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特許7549827後方互換性バッテリDC充電器および車載型充電器を使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】後方互換性バッテリDC充電器および車載型充電器を使用する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240905BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240905BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20240905BHJP
【FI】
H02J7/02 C
H02J7/00 P
B60L53/30
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021556797
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020022613
(87)【国際公開番号】W WO2020190713
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】16/359,371
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ム、ミンカイ
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116989(JP,A)
【文献】特表2017-528105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0179745(US,A1)
【文献】特開2017-184374(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196121(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0079776(US,A1)
【文献】特開2013-236490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0175990(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
B60L 53/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両輸送システムであって、
AC入力およびDC入力を含む充電ポートと、
バッテリと、
車載型充電(OBC)システムと、
レガシーパスコンタクタと、
ネイティブパスコンタクタと、
前記OBCシステムおよび複数のコンタクタに連結された制御回路であって、前記充電ポートの前記DC入力に供給されるDC電力がネイティブ電圧レベルであるか、またはレガシー電圧レベルであるかの決定に基づいて、ネイティブパスおよびレガシーパスのうちの1つを使用して前記バッテリを充電する
ように動作する制御回路と
を備え、
前記ネイティブパスは前記ネイティブパスコンタクタを含み、前記ネイティブ電圧レベルが前記バッテリを充電することを可能にするために前記ネイティブパスコンタクタは閉じられ、
前記レガシーパスは前記レガシーパスコンタクタおよび前記OBCシステムを含み、前記制御回路は、前記OBCシステムを昇圧コンバータとして使用して前記レガシー電圧レベルを前記ネイティブ電圧レベルに昇圧し、前記バッテリを充電
前記OBCシステムは、
前記充電ポートの前記AC入力、および、前記レガシーパスコンタクタに接続される第1および第2バスと、
前記第1および第2バスに連結される第1変換ステージ回路と、
前記第1変換ステージ回路および前記バッテリに連結された第2変換ステージ回路と
を含む、
車両輸送システム。
【請求項2】
前記バッテリは、前記ネイティブ電圧レベルで動作し、前記ネイティブ電圧レベルは、前記レガシー電圧レベルより高い電圧レベルを有する、請求項1に記載の車両輸送システム。
【請求項3】
前記充電ポートの前記AC入力上でAC電力が利用可能であるとき、前記制御回路は、ACパスを介して前記バッテリを充電するように動作し、前記ACパスは前記OBCシステムを使用して前記バッテリを充電し、前記DC入力を前記ACパスおよび前記バッテリから切断するために前記レガシーパスコンタクタおよび前記ネイティブパスコンタクタは開かれる、請求項1または2に記載の車両輸送システム。
【請求項4】
前記ネイティブパスコンタクタは、前記DC入力および前記バッテリに連結され、前記制御回路は、前記充電ポートの前記DC入力を前記バッテリに直接連結するために前記ネイティブパスコンタクタを閉じるように動作する、請求項1に記載の車両輸送システム。
【請求項5】
前記レガシーパスコンタクタおよび前記ネイティブパスコンタクタは前記DC入力に連結され、DCレガシー電圧が前記DC入力に供給されるとき、前記制御回路は、
前記ネイティブパスコンタクタを開き、
前記レガシーパスコンタクタを閉じ、
前記OBCシステムを使用して、前記DC電力の前記レガシー電圧レベルを前記ネイティブ電圧レベルに昇圧する
ように動作する、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両輸送システム。
【請求項6】
DCネイティブ電圧が前記DC入力に供給されるとき、前記制御回路は、
前記DC入力を前記バッテリに直接連結するために前記ネイティブパスコンタクタを閉じ、
前記レガシーパスコンタクタを開く
ように動作し、
AC電力が前記AC入力に供給されるとき、前記制御回路は、
前記ネイティブパスコンタクタおよび前記レガシーパスコンタクタを開き、
前記OBCシステムを使用して前記バッテリを充電する
ように動作する、請求項に記載の車両輸送システム。
【請求項7】
前記ネイティブパスコンタクタは前記DC入力および前記バッテリに連結され、前記レガシーパスコンタクタは前記DC入力に連結され、前記システムは更に、
前記バッテリに、および、前記第1変換ステージ回路と前記第2変換ステージ回路との間に存在するノードに連結されたバイパスパスコンタクタ
を備え、DCレガシー電圧が前記DC入力に供給されるとき、前記制御回路は、
前記ネイティブパスコンタクタを開き、
前記レガシーパスコンタクタおよび前記バイパスパスコンタクタを閉じることであって、前記バイパスパスコンタクタを閉じて前記第2変換ステージ回路をバイパスすること、および、
前記第1変換ステージ回路を使用して、前記DC電力の前記レガシー電圧レベルを前記ネイティブ電圧レベルに昇圧すること
を行うように動作する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の車両輸送システム。
【請求項8】
DCネイティブ電圧が前記DC入力に供給されるとき、前記制御回路は、
前記ネイティブパスコンタクタを閉じて、前記DC入力を前記バッテリに直接連結し、
前記レガシーパスコンタクタおよび前記バイパスパスコンタクタを開く
ように動作し、AC電力が前記AC入力に供給されるとき、前記制御回路は、
前記ネイティブパスコンタクタ、前記レガシーパスコンタクタ、および前記バイパスパスコンタクタを開き、
前記OBCシステムを使用して前記バッテリを充電する
よう動作する、請求項に記載の車両輸送システム。
【請求項9】
前記ネイティブパスコンタクタは前記DC入力、前記第2変換ステージ回路、および前記バッテリの第2端子に連結され、前記レガシーパスコンタクタは前記DC入力に連結され、前記システムは更に、
前記バッテリ、および、前記第1変換ステージ回路と前記第2変換ステージ回路との間に存在するノードに連結されたバイパスパスコンタクタと、
前記バッテリの第1端子、前記第2変換ステージ回路、および、前記ネイティブパスコンタクタのうちの1つのコンタクタに連結されたバッテリパスコンタクタと
を備え、DCレガシー電圧が前記DC入力を介して供給されるとき、前記制御回路は、
前記ネイティブパスコンタクタ、前記レガシーパスコンタクタ、および、前記バイパスパスコンタクタを閉じ、
前記バッテリパスコンタクタを開き、
前記第1変換ステージ回路を使用して、前記レガシーパスコンタクタを介してルーティングされる前記DC電力の前記レガシー電圧レベルを前記ネイティブ電圧レベルに昇圧し、
前記第1変換ステージ回路および前記第2変換ステージ回路の出力が組み合わされて、前記バイパスパスコンタクタを介してルーティングされ、前記バッテリを充電するように、前記第2変換ステージ回路を使用して、前記ネイティブパスコンタクタを介してルーティングされる前記DC電力の前記レガシー電圧レベルを前記ネイティブ電圧レベルに昇圧する
ように動作する、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両輸送システム。
【請求項10】
DCネイティブ電圧が前記DC入力に供給されるとき、前記制御回路は、
前記ネイティブパスコンタクタおよび前記バッテリパスコンタクタを閉じて、前記DC入力を前記バッテリに直接連結し、
前記レガシーパスコンタクタおよび前記バイパスパスコンタクタを開く
ように動作し、AC電力が前記AC入力に供給されるとき、前記制御回路は、
前記ネイティブパスコンタクタ、前記レガシーパスコンタクタ、および前記バイパスパスコンタクタを開き、
前記バッテリパスコンタクタを閉じ、
前記OBCシステムを使用して前記バッテリを充電する
ように動作する、請求項に記載の車両輸送システム。
【請求項11】
前記第1変換ステージ回路は、EMIフィルタ、及び力率補正回路を含み、
前記第1変換ステージ回路は、前記レガシー電圧レベルを前記ネイティブ電圧レベルに昇圧する、請求項1から10のいずれか一項に記載の車両輸送システム。
【請求項12】
AC入力およびDC入力を含む充電ポート、複数のコンタクタ、バッテリ、車載型充電(OBC)システム、レガシーパスコンタクタ、およびネイティブパスコンタクタを備える車両輸送システムにおけるバッテリを充電するための方法であって、
前記充電ポートで利用可能な電源電圧が、AC電圧、DCレガシー電圧レベル、およびDCネイティブ電圧レベルのうちの1つで提供されるかどうかを決定する段階と、
前記電源電圧が前記AC電圧として提供される場合、前記OBCシステムを使用して、受け取ったAC電力をDC電力に変換し、AC-DCパスを介して前記バッテリを充電し、
前記電源電圧が前記DCレガシー電圧レベルで提供される場合、DCレガシーパスに対応する前記複数のコンタクタをアクティブ化して、前記OBCシステムを使用して、前記電源電圧を前記レガシー電圧レベルから前記ネイティブ電圧レベルに昇圧して前記バッテリを前記ネイティブ電圧レベルで充電し、
前記電源電圧が前記DCネイティブ電圧レベルで提供される場合、DCネイティブパスに対応する前記複数のコンタクタをアクティブ化して、前記OBCシステムをバイパスし、前記バッテリを前記ネイティブ電圧レベルで直接充電する段階と
を備え
前記OBCシステムは、前記充電ポートの前記AC入力、および、前記レガシーパスコンタクタに接続される第1および第2バスと、前記第1および第2バスに連結される第1変換回路と、前記第1変換回路および前記バッテリに連結された第2変換回路とを含む、方法。
【請求項13】
記方法は更に、
前記電源電圧が前記DCレガシー電圧レベルで提供される場合、
前記第1変換回路を使用して、前記電源電圧を前記レガシー電圧レベルから前記ネイティブ電圧レベルに昇圧する段階と、
前記第1変換回路の出力を前記バッテリに直接ルーティングすることによって前記第2変換回路をバイパスする段階と
を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
記方法は更に、
前記電源電圧が前記DCレガシー電圧レベルで提供される場合、
前記第1変換回路を使用して、前記電源電圧を前記レガシー電圧レベルから前記ネイティブ電圧レベルに昇圧する段階と、
前記第2変換回路を使用して、前記電源電圧を前記レガシー電圧レベルから前記ネイティブ電圧レベルに昇圧する段階であって、前記第1変換回路および前記第2変換回路の出力は、組み合わされて前記バッテリを充電する、段階と
を備える、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記バッテリは、前記ネイティブ電圧レベルで動作し、前記ネイティブ電圧レベルは、前記レガシー電圧レベルより高い電圧レベルを有する、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
バッテリ充電回路であって、
AC入力およびDC入力を含む充電ポートと、
バッテリと、
前記AC入力および前記バッテリに連結された車載型充電(OBC)システムであって、
前記AC入力に連結されたフィルタと、
前記フィルタに連結された力率補正回路と、
前記力率補正回路および前記バッテリに連結されたDC-DCコンバータ回路と
を有するOBCシステムと、
前記DC入力および前記フィルタに連結されたレガシーパスコンタクタと、
前記DC入力および前記バッテリに連結されたネイティブパスコンタクタと、
供給電圧がDCネイティブ電圧であると決定されたときに、ネイティブパスを介して電力を前記バッテリへルーティングすることであって、前記ネイティブパスは前記ネイティブパスコンタクタを含む、こと、および、
前記供給電圧がDCレガシー電圧であると決定されたとき、レガシーパスを介して電力を前記バッテリへルーティングすることであって、前記レガシーパスは、前記レガシーパスコンタクタおよび前記OBCシステムの一部を含む、こと
を行うように動作する制御回路と
を備え
前記バッテリ、および、前記力率補正回路と前記DC-DCコンバータ回路との間に存在するノードに連結されたバイパスコンタクタを更に備え、前記レガシーパスは更に前記バイパスコンタクタを含み、前記一部は前記フィルタおよび前記力率補正回路を含むが、前記DC-DCコンバータ回路を含まない
バッテリ充電回路。
【請求項17】
前記制御回路は、前記力率補正回路を使用して前記供給電圧の電圧を昇圧し、前記バッテリを充電するように動作する、請求項16に記載のバッテリ充電回路。
【請求項18】
前記バッテリ、および、前記力率補正回路と前記DC-DCコンバータ回路との間に存在するノードに連結されたバイパスコンタクタと、
前記バッテリおよび前記DC-DCコンバータ回路に連結されたバッテリコンタクタと
を更に備え、前記レガシーパスは更に前記バイパスコンタクタを含み、前記一部は、前記フィルタ、前記力率補正回路、および、前記DC-DCコンバータ回路を含む、
請求項16または17に記載のバッテリ充電回路。
【請求項19】
前記制御回路は、
前記DC-DCコンバータ回路を双方向昇圧コンバータとして使用して前記供給電圧の電圧を昇圧し、前記バッテリを充電し、
前記力率補正回路を使用して前記供給電圧の電圧を昇圧し、前記バッテリを充電する
よう動作する、請求項18に記載のバッテリ充電回路。
【請求項20】
バッテリ充電回路であって、
AC入力およびDC入力を含む充電ポートと、
バッテリと、
前記AC入力および前記バッテリに連結された車載型充電(OBC)システムであって、
前記AC入力に連結されたフィルタと、
前記フィルタに連結された力率補正回路と、
前記力率補正回路および前記バッテリに連結されたDC-DCコンバータ回路と
を有するOBCシステムと、
前記DC入力および前記フィルタに連結されたレガシーパスコンタクタと、
前記DC入力および前記バッテリに連結されたネイティブパスコンタクタと、
供給電圧がDCネイティブ電圧であると決定されたときに、ネイティブパスを介して電力を前記バッテリへルーティングすることであって、前記ネイティブパスは前記ネイティブパスコンタクタを含む、こと、および、
前記供給電圧がDCレガシー電圧であると決定されたとき、レガシーパスを介して電力を前記バッテリへルーティングすることであって、前記レガシーパスは、前記レガシーパスコンタクタおよび前記OBCシステムの一部を含む、こと
を行うように動作する制御回路と
を備え、
前記バッテリ、および、前記力率補正回路と前記DC-DCコンバータ回路との間に存在するノードに連結されたバイパスコンタクタと、
前記バッテリおよび前記DC-DCコンバータ回路に連結されたバッテリコンタクタと
を更に備え、前記レガシーパスは更に前記バイパスコンタクタを含み、前記一部は、前記フィルタ、前記力率補正回路、および、前記DC-DCコンバータ回路を含む、
バッテリ充電回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気自動車およびプラグインハイブリッド電気自動車に関し、特に、DCバッテリ充電器、および、車両上の車載型充電器を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)は、バッテリを使用して1または複数のモータに電力を供給し、車両を駆動する。バッテリは、固定された範囲の電圧レベルにおいて充電され、動作するよう設計される。EVおよびPHEV技術が成熟するにつれて、高電圧でバッテリを使用するトレンドが出現している。電圧が高くなれば電流が低減し、これにより、ケーブルおよびコネクタがより安価になる。しかしながら、バッテリ電圧規格の発展に伴い、レガシー充電ステーションは、より高い電圧レベルを満たすために必要な電圧レベルで電力を供給するように設計されない、またはそれが可能でないことがあり得る。したがって、充電ステーションが高電圧充電ステーションか、またはレガシー充電ステーションであるかにかかわらず、安価かつ効率的に、より高電圧のバッテリを充電するための回路および方法が必要とされる。
概要
【0003】
本明細書において説明される実施形態は、後方互換性充電回路、および、充電ステーションが比較的高い電圧レベルで電力を供給可能かどうかにかかわらず、比較的高い電圧レベルでバッテリを充電するための方法に関する。本明細書において説明される実施形態による回路および方法は、車載型充電システムを使用して電圧昇圧パスを提供し、充電電圧をレガシー電圧レベル(例えば、比較的低い電圧レベル)からネイティブ電圧レベル(例えば、比較的高い電圧レベル)へ増加させることができる。ネイティブ電圧充電ステーションがバッテリを充電しているとき、本明細書において説明される実施形態による回路および方法は、ネイティブ電圧で充電ステーションから受信された電力をバッテリへ供給するためのネイティブ電圧パスを使用できる。
【0004】
一実施形態において、AC入力およびDC入力を有する充電ポート、バッテリ、車載型充電(OBC)システム、レガシーパスコンタクタ、ネイティブパスコンタクタ、ならびに、OBCシステムおよび複数のコンタクタに連結される制御回路を含む車両輸送システムが提供される。制御回路は、充電ポートのDC入力に供給されたDC電力がネイティブ電圧レベルであるか、またはレガシー電圧レベルであるかの決定に基づいてネイティブパスおよびレガシーパスの1つを使用してバッテリを充電するように動作でき、ネイティブパスはネイティブパスコンタクタを含み、ネイティブ電圧レベルがバッテリを充電することを可能にするためにネイティブパスコンタクタが閉じられ、レガシーパスはレガシーパスコンタクタおよびOBCシステムを含み、制御回路はOBCシステムを昇圧コンバータとして使用してレガシー電圧レベルをネイティブ電圧レベルに昇圧し、バッテリを充電する。
【0005】
別の実施形態において、ポート、複数のコンタクタ、バッテリ、および車載型充電(OBC)システムを含む車両輸送システムにおけるバッテリを充電するための方法が提供される。方法は、ポートで利用可能な電源電圧が、AC電圧、DCレガシー電圧レベル、およびDCネイティブ電圧レベルの1つで提供されるかどうかを決定する段階を備え得る。電源電圧がAC電圧として提供される場合、方法は、OBCシステムを使用して、受信されたAC電力をDC電力に変換し、AC-DCパスを介してバッテリを充電する段階を備え得る。電源電圧がDCレガシー電圧レベルで提供される場合、方法は、DCレガシーパスに対応する複数のコンタクトをアクティブ化して、OBCシステムを使用して電源電圧をレガシー電圧レベルからネイティブ電圧レベルに昇圧して、ネイティブ電圧レベルでバッテリを充電する段階を備え得る。電源電圧がDCネイティブ電圧レベルで提供される場合、方法は、DCネイティブパスに対応する複数のコンタクトをアクティブ化して、OBCシステムをバイパスしてネイティブ電圧レベルでバッテリを直接充電する段階を備え得る。
【0006】
更に別の実施形態において、AC入力およびDC入力を有する充電ポート、バッテリ、ならびに、AC入力およびバッテリに連結された車載型充電(OBC)システムを備え得るバッテリ充電回路が提供される。OBCシステムは、AC入力に連結されたフィルタ、フィルタに連結された力率補正回路、ならびに、力率補正回路およびバッテリに連結されたDC‐DCコンバータ回路を備え得る。バッテリ充電回路は、DC入力およびフィルタに連結されたレガシーパスコンタクタ、DC入力およびバッテリに連結されたネイティブパスコンタクタ、ならびに、供給電圧がDCネイティブ電圧であると決定されたときに、ネイティブパスを介して電力をバッテリへルーティングし(ネイティブパスは、ネイティブパスコンタクタを含む)、供給電圧がDCレガシー電圧であると決定されたときに、レガシーパスを介して電力をバッテリへルーティングする(レガシーパスは、レガシーパスコネクタおよびOBCシステムの一部を含む)ように動作する制御回路を含み得る。
【0007】
本明細書において説明される実施形態の性質および特長の更なる理解は、明細書および図面の残りの部分を参照することによって達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態による例示的なシステムを示す。
【0009】
図2】実施形態による電力ルーティング回路の例示ブロック図を示す。
【0010】
図3】実施形態による、充電ステーションからバッテリへ電力をルーティングするための例示的なプロセスを示す。
【0011】
図4A】実施形態による充電回路の例示ブロック図を示す。
【0012】
図4B】実施形態による充電回路の例示回路図を示す。
【0013】
図5】実施形態による充電回路の別の例示ブロック図を示す。
【0014】
図6】実施形態による充電回路の更に別の例示ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、以降では代表的な例が示される添付図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。実際、開示された通信システムおよび方法は、多くの異なる形式で具現化され得、本明細書において記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでない。全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0016】
以下の詳細な説明において、説明を目的として、様々な実施形態の徹底的な理解を提供する多くの特定の詳細が記載される。当業者であれば、これらの様々な実施形態は例示に過ぎず、いかなる方式でも限定の意図は無いことを理解するであろう。他の実施形態は、本開示の恩恵を有する当業者に容易に示唆される。
【0017】
加えて、明確にする目的で、本明細書に説明される実施形態の一般的な特徴のすべてが示される、または説明されるわけではない。当業者であれば、任意のそのような実際の実施形態の開発において、特定の設計目的を達成するために、多くの実施形態に固有の決定が必要とされ得ることを容易に理解するであろう。これらの設計目的は、ある実施形態から別の実施形態の間で、および、ある開発者から別の開発者の間で変動し得る。更に、そのような開発の労力は、複雑で時間がかかり得るが、それでも、本開示の恩恵を有する当業者にとっては、一般的な工学の業務であることが理解される。
【0018】
図1は、実施形態による充電ステーション110および車両輸送システム150を備え得る例示的なシステム100を示す。充電ステーション110は、車両システム150のポート160に連結するよう設計されたポート120を含み得る。ポート120は電力コネクタ122、データコネクタ124、および任意の他の好適なコネクタ(図示せず)を含み得る。ポート120は、例えば、SAE J1772などの単相ACコネクタ、Mennekes type 2などの三相ACコネクタ、組み合わせ充電コネクタ(ACピンおよびDCピンの両方を含む)、DCのみのコネクタ、および、CHAdeMOコネクタなど、電気自動車給電設備(EVSE)から車両へ充電を送るための既知の規格の1つを具現化し得る。充電ステーション110はまた、車両システム150によって必要とされるAC電力133、DC電力134、または、ACおよびDC電力の両方を提供し得る電源132を備え得る。充電ステーション110は、データストレージ、コントローラ、および、通信回路など(図面を簡略化するために、これらはすべて図示しない)の他のコンポーネントを備え得る。データストレージは、ハードドライブもしくはソリッドステートドライブ、またはクラウドストレージなど、大量のデータを格納するための任意の好適なストレージ機構であり得る。コントローラは、ポート120からデータストレージ、通信回路へのデータの流れを制御するように動作し得る。通信回路は、データストレージとリモートサーバ(図示せず)との間でデータを送信する任意の双方向有線または無線通信を含み得る。
【0019】
車両輸送システム150は、電力コネクタ162、データコネクタ164、および、任意の他の接続(図示せず)を含み得るポート160を備え得る。ポート160は、ポート120の逆バージョンであり得、それとインタフェース接続するよう設計される。システム150は、車載型充電システム168、コンタクタ170、モータ172、インバータ174、バッテリ176、制御回路178、センサ180およびシステムコンポーネント182を含み得る。コンタクタ170は、本明細書において説明される実施形態による、電力ルーティングパスを介して電力をバッテリ176へルーティングするために選択的にオンとオフが切り替えられ得る電子制御される機械的スイッチであり得る。モータ172は、システム150を駆動するために使用される1または複数のモータを表し得る。モータ172は例えば、三相誘導モータであり得る。インバータ174は、モータ172を駆動するために必要な電子機器を含み得る。いくつかの実施形態において、インバータ174はトラクションインバータであり得る。バッテリ176は、車を駆動するモータに電力を供給する比較的高電圧のバッテリであり得る。バッテリ176が動作する電圧レベルまたは電圧範囲は、本明細書において、ネイティブ電圧と称され得る。センサ180は例えば、グローバルポジショニングシステム、内部測定システム、レーダユニット、レーザ測距/LIDARユニット、およびカメラを含み得る。システムコンポーネント180は、例えば、モータ172、エンジン、トランスミッション、およびホイール/タイヤなどの駆動システム要素、例えば、ステアリングユニット、スロットル、ブレーキユニット、センサ融合アルゴリズム、コンピュータビジョンシステム、ナビゲーションシステム、および障害物回避システムなどの制御システム要素、ならびに、例えば、無線通信システム、タッチ画面、マイク、スピーカなどの周辺機器を含み得る。システムコンポーネント182はまた、1または複数のプロセッサおよび命令を含み得るコンピュータシステムを含み得る。システム150は、例えば、センサ174によって収集されたデータを格納するためのデータストレージを含み得る。
【0020】
ポート120および160は、切断中にカプラの電気アークを低減することを助ける信号を提供するために、電力コンダクタ、機器接地コンダクタ、制御パイロットコンダクタ、および、近接検知コンダクタのための車両インタフェースで物理的接続を提供する電気機械的コンタクトの篏合するセットを含み得る。したがって、インタフェースは典型的には、インタフェース機能を実行する少なくとも5つのコンタクトを有する。加えて、カプラは、意図しない、または偶然の連結解除を防止するためのラッチ機構を含み得る。ラッチ機構はまた、コネクタから突出するラッチ要素が車両インレットにおける協働するラッチ要素と位置揃え(registered)されることを要求することによって、コネクタを車両インレットと適切に整列させるように機能し得る。
【0021】
車載型充電(OBC)システム168は、ポート160で受信されたAC電力をDC電力に変換できるシステムである。OBCによって変換されたDC電力はバッテリ168へ提供される。OBCシステム168は、多くの異なるアプローチで実装され得る。例えば、一実施形態において、OBCシステム168は整流器であり得る。別の実施形態において、OBCシステム168は、DC-DCコンバータを有する整流器を含み得る。更に別の実施形態において、OBCシステム168は、フィルタ、整流器、およびDC-DCコンバータを含み得る。下で説明されるものなどのOBCシステム168の他の構成も使用され得る。
【0022】
ポート120および160が共に接続されるとき、ハンドシェイク操作が開始し得、その結果、車両システム150は、何の種類の電力が充電ステーション110によって供給できるかを決定できる。充電ステーション110はAC電力133またはDC電力134を供給し得る。例えば、いくつかの実施形態において、充電ステーション110は、レガシー電圧レベルで電力を提供するレガシー充電ステーションであり得る。本明細書において規定されるように、レガシー電圧レベルは、バッテリ(例えばバッテリ176)のネイティブ電圧レベルより著しく低い、比較的低い電圧レベルである。本明細書において規定されるように、ネイティブ電圧レベルは、バッテリが充電され動作する、比較的高い電圧レベルである。ネイティブおよびレガシー電圧レベルは両方とも、DC電圧レベルを指す。別の例として、充電ステーション110は、ネイティブ電圧レベルで電力を提供するネイティブ充電ステーションであり得る。本明細書において説明される実施形態は、どの種類の充電ステーション110がポート150に接続されるかに基づいて、OBCシステム168を使用して受信されたAC電力をネイティブ電圧レベルへ変換するAC-DCパス,レガシー電圧をネイティブ電圧に昇圧するレガシーパス、または、ネイティブパスを通じて、ポート160からバッテリ176へ電力をルーティングできる。本明細書において規定されるように、ネイティブパスとは、充電ステーションによって供給された電力がネイティブ電圧であるパスを指し、電力をバッテリに送達するために電圧の操作(例えば、あるレベルから別のレベルに電圧を昇圧する)を必要としない。本明細書において規定されるように、レガシーパスとは、充電ステーションによって供給された電力がレガシー電圧であるパスを指し、電圧をネイティブ電圧に昇圧してバッテリへ送達するために電圧レベルの操作が要求される。本明細書において規定されるように、AC-DCパスとは、電力がACとして供給されるパスを指し、OBCシステム168は、AC電圧をバッテリ176に好適なDC電圧に変換するために使用される。制御回路178は、コンタクタ170を選択的にアクティブ化することによって、AC-DC、ネイティブ、およびレガシーパスの1つを選択できる。どのコンタクタがオンまたはオフに切り替えられるかに応じて、電流は所望のパスを通って流され、DC電圧がそのネイティブ電圧レベルでバッテリ176に提供されることが保証される。
【0023】
車両輸送システム150は自動車またはトラックの文脈で説明されているが、システム100はまた、車、トラック、バイク、バス、ボート、飛行機、ヘリコプター、草刈り機、ブルドーザー、ボート、スノーモービル、航空機、娯楽用車両、遊園地用車両、農業用機器、建設機器、トラム、ゴルフカート、電車、およびトローリーなど、他の車両の形式で実装され得る、または、その形式をとり得る。他の車両も可能である。
【0024】
図2は、実施形態による電力ルーティング回路(PRC)200の例示ブロック図を示す。PRC200は、電力レベル検出回路210、コンタクタ制御回路220、コンタクタ230、車載型充電システム240、およびバッテリ250を含み得る。PRC200はまた、示されるように、AC-DCパス260、ネイティブパス262、およびレガシーパス264を示す。コンタクタ230は、電力をバッテリ250にルーティングするために必要な任意の数のコンタクタを含み得る。下に説明されるように、異なる充電回路トポロジーが、電力をルーティングするために、様々な構成のコンタクタを利用する。車載型充電システム240は、充電ステーションから受信されたAC電力を変換し、DC電力に変換する能力を有する。OBCシステム240は、EMIフィルタ241、力率補正回路242、およびDC-DCコンバータ243を含み得る。EMIフィルタ241は、AC電力入力に存在し得るノイズをフィルタ除去し得(例えば、電力ライン上に存在するノイズはAC電力を充電ステーションに供給する)、また、AC電力を処理する下流の回路のための第1レベルの保護として機能し得る。力率補正回路242は、力率を1に維持しながら、AC電力をDC電力に整流できる。回路242によって供給されたDC電力は、ACリップルが重ね合わされた「粗い」DC電圧であり得る。DC-DCコンバータ243は、バッテリ250を含む下流の回路から回路242を隔離する、隔離されたDC-DCコンバータであり得る。DC-DCコンバータは、粗いDC電圧を精製して、回路242によって提供されるDC電圧より少ないACリップルを有する滑らかなDC電圧にすることができる。
【0025】
充電ステーション(例えばステーション110)との接続イベント中、電力レベル検出回路210は、利用可能な電力がレガシー電圧レベル電力211、ネイティブ電圧レベル電力212、またはAC電力213のどれであるかを(例えば、ハンドシェイクプロセスを介して)決定し得る。この決定に応じて、コンタクタ制御回路220は選択的にコンタクタ231-233のうち1または複数をアクティブ化して、AC-DCパス260、ネイティブパス262、およびレガシーパス264の1つへ電力をルーティングできる。利用可能な電力がAC電力213である場合、電力がAC-DCパス260を介してバッテリ250へルーティングされ得る。AC-DC260パスは、OBCシステム240を使用して、AC電力を変換し、バッテリ250を使用するのに好適なDC電力にする。いくつかの実施形態において、AC-DCパス260を介して電力をルーティングするのにコンタクタ230は必要ないことがあり得る。他の実施形態において、1または複数のコンタクタ230がAC-DCパス260の一部を形成し得る。そのような実施形態において、コンタクタ230の1または複数は、AC-DCパス260を完成するのに必要な構成が何であるかに応じて、開または閉である。
【0026】
利用可能な電力がDCネイティブ電圧レベル212である場合、電力はネイティブパス262を介してルーティングされる。ネイティブパス262は、コンタクタ230を介してDC電力をバッテリ250へ直接ルーティングでき、OBCシステム240を効果的にバイパスする。ネイティブ電圧レベルは、バッテリ250に適用される前にいかなる変換も要求しないので、OBCシステム240はバイパスされ得る。利用可能な電力がDCレガシー電圧レベル211である場合、電力はレガシーパス264を介してルーティングされる。レガシーパス264は、コンタクタ230およびOBCシステム240を介してDC電力をバッテリ250へ直接ルーティングできる。OBCシステム240は、レガシー電圧レベルをネイティブ電圧レベルに昇圧するために利用される。
【0027】
図3は、実施形態による、充電ステーションからバッテリへ電力をルーティングするための例示的なプロセス300を示す。プロセス300は、例えば、車両輸送システム150またはPRC200において実装され得る。段階310から開始して、充電ステーション接続イベントがあるかどうか決定される。無いと決定された場合、プロセス300は段階310に戻り得る。あると決定された場合、プロセス300は、段階320において、充電ステーションから利用可能な電圧レベルを決定し得る。利用可能な電圧レベルがAC電力に対応すると決定が示す場合、プロセス300は、ネイティブおよびレガシーパスに対応するすべてのコンタクタを非アクティブ化し(段階330)、OBCシステムを使用して、受信されたAC電力をDC電力へ変換し、段階332に示されるように、AC-DCパス(例えば、パス260)を介して、バッテリ(例えば、バッテリ250)を充電し得る。段階330は任意であること、および、いくつかの実施形態において、電力をバッテリへ伝えるべく、いくつかのコンタクタは、閉じられる必要があり得ることに留意されるべきである。
【0028】
段階320における決定において、利用可能な電力がDCネイティブ電圧レベルである場合、プロセス300は、DCネイティブパスに対応するコンタクタをアクティブ化して、OBCシステムをバイパスし、受信されたDCネイティブ電圧でバッテリを充電し得る(段階340)。段階320における決定において、利用可能な電力がDCレガシー電圧レベルである場合、プロセス300は、OBCシステムを使用して電源電圧をレガシー電圧レベルからネイティブ電圧レベルに昇圧するDCレガシーパスに対応するコンタクタをアクティブ化して、ネイティブ電圧レベルでバッテリを充電し得る。電圧を昇圧するための例示的な回路トポロジーが、下の図4から図6に関連して示され、説明される。
【0029】
図3における段階は、単に例示であり、追加の段階が追加され得、段階の順序は再編成され得ることが理解されるべきである。
【0030】
図4Aは、実施形態による回路400の例示ブロック図を示す。図4Bは、回路400の簡略化された回路図を示す。図4Aおよび図4Bは、本明細書においてまとめて参照される。回路400は、AC入力402、DC入力406、OBCシステム410(EMIフィルタ420、力率補正回路430、および隔離されたDC-DCコンバータ440を含み得る)、レガシーパスコンタクタ450、ネイティブパスコンタクタ460、およびバッテリ470を含み得る。EMIフィルタ420および力率補正回路430の一方または両方は、第1変換ステージ回路(例えばAC-DCコンバータ)として機能し得る。DC-DCコンバータ440は、第2変換ステージ回路(例えば、DC-DCコンバータ)として機能し得る。AC入力402は、任意選択でコンタクタまたはリレー(図示せず)を通じてバス403および404に接続され、DC入力はバス407および408に接続される。バッテリ470は、DC-DCコンバータ440に接続されたバス471および472に接続される。AC-DCパス480、ネイティブパス482、およびレガシーパス484も示される。
【0031】
EMIフィルタ420は、示されるように直列に配置されたインダクタ421-423、示されるようにインダクタ424および425を含み得る。EMIフィルタ420は、示されるようにキャパシタ426~428を含み得る。力率補正回路430は、示されるように配置されたスイッチ431-434、およびキャパシタ435を含み得る。電圧キャパシタ435は、粗いDC電圧を表し得る。フィルタ420から受信されたフィルタAC信号をDC信号に変換するために、スイッチ431-434が制御電子機器(図示せず)によって制御され得る。DC-DCコンバータは、スイッチ441-444、変圧器445、およびスイッチ446-449を含み得る。変圧器445は、OBCシステム410の入力側から隔離バッテリ470を提供し得る。粗いDC信号から滑らかなDC信号への変換を制御する(例えば、粗いDC信号をネイティブ電圧レベルに昇圧する)ために、スイッチ441-444および446-449が、変圧器445との組み合わせで、制御回路(図示せず)によって制御され得る。
【0032】
AC-DCパス480が使用されるとき、DC入力406をバス403、404、471および472から切断するためにコンタクタ450および460が開かれる。これにより、OBCシステム410のみが電力をAC入力402からバッテリ470へルーティングすることが可能となる。
【0033】
ネイティブパス482が使用されるとき、DC入力406をバス403および404から切断するために、コンタクタ450が開かれ、DC入力406をバス471および472に接続するために、コンタクタ460が閉じられる。コンタクト460を閉じることにより、DC入力406がバッテリ470に直接連結され、したがって、ネイティブDC電圧がネイティブ電圧レベルでOBC410および充電バッテリ470をバイパスすることが可能となる。
【0034】
レガシーパス484が使用されるとき、コンタクタ460が開いてバス471および472からのDC入力406を切断し、コンタクタ450が閉じられてDC入力406をバス403および404に接続する。閉じられたコンタクタ450を介してDC入力406をOBCシステム410に接続することにより、OBCシステム410はレガシー電圧をネイティブ電圧に昇圧することが可能となる。DC電力は、レガシー電圧レベルでフィルタ420および回路430を通過するが、DC-DCコンバータ440は、レガシー電圧レベルをネイティブ電圧レベルにアップコンバートする。制御電子機器(図示せず)は、コンバータ440を制御して、所望の電圧昇圧を達成し得る。
【0035】
回路400の定格電力は、OBCシステム410のAC充電定格によって限定される。例えば、OBCシステム410のAC充電定格が22kWである場合、DC充電定格も22kWであり得る。回路400は、単相ACまたは多相ACと共に使用できることが理解されるべきである。
【0036】
図5は、実施形態による回路500の例示ブロック図を示す。回路500は、AC入力502、DC入力506、OBCシステム510(EMIフィルタ520、力率補正回路530、および隔離されたDC-DCコンバータ540を含み得る)、レガシーパスコンタクタ550、バイパスコンタクタ552、ネイティブパスコンタクタ560、およびバッテリ570を含み得る。AC入力502は、任意選択でコンタクタまたはリレー(図示せず)を通じて、バス503および504に接続され、DC入力はバス507および508に接続される。バッテリ570は、DC-DCコンバータ540に接続されるバス571および572に接続される。AC-DCパス580、ネイティブパス582、およびレガシーパス584も示される。回路500は回路400に類似しているが、バイパスコンタクタ552の追加を含む。AC-DCパス580およびネイティブパス582は、上で説明されるパス480および482と同じように動作する。ただし、パス580および582の1つが使用されるときにバイパスコンタクタ552が開状態である点を除く。
【0037】
AC-DCパス580が使用されるとき、コンタクタ550および560は開かれ、DC入力506がバス503、504、571および572から切断される。DC-DCコンバータ540がバイパスされることを防止するために、バイパスコンタクタ552が開かれる。したがって、AC-DCパス580が使用されるとき、OBCシステム510のみが電力をAC入力502からバッテリ570へルーティングする。
【0038】
ネイティブパス582が使用されるとき、コンタクタ550が開かれてDC入力506をバス503および504から切断し、コンタクタ560が閉じられてDC入力506をバス571および572に接続する。DC-DCコンバータ540がバイパスされることを防止するために、バイパスコンタクタ552が開かれ得る。コンタクト560を閉じることにより、DC入力506がバッテリ570に直接連結され、したがって、ネイティブDC電圧がネイティブ電圧レベルでOBC510および充電バッテリ570をバイパスすることが可能となる。
【0039】
コンタクタ552の追加は、レガシーパス584が使用されるときにDC-DCコンバータ540がバイパスされることを可能にする。レガシーパス584において、隔離が必要ないので、DC-DCコンバータ540は余分である。レガシーパス584が使用されるとき、コンタクタ560が開かれDC入力506をバス571および572から切断し、コンタクタ550が閉じられてDC入力506をバス503および504に接続し、コネクタ552が閉じられて(回路530をバッテリ570に直接接続することによって)コンバータ540をバイパスする。電力がDC入力506からコンタクタ550を通じてフィルタ520へ、次に、回路530へルーティングされ、ここでは、電力をレガシー電圧レベルからネイティブ電圧レベルに昇圧する。今ではネイティブ電圧レベルにある電力信号は、コンタクタ552を介してバッテリ570へ直接提供される。回路530からの任意の電流の流れがコンバータ540を通じてバッテリ570へ流れることを防止するために、コンバータ540はオフにされ得る。制御電子機器(図示せず)は、回路430を制御して、所望の電圧昇圧を達成し得る。
【0040】
回路500の定格電力は、力率補正回路530によって限定される。OBCのAC充電率が20kWである場合、力率補正回路530のDC充電定格は、約35kW、または、OBCシステム510の定格電力より高い他の定格電力であり得る。図5は単相ACを使用して図示される。回路500は、類似の思想の単相ACまたは多相ACと共に使用できることが理解されるべきである。
【0041】
図6は、実施形態による回路600の例示ブロック図を示す。回路600は、AC入力602、DC入力606、OBCシステム610(EMIフィルタ620、力率補正回路630、および隔離されたDC-DCコンバータ640を含み得る)、レガシーパスコンタクタ650、バイパスコンタクタ652、ネイティブパスコンタクタ660、バッテリパスコンタクタ662、およびバッテリ670を含み得る。AC入力602は、任意選択でコンタクタまたはリレー(図示せず)を通じてバス603および604に接続され、DC入力はバス607および608に接続される。バッテリ670は、双方向DC-DCコンバータ640に接続されるバス671および672に接続される。AC-DCパス680、ネイティブパス682、およびレガシーパス584a-cも示される。回路600は回路500と類似しているが、DC-DCコンバータ640とバッテリ670との間のバス671上に位置するバッテリパスコンタクタ662の追加を含む。AC-DCパス680およびネイティブパス682は、上で説明されたパス580および582と同じように動作する。ただし、パス680および682の1つが使用されるときに、コンタクタ652が開状態であり、コンタクタ662が閉状態である点が異なる。加えて、DC-DCコンバータ640は、単方向DC-DCコンバータとは対照的に、双方向である。
【0042】
AC-DCパス580が使用されるとき、コンタクタ650および660が開かれて、DC入力606がバス603、604、671および672から切断される。DC-DCコンバータ640がバイパスされることを防止するために、コンタクタ652が開かれる。コンタクタ662が閉じられると、バッテリ671がDC-DCコンバータ640に接続される。したがって、AC-DCパス680が使用されるとき、OBCシステム610のみが電力をAC入力602からバッテリ670にルーティングする。
【0043】
ネイティブパス682が使用されるとき、コンタクタ650が開かれてDC入力606をバス603および604から切断し、コンタクタ660が閉じられてDC入力506をバス571および572に接続し、コンタクタ662が閉じられてバス607および671を共に接続する。コンタクタ652が開かれる。コンタクト660および662を閉じると、DC入力606がバッテリ670に直接連結され、したがって、ネイティブDC電圧がネイティブ電圧レベルでOBC610および充電バッテリ670をバイパスすることが可能である。
【0044】
レガシーパス684a-cが使用されるとき、コンタクタ650、652、660が閉じられ、コンタクタ662が開かれる。レガシーパス684aは、コンタクタ650、フィルタ620、および力率補正回路630を介して電力をDC入力606から誘導する。力率補正回路630は、レガシー電圧レベルをネイティブ電圧レベルに昇圧して、パス684c(コンタクタ652を含む)を介してネイティブ電圧信号をバッテリへ供給できる。レガシーパス584bは、DC入力606からの電力を、コンタクタ660およびDC-DCコンバータ640を介して誘導する。双方向DC-DCコンバータは、レガシー電圧レベルをネイティブ電圧レベルに昇圧し、パス684cを介してネイティブ電圧信号をバッテリ670へ供給できる。このアプローチにおいて、パス684aおよび684bによって誘導される電力は、パス684cにおいて共に合計される。この結果、OBCシステム610の電力の能力を最大限に利用できる。例えば、OBCのAC充電定格が20kWである場合、入力電圧が400V DCであるとき、回路600の定格電力は50kWであり得る。回路600は、単相ACまたは多相ACと共に使用できることが理解されるべきである。
【0045】
本明細書に記載された開示は、独立の有用性を有する複数の異なる発明を包含すると考えられる。これらの発明の各々は、好ましい形式で開示されているが、本明細書において開示および例示される、その特定の実施形態は、限定的な意味とみなされるべきでなく、多くの変形が可能である。各例は、上述の開示に開示された実施形態を規定するが、任意の1つの例は、最後に請求され得るすべての特徴または組み合わせを必ずしも包含しない。説明において、「1つ」または「第1」の要素、またはそれらの同等物が言及される場合、そのような説明は、1または複数のそのような要素を含み、2以上のそのような要素を必要も排除もしない。更に、識別される要素の第1、第2、または第3などの序数の表記は、別段の定めが無い限り、要素を区別するために使用されるものであり、そのような要素の必要な、または、限定された数を示すものではなく、そのような要素の特定の位置または順序を示すものではない。
【0046】
更に、図1から図6、および、発明の任意の他の態様に関連して説明される任意のプロセスは各々、ソフトウェアによって実装され得るが、ハードウェア、ファームウェア、または、ソフトウェア、ハードウェア、およびファームウェアの任意の組み合わせでも実装され得る。それらは各々、機械またはコンピュータ可読媒体上に記録された機械またはコンピュータ可読コードとしても具現化され得る。コンピュータ可読媒体は、後にコンピュータシステムによって読まれ得るデータまたは命令を格納できる任意のデータストレージデバイスであり得る。コンピュータ可読媒体の例は、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、CD‐ROM、DVD、磁気テープ、および光学データストレージデバイスを含み得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体はまた、ネットワーク連結型コンピュータシステム上に分散され得、その結果、コンピュータ可読コードは、分散方式で格納および実行される。例えば、コンピュータ可読媒体は、任意の好適な通信プロトコルを使用して、1つの電子サブシステムまたはデバイスから別の電子サブシステムまたはデバイスに通信され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コード、命令、データ構造、プログラムモジュール、または、搬送波もしくは他の伝達機構などの変調されたデータ信号における他のデータを具現化し得、任意の情報送達媒体を含み得る。変調されたデータ信号は、その特性の1または複数が、情報を信号にエンコードする方式で設定または変更された信号であり得る。
【0047】
本明細書において説明されるモジュールまたはステートマシンのいずれか、または各々は、ソフトウェアコンストラクト、ファームウェア、コンストラクト、1または複数のハードウェアコンポーネント、または、それらの組み合わせとして提供され得ることが理解されるべきである。例えば、ステートマシンまたはモジュールの任意の1または複数は、1または複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行され得る、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的文脈で説明され得る。一般的に、プログラムモジュールは、1または複数の特定のタスクを実行し得る、または、1または複数の特定の抽象データ型を実装し得る、1または複数のルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネントおよび/またはデータ構造を含み得る。モジュールまたはステートマシンの数、構成、機能および相互接続は単に例示であり、存在するモジュールの数、構成、機能および相互接続は、修正または省略され得、追加のモジュールが追加され得、特定のモジュールの相互接続が変更され得ることも理解されるべきである。
【0048】
本発明の多くの変更および修正は、上述の説明を読んだ後の当業者にとって、間違いなく明らかであるが、例示として示され説明される特定の実施形態は、限定とみなされることを意図するものでは決してないことが理解されるべきである。したがって、好ましい実施形態の詳細への参照は、その範囲を限定することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6