(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】架台
(51)【国際特許分類】
F28G 7/00 20060101AFI20240904BHJP
F22B 37/24 20060101ALI20240904BHJP
F23J 3/02 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
F28G7/00 A
F22B37/24 Z
F23J3/02 Z
(21)【出願番号】P 2024086061
(22)【出願日】2024-05-28
【審査請求日】2024-05-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511104657
【氏名又は名称】JFEテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】今村 泰朗
(72)【発明者】
【氏名】太田 正城
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05494004(US,A)
【文献】中国特許出願公開第107062283(CN,A)
【文献】特開2021-105468(JP,A)
【文献】国際公開第2013/014097(WO,A1)
【文献】特開昭58-095110(JP,A)
【文献】特開昭60-263009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 7/00
F22B 37/24
F23J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支柱と、
前記支柱の下端部が固定される底部と、
レールと、
前記支柱の上端部に固定され、前記レールを固定する固定部と、
前記レールに沿って移動するトロリーと、
前記トロリーに固定され、圧力波を放出する圧力波装置を吊り下げる吊下げ部と、
を備え
、
前記吊下げ部は、弾性を有する弾性体と、前記弾性体に一端側が取り付けられたチェーンとを有し、
前記圧力波装置は、前記チェーンの他端側で吊り下げられる
架台。
【請求項2】
前記弾性体は、コイルばねであり、
前記コイルばねの中心軸が水平方向に沿っている
請求項
1に記載の架台。
【請求項3】
前記底部は、キャスターと、前記底部の上昇と下降を行なうジャッキと
を備える請求項1に記載の架台。
【請求項4】
前記圧力波装置を覆うエンクロージャを有する
請求項1に記載の架台。
【請求項5】
複数の支柱と、
前記支柱の下端部が固定される底部と、
レールと、
前記支柱の上端部に固定され、前記レールを固定する固定部と、
前記レールに沿って移動するトロリーと、
前記トロリーに固定され、圧力波を放出する圧力波装置を吊り下げる吊下げ部と、
を備え、
前記底部は、上面に樹脂で形成されたブロックを有し、
前記支柱は、前記ブロックに固定されてい
る
架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物や木質チップなどの焼却施設では、焼却炉にボイラが併設され、焼却炉での廃棄物の燃焼から得られる高温の排ガスの熱をボイラにて回収し、回収した熱で所定の温度・圧力の蒸気を発生させてタービン発電機に導入することにより発電が行われている。焼却炉からボイラへ流通する排ガスには、塩素、硫黄、重金属類等を含む小粒径のダストが含まれるが、これらがボイラの伝熱管に付着すると、付着したダストが断熱材の役割をするため伝熱効率が低下する。
【0003】
そこで、ボイラの伝熱管に付着したダストを除去する発明として、例えば特許文献1に開示された付着物除去装置がある。この付着物除去装置は、ボイラの側壁の外側に配置されており、メタンガスと酸素ガスとの混合ガスに点火して混合ガスを爆発させる。この混合ガスの爆発によって圧力波が発生し、発生した圧力波がボイラ内へ放出され、ボイラ内の伝熱管に付着したダストが圧力波によって除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている付着物除去装置をボイラに設置する際には、まず、特許文献1の
図7に示されているように、付着物除去装置を台車でボイラ近傍へ運び、次に、発電用ボイラ設備及びこれに付帯する設備等に設けられたクレーンで付着物除去装置を吊り下げる。次に、ボイラに設けられた接続ダクトの開口を塞いでいる閉塞板を取り外し、付着物除去装置のノズル体の大径円筒状部を挿入し、接続ダクトに設けられたフランジ部と、ノズル体が有するフランジ部とをボルトで締結して付着物除去装置をボイラに設置する。
【0006】
発電用ボイラ設備及びこれに付帯する設備等の構造は、設備によって異なるため、特許文献1に開示されている設置方法では、建屋がクレーンを備えていない場合や、設置位置でクレーンの使用ができない場合、付着物除去装置を接続ダクトまで持ち上げて設置するのが容易ではない。また、特許文献1に記載の付着物除去装置を接続ダクトから取り外して整備を行なう場合においても、クレーンが使用できない建屋の場合には、付着物除去装置を支持していない状態でフランジ部を外すのは難しく、整備が容易でないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圧力波でダストを除去する装置の仮設導入、導入設置、撤去などを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る架台は、複数の支柱と、前記支柱の下端部が固定される底部と、レールと、前記支柱の上端部に固定され、前記レールを固定する固定部と、前記レールに沿って移動するトロリーと、前記トロリーに固定され、圧力波を放出する圧力波装置を吊り下げる吊下げ部とを、備える。
【0009】
また、本発明の一側面に係る架台においては、前記吊下げ部は、弾性を有する弾性体と、前記弾性体に一端側が取り付けられたチェーンとを有し、前記圧力波装置は、前記チェーンの他端側で吊り下げられてもよい。
【0010】
また、本発明の一側面に係る架台においては、前記弾性体は、コイルばねであり、前記コイルばねの中心軸が水平方向に沿っていてもよい。
【0011】
また、本発明の一側面に係る架台においては、前記底部は、キャスターと、前記底部の上昇と下降を行なうジャッキとを備えていてもよい。
【0012】
また、本発明の一側面に係る架台においては、前記底部は、上面に樹脂で形成されたブロックを有し、前記支柱は、前記ブロックに固定されていてもよい。
【0013】
また、本発明の一側面に係る架台は、前記圧力波装置を覆うエンクロージャを有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ダストを除去する装置の仮設導入、導入設置、撤去などを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る架台と圧力波装置の側面図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係る架台と圧力波装置の背面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る架台の組み立て方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、圧力波装置を架台に取り付ける方法を説明するための図である。
【
図13】
図13は、圧力波装置をボイラへ取り付ける方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0017】
また、図中で適宜X軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系を示し、これにより方向を説明する。直交座標系で示される空間においてX成分が増加する方向を+X方向といい、X成分が減少する方向を-X方向という。同様に、Y、Z成分についても、+Y方向、-Y方向、+Z方向、-Z方向と定義する。なお、説明の便宜上、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向とし、Z軸方向を上下方向と言い換える場合がある。
【0018】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る架台1と圧力波装置2の側面図であり、
図1Bは、架台1と圧力波装置2の背面図である。なお、
図1Aでは、圧力波装置2をボイラ3に連結した状態を示している。ボイラ3は、焼却炉での廃棄物の燃焼から得られる高温の排ガスの熱を回収するボイラである。
【0019】
圧力波装置2は、メタンガスと酸素ガスとの混合ガスを燃焼させて発生した圧力波をボイラ3内に放出し、ボイラ3内に付着したダストやボイラ3内に堆積したダストを圧力波で除去する装置である。圧力波装置2は、燃焼室21、混合室22、酸素タンク23、メタンタンク24、アキュムレータ25、噴射管26、スプリングユニット27、及びアイボルト28を有している。
【0020】
酸素タンク23は、酸素ガスを保持するタンクであり、図示省略したガスボンベから遮断弁を介して酸素ガスが供給される。メタンタンク24は、メタンガスを保持するタンクであり、図示省略したガスボンベから遮断弁を介してメタンガスが供給される。混合室22は、+Y方向側の側面に酸素タンク23が接続され、-Y方向側の側面にメタンタンク24が接続されている。混合室22には、図示省略した移送弁が設けられている。この移送弁が開くと、酸素タンク23の酸素ガス及びメタンタンク24のメタンガスが混合室22を介して燃焼室21とアキュムレータ25へ送られる。
【0021】
燃焼室21は、中央の立方形状の燃焼室21aと、Y軸方向に沿って燃焼室21aに接続された管状の2つの燃焼室21bとで構成されている。燃焼室21は、-X方向側の側面に噴射管26が接続され、+X方向側の側面にアキュムレータ25が接続されている。アキュムレータ25は、内部にピストンを備えており、図示省略したガスボンベから窒素ガスが供給される。スプリングユニット27は、混合ガスの燃焼に伴う衝撃を緩和する装置であり、噴射管26に取り付けられている。スプリングユニット27は、複数のバネを備えており、混合ガスの燃焼による衝撃を複数のバネで緩和する。噴射管26は、ボイラ3が備えるマンホール31にフランジを介して取り付けられる。アイボルト28は、燃焼室21の+Z方向側の面に設けられている。アイボルト28が吊下げ部139で吊り下げられることにより、圧力波装置2が水平に保たれる。
【0022】
圧力波装置2は、待機時においては、アキュムレータ25のピストンが噴射管26に押し付けられており、燃焼室21をボイラ3内の排ガスから遮断している。遮断弁が開かれると、酸素タンク23に酸素ガスが充填され、メタンタンク24にメタンガスが充填される。酸素タンク23内の圧力と、メタンタンク24内の圧力が規定値に達すると、遮断弁が閉じられる。酸素タンク23の酸素ガスと、メタンタンク24のメタンガスは、混合室22の移送弁を開くと燃焼室21とアキュムレータ25へ送られて混合されて混合ガスとなる。移送弁を閉じて燃焼室21を酸素タンク23及びメタンタンク24から隔離した後、混合ガスは、アキュムレータ25内の図示省略したグロープラグによって着火されて燃焼する。この燃焼によって燃焼室21では圧力が上昇し、アキュムレータ25のピストンが後退する。アキュムレータ25が後退するとき、アキュムレータ25において窒素ガスによる加圧が継続しているため、アキュムレータ25内の窒素がクッションとなり、ピストンの衝突を防ぐ。このピストンの後退により、アキュムレータ25内から燃焼室21へ燃焼したガスが流入し、燃焼室21内の混合ガスが急速燃焼する。この急速燃焼により発生した圧力波が噴射管26を通ってボイラ3内部へ放出される。
【0023】
架台1は、圧力波装置2を吊り下げる架構である。架台1は、大別して底部11、支柱12a~12d、レール固定部13で構成されている。
【0024】
支柱12a~12dの下端部が固定される底部11は、長手方向がX軸方向に沿った2つの根太111、112と、長手方向がY軸方向に沿った2つの根太113、114と、複数の樹脂ブロック117を有する。根太111~114は、例えば、アルミニウム合金製であるが、根太111~114の材質は、アルミニウム合金に限定されるものではなく、他の金属であってもよい。なお、架台1を軽量とするため、根太111~114は、軽量の金属であるのが好ましい。根太113は、根太111の-X方向側の端部と、根太112の-X方向側の端部に対して、ボルトとナットによって締結されている。また、根太114は、根太111の+X方向側の端部と、根太112の+X方向側の端部に対して、ボルトとナットによって締結されている。根太113、114の長さは、根太111、112の長さより短いのが好ましい。根太113、114の長さを根太111、112の長さより短くして架台1の幅を狭くすることにより、架台1を軽くすることができる。
【0025】
根太111及び根太112のX軸方向の端部においては、-Z方向側にキャスター115が取り付けられている。キャスター115は、例えば旋回式のキャスターであり、車輪、トッププレート、フォーク、車輪を支持するシャフトを有する。また、根太111及び根太112のX軸方向の端部と中央部においては、ジャッキボルト116が取り付けられている。ジャッキボルト116は、ボルトとナットとを備えており、ボルトに対するナットの位置を調整することにより、締結された根太111~114を+Z方向へ上昇又は-Z方向へ下降させる。
【0026】
根太111、112の-X方向側の端部においては、+Z方向側に樹脂ブロック117が設置され、根太111、112の+X方向側の端部においても、+Z方向側に樹脂ブロック117が設置されている。樹脂ブロック117は、例えば発泡ウレタンであり、合成樹脂製で長方体の形状に形成されている。樹脂ブロック117の+Z方向側には、支柱12a~12dが固定されている。
【0027】
支柱12a~12dは、軽量の金属で形成されており、例えばアルミニウム合金製である。支柱12a~12dの材質は、アルミニウム合金に限定されるものではなく、他の金属であってもよい。支柱12aは、根太111の-X方向側の端部に設けられた樹脂ブロック117の上に固定され、支柱12bは、根太112の-X方向側の端部に設けられた樹脂ブロック117の上に固定されている。また、支柱12cは、根太111の+X方向側の端部に設けられた樹脂ブロック117の上に固定され、支柱12dは、根太112の+X方向側の端部に設けられた樹脂ブロック117の上に固定されている。
【0028】
支柱12a~12dの上端部に固定され、レール137を固定する固定部の一例であるレール固定部13は、構造材131~134、梁135、136、トロリー138a、138b、吊下げ部139、アイボルト140を有する。構造材131~134、及び梁135、136は、例えば断面がコの字型である。構造材131~134は、Y軸方向に沿って設けられており、梁135、136は、X軸方向に沿って設けられている。構造材131~134、及び梁135、136は、例えば、アルミニウム合金製であるが、構造材131~134、及び梁135、136の材質は、アルミニウム合金に限定されるものではなく、他の金属であってもよい。なお、架台1を軽量とするため、構造材131~134、及び梁135、136は、軽量の金属であるのが好ましい。
【0029】
梁135は、-X方向側の端部が支柱12aに固定され、+X方向側の端部が支柱12cに固定されている。梁136は、-X方向側の端部が支柱12bに固定され、+X方向側の端部が支柱12dに固定されている。構造材131は、-Y方向側の端部が梁135の-X方向側の端部に固定され、構造材132は、+Y方向側の端部が梁136の-X方向側の端部に固定されている。また、構造材133は、-Y方向側の端部が梁135の+X方向側の端部に固定され、構造材134は、+Y方向側の端部が梁136の+X方向側の端部に固定されている。
【0030】
X軸方向に沿って設けられたレール137は、例えば、断面がI形の形状である。レール137の-X方向側の端部は、構造材131の+Y方向側の端部と、構造材132の-Y方向側の端部に固定されている。また、レール137は、構造材133の+Y方向側の端部と、構造材134の-Y方向側の端部に固定されている。
【0031】
トロリー138a、138bは、重量物を吊り下げて移動するプレーントロリーである。トロリー138a、138bは、間隔を空けてレール137に設置されており、レール137に沿ってX軸方向へ移動する。トロリー138aは、構造材133及び構造材134より-X方向側に配置され、トロリー138bは、構造材133及び構造材134より+X方向側に配置されている。
【0032】
吊下げ部139は、圧力波装置2を吊り下げる装置である。吊下げ部139は、-X方向側の端部がトロリー138aに固定され、+X方向側の端部がトロリー138bに固定されている。吊下げ部139は、固定滑車139a、弾性部139b、チェーン139c、連結金具139d、及びターンバックル139eを有している。弾性部139bは、例えば弾性体の一例である金属製のコイルばねを有しており、コイルばねの中心軸がX軸方向(水平方向)に沿っている。なお、弾性部139bが備える弾性体は、コイルばねに限定されるものではなく、ゴムであってもよい。また、弾性部139bが備える弾性体は、エアダンパー又はオイルダンパーであってもよい。弾性部139bにはターンバックル139eが繋げられている。チェーン139cは、固定滑車139aに掛けられており、一端がターンバックル139eに固定され、他端が連結金具139dに固定されている。連結金具139dは、アイボルト28に掛けられて圧力波装置2を吊り下げる。ターンバックル139eは、圧力波装置2の吊り上げ高さの調整に用いられる。
【0033】
次に架台1の組み立て方法について説明する。
図2~11は、架台1の組み立て方法を示す模式図である。架台1を組み立てる際には、作業者は、
図2に示すように、根太111、112にキャスター115とジャッキボルト116を取り付ける。次に、作業者は、
図3に示すように、根太113及び根太114を根太111、112に対してボルトとナットで固定する。
【0034】
次に、作業者は、
図4に示すように、樹脂ブロック117を根太111、112の+Z方向側の面上に固定した後、
図5に示すように、支柱12a~12dを樹脂ブロック117の+Z方向側の面上に固定する。次に、作業者は、
図6に示すように、梁135を支柱12aと支柱12cに掛け渡し、ボルトとナットで梁135を支柱12aと支柱12cに固定する。また、作業者は、
図6に示すように、梁136を支柱12bと支柱12dに掛け渡し、ボルトとナットで梁136を支柱12bと支柱12dに固定する。なお、作業者は、梁135を支柱12a、12cに固定するときと、梁136を支柱12b、12dに固定するときには、アイボルト140に図示省略したワイヤーロープ及びチェーンブロックなどの玉掛器具を掛け、組み立て中の架台1が倒れるのを防ぐのが好ましい。次に、作業者は、
図7に示すように、ボルトとナットで構造材131と構造材133を梁135に固定し、ボルトとナットで構造材132と構造材134を梁136に固定する。
【0035】
次に、作業者は、
図8に示すように、構造材131~134に対してレール137を固定する。
図9は、構造材131~134に対するレール137の固定方法の一例を示す図である。レール137は、Y軸方向に突出した板状の凸部137aを-Y方向側と+Y方向側に備えている。凸部137aには、図示省略したボルトが貫通する穴137bが形成されている。構造材133の+Y方向側の端部には、図示省略したボルトが貫通する穴133aが形成されている。なお、図示を省略しているが、構造材134の-Y方向側の端部にも、図示省略したボルトが貫通する穴133aが形成されている。構造材133の+Y方向側の端部とレール137の-Y方向側の凸部137aを重ね、穴133aと穴137bを貫通したボルトをナットで締めることにより、レール137が構造材133に固定される。また、構造材134の-Y方向側の端部とレール137の+Y方向側の凸部137aを重ね、穴133aと穴137bを貫通したボルトをナットで締めることにより、レール137が構造材134に固定される。
【0036】
なお、レール137は、-X方向側の端部においても、穴137bが形成された凸部137aを-Y方向側と+Y方向側に有している。また、構造材131の+Y方向側の端部と、構造材132の-Y方向側の端部にも、図示省略したボルトが貫通する穴133aが形成されている。構造材131の+Y方向側の端部とレール137の-Y方向側の凸部137aを重ね、穴133aと穴137bを貫通したボルトをナットで締めることにより、レール137が構造材131に固定される。また、構造材132の-Y方向側の端部とレール137の+Y方向側の凸部137aを重ね、穴133aと穴137bを貫通したボルトをナットで締めることにより、レール137が構造材132に固定される。
【0037】
次に、作業者は、
図10に示すように、トロリー138a、138bをレール137に取り付け、トロリー138a、138bに吊下げ部139を取り付ける。次に、作業者は、
図11に示すように、吊下げ部139のチェーン139cに連結金具139dを取り付ける。
【0038】
次に、架台1への圧力波装置2の取り付け方法と、圧力波装置2のボイラ3への取り付け方法を説明する。
図12は、架台1への圧力波装置2の取り付け方法を示す模式図であり、
図13は、圧力波装置2のボイラ3への取り付け方法を示す模式図である。
【0039】
圧力波装置2を架台1へ取り付ける際には、作業者は、
図12に示すように連結金具139dをアイボルト28に掛けて圧力波装置2を吊り下げる。圧力波装置2をボイラ3へ取り付ける際には、作業者は、
図13に示すように、圧力波装置2を吊り下げた架台1をキャスター115でボイラ3の近傍へ移動させる。次に、作業者は、ジャッキボルト116で根太111、112の高さを調整する。根太111、112の高さを調整することで、支柱12a~12dと、レール固定部13のZ軸方向の位置が調整され、吊下げ部139で吊り下げられている圧力波装置2の噴射管26のZ軸方向の位置が調整される。作業者は、ジャッキボルト116を調整して噴射管26のZ軸方向の位置をマンホール31の位置に合わせ、噴射管26の挿し込み部分29をマンホール31内に挿入し、噴射管26をマンホール31へ取り付ける。
【0040】
以上説明したように本実施形態によれば、圧力波装置2が取り付けられるマンホール31の近傍で、
図2~
図12に示したように溶接作業を必要とせず、架台1を短時間且つ少ない人数で容易に組み立てて圧力波装置2を吊り下げられるため、圧力波装置2のマンホール31への取り付けを容易に行うことができる。また、容易に架台1の組み立てと解体を行なえるため、例えば、試験的に圧力波装置2をボイラ3へ設置する際には、仮設や撤去を短時間で行い、圧力波装置2の試験運用を容易に行うことができる。また、本実施形態では、架台1が備えるレール137は、圧力波装置2を吊り下げの役割と、圧力波装置2をX軸方向へ移動させるレールとしての役割を備えているため、建屋にレールを取り付ける構成と比較すると、圧力波装置2を吊り下げる構成について高さを抑えて小型化して軽量なものとすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、圧力波装置2から圧力波が放出する際には、圧力波を-X方向へ放出する反作用で+X方向の力が圧力波装置2へ作用するが、トロリー138a、138bがX軸方向へ移動可能となっているため、圧力波装置2の水平方向への移動を吸収することができる。また、本実施形態では、圧力波装置2のZ軸方向への振動を、吊下げ部139の弾性部139bがコイルばねで吸収するため、圧力波装置2がZ軸方向へ振動するのを抑えることができる。また、本実施形態では、支柱12a~12dが樹脂ブロック117に固定されているため、圧力波装置2からの圧力波の放出によって生じる振動を樹脂ブロック117で吸収し、床へ振動が伝わるのを抑えることができる。また、本実施形態では、弾性部139bが水平方向に沿って設置されているため、架台1の高さを抑えて小型化することができる。
【0042】
また、本実施形態では、架台1は、キャスター115を備えており、吊り下げた圧力波装置2を容易に移動させることができるため、圧力波装置2の整備を行なう場合には、マンホール31から取り外した圧力波装置2を容易に移動させて整備を行なうことができる。また、本実施形態では、架台1は、ジャッキボルト116を備えているため、圧力波装置2の高さを調整し、マンホール31の高さに噴射管26の高さを容易に合わせることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、圧力波装置2の高さを調整する際に、樹脂ブロック117について、Z軸方向の高さが異なる樹脂ブロック117に取り替えることにより、圧力波装置2の高さを調整してもよい。樹脂ブロック117を取り換えることで圧力波装置2の高さが変わるため、マンホール31の高さに応じて圧力波装置2の高さを容易に変えることができる。
【0044】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0045】
上述した実施形態では、圧力波装置2がボイラ3へ取り付けられているが、圧力波装置2が取り付けられるのはボイラ3に限定されるものではない。例えば、架台1で吊り下げられた圧力波装置2を、ボイラ3を通過した排ガスの温度を下げる空気予熱器や減温塔、排ガスに含まれるダストを捕集するバグフィルタに取り付けてもよい。
【0046】
本発明においては、圧力波装置2から圧力波が放出されるときに発生する音が建屋内に広がるのを抑えるため、圧力波装置2をエンクロージャで覆うようにしてもよい。
図14Aは、変形例に係る架台1の側面図であり、
図14Bは、変形例に係る架台1の背面図である。変形例に係る架台1は、エンクロージャ4を備えている。エンクロージャ4は、圧力波装置2を格納する筐体である。エンクロージャ4を構成する各部材は、架台1を軽量なものとするために軽量の金属で形成されているのが好ましい。
【0047】
エンクロージャ4は、軽量の金属で形成された側板41a~41d、42a~42c、43a~43c、天板41e、42d、43d、及び底板41f、42e、43eを備えている。底板41fは、矩形の板状の部材であり、根太111と根太112に掛け渡されて根太111及び根太112に固定されている。側板41a~41dは、矩形の板状の部材であり、底板41fの+Z方向側の面上に固定されている。側板41aは、底板41fの-X方向側の端部でYZ平面に沿って底板41fに固定され、側板41bは、底板41fの+X方向側の端部でYZ平面に沿って底板41fに固定され、側板41cは、底板41fの-Y方向側の端部でXZ平面に沿って底板41fに固定され、側板41dは、底板41fの+Y方向側の端部でXZ平面に沿って底板41fに固定されている。側板41cは、燃焼室21bとメタンタンク24が貫通する穴を有し、側板41dは、燃焼室21bと酸素タンク23が貫通する穴を有している。天板41eは、矩形の板状の部材であり、XY平面に沿って側板41a~41dの+Z方向側の端部に固定されている。天板41eは、アイボルト28が貫通する穴を有している。
【0048】
底板42eは、矩形の板状の部材であり、XY平面に沿って側板41cの-Y方向側の面に固定されている。側板42a~42cは、矩形の板状の部材であり、底板42eの+Z方向側の面上に固定されている。側板42aは、底板42eの-X方向側の端部でYZ平面に沿って底板42eに固定され、側板42bは、底板42eの+X方向側の端部でYZ平面に沿って底板42eに固定され、側板42cは、底板42eの-Y方向側の端部でXZ平面に沿って底板42eに固定されている。天板42dは、矩形の板状の部材であり、XY平面に沿って側板42a~42cの+Z方向側の端部と側板41cの-Y方向側の面に固定されている。
【0049】
底板43eは、矩形の板状の部材であり、XY平面に沿って側板41dの+Y方向側の面に固定されている。側板43a~43cは、矩形の板状の部材であり、底板43eの+Z方向側の面上に固定されている。側板43aは、底板43eの-X方向側の端部でYZ平面に沿って底板43eに固定され、側板43bは、底板43eの+X方向側の端部でYZ平面に沿って底板43eに固定され、側板43cは、底板42eの+Y方向側の端部でXZ平面に沿って底板43eに固定されている。天板43dは、矩形の板状の部材であり、XY平面に沿って側板43a~43cの+Z方向側の端部と側板41dの+Y方向側の面に固定されている。エンクロージャ4は、圧力波装置2の全体を覆うため圧力波装置2から圧力波が放出されるときに発生する音が建屋内に広がるのを抑えることができる。
【0050】
上述した実施形態においては、架台1はキャスター115を備えているが、本発明においては、架台1がキャスター115を備えていない構成であってもよい。また、本発明においては、架台1がジャッキボルト116を備えていない構成であってもよい。また、本発明においては、弾性部139bのコイルばねの中心軸がZ軸方向に沿うように弾性部139bを設置してもよい。また、本発明においては、架台1が吊下げ部139を備えていない構成であってもよい。架台1が吊下げ部139を備えていない場合、トロリー138aから圧力波装置2を吊り下げるようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、架台1は、樹脂ブロック117を備えているが、本発明においては、樹脂ブロック117を備えておらず、支柱12a、12cを根太111に直接固定し、支柱12b、12dを根太112に直接固定してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 架台
2 圧力波装置
3 ボイラ
11 底部
12a~12d 支柱
13 レール固定部
115 キャスター
116 ジャッキボルト
117 樹脂ブロック
137 レール
138a、138b トロリー
139 吊下げ部
【要約】
【課題】ダストを除去する装置の仮設導入、導入設置、撤去などを容易にする。
【解決手段】本発明に係る架台は、複数の支柱と、前記支柱の下端部が固定される底部と、レールと、前記支柱の上端部に固定され、前記レールを固定する固定部と、前記レールに沿って移動するトロリーと、前記トロリーに固定され、圧力波を放出する圧力波装置を吊り下げる吊下げ部と、備える。
【選択図】
図1A