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  • 特許-ベニヤパネルを乾燥させるための乾燥機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ベニヤパネルを乾燥させるための乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 15/18 20060101AFI20240905BHJP
   B27D 1/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F26B15/18 B
B27D1/04 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023502971
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021025283
(87)【国際公開番号】W WO2022017649
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】102020004455.7
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520344556
【氏名又は名称】グレンツェバッハ ビーエスエイチ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストレットマンズ、クリストフ
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】ソ連国特許発明第00452734(SU,A)
【文献】米国特許第04215489(US,A)
【文献】米国特許第04026037(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0097592(US,A1)
【文献】特開昭60-120177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 15/18
B27D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベニヤを乾燥させるための乾燥機であって、前記ベニヤを乾燥させるための乾燥手段が存在する複数のセクションを備え、
前記複数のセクションのうちの少なくとも1つにおいて、負圧を生成するための手段が前記それぞれのセクションに設けられ、
前記それぞれのセクションの内部をシーリングするための手段が設けられ、
前記それぞれのセクションの内部をシーリングするための手段が、前記それぞれのセクションの端側外壁の領域においてローラを駆動するためのチェーン上のシールを含む、
乾燥機。
【請求項2】
前記手段が、前記それぞれのセクションの内部から空気を吸引するための少なくとも1つの吸引装置又はファンを含む、
請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記少なくとも1つのファンが、前記それぞれのセクションの上側、特に前記それぞれのセクションの上部側壁に配置されている、
請求項1又は2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記少なくとも1つのファンが、それぞれの場合において、循環式エアファンの上方に配置されている、
請求項2又は3に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記それぞれのセクションの内部をシーリングするための手段が、前記それぞれのセクションの端側外壁の領域においてローラをシーリングするためのシーリング装置を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の一般的概念によるベニヤパネルを乾燥させるための乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による乾燥機は、特にベニヤパネルを乾燥させるために提供される;しかしながら、本発明による乾燥機は、例えば、硬質繊維板、合板又は壁板などのような任意のパネルを乾燥させるためにも使用され得る。以下において、簡易化のために「ベニヤ」という用語が常に使用される;しかしながら、ベニヤに代えて、他のすべての上述の板も同様に、ベニヤ乾燥機を用いて乾燥され得る。
【0003】
ベニヤがベニヤ乾燥機に供給される前に、それらはまず、剥離後にフォークリフトを用いて積み重ねた状態で乾燥ラインに搬送される。ベニヤ乾燥機のローディング装置で、ベニヤは分離され、搬送ローラに配置され、例えば、旋回装置を補助的に使用して異なる段に分割される。個々のベニヤはその後、チェーンで駆動するローラによって乾燥機内に搬送され、通過する。ローラに代えて、スクリーニングベルトもまた使用され得る。
【0004】
乾燥機は、その長さ方向に沿ってセクション又はゾーンに分割されている。セクションのそれぞれは、独自の加熱システム(通常はサーマルオイル又は蒸気で加熱されたレジスタ)及び循環式エアファンを有する。ノズルボックスを用いて、ベニヤを乾燥させるための加熱された循環空気が個々の段及び搬送ローラの幅にわたり分配され、ノズルを通過した後にボックスからベニヤ上に流れ込み、こうしてベニヤの衝突乾燥が実現する。このようにして乾燥されたベニヤは、乾燥機の出口で乾燥機を出る。
【0005】
このようなベニヤ乾燥機は、例えば、独国特許出願公開第34 05 754 A1号又はWO 2005/047793 A1号から既知である。
【0006】
必要となる新鮮な空気は乾燥機の入口及び出口を介して乾燥機に流入し、このために、乾燥機はその端壁にベニヤ及び搬送手段の入口及び出口のための開口部を有する。一部の乾燥機は、その側面に追加的な新鮮な空気の接続口を有する。出口及び入口に、いわゆる「シーリングフィールド」を有する乾燥機もある。これらは、1つのファン又は複数のファンを補助的に使用して、時折流出する蒸気を抽出し得る、仕切られたエリアである。
【0007】
米国特許出願公開第2016/0061521 A1号によれば、ベニヤ乾燥機の出口側冷却セクション内の圧力を上流の乾燥チャンバにおける圧力よりも大きいレベルに維持するために、制御が設けられる。冷却セクションを若干より高い圧力で運転することにより、排気ガスの乾燥チャンバから冷却セクションへの流出が防止され、このために、冷却セクション及び乾燥チャンバの圧力間の必要な圧力差を維持すべく、自動制御が用いられている。
【0008】
英国特許出願公開第340 510 A号により既知の乾燥機はノズルボックスを備えていないが、乾燥機の乾燥装置の全長に沿って延びる単一のチャンバを有し、その中に長手方向の空気流が存在する。ここで、出口端部には大気圧に対する乾燥機内部の正の静圧が存在し、一方、乾燥機の入口端部には負の静圧が存在することが提示されている。そのため、出口端部では過圧に伴い、乾燥機から蒸気及び木材含有物が流出するリスクがある。
【0009】
ベニヤを乾燥させるための乾燥機においては、ベニヤに含まれる水分が蒸発するのみならず、木材成分もが乾燥用空気中に放出及び蓄積されるため、特に乾燥機の後部において、それぞれの露点を下回った時点でこれらの成分もまた再び凝縮するという問題が生じる。
【0010】
乾燥機の入口及び出口においては冷気が取り込まれるため、これらのエリアは特に影響を受ける。しかしながら、長期運転中に生じる漏れ(乾燥機内部でベニヤを搬送するためのコンベヤベルトの軸シール、ファン、ドアシール、溶接部の割れ)もまた、より冷たい外気との接触による凝縮を招く。凝縮は、複数の理由により有害である。
【0011】
木材の種類によっては、凝縮物中に有機酸が存在することがある。過剰圧力がある乾燥機のエリアにおいては、これらが内皮の漏れ口を通じて断熱材に浸透し、そこでこれらは凝縮及び腐食によって乾燥機の金属外皮及び支持フレームを損傷し得る。後者は、そのような酸性及び樹脂状の蒸気及び煙への連続曝露によって、乾燥機をも停止せざるを得ない程度にまで腐食し得る。
【0012】
加えて、凝縮した物質は乾燥機の壁上又は内部の部品上に可燃性の被膜を形成し、これらは引火し得る。これは、特に乾燥機の出口におけるよく知られた問題であり、それはそこでしばしば火災を招く。しかしながら、そこにある冷却パネル及び煙突もまた、乾燥機からの蒸気がそれらに到達し、そこで凝縮した場合に影響を受ける。
【0013】
そのため、メンテナンスによる停止時においては、堆積物もまた除去される必要がある。これは多大な作業を伴い、それと同時に多くの汚れを生じさせる。この作業はまた、肉体的な負荷が大きい。作業者の健康を保護するため、彼らはマウスガード及び全身カバーオールの着用を義務付けられている。
【0014】
蒸気はまた、コンベヤベルトの軸シール又はファンを介して流出し、そこで汚染を引き起こす。乾燥機が停止すると、シール内の木材含有物が冷却され、そこで硬化し、それを固着させる。その後、ファンはもはや稼動し得なくなることがあり、これもまた欠点である。
【0015】
別の欠点は、木材含有物はまた漏れ口を通じて乾燥機の環境に入り込み、そこで働く人々によって吸い込まれてしまうことである。その含有物は数百種類の異なる化学物質で構成されており、その潜在的危険性は通常の場合記録すらされていないため、これは懸念事項である。
【0016】
原因そのものには依然として手付かずの状態であっても、上述の状況の効果を制限しようとする建設的な解決策が知られるようになっている。
【0017】
例えば、ある乾燥機メーカーは、同社の乾燥機の外皮をステンレス鋼から製造している;これは、木材成分の凝縮により引き起こされる腐食を軽減することを意図している。しかしながら、ステンレス鋼の使用は大幅な追加コストを生じさせ、さらに、この措置は乾燥機の外皮にのみ作用する。
【0018】
別の解決策は、乾燥機の外皮における開口部を用いて腐食を制限するというものである。これは、蒸気が凝縮しなくても乾燥機から流出することを可能にするものと期待されている。しかしながら、内皮で漏れが生じていることが判明した場合、その漏れ口近傍にある周囲の乾燥機の構成部品にも損傷が生じることが示されている。同様の理由により乾燥機の入口及び出口で使用されているステンレス鋼の搬送ローラもまた、一部の乾燥機において腐食を抑制する役割を果たすと考えられている。
【0019】
これらの解決策のすべてに共通するのは、これらは記載した欠点の効果を緩和し得るものの、これら自体が欠点を解消するものではないという点である。
【0020】
したがって、本発明の目的は、上述の従来技術の欠点を有しない乾燥機を創出することである。
【0021】
この目的は、特許請求項1に示すとおり解決されている。
【0022】
本発明によれば、セクションのうちの少なくとも1つにおいて、それぞれのセクションで負圧を生成するための手段があることが提示されている。
【0023】
本発明の有利なさらなる実施形態は、従属請求項から、その説明及びその図面から、特に関連付けられた説明と合わせて明らかである。
【0024】
本発明によれば、乾燥機は、好ましくは入口及び出口に位置するシーリングセクションを除き、ゾーンごとに少なくとも1つの排気ファンにより生成される負圧下で完全に運転される。その結果、負圧が至る所で作用するため、乾燥機の空気はもはや、外部に流出して記載したような問題を生じさせ得ない。代わりに、乾燥機の空気はゾーンごとに乾燥機から抽出され、好ましくはその空気が外部に放出される前にフィルタシステムに供給される。これにより、乾燥機の空気は乾燥機が設置されている機械室に流入し得ないことを確実にし、乾燥機の空気中に含まれる樹脂及び木材粉塵のような不純物は、それらがそこのノズル、例えばノズルボックスのノズル又はその他の開口部を詰まらせ得る、又は乾燥機の壁に取り付けられたバッフル板を汚し得ることのないよう、乾燥機から除去される。
【0025】
従来技術のベニヤ乾燥機において、乾燥チャンバのセクションでは約-50~0Paの値が通常であり、所によっては200~800Paの正圧ですらあり得、これらの点で従来技術の乾燥機に漏れがあった場合には、乾燥用ガスが乾燥機から流出し、上述したような問題を引き起こし得る一方、本乾燥チャンバのセクションにおいて、負圧は例えば約-500~-800Paである。
【0026】
これは、本発明によれば、乾燥機のすべてのエリアが負圧で運転されることを意味する。不必要な凝縮を防ぐため、乾燥機には少なくとも出口に、シーリングセクションとして特別な加熱シーリングチャンバが設けられている。しかしながら、シーリングセクションは入口にも設けられ得る。本発明によれば、負圧は、好ましくは各セクションで個々に設定され、それぞれのファンの吸引力により決定され得る。
【0027】
しかしながら、好ましくは、本発明によれば、乾燥機の個々のセクション間の圧力勾配が回避され、せいぜい入口及び出口セクションがそれらの間のセクションよりも低い絶対圧力で運転されるのみである。
【0028】
シーリングセクションは、特に乾燥機の出口に設けられているが、加熱シーリングチャンバとして入口側でもさらに使用され得、好ましくは従来の乾燥機において通例であるように通気口が設けられていないものの、ファン及び加熱装置を介して熱風(100℃~200℃)が供給される。
【0029】
乾燥機に供給される空気は高温であるため、そこでの凝縮が効果的に防止されている。この空気は、乾燥機及び冷却セクションの間におけるシーリング用空気としても作用する。
【0030】
理想的には、シーリングチャンバは若干の正圧で、又は搬送方向下流の冷却セクションに対してより低い負圧で運転される。これにより、より冷たい冷却風がチャンバ内の空気温度を低下させることを防止している。
【0031】
そのようなシーリングチャンバをシーリングセクションとして乾燥機入口で使用することは、環境制御システムによりこの箇所で木材成分の発生が予想される場合にも有利である。
【0032】
熱風を乾燥機の幅と高さにわたり最適に分配し得るよう、乾燥機において一般的に使用されているように、例えばWO03/025484 A1号から既知であるように、ノズルボックスが好ましくはこの目的で使用されている。
【0033】
熱風の消費を制限し、そうすることで熱効率を改善するために、発熱体を通例に従い循環式エアファンの下流ではなく上流に配置することが有効である。その場合、乾燥チャンバ内の圧力は、周囲の圧力に比べてわずか-100Pa~-300Paである。
【0034】
熱風の消費を最小化し、そうして熱効率を改善するために、乾燥されたベニヤの出口に向かう各セクションのシーリングは以下の手段、すなわち:搬送チェーンの端面開口部を通じた空気の流れを最小化するためのチェーンシールを設置することにより;例えば、最初又は最後の搬送ローラ及び乾燥機の端壁の間の生地インサートを用いたブラシシールにより;及び乾燥機内の環境を選択的に調整し得るよう、乾燥機のセクションの端部及び/又は側壁における閉鎖可能な開口部により、例えば調整可能なフラップ又は別の閉鎖可能な開口部により、構築されている。
【0035】
負圧での運転及びその利点は、それら自体(例えば、ミネラルウールの硬化炉において、又は一般的に、有害物質の乾燥機において)が一般に知られているものの、この運転は、特に凝縮の問題ゆえに、ベニヤ産業では依然として技術的に使用されていない。シーリングシステムにおける改良もまた、追加の熱エネルギーを使用することなく、本質的に有利な負圧モードでの運転を可能にしている。
【0036】
熱風を当てられたシーリングフィールド及びチェーンシールは、本発明の特に有利な要素である。
【0037】
本発明は、図面を参照した実施形態の例において以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】複数のセクションを有する本発明によるベニヤ乾燥機の概略上面図を示す。
図2】ベニヤを乾燥させるための複数のノズルボックスを有するセクションを示す。
図3a】セクションの端壁上の搬送チェーンをシーリングするためのシールを示す。
図3b】セクションの端壁上の搬送チェーンをシーリングするためのシールを示す。
図4a】セクション及びシールの端壁のエリアにおけるベニヤの搬送を示す。
図4b】セクション及びシールの端壁のエリアにおけるベニヤの搬送を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ベニヤ乾燥機1(図1)は、例えば、図1に示される乾燥システムの全長にわたり延びるコンベヤを有し、これは、上下に重ねて配置された複数のベルト、ローラ、又はチェーンコンベヤ1を含む。通過方向は矢印Aにより図示されている。コンベヤ装置に沿って、矢印Aの通過方向を起点とし、基本的に同じ温度ですべて運転される多数のセクション3、例えば最大で約20のセクションが入口ゾーン2の下流で交互に配置されており、セクション4の下流には、例えば標準圧又は周囲の空圧を10~30Pa上回る若干の過圧で運転されるシーリングゾーン5、及び3つのセクション8からなる冷却ゾーン7が続いている。セクション3、4の数は、通常5~25個である。
【0040】
セクション3~8のそれぞれが、独自のハウジングを有する。特に、セクション3、4はそれぞれ仕切り9を有し、これを通じてそれらは互いに接続されており、例えば、2~2.5mの長さが構築されている。
【0041】
セクション3、4では、蒸気、溶剤蒸気などの蒸発、及びそこから凝縮した粒子のベニヤからの沈降を防止するために、上記に示されるとおり、周囲の標準空圧に対して内部の圧力が著しく下げられている。
【0042】
各セクション3、4、5は、乾燥空気を生成するための手段を備えている、又はこれと連通している。セクション3、4はそれぞれ、それぞれのセクション3又は4内に乾燥用空気の流れを生成するための再循環式エアファン10(図1、2)を有する。各セクション3、4には加熱装置11が設けられており、これを介してセクション3、4内の空気が直接的(電気ヒータ又はバーナーの加熱コイル)又は間接的(蒸気、サーマルオイル、又は温水を介して)のいずれかにより加熱される。
【0043】
さらに、各セクション3、4には、セクション3、4から水分及び溶剤で飽和状態にある加熱空気、蒸気を排出するための装置が設けられている。この装置は、各個々のセクション3、4と関連付けられた排気ファン、又は中央の排気及び抽出システムのいずれかであり、各セクション3、4の個々、又は少なくとも複数のセクション3、4が組み合わされたグループにより、蒸気の排出及び抽出を行う。
【0044】
図1に示される実施形態によれば、縦に配置されたセクション3、4の3つのグループが組み合わされ、それらの蒸気はそれぞれ、ライン12、13、及び14を介して中央排気弁15に、及びここからスタック16に、グループでまとめて排出される。ライン12~14のそれぞれが、抽出された空気の量を制御又は調節し得るように絞り弁17を備えている。
【0045】
シーリングフィールド5はまた加熱装置18に接続されており、これを通じて、供給空気弁19を介して供給される温風が若干の正圧下でシーリングフィールド5に取り入れられる。シーリングフィールド5の下流には、3つの冷却ゾーン20が配置されている。
【0046】
あるいは、各セクション3、4は、蒸気を抽出するための独自の排気ファン又は他の手段を備えており、これは、所望の乾燥プロファイルに従い、すべてのセクションの長さに沿ってこれらが抽出されるよう、当業者に周知の方法で設計されている。
【0047】
セクション3、4のそれぞれにおいて、空気は、流れ方向を矢印Bにより示される再循環式ファン10(図2)から加熱装置11に向かって流れ、そこで加熱される。加熱装置11から、空気は圧力チャンバ21へと導き入れられる。圧力チャンバ21は、ノズルボックス22を備えた乾燥チャンバ23の個々のレベルに空気を均一に分配する役割を果たしている。これにより、空気はノズルボックス22内に送り込まれ、そこからノズルボックス22の上側及び下側にそれぞれ配置された有孔ノズルを介して、ノズルボックス22間の乾燥チャンバ23を通過するベニヤ上に垂直方向に吹き付けられる。ベニヤは支持ローラに載っており、搬送装置(ここでは詳述されない)により図2の視野面に対して垂直方向に搬送される。支持ローラが、ノズルボックス22の間、及びそれらのやや上方に配置されていることにより、乾燥用空気が支持ローラの間をベニヤ上に流れ込む。
【0048】
乾燥用空気が、天井ボックス24から圧力チャンバ21へ、及びここからノズルボックス22を介してベニヤ沿いに吸引チャンバ25へと最適な流れで取り入れられることを確実にするために、圧力チャンバ21の幅は吸引チャンバ25の幅に対してより大きくなっている。
【0049】
排気筒を用いて乾燥用空気の一部を抽出することで、セクション3、4内のそれぞれの空圧は最大で300Paだけ低下され得る。乾燥用空気中に含まれる物質の同時抽出により、それらがセクション3、4の内壁、又はその他の箇所に沈降することを防止している。このようにして、いかなる腐食も回避される。排気は、好ましくは、第1のファン10の吸引チャンバから吸引される。
【0050】
ファン25により抽出された乾燥用空気は、好ましくは、乾燥用空気の腐食性成分が選択的に分離されるフィルタシステム(ここでは図示されていない)を通過させることで、浄化された乾燥用空気が必要に応じてシステムに送り返され得る。
【0051】
調整可能なフラップ26は、それぞれのセクション3、4内の空圧、温度、並びに水分含有量及び/又はさらなるパラメータを調整し得るように、隣接するセクションが異なる負圧を有する、又は有し得るセクション3、4の端側に配置されている。
【0052】
ベニヤがチェーンにより駆動するローラ又はコンベヤベルトで搬送される場合、セクション3、4における負圧を可能な限り維持するために、これらもまた、圧力差があると予想されるそれらのセクション3、4の端壁からチェーンが出現するエリアにおいて大部分をシーリングされる。
【0053】
チェーン28のガイドエリア27(図3a)において、後者は自由断面29を有する。それぞれのセクション3、4の壁からのチェーン28の出口では、チェーン28の上下にシーリングプレート30、31が設けられており、これらはさらに、チェーン28に向かって弾力性のシーリングリップ又はシーリングラメラ32を備えている。
【0054】
ベニヤ36の搬送には、ローラ33、37及び34、38のペア(図4a)が使用され、これらの間をベニヤ36が通過している。本発明によれば、ベニヤ36の入口及び出口のそれぞれにおけるセクション3、4のそれぞれ1つの漏れを大幅に制限し、セクション3、4のそれぞれの1つの内部の負圧の損失を抑制するために、シーリング装置39、40が設けられており、これらは、セクション4~6のそれぞれ1つに、端側外壁42のエリアに設けられた開放スロット41を通じて空気が入り込むのと防止するために、ベニヤ36の下側及び上側のそれぞれの上にあるローラ34及び38と連携している。
【0055】
例えば、シーリング装置39は、例えば動物の毛又は金属線から形成された複数のブリッスル43、又は例えばゴム又はプラスチックから形成されたラメラを備える。ブリッスル43は、好ましくは外壁42の内側に取り付けられた支持体44により束ねられている。
【0056】
セクション3、4において実質的な負圧を維持するために本発明により提供される手段は、すべての種類のベニヤ乾燥機、例えば冒頭で既に言及し、WO 03/025484 A1号において開示されたベニヤ乾燥機、又は2つのコンベヤベルト間におけるループ状のベニヤのガイドを開示しているWO 2005/047793 A1号から既知であるベニヤ乾燥機において実現され得る。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b