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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】削孔式凍結管及び地盤凍結工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/115 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
E02D3/115
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023172325
(22)【出願日】2023-10-03
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591045965
【氏名又は名称】株式会社精研
(73)【特許権者】
【識別番号】596011792
【氏名又は名称】大東工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清時 健士
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 靖典
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-014089(JP,B1)
【文献】特開2004-027683(JP,A)
【文献】特開平08-075056(JP,A)
【文献】特公昭49-019766(JP,B1)
【文献】特許第7371877(JP,B1)
【文献】特開2018-178529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/115
E02D 19/14
E21D 1/12 -1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
前記プラグをさらに備え、
前記プラグは、先端部に形成された止水部と、前記止水部よりも地表側に位置する前記 ねじと、地表側の端面に形成される旋回穴とを備えており、ロッドの嵌合部を前記旋回穴 に嵌めることで前記プラグを前記ロッドに保持させた状態で、前記プラグを前記プラグ挿 入部に挿し入れ、前記ロッドを中心軸を回転軸として回転させることで、前記ねじを前記 ねじ部にねじ込んで、前記プラグをプラグ挿入部に嵌め込むことが可能であり、
前記止水部には、中心軸方向に一定の間隔をおいて形成された複数の溝が形成されて、 前記溝には止水材が配置されており、
前記プラグが前記プラグ挿入部に嵌め込まれた状態で、前記連通路の内周面は、前記止水 材に密着する請求項3に記載の削孔式凍結管。
【請求項5】
前記ロッドは、地中側の端部に形成されているプラグ保持部を有し、
前記プラグ保持部は、前記旋回穴に嵌め込む前記嵌合部と、磁石部と、を備え、
前記磁石部が前記プラグを磁着すると共に、前記嵌合部が前記旋回穴に嵌まることで、前 記プラグが前記プラグ保持部に保持される請求項4に記載の削孔式凍結孔。
【請求項8】
前記外筒体の内周面と前記内筒体の外周面との間に配置されるシール材を備える請求項 7に記載の削孔式凍結管。
【請求項10】
前記プラグ挿入ステップの後、かつ前記凍結ステップの前において、前記送水管の内部を利用し、前記プラグが前記プラグ挿入部に水密状態で嵌め込まれているかどうかを確認する水密確認ステップを更に備える、請求項に記載の地盤凍結工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削孔式凍結管及び地盤凍結工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より地盤凍結工法が知られている。地盤凍結工法は、通常、削孔用ロッドによって地盤を削孔し、その後、削孔用ロッドによって削孔した穴に対し、凍結管が挿し入れられる。地盤凍結工法は、凍結管によって地盤を凍結させた上で、地盤の工事を行う。
【0003】
特許文献1には、地盤凍結工法において使用される凍結管が記載されている。特許文献1の地盤凍結工法では、削孔用ロッドを用いて地盤を削孔した後、この削孔用ロッドを凍結管として機能させる技術が提案されている。
【0004】
ここで、削孔用ロッドを用いて地盤を削孔するときには、削孔水を吐出しながら削孔する必要がある。このため、特許文献1の削孔用ロッドにおいては、先端のボーリングヘッドに、削孔水の圧力では開弁するが冷却液の供給圧力では閉弁する弁機構が設けられている。これによって、削孔式凍結管を、削孔用ロッドとして用いる場合には、先端のボーリングヘッドから削孔水を吐出し、凍結管として用いる場合には、凍結管の内部において冷却液を循環させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-82049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の弁機構は、冷却液の供給圧力では閉弁するように構成されているが、冷媒用ヘッダーから凍結管への冷却液の供給の際に、凍結管の内部の圧力が高まった際には、弁機構が開弁し、冷却液が漏洩するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、吐出口から削孔水を吐出しながら削孔することができるだけでなく、冷却液を循環する際に、内部の圧力が高まっても、吐出口から冷却液が漏洩することを防ぐことができる削孔式凍結管及びこれを用いた地盤凍結工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様の削孔式凍結管は、中心軸方向の端部において内部を塞ぐ基板を有し、前記基板の内側の空間内に冷却液が供給可能な凍結管本体と、前記凍結管本体における前記端部の先端に設けられた削孔ビットと、前記基板を貫通する連通路と、前記基板よりも外側に配置され、前記連通路の一端部に設けられた吐出口と、前記基板よりも内側に配置され、前記連通路における他端部に設けられた接続口と、前記凍結管本体内に配置されると共に前記接続口に接続され、前記吐出口に対して削孔水を送水可能な送水管と、を備え、前記連通路は、前記接続口から通されて前記連通路を閉塞するプラグが嵌め込み可能なプラグ挿入部を有する。
【0009】
本発明に係る一態様の地盤凍結工法は、上記削孔式凍結管を地盤に埋め込む埋設ステップと、前記埋設ステップの後、先端部に前記プラグを保持したロッドを前記送水管に通し、前記プラグ挿入部に前記プラグを嵌め込むプラグ挿入ステップと、前記凍結管本体に冷却液を供給する凍結ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る上記態様の削孔式凍結管及び地盤凍結工法は、吐出口から削孔水を吐出しながら削孔することができるだけでなく、冷却液を循環する際に、内部の圧力が高まっても、吐出口から冷却液が漏洩することを防ぐことができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る削孔式凍結管の模式断面図である。
図2図1のA部分の拡大図である。
図3】本実施形態に係る削孔式凍結管の先端部の模式断面図である。
図4】(A)はプラグの一部破断した模式側面図である。(B)はプラグの模式平面図である。
図5】本実施形態に係る削孔式凍結管を用いて地盤の凍結を行う際の模式断面図である。
図6】本実施形態に係る地盤凍結工法のフローチャートである。
図7】(A)から(D)は地盤凍結工法を説明するための模式断面図である。
図8】変形例1に係る継手の模式断面図である。
図9】変形例2に係る継手の模式断面図である。
図10】変形例3に係る継手の模式断面図である。
図11】変形例4に係る継手の模式断面図である。
図12】変形例5に係る継手の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本実施形態に係る削孔式凍結管100及び盤凍結工法について、添付図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態に係る削孔式凍結管100は、地盤凍結工法に用いられる。地盤凍結工法は、地中の工事を行う際に、工事予定箇所の周辺の地盤を凍結させて、工事予定箇所を保護するための凍土壁(「遮断壁」又は「耐力壁」という場合がある)を作ったうえで、地盤に対する工事を行う工法である。地盤凍結工法としては、ブライン方式と、低温液化ガス方式とが挙げられる。
【0014】
ここで、ブライン方式は、地上に設置された冷凍機と地中に挿入された凍結管との間で冷却液(ブライン)を循環させることで、地盤を冷却する方式である。ブラインは、冷凍機によって、-30℃程度に冷却される。低温液化ガス方式は、冷却液(液体窒素)を凍結管に流し込み、液体窒素の気化熱で地盤を冷却する方式である。気化した窒素ガスは大気中に放出される。
【0015】
このように、地盤凍結工法として、いずれの方式が用いられた場合でも、削孔式凍結管100には冷却液が供給される。以下では、説明の便宜上、地盤凍結工法の一例として、ブライン方式を挙げて説明する。
【0016】
削孔式凍結管100は、地盤を削孔した後、地盤から引き抜かれることなく、そのまま冷却液が供給されることで地盤を凍結させることができる。削孔式凍結管100は、図1に示すように、凍結管本体1と、削孔ビット2と、吐出口31を有するノズル3と、接続口41を有する接続口部4と、接続口41に接続される送水管5と、を備える。また、削孔式凍結管100は、冷却液が供給されるときには、図5に示すように、接続口部4を塞ぐプラグ6と、供給管7とを更に備える。削孔式凍結管100は、本実施形態では、地面に対して直交するように埋め込まれるが、地面に対して傾斜して埋め込まれてもよい。また、削孔式凍結管100は、水平な地面に対して埋め込まれてもよいし、水平面に対して傾斜した斜面に対して埋め込まれてもよい。
【0017】
以下では、説明の便宜上、削孔式凍結管を地盤に入れる方向を「中心軸方向」とし、中心軸方向において、削孔ビット側を「地中側」といい、その反対側を「地表側」という場合がある。
【0018】
また、本明細書において「平行」とは、2つの直線、面等(以下、直線等)が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、「直交」とは、2つの直線等が90°±10°の範囲で交わる場合を意味する。ただし、2つの直線等が直接交わっていなくても、延長した場合に交わる場合には「直交」に含まれる。
【0019】
(凍結管本体1)
凍結管本体1は、削孔式凍結管100の主体を構成する。凍結管本体1は、中空であり、凍結管本体1の中心軸に沿って複数の分割管11を、継手12によって継ぐことで構成されている。凍結管本体1には、凍結管本体1の内部を塞ぐ基板16が設けられている。本実施形態では、凍結管本体1の中心軸方向において、基板16に対して削孔ビット2側を「外側」といい、基板16に対して送水管5側を「内側」という場合がある。
【0020】
基板16は、凍結管本体1の中心軸方向の端部において、凍結管本体1の内部を塞ぐ。本明細書でいう「凍結管本体1の中心軸方向の端部」は、凍結管本体1の中心軸方向の端から内側に所定寸法向かった位置までの範囲を指す。ここでいう「所定寸法」は、凍結管本体1の全長に対して10%を意味する。すなわち、基板16は、凍結管本体1の端から所定寸法までの範囲内のどこかに位置すれば、凍結管本体1の中心軸方向の端部に配置されている、とする。
【0021】
基板16は、凍結管本体1の内部を区画する。基板16は、凍結管本体1の中心軸方向に交差する。本実施形態に係る基板16は中心軸に直交しており、凍結管本体1の内部を、中心軸方向に並ぶ2つの領域R1,R2に区画する。凍結管本体1の内部において、基板16よりも内側の領域R1は、冷却液が流れる空間であり、基板16よりも外側の領域R2は、削孔の際に地盤に面する。基板16は、分割管11の内周面に対し、例えば、溶接により接合されている。基板16には、後述のノズル3と接続口部4とが取り付けられている。
【0022】
(分割管11)
分割管11は、凍結管本体1を構成するパイプである。複数の分割管11は、凍結管本体1の中心軸に沿って配置される。分割管11の呼び厚さは、特に制限はないが、例えば、スケジュール20以上が好ましく、より好ましくは、スケジュール40である。分割管11の径は、特に制限はないが、例えば、65A以上150A以下が好ましく、より好ましくは、80A以上125A以下である。分割管11の材料としては、特に制限はなく、例えば、配管用炭素鋼管、ステンレス鋼管、合金鋼鋼管等が挙げられる。中心軸方向に隣り合う分割管11は、図1に示すように継手12によって接続されている。
【0023】
(継手12)
継手12は、隣り合う分割管11の端部同士を接続し、中心軸に沿って延びた直管状の凍結管本体1を構成することができる。継手12は、図2に示すように、外筒体13と、内筒体14と、水密部とを備える。本実施形態では、水密部として、複数のシール材151が用いられるが、後述の変形例で示すように、金属同士の圧接により止水をする構造であってもよい。
【0024】
(外筒体13)
外筒体13は、分割管11の中心軸方向の一方の端部に接続される。外筒体13は筒状に形成されている。外筒体13は、内嵌め部131と、被接続部132と、を備える。内嵌め部131と被接続部132とは一体に形成されている。ここで、本実施形態に係る外筒体13は、隣り合う分割管11のうちの地表側の分割管11に接続されているが、地中側の分割管11に接続されてもよい。
【0025】
内嵌め部131は、分割管11の端部に嵌め込まれ、当該端部に固定される。内嵌め部131は、分割管11の端部に対して、内周側に嵌め込まれた状態で、溶接により固定されている。内嵌め部131の外径は、分割管11の内径と略同じであることが好ましい。分割管11と内嵌め部131との接続は、工場出荷時又は現場での作業で行われるが、予め工場出荷時に実施しておくことが好ましい。
【0026】
被接続部132は、外筒体13において内筒体14が嵌め込まれる部分である。外筒体13に対して内筒体14が嵌め込まれた状態において、被接続部132の内周面は、内筒体14の外周面と対向する。被接続部132は、内嵌め部131から、凍結管本体1の中心軸に沿って延びている。これによって、被接続部132は、凍結管本体1の中心軸方向において、隣り合う分割管11の間に位置している。
【0027】
被接続部132は、外筒体13のうちの最も外径が大きい部分を有する。本実施形態では、被接続部132は、内嵌め部131の外周面よりも径方向の外側に突き出している。すなわち、被接続部132の外径は、内嵌め部131の外径よりも大きい。一方、被接続部132の外径は、分割管11の外径以下となるように形成されている。被接続部132の外径は、分割管11の直径方向において、分割管11の肉厚内に位置していることが好ましく、より好ましくは、被接続部132の外径は、分割管11の外径と同じである。
【0028】
本明細書において、「被接続部132の外径が分割管11の外径と同じ」とは、被接続部132の外径に対する±2%以内の誤差を含む。すなわち、被接続部132の外面と分割管11の外面とが面一(同一面上)である場合だけでなく、外径の±5%以内であれば、外面同士が径方向にずれている場合も含む。同様に「被接続部132の外径が分割管11の外径以下」とは、被接続部132の外径が、分割管11の外径の同等以下である場合を意味する。「同等」とは、技術的に同じとみなせる範囲を意味する。したがって、例えば、被接続部132の外径が、分割管11の外径の+5%以内で大きい場合でも「被接続部132の外径が分割管11の外径以下」の範疇であることとする。
【0029】
被接続部132は、内筒体14にねじ込まれるねじ部(以下、「外筒体ねじ部133」という)を有する。外筒体ねじ部133は、被接続部132の開口内周面に形成された雌ねじである。外筒体ねじ部133は、被接続部132において、シール材151よりも、被接続部132の開口端側に位置している。外筒体ねじ部133としては、特に制限はなく、例えば、三角ねじ、台形ねじ、角ねじ等が挙げられる。
【0030】
被接続部132の内周面には、シール材151が取り付けられる複数の凹部15が形成されている。凹部15は、被接続部132の中心軸を中心とした円環状に形成されている、複数の凹部15は、被接続部132の中心軸方向に間隔をおいて配置されている。
【0031】
(内筒体14)
内筒体14は、隣り合う分割管11のうち、外筒体13が取り付けられた分割管11とは反対側の分割管11に取り付けられる。内筒体14は筒状に形成されている。内筒体14は、内嵌め部141と、接続部143と、を備える。内嵌め部141と接続部143とは一体に形成されている。
【0032】
内嵌め部141は、分割管11の端部に嵌め込まれ、当該端部に固定される。内嵌め部141は、分割管11の端部に対して、内周側に嵌め込まれた状態で、溶接により固定されている。内嵌め部141の外径は、分割管11の内径と略同じであることが好ましい。分割管11と内嵌め部141との接続は、外筒体13と同様、工場出荷時又は現場での作業で行われるが、予め工場出荷時に実施しておくことが好ましい。
【0033】
内筒体14の内周面の少なくとも一部は、凍結管本体1の中心軸方向において、地中側から地表側に進むに従って小径となるようにテーパ状に形成されている。内筒体14の内周面に含まれるテーパ状の面を「テーパ面142」という。テーパ面142と分割管11の内周面のなす角は、例えば、20°以上45°以下であり、より具体的には、25°以上40°以下が挙げられる。ただし、これらは一例に過ぎない。このようにすることで、継手12において、冷却液の流れが滞ることを抑制できる。また、テーパ面を外筒体13の内嵌め部131の内周面にも形成することができる。これにより、凍結管本体1に供給管7を挿入する際に、引っ掛かりを低減して、スムーズに挿入できる。
【0034】
接続部143は、外筒体13の被接続部132に対して、取外し可能に接続される。接続部143は、内嵌め部141から、凍結管本体1の中心軸に沿って延びている。接続部143は、隣り合う分割管11の間に位置する。接続部143は、被接続部132に接続されると、被接続部132の内周側に嵌め込まれ、被接続部132に対して径方向の内側に同心円状に重なる。
【0035】
接続部143の外周面の基端部には、ねじ部(以下、内筒体ねじ部144という)が形成されている。内筒体ねじ部144は、外筒体ねじ部133にねじ込まれる雄ねじである。外筒体ねじ部133に対し、内筒体ねじ部144がねじ込まれることで、外筒体13と内筒体14とは互いに接合される。
【0036】
(シール材151)
シール材151は、外筒体13の内周面と内筒体14の外周面との間に配置されている。具体的には、シール材151は、凹部15内に配置されている。シール材151は、外筒体13の内周面と内筒体14の外周面との間に配置されているため、加工精度の高い面をシール材151の対向面とすることができ、止水性能を発揮させやすくできる。
【0037】
シール材151は、外筒体13と内筒体14との間において、凍結管本体1の中心軸回りの全長にわたって形成されている。すなわち、シール材151はリング状である。シール材151としては、例えば、Oリング、Xリング(ツイスターリング)、断面四角形状の角リング、断面ドーナツ状の中空リング等が挙げられる。シール材151の材料としては、例えば、エラストマ、軟質樹脂、ウレタン等、耐寒性のあるゴムが挙げられる。エラストマとしては、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム(熱硬化性エラストマ)、天然ゴム等が挙げられる。本実施形態に係るシール材151は、エラストマからなるOリングである。
【0038】
複数のシール材151は、凍結管本体1の中心軸に沿って間隔をおいて配置されている。隣り合うシール材151の間の間隔L1は、シール材151同士が互いに干渉しないような距離であればよい。シール材151は、複数あるほうが好ましいが、1つでもよい。ただし、シール材151が複数あることで、施工の際、万が一、1つのシール材151が損傷しても、液密性が損なわれることを防ぐことができる。
【0039】
(削孔ビット2)
図3に示すように、凍結管本体1の中心軸方向において、地中側の端部の先端には、削孔ビット2が設けられている。削孔ビット2は、地盤を削孔する工具である。削孔ビット2は、本実施形態では、複数の刃21を有する円筒形の削孔ビット2であり、分割管11の先端に対して、例えば、溶接により接合されている。複数の刃21は、中心軸回りの周方向において一定のピッチで形成されている。
【0040】
削孔ビット2としては、特に制限はなく、例えば、くさび形ビット、ボタンビット、切削型ビット、ダイヤモンドビット、ローラーコーンビット、円盤型ビット等が挙げられる。削孔ビット2は、地盤の硬さや種類に応じて、適宜選択されることが好ましい。
【0041】
(ノズル3)
ノズル3は、削孔時において、吐出口31から削孔水を吐出する。ノズル3は、少なくとも1つの吐出口31を有する。本実施形態に係る吐出口31は、中心軸方向の地中側の開口端により構成されている。
【0042】
ノズル3は、基板16の外側の面から中心軸方向に沿って突き出ている。ノズル3は、基板16に形成された貫通孔161に対して、内部が通じるように取り付けられている。これによって、基板16の貫通孔161とノズル3の吐出口31とが通じる。
【0043】
ノズル3は、逆止弁32を有することが好ましい。逆止弁32によって、掘削時において、地下水が吐出口31から領域R1に流入するのを軽減できる。本実施形態に係る逆止弁32は、図3に示すように、弁体321と、ばね322と、弁座323とを有するスプリング式のボールチャッキ弁である。
【0044】
弁体321は、弁座323に対して接離可能であり、弁座323に接触することで、吐出口31に通じる流路(連通路42)を閉じることができる。弁体321は、例えば、球状である。ばね322は、弁体321を、常時、弁座323に押し付けることができる。ばね322は、所定の力で弁体321を弁座323に押し付けているが、送水管5からの送水圧が所定の力を超えると、弁体321が外側に押されて、弁体321が流路(連通路42)を開放する。これによって、逆止弁32は、送水管5から送水されたときには流路(連通路42)を開放し、送水管5からの送水が停止したときには流路(連通路42)を閉じることができる。
【0045】
逆止弁32としては、ボールチャッキ弁に限らず、スイングチャッキ、リフトチャッキ、ウエハチャッキ等の他のチャッキ弁によって構成されてもよい。
【0046】
(接続口部4)
接続口部4は、基板16の内側に設けられ、連通路42を通して吐出口31に通じている。接続口部4は、基板16の内側の面(内面)から中心軸方向に沿って内側に突き出ている。接続口部4は、筒状であり、基板16の貫通孔161に対して、内部が通じるように取り付けられている。これによって、接続口部4の内部と基板16の貫通孔161とが通じる。
【0047】
連通路42は、接続口部4の内側の開口(以下「接続口41」という)と、吐出口31とをつなぐ流路である。接続口41は、接続口部4が貫通孔161に取り付けられることで、連通路42を介して吐出口31に通じる。連通路42は、接続口部4の内部、貫通孔161及びノズル3の内部によって構成されている。
【0048】
接続口部4には、送水管接続部43が形成されている。送水管接続部43は、接続口部4の接続口41から中心軸方向の外側に向かって凹むように形成されている。送水管接続部43の内周面には、ねじが形成されている。送水管接続部43に送水管5がねじ込まれることで、送水管5が接続口41に対して取外し可能に接続される。
【0049】
接続口部4は、プラグ6が嵌め込まれるプラグ挿入部44を有している。図5に示すように、プラグ挿入部44にプラグ6が嵌め込まれることで、連通路42を閉塞することができる。プラグ6は、凍結管本体1の内部において、接続口41から通され、プラグ挿入部44に嵌め込まれる。プラグ挿入部44は、本実施形態では、接続口部4に形成されているが、貫通孔161又はノズル3、あるいは接続口部4と貫通孔161とノズル3とに跨って形成されてもよい。
【0050】
プラグ挿入部44は、送水管接続部43の奥面から、凍結管本体1の中心軸方向に沿って形成されている。プラグ挿入部44は、送水管接続部43と貫通孔161との間に形成されている。プラグ挿入部44の内周面には、プラグ6の外周面に形成されたねじに噛み合うねじ部(以下、「挿入部ねじ部441」という)が形成されている。
【0051】
プラグ6は、図4に示すように、略円柱状に形成されている。プラグ6は、プラグ本体の先端部に形成された止水部61と、ねじ(以下、「プラグねじ62」という)と、旋回穴63とを備える。プラグ6は、磁性体により構成されることが好ましい。これによって、後述のロッド8に対して、磁着することができる。
【0052】
止水部61は、連通路42の内周面に対向する部分である。止水部61には、中心軸方向に一定の間隔をおいて形成された複数の溝611が形成されている。溝611には止水材612が配置され、止水材612は、連通路42の内周面に密着する。これによって、プラグ6がプラグ挿入部44に嵌め込まれると、連通路42が気密状に閉塞される。止水材612としては、例えば、Oリング、Xリング(ツイスターリング)、断面四角形状の角リング、断面ドーナツ状の中空リング等が挙げられる。
【0053】
止水部61は、中心軸方向に離れた複数の溝611が形成されているため、最も先端側(地中側)の止水材612によって、連通路42の内周面に付着した土や埃を除去することで、2段目以降の止水材612が、連通路42の内周面に密着することができる。これにより、プラグ6は、確実に、連通路42を閉塞することができる。
【0054】
プラグねじ62は、プラグ本体の外周面に形成される。プラグねじ62は、プラグ挿入部44の挿入部ねじ部441に噛み合う。プラグ6にプラグねじ62が形成されることで、止水材612と連通路42の内周面との密着度が高くても、プラグ6を、中心軸を回転軸として回転させてプラグ挿入部44にねじ込むことができる。プラグねじ62は、止水部61に対して中心軸方向の地表側に位置することが好ましいが、止水部61に対して中心軸方向の地中側に位置してもよい。
【0055】
旋回穴63は、プラグ本体の地表側の端面に形成される。旋回穴63には、後述のロッド8の先端が嵌め込まれ、プラグ6は、ロッド8によって中心軸を回転軸として回転される。旋回穴63としては、例えば、四角穴、六角穴、十字穴等が挙げられる。
【0056】
プラグ6の外径は、送水管5の内径よりも小さい。これによって、プラグ6は、送水管5を通し、接続口41を通過して、プラグ挿入部44に嵌め込むことができる。
【0057】
(送水管5)
送水管5は、図3に示すように、凍結管本体1内に配置されると共に接続口41に接続される。送水管5の内部は、吐出口31に通じている。送水管5は、送水ポンプに接続されており、吐出口31に向かって削孔水を送水することができる。
【0058】
送水管5は、接続口41に対して、取外し可能に接続されることが好ましい。送水管5の中心軸方向の地中側の端部にはねじ51が形成されている。接続口41の送水管接続部43に対して送水管5のねじ51が噛み合うことで、送水管5が接続口41に対して取外し可能に接続される。ただし、接続口41と送水管5との接続は、ねじ込み式に限らず、例えば、送水管5の端部の外周面に径方向の外側に突き出す突起を設け、接続口41の内周面に突起が通るL字型の溝を設け、突起と溝の一部が係止されることで実現されてもよいし、嵌め込み式であってもよい。
【0059】
(供給管7)
凍結管本体1の内部には、図5に示すように、冷却液を供給するための供給管7が挿入される。供給管7の先端部は、基板16の上面から離れている。なお、本実施形態では、供給管7と凍結管本体1とは同心状に配置されるが、同心状に配置される必要はなく、例えば、供給管7は、凍結管本体1の中心軸から外れた位置にあってもよい。また、供給管7の断面形状は、円形でなくてもよく、例えば、楕円形、角形形状等であってもよい。
【0060】
冷凍機に接続されたブラインヘッダー(不図示)から供給管7に供給された冷却液は、供給管7の先端開口から出た後、供給管7と凍結管本体1との間を通り、ブラインヘッダーに入り、冷凍機に戻る。これにより、冷凍機と削孔式凍結管100との間で冷却液が循環し、削孔式凍結管100の周囲の土を冷却することができる。
【0061】
(地盤凍結工法)
次に、以上で説明した削孔式凍結管100を用いる地盤凍結工法の一例について説明する。本実施形態に係る地盤凍結工法は、図6に示すように、埋設ステップS1と、プラグ挿入ステップS2と、水密確認ステップS3と、送水管取外しステップS4と、凍結ステップS5と、をこの順に実行し、この後、地盤についての工事S6を行う。
【0062】
埋設ステップS1は、本実施形態に係る削孔式凍結管100を地盤に埋め込む工程である。埋設ステップS1では、例えば、全周回転装置を用いて、削孔式凍結管100を、中心軸を回転軸として回転させながら、地盤に入れていく。削孔式凍結管100は、中心軸方向の端部に削孔ビット2を有するため、地盤に入れることができる。
【0063】
埋設ステップS1では、複数の分割管11を継手12により継ぎ足しながら、地盤に入れてゆくことが好ましい。これにより、分割管11同士を溶接により接合しながら地盤に入れていく場合に比べて、削孔式凍結管100を、容易に埋め込むことができる。本実施形態に係る地盤凍結工法では、埋設ステップS1により削孔式凍結管100を埋め込んだ後、引き抜くことなく、そのまま削孔式凍結管100を地盤に残しておく。
【0064】
次いで、プラグ挿入ステップS2を実行する。プラグ挿入ステップS2は、埋設ステップS1の後、図7(A)に示すように、先端部にプラグ6を保持したロッド8を用いて、プラグ挿入部44にプラグ6を嵌め込む工程である。ロッドは、図7(A)に示すように、棒状であり、断面における最大寸法が、送水管5の内径よりも小さい。本実施形態に係るロッド8は、断面円形状のロッドであり、その外径が送水管5の内径よりも小さく形成されている。
【0065】
ロッド8は、プラグ保持部81を有する。プラグ保持部81は、ロッド8の中心軸方向の地中側の端部に形成されている。プラグ保持部81は、プラグ6の旋回穴63に嵌め込む嵌合部と、磁石部と、を備える。プラグ保持部81は、磁石部がプラグ6を磁着すると共に、嵌合部がプラグ6の旋回穴63に嵌まることで、プラグ6を保持することができる。
【0066】
嵌合部は、旋回穴63に適合する形状であればよく、例えば、断面四角形、断面六角形、断面十字形等が挙げられる。
【0067】
プラグ挿入ステップS2では、作業者は、プラグ保持部81によってプラグ6を保持したロッド8を用いて、プラグ6と共にロッド8を送水管5に挿し入れる。作業者は、図7(B)に示すように、プラグ6をプラグ挿入部44に挿し入れ、ロッド8を、中心軸を回転軸として回転することで、プラグ6のプラグねじ62がプラグ挿入部44の挿入部ねじ部441にねじ込まれ、プラグ挿入部44にプラグ6を嵌め込むことができる。この後、作業者は、ロッド8を中心軸方向の地表側に引っぱることで、プラグ6からプラグ保持部81が外され、ロッド8を送水管5から引き抜くことができる。
【0068】
なお、プラグ保持部81は、磁石部を有さなくてもよい。磁石部は、プラグ6に設けられてもよい。
【0069】
次いで、作業者は、水密確認ステップS3を実行する。水密確認ステップS3では、送水管5を利用して、プラグ6がプラグ挿入部44に水密状態で嵌め込まれているかどうかを確認する工程である。水密確認ステップS3では、作業者は、例えば、送水管5の内部に気圧を加えた上で、気圧を測定し、一定時間、減圧しないことをもって、水密状態で嵌め込まれていると判定することができる。なお、送水管5が上下方向に延びている場合には、送水管5の内部に液体を注入し、液体の液面を計測し、一定時間下降しないことをもって、水密状態で嵌め込まれていると判定してもよい。
【0070】
これにより、プラグ挿入部44に対してプラグ6が水密状態で嵌め込まれていることがわかるため、削孔式凍結管100の内部において、冷却液を循環させても、連通路42から冷却液の漏洩が生じないことが確認できる。
【0071】
次いで、作業者は送水管取外しステップS4を実行する。送水管取外しステップS4は、送水管5を接続口41から取り外す工程である。送水管取外しステップでは、図7(D)に示すように、作業者は、送水管5を中心軸を回転軸として回転させることで、送水管5を接続口41から取り外すことができる。水密確認ステップS3によって、プラグ6が水密状態でプラグ挿入部44に嵌め込まれていることが確認できているため、送水管5を取り外しても、確実に、凍結管本体1の内部の水密性が確保されている。送水管5を取り外すことで、凍結管本体1の内部を広く確保することができるため、万が一、凍結管本体1において冷却液の漏洩が発生しても、内部に小口径の配管を挿入して対処しやすく、また、冷却能力を向上させることができ、さらに、凍結管本体1の曲がりを確認するため等計測機器の挿入スペースを適切に確保することができる。
【0072】
次いで、作業者は凍結ステップS5を実行する。凍結ステップS5は、凍結管本体1に冷却液を供給する工程である。凍結ステップS5では、作業者は、地盤に埋め込まれている削孔式凍結管100に供給管7を挿し入れ、供給管7に対して、冷凍機に接続されたブラインヘッダー(不図示)から冷却液を供給する。これにより、冷凍機と削孔式凍結管100との間で冷却液が循環し、削孔式凍結管100の周囲の土を冷却することができる。
【0073】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0074】
(変形例1)
上記実施形態に係る削孔式凍結管100において、継手12は、水密部としてのシール材151が、外筒体13の内周面に設けられたが、図8に示すように、内筒体14の外周面に設けられてもよい。シール材151は、内筒体14の外周面に形成された凹部15内に配置されている。また、シール材151は、内筒体14において、内筒体ねじ部144よりも開口面側に位置している。
【0075】
(変形例2)
上記実施形態に係る継手12では、外筒体13は、内嵌め部131と被接続部132とを備え、内嵌め部131が分割管11に嵌め込まれたが、図9に示すように、内嵌め部131はなくてもよい。すなわち、外筒体13は、凍結管本体1に対して、突合せ溶接により接続されてもよい。また、本変形例2では、内筒体14は内嵌め部141を有しているが、分割管11との接合強度を確保することができれば、内嵌め部141はなくてもよい。
【0076】
(変形例3)
上記実施形態に係る継手12では、シール材151は、中心軸方向において、内筒体14の内筒体ねじ部144よりも開口面側に位置したが、図10に示すように、シール材151は、内筒体14において、内筒体ねじ部144よりも基端部側に位置してもよい。すなわち、水密部は、内筒体ねじ部144又は外筒体ねじ部133に対して、中心軸方向に並ぶように設けられていれば、中心軸方向のいずれの側に設けられてもよい。
【0077】
(変形例4)
上記実施形態に係る継手12では、外筒体13と内筒体14とが、ねじ部144,133によって接続されることで、複数の分割管11の端部同士を接続したが、図11に示すように、継手12と分割管11とを、ねじ部112,133によって接続してもよい。この場合、分割管11の内周面には、雌ねじ部112と、シール材対向面111とが形成される。シール材対向面111は、シール材151に接触することで水密性を発揮させる面であり、表面粗さが小さくなるように、表面処理がなされている。
【0078】
継手12において、最も外径が大きい部分は、一対の分割管11の間に配置される。この継手12の最も外径が大きい部分の外周面には、少なくとも一対の平行な面が形成されることが好ましい。このようにすることで、スパナ等の工具によって当該外周面を保持でき、継手12を、中心軸を中心にして回転させることができる。継手12は、中心軸方向の両側の各々に、内筒体ねじ部144と、水密部(ここでは、一対のシール材151)とを有している。シール材151は、シール材対向面111によって潰されることで、水密性を発揮することができる。
【0079】
(変形例5)
上記実施形態に係る継手12では、水密部として、複数のシール材151を備えたが、例えば、図12に示すように、当接面同士の接触により、水密性を確保してもよい。継手12は、分割管11に接続される第1接続部17と、第1接続部17に回転自在に取り付けられた袋ナット19と、袋ナット19によってねじ込まれることで第1接続部17に接続される第2接続部18と、を備える。
【0080】
袋ナット19は、内周面に外筒体ねじ部133(雌ねじ)が形成されている。また、第2接続部18は、先端部の外周面に内筒体ねじ部144(雄ねじ)が形成されている。第2接続部18の先端面の外角部(以下、当接面181)は、中心軸に対してテーパ状に傾斜している。第1接続部17の先端面の内角部(以下、当接面171)は、中心軸に対してテーパ状に傾斜している。袋ナット19の外筒体ねじ部133が第2接続部18の内筒体ねじ部144にねじ込まれることによって、第1接続部17と第2接続部18とが接続されると、当接面181,171同士が圧接する。このように構成することで、第1接続部17と第2接続部18との間からの漏れが防がれる。この態様では、継手12における最も外径が大きい部分は、袋ナット19に含まれる。
【0081】
第1接続部17、袋ナット19及び第2接続部18は、金属によって構成されるが、例えば、合成樹脂、セラミック、カーボン等で構成されてもよい。また、第2接続部18の当接面181は、外角部に形成されたテーパ面であるが、例えば、内角部に形成されたテーパ面であってもよい。この場合、第1接続部17の当接面171は、外角部に形成されたテーパ面となる。また、継手12における最も外径が大きい部分は、袋ナット19に限らず、第1接続部17又は/及び第2接続部18に含まれてもよいし、袋ナット19、第1接続部17及び第2接続部18の全てに含まれてもよい。
【0082】
(その他の変形例)
上記実施形態では、地面に対して削孔式凍結管100を埋め込む態様について説明したが、例えば、地中のトンネルの内壁から削孔式凍結管100を埋め込んでもよい。
【0083】
上記実施形態では、プラグ6はプラグねじ62を有し、プラグ挿入部44は挿入部ねじ部441を有し、プラグねじ62が挿入部ねじ部441にねじ込まれたが、プラグ6は、プラグ挿入部44に対して、ねじによる嵌め込みでなくてもよく、単なる嵌め合いによる嵌め込みであってもよい。
【0084】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係る削孔式凍結管100は、中心軸方向の端部において内部を塞ぐ基板16を有し、基板16の内側の空間内に冷却液が供給可能な凍結管本体1と、凍結管本体1における端部の先端に設けられた削孔ビット2と、基板16を貫通する連通路42と、基板16よりも外側に配置され、連通路42の一端部に設けられた吐出口31と、基板16よりも内側に配置され、連通路42における他端部に設けられた接続口41と、凍結管本体1内に配置されると共に接続口41に接続され、吐出口31に対して削孔水を送水可能な送水管5と、を備える。連通路42は、接続口41から通されて連通路42を閉塞するプラグ6が嵌め込み可能なプラグ挿入部44を有する。
【0085】
この態様によれば、削孔の際には、送水管5から削孔水を送水することで、削孔水を吐出口31から吐出することができるし、地盤を凍結する際には、連通路42のプラグ挿入部44にプラグ6を嵌め込むことで、凍結管本体1の内部において冷却液を循環させることができる。プラグ6は、接続口41を通してプラグ挿入部44に嵌め込むことができるため、削孔が完了した後において、作業者は、プラグ6をプラグ挿入部44にしっかりと嵌め込むことができる。したがって、本態様の削孔式凍結管100によれば、吐出口31から削孔水を吐出しながら削孔することができるだけでなく、冷却液を循環する際に、内部の圧力が高まっても、吐出口31から冷却液が漏洩することを防ぐことができる。
【0086】
第2の態様に係る削孔式凍結管100では、第1の態様において、接続口41は、送水管5が取外し可能に接続されている。この態様によれば、送水管5を取り外すことで、凍結管本体1の内部を広く確保することができるため、万が一、凍結管本体1において冷却液の漏洩が発生しても、内部に小口径の配管を挿入して対処しやすく、また、冷却能力を向上させることができ、さらに、凍結管本体1の曲がりを確認するため等計測機器の挿入スペースを適切に確保することができる。
【0087】
第3の態様に係る削孔式凍結管100では、第1又は第2の態様において、プラグ挿入部44は、プラグ6の外周面に形成されたねじ(プラグねじ62)に噛み合うねじ部(挿入部ねじ部441)を有する。この態様によれば、プラグ挿入部44に対するプラグ6の嵌め込みが強固であっても、プラグ挿入部44に対してプラグ6を確実に嵌め込むことができる。
【0088】
第4の態様に係る削孔式凍結管100では、第1~3のいずれか1つの態様において、凍結管本体1は、複数の分割管11と、複数の分割管11の隣り合う端部を接続する継手12と、を有し、継手12の最も外径が大きい部分の外径が、分割管11の外径以下となるように形成されている。この態様によれば、地盤の深部まで削孔式凍結管100を埋め込むことができるうえに、継手12の一部が分割管11の外面から突き出ることがないので、削孔時における、継手12による抵抗を低減できる。
【0089】
第5の態様に係る削孔式凍結管100では、第4の態様において、継手12は、分割管11の一方の端部に接続される外筒体13と、分割管11の一方の端部に隣接する他の分割管11の端部に接続され、外筒体13内に嵌め込まれて、外筒体13に対してねじ51により連結される内筒体14と、を有し、外筒体13が継手12の最も外径が大きい部分を含む。この態様によれば、外筒体13と内筒体14とを有する継手12を用いて、作業者の技りょうに関係なく液密性を確保しつつ、削孔式凍結管100を継ぐことができる。
【0090】
第6の態様に係る地盤凍結工法は、第1から第5の態様の削孔式凍結管100を地盤に埋め込む埋設ステップS1と、埋設ステップS1の後、先端部にプラグ6を保持したロッド8を送水管5に通し、プラグ挿入部44にプラグ6を嵌め込むプラグ挿入ステップS2と、凍結管本体1に冷却液を供給する凍結ステップS5と、を備える。この態様によれば、削孔式凍結管100を用いて、地盤凍結工法を実行することができる。
【0091】
第7の態様に係る地盤凍結工法では、第6の態様において、プラグ挿入ステップS2の後、かつ凍結ステップS5の前において、送水管5の内部を利用し、プラグ6がプラグ挿入部44に水密状態で嵌め込まれているかどうかを確認する水密確認ステップS3を更に備える。この態様によれば、プラグ挿入部44に対するプラグ6の嵌め込みにより、確実に連通路42が閉塞されていることが確認できるため、連通路42を通して冷却液が漏洩することを確実に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0092】
100 削孔式凍結管
1 凍結管本体
11 分割管
12 継手
13 外筒体
131 内嵌め部
132 被接続部
14 内筒体
141 内嵌め部
16 基板
2 削孔ビット
31 吐出口
4 接続口部
41 接続口
42 連通路
44 プラグ挿入部
441 挿入部ねじ部
5 送水管
6 プラグ
61 止水部
62 プラグねじ
【要約】
【課題】吐出口から削孔水を吐出しながら削孔することができるだけでなく、冷却液を循環する際に、内部の圧力が高まっても、吐出口から冷却液が漏洩することを防ぐこと。
【解決手段】削孔式凍結管100は、中心軸方向の端部において内部を塞ぐ基板16を有し、基板16の内側の空間内に冷却液が供給可能な凍結管本体1と、凍結管本体1の先端に設けられた削孔ビット2と、基板16を貫通する連通路42と、基板16よりも外側に配置され、連通路42の一端部に設けられた吐出口31と、基板16よりも内側に配置され、連通路42における他端部に設けられた接続口41と、凍結管本体1内に配置されると共に接続口41に接続され、吐出口31に対して削孔水を送水可能な送水管5と、を備える。連通路42は、接続口41から通されて連通路42を閉塞するプラグ6が嵌め込み可能なプラグ挿入部44を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12