(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240904BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2023212330
(22)【出願日】2023-12-15
【審査請求日】2023-12-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-024699(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113327115(CN,A)
【文献】特開2023-093457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品又はサービスである商品の提供を希望する提供先ユーザが利用する提供先ユーザ端末から、前記商品から前記提供先ユーザ端末が読み取った前記商品に付された商品識別情報であって現実空間上の物品又はサービスを識別するための商品識別情報と、前記商品を提供する提供元ユーザが提示した情報から前記提供先ユーザ端末が読み取った前記提供元ユーザを識別するための提供元ユーザ識別情報と、を受信する受信部と、
前記提供元ユーザ
識別情報にブロックチェーン上で
関連付けられた提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが
前記提供先ユーザに
物品又はサービスを提供するための提供条件を示す提供条件トークンを
、前記ブロックチェーンから取得する取得部と、
前記商品識別情報に対応する前記商品
が前記提供条件トークン
が示す前記提供条件を満たすか否かに応じて前記提供元ユーザによる
当該商品の提供可否
を決定することと、当該商品に当該提供条件が示す規則を適用することによって前記提供元ユーザが
当該商品を提供するための提供態様を決定する
ことと、のいずれかを行う決定部と、
前記決定部が決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
物品又はサービスである商品を提供する提供元ユーザが利用する提供元ユーザ端末から、前記商品から前記提供元ユーザ端末が読み取った前記商品に付された商品識別情報であって現実空間上の物品又はサービスを識別するための商品識別情報と、前記提供元ユーザ端末に予め設定された前記提供元ユーザを識別するための提供元ユーザ識別情報と、を受信する受信部と、
前記提供元ユーザ識別情報にブロックチェーン上で関連付けられた提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが提供先ユーザに物品又はサービスを提供するための提供条件を示す提供条件トークンを、前記ブロックチェーンから取得する取得部と、
前記商品識別情報に対応する前記商品が前記提供条件トークンが示す前記提供条件を満たすか否かに応じて前記提供元ユーザによる当該商品の提供可否を決定することと、当該商品に当該提供条件が示す規則を適用することによって前記提供元ユーザが当該商品を提供するための提供態様を決定することと、のいずれかを行う決定部と、
前記決定部が決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記提供情報を出力した後に、
出力された前記提供情報に対応する前記商品の所有権又は利用権
を前記提供先ユーザが有していることを示すトークンを
、前記ブロックチェーン上で前記提供先ユーザ
を識別するための提供先ユーザ識別情報に関連付けて付与するための付与指示を
前記ブロックチェーンに対して出力する、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記提供先ユーザが利用する提供先ユーザ端末に前記提供情報を出力した後に、前記提供先ユーザ端末において前記提供先ユーザが所定の操作を行ったことを条件として、前記付与指示を出力する、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、
前記提供可否として、前記提供条件トークンが示す前記提供条件を
前記商品が満たす場合に前記商品が提供可能であると決定し、
前記提供条件トークンが示す前記提供条件を
前記商品が満たさない場合に前記商品が提供可能でないと決定する、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提供条件
トークンは、前記提供元ユーザが提供することが可能な一又は複数の
物品又はサービスを前記提供条件として記述した情報であり、
前記決定部は、前記提供可否として、前記商品が前記提供条件トークンに記述された一又は複数の物品又はサービスに含まれている場合に前記商品が提供可能であると決定し、前記商品が前記提供条件トークンに記述された一又は複数の物品又はサービスに含まれていない場合に前記商品が提供可能でないと決定する、
請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提供条件
トークンは、価格を決定するための
テーブル又は計算式を前記規則として記述した情報であり、
前記決定部は、
前記提供条件トークンに記述されたテーブル又は計算式を前記商品
に適用することにより、
前記提供態様として、前記提供元ユーザが前記商品を提供するための価格を決定する、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提供態様は、前記提供元ユーザが前記商品を提供するための価格と、前記提供元ユーザが前記商品を提供する期間と、前記提供元ユーザが前記商品とともに提供する特典と、のうち少なくとも1つを含む、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提供条件トークンは、前記提供先ユーザ及び前記提供元ユーザとは異なるユーザによって前記ブロックチェーン上で発行されたトークンである、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
プロセッサが実行する、
物品又はサービスである商品の提供を希望する提供先ユーザが利用する提供先ユーザ端末から、前記商品から前記提供先ユーザ端末が読み取った前記商品に付された商品識別情報であって現実空間上の物品又はサービスを識別するための商品識別情報を受信するステップと、
前記商品を提供する提供元ユーザが提示した情報から前記提供先ユーザ端末が読み取った前記提供元ユーザを識別するための提供元ユーザ識別情報を受信するステップと、
前記提供元ユーザ
識別情報にブロックチェーン上で
関連付けられた提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが
前記提供先ユーザに
物品又はサービスを提供するための提供条件を示す提供条件トークンを
、前記ブロックチェーンから取得するステップと、
前記商品識別情報に対応する前記商品
が前記提供条件トークン
が示す前記提供条件を満たすか否かに応じて前記提供元ユーザによる
当該商品の提供可否
を決定することと、当該商品に当該提供条件が示す規則を適用することによって前記提供元ユーザが
当該商品を提供するための提供態様を決定する
ことと、のいずれかを行うステップと、
前記
いずれかを行うステップにおいて決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項11】
プロセッサが実行する、
物品又はサービスである商品を提供する提供元ユーザが利用する提供元ユーザ端末から、前記商品から前記提供元ユーザ端末が読み取った前記商品に付された商品識別情報であって現実空間上の物品又はサービスを識別するための商品識別情報を受信するステップと、
前記提供元ユーザ端末に予め設定された前記提供元ユーザを識別するための提供元ユーザ識別情報を受信するステップと、
前記提供元ユーザ識別情報にブロックチェーン上で関連付けられた提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが提供先ユーザに物品又はサービスを提供するための提供条件を示す提供条件トークンを、前記ブロックチェーンから取得するステップと、
前記商品識別情報に対応する前記商品が前記提供条件トークンが示す前記提供条件を満たすか否かに応じて前記提供元ユーザによる当該商品の提供可否を決定することと、当該商品に当該提供条件が示す規則を適用することによって前記提供元ユーザが当該商品を提供するための提供態様を決定することと、のいずれかを行うステップと、
前記いずれかを行うステップにおいて決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項12】
プロセッサに、
物品又はサービスである商品の提供を希望する提供先ユーザが利用する提供先ユーザ端末から、前記商品から前記提供先ユーザ端末が読み取った前記商品に付された商品識別情報であって現実空間上の物品又はサービスを識別するための商品識別情報を受信するステップと、
前記商品を提供する提供元ユーザが提示した情報から前記提供先ユーザ端末が読み取った前記提供元ユーザを識別するための提供元ユーザ識別情報を受信するステップと、
前記提供元ユーザ
識別情報にブロックチェーン上で
関連付けられた提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが
前記提供先ユーザに
物品又はサービスを提供するための提供条件を示す提供条件トークンを
、前記ブロックチェーンから取得するステップと、
前記商品識別情報に対応する前記商品
が前記提供条件トークン
が示す前記提供条件を満たすか否かに応じて前記提供元ユーザによる
当該商品の提供可否
を決定することと、当該商品に当該提供条件が示す規則を適用することによって前記提供元ユーザが
当該商品を提供するための提供態様を決定する
ことと、のいずれかを行うステップと、
前記
いずれかを行うステップにおいて決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力するステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項13】
プロセッサに、
物品又はサービスである商品を提供する提供元ユーザが利用する提供元ユーザ端末から、前記商品から前記提供元ユーザ端末が読み取った前記商品に付された商品識別情報であって現実空間上の物品又はサービスを識別するための商品識別情報を受信するステップと、
前記提供元ユーザ端末に予め設定された前記提供元ユーザを識別するための提供元ユーザ識別情報を受信するステップと、
前記提供元ユーザ識別情報にブロックチェーン上で関連付けられた提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが提供先ユーザに物品又はサービスを提供するための提供条件を示す提供条件トークンを、前記ブロックチェーンから取得するステップと、
前記商品識別情報に対応する前記商品が前記提供条件トークンが示す前記提供条件を満たすか否かに応じて前記提供元ユーザによる当該商品の提供可否を決定することと、当該商品に当該提供条件が示す規則を適用することによって前記提供元ユーザが当該商品を提供するための提供態様を決定することと、のいずれかを行うステップと、
前記いずれかを行うステップにおいて決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対する商品の提供に関する情報を処理する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、顧客であるユーザが使用するスマートフォン等の情報端末が読み取った情報に基づいて商品の代金の清算を行う機能と、店員が使用する商品登録装置が読み取った情報に基づいて商品の代金の清算を行う機能と、を切り替える技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顧客に対して商品を提供する店舗等の提供元ユーザが特定の条件を満たしたことに応じて、商品の提供を許可したり、商品の価格を変更したりする場合がある。従来、提供元ユーザが商品を提供しようとする際に、提供元ユーザごとに商品の提供可否又は価格等の提供態様を切り替えることは容易ではなかった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、商品を提供する提供元ユーザごとに商品の提供可否又は提供態様を容易に切り替えられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、提供元ユーザがブロックチェーン上で保有する提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが提供先ユーザに商品を提供するための提供条件を示す提供条件トークンを取得する取得部と、前記商品と前記提供条件トークンとの関係に基づいて、前記提供元ユーザによる前記商品の提供可否又は前記提供元ユーザが前記商品を提供するための提供態様を決定する決定部と、前記決定部が決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記取得部は、前記提供元ユーザが提供する現実空間上の物品又はサービスである前記商品に付された商品識別情報を取得し、前記決定部は、前記取得部が取得した前記商品識別情報に対応する前記商品の前記提供可否又は前記提供態様を決定してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記提供先ユーザが利用する提供先ユーザ端末から、前記提供先ユーザ端末が読み取った前記商品識別情報と、前記提供先ユーザ端末が読み取った前記提供元ユーザを識別するための提供元ユーザ識別情報と、を受信する受信部をさらに有し、前記取得部は、前記受信部が受信した前記商品識別情報を取得するとともに、前記受信部が受信した前記提供元ユーザ識別情報に対応する前記提供元ユーザが保有する前記提供条件トークンを取得してもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記提供元ユーザが利用する提供元ユーザ端末から、前記提供元ユーザ端末が読み取った前記商品識別情報と、前記提供元ユーザ端末に予め設定された前記提供元ユーザを識別するための提供元ユーザ識別情報と、を受信する受信部をさらに有し、前記取得部は、前記受信部が受信した前記商品識別情報を取得するとともに、前記受信部が受信した前記提供元ユーザ識別情報に対応する前記提供元ユーザが保有する前記提供条件トークンを取得してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記提供情報を出力した後に、前記商品の所有権又は利用権を示すトークンを前記ブロックチェーン上で前記提供先ユーザに付与するための付与指示を出力してもよい。
【0011】
前記出力部は、前記提供先ユーザが利用する提供先ユーザ端末に前記提供情報を出力した後に、前記提供先ユーザ端末において前記提供先ユーザが所定の操作を行ったことを条件として、前記付与指示を出力してもよい。
【0012】
前記決定部は、前記商品が前記提供条件を満たす場合に前記商品が提供可能であると決定し、前記商品が前記提供条件を満たさない場合に前記商品が提供可能でないと決定してもよい。
【0013】
前記提供条件は、前記提供元ユーザが提供することが可能な一又は複数の前記商品を示してもよい。
【0014】
前記提供条件は、価格を決定するための規則を示し、前記決定部は、前記商品に前記規則を適用することにより、前記提供元ユーザが前記商品を提供するための価格を決定してもよい。
【0015】
前記提供態様は、前記提供元ユーザが前記商品を提供するための価格と、前記提供元ユーザが前記商品を提供する期間と、前記提供元ユーザが前記商品とともに提供する特典と、のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
前記提供条件トークンは、前記提供先ユーザ及び前記提供元ユーザとは異なるユーザによって前記ブロックチェーン上で発行されたトークンであってもよい。
【0017】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、提供元ユーザがブロックチェーン上で保有する提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが提供先ユーザに商品を提供するための提供条件を示す提供条件トークンを取得するステップと、前記商品と前記提供条件トークンとの関係に基づいて、前記提供元ユーザによる前記商品の提供可否又は前記提供元ユーザが前記商品を提供するための提供態様を決定するステップと、前記決定するステップにおいて決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力するステップと、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様のプログラムは、プロセッサに、提供元ユーザがブロックチェーン上で保有する提供条件トークンであって、前記提供元ユーザが提供先ユーザに商品を提供するための提供条件を示す提供条件トークンを取得するステップと、前記商品と前記提供条件トークンとの関係に基づいて、前記提供元ユーザによる前記商品の提供可否又は前記提供元ユーザが前記商品を提供するための提供態様を決定するステップと、前記決定するステップにおいて決定した前記提供可否又は前記提供態様を示す提供情報を出力するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、商品を提供する提供元ユーザごとに商品の提供可否又は提供態様を容易に切り替えられるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】権利トークン及び提供条件トークンを説明するための模式図である。
【
図4】第1実施形態において提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供態様を決定する処理の模式図である。
【
図5】提供情報を表示している第1情報端末の模式図である。
【
図6】第1実施形態に係る情報処理装置が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【
図7】第1変形例において提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供態様を決定する処理の模式図である。
【
図8】権利トークン及び返却条件トークンを説明するための模式図である。
【
図9】第2実施形態において返却先ユーザに対する商品の返却可否又は返却態様を決定する処理の模式図である。
【
図10】返却情報を表示している第1情報端末の模式図である。
【
図11】第2実施形態に係る情報処理装置が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【
図12】第2変形例において返却先ユーザに対する商品の返却可否又は返却態様を決定する処理の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報処理装置1と、第1情報端末2と、第2情報端末3と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0022】
情報処理装置1は、ブロックチェーン上に記憶された情報に基づいて、商品の提供に関する提供処理及び商品の返却に関する返却処理を行うコンピュータである。商品は、現実空間上で提供される物品又はサービスである。
【0023】
商品の提供に関する処理において、商品を提供するユーザを提供元ユーザといい、商品の提供を受けるユーザを提供先ユーザという。商品の返却に関する処理において、商品の返却を受けるユーザを返却先ユーザといい、商品を返却するユーザを返却元ユーザという。提供元ユーザ及び返却先ユーザは、商品を取り扱う個人(例えば、個人間取引における販売者)又は組織(例えば、店舗)である。提供先ユーザ及び返却元ユーザは、商品を利用する個人又は組織である。
【0024】
ブロックチェーンは、情報処理装置1の記憶部又は情報処理装置1とは異なる装置の記憶部に構築される。ブロックチェーンは複数の装置の記憶部に構築されており、情報処理装置1は当該複数の装置のうちいずれかであってもよい。ブロックチェーン上に記憶される情報は、例えば、商品の提供条件を示す提供条件トークンと、商品の返却条件を示す返却条件トークンと、商品を利用する権利を示す権利トークンと、を含む。
【0025】
提供条件トークンは、当該トークンの保有者であるユーザが所定の商品を提供するための提供条件を示すトークンである。提供条件は、例えば、提供可能な商品と、商品を提供するための料金を決定するための情報と、を示す。返却条件トークンは、当該トークンの保有者であるユーザが所定の商品の返却を受けるための返却条件を示すトークンである。返却条件は、例えば、返却可能な商品と、商品の返却を受けるための料金を決定するための情報と、を示す。
【0026】
提供条件トークン及び返却条件トークンは、当該トークンを保有するユーザに対して予め設定された提供条件及び返却条件を示すトークンであり、例えばソウルバウンドトークン(SBT: SoulBound Token)等の固有トークンである。固有トークンは、ブロックチェーン上でユーザ間で移転することが許可されないことにより、保有者であるユーザ固有の提供条件及び返却条件を示すことが担保される。また、提供条件トークン及び返却条件トークンは、固有トークンでなく、ユーザ間で移転可能なトークンであってもよい。
【0027】
権利トークンは、当該トークンの保有者であるユーザが所定の商品を利用する権利を示すトークンであり、例えばNFT(Non-Fungible Token)である。権利トークンは、例えば、ユーザが購入し又は借用した商品を識別するための商品識別情報(商品ID:Identifier)と、ユーザが商品を利用できる期間を示す情報と、を含む。
【0028】
提供条件トークン、返却条件トークン及び権利トークンは、例えば、ネットワーク上の一又は複数の記憶部上のブロックチェーンによって、保有者であるユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID)と関連付けて記憶される。本実施形態では、提供条件トークン及び返却条件トークンは提供元ユーザ又は返却先ユーザによって保有され、権利トークンは提供先ユーザ又は返却元ユーザによって保有される。
【0029】
ブロックチェーンは複数のデータのブロックを含み、各ブロックはトークンの保有者が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0030】
第1情報端末2は、提供先ユーザ又は返却元ユーザが利用するコンピュータである。提供先ユーザが利用する第1情報端末2を提供先ユーザ端末ともいい、返却元ユーザが利用する第1情報端末2を返却元ユーザ端末ともいう。第2情報端末3は、提供元ユーザ又は返却先ユーザが利用するコンピュータである。提供元ユーザが利用する第2情報端末3を提供元ユーザ端末ともいい、返却先ユーザが利用する第2情報端末3を返却先ユーザ端末ともいう。
【0031】
第1情報端末2は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末である。第2情報端末3は、例えば、POS(Point of Sale)端末である。第1情報端末2及び第2情報端末3は、操作を受け付けるためのタッチパネル又はキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、商品IDを読み取るためのカメラ又は近距離無線通信装置等の読取部と、を有する。第1情報端末2及び第2情報端末3は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0032】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。提供先ユーザは、第1情報端末2に、提供元ユーザの提供元ユーザのユーザIDと、提供を受けようとする商品の商品IDと、を読み取らせる。第1情報端末2は、提供先ユーザのユーザIDと、提供元ユーザのユーザIDと、商品IDと、を情報処理装置1に送信する。
【0033】
情報処理装置1は、第1情報端末2から受信した商品ID及びユーザIDを用いて、提供元ユーザがブロックチェーン上で保有する提供条件トークンを取得する。情報処理装置1は、商品と提供条件トークンとの関係に基づいて、提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供元ユーザが商品を提供するための提供態様を決定する。提供態様は、例えば、商品を提供するための価格と、商品を提供できる期間と、商品とともに提供する特典と、のうち少なくとも1つを含む。情報処理装置1は、決定した提供可否又は提供態様を示す提供情報を、提供先ユーザが利用する第1情報端末2に出力する。
【0034】
このように、情報処理システムSは、提供元ユーザがブロックチェーン上で保有する提供条件トークンと提供先ユーザが提供を受けようとする商品との関係に基づいて、商品の提供可否又は提供態様を決定する。これにより、情報処理システムSは、商品を提供する提供元ユーザごとに商品の提供可否又は提供態様を容易に切り替えることができる。
【0035】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0036】
情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。情報処理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0037】
通信部11は、ネットワークを介して第1情報端末2及び第2情報端末3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、第1情報端末2及び第2情報端末3からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータを第1情報端末2及び第2情報端末3に送信する。
【0038】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0039】
制御部13は、受信部131と、取得部132と、決定部133と、出力部134と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部131、取得部132、決定部133及び出力部134として機能する。
【0040】
以下、情報処理システムSが実行する処理について詳細に説明する。本実施形態では、情報処理システムSが実行する商品の提供に関する提供処理について説明する。まず、商品の提供を受けるユーザである提供先ユーザ及び商品を提供するユーザである提供元ユーザが保有するトークンについて説明する。提供先ユーザは、ブロックチェーン上で、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンを保有する。提供元ユーザは、ブロックチェーン上で、商品を提供するための提供条件を示す提供条件トークンを保有する。
【0041】
図3(a)は、権利トークンを説明するための模式図である。ブロックチェーンは、提供先ユーザのユーザID(提供先ユーザIDともいう)と関連付けて、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンを記憶する。権利トークンは、例えば、提供先ユーザが商品を購入した場合に所有権を示し、提供先ユーザが商品を借用した場合に利用権を示す。権利トークンは、例えば、提供先ユーザが提供を受けた一又は複数の商品の商品IDと、提供先ユーザが商品を利用できる期間と、を関連付けた情報である。権利トークンは、提供先ユーザが商品を購入し又は借用した際に、後述の情報処理装置1の出力部134が出力した付与指示に応じて、ブロックチェーン上で提供先ユーザに付与される。
【0042】
図3(b)は、提供条件トークンを説明するための模式図である。ブロックチェーンは、提供元ユーザのユーザID(提供元ユーザIDともいう)と関連付けて、提供条件を示す提供条件トークンを記憶する。
【0043】
提供条件は、例えば、提供元ユーザが提供することが可能な一又は複数の商品(
図3(b)中の「対象商品」)を示してもよい。提供条件である商品は、商品IDによって指定されてもよく、商品の種類(ブランド名等)によって指定されてもよい。
【0044】
提供条件は、例えば、商品の価格を決定するための規則(
図3(b)中の「計算規則」)を示してもよい。価格を決定するための規則は、例えば、商品と価格とを関連付けたテーブル、又は商品の所定の価格(定価等)に対して適用される計算式(割引率等)を含む。
【0045】
提供条件は、例えば、提供元ユーザが商品を提供する期間を決定するための規則を示してもよい。期間を決定するための規則は、例えば、商品と期間とを関連付けたテーブルを含む。提供条件は、例えば、提供元ユーザが商品とともに提供する特典を決定するための規則を示してもよい。特典を決定するための規則は、例えば、商品と特典とを関連付けたテーブルを含む。提供条件は、ここに示した具体的な条件に限られず、提供元ユーザによる商品の提供に関するその他の条件を含んでもよい。
【0046】
提供条件トークンは、例えば、提供先ユーザ及び提供元ユーザとは異なるユーザによってブロックチェーン上で予め発行される。これにより、店舗等の提供元ユーザとは異なるユーザが、提供先ユーザへ商品を提供する条件を設定することができる。
【0047】
次に、提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供態様を決定する処理について説明する。
図4は、本実施形態において提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供態様を決定する処理の模式図である。
【0048】
提供先ユーザは、第1情報端末2(提供先ユーザ端末)に、商品を提供する提供元ユーザのユーザIDである提供元ユーザIDを読み取らせる(a1)。提供元ユーザは、商品を取り扱う個人(例えば、個人間取引における販売者)又は組織(例えば、店舗)である。
【0049】
第1情報端末2の読取部は、例えば、提供元ユーザの店舗等に付されたコード(バーコード、2次元コード等)又はタグ(RFID(Radio Frequency Identification)等)が示す提供元ユーザIDを読み取る。また、提供元ユーザIDは、第1情報端末2の読取部が商品から読み取った商品IDに基づいて特定されてもよい。
【0050】
提供先ユーザは、第1情報端末2に、提供元ユーザから提供を受けようとする商品の商品IDを読み取らせる(a2)。第1情報端末2の読取部は、例えば、商品に付されたコード(バーコード、2次元コード等)又はタグ(RFID等)が示す商品IDを読み取る。
【0051】
第1情報端末2は、読取部が読み取った商品IDと、読取部が読み取った提供元ユーザIDと、第1情報端末2に予め設定された提供先ユーザのユーザIDである提供先ユーザIDと、を示す情報を情報処理装置1に送信する(a3)。
【0052】
情報処理装置1において、受信部131は、第1情報端末2から、提供先ユーザが提供を受けようとする商品の商品IDと、提供元ユーザの提供元ユーザIDと、提供先ユーザの提供先ユーザIDと、を示す情報を受信する。
【0053】
取得部132は、受信部131が受信した商品IDを取得する。取得部132は、受信部131が受信した提供元ユーザIDに対応する提供元ユーザが保有する提供条件トークンを取得する。取得部132は、例えば、ブロックチェーン上で、受信部131が受信した提供元ユーザIDに関連付けられた提供条件トークンを取得する。
【0054】
決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品と取得部132が取得した提供条件トークンとの関係に基づいて、提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供元ユーザが商品を提供するための提供態様を決定する(a4)。
【0055】
商品の提供可否は、提供元ユーザが商品を提供することを許可するか否かである。決定部133は、取得部132が取得した提供条件トークンが示す提供条件を用いて、商品が提供条件を満たす場合に商品が提供可能であると決定し、商品が提供条件を満たさない場合に商品が提供可能でないと決定する。
【0056】
例えば、決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品が、提供条件が示す一又は複数の商品に含まれている場合に、商品が提供可能であると決定する。一方、決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品が、提供条件が示す一又は複数の商品に含まれていない場合に、商品が提供可能でないと決定する。これにより、情報処理システムSは、提供元ユーザに対して予め付与された提供条件トークンを用いて、提供元ユーザごとに商品の提供可否を切り替えることができる。
【0057】
商品の提供態様は、提供元ユーザが商品を提供するための価格と、提供元ユーザが商品を提供する期間と、提供元ユーザが商品とともに提供する特典と、のうち少なくとも1つを含む。価格は、提供元ユーザが提供先ユーザに商品を販売又は貸与するための金額であり、例えば法定通貨又は暗号資産によって表される。期間は、提供元ユーザが提供先ユーザに商品を利用させることができる期間である。特典は、例えば、提供元ユーザが提供先ユーザに提供するポイント、クーポン、物品等である。
【0058】
決定部133は、取得部132が取得した提供条件トークンが示す提供条件を用いて、商品の提供態様を決定する。決定部133は、例えば、取得部132が取得した商品IDに対応する商品に、提供条件が示す価格を決定するための規則を適用することにより、提供元ユーザが商品を提供するための価格を決定する。これにより、情報処理システムSは、提供元ユーザに対して予め付与された提供条件トークンを用いて、提供元ユーザが商品を提供するための価格を切り替えることができる。
【0059】
決定部133は、例えば、取得部132が取得した商品IDに対応する商品に、提供条件が示す期間を決定するための規則を適用することにより、提供元ユーザが商品を提供する期間を決定する。これにより、情報処理システムSは、提供元ユーザに対して予め付与された提供条件トークンを用いて、提供元ユーザが商品を提供する期間を切り替えることができる。さらに決定部133は、現在日時が決定した期間に含まれている場合に商品が提供可能であると決定し、現在日時が決定した期間に含まれていない場合に商品が提供可能でないと決定してもよい。
【0060】
決定部133は、例えば、取得部132が取得した商品IDに対応する商品に、提供条件が示す特典を決定するための規則を適用することにより、提供元ユーザが商品とともに提供する特典を決定する。これにより、情報処理システムSは、提供元ユーザに対して予め付与された提供条件トークンを用いて、提供元ユーザが商品とともに提供する特典を切り替えることができる。
【0061】
出力部134は、決定部133が決定した提供可否又は提供態様を示す提供情報を出力する(a5)。提供情報は、例えば、取得部132が取得した商品IDに対応する商品を表す情報と、決定部133が決定した提供可否又は提供態様を表す情報と、を含む。出力部134は、例えば、提供情報を、提供先ユーザが利用する第1情報端末2(提供先ユーザ端末)であって、受信部131が受信した提供先ユーザIDに対応する第1情報端末2に送信する。第1情報端末2は、情報処理装置1が送信した提供情報を表示部上に表示する。
【0062】
出力部134は、第1情報端末2に代えて又は加えて、受信部131が受信した提供元ユーザIDに対応する第2情報端末3(提供元ユーザ端末)に提供情報を送信してもよい。第2情報端末3は、情報処理装置1が送信した提供情報を表示部上に表示する。
【0063】
図5は、提供情報を表示している第1情報端末2の模式図である。
図5の例では、第1情報端末2は、提供情報として、商品の名称と、提供元ユーザが商品を提供するための価格と、提供元ユーザが商品を提供する期間と、を表示している。第1情報端末2は、提供情報としてその他の情報を表示してもよい。
【0064】
第1情報端末2は、情報処理装置1から提供情報を受信した後に、提供先ユーザが商品の提供を希望することを示す操作(例えば、
図5の「はい」ボタンの選択)、又は提供先ユーザが商品の提供を希望しないことを示す操作(例えば、
図5の「いいえ」ボタンの選択)を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報を情報処理装置1に送信する。
【0065】
情報処理装置1において、受信部131は、第1情報端末2が送信した操作情報を受信する。情報処理装置1は、受信部131が受信した操作情報が、提供先ユーザにより商品の提供を希望しないことを示す操作が行われたことを示す場合に、以降の処理を行わない。
【0066】
受信部131が受信した操作情報が、提供先ユーザにより商品の提供を希望することを示す操作が行われたことを示すことを条件として、出力部134は、提供先ユーザから提供元ユーザに決定部133が決定した価格に対応する料金を支払わせるための支払指示と、提供元ユーザから提供先ユーザに商品を提供させるための提供指示と、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンをブロックチェーン上で提供先ユーザに付与するための付与指示と、を出力する。
【0067】
また、出力部134は、第1情報端末2から操作情報を受信することなく、決定部133が提供可否又は提供態様を決定したことに応じて、支払指示、提供指示及び付与指示を出力してもよい。
【0068】
出力部134は、例えば、決定部133が決定した価格と、提供先ユーザIDと、提供元ユーザIDと、を含む支払指示を、料金の支払を管理する支払管理装置に送信する。支払管理装置は、例えば、情報処理装置1が送信した支払指示に従って、決定部133が決定した価格に対応する料金(法定通貨又は暗号資産等)を、提供先ユーザの口座から提供元ユーザの口座に移転する。これにより、情報処理システムSは、提供元ユーザに対して予め付与された提供条件トークンに基づいて決定された価格に対応する料金を自動的に支払わせることができる。
【0069】
料金の支払いが完了した後に、出力部134は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品を示す情報(商品の名称等)と、決定部133が決定した提供態様を示す情報(特典の内容等)と、を含む提供指示を、提供元ユーザが利用する第2情報端末3(提供元ユーザ端末)であって、受信部131が受信した提供元ユーザIDに対応する第2情報端末3に出力する。
【0070】
第2情報端末3は、情報処理装置1が送信した提供指示を表示部上に表示する。提供元ユーザは、提供指示に従って、商品を提供先ユーザに提供する。また、提供元ユーザは、提供指示が示す特典を、提供先ユーザに提供してもよい。これにより、情報処理システムSは、提供元ユーザに対して予め付与された提供条件トークンに基づいて決定された提供態様を、提供元ユーザに自動的に通知することができる。
【0071】
出力部134は、例えば、提供先ユーザIDと、取得部132が取得した商品IDと、決定部133が決定した期間と、を含む付与指示を出力する。出力部134は、例えば、付与指示をブロックチェーンに送信する。
【0072】
ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した付与指示に従って、取得部132が取得した商品IDに対応する商品の権利トークンを提供先ユーザIDと関連付けて生成及び記憶する。また、出力部134は、ブロックチェーンに直接付与指示を送信することなく、ブロックチェーンにアクセス可能なその他の装置に対して付与指示を送信することにより、権利トークンを提供先ユーザに付与してもよい。これにより、情報処理システムSは、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンを、提供先ユーザを保有者としてブロックチェーンに自動的に記憶させることができる。
【0073】
[情報処理方法のフロー]
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。第1情報端末2は、読取部が読み取った商品IDと、読取部が読み取った提供元ユーザIDと、第1情報端末2に予め設定された提供先ユーザIDと、を示す情報を情報処理装置1に送信する。受信部131は、第1情報端末2から、提供先ユーザが提供を受けようとする商品の商品IDと、提供元ユーザIDと、提供先ユーザIDと、を示す情報を受信する(S11)。
【0074】
取得部132は、受信部131が受信した提供元ユーザIDに対応する提供元ユーザが保有する提供条件トークンを取得する(S12)。取得部132は、例えば、ブロックチェーン上で、受信部131が受信した提供元ユーザIDに関連付けられた提供条件トークンを取得する。
【0075】
決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品と取得部132が取得した提供条件トークンとの関係に基づいて、提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供元ユーザが商品を提供するための提供態様を決定する(S13)。商品の提供可否は、提供元ユーザが商品を提供することを許可するか否かである。商品の提供態様は、提供元ユーザが商品を提供するための価格と、提供元ユーザが商品を提供する期間と、提供元ユーザが商品とともに提供する特典と、のうち少なくとも1つを含む。
【0076】
出力部134は、決定部133が決定した提供可否又は提供態様を示す提供情報を出力する(S14)。出力部134は、例えば、提供情報を、提供先ユーザが利用する第1情報端末2(提供先ユーザ端末)に送信する。第1情報端末2は、情報処理装置1が送信した提供情報を表示部上に表示する。
【0077】
第1情報端末2は、情報処理装置1から提供情報を受信した後に、提供先ユーザが商品の提供を希望することを示す操作、又は提供先ユーザが商品の提供を希望しないことを示す操作を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報を情報処理装置1に送信する。
【0078】
情報処理装置1において、受信部131は、第1情報端末2が送信した操作情報を受信する。情報処理装置1は、受信部131が受信した操作情報が、提供先ユーザにより商品の提供を希望することを示す操作が行われなかったこと(例えば、提供先ユーザにより商品の提供を希望しないことを示す操作が行われたこと)を示す場合に(S15のNO)、処理を終了する。
【0079】
受信部131が受信した操作情報が、提供先ユーザにより商品の提供を希望することを示す操作が行われたことを示す場合に(S15のYES)、出力部134は、提供先ユーザから提供元ユーザに決定部133が決定した価格に対応する料金を支払わせるための支払指示と、提供元ユーザから提供先ユーザに商品を提供させるための提供指示と、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンをブロックチェーン上で提供先ユーザに付与するための付与指示と、を出力する(S16)。
【0080】
支払管理装置は、例えば、情報処理装置1が送信した支払指示に従って、決定部133が決定した価格に対応する料金を、提供先ユーザの口座から提供元ユーザの口座に移転する。第2情報端末3は、例えば、情報処理装置1が送信した提供指示を表示部上に表示する。ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した付与指示に従って、権利トークンを提供先ユーザIDと関連付けて生成及び記憶する。
【0081】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、提供元ユーザがブロックチェーン上で保有する提供条件トークンと提供先ユーザが提供を受けようとする商品との関係に基づいて、商品の提供可否又は提供態様を決定する。これにより、情報処理システムSは、商品を提供する提供元ユーザごとに商品の提供可否又は提供態様を容易に切り替えることができる。また、提供先ユーザ及び提供元ユーザとは異なる第三者が提供条件トークンを発行することにより、店舗等の提供元ユーザとは異なる第三者が、提供先ユーザへ商品を提供する条件を設定することができる。
【0082】
[第1変形例]
第1実施形態では第1情報端末2が商品IDを読み取るのに対して、本変形例では第2情報端末3が商品IDを読み取る。以下、第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0083】
図7は、本変形例において提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供態様を決定する処理の模式図である。提供先ユーザは、提供元ユーザに対して、提供先ユーザのユーザIDである提供先ユーザIDと、提供元ユーザから提供を受けようとする商品の商品IDと、を提示する。
【0084】
提供元ユーザは、第2情報端末3(提供元ユーザ端末)に、提供先ユーザIDを読み取らせるとともに(b1)、提供先ユーザが提供を受けようとする商品の商品IDを読み取らせる(b2)。
【0085】
第2情報端末3の読取部は、例えば、第1情報端末2の表示部に表示されたコード(バーコード、2次元コード等)が示す提供先ユーザID、又は第1情報端末2が近距離無線通信によって送信した提供先ユーザIDを読み取る。また、第2情報端末3の読取部は、例えば、提供先ユーザの会員証等のカードが示す提供先ユーザIDを読み取ってもよい。
【0086】
第2情報端末3の読取部は、例えば、商品に付されたコード(バーコード、2次元コード等)又はタグ(RFID等)が示す商品IDを読み取る。第2情報端末3は、読取部が読み取った商品IDと、読取部が読み取った提供先ユーザIDと、第2情報端末3に予め設定された提供元ユーザのユーザIDである提供元ユーザIDと、を示す情報を情報処理装置1に送信する(b3)。
【0087】
情報処理装置1において、受信部131は、第2情報端末3から、提供先ユーザが提供を受けようとする商品の商品IDと、提供先ユーザIDと、提供元ユーザIDと、を示す情報を受信する。
【0088】
取得部132は、受信部131が受信した商品IDを取得する。取得部132は、受信部131が受信した提供元ユーザIDに対応する提供元ユーザが保有する提供条件トークンを取得する。
【0089】
決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品と取得部132が取得した提供条件トークンとの関係に基づいて、提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供元ユーザが商品を提供するための提供態様を決定する(b4)。出力部134は、決定部133が決定した提供可否又は提供態様を示す提供情報を出力する(b5)。決定部133が提供可否又は提供態様を決定する処理及び出力部134が提供可否又は提供態様を示す提供情報を出力する処理は、第1実施形態と同様である。
【0090】
本変形例に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、提供元ユーザが利用する第2情報端末3を用いてユーザが提供を受けようとする商品を特定し、提供元ユーザがブロックチェーン上で保有する提供条件トークンに基づいて、特定した商品の提供可否又は提供態様を決定することができる。
【0091】
<第2実施形態>
本実施形態では、情報処理システムSが実行する商品の返却に関する返却処理について説明する。まず、商品を返却するユーザである返却元ユーザ及び商品の返却を受けるユーザである返却先ユーザが保有するトークンについて説明する。返却元ユーザは、ブロックチェーン上で、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンを保有する。返却先ユーザは、ブロックチェーン上で、商品の返却を受けるための返却条件を示す返却条件トークンを保有する。
【0092】
図8(a)は、権利トークンを説明するための模式図である。ブロックチェーンは、返却元ユーザのユーザID(返却元ユーザIDともいう)と関連付けて、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンを記憶する。権利トークンは、例えば、返却元ユーザが商品を購入した場合に所有権を示し、返却元ユーザが商品を借用した場合に利用権を示す。権利トークンは、例えば、返却元ユーザが提供を受けた一又は複数の商品の商品IDと、返却元ユーザが商品を利用できる期間と、を関連付けた情報である。権利トークンは、返却元ユーザが商品を購入し又は借用した際に、ブロックチェーン上で返却元ユーザに付与される。
【0093】
図8(b)は、返却条件トークンを説明するための模式図である。ブロックチェーンは、返却先ユーザのユーザID(返却先ユーザIDともいう)と関連付けて、返却条件を示す返却条件トークンを記憶する。
【0094】
返却条件は、例えば、返却先ユーザが返却を受けることが可能な一又は複数の商品(
図8(b)中の「対象商品」)を示してもよい。返却条件である商品は、商品IDによって指定されてもよく、商品の種類(ブランド名等)によって指定されてもよい。
【0095】
返却条件は、例えば、返却先ユーザが商品の返却を受けるために授受する金額を決定するための規則(
図8(b)中の「計算規則」)を示してもよい。金額を決定するための規則は、例えば、商品と金額とを関連付けたテーブル、又は所定の金額(商品の定価等)に対して適用される計算式(経過期間に応じた減少率等)を含む。
【0096】
返却条件は、例えば、返却先ユーザが商品の返却を受けることが可能な期間を決定するための規則を示してもよい。期間を決定するための規則は、例えば、商品と期間とを関連付けたテーブルを含む。返却条件は、例えば、返却先ユーザが商品の返却を受ける際に提供する特典を決定するための規則を示してもよい。特典を決定するための規則は、例えば、商品と特典とを関連付けたテーブルを含む。返却条件は、ここに示した具体的な条件に限られず、返却先ユーザに対する商品の返却に関するその他の条件を含んでもよい。
【0097】
返却条件トークンは、例えば、返却元ユーザ及び返却先ユーザとは異なるユーザによってブロックチェーン上で予め発行される。これにより、店舗等の返却先ユーザとは異なるユーザが、返却先ユーザが商品の返却を受ける条件を設定することができる。
【0098】
次に、返却先ユーザに対する商品の返却可否又は返却態様を決定する処理について説明する。
図9は、本実施形態において返却先ユーザに対する商品の返却可否又は返却態様を決定する処理の模式図である。
【0099】
返却元ユーザは、第1情報端末2(返却元ユーザ端末)に、商品の返却を受ける返却先ユーザのユーザIDである返却先ユーザIDを読み取らせる(c1)。返却先ユーザは、商品を取り扱う個人(例えば、個人間取引における販売者)又は組織(例えば、店舗)である。なお、返却元ユーザから商品の返却を受ける返却先ユーザは、返却元ユーザに当該商品を提供した提供元ユーザと同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0100】
第1情報端末2の読取部は、例えば、返却先ユーザの店舗等に付されたコード(バーコード、2次元コード等)又はタグ(RFID等)が示す返却先ユーザIDを読み取る。また、返却先ユーザIDは、第1情報端末2の読取部が商品から読み取った商品IDに基づいて特定されてもよい。
【0101】
返却元ユーザは、第1情報端末2に、返却先ユーザに返却しようとする商品の商品IDを読み取らせる(c2)。第1情報端末2の読取部は、例えば、商品に付されたコード(バーコード、2次元コード等)又はタグ(RFID等)が示す商品IDを読み取る。
【0102】
第1情報端末2は、読取部が読み取った商品IDと、読取部が読み取った返却先ユーザIDと、第1情報端末2に予め設定された返却元ユーザのユーザIDである返却元ユーザIDと、を示す情報を情報処理装置1に送信する(c3)。
【0103】
情報処理装置1において、受信部131は、第1情報端末2から、返却元ユーザが返却しようとする商品の商品IDと、返却先ユーザの返却先ユーザIDと、返却元ユーザの返却元ユーザIDと、を示す情報を受信する。
【0104】
取得部132は、受信部131が受信した商品IDを取得する。取得部132は、受信部131が受信した返却先ユーザIDに対応する返却先ユーザが保有する返却条件トークンを取得する。取得部132は、例えば、ブロックチェーン上で、受信部131が受信した返却先ユーザIDに関連付けられた返却条件トークンを取得する。
【0105】
決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品と取得部132が取得した返却条件トークンとの関係に基づいて、返却先ユーザに対する商品の返却可否又は返却先ユーザに商品を返却するための返却態様を決定する(c4)。
【0106】
商品の返却可否は、返却先ユーザが商品の返却を受けることを許可するか否かである。決定部133は、取得部132が取得した返却条件トークンが示す返却条件を用いて、商品が返却条件を満たす場合に商品が返却可能であると決定し、商品が返却条件を満たさない場合に商品が返却可能でないと決定する。
【0107】
例えば、決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品が、返却条件が示す一又は複数の商品に含まれている場合に、商品が返却可能であると決定する。一方、決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品が、返却条件が示す一又は複数の商品に含まれていない場合に、商品が返却可能でないと決定する。これにより、情報処理システムSは、返却先ユーザに対して予め付与された返却条件トークンを用いて、返却先ユーザごとに商品の返却可否を切り替えることができる。
【0108】
商品の返却態様は、返却先ユーザが商品の返却を受けるために授受する金額と、返却先ユーザが商品の返却を受けることが可能な期間と、返却先ユーザが商品の返却を受ける際に提供する特典と、のうち少なくとも1つを含む。
【0109】
金額は、返却先ユーザが返却元ユーザから商品の返却を受ける際に返却元ユーザから受け取る金額又は返却元ユーザに支払う金額であり、例えば法定通貨又は暗号資産によって表される。返却先ユーザは、商品の代金の後払いを受ける場合に、商品の返却を受ける際に返却元ユーザから所定の金額を受け取る。返却先ユーザは、商品の代金(例えばデポジット)の先払いを受けた場合に、商品の返却を受ける際に返却元ユーザに所定の金額を支払う。
【0110】
期間は、返却先ユーザが返却元ユーザから商品の返却を受けることができる期間である。特典は、例えば、返却先ユーザが返却元ユーザに提供するポイント、クーポン、物品等である。
【0111】
決定部133は、取得部132が取得した返却条件トークンが示す返却条件を用いて、商品の返却態様を決定する。決定部133は、例えば、取得部132が取得した商品IDに対応する商品に、返却条件が示す金額を決定するための規則を適用することにより、返却先ユーザが商品の返却を受けるために授受する金額を決定する。これにより、情報処理システムSは、返却先ユーザに対して予め付与された返却条件トークンを用いて、返却先ユーザが商品の返却を受けるために授受する金額を切り替えることができる。
【0112】
決定部133は、例えば、取得部132が取得した商品IDに対応する商品に、返却条件が示す期間を決定するための規則を適用することにより、返却先ユーザが商品の返却を受けることが可能な期間を決定する。これにより、情報処理システムSは、返却先ユーザに対して予め付与された返却条件トークンを用いて、返却先ユーザが商品の返却を受けることが可能な期間を切り替えることができる。さらに決定部133は、現在日時が決定した期間に含まれている場合に商品が返却可能であると決定し、現在日時が決定した期間に含まれていない場合に商品が返却可能でないと決定してもよい。
【0113】
決定部133は、例えば、取得部132が取得した商品IDに対応する商品に、返却条件が示す特典を決定するための規則を適用することにより、返却先ユーザが商品の返却を受ける際に提供する特典を決定する。これにより、情報処理システムSは、返却先ユーザに対して予め付与された返却条件トークンを用いて、返却先ユーザが商品の返却を受ける際に提供する特典を切り替えることができる。
【0114】
出力部134は、決定部133が決定した返却可否又は返却態様を示す返却情報を出力する(c5)。返却情報は、例えば、取得部132が取得した商品IDに対応する商品を表す情報と、決定部133が決定した返却可否又は返却態様を表す情報と、を含む。出力部134は、例えば、返却情報を、返却元ユーザが利用する第1情報端末2(返却元ユーザ端末)であって、受信部131が受信した返却元ユーザIDに対応する第1情報端末2に送信する。第1情報端末2は、情報処理装置1が送信した返却情報を表示部上に表示する。
【0115】
出力部134は、第1情報端末2に代えて又は加えて、受信部131が受信した返却先ユーザIDに対応する第2情報端末3(返却先ユーザ端末)に返却情報を送信してもよい。第2情報端末3は、情報処理装置1が送信した返却情報を表示部上に表示する。
【0116】
図10は、返却情報を表示している第1情報端末2の模式図である。
図10の例では、第1情報端末2は、返却情報として、商品の名称と、返却元ユーザが商品を返却するために授受する金額と、返却元ユーザが商品を利用できる期間と、を表示している。第1情報端末2は、返却情報としてその他の情報を表示してもよい。
【0117】
第1情報端末2は、情報処理装置1から返却情報を受信した後に、返却元ユーザが商品の返却を希望することを示す操作(例えば、
図10の「はい」ボタンの選択)、又は返却元ユーザが商品の返却を希望しないことを示す操作(例えば、
図10の「いいえ」ボタンの選択)を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報を情報処理装置1に送信する。
【0118】
情報処理装置1において、受信部131は、第1情報端末2が送信した操作情報を受信する。情報処理装置1は、受信部131が受信した操作情報が、返却元ユーザにより商品の返却を希望しないことを示す操作が行われたことを示す場合に、以降の処理を行わない。
【0119】
受信部131が受信した操作情報が、返却元ユーザにより商品の返却を希望することを示す操作が行われたことを示すことを条件として、出力部134は、返却元ユーザと返却先ユーザとの間で決定部133が決定した金額に対応する料金を授受させるための支払指示と、返却元ユーザから返却先ユーザに商品を返却させるための返却指示と、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンをブロックチェーン上で返却元ユーザから剥奪するための剥奪指示と、を出力する。
【0120】
また、出力部134は、第1情報端末2から操作情報を受信することなく、決定部133が返却可否又は返却態様を決定したことに応じて、支払指示、返却指示及び剥奪指示を出力してもよい。
【0121】
出力部134は、例えば、決定部133が決定した金額と、返却元ユーザIDと、返却先ユーザIDと、を含む支払指示を、料金の支払を管理する支払管理装置に送信する。支払管理装置は、例えば、情報処理装置1が送信した支払指示に従って、決定部133が決定した金額に対応する料金(法定通貨又は暗号資産等)を、返却元ユーザの口座から返却先ユーザの口座に移転し、又は返却先ユーザの口座から返却元ユーザの口座に移転する。これにより、情報処理システムSは、返却先ユーザに対して予め付与された返却条件トークンに基づいて決定された金額に対応する料金を返却元ユーザと返却先ユーザとの間で自動的に授受させることができる。
【0122】
料金の支払いが完了した後に、出力部134は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品を示す情報(商品の名称等)と、決定部133が決定した返却態様を示す情報(特典の内容等)と、を含む返却指示を、返却先ユーザが利用する第2情報端末3(返却先ユーザ端末)であって、受信部131が受信した返却先ユーザIDに対応する第2情報端末3に出力する。
【0123】
第2情報端末3は、情報処理装置1が送信した返却指示を表示部上に表示する。返却先ユーザは、返却指示に従って、返却元ユーザから商品の返却を受ける。また、返却先ユーザは、返却指示が示す特典を、返却元ユーザに提供してもよい。これにより、情報処理システムSは、返却先ユーザに対して予め付与された返却条件トークンに基づいて決定された返却態様を、返却先ユーザに自動的に通知することができる。
【0124】
出力部134は、例えば、返却元ユーザIDと、取得部132が取得した商品IDと、を含む剥奪指示を出力する。出力部134は、例えば、剥奪指示をブロックチェーンに送信する。
【0125】
ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した剥奪指示に従って、権利トークンを返却元ユーザから剥奪する。ブロックチェーンは、例えば、権利トークンを返却元ユーザから返却先ユーザに移転する情報を記憶し、又は権利トークンを無効化する情報を記憶することにより、権利トークンを返却元ユーザから剥奪する。また、出力部134は、ブロックチェーンに直接剥奪指示を送信することなく、ブロックチェーンにアクセス可能なその他の装置に対して剥奪指示を送信することにより、権利トークンを返却元ユーザから剥奪してもよい。これにより、情報処理システムSは、返却元ユーザが返却した商品の所有権又は利用権を示す権利トークンを、返却元ユーザから自動的に剥奪することができる。
【0126】
[情報処理方法のフロー]
図11は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。第1情報端末2は、読取部が読み取った商品IDと、読取部が読み取った返却先ユーザIDと、第1情報端末2に予め設定された返却元ユーザIDと、を示す情報を情報処理装置1に送信する。受信部131は、第1情報端末2から、返却元ユーザが返却しようとする商品の商品IDと、返却先ユーザIDと、返却元ユーザIDと、を示す情報を受信する(S21)。
【0127】
取得部132は、受信部131が受信した返却先ユーザIDに対応する返却先ユーザが保有する返却条件トークンを取得する(S22)。取得部132は、例えば、ブロックチェーン上で、受信部131が受信した返却先ユーザIDに関連付けられた返却条件トークンを取得する。
【0128】
決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品と取得部132が取得した返却条件トークンとの関係に基づいて、返却先ユーザに対する商品の返却可否又は返却先ユーザに商品を返却するための返却態様を決定する(S23)。商品の返却可否は、返却先ユーザが商品の返却を受けることを許可するか否かである。商品の返却態様は、返却先ユーザが商品の返却を受けるために授受する金額と、返却先ユーザが商品の返却を受けることが可能な期間と、返却先ユーザが商品の返却を受ける際に提供する特典と、のうち少なくとも1つを含む。
【0129】
出力部134は、決定部133が決定した返却可否又は返却態様を示す返却情報を出力する(S24)。出力部134は、例えば、返却情報を、返却元ユーザが利用する第1情報端末2(返却元ユーザ端末)に送信する。第1情報端末2は、情報処理装置1が送信した返却情報を表示部上に表示する。
【0130】
第1情報端末2は、情報処理装置1から返却情報を受信した後に、返却元ユーザが商品の返却を希望することを示す操作、又は返却元ユーザが商品の返却を希望しないことを示す操作を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報を情報処理装置1に送信する。
【0131】
情報処理装置1において、受信部131は、第1情報端末2が送信した操作情報を受信する。情報処理装置1は、受信部131が受信した操作情報が、返却元ユーザにより商品の返却を希望することを示す操作が行われなかったこと(例えば、返却元ユーザにより商品の返却を希望しないことを示す操作が行われたこと)を示す場合に(S25のNO)、処理を終了する。
【0132】
受信部131が受信した操作情報が、返却元ユーザにより商品の返却を希望することを示す操作が行われたことを示す場合に(S25のYES)、出力部134は、返却元ユーザと返却先ユーザとの間で決定部133が決定した金額に対応する料金を授受させるための支払指示と、返却元ユーザから返却先ユーザに商品を返却させるための返却指示と、商品の所有権又は利用権を示す権利トークンをブロックチェーン上で返却元ユーザから剥奪するための剥奪指示と、を出力する(S26)。
【0133】
支払管理装置は、例えば、情報処理装置1が送信した支払指示に従って、決定部133が決定した金額に対応する料金を、返却元ユーザの口座から返却先ユーザの口座に移転し、又は返却先ユーザの口座から返却元ユーザの口座に移転する。第2情報端末3は、例えば、情報処理装置1が送信した返却指示を表示部上に表示する。ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した剥奪指示に従って、権利トークンを返却元ユーザから剥奪する。
【0134】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、返却先ユーザがブロックチェーン上で保有する返却条件トークンとユーザが返却しようとする商品との関係に基づいて、商品の返却可否又は返却態様を決定する。これにより、情報処理システムSは、商品の返却を受ける返却先ユーザごとに商品の返却可否又は返却態様を容易に切り替えることができる。また、返却先ユーザ及び返却元ユーザとは異なる第三者が返却条件トークンを発行することにより、店舗等の返却先ユーザとは異なる第三者が、返却元ユーザが商品を返却する条件を設定することができる。
【0135】
[第2変形例]
第2実施形態では第1情報端末2が商品IDを読み取るのに対して、本変形例では第2情報端末3が商品IDを読み取る。以下、第2実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0136】
図12は、本変形例において返却先ユーザに対する商品の返却可否又は返却態様を決定する処理の模式図である。返却元ユーザは、返却先ユーザに対して、返却元ユーザのユーザIDである返却元ユーザIDと、返却先ユーザに返却しようとする商品の商品IDと、を提示する。
【0137】
返却先ユーザは、第2情報端末3(返却先ユーザ端末)に、返却元ユーザIDを読み取らせるとともに(d1)、返却元ユーザが返却しようとする商品の商品IDを読み取らせる(d2)。
【0138】
第2情報端末3の読取部は、例えば、第1情報端末2の表示部に表示されたコード(バーコード、2次元コード等)が示す返却元ユーザID、又は第1情報端末2が近距離無線通信によって送信した返却元ユーザIDを読み取る。また、第2情報端末3の読取部は、例えば、返却元ユーザの会員証等のカードが示す返却元ユーザIDを読み取ってもよい。
【0139】
第2情報端末3の読取部は、例えば、商品に付されたコード(バーコード、2次元コード等)又はタグ(RFID等)が示す商品IDを読み取る。第2情報端末3は、読取部が読み取った商品IDと、読取部が読み取った返却元ユーザIDと、第2情報端末3に予め設定された返却先ユーザのユーザIDである返却先ユーザIDと、を示す情報を情報処理装置1に送信する(d3)。
【0140】
情報処理装置1において、受信部131は、第2情報端末3から、返却元ユーザが返却しようとする商品の商品IDと、返却元ユーザIDと、返却先ユーザIDと、を示す情報を受信する。
【0141】
取得部132は、受信部131が受信した商品IDを取得する。取得部132は、受信部131が受信した返却先ユーザIDに対応する返却先ユーザが保有する返却条件トークンを取得する。
【0142】
決定部133は、取得部132が取得した商品IDに対応する商品と取得部132が取得した返却条件トークンとの関係に基づいて、返却先ユーザに対する商品の返却可否又は返却先ユーザに商品を返却するための返却態様を決定する(d4)。出力部134は、決定部133が決定した返却可否又は返却態様を示す返却情報を出力する(d5)。決定部133が返却可否又は返却態様を決定する処理及び出力部134が返却可否又は返却態様を示す返却情報を出力する処理は、第2実施形態と同様である。
【0143】
本変形例に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、返却先ユーザが利用する第2情報端末3を用いてユーザが返却しようとする商品を特定し、返却先ユーザがブロックチェーン上で保有する返却条件トークンに基づいて、特定した商品の返却可否又は返却態様を決定することができる。
【0144】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0145】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0146】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受信部
132 取得部
133 決定部
134 出力部
2 第1情報端末
3 第2情報端末
【要約】
【課題】商品を提供する提供元ユーザごとに商品の提供可否又は提供態様を容易に切り替えられるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、提供元ユーザがブロックチェーン上で保有する提供条件トークンであって、提供元ユーザが提供先ユーザに商品を提供するための提供条件を示す提供条件トークンを取得する取得部132と、商品と提供条件トークンとの関係に基づいて、提供元ユーザによる商品の提供可否又は提供元ユーザが商品を提供するための提供態様を決定する決定部133と、決定部が決定した提供可否又は提供態様を示す提供情報を出力する出力部134と、を有する。
【選択図】
図2