロセスの廃有機相を2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と接触させ、逆抽出を行い、逆抽出物を得ることを含み、
前記PUREXプロセスの廃有機相を2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と接触させる前に、前記PUREXプロセスの廃有機相を脱イオン水及び/又はアルカリ性溶液と接触させて脱酸を行い、脱酸された廃有機相のpHは0.5-3である、ことを特徴とする、PUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【請求項2】
前記2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と前記廃有機相との重量比は、1:(1-10)であり、
前記水相逆抽出液中の2,6-ピリジンジカルボン酸の含有量は、0.1-0.7wt%である、請求項1に記載のPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【請求項3】
前記2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と前記廃有機相との重量比は、1:(1-5)であり、
前記水相逆抽出液中の2,6-ピリジンジカルボン酸の含有量は、0.3-0.5wt%である、請求項2に記載のPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【請求項4】
前記逆抽出の条件は、温度が10-40℃であり、時間が10-30minであり、振とう速度が400-700rpmであることを含む、請求項1に記載のPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【請求項5】
前記逆抽出の条件は、温度が20-30℃であり、時間が15-20minであり、振とう速度が500-600rpmであることを含む、請求項4に記載のPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【請求項6】
前記方法は、
前記逆抽出物をアニオン交換樹脂と接触させることで、前記逆抽出物中のプルトニウムが前記アニオン交換樹脂に吸着されるようにして、プルトニウムが吸着されたアニオン交換樹脂を得るステップS1と、
プルトニウムが吸着されたアニオン交換樹脂を7-8mol/Lの硝酸を含有する変換液と接触させ、プルトニウムが吸着された変換後のアニオン交換樹脂を得るステップS2と、
前記プルトニウムが吸着された変換後のアニオン交換樹脂を溶離液と接触させ、溶離物を得るステップS3とを含む、請求項1に記載のPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【請求項7】
前記ステップS1には、前記逆抽出物のpHを1-4に調節した後、それをアニオン交換樹脂と接触させることがさらに含まれる、請求項6に記載のPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【請求項8】
前記溶離液は、0.3-1.0mol/Lの硝酸水溶液を含むか、又は前記溶離液は、0.3-1.0mol/Lの硝酸及び0.05-0.15mol/LのNH2OHを含有する水溶液である、請求項6に記載のPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【請求項9】
前記アニオン交換樹脂は、DOWEX 1×4アニオン交換樹脂である、請求項6に記載のPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射性廃棄物の処理分野に関し、具体的には、PUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PUREX(Plutonium Uranium Reduction Extraction)プロセスは、現在、唯一の商用の使用済み燃料の後処理プロセスである。このプロセスでは、TBP-灯油-HNO系は、化学及び放射線の作用を受け、化学的分解及び放射分解が生じ、TBPの分解物は、主にジブチルホスフェート(HDBP)、モノブチルホスフェート(HMBP)及びHPOであり、希釈剤及び硝酸は、分解してアルデヒド、カルボン酸、ヒドロキサム酸などの有機ニトロ系化合物を生成する。上記分解物において、HDBP及びHMBPは、Pu(IV)及びZr(IV)と錯体を形成しやすく、この錯体の結合エネルギーは、Pu(IV)とZr(IV)がTBPと形成した錯体の結合エネルギーよりも大きく、逆抽出段階で逆抽出されにくく、その金属イオンが有機相に残留されるようにしまう。生産運転の持続に伴い、有機相中の分解物が蓄積し続け、有機相における、分解物と金属イオンで形成された錯体の溶解度が比較的に低く、相分離が困難になってしまうことを齎す。
【0003】
分解物の蓄積による抽出プロセスへの損害を減らすために、NaCOは、有機相中の分解物を洗浄するためによく使用されるが、廃有機相中のプルトニウム金属残留の問題を解決できない。そのため、使用済み燃料の後処理プロセスの廃有機相(特に、長時間放置された、比較的に高いプルトニウム含有量を有する廃有機相)からプルトニウムを溶離及び回収できる方法を開発することが急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、廃有機相中の高残留のプルトニウム、さらに、長時間放置された、プルトニウム残留が高い廃有機相を効果的に溶離及び回収できる、PUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本開示は、有機溶剤及びプルトニウムを含有するPUREXプロセスの廃有機相の残留プルトニウムの処理方法を提供し、この方法は、前記PUREXプロセスの廃有機相を、2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と接触させ、逆抽出を行い、逆抽出物を得ることを含む。
【0006】
選択的に、前記2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と前記廃有機相との重量比は、1:(1-10)、好ましくは、1:(1-5)である。
【0007】
選択的に、前記水相逆抽出液中の2,6-ピリジンジカルボン酸の含有量は、0.1-0.7wt%であり、好ましくは、0.3-0.5wt%である。
【0008】
選択的に、前記逆抽出の条件は、温度が10-40℃、好ましくは、20-30℃であり、時間が10-30min、好ましくは、15-20minであり、振とう速度が400-700rpm、好ましくは、500-600rpmでありことを含む。
【0009】
選択的に、前記方法は、前記逆抽出物をアニオン交換樹脂と接触させることで、前記逆抽出物中のプルトニウムが前記アニオン交換樹脂に吸着されるようにして、プルトニウムが吸着されたアニオン交換樹脂を得るステップS1と、プルトニウムが吸着されたアニオン交換樹脂を変換液と接触させ、プルトニウムが吸着された変換後のアニオン交換樹脂を得るステップS2と、前記プルトニウムが吸着された変換後のアニオン交換樹脂を溶離液と接触させ、溶離物を得るステップS3とをさらに含む。
【0010】
選択的に、そのうち、前記ステップS1には、前記逆抽出物のpHを1-4に調節した後、それをアニオン交換樹脂と接触させることがさらに含まれる。
【0011】
選択的に、前記変換液は、7-8mol/Lの硝酸を含有する。
【0012】
選択的に、前記溶離液は、0.3-1.0mol/Lの硝酸水溶液を含むか、又は前記溶離液は、0.3-1.0mol/Lの硝酸及び0.05-0.15mol/LのNHOHを含有する水溶液である。
【0013】
選択的に、前記アニオン交換樹脂は、DOWEX樹脂、D201樹脂及びDiaion PA 308樹脂のうちの少なくとも1種を含み、好ましくは、DOWEX 1×4アニオン交換樹脂である。
【0014】
選択的に、前記方法は、前記PUREXプロセスの廃有機相を、2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と接触させる前、まず前記PUREXプロセスの廃有機相を脱イオン水及び/又はアルカリ性溶液と接触させることで、脱酸を行うことをさらに含む。本開示では、廃有機相の脱酸は、特に限定されず、廃有機相中の残留酸含有量に応じて、水相逆抽出液にアルカリ性溶液、例えば水酸化ナトリウム溶液を加えて脱酸を行ってもよい。
【0015】
上記技術案によって、本開示は、PUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法を提供し、この方法は、プルトニウム残留が高い廃有機相中のプルトニウム金属を効果的に溶離及び回収し、ほとんどのプルトニウム金属を水相に溶離し、溶離後の廃有機相中のプルトニウム含有量が0.1mg/Lよりも低くなり、水相中の99%以上のプルトニウムを回収し、廃棄物処理技術での廃有機相におけるプルトニウム含有量に対する要求を満たすことができる。
【0016】
本開示のその他特徴及び利点は、その後の具体的な実施形態部分で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】アニオン交換カラムの流出液のカウント率の、流出液の体積に伴う変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、添付図面を結び付けながら本開示の具体的な実施形態について詳細に説明する。ここに記述されている具体的な実施形態は、本開示を説明及び解釈するために使用されるものに過ぎず、本開示を限定するためのものではないことが理解されたい。
【0019】
本開示は、有機溶剤及びプルトニウムを含有するPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法を提供し、この方法は、前記PUREXプロセスの廃有機相を2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と接触させ、逆抽出を行い、逆抽出物を得ることを含む。
【0020】
本開示の方法によれば、前記逆抽出過程では、プルトニウムは、前記PUREXプロセスの廃有機相から、2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相に移動し、すなわち、前記逆抽出物に入ることができる。
【0021】
そのうち、前記2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と前記廃有機相との重量比は、比較的に大きい範囲内で変動し得る。好適な実施形態では、前記2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と前記廃有機相との重量比は、1:(1-10)であり、さらに好ましくは、1:(1-5)である。
【0022】
前記水相逆抽出液中の2,6-ピリジンジカルボン酸の含有量は、前記水相逆抽出液でのプルトニウムの分散係数が前記PUREXプロセスの廃有機相中のプルトニウムの分散係数よりも大きくなるようにすることができる。好適な実施形態では、前記水相逆抽出液中の2,6-ピリジンジカルボン酸の含有量は、0.1-0.7wt%であり、好ましくは、0.3-0.5wt%である。
【0023】
本開示では、逆抽出の条件は、特に限定されるものではなく、当業者は、実際の必要に応じて選択することができる。本開示に限定された範囲の逆抽出条件で得られた廃有機相の残留プルトニウムの逆抽出率は、より高く、廃棄物処理技術において廃有機相中のプルトニウム含有量に対する要求を満たすことができる。例えば、一実施形態では、前記逆抽出の条件は、温度が5-40℃、好ましくは、20-30℃であり、時間が5-30min、好ましくは、15-20minであり、振とう速度が400-700rpm、好ましくは、500-600rpmであることを含む。
【0024】
逆抽出を行った後、イオン交換樹脂の吸着溶離によって、得られた逆抽出物からプルトニウムを抽出してもよいため、好ましくは、前記方法は、前記逆抽出物をアニオン交換樹脂と接触させることで、前記逆抽出物中のプルトニウムを前記アニオン交換樹脂に吸着させ、プルトニウムが吸着されたアニオン交換樹脂を得るステップS1と、プルトニウムが吸着されたアニオン交換樹脂を変換液と接触させ、プルトニウムが吸着された変換後のアニオン交換樹脂を得るステップS2と、前記プルトニウムが吸着された変換後のアニオン交換樹脂を溶離液と接触させ、溶離物を得るステップS3とをさらに含んでもよい。前記溶離物には、抽出されたプルトニウムが含有される。
【0025】
アニオン交換樹脂がプルトニウムをより良く吸着するようにするために、好ましくは、前記ステップS1は、前記逆抽出物のpHを1-4に調節した後、それをアニオン交換樹脂と接触させることをさらに含む。
【0026】
より良い変換効果を得るために、好ましくは、前記変換液は、7-8mol/Lの硝酸を含有する。
【0027】
より良い溶離効果を得るために、好ましくは、前記溶離液は、0.3-1.0mol/Lの硝酸水溶液を含むか、又は前記溶離液は、0.3-1.0mol/Lの硝酸及び0.05-0.15mol/LのNHOHを含有する水溶液である。
【0028】
アニオン交換樹脂がプルトニウムをより良く吸着できるようにするために、好ましくは、前記アニオン交換樹脂は、DOWEX樹脂、D201樹脂及びDiaion PA308樹脂のうちの少なくとも1種を含み、好ましくは、DOWEX 1×4アニオン交換樹脂である。
【0029】
廃有機相中の酸が逆抽出に影響を与えないようにするために、好ましくは、前記方法は、前記PUREXプロセスの廃有機相を2,6-ピリジンジカルボン酸を含有する水相逆抽出液と接触させる前、まず前記PUREXプロセスの廃有機相を脱イオン水及び/又はアルカリ性溶液と接触させることで、脱酸後の廃有機相のpH値が0.5-3になるように、脱酸を行うことをさらに含む。本開示では、廃有機相の脱酸は、特に限定されず、廃有機相中の残留酸含有量に応じて、水相逆抽出液にアルカリ性溶液、例えば水酸化ナトリウム溶液を加えて脱酸を行ってもよい。
【0030】
以下、実施例によって本開示をさらに説明するが、本開示はそれにより何ら限定されるものではない。
【0031】
実施例1
中国原子能科学研究院のPUREXプロセス工程のよってある熱実験を研究して得られた2BW原料液を処理対象とした。この原料液は、プルトニウム精製循環で得られた、プルトニウム含有量が基準を超た廃有機相であり、試験中、それぞれ希酸溶液、四価ウラン溶液、N,N-ジメチルヒドロキシルアミン溶液及び炭酸ナトリウム溶液を採用して基準を超たプルトニウムの溶離操作を行った。その主な化学組成は、30体積%のリン酸トリブチル(TBP)及び70体積%の水素化灯油であり、そのうちプルトニウム含有量は、0.057 g/Lであり、硝酸含有量は、0.03mol/Lであり、リン酸ジブチル(DBP)含有量は、0.9 mmol/Lであり、リン酸モノブチル(MBP)含有量は、0.23mmol/Lであり、他の分解物及び金属イオンの含有量は測定されなかった。本回の実験の前、この原料液は、放置時間が5年よりも長く、外観が黄褐色の透明な溶液であった。
【0032】
処理過程は、以下の通りであった。
【0033】
(1)10μLの上記廃有機相を取って液体シンチレーション測定を行い、計算によりそのうち239+240Puの含有量が0.057g/Lであり、この廃有機相に脱イオン水を加え、この廃有機相と1:1の体積比で混合し、室温下で5min振とうし、廃有機相中の残留酸を除去した。
【0034】
(2)20.87mgのDPA(2,6-ピリジンジカルボン酸)固体を秤量して得て、遠心管に加え、そして濃度が0.4mol/Lの硝酸溶液を5mL加え、DPA濃度が0.025mol/Lで、HNO濃度が0.4mol/Lの水相逆抽出液を調製した。
【0035】
(3)プルトニウムを含む1.0mLの上記廃有機相を、15mLのポリプロピレン材質の遠心管に加え、そして遠心管に1.0mLの上記DPA-HNO水相逆抽出溶液を加え、室温下で5分間振とうし、4000r/minで5分間遠心した後、10μLの有機相を取って液体シンチレーション測定を行い、計算により、プルトニウムの1回目の逆抽出率は、97.1%であった。
【0036】
プルトニウム逆抽出率(%)=1-溶離後の廃有機相中のプルトニウム含有量/初期の廃有機相中のプルトニウム含有量×100%
【0037】
(4)ステップ(3)での下層水相を取り除き、有機相に同じ濃度の1.0mLのDPA-HNO溶液を改めて加え、室温下で5分間振とうし、遠心後、10μLの有機相を取って液体シンチレーション測定を行い、計算により、プルトニウムの2回目の逆抽出率は、92.6%であるとともに、総逆抽出率は、99.78%であり、表1に示された通りである。
【0038】
実施例2
本実施例は、実施例1の方法と同様であり、相違点は、本実施例で使用された逆抽出液がDPA溶液であり、濃度が0.025mol/Lであり、プルトニウム逆抽出率が表1に示された通りである。
【0039】
実施例3
本実施例は、実施例1の方法と同様であり、相違点は、本実施例で使用された水相逆抽出液中のDPA濃度が0.025mol/Lであり、HNO濃度が0.2mol/Lであり、プルトニウム逆抽出率が表1に示された通りである。
【0040】
実施例4
本実施例は、実施例1の方法と同様であり、相違点は、本実施例で使用された水相逆抽出液中のDPA濃度が0.025mol/Lであり、HNO濃度が0.8mol/Lであり、プルトニウム逆抽出率が表1に示された通りである。
【0041】
実施例5
本実施例は、実施例1の方法と同様であり、相違点は、本実施例で使用された逆抽出液がDPA-HNO混合液であり、DPA濃度が0.025mol/Lであり、HNO濃度が1.5mol/Lであり、プルトニウム逆抽出率が表1に示された通りである。
【0042】
実施例6
本実施例は、実施例1の方法と同様であり、相違点は、本実施例で使用された逆抽出液がDPA-HNO混合液であり、DPA濃度が0.025mol/Lであり、HNO濃度は、3.0mol/Lであり、プルトニウム逆抽出率が表1に示された通りである。
【0043】
【表1】
【0044】
表1の結果から分かるように、廃有機相と水相逆抽出液の相比が1:1である場合、DPA濃度は、0.025mol/Lであり、HNO濃度は、0mol/Lから3.0mol/Lまで増やし、1回目の逆抽出率は、いずれも95%以上であり、2回目の逆抽出率は、いずれも86%以上であり、DPAを逆抽出剤として使用すれば、廃有機相中の残留プルトニウムを効果的に逆抽出することができ、硝酸を加えた後、酸度は、プルトニウムの逆抽出率に対して小さい抑制作用を有するが、0~3.0mol/LのHNO溶液で、いずれもプルトニウムを効果的に逆抽出することができた。
【0045】
実施例7
本実施例は、実施例1の処理方法と同様であり、相違点は、逆抽出回数が5回であり、逆抽出率が表2に示された通りである。
【0046】
実施例8
本実施例は、実施例1の処理方法と同様であり、相違点は、水相逆抽出液と廃有機相の相比が1:5であり、逆抽出の回数が5回であり、逆抽出率が表2に示された通りである。
【0047】
実施例9
本実施例は、実施例1の処理方法と同様であり、相違点は、水相逆抽出液と廃有機相の相比が1:10であり、逆抽出の回数が5回であり、逆抽出率が表2に示された通りである。
【0048】
【表2】
【0049】
表2から分かるように、DPAを錯化剤として、酸性溶液において後処理プロセスの廃有機相中の残留プルトニウムを効果的に逆抽出することができた。相比である有機相:水相が10:1であっても、プルトニウムの1回目の逆抽出率は、90%以上に達することができ、さらにDPA濃度、反応温度、水相酸度を最適化させるか、又は複数段の逆抽出などの方式を用いると、相比である有機相:水相=10:1である条件で、プルトニウムの1段の逆抽出率が99.9%に達することを実現できた。
【0050】
実施例10
中国原子能科学研究院の後処理プロセス工程により、ある熱実験を研究して得られた2BW原料液を処理対象とした。この原料液は、プルトニウム精製循環で得られた、プルトニウム含有量が基準を超えた汚染溶剤である。試験中、それぞれ希酸溶液、四価ウラン溶液、N,N-ジメチルヒドロキシルアミン溶液及び炭酸ナトリウム溶液を用いて基準を超えたプルトニウに対する逆抽出操作を行い、その主な化学組成は、30%(体積パーセント)のリン酸トリブチル(TBP)及び70%(体積パーセント)の水素化灯油であり、そのうち、プルトニウム含有量は、0.057g/Lであり、硝酸含有量は、0.03mol/Lであり、リン酸ジブチル(DBP)含有量は、0.9mmol/Lであり、リン酸モノブチル(MBP)含有量は、2.30×10-4mol/Lであり、微量の四価ウランは、無視でき、他の分解物及び金属イオンの含有量は測定されなかった。本回の実験の前、この原料液は、放置時間が5年よりも長く、外観が黄褐色の透明な溶液であった。
【0051】
回収操作過程は、以下の通りであった。
【0052】
(1)ジャケット付きのイオン交換カラムをウォーターバスボックスの入出口水管に接続し、ウォーターバス温度を60℃に制御し、アニオン交換樹脂としてDOWEX 1×4(100-200メッシュ)を選択した。樹脂を脱イオン水に24時間浸した後、カラムに充填し、カラムの体積が1mLであった。樹脂を10mLの1MのHNO溶液で変換処理し、変換が終了された後、流出液が中性になるまで、脱イオン水をカラムに通過させた。
【0053】
(2)0.025mol/L DPA溶液を水相逆抽出剤とし、1回目逆抽出した水相逆抽出物をカラム充填液とし、10マイクロリットル(μL)のカラム充填液について測定した結果、0-21 kevカウントは3631225であり、0.3mLのカラム充填液をアニオン交換カラムに加え、5mLの0.025mol/L DPA溶液でリンスした。毎回1mLのリンス液を収集し、それぞれ10マイクロリットル(μL)のリンス液について測定したところ、カウント率は、0-21 kevであった。
【0054】
(3)恒温60℃の環境で、1MのHNO溶液を用いてPu(IV)を脱着し、毎回1mLの1MのHNO溶液を加え、流出液を収集した。最初の15個の流出液サンプルについて毎回1mL収集し、それぞれ脱着1-15として番号付けし、その後、毎回5mLの流出液を収集し、それぞれ脱着16、脱着21、脱着26、脱着31として番号付けした。それぞれ10マイクロリットル(μL)のサンプルを取って液体シンチレーションカウント率を測定した。
【0055】
(4)最後に、0.5MのHNO及び0.1MのNHOHを含有する10mLの溶離液でPu(IV)を脱着し続け、リンス液を収集し、10マイクロリットル(μL)のサンプルを取って液体シンチレーションカウント率を測定した。
【0056】
(5)プルトニウム逆抽出液をカラムに充填した後、異なる段階のカウント率の変化曲線が図1に示された通りである。これから分かるように、カラム充填段階で、流出液中のカウント率は、底部ぐらい低く、無視でき、変換段階では、最初の2つのカラム体積において、非常に少ないプルトニウムが流れ通し、これは交換カラムの硝酸濃度が7.5mol/Lに上昇する過程で濃度が不十分であったことによることであり、流出液を7.5mol/LのHNOに調整してカラムを再充填すれば問題を解決でき、1MのHNOを含有する溶離液による脱着、及び0.5MのHNOと0.1MのNHOHを含有する溶離液による脱着の段階では、流出液中のプルトニウムカウント率は、総カウント率の99.5%を占め、この方法を利用すれば逆抽出液中の99%以上のプルトニウムを効果的に回収できることが示された。
【0057】
比較例1
残留酸を除去した、プルトニウム含有の1.0mLの上記廃有機相を15mLのポリプロピレン材質の遠心管に加え、そして遠心管に1.0mLの0.5mol/Lの炭酸ナトリウム溶液を加え、室温下で5分間振とうし、4000r/min下で5min遠心し、遠心管に三つの相が現れたことを発見し、上層の有機相と下層の水相との間の白色のミルキー状物により、その二つの相の分離が困難であった。
【0058】
上記実施例及び比較例の結果から分かるように、本開示に提供されるPUREXプロセスの廃有機相中の残留プルトニウムの処理方法を使用すれば、廃有機相中の高残留のプルトニウム、さらに、長時間放置された、プルトニウム残留の高い廃有機相を効果的に溶離でき、そして、アニオン交換カラムのカラム充填吸着-変換-脱着プロセスの後、99%以上のプルトニウムを回収できる。この方法は、使用済み燃料の後処理での、プルトニウム残留が高い廃有機相中の残留プルトニウムの溶離及び回収において、良好な適用の見込みを持っていた。
【0059】
以上、添付図面を結び付けながら本開示の好適な実施形態について詳細に記述したが、本開示は、上記実施形態の具体的な細部に限定されるものではなく、本開示の技術的構想の範囲内で、本開示の技術案に対して様々の簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形はすべて本開示の保護範囲に属する。
【0060】
また説明すべきこととして、上記具体的な実施形態に記述されている各具体的な技術特徴は、矛盾しない場合には、任意の適切な方式で組み合わせることができ、不必要な繰り返しを避けるために、本開示は、様々な可能な組み合わせ形態については別途説明しない。
【0061】
なお、本開示の様々な異なる実施形態を任意に組み合わせることができ、本開示の発想に背かない限り、本開示が開示したものと同様にみなすべきである。
図1