(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】放電ランプ、放電ランプの電極及び放電ランプの電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01J 61/073 20060101AFI20240905BHJP
H01J 61/86 20060101ALI20240905BHJP
H01J 61/88 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01J61/073 B
H01J61/86
H01J61/88 C
(21)【出願番号】P 2020200909
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】幸 貴史
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-028168(JP,A)
【文献】特開2004-006246(JP,A)
【文献】特開2014-127364(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0053791(US,A1)
【文献】特開2017-016761(JP,A)
【文献】特開2012-221582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/00
H01J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に対向配置される一対の電極を内部に有する放電ランプにおいて、
前記電極の少なくとも一つは、前記電極の本体の内部に、
前記本体を構成する材料よりも融点の低い伝熱体と、
前記伝熱体より融点の高い材料で構成され、かつ、前記軸方向及び前記軸方向に直交する径方向に延在するブレードを含み、前記伝熱体の対流を規制する規制体と、を備え、
前記本体の内壁面は、前記本体の先端部において前記軸方向に直交する第一内壁面と、前記軸方向に沿って延在する第二内壁面と、前記第一内壁面と前記第二内壁面とを接続する第三内壁面とを備え、
前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域の表面粗さRzは、前記第二内壁面の一部から前記第三内壁面の一部にかけて1.52μm以下である、放電ランプ。
【請求項2】
前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域、及び、前記規制体の表面のうち前記内壁面が接触する領域、の両方の表面粗さRzは、1.52μm以下である、請求項1に記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記第二内壁面及び前記第三内壁面では、それぞれの内壁面の全体に亘って、表面粗さRzが1.52μm以下である、請求項1又は2に記載の放電ランプ。
【請求項4】
前記第一内壁面では、内壁面の全体に亘って、表面粗さRzが1.52μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の放電ランプ。
【請求項5】
放電ランプの内部に配置され、回転体形状を呈する電極であって、
前記電極の本体の内部に、
前記電極を構成する材料よりも融点の低い伝熱体と、
前記伝熱体より融点の高い材料で構成され、かつ、前記回転体の軸方向及び前記軸方向に直交する径方向に延在するブレードを含み、前記伝熱体の対流を規制する規制体と、を備え、
前記本体の内壁面は、前記本体の先端部において前記軸方向に直交する第一内壁面と、前記軸方向に沿って延在する第二内壁面と、前記第一内壁面と前記第二内壁面とを接続する第三内壁面とを備え、
前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域の表面粗さRzは、前記第二内壁面の一部から前記第三内壁面の一部にかけて1.52μm以下である、電極。
【請求項6】
放電ランプの内部に配置され
、回転体形状を呈する電極を構成し、内部空間を有する本体であって、前記本体の内壁面は、前記本体の先端部において
前記回転体の軸方向に直交する第一内壁面と、前記軸方向に沿って延在する第二内壁面と、前記第一内壁面と前記第二内壁面とを接続する第三内壁面とを備える本体と、
前記本体よりも融点の低い伝熱体と、
前記内部空間に隙間を介して挿入可能な大きさを呈し、前記伝熱体の対流を規制するための規制体と、を準備するステップと、
前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域の表面粗さRzが、前記第二内壁面の一部から前記第三内壁面の一部にかけて1.52μm以下となるように研磨するステップと、
を含む、放電ランプの電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプ、放電ランプの電極及び放電ランプの電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子、液晶表示素子等の製造工程に用いられる露光装置には、光源として放電ランプ、特にショートアーク型の放電ランプが用いられている。この放電ランプは、発光管内に陽極及び陰極が軸方向に対向配置されると共に、当該発光管内に水銀等の発光物質が封入される。
【0003】
斯かる放電ランプにおいては、点灯時に電極にかかる熱的負荷が高いことから、陽極の過熱等に起因する電極材料の蒸発が生じ、この蒸発物が発光管の内壁に付着して光透過率が低下する、いわゆる黒化という問題が生じる。
【0004】
この問題を解決するため、陽極内部の密閉空間内に伝熱体を封入した構造を持つ放電ランプが提案されている。伝熱体は、ランプ点灯状態では溶融しており、陽極全体の温度分布によって密閉空間内で対流する。この伝熱体の対流が、陽極の先端(陰極に最も近い端)の熱を後端(陰極から最も遠い端)に伝達することで、陽極先端の温度が下がり、電極材料の蒸発量が抑制される。
【0005】
特許文献1及び特許文献2には、伝熱体の周方向の対流を規制する規制体を密閉空間内に設けることが記載されている。規制体を密閉空間内に設けることにより、伝熱体の周方向の対流に起因する電極先端の穴開きを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-028168号公報
【文献】特開2017-016761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今、放電ランプのさらなる高出力化及び長寿命化が、市場より求められている。放電ランプを高出力化すると電極にかかる熱的負荷が増すため、熱的負荷に長時間耐える電極を設計する必要がある。本発明の課題は、高出力化及び長寿命化を図った放電ランプと、当該放電ランプの内部に配置される電極とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、放電ランプを高出力で使用した場合の電極の熱的負荷を調査するため、放射温度計を使用して点灯時の電極表面の温度分布を測定した。測定の結果、電極表面の局所的な温度変動の幅が大きい放電ランプがあることに気付いた。温度変動とは、短時間(例えば、1分間)の中で温度が変動することを指す。電極内表面において温度変動の幅が大きな状態が長時間続くと、高温クリープ変形によって電極先端の内表面から突起が突出するような変形が生じて、電極先端に穴が開き、伝熱体が漏出するに至る。そうすると、電極の排熱性能を向上させる機能が失われてしまうため、放電ランプが短寿命化してしまう。
【0009】
詳細は後述するが、電極内表面の局所的な温度変動の幅が大きくなってしまう原因を分析したところ、伝熱体の対流を規制するための規制体が、電極の軸に対して傾いたまま電極の内壁面に固着し、伝熱体が恒常的な乱流状態を発生させることを発見した。そこで、本発明者は、規制体が電極の軸に対して傾いた状態で電極の内壁面に固着しないように、以下の放電ランプを案出した。
【0010】
本発明は、軸方向に対向配置される一対の電極を内部に有する放電ランプにおいて、
前記電極の少なくとも一つは、前記電極の本体の内部に、
前記本体を構成する材料よりも融点の低い伝熱体と、
前記伝熱体より融点の高い材料で構成され、かつ、前記軸方向及び前記軸方向に直交する径方向に延在するブレードを含み、前記伝熱体の対流を規制する規制体と、を備え、
前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域、及び、前記規制体の表面のうち前記内壁面が接触する領域、の少なくとも一方の表面粗さRzは、1.52μm以下である。
【0011】
規制体の電極の内壁面への固着は、規制体が当該内壁面に接触して引っ掛かり、伝熱体の対流によって規制体が動けなくなることにより起こる。規制体と内壁面の接触領域の表面粗さが上述の数値範囲を満たすようにすることで、仮に規制体が内壁面に接触したとしても、規制体が内壁面に引っ掛からずに滑るようになる。これにより、伝熱体の恒常的な乱流状態を発生する原因となる、規制体の内壁面への固着を抑制する。このようにして伝熱体の恒常的な乱流状態を発生させないようにし、電極内表面の局所的な温度変動の幅を小さくする。
【0012】
さらに、規制体が内壁面に接触して滑ると、規制体が内壁面に接触しない状態に戻ることがある。または、規制体が内壁面に接触して滑ると、乱流状態を発生させにくい、ブレード延在方向の傾きに移行することがある(詳細は後述する)。よって、伝熱体の乱流状態を保ちにくくする。
【0013】
伝熱体の恒常的な乱流状態を抑制すると、電極表面の局所的な温度変動の幅が小さくなる。これにより、高温クリープ変形によって電極先端に穴が開くことを防止し、長期に亘って電極の排熱性能を向上させる機能を維持して、放電ランプを高出力で使用しても、長寿命を得られるようにする。
【0014】
前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域、及び、前記規制体の表面のうち前記内壁面が接触する領域、の両方の表面粗さRzが1.52μm以下でも構わない。規制体が内壁面に対してより滑りやすくして、規制体の内壁面への固着を防ぐ。
【0015】
前記内壁面は、前記本体の先端部において径方向に沿って延在する第一内壁面と、前記軸方向に沿って延在する第二内壁面と、前記第一内壁面と前記第二内壁面とを接続する第三内壁面とを備え、前記第二内壁面及び前記第三内壁面では、それぞれの内壁面の全体に亘って、表面粗さRzが1.52μm以下でも構わない。前記第一内壁面では、内壁面の全体に亘って、表面粗さRzが1.52μm以下でも構わない。対流する伝熱体が第一内壁面、第二内壁面及び第三内壁面に接触したとき、伝熱体の乱流の形成を抑えられる。
【0016】
電極の内壁面が規制体に接触する領域だけでなく、第一内壁面全体又は第二内壁面全体に亘って表面粗さを小さくすることで、伝熱体が第一内壁面全体又は第二内壁面全体に衝突して生じる乱流を抑制する。
【0017】
本発明の、放電ランプの内部に配置され、回転体形状を呈する電極は、
前記電極の本体の内部に、
前記電極を構成する材料よりも融点の低い伝熱体と、
前記伝熱体より融点の高い材料で構成され、かつ、前記回転体の軸方向及び前記軸方向に直交する径方向に延在するブレードを含み、前記伝熱体の対流を規制する規制体と、を備え、
前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域、及び、前記規制体の表面のうち前記内壁面が接触する領域、の少なくとも一方の表面粗さRzは、1.52μm以下である。
【0018】
本発明の、放電ランプの電極の製造方法は、
放電ランプの内部に配置される電極を構成し、内部空間を有する本体と、
前記電極を構成する本体よりも融点の低い伝熱体と、
前記内部空間に隙間を介して挿入可能な大きさを呈し、前記伝熱体の対流を規制するための規制体と、を準備するステップと、
前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域、及び、前記規制体の表面のうち前記内壁面が接触する領域、の少なくとも一方を、表面粗さRzが1.52μm以下となるように研磨するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
高出力化及び長寿命化を図った放電ランプと、当該放電ランプの内部に配置される電極とを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】第一実施形態の放電ランプにおける陽極の断面図である。
【
図4】本体の軸Z1を通る平面における断面図である。
【
図7A】規制体の傾きと伝熱体の流れを示す側面図である。
【
図7B】規制体の傾きと伝熱体の流れを示す上面図である。
【
図8A】規制体の傾きと伝熱体の流れを示す側面図である。
【
図8B】規制体の傾きと伝熱体の流れを示す上面図である。
【
図9A】規制体の傾きと伝熱体の流れを示す側面図である。
【
図9B】規制体の傾きと伝熱体の流れを示す上面図である。
【
図10】第二実施形態の放電ランプにおける陽極の本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
放電ランプの各実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比は必ずしも実際の寸法比と一致しておらず、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
【0022】
以下において、
図9A及び
図9Bを除く各図面は、XYZ座標系を参照しながら説明される。
図9A及び
図9Bについては後述する。なお、本明細書において、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。以下に述べる実施形態では、-Z方向は重力方向を表す。
【0023】
<第一実施形態>
[放電ランプの概要]
図1を参照しながら、本発明の一実施形態である放電ランプの概要を説明する。放電ランプ100は、発光管1と、発光管1の内部で軸Z1の延在方向に対向配置される陽極2及び陰極3と、陽極2及び陰極3をそれぞれ支持するリード棒4と、を備えるショートアーク型放電ランプである。
【0024】
ショートアーク型放電ランプとは、陽極2と陰極3とが40mm以下の間隔(熱膨張をしていない常温時の値)を空けて配置されるものをいう。このような放電ランプの例として、半導体素子、液晶表示素子等の製造工程で使用される露光装置において使用される、定格電力が2kW~35kWの放電ランプがある。なお、本実施形態の放電ランプ100は、陽極2と陰極3とが6mmの間隔を空けて配置される。
【0025】
発光管1、陽極2、陰極3及びリード棒4は、いずれも軸Z1を中心とするように配置される。陽極2が、陰極3の上方(+Z側)に配置される。軸Z1の延在方向における発光管1の両端には、封止管11が設けられる。封止管11には、リード棒4に電気的に接続される口金12が取り付けられる。
【0026】
発光管1はガラス管から形成される。発光管1は、軸Z1の両端からそれぞれ中央に向かうにつれて、ガラス管の内径が大きくなる領域を有する。内径が大きくなるこの領域は、球体又は楕円体の形状を呈しても構わない。ガラス管には、例えば石英ガラスが使用できる。内径が大きくなる領域は発光空間S1として機能する。発光空間S1には、水銀などの発光物質の他に、アルゴンガスやキセノンガスなどの始動補助用バッファガスが、適宜封入される。
【0027】
[陽極の概要]
図2及び
図3を参照しながら、陽極の概要を説明する。
図2は、陽極2の拡大断面図である。
図2は、軸Z1を通る平面における断面を表している。なお、
図2では、規制体の形状を理解しやすくするため、規制体は断面で表さず、表面の凹凸を含んで表す。
図3は、
図2のA-A矢視断面図である。
【0028】
図2を参照して、陽極2を説明する。陽極2は、軸Z1を中心とする回転体形状を呈する。陽極2は、本体5、伝熱体9及び規制体10を有する。伝熱体9及び規制体10は、本体5の内部空間8に配置される。本体5は、容器6と蓋7とを含む。蓋7を容器6に装着したとき、密閉された内部空間8が本体5に形成される。内部空間8において、伝熱体9及び規制体10で満たされない空間がある場合には、当該空間に不活性ガス(例えば、アルゴン)を封入しても構わない。
【0029】
伝熱体9は、放電ランプ100の点灯した高温時に液体であり、放電ランプ100の消灯した低温時に固体である材料からなる。放電ランプ100の点灯時、溶融した伝熱体9は、内部空間8の中で、主に鉛直方向(Z方向)に対流する。このような鉛直方向の対流が、陽極2の先端付近の熱を陽極2の後端へ伝達する。
【0030】
本実施形態における規制体10は、
図3のように上方(+Z側)から下方(-Z側)に見たとき、X方向に延在する板とY方向に延在する板がZ1軸を中心に交差したような、十字形状を呈する。規制体10を、必ずしも2枚の板を組み合わせて製造する必要はない。例えば、規制体10を一体成型で製造しても構わない。
【0031】
このような十字形状を呈する規制体10は、換言すれば、軸Z1の延在方向と軸Z1から径方向外側に延在するブレード10bが、それぞれ軸Z1を中心に90度間隔で4枚配置された形状を呈するといえる。4枚のブレード10bが、伝熱体9の軸Z1を回る方向である周方向の対流を規制する。その結果、電極内表面の局所的な温度変動の幅を小さくすることができ、陽極2の破損が防止される。以下、本体5、伝熱体9及び規制体10の詳細を説明する。
【0032】
[本体]
図4を参照しながら、本体5を説明する。
図4は、本体5の軸Z1を通る平面における断面を表している。本体5は、内部空間8に接する内壁面15を有する。内壁面15は、本実施形態の規制体10が接触する領域15sを有する。
【0033】
本明細書において、「規制体10が接触する領域」とは、現に規制体10が接触している内壁面15上の領域のみならず、規制体10と内壁面15の大きさ及び形状の関係から、規制体10が接触する可能性のある内壁面15上の領域を含む。そして、規制体10が接触する領域15sでは、表面粗さRzが1.52μm以下であるとよい。表面粗さの詳細は、後述する。
【0034】
放電ランプ100の点灯時に本体5が溶融しないように、本体5は高融点材料で構成される。本実施形態において、本体5(容器6と蓋7)は、主にタングステンを含む材料から構成される。
【0035】
[伝熱体]
上述したように、伝熱体9は、放電ランプ100の点灯時に液体を呈し、放電ランプ100の消灯時に固体を呈する材料から構成される。伝熱体9の融点は、本体5を構成する材料の融点よりも低い。伝熱体9を構成する材料は、熱伝導性材料から構成される。本実施形態において、伝熱体9には、主に銀を含む材料が使用される。しかしながら、伝熱体9に、主に金を含む材料を使用しても構わない。
【0036】
[規制体]
規制体10が放電ランプ点灯時に溶融しないように、規制体10を構成する材料の融点は、伝熱体9を構成する材料の融点よりも高い。規制体10の材料を、本体5を構成する材料と同じにしても構わない。規制体10には、例えば、主にタングステンを含む材料から構成される。
【0037】
図5及び
図6を参照しながら、規制体10の形状について説明する。
図5及び
図6は、規制体10を示している。
図5は、規制体10を-Y側から+Y側に向かって見た、規制体10の側面図である。
図6は、規制体10を+Z側から-Z側に向かって見た、規制体10の上面図である。
【0038】
図5に見られるように、規制体10は+Z方向に進むにしたがって径が小さくなるテーパ部B1と、Z方向で径が一定の等径部B2とから構成される。規制体10の最大半径d1は等径部B2にある。
図5における領域10sは、内壁面15(
図4参照)が接触する領域である。内壁面15が接触する領域10sは、等径部B2の外側面と等径部B2近傍のテーパ部B1の外側面とから構成される。
【0039】
本明細書において、「内壁面15が接触する領域」とは、現に内壁面15に接触している規制体10上の領域のみならず、規制体10と内壁面15との大きさ及び形状の関係から、内壁面15に接触する可能性のある規制体10上の領域を含む。そして、規制体10の内壁面15が接触する領域10sでは、表面粗さRzが1.52μm以下であるとよい。表面粗さの詳細は、後述する。
【0040】
図6を参照して、規制体10を構成する4枚のブレード10bの厚みT1は、対流する伝熱体9の衝突に耐える厚みを有する。厚みは、例えば、1mm以上であるとよく、好ましくは、2mm以上3mm以下であるとよい。
【0041】
ところで、
図2及び
図3に示されるように、本来あるべき位置に配置された規制体10と内壁面15の間には、隙間G1がある。この隙間G1は、例えば放電ランプ点灯時、昇温された規制体10が熱膨張して内壁面15に接触し、内壁面15を押さないために設けられている。他方、隙間G1があるため、放電ランプ点灯時、規制体10が対流する伝熱体9に押されると、規制体10が軸Z1に対して傾いたり、規制体10の中心軸が軸Z1からずれたり、規制体10が回転したりする。
【0042】
規制体10が傾くなどして伝熱体9の対流方向が変化すると、陽極2の内表面の局所的な温度変動の幅が大きくなってしまう。温度変動の幅の大きな状態が長時間続くと、上述したように、陽極2が破損するおそれがある。
【0043】
よって、陽極2の局所的な温度変動の幅は小さい方が好ましい。本明細書において、温度変動の幅は、放電ランプ100が点灯状態であり、かつ、放電ランプ100が全体として昇温の最中(例えば、点灯直後)にないとき、陽極2の表面の任意の部分を1分間測定した中で得られた最高温度と最低温度の差によって定義される。陽極2の温度変動の幅は10℃以内であるとよい。
【0044】
以上で、伝熱体9の対流が陽極2の温度変動の幅に影響を与えることを簡単に説明した。次に、規制体10のどのような傾きが温度変動の幅を大きくするか、について分析した結果を説明する。
【0045】
[規制体の傾きと温度変動]
本実施形態における、規制体10の傾き、伝熱体9の対流、及び温度変動についての計算機シミュレーションを行った。
図7A、
図8A及び
図9Aは、規制体10の傾きと伝熱体9の流れを示す側面図である。
図7B、
図8B及び
図9Bは、規制体10の傾きと伝熱体9の流れを示す上面図である。
【0046】
図7A及び
図7Bでは、規制体10が本来あるべき位置に配置され、かつ、軸Z1に対して傾きのない様子を示す。
【0047】
図8A及び
図8Bでは、規制体10が、軸Z1に対してi1だけ傾いた様子を示す。
図8Aに示されるように、点G1及び点G2において、規制体10が内壁面15に接触している。本実施形態において、規制体10と内壁面15が点G1及び点G2で接触するときの傾きi1は、7.0度(deg.)である。
図8Bにおいてハッチングされた領域は、規制体10が傾くことによって上面から見えるようになった、規制体10の側面を示す。後述する
図9Bも同様である。
【0048】
図9A及び
図9Bでは、規制体10が、軸Z1に対してi2だけ傾いた様子を示す。
図9Aに示されるように、点G3及び点G4において、規制体10が内壁面15に接触している。本実施形態において、規制体10と内壁面15が点G3及び点G4で接触するときの傾きi2は、8.7度(deg.)である。なお、
図9Bは、後述する規制体10の傾きの回転軸であるV1軸に沿うV軸と、V軸及びZ軸に直交するW軸を追加表示している。
図9Aでは、W軸及びV軸を含む座標系で規制体10を表示している。
【0049】
図8A及び
図8Bにおいて、規制体10の傾きはブレード延在方向の傾きであり、
図9A及び
図9Bにおいて規制体10の傾きはブレード非延在方向の傾きである。「ブレード延在方向の傾き」と「ブレード非延在方向の傾き」について説明する。
【0050】
本明細書において、規制体10を構成するブレード10bがZ1軸から径方向に延在する方向を、「ブレード延在方向」という。本実施形態の規制体10の場合、ブレード10bは、Z1軸から径方向にX軸及びY軸に沿って延在している。よって、規制体10のブレード延在方向は、X軸又はY軸に沿う方向である。よって、規制体10の傾きの回転軸が、X軸に沿う軸又はY軸に沿う軸であれば、規制体10の傾きはブレード延在方向の傾きに該当する。
図8A及び
図8Bでは、規制体10の傾きの回転軸は、Y軸に沿うY2軸である。ゆえに、
図8A及び
図8Bにおける規制体10の傾きは、ブレード延在方向の傾きに該当する。
【0051】
本明細書において、規制体10を構成するブレード10bがZ1軸から径方向に延在する方向のいずれにも沿わない方向を、「ブレード非延在方向」という。規制体10の場合、ブレード10bは、Z1軸から径方向にX軸及びY軸に沿って延在している。よって、規制体10の傾きの回転軸が、X軸又はY軸に沿わない軸であれば、規制体10の傾きはブレード非延在方向の傾きに該当する。
図9A及び
図9Bでは、規制体10の傾きの回転軸は、V1軸を中心に回転する傾きであり、V1軸はX軸又はY軸方向に沿わない。ゆえに、
図9A及び
図9Bにおける規制体10の傾きは、ブレード非延在方向の傾きに該当する。
【0052】
図7A、
図7B、
図8A、
図8B、
図9A及び
図9Bに示される矢符f1~f3は、シミュレーションにより求められた、放電ランプ点灯時において溶融した伝熱体9の対流方向を示している。伝熱体9の流れは、規制体10を回避するように形成される。
図7A及び
図7Bに示された流れf1、並びに
図8A及び
図8Bに示された流れf2は比較的単純で、乱流を形成しない。それに対し、
図9A及び
図9Bに示された流れf3は比較的複雑で、流れf3同士が衝突し合い乱流を形成する。乱流により、流れる方向が経時的に大きく変化する。そして、乱流する近くの本体5の局所領域では、温度変動の幅が大きくなる。
【0053】
以上より、規制体10が軸Z1に対して傾いていない
図7A及び
図7Bと、規制体10が軸Z1に対してブレード延在方向の傾きを有する
図8A及び
図8Bでは、伝熱体9が乱流を形成しにくく、本体5の局所的な温度変動の幅は小さくなるのに対し、規制体10が軸Z1に対してブレード非延在方向の傾きを有する
図9A及び
図9Bでは、伝熱体9が乱流を形成し、本体5の局所的な温度変動の幅は大きくなることを説明した。
【0054】
[規制体の傾きと表面粗さ]
本発明者の鋭意研究により、規制体10が傾いて内壁面15に接触し、規制体10が内壁面15との摩擦により引っ掛かって規制体10が動けなくなり、規制体10が内壁面15に固着し得ることが判明した。そして、ブレード非延在方向の、乱流を形成するような傾きを保つように規制体10は内壁面15に固着する場合には、本体5の局所的な温度変動の幅が大きくなることが判明した。
【0055】
そこで、本発明者は、本体5の局所的な温度変動の幅を小さくすることを目的として、規制体10が接触する領域、又は、内壁面15が接触する領域の表面粗さを小さくして、規制体10が内壁面15に固着させないようにする方法を編み出した。
【0056】
規制体10が接触する領域、又は、内壁面15が接触する領域の表面粗さが小さいと、仮に、規制体10が内壁面15に接触しても、規制体10が内壁面15に対して滑りやすくなり、規制体10が傾いた状態で固着することを抑制できる。例えば、規制体10が温度変動の幅が大きくなってしまうブレード非延在方向に傾いたとしても、規制体10が領域15sの表面を滑り、規制体10が傾きのない状態に戻ったり、ブレード延在方向の傾きに変化したりする。つまり、表面粗さが小さいと、温度変動の幅が大きくなってしまうような規制体10のブレード非延在方向での傾きを保たないようにできる。
【0057】
クーロン摩擦モデルから、摩擦係数は互いに接触する規制体10と内壁面15の両方の表面粗さによって決定される。しかしながら、実際的には、摩擦係数に及ぼす表面粗さの限界があることから、本体5の内壁面15のうち規制体10が接触する領域15s、及び規制体10の表面のうち内壁面15が接触する領域10sの、いずれか一方の表面粗さを規定値以下にするとよい。もちろん、本体5の内壁面15のうち規制体10が接触する領域15s、及び規制体10の表面のうち内壁面15が接触する領域10sの両方の表面粗さを規定値以下にしてもよい。このような表面粗さの制御は、本体5の内壁面15又は規制体10に対し、電解研磨、ラッピング研磨等の研磨処理を施すことにより行う。
【0058】
[表面粗さの規定値]
表面粗さの規定値は、表面粗さRzで定められる。表面粗さRzは、表面の最大高さを表す。表面粗さRzは、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出し、最大の凸の高さと最も深い凹の深さとの和によって表される。規制体10と内壁面15とが最も引っ掛かり易い凹凸について、凸の高さ又は凹の深さを制御できるため、高い凸又は特に深い凹により、規制体10が内壁面15に引っ掛かるリスクを抑制できる。このため、本発明では、表面粗さの規定値を表面粗さRzで定めている。
【0059】
本体5の局所的な温度変動の幅を小さくすることができる表面粗さを求めるために、以下の実験を行った。まず、内部空間8を有する陽極2の本体5(容器6及び蓋7)と、伝熱体9と、内部空間8に隙間G1を介して挿入可能な大きさを呈する規制体10と、を6セット準備した。
【0060】
次に、本体5の内部空間8に接する内壁面15のうち、規制体10が接触する領域15sを研磨した。研磨条件を変更することで、規制体10が接触する領域15sの表面粗さRzをそれぞれ異ならせた。規制体10の表面のうち内壁面15が接触する領域10sの表面粗さRzについても同様に、研磨条件を変更することで表面粗さRzをそれぞれ異ならせた。
【0061】
本体5の容器6に伝熱体9と規制体10を挿入して、その後、不活性ガスを封入して、容器6に蓋7を嵌め込み、6個の陽極を作成した。
【0062】
以上のようにして、内壁面15のうち規制体10が接触する領域15sの表面粗さと、規制体10の表面のうち内壁面15が接触する領域10sの表面粗さがそれぞれ異なる6種類の陽極(サンプル1~サンプル6)を準備した。
【0063】
サンプル1~6の内壁面15のうち規制体10が接触する領域15sの表面粗さRz(表1では内壁面の表面粗さRzと記載)及び規制体10の表面のうち内壁面15が接触する領域10sの表面粗さRz(表1では規制体の表面粗さRzと記載)を、以下の表に示す。これらの表面粗さRzは、表面粗さ計(株式会社ミツトヨ製、SURFTEST SJ-500、測定子は12AAC740(2倍スタイラス/先端60度))を使用して測定された。準備した6種類の陽極を組み込んだ放電ランプを作成した。表1に、サンプル1~サンプル6を示す。サンプル1~サンプル6について、表面粗さ以外の寸法及び材質等は共通する。
【0064】
【0065】
サンプル1~サンプル6の陽極をそれぞれ使用した放電ランプについて、陽極2が陰極3よりも上方に位置する垂直姿勢で、定格電力5kWを入力し、点灯時間15分-消灯時間120分を1サイクルとして、10サイクルの点灯/消灯を繰り返した。この10サイクル間の陽極の表面温度を、放射温度計(CHINO製のIR―AHS2)で測定した。
【0066】
1サイクルの間における温度測定時間は、点灯を開始してから7分後から、12分後までの5分間である。点灯を開始して7分後、陽極2は十分に昇温し、伝熱体9は溶融している。消灯時間の120分後、陽極2は冷却され、伝熱体9は凝固している。放射温度計の測定サンプリングレートは0.1秒である。
【0067】
温度測定箇所は、陽極先端面からZ1軸に沿って+Z方向に10mm離れた陽極表面上において、周方向に等間隔に離れた4点である。測定データは、測定箇所ごとに、1サイクル(5分)の測定データを1分間ずつに区分し、区分した1分間における測定データの最大値及び最小値との差を算出した。この差は、一つの測定箇所における1分間の温度変動幅を意味する。
【0068】
全ての測定箇所における10サイクル分の温度変動幅のうち、最も大きい温度変動幅を、温度変動幅の最大値TDと規定した。表1に、各サンプルにおける温度変動の最大値TDを示す。表1によれば、サンプル1~3は13℃未満の温度変動幅の最大値TDを示す。よって、サンプル1~3の温度変動幅は小さく、良好な評価結果であると判断される。サンプル4~6は13℃以上の温度変動幅の最大値TDを示すため、サンプル4~6の温度変動幅は大きく、良好でない評価結果であると判断される。
【0069】
サンプル1~3は、内壁面の表面粗さRzと規制体の表面粗さRzのうち、いずれか一方の値が1.52μm以下である。他方、サンプル4~6は、内壁面の表面粗さRzと規制体の表面粗さRzの両方の値が1.52μmを超えている。
【0070】
ここで、摩擦係数は、互いに接触する規制体10と内壁面15の両方の表面粗さによって決定される、というクーロン摩擦モデルを踏まえると、内壁面15側の表面粗さRz又は規制体10側の表面粗さRzのいずれかの値が1.52μm以下であれば、温度変動幅を13℃未満にできる。
【0071】
以上を総合すると、前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域、及び、前記規制体の表面のうち前記内壁面が接触する領域、の少なくとも一方について、表面粗さRzが1.52μm以下であると、陽極2の局所的な温度変動の幅を13℃未満に抑えられる。斯かる温度変動の幅が13℃を超えると、陽極2が破損するおそれがあり、放電ランプ100の寿命を縮めることがある。
【0072】
[規制体の傾きの観察]
上記実験の終えた放電ランプからサンプル1~6の陽極を取り出し、それぞれの陽極を切断及び解体して、陽極の内壁面15を観察した。サンプル1~3の内壁面15について特段の傷は確認されなかった。サンプル4~6の内壁面15について、規制体10の接触可能な位置に圧痕が確認された。
【0073】
この内壁面15の観察から、次のことが推測される。サンプル4~6は、規制体10の膨張や伝熱体9の対流により、規制体10が内壁面15の同一場所に長時間押しつけられて圧痕が生じたことが推測される。サンプル1~3は、前記本体の内壁面のうち前記規制体が接触する領域、及び、前記規制体の表面のうち前記内壁面が接触する領域の表面粗さRzが小さいため、規制体10の膨張や伝熱体9の対流により、一時的に規制体10が内壁面15に押しつけられたとしても、規制体10が滑り同一場所に長時間押し付けられなかったため、圧痕を形成しなかったと推測される。
【0074】
表面粗さRzの上記数値範囲は、陽極2の使用履歴の無いものを想定している。しかしながら、陽極2の使用によって受ける熱で、高温クリープ変形が生じて内壁面15の表面粗さは、徐々に大きくなる傾向があることが分かっている。それゆえ、使用履歴の有る陽極2についても上述の方法で表面粗さを測定し、その測定結果が上記数値範囲を満たす場合には、当該陽極2が未使用であった場合に、上記数値範囲を満たしていると推定できる。
【0075】
<第二実施形態>
図10を参照しながら、第二実施形態の放電ランプの陽極を説明する。陽極20では、本体5の内壁面が、本体5の先端部において軸方向(Z軸)に直交する第一内壁面15aと、軸方向に沿って延在する第二内壁面15bと、第一内壁面15aと第二内壁面15bとを接続する第三内壁面15cとを有し、第二内壁面15b及び第三内壁面15cでは、それぞれの内壁面の全体に亘って表面粗さRzが1.52μm以下である。
【0076】
つまり、第二内壁面15b及び第三内壁面15cは、本体5の内壁面15のうち規制体10が接触しない領域を含み、当該領域には、当然ながら規制体10の滑りを良くする必要性はない。しかしながら、規制体10が接触しない領域の表面粗さを小さくすることにより、対流する伝熱体9が第二内壁面15b及び第三内壁面15cに接触したとき、伝熱体9の乱流の形成を抑えられる。これにより、温度変動の幅を小さくできる。
【0077】
第二実施形態の変形例として、第一内壁面15aが、全体に亘って、表面粗さRzが1.52μm以下でもよい。これにより、対流する伝熱体9の流れが第一内壁面15aに接触したとき、伝熱体9の乱流の形成を抑えられる。これにより、温度変動の幅を小さくできる。
【0078】
以上で、各実施形態を説明した。本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上述の実施形態及び変形例に、種々の改良又は変更を施すことができる。改良又は変更の例を以下に示す。
【0079】
規制体の形状は特に制限されない。規制体10は、上方(+Z側)から下方(-Z側)に見たとき、2枚の板がZ1軸を中心に交差したような十字形状を示したが、この形状に限定されない。例えば、規制体が1枚の板から構成される形状でも構わない。また、規制体10は、横方向(Z1軸に直交する方向)から見たとき、テーパ部B1を有していたが、テーパ部B1は無くてもよい。すなわち、等径部B2のみから構成されても構わない。さらに、等径部B2が無く、全てテーパ部B1から構成されても構わない。
【0080】
上記では、陽極2が、伝熱体9及び規制体10を有する例について述べたが、陽極2と同様に、陰極3が規制体及び伝熱体を有していても構わない。放電ランプ100は、陰極3が陽極2より上方に位置するように配置しても構わない。放電ランプ100は、陽極2と陰極3が水平方向に並ぶように配置しても構わない。
【符号の説明】
【0081】
1 :発光管
2,20:陽極
3 :陰極
4 :リード棒
5 :(電極の)本体
6 :容器
7 :蓋
8 :内部空間
9 :伝熱体
10 :規制体
10b :ブレード
10s :内壁面が接触する領域
11 :封止管
12 :口金
15 :内壁面
15a :第一内壁面
15b :第二内壁面
15c :第三内壁面
15s :規制体が接触する領域
100 :放電ランプ
B1 :テーパ部
B2 :等径部
S1 :発光空間