(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】積層構造体およびメモリデバイス
(51)【国際特許分類】
H10B 53/00 20230101AFI20240904BHJP
【FI】
H10B53/00
(21)【出願番号】P 2023121897
(22)【出願日】2023-07-26
(62)【分割の表示】P 2021107796の分割
【原出願日】2021-06-29
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000227294
【氏名又は名称】キヤノンアネルバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恒川 孝二
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/045592(WO,A1)
【文献】特開2007-324167(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0151445(US,A1)
【文献】特開2019-057621(JP,A)
【文献】特開2019-145677(JP,A)
【文献】特開2020-113604(JP,A)
【文献】特開2001-127258(JP,A)
【文献】特開2003-158309(JP,A)
【文献】特表2020-508394(JP,A)
【文献】国際公開第2020/261833(WO,A1)
【文献】特開2019-146284(JP,A)
【文献】特開2021-009893(JP,A)
【文献】特開2007-150265(JP,A)
【文献】特開2001-077112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0074817(US,A1)
【文献】特開2017-076768(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0321474(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0269216(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0357453(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0172365(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0035807(US,A1)
【文献】特開2016-111052(JP,A)
【文献】特開2003-124541(JP,A)
【文献】特開2007-005555(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141625(WO,A1)
【文献】特開2002-190578(JP,A)
【文献】特開2002-057301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0084829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強誘電体層と、前記強誘電体層に接合されたトンネルバリア層と、第1電極と、第2電極とを含み、前記強誘電体層および前記トンネルバリア層が前記第1電極と前記第2電極との間に配置された積層構造体であって、
下地層と、前記下地層の上に配置されたシード層とを備え、前記第1電極は、前記シード層の上に配置され、
前記強誘電体層の主成分は窒化アルミニウムであり、
前記トンネルバリア層の主成分は酸化マグネシウムであり、
前記第1電極は、前記強誘電体層および前記トンネルバリア層を介して前記第2電極に対向する対向面を有する窒化チタン膜であり、前記第1電極は、NaCl構造を有し、前記第1電極の前記NaCl構造の(111)面は前記対向面に沿っていて、
前記下地層は、
5nm以上かつ10nm以下の範囲内の厚さを有するタンタル
で構成され、
前記シード層は、
2nm以上かつ10nm以下の範囲内の厚さを有するルテニウム
で構成される、
ことを特徴とする積層構造体。
【請求項2】
前記強誘電体層は、ウルツ鉱構造を有し、前記ウルツ鉱構造の(001)面は、前記強誘電体層と前記トンネルバリア層との接合面に沿っている、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
【請求項3】
前記トンネルバリア層は、NaCl構造を有し、前記NaCl構造の(111)面は、前記強誘電体層と前記トンネルバリア層との接合面に沿っている、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
【請求項4】
前記強誘電体層は、ウルツ鉱構造を有し、前記トンネルバリア層は、NaCl構造を有し、
前記ウルツ鉱構造の(001)面および前記NaCl構造の(111)面は、前記強誘電体層と前記トンネルバリア層との接合面に沿っている、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
【請求項5】
前記第1電極は下部電極であり、前記第2電極は上部電極であり、
前記トンネルバリア層は、前記強誘電体層と前記第2電極との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層構造体。
【請求項6】
前記第1電極は下部電極であり、前記第2電極は上部電極であり、
前記トンネルバリア層は、前記第1電極と前記強誘電体層との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層構造体
。
【請求項7】
前記強誘電体層は、2at%以上かつ10at%以下の濃度でホウ素を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の積層構造体。
【請求項8】
前記強誘電体層は、5at%以上かつ45at%以下の濃度でスカンジウムを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の積層構造体。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の積層構造体を含むキャパシタを備えることを特徴とするメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層構造体およびメモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの電極の間に強誘電体層のみが配置された従来の強誘電体メモリは、破壊読出しであるという欠点を有する。一方、強誘電体層とトンネルバリア層とを積層した構造を有する強誘電体トンネル接合を備えたメモリデバイスは、非破壊でデータを読み出すことが可能であるため、次世代の高速ランダムアクセスメモリ、および大容量ストレージクラスメモリへの応用が期待されている(非特許文献1)。強誘電体トンネル接合において強誘電体層に使われる強誘電体材料としては、HfO2、および、HfO2にZrをドープしたHfZrO2が知られている(非特許文献2、3)。最近では、より大きな残留分極値を
発現する強誘電体材料としてウルツ鉱構造を持った窒化アルミニウム(AlN)にスカンジウム(Sc)をドープしたAlScNが発見され(非特許文献4)、メモリへの応用に向けて薄膜化への取り組みが進められている(非特許文献5)。また、トンネルバリア層に用いられる絶縁体材料としては、Al2O3が知られている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】V.Garcia & M.Bibes「Nature Communications」,5,4289(2014)
【文献】B.Maxら、「48th ESSDERC」,2018,pp.142-145
【文献】S.Shosuke & M.Saitoh、「Toshiba Review」,Vol.72,No.4,(2017)pp.66-68
【文献】S.Fichtnerら、「Journal of Appllied Physics」,Vol.125,114103(2019)
【文献】S.Yasuokaら、「Journal of Appllied Physics」,Vol.128,114103(2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の強誘電体トンネル接合およびそれを用いたメモリデバイスでは、分極の向きを反転させるために上下の電極間に高い電圧が印加される。その際、トンネルバリア層の材料としてAl2O3を用いた強誘電体トンネル接合薄膜では、トンネルバリア層が絶縁破壊を起こす可能性が高かった。
【0005】
本発明は、トンネルバリア層の絶縁耐圧の向上に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面は、強誘電体層と、前記強誘電体層に接合されたトンネルバリア層と、第1電極と、第2電極とを含み、前記強誘電体層および前記トンネルバリア層が前記第1電極と前記第2電極との間に配置された積層構造体に係り、前記積層構造体は、下地層と、前記下地層の上に配置されたシード層とを備え、前記第1電極は、前記シード層の上に配置され、前記強誘電体層の主成分は窒化アルミニウムであり、前記トンネルバリア層の主成分は酸化マグネシウムであり、前記第1電極は、前記強誘電体層および前記トンネルバリア層を介して前記第2電極に対向する対向面を有する窒化チタン膜であり、前記第1電極は、NaCl構造を有し、前記第1電極の前記NaCl構造の(111)面は前記対向面に沿っていて、前記下地層は、5nm以上かつ10nm以下の範囲内の厚さを有するタンタルで構成され、前記シード層は、2nm以上かつ10nm以下の範囲内の厚さを有するルテニウムで構成される。
【0007】
本発明の第2の側面は、メモリデバイスに係り、前記メモリデバイスは、前記第1の側面に係る積層構造体を含むキャパシタを備える。
【0008】
本明細書および図面に記載された発明の他の側面は、積層構造体の製造方法に係り、前記製造方法は、強誘電体層とトンネルバリア層との接合を形成する工程を含み、前記強誘電体層の主成分は窒化アルミニウムであり、前記トンネルバリア層の主成分は酸化マグネシウムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トンネルバリア層の絶縁耐圧の向上に有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態の積層構造体あるいは強誘電体トンネル接合の構造を模式的に示す断面図。
【
図2】第1実施例の積層構造体あるいは強誘電体トンネル接合の構造を模式的に示す断面図。
【
図3】第2実施例の積層構造体あるいは強誘電体トンネル接合の構造を模式的に示す断面図。
【
図4】一実施形態のメモリデバイスの1つのメモリセルの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
図1には、一実施形態の積層構造体100の構成が例示的に示されている。積層構造体100は、強誘電体層2と、強誘電体層2に接合されたトンネルバリア層3とを含みうる。強誘電体層2とトンネルバリア層3とは、接合面10で相互に接合されうる。積層構造体100は、強誘電体トンネル接合とも呼ばれうる。
【0013】
強誘電体層2の主成分は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)でありうる。強誘電体層2は、例えば、窒化アルミニウムを50at%以上、60at%以上、70at%以上、80at%以上、85at%以上、90at%以上または95at%以上の濃度で含みうる。トンネルバリア層3の主成分は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)でありうる。トンネルバリア層3は、例えば、酸化マグネシウムを50at%以上、60at%以上、70at%以上、80at%以上、85at%以上、90at%以上、95at%または98at%以上の濃度で含みうる。トンネルバリア層3は、絶縁体である。
【0014】
積層構造体100は、第1電極1および第2電極4を含んでよく、強誘電体層2およびトンネルバリア層3は、第1電極1と第2電極4との間に配置されうる。一例において、第1電極1は下部電極であり、第2電極4は上部電極であり、トンネルバリア層3は、強誘電体層2と第2電極4との間に配置されうる。他の例において、第1電極1は下部電極であり、第2電極4は上部電極であり、トンネルバリア層3は、第1電極1と強誘電体層2との間に配置されうる。
【0015】
一例において、第1電極1の上に強誘電体層2が成膜され、強誘電体層2の上にトンネルバリア層3が成膜され、トンネルバリア層3の上に第2電極4が成膜されうる。
【0016】
第1電極1は、NaCl構造を有し、該NaCl構造の(111)面は、第1電極1の上面または接合面10に沿っていることが好ましい。換言すると、第1電極1は、NaCl構造を有し、該NaCl構造の(111)面が第1電極1の上面または接合面10にほぼ平行な(111)配向膜であることが好ましい。ここで、第1電極1の上面は、強誘電体層2およびトンネルバリア層3を介して第2電極4に対向する対向面S1である。
【0017】
より具体的な例を挙げると、第1電極1は、NaCl構造を有し、該NaCl構造の(111)面が第1電極1の上面または接合面10に沿った窒化チタン(TiN)膜であることが好ましい。他の観点において、第1電極1は、第1電極1の上に、(001)面が接合面10に沿ったウルツ鉱構造を有する強誘電体層2が形成されることを容易にするように構成された導電体膜でありうる。
【0018】
強誘電体層2は、窒化アルミニウムを主成分とする強誘電体で構成されうる。強誘電体層2は、主成分に対して副成分が添加されることによって強誘電性を発現しうる。副成分は、例えば、スカンジウム(Sc)およびホウ素(B)の少なくとも一方を含みうるが、これに限定されるものではない。強誘電体層2は、ウルツ鉱構造を有し、該ウルツ鉱構造の(001)面が接合面10に沿っている膜、換言すると、(001)面が接合面10にほぼ平行な(001)配向膜であることが好ましい。
【0019】
トンネルバリア層3は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)を主成分とする絶縁体で構成されうる。トンネルバリア層3は、NaCl構造を有し、該NaCl構造の(111)面が接合面10に沿っている膜、換言すると、(111)面が接合面10にほぼ平行な(111)配向膜であることが好ましい。
【0020】
第2電極4は、熱負荷がかかった場合でも第2電極4とトンネルバリア層3との間で熱拡散が起こりにくい導電体で構成されうる。第2電極4は、例えば、窒化チタン(TiN)膜でありうるが、他の導電体で構成されてもよい。
【0021】
他の例において、第1電極1の上にトンネルバリア層3が成膜され、トンネルバリア層3の上に強誘電体層2が成膜され、強誘電体層2の上に第2電極4が成膜されうる。
【0022】
本実施形態によれば、トンネルバリア層3の絶縁耐圧が向上する。
【0023】
図2には、第1実施例の積層構造体100’およびその製造方法が例示されている。積層構造体100’は、第1電極1と、第1電極1の上に成膜あるいは配置された強誘電体層2と、強誘電体層2の上に成膜あるいは配置されたトンネルバリア層3と、トンネルバリア層3の上に成膜あるいは配置された第2電極4とを含みうる。積層構造体100’は、強誘電体トンネル接合とも呼ばれうる。
【0024】
第1電極1は、NaCl構造を有し、該NaCl構造の(111)面が接合面10に沿ったTiN膜でありうる。第1電極1は、10nm以上かつ50nm以内の範囲内の厚さを有しうる。第1電極1としてのTiN層の(111)配向を促進するために、下地層6として、5nm以上かつ10nm以下の範囲内の厚さを有するタンタル(Ta)膜を形成し、その上に、シード層5として、2nm以上かつ10nm以下の範囲内の厚さを有するルテニウム(Ru)膜を形成するとよい。ここで、シード層5は、白金(Pt)、ニッケル(Ni)またはチタン(Ti)で構成されてもよい。シード層5は、Ru、Pt、NiまたはTiを主成分とする合金で構成されてもよい。また、下地層6は、窒化タンタル(TaN)、RuまたはPtで構成されてもよいし、下地層6の直下にある基板表面の材料および構造によっては下地層6を無くしてもよい。
【0025】
第1電極1の上には、強誘電体層2が成膜されうる。強誘電体層2は、例えば、主成分として窒化アルミニウム(AlN)を含み、副成分としてホウ素(B)を2at%以上かつ10at%以下の範囲で含みうる。強誘電体層2は、例えば、5nm以上かつ20nm以下の範囲内の厚さを有しうる。このような強誘電体層2は、強誘電体層2が強誘電性を維持する限り、薄い方が好ましい。副成分は、例えば、スカンジウム(Sc)でもよく、その場合のSc添加量は、例えば、5at%以上かつ45at%以下の範囲内であること
が好ましい。
【0026】
強誘電体層2の上には、トンネルバリア層3が成膜されうる。トンネルバリア層3は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)で構成されうる。トンネルバリア層3は、例えば、1nm以上かつ4nm以下の範囲内の厚さを有しうる。強誘電体層2の上にトンネルバリア層3が成膜あるいは形成されることによって、強誘電体層2とトンネルバリア層3との接合が形成される。
【0027】
トンネルバリア層3の上には、第2電極4が成膜されうる。第2電極4は、TiN等の導電体膜で構成されうる。第2電極4は、例えば、10nm以上かつ50nm以下の厚さを有しうる。
【0028】
積層構造体100’あるいは強誘電体トンネル接合の作製には、スパッタ成膜法が採用されうる。ここで、下地層6から第2電極4の形成までのプロセスは、途中で大気に曝されることなく、真空環境下で実施されることが好ましい。
【0029】
図3には、第2実施例の積層構造体100”およびその製造方法が例示されている。積層構造体100”は、第1電極1と、第1電極1の上に成膜あるいは配置されたトンネルバリア層3と、トンネルバリア層3の上に成膜あるいは配置された強誘電体層2と、強誘電体層2の上に成膜あるいは配置された第2電極4とを含みうる。積層構造体100”は、強誘電体トンネル接合とも呼ばれうる。
【0030】
第1電極1は、NaCl構造を有し、該NaCl構造の(111)面が接合面10に沿ったTiN膜でありうる。第1電極1は、10nm以上かつ50nm以内の範囲内の厚さを有しうる。第1電極1としてのTiN層の(111)配向を促進するために、下地層6として、5nm以上かつ10nm以下の範囲内の厚さを有するタンタル(Ta)膜を形成し、その上に、シード層5として、2nm以上かつ10nm以下の範囲内の厚さを有するルテニウム(Ru)膜を形成するとよい。ここで、シード層5は、白金(Pt)、ニッケル(Ni)またはチタン(Ti)で構成されてもよい。シード層5は、Ru、Pt、NiまたはTiを主成分とする合金で構成されてもよい。また、下地層6は、窒化タンタル(TaN)、RuまたはPtで構成されてもよいし、下地層6の直下にある基板表面の材料および構造によっては下地層6を無くしてもよい。
【0031】
第1電極1の上には、トンネルバリア層3が成膜されうる。トンネルバリア層3は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)で構成されうる。トンネルバリア層3は、例えば、1nm以上かつ4nm以下の範囲内の厚さを有しうる。
【0032】
トンネルバリア層3の上には、強誘電体層2が成膜されうる。強誘電体層2は、例えば、主成分として窒化アルミニウム(AlN)を含み、副成分としてホウ素(B)を2at%以上かつ10at%以下の範囲で含みうる。強誘電体層2は、例えば、5nm以上かつ20nm以下の範囲内の厚さを有しうる。このような強誘電体層2は、強誘電体層2が強誘電性を維持する限り、薄い方が好ましい。副成分は、例えば、スカンジウム(Sc)でもよく、その場合のSc添加量は、例えば、5at%以上かつ45at%以下の範囲内であることが好ましい。トンネルバリア層3の上に強誘電体層2が成膜あるいは形成される
ことによって、トンネルバリア層3と強誘電体層2との接合が形成される。
【0033】
強誘電体層2の上には、第2電極4が成膜されうる。第2電極4は、TiN等の導電体膜で構成されうる。第2電極4は、例えば、10nm以上かつ50nm以下の厚さを有しうる。
【0034】
積層構造体100”あるいは強誘電体トンネル接合の作製には、スパッタ成膜法が採用されうる。ここで、下地層6から第2電極4の形成までのプロセスは、途中で大気に曝されることなく、真空環境下で実施されることが好ましい。
【0035】
図4には、一実施形態のメモリデバイスの1つのメモリセルMCの構成例が示されている。メモリセルMCは、上記の積層構造体100、100’、100”に代表される積層構造体で構成されたキャパシタCと、選択トランジスタSTとを含みうる。キャパシタCは、上記の積層構造体100、100’、100”と同様に、第1電極1と、第2電極4と、第1電極1と第2電極4との間に配置された強誘電体層2およびトンネルバリア層3とを含みうる。
【0036】
キャパシタCの第1電極1および第2電極4のうちの一方は、選択トランジスタSTを介してビット線BLに接続され、第1電極1および第2電極4のうちの他方は、プレート線PLに接続されうる。選択トランジスタSTのゲートは、ワード線WLに接続されうる。
【0037】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。