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特許7549710自動化されたフットウェア・プラットフォームのための原点復帰機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】自動化されたフットウェア・プラットフォームのための原点復帰機構
(51)【国際特許分類】
   A43C 11/00 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
A43C11/00
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117673
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2022017438の分割
【原出願日】2017-03-15
(65)【公開番号】P2023159066
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】62/308,728
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、サマー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ケルソ、ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ナリッサ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/042216(WO,A1)
【文献】特開2014-226452(JP,A)
【文献】特開昭51-066658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00- 23/30
A43C 1/00- 19/00
A43D 1/00-999/00
H02P29/40
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構とプロセッサとレース・スプールとを備えるレーシング・エンジンであって、
前記レース・スプールは、前記レース・スプールからレースを取り上げたり解放したりするためにフットウェアをユーザーの足に固定するためのレースの一部を受け入れるように構成され、
前記プロセッサは、
前記駆動機構に、複数のジェネバ歯と1つの停止歯とを含む原点復帰装置と係合するインデックス歯を含む歯車を回転させるように命令し、
前記インデックス歯が前記原点復帰装置における前記複数のジェネバ歯のうちの1つのジェネバ歯又は前記停止歯と係合するときに生成される力を検出し、
前記力が所定の力プロファイルと一致したことを検出することに基づいて原点位置を特定する
ように構成され、
前記力が所定の力プロファイルと一致したことを検出することは、(a)前記力が所定の閾値の力を超えたことを検出すること、(b)所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率を有する力プロファイルを検出すること、又は、(c)所定の大きさよりも大きい大きさの力と所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率とを有する力プロファイルを検出すること、のいずれかを含む、レーシング・エンジン。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記所定の力プロファイルと一致する力プロファイルを検出する、前記駆動機構原点状態にあると判断するようにさらに構成される、請求項1に記載のレーシング・エンジン。
【請求項3】
前記原点位置を特定することは、前記インデックス歯が前記複数のジェネバ歯のうちの1つのジェネバ歯と係合するときに生成される第1の力プロファイルと、前記インデックス歯が前記停止歯と係合するときに生成される第2の力プロファイルとを識別することを含む、請求項1に記載のレーシング・エンジン。
【請求項4】
前記第1の力プロファイルにおける第1の最大の力は、前記第2の力プロファイルにおける第2の最大の力より小さい、請求項に記載のレーシング・エンジン。
【請求項5】
前記第2の力プロファイルは、所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率を含む、請求項に記載のレーシング・エンジン。
【請求項6】
フットウェア装置内のレーシング・エンジンを作動させる方法であって、
前記レーシング・エンジンは、レース・スプールを含み、
前記レース・スプールは、前記レース・スプールからレースを取り上げたり解放したりするためにフットウェアをユーザーの足に固定するためのレースの一部を受け入れるように構成され、
前記方法は、
処理回路を使用して、前記レーシング・エンジン内の駆動機構に、原点復帰装置と係合するインデックス歯を含む歯車を回転させるように命令することであって、前記原点復帰装置は複数のジェネバ歯と1つの停止歯とを含むことと、
処理回路を使用して、前記インデックス歯が前記原点復帰装置における前記複数のジェネバ歯のうちの1つのジェネバ歯又は前記停止歯と係合するときに生成される力を検出することと、
処理回路を使用して、前記力が所定の力プロファイルと一致したことを検出することに基づいて原点位置を特定することと、
を含み、
前記力が所定の力プロファイルと一致したことを検出することは、(a)前記力が所定の閾値の力を超えたことを検出すること、(b)所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率を有する力プロファイルを検出すること、又は、(c)所定の大きさよりも大きい大きさの力と所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率とを有する力プロファイルを検出すること、のいずれかを含む、方法。
【請求項7】
前記所定の力プロファイルと一致する力プロファイルを検出する、前記駆動機構原点状態にあると判断することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記原点位置を特定することは、前記インデックス歯が前記複数のジェネバ歯のうちの1つのジェネバ歯と係合するときに生成される第1の力プロファイルと、前記インデックス歯が前記停止歯と係合するときに生成される第2の力プロファイルとを識別することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の力プロファイルにおける第1の最大の力は、前記第2の力プロファイルにおける第2の最大の力より小さい、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の力プロファイルは、所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
フットウェア装置のレーシング・エンジン内の処理回路により実行されたとき、動作を前記処理回路に実行させる命令を含む、少なくとも1つのコンピュータが読み取り可能な非一時的な媒体であって、
前記レーシング・エンジンは、レース・スプールを含み、
前記レース・スプールは、前記レース・スプールからレースを取り上げたり解放したりするためにフットウェアをユーザーの足に固定するためのレースの一部を受け入れるように構成され、
前記動作は、
インデックス歯が原点復帰装置における複数のジェネバ歯のうちの1つのジェネバ歯又は停止歯と係合するときに生成される力を検出することであって、前記原点復帰装置は前記複数のジェネバ歯と1つの前記停止歯とを含み、前記インデックス歯は前記レーシング・エンジンの駆動機構内の歯車に連結されていることと、
前記力が所定の力プロファイルと一致したことを検出することに基づいて原点位置を特定することと
を含み、
前記力が所定の力プロファイルと一致したことを検出することは、(a)前記力が所定の閾値の力を超えたことを検出すること、(b)所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率を有する力プロファイルを検出すること、又は、(c)所定の大きさよりも大きい大きさの力と所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率とを有する力プロファイルを検出すること、のいずれかを含む、少なくとも1つのコンピュータが読み取り可能な非一時的な媒体。
【請求項12】
前記原点位置を特定することは、前記インデックス歯が前記複数のジェネバ歯のうちの1つのジェネバ歯と係合するときに生成される第1の力プロファイルと、前記インデックス歯が前記停止歯と係合するときに生成される第2の力プロファイルとを識別することを含む、請求項11に記載のコンピュータが読み取り可能な非一時的な媒体。
【請求項13】
前記第2の力プロファイルは、所定の変化率よりも高い経時的な力の変化率を含む、請求項12に記載のコンピュータが読み取り可能な非一時的な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の明細書は、電動式レーシング(lacing)・システム、電動式および非電動
式のレーシング・エンジン、レーシング・エンジンに関連するフットウェアの構成要素、
自動化されたレーシング・フットウェア・プラットフォーム、ならびに、関連の組み立て
プロセスのさまざまな態様を説明している。より具体的には、以下の明細書は、自動化さ
れたフットウェア・プラットフォーム用の電動式レーシング・エンジンでの使用のための
モータ制御方法を説明している。
【背景技術】
【0002】
フットウェアの物品を自動的に締め付けるためのデバイスが、以前に提案されている。
「自動締め付けシューズ(Automatic tightening shoe)」と
いう標題の特許文献1において、リウ(Liu)は、くつのアッパー部分の上に装着され
る第1の締結具と、クロージャ部材に接続されている第2の締結具とを提供し、第2の締
結具は、締め付けられた状態にクロージャ部材を保つために、第1の締結具と取り外し可
能に係合することができる。リウ(Liu)は、ソールのかかと部分に装着される駆動ユ
ニットを教示している。駆動ユニットは、ハウジング、ハウジングの中に回転可能に装着
されたスプール、1対の引き紐、およびモータ・ユニットを含む。それぞれの紐は、スプ
ールに接続されている第1の端部と、第2の締結具の中の紐孔に対応する第2の端部とを
有している。モータ・ユニットは、スプールに連結されている。リウ(Liu)は、モー
タ・ユニットがハウジングの中のスプールの回転を駆動するように動作可能であり、第1
の締結具に向けて第2の締結具を引っ張るために、スプールの上に引き紐を巻き上げると
いうことを教示している。また、リウ(Liu)は、ガイド・チューブ・ユニットを教示
しており、引き紐がガイド・チューブ・ユニットを通って延在することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第6,691,433号明細書
【発明の概要】
【0004】
自己締め付け式シュー・レースの概念は、最初に、1989年公開の映画バック・トゥ
・ザ・フューチャII(Back to the Future II)の中のマーティ
・マクフライ(Marty McFly)によって着用された架空のパワー・レース付き
のNike(登録商標)スニーカによって広く知れわたった。Nike(登録商標)は、
バック・トゥ・ザ・フューチャII(Back to the Future II)か
らの映画用小道具バージョンに外見が似ているパワー・レース付きのスニーカの少なくと
も1つのバージョンをリリースしたが、これらの初期バージョンに用いられた内部機械シ
ステムおよび周囲のフットウェア・プラットフォームは、必ずしも、大量生産または日常
使用に適しているわけではない。付加的に、電動式レーシング・システムに関する以前の
設計は、多くの問題のうちの単にいくつかを強調すると、比較的に、高コストの製造、複
雑さ、組み立ての困難さ、補修のしやすさの欠如、および、弱くまたは壊れやすい機械的
機構などのような問題に悩まされていた。本発明者らは、なかでも、上記に議論されてい
る問題のいくつかまたはすべてを解決する、電動式および非電動式のレーシング・エンジ
ンを収容するために、モジュール式のフットウェア・プラットフォームを開発した。以下
に議論されている構成要素は、それに限定されないが、補修のしやすい構成要素、交換可
能な自動化されたレーシング・エンジン、強固な機械設計、信頼性の高い動作、合理化さ
れた組み立てプロセス、および、小売段階でのカスタマイズを含む、さまざまな利益を提
供する。以下に説明されている構成要素のさまざまな他の利益は、当業者に明らかになる
こととなる。
【0005】
以下に議論されている電動式レーシング・エンジンは、自動化されたレーシング・フッ
トウェア・プラットフォームの強固な、補修のしやすい、および交換可能な構成要素を提
供するために、徹底的に開発された。レーシング・エンジンは、モジュール式のフットウ
ェア・プラットフォームの中への小売段階での最終組み立てを可能にする独自の設計要素
を含む。レーシング・エンジン設計は、フットウェア組み立てプロセスの大半が、公知の
組み立て技術を活用することを可能にし、標準的な組み立てプロセスへの独自の適合は、
依然として、現在の組み立て資源を活用することができる。
【0006】
例では、モジュール式の自動化されたレーシング・フットウェア・プラットフォームは
、レーシング・エンジンを受け入れるための、ミッドソールに固定されたミッドソール・
プレートを含む。ミッドソール・プレートの設計は、購入の時点において可能な限り遅く
、レーシング・エンジンがフットウェア・プラットフォームの中へ落とされることを可能
にする。ミッドソール・プレート、および、モジュール式の自動化されたフットウェア・
プラットフォームの他の態様は、異なるタイプのレーシング・エンジンが相互交換可能に
使用されることを可能にする。たとえば、以下に議論されている電動式レーシング・エン
ジンは、人力レーシング・エンジンと取り替えられ得る。代替的に、足存在センシング特
徴または他の任意の特徴を備えた完全に自動的な電動式レーシング・エンジンが、標準的
なミッドソール・プレートの中に収容され得る。
【0007】
本明細書で議論されている自動化されたフットウェア・プラットフォームは、フットウ
ェア・プラットフォーム内のレースの自動的な(またはユーザが作動させる)締め付けを
提供するために、電動式レーシング・エンジンを含むことができる。電動レーシング・エ
ンジンは、カスタム・モータ制御ルーチンを利用して、フットウェア・プラットフォーム
用の特定のレーシング締め付け機能を提供する。
【0008】
この最初の概要は、本特許出願の主題を導入することが意図されている。以下のより詳
細な説明の中に開示されているさまざまな発明の排他的または包括的な説明を提供すると
いうことは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・システムの構成要素を示す分解図。
図2A】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2B】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2C】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2D】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2E】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2F】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2G】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2H】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2I】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2J】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2K】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2L】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2M】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図2N】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
図3】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンの構成要素を示すブロック図。
図4】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンのためのモータ制御手順を示す略図。
図5】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンのためのモータ制御手順を示す略図。
図6】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンのためのモータ制御手順を示す略図。
図7】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンのためのモータ制御手順を示す略図。
図8】いくつかの例示的な実施形態による自動化されたフットウェア・プラットフォームのためのモータ制御方式を示すフローチャートである。
図9】いくつかの例示的な実施形態による自動化されたフットウェア・プラットフォームのためのモータ制御方式を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は必ずしも実寸で描かれているわけではなく、図面において、同様の参照数字は、
異なる図の中で同様の構成要素を説明している場合がある。異なる添え字を有する同様の
参照数字は、同様の構成要素の異なる事例を表している場合がある。図面は、一般的に、
例として、限定としてではないが、本文献の中で議論されているさまざまな実施形態を図
示している。
【0011】
本明細書で提供されている見出しは、単に、便宜のためのものに過ぎず、必ずしも、使
用されている用語の範囲または意味に影響を与えるわけではない。
自動化されたフットウェア・プラットフォーム
以下は、電動式レーシング・エンジン、ミッドソール・プレート、および、プラットフ
ォームのさまざまな他の構成要素を含む、自動化されたフットウェア・プラットフォーム
のさまざまな構成要素について議論している。本開示の多くは、電動式レーシング・エン
ジンに焦点を合わせているが、議論されている設計の機械的な態様の多くは、追加的な能
力またはより少ない能力を備えた人力レーシング・エンジンまたは他の電動式レーシング
・エンジンに適用可能である。したがって、「自動化されたフットウェア・プラットフォ
ーム」の中で使用されているような「自動化された」という用語は、ユーザ入力なしに動
作するシステムをカバーすることだけが意図されているわけではない。むしろ、「自動化
されたフットウェア・プラットフォーム」という用語は、フットウェアのレースを締めた
りまたは保持したりするシステムのための、さまざまな電動機構、および人力の機構、自
動的に作動させられる機構、ならびに、人間により作動させられる機構を含む。
【0012】
図1は、いくつかの例示的な実施形態に係るフットウェアのための電動式レーシング・
システムの構成要素の分解図の説明図である。図1に図示されている電動式レーシング・
システム1は、レーシング・エンジン10、蓋20、アクチュエータ30、ミッドソール
・プレート40、ミッドソール50、およびアウトソール60を含む。図1は、自動化さ
れたレーシング・フットウェア・プラットフォームの構成要素の基本的な組み立て順序を
図示している。電動式レーシング・システム1は、ミッドソール・プレート40がミッド
ソールの中に固定されることから始める。次に、アクチュエータ30が、アウトソール6
0の中に埋め込まれ得るインターフェース・ボタンとは反対側に、ミッドソール・プレー
トの外側の中の開口部の中へ挿入される。次に、レーシング・エンジン10が、ミッドソ
ール・プレート40の中へ落とされる。例では、レーシング・システム1は、レーシング
・ケーブルの連続的なループの下に挿入され、レーシング・ケーブルは、レーシング・エ
ンジン10の中のスプールと整合させられる(以下に議論されている)。最後に、蓋20
が、ミッドソール・プレート40の中の溝部の中へ挿入され、閉位置へと固定され、ミッ
ドソール・プレート40の中の凹部の中へラッチ係合される。蓋20は、レーシング・エ
ンジン10を捕捉することが可能であり、また、動作の間のレーシング・ケーブルの配列
を維持することを支援することが可能である。
【0013】
例では、フットウェア物品または電動式レーシング・システム1は、足存在特性をモニ
タリングもしくは決定することができる1つもしくは複数のセンサを含むか、または、こ
の1つもしくは複数のセンサとインターフェース接続するように構成されている。1つま
たは複数の足存在センサからの情報に基づいて、電動式レーシング・システム1を含むフ
ットウェアは、さまざまな機能を果たすように構成され得る。たとえば、足存在センサは
、足がフットウェアの中に存在しているかまたは存在していないかについてのバイナリー
情報を提供するように構成され得る。足存在センサからのバイナリー信号が、足が存在し
ているということを示す場合には、電動式レーシング・システム1が作動させられ得、フ
ットウェア・レーシング・ケーブルを自動的に締め付けるかまたは弛緩させる(すなわち
、緩める)ようになっている。例では、フットウェア物品は、プロセッサ回路を含み、プ
ロセッサ回路は、足存在センサからの信号を受信または解釈することが可能である。プロ
セッサ回路は、任意に、レーシング・エンジン10の中に、または、レーシング・エンジ
ン10とともに、たとえば、フットウェア物品のソールの中などに、埋め込まれ得る。
【0014】
レーシング・エンジン10の例が、図2A図2Nを参照して詳細に説明されている。
電動式レーシング・システム1のさまざまな追加的な詳細が、本説明の残りの部分の全体
を通して議論されている。
【0015】
図2A図2Nは、いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンを
示す説明図および図面である。図2Aは、例示的なレーシング・エンジン10のさまざま
な外部特徴を紹介しており、それは、ハウジング構造体100、ケースねじ108、レー
ス溝110(レース・ガイド・リリーフ110とも称される)、レース溝壁112、レー
ス溝移行部114、スプール凹部115、ボタン開口部120、ボタン121、ボタン膜
シール124、プログラミング・ヘッダー128、スプール130、およびレース溝部1
32を含む。ハウジング構造体100の追加的な詳細が、図2Bを参照して以下に議論さ
れている。
【0016】
例では、レーシング・エンジン10は、ケースねじ108などのような1つまたは複数
のねじによって、一緒に保持されている。ケースねじ108は、1次駆動機構の近くに位
置決めされており、レーシング・エンジン10の構造的完全性を強化する。また、ケース
ねじ108は、たとえば、外部の繋ぎ目の超音波溶接のためにケースを一緒に保持するな
ど、組み立てプロセスを支援するように機能する。
【0017】
この例では、レーシング・エンジン10は、レース溝110を含み、自動化されたフッ
トウェア・プラットフォームの中へ組み立てられると、レースまたはレース・ケーブルを
受け入れる。レース溝110は、レース溝壁112を含むことが可能である。レース溝壁
112は、面取りされた縁部を含むことが可能であり、動作の間にレース・ケーブルが走
るための滑らかなガイド表面を提供する。レース溝110の滑らかなガイド表面の一部は
、溝移行部114を含むことが可能であり、溝移行部114は、スプール凹部115に通
じるレース溝110の広がった部分である。スプール凹部115は、溝移行部114から
、スプール130の外形にぴったりと合う概して円形の部分の中へ移行している。スプー
ル凹部115は、スプールに巻かれたレース・ケーブルを保つことを支援し、また、スプ
ール130の位置を保つことを支援する。しかし、設計の他の態様は、スプール130の
主要な保持を提供する。この例では、スプール130は、ヨーヨーの半分と同様に形状決
めされており、レース溝部132が、平坦な頂面を通って走っており、スプール軸133
図2Aには示されていない)が、反対側から下方に延在している。スプール130は、
追加的な図を参照して以下にさらに詳細に説明されている。
【0018】
レーシング・エンジン10の側面は、ボタン開口部120を含み、ボタン開口部120
は、機構を作動させるためのボタン121がハウジング構造体100を通って延在するこ
とを可能にする。ボタン121は、スイッチ122の作動のための外部インターフェース
を提供しており、それは、以下に議論されている追加的な図に図示されている。いくつか
の例では、ハウジング構造体100は、ボタン膜シール124を含み、ほこりおよび水か
らの保護を提供する。この例では、ボタン膜シール124は、最大で数ミル(1ミルは2
5.4マイクロメートル(1000分の1インチ))の厚さの透明プラスチック(または
、同様の材料)であり、この透明プラスチックは、ハウジング構造体100の上面から、
角部を覆って、側面の下へ付着されている。別の例では、ボタン膜シール124は、ボタ
ン121およびボタン開口部120をカバーする、50.8マイクロメートル(2ミル)
の厚さのビニール接着剤付きの膜である。
【0019】
図2Bは、頂部102および底部104を含むハウジング構造体100の説明図である
。この例では、頂部102は、ケースねじ108、レース溝110、レース溝移行部11
4、スプール凹部115、ボタン開口部120、およびボタン・シール凹部126などの
ような、特徴を含む。ボタン・シール凹部126は、ボタン膜シール124のための嵌め
込み部を提供するように解放される頂部102の一部分である。この例では、ボタン・シ
ール凹部126は、頂部104の上面の外側の2、3ミル(1ミルは25.4マイクロメ
ートル)凹んだ部分であり、上面の外側縁部の一部分を覆って、頂部104の側面の一部
分の長さにわたって下へ移行している。
【0020】
この例では、底部104は、ワイヤレス充電器アクセス105、ジョイント106、お
よびグリース隔離壁109などのような、特徴を含む。また、具体的には識別されていな
いが、ケースねじ108を受け入れるためのケースねじベース、および、駆動機構の一部
分を保持するためのグリース隔離壁109の中のさまざまな特徴が図示されている。グリ
ース隔離壁109は、ギヤ・モータおよび密閉型のギヤ・ボックスを含むレーシング・エ
ンジン10の電気的な構成要素から離れるように、駆動機構を取り囲むグリースまたは同
様の化合物を保つように設計されている。この例では、ウォーム・ギヤ150およびウォ
ーム駆動部140は、グリース隔離壁109の中に含有されているが、一方、ギヤ・ボッ
クス144およびギヤ・モータ145などのような、他の駆動に係る構成要素は、グリー
ス隔離壁109の外側にある。さまざまな構成要素の位置決めは、たとえば、図2Bと図
2Cとの比較を通して理解され得る。
【0021】
図2Cは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10のさまざまな内部構成要
素の説明図である。この例では、レーシング・エンジン10は、スプール磁石136、O
リング・シール138、ウォーム駆動部140、ブッシング141、ウォーム駆動キー1
42、ギヤ・ボックス144、ギヤ・モータ145、モータ・エンコーダ146、モータ
回路基板147、ウォーム・ギヤ150、回路基板160、モータ・ヘッダー161、バ
ッテリ接続部162、およびワイヤード充電ヘッダー163をさらに含む。スプール磁石
136は、磁力計(図2Cには示されていない)による検出を通して、スプール130の
移動をトラッキングすることを支援する。Oリング・シール138は、スプール軸133
の周りにおいてレーシング・エンジン10の中へ侵入し得るほこりおよび湿気をシールす
るように機能する。
【0022】
この例では、レーシング・エンジン10の主要な駆動に係る構成要素は、ウォーム駆動
部140、ウォーム・ギヤ150、ギヤ・モータ145、およびギヤ・ボックス144を
含む。ウォーム・ギヤ150は、ウォーム駆動部140およびギヤ・モータ145の逆転
駆動を阻止するように設計されており、これは、レーシング・ケーブルからスプール13
0を介して入ってくる主要な入力の力が、比較的に大きいウォーム・ギヤおよびウォーム
駆動部の歯の上に分散されるということを意味している。この配置は、フットウェア・プ
ラットフォームの活動的な使用からの動的荷重、または、レーシング・システムを締め付
けることからの締め付け荷重の両方に耐えるのに十分な強度のギヤを含むことを必要とし
ないように、ギヤ・ボックス144を保護する。ウォーム駆動部140は、駆動システム
のより壊れやすい部分、たとえば、ウォーム駆動キー142などを保護することを支援す
る追加的な特徴を含む。この例では、ウォーム駆動キー142は、ギヤ・ボックス144
から出てくる駆動軸を通してピンとインターフェース接続するウォーム駆動部140のモ
ータ端部の中の半径方向のスロットである。この配置は、ウォーム駆動部140が軸線方
向に(ギヤ・ボックス144から離れるように)自由に移動することを可能にし、それら
の軸線方向の荷重をブッシング141およびハウジング構造体100に伝達することによ
って、ウォーム駆動部140がギヤ・ボックス144またはギヤ・モータ145に任意の
軸線方向の力を付与することを防止する。
【0023】
図2Dは、レーシング・エンジン10の追加的な内部構成要素を示す説明図である。こ
の例では、レーシング・エンジン10は、ウォーム駆動部140、ブッシング141、ギ
ヤ・ボックス144、ギヤ・モータ145、モータ・エンコーダ146、モータ回路基板
147、およびウォーム・ギヤ150などのような、駆動に係る構成要素を含む。図2D
は、バッテリ170の説明図、および、上記に議論されている駆動に係る構成要素のうち
のいくつかのよりよい図を加える。
【0024】
図2Eは、レーシング・エンジン10の内部構成要素を示す別の説明図である。図2E
では、ウォーム・ギヤ150は、インデキシング(indexing)・ホイール151
(ジェネバ(Geneva)・ホイール151とも称される)をより良好に図示するため
に除去されている。さらに詳細に以下に説明されているように、インデキシング・ホイー
ル151は、電気的なまたは機械的な故障および位置の喪失の場合に、駆動機構を原点に
復帰させるための機構を提供する。この例では、レーシング・エンジン10は、また、ワ
イヤレス充電インターコネクト165およびワイヤレス充電コイル166を含み、それら
は、バッテリ170(これは、この図には図示されていない)の下に位置付けされている
。この例では、ワイヤレス充電コイル166は、レーシング・エンジン10の底部104
の外部下面の上に装着されている。
【0025】
図2Fは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10の断面説明図である。図
2Fは、スプール130の構造体を図示するだけでなく、どのようにレース溝部132お
よびレース溝110がレース・ケーブル131とインターフェース接続するかということ
を図示するのを支援する。この例に示されているように、レース131は、レース溝11
0を通ってスプール130のレース溝部132の中へ連続的に走っている。また、断面説
明図は、レース凹部135およびスプール中間部を示しており、それらは、レース131
がスプール130の回転によって巻き取られるときに、レース131が巻き重ねられるこ
ととなる場所である。スプール中間部137は、スプール130の上面の下に配設されて
いる、縮径された円形部である。レース凹部135は、スプール130の上部によって形
成されており、スプール130の上部は、スプール凹部115、スプール凹部115の側
部および床部、ならびにスプール中間部137を実質的に充填するように、半径方向に延
在している。いくつかの例では、スプール130の上部は、スプール凹部115を越えて
延在することが可能である。他の例では、スプール130は、スプール凹部115の中に
完全にフィットし、半径方向の上部が、スプール凹部115の側壁まで延在しているが、
スプール130がスプール凹部115によって自由に回転することを可能にする。レース
131は、レーシング・エンジン10を横切って走るとレース溝部132によって捕獲さ
れ、これによってスプール130が回されるときに、レース131がレース凹部135の
中のスプール130の本体部の上に回転させられるようになっている。
【0026】
レーシング・エンジン10の断面によって図示されているように、スプール130は、
スプール軸133を含み、スプール軸133は、Oリング138を通り抜けた後に、ウォ
ーム・ギヤ150と連結する。この例では、スプール軸133は、接続ピン134を介し
て、ウォーム・ギヤに連結されている。いくつかの例では、接続ピン134は、スプール
軸133から1つの軸線方向だけに延在しており、また、ウォーム・ギヤ150の方向が
逆にされるときに、接続ピン134が接触される前に、ウォーム・ギヤ150のほとんど
完全な回転を可能にするように、ウォーム・ギヤの上のキーによって接触されている。ま
た、クラッチ・システムは、スプール130をウォーム・ギヤ150に連結するように実
装され得る。そのような例では、クラッチ機構は、レースを緩める(弛緩させる)ときに
スプール130が自由に回ることを可能にするように作動させられ得る。接続ピン134
がスプール軸133から1つの軸線方向だけに延在している例では、スプールは、ウォー
ム・ギヤ150が逆転駆動されている間に、弛緩プロセスの初期の作動のときに自由に移
動することを許容される。弛緩プロセスの初期部分の間にスプール130が自由に移動す
ることを可能にすることは、レース131のもつれを防止することを支援する。その理由
は、それが、ユーザがフットウェアを緩め始めるための時間を提供し、次にそれによって
、ウォーム・ギヤ150によって駆動される前にレース131を緩める方向に張力を与え
ることとなるからである。
【0027】
図2Gは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10の別の断面説明図である
図2Gは、図2Fと比較して、レーシング・エンジン10のより内側の断面を図示して
おり、それは、回路基板160、ワイヤレス充電インターコネクト165、およびワイヤ
レス充電コイル166などのような、追加的な構成要素を図示している。また、図2G
、スプール130およびレース131のインターフェースを取り囲む追加的な詳細を示す
ために使用される。
【0028】
図2Hは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10の上面図である。図2H
は、グリース隔離壁109を強調しており、また、どのようにグリース隔離壁109が、
スプール130、ウォーム・ギヤ150、ウォーム駆動部140、およびギヤ・ボックス
145を含む、駆動機構の特定の部分を取り囲むかということを図示している。特定の例
では、グリース隔離壁109は、ウォーム駆動部140をギヤ・ボックス145から分離
している。また、図2Hは、スプール130とレース・ケーブル131との間のインター
フェースの上面図を提供しており、レース・ケーブル131が、スプール130の中のレ
ース溝部132を通って内外方向に走っている。
【0029】
図2Iは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10のウォーム・ギヤ150およびインデックス・ホイール15の一部分の上面の説明図である。インデックス・ホイール151は、腕時計製造およびフィルム映写機において使用される周知のジェネバ・ホイールに関するバリエーションである。典型的なジェネバ・ホイールまたは駆動機構は、たとえば、フィルム映写機において必要とされるように、または、腕時計の秒針を断続的に移動させるために、連続的な回転移動を断続的な運動に変換する方法を提供する。腕時計メーカは、機械的な腕時計スプリングの巻き過ぎを防止するために、異なるタイプのジェネバ・ホイールを使用したが、欠けているスロットを備えたジェネバ・ホイール(たとえば、ジェネバ・スロット157のうちの1つが欠けていることとなる)を使用している。欠けているスロットは、ジェネバ・ホイールのさらなる割り出しを防止することとなり、それは、スプリングを巻くことの原因であり、巻き過ぎを防止する。図示されている例では、レーシング・エンジン10は、ジェネバ・ホイールについてのバリエーション、インデキシング・ホイール151を含み、インデキシング・ホイール151は、原点に復帰する動作において停止機構として作用する小さい停止歯156を含む。図2J図2Mに図示されているように、標準的なジェネバ歯155は、インデックス歯153がジェネバ歯155のうちの1つの隣のジェネバ・スロット157に係合しているときに、ウォーム・ギヤ150のそれぞれの回転に関して単純に割り出しする。しかし、インデックス歯153が停止歯156の隣のジェネバ・スロット157に係合しているときに、より大きい力が発生させられ、それは、原点に復帰する動作において駆動機構を失速させるために使用され得る。あるいは、インデックス歯153が停止歯156に係合するときに生成されるより大きな力および異なる力のプロファイルを、原点位置を識別するために、レーシング・エンジン内のプロセッサ回路によって検出することができる。停止歯156の側面形状は、(ジェネバ歯155の側面形状と比較して)より急で、概ね真っ直ぐである。停止歯156は、モータ・エンコーダ146などのような、他の位置決め情報の喪失の場合に原点に復帰するための機構の公知の場所を生成させるために使用され得る。
【0030】
この例において、原点復帰装置(インデキシングホイール151)は、原点位置間で完全に4回転できるように設計されている(他の設計では、異なる数の回転が実現されるように実装できる)。原点復帰装置は2つの原点位置を有し、一方は完全に弛緩した状態(すべてのレースがスプールから巻き出されている)を表し、2つ目は完全に締まった状態(システムが最大量のレースをスプールに巻きつけている)を表す。原点復帰装置がいずれかの原点位置に当たると、インデックス歯153と停止歯156との間の相互作用により、駆動機構を停止させるのに十分に大きい力が発生する。システムは、モータ電流の測定を通じてこの力を測定できる。しばらくモータ電流を測定することにより、ある力プロファイルが発生し、これを使って原点位置を特定できる。インデックス歯153が停止歯156と係合することに関連付けられる力プロファイルは、インデックス歯153がジェネバ歯155の1つと係合することにより発生する力プロファイルと十分に異なるため、プロセッサはその違いを識別できる。ある例において、停止歯に当たることにより発生する力プロファイルは、より大きい大きさと、速い経時的変化率(例えば、より高い傾斜)を有する。停止歯の係合により発生する力プロファイルもまた、レース・ケーブルを引くことから発生し、スプールを通じて駆動機構に伝達可能な力プロファイルとは区別できるように設計される。力がレース・ケーブルを通じて伝達されることにより発生する力プロファイルは一般に、大きさにおいてより小さく、経時的変化率はより低くなる(例えば、より低い傾斜)。
【0031】
図2J図2Mは、例示的な実施形態に係るインデックス動作を通して移動するウォー
ム・ギヤ150およびインデックス・ホイール151の説明図である。上記に議論されて
いるように、これらの図は、図2Jから始めて図2Mにわたって、ウォーム・ギヤ150
の単一の全回転の間に何が起こるかということを図示している。図2Jでは、ウォーム・
ギヤ150のインデックス歯153は、ジェネバ歯155の第1のジェネバ歯155aと
停止歯156との間で、ジェネバ・スロット157の中に係合されている。図2Kは、第
1のインデックス位置にあるインデックス・ホイール151を図示しており、ウォーム・
ギヤ150によってインデックス歯153がその回転を開始するときに、第1のインデッ
クス位置が維持される。図2Lでは、インデックス歯153は、第1のジェネバ歯155
aの反対側のジェネバ・スロット157に係合し始めている。最後に、図2Mでは、イン
デックス歯153は、第1のジェネバ歯155aと第2のジェネバ歯155bとの間のジ
ェネバ・スロット157の中に完全に係合されている。図2J図2Mに示されているプ
ロセスは、インデックス歯153が停止歯156に係合するまで、ウォーム・ギヤ150
のそれぞれの回転を続ける。上記に議論されているように、インデックス歯153が停止
歯156に係合するときに、増加した力が、駆動機構を失速させることが可能である。
【0032】
図2Nは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10の分解図である。レーシ
ング・エンジン10の分解図は、どのようにすべてのさまざまな構成要素が組み合わさる
かということの説明図を提供する。図2Nは、上下逆さまにレーシング・エンジン10を
示しており、底部104は、ページの上部にあり、頂部102は、底辺の近くにある。こ
の例では、ワイヤレス充電コイル166が、底部104の外側(下)に付着されていると
して示されている。また、この分解図は、どのようにウォーム駆動部140が、ブッシン
グ141、駆動軸143、ギヤ・ボックス144、およびギヤ・モータ145とともに組
み立てられるかということの良好な説明図を提供する。この説明図は、ウォーム駆動部1
40の第1の端部においてウォーム駆動キー142の中に受け入れられる駆動軸ピンを含
まない。上記に議論されているように、ウォーム駆動部140は、駆動軸143上をスラ
イドし、ウォーム駆動キー142の中の駆動軸ピンに係合し、ウォーム駆動キー142は
、本質的に、ウォーム駆動部140の第1の端部において駆動軸143に対して横断方向
に走るスロットである。
【0033】
図3は、幾つかの例示的な実施形態による、フットウェアのための電動式レーシング・
システム1000の構成要素を示すブロック図である。システム1000は電動式レーシ
ング・システムの基本的な構成要素を示しており、これには例えば、インタフェースボタ
ン1001、任意選択による足存在センサ1010、プロセッサ回路を備えるプリント回
路板アセンブリ(PCA)1020、バッテリ1021、充電コイル1022、エンコー
ダ1025、モータ1041、トランスミッション1042、及びスプール1043が含
まれる。この例において、インタフェースボタン1001と足存在センサ1010は、回
路板(PCA)1020と通信でき、これはバッテリ1021及び充電コイル1022と
も通信する。エンコーダ1025とモータ1041は、回路板1020及び相互にも接続
される。トランスミッション1042はモータ1041をスプール1043に連結して、
駆動機構1040を形成する。この例において、モータ1041、トランスミッション1
042、及びスプール1043は駆動機構1040を構成し、これは幾つかの例において
、エンコーダ1025も含む。
【0034】
ある例において、プロセッサ回路1020は駆動機構1040の1つ又は複数の面を制
御する。例えば、プロセッサ回路1020は、ボタン1001からの、及び/又は足存在
センサ1010からの、及び/又はバッテリ1021からの、及び/又は駆動機構104
0からの、及び/又はエンコーダ1025からの情報を受け取るように構成でき、さらに
、他の機能のほかに、例えばフットウェアをきつくする、もしくは緩めるように、又はセ
ンサ情報を取得、もしくは記録するように駆動機構1040を制御するように構成できる
。後でさらに述べるように、幾つかの例において、プロセッサ回路1020は、バッテリ
1021からの電圧と電流を測定できる。プロセッサ回路1020はまた、エンコーダ1
025からの信号をモニタできる。バッテリ1021及びエンコーダ1025からの情報
は、プロセッサ回路1020によって駆動機構1040、特にモータ1041を制御する
ために使用できる。幾つかの例において、プロセッサ回路1020はまた、モータ104
1から流れる電流も測定でき、これはモータ1041により発生されるトルクの測定値と
して使用できる。後でさらに述べるように、電圧はプロセッサ回路1020により測定で
き、電圧はモータ速さの測定値として使用できる(又は、これらは直接関係する)。
【0035】
モータ制御手順
図4図9は、幾つかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンを制御す
るためのモータ制御手順の各種の面を説明する略図とフローチャートである。本明細書に
おいて論じられているモータ制御手順は、駆動機構1040及び、より具体的にはモータ
1041(又は、図1~2Nに示されているモータ145)の動作を制御できる。モータ
制御手順は、可変サイズ制御セグメント(図4)、モーションプロファイル(図5~7)
、及びバッテリ電圧に基づくモータ制御パラメータの変更のようなコンセプトを含む。
【0036】
図4は、ある例示的な実施形態による可変サイズ制御セグメントのコンセプトを説明す
る略図を含む。この例において、可変セグメントサイズでのモータ制御手順は、全体の移
動をレースの緊張度という点でセグメントに分割することを含み、このセグメントはレー
ス移動の連続(例えば、一方の端の原点/弛緩位置と他方の端の最大締め付けの間)にお
ける位置に基づいて大きさが異なる。モータがラジアルスプールを制御していて、主とし
てモータシャフト上のラジアルエンコーダを介して制御されるため、セグメントはスプー
ルの移動角度という点で大きさを判断できる(また、エンコーダカウントという点で見る
こともできる)。連続の弛緩側で、セグメントは例えばスプール移動10度等と、大きく
することができ、これはレース移動の量の重要性が低いからである。しかしながら、レー
スが締められるにつれて、レースの移動の各増分は、所望の量のレースの締め付けを得る
ためにますます重要になってくる。モータ電流等、その他のパラメータもレースの締め付
け又は連続位置の二次的な測定値として使用できる。図4は、締め付けの連続に沿った位
置に基づく異なるセグメントサイズの2つの別々の図を含む。
【0037】
ある例において、可変サイズ制御手順は、駆動機構の回転移動全体を移動連続内の位置
に基づいて可変サイズのセグメントに分割することを含む。前述のように、特定の例にお
いて、駆動機構1040は動作的移動全体が限定されるように構成できる。駆動機構の動
作的移動全体は、回転という点、又は直線距離という点で見ることができる。直線距離と
いう点で見た場合、動作的移動全体は駆動機構が可能なレース(又は引っ張り部材)の緊
張量という点で見ることができる。駆動機構の動作的移動全体の連続は、原点(又は完全
に弛緩した)位置から最大締め付け(例えば、前述の機械的停止機構により制御されるス
プール1043の丸4回転)まで移動するレース緊張度と言う点で見ることができる。制
御セグメント401により示されるように、連続の弛緩側での駆動機構1040の移動は
、はるかに劇的と(例えば、はるかに大きく)することができ、その一方で、連続移動の
最大締め付け側では、はるかに細かい制御レベルを有する必要がある。したがって、ある
例において、移動連続はセグメント又はグループに分割され、あるセグメント又はグルー
プ内の各ユニットは特定の移動サイズ(例えば、回転度数、エンコーダカウント、又は直
線距離)を表す。連続の弛緩側では、ユニットサイズは大きいか、駆動機構1040のよ
り大きい回転移動を命令することができる。連続の緊張側では、ユニットは駆動機構10
40の小さい回転移動を命令するために、はるかに小さくすることができる。
【0038】
ある例において、可変制御セグメント402は移動連続410を含むことができ、これ
は6つの制御セグメント415、420、425、430、435、440に細分できる
。移動連続410は、解きほぐしセグメント415から最大締め付けセグメント440へ
と進むことができ、その間に原点復帰セグメント420、快適セグメント425、パフォ
ーマンスセグメント430、及びハイパフォーマンスセグメント435がある。可変制御
セグメント402内の異なる制御セグメントを示すブロックの異なる横方向距離によって
示されているように、異なるセグメントユニットの各々は、駆動機構1040に異なる量
だけ移動させるように命令できる。セグメントユニットは、スプールの回転度数という点
、又はレースの直線移動距離という点で定義できる。
【0039】
モーションプロファイルコンセプトは、駆動機構の1つ又は複数の移動を特定の所望の
結果を命令するためのプロファイルにグループ分けすることを含む。各モーションプロフ
ァイルは、駆動機構1010の移動を制御するためのパラメータを含む。ある例では、パ
ラメータはスプール1009の移動を制御するという点で見ることができる。モーション
プロファイルは、移動の表から生成できる。モーションプロファイルは、歯車減速乗数及
び/又はバッテリ電圧に関連するスケーリングファクタ等、追加のグローバルパラメータ
によって変更できる。例えば、図8及び9に関して後述する移動制御技術はスケーリング
ファクタを変更でき、これがその後、モーションプロファイルを変更するために使用され
る。
【0040】
図5は、現在の締め付け連続位置と所望の最終位置に基づいてモーションプロファイル
の表を作成するための締め付け連続位置の使用を示している。すると、モーションプロフ
ァイルは使用者入力ボタンからの特定の入力へと変換できる。この例では、モーションプ
ロファイルはスプールの動きのパラメータ、例えば加速度(Accel(deg/s/s
))、速度(Vel(deg/s))、減速度(Dec(deg/s/s))、及び移動
角度(Angle(deg))を含む。幾つかの例において、移動パラメータは代替的に
、レース移動加速度、速度、減速度、直線距離という点で表現できる。
【0041】
図6は、時間対速度グラフでプロットされた例示的なモーションプロファイルを示す。
グラフ601は、異なるモーションプロファイル、例えば原点-快適プロファイル及び弛
緩プロファイルの時間の速度プロファイルを示している。グラフ602は、解きほぐし移
動のプロファイルを示しており、システムは、駆動機構1040内の絡まりを除去するた
めに、高速で連続して締められたり緩められたりされる(例えば、レースがスプール10
43に絡まった場合)。
【0042】
図7は、締め付け連続に沿って様々なモーションプロファイルを作動させるための例示
的な使用者入力を示す図である。例えば、プラスアクチュエータのボタンの短い1回押し
は、例えば原点/弛緩から快適へと、連続に沿ってよりきつい位置へと移動させるように
プログラムできる。反対に、ネガティブアクチュエータのボタンの短い1回押しは、例え
ばパフォーマンスから快適へと、徐々に緩い位置へと移動させるようにプログラムできる
。各ボタンの2回押しは、異なるプロファイルを作動させることができる。例えば、プラ
スアクチュエータの2回押しは、例えばパフォーマンスから最大締め付けへと、連続上の
次のよりきつい位置へとより高速で移動するようにプログラムできる。ネガティブアクチ
ュエータの2回押しは、開始位置にかかわらず、原点/弛緩位置に完全に戻るようにプロ
グラムすることができる。アクチュエータボタンを押し続けることは、手を離すまで、又
は停止位置に到達する(例えば、最大締め付け又は原点/弛緩)まで、きつくし(プラス
アクチュエータの場合)又は緩める(ネガティブアクチュエータの場合)ようにプログラ
ムできる。
【0043】
図8及び図9は、少なくとも一部に、バッテリ電圧レベルに基づく異なる動作ゾーンに
基づく例示的な駆動機構制御手順を示すフローチャートを含む。バッテリを電源とするモ
ータを利用するデバイスにおいて、利用可能なバッテリ電圧は、モータが動作できる速さ
(速度)に直接影響を与える可能性があり、利用可能な電圧が高いほど、速さは速い。バ
ッテリは一般に、完全に充電されてから低いバッテリレベルまでにそれらが供給可能なあ
る範囲の動作電圧を有する(システムは通常、完全にバッテリを使い切らない/放電させ
ないように設計される)。放電サイクル中、バッテリにより供給される電圧は、バッテリ
管理システム(BMS)が放電による損傷を回避するためにバッテリを切るまで徐々に低
下する。例えば、本明細書において論じられているレーシング・エンジンの特定の設計で
は、4.3v~3.6vの動作電圧範囲のバッテリを使用できる。この動作範囲にわたり
、モータは当然、何らかの形態のモータ制御が行われなければ、出力速さにおいて広いば
らつきを示す可能性がある。特定のデバイスでは、モータ出力速さのばらつきは、負の消
費者の印象及び/又は感知される、又は実際のパフォーマンスの望ましくないばらつきの
原因となる可能性がある。例えば、レーシング・エンジンは、レース締め付けの最大量に
おける望ましくないばらつき又は、それが所望の締め付けレベルに到達するまでにかかる
時間の望ましくないばらつきを呈するかもしれない。したがって、これらの望ましくない
パフォーマンスのばらつきの可能性を解決するために、モータの電圧動作範囲の少なくと
も一部にわたってモータ出力速さを平滑化するためのモータ制御手順が考案された。この
例では、2つの動作ゾーンが選択され、それによって、動作範囲の一部について、モータ
が動作電圧範囲の下端で可能なものより高いパフォーマンスレベルで動作でき、それと同
時にパフォーマンスの望ましくないばらつきの一部が排除される。この手順の使用はまた
、動作の速さ及び動作中に聞こえるモータ音等、より一貫した使用者エクスピリエンスを
与えるという利点も提供できる。
【0044】
この例では、電圧閾値は主要動作電圧範囲の下端として選択される。幾つかの例におい
て、所望の動作速さは閾値電圧の代わりに、又はそれを特定するための手段として選択さ
れる。これらの例において、使用されるモータは、入力電圧と出力速さ(速度)との間に
多かれ少なかれ直接的な関係を有し、したがって、一方を選択すると他方が決まる。選択
された、又は特定された電圧閾値で、モータは100%のデューティサイクルで動作して
、目標出力速さに到達できる。閾値電圧を超える電圧では、モータは100%未満のデュ
ーティサイクルで動作して、モータが目標出力速さを維持できるようにすることができる
。したがって、バッテリにより提供可能な閾値電圧より高いすべての動作電圧において、
モータは一定の出力速さで動作できる。制御手順は、レースの締め付け速さ、張力、使用
者への可聴フィードバックを含む、パフォーマンスという点でのより一貫した使用者エク
スピリエンスを提供する。1つの追加の利点は、可聴フィードバック等の動作パラメータ
が、バッテリ電圧が閾値電圧より低くなると変化することである。このような気付くこと
のできる動作パラメータの変化は、バッテリの交換が必要であるという使用者への表示と
なりうる。
【0045】
この例では、バッテリ電圧が閾値電圧より低くなると、システムパフォーマンスが最低
動作電圧(バッテリの致命的低レベルと呼ばれることがある)と等しいレベルまで低下す
る。駆動システムの出力パフォーマンスの低下は、使用者に対するバッテリ充電がまもな
く必要であるとの表示となりうる。パフォーマンスの低下は、より低いパフォーマンスレ
ベルでもある期間にわたり連続動作できるように設計できる。
【0046】
ある例示的なレーシング・システムにおいて、動作範囲が4.3v~3.6vのバッテ
リを使用できる。このシステムでは、3.8vの閾値電圧を選択できる。3.8vより高
いバッテリ電圧では、システムは3.8vでの100%デューティサイクルの出力速さと
等しい目標出力速さで動作する。したがって、バッテリが完全に充電されると(4.3v
)、プロセッサ回路1020は目標出力速さに到達させるために、モータに供給されるパ
ワーを調整できる。したがって、4.3vではモータは100%より幾分低いデューティ
サイクルで動作する。バッテリにより提供可能な電圧が3.8vより低くなると、システ
ムはパフォーマンスを低下させて、目標出力速さが3.6v(この例示的システムでのバ
ッテリの致命的低レベル)での100%デューティサイクルの出力速さと等しくなるよう
にする。
【0047】
図8は、ある例示的な実施形態によるモータ制御方式800を示すフローチャートであ
る。この例では、システム1000は、モータ又は駆動システム制御方式800を実行で
き、これは動作範囲を細分すること(810)、複数の移動を定義すること(820)、
複数のモーションプロファイルを作成すること(830)、及び移動を命令すること(8
40)等の動作を含む。
【0048】
モータ制御方式800は動作810で、プロセッサ回路1020が動作範囲、例えば移
動連続410を異なる制御セグメントに細分することから開始できる。幾つかの例におい
て、810で、プロセッサ回路1020は特定の動作範囲のための制御セグメントの集合
にアクセスするが、これは、制御セグメントの集合を特定のシステムについてあらかじめ
決定できるからである。図4に示されているように、制御セグメントは、解きほぐしセグ
メント415から最大締め付けセグメント440までのセグメントを含むことができる。
各制御セグメントは、回転度数又は直線距離で表現される異なる移動量を表すことができ
る。移動連続を異なる大きさのセグメントに細分すると、移動連続に沿ったどこでシステ
ムが動作しているかに基づいて移動の大きさを自動的に変化させることによって、制御セ
グメントを使ったモーションプロファイルを簡素化できる。例えば、フットウェア・プラ
ットフォームが原点(弛緩)状態にあるときにボタンを1回押すと、フットウェア・プラ
ットフォームが最大締め付け状態に近いときと比べてはるかに大きいレース移動量を命令
することができる。特定の例において、制御セグメントの定義はシステム1000の外部
で実行され、システム1000の動作命令は、あらかじめブログラムされた制御セグメン
トを利用する。これらの例において、プロセッサ回路1020は、システム1000内の
メモリに記憶されたデータ構造から、あらかじめプログラムされた制御セグメントにアク
セスできる。
【0049】
820で、モータ制御方式800は、プロセッサ回路1020が複数のモータ移動を定
義する(又はアクセスする)ことへと続くことができる。モータ移動は、制御セグメント
という点で、例えば2つの原点セグメント420と3つの快適セグメント425だけ移動
するとして定義できる。モータ移動はまた、加速度、速度、及び減速度等のパフォーマン
スパラメータも含むことができる。幾つかの例において、モータ移動は制御セグメント、
回転度数、又は移動直線距離という点で定義された距離パラメータを含むことができる。
動作820は、システム1000にロードされる命令にあらかじめプログラムできる別の
動作であり、この場合、プロセッサ回路1020は、システム1000上のメモリに記憶
された表又は同様のデータ構造から、あらかじめプログラムされたモータ移動にアクセス
できる。
【0050】
830で、モータ制御方式800は、プロセッサ回路が複数のモーションプロファイル
を作る(又はアクセスする)ことへと続くことができる。モーションプロファイルは、1
つ又は複数のモータ移動を含むことができる。あるモーションプロファイル内のモータ移
動は、弛緩(原点)状態又は最大締め付け状態等、フットウェア・プラットフォームの異
なる状態に到達するために定義できる。動作830は、システム1000にロードされる
命令にあらかじめプログラムできる別の動作であり、そのようにあらかじめプログラムさ
れていると、プロセッサ回路1020は移動を命令する際にモーションプロファイルにア
クセスする。
【0051】
840で、モータ制御方式800は、プロセッサ回路1020がモーションプロファイ
ルを使って駆動機構1040の移動を命令することへと続くことができる。移動を命令す
ることは、移動連続に沿った現在位置に基づいてモーションプロファイルを選択すること
を含むことができる。例えば、プロセッサ回路1020は単に、システムが原点位置から
離れた場所にあるとき、原点復帰モーションプロファイルを選択する。
【0052】
図9は、ある例示的な実施形態によるモータ制御方式900を示すフローチャートであ
る。幾つかの例では、モータ制御方式900はさらに、プロセッサ回路1020が上述の
動作840に従ってどのように移動を命令するかを定義する。他の例では、モータ制御方
式900は、動作840又はモータ制御方式800とは別に実行できる。図の例において
、モータ制御方式900は、第一の目標速度を特定する(910)、第二の目標速度を特
定する(920)バッテリ電圧を測定する(930)、バッテリ電圧が閾値を超えたか特
定する(940)、及び動作パラメータを相応に設定する(950、960)等の動作を
含むことができる。
【0053】
910で、モータ制御方式900は、プロセッサ回路1020が第一の目標モータ出力
速度を特定する(又はアクセスする)ことから開始できる。特定の例において、第一の目
標モータ出力速度は、システムが100%デューティサイクルで動作する閾値バッテリ電
圧におけるモータの出力速度を特定することに基づいて特定される。幾つかの例では、第
一の目標速度はシステム1000にあらかじめプログラムされ、プロセッサ回路1020
は、動作910では単に第一の目標速度にアクセスする。
【0054】
920で、モータ制御方式900は、プロセッサ回路1020が第二の目標モータ出力
速度を特定する(又はアクセスする)ことへと続くことができる。特定の例において、第
二の目標モータ出力速度は、システムが100%デューティサイクルで動作している状態
で、バッテリの致命的低レベル(例えば、許容可能な最低の動作電圧)での出力速度を特
定することに基づいて特定される。幾つかの例では、第二の目標電圧はシステム1000
にあらかじめプログラムされ、プロセッサ回路1020は、動作920では単に第二の目
標速度にアクセスする。
【0055】
特定の例において、動作910及び920は、システム1000のリアルタイム動作の
外で実行される。これらの例では、第一及び第二の目標モータ出力速度を特定又は選択で
きる。ある例では、閾値バッテリ電圧を選択し、第一及び第二の目標モータ出力速度を特
定するために使用できる。他の例において、第一の目標モータ出力速度が選択され、閾値
電圧レベルを特定するために使用される。この例では、閾値電圧レベルは、システムが1
00%デューティサイクルで動作中に、選択された第一の目標モータ出力速度に到達でき
るレベルである。
【0056】
930で、モータ制御方式900はプロセッサ回路1020が、駆動機構1040に供
給されている現在のバッテリ出力電圧を示す信号を受信することへと続くことができる。
特定の例では、プロセッサ回路1020は電圧計を含むことができ、他の例では、バッテ
リ、BMS、又はその他の構成要素が、プロセッサ回路1020の電圧レベルを示す必要
な信号を提供できる。
【0057】
940で、モータ制御方式900は、プロセッサ回路1020が電圧レベル表示を使っ
てモータに供給されている電圧が閾値電圧を超えたか否かを判断することへと続く。前述
のように、幾つかの例では、システム1000は特定の動作パラメータでは特定の動作範
囲で、及び第二の動作パラメータ集合では第二の電圧範囲において動作できる。
【0058】
モータに供給されている電圧の測定値が閾値電圧を超えると、モータ制御方式900は
950へと続き、プロセッサ回路1020は第一の動作特性の集合を使って(少なくとも
1つの動作パラメータが第一の値に設定される)駆動システム1040を動作させる。あ
る例では、制御された動作パラメータはモータのための出力速度であり、モータは動作9
50において、ある入力動作範囲にわたって1つの出力速度で制御される。
【0059】
モータに供給されている電圧の測定値が閾値電圧を超えない場合、モータ制御方式90
0は960へと続き、プロセッサ回路1020は第二の動作特性の集合を使って駆動シス
テム1040を動作させる。動作特性は少なくとも1つの動作パラメータを含み、これは
、この例ではモータ出力速度である。この例では、バッテリ電圧が予め定められた閾値電
圧より低くなると、モータ出力速度は第二の目標速度で動作する。制御されている動作特
性は、その他のものに加えて、電流又はデューティサイクルとすることもできる。
【0060】
以下の例は、上述のモータ制御方式に関するその他の詳細を提供する。
実施例
本発明者らは、他の事柄のほかに、レースの自動又は半自動締め付けのための電動式レ
ーシング・エンジンの改良されたモータ制御の必要性を認識した。この文書では、他の事
柄のほかに、フットウェア・プラットフォーム内で電動式レーシング・エンジンの制御を
支援するための原点復帰機構について説明する。以下の例は、原点復帰機構と、本明細書
で論じられているフットウェア・アセンブリのレーシング・エンジン内で原点復帰機構を
使用する方法の非限定的な例を提供する。
【0061】
実施例1は、自動化されたフットウェア・プラットフォーム用のレーシング・エンジン
の駆動機構の中の原点復帰装置を含む主題を説明する。この例において、原点復帰装置は
、インデキシングホイールと、複数のジェネバ歯と、停止歯と、を含むことができる。複
数のジェネバ歯はインデキシングホイールの周囲の一部に沿って分散配置されることがで
きる。複数のジェネバ歯における各ジェネバ歯は、駆動機構の一部にあるインデックス歯
が係合した時に第一の力を発生させる第一の側面プロファイルに適合する側面プロファイ
ルを含むことができる。停止歯は、2つのジェネバ歯間においてインデキシングホイール
の周囲に沿って配置されることができる。それに加えて、停止歯は、インデックス歯が係
合した時に第二の力を発生させる第二の側面プロファイルに適合する側面プロファイルを
含むことができる。
【0062】
実施例2において、実施例1の主題は任意選択により、第二の力が第一の力より大きい
ということを含むことができる。
実施例3において、実施例2の主題は、任意選択により、第二の力が、原点位置に到達
したとの指標を提供するために駆動機構を停止させるのに十分に大きいこととすることが
できる。代替的に、実施例3は任意選択により、第二の力が、インデックス歯が停止歯と
係合することに固有の力プロファイルを発生させることを含むことができる。
【0063】
実施例4において、実施例1~3の何れか1つの主題は、任意選択により、第一の側面
プロファイルが湾曲部を含むことを含むことができる。この実施例では、第一の側面プロ
ファイルは、インデックス歯がジェネバ歯の1つと係合することにより発生する力プロフ
ァイルを平滑化するように動作する。
【0064】
実施例5において、実施例1~4の何れか1つの主題は、任意選択により、複数のジェ
ネバ歯の各ジェネバ歯が第一の側面および第二の側面を有することを含むことができる。
この実施例では、第一の側面は第一の側面プロファイルに従った形状をなし、第二の側面
は第一の側面の鏡像とすることができる。
【0065】
実施例6において、実施例1~5の何れか1つの主題は、任意選択により、インデック
ス歯を有する駆動機構の一部が、歯車のオフセット円形部分であることを含むことができ
る。この実施例では、オフセット円形部分の上面が、そのインデックス歯を含む平坦部分
とで円を形成することができる。
【0066】
実施例7において、実施例6の主題は、任意選択により、複数のジェネバ歯の各ジェネ
バ歯が、駆動機構のオフセット円形部分の円形部分に適合する半径を有するRのついた外
縁を含むことを含むことができる。
【0067】
実施例8において、実施例1~7の何れか1つの主題は、任意選択により、複数のジェ
ネバ歯が4つのジェネバ歯からなることを含むことができ、原点復帰装置では、インデッ
クス歯を含む駆動機構の一部が原点位置間で完全に4回転できる。
【0068】
実施例9において、実施例1~8の何れか1つの主題は、任意選択により、第二の力の
生成が急峻な傾斜の力プロファイルを含むことを含むことができ、力プロファイルは、力
の大きさと変化率を示す。
【0069】
実施例10において、実施例9の主題は、任意選択により、レーシング・エンジンがプ
ロセッサ回路を有することを含むことができ、プロセッサ回路は第二の力の生成により作
られる力プロファイルを検出するように構成される。
【0070】
実施例11において、実施例10の主題は、任意選択により、プロセッサ回路が第二の
力の生成により作られる力プロファイルを第三の力の生成により作られる第二の力プロフ
ァイルから区別するようにさらに構成されることを含むことができる。
【0071】
実施例12において、実施例11の主題は、任意選択により、第三の力がフットウェア
・プラットフォームからレース・ケーブルを通じてレーシング・エンジンへと伝達される
ことを含むことができる。
【0072】
実施例13は、レーシング・エンジン内の駆動機構を原点復帰させるための原点復帰機
構の使用方法を説明する。この実施例において、方法は以下の動作を含むことができる。
駆動機構に、原点復帰装置と係合するインデックス歯を含む歯車を回転させるように命令
する動作であり、原点復帰装置は複数のジェネバ歯と1つの停止歯を含むことができる。
原点復帰装置と係合するインデックス歯に関連する力を検出する動作。力が予め定められ
た力プロファイルと一致したことを検出したことに基づいて原点位置を特定する動作。
【0073】
実施例14において、実施例13の主題は、任意選択により、力が予め定められた力プ
ロファイルと一致したことを検出する動作が、力が予め定められた閾値の力を超えたこと
を検出する動作を含むことを含むことができる。
【0074】
実施例15において、実施例13の主題は、任意選択により、力が予め定められた力プ
ロファイルと一致したことを検出する動作が高い変化率の力プロファイルを検出する動作
を含むことを含むことができる。
【0075】
実施例16において、実施例13の主題は、任意選択により、力が予め定められた力プ
ロファイルに一致したことを検出する動作は大きい大きさと高い変化率の力プロファイル
を検出する動作を含むことを含むことができる。
【0076】
実施例17において、実施例13の主題は、任意選択により、予め定められた力プロフ
ァイルと一致する力プロファイルを検出することによって駆動機構が原点状態に戻される
ことを含むことができる。
【0077】
実施例18は、原点復帰機構を含む自動化されたフットウェア・プラットフォーム用レ
ーシング・エンジンを説明する。レーシング・エンジンは、スプールと駆動機構を含むこ
とができる。スプールは、レースの一部を受けてフットウェア・プラットフォームを使用
者の足に固定するようになすことができる。駆動機構は、スプールを第一の軸の周囲で回
転させ、レースをスプールに巻き上げ、又はそこから解くようになすことができる。駆動
機構は、ウォームギアと原点復帰機構を含むことができる。ウォームギアはインデックス
歯を含むことができる。原点復帰機構は、インデックス歯と係合して、駆動機構を少なく
とも1つの回転位置で停止させるようになされたインデキシングホイールを含むことがで
きる。インデキシングホイールは、複数のジェネバ歯と1つの停止歯を含むことができる
。複数のジェネバ歯はインデキシングホイールの周囲の一部に沿って分散配置されること
ができる。停止歯は、インデキシングホイールの周囲に沿って、2つのジェネバ歯間に配
置でき、停止歯は駆動機構を停止させるようになされる。
【0078】
実施例19において、実施例18の主題は、任意選択により、複数のジェネバ歯におけ
る各ジェネバ歯が、駆動機構の一部にあるインデックス歯が係合した時に第一の力を発生
させる第一の側面プロファイルに適合する側面プロファイルを有することを含むことがで
きる。
【0079】
実施例20において、実施例19の主題は、任意選択により、停止歯が、インデックス
歯が係合した時に第二の力を発生させる第二の側面プロファイルに適合する側面プロファ
イルを有することを含むことができる。
【0080】
実施例21において、実施例20の主題は、任意選択により、検出された力がジェネバ
歯により生成された第一の力か、停止歯により生成された第二の力かを特定するように構
成されるプロセッサ回路を含むことができる。
【0081】
その他の注意事項
本明細書を通して、複数の事例は、単一の事例として記述される構成要素、操作、また
は構造を実装することができる。1つ以上の方法の個々の操作が別々の操作として図示さ
れ説明されているが、1つ以上の個々の操作が同時に実行されてもよく、操作が図示の順
序で実行される必要はない。例示的な構成において別々の構成要素として提示される構造
および機能は、結合された構造または構成要素として実装されてもよい。同様に、単一の
構成要素として提示される構造および機能は、別個の構成要素として実装されてもよい。
これらおよび他の変形、修正、追加および改良は、本明細書の主題の範囲内に入る。
【0082】
本発明の主題の概要は、特定の例示的な実施形態を参照して記載されているが、本開示
のより広い範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正および変更
を行うことができる。本発明の主題のそのような実施形態は、便宜上のためだけに、そし
て本出願の範囲を任意の単一の開示または発明の概念に自発的に限定しようとするもので
はなく、実際に開示されている。
【0083】
本明細書に示す実施形態は、当業者が開示された教示を実施することを可能にするため
に十分詳細に記載されている。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的
な置換および変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、そこから誘導する
ことができる。従って、開示は限定的な意味で解釈されるべきではなく、様々な実施形態
の範囲は、開示される主題が権利を与えられる均等物の全範囲を含む。
【0084】
本明細書中で使用される場合、用語「または」は、包括的または排他的な意味で解釈さ
れ得る。さらに、複数の例が、本明細書で説明されるリソース、動作、または構造に対し
て単一の例として提供されてもよい。さらに、様々なリソース、操作、モジュール、エン
ジン、およびデータストア間の境界は、いくぶん恣意的であり、特定の動作は、特定の例
示的な構成の状況で示されている。機能の他の割り当てが想定されており、本開示の様々
な実施形態の範囲内に入る可能性がある。一般に、構成例において別個のリソースとして
提示される構造および機能は、結合された構造またはリソースとして実装されてもよい。
同様に、単一のリソースとして提示される構造および機能性は、別個のリソースとして実
装されてもよい。これらおよび他の変形、修正、追加および改良は、添付の特許請求の範
囲によって表される本開示の実施形態の範囲内に含まれる。したがって、明細書および図
面は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。
【0085】
これらの非限定的な例の各々は、それ自体でも有効であるし、1つ以上の他の例との様
々な順列または組み合わせで組み合わせることもできる。
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、
例示として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は
、本明細書では「実施例」または「例」とも呼ばれる。そのような実施例は、図示または
説明されたものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示ま
たは記載された要素のみが提供される実施例も企図する。さらに、本発明者らは、特定の
例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、または示されたまたは記載された要素
(またはその1つまたは複数の態様)の任意の組み合わせまたは置換を使用する例を企図
するか、または他の例(またはその1つまたは複数の態様)を示す。
【0086】
この文書とこれに参照として組み入れられた文書との間に一貫性のない使用があった場
合、この文書の使用が制御される。
本明細書では、特許文献において一般的であるように、構成要素等を単数で記載する場
合、「少なくとも1つの」または「1以上の」という他の記載または使用とは別に、1つ
または複数を含む。本明細書において、特に断りのない限り、「または」は非排他的に用
いられ、例えば「AまたはB」というときには、「AではあるがBではない」、「Bでは
あるがAではない」、および「AおよびB」を含む。本明細書では、「含む(inclu
ding)」という用語は、「備える(comprising)」と同義で使用される。
以下の請求項において、「含む」「備える」の後に構成を列挙する場合、その他の構成が
加えられてもよい。システム、装置、物品、組成物、配合物、またはプロセスにおいて、
列挙された構成に他の構成が追加されたとしても、それらは依然としてその請求の範囲内
にある。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」および「第3」な
どの用語は単に区別のために使用され、それらが付されたものに順番に係る要件を課すこ
とを意図しない。
【0087】
モータ制御の例のような本明細書に記載の方法の例は、少なくとも部分的に機械的にま
たはコンピュータで実施することができる。いくつかの例は、上記の例で説明した方法を
実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令でコード化された、コンピ
ュータが読み取り可能な媒体または機械で読み取り可能な媒体を含むことができる。その
ような方法の実装には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなど
のコードを含めることができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコン
ピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を
形成することができる。さらに、一例では、コードは、実行中または他の時など、1つま
たは複数の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータで読み取り可能な媒
体に有形に格納することができる。これらの具体的なコンピュータで読み取り可能な媒体
の例には、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、取り外し可能な光ディスク(例
えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカー
ドまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM
)などが含まれる。
【0088】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上記の例(または
その1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。上記の説明を検
討することにより、当業者によって、他の実施形態を使用することができる。読者が技術
的開示の性質を迅速に確認できるように、要約書が含まれていればそれが含まれる。請求
の範囲または意味を解釈または制限するために使用しないように理解されたい。また、上
記の説明では、様々な特徴をグループ化して、開示を合理化することができる。これは、
クレームされていない開示された特徴がクレームに不可欠であることを意図していると解
釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、開示された特定の実施形態のすべての
特徴よりも少なくてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、実施形態または実施
形態としての詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立して立証
され、そのような実施形態は、様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることが
できる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲
が権利を与えられる等価物の全範囲とともに決定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図2M
図2N
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9