(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】防災行政無線のテレビホーム受信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/18 20060101AFI20240905BHJP
H04B 1/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H04B1/18 A
H04B1/16 M
(21)【出願番号】P 2020185993
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592236371
【氏名又は名称】サン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【氏名又は名称】庄司 修
(74)【代理人】
【識別番号】100066821
【氏名又は名称】庄司 建治
(72)【発明者】
【氏名】松原 寛至
(72)【発明者】
【氏名】工藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】藤高 丞士
(72)【発明者】
【氏名】三上 尚人
(72)【発明者】
【氏名】田中 真也
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3125859(JP,U)
【文献】特開2008-131585(JP,A)
【文献】特開2006-049946(JP,A)
【文献】特開昭63-310234(JP,A)
【文献】特開2017-192015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16 - 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送や衛星放送を受信するテレビホーム受信システムにおいて、
前記地上デジタル放送や衛星放送を受信するアンテナの同軸ケーブルを接続する混合器に、
筒状体の中にコイル状に形成したアンテナ素子を装填して小型化された防災行政無線を受信するアンテナ
が、同軸ケーブルを混合させる端子を設け
て、防災行政無線の信号が混合され、若しくは、地上デジタル放送を受信するアンテナの同軸ケーブルの途中に防災行政無線用の混合器が設置され、その混合器に防災行政無線を受信するアンテナの同軸ケーブルが接続されその信号が混合され、
増幅器なしで分配器を通じて各部屋の壁面テレビ端子に、前記防災行政無線の信号が分配供給され、所望の部屋の壁面テレビ端子に防災行政無線の戸別受信機を接続することにより、防災行政無線が受信自在に構成されていることを特徴とする、防災行政無線のテレビホーム受信システム。
【請求項2】
地上デジタル放送や衛星放送を受信するテレビホーム受信システムにおいて、
前記地上デジタル放送及び衛星放送並びに防災行政無線をそれぞれ受信するアンテナの同軸ケーブルが混合器を介して接続される増幅器、若しくは各々の同軸ケーブルが直接接続される増幅器の中に、防災行政無線用の信号を増幅する帯域を有する防災行政無線用増幅部があり、その防災行政無線用増幅部は、商用電源で動作する増幅部用電源部で通常動作され、停電時には、前記増幅部用電源部から供給されている電源で充電されている蓄電装置で前記防災行政無線用増幅部は動作され、
分配器を通じて各部屋の壁面テレビ端子に、前記増幅された防災行政無線の信号が常時分配伝送され、所望の部屋の壁面テレビ端子に防災行政無線の戸別受信機を接続することにより、防災行政無線がいつでも受信可能に構成されていることを特徴とする、防災行政無線のテレビホーム受信システム。
【請求項3】
前記増幅器は情報分電盤の中に設置され、前記増幅器の防災行政無線用のアンテナが接続自在な入力端子に、予め接続された同軸ケーブルの他側が外壁面の屋外側に配設され、若しくは情報分電盤からCD管が外壁面の屋外に配設され、必要に応じて同軸ケーブルを前記CD管に挿通し前記入力端子に接続されることにより、いずれかの前記同軸ケーブルの他側に防災行政無線用のアンテナが接続可能に構成されていることを特徴とする、請求項2に記載した防災行政無線のテレビホーム受信システム。
【請求項4】
屋外に設置される前記防災行政無線を受信するアンテナは、筒状体の中にコイル状に形成したアンテナ素子を装填して小型化されていることを特徴とする、請求項
2又は3に記載した防災行政無線のテレビホーム受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災行政無線のテレビホーム受信システムに関し、さらに言えば、地上デジタル放送や衛星放送を受信する所謂テレビホーム受信システムで、停電時でもいつでも所望の部屋で戸別受信機を壁面テレビ端子に接続して防災行政無線を受信できるシステムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
現在、防災行政無線は、全国の市町村単位で運営されており、近年、防災行政無線のデジタル化が進められている。この防災行政無線に使用される無線周波数は決まった帯域幅の中で運用され、限られた電波資源の中で干渉を起こさないために電波出力をなるべく弱くするよう定められている。
そのため、室内に設置される防災行政無線受信用戸別受信機は、デジタル化されても戸別受信機に搭載されたロッドアンテナでは受信できない家や、戸別受信機設置時は受信できていても到来電波がフェージング等により変動して受信できなくなる。この場合、屋外アンテナを設置して壁に穴をあけケーブルを引き込む必要があり、室内において配線ケーブルが大変邪魔になる。また、壁に穴をあけることを拒む家も多いため、戸別受信機の普及に大きな障害となっている。
また、防災行政無線は市町村の役場から電波が送信されているため、例えば、役場から南東方向や南および南西方向の土地に建っている家は、防災行政無線の電波が家の北側や北東および北西の方向から到達することになり、その方角から穴をあけ家の中にケーブルを引き込む場合、居間までの距離が遠くなる。また、戸別受信機を移動させたいときにはケーブルを配線しなおすなど大変厄介である。
一方、家が建築されるときには、通常地上デジタル放送や衛星放送を受信するためのアンテナや、同軸ケーブル、分配器、壁面テレビ端子等が完備された所謂ホーム受信システムが備え付けられるが、そこに上記した防災行政無線を組み込めないか、本出願人は着目している。
【0003】
これに関し、例えば下記特許文献1には、防災無線放送受信機および防災行政無線システムが記載されている。同文献1の符号を援用すると、防災無線信号を受信する防災無線受信回路12と、通常の放送信号を受信し、局部発振信号に基づき中間周波信号を得るAM/FM受信回路13と、防災無線受信回路12とAM/FM受信回路13とで、共用可能なオーディオアンプ14と、防災無線受信回路12とAM・FM受信回路13の出力をオーディオアンプ14に選択的に入力する切替スイッチ16と、防災無線信号を受信して無い場合にはAM/FM受信回路13の出力を選択し防災無線信号を受信している場合には防災無線受信回路12の出力を選択するように切替スイッチ16に指示するスケルチ回路122と、を有し、FM放送受信回路の局部発振周波数が中間周波数分だけFM放送信号の周波数に加算するように設定される。また、同文献1の段落番号[0017][0018]には、防災無線放送受信機1は、主構成要素の一つの受信アンテナ11は、親局101からの防災無線信号を受信したり、一般に放送されているAM/FM放送を受信するアンテナであり、防災無線受信回路12とAM/FM受信回路13と共用される旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示された防災無線放送受信機および防災行政無線システムは、通常放送受信回路の局部発振信号の影響を抑止でき、防災無線受信機の受信能力の低下を防止できるが、デジタル化が進む防災行政無線を、どこでもいつでも受信できるようにするためには、屋外アンテナを設置して、壁に穴をあけケーブルを引き込む必要がある。
ところで、小規模なテレビホーム受信システムでは、戸建て住宅などで2つの部屋に分配するシステムから8分配するシステムなどがある。分配する端子数が少ない場合は分配損失が少ないため増幅器なしで壁面テレビ端子に信号を伝達できる。したがって、このようなシステムの地上デジタル放送用アンテナの出力ケーブルに混合器を設置し、屋外に設置された防災行政無線用アンテナの出力を混合して、壁面テレビ端子へ戸別受信機を接続し、どの壁面テレビ端子でも受信できるように案出した。
また、テレビホーム受信システムでは、分配する端子数が増えると信号の減衰が大きくなるため、分配器の前に増幅器が必要になってくる。この増幅器には屋外に設置されるものと屋内に設置されるものの2種類がある。屋外に設置されるものは屋内に設置された商用電源100Vで動作する電源部からテレビホーム受信システムの壁面テレビ端子や分配器を通過して屋外に設置された増幅器にDC15Vが供給される。屋内に設置される増幅器は商用電源100Vに接続されて動作をしている。どちらの増幅器も停電になれば動作を停止してしまう。しかし、防災行政無線は停電時でも緊急連絡があれば受信する必要があるので、この点が解決すべき重要課題となっている。
したがって、本発明は上記課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、地上デジタル放送や衛星放送を受信するテレビホーム受信システムを利用して、場合によっては増幅器を設置し、どの部屋でも戸別受信機を壁面テレビ端子に接続して、停電時でもいつでも所望の部屋で防災行政無線を受信できて防災対策に資する防災行政無線のテレビホーム受信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、地上デジタル放送や衛星放送を受信するテレビホーム受信システムにおいて、
前記地上デジタル放送や衛星放送を受信するアンテナ1、2の同軸ケーブル10、20を接続する混合器4(h)に、筒状体の中にコイル状に形成したアンテナ素子を装填して小型化された防災行政無線用のアンテナ3が、同軸ケーブル30を混合させる端子を設けて、防災行政無線の信号が混合され、若しくは、地上デジタル放送を受信するアンテナ1の同軸ケーブル10の途中に防災行政無線用の混合器4(g)が設置され、その混合器4(g)に防災行政無線のアンテナ3の同軸ケーブル30が接続されその信号が混合され、
増幅器なしで分配器5を通じて各部屋の壁面テレビ端子6に、前記防災行政無線の信号が分配供給され、所望の部屋の壁面テレビ端子6に防災行政無線の戸別受信機7を接続することにより、防災行政無線が受信自在に構成されていることを特徴とする、防災行政無線のテレビホーム受信システムである。
【0007】
請求項2に記載した発明は、地上デジタル放送や衛星放送を受信するテレビホーム受信システムにおいて、
前記地上デジタル放送及び衛星放送並びに防災行政無線をそれぞれ受信するアンテナ1、2、3の同軸ケーブル10、20、30が混合器4を介して接続される増幅器8、若しくはそれぞれの同軸ケーブル10、20、30が直接接続される増幅器8の中に、防災行政無線用の信号を増幅する帯域を有する防災行政無線用増幅部aがあり、その防災行政無線用増幅部aは、商用電源で動作する増幅部用電源部fで通常動作され、停電時には、前記増幅部用電源部fから供給されている電源で充電されている蓄電装置eで前記防災行政無線用増幅部aは動作され、
分配器5を通じて各部屋の壁面テレビ端子6に、前記増幅された防災行政無線の信号が常時分配伝送され、所望の部屋の壁面テレビ端子6に防災行政無線の戸別受信機7を接続することにより、防災行政無線がいつでも受信可能に構成されていることを特徴とする、防災行政無線のテレビホーム受信システムである。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記増幅器8が情報分電盤9の中に設置され、前記増幅器8の防災行政無線用のアンテナ3が接続自在な入力端子80に、予め接続された同軸ケーブル30の他側が外壁面tの屋外側に配設され、若しくは情報分電盤9からCD管が外壁面tの屋外に配設され、必要に応じて同軸ケーブル30を前記CD管に挿通し前記入力端子80に接続されることにより、いずれかの前記同軸ケーブル30の他側に防災行政無線用のアンテナ3が接続可能に構成されていることを特徴とする、請求項2に記載した防災行政無線のテレビホーム受信システムである。
【0009】
請求項4記載した発明は、屋外に設置される前記防災行政無線を受信するアンテナ3は、筒状体の中にコイル状に形成したアンテナ素子を装填して小型化されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載した防災行政無線のテレビホーム受信システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る防災行政無線のテレビホーム受信システムは、地上デジタル放送や衛星放送を受信するテレビホーム受信システムを利用して、防災行政無線の信号を混合させ、分配器を通じて各部屋の壁面テレビ端子に記防災行政無線の信号が分配供給されるので、所望の部屋の壁面テレビ端子に防災行政無線の戸別受信機を接続することにより、わざわざ壁に穴をあけて、屋外に設置の防災行政無線専用のアンテナからの同軸ケーブルを通して希望する部屋まで引き込んで受信する必要がなく、防災行政無線を簡便かつ確実に受信できる利便性がある。
また、請求項2に係る防災行政無線のテレビホーム受信システムは、地上デジタル放送や衛星放送を受信するテレビホーム受信システムに装備された増幅器の中に、防災行政無線用の信号を増幅する帯域を有する防災行政無線用増幅部があり、その防災行政無線用増幅部は、商用電源で動作する増幅部用電源部で通常動作され、停電時には、増幅部用電源部から供給されている電源で充電されている蓄電装置で防災行政無線用増幅部は動作され、分配器を通じて各部屋の壁面テレビ端子に、増幅された防災行政無線の信号が常時分配伝送されるので、どの部屋でも戸別受信機を壁面テレビ端子に接続して、停電時でもいつでも所望の部屋で防災行政無線を受信できて防災対策に貢献する。とりわけ、昨今各地で発生している川の氾濫などで1階部分が水没するような場合であっても、戸別受信機を2階に持込んで壁面テレビ端子に接続することにより、すでに停電になっていても防災行政無線の帯域は防災行政無線用増幅部が蓄電装置で動作しているため、安心して引き続き防災無線を聞くことができる自在性に優れ、防災対策に万全である。
さらに、請求項3のように、情報分電盤の中に増幅器を設置し、その増幅器の防災行政無線用のアンテナが接続自在な入力端子に、予め接続された出力ケーブルの他側を外壁面の屋外側に配設したり、前記情報分電盤からCD管を外壁面の屋外に配設しておけば、必要に応じて防災行政無線受信アンテナの出力ケーブルを前記CD管に挿通して入力端子に接続でき、また、前記出力ケーブルの他側に、防災行政無線用のアンテナを容易に接続でき便利である。
しかも、請求項4のように、屋外に設置される前記防災行政無線を受信するアンテナを、筒状体の中にコイル状に形成したアンテナ素子を装填してコンパクトに実施すれば、同アンテナの屋外での設置が容易な上、防災行政無線の電波を高感度で受信でき、自然災害情報のリアルタイムかつ正確な受信の実現に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の防災行政無線のテレビホーム受信システムを示す構成図である。
【
図2】屋外で増幅器を使用した防災行政無線のテレビホーム受信システムを示す構成図である。
【
図3】屋内で増幅器を使用した防災行政無線のテレビホーム受信システムを示す構成図である。
【
図4】屋外で混合された防災行政無線等の信号を1本の同軸ケーブルを屋内に通し、屋内で増幅器を使用した防災行政無線のテレビホーム受信システムを示す構成図である。
【
図5】防災行政無線のテレビホーム受信システムの増幅器を情報分電盤に設置した状況を示す斜視図である。
【
図6】防災行政無線用アンテナ等の屋外設置状況を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の防災無線の防災行政無線のテレビホーム受信システムの好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。本受信システムは、地上デジタル放送や衛星放送を受信するテレビホーム受信システムに適用して実施される。
この防災行政無線のテレビホーム受信システムは、各家庭で一般的に普及している小規模のテレビホーム受信システムに、混合器4を追加するだけで防災行政無線用の屋外アンテナ3を設置でき、その信号を各部屋に設置されている壁面テレビ端子6まで伝送できるシステムである。屋外に防災行政無線専用の屋外アンテナ3を設置するために、外壁に穴をあけてアンテナからの同軸ケーブルを通し希望する部屋まで引き込んで受信する必要がない。
【0013】
図1に示したように、本システムは、地上デジタル放送を受信するアンテナ1の出力ケーブルである同軸ケーブル10の途中に、防災行政無線用の混合器4(g)が設置され、その混合器4(g)に防災行政無線のアンテナ3の出力ケーブルである同軸ケーブル30が接続されその信号が混合されると共に、衛星放送用アンテナ2の同軸ケーブル20を混合する混合器4(h)に接続され、それらの信号が混合されている。あるいは、地上デジタル放送や衛星放送を受信するアンテナ1、2の同軸ケーブル(出力ケーブル)10、20を混合する混合器4(h)に、防災行政無線用のアンテナ3の同軸ケーブル30を混合させる端子を設けて防災行政無線を混合し、その混合器4(h)に防災行政無線のアンテナ3の同軸ケーブル30を混合する実施形態も採用可能である(図示は省略)。
そして、前記混合器4(h)に接続した分配器5を通じて、各同軸ケーブル50で接続された各部屋の壁面テレビ端子6に、前記防災行政無線の信号が分配供給され、所望の部屋の壁面テレビ端子6に防災行政無線の戸別受信機7を接続するだけで、防災行政無線が受信自在になっている。なお、同図示例では、2分配された一つの壁面テレビ端子6にテレビmが接続されている。
したがって、壁面テレビ端子6がリビングにあればリビングでも、壁面テレビ端子6が寝室にあれば寝室でといったように、受信したい部屋で防災行政無線を受信できる大変便利なシステムである。システム例として、既設の家においては、防災行政無線受信用アンテナ3の出力を混合する混合器4(g)を、地上放送受信用アンテナ1の出力ケーブル10の途中に追加する形態が通常である。また、新しく家を建設するときに本システムを導入するときには、地上放送受信用アンテナ1と衛星放送受信用アンテナ2と防災行政無線受信用アンテナ3を、一つのもので接続できる混合器4を用いる形態で好適に実施可能である。
【0014】
図2~
図4は、防災行政無線や地上デジタル放送や衛星放送を受信する本システムに増幅器8を組み込んだ実施形態を示している。
図2は屋外での実施形態、
図3は防災行政無線や地上デジタル放送や衛星放送の信号をそれぞれ屋内に通し、屋内に増幅器8を組み込んだ実施形態を示している。
図4は防災行政無線や地上デジタル放送や衛星放送を屋外で混合し、1本の同軸ケーブルで屋内に通し、屋内に増幅器8を組み込んだ、屋内での実施形態を示している。
図2における屋外に設置するタイプの防災行政無線に対応した増幅器8の中に、防災行政無線用の信号を増幅する帯域を有する防災行政無線用増幅部aが設置され、防災行政無線アンテナ3の同軸ケーブル(出力ケーブル)30が、その入力端子80に接続されている。この増幅器8にはまた、地上デジタル放送用アンテナ1の同軸ケーブル(出力ケーブル)10が、地上デジタル放送用増幅部bの入力端子81に接続されていると共に、衛星放送用アンテナ2の同軸ケーブル(出力ケーブル)20が、衛星放送用増幅部cの入力端子82に接続されている。前記防災行政無線用増幅部aと地上デジタル放送用増幅部bが、混合器gに接続して混合され、同混合器gと前記衛星放送用増幅部cが、混合器hに接続して混合されている。
前記の防災行政無線用増幅部aは、屋内に設置されたAC100Vの商用電源で動作している屋内電源部nから供給された電源で動作する増幅部用電源部fで通常動作される。そして停電時に備えて、前記増幅部用電源部fから供給されている電源で充電されている蓄電装置eがあり、停電時はその蓄電装置eで前記防災行政無線用増幅部aは動作される。図中、符号dは、前記増幅部用電源部fと蓄電装置eの電源の切換を行う電源切換器を示している。また、前記増幅部用電源部fと前記混合器hとが電源分離器iに接続され、同電源分離器iが電流通過型分配器5に接続可能な出力端子83に接続されている。
前記構成の増幅器8の出力端子83に接続された電流通過型分配器5から延びる各同軸ケーブル50が接続された各部屋の壁面テレビ端子6に、増幅された前記防災行政無線の信号が常時分配伝送されている。通常、屋外で使用される増幅器8はDC15Vで動作しており、そのDC15Vはテレビmの近くの商用電源コンセントに接続される屋内電源部nから壁面テレビ端子6を通して供給される。
したがって、所望の部屋の壁面テレビ端子6に防災行政無線の戸別受信機7を接続することにより、増幅された防災行政無線を常時受信することができる。停電時でも、前記蓄電装置eが動作して、いつでも所望の部屋で防災行政無線を受信できる。
【0015】
図3における屋内に設置するタイプの防災行政無線に対応した増幅器8の実施形態も、基本的構成は前記
図2の屋外タイプと同様なので説明を省略する。異なる点は、増幅器用電源部fが電源分離器iに接続されておらず、かつ前記のような屋内電源部nからの電源供給を受けずに、直接屋内の商用電源AC100Vに接続されて通常電源供給されている点である。
屋内増幅器8を使用する場合は、地上デジタル放送用アンテナ1、衛星放送用アンテナ2、防災行政無線用アンテナ3の各々の同軸ケーブル10、20、30を屋内に引き込んで増幅器8の各々の入力端子80、81、82に接続する方法もあるが、
図4に示したように、前述の屋外に設置される地上デジタル放送用アンテナ1、衛星放送用アンテナ2、防災行政無線用アンテナ3の各々の同軸ケーブル10、20、30を混合する混合器4を設置して、一本の同軸ケーブルを屋内に引き込んで増幅器8に接続する方法もある。この場合、屋内増幅器8には混合入力端子84が設けられ内部回路には、各々を分波して各専用の増幅部a、b、cに伝達する分波部jが設けられている。
【0016】
上述した本システムに増幅器8を組み込んだ実施形態を、より詳細に説明する。
テレビホーム受信システムの伝送周波数帯域は、現在10~3224MHzになっている。30年ぐらい前に設置されたテレビホーム受信システムでは10~1850MHzである。これらのテレビホーム受信システムに使用されている機器のうち増幅器を除いて防災行政無線の信号を伝送することが可能である。増幅器は、分配端子数が多い場合や、テレビ放送の電波が弱い場合に必要になってくる。アンテナでテレビ放送を受信するテレビホーム受信用の増幅器では防災行政無線の54~68MHz帯は増幅していない。そのため、本案に使用する増幅器8には防災行政無線用アンテナ3を接続する端子と54~68MHz の防災行政無線用増幅部aを設け、この部分は通常は地上デジタル放送用増幅部b、衛星放送用増幅部cと同じ増幅部用電源部fから給電を受けており、停電になったとき蓄電装置eに切り替わる機能を有している。しかも、蓄電装置eは、上述したとおり常に増幅部用電源部fから充電状態になっている。そのため停電時でも、この防災行政無線の帯域は信号を増幅できる状態になっており、緊急放送などがあった場合、テレビホーム受信システムのラインを通り、壁面テレビ端子6に接続された防災行政無線の戸別受信機7は信号を受信できる。この増幅器8を複数縦続して使用すれば、大型のマンションでも各住戸の壁面テレビ端子6に戸別受信機7を接続すれば防災行政無線を受信することが可能となる。また、この増幅器は54~68MHz帯の防災行政無線用増幅部aのみを停電時に蓄電装置eで動作するようにしたため消費電力は小さく、長時間にわたって動作させることが可能である。また、本システムでは防災行政無線の電波を屋外の比較的高い場所に防災行政無線用アンテナ3を設置して受信可能となり(
図6参照)、アンテナ出力の近くにNF(雑音指数)の良い低雑音増幅器があるため受信信号品質を劣化させることなく戸別受信機7まで伝送できる特徴も有している。そのためフェージングなどによる受信電波に変動があっても戸別受信機7に余裕のある信号品質を届けることができる。従来のように屋外に戸別受信機用アンテナを設置して直接戸別受信機に接続する場合、フェージング等で電波が弱くなった際に信号品質を低下させてしまう不都合が解消される。
【0017】
図5は、この防災行政無線のテレビホーム受信システムの増幅器8を、情報分電盤9に設置した実施形態を示している。
すなわち、上述した構成の増幅器8が情報分電盤9の中に設置されている。図示例では、増幅器8の防災行政無線用アンテナ3が接続自在な入力端子80に予め接続された入力ケーブルである同軸ケーブル30が、当該情報分電盤9の窓部90に挿通され、他側が外壁面tの屋外側に配設されている(
図6参照)。或いは、情報分電盤9から図示を省略したCD管を外壁面tの屋外に配設しておけば、必要時に同軸ケーブル30をそのCD管に挿通し入力端子80に接続できる。いずれのケースでも、
図6に示したような同軸ケーブル30の他側に、防災行政無線用アンテナ3を難なく接続可能である。なお、同
図5中、符号91はHUB、92は電話端子板、93はコンセント、94は蓋体をそれぞれ示している。
【0018】
本実施形態を具体的に説明すると、ハウスメーカーが設計、施工する家においては、テレビ受信とインターネットなど通信系のLANなどの配線を一ケ所にまとめて設置工事を行う情報分電盤が普及している。設置後さらに高度なLANシステムが認可されたり、伝送スピードが速くなったり、また電波行政が変わり受信する周波数が変更になりテレビホーム受信の伝送帯域が変更になることがある。このような時に情報分電盤が設置されていれば、その中にあるHUBや増幅器を変更することにより素早く最新の設備に変更することができる。機器がどこに設置されているかを探す必要がなくスムーズな工事を行うことができる。そのため、本システムは、
図5に示したような情報分電盤9の中にあるテレビ信号用増幅器を、防災行政無線対応型の増幅器8とし最初から設置するものである。つまり、上述したように、この防災行政無線用増幅部aの入力端子80に接続した同軸ケーブル30を屋外まで先行配線しておくか、同軸ケーブル30を後から通すことができるCD管を屋外と情報分電盤9との間に予め配管しておくことにより、防災行政無線がデジタル化されるときに配布される戸別受信機7の設置が容易になる。よって、戸別受信機7の設置時に防災行政無線用アンテナ3を設置し、配線した同軸ケーブル30に防災行政無線用アンテナ3を接続すれば、壁面テレビ端子6が設置されているどの部屋でも戸別受信機7を当該壁面テレビ端子6に接続するだけで防災行政無線を受信できる訳である。
【0019】
そして、屋外に設置される上述した防災行政無線を受信する防災行政無線用アンテナ3は、コンパクト化して、筒状体の中にコイル状に形成したアンテナ素子を装填した小型タイプのものが好適である(
図6参照)。
つまり、家を新築するときテレビmを各部屋で受信可能とするため分配器5や壁面テレビ端子6を接続する同軸ケーブルを建設途中の壁の中に配線する。同じようにインターネットに接続するためのLANケーブルや電話線も配線される。壁の工事が完成するころには情報分電盤9が設置され、増幅器8、分配器5、壁面テレビ端子6が接続されたテレビ共同受信システムとなり、LAN端子とHUBのほか電話端子などが接続された情報システムが完成する。このとき、本システムによれば、増幅器8の設置と同時に防災行政無線の配線システムは完成しているので、防災行政無線受信用アンテナ3を設置して増幅器8に接続すればよい。しかし一般的な防災行政無線用のアンテナは全長が約2~2.5m程度と長くて設置場所に困る。そこで案出した本実施形態の防災無線受信用アンテナ3は、筒状体のケースの中にコイル状のアンテナ素子が装填され、全長が約600~1250mm程度と短いアンテナとなっており、地上放送用アンテナ1と衛星放送用アンテナ2と、当該防災行政無線用アンテナ3が同一のポールpに取り付けることが可能になっている。最近の家は、
図6に示したように、屋根上に太陽光パネルsがあり、アンテナを設置できる場所は、切妻の破風など大変限られており、小型で受風面積が小さい近年のアンテナ事情の需要に適応している。
【0020】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0021】
1 地上デジタル放送用アンテナ
10 同軸ケーブル
2 衛星放送用アンテナ
20 同軸ケーブル
3 防災行政無線用アンテナ
30 同軸ケーブル
4 混合器
5 分配器
6 壁面テレビ端子
7 戸別受信機
8 増幅器
80 入力端子
83 出力端子
9 情報分電盤
a 防災行政無線用増幅部
f 増幅部用電源部
e 蓄電装置
n 屋内電源部
t 外壁面