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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/26 20190101AFI20240905BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240905BHJP
【FI】
B60L58/26
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023127036
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2022132422の分割
【原出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2023155255
(43)【公開日】2023-10-20
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2018004529
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】谷口 勝志
(72)【発明者】
【氏名】牧田 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】野田 圭俊
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-050000(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0192807(US,A1)
【文献】特開2009-081387(JP,A)
【文献】特開2014-216298(JP,A)
【文献】特開平11-307139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/26
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源であるモータと、
前記モータに電力を供給する電池モジュールと、
前記電池モジュールを冷却する冷却装置と、を備える車両であって、
前記冷却装置は、
第1面と、前記第1面と反対の第2面を有する第1面状部材と、
第3面と、前記第3面と反対の第4面を有する第2面状部材と、
前記第1面状部材の前記第2面と前記第2面状部材の第3面の間に配置され、冷却液が流れる冷却液流路と、
前記第1面状部材の前記第2面と前記第2面状部材の第3面の間に配置され、冷媒が流れる冷媒配管と、を備え、
前記第1面状部材の前記第1面に沿って、前記電池モジュールを配置可能であり、
前記冷却液流路は、
前記第2面と前記第3面の間で、第1方向の第1の向きに前記冷却液が流れる前記冷却液流路の第1部分と、
前記第2面と前記第3面の間で、前記第1方向の前記第1の向きと反対の第2の向きに流れる前記冷却液流路の第2部分と、
前記第2面と前記第3面の間で、前記冷却液流路の前記第1部分から流れ出た前記冷却液を前記冷却液流路の前記第2部分に流れ入れる前記冷却液流路の第3部分と、を少なくとも備え、
前記冷媒配管は、
前記第2面と前記第3面の間で、前記冷却液流路の前記第1部分及び前記第2部分において前記第1方向と交差する第2方向に沿って配置され、所定の向きに前記冷媒が流れる第1冷媒管と、
前記第2面と前記第3面の間で、前記冷却液流路の前記第1部分及び前記第2部分において前記第2方向に沿って配置され、前記所定の向きに前記冷媒が流れる第2冷媒管と、を少なくとも備え、
前記第1冷媒管で前記所定の向きに流れる前記冷媒は、前記冷却液流路の前記第1部分で前記第1の向きに流れる前記冷却液と熱交換可能であり、かつ、前記冷却液流路の前記第2部分で前記第2の向きに流れる前記冷却液と熱交換可能であり、
前記第2冷媒管で前記所定の向きに流れる前記冷媒は、前記冷却液流路の前記第1部分で前記第1の向きに流れる前記冷却液と熱交換可能であり、かつ、前記冷却液流路の前記第2部分で前記第2の向きに流れる前記冷却液と熱交換可能である、
車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記冷媒配管は、
前記第2面と前記第3面の間で、前記第1方向に沿って配置され、前記第1冷媒管と前記第2冷媒管に接続された第1冷媒ヘッダと、
前記第2面と前記第3面の間で、前記第1方向に沿って配置され、前記第1冷媒管と前記第2冷媒管に接続された第2冷媒ヘッダと、を更に備え、
前記冷媒は、前記第1冷媒ヘッダから前記第1冷媒管及び前記第2冷媒管に入り、次に前記第2冷媒ヘッダに入る、
車両。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両であって、
前記第2面と前記第3面の間で、前記冷却液流路の前記第1部分と前記第2部分の間に設置された仕切り板を、更に備えた、
車両。
【請求項4】
請求項3に記載の車両であって、
前記仕切り板の一端部は、前記第2面と前記第3面の間で前記冷却液流路の前記第3部分に対向する、
車両。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車両であって、
前記第1冷媒管は、前記仕切り板を横切り、
前記第2冷媒管は、前記仕切り板を横切る、
車両。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両であって、
前記第1面状部材の周囲と前記第2面状部材の周囲とを繋ぐ壁部を更に備え、
前記第1面状部材、前記第2面状部材、及び、前記壁部が、冷却液槽を構成する、
車両。
【請求項7】
請求項6に記載の車両であって、
前記壁部に第1開口と第2開口を備え、
前記第1開口から、前記冷却液槽の内部における前記冷却液流路の前記第1部分に前記冷却液が流入し、
前記冷却液槽の内部における前記冷却液流路の前記第2部分の前記冷却液が、前記第2開口から流出する、
車両。
【請求項8】
請求項7に記載の車両であって、
前記第1面状部材は、周囲に少なくとも第1辺と、前記第1辺と異なる第2辺を備え、
前記第2面状部材は、周囲に少なくとも第3辺と、前記第辺と異なる第4辺を備え、
前記壁部は少なくとも第1部分と、第2部分を備え、
前記壁部の前記第1部分は、前記第1面状部材の前記第1辺と前記第2面状部材の前記第3辺を繋ぎ、
前記壁部の前記第2部分は、前記第1面状部材の前記第2辺と前記第2面状部材の前記第4辺を繋ぎ、
前記第1開口は、前記壁部の第1部分に配置され、
前記第2開口は、前記壁部の第2部分に配置された、
車両。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の車両であって、
前記第1開口の近傍における第1温度と前記第2開口の近傍における第2温度のうちの低い方を推定する推定部をさらに備え、
前記推定部において第1温度の方が低いと推定された場合、前記第1開口から前記冷却液槽内に前記冷却液が流入されて、前記第2開口から前記冷却液槽外に前記冷却液が流出され、前記推定部において第2温度の方が低いと推定された場合、前記第2開口から前記冷却液槽内に前記冷却液が流入されて、前記第1開口から前記冷却液槽外に前記冷却液が流出される、
車両。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の車両であって、
前記冷却装置が冷却すべき、前記電池モジュール内の電池の温度のばらつきの程度を取得する取得部と、
前記取得部において取得したばらつきの程度をもとに、前記冷却液槽に流す前記冷却液の流量を調節する調節部と、をさらに備える、
車両。
【請求項11】
請求項2に記載の車両であって、
前記第1面状部材の周囲と前記第2面状部材の周囲とを繋ぐ壁部を更に備え、
前記第1面状部材、前記第2面状部材、及び、前記壁部が、冷却液槽を構成し、
前記壁部に第3開口と第4開口を備え、
前記第3開口から、前記第1冷媒ヘッダに前記冷媒が流入し、
前記第2冷媒ヘッダの前記冷媒が、前記第3開口から流出する、
車両。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の車両であって、
前記第1冷媒管に接続されるとともに前記第2冷媒管に接続される冷媒回路を更に備え、
前記冷媒回路は、少なくともコンプレッサとコンデンサを備える、
車両。
【請求項13】
請求項12に記載の車両であって、
前記冷却液流路の前記第1部分に接続されるとともに前記冷却液流路の前記第1部分に 接続される冷却液回路を更に備え、
前記冷却液回路は、少なくともウオータポンプを備える、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却技術に関し、特に電池を冷却する電池モジュール用の冷却装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車には、駆動源であるモータに電力を供給する電池モジュール(車載電池)が搭載される。電池モジュールの温度上昇を抑制するために、例えば、冷媒の気化熱による冷却がなされる。しかしながら、冷媒通路の近傍で温度が低く、かつ冷却通路の流入側が排出側よりも低温になることによる冷却むらが発生して、電池モジュール内の位置によって温度が異なる。冷却むらを抑制するために、冷媒を流す熱交換器が冷却液につけられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-50000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載電池を冷却する際において、冷却液が流される場合、流す方向によっては、異なった位置における冷媒の温度のばらつきが抑制されない。そのため、異なった位置における冷媒の温度のばらつきを抑制する方向に冷却液を流すことが必要とされる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載電池を冷却する冷却装置において、異なった位置における温度のばらつきを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両は、駆動源であるモータと、モータに電力を供給する電池モジュールと、電池モジュールを冷却する冷却装置と、を備える車両であって、冷却装置は、第1面と、第1面と反対の第2面を有する第1面状部材と、第3面と、第3面と反対の第4面を有する第2面状部材と、第1面状部材の第2面と第2面状部材の第3面の間に配置され、冷却液が流れる冷却液流路と、第1面状部材の第2面と第2面状部材の第3面の間に配置され、冷媒が流れる冷媒配管と、を備える。第1面状部材の第1面に沿って、電池モジュールを配置可能であり、冷却液流路は、第2面と第3面の間で、第1方向の第1の向きに冷却液が流れる冷却液流路の第1部分と、第2面と第3面の間で、第1方向の第1の向きと反対の第2の向きに流れる冷却液流路の第2部分と、第2面と第3面の間で、冷却液流路の第1部分から流れ出た冷却液を冷却液流路の第2部分に流れ入れる冷却液流路の第3部分と、を少なくとも備える。冷媒配管は、第2面と第3面の間で、冷却液流路の第1部分及び第2部分において第1方向と交差する第2方向に沿って配置され、所定の向きに冷媒が流れる第1冷媒管と、第2面と第3面の間で、冷却液流路の第1部分及び第2部分において第2方向に沿って配置され、所定の向きに冷媒が流れる第2冷媒管と、を少なくとも備える。第1冷媒管で所定の向きに流れる冷媒は、冷却液流路の第1部分で第1の向きに流れる冷却液と熱交換可能であり、かつ、冷却液流路の第2部分で第2の向きに流れる冷却液と熱交換可能であり、第2冷媒管で所定の向きに流れる冷媒は、冷却液流路の第1部分で第1の向きに流れる冷却液と熱交換可能であり、かつ、冷却液流路の第2部分で第2の向きに流れる冷却液と熱交換可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車載電池を冷却する冷却装置において、異なった位置における温度のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る電池システムの構造を示す斜視図である。
図2図1の冷却装置の構造を示す分解斜視図である。
図3図3(a)-(c)は、図1の冷却装置の構造を示す図である。
図4図4(a)-(b)は、図3(a)の冷却装置の比較対象となる冷却装置の構造を示す図である。
図5図1の冷却装置の別の構造を示す図である。
図6図6(a)-(b)は、図1の冷却装置のさらに別の構造を示す図である。
図7図1の電池システムの構成を示すブロック図である。
図8図1の電池システムの別の構造を示す図である。
図9図8の電池システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、概要を説明する。実施例は、車両に搭載されている電池モジュールを冷却するための冷却装置に関する。冷却装置の一面側に電池モジュールが設置されるとともに、冷却装置の内部には一面に沿って、主配管から分岐した複数の冷媒管が並べられる。各冷媒管には主配管からの冷媒が流されるが、各冷媒管における冷媒流量がばらつくので、冷媒管間において温度がばらつく。冷媒管間における温度のばらつきによって、電池モジュール内の位置によって温度が異なる。冷媒管間における温度のばらつきを抑制するために、複数の冷媒管を冷却液につけることが有効である。一方、冷却効率を向上するために冷却液も流される方が好ましい。しかしながら、冷却液が流れることによって冷媒管から吸収した熱も流れるので、冷却液の流れる方向によっては、冷媒管間における温度のばらつきが抑制されない。そのため、冷媒管間における温度のばらつきを抑制するような方向に冷却液を流すことが求められる。
【0010】
本実施例では、冷媒管と直交するように冷却液を流し、冷却液により冷媒管間の温度ばらつきを抑制するとともに、Uターンにより冷却液を流す向きが変えられることによって冷媒管内の温度のばらつきを抑制する。なお、以下の説明において、「平行」、「垂直」は、完全な平行、垂直だけではなく、誤差の範囲で平行、垂直からずれている場合も含むものとする。また、「略」は、おおよその範囲で同一であるという意味である。さらに、以下の実施例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0011】
図1は、電池システム100の構造を示す斜視図である。図1に示すように、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系が規定される。x軸、y軸は、電池システム100の底面内において互いに直交する。z軸は、x軸およびy軸に垂直であり、電池システム100の高さ方向に延びる。また、x軸、y軸、z軸のそれぞれの正の方向は、図1における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。ここで、x軸の正方向側が「前側」と呼ばれ、x軸の負方向側が「後側」と呼ばれ、y軸の正方向側が「右側」と呼ばれ、y軸の負方向側が「左側」と呼ばれ、z軸の正方向側が「上側」と呼ばれ、z軸の負方向側が「下側」と呼ばれることもある。そのため、図1は、電池システム100の前側を含む斜視図である。
【0012】
電池モジュール10は、箱形形状を有する。冷却装置20は電池モジュール10を冷却するための装置である。冷却装置20の高さ方向の長さは、前後方向および左右方向の長さよりも短いので、冷却装置20は高さの低い板形形状を有する。冷却装置20は冷却プレートと呼ばれることもある。冷却装置20の上側の面には電池モジュール10が設置される。そのため、冷却装置20の上側の面と電池モジュール10の下側の面とが接触する。
【0013】
また、冷却装置20の前側の面には、冷却液パイプ22と総称される第1冷却液パイプ22a、第2冷却液パイプ22b、冷媒パイプ24と総称される第1冷媒パイプ24a、第2冷媒パイプ24bとが配置される。具体的には、冷却装置20の前側の面の左側から右側に向かって、第1冷媒パイプ24a、第1冷却液パイプ22a、第2冷却液パイプ22b、第2冷媒パイプ24bが並べられる。つまり、2つの冷媒パイプ24は、2つの冷却液パイプ22を挟むように配置される。ここでは、第1冷却液パイプ22aから冷却液が流入され、第2冷却液パイプ22bから冷却液が流出される。また、第1冷媒パイプ24aから冷媒が流入され、第2冷媒パイプ24bから冷媒が流出される。冷媒の一例は、HFC(Hydro Fluoro Carbon)である。なお、白色の矢印が冷却液の流れを示し、黒色の矢印が冷媒の流れを示す。
【0014】
図2は、冷却装置20の構造を示す分解斜視図である。冷却装置20は、冷却液槽30、冷媒ヘッダ40と総称される第1冷媒ヘッダ40a、第2冷媒ヘッダ40b、冷媒管42と総称される第1冷媒管42aから第4冷媒管42d、インナーフィン44、天板50を含む。また、冷却液槽30は、内壁32と総称される第1内壁32aから第4内壁32d、底面34、仕切り板36、開口38と総称される第1開口38aから第4開口38dを含む。ここで、冷媒管42の数は「4」とされているが、それに限定されない。
【0015】
冷却液槽30は、上側が開口して中央部が窪んだ桶形形状を有する。冷却液槽30の内部の側面は、第1内壁32aから第4内壁32dによって形成される。これらは、高さ方向がそれ以外の方向よりも短い矩形状を有し、第1内壁32aと第2内壁32bが互いに対向し、第3内壁32cと第4内壁32dが互いに対向する。また、第1内壁32aが前側に配置され、第2内壁32bが後側に配置される。第1内壁32aから第4内壁32dに囲まれるように、冷却液槽30の窪みの底には底面34が配置される。ここで、底面34は、前後方向よりも左右方向に長い矩形状を有する。
【0016】
底面34には仕切り板36が立設される。仕切り板36は、第1内壁32aの左右方向の中央部分から後側に向かって第2内壁32bに未到達の位置まで延びる。仕切り板36の上側には半円状に窪んだ溝部が4つ設けられる。また、仕切り板36に対向するように別の仕切り板(図示せず)が天板50の下側の面に設けられる。仕切り板36の溝部と別の仕切り板の溝部(図示せず)には、冷媒管42(第1冷媒管42aから第4冷媒管42d)が挟み込まれる。このような構造によって、第2内壁32bと仕切り板36との間に冷却液の流路が形成される。このような仕切り板36によって、冷却液槽30の内部が仕切られる。第1内壁32aを貫通するように、左側から右側に向かって、第3開口38c、第1開口38a、第2開口38b、第4開口38dが順に並べられる。特に、第3開口38c、第1開口38aは仕切り板36の左側に配置され、第2開口38b、第4開口38dは仕切り板36の右側に配置される。また、第1開口38aは円筒形状の第1冷却液パイプ22aに接続され、第2開口38bは円筒形状の第2冷却液パイプ22bに接続される。ここで、第1冷却液パイプ22aの前側端は開口しており、第1開口38aにつながる。また、第2冷却液パイプ22bの前側端は開口しており、第2開口38bにつながる。
【0017】
第1冷媒ヘッダ40aは円筒形状を有し、前側端において第1冷媒パイプ24aに接続され、第2冷媒ヘッダ40bも円筒形状を有し、前側端において第2冷媒パイプ24bに接続される。また、第1冷媒パイプ24aの前側端は開口しており、第1冷媒ヘッダ40aの内部空間につながる。さらに、第2冷媒パイプ24bの前側端は開口しており、第2冷媒ヘッダ40bの内部空間につながる。第1冷媒ヘッダ40aと第2冷媒ヘッダ40bには、第1内壁32aと第2内壁32bに沿って左右方向に延びる4つの冷媒管42が接続される。ここでは、前側から後側に向かって、第1冷媒管42a、第2冷媒管42b、第3冷媒管42c、第4冷媒管42dが並べられる。各冷媒管42は円筒形状を有し、左側端が第1冷媒ヘッダ40aの内部空間につながるとともに、右側端が第2冷媒ヘッダ40bの内部空間につながる。さらに、第1冷媒ヘッダ40a、第1冷媒管42a、第2冷媒ヘッダ40b、第4冷媒管42dによって囲まれた部分には、蛇腹形状のインナーフィン44が配置される。図2では、インナーフィン44によって第2冷媒管42bと第3冷媒管42cが隠れる。
【0018】
このように組み合わされた、冷媒パイプ24、冷媒ヘッダ40からインナーフィン44は冷媒用の熱交換器に相当し、熱交換器は冷却液槽30の内部に格納される。その結果、仕切り板36は、複数の冷媒管42(第1冷媒管42aから第4冷媒管42d)を横切るように配置される。ここで、第1冷媒パイプ24aは、第3開口38cを冷却液槽30の内から外へ貫通して、冷却液槽30の前側に突出し、第2冷媒パイプ24bは、第4開口38dを冷却液槽30の内から外へ貫通して、冷却液槽30の前側に突出する。さらに、冷却液槽30の上側には天板50が取り付けられることによって、冷却液槽30の開口が塞がれる。前述のごとく、天板50の下側の面には、別の仕切り板(図示せず)が設けられており、別の仕切り板は仕切り板36に対向する。
【0019】
このような構造における冷媒、冷却液の流れを説明するために、図3(a)-(c)を使用する。図3(a)-(c)は、冷却装置20の構造を示す。図3(a)は、天板50の別の仕切り板を残した状態で天板50を取り外した冷却装置20を上側から見た平面図であり、図3(b)は、冷却装置20を前側から見た側方図であり、図3(c)は、図3(a)のA-A’線における断面図を示す。図3(b)では、前側の側面を透明にしている。前述のごとく、第1冷媒パイプ24aの後側に第1冷媒ヘッダ40aが接続され、第1冷媒ヘッダ40aには、第1冷媒管42aから第4冷媒管42dの左側端が接続される。また、第1冷媒管42aから第4冷媒管42dの右側端は第2冷媒ヘッダ40bに接続され、第2冷媒ヘッダ40bの前側には第2冷媒パイプ24bが接続される。これらの内部空間は連結されている。
【0020】
冷媒は第1冷媒パイプ24aから流入され、第1冷媒ヘッダ40aに流れる。第1冷媒ヘッダ40aにおいて第1冷媒管42aから第4冷媒管42dに冷媒は分岐されて流れる。第1冷媒管42aから第4冷媒管42dを流れた冷媒は第2冷媒ヘッダ40bにおいて合流する。冷媒は第2冷媒ヘッダ40bから第2冷媒パイプ24bに流れ、第2冷媒パイプ24bから流出する。このように、冷媒管42は、冷却液槽30の内部において冷媒を流す。
【0021】
冷却液槽30の内部は、仕切り板36によって第1開口38a側の空間と第2開口38b側の空間に仕切られる。なお、図3(b)、図3(c)においては、冷却液槽30に設けられた仕切り板36を下部仕切り板36a1と示し、天板50に設けられた別の仕切り板を上部仕切り板36a2と示す。下部仕切り板36a1、上部仕切り板36a2は、仕切り板36(あるいは第1仕切り板36a)と総称される。なお、これらの空間は、後側においてつながる。そのため、冷却液槽30の内部では、仕切り板36によって仕切られた流路が形成される。流路は、第1開口38aから後側に進んでから、右側に進んだ後、前側に進むことによって第2開口38bに至る。第2開口38bは、第1内壁32aにおいて、第1開口38aとは流路の反対側に設けられている。冷却液は第1冷却液パイプ22aから冷却液槽30内に流入され、前述の流路を流れて、第2冷媒パイプ24bから冷却液槽30外に流出される。
【0022】
このような冷媒、冷却液の流れによる温度のばらつきを説明する前に、図4(a)-(b)を使用しながら比較対象となる冷却装置120における温度のばらつきを説明する。図4(a)-(b)は、冷却装置20の比較対象となる冷却装置120の構造を示す。図4(a)-(b)は、いずれも上面図であり、図3(a)と同様に示される。図4(a)は、冷却液を流さずに冷媒のみを流す場合を示す。冷却装置120は、冷媒パイプ124と総称される第1冷媒パイプ124a、第2冷媒パイプ124b、内壁132と総称される第1内壁132a、第2内壁132b、第3内壁132c、第4内壁132d、冷媒ヘッダ140と総称される第1冷媒ヘッダ140a、第2冷媒ヘッダ140b、冷媒管142と総称される第1冷媒管142a、第2冷媒管142b、第3冷媒管142c、第4冷媒管142dを含む。ここで、冷媒パイプ124、内壁132、冷媒ヘッダ140、冷媒管142は、図3(a)の冷媒パイプ24、内壁32、冷媒ヘッダ40、冷媒管42と同一の構造を有する。そのため、冷媒も前述のごとく流れる。
【0023】
冷媒ヘッダ140から4つの冷媒管142に分岐する部分において、冷媒の液体状態と気体状態の偏りが発生する。第1冷媒パイプ124aから遠い方の第4冷媒管142dにおけるポイントP1では、冷媒流速が比較的速い場合に液体状態の冷媒が多くなる可能性がある。一方、第1冷媒パイプ124aに近い方の第1冷媒管142aにおけるポイントP2では、気体状態の冷媒が多くなる。ここで、液体状態の冷媒が多い場合は、気体状態の冷媒が多い場合よりも低温になる。そのため、第1冷媒管142aが最も低温になり、第2冷媒管142b、第3冷媒管142cと温度が高くなっていき、第4冷媒管142dが最も高温になる。つまり、冷媒の液体状態と気体状態の偏りが発生することによって、冷媒管142間で温度がばらつき、冷却が均一になされない。
【0024】
図4(b)は、図4(a)の構造に加えて、冷却液槽130、冷却液パイプ122と総称される第1冷却液パイプ122a、第2冷却液パイプ122bを含む。図4(b)では、図4(a)と同様に冷媒が流されるとともに、右側から左側に向かって冷却液が流される。つまり、冷媒も冷却液も左右方向に流される。その結果、冷媒管142間において交換される熱量は大きくないので、冷媒管142間の温度のばらつきは小さくならない。
【0025】
これらと比較して、冷却装置20では、図3(a)に示されるように、複数の冷媒管42が並ぶ方向に冷却液が流される。これは、冷媒管42間の温度のばらつきが発生する前後方向に冷却液が流されることに相当する。このような冷却液の流れによって、冷媒管42間の温度のばらつきが積極的に緩和される。また、仕切り板36によって後側に向かってから前側に戻ってくる流路を冷却液が流れるので、冷媒管42内の温度のばらつき、つまり冷媒管42が延びる方向における温度のばらつきも緩和される。
【0026】
図5は、冷却装置20の別の構造を示す。これは、図3(a)と同様に示される。冷却装置20は、図3(a)と比較して仕切り板36が含まれず、第1冷却液パイプ22aおよび第1開口38aが第2内壁32bに設けられる。つまり、第1開口38aと第2開口38bとが対向した内壁32に設けられる。このような構造において、第1冷却液パイプ22aから流入された冷却液は後側から前側に向かって流れ、第2冷却液パイプ22bから流出される。そのため、複数の冷媒管42が並ぶ方向に冷却液が流され、冷媒管42間の温度のばらつきが積極的に緩和される。また、仕切り板36が配置されないので、構造が簡易になる。
【0027】
図6(a)-(b)は、冷却装置20のさらに別の構造を示す。これらは、複数の仕切り板36が含まれる場合の構造であり、図3(a)と同様に示される。図6(a)は、図3(a)の構造に第2仕切り板36bが含まれる。また、第1仕切り板36aは図3(a)の仕切り板36に相当する。第2仕切り板36bは、第1仕切り板36aと同様、下部仕切り板と上部仕切り板とで構成される。ここで、第1仕切り板36a、第2仕切り板36bは仕切り板36と総称される。第2仕切り板36bは、第2内壁32bから前側に向かって第1内壁32aに未到達の位置まで延びる。そのため、第1仕切り板36aおよび第2仕切り板36bは、複数の冷媒管42を横切る。また、第2仕切り板36bは第1仕切り板36aの右側に配置される。また、第1冷却液パイプ22aおよび第1開口38aが第1内壁32aに設けられ、第2冷却液パイプ22bおよび第2開口38bが第2内壁32bに設けられる。
【0028】
このような第1仕切り板36a、第2仕切り板36bによって、冷却液槽30の内部は、第1開口38a側の空間と、第1開口38aと第2開口38bのいずれもが含まれない空間、第2開口38b側の空間に仕切られる。なお、隣接した空間は、後側あるいは前側においてつながる。そのため、冷却液槽30の内部では、仕切り板36によって仕切られた流路が形成される。流路は、第1開口38aから後側に進んでから、右側に進んだ後、前側に進み、さらに右側に進んでから、後側に進むことによって第2開口38bに至る。第2開口38bは、第2内壁32bにおいて、第1開口38aとは流路の反対側に設けられているといえる。冷却液は第1冷却液パイプ22aから冷却液槽30内に流入され、前述の流路を流れて、第2冷却液パイプ22bから冷却液槽30外に流出される。
【0029】
図6(b)は、図6(a)の構造に第3仕切り板36cが含まれる。第1仕切り板36a、第2仕切り板36b、第3仕切り板36cは仕切り板36と総称される。第3仕切り板36cは、第1仕切り板36aと同様の構造を有し、冷却液槽30の内部において、第2仕切り板36bを挟むように、第1仕切り板36aと並んで配置される。このように第3仕切り板36cは第2仕切り板36bの右側に配置される。第1仕切り板36a、第2仕切り板36b、第3仕切り板36cは、複数の冷媒管42を横切る。また、第1冷却液パイプ22aおよび第1開口38aが第1内壁32aに設けられ、第2冷却液パイプ22bおよび第2開口38bも第1内壁32aに設けられる。
【0030】
このような第1仕切り板36a、第2仕切り板36b、第3仕切り板36cによって、冷却液槽30の内部は、第1開口38a側の空間と、第1開口38aと第2開口38bのいずれもが含まれない2つの空間、第2開口38b側の空間に仕切られる。なお、隣接した空間は、後側あるいは前側においてつながる。そのため、冷却液槽30の内部では、仕切り板36によって仕切られた流路が形成される。流路は、第1開口38aから後側に進んでから、右側に進んだ後、前側に進む。さらに流路は、右側に進んでから、後側に進んだ後、右側に進んでから、前側に進むことによって第2開口38bに至る。第2開口38bは、第1内壁32aにおいて、第1開口38aとは流路の反対側に設けられているといえる。冷却液は第1冷却液パイプ22aから冷却液槽30内に流入され、前述の流路を流れて、第2冷却液パイプ22bから冷却液槽30外に流出される。図6(a)-(b)では、仕切り板36の数が増やされることによって、冷却液の流速が上げられ、熱交換効率が上げられる。
【0031】
図7は、電池システム100の構成を示すブロック図である。電池システム100は、冷却装置20、コンプレッサ60、コンデンサ62、膨張弁64、HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)66、膨張弁68、WP(Water Pomp)70、HTR(HeaTeR)72を含む。なお、図1の電池モジュール10は省略される。図7におけるコンプレッサ60、コンデンサ62、膨張弁64、HVAC66、膨張弁68が冷媒回路に含まれ、WP70、HTR72が冷却液回路に含まれる。
【0032】
冷媒回路は冷却装置20に冷媒を供給し、この冷媒の気化熱で冷却装置20を冷却する。冷媒回路において、コンプレッサ60は、気化された冷媒を加圧し、コンデンサ62は、コンプレッサ60で加圧された冷媒を冷却して液化させ、膨張弁64は、コンデンサ62に連結する。コンプレッサ60は、車両のエンジンやモータで駆動されて気化された冷媒を加圧する。コンデンサ62は、気化された冷媒を冷却して液化させる。コンデンサ62は、ハイブリッドカーにおいては、エンジンの冷却液を冷却するラジエータの前方に配設される。ラジエータを冷却するファンでコンデンサ62も冷却される。
【0033】
冷却装置20は、排出側をコンプレッサ60に連結し、コンプレッサ60は、冷却装置20から排出される気化した冷媒を吸入して加圧する。加圧された冷媒は、コンデンサ62で冷却されて液化される。液化された冷媒は、膨張弁64を介して冷却装置20に供給される。膨張弁64は、冷却装置20の温度を設定温度として、冷却液を冷却する。膨張弁64は、冷媒の流量を制御できる調整弁、あるいは冷媒の流量を制御できない流量固定の細管からなるキャピラリーチューブ等である。膨張弁64を通過した冷媒は、断熱膨張して冷却装置20の内部で気化されて、気化熱で冷却液を冷却する。さらに、冷媒回路には、膨張弁68を介して、冷房用のHVAC66が接続される。HVAC66にはエバポレータが含まれる。
【0034】
冷却液回路におけるここで、HTR72は、エンジンが十分に温まっていない場合に冷却液を加熱する。この状態で始動して十分に温められたエンジンは、内部の冷却液を加温する。WP70は、冷却液を循環させる。エンジン内部で速やかに加温された冷却液は冷却装置20を循環する。
【0035】
これまでは、冷却装置20の一面側に1つの電池モジュール10が設置されている。以下では、冷却装置20の一面側に複数、例えば2つの電池モジュール10が設置される場合の構造を説明する。図8は、電池システム100の別の構造を示す上面図である。電池システム100は、電池モジュール10と総称される第1電池モジュール10a、第2電池モジュール10bを含む。各電池モジュール10は、前後方向よりも左右方向に長い矩形状の上側の面を有し、前後方向に並べられる。ここで、第1電池モジュール10aが前側に配置され、第2電池モジュール10bが後側に配置される。
【0036】
さらに、第1電池モジュール10aの下側の面には第1温度センサ12aが取り付けられ、第2電池モジュール10bの下側の面には第2温度センサ12bが取り付けられてもよい。第1温度センサ12a、第2温度センサ12bは温度センサ12と総称され、温度を測定する。つまり、温度センサ12は、電池モジュール10における下側の面の温度を測定する。なお、温度センサ12は、電池モジュール10の別の位置に取り付けられてもよい。
【0037】
図9は、電池システム100の構造を示すブロック図である。電池システム100では、図7の構成に、循環弁74、制御装置80が追加される。制御装置80は、取得部82、調節部84を含む。取得部82は、図8の第1温度センサ12a、第2温度センサ12bに接続され、それぞれにおいて測定された温度を取得する。つまり、温度センサ12は、第1電池モジュール10aの温度、第2電池モジュール10bの温度を取得する。これらの電池モジュール10は、冷却装置20が冷却すべき電池である。取得部82は、2つの温度の差を計算することによって、第1電池モジュール10aと第2電池モジュール10bの温度のばらつきの程度を取得する。取得部82は、ばらつきの程度を調節部84に出力する。
【0038】
調節部84は、取得部82から温度のばらつきの程度を受けつける。調節部84は、ばらつきの程度をもとに、冷却液槽30に流す冷却液の流量を調節する。具体的に説明すると、調節部84は、ばらつきの程度が大きいほど流量を大きくするように決定する。循環弁74は冷却液回路に接続される。循環弁74は、調節部84における決定にしたがって、冷却液の流量を変化させる。
【0039】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0040】
本実施例によれば、第1内壁から冷媒管を横切って、第2内壁に未到達の位置まで延びる仕切り板が冷却液槽の内部を仕切るので、冷却液槽の内部に冷媒管を横切る方向の流路を形成できる。また、冷却液槽の内部では、冷媒管を横切る方向の流路を冷却液が流れるので、異なった位置における温度のばらつきを抑制できる。また、仕切り板が複数の冷媒管を横切るので、複数の冷媒管を横切る方向の流路を形成できる。また、冷却液槽の内部では、複数の冷媒管を横切る方向の流路を冷却液が流れるので、冷媒管間の温度のばらつきを抑制できる。
【0041】
また、第1内壁に対向する第2内壁から冷媒管を横切って、第1内壁に未到達の位置まで第2仕切り板が延びるので、冷却液の流れる方向を変えることができる。また、第1仕切り板および第2仕切り板が複数の冷媒管を横切るので、複数の冷媒管の温度のばらつきを抑制できる。また、第3仕切り板が備えられるので、冷却液を蛇行させることができる。また、第1仕切り板、第2仕切り板、第3仕切り板が複数の冷媒管を横切るので、複数の冷媒管の温度のばらつきを抑制できる。
【0042】
また、第1内壁に第1開口と第2開口とが設けられるので、冷却液の流入と流出とを同一方向からできる。また、第1内壁に第1開口が設けられ、第2内壁に第2開口が設けられるので、冷却液の流入と流出とを別の方向からできる。また、電池の温度のばらつきの程度をもとに冷却液の流量を調節するので、温度のばらつきが大きくても温度のばらつきを抑制できる。また、電池モジュールと冷却装置とを備えるので、電池モジュール内の異なった位置における温度のばらつきを抑制できる。
【0043】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の冷却装置は、互いに対向した第1内壁と第2内壁とを有する冷却液槽と、冷却液槽の内部において第1内壁と第2内壁に沿って延び、かつ冷媒を流す複数の冷媒管と、冷却液槽の内部における第1内壁から複数の冷媒管を横切って、第2内壁に未到達の位置まで延びることによって、冷却液槽の内部を仕切る仕切り板とを備える。冷却液槽の内部では、仕切り板によって仕切られた流路を冷却液が流れる。
【0044】
この態様によると、第1内壁から複数の冷媒管を横切って、第2内壁に未到達の位置まで延びる仕切り板が冷却液槽の内部を仕切り、冷却液槽の内部では、仕切り板によって仕切られた流路を冷却液が流れるので、異なった位置における温度のばらつきを抑制できる。
【0045】
冷却液槽の内部における第2内壁から複数の冷媒管を横切って、第1内壁に未到達の位置まで延びることによって、冷却液槽の内部を仕切る別の仕切り板をさらに備えてもよい。この場合、第2内壁から複数の冷媒管を横切って、第1内壁に未到達の位置まで別の仕切り板が延びるので、冷却液の流れる方向を変えることができる。
【0046】
第1内壁に設けられた第1開口と、第1内壁において、第1開口とは流路の反対側に設けられた第2開口とをさらに備えてもよい。第1開口と第2開口の一方から冷却液槽内に冷却液が流入され、第1開口と第2開口の他方から冷却液槽外に冷却液が流出されてもよい。この場合、第1内壁に第1開口と第2開口とが設けられるので、冷却液の流入と流出とを同一方向からできる。
【0047】
第1内壁に設けられた第1開口と、第2内壁において、第1開口とは流路の反対側に設けられた第2開口とをさらに備えてもよい。第1開口と第2開口の一方から冷却液槽内に冷却液が流入され、第1開口と第2開口の他方から冷却液槽外に冷却液が流出されてもよい。この場合、第1内壁に第1開口が設けられ、第2内壁に第2開口が設けられるので、冷却液の流入と流出とを別の方向からできる。
【0048】
第1開口の近傍における第1温度と第2開口の近傍における第2温度のうちの低い方を推定する推定部をさらに備えてもよい。推定部において第1温度の方が低いと推定された場合、第1開口から冷却液槽内に冷却液が流入されて、第2開口から冷却液槽外に冷却液が流出され、推定部において第2温度の方が低いと推定された場合、第2開口から冷却液槽内に冷却液が流入されて、第1開口から冷却液槽外に冷却液が流出されてもよい。この場合、温度が低い方から冷却液を流入させるので、冷却効率を向上できる。
【0049】
冷却装置が冷却すべき電池の温度のばらつきの程度を取得する取得部と、取得部において取得したばらつきの程度をもとに、冷却液槽に流す冷却液の流量を調節する調節部とをさらに備えてもよい。この場合、電池の温度のばらつきの程度をもとに冷却液の流量を調節するので、温度のばらつきが大きくても温度のばらつきを抑制できる。
【0050】
電池と、電池を冷却する冷却装置と、を備えてもよい。この場合、電池と冷却装置とを備えるので、電池内の異なった位置における温度のばらつきを抑制できる。
【0051】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0052】
本実施例において、第1開口38aから冷却液を冷却液槽30内に流入させ、第2開口38bから冷却液を冷却液槽30外に流出させている。しかしながらこれに限らず例えば、冷却液を流す方向が変更されてもよい。図9の制御装置80における推定部(図示せず)は、冷媒の偏り方、つまり、冷却装置20の偏り方に関する情報を予め記憶する。推定部は、偏り方をもとに、第1開口38aの近傍における第1温度と第2開口38bの近傍における第2温度のうちの低い方を推定する。例えば、偏りによって下になっている部分には、液体状態の冷媒が多くなり、偏りによって上になっている部分には、気体状態の冷媒が多くなる。そのため、前者において温度が低くなり、後者において温度が高くなる。推定部は、第1開口38aが第2開口38bよりも下になっていれば、第1温度が第2温度よりも低いと推定し、第2開口38bが第1開口38aよりも下になっていれば、第2温度が第1温度よりも低いと推定する。推定部は、冷媒の偏り方または電池モジュール10の温度をセンシングすることによって、第1開口38aの近傍における第1温度と第2開口38bの近傍における第2温度のうちの低い方を推定してもよい。
【0053】
冷却液回路では、推定部において第1温度の方が低いと推定された場合、第1開口38aから冷却液槽30内に冷却液が流入されて、第2開口38bから冷却液槽30外に冷却液が流出されるように、冷却液が流される。一方、冷却液回路では、推定部において第2温度の方が低いと推定された場合、第2開口38bから冷却液槽30内に冷却液が流入されて、第1開口38aから冷却液槽30外に冷却液が流出されるように、冷却液が流される。冷却液の流れの方向を変えるために公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。本変形例によれば、温度の低い方から高い方に冷却液が流れるので、冷却効率を向上できる。
【符号の説明】
【0054】
10 電池モジュール、 12 温度センサ、 20 冷却装置、 22 冷却液パイプ、 24 冷媒パイプ、 30 冷却液槽、 32 内壁、 34 底面、 36 仕切り板、 38 開口、 40 冷媒ヘッダ、 42 冷媒管、 44 インナーフィン、 50 天板、 100 電池システム。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示によれば、車載電池を冷却する冷却装置において、異なった位置における温度のばらつきを抑制できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9