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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】端子金具及び連鎖端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20240905BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R4/18 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021099238
(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公開番号】P2022190797
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】中村 英人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大亮
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-504676(JP,A)
【文献】特開2003-297470(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195595(WO,A1)
【文献】特開2002-184500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/00-13/35
H01R 4/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方から相手側端子が挿入される箱部と、
前記箱部内に固定されたベース部と、
前記ベース部よりも前方に配置され、前記箱部に挿入される相手側端子に電気的に接触する接触部と、
前記ベース部と前記接触部とを繋ぐように設けられ、前記接触部を前記相手側端子の挿入方向へ変位可能に支持するバネ部と、
を備える端子金具であって、
前記バネ部は、前記挿入方向と交差する方向に細長い複数の板部を、前記挿入方向に間隔を空けて折り返すように繋げた形状であり、
前記板部は、自身の長手方向の両側縁の中間部が曲線のみで形成され、前記長手方向の両端から中央に向けてくびれている端子金具。
【請求項2】
前記挿入方向に隣り合う前記板部同士、前記板部と前記ベース部、及び前記板部と前記接触部が、それぞれ、屈曲形状の連結部によって繋がっており、
前記連結部は、奇数個設けられている請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記ベース部は、前記箱部の後端部を塞ぐように延びており、
前記ベース部の後方に隣合い、前記箱部の後端部を塞ぐように延びる支え部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の端子金具。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載された複数の端子金具を、並列配置した状態で1本のキャリアから突出させた連鎖端子であって、
前記端子金具は、前記箱部から突出した圧着部を有しており、
前記端子金具を折り曲げ加工する前の展開状態において、前記バネ部と前記圧着部は、前記箱部と、キャリアと、の間に配置されている連鎖端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子金具及び連鎖端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、突出して形成された突き当て面を有する第1の突き当て端子金具と、複数の板バネ片が同一平面上に交互に並んで形成された第2の突き当て端子金具と、を備える突き当て式コネクタが開示されている。特許文献1のものは、突き当て面が板バネ片に突き当たると、板バネ片が弾性変形し、これによって突き当て面と板バネ片との間に所定の接触圧が生じて導通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-15103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のものは、一枚の板バネが片持ち状に延出した形状なので、板バネの嵌合方向の変位量が小さい。そのため、嵌合方向(すなわち、突き当て面が板バネ片に突き当たる方向)において、各部品の寸法がばらついた場合、突き当て面と板バネ片とが導通しない事態が生じることが懸念される。
【0005】
本開示の端子金具及び連鎖端子は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、相手側端子との接続信頼性を保つことができる端子金具及び連鎖端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つめの開示の端子金具は、
前方から相手側端子が挿入される箱部と、
前記箱部内に固定されたベース部と、
前記ベース部よりも前方に配置され、前記箱部に挿入される相手側端子に電気的に接触する接触部と、
前記ベース部と前記接触部とを繋ぐように設けられ、前記接触部を前記相手側端子の挿入方向へ変位可能に支持するバネ部と、
を備える端子金具であって、
前記バネ部は、前記挿入方向と交差する方向に細長い複数の板部を、前記挿入方向に間隔を空けて折り返すように繋げた形状である。
【0007】
二つ目の開示の連鎖端子は、
一つ目の開示の複数の端子金具を、並列配置した状態で1本のキャリアから突出させた連鎖端子であって、
前記端子金具は、前記箱部から突出した圧着部を有しており、
前記端子金具を折り曲げ加工する前の展開状態において、前記バネ部と前記圧着部は、前記箱部と、キャリアと、の間に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、相手側端子との接続信頼性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、端子金具が挿入された雌側ハウジングの斜視図である。
図2図2は、相手側端子が挿入された雄側ハウジングの斜視図である。
図3図3は、図1におけるA-A断面図である。
図4図4は、端子金具の斜視図である。
図5図5は、図4におけるB-B断面図である。
図6図6は、連鎖端子の平面図である。
図7図7は、端子金具が展開状態における連鎖端子の平面図である。
図8図8は、雌側ハウジングと雄側ハウジングとを嵌合させる過程を示す側断面図である。
図9図9は、雌側ハウジングと雄側ハウジングとの嵌合が完了した状態示す側断面図である。
図10図10は、図4におけるB-B断面図に相当し、相手側端子によって押圧される前と後の接触部の姿勢の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の端子金具は、
(1)箱部と、ベース部と、接触部と、バネ部と、を備える。箱部は、前方から相手側端子が挿入される。ベース部は、箱部内に固定されている。接触部は、ベース部よりも前方に配置され、箱部に挿入される相手側端子に電気的に接触する。バネ部は、ベース部と接触部とを繋ぐように設けられ、接触部を相手側端子の挿入方向へ変位可能に支持する。バネ部は、挿入方向と交差する方向に細長い複数の板部を、挿入方向に間隔を空けて折り返すように繋げた形状である。この構成によれば、ばね部を構成する複数の板部が、挿入方向に間隔を空けて配置されているので、相手側端子によって接触部が挿入方向に押圧された場合、接触部の挿入方向への変位量を大きく確保することができる。これにより、各部品の寸法がばらつついた場合であっても、相手側端子との接続信頼性を保つことができる。
【0011】
(2)本開示の端子金具は、挿入方向に隣り合う板部同士、板部とベース部、及び板部と接触部が、それぞれ、屈曲形状の連結部によって繋がっており、連結部は奇数個設けられていることが好ましい。この構成によれば、板部の数が偶数になるので、接触部の向きが偏り難い。
【0012】
(3)本開示の端子金具の板部は、連結部から遠ざかるほど幅が細く形成されていることが好ましい。この構成によれば、相手側端子によって接触部が挿入方向に押圧された際に各連結部に係る負荷を板部に分散させることができるので、連結部を疲労し難くすることができる。
【0013】
(4)上記(1)から(3)に記載された複数の端子金具を、並列配置した状態で1本のキャリアから突出させた連鎖端子であって、端子金具は、箱部から突出した圧着部を有している。端子金具を折り曲げ加工する前の展開状態において、バネ部と圧着部は、箱部と、キャリアと、の間に配置されている。この構成によれば、ばね部と箱部をキャリアに沿うように配置した場合に比べると、箱部とキャリアとの間の材料を有効に活用することができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施形態1]
本開示を具体化した実施形態1を、図1から図10を参照して説明する。本実施形態1において、前後の方向については、図3における方を前方、方を後方と定義する。上下の方向については、図3の手前側を上方、奥側を下方と定義する。左右の方向については、図3方を右方、方を左方と定義する。
【0015】
本開示の端子金具45は、相手側端子18と電気的に接触するものである。図1に示すように、端子金具45は、雌側ハウジング30に取り付けられる。図2に示すように、相手側端子18は、雄側ハウジング10に取り付けられる。
【0016】
〔雄側ハウジング〕
雄側ハウジング10は、合成樹脂製である。雄側ハウジング10は、全体としてブロック状をなす。雄側ハウジング10は、相手側端子18を貫通させる壁状の端子保持部11と、端子保持部11の外周縁から雌側ハウジング30側に向けて突出した角筒状のフード部12とを有する。
【0017】
フード部12の上壁部13には、上壁部13の内面(下面)を上向きに凹ませた形態の第1逃がし凹部14A及び第2逃がし凹部14Bが形成されている。第1逃がし凹部14Aは、左右方向における中央部に配され、フード部12の先端(開口端)から奥端まで前後方向に延びている。第2逃がし凹部14Bは、左右方向における右側に配され、フード部12の先端(開口端)から奥端まで前後方向に延びている。
【0018】
上壁部13のうち第1逃がし凹部14Aが形成されている領域には、上壁部13を貫通した形態の孔15が形成されている。孔15は、フード部12の先端(開口単)よりも僅かに奥側の位置に配されている。孔15よりも先端側であって、フード部12の開口縁部(先端部)には、ロック用係止部16が形成されている。ロック用係止部16の孔15に臨む面は、被係止面17として形成されている(図8、9参照。)。ロック用係止部16は、孔15の前方(フード部12の開口端側)に隣り合うように配されている。
【0019】
〔相手側端子〕
相手側端子18は、細長い帯状の金属製である。相手側端子18の一端部は、図8、9に示すように、端子保持部11の外部に露出して延びている。相手側端子18の他端部は、端子保持部11からフード部12内へ突出しており、他端部を一端部側に折り返して形成されている。相手側端子18の他端部は、フード部12の開口端に向けて湾曲する接触面18Aが形成されている。接触面18Aには、端子金具45の接触部48のビード部48Bが電気的に接触する。
【0020】
〔雌側ハウジング〕
雌側ハウジング30は、合成樹脂製である。雌側ハウジング30は、全体としてブロック状をなす。図3に示すように、雌側ハウジング30内には、雌側ハウジング30を前後方向に貫通した形態の複数の端子収容室31が形成されている。複数の端子収容室31は、左右方向に整列して配置されている。端子収容室31の前端部には、弾性変形可能なランス32が形成されている。
【0021】
雌側ハウジング30は、収容空間33を有している。収容空間33は、雌側ハウジング30の下面に開口している。収容空間33は、全ての端子収容室31と連通している。収容空間33は、前後方向において、雌側ハウジング30の中央部(ランス32よりも後方の位置)に配されている。収容空間33には、雌側ハウジング30(端子収容室31)に挿入された端子金具45の抜止めを行う図示しないリテーナが嵌め込まれる。
【0022】
図1に示すように、雌側ハウジング30の上壁30Sには、上向きに突出した一対の突起部41、上向きに突出した突出部42、及びロック部43が設けられている。一対の突起部41は、雌側ハウジング30の後端部に配され、左右対称をなしている。突出部42は、雌側ハウジング30の右側の前端部に配されている。
【0023】
ロック部43は、基部43A、アーム部43B、係止片43C、及び操作部43Dを有している。基部43Aは、雌側ハウジング30の上壁30Sの前端部から上向きに立ち上がっている。アーム部43Bは、基部43Aの先端から後向きに片持ち状に延びている。係止片43Cは、アーム部43Bの前後方向中央部において、上向きに突出して設けられている。係止片43Cの前側は、後方上向きに傾斜する傾斜面43Eとして形成され、後端が上下方向に切り立って形成された係止面43Fとして形成されている。
【0024】
操作部43Dは、アーム部43Bの先端部に上向きに突出して設けられている。操作部43Dには、係止面43Fを金型成形する際に形成された型抜き孔43Gが開口している。アーム部43Bの先端部(後端部)及び操作部43Dは、一対の突起部41の間に配置されている。操作部43Dは、下向きに押圧することによってアーム部43Bを上壁30Sに近づけるように下向きに撓ませ、係止片43Cを下向きに変位させることができるようになっている。
【0025】
〔端子金具〕
端子金具45は、金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部材であり、全体として前後方向に細長い形状をなす。図4、5に示すように、端子金具45は、箱部46、ベース部47、接触部48、バネ部49、及び圧着部50を備えている。
【0026】
箱部46は、前端及び後端が解放された角筒状をなしている。箱部46には、前方から相手側端子18が挿入される(図9参照。)。ベース部47は、箱部46の右壁46Aの後端部に基端が固定されて、箱部46の後端部を塞ぐように左向きに延びている。つまり、ベース部47は、箱部46内に固定されている。箱部46の下壁46Bには、板厚方向に貫通した被係止孔46Cが開口して形成されている(図5参照。)。
【0027】
被係止孔46Cよりも後方の下壁46Bには、板厚方向に貫通した貫通孔46Dが開口して形成されている(図5参照。)。また、ベース部47の後方には、支え部46Eが隣合い設けられている(図5参照。)。支え部46Eは、箱部46の上壁46Fの後端部に基端が固定されて、箱部46の後端部を塞ぐように下向きに延びている(図8参照。)。支え部46Eの先端部は、貫通孔46Dに挿通されている(図8参照。)。
【0028】
接触部48は、箱部46の前端部を塞ぐように箱部46内に設けられている。接触部48は、ベース部47よりも前方の箱部46内に配置されている。接触部48は、前後方向及び左右方向に交差する向きに延びており、前端部に後向きに屈曲する屈曲部48Aが設けられている。屈曲部48Aの基端部には、前向きに膨らむようにビード部48Bが形成されている。接触部48のビード部48Bは、箱部46に挿入される相手側端子18の接触面18Aに電気的に接触する(図8、9参照。)。ビード部48Bは、相手側端子18が箱部46に挿入される前の状態において、箱部46の前端に沿った位置に配置されている(図5、8、10参照。)。
【0029】
バネ部49は、ベース部47と接触部48とを繋ぐように設けられている。ベース部47、接触部48、及びバネ部49は、折り曲げ加工する前の展開状態において、一方向に長く延びた帯状をなしている(図7参照。)。バネ部49は、複数の板部49Aと、複数の連結部49Bと、を有している。複数の板部49Aは、挿入方向Rと交差する方向に細長く形成されている。これら板部49Aは、挿入方向Rに間隔を空けて左右方向に折り返すよう配置されている。各板部49Aは、前後方向及び左右方向に交差する向きに延びている。各板部49Aの短手方向の幅は、長手方向の両端から中央に向けてくびれるように細く形成されている(図7参照。)。
【0030】
複数の連結部49Bは、図5に示すように、弧状に屈曲した屈曲形状をなしている。各連結部49Bは、前後方向に隣り合う板部49A同士、後側に位置する板部49Aとベース部47、及び前側に位置する板部49Aと接触部48を繋いでいる。連結部49Bは、三つ(すなわち、奇数個)設けられている。各板部49Aは、長手方向の両端に連結された連結部49Bから長手方向の中央に遠ざかるほど、幅が細く形成されている(図7参照。)。圧着部50は、端子金具45の後部に設けられている。圧着部50は、箱部46から後向きに突出している。圧着部50は、電線Cの前端部に圧着されている(図3、8、9参照。)。
【0031】
このように構成された端子金具45は、雌側ハウジング30の後方から端子収容室31に挿入され、ランス32が被係止孔46Cに係止することによって抜止めされている(図8、9参照。)。
【0032】
〔連鎖端子について〕
連鎖端子70は、図6に示すように、所定形状に打ち抜いた金属板材に曲げ加工等を施して成形されたものであり、1本の細長い帯状をなすキャリア71と、並列配置した複数の端子金具45と、からなる。複数の端子金具45は、キャリア71の側縁部からキャリア71の長さ方向に対して概ね直角に突出した形態となっている。
【0033】
〔端子金具を折り曲げ加工する前の展開状態について〕
端子金具45を折り曲げ加工する前の展開状態について説明する。図7に示すように、展開状態の端子金具45は、キャリア71に対して同一平面上に配置されている。具体的には、キャリア71は、展開状態の圧着部50の後端部に繋がっている。そして、展開状態の圧着部50の前端には、展開状態の箱部46が繋がって配置されている。つまり、展開状態の箱部46は、展開状態の圧着部50を挟み、キャリア71と反対側に配置されている。
【0034】
展開状態のバネ部49は、展開状態のベース部47を介して展開状態の箱部46の左端縁に沿って後向き(すなわち、キャリア71に近づく向き)に延びて配置されている。展開状態のバネ部49は、展開状態の圧着部50に対してキャリア71の長さ方向に隣り合って配置されている。そして、展開状態のバネ部49と、展開状態の圧着部50とは、展開状態の箱部46と、キャリア71と、の間に配置されている。
【0035】
〔雄側ハウジングと雌側ハウジングとの嵌合〕
フード部12を雌側ハウジング30の前端に対向させて、相手側端子18が取り付けられた雄側ハウジング10を、雌側ハウジング30の前方から雌側ハウジング30に勘合させる。このとき、フード部12の第1逃がし凹部14Aに、ロック部43の前端部(基部43A及びアーム部43Bの基端部)を挿入させる。これと共に、フード部12の第2逃がし凹部14Bに、突出部42を挿入させる。
【0036】
そして、フード部12への雌側ハウジング30の嵌合を進める。すると、ロック部43及び突出部42は、フード部12の奥部に到達する。このとき、ロック部43の係止片43Cがロック用係止部16に下向きに押圧されることによって、アーム部43Bが下向きに撓む(図8参照。)。そして、相手側端子18の接触面18Aが端子金具45の箱部46の前端に到達する(図8参照。)。このとき、接触面18Aは、接触部48のビード部48Bに電気的に接触する。
【0037】
さらに、フード部12への雌側ハウジング30の嵌合を進めると、相手側端子18が箱部46の前端部に挿入される。このとき、端子金具45の接触部48は、接触部48のビード部48Bに後向きに押圧される。これによって、バネ部49の連結部49B及び板部49Aが弾性変形し、接触部48は、後向きに移動する(図9、10参照。)。こうして、バネ部49は、接触部48を相手側端子18の挿入方向Rへ変位可能に支持しているのである。ベース部47の後方には、支え部46Eが隣合って設けられている。ベース部47は、後向きに弾性変形しないように支え部46Eによって支えられている。
【0038】
接触部48が後向きに移動する際、接触部48は、図10に示すように、接触部48に連結する連結部49B周りに回動するように姿勢を変化させる。これによって、ビード部48Bは、接触面18Aに接触しつつ右向きに移動する。つまり、相手側端子18に押圧された接触部48のビード部48Bは、相手側端子18の箱部46への進入に伴って、挿入方向Rに交差する向きに変位するのである。相手側端子18が箱部46へ進入する過程において、相手側端子18及びバネ部49は、箱部46に接触しない。
【0039】
さらに、フード部12への雌側ハウジング30の嵌合を進めると、係止片43Cは、ロック用係止部16を前向きにくぐり、第1逃がし凹部14Aに形成された孔15に到達する。すると、アーム部43Bが弾性復帰することによって、ロック用係止部16の被係止面17に係止面43Fは、対向する(図9参照。)。こうして、係止面43Fがロック用係止部16に係止することによって、雄側ハウジング10と雌側ハウジング30とが嵌合状態になる。こうして、雄側ハウジング10と雌側ハウジング30との嵌合動作が終了する。
【0040】
嵌合状態の雄側ハウジング10と雌側ハウジング30とを離脱する際には、ロック部43の操作部43Dを下向きに押圧し、アーム部43Bを雌側ハウジング30の上壁30Sに接近させるように撓ませる。このとき、ロック部43の係止片43Cも下向きに変位して、ロック用係止部16よりも下方に移動する。これによって、係止片43Cは、ロック用係止部16から解離する。そして、係止片43Cと、ロック用係止部16とが解離した状態を保ったまま雄側ハウジング10から雌側ハウジング30を離脱させる。
【0041】
雄側ハウジング10と雌側ハウジング30とが嵌合状態のとき、相手側端子18には、接触部48のビード部48Bから前向きに押される反力が付与されている。このため、係止片43Cをロック用係止部16から解離させると、相手側端子18への接触部48からの反力によって、相手側端子18及び雄側ハウジング10は、雌側ハウジング30から前向きに遠ざかる方向へ押し出される。これにより、雄側ハウジング10が雌側ハウジング30からの離脱の際に生じる抵抗は、低減される。そして、係止片43Cが、ロック用係止部16を後向きにくぐり、アーム部43Bが弾性復帰する。こうして、雄側ハウジング10からの雌側ハウジング30の離脱が完了する。
【0042】
次に、実施形態1の作用効果を説明する。
【0043】
本開示の端子金具45は、箱部46と、ベース部47と、接触部48と、バネ部49と、を備える。箱部46は、前方から相手側端子18が挿入される。ベース部47は、箱部46内に固定されている。接触部48は、ベース部47よりも前方に配置され、箱部46に挿入される相手側端子18に電気的に接触する。バネ部49は、ベース部47と接触部48とを繋ぐように設けられ、接触部48を相手側端子18の挿入方向Rへ変位可能に支持する。バネ部49は、挿入方向Rと交差する方向に細長い複数の板部49Aを、挿入方向Rに間隔を空けて折り返すように繋げた形状である。この構成によれば、バネ部49を構成する複数の板部49Aが、挿入方向Rに間隔を空けて配置されているので、相手側端子18によって接触部48が挿入方向Rに押圧された場合、接触部48の挿入方向Rへの変位量を大きく確保することができる。これにより、各部品の寸法がばらつついた場合であっても、相手側端子18との接続信頼性を保つことができる。
【0044】
本開示の端子金具45は、挿入方向Rに隣り合う板部49A同士、板部49Aとベース部47、及び板部49Aと接触部48が、それぞれ、屈曲形状の連結部49Bによって繋がっており、連結部49Bは3個(奇数)個設けられている。この構成によれば、板部49Aの数が偶数になるので、接触部48の向きが偏り難い。
【0045】
本開示の端子金具45の板部49Aは、連結部49Bから遠ざかるほど幅が細く形成されている。この構成によれば、相手側端子18によって接触部48が挿入方向Rに押圧された際に各連結部49Bに係る負荷を板部49Aに分散させることができるので、連結部49Bを疲労し難くすることができる。
【0046】
複数の端子金具45を、並列配置した状態で1本のキャリア71から突出させた連鎖端子70であって、端子金具45は、箱部46から突出した圧着部50を有している。端子金具45を折り曲げ加工する前の展開状態において、バネ部49と圧着部50は、箱部46と、キャリア71と、の間に配置されている。この構成によれば、バネ部49と箱部46をキャリア71に沿うように配置した場合に比べると、箱部46とキャリア71との間の材料を有効に活用することができる。
【0047】
[他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0048】
実施形態1とは異なり、連結部を偶数個設け、板部を奇数個設けてもよい。
【0049】
実施形態1とは異なり、板部と同様に、ベース部や接触部も連結部から遠ざかるほど、幅を細く形成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…雄側ハウジング
11…端子保持部
12…フード部
13…上壁部
14A…第1逃がし凹部
14B…第2逃がし凹部
15…孔
16…ロック用係止部
17…被係止面
18…相手側端子
18A…接触面
30…雌側ハウジング
30S…上壁
31…端子収容室
32…ランス
33…収容空間
41…突起部
42…突出部
43…ロック部
43A…基部
43B…アーム部
43C…係止片
43D…操作部
43E…傾斜面
43F…係止面
43G…型抜き孔
45…端子金具
46…箱部
46A…右壁
46B…下壁
46C…被係止孔
46D…貫通孔
46E…支え部
46F…上壁
47…ベース部
48…接触部
48A…屈曲部
48B…ビード部
49…バネ部
49A…板部
49B…連結部
50…圧着部
70…連鎖端子
71…キャリア
C…電線
R…挿入方向
図1
図2
図3
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図8
図9
図10