(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】積層体および該積層体からなる包装材料
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20240905BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20240905BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B9/00 A
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2019055546
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】P 2018058416
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】山田 憲一
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-265854(JP,A)
【文献】特開平10-000745(JP,A)
【文献】国際公開第2016/135213(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/102704(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/087809(WO,A1)
【文献】特開2009-102048(JP,A)
【文献】国際公開第2018/202479(WO,A1)
【文献】特開2018-016012(JP,A)
【文献】特開2007-216504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
B65D65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、ヒートシール層とを少なくとも備え、
前記基材と、前記ヒートシール層とが
ポリエチレンにより構成され、
前記基材は延伸処理が施されており、
前記基材が、その少なくとも一方の面に蒸着膜
と、金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物の樹脂組成物を少なくとも1種含むガスバリア性塗布膜からなるバリアコート層と、を備え
、
前記基材が、少なくとも高密度ポリエチレンおよび/または中密度ポリエチレン(但し、密度が926~950kg/m
3の2峰性
の分子量分布を有するエチレン/1-ブテン/C6~C12-α-オレフィンターポリマーを除く)を含み、
前記ヒートシール層が、当該表面に直接設けられた蒸着膜を有さないことを特徴とする、積層体。
【請求項2】
前記基材が備える蒸着膜が、酸化アルミニウムを含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記基材と、前記ヒートシール層との間に、ポリエチレンにより構成される、少なくとも一方の面に蒸着膜を備える中間層をさらに備える、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記蒸着膜を備える中間層が、延伸されたポリエチレンフィルムおよび蒸着膜からなる、請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
前記基材の長手方向(MD)の延伸倍率が、2倍以上、10倍以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記基材の厚さが、9μm以上、50μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記基材が、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とからなる構成を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
前記基材が、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層からなる五層共押フィルムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項9】
前記基材が、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、高密度ポリエチレン層とからなる七層共押フィルムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項10】
前記ヒートシール層が、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のうち少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
基材と、中間層と、ヒートシール層とを備え、
前記基材、前記中間層および前記ヒートシール層が
ポリエチレンにより構成され、
前記中間層が、少なくとも一方の面に蒸着膜
と、金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物の樹脂組成物を少なくとも1種含むガスバリア性塗布膜からなるバリアコート層と、を備え、
前記基材は延伸処理が施されており
、
前記基材が、少なくとも高密度ポリエチレンおよび/または中密度ポリエチレン(但し、密度が926~950kg/m
3の2峰性
の分子量分布を有するエチレン/1-ブテン/C6~C12-α-オレフィンターポリマーを除く)を含み、
前記ヒートシール層が、当該表面に直接設けられた蒸着膜を有さないことを特徴とする、積層体。
【請求項12】
ポリエチレン層を備える蒸着膜が、アルミニウムを含む、請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
前記蒸着膜を備えるポリエチレン層が、延伸されたポリエチレンフィルムおよび蒸着膜からなる、請求項11または12に記載の積層体。
【請求項14】
前記基材の長手方向(MD)の延伸倍率が、2倍以上、10倍以下である、請求項11~13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項15】
前記基材の厚さが、9μm以上、50μm以下である、請求項11~14のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項16】
前記基材が、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とからなる構成を有する、請求項11~15のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項17】
前記基材が、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層からなる五層共押フィルムである、請求項11~15のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項18】
前記基材が、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、高密度ポリエチレン層とからなる七層共押フィルムである、請求項11~15のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項19】
前記ヒートシール層が、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のうち少なくとも1つを含む、請求項11~18のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の積層体から構成される包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体および該積層体からなる包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンフィルムは、適度な柔軟性をもち、透明性、防湿性、耐薬品性等に優れるとともに、安価であることから、各種の包装材料に使用されている。特に、ポリエチレンの融点は、種類によっても多少異なるが概ね100~140℃程度であるため、包装材料分野ではヒートシール性フィルムとして使用されるのが一般的である。
【0003】
一方、他の熱可塑性樹脂フィルムと比較して、ポリエチレンフィルムは、剛性が劣るため、印刷適性が低く、その表面に鮮明な画像を形成することができなかった。また、ポリエチレンフィルムは、高い強度を有しておらず、包装材料の外装として要求される耐久性を満たすことができていなかった。そのため、ポリエステルフィルムやナイロンフィルム等の剛性および強度に優れる樹脂フィルムと、ポリエチレンフィルムとをラミネートすることで積層体とし、この積層体のポリエチレンフィルム側が内側となるように、積層体端部をヒートシールすることにより包装材料を作製することが行われている(例えば、特開2005-104525号公報)。
【0004】
ところで、近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、包装材料をリサイクルして使用することが試みられている。しかしながら、上記のような異種の樹脂フィルムを貼り合わせた場合、樹脂フィルム同士を分離することが難しく、リサイクルに適しておらず、より環境負荷の少ない包装材料を使用したいという要求もあった。
【0005】
また、内包する内容物の種類によっては、包装材料には高いガスバリア性を有していることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、高いリサイクル適性、印刷適性、強度およびガスバリア性を有する、積層体を提供することをその解決しようとする課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明の積層体は、基材と、ヒートシール性ポリエチレン層ヒートシール層とを少なくとも備え、基材と、ヒートシール層とが同一の材料により構成され、基材は延伸処理が施されており、延伸ポリエチレンフィルム基材が、その少なくとも一方の面に蒸着膜を備え、同一材料が、ポリエチレンであることを特徴とする。
【0009】
一実施形態において、基材が備える蒸着膜は、酸化アルミニウムを含む。
【0010】
一実施形態において、積層体は、基材と、ヒートシール層との間に、ポリエチレンにより構成される、少なくとも一方の面に蒸着膜を備える中間層をさらに備える。
【0011】
一実施形態において、蒸着膜を備える中間層は、延伸されたポリエチレンフィルムおよび蒸着膜からなる。
【0012】
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン(HDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む。
【0013】
一実施形態において、基材の長手方向(MD)の延伸倍率は、2倍以上、10倍以下である。
【0014】
一実施形態において、基材の厚さは、9μm以上、50μm以下である。
【0015】
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とからなる構成を有する。
【0016】
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層からなる五層共押フィルムである。
【0017】
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、高密度ポリエチレン層とからなる七層共押フィルムである。
【0018】
一実施形態において、ヒートシール層は、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のうち少なくとも1つを含む。
【0019】
第2の態様において、本発明の積層体は、基材と、少なくとも一方の面に蒸着膜を備えるポリエチレン中間層と、ヒートシール性ポリエチレン層ヒートシール層とを備え、記基材、中間層およびヒートシール層が同一の材料により構成され、中間層が、少なくとも一方の面に蒸着膜を備え、基材は延伸処理が施されており、同一材料がポリエチレンであることを特徴とする。
【0020】
一実施形態において、蒸着膜を備える中間層が備える蒸着膜は、アルミニウムを含む。
【0021】
一実施形態において、蒸着膜を備える中間層は、延伸されたポリエチレンフィルムおよび蒸着膜からなる。
【0022】
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン(HDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)のうち少なくとも1つを含む。
【0023】
一実施形態において、基材の長手方向(MD)の延伸倍率は、2倍以上、10倍以下である。
【0024】
一実施形態において、基材の厚さは、9μm以上、50μm以下である。
【0025】
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とからなる構成を有する。
【0026】
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層からなる五層共押フィルムである。
【0027】
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、高密度ポリエチレン層とからなる七層共押フィルムである。
【0028】
一実施形態において、ヒートシール層は、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のうち少なくとも1つを含む。
【0029】
本発明の包装材料は、上記積層体から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、高いリサイクル適性、印刷適性、強度およびガスバリア性を有する積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1の態様による積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
【
図2】第1の態様による積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
【
図3】第2の態様による積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1の態様の積層体>
本発明による積層体を図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、第1の態様の積層体10は、基材20と、ヒートシール層30とを少なくとも備え、基材20の少なくとも一方の面に蒸着膜40を備える。
また、第1の態様の積層体10は、
図2に示すように、基材20と、ヒートシール層30との間に、少なくとも一方の面に蒸着膜40を備える中間層50を備えていてもよい。
以下、積層体が備える各層について説明する。
【0033】
<基材>
基材は、延伸処理が施されたものであり、一軸延伸されたものであっても、二軸延伸されたものであってもよいが、強度という観点からは、二軸延伸されたものが好ましい。
【0034】
基材長手方向(MD)の延伸倍率は、2倍以上、10倍以下であることが好ましく、3倍以上、7倍以下であることが好ましい。これにより、積層体の印刷適性および強度をより向上することができる。また、これにより、基材の透明性を向上することができる。
また、横手方向(TD)の延伸倍率は、2倍以上、10倍以下であることが好ましく、3倍以上、7倍以下であることが好ましい。これにより、積層体の印刷適性および強度をより向上することができると共に、その透明性を向上することができる。
【0035】
基材は、ポリエチレンにより構成され、ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。また、基材は、これらを2種以上含むことができる。
これらの中でも、積層体の印刷適性、強度および耐熱性という観点から、高密度ポリエチレン(HDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)が好ましく、延伸適正という観点から、中密度ポリエチレンがより好ましい。
なお、本発明において、高密度ポリエチレンは密度が0.945g/cm3以上のものを、中密度ポリエチレンは密度が0.925~0.944g/cm3のものを、低密度ポリエチレンは密度が0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満のもの、超低密度ポリエチレンは密度が0.900g/cm3未満のものをいう。
【0036】
上記したような密度や分岐の違うポリエチレンは、重合方法を適宜選択することによって得ることができる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。
【0037】
上記のシングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物や非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調整される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造の重合体を重合することができるため好ましい。シングルサイト触媒としては、特に、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。メタロセン系触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒と、必要により有機金属化合物と、担体の各触媒成分とを含む触媒である。
【0038】
上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、そのシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1~30の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも一種の置換基を有するものである。その置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成し、インデニル環、フルオレニル環、アズレニル環、その水添体等を形成してもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環がさらに互いに置換基を有していてもよい。
【0039】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、その遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウム、ハフニウムが好ましい。該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常2個を有し、各々のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は架橋基により互いに結合しているものが好ましい。なお、架橋基としては炭素数1~4のアルキレン基、シリレン基、ジアルキルシリレン基、ジアリールシリレン基等の置換シリレン基、ジアルキルゲルミレン基、ジアリールゲルミレン基等の置換ゲルミレン基等が挙げられる。好ましくは、置換シリレン基である。上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、一種または二種以上の混合物を触媒成分とすることができる。
【0040】
助触媒としては、上記の周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、活性水素基含有あるいは非含有のカチオンと非配位性アニオンからなるイオン性化合物、酸化ランタン等のランタノイド塩、酸化スズ、フルオロ基を含有するフェノキシ化合物等が挙げられる。
【0041】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、モンモリロナイト等のイオン交換性層状珪酸塩、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられる。また更に必要により使用される有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物等が例示される。このうち有機アルミニウムが好適に使用される。
【0042】
また、本発明の特性を損なわない範囲において、エチレンと他のモノマーとの共重合体を使用することもできる。エチレン共重合体としては、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとからなる共重合体が挙げられ、炭素数3~20のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3ーメチルー1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、6-メチル-1-ヘプテンなどが挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。
【0043】
また、本発明においては、上記高密度ポリエチレン等を得るための原料として、化石燃料から得られるエチレンに代えて、バイオマス由来のエチレンを用いてもよい。このようなバイオマス由来のポリエチレンはカーボニュートラルな材料であるため、より一層、環境負荷の少ない包装材料とすることができる。このようなバイオマス由来のポリエチレンは、例えば、特開2013-177531号公報に記載されているような方法にて製造することができる。また、市販されているバイオマス由来のポリエチレン(例えば。ブラスケム社から市販されているグリーンPE等)を使用してもよい。
【0044】
基材におけるポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0045】
基材は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
【0046】
一実施形態において、基材は、多層構造を有する。
一実施形態において、基材として、高密度ポリエチレンから構成される層(以下、高密度ポリエチレン層という)および中密度ポリエチレンから構成される層(以下、中密度ポリエチレン層という)を備える構成のものを使用することができる。
基材の外側に高密度ポリエチレン層を備えることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、中密度ポリエチレン層を備えることにより、基材の延伸適性をより向上することができる。
【0047】
例えば、外側から、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との共押フィルムからなる構成を有する。
このような構成とすることにより、基材の延伸適性を向上することができる。また、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。
このとき、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さよりも薄いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/10以上1/1以下であることが好ましく、1/5以上1/2以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/10以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、基材の延伸適性をより向上することができる。
【0048】
また、例えば、外側から、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層と高密度ポリエチレン層との三層共押フィルムからなる構成とすることもできる。
このような構成とすることにより、基材の延伸適性をより向上することができる。また、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。さらに、基材におけるカールの発生を防止することができる。
このとき、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さよりも薄いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/10以上1/1以下であることが好ましく、1/5以上1/2以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/10以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、基材の延伸適性をより向上することができる。
【0049】
また、例えば、外側から、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層と低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層(該段落においては、記載簡略化のため、まとめて低密度ポリエチレン層と記載する。)と中密度ポリエチレン層と高密度ポリエチレン層からなる五層共押フィルムの構成とすることもできる。
このような構成とすることにより、基材の延伸適性を向上することができる。また、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。また、基材におけるカールの発生を防止することができる。
さらに、下記するように基材の生産効率を向上することができる。
このとき、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さよりも薄いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/10以上1/1以下であることが好ましく、1/5以上1/2以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/10以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、基材の延伸適性を向上することができる。
また、高密度ポリエチレン層の厚さは、低密度ポリエチレン層の厚さと同じまたは低密度ポリエチレンの厚さよりも厚いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、低密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/0.25以上1/2以下であることが好ましく、1/0.5以上1/1以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、低密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/0.25以上とすることにより、耐熱性を向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、低密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、中密度ポリエチレン層間の密着性を向上することができる。
各高密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、20μm以下であることが好ましく、2μm以上、10μm以下であることがより好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さを、20μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
中密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、30μm以下であることが好ましく、5μm以上、20μm以下であることがより好ましい。中密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、基材の延伸適性をより向上することができる。また、中密度ポリエチレン層の厚さを、30μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
低密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、10μm以下であることが好ましく、2μm以上、5μm以下であることがより好ましい。
低密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着性をより向上することができる。また低密度ポリエチレン層の厚さを、5μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
一実施形態において、このような構成の基材は、例えば、インフレーション法により作製することができる。
具体的には、外側から、高密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレン層と、および低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層とをチューブ状に共押出し、次いで、対向する低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層同士を、これをゴムロールなどにより、圧着することによって作製することができる。
このような方法により作製することにより、製造における欠陥品数を顕著に低減することができ、最終的には、生産効率を向上することができる。
また、インフレーション製膜機において、延伸も合わせて行うことができ、これにより、生産効率をより向上することができる。
【0050】
一実施形態において、外側から、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層(該段落においては、記載簡略化のため、まとめて低密度ポリエチレン層と記載する。)と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、高密度ポリエチレン層からなる七層共押フィルムの構成とすることもできる。
このような構成とすることにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着性を向上することができる。また、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
各高密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、20μm以下であることが好ましく、2μm以上、10μm以下であることがより好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さを、20μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
各高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層の厚さは、1μm以上、20μm以下であることが好ましく、2μm以上、10μm以下であることがより好ましい。これにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着が向上することができる。また、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
ブレンド樹脂層における高密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンの配合比は、質量基準で、1:9~9:1であることが好ましく、3:7~7:3であることがより好ましい。これにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着が向上することができる。また、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
中密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、30μm以下であることが好ましく、5μm以上、20μm以下であることがより好ましい。中密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、基材の延伸適性をより向上することができる。また、中密度ポリエチレン層の厚さを、30μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
低密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、10μm以下であることが好ましく、2μm以上、5μm以下であることがより好ましい。
低密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着性をより向上することができる。また低密度ポリエチレン層の厚さを、5μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
一実施形態において、このような構成の基材は、上記したインフレーション法により作製することができる。
このような方法により作製することにより、製造における欠陥品数を顕著に低減することができ、最終的には、生産効率を向上することができる。
また、インフレーション製膜機において、延伸も合わせて行うことができ、これにより、生産効率をより向上することができる。
【0051】
基材の厚さは、9μm以上、50μm以下であることが好ましく、12μm以上、30μm以下であることがより好ましい。基材の厚さを上記数値範囲内とすることにより、積層体の印刷適性、強度および耐熱性をより向上することができる。
【0052】
第1の態様において、基材は、少なくともその一方の面に、蒸着膜を備える。ヒートシール層との密着性の観点からは、基材のヒートシール層が設けられた側とは反対の側に蒸着膜を備えていることが好ましい。
【0053】
蒸着膜を構成する材料としては、例えば、アルミニウム等の金属や酸化アルミニウム、並びに酸化ケイ素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウムおよび酸化バリウム等の無機酸化物等が挙げられる。
上記した中でも、透明性が高く、基材に形成される画像の視認性を低下させることがなく、ガスバリア性にも優れるため、酸化アルミニウムにより蒸着膜を形成することが好ましい。
【0054】
また、蒸着膜の膜厚は、0.002μm以上、0.4μm以下であることが好ましく、0.005μm以上、0.1μm以下であることがより好ましい。蒸着膜の厚みを上記数値範囲内とすることにより、ガスバリア性を維持しつつ、蒸着膜におけるクラックなどの発生を防止することができる。
【0055】
基材は、その表面に、文字、柄、記号等の画像が形成されていてもよい。画像の経時的な劣化を防止することができるため、基材のヒートシール層を積層する側に画像を形成することが好ましい。
画像の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の従来公知の印刷法を挙げることができる。これらの中でも、環境負荷の観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
【0056】
基材は、ポリエチレンを含む樹脂材料を溶融し、これをインフレーション成形法またはT-ダイ成形法等の溶融押出成形法によって製膜した後、延伸することによって得ることができる。延伸処理をより容易に行うことができるため、インフレーション成形法により作製することが好ましい。多層構造を有する基材は、複数の樹脂材料を溶融共押出することにより作製することができる。
【0057】
樹脂材料のメルトフローレート(MFR)は、0.5g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、0.8g/10分以上、5g/10分以下であることがより好ましい。樹脂材料のMFRを上記数値範囲内とすることにより、延伸処理をより容易に行うことができる。
【0058】
蒸着膜を形成する方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0059】
また、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。蒸着チャンバーの真空度としては、酸素導入前においては、10-2~10-8mbar程度、特に、10-3~10-7mbar程度が好ましく、酸素導入後においては、10-1~10-6mbar程度、特に10-2~10-5mbar程度が好ましい。なお、酸素導入量等は、蒸着機の大きさ等によって異なる。導入する酸素には、キャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。フィルムの搬送速度としては、10~800m/分程度、特に50~600m/分程度が好ましい。
【0060】
一実施形態において、基材は、バリアコート層を備えることができ、これにより、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
基材が、蒸着膜を備える場合、該バリアコート層は、上記蒸着膜上に設けられていても、蒸着膜下に設けられていてもよい。
【0061】
一実施形態において、バリアコート層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂などのガスバリア性樹脂を含む。これらの中でも、酸素バリア性および水蒸気バリア性という観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
また、基材が、無機酸化物から構成される蒸着膜を備える場合、バリアコート層にポリビニルアルコールを含有させることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に防止することができる。
【0062】
バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有量は、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、75質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有量を50質量%以上とすることにより、酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。
【0063】
バリアコート層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができる。
【0064】
バリアコート層の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。バリアコート層の厚さを10μm以下とすることにより、リサイクル性を維持することができる。
【0065】
バリアコート層は、上記材料を水または適当な溶剤に、溶解または分散させ、塗布、乾燥することにより形成することができる。また、市販されるバリアコート剤を塗布、乾燥することによってもバリアコート層を形成することができる。
【0066】
また、他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物を、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤などの存在下で、ゾルゲル法によって重縮合して得られる金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物を少なくとも1種含むガスバリア性塗布膜である。
基材が、無機酸化物から構成される蒸着膜を備える場合、該形態のバリアコート層を、蒸着膜と隣接するように設けることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に防止することができる。
【0067】
一実施形態において、金属アルコキシドは、下記一般式で表される。
R1
nM(OR2)m
(ただし、式中、R1、R2は、それぞれ、炭素数1~8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。)
【0068】
金属原子Mとしては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムなどを使用することができる。
また、R1およびR2で表される有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基およびi-ブチル基などのアルキル基を挙げることができる。
【0069】
上記一般式を満たす金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)、テトラエトキシシラン(質量%)Si(OC2H5)4)、テトラプロポキシシラン(Si(OC3H7)4)、テトラブトキシシラン(Si(OC4H9)4)などが挙げられる。
【0070】
また、上記金属アルコキシドと共に、シランカップリング剤が使用されることが好ましい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができるが、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましい。エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランとしては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよびβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0071】
上記のようなシランカップリング剤は、2種以上を使用してもよく、シランカップリング剤は、上記アルコキシドの合計量100質量部に対して、1~20質量部程度の範囲内で使用することが好ましい。
【0072】
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましく、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性および耐候性という観点からは、これらを併用することが好ましい。
【0073】
ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量は、金属アルコキシド100質量部に対して5質量部以上500質量部以下であることが好ましい。
ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量を、金属アルコキシド100質量部に対して5質量部以上とすることにより、基材の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。また、ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量を、金属アルコキシド100質量部に対して500質量部以下とすることにより、ガスバリア性塗布膜の製膜性を向上することができる。
【0074】
ガスバリア性塗布膜の厚さは、0.01μm以上100μm以下であることが好ましく、0.1μm以上50μm以下であることがより好ましい。これにより、リサイクル性を維持しつつ、酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。
ガスバリア性塗布膜の厚さを0.01μm以上とすることにより、基材の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、無機酸化物から構成される蒸着膜と隣接するように設けた場合に、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。
【0075】
ガスバリア性塗布膜は、上記材料を含む組成物を、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの従来公知の手段により、塗布し、その組成物をゾルゲル法により重縮合することにより形成させることができる。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶媒に可溶な第3級アミンが好適であり、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルべンジルアミンが好ましい。
ゾルゲル法触媒は、金属アルコキシド100質量部当り、0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲で使用することが好ましく、0.03質量部以上0.3質量部以下の範囲で使用することがより好ましい。
ゾルゲル法触媒の使用量を金属アルコキシド100質量部当り、0.01質量部以上とすることにより、その触媒効果を向上することができる。また、ゾルゲル法触媒の使用量を金属アルコキシド100質量部当り、1.0質量部以下とすることにより、形成されるガスバリア性塗布膜の厚さを均一にすることができる。
【0076】
上記組成物は、さらに酸を含んでいてもよい。酸は、ゾル-ゲル法の触媒、主としてアルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに酢酸、酒石酸などの有機酸が用いられる。酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.001モル以上0.05モル以下であることが好ましい。
酸の使用量をアルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.001モル以上とすることにより、触媒効果を向上することができる。また、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.05モル以下とすることにより、形成されるガスバリア性塗布膜の厚さを均一にすることができる。
【0077】
また、上記組成物は、アルコキシドの合計モル量1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.8モル以上2モル以下の割合の水を含んでなることが好ましい。
水の含有量をアルコキシドの合計モル量1モルに対して、0.1モル以上とすることにより、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、水の含有量をアルコキシドの合計モル量1モルに対して、100モル以上とすることにより、加水分解反応を速やかに行うことができる。
【0078】
また、上記組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどを用いることができる。
【0079】
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について以下に説明する。
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶媒および必要に応じてシランカップリング剤などを混合し、組成物を調製する。該組成物中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、上記従来公知の方法により、該組成物を塗布、乾燥する。この乾燥により、アルコキシドおよび水溶性高分子(組成物が、シランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合反応がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。
最後に、該組成物を20~250℃、好ましくは50~220℃の温度で、1秒~10分間加熱することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
【0080】
バリアコート層は、その表面に画像が形成されていてもよい。画像の形成方法などについては上記した通りである。
【0081】
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、基材と同一の材料、すなわち、ポリエチレンにより構成されている。このような構成とすることにより、積層体のリサイクル性を向上できる。
ヒートシール層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびエチレンとその他のモノマーとの共重合体の少なくとも1つを含む。これらの中でも、ヒートシール性という観点からは、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。環境負荷の観点からは、これらポリエチレンは、バイオマス由来のものであることが好ましい。
【0082】
ヒートシール層におけるポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0083】
ヒートシール層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
【0084】
ヒートシール層の厚さは、20μm以上、200μm以下であることが好ましく、30μm以上、150μm以下であることがより好ましい。ヒートシール層の厚さを上記数値範囲内とすることにより、そのヒートシール性を向上することができる。
【0085】
ヒートシール層は、ポリエチレンを含む樹脂材料を、インフレーション成形またはT-ダイ成形等の溶融押出成形法によって製膜することによりポリエチレンフィルムを作製し、これを接着層を介して、基材または蒸着膜を備えるポリエチレン層上に積層することにより、形成することができる。
接着層は、接着剤を含み、この接着剤は、
接着剤としては、1液硬化型若しくは2液硬化型、または非硬化型のいずれも接着剤であってもよい。また、接着剤は、無溶剤型の接着剤であっても、溶剤型の接着剤であってもよいが、環境負荷の観点からは、無溶剤型の接着剤が好ましく使用できる。
無溶剤型接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤およびウレタン系接着剤などが挙げられ、これらのなかでも2液硬化型のウレタン系接着剤を好ましく使用することができる。
溶剤型接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤およびオレフィン系接着剤などが挙げられる。
【0086】
また、基材が、アルミニウム蒸着膜を備え、これ蒸着膜と隣接するように接着層を設ける場合には、接着層を、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とリン酸変性化合物を含む樹脂組成物の硬化物により構成することが好ましい。
蒸着膜を備えた積層体を包装材料に適用する際には、成形機などにより積層体に屈曲負荷がかかるため、アルミニウム蒸着膜に亀裂などが生じる恐れがある。上記したような特定の接着剤を使用することで、アルミニウム蒸着膜に亀裂が生じた場合であっても、酸素バリア性および水蒸気バリア性の低下を抑制することができる。
【0087】
ポリエステルポリオールは、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する。また、イソシアネート化合物は、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有する。ポリエステルポリオールは、主骨格として、例えばポリエステル構造、またはポリエステルポリウレタン構造を有する。
【0088】
ポリエステルポリオール、イソシアネート化合物およびリン酸変性化合物を含有する樹脂組成物の具体例としては、DIC株式会社から販売されている、パスリム(PASLIM)のシリーズが使用できる。
【0089】
該樹脂組成物は、板状無機化合物、カップリング剤、シクロデキストリンおよび/またはその誘導体などをさらに含んでいてもよい。
【0090】
官能基として1分子中に水酸基を2個以上有するポリエステルポリオールとしては、例えば下記の〔第1例〕~〔第3例〕を用いることができる。
〔第1例〕オルト配向多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール
〔第2例〕グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール
〔第3例〕イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール
以下、各ポリエステルポリオールについて説明する。
【0091】
第1例に係るポリエステルポリオールは、オルトフタル酸およびその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分とを重縮合して得られる重縮合体である。
特に、オルトフタル酸およびその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率が70~100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
【0092】
第1例に係るポリエステルポリオールは、多価カルボン酸成分としてオルトフタル酸およびその無水物を必須とするが、本実施の形態の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。
具体的には、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸など脂肪族多価カルボン酸、無水マレイン酸、マレイン酸およびフマル酸などの不飽和結合含有多価カルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸および1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、これらジカルボン酸の無水物およびこれらジカルボン酸のエステル形成性誘導体などの芳香族多価カルボン酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸およびこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などの多塩基酸などが挙げられる。これらの中でも、コハク酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
なお、上記その他の多価カルボン酸を2種以上使用してもよい。
【0093】
第2例に係るポリエステルポリオールとして、一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオールを挙げることができる。
【化1】
一般式(1)において、R1、R2、R3は、各々独立に、H(水素原子)または下記の一般式(2)で表される基である。
【化2】
【0094】
式(2)において、nは1~5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2-フェニレン基、1,2-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、2,3-アントラキノンジイル基、および2,3-アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2~6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。
但し、R1、R2、R3のうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。
【0095】
一般式(1)において、R1、R2、R3の少なくとも1つは一般式(2)で表される基である必要がある。中でも、R1、R2、R3全てが一般式(2)で表される基であることが好ましい。
【0096】
また、R1、R2、R3のいずれか1つが一般式(2)で表される基である化合物と、R1、R2、R3のいずれか2つが一般式(2)で表される基である化合物と、R1、R2、R3の全てが一般式(2)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
【0097】
Xは、1,2-フェニレン基、1,2-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、2,3-アントラキノンジイル基および2,3-アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
【0098】
一般式(2)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5-ペンチレン基、3-メチル-1,5-ペンチレン基、1,6-ヘキシレン基、メチルペンチレン基およびジメチルブチレン基などの炭素原子数2~6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基およびエチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
【0099】
一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステル樹脂化合物は、グリセロールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させることにより合成することができる。
【0100】
カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3-ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2-ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3-ジカルボン酸またはその無水物、および2,3-アントラセンカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
【0101】
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2~6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルペンタンジオールおよびジメチルブタンジオールなどのジオールを例示することができる。
【0102】
第3例に係るポリエステルポリオールは、下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオールである。
【化3】
一般式(3)において、R1、R2、R3は、各々独立に、「-(CH2)n1-OH(但しn1は2~4の整数を表す)」、または、一般式(4)の構造を表す。
【化4】
【0103】
一般式(4)中、n2は2~4の整数を表し、n3は1~5の整数を表し、Xは1,2-フェニレン基、1,2-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、2,3-アントラキノンジイル基および2,3-アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2~6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但しR1、R2、R3の少なくとも1つは一般式(4)で表される基である。
【0104】
一般式(3)において、-(CH2)n1-で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状でもよい。n1は、中でも2または3が好ましく、2が最も好ましい。
【0105】
一般式(4)において、n2は2~4の整数を表し、n3は1~5の整数を表す。
Xは1,2-フェニレン基、1,2-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、2,3-アントラキノンジイル基、および2,3-アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
【0106】
Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
Xの置換基は、中でもヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基およびフェニル基が好ましくヒドロキシル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、フタルイミド基およびフェニル基が最も好ましい。
【0107】
一般式(4)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5-ペンチレン基、3-メチル-1,5-ペンチレン基、1,6-ヘキシレン基、メチルペンチレン基およびジメチルブチレン基などの炭素原子数2~6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基およびエチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
【0108】
一般式(3)において、R1、R2、R3の少なくとも1つは一般式(4)で表される基である。中でも、R1、R2、R3全てが一般式(4)で表される基であることが好ましい。
【0109】
また、R1、R2、R3のいずれか1つが一般式(4)で表される基である化合物と、R1、R2、R3のいずれか2つが一般式(4)で表される基である化合物と、R1、R2、R3の全てが一般式(4)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
【0110】
一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオールは、イソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させることにより合成することができる
【0111】
イソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸および1,3,5-トリス(2-ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0112】
また、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3-ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2-ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3-ジカルボン酸またはその無水物、および2,3-アントラセンカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。
【0113】
該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
【0114】
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2~6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルペンタンジオールおよびジメチルブタンジオールなどのジオールが挙げられる。
中でも、イソシアヌル環を有するトリオール化合物として1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5-トリス(2-ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を使用し、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としてオルトフタル酸無水物を使用し、多価アルコールとしてエチレングリコールを使用したイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物が、酸素バリア性や接着性に特に優れ好ましい。
【0115】
イソシアヌル環は高極性であり且つ3官能であり、系全体の極性を高めることができ、且つ、架橋密度を高めることができる。このような観点からイソシアヌル環を接着剤樹脂全固形分に対し5質量%以上含有することが好ましい。
【0116】
イソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有する。
また、イソシアネート化合物は、芳香族であっても、脂肪族であってもよく、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
さらに、イソシアネート化合物は、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物であってもよい。
中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、イソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましく、酸素バリア性および水蒸気バリア性の観点からは、芳香族であることが好ましい。
【0117】
イソシアネート化合物の具体的な化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体、並びにこれらのイソシアネート化合物と、低分子活性水素化合物若しくはそのアルキレンオキシド付加物、または高分子活性水素化合物とを反応させて得られるアダクト体、ビュレット体およびアロファネート体などが挙げられる。
低分子活性水素化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびメタキシリレンジアミンなどが挙げられ、分子活性水素化合物としては、各種ポリエステル樹脂、ポリエーテルポリオールおよびポリアミドの高分子活性水素化合物などが挙げられる。
【0118】
リン酸変性化合物は、例えば下記の一般式(5)または(6)で表される化合物である。
【化5】
一般式(5)において、R1、R2、R3は、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換基を有してもよいフェニル基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基から選ばれる基であるが、少なくとも一つは水素原子であり、nは、1~4の整数を表す。
【化6】
式中、R4、R5は、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換基を有してもよいフェニル基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基から選ばれる基であり、nは1~4の整数、xは0~30の整数、yは0~30の整数を表すが、xとyが共に0である場合を除く。
【0119】
より具体的には、リン酸、ピロリン酸、トリリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、イソドデシルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェートおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0120】
樹脂組成物におけるリン酸変性化合物の含有量は、0.005質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
リン酸変性化合物の含有量を0.005質量%以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、リン酸変性化合物の含有量を10質量%以下とすることにより、接着層の接着性を向上することができる。
【0121】
ポリエステルポリオール、イソシアネート化合物およびリン酸変性化合物を含有する樹脂組成物は、板状無機化合物を含んでいてもよく、これにより、接着層の接着性を向上することができる。また、本発明の積層体の耐屈曲負荷性を向上させることができる。
板状無機化合物としては、例えば、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴライト、クリソタイルなど)およびパイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライなど)などが挙げられる。
【0122】
カップリング剤としては、例えば、下記一般式(7)であらわされるシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤およびアルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。なお、これらのカップリング剤は、単独でも、2種類以上組み合わせてもよい。
【化7】
【0123】
シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランおよび3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)などが挙げられる。
【0124】
また、チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジドデシルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタイノルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネートおよびジクミルフェニルオキシアセテートチタネートなどが挙げられる。
【0125】
また、アルミニウム系カップリング剤の具体例としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノメタクリレート、イソプロポキシアルミニウムアルキルアセトアセテートモノ(ジオクチルホスフェート)、アルミニウム-2-エチルヘキサノエートオキサイドトリマー、アルミニウムステアレートオキサイドトリマーおよびアルキルアセトアセテートアルミニウムオキサイドトリマーなどが挙げられる。
【0126】
樹脂組成物は、シクロデキストリンおよび/またはその誘導体を含むことができ、これにより、接着層の接着性を向上することができる。また、本発明の積層体の耐屈曲負荷性をより向上できる。
具体的には、例えば、シクロデキストリン、アルキル化シクロデキストリン、アセチル化シクロデキストリンおよびヒドロキシアルキル化シクロデキストリンなどのシクロデキストリンのグルコース単位の水酸基の水素原子を他の官能基で置換したものなどを用いることができる。また、分岐環状デキストリンも用いることができる。
また、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体におけるシクロデキストリン骨格は、6個のグルコース単位からなるα-シクロデキストリン、7個のグルコース単位からなるβ-シクロデキストリン、8個のグルコース単位からなるγ-シクロデキストリンのいずれであってもよい。
これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらシクロデキストリンおよび/またはその誘導体を以降、デキストリン化合物と総称する場合がある。
【0127】
樹脂組成物への相溶性および分散性の観点から、シクロデキストリン化合物としては、シクロデキストリン誘導体を用いることが好ましい。
【0128】
アルキル化シクロデキストリンとしては、例えば、メチル-α-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリンおよびメチル-γ-シクロデキストリンなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0129】
アセチル化シクロデキストリンとしては、例えば、モノアセチル-α-シクロデキストリン、モノアセチル-β-シクロデキストリンおよびモノアセチル-γ-シクロデキストリンなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0130】
ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンとしては、例えば、ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリンなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0131】
接着層の厚さは、0.5μm以上6μm以下であることが好ましく、0.8μm以上5μm以下であることがより好ましく、1μm以上4.5μm以下であることがさらに好ましい。
接着層の厚さを0.5μm以上とすることにより、接着層の接着性を向上することができる。また、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とリン酸変性化合物を含む樹脂組成物の硬化物からなる接着層を、アルミニウム蒸着膜と隣接するように設けた場合には、積層体の耐屈曲負荷性を向上することができる。
接着層の厚さを6μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。
【0132】
また、ポリエチレンを含む樹脂材料を基材または蒸着膜を備える中間層上に押出し、これを乾燥させることによっても、ヒートシール層を形成することができる。
【0133】
<蒸着膜を備える中間層>
第1の態様において、積層体は、基材と、ヒートシール層との間に、少なくとも一方の面に蒸着膜を備える中間層を備えることができる。中間層は、基材およびヒートシール層と同様にポリエチレンにより構成されており、これにより、積層体のリサイクル性を向上することができる。また、これにより、本発明による積層体のガスバリア性をさらに向上することができる。
【0134】
蒸着膜を備える中間層は、延伸フィルムから構成されるものであっても、未延伸フィルムから構成されるものであってもよいが、積層体の印刷適性、強度および耐熱性という観点からは延伸されたものであることが好ましい。また、一軸延伸されたものであっても、二軸延伸されたものであってもよいが、強度という観点からは、二軸延伸されたものが好ましい。
【0135】
蒸着膜を備える中間層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびエチレンとその他のモノマーとの共重合体の少なくとも1つを含む。これらの中でも、印刷適性、強度および耐熱性という観点から、高密度ポリエチレン(HDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)が好ましく、高密度ポリエチレン(HDPE)がより好ましい。環境負荷の観点からは、これらポリエチレンは、バイオマス由来のものであることが好ましい。
【0136】
蒸着膜を備える中間層におけるポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0137】
蒸着膜を備える中間層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
【0138】
蒸着膜を構成する材料としては、上記した金属や金属酸化物を使用することができるが、ガスバリア性およびコストの観点から、アルミニウムにより蒸着膜を形成することが好ましい。また、アルミニウムを使用することにより、光沢を与えることができ、意匠性を向上することもできる。
【0139】
蒸着膜を備える中間層の厚さは、生産性および経済性の観点からは、9μm以上、50μm以下であることが好ましく、12μm以上、30μm以下であることがより好ましい。
また、蒸着膜の厚さは、0.002μm以上、0.4μm以下であることが好ましく、0.005μm以上、0.1μm以下であることがより好ましい。蒸着膜の厚みを上記数値範囲内とすることにより、ガスバリア性を維持しつつ、蒸着膜におけるクラックなどの発生を防止することができる。
【0140】
蒸着膜を備える中間層は、その表面に画像が形成されていてもよい。画像形成方法については上記した通りである。
【0141】
蒸着膜を備える中間層は、ポリエチレンを含む樹脂材料を、インフレーション成形またはT-ダイ成形等の溶融押出成形法によって製膜することによりポリエチレンフィルムを作製し、該ポリエチレンフィルムの少なくとも一方の面に上記した方法により、蒸着膜を形成させた後、接着剤を介して、基材上に積層することにより、形成することができる。この場合、蒸着前、積層前に、ポリエチレンフィルムに対し、延伸処理を施してもよい。
また、ポリエチレンを含む樹脂材料を基材上に押出し、これを乾燥させた後、蒸着膜を形成させることによっても、蒸着膜を備える中間層を形成することができる。
【0142】
<第2の態様の積層体>
図3に示すように、第2の態様の積層体10は、基材20と、少なくとも一方の面に蒸着膜40を備える中間層50と、ヒートシール層30とを備える。
以下、積層体が備える各層について説明する。
【0143】
<基材>
基材は、延伸処理が施されており、一軸延伸されたものであっても、二軸延伸されたものであってもよいが、強度という観点からは、二軸延伸されたものが好ましい。長手方向および横手方向の好ましい延伸倍率については、第1の態様と同様である。
【0144】
基材は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびエチレンとその他のモノマーとの共重合体の少なくとも1つを含む。これらの中でも、印刷適性、強度および耐熱性という観点から、高密度ポリエチレン(HDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)が好ましく、延伸適正という観点から、中密度ポリエチレンがより好ましい。環境負荷の観点からは、これらポリエチレンは、バイオマス由来のものであることが好ましい。
【0145】
基材におけるポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0146】
基材は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
【0147】
一実施形態において、基材は、多層構造を有する。多層構造の詳細については上記した通りである。
【0148】
基材の厚さは、9μm以上、50μm以下であることが好ましく、12μm以上、30μm以下であることがより好ましい。基材の厚さを上記数値範囲内とすることにより、積層体の印刷適性、強度および耐熱性をより向上することができる。
【0149】
基材は、その表面に画像が形成されていてもよい。画像の経時的な劣化を防止することができるため、基材のヒートシール層を積層する側に画像を形成することが好ましい。
画像の形成方法は、第1の態様において記載した通りであり、環境負荷の観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
【0150】
基材作製方法は、第1の態様において記載した通りである。
【0151】
<蒸着膜を備える中間層>
第2の態様において、積層体は、基材と、ヒートシール層との間に、少なくとも一方の面に蒸着膜を備える中間層を備える。
この中間層は、基材およびヒートシール層と同様に、ポリエチレンにより構成され、これにより積層体のリサイクル性を向上することができる。
【0152】
蒸着膜を備える中間層層は、延伸フィルムから構成されるものであっても、未延伸フィルムから構成されるものであってもよいが、積層体の印刷適性、強度および耐熱性という観点からは延伸されたものであることが好ましい。また、一軸延伸されたものであっても、二軸延伸されたものであってもよいが、強度という観点からは、二軸延伸されたものが好ましい。
【0153】
蒸着膜を備える中間層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびエチレンとその他のモノマーとの共重合体の少なくとも1つを含む。これらの中でも、印刷適性、強度および耐熱性という観点から、高密度ポリエチレン(HDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)が好ましく、延伸適正という観点から、中密度ポリエチレンがより好ましい。環境負荷の観点からは、これらポリエチレンは、バイオマス由来のものであることが好ましい。
【0154】
蒸着膜を備える中間層におけるポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0155】
蒸着膜を備える中間層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
【0156】
蒸着膜を構成する材料としては、上記したものを使用することができるが、ガスバリア性という観点から、アルミニウムにより蒸着膜を形成することが好ましい。
【0157】
蒸着膜を備える中間層の厚さは、生産性および経済性の観点からは、9μm以上、50μm以下であることが好ましく、12μm以上、30μm以下であることがより好ましい。
また、蒸着膜の厚さは、0.002μm以上、0.4μm以下であることが好ましく、0.005μm以上、0.1μm以下であることがより好ましい。蒸着膜の厚みを上記数値範囲内とすることにより、ガスバリア性を維持しつつ、蒸着膜におけるクラックなどの発生を防止することができる。
【0158】
蒸着膜を備える中間層は、その表面に画像が形成されていてもよい。画像形成方法については、第1の態様において記載した通りである。
【0159】
蒸着膜を備える中間層の作製方法については、第1の態様において記載した通りである。
【0160】
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびエチレンとその他のモノマーとの共重合体の少なくとも1つを含む。これらの中でも、ヒートシール性という観点からは、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。環境負荷の観点からは、これらポリエチレンは、バイオマス由来のものであることが好ましい。
【0161】
ヒートシール層におけるポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0162】
ヒートシール層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
【0163】
ヒートシール層の厚さは、20μm以上、200μm以下であることが好ましく、30μm以上、150μm以下であることがより好ましい。ヒートシール層の厚さを上記数値範囲内とすることにより、そのヒートシール性を向上することができる。
【0164】
ヒートシール層の作製方法は、第1の態様において記載した通りである。
【0165】
<包装材料>
一実施形態において、本発明による包装材料は、上記積層体のヒートシール層が内側となるように、二つ折にして重ね合わせて、その端部をヒートシールすることにより製造することができる。
また、2枚の積層体を、ヒートシール層が向かい合うように重ね合わせ、その端部をヒートシールすることにより製造することができる。
シール方法により、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装材料を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0166】
本発明による積層体は、一種の樹脂(すなわちポリエチレン)のみからなる積層体であっても、基材が包装材料の外側フィルムとして要求される強度や印刷適性を満たし、ヒートシール層が包装化を可能とする。そのため、リサイクル性が求められる包装材料を構成する材料として極めて適している。
【実施例】
【0167】
本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。
【0168】
<実施例1>
中密度ポリエチレン(密度:0.941g/cm3、融点129℃、MFR:1.3g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5538G)をインフレーション成形法により製膜し、厚さ100μmのポリエチレンフィルムを得た。
このポリエチレンフィルムを長手方向(MD)に、5倍の延伸倍率で延伸し、厚さ20μmの基材を得た。
【0169】
基材の一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmの酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0170】
基材の蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0171】
<実施例2>
高密度ポリエチレン(密度:0.961g/cm3、融点135℃、MFR:0.7g/10分、ExxonMobil社製、商品名:HTA108)および中密度ポリエチレン(密度:0.941g/cm3、融点129℃、MFR:1.3g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5538G)を、インフレーション成形法により製膜し、高密度ポリエチレン層/中密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層からなるポリエチレンフィルムを作製した。高密度ポリエチレン層の厚さは、それぞれ20μm、中密度ポリエチレン層の厚さは、60μmであった。
このポリエチレンフィルムを長手方向(MD)に、5倍の延伸倍率で延伸し、厚さ20μmの基材を得た。
【0172】
基材の一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmの酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0173】
基材の非蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)とを、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0174】
<実施例3>
中密度ポリエチレン(密度:0.941g/cm3、融点129℃、MFR:1.3g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5538G)をインフレーション成形法により製膜し、厚さ100μmのポリエチレンフィルムを2枚得た。
2枚のポリエチレンフィルムを長手方向(MD)に、5倍の延伸倍率で延伸し、厚さ20μmの延伸ポリエチレンフィルムを得た。
【0175】
1枚の延伸ポリエチレンフィルムの一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmのアルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0176】
次いで、この蒸着膜を備える延伸ポリエチレンフィルムの蒸着面に、もう1枚の延伸ポリエチレンフィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層した。
【0177】
蒸着膜を備える延伸ポリエチレンフィルムの非蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0178】
<実施例4>
中密度ポリエチレン(密度:0.941g/cm3、融点129℃、MFR:1.3g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5538G)をインフレーション成形法により製膜し、厚さ100μmのポリエチレンフィルムを得た。
このポリエチレンフィルムを長手方向(MD)に、2.24倍の延伸倍率で延伸し、ぽ幅方向(TD)に、2.24倍の延伸倍率で延伸し、厚さ20μmの基材を得た。
【0179】
基材の一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmの酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0180】
基材の蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0181】
<実施例5>
高密度ポリエチレン(密度:0.960g/cm3、融点130℃、MFR:0.85g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5960)と、
上記高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレン(密度:0.940g/cm3、融点126℃、MFR:0.85g/10分、Dowchemical社製、商品名Elite5940)のブレンド樹脂(質量比4:6)と、
上記中密度ポリエチレンと、
超低密度ポリエチレン(密度0.870g/cm3、融点55℃、MFR:1.0g/10分、Dowchemical社製、商品名:Affinity EG8100G)と、をインフレーション成形法により、外側から、高密度ポリエチレン層(12.5μm)、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層(12.5μm)、中密度ポリエチレン層(31.25μm)および超低密度ポリエチレン層(6.25μm)を備えるチューブ状のフィルムとして押し出した後、内側の超低密度ポリエチレン層同士を、ゴムロールにより圧着し、高密度ポリエチレン層(12.5μm)と、ブレンド樹脂層(12.5μm)と、中密度ポリエチレン層(31.25μm)と、超低密度ポリエチレン層(12.5μm)と、中密度ポリエチレン層(31.25μm)と、ブレンド樹脂層(12.5μm)とを備える、厚さ125μmのポリエチレンフィルムを得た。
【0182】
このポリエチレンフィルムを長手方向(MD)に5倍の延伸倍率で延伸し、厚さ25μmの基材を得た。
基材の一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmの酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0183】
基材の蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0184】
<実施例6>
高密度ポリエチレン(密度:0.960g/cm3、融点130℃、MFR:0.85g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5960)と、
中密度ポリエチレン(密度:0.940g/cm3、融点126℃、MFR:0.85g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5940)と、
超低密度ポリエチレン(密度:0.870g/cm3、融点55℃、MFR:1.0g/10分、Dowchemical社製、商品名:Affinity EG8100G)と、をインフレーション成形法により、外側から、高密度ポリエチレン層(12.5μm)、中密度ポリエチレン層(43.75μm)および超低密度ポリエチレン層(6.25μm)を備えるチューブ状のフィルムとして押し出した後、内側の超低密度ポリエチレン層同士を、ゴムロールにより、圧着し、高密度ポリエチレン層(12.5μm)と、中密度ポリエチレン層(43.75μm)と、超低密度ポリエチレン層(12.5μm)と、中密度ポリエチレン層(43.75μm)と、高密度ポリエチレン層(12.5μm)とを備える、厚さ125μmのポリエチレンフィルムを得た。
このポリエチレンフィルムを長手方向(MD)に、5倍の延伸倍率で延伸し、厚さ25μmの基材を得た。
【0185】
基材の一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmの酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0186】
基材の蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0187】
<比較例1>
中密度ポリエチレン(密度:0.941g/cm3、融点129℃、MFR:1.3g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5538G)をインフレーション成形法により製膜し、厚さ20μmのポリエチレンフィルムを得た。
【0188】
ポリエチレンフィルムの一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmの酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0189】
ポリエチレンフィルムの非蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0190】
<比較例2>
高密度ポリエチレン(密度:0.961g/cm3、融点135℃、MFR:0.7g/10分、ExxonMobil社製、商品名:HTA108)および中密度ポリエチレン(密度:0.941g/cm3、融点129℃、MFR:1.3g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5538G)を、インフレーション成形法により製膜し、高密度ポリエチレン層/中密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層からなるポリエチレンフィルムを作製した。高密度ポリエチレン層の厚さは、それぞれ4μm、中密度ポリエチレン層の厚さは、12μmであった。
【0191】
ポリエチレンフィルムの一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmの酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0192】
ポリエチレンフィルムの非蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)とを、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0193】
<比較例3>
中密度ポリエチレン(密度:0.941g/cm3、融点129℃、MFR:1.3g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5538G)をインフレーション成形法により製膜し、厚さ20μmのポリエチレンフィルムを2枚得た。
【0194】
1枚のポリエチレンフィルムの一方の面に、真空蒸着法により、厚さ0.1μmのアルミニウムからなる蒸着膜を形成させた。
【0195】
次いで、この蒸着膜を備えるポリエチレンフィルムの蒸着面に、もう1枚のポリエチレンフィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層した。
【0196】
蒸着膜を備えるポリエチレンフィルムの非蒸着面に、厚さ40μmの、未延伸直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:L6100)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体を得た。
【0197】
<比較例4>
高密度ポリエチレン(密度:0.960g/cm3、融点130℃、MFR:0.85g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5960)と、
中密度ポリエチレン(密度:0.940g/cm3、融点126℃、MFR:0.85g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5940)と、
超低密度ポリエチレン(密度:0.870g/cm3、融点55℃、MFR:1.0g/10分、Dowchemical社製、商品名:Affinity EG8100G)をインフレーション成形法により、外側から、高密度ポリエチレン層、中密度ポリエチレン層および超低密度ポリエチレン層を備えるチューブ状のフィルムとして押し出した後、内側の超低密度ポリエチレン層同士を、ゴムロールにより、圧着し、高密度ポリエチレン層(2.5μm)、中密度ポリエチレン層(8.75μm)、超低密度ポリエチレン層(2.5μm)、中密度ポリエチレン層(8.75μm)および高密度ポリエチレン層(2.5μm)を備える、厚さ25μmのポリエチレンフィルムを得た。
【0198】
基材を、上記のようにして作製したポリエチレンフィルムに変更した以外は、実施例6と同様にして、積層体を作製した。
【0199】
<印刷適性評価>
上記実施例および比較例において作製した基材およびポリエチレンフィルムの一方の面に、水性フレキソインキ(東洋インキ(株)製、商品名:アクワリオナ)を用いて、フレキソ印刷法により、画像を形成した。形成した画像を目視により観察し、基材およびポリエチレンフィルムの印刷適性を以下の評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
○:印刷時の寸法安定性が良好であり、擦れ、滲み等が生じていない良好な画像を形成することができていた。
×:印刷時にフィルムの伸び縮みが発生し、形成した画像に擦れや滲みが生じていた。
【0200】
<剛性評価>
上記実施例および比較例において作製した基材およびポリエチレンフィルムを、15mm幅の試験片とし、ループスティフネス測定試験器(東洋精機製作所製、商品名:ループステフネステスタ)によりその剛性を測定した。なお、ループの長さは、60mmとした。測定結果を表1にまとめた。
【0201】
<強度評価>
上記実施例および比較例において作製した基材およびポリエチレンフィルムを、10mm幅のダンベル型試験片とした。この試験片のMD方向の引っ張り強度を、引っ張り試験機(オリエンテック社製、RTC-1310A)により測定した。なお、チャック間距離は、10mm、引っ張り速度は、300mm/分とした。測定結果を表1にまとめた。
【0202】
<ガスバリア性評価>
上記実施例および比較例において作製した積層体の水蒸気透過率(g/m2・day)を米国MOCON社製の水蒸気透過率測定装置(PERMATRAN)を使用して測定した。測定結果を表1にまとめた。
【0203】
【符号の説明】
【0204】
10:積層体
20:基材
30:ヒートシール層
40:蒸着膜
50:蒸着膜を備える中間層