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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】赤外線缶用硬化オーブン
(51)【国際特許分類】
   B05C 9/14 20060101AFI20240904BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20240904BHJP
   F26B 15/12 20060101ALI20240904BHJP
   F26B 3/30 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B05C9/14
B05C13/02
F26B15/12 A
F26B3/30
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014582
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2021512680の分割
【原出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2024059649
(43)【公開日】2024-05-01
【審査請求日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】16/123,005
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505257497
【氏名又は名称】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Stolle Machinery Company,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコーリー,イアン ケネス
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501896(JP,A)
【文献】米国特許第04327665(US,A)
【文献】米国特許第04050888(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 9/14
B05C 13/02
F26B 15/12
F26B 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶用硬化オーブンであって、
横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、
幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、
を備えており、
前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、対向する対の単一の第1の列で配置されている、缶用硬化オーブン。
【請求項2】
前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、総有効量の受熱を生じるように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項3】
前記幾つかの加熱ユニットは幾つかの赤外線加熱ユニットを含む、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項4】
前記幾つかの赤外線加熱ユニットは複数の赤外線加熱ユニットを含む、請求項3に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項5】
各赤外線加熱ユニットは、電気式赤外線加熱ユニット、ガス式赤外線加熱ユニット、及びオイル式赤外線加熱ユニットからなる群から選択される、請求項3に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項6】
前記ハウジングアセンブリは調節可能な装着アセンブリを含み、前記調節可能な装着アセンブリは、缶ボディの側面から有効距離にあるように各加熱ユニットを配置するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項7】
前記ハウジングアセンブリは細長く直線状である、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項8】
前記細長くて直線状のハウジングアセンブリは、長さ、幅、及び高さを有しており、前記長さ1.0m乃至6.0mであり、前記幅80mm乃至300mmであり、前記高さ200mm乃至500mmである、請求項7に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項9】
前記移送ベルトは複数のセグメントを含んでおり、前記移送ベルトは、前記細長くて直線状のハウジングアセンブリを通って延びるループ状の経路で動くように構成されている、請求項7に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項10】
前記移送アセンブリは複数の支持パッドを含んでおり、各支持パッドは缶ボディの底部を支持するように構成されている、請求項3に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項11】
各支持パッドは、動パッド、自由パッド、又は固定パッドのうちの1つである、請求項10に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項12】
各支持パッドは缶カップリングを含んでおり、各缶カップリングは、磁石式カップリング及び吸引式カップリングからなる群から選択される、請求項10に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項13】
前記複数の加熱ユニットは、最大の缶デコレーター速度で缶ボディを処理するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項14】
前記複数の加熱ユニットは、1秒以内で完全に起動するように構成されている、請求項1に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項15】
缶用硬化オーブンであって、
横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを備える加熱アセンブリを含むハウジングアセンブリと、
幾つかの缶ボディを垂直に支持して、前記幾つかの缶ボディのコーティングを硬化させるために前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットを通って前記幾つかの缶ボディを移動させるように構成された移送ベルトを含む移送アセンブリと、
を備えており、
前記横方向に配置された幾つかの加熱ユニットは、モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートを備えており、
前記モジュール式のリンク可能な複数の加熱ユニットプレートは、モジュール式のリンク可能な加熱ユニットプレートの対向する対の複数の積み重ねられた列で配置される、缶用硬化オーブン。
【請求項16】
前記ハウジングアセンブリは細長く直線状である、請求項15に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項17】
前記移送ベルトは複数のセグメントを含んでおり、前記移送ベルトは、前記細長くて直線状のハウジングアセンブリを通って延びるループ状の経路で動くように構成されている、請求項16に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項18】
前記移送アセンブリは複数の支持パッドを含んでおり、各支持パッドは缶ボディの底部を支持するように構成されている、請求項15に記載の缶用硬化オーブン。
【請求項19】
各支持パッドは、動パッド、自由パッド、又は固定パッドのうちの1つである、請求項18に記載の缶用硬化オーブン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2018年9月6日に出願された米国特許出願第16/123,005号、発明の名称「Infrared Can Curing Oven」の優先権を主張する。
【0002】
<技術分野>
開示されており、特許請求の範囲に記載される概念は、缶の外側のコーティングを乾燥させるためのオーブンに関しており、より詳細には、赤外線加熱ユニットを用いるオーブンに関する。
【背景技術】
【0003】
ピンオーブンは、当技術分野で周知であって、端が開いている(open-ended)完成途中の飲料用缶の外側のコーティングを乾燥させるために広く用いられている。缶デコレーターは、缶の外側にコーティングを施す。コーティングとしては、インクと、ラベル貼りに用いるエナメルと、ラッカー又はワニスの上塗りと、或いは、印字されたラベル及び上塗りの両方とが挙げられるが、これらに限定されない。オーブンは、加熱流体(空気)を生成する幾つかのヒーター、通常は天然ガスヒーターを含む。即ち、天然ガスが燃焼され、それによって空気が加熱される。加熱された空気は、加熱された閉空間に概ね維持されて、その中で、コンベアチェーンが略垂直の蛇行経路を進む。そのため、ピンオーブンは大きな体積を占めており、また、動作が複雑なアセンブリを有している。つまり、コンベアチェーンの経路を缶を硬化させるのに十分な長さとするために、閉空間は通常、約75mの体積を有する。このことは、オーブンが処理施設内で広い空間を占めることから、問題である。更に、蛇行経路にわたって延びるコンベアは、コンベアの方向転換に対応するために複雑な機械アセンブリを必要とする。このことは、複雑な機械アセンブリが高価であり、摩耗しやすいことから、問題である。
【0004】
コンベアチェーンは、複数のピンで缶を支持する。つまり、複数の細長いキャリアピンが、コンベアチェーンの全長に沿って離間して取り付けられる。端が開いている缶は、延出する複数のピン上に置かれて、オーブン内で蛇行チェーン経路にわたって搬送される。チェーン経路に沿って配置されたノズルは、オーブンの閉空間を移動する缶の外側に加熱された空気を向ける。加熱された空気は、缶をピン上に維持し、そしてコーティングを硬化させる。加熱された空気の流れは缶をピンに保持し、安定させるように構成されることから、大抵のピンオーブンでは、加熱された空気を缶底に連続的に向けている。しかしながら、通常、缶底にはコーティングは施されない。このように、加熱された空気が缶底に向けられる場合には、エネルギーが失われて無駄になっている。これは問題である。
【0005】
ピンオーブンは、約420F°の温度で動作し、そして、実質的に連続して動作するように構成される。このようなことから、ピンオーブンは、迅速に冷却又は加熱するように構成されていない。この構成では、操作者は通常、ピンオーブンが使用されていない場合でさえも、ピンオーブンのヒーターを動作したままにしておく。つまり、例えば、缶加工ラインの他の機械のトラブルや定期メンテナンス等で処理中の缶の流れが中断された場合であっても、ピンオーブンが冷却されないようにピンオーブンヒーターは動作する。つまり、操作者は、ピンオーブンのヒーターの動作を停止させてピンオーブンを動作温度よりも低い温度に冷却するのではなく、ピンオーブンのヒーターを動作したままにしておく。故に、ピンオーブンを迅速に加熱できないことでエネルギーが無駄になっている。これは問題である。
【0006】
ピンオーブンは、ファンを用いて、加熱された空気を移動させて排気を逃す。天然ガスヒーターと排気ファンの両方を動作させると、ピンオーブンは大きな音を出し、通常約95dBで動作する。これも問題である。更に、ヒーターの燃料となる天然ガスと、排気ファンを動作させるための電力の両方の面で、エネルギーの消費量はかなり大きい。そのため、エネルギーコストの削減が非常に重要になる。これも問題である。更に、上記のようなピンオーブンは、缶の乾燥速度及び処理能力が実用上の限界に達してしまっている。現在、ピンオーブンは、約2400缶/分(cpm)で処理する。限定ではないが、デコレーター等の他の缶加工装置は、この速度を超えている。このように、ピンオーブンは缶加工ラインのボトルネックとなっている。これも問題である。
【0007】
従って、従来の缶用硬化オーブンよりも高速で静音性に優れた缶用硬化オーブンが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
これらの要求及び他の要求は、開示されており特許請求の範囲に記載された概念の少なくとも1つの実施形態によって満たされ、当該実施形態は、ハウジングアセンブリと、移送アセンブリと、幾つかの加熱ユニットとを含む缶用硬化オーブンを提供する。ハウジングアセンブリは、概ね閉じた空間を規定する。移送アセンブリは、幾つかの缶ボディを支持して移動させるように構成される。移送アセンブリは、細長い移送ベルトを含む。移送ベルトは、ハウジングアセンブリに動作可能に結合されており、ハウジングアセンブリの閉じた空間を通って移動するように構成される。幾つかの加熱ユニットは、有効量の受熱を生じるように構成される。
【0009】
このように構成された缶用硬化オーブンによって、後述するようにして上記の問題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、添付図面と併せて読むことで、好適な実施形態に関する以下の説明から十分に理解することができる。
【0011】
図1図1は、デコレーターシステムの等角図である。
図2図2は、デコレーターシステムの上面図である。
図3図3は、デコレーターシステムの側面図である。
図4図4は、デコレーターシステムの一端の詳細な等角図である。
図5図5は、別の構成の缶用硬化オーブンのデコレーターシステムの等角図である。
図6図6は、別の構成の缶用硬化オーブンのデコレーターシステムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面に示されており、以下の説明に記載されている具体的な要素は単に、開示される概念の例示的な実施形態に過ぎず、例示のためだけに非限定的な例として提供されることは理解される。従って、特定の寸法、向き、アセンブリ、使用される構成要素の数、実施形態の構成、及び本明細書に開示される実施形態のその他の物理的特性は、開示される概念の範囲に関する限定とみなされるべきではない。
【0013】
本明細書で使用される方向表現、例えば、時計回り、反時計回り、左、右、上、下、上方、下方、及びその派生語は、図示される要素の向きに関連しており、本明細書に明示されない限り請求項を限定するものではない。
【0014】
本明細書では、「ある」及び「その」の単数形は、文脈上特に明示されない限り、複数形を含む。
【0015】
本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように形成された、サイズ決めされた、配置された、結合された、及び/又は構成された構造を有することを意味する。例えば、「動くように構成された」部材は、別の要素に動作可能に結合されており、その部材を動かす要素を含んでいるか、或いは、当該部材は、別のやり方で別の要素又はアセンブリに応答して動くように構成されている。よって、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、機能ではなく構造を述べている。更に、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように意図及び設計されることを意味する。よって、特定された動詞を単に実行できるだけで、特定された動詞を実行するように意図及び設計されていない要素は、「[動詞]するように構成され」ていない。
【0016】
本明細書では、「関連する」は、要素が同じアセンブリの一部である、及び/又は共に動作する、又は何らかの方法で相互に作用することを意味する。例えば、自動車は4つのタイヤと4つのハブキャップとを有する。全ての要素が自動車の部品と結合されているが、各ハブキャップは特定のタイヤと「関連する」と理解される。
【0017】
本明細書では、「結合アセンブリ」は、2つの又は2つを超えるカップリング若しくはカップリング構成要素を含む。カップリング又は結合アセンブリの構成要素は概して、同じ要素又は他の構成要素の一部ではない。よって、「結合アセンブリ」の構成要素は、以下の説明で同時に記載されないことがある。
【0018】
本明細書では、「カップリング」又は「カップリング構成要素」は、結合アセンブリの1又は複数の構成要素である。つまり、結合アセンブリは、互いに結合されるように構成された少なくとも2つの構成要素を含む。結合アセンブリの構成要素は、相互に適合可能であると理解される。例えば、結合アセンブリでは、一方のカップリング構成要素がスナップソケットである場合には、他方のカップリング構成要素はスナッププラグであって、一方のカップリング構成要素がボルトである場合には、他方のカップリング構成要素はナット又はねじ穴である。更に、要素の通路は、「カップリング」又は「カップリング構成要素」の一部である。例えば、2枚の木製のボードが、それらの通路を通って延びるナット及びボルトによって結合されているアセンブリにおいて、ナット、ボルト、及び2つの通路は夫々「カップリング」又は「カップリング構成要素」である。
【0019】
本明細書では、「締結具」は、2つ以上の要素を結合するように構成された別個の構成要素である。よって、例えば、ボルトは「締結具」であるが、さねはぎ(tongue-and-groove)継ぎは「締結具」ではない。つまり、さねはぎ要素は、結合されている要素の一部であって、別個の構成要素ではない。
【0020】
本明細書では、2つ以上の部品又は構成要素が「結合される」という表現は、リンクが発生する限り、それらの部品が、直接的、又は間接的に、即ち、1つ以上の中間部品又は構成要素を介して、共に接合される又は動作することを意味する。本明細書では、「直接結合される」は、2つの要素が互いに直接接触することを意味する。本明細書では、「固定的に結合される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら移動するように結合されることを意味する。本明細書では、「調節可能に固定される」は、2つの構成要素が互いに一定の全体的な向き又は位置を維持しながら1つのものとして移動するように結合し、限られた範囲又は1つの軸を中心に動くことができることを意味する。例えば、ドアノブはドアに対して「調節可能に固定」されており、ドアノブは回転可能であるが、通常、ドアノブはドアに対して1つの位置に固定される。更に、リトラクタブルペンのカートリッジ(ペン先及びインクタンク)は、ハウジングに対して「調節可能に固定」されており、カートリッジは収納位置と伸長位置の間を移動するが、ハウジングに対する姿勢は概ね維持される。従って、2つの要素が結合されると、これらの要素の全ての部分が結合される。しかしながら、第1の要素の特定の部分が第2の要素に結合される、例えば、車軸の第1の端部が第1の車輪に結合されるというような記載は、第1の要素の特定の部分が、第1の要素の他の部分に比べて第2の要素により近く配置されることを意味する。更に、重力によってのみ別の物体上の適所に載置されている物体は、上側の物体がそれ以外の方法でほぼ適所に保持されない限り、下側の物体に「結合」されていない。つまり、例えば、テーブル上の本はテーブルに結合されていないが、テーブルに糊付けされた本はテーブルに結合されている。
【0021】
本明細書では、「着脱可能に結合される」又は「一時的に結合される」という表現は、ある構成要素が別の構成要素に実質的に一時的に結合されることを意味する。つまり、2つの構成要素は、構成要素どうしの接合又は分離が容易であり、構成要素にダメージを及ぼさないように結合される。例えば、限られた数の、容易にアクセス可能な締結具、即ち、アクセスが難しくない締結具によって相互に固定された2つの構成要素は、「着脱可能に結合され」ており、溶接された、又はアクセスが困難な締結具によって接合された2つの構成要素は、「着脱可能に結合され」ていない。「アクセスが困難な締結具」は、締結具へのアクセス前に1又は複数の他の構成要素を取り外す必要がある締結具のことであり、「他の構成要素」は、限定はされないが、例えばドアなどのアクセス手段ではない。
【0022】
本明細書では、「動作可能に結合される」は、第1の位置と第2の位置の間で、又は第1の配置と第2の配置の間で移動可能な複数の要素又はアセンブリが、第1の要素が一方の位置/配置から他方の位置/配置に動き、第2の要素も両者の位置/配置間で動くように結合されることを意味する。なお、逆が成り立たないように、第1の要素が別の要素に「動作可能に結合され」てもよい。
【0023】
本明細書では、「機能的に結合される」は、幾つかの要素又はアセンブリが互いに結合されており、その結果、1つの要素/アセンブリの特徴及び/又は機能が他の要素/アセンブリによって連絡され、又は使用可能であることを意味する。例えば、延長コードの特性は、電気を伝達する機能である。2本の延長コードが「機能的に結合される」場合、2本の延長コードは、電気が両方の延長コードを通って伝達できるように結合される。別の例では、データ通信の特徴を有する2つの無線ルーターは、両方のルーターを介してデータが通信可能であるように互いに繋がっている(物理的には互いに結合されていない)場合、「機能的に結合される」。
【0024】
本明細書では、2つの又は2つを超える部品又は構成要素が相互に「係合する」という表現は、それらの要素が、直接的に、或いは、1又は複数の中間要素若しくは構成要素を介して相互に力を及ぼすこと、又は付勢することを意味する。更に、移動する部品について、本明細書では、移動する部品は、ある位置から別の位置への移動中に別の要素に「係合し」てよく、及び/又は、一旦記載された位置に至ると別の要素に「係合し」てよい。故に、「要素Aは、要素の第1の位置に移動すると、要素Bに係合する」と、「要素Aは、要素の第1の位置にあると、要素Bに係合する」とは等価の表現であり、この表現は、要素Aは、要素の第1の位置に移動する間に要素Bに係合する、及び/又は要素の第1の位置にある間、要素Bに係合することを意味すると理解される。
【0025】
本明細書では、「作動的に係合する」は、「係合し、移動する」ことを意味する。つまり、「作動的に係合する」は、移動可能又は回転可能な第2の構成要素を動かすように構成された第1の構成要素について使用される場合、第1の構成要素が、第2の構成要素を動かすために十分な力を加えることを意味する。例えば、ねじ回しは、ねじと接触させて配置できる。力がねじ回しに加えられないと、ねじ回しは、単にねじに「一時的に結合される」だけである。軸方向の力がねじ回しに加えられると、ねじ回しがねじに押しつけられて、ねじに「係合する」。しかしながら、回転力がねじ回しに加えられると、ねじ回しは、ねじに「作動的に係合し」て、ねじを回転させる。更に、電子部品の場合、「作動的に係合する」とは、ある部品が制御信号又は電流によって別の部品を制御することを意味する。
【0026】
本明細書では、「一時的に配置される」は、第1の要素を分離すること又はそれ以外の形で操作することなく第1の要素/アセンブリを動かせるように、第1の要素又はアセンブリが第2の要素又はアセンブリにあることを意味する。例えば、テーブルに単に載っている本、即ち、テーブルに糊付け又は固定されていない本は、テーブルに「一時的に配置される」。
【0027】
本明細書では、「対応する」は、2つの構造構成要素が相互に類似したサイズと形状を有し、最小摩擦量で結合できることを示す。故に、部材に「対応する」開口は、その部材が最小摩擦量で開口を通過できるように、部材よりも僅かに大きいサイズを有する。この定義は、2つの構成要素が「ぴったりと」嵌まる場合には変更される。かかる状況では、構成要素間の寸法差が更に小さくなることで、摩擦量が増加する。開口を画定する要素及び/又は開口に挿入される構成要素が、変形可能又は圧縮可能な材料から作られている場合、開口は、開口に挿入される構成要素よりも僅かに小さくてよい。表面、形状、及び線に関して、2つ以上の「対応する」表面、形状、又は線はほぼ同一のサイズ、形状、及び輪郭を有する。
【0028】
本明細書では、「移動経路」又は「経路」は、移動する要素に関連して使用される場合、移動中に要素が通る空間を含む。よって、移動する要素は、「移動経路」又は「経路」を本質的に有する。更に、「移動経路」又は「経路」は、識別可能な1つの構造体における、別の物体に対する全体としての動きに関連している。例えば、道路が完全に滑らかである仮定すると、自動車の回転する車輪(識別可能な構造体)は、自動車の車体(別の物体)に対してほとんど移動しない。即ち、車輪は全体として、例えば隣接するフェンダーに対して位置を変えない。故に、回転する車輪には、自動車の車体に対する「移動経路」又は「経路」はない。逆に、その車輪の空気吸入弁(識別可能な構造体)には、自動車の車体に対する「移動経路」又は「経路」がある。つまり、車輪が回転して動いている間、吸気弁全体は、自動車の車体に対して移動する。
【0029】
本明細書では、「一体型」という文言は、単一の片又はユニットとして作製されている構成要素を意味する。つまり、別個に作製された後に互いにユニットとして結合された複数の片を含む構成要素は、「一体型」構成要素又は「一体型」構造体ではない。
【0030】
本明細書では、「幾つかの」という用語は、1又はそれを超える整数(即ち、複数)を意味する。即ち、例えば、「幾つかの要素」という語句は、1つの要素又は複数の要素を意味する。「幾つかの[x]」は、単一の[x]を含むことに特に留意のこと。
【0031】
本明細書では、「[x]が第1の位置と第2の位置との間を移動する」、又は「[y]が、第1の位置と第2の位置との間で[x]を移動させるように構成される」という表現において、「[x]」は、要素又はアセンブリの名称である。更に、[x]が複数の位置の間で移動する要素又はアセンブリである場合、「その」という代名詞は、「[x]」、即ち、「その」という代名詞の後に言及される要素又はアセンブリを意味する。
【0032】
本明細書では、円状体又は円柱体の「径方向側面/面」は、その中心又は中心を通る高さ線の周りに延びる、或いは、その中心又は中心を通る高さ線を囲む側面/面である。本明細書では、円状体又は円柱体の「軸方向側面/面」は、円柱の中心を通る高さ線にほぼ垂直に延びる平面内に延びる面である。つまり、一般的には、円柱状スープ缶の場合、「径方向側面/面」は略円状側壁であり、「軸方向側面/面」はスープ缶の頂部と底部である。更に、本明細書では、「径方向に延びる」は、半径方向に延びる、又は、半径方向線に沿って延びることを意味する。即ち、例えば、「径方向に延びる」線は、円又は円柱の中心から径方向側面/面へ向けて延びる。更に、本明細書では、「軸方向に延びる」は、軸方向に延びる、又は、軸線に沿って延びることを意味する。即ち、例えば、「軸方向に延びる」線は、円柱の底部から円柱の頂部へ向かって、円柱の長手方向中心軸と略平行に延びる。
【0033】
本明細書では、「略曲線状」は、複数の曲線部、曲線部及び平坦部の組合せ、或いは、相互に角度を成すように配置されて曲線を形成する複数の平坦部又はセグメントを有する要素である。
【0034】
本明細書では、「板状体」又は「板状部材」は、概ね薄い要素であって、対向しており、広くて概ね平行な表面、即ち、板状部材の平面と、広い平行な表面の間で延びるより細い端面とを含んでいる。即ち、本明細書では、「板状」要素が2つの対向する平面を有することが本質的である。外周、そして端面は、例えば長方形の板状部材の場合のように概ね真っ直ぐな部分を含んでよく、又は円盤の場合のように曲ってよく、又は他の任意の形状を有してよい。
【0035】
本明細書では、境界を共有する任意の隣接範囲、例えば、0%~5%と5%~10%、或いは、0.05インチ~0.10インチと0.001インチ~0.05インチに関して、より低い範囲の上限、即ち先の例では5%及び0.05インチは、その特定されている境界よりも僅かに小さいことを意味する。即ち、先の例では、0%~5%の範囲は0%~4.999999%を意味し、0.001インチ~0.05インチの範囲は0.001インチ~0.04999999インチを意味する。
【0036】
本明細書では、「上向きに付随する」とは、別の要素から上向きに概ね垂直に延びる要素を意味する。
【0037】
本明細書では、「缶」及び「容器」という用語は、任意の既知の又は適切な容器を指すためにほぼ置換可能に使用され、中身(限定ではなく、例えば、液体、食品やその他の適切な物質)を収容するように構成され、限定ではないが、ビールやソーダ缶などの飲料缶だけでなく食料缶も明確に含む。
【0038】
本明細書では、「缶ボディ」は、底部と、付随する、又は上向きに付随する側壁とを有する。「缶ボディ」は一体型である。この構成では、「缶ボディ」は概ね閉じた空間を規定する。故に、「缶ボディ」、即ち底部及び側壁は、外面及び内面も含む。従って、例えば、「缶ボディ」は、側壁内面及び側壁外面を含む。
【0039】
本明細書では、「[要素、点、又は軸]を中心に配置される」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に延びる」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に[X]度」などの表現における「中心に」は、それを中心に囲う、延びる、又は測定されることを意味する。測定値に関連して又はそれに類似した状況で使用される場合、「約」は、「おおよそ」、即ち、当業者によって理解される、測定値に関する近似的な範囲を意味する。
【0040】
本明細書では、「細長い」要素は、長手方向軸及び/又は延出方向に延びる長手方向線を本質的に含む。
【0041】
本明細書では、「一般的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「一般的な方法で」を意味する。
【0042】
本明細書では、「実質的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「ほとんど」を意味する。
【0043】
本明細書では、「にて」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して位置及びその近傍を意味する。
【0044】
デコレーターシステム10を図1乃至図6に示す。デコレーターシステム10は、缶ボディ1にコーティングを施し、そのコーティングを硬化するように構成されている。例示的な実施形態では、缶ボディ1は略円柱形であり、底部2及び側壁3を含む。上述したように、缶ボディ1は内面及び外面を有する。即ち、缶ボディ側壁外面4と缶ボディ側壁内面5がある。更に、略円柱形の缶ボディ1は、長手方向軸6を含む。缶ボディ側壁外面4には、コーティング(図示せず)が施される。
【0045】
デコレーターシステム10は、デコレーターアセンブリ12(簡略化して示す)と、缶用硬化オーブン20とを含む。周知のように、デコレーターアセンブリ12は、缶ボディ1にコーティングを施すように構成されている。更に、周知のように、デコレーターアセンブリ12は、2400缶/分(以下、「cpm」)を超えて処理するように構成されている。デコレーターアセンブリの速度(cpm)は、本明細書では、「缶デコレーター速度」である。故に、本明細書では、「最大缶デコレーター速度」は2400cpmを超える速度である。周知のように、コーティングには、インク、塗料、ワニス、及びラッカーが挙げられるが、これらに限定されない。デコレーターアセンブリ12は、一度に1つの缶ボディ1を缶用硬化オーブン20に移動させるように構成された移送アセンブリ14を含む。
【0046】
以下で詳述するように、缶用硬化オーブン20、具体的には加熱アセンブリ100は、総有効量の受熱を生じるように構成される。本明細書では、「総有効量の受熱」(又は「総有効量の受放射熱」)とは、缶ボディ1にて又は缶ボディ1によって受け取られる熱(又は受け取られる放射熱)であって、缶ボディ1のコーティングを硬化させるのに十分であり、且つ、缶ボディ1のコーティングを硬化させるのに必要な最小量を実質的に超えない熱を意味する。故に、缶ボディ1が缶用硬化オーブン20を通過した後、そのコーティングは硬化しており、缶ボディ1の更なる処理の用意ができている。本明細書では、「受熱」(又は「受放射熱」)とは、缶ボディ1にて、又は缶ボディ1によって受け取られるエネルギー(即ち、放射エネルギー)を意味する。「受熱」は、幾つかの変数に依存すること、そして、幾つかの変数に、例えば、限定ではないが、後述する加熱アセンブリ100のエネルギー出力と、加熱ユニット102と缶ボディ1の間の距離と、缶ボディ1が熱及び/又は加熱ユニット102に曝される期間、即ち時間量とが含まれることは理解される。当業者であれば、これらの変数をどのように調節して缶用硬化オーブン20の望ましい構成を決定するのかを理解していることは理解される。後述するように、ある例示的な実施形態では、缶用硬化オーブン20は、速度(cpmで測定される)について最適化される。更に、缶用硬化オーブン20は、他の実施形態では、サイズ、エネルギー効率、及び/又は経済効率についても最適化される。各構成は、複数の変数の最適化を必要とする。更に、後述する単一の加熱ユニット102は、「比有効量の受熱」を生成するように構成される。本明細書では、「比有効量の受熱」とは、加熱アセンブリ100の単一の加熱ユニット102によって生成される、「総有効量の受熱」の一部を意味する。
【0047】
更に、本明細書では、後述する放射加熱ユニット110を使用する場合、放射加熱ユニット110は、後述する移送アセンブリ70から「有効距離」をおいて配置される。本明細書では、「有効距離」とは、所望の熱伝達量を得るための放射加熱ユニット110と缶ボディ1の間の最適な距離を意味する。本明細書では、2つの所望の熱伝達量、即ち、「狭幅」熱伝達と「広幅」熱伝達とがある。本明細書では、「狭幅」とは、約1/8インチ幅のストリップを意味する。従って、「狭幅」熱伝達を実現するように構成された放射加熱ユニット110は、約1/8インチ幅のストリップの熱伝達を最大化するように「有効距離」に配置される。例示的な実施形態では、ストリップは、缶ボディ側壁外面4を概ね垂直に(上から下に)延びる。
【0048】
本明細書では、「広幅」とは、缶ボディ1の直径に略等しい幅を意味する。従って、「広幅」熱伝達を実現するように構成された放射加熱ユニット110は、(缶ボディ側壁3が略円柱状の場合)缶ボディ側壁3の約1/2に相当する領域にわたって熱伝達を最大化するように、「有効距離」に配置される。即ち、「広幅有効距離」とは、缶ボディ側壁外面4の片側に最大熱伝達を行うような放射加熱ユニット110と缶ボディ1の間の最適距離を意味する。
【0049】
更に、ある実施形態では、缶用硬化オーブン20、より具体的には移送アセンブリ70は、最大缶デコレーター速度に対応する動作速度を有するように構成されることは理解される。本明細書では、「動作速度」は、動作中でない場合にアセンブリが達成できる速度とは対照的な動作中のアセンブリの速度(cpm)である。即ち、例えば、移送アセンブリ70は最大動作速度を有しており、移送アセンブリ70は、コーティングが硬化される場合に最大動作速度で缶ボディを移動させる。しかしながら、移送アセンブリ70は、缶ボディ1に妨げられていない場合には、より速い速度で移動することができてよい。そのような非「動作速度」は、本願には関係しない。例示的な実施形態では、移送アセンブリ70は、最大缶デコレーター速度に等しい速度で缶ボディ1を移動させる。
【0050】
缶用硬化オーブン20は、ハウジングアセンブリ30と、移送アセンブリ70と、加熱アセンブリ100とを含む。ハウジングアセンブリ30は、概ね閉じた空間34を規定する幾つかの側壁32を含む。ハウジングアセンブリ30は、例示的な実施形態では、概ね直線状であり、長さは約1.0m~6.0m、又は約4mであり、幅は約80mm~300mm、又は約150mmであり、高さは約200mm~500mm、又は約300mmである。この構成では、ハウジングアセンブリ30の体積は、約16,000cm~900,000cm、又は約180,000cmである。本明細書では、約16,000cm乃至900,000cmの体積を有するハウジングアセンブリ30は、「限定された体積」であり、これによって上述の問題が解決される。本明細書では、約180,000cmの体積を有するハウジングアセンブリ30は、「特定の限定された体積」であり、これによって上述の問題が解決される。後述するように、移送アセンブリ70はまた、蛇行経路で構成される構造である。故に、ハウジングアセンブリ30は、図1~6に示す細長い略直線状の構成に限定されないことは理解される。
【0051】
図示されているように、例示的な実施形態では、ハウジングアセンブリ側壁32は、放射加熱ユニットプレート120でもある。即ち、本明細書では、放射加熱ユニット110として識別される要素は、ハウジングアセンブリ30の一部でもある。ハウジングアセンブリ30は、図示しない別の例示的な実施形態では、限定ではないが、シートメタルなどの材料から作られた側壁を含むことを理解のこと。
【0052】
ハウジングアセンブリ30は、調節可能な装着アセンブリ40を更に含む。ハウジングアセンブリの調節可能な装着アセンブリ40は、後述する各放射加熱ユニットプレート120を、缶ボディ1から有効距離をおいて配置するように構成されている。図4及び図6に図示されているように、略円柱形の缶ボディ1は、短い第1の構成(図4)と背が高い第2の構成(図6)の2つの構成で現れる。この実施形態では、調節可能な装着アセンブリ40は、放射加熱ユニットプレート120が缶ボディ側壁外面4から有効距離にあるように放射加熱ユニットプレート120の位置及び/又は高さを調節するように構成される。
【0053】
ある実施形態では、図示されているように、調節可能な装着アセンブリ40は、モジュール式の放射加熱ユニットプレート120であるようなモジュール式の要素を含む。本明細書では、「モジュール式」とは、複数の要素又はアセンブリが、略同じ寸法、輪郭、及び他の表面特徴(カップリングの位置及びタイプを含むが、これらに限定されない)を有するような要素又はアセンブリのタイプを意味する。この形態では、「モジュール式ユニット」は一時的に互いに結合され、容易に置き換え可能に構成される。更に、例示的な実施形態では、「モジュール式」ユニットは、「リンク可能(linkable)」でもある。本明細書では、「リンク可能」とは、モジュール式ユニットが、互いに機能的に結合されるように構成されることを意味する。この実施形態では、モジュール式放射加熱ユニットプレート120はリンク可能であり、よって、本明細書では、調節可能な装着アセンブリ40の一部でもある。即ち、第1の構成の缶ボディ1については、モジュール式でありリンク可能な放射加熱ユニットプレート120は、後述するように、対向する対の単一の第1の列に配置される。第2の構成の缶ボディ1を処理するためには、モジュール式でありリンク可能な放射加熱ユニットプレート120は、モジュール式でありリンク可能な放射加熱ユニットプレート120の対向する対の単一の第1の列の上に配置されて積み重ねられており、モジュール式でありリンク可能な放射加熱ユニットプレート120の対向する対の第2の列を有する。
【0054】
図示しない別の実施形態では、調節可能な装着アセンブリ40は、放射加熱ユニットプレート120を対応する向きで配置することによって、放射加熱ユニットプレート120を缶ボディ1から有効距離に配置するように構成されている。即ち、図示しない別の実施形態では、缶ボディはテーパー型缶ボディ(図示せず)である。テーパー型缶ボディは、概ねフォームカップのような形状をしている。即ち、テーパー缶ボディでは、底部付近の半径が小さく、頂部の半径が大きい。故に、側壁は、垂直線に対して傾いている。調節可能な装着アセンブリ40は、テーパー型缶ボディの側壁3の角度に概ね対応する角度で放射加熱ユニットプレート120を配置するように構成され、その結果、放射加熱ユニットプレート120の平面は、テーパー型缶ボディの側壁に略平行になる。テーパー型缶ボディ1は、缶ボディの1つの可能な構成であって、調節可能な装着アセンブリ40は、缶ボディ1の形状に拘わらず、放射加熱ユニットプレート120を缶ボディ1から有効距離をおいて配置するように構成されることは理解される。
【0055】
ハウジングアセンブリ30は、細長い駆動バー50を更に含む。ハウジングアセンブリの駆動バー50は、後述する移送アセンブリの各支持パッド80に、動作可能に一時的に結合されており、また、本明細書では、移送アセンブリ70の一部でもある。ハウジングアセンブリの駆動バー50は、例示的な実施形態では、移送アセンブリの移送ベルト72に隣接して延びる細長い物体52である。後述するように、ハウジングアセンブリの駆動バー50は静止しており、移送アセンブリの各支持パッド80の径方向面に係合する。ある実施形態では、移送アセンブリの各支持パッド80は、移送アセンブリの移送ベルト72に回転可能に結合される。故に、ハウジングアセンブリの駆動バー50と移送アセンブリの各支持パッド80の径方向面とが係合することによって、移送アセンブリの各支持パッド80が回転する。
【0056】
移送アセンブリ70は、幾つかの缶ボディ1を移動させるように構成される。移送アセンブリ70は、1つの例示的な実施形態では、図示しないが、従来のピンオーブンと同様な缶ボディ用支持ピンを有するチェーンを含む。例示的な実施形態では、しかしながら、移送アセンブリ70は、缶ボディが配置されて、缶ボディ1をピン上に維持するために空気流を必要とするようなピン又は細長い支持体を含まない。これにより、上述の問題が解決される。例示的な実施形態では、移送アセンブリ70は、細長い移送ベルト72を含む。図示するように、移送アセンブリの移送ベルト72は、互いに対して動作可能に結合された幾つかのセグメント74を含む。図示されているように、移送アセンブリの移送ベルト72は、略直線状の経路にわたって延びる。略直線状の経路は例示的なものであり、他の実施形態における移送アセンブリの移送ベルト72は、限定ではないが、蛇行経路、垂直ループ、垂直蛇行経路、又は螺旋経路を含む非直線的な経路を辿ることを理解のこと。それらの代替例の経路の場合、放射加熱ユニットプレート120は、例示的な実施形態では、複数の方向にエネルギー/熱を提供するように構成される。例えば、放射加熱ユニットプレート120は、蛇行経路のひだの間に配置され、蛇行経路の両方のひだにある缶ボディ1を加熱する。
【0057】
移送アセンブリの移送ベルト72は、ハウジングアセンブリ30に動作可能に結合されるように構成される。移送アセンブリ70は、移送アセンブリの移送ベルト72に動作可能に結合されるように構成された駆動アセンブリ(図示せず)を更に含む。即ち、移送アセンブリの駆動アセンブリ(図示せず)は、移送アセンブリの移送ベルト72がループ状の経路を移動するように、移送アセンブリの移送ベルト72に動きを与えるように構成される。移送アセンブリの移送ベルト72のループ状の経路は、ハウジングアセンブリの閉じた空間34を通って延びる。移送アセンブリの移送ベルト72は、150℃を超える温度で動作するように構成される。例示的な実施形態では、移送アセンブリの移送ベルト72は、鋼又は複合材料から作られる。
【0058】
例示的な実施形態では、移送アセンブリ70は、幾つかの支持パッド80を含む。移送アセンブリの支持パッド80は、実質的に同一であるので、1つのみ説明する。移送アセンブリの各支持パッド80は、高温に耐えるように構成されて、150℃を超える温度で動作する。移送アセンブリの各支持パッド80は、移送アセンブリの移送ベルト72に缶ボディ1を一時的に結合するように構成される。ある実施形態では、移送アセンブリの支持パッド80は、略円盤状の本体82、即ち、短円柱体を含む。移送アセンブリの支持パッド本体82は、移送アセンブリ支持パッド本体82に缶ボディ1を一時的に結合するように構成された結合デバイス84を含む。
【0059】
ある実施形態では、移送アセンブリの支持パッド本体の結合デバイス84は、幾つかの磁石、又は、限定ではないが、電磁石等の磁化可能な構造体(図示せず)である。磁石又は磁化可能な構造体は、移送アセンブリの各支持パッド本体82に配置される。磁石又は磁化可能な各構造体は、移送アセンブリ支持パッド本体82に缶ボディ1を一時的に結合するように構成される。
【0060】
別の例示的な実施形態では、移送アセンブリの支持パッド本体の結合デバイス84は、真空アセンブリ(図示せず)を含む。移送アセンブリの支持パッド本体の結合デバイスの真空アセンブリは、缶ボディ1に真空を適用し、これによって、缶ボディ1が移送アセンブリの支持パッド本体82に一時的に結合される。即ち、真空アセンブリは、負圧を発生させるように構成された負圧デバイスと、負圧デバイスと流体連通する幾つかの管と、移送アセンブリの各支持パッド本体82に設けられたノズルとを含む。缶ボディ1が移送アセンブリの支持パッド本体82に配置されると、真空アセンブリが作動して、移送アセンブリの支持パッド本体82に配置されている各缶ボディ1に負圧を印加することは理解される。負圧は、各缶ボディ1を、移送アセンブリの関連する支持パッド本体82に一時的に結合させる。
【0061】
別の例示的な実施形態では、移送アセンブリの支持パッド本体の結合デバイス84は、仮止用粘着性物質(図示せず)を含む。仮止用粘着性物質は、移送アセンブリの支持パッド本体82に缶ボディ1を一時的に結合するように構成される。
【0062】
移送アセンブリの各支持パッド本体82は、従動パッド、自由パッド、又は固定パッドの何れかである。本明細書では、「従動パッド」とは、移送アセンブリの関連する移送ベルトに対して回転するように構成された支持パッド本体82を意味する。更に、「従動パッド」は、移送アセンブリの支持パッド本体82が別の要素又はアセンブリと動作可能に係合しており、その動作可能な係合によって、移送アセンブリの支持パッド本体82が移送アセンブリの移送ベルト72に対して回転することを意味する。本明細書では、「自由パッド」とは、移送アセンブリの関連する移送ベルトに対して回転するように構成された支持パッド本体82を意味する。更に、「自由パッド」は、別の要素やアセンブリと動作可能に係合しておらず、缶ボディ1に(意図的又は非意図的に)加えられて、移送アセンブリの支持パッド本体82を移送アセンブリの移送ベルト72に対して回転させる力に応答して、「自由パッド」は自由に回転する。更に、「自由パッド」は、移送アセンブリの支持パッド本体82に加わる非意図的な力に応答して自由に回転し、それによって移送アセンブリの支持パッド本体が移送アセンブリの移送ベルト72に対して回転する。本明細書では、「固定パッド」は、移送アセンブリの移送ベルト72に固定され、これに対して回転しない支持パッド本体82である。
【0063】
ある例示的な実施形態、即ち、従動パッドの実施形態では、移送アセンブリの各支持パッド本体82は、移送アセンブリの移送ベルト72に回転可能に結合されて、それに対して回転するように構成される。図示されている実施形態では、移送アセンブリの円盤状の支持パッド本体82の径方向面86は、係合面である。即ち、移送アセンブリの支持パッド本体の径方向面86は、略円形の駆動係合面88である。本実施形態では、ハウジングアセンブリの駆動バー50は、移送アセンブリの各支持パッド80と、図示されているように、移送アセンブリの支持パッド本体の径方向面86、即ち駆動係合面88と、一時的に、動作可能に結合される。即ち、ハウジングアセンブリの駆動バー50は、ハウジングアセンブリ30に対して一定の位置に留まるように構成される。ハウジングアセンブリの駆動バー50は、移送アセンブリの移送ベルト72に隣接して配置される。ハウジングアセンブリの駆動バー50は、従動パッド本体の駆動係合面86と動作可能に係合するように構成される。移送アセンブリの移送ベルト72がハウジングアセンブリ30に対して移動すると、ハウジングアセンブリの駆動バー50は、移送アセンブリの各支持パッド本体82に接触し、作動的に係合する。移送アセンブリの各支持パッド本体82は移送アセンブリの移送ベルト72に回転可能に結合されているので、摩擦によって、移送アセンブリの各支持パッド本体82は移送アセンブリの移送ベルト72に対して回転する。移送アセンブリの各支持パッド本体82の半径は、移送アセンブリの移送ベルト72の速度が選択されると、移送アセンブリの支持パッド本体82が選択された速度で回転するように選択される。
【0064】
ある例示的な実施形態、即ち、自由パッドの実施形態では、移送アセンブリの支持パッド本体82は、移送アセンブリの移送ベルト72に回転可能に結合される。この実施形態では、移動する空気を介して缶ボディ1に力が加えられる。即ち、ファンアセンブリ又は同様のアセンブリが、缶ボディ1にわたって空気を移動させて、缶ボディ1と移送アセンブリの支持パッド本体82とを回転させるように構成される。或いは、移送アセンブリの支持パッド本体82は、単に自由に回転し、また、移送アセンブリの移送ベルト72の振動に応答して不規則に回転する。
【0065】
加熱アセンブリ100は、幾つかの加熱ユニット102を含む。加熱アセンブリ100、即ち、加熱ユニット102は、総有効量の受熱を生じるように構成される。例示的な実施形態では、幾つかの加熱ユニット102は、幾つかの赤外線加熱ユニット110を含む。各赤外線加熱ユニット110は、幾つかの赤外線エミッタ112を含む。赤外線加熱ユニット110は、総有効量の受放射熱を生じるように構成される。つまり、赤外線加熱ユニット110は、缶ボディ1のコーティングを硬化させるために十分な放射熱を生じる。例示的な実施形態では、赤外線加熱ユニット110は、モジュール式加熱ユニットである。
【0066】
加熱アセンブリ100での使用に適している赤外線加熱ユニット110には、燃料式赤外線加熱ユニット110’、及び電球式赤外線加熱ユニット110”が含まれるが、これらに限定されず、多数の種類がある。本明細書では、「燃料式赤外線加熱ユニット110’」は、限定ではないが、例えば、天然ガスやオイル等の燃料を燃焼させ、赤外線放射として放出されるエネルギーを発生させる赤外線加熱ユニット110を意味する。故に、本明細書では、「燃料式赤外線加熱ユニット110’」には、ガスを燃料とする「ガス式赤外線加熱ユニット」と、オイルを燃料とする「オイル式赤外線加熱ユニット」とが挙げられる。本明細書では、「電球式赤外線加熱ユニット110”」とは、赤外線放射を放出するように構成された電球、又は、限定ではないが、発光ダイオード(LED)を含む同様の構造体を意味する。以下の説明では、燃料式赤外線加熱ユニット110’、及び電球式赤外線加熱ユニット110”が例として使用されるが、「燃料式」赤外線加熱ユニット110’、又は「電球式」赤外線加熱ユニット110”という用語が特許請求の範囲に記載されていない限り、特許請求の範囲は、これらの種類の赤外線加熱ユニット110に限定されない。周知のように、電球式赤外線加熱ユニット110”は、電球を通電させることによって作動する。このように、「電球式」赤外線加熱ユニット110”は、本明細書では、電気式赤外線加熱ユニットでもある。従って、例示的な実施形態では、各赤外線加熱ユニット110は、電気式赤外線加熱ユニット、ガス式赤外線加熱ユニット、又はオイル式赤外線加熱ユニットから構成される、それらから基本的に構成される、或いはそれらを含むグループから選択される。
【0067】
例示的な実施形態では、燃料式赤外線加熱ユニット110’は、幾つかの放射加熱ユニットプレート120を含む。周知のように、そして、本明細書では、「放射加熱ユニットプレート」120は、略平面状の本体122を含んでおり、平面状の表面の少なくとも1つが、赤外線放射を放出するように構成される。以後、この表面は、「IRエミッタ面」124とする。別の実施形態では、平面状の表面の両方が、赤外線放射を放出するように構成される。放射加熱ユニットプレート120が、平面状の表面の一方から赤外線放射を放出するように構成された実施形態では、放射加熱ユニットプレート120は、移送アセンブリの移送ベルト72の両側に配置される。即ち、図4で示すように、各放射加熱ユニットプレート120は、IRエミッタ面124が移送アセンブリの移送ベルト72に隣接する(又は、対向する)ように方向付けられる。上述したように、放射加熱ユニットプレート120は、「狭幅」の熱伝導又は「広幅」の熱伝導の何れかを提供するように構成される。
【0068】
更に、調節可能な装着アセンブリ40は、放射加熱ユニットプレート120を缶ボディ1から有効距離に配置するように構成されることは理解される。例えば、缶ボディが大径及び小径の2つの形態を有しており、有効距離が、缶ボディ1のどの形態についても0.25インチの場合、調節可能な装着アセンブリ40は、各放射加熱ユニットプレート120を移送アセンブリの移送ベルト72に対して横方向に移動させて、IRエミッタ面124が缶ボディの側壁外面4から0.25インチの位置に配置されるように構成される。即ち、小径の缶ボディ1のバッチを処理する場合、調節可能な装着アセンブリ40は調節されて、各放射加熱ユニットプレート120のIRエミッタ面124は、缶ボディの側壁外面4から0.25インチとなるように移動する。大径の缶ボディ1のバッチを処理する場合、調節可能な装着アセンブリ40は外側に向かって調節されて、各放射加熱ユニットプレート120のIRエミッタ面124は、缶ボディの側壁外面4から0.25インチとなるように移動する。
【0069】
更に、例示的な実施形態では、放射加熱ユニットプレート120は、モジュール式放射加熱ユニットプレート120である。即ち、放射加熱ユニットプレート120は、機械的カップリングに加え、燃料、排気、及び動力のためのカップリングを含む。モジュール式放射加熱ユニットプレート120を使用することにより、加熱アセンブリ100が、様々な形態を有する缶ボディ1を硬化処理できるように構成可能となる。略円柱形の缶ボディ1を例として使用し続けると、図4及び図6は、略円柱形の缶ボディ1における、低い第1の形態(図4)と高い第2の形態(図6)とを示している。第1の形態の缶ボディ1のバッチが処理される場合、モジュール式放射加熱ユニットプレート120は、上述したように、移送アセンブリの移送ベルトの両側に、2つの対向する列で配置される。第2の形態の缶ボディ1のバッチが処理される場合には、モジュール式放射加熱ユニットプレート120の追加の列が、既存の対向する列の上に配置される。ここでも、モジュール式放射加熱ユニットプレート120は調節可能な装着アセンブリ40の一部でもあることは理解される。従って、調節可能な装着アセンブリ40は、各赤外線加熱ユニット110、即ち、各モジュール式放射加熱ユニットプレート120を第1の位置又は第2の位置に配置するよう構成され、第1の位置では、各赤外線加熱ユニット110は、第1の形態の缶ボディ1について比有効量の受熱若しくは受放射熱を生じるように構成され、第2の位置では、各赤外線加熱ユニット110は、第2の形態の缶ボディ1について比有効量の受熱若しくは受放射熱を生じるように構成される。
【0070】
図1乃至図6では、モジュール式放射加熱ユニットプレート120は、ハウジングアセンブリ30と閉じた空間34とを規定することは理解される。図示されているように、ハウジングアセンブリ30と閉じた空間34とは、概ね細長く、概ね直線状である。このような構成では、移送アセンブリの移送ベルト72も、概ね細長く、概ね直線状である。この移送アセンブリの移送ベルト72の構成は、本明細書でいう、「単純化された」作業経路を有する。即ち、「単純化された」作業経路の移送アセンブリの移送ベルト72は、コンベアの方向の変更に適応するための複雑な機械的部品を必要としない。「単純化された」作業経路は、単純な1つのループ状の作業経路を含むことは理解される。「単純化された」作業経路の移送アセンブリの移送ベルト72によって、上述した課題が解決する。
【0071】
この構造は例示的であって、ハウジングアセンブリ30及び閉じた空間34は、別の実施形態では異なる形状を有することは理解される。例えば、幾つかのモジュール式放射加熱ユニットプレート120が2つのIRエミッタ面124を有する実施形態では、幾つかのモジュール式放射加熱ユニットプレート120は、2つのIRエミッタ面124を有するそれらモジュール式放射加熱ユニットプレート120が、モジュール式放射加熱ユニットプレート120の両側を通過する缶ボディを加熱するために配置されるようにして蛇行パターンで配置される。この実施形態では、移送アセンブリの移送ベルト72は、モジュール式放射加熱ユニットプレート120の間の蛇行経路を辿るように構成される。
【0072】
別の実施形態では、図3で示されているように、赤外線加熱ユニット110は、選択的に作動するように構成された電球式赤外線加熱ユニット110”である本明細書では、「選択的に作動する」とは、作動可能なアセンブリ又はデバイスが、選択された時間に又は選択された条件が存在すると、作動することを意味する。赤外線電球又は同様の構造体(LED)を有する場合には、作動は、電球が点灯して赤外線を放射していることを意味する。例示的な実施形態では、電球式赤外線加熱ユニット110”は、缶ボディの側壁外面4が有効距離をおいて離れている場合に作動する。例えば、赤外線加熱ユニット110が、赤外線LED114等の赤外線エミッタの複数の縦列を含む実施形態では、各赤外線エミッタ112は、缶ボディの側壁外面4が有効距離をおいて離れている場合に、選択的に作動するように構成されている。缶ボディの側壁外面4が有効距離をおいて離れていない場合には、赤外線LED114は作動せず、即ち、暗い状態である。従って、電球式赤外線加熱ユニット110”は、缶ボディの側壁外面4が有効距離をおいて離れていない場合に作動せずに、節電するように構成される。これにより、上述した課題は解決される。
【0073】
更に、赤外線加熱ユニット110は、燃料式赤外線加熱ユニット110’であろうと電球式赤外線加熱ユニット110”であろうと、ほとんど缶ボディの側壁外面4に熱を与えるように構成される。即ち、缶ボディ1をピンに保持することを補助するために加熱された空気をコーティングされていない缶の底に吹き付ける公知の対流式ピンオーブンとは異なり、赤外線加熱ユニット110は、缶ボディの側壁外面4に十分に熱を加える。本明細書では、「ほとんど缶ボディの側壁外面4に熱を加える」とは、大部分において、加熱ユニット102によって生成された熱が、缶ボディの底部2ではなく、缶ボディの側壁外面4に加えられることを意味する。これにより、上述した課題は解決される。
【0074】
ある実施形態では、赤外線加熱ユニット110は、略瞬間的に、言い換えると1秒以内に、完全に起動するように構成される。本明細書では、「完全に起動する」とは、缶ボディに施されたコーティングを硬化するのに十分な熱さになることを意味する。即ち、ハウジングアセンブリの閉じた空間34内の空気を加熱しなくてはならない加熱空気対流式オーブンとは異なり、赤外線加熱ユニット110は、コーティングの硬化に十分な赤外線エネルギーを、より短い時間で生成する。これにより、上述した課題は解決される。更に、赤外線加熱ユニット110は、加熱空気対流式オーブンよりも発生する騒音が少ない。例示的な実施形態では、ファンがない缶用硬化オーブン20は、約10dBから20dBの間、又は約15dBを発生させる。本明細書では、約10dBから20dBの間の騒音レベルは、「低減された量の騒音」である。本明細書では、約15dBの騒音レベルは、「特定の低減された量の騒音」である。缶用硬化オーブン20は、低減された量の騒音、又は特定の低減された量の騒音を発生させ、これにより、上述した課題が解決する。更に、上述したように、缶用硬化オーブン20がファンを使用する場合は、硬化オーブン20は、約70dBから80dBの間、又は約75dBを発生させるが、これでもまだ、従来技術の硬化オーブンよりも騒音が少なく、上述した課題は解決する。
【0075】
ある実施形態では、缶用硬化オーブン20は、速度について最適化される。即ち、上述したように、硬化オーブンでは、取込速度は、デコレーターアセンブリ12の排出速度と等しいことが望ましい。例示的な実施形態では、デコレーターアセンブリ12の排出速度、従って、缶用硬化オーブン20の取込速度は、約2400cpmである。更に、上述したように、缶ボディのコーティングの硬化に影響を与える他の変数は、加熱アセンブリ100のエネルギー出力と、加熱ユニット102と缶ボディ1との距離と、缶ボディ1が熱及び/又は加熱ユニット102に曝される時間とを含むが、これらに限定されない。更に、ハウジングアセンブリ30、及び/又はハウジングアセンブリの閉じた空間34のサイズもまた、これらの変数に依存し、或いは、これらの変数は、ハウジングアセンブリ30、及び/又はハウジングアセンブリの閉じた空間34のサイズに依存する。更に、これらの変数のうち、加熱アセンブリ100の出力のみが制限されることも理解される。即ち、温度が約220°C(428°F)より高いと、缶ボディ1に悪影響が及ぶ。故に、例示的な実施形態では、加熱アセンブリ100はまた、ハウジングアセンブリ30及び/又はハウジングアセンブリの閉じた空間34から加熱空気を除去するように構成されたブロワーアセンブリ130を含む。ブロワーアセンブリ130は、ハウジングアセンブリ30及び/又はハウジングアセンブリの閉じた空間34における熱量を低下させるように構成される。
【0076】
従って、デコレーターアセンブリ12が2400cpmを超える速さで動作しているとすると、例示的な実施形態では、缶用硬化オーブン20は、速度について最適化されており、約16,000cm乃至900,000cm、又は約180,000cmの体積を有するハウジングアセンブリ30及び/又はハウジングアセンブリの閉じた空間34を含む。 上述したように、これは、「制限された体積」又は「特定の制限された体積」である。この実施形態では、加熱アセンブリ100は約20個の放射加熱ユニット110を含み、各放射加熱ユニット110は、比有効量の受熱を与えるように構成される。この実施形態では、加熱アセンブリ100は、ハウジングアセンブリ30から加熱空気を除去するように構成されたブロワーアセンブリ130を含む。更に、この実施形態では、移送アセンブリの移送ベルト72は単純化された作業経路を有している。この構造の缶用硬化オーブン20によって、上述した課題が解決される。
【0077】
別の実施形態では、缶用硬化オーブン20は、経済効率について最適化される。本明細書では、「経済効率が最適化された」缶用硬化オーブン20とは、缶用硬化オーブン20が、加熱ユニット102を「総費用」が最も低い状態で使用することを意味する。本明細書では、加熱ユニット102の「総費用」とは、建設された又は購入された加熱ユニット102の費用と、加熱ユニットを少なくとも1年の期間に亘って動作させる費用との組合せである。即ち、これらの因子の両方が最適化されている。
【0078】
発明の具体的な実施形態が詳細に説明されたが、本開示の全体的な教示に照らしてそれらの詳細に対する様々な修正及び代替がなされ得ることは当業者には理解されるであろう。従って、開示された特定の構成は、例示であることのみを意図されており、添付の特許請求の範囲及びその任意の且つ全ての均等物の全範囲として与えられる本発明の範囲に対する限定ではない。
図1
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図6