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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】温度センサ取付用治具
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/143 20210101AFI20240905BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20240905BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
G01K1/143
F16B7/04 302B
G01K1/14 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021114831
(22)【出願日】2021-07-12
(65)【公開番号】P2023011161
(43)【公開日】2023-01-24
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 達雄
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭47-15240(JP,U)
【文献】実公昭46-28756(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
F16B 7/00-7/22
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向させた状態で使用される一対の温度センサ取付用治具であって、
前記一対の温度センサ取付用治具のうち一方と前記一対の温度センサ取付用治具のうち他方とが、それぞれ配管を内側に嵌め込み可能な配管側板バネ部と、
前記配管に接触させた温度センサを内側に嵌め込み可能なセンサ側板バネ部とを備え、
前記一方が、凹部を備え、
前記他方が、前記一方と対向されて前記配管及び前記温度センサを挟み込んだ状態で、前記一方の前記凹部に嵌め込み可能な凸部を備えていることを特徴とする温度センサ取付用治具。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサ取付用治具において、
前記一方の前記配管側板バネ部に前記配管を嵌め込むと共に前記一方の前記センサ側板バネ部を前記温度センサに嵌め込み、さらに前記他方の前記センサ側板バネ部に前記温度センサを嵌め込んだ状態で、
前記他方が、前記温度センサの軸線を中心に回動させて前記配管側板バネ部に前記配管を嵌め込み可能であると共に前記他方の前記凸部と前記一方の前記凹部とが互いに嵌め合い可能であることを特徴とする温度センサ取付用治具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度センサ取付用治具において、
前記一方の前記凹部が、前記配管側板バネ部に形成され、
前記他方が、前記一方の前記凹部と互いに嵌め合い可能な前記凸部を有した凹凸用板バネ部を備えていることを特徴とする温度センサ取付用治具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサ取付用治具において、
前記一対の温度センサ取付用治具が、互いに同一形状とされていることを特徴とする温度センサ取付用治具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の温度センサ取付用治具において、
前記温度センサが前記一方及び前記他方の前記センサ側板バネ部に嵌め込まれた状態で、少なくとも前記一方が、前記他方の前記センサ側板バネ部を外側から係止する板バネ係止部を備えていることを特徴とする温度センサ取付用治具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の温度センサ取付用治具において、
前記センサ側板バネ部が、前記温度センサが嵌め込まれた状態で前記温度センサの軸線方向に互いに離間して複数対設けられていることを特徴とする温度センサ取付用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に温度センサを取り付けるために用いる温度センサ取付用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品、自動車関連又は電機製品等に使用される温度センサ(サーミスタ素子使用)のうち、配管で供給、循環又は排出されるガス又は液体等の状態を検知するために、配管に取り付けられて配管の温度を測定するものが用いられている。
従来、耐食性、温度履歴に対しての取付力の保持、取付易さ等を考慮して、ステンレス又はその他の金属薄板を防蝕コーティングした板バネで温度センサを配管に固定しているものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、配管を保持する配管保持部、及び配管の温度を測定する感温部(温度センサ)を保持する感温部保持部を有し、配管に感温部を固定するための配管クリップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-340453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記特許文献1の技術では、固定された配管への取付では配管挿入側を大きく開いて配管に嵌め込む必要があり、十分な保持力を維持しようとすると、バネ力を大きく設定しなければならない。しかしながら、取付の際にそのバネ力(付勢力・弾性力)に抗して配管挿入側を開く強い力が必要なるため、作業者によっては取付が容易でない場合がある。そのため、保持部のバネ力をある程度下げて設定することで、取付作業を容易にすることが考えられるが、その場合、不十分な保持力となり、安定した温度測定を阻害してしまう要因となってしまう不都合があった。また、完全な固定が難しくなり、不意な力により、温度センサやクリップが配管から離脱等してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、十分な保持力で、かつ容易に配管に取付可能である温度センサ取付用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサ取付用治具は、互いに対向させた状態で使用される一対の温度センサ取付用治具であって、前記一対の温度センサ取付用治具のうち一方と前記一対の温度センサ取付用治具のうち他方とが、それぞれ配管を内側に嵌め込み可能な配管側板バネ部と、前記配管に接触させた温度センサを内側に嵌め込み可能なセンサ側板バネ部とを備え、前記一方が、凹部を備え、前記他方が、前記一方と対向されて前記配管及び前記温度センサを挟み込んだ状態で、前記一方の前記凹部に嵌め込み可能な凸部を備えていることを特徴とする。
【0008】
この温度センサ取付用治具では、前記一方が、凹部を備え、前記他方が、前記一方と対向されて配管及び温度センサを挟み込んだ状態で、前記一方の凹部に嵌め込み可能な凸部を備えているので、嵌め込まれた配管に対する配管側板バネ部のバネ力(付勢力・弾性力)に加えて凹部と凸部との嵌め込み力により、配管に温度センサを安定した十分な保持力で容易に取り付けできる。また、一対の温度センサ取付用治具で両側から配管及び温度センサを挟み込むので、配管の熱を効率的に温度センサに伝えることができる。また、互いに対向して配管を挟み込む一対の温度センサ取付用治具により、配管及び温度センサを両側からそれぞれ保持することで、1つの治具だけで固定した場合に比べて、より高い保持力を得ることができる。
【0009】
第2の発明に係る温度センサ取付用治具は、第1の発明において、前記一方の前記配管側板バネ部に前記配管を嵌め込むと共に前記一方の前記センサ側板バネ部を前記温度センサに嵌め込み、さらに前記他方の前記センサ側板バネ部に前記温度センサを嵌め込んだ状態で、前記他方が、前記温度センサの軸線を中心に回動させて前記配管側板バネ部に前記配管を嵌め込み可能であると共に前記他方の前記凸部と前記一方の前記凹部とが互いに嵌め合い可能であることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付用治具では、前記一方の配管側板バネ部に配管を嵌め込むと共に前記一方のセンサ側板バネ部を温度センサに嵌め込み、さらに前記他方のセンサ側板バネ部に温度センサを嵌め込んだ状態で、前記他方が、温度センサの軸線を中心に回動させて配管側板バネ部に配管を嵌め込み可能であると共に前記他方の凸部と前記一方の凹部とが互いに嵌め合うので、前記他方を回動させることで一対の温度センサ取付用治具で容易に配管を挟んだ状態で固定することができる。
【0010】
第3の発明に係る温度センサ取付用治具は、第1又は第2の発明において、前記一方の前記凹部が、前記配管側板バネ部に形成され、前記他方が、前記一方の前記凹部と互いに嵌め合い可能な前記凸部を有した凹凸用板バネ部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付用治具では、前記一方の凹部が、配管側板バネ部に形成され、前記他方が、前記一方の凹部と互いに嵌め合い可能な凸部を有した凹凸用板バネ部を備えているので、配管側板バネ部とは別にバネ性を調整可能な凹凸用板バネ部を別途設けたことで、配管側板バネ部のバネ性とは別に凹部と凸部との嵌め込み力を調整でき、一対の温度センサ取付用治具をより安定して固定することができる。
また、配管を内側に嵌め込んだ配管側板バネ部を外側から凹凸用板バネ部によって押さえ込むようにして重ね、凹部と凸部とを嵌め合わせることで、配管側板バネ部が不意な力で開くことを防止可能になる。
【0011】
第4の発明に係る温度センサ取付用治具は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記一対の温度センサ取付用治具が、互いに同一形状とされていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付用治具では、一対の温度センサ取付用治具が、互いに同一形状とされているので、同じ部品を2つ使用することで、別形状のものを作製する必要がなく、部品単価を低減することができる。
【0012】
第5の発明に係る温度センサ取付用治具は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記温度センサが前記一方及び前記他方の前記センサ側板バネ部に嵌め込まれた状態で、少なくとも前記一方に、前記他方の前記センサ側板バネ部を外側から係止する板バネ係止部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付用治具では、温度センサが前記一方及び前記他方のセンサ側板バネ部に嵌め込まれた状態で、少なくとも前記一方が、前記他方のセンサ側板バネ部を外側から係止する板バネ係止部を備えているので、温度センサを内側に嵌め込んだセンサ側板バネ部を外側から板バネ係止部によって係止することで、センサ側板バネ部が不意な力で開くことを防止可能になる。
【0013】
第6の発明に係る温度センサ取付用治具は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記センサ側板バネ部が、前記温度センサが嵌め込まれた状態で前記温度センサの軸線方向に互いに離間して複数対設けられていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ取付用治具では、センサ側板バネ部が、温度センサが嵌め込まれた状態で温度センサの軸線方向に互いに離間して複数対設けられているので、温度センサをその軸線方向の少なくとも4箇所で保持することができ、より安定した保持力と温度センサへの高い伝熱性とを得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサ取付用治具によれば、前記一方が、凹部を備え、前記他方が、前記一方と対向されて配管及び温度センサを挟み込んだ状態で、前記一方の凹部に嵌め込み可能な凸部を備えているので、配管側板バネ部のバネ力に加えて凹部と凸部との嵌め込み力により、配管に温度センサを安定した十分な保持力で容易に取り付けできると共に、一対の温度センサ取付用治具で挟んだ配管の熱を効率的に温度センサに伝えることができる。
したがって、本発明の温度センサ取付用治具では、配管側板バネ部のバネ力を大きく設定しなくても、十分に高い保持力が得られ、不意な力による配管や温度センサの脱離等の発生を防ぐことができる。また、配管側板バネ部及びセンサ側板バネ部のバネ力を作業者が容易に取付可能な程度に設定できるため、従来と同等以上の容易な取付が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る温度センサ取付用治具の一実施形態において、一対の温度センサ取付用治具により配管に温度センサを取り付けた状態を示す側面図である。
図2】本実施形態において、一対の温度センサ取付用治具により配管に温度センサを取り付けた状態を示す斜視図である。
図3】本実施形態において、一対の温度センサ取付用治具のうち一方を配管及び温度センサに取り付けた状態で、他方を温度センサだけに取り付けた状態を示す側面図である。
図4】本実施形態において、温度センサ取付用治具を凹凸用板バネ部側から視た斜視図である。
図5】本実施形態において、温度センサ取付用治具を配管側板バネ部側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る温度センサ取付用治具の一実施形態を、図1から図5を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態の温度センサ取付用治具1A,1Bは、図1から図5に示すように、互いに対向させた状態で使用される一対の温度センサ取付用治具であって、一対の温度センサ取付用治具のうち一方1Aと一対の温度センサ取付用治具のうち他方1Bとが、それぞれ配管を内側に嵌め込み可能な配管側板バネ部2と、配管Pに接触させた温度センサSを内側に嵌め込み可能なセンサ側板バネ部3とを備えている。
【0018】
上記一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは、前記一方1Aが、凹部4a及び凸部4bを備え、前記他方1Bが、前記一方1Aと対向されて配管P及び温度センサSを挟み込んだ状態で、前記一方1Aの凹部4aに嵌め込み可能な凸部4b及び前記一方1Aの凸部4bが嵌め込み可能な凹部4aを備えている。
本実施形態の一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは、前記一方1Aの配管側板バネ部2に配管Pを嵌め込むと共に一方のセンサ側板バネ部3を温度センサSに嵌め込み、さらに前記他方1Bのセンサ側板バネ部3に温度センサSを嵌め込んだ状態で、前記他方1Bが、温度センサSの軸線Cを中心に回動させて配管側板バネ部2に配管Pを嵌め込み可能であると共に前記他方1Bの凸部4bと前記一方1Aの凹部4aとが互いに嵌め合うように設定されている。
【0019】
前記一方1Aの凹部4aは、配管側板バネ部2に形成されている。すなわち、前記一方1Aの凹部4aは、配管側板バネ部2の中間部に設けられ外側が凹部となっている。
なお、配管側板バネ部2の凹部4aより先端側には、外側に凸部となるように断面円弧状に湾曲させた先端湾曲部2aが形成され、先端部の強度を高めている。
また、前記他方1Bは、前記一方1Aの凹部4aと互いに嵌め合い可能な凸部4bを有した凹凸用板バネ部5を備えている。
すなわち、前記他方1Bの凸部4bは、凹凸用板バネ部5の先端部に設けられ内側が前記一方の凹部4aに嵌め込み可能な凸部となっている。
【0020】
上記一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは、上部に配管側板バネ部2が連続していると共に下部にセンサ側板バネ部3及び凹凸用板バネ部5が連続している中間板部6を備えており、全体が一枚の金属板を曲げ加工することで形成されている。
また、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは、互いに同一形状とされている。
したがって、前記一方1Aにも、凸部4bを有した凹凸用板バネ部5を備え、前記他方1Bにも、凹部4aを有した配管側板バネ部2を備えている。
すなわち、前記一方1Aの凸部4bは、前記他方の凹部4aに嵌め込み可能となっている。
【0021】
上記温度センサSは、例えば円柱状に形成され、内部にサーミスタ素子等の感温素子(図示略)が収納されている。また、図2に示すように、温度センサSには、内部の感温素子に接続された一対のリード線Lが一端部から外部に延出している。
上記配管Pの外径は、温度センサSの外径よりも大きく、配管側板バネ部2が、配管Pの外周面に沿って湾曲している。
また、センサ側板バネ部3は、温度センサSの外周面に沿って配管側板バネ部2よりも小さな曲率半径を有して断面円弧状に湾曲している。
【0022】
このように配管側板バネ部2が、配管Pの外周面に沿って湾曲し、センサ側板バネ部3が、温度センサSの外周面に沿って配管側板バネ部2よりも小さな曲率半径を有して湾曲しているので、強い付勢力(バネ力)が得られる曲率半径の小さいセンサ側板バネ部3により温度センサSに強固に取り付けることができる。また、配管側板バネ部2がセンサ側板バネ部3よりも大きな曲率半径であることで、比較的弱い力でも配管側板バネ部2を大きく開き易く、太い配管Pにも取り付け易くなる。
【0023】
一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは、温度センサSが前記一方1A及び前記他方1Bのセンサ側板バネ部3に嵌め込まれた状態で、少なくとも前記一方1Aが、前記他方1Bのセンサ側板バネ部3を外側から係止する板バネ係止部7を備えている。
上記板バネ係止部7は、断面S字状に形成されている。
また、上記センサ側板バネ部3は、温度センサSが嵌め込まれた状態で温度センサSの軸線方向に互いに離間して複数対設けられている。なお、本実施形態では、2つのセンサ側板バネ部3が一対の温度センサ取付用治具1A,1Bそれぞれに設けられている。したがって、温度センサSは4つのセンサ側板バネ部3で支持される。
【0024】
上記センサ側板バネ部3の側端部には、温度センサSの先端を位置決めするセンサ係止部8が内方に突出して設けられている。
中間板部6の上部には、板バネ係止部7とセンサ側板バネ部3とが交互にそれぞれ一対ずつ形成されている。
また、中間板部6の下部には、配管側板バネ部2と凹凸用板バネ部5とが、スリット部9を挟んで形成されている。
【0025】
次に、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bを用いて温度センサSを配管Pに取り付ける方法について説明する。
【0026】
まず、図3に示すように、一対の温度センサ取付用治具のうち一方1Aの配管側板バネ部2に配管Pを嵌め込むと共に前記一方1Aのセンサ側板バネ部3を温度センサSに嵌め込む。この前記一方1Aだけを用いた状態でも、温度センサSを配管Pに接触させた状態で保持できるが、取付時に配管側板バネ部2及びセンサ側板バネ部3を広げ易くするためにこれらの保持力が比較的弱く設定されている。
【0027】
そのため、さらに一対の温度センサ取付用治具1A,1Bのうち他方1Bのセンサ側板バネ部3に温度センサSを嵌め込んだ状態とし、この状態から、前記他方1Bを温度センサSの軸線Cを中心に回動させて前記一方1Aに対向した状態から前記他方1Bの配管側板バネ部2に配管Pを嵌め込む。
このとき、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bの互いの配管側板バネ部2の凹部4aと凹凸用板バネ部5の凸部4bとが嵌め込み合って固定される。
【0028】
すなわち、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bは互いに向き合った状態で、相手の配管側板バネ部2上に自己の凹凸用板バネ部5が重なって互いの凹部4aと凸部4bとが嵌まり合う。また、相手のセンサ側板バネ部3に自己の板バネ係止部7が対向当接する。
このようにして一対の温度センサ取付用治具1A,1Bが、図1に示すように、側面視で略三角形状となって温度センサS及び配管Pを挟んだ状態で取り付けられると、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bにより、温度センサSを配管Pと接触させた状態で強固に保持することができる。
【0029】
このように本実施形態の一対の温度センサ取付用治具1A,1Bでは、前記一方1Aが、凹部4aを備え、前記他方1Bが、前記一方1Aと対向されて配管P及び温度センサSを挟み込んだ状態で、前記一方1Aの凹部4aに嵌め込み可能な凸部4bを備えているので、嵌め込まれた配管Pに対する配管側板バネ部2のバネ力(付勢力・弾性力)に加えて凹部4aと凸部4bとの嵌め込み力により、配管Pに温度センサSを安定した十分な保持力で容易に取り付けできる。また、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bで両側から配管P及び温度センサSを挟み込むので、配管Pの熱を効率的に温度センサSに伝えることができる。
【0030】
また、互いに対向して配管P及び温度センサSを挟み込む一対の温度センサ取付用治具1A,1Bにより、配管P及び温度センサSを両側からそれぞれ保持することで、1つの治具だけで固定した場合に比べて、より高い保持力を得ることができる。
また、前記一方1Aの配管側板バネ部2に配管Pを嵌め込むと共に前記一方1Aのセンサ側板バネ部3を温度センサSに嵌め込み、さらに前記他方1Bのセンサ側板バネ部3に温度センサSを嵌め込んだ状態で、前記他方1Bが、温度センサSの軸線Cを中心に回動させて配管側板バネ部2に配管Pを嵌め込み可能であると共に前記他方1Bの凸部4bと前記一方1Aの凹部4aとが互いに嵌め合うので、前記他方1Bを回動させることで一対の温度センサ取付用治具1A,1Bで容易に配管Pを挟んだ状態で固定することができる。
【0031】
特に、前記一方1Aの凹部4aが、配管側板バネ部2に形成され、前記他方1Bが、前記一方1Aの凹部4aと互いに嵌め合い可能な凸部4bを有した凹凸用板バネ部5を備えているので、配管側板バネ部2とは別にバネ性を調整可能な凹凸用板バネ部5を別途設けたことで、配管側板バネ部2のバネ性とは別に凹部4aと凸部4bとの嵌め込み力を調整でき、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bをより安定して固定することができる。
また、配管Pを内側に嵌め込んだ配管側板バネ部2を外側から凹凸用板バネ部5によって押さえ込むようにして重ね、凹部4aと凸部4bとを嵌め合わせることで、配管側板バネ部2が不意な力で開くことを防止可能になる。
【0032】
さらに、温度センサSが前記一方1A及び前記他方1Bのセンサ側板バネ部3に嵌め込まれた状態で、少なくとも前記一方1Aが、前記他方1Bのセンサ側板バネ部3を外側から係止する板バネ係止部7を備えているので、温度センサSを内側に嵌め込んだセンサ側板バネ部3を外側から板バネ係止部7によって係止することで、センサ側板バネ部3が不意な力で開くことを防止可能になる。
【0033】
また、センサ側板バネ部3が、温度センサSが嵌め込まれた状態で温度センサSの軸線方向に互いに離間して複数対設けられているので、温度センサSをその軸線方向の少なくとも4箇所で保持することができ、より安定した保持力と温度センサSへの高い伝熱性とを得ることができる。
【0034】
また、一対の温度センサ取付用治具1A,1Bが、互いに同一形状とされているので、同じ部品を2つ使用することで、別形状のものを作製する必要がなく、部品単価を低減することができる。
【0035】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、金属板で一対の温度センサ取付用治具を形成したが、樹脂等の他の材料で形成しても構わない。すなわち、本発明では、金属板よりも弾性力が弱い樹脂等であっても十分な保持力を得ることができる。なお、樹脂で成形した場合、配管や温度センサのケースが金属の場合、異種金属の接触に伴う腐食の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0036】
1A,1B…温度センサ取付用治具、1A…一対の温度センサ取付用治具のうち一方、1B…一対の温度センサ取付用治具のうち他方、2…配管側板バネ部、3…センサ側板バネ部、4a…凹部、4b…凸部、5…凹凸用板バネ部、7…板バネ係止部、P…配管、S…温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5