(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3293 20190101AFI20240904BHJP
G06F 1/3287 20190101ALI20240904BHJP
G06F 3/00 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
G06F1/3293
G06F1/3287
G06F3/00
G06F3/00 R
(21)【出願番号】P 2023171824
(22)【出願日】2023-10-03
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】▲片▼山 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳央
(72)【発明者】
【氏名】馬 克
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-153192(JP,A)
【文献】特開2010-072794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/3293
G06F 1/3287
G06F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、
システムのプログラムを実行することによりシステム処理を実行するとともに、前記システム処理に基づいて前記センサからの出力を用いた処理を実行する第1プロセッサと、
少なくとも前記第1プロセッサへの電源供給の停止および開始を制御する第2プロセッサと、
前記センサの接続先を前記第1プロセッサと前記第2プロセッサとのいずれかに切り替える切替部と、
を備え、
前記第2プロセッサは、
前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記センサの接続先が前記第2プロセッサになるように前記切替部を制御し、
前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときに前記センサの出力信号の取得を開始する前に、前記センサに設定されている第1設定情報を取得してメモリに保存してから第2設定情報を前記センサに設定し、
前記第1プロセッサへの電源供給を開始させたことに応じて、
前記メモリに保存した前記第1設定情報を前記センサに設定してから前記センサの接続先が前記第1プロセッサになるように前記切替部を制御する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1設定情報は、前記第1プロセッサが前記センサの出力信号に基づく処理を実行する際の前記センサの設定情報であり、
前記第2設定情報は、前記第2プロセッサが前記センサの出力信号に基づく処理を実行する際の前記センサの設定情報である、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2プロセッサは、
前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記センサの出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行し、
前記第1プロセッサは、
前記第2プロセッサの制御により前記第1プロセッサへの電源供給が開始された場合、前記センサの出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
発光部をさらに備え、
前記センサは、周囲の明るさを検知するための第1センサであり、
前記第2プロセッサは、
前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記第1センサの出力信号に基づいて前記発光部の発光を制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
少なくとも前記第2プロセッサに接続され、前記情報処理装置への人物の近接を検知するための第2センサをさらに備え、
前記第2プロセッサは、
前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記第1センサの出力信号と前記第2センサの出力信号とに基づいて前記発光部の発光を制御する、
請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
センサと、システムのプログラムを実行することによりシステム処理を実行するとともに、前記システム処理に基づいて前記センサからの出力を用いた処理を実行する第1プロセッサと、少なくとも前記第1プロセッサへの電源供給の停止および開始を制御する第2プロセッサと、前記センサの接続先を前記第1プロセッサと前記第2プロセッサとのいずれかに切り替える切替部と、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記第2プロセッサが、
前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記センサの接続先が前記第2プロセッサになるように前記切替部を制御するステップと、
前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときに前記センサの出力信号の取得を開始する前に、前記センサに設定されている第1設定情報を取得してメモリに保存してから第2設定情報を前記センサに設定するステップと、
前記第1プロセッサへの電源供給を開始させたことに応じて、
前記メモリに保存した前記第1設定情報を前記センサに設定してから前記センサの接続先が前記第1プロセッサになるように前記切替部を制御するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型のPC(Personal Computer)などの情報処理装置を、暗室などの暗い環境下で使用することがある。この場合、情報処理装置の側面に配置されたコネクタやスイッチなどを見つけにくい。情報処理装置に備えられているディスプレイやキーボードのバックライトなどの光源、或いはコネクタやスイッチの近傍にある光源などを常に点灯しておけば見つけやすくはなるが、消費電力が増加してしまう。例えば、防犯カメラでは、センサを用いて暗い環境下で人を検出した場合に光源を点灯させるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した防犯カメラように、センサを用いて暗い環境下でユーザが情報処理装置の近くにいる場合のみ、情報処理装置に備えられている光源を点灯させることが考えられる。しかしながら、従来のPCのシステム構成は、センサの出力を読み出すのはCPU(Central Processing Unit)やチップセットなどのプロセッサで実行されるソフトウェアやファームウェアが前提となっている。その場合、PCが起動して動作している状態でしか、センサを利用することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、動作状態にかかわらず同一のセンサを利用した処理を行うことができる情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、センサと、システムのプログラムを実行することによりシステム処理を実行するとともに、前記システム処理に基づいて前記センサからの出力を用いた処理を実行する第1プロセッサと、少なくとも前記第1プロセッサへの電源供給の停止および開始を制御する第2プロセッサと、前記センサの接続先を前記第1プロセッサと前記第2プロセッサとのいずれかに切り替える切替部と、を備え、前記第2プロセッサは、前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記センサの接続先が前記第2プロセッサになるように前記切替部を制御し、前記第1プロセッサへの電源供給を開始させたことに応じて、前記センサの接続先が前記第1プロセッサになるように前記切替部を制御する。
【0007】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記センサの出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行し、前記第1プロセッサは、前記第2プロセッサの制御により前記第1プロセッサへの電源供給が開始された場合、前記センサの出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行してもよい。
【0008】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときに前記センサの出力信号の取得を開始する前に、前記センサに設定されている第1設定情報を取得してメモリに保存してから第2設定情報を前記センサに設定し、前記第1プロセッサへの電源供給を開始させたことに応じて前記切替部を制御する際には、前記メモリに保存した前記第1設定情報を前記センサに設定してから前記センサの接続先が前記第1プロセッサになるように前記切替部を制御してもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記第1設定情報は、前記第1プロセッサが前記センサの出力信号に基づく処理を実行する際の前記センサの設定情報であり、前記第2設定情報は、前記第2プロセッサが前記センサの出力信号に基づく処理を実行する際の前記センサの設定情報であってもよい。
【0010】
上記情報処理装置は、発光部をさらに備え、前記センサは、周囲の明るさを検知するための第1センサであり、前記第2プロセッサは、前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記第1センサの出力信号に基づいて前記発光部の発光を制御してもよい。
【0011】
上記情報処理装置は、少なくとも前記第2プロセッサに接続され、前記情報処理装置への人物の近接を検知するための第2センサをさらに備え、前記第2プロセッサは、前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記第1センサの出力信号と前記第2センサの出力信号とに基づいて前記発光部の発光を制御してもよい。
【0012】
また、本発明の第2態様に係る、センサと、システムのプログラムを実行することによりシステム処理を実行するとともに、前記システム処理に基づいて前記センサからの出力を用いた処理を実行する第1プロセッサと、少なくとも前記第1プロセッサへの電源供給の停止および開始を制御する第2プロセッサと、前記センサの接続先を前記第1プロセッサと前記第2プロセッサとのいずれかに切り替える切替部と、を備える情報処理装置における制御方法は、前記第2プロセッサが、前記第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、前記センサの接続先が前記第2プロセッサになるように前記切替部を制御するステップと、前記第1プロセッサへの電源供給を開始させたことに応じて、前記センサの接続先が前記第1プロセッサになるように前記切替部を制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様によれば、情報処理装置の動作状態にかかわらず同一のセンサを利用した処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図。
【
図2】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図3】実施形態に係る情報処理装置がセンサの接続先を切り替える構成の一例を説明するブロック図。
【
図4】実施形態に係る環境光センサの接続先切替処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。図示する情報処理装置1は、クラムシェル型のノートPC(Personal Computer)である。情報処理装置1は、第1筐体101、第2筐体102、及びヒンジ機構103を備えている。第1筐体101及び第2筐体102は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。第1筐体101の側面の一つと第2筐体102の側面の一つとがヒンジ機構103を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構103がなす回転軸の周りに第1筐体101と第2筐体102とが相対的に回動可能である。第1筐体101と第2筐体102との回転軸の周りの開き角θが略0°の状態が、第1筐体101と第2筐体102とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。閉状態において第1筐体101と第2筐体102との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と称する。開き角θとは、第1筐体101の内面と第2筐体102の内面とがなす角とも言うことができる。閉状態に対して第1筐体101と第2筐体102とが開いた状態のことを「開状態」と称する。開状態とは、開き角θが予め設定された閾値(例えば、10°)より大きくなるまで、第1筐体101と第2筐体102とが相対的に回動された状態である。
【0016】
第1筐体101の内面には、表示部14が設けられている。また、第2筐体102の内面にはキーボード33が設けられている。例えば、キーボード33は、バックライトを備えた物理的なキーボードである。このバックライトは、暗い環境でもタイピングが可能なようにキーの背面側から光を照射するものであり、例えば発光素子としてLED(Light Emission Diode)を備えている。なお、キーボード33は、タッチパッドを含んでもよい。
【0017】
また、第2筐体102の側面には、USBコネクタ26などの外部インターフェース用の接続部や、電源ボタン34などが配置されている。なお、これらの配置は、一例であって、例えば電源ボタン34は、第2筐体102の内面に配置されてもよい。
【0018】
閉状態では、表示部14が視認できない状態、且つキーボード33への操作ができない状態となる。一方、開状態では、表示部14が視認可能な状態、且つキーボードへの操作が可能な状態(即ち、情報処理装置1を使用可能な状態)となる。ユーザが情報処理装置1を使用する際の一般的な使用形態では、一例として90°≦開き角θ≦180°の範囲内となる開状態であることが多い。
【0019】
ユーザが情報処理装置1を閉状態してから電源ボタン34を押下すると、情報処理装置1は、システムを起動して使用可能な状態へと遷移する。例えば、情報処理装置1は、ユーザにより電源ボタン34が押下されると、BIOS(Basic Input Output System)によるPOST(Power On Self Test)処理を実行し、その後、OS(Operating System)を起動する。
【0020】
また、第1筐体101の内面の表示部14の外側には、環境光センサ27と、近接センサ32とが設けられている。例えば、環境光センサ27は、ユーザが使用中に表示画面が見やすいように、周囲の明るさに応じて表示部14の画面輝度を調整するために設けられている。情報処理装置1は、システムの起動後に環境光センサ27を用いて周囲の明るさを検出し、検出結果に応じて表示部14の画面輝度が適切になるように制御する。なお、
図1に示す環境光センサ27が設けられている位置は一例であって、周囲の明るさを検出可能な位置であれば他の位置でもよい。
【0021】
近接センサ32は、情報処理装置1の近くにユーザが存在するか否かを検出するために設けられている。例えば、情報処理装置1は、システムがシャットダウンしている状態においてユーザが近付いた場合、ユーザが電源ボタン34を押下しなくとも、自動でシステムを起動させてもよい。なお、
図1に示す環境光センサ27が設けられている位置は一例であって、近くに存在するユーザを検出可能な位置であれば他の位置でもよい。また、
図1に示す例では、近接センサ32が2個(2か所)に設けられているが、近接センサ32の個数は、1個でもよいし、3個以上でもよい。
【0022】
また、第2筐体102のUSBコネクタ26及び電源ボタン34が設けられている側面には、LED35が設けられている。情報処理装置1は、暗室などの暗い環境下でユーザが近くにいる場合のみLED35を点灯させることで、消費電力の増加を抑制しつつ、暗い環境下でもユーザがUSBコネクタ26及び電源ボタン34などを見つけやすくすることができる。
【0023】
具体的には、情報処理装置1は、環境光センサ27を用いて周囲の明るさを検出し、近接センサ32を用いてユーザが近くに存在するか否かを検出する。そして、情報処理装置1は、環境光センサ27を用いて検出された周囲の明るさが所定の閾値未満であった場合、且つ近接センサ32を用いてユーザが近くに存在することが検出された場合に、LED35を点灯させる。なお、情報処理装置1は、LED35に代えて又は加えて、キーボード33のバックライトを点灯させてもよい。
【0024】
ここで、上述したように環境光センサ27は、ユーザが使用中の表示部14の画面輝度を調整するために設けられている。そのため、従来のシステム構成では、環境光センサ27の出力を読み出すのはCPU(Central Processing Unit)やチップセットなどのプロセッサで実行されるソフトウェアやファームウェアが前提となっており、システムが起動して動作している状態に限られていた。そこで、情報処理装置1は、従来のシステム構成とは異なり、起動して動作している状態だけではなく、システムがシャットダウンしている状態でも環境光センサ27を利用可能な構成を備えている。
【0025】
なお、システムが起動して動作している状態のことを、以下では「システム動作状態」と称する。また、システムがシャットダウンしている状態のことを以下では「シャットダウン状態」と称する。以下、情報処理装置1の構成について詳しく説明する。
【0026】
[情報処理装置のハードウェア構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の主要なハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図において、
図1の各部に対応する構成には、同一の符号を付している。
【0027】
図2に示すように、情報処理装置1は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、ストレージ23と、オーディオシステム24と、通信部25と、USBコネクタ26と、環境光センサ27と、切替部28と、EC(Embedded Controller)31と、近接センサ32と、キーボード33と、電源ボタン34と、LED35と、電源回路36とを備える。
【0028】
なお、本実施形態において、CPU11と、チップセット21とは、メイン制御部10に対応する。また、メイン制御部10は、BIOSおよびOSのプログラムを実行するプロセッサ(第1プロセッサ)の一例である。メイン制御部10は、SoC(System on a chip)として構成されてもよい。
【0029】
CPU(Central Processing Unit)11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、情報処理装置1全体を制御している。例えば、CPU11は、BIOSメモリ22からメインメモリ12へBIOSのプログラムを読み込み、BIOSの処理(POST処理など)を実行する。また、CPU11は、ストレージ23からメインメモリ12へOS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラムなどを読み込み、それぞれの処理を実行する。
【0030】
メインメモリ12は、CPU11が実行するプログラムの読み込み領域として、又は、実行するプログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能なメモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。このCPU11が実行するプログラムには、BIOS、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0031】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0032】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを含んで構成されている。表示部14は、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
【0033】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。
図2では、デバイスの例示として、BIOSメモリ22と、ストレージ23と、オーディオシステム24と、通信部25と、USBコネクタ26と、切り替え部28を介して環境光センサ27とが、チップセット21に接続されている。
【0034】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びEC31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0035】
ストレージ23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置を含んで構成される。例えば、ストレージ23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データなどを記憶する。
【0036】
オーディオシステム24は、音データの記録、再生、出力を行う。
通信部25は、無線LAN(Local Area Network)または有線LANにより通信ネットワークに接続し、データ通信を行う。
【0037】
USBコネクタ26は、USBを利用した周辺機器類を接続するためのコネクタである。例えば、USBコネクタ26は、複数の周辺機器と接続可能なように、複数のコネクタを備えている。なお、USBコネクタ26は、USB Type-AまたはUSB Type-Cのいずれか一方または両方のコネクタが含まれてもよい。
【0038】
環境光センサ27(ALS:Ambient Light Sensor)は、情報処理装置1の周囲の明るさ(例えば、照度)を検知するためセンサである。環境光センサ27は、周囲の光量を検知して光電変換した値を出力値とした出力信号を出力する。例えば、環境光センサ27は、フォトトランジスタを含んで構成されており、周囲の光量に応じて変化するフォトトランジスタに流れる電流を、抵抗を用いて電圧に変換して電圧値として出力する。また、環境光センサ27は、周囲の明るさ(例えば、照度)を検知する際の設定情報(検知感度、検知タイミングなど)が設定(保存)されており、この設定情報に基づいて、周囲の明るさ(例えば、照度)を検知する。
【0039】
切替部28は、環境光センサ27の接続先をチップセット21またはEC31のいずれかに切り替える。例えば、切替部28は、EC31の制御により、環境光センサ27の接続先をチップセット21またはEC31のいずれかに切り替える。環境光センサ27の接続先がチップセット21の場合には、環境光センサ27の出力信号はチップセット21へ送信される。つまり、環境光センサ27の接続先がチップセット21の場合、チップセット21が環境光センサ27を利用して処理を行うことができる。また、環境光センサ27の接続先がEC31の場合には、環境光センサ27の出力信号はEC31へ送信される。つまり、環境光センサ27の接続先がEC31の場合、EC31が環境光センサ27を利用して処理を行うことができる。
【0040】
EC31(第2プロセッサの一例)は、情報処理装置1のシステムの動作状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視し制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。EC20は、不図示のCPUおよびメモリ(ROM、RAMなど)などで構成されるとともに、各種のバス、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備えている。EC31は、例えば、近接センサ32、キーボード33、電源ボタン34、LED35、及び電源回路36などと接続されており、EC31は、これらの動作を制御する。
【0041】
近接センサ32は、情報処理装置1への人物(ユーザ)の近接を検出するためセンサである。例えば、近接センサ32は、赤外線を発光する発光部と、発光した赤外線が物体の表面に反射して戻ってくる反射光を受光する受光部とを含んで構成される。具体的には、近接センサ32は、所定のサンプリング周期(例えば、1Hz)で、受光部が受光した光を検出し、受光した結像位置に基づいて距離を算出する三角測距方式や、発光から受光までの時間差等を距離に換算するToF(Time of Flight)方式等を用いて、物体(例えば、人物)との距離に応じた検出信号を出力する。近接センサ32は、EC31に接続されている。EC31は、近接センサ32を利用して、情報処理装置1の近くにユーザが存在するか否かを検出する。
【0042】
なお、近接センサ32は、赤外線式のセンサに限定されるものでなく、物体との距離を検出するセンサであれば、超音波センサまたはUWB(Ultra Wide Band)レーダを用いたセンサ等の他の方式を用いたセンサであってもよい。
【0043】
キーボード33は、前述したように、例えばバックライトを備えた物理的なキーボードである。キーボード33は、ユーザによって操作(タイピング操作)がされると、操作されたキーを示す操作信号をEC31へ送信する。EC31は、キーボード33から送信された操作信号に基づいて、ユーザによって操作されたキーに応じた処理を実行する。またEC31は、キーボード33のバックライトの点灯、点滅、消灯などの制御を行う。
【0044】
電源ボタン34は、電源オンまたは電源オフをユーザが指示するための操作子である。電源ボタン34は、ユーザによって操作されると、操作に応じた操作信号をEC31へ送信する。
【0045】
LED35は、
図1を参照して説明したように、第2筐体102の側面に設けられているUSBコネクタ26及び電源ボタン34に光を照射するための光源である。なお、ここでは、LEDを光源の例としているが、発光するものであればLEDに限られない。LED35は、EC31に接続されている。EC31は、LED35の点灯、点滅、消灯などの制御を行う。
【0046】
電源回路36は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、電池ユニット、AC/DCアダプタなどを含んでおり、AC/DCアダプタ、又は電池ユニットから供給される直流電圧を、情報処理装置1を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路36は、EC31からの電源オンまたは電源オフの制御に基づいて、情報処理装置1の各部への電力の供給を制御する。
【0047】
[センサの接続先を切り替える構成の説明]
次に、情報処理装置1も動作状態に応じて、環境光センサ27の接続先をチップセット21またはEC31に切り替えることにより、シャットダウン状態でも環境光センサ27を利用した処理を行う構成について詳しく説明する。
【0048】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1がセンサの接続先を切り替える構成の一例を説明するブロック図である。この図において、
図2の各部に対応する構成には、同一の符号を付している。
【0049】
図3に示す「EC電源」は、システム動作状態でもシャットダウン状態でも供給される電源である。「Pri電源」は、システム動作状態でチップセット21に供給される電源である。「SYS電源」は、システム動作状態で動作するCPU11などのデバイスに供給される電源である。
【0050】
電源回路36は、シャットダウン状態において少なくともEC31、環境光センサ27、近接センサ32、およびLED35へEC電源を供給する。EC31は、SYS電源のオン/オフを制御する制御信号「SYS電源CNT」を電源回路36へ出力する。例えば、シャットダウン状態でEC31がSYS電源CNTをLowに制御しているときは電源回路36からSYS電源の供給は停止している(SYS電源オフ)。そして、EC31がSYS電源CNTをHighに制御すると、電源回路36からまずチップセット21にPri電源の供給が開始され、その後CPU11などのデバイスにSYS電源の供給が開始され(SYS電源オン)、システム動作状態へと遷移する。
【0051】
ここで、シャットダウン状態とは、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されているスリープステートの「S5」に相当する。また、スリープステートの「S4」のハイバネーションの状態も同様に、EC電源は供給されるがPri電源およびSYS電源は供給されない状態(SYS電源オフ)である。
【0052】
また、システム動作状態は、例えば、ACPIで規定されているスリープステートの「S0」に相当する。スリープステートの「S0ix」も同様に、Pri電源およびSYS電源が供給される状態(SYS電源オン)である。
【0053】
つまり、「S4」または「S5」では、EC31は、SYS電源CNTをLowに制御し、SYS電源オフに制御している(EC電源のみ供給)。EC31は、SYS電源CNTをLowからHighに制御してSYS電源オンに制御すると、電源回路36においてPri電源、SYS電源の順に電源が投入され、「S4」または「S5」から「S0」または「S0ix」へ遷移する。
【0054】
また、EC31から出力される制御信号「SYS電源CNT」は、切替部28にも接続されている。つまり、EC31によりSYS電源CNTの制御に応じて、環境光センサ27の接続先もチップセット21またはEC31のいずれかに切り替わる。具体的には、EC31がSYS電源CNTをLowに制御しているときには、切替部28の接続先がB側(即ち、EC31)となる。一方、EC31がSYS電源CNTをHighに制御しているときには、切替部28の接続先がA側(即ち、チップセット21)となる。
【0055】
つまり、EC31は、メイン制御部10(CPU11およびチップセット21など)への電源供給を停止させているときには、環境光センサ27の接続先がEC31になるように切替部28を制御する。また、EC31は、メイン制御部10への電源供給を開始させたことに応じて、環境光センサ27の接続先がメイン制御部10(チップセット21)になるように切替部28を制御する。
【0056】
これにより、EC31は、例えばスリープステートが「S4」または「S5」の状態で、メイン制御部10への電源供給を停止させているときには、環境光センサ27の出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行することができる。例えば、EC31は、スリープステートが「S4」または「S5」の状態で、環境光センサ27の出力信号に基づいてLED25の発光を制御することができる。また、EC31は、EC31に接続されている近接センサ32も利用して、スリープステートが「S4」または「S5」の状態で、環境光センサ27と近接センサ32の出力信号とに基づいてLED25の発光を制御することができる。
【0057】
例えば、EC31は、環境光センサ27を用いて検出された周囲の明るさが所定の閾値未満であった場合、且つ近接センサ32を用いてユーザが近くに存在することが検出された場合に、LED35を点灯させる。これにより、情報処理装置1は、暗室などの暗い環境下でユーザが近くにいる場合のみLED35を点灯させることで、消費電力の増加を抑制しつつ、暗い環境下でもユーザがUSBコネクタ26及び電源ボタン34などを見つけやすくすることができる。なお、EC31は、LED35に代えて又は加えて、キーボード33のバックライトを点灯させてもよい。
【0058】
また、EC31は、メイン制御部10への電源供給を停止させているときに環境光センサ27の出力信号の取得を開始する前に、環境光センサ27に設定されている第1設定情報を取得してEC31内のメモリに保存してから第2設定情報を環境光センサ27に設定する。
【0059】
ここで、第1設定情報は、メイン制御部10が環境光センサ27の出力信号に基づく処理を実行する際の環境光センサ27の設定情報である。一方、第2設定情報は、EC31が環境光センサ27の出力信号に基づく処理を実行する際の環境光センサ27の設定情報である。
【0060】
また、EC31は、メイン制御部10への電源供給を開始させたことに応じて切替部28を制御する際には、EC31内のメモリに保存した第1設定情報を環境光センサ27に戻してから(設定してから)、環境光センサ27の接続先がチップセット21になるように切替部28を制御する。そして、メイン制御部10は、EC31の制御によりメイン制御部10への電源供給が開始された場合、環境光センサ27の出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行する。
【0061】
これにより、EC31が環境光センサ27を利用するときにはEC31が利用する処理に合わせた設定で環境光センサ27を利用することができ、メイン制御部10が環境光センサ27を利用するときにはメイン制御部10が利用する処理に合わせた設定で環境光センサ27を利用することができる。よって、「S4」または「S5」の状態でEC31が環境光センサ27を利用しても、その影響を受けずに、「S0」または「S0ix」の状態でメイン制御部10が環境光センサ27を利用することができる。
【0062】
[センサの接続先切替処理の動作]
次に、情報処理装置1が、環境光センサ27の接続先をチップセット21またはEC31に切り替える切替処理の動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る環境光センサ27の接続先切替処理の一例を示すフローチャートである。この図に示す処理は、例えば、ACPIで規定されているグローバルシステムステートの「G3」から「S4」または「S5」へ遷移してEC電源がオンになる(電源回路36からEC電源が供給される)ことにより開始される。
【0063】
(ステップS101)EC31は、SYS電源CNTをLowに制御してSYS電源オフに制御する。これにより、電源回路36は、Pri電源およびSYS電源の供給を停止している状態を継続する。また、切替部28は、環境光センサ27の接続先をEC31に切り替える。そして、ステップS103の処理へ進む。
【0064】
(ステップS103)EC31は、環境光センサ27から環境光センサ27に設定されている第1設定情報を取得してEC31内のメモリに保存する。第1設定情報は、メイン制御部10が環境光センサ27の出力信号に基づく処理を実行する際の環境光センサ27の設定情報である。そして、ステップS105の処理へ進む。
【0065】
(ステップS105)EC31は、第2設定情報を環境光センサ27に設定する。第2設定情報は、EC31が環境光センサ27の出力信号に基づく処理を実行する際の環境光センサ27の設定情報である。そして、ステップS107の処理へ進む。
【0066】
(ステップS107)EC31は、環境光センサ27の出力信号を取得する。例えば、EC31は、環境光センサ27の出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行する。一例として、EC31は、環境光センサ27の出力信号と近接センサ32の出力信号とを取得し、環境光センサ27と近接センサ32の出力信号とに基づいてLED25の発光を制御する。
【0067】
(ステップS109)EC31は、SYS電源オンの要求があったか否かを判定する。EC31は、SYS電源オンの要求がないと判定した場合(NO)、ステップS107の処理を継続する。一方、EC31は、SYS電源オンの要求があったと判定した場合(YES)、ステップS111の処理へ進む。
【0068】
(ステップS111)EC31は、環境光センサ27の出力を停止させ、環境光センサ27の出力信号の取得を終了する。そして、ステップS113の処理へ進む。
【0069】
(ステップS113)EC31は、ステップS103で保存した第1設定情報をメモリから読み出し、環境光センサ27に設定する。そして、ステップS115の処理へ進む。
【0070】
(ステップS115)EC31は、SYS電源CNTをHighに制御してSYS電源オンに制御する。これにより、電源回路36は、Pri電源、SYS電源の順に電源を投入して供給を開始する。また、切替部28は、環境光センサ27の接続先をチップセット21に切り替える。メイン制御部10は、Pri電源及びSYS電源が供給されると、システムを起動させて「S4」または「S5」から「S0」へ遷移する。
【0071】
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置1は、環境光センサ27(センサの一例)と、メイン制御部10(第1プロセッサの一例)と、EC31(第2プロセッサの一例)と、切替部28とを備えている。メイン制御部10は、システム(例えば、BIOS、OSなど)のプログラムを実行することによりシステム処理を実行するとともに、システム処理に基づいて(例えば、OS上で実行されるプログラムの処理により)環境光センサ27からの出力(出力信号)を用いた処理を実行する。EC31は、少なくともメイン制御部10への電源供給の停止および開始を制御する。切替部28は、環境光センサ27の接続先をメイン制御部10(例えば、チップセット21)とEC31とのいずれかに切り替える。そして、EC31は、メイン制御部10への電源供給を停止させているときには、環境光センサ27の接続先がEC31になるように切替部28を制御し、メイン制御部10への電源供給を開始させたことに応じて、環境光センサ27の接続先がメイン制御部10(例えば、チップセット21)になるように切替部28を制御する。
【0072】
これにより、情報処理装置1は、環境光センサ27の接続先をメイン制御部10(例えば、チップセット21)だけではなく、メイン制御部10への電源供給を停止させているときにはEC31に切り替えることができるため、システムの動作状態にかかわらず環境光センサ27を利用した制御を行うことができる。
【0073】
また、EC31は、メイン制御部10への電源供給を停止させているときには、環境光センサ27の出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行する。メイン制御部10は、EC31の制御によりメイン制御部10への電源供給が開始された場合、環境光センサ27の出力信号を取得し、取得した出力信号に基づく処理を実行する。
【0074】
これにより、情報処理装置1は、「S0」または「S0ix」の状態のときにはメイン制御部10によるシステム処理に基づいて環境光センサ27を利用した処理を行うが、「S4」または「S5」の状態のときには環境光センサ27の接続先をEC31に切り替えてEC31による処理に基づいて環境光センサ27を利用した処理を行うことができる。
【0075】
また、EC31は、メイン制御部10への電源供給を停止させているときに環境光センサ27の出力信号の取得を開始する前に、環境光センサ27に設定されている第1設定情報を取得してメモリに保存する。その後、EC31は、ら第2設定情報を環境光センサ27に設定する。また、EC31は、メイン制御部10への電源供給を開始させたことに応じて切替部28を制御する際には、EC31内のメモリ(メモリの一例)に保存した第1設定情報を環境光センサ27に設定する。その後、EC31は、環境光センサ27の接続先がメイン制御部10(例えば、チップセット21)になるように切替部28を制御する。
【0076】
これにより、情報処理装置1は、EC31が環境光センサ27を利用するときに環境光センサ27の設定情報を変更しても、メイン制御部10が環境光センサ27を利用する前に環境光センサ27の設定情報を元に戻すことができる。よって、例えば「S4」または「S5」の状態でEC31が環境光センサ27を利用しても、その影響を受けずに、「S0」または「S0ix」の状態でメイン制御部10が環境光センサ27を利用することができる。
【0077】
ここで、上述の第1設定情報は、メイン制御部10が環境光センサ27の出力信号に基づく処理を実行する際の環境光センサ27の設定情報である。また、上述の第2設定情報は、EC31が環境光センサ27の出力信号に基づく処理を実行する際の環境光センサ27の設定情報である。
【0078】
これにより、情報処理装置1は、EC31が環境光センサ27を利用するときにはEC31が利用する処理に合わせた設定で環境光センサ27を利用することができ、メイン制御部10が環境光センサ27を利用するときにはメイン制御部10が利用する処理に合わせた設定で環境光センサ27を利用することができる。
【0079】
また、情報処理装置1は、LED35(発光部の一例)をさらに備えている。また、環境光センサ27(第1センサの一例)は、周囲の明るさを検知するためのセンサである。EC31は、メイン制御部10への電源供給を停止させているときには、環境光センサ27の出力信号に基づいてLED35の発光(点灯、点滅、消灯など)を制御する。
【0080】
これにより、情報処理装置1は、暗室などの暗い環境下でのみLED35を点灯させることができるため、消費電力の増加を抑制しつつ、暗い環境下でもユーザがUSBコネクタ26及び電源ボタン34などを見つけやすくすることができる。
【0081】
また、情報処理装置1は、少なくともEC31に接続され、情報処理装置1への人物の近接を検知するための近接センサ32(第2センサの一例)をさらに備えている。EC31は、メイン制御部10への電源供給を停止させているときには、環境光センサ27の出力信号と近接センサ32の出力信号とに基づいてLED35の発光(点灯、点滅、消灯など)を制御する。
【0082】
これにより、情報処理装置1は、暗室などの暗い環境下でユーザが近くにいる場合のみLED35を点灯させることができるため、消費電力の増加を抑制しつつ、暗い環境下でもユーザがUSBコネクタ26及び電源ボタン34などを見つけやすくすることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る情報処理装置1における制御方法は、EC31が、メイン制御部10への電源供給を停止させているときには、環境光センサ27の接続先がEC31になるように切替部28を制御するステップと、メイン制御部10への電源供給を開始させたことに応じて、環境光センサ27の接続先がメイン制御部10(例えば、チップセット21)になるように切替部28を制御するステップと、を含む。
【0084】
これにより、情報処理装置1は、環境光センサ27の接続先をメイン制御部10(例えば、チップセット21)だけではなく、メイン制御部10への電源供給を停止させているときにはEC31に切り替えることができるため、システムの動作状態にかかわらず環境光センサ27を利用した制御を行うことができる。
【0085】
以上、この発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0086】
上述の実施形態では、EC31から電源回路36に出力される制御信号「SYS電源CNT」が切替部28の切り替えを制御する制御信号として用いられている構成を説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、EC31は、制御信号「SYS電源CNT」とは異なる制御信号を切替部28の切り替えを制御する制御信号としてもよい。この切替部28の切り替えを制御する制御信号は、制御信号「SYS電源CNT」がSYS電源のオン/オフを制御するタイミングに応じて切替部28の切り替えを制御する制御信号となる。
【0087】
また、上述の実施形態では、EC31が環境光センサ27の第1設定情報をEC31内のメモリに保存する構成を説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、EC31は、環境光センサ27の第1設定情報をEC31に接続されているメモリに保存してもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、情報処理装置1が、環境光センサ27と近接センサ32とを用いてLED35の発光(点灯、点滅、消灯など)を制御する構成を説明したが、環境光センサ27のみを用いてLED35の発光(点灯、点滅、消灯など)を制御してもよい。また、情報処理装置1は、LED35に代えて又は加えて、キーボード33のバックライトの発光(点灯、点滅、消灯など)を制御してもよいし、さらには情報処理装置1に備えられている光源となるものであれば任意のデバイスの発光(点灯、点滅、消灯など)を制御してもよい。例えば、表示部14がバックライトを有するものであれば表示部14のバックライトの発光(点灯、点滅、消灯など)を制御してもよい。
【0089】
また、上述の実施形態では、
図1に示す情報処理装置1の外観の例では、第2筐体102の側面の1つにUSBコネクタ26及び電源ボタン34が設けられているが、複数の側面に設けられてもよいし、USBコネクタ26及び電源ボタン34以外の外部インターフェース用の接続部や操作子などが設けられてもよい。また、USBコネクタ26及び電源ボタン34などの外部インターフェース用の接続部や操作子が複数の側面に設けられている場合には、発光部(例えば、LED35)も同様に複数の側面に設けられてもよい。例えば、
図1においてUSBコネクタ26、電源ボタン34及びLED35が設けられている第2筐体102の側面とは反対側にも外部インターフェース用の接続部や操作子と発光部(例えば、LED35)が設けられている場合、2つの近接センサ32を用いてユーザが近付いた側の側面の発光部(例えば、LED35)を点灯させてもよい。
【0090】
また、上述の実施形態では、メイン制御部10(例えば、チップセット21)とEC31とが環境光センサ27を切り替えて利用する例を説明したが、環境光センサ27に限られるものではない。例えば、メイン制御部10(例えば、チップセット21)とEC31とが近接センサ32を切り替えて利用する構成としてもよい。
【0091】
また、加速度センサまたはジャイロセンサなどをメイン制御部10(例えば、チップセット21)とEC31とが切り替えて利用する構成としてもよい。例えば、従来は加速度センサまたはジャイロセンサを利用して、「S0」の状態で装置の向きの変化に応じて画面の向きを変更するといった処理が行われていた。「S4」または「S5」の状態で加速度センサまたはジャイロセンサをEC31が切り替えて利用できるようになると、「S4」または「S5」中に装置本体を裏返しにして裏蓋を外そうとしているといった不正アクセスの検出や、「S4」または「S5」中の移動距離を測定することでオフィスからの持ち出しの検出なども行うことができる。
【0092】
なお、上述した情報処理装置1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0093】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0094】
また、上述した実施形態における情報処理装置1が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0095】
また、上記実施形態の情報処理装置1は、ノートPCに限定されるものではなく、デスクトップ型のPC、タブレット型のPC等であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 情報処理装置、10 メイン制御部、11 CPU、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 表示部、21 チップセット、22 BIOSメモリ、23 ストレージ、24 オーディオシステム、25 通信部、26 USBコネクタ、27 環境光センサ、28 切替部、31 EC、32 近接センサ、33 キーボード、34 電源ボタン、35 LED、36 電源回路
【要約】
【課題】情報処理装置の動作状態にかかわらず同一のセンサを利用した処理を行えるようにすること。
【解決手段】情報処理装置は、センサと、システムのプログラムを実行することによりシステム処理を実行するとともに、システム処理に基づいてセンサからの出力を用いた処理を実行する第1プロセッサと、少なくとも第1プロセッサへの電源供給の停止および開始を制御する第2プロセッサと、センサの接続先を第1プロセッサと第2プロセッサとのいずれかに切り替える切替部と、を備える。第2プロセッサは、第1プロセッサへの電源供給を停止させているときには、センサの接続先が第2プロセッサになるように切替部を制御し、第1プロセッサへの電源供給を開始させたことに応じて、センサの接続先が第1プロセッサになるように切替部を制御する。
【選択図】
図3