(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】除菌システム
(51)【国際特許分類】
A61L 9/14 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61L9/14
(21)【出願番号】P 2024111187
(22)【出願日】2024-07-10
【審査請求日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2023113866
(32)【優先日】2023-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520088498
【氏名又は名称】プルガティオ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】森久 康彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 貴均
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝道
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-257144(JP,A)
【文献】実開昭58-192325(JP,U)
【文献】特開2004-260099(JP,A)
【文献】国際公開第2020/129557(WO,A1)
【文献】特開2022-151401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
C02F 1/20 - 1/26
C02F 1/30 - 1/38
F24F 8/00 - 8/99
B05B 1/00 - 3/18
B05B 7/00 - 9/08
B05B 5/00 - 5/16
B05B 12/00 - 12/14
B05B 13/00 - 13/06
C02F 1/42
B01D 53/22
B01D 61/00 - 71/82
C02F 1/44
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常水を水処理して精製水を生成する水処理手段、及び、前記水処理手段で生成された精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段からなる除菌システムであって、
前記噴霧手段は、
貯留される常水を水処理して前記精製水を生成する前記水処理手段を内部に備えるタンクユニットと、
前記タンクユニットから供給される前記精製水を貯留可能な霧化タンクと、
前記霧化タンク内で前記精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が配設された霧化デバイスとを備え、
前記水処理手段は、上面に常水入口を有し下面に精製水出口を有する所定高さの
筒状部材に水処理剤が充填された水処理ユニットによって形成され、
前記タンクユニットの内周面には、前記水処理ユニットを嵌合して取り付ける嵌合部材が当該内周面に沿って設けられ、前記嵌合部材によって前記常水入口側の上部空間と前記精製水出口側の下部空間とが区画されるとともに、
前記上部空間と前記下部空間とを連通する連通パイプを備えた、
除菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌システムに関し、特に、空気中に浮遊するウィルスや細菌を、アルコールや塩素系の薬剤を用いずに不活化ないし除菌するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中には様々なウイルスや細菌が浮遊しており、人体に取り込まれると各種疾病の原因となるため、除去することが望ましい。また、学校や病院、駅や商業施設、オフィスビルなど不特定多数の人が往来する場所では、様々なウイルスや細菌が持ち込まれるため、感染の拡大を抑制するためには、施設内の各所を効果的に不活化ないし除菌することが特に望ましい。
【0003】
除菌の方法として、ウイルスを不活化し細菌を減少させる効果のある、アルコールや塩素系の液剤を用い、人の手が触れる箇所や床などを清拭することが考えられる。ただし、このような方法は、人が触れると想定される様々な箇所をこまめに清拭する必要があり、大変な手間がかかるため、実用的ではない。
【0004】
また、アルコールや塩素系の液剤を霧化して空間内に噴霧することで、空気中に浮遊する菌に接触させて減少させることが考えられている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1に記載されるようなこの方法は、噴霧手段から自動的に除菌液を噴霧させればよく、人手を用いなくても効果的に除菌を行うことができるため、様々な場所において活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、空間内に広く噴霧された液剤は、ウイルスを不活化させ細菌を減少させるだけでなく、鼻や口を通じて人体に取り込まれることにもなるため、人の健康に影響を及ぼす恐れのある液剤を噴霧することに対して敬遠する声も少なくない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、人の健康に影響を及ぼす恐れのある液剤を使用せずとも、空間内に存在するウイルスを不活化し菌を減少させることが可能な除菌システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、常水を供給するだけで十分な精製度の精製水を得ることができるとともに、除菌効果を得た霧を噴霧手段で噴霧することが可能な除菌システムを提供することを目的とする。
【0010】
本願発明の発明者らは、常水から不純物を除去した精製水を、超音波振動による霧化とセパレータによる選別によってブラウン運動を起こすことができる程度に微粒子化させて噴霧することで、空間内に存在するウイルスや細菌ないし真菌を効果的に不活化ないし減少させることができることを見出し、本願発明に至った。
【0011】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0012】
第1の特徴に係る除菌システムは、常水を水処理して精製水を生成する水処理手段、及び、水処理手段で生成された精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段からなる除菌システムであって、噴霧手段は、貯留される常水を水処理して精製水を生成する水処理手段を内部に備えるタンクユニットと、タンクユニットから供給される精製水を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内で精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が配設された霧化デバイスとを備え、水処理手段は、上面に常水入口を有し下面に精製水出口を有する所定高さの筒状部材に水処理剤が充填された水処理ユニットによって形成され、タンクユニットの内周面には、水処理ユニットを嵌合して取り付ける嵌合部材が当該内周面に沿って設けられ、嵌合部材によって常水入口側の上部空間と精製水出口側の下部空間とが区画されるとともに、上部空間と下部空間とを連通する連通パイプを備える。
【0013】
第1の特徴に係る除菌システムによると、貯留される常水を水処理して精製水を生成する水処理手段を内部に備えるタンクユニットを備えるため、タンクユニットに常水を供給するだけで、精製水を生成することができる。ここで、水処理手段は、上面に常水入口を有し下面に精製水出口を有する所定高さの略筒状部材に水処理剤が充填された水処理ユニットによって形成されるため、上方から供給される常水を水処理ユニットで徐々に水処理を行いながら、下方から精製水として排出することができる。また、タンクユニットの内周面には、水処理ユニットを嵌合して取り付ける嵌合部材が当該内周面に沿って設けられ、嵌合部材によって常水入口側の上部空間と精製水出口側の下部空間とが区画されるため、タンクユニットに供給される常水のほぼ全量が水処理ユニットを通過して水処理が行われる。その際、上部空間と下部空間とを連通する連通パイプを備えるため、連通パイプが下部空間の圧力を上部空間と同じ大気圧に保持する働きをし、タンクユニットから霧化タンクへの精製水の流れを適正に維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、噴霧手段に常水を供給するだけで十分な精製度の精製水を生成しつつ、精製水を滞ることなく霧化タンクに供給して噴霧することが可能な除菌システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に係る除菌システムの全体構成を表す模式図である。
図1(a)は水処理手段と噴霧手段が別体のものであり、
図1(b)は水処理手段が噴霧手段に内蔵されたものである。
【
図2A】
図2Aは、第一実施形態に係る噴霧手段2の斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、第一実施形態に係る噴霧手段2のカバー部材80を外した状態の正面図である。
【
図2C】
図2Cは、第一実施形態に係る噴霧手段2のカバー部材80を外した状態の右側面図である。
【
図2D】
図2Dは、第一実施形態に係る噴霧手段2のカバー部材80を外した状態の背面図である。
【
図2E】
図2Eは、第一実施形態に係る噴霧手段2の正面図である。
【
図3A】
図3Aは、第一実施形態に係る微粒子化ユニット10の部分拡大斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、第一実施形態に係る微粒子化ユニット10の使用時の状態における模式図である。
【
図4A】
図4Aは、第一実施形態に係る噴霧手段2の吹き出しユニット30の斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、第一実施形態に係る噴霧手段2の吹き出しユニット30の平面図である。
【
図4C】
図4Cは、第一実施形態に係る噴霧手段2の吹き出しユニット30の正面図である。
【
図4D】
図4Dは、第一実施形態に係る噴霧手段2の吹き出しユニット30の底面図である。
【
図5A】
図5Aは、第一実施形態に係る据付ユニット60の正面図である。
【
図5C】
図5Cは、第一実施形態に係るベース部材61の底面図である。
【
図6A】
図6Aは、第一実施形態に係るトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図である。
【
図6C】
図6Cは、第一実施形態に係るトップ部材63の底面図である。
【
図6D】
図6Dは、第一実施形態に係るトップ部材カバー63gの平面図である。
【
図6E】
図6Eは、精製水補給時におけるトップ部材63と吹き出しユニット30の斜視図である。
【
図7D】
図7Dは、上タンク21を異なる角度から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、第一実施形態に係る除菌システムを使用した除菌方法のフローチャートである。
【
図9】
図9は、第二実施形態に係る噴霧手段3の斜視図である。
【
図10】
図10は、第二実施形態に係る噴霧手段3の正面断面図である。
【
図11】
図11は、第二実施形態に係る噴霧手段3の側断面図である。
【
図12】
図12は、第二実施形態に係る噴霧手段3の内部構造を分解して示す模式図である。
【
図13】
図13は、第二実施形態に係る霧化タンク110の分解状態を示す模式図である。
【
図14】
図14は、第二実施形態に係る霧化タンク110の分解状態を示す正面断面図である。
【
図15】
図15は、第二実施形態に係る霧化タンク110の分解状態を示す側面断面図である。
【
図16】
図16は、第二実施形態に係る第一霧化タンク部材111の詳細について示す模式図である。(a)は上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は底面図であり、(e)は側面断面図であり、(f)は正面断面図である。
【
図17】
図17は、第二実施形態に係る第二霧化タンク部材112の詳細について示す模式図である。(a)は上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図であり、(c)は立面図であり、(d)は平面図である。
【
図18】
図18は、第二実施形態に係る第三霧化タンク部材113の詳細について示す模式図である。(a)は平面図であり、(b)は側面断面図であり、(c)は正面断面図である。
【
図19】
図19は、第二実施形態に係るセパレータ140の全体構成について示す模式図である。(a)は霧化タンク110内部を底面側から見た模式図であり、(b)はセパレータ140の正面断面図である。
【
図20】
図20は、第二実施形態に係る第一下方セパレータ部材114の詳細について示す模式図である。(a)は上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図であり、(c)は底面図である。
【
図21】
図21は、第二実施形態に係る第二下方セパレータ部材115の詳細について示す模式図である。(a)は上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図であり、(c)は底面図である。
【
図22】
図22は、第二実施形態に係るタンクユニット200の詳細について示す模式図である。(a)はタンクユニット200の側断面図であり、(b)はタンクユニット200の斜視図であり、(c)はタンクユニット200の背面図であり、(d)はタンク本体210を下方から見た斜視図である。
【
図23】
図23は、タンクユニット200を構成するキャップ部材220の詳細について示す模式図である。(a)はキャップ部材220の斜視図であり、(b)はキャップ部材220の分解状態を示す斜視図であり、(c)はキャップ本体221の正面断面図であり、(d)は軸体222の斜視図であり、(e)は弁部材223の正面図であり、(f)は弁部材223が閉塞状態のキャップ部材220の内部構造を示す断面図であり、(g)は弁部材223が開放状態のキャップ部材2230の内部構造を示す断面図である。
【
図24】
図24は、水処理ユニット600について示す模式図である。(a)はタンクユニット200内部に配設された水処理ユニット600を示す透視図であり、(b)は水処理ユニットの斜視図である。
【
図25】
図25は、弁制御部材500の構成を示す模式図である。(a)は弁制御部材500まわりの構成を示す模式図であり、(b)は弁制御部材500が弁部材223を押し上げていない状態を示す模式図であり、(c)は弁制御部材500が弁部材223を押し上げている状態を示す模式図である。
【
図26】
図26は、本発明に係る除菌システムを使用した浮遊ウイルス数に係る試験結果の一例である。
【
図27】
図27は、本発明に係る除菌システムを使用した対数ウイルス減少値及び対数ウイルス減少率に係る試験結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0017】
[除菌システムの全体構成]
図1を用いて、本発明に係る除菌システムの全体構成を説明する。
図1は、本発明に係る除菌システムの全体構成を表す模式図である。
図1(a)は水処理手段と噴霧手段が別体のものであり、
図1(b)は水処理手段が噴霧手段に内蔵されたものである。
【0018】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、本発明に係る除菌システムは、常水から不純物を除去して精製水を生成する水処理手段1、及び、精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段2によって構成される。
【0019】
水処理手段1は、常水から不純物を除去することで精製水を生成するためのものである。水処理手段1による不純物の除去は、逆浸透膜による処理、イオン交換樹脂を用いて常水中の陽イオン及び陰イオンを除去するイオン交換処理、活性炭に不純物を吸着させる吸着処理、紫外線を照射して不純物を除去する紫外線処理、限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行う限外ろ過膜処理、水と不純物の沸点の違いを利用して不純物を分離する蒸留、のいずれか一つ又はそれらの組み合わせによって行われる。
【0020】
噴霧手段2は、水処理手段1で不純物を除去された精製水を、超音波振動によってブラウン運動を起こすことができる程度に微粒子化して噴霧するものである。ブラウン運動を起こすことができる程度とは、具体的には、0.1~1.0μm程度の平均粒径を有する微粒子を指す。詳細は後述するが、本発明において、噴霧手段2は、超音波振動子を用いて霧化した粒子をセパレータを用いて選別することによって、ブラウン運動を起こすことができる程度の粒径を持つ微粒子のみを取り出して噴霧する。
【0021】
<第一実施形態>
次に、
図2~
図7を用いて、第一実施形態に係る噴霧手段2について説明する。なお、以下では、
図1(b)に示すような、水処理手段1が噴霧手段2に内蔵されたものについて説明する。
図2Aは噴霧手段2の全体構成を表す斜視図を示し、
図2Bはカバー部材80を外した状態の正面図を示し、
図2Cはカバー部材80を外した状態の右側面図を示し、
図2Dはカバー部材80を外した状態の背面図を示し、
図2Eは噴霧手段2の正面図を示し、
図2Fは
図2EのA-A断面図を示す。また、
図3Aは微粒子化ユニット10の部分拡大斜視図を示し、
図3Bは微粒子化ユニット10の使用時の様子を示す模式図である。また、
図4Aは吹き出しユニット30の斜視図を、
図4Bは吹き出しユニット30の平面図を、
図4Cは吹き出しユニット30の正面図を、
図4Dは吹き出しユニット30の底面図を示す。また、
図5Aは、据付ユニット60の正面図を、
図5Bは
図5AのA-A断面図を、
図5Cは下部ベース61の底面図を示す。また、
図6Aはトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図を、
図6Bは
図6AのA-A断面図を、
図6Cはトップ部材63の底面図を、
図6Dはトップ部材カバー63gの平面図を、
図6Eは液剤補給時におけるトップ部材63と吹き出しユニット30の斜視図を示す。また、
図7Aはタンクユニット20の正面図を、
図7Bは
図7AのB-B断面図を、
図7Cは上タンク21の斜視図を、
図7Dは上タンク21を異なる角度から見た斜視図を、
図7Eは水処理ユニット90の斜視図を、
図7Fは水処理ユニット90の平面図を示す。なお、
図2Bにおいては、液位センサ15、制御ユニット50及び電源ユニット70は省略して図示し、
図2Cにおいては、電源ユニット70は省略して図示する。
【0022】
図2A~
図2Dに示すように、第一実施形態の噴霧手段2は、精製水を霧化して微粒子を生成し搬送する微粒子化ユニット10と、貯留される常水を水処理して精製水を生成する水処理手段1を内部に備えるとともに生成した精製水を微粒子化ユニット10に供給するタンクユニット20と、微粒子化ユニット10で生成された微粒子を吹き出す吹き出しユニット30と、微粒子化ユニット10で生成された微粒子の送出及び微粒子化ユニット10への精製水の供給を行う供給ユニット40と、各ユニットを構成する機器の制御を行う制御ユニット50と、それぞれのユニット同士を固定する据付ユニット60と、各機器に電力を供給する電源ユニット70と、それぞれのユニットを覆うカバー部材80と、水処理手段1として機能する水処理ユニット90によって構成される。
【0023】
[微粒子化ユニット10の構成]
図2及び
図3を使用して、第一実施形態に係る微粒子化ユニット10について説明する。
図3Aは微粒子化ユニット10の部分拡大斜視図を示し、
図3Bは微粒子化ユニット10の使用時の様子を示す模式図である。なお、
図3Aにおいては、送風機13及びHEPAフィルタ13fの図示を省略している。
【0024】
図3Aに示すように、微粒子化ユニット10は、所定の幅を有し精製水を貯留可能な霧化タンク11と、霧化タンク11内において精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子12a、12b、12c・・・が幅方向及び奥行き方向に複数配設された霧化デバイス12と、所定の回転数を保持可能な図示しない送風部材を備え、精製水の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンク11に設けられた送風口11bから霧化タンク11内に吐出する送風機13と、超音波振動子12a、12b、12c・・・によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される二枚のセパレータ14a、14bと、霧化タンク11内の液位を検知する液位センサ15とを備える。
【0025】
霧化タンク11は、タンクユニット20から供給される精製水を貯留して霧化するためのものであり、所定の幅を有する略直方体の形状を呈する。霧化タンク11の天面11dには供給口11aが形成されており、後述する供給ユニット40の精製水供給ポンプ41を介してタンクユニット20から供給された精製水が供給口11aを介して霧化タンク11内に流入する。また、霧化タンク11の天面11dには送風口11bが形成されており、送風機13からの搬送エアが送風口11bを通じて霧化タンク11内に流入する。さらに、霧化タンク11の天面11dには送出口11cが形成されており、霧化タンク11内で霧化された微粒子が搬送エアとともに送出口11cから送出される。霧化タンク11は後述する据付ユニット60の下部ベース61に、例えばねじ止めなどの周知の手段によって固定される。このとき、霧化タンク11は、据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設される。なお、霧化タンク11はポリエチレンテレフタラート(PET)によって形成される。また、第一実施形態においては、霧化タンク11の天面11dは、霧化タンク11の本体部分に装着される天面部材によって形成される。
【0026】
霧化デバイス12は霧化タンク11内の底部に配設された複数の超音波振動子12a、12b、12c・・・を備えるデバイスであり、電源ユニット70から供給される電力によって作動して超音波を発する。第一実施形態に係る霧化デバイス12は、霧化タンク11の奥行き方向にわたって2列、幅方向にわたって3列の超音波振動子12a、12b、12c、12d、12e、12fが平面状に配設されており、霧化タンク11内の広範囲にわたって精製水を霧化して微粒子を発生させる。霧化デバイス12を作動させると、液面からは配列された超音波振動子12a、12b、12c・・・ごとに、それぞれの超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方に向けて液柱が発生する。
【0027】
送風機13は、制御ユニット50からの信号に応じて回転数を制御可能な図示しない送風部材を備えており、霧化された精製水を搬送するための搬送エアを送風口11bを通じて霧化タンク11内に供給するものであり、搬送エアを吐出する図示しない吐出口が霧化タンク11の送風口11bに接続され、下方に向けて送風可能に配設される。第一実施形態において、送風機13は電源ユニット70から供給される電力によって駆動され、制御ユニット50からの信号に応じて印加電圧を変化させることで回転数を制御する。
【0028】
また、
図3Bに示すように、送風機13は、略鉛直下向きの吐出口と、吐出口に直交する吸込口を有し、回転軸の軸方向から吸い込んだ空気を径方向へ吹き出す遠心ファンとして形成される。つまり、略水平に配設された図示しない送風部材の回転軸の軸方向から水平方向に空気を吸い込み、送風部材によって圧力が印可されて略鉛直下向きの吐出口から径方向に空気が押し出されて霧化タンク11内に供給される。
【0029】
第一実施形態における送風機13は、略水平方向に延設される回転軸に直交する吸込口を有し水平方向から搬送エアを吸い込むとともに、吸込口から略直角方向に変位した下方に搬送エアを吐出する形式であるため、送風機への吸込み圧力を強く維持することができる。そのため、風量を維持しつつ大きな圧力損失を引き起こすことができ、低圧力かつ大流量の搬送エアを発生させ、ブラウン運動ができる程度の微細な微粒子を大量に生成することができる。
【0030】
また、このとき、送風部材の回転軸に直交する吸い込み面を持ち略水平方向に空気を吸い込む吸込口にHEPAフィルタ13fが装着されているため、HEPAフィルタ13fの設置面積を広く取ることができ、効果的に空気中の細菌や雑菌を捕捉することが可能となる。しかも、第一実施形態における送風機13は送風部材の回転軸の軸方向から吸い込み径方向から吐出する遠心ファンの形式を有し吸引力が強いため、吸引したエアに含まれる細菌類を確実にHEPAフィルタで捕捉することができる。
【0031】
また、同じ細菌の除去効率を発揮するにしても、HEPAフィルタ13fの設置面積を広く取ることによって少ない圧力損失で効果を発揮することができるため、過大な送風機を設置する必要はない。特に、本発明の噴霧手段においては、後述するように、霧化タンク11に吹き込む搬送エアをセパレータ14a、14bに衝突させることで霧化タンク11内で圧力損失を引き起こし、ブラウン運動をすることができる小さな微粒子のみを搬送するものであるから、霧化タンク11内に供給されるよりも前に大きな圧力損失が発生することは避けなければならない。
【0032】
なお、吸込口に装着するHEPAフィルタ13fは着脱可能に形成し、定期的に洗浄できるようにすることが好ましい。
【0033】
次に、二枚のセパレータ14a、14bについて説明する。セパレータ14a、14bはステンレス鋼によって形成された平板状の部材であり、その基本的機能は、霧化デバイス12の超音波振動によって発生した液滴を大きな液滴と小さな微粒子とに分けることである。つまり、それぞれの超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方に液柱が発生すると、液柱に含まれる粒径の大きな液滴はセパレータ14a、14bに衝突して下方に流れ霧化タンク11に貯留される液層に還流する。一方、液柱に含まれる粒径の小さな霧滴は、セパレータ14a、14b近傍に浮遊した状態となり、送風機13によって供給される搬送エアに伴い送出口11cへ搬送される。このように、セパレータ14a、14bの働きによって、超音波振動によって発生した粒径の大きな液滴と粒径の小さな霧滴とを分離することができる。
【0034】
このような基本的機能に加え、第一実施形態に係るセパレータ14a、14bは、さらに、後述する機能を発揮できるよう、下記のように配設される。
【0035】
第一実施形態に係るセパレータ14a(本発明における第一セパレータ)は、送風口11bの下方であって、超音波振動子のうち霧化タンク11の幅方向一端側に配設された超音波振動子12a、12dの上方に配設される。
【0036】
また、セパレータ14aは、一端が霧化タンク11の天面11dに接続される接続部14ac(本発明における第一接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てて配設されるエッジ部14ae(本発明における第一エッジ部)を有するよう、霧化タンク11の幅方向一端側に向けて斜め下方に傾斜して配設される。
【0037】
セパレータ14b(本発明における第二セパレータ)は、供給口11a及び送出口11cの下方であって、超音波振動子のうち霧化タンク11の幅方向他端側に配設された超音波振動子12c、12fの上方に配設される。
【0038】
また、セパレータ14bは、一端が霧化タンク11の天面に接続される接続部14bc(本発明における第二接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向他端側、つまり、セパレータ14aが配設される側とは逆側の側面と所定の間隔を隔てて配設されるエッジ部14be(本発明における第二エッジ部)を有するよう、セパレータ14aとは逆方向、つまり、霧化タンク11の幅方向他端側に向けて斜め下方に傾斜して配設される。
【0039】
つまり、セパレータ14aの端部は霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てるよう配設され、セパレータ14bの端部は霧化タンク11の幅方向他端側の側面と所定の間隔を隔てるよう配設される。
【0040】
そして、送風口11bはセパレータ14aの接続部14acよりも幅方向一端側寄りで、かつ、エッジ部14aeよりも霧化タンク11の幅方向他端側寄りに設けられるとともに、送出口11cはセパレータ14bの接続部14bcよりも幅方向他端側寄りに設けられる。
【0041】
液位センサ15は霧化タンク11内に貯留されている精製水の液位を検知するためのものであり、第一実施形態においては霧化タンク11の外部に配設されたフロート式のものが使用される。この場合、霧化タンク11には、適宜の高さに図示しない流通孔が設けられており、流通孔を通じて液位センサ15に精製水が流入する。流通孔を通じて接続された霧化タンク11と液位センサ15は同じ圧力下におかれるため、液位センサ15内の液位と霧化タンク11内の液位は同じ値となる。このようにして、外付けの液位センサ15によって霧化タンク11の液位が検知されるが、液位を計測できるものであればこれに限ったものではない。第一実施形態における液位センサ15は、所定の第一液位h1、及び、第一液位h1よりも高い第二液位h2を検知するために使用される。
【0042】
停止センサ16は、液位センサ15と同様に、霧化タンク11内に貯留されている精製水の液位を検知するためのものであるが、後述するように、噴霧手段2の運転を強制的に停止することを判別するための液位を検知するものである。
【0043】
上述の通り、霧化タンク11は、据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設されるが、同様に、微粒子化ユニット10を構成する各機器も、六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設される。言い換えると、平面で見たときに、複数の柱状部材62が最も外側に位置し、複数の柱状部材62に囲まれる領域の内側に各機器が位置するように配設される。
【0044】
[吹き出しユニット30の構成]
図4を用いて、吹き出しユニット30について説明する。
図4Aは吹き出しユニット30の斜視図を、
図4Bは吹き出しユニット30の平面図を、
図4Cは吹き出しユニット30の正面図を、
図4Dは吹き出しユニット30の底面図を示す。
【0045】
吹き出しユニット30は、微粒子化ユニット10で生成された微粒子を搬送エアとともに吹き出すためのものであり、据付ユニット60の最上部に配設されるトップ部材63から上方に突出するように設置される。吹き出しユニット30は、所定の幅、奥行き及び高さを有する無底の略筒状の吹き出し部材31によって形成され、上端には斜め上方に傾斜し、幅方向にスリット状に形成された噴霧口32を有する。吹き出し部材31の下端には、後述するトップ部材63の係止凹部63bに挿入可能な複数の図示しない係止爪部が形成される。
【0046】
吹き出し部材31の内部には、天面の内側から区画壁33が突設され、区画壁33に囲まれる領域に供給ユニット40の供給パイプ43を接続することで、微粒子化ユニット10からの微粒子と搬送エアが吹き出しユニット30内に流入するようになっている。この点について、
図6Aに示すトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図を参照して説明すると、トップ部材63の天面には、供給ユニット40の供給パイプ43に接続される接続口63aが開口する。同時に、トップ部材63の天面には、吹き出しユニット30の下端部に形成される図示しない係止爪部が係止される係止凹部63bが形成される。そして、吹き出しユニット30の係止爪部がトップ部材63の係止凹部63bに係止されると、区画壁33の下端がトップ部材63における接続口63aの周囲にシールして密着され、区画壁33の内側領域と供給ユニット40の供給パイプ43が接続口63aを介して接続される。
【0047】
そして、区画壁33の内側領域の上端には、斜め上方に傾斜したスリット状の噴霧口32が形成され、接続口63aから区画壁33の内側領域に流入した微粒子及び搬送エアが、噴霧口32から噴霧される。
【0048】
[供給ユニット40の構成]
図2に戻り、供給ユニット40の構成について説明する。
【0049】
図2B~
図2Dに示すように、供給ユニット40は、タンクユニット20に貯留された精製水を微粒子化ユニット10に供給するための精製水供給ポンプ41と、精製水供給ポンプ41に接続されタンクユニット20と微粒子化ユニット10の間で精製水を流通させる精製水供給管42と、微粒子化ユニット10で生成された微粒子と搬送エアを吹き出しユニットに供給する供給パイプ43によって構成される。第一実施形態においては、供給ユニット40が、本発明における供給手段として機能する。
【0050】
精製水供給管42は、タンクユニット20の底面に形成された図示しない接続口と精製水供給ポンプ41の入口とを接続するとともに、精製水供給ポンプ41の出口と霧化タンク11の天面に形成された供給口11aとを接続する。
【0051】
つまり、精製水供給ポンプ41と精製水供給管42を用いることで、タンクユニット20に貯留される精製水を、必要に応じて供給口11aから霧化タンク11内に供給することができる。
【0052】
なお、第一実施形態においては、精製水供給ポンプ41としてチューブポンプが使用されるが、これに限ったものではない。
【0053】
供給パイプ43は、霧化タンク11の天面に形成された送出口11cとトップ部材63の接続口63aとを接続する。
【0054】
つまり、霧化タンク11で生成された微粒子は、搬送エアとともに送出口11cから送出され、供給パイプ43を流通してトップ部材63の接続口63aから吹き出しユニット30に形成される区画壁32の内側領域に流入した後、噴霧口31から噴霧される。
【0055】
第一実施形態においては、供給パイプ43は蛇腹状のフレキシブルチューブによって構成されるが、これに限ったものではない。また、供給パイプ43はタンクユニット20の略中央部に形成された上下方向の凹部を通り、送出口11cと接続口63aとを接続する。
【0056】
なお、第一実施形態においては、精製水供給管42において、精製水供給管42の閉塞状態と開放状態を切り替える図示しない電磁弁が設けられており、電磁弁は後述する制御ユニット50によって制御される。
【0057】
第一実施形態においては、霧化タンク11内における液位を検知する液位センサ15と、霧化タンク11とタンクユニット20との間を接続する精製水供給管42の閉塞状態と開放状態を切り替える電磁弁と、タンクユニット20内の精製水を精製水供給管42を介して微粒子化ユニット10に供給する精製水供給ポンプ41と、液位に応じて電磁弁の開閉を制御する制御ユニット50が、本発明における供給調整手段として機能する。
【0058】
つまり、霧化タンク11内の液位が所定の液位まで下がったことを液位センサ15が検知すると、制御ユニット50が電磁弁を開放状態とし精製水供給ポンプ41を駆動して、タンクユニット20から霧化タンク11内へ精製水を供給する。霧化タンク11内の液位が所定の液位となるまで精製水が供給されると、制御ユニット50が精製水供給ポンプ41の駆動を停止し電磁弁を閉塞状態として、タンクユニット20から霧化タンク11内への精製水の供給を停止する。このようなメカニズムにより、超音波振動子による精製水の霧化に伴い減少した精製水の分だけタンクユニット20から精製水が補充されるため、少しずつタンクユニット20から精製水が供給されることとなり、十分な時間をかけてタンクユニット20内の水処理手段1を通過させ、精製水の精製度を高めることができる。
【0059】
なお、第一実施形態において、精製水供給ポンプ41は必須ではなく、タンクユニット20内の精製水は精製水供給管42を介して重力によって微粒子化ユニット10に供給されるものであっても構わない。その場合、供給調整手段は液位センサ15と電磁弁と制御ユニット50とによって構成され、制御ユニット50は精製水供給管42に配設された電磁弁の開閉を制御することで微粒子化ユニットへの精製水の供給を調整する。
【0060】
[制御ユニット50の構成]
制御ユニット50は、送風機13の駆動や精製水供給ポンプ41の駆動を制御するものであり、周知の回路やスイッチ等によって構成される。
【0061】
[据付ユニット60の構成]
図5を用いて据付ユニット60について説明する。
図5Aは、据付ユニット60の正面図を、
図5Bは
図5AのA-A断面図を、
図5Cはベース部材61の底面図を示す。
【0062】
据付ユニット60は、上記各ユニットや部材を固定するためのものであり、下部ベース61と、複数の柱状部材62と、トップ部材63と、複数の脚部64とによって構成される。
【0063】
下部ベース61は、据付ユニット60の下端に位置する平面矩形状の板状の部材であり、霧化タンク11を固定するとともに、複数の柱状部材62下端部を固定する。第一実施形態においては、下部ベース61の四辺に上方に突出する立ち上がり部61aを備え、各立ち上がり部61aにおいて、複数の柱状部材62の下端部が図示しないねじ止めによって固定されている。また、下部ベース61の四つの隅部には、噴霧手段2を床面に設置するための脚部64を接続する接続口61bが設けられる。接続口61bには雌ねじが形成されており、脚部64に形成される雄ねじ部が回動可能に接続される。
【0064】
柱状部材62は、略鉛直方向に配設される複数の柱状の部材であり、複数の柱状部材で画定される領域の内側の領域を各ユニットが配設される領域として画定するとともに、各ユニットを固定する部材である。
図5Bに示すように、第一実施形態においては、六本の柱状部材62を用いて各ユニットが配設される内側領域を画定する。各柱状部材62の下端部は下部ベース61の立ち上がり部61aに固定されるとともに、上端部はトップ部材63に、図示しないねじ止めによって固定される。つまり、六本の柱状部材62は、下部ベース61とトップ部材63とを接続する。なお、
図5A及び
図5Bにおいては、理解を補助するために、立ち上がり部61a及び柱状部材62の厚みを大きく描いている。
【0065】
そして、柱状部材62の中間部分においては、タンクユニット20や制御ユニット50等を固定するための図示しない固定部が配置される。
【0066】
特に、柱状部材62の上方においては、タンクユニット20を固定するための固定部の一つとして機能するボルトを挿通可能な図示しない挿通孔が同一高さに複数配置されており、タンクユニット20の所定高さに配設された雌ねじ部に当該ボルトをねじ止めすることで、タンクユニット20を柱状部材62に固定することができるようになっている。
【0067】
このようにして、鉛直方向に配設される複数の柱状部材62によって囲まれる領域に各機器を配設することで、各機器は縦方向に積み重なるように配設される。そして、平面で見たときに柱状部材62が最も外側に配置される部材であるため、後述するカバー部材80を柱状部材62に巻き付けるように配設することが可能となる。このとき、カバー部材80は凹凸のない形状を呈するため、カバー部材80を装着した噴霧手段2は、様々な環境に適合するすっきりとした印象を与える外観を得ることができる。
【0068】
次に、トップ部材63について、
図6を用いて説明する。
図6Aはトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図を、
図6Bは
図6AのA-A断面図を、
図6Cはトップ部材63の底面図を、
図6Dはトップ部材カバー63gの平面図を、
図6Eは常水補給時におけるトップ部材63と吹き出しユニット30の斜視図を示す。
【0069】
トップ部材63は据付ユニット60の最上部に位置する部材であり、各柱状部材62の上端部に固定されるとともに、噴霧手段2全体の最上部において吹き出しユニット30を固定する部材である。トップ部材63は、
図6B及び
図6Eに示すように、側壁を有する、角部に丸みを帯びた無底の平面略矩形状の筒状部材からなる。
【0070】
図6A及び
図6Cに示すように、トップ部材63の天面には、供給ユニット40の供給パイプ43に接続される接続口63aが開口する。同時に、トップ部材63の天面には、吹き出し部材31の下端部に形成される図示しない係止爪部が係止される係止凹部63bが形成される。
【0071】
さらに、トップ部材63の天面には、下方に向けて局所的に高さが低くなる天面凹部63cと、天面凹部63cを覆う開閉可能な扉部63dとを備えるとともに、天面凹部63cには、タンクユニット20の上面に形成された図示しない流入口に接続される補給口63eを備える。補給口63eの内面には雌ねじが形成されており、雄ねじ部を有する図示しないキャップ部材が螺着されるよう構成される。
【0072】
トップ部材63と複数の柱状部材62との接続は、天面に設けられた複数のネジ穴63fから図示しないボルトを挿通し、当該ボルトを各柱状部材62の上端に設けられた図示しない雌ねじ部にねじ止めすることによって行われる。あるいは、柱状部材62に雌ねじ部を設ける代わりに、ボルトとナットを用いて接続してもよい。トップ部材63と柱状部材62を接続した後、トップ部材63の天面は、
図6Eに示すように、
図6Dに示すトップ部材カバー63gによって覆われる。
【0073】
[電源ユニット70の構成]
電源ユニット70は、家庭用や商用の電源に接続し、各機器に電力を供給するユニットである。具体的には、電源タップに接続するケーブルや、噴霧手段2自体の電源スイッチ71等が電源ユニット70に含まれる。
【0074】
[カバー部材80の構成]
カバー部材80は、複数の柱状部材62の周囲に配設され、各機器を覆う部材である。
【0075】
具体的には、
図2Aに示すように、トップ部材63の下方から下部ベース61までの高さを覆うように複数の柱状部材62の周囲に巻き付けられて配設される。カバー部材80は弾性を有するステンレス鋼の板状部材を、曲げ加工によって屈曲することによって形成される。
【0076】
ここで、噴霧手段2を構成するにあたり、鉛直方向に配設される複数の柱状部材62によって囲まれる領域に微粒子化ユニット10やタンクユニット20等の各機器を配設しているため、平面で見たときに柱状部材62が最も外側に配置される。そのため、カバー部材80を柱状部材62に巻き付けるように配設することが可能となる。このとき、カバー部材80は凹凸のない形状を呈するため、カバー部材80を装着した噴霧手段2は、様々な環境に適合するすっきりとした印象を与える外観を得ることができる。
【0077】
[タンクユニット20及び水処理ユニット90の構成]
次に、
図7を用いてタンクユニット20、及び、水処理手段として機能する水処理ユニット90について説明する。
【0078】
図7A~
図7Dに示すように、タンクユニット20は、霧化タンク11に供給される常水を一時的に貯留するとともに精製水を生成するものであり、微粒子化ユニット10の上方に配置される、上タンク21と下タンク22によって構成される。タンクユニット20は略直方体の形状を呈しており、上タンク21の上面には、トップ部材63の補給口63eに連通する流入口21aが開口する。また、下タンク22の底面には、供給ユニット40の精製水供給管42に接続される接続口22aが開口する。上タンク21の下面と下タンク22の上面とは、連通する開口を有しており、当該開口に後述する水処理手段1が挿通して配設される。上タンク21の当該開口に水処理手段1が嵌め込まれた状態で、上タンク21と下タンク22とがねじ止め等の手段によって連結されることで、タンクユニット20が形成される。タンクユニット20は据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設されるよう、例えばねじ止め等の周知の手段によって柱状部材62に固定される。このとき、タンクユニット20の外面にフランジ部を設け、フランジ部において柱状部材62との接続を行うようにしてよい。タンクユニット20の略中央部には、上下方向に凹部20aが形成されており、霧化タンク11から吹き出しユニット30に微粒子と搬送エアを供給する供給パイプ43が当該凹部20aを通ることができるよう構成される。タンクユニット20の容量は、霧化タンク11の容量よりも大きく、タンクユニット20への一回の精製水の補給によって、霧化タンク11への精製水の供給を複数回にわたって行うことができるため、長時間にわたって運転を継続することが可能である。なお、タンクユニット20は、霧化タンク11と同様に、ポリエチレンテレフタラート(PET)によって形成される。
【0079】
次にタンクユニット20に内蔵される水処理手段1として機能する水処理ユニット90について、
図7E及び
図7Fを用いて説明する。
【0080】
図7E及び
図7Fに示すように、第一実施形態に係る水処理手段1は、上面に常水入口91を有し下面に精製水出口92を有する所定高さの平面視略楕円形状の筒状部材93に図示しないイオン交換樹脂などの水処理剤が充填された水処理ユニット90によって形成される。水処理ユニット90は、タンクユニット20を構成する上タンク21の底面に設けられた開口にその上面が嵌め込まれて、筒状部材93が下タンク22内に突出することで、タンクユニット20内に組み込まれる。水処理ユニット90の底面は、下タンク22の底面から若干の距離だけ隔てるよう設定される。なお、常水入口91及び精製水出口92には、内部に充填される水処理剤が水処理ユニット90から流出することがないよう、メッシュ状のカバーが設けられていてもよい。また、水処理ユニット90の上面には、取り付けや取り外しの際に把持する取っ手94が設けられている。
【0081】
このように構成された水処理ユニット90によると、上面に形成された常水入口91に常水が供給されると、筒状部材93内に充填された水処理剤によって徐々に常水が精製され、下面に形成された精製水出口92から精製水として流出する。
【0082】
上タンク21の底面に設けられた開口に水処理ユニット90を嵌め込むと、タンクユニット20は上タンク21の底面及び下タンク22の上面を境に常水入口91側の上部空間20Aと、精製水出口92側の下部空間20Bとに区画される。
【0083】
このとき、上タンク21の底面及び下タンク22の上面の一部には、上部空間20Aと下部空間20Bとを連通する図示しない貫通孔が形成され、
図7C及び
図7Dに示すように、貫通孔には上部空間20Aと下部空間20Bとを連通する連通パイプ23が挿通される。連通パイプ23は、上部空間20Aと下部空間20Bを連通する。
【0084】
[除菌システムを使用した除菌方法]
次に、
図8に示すフローチャートを用いて、第一実施形態に係る除菌システムを使用した除菌方法について説明する。
図8は、第一実施形態に係る除菌システムを使用した除菌方法のフローチャートである。
【0085】
〔ステップS100:常水の補給〕
まず、噴霧手段2において微粒子化及び噴霧を行うに先立ち、噴霧手段2のタンクユニット20に常水を補給する(ステップS100)。
【0086】
タンクユニット20に常水を補給する際には、ユーザはトップ部材63の天面に設けられた開閉可能な扉部63dを開け、補給口63eに装着された図示しないキャップを取り外し、天面凹部63cに形成される補給口63eに常水を流し込む。常水を補給し終えたらキャップを締め、扉部63dを閉める。
【0087】
このように、補給口63eが開閉可能な扉部63dに覆われているため、使用しないときには補給口63eを扉部63で覆うことができ、すっきりとした外観を保持することができる。特に、補給口63eは天面凹部63cに形成されているため、扉部63dを閉めるとトップ部材63の天面は吹き出しユニット30を除けば同一平面を有するため、とりわけ優れた外観性を発揮できる。
【0088】
〔ステップS110:常水の処理〕
タンクユニット20に常水が補給されると、タンクユニット20内に設けられている水処理ユニット90(水処理手段1)によって常水中の不純物が除去され、精製水が生成される(ステップS110)。このとき、上タンク21に供給された常水が水処理ユニット90上面の常水入口91から筒状部材93内に流入し、筒状部材93内に充填された水処理剤によって常水の精製が行われ、精製が完了して精製水となって水処理ユニット90下面の精製水出口92から流出する。
【0089】
このとき、タンクユニット20は上タンク21の底面及び下タンク22の上面を境に常水入口91側の上部空間20Aと、精製水出口92側の下部空間20Bとに区画されており、下部空間20Bから精製水が流出しようとしても、上部空間20Aの圧力が陰圧となり滞留してしまうことがある。実施形態1に係る除菌システムにおいては、上部空間20Aと下部空間20Bを連通する連通パイプ23が設けられているため、水処理ユニット90に水処理剤が充填されていても、上部空間20Aと下部空間20Bとの圧力差がなくなり、滞留することなくタンクユニット20から精製水を流出させることができる。
【0090】
水処理手段1において常水の処理を行うことで、常水中に存在するカルシウム分などの無機物、リグニンやタンニンなどの有機物、コロイドなどの微粒子、及び、藻類やバクテリアなどの微生物が除去され、不純物の含有量が極めて少ない精製水が生成される。
【0091】
本発明に係る水処理手段1による不純物の除去は、逆浸透膜による処理、イオン交換樹脂を用いて常水中の陽イオン及び陰イオンを除去するイオン交換処理、活性炭に不純物を吸着させる吸着処理、紫外線を照射して不純物を除去する紫外線処理、限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行う限外ろ過膜処理、のいずれか一つ又はそれらの組み合わせによって行われる。用いる常水や含有される不純物の種類に応じて水処理の内容を組み替えることで、必要な精製度を得ることができる。
【0092】
なお、水処理手段1による水処理は、一次水処理のみであってもよいし、一次水処理に加え二次水処理を行い、より高純度の精製水を得てもよい。精製水中の不純物が少なく純度が高いほど、微粒子化して噴霧した際にウイルスを捕集する効果が高くなる。
【0093】
〔ステップS120:精製水の供給〕
ステップS110においてタンクユニット20において精製水が生成されると、ユーザは電源ユニット70を構成する図示しない電源コードを一般家庭用又は商業用の電源に接続した上で、同様に電源ユニット70を構成する電源スイッチ71を入れる。電源スイッチ71を入れると、制御ユニット50は精製水供給ポンプ41を作動し、タンクユニット20に投入された精製水の、霧化タンク11への供給を開始する(ステップS120)。
【0094】
タンクユニット20に貯留された精製水の霧化タンク11への供給は下記のように行われる。つまり、制御ユニット50からの信号によって精製水供給ポンプ41が駆動するとともに精製水供給管42に設けられている電磁弁が開弁し、それに伴いタンクユニット20底面に形成された図示しない接続口から精製水が流出し、精製水供給管42と精製水供給ポンプ41を通って、霧化タンク11の上面に形成された供給口11aから霧化タンク11内に流入する。霧化タンク11への精製水の供給は、霧化タンク11内が所定の液位になるまで継続され、所定の液位になると制御ユニット50によって停止される。
【0095】
〔ステップS130:精製水の霧化〕
ステップS120において精製水の供給が停止されると、制御ユニット50は微粒子化ユニット10における精製水の霧化を開始する(ステップS130)。
【0096】
微粒子化ユニット10において精製水の霧化を行うに際し、制御ユニット50は送風機13による搬送エアの送風を開始するとともに、霧化デバイス12による精製水の霧化を開始する。
【0097】
霧化デバイス12の作動に伴い、
図3Bに示すように、各超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方には液柱が立ち上がる。液柱には大小様々な粒径を有する粒子が含まれるが、液柱が接触するように超音波振動子の上方において斜め下方に傾斜して配設されたセパレータ14a、14bに対し、液柱に含まれる粒径の大きな液滴が接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に浮遊する。
【0098】
また、送風機13の作動に伴い、搬送エアが送風口11bから下方に向けて供給され、空中に浮遊する粒径の小さな霧滴を搬送して、送出口11cから送出させる。
【0099】
このとき、霧化タンク11の幅方向一端側に設けられたセパレータ14aは、送風口11bの下方で、かつ、幅方向一端側の超音波振動子12a、12dの上方に配設されているため、送風機13から供給される搬送エアが直接液面や液柱に到達することが防止されるとともに、液面から立ち上がる液柱や液滴が送風口11bから流入し直接送風機13に到達することが防止される。そのため、精製水の霧化や搬送エアの供給がお互いを妨げることなく機能し、それにより、粒子の粒径の選別の性能が担保される。
【0100】
また、送風機13から供給された搬送エアはセパレータ14aの一側の面に衝突し、セパレータ14aの一側の面に沿って流動するため、その際に圧力損失が発生し、粒子を搬送するための圧力が低下する。搬送エアの圧力が低下するため、セパレータ14a、14bに衝突することで液滴と小さな粒子とに分離された精製水から、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。
【0101】
また、セパレータ14aの一側の面に沿って流動した搬送エアが、エッジ部14aeと霧化タンク11の一端側の面の間から流出する際に、セパレータ14aの他側の面、つまり液柱が接触する領域には負圧の領域が形成されるが、その負圧領域においては搬送エアの圧力が一層低下するため、粒径の非常に小さな微粒子以外は搬送することができず、下方の液面に落下することになる。そのため、ブラウン運動を起こすことができる程度に粒径の小さな微粒子のみが搬送エアによって下流側に搬送される。
【0102】
このようなメカニズムによって、単にセパレータで液柱を受けるよりも微細な粒子を搬送エアによって搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能な噴霧手段を提供することができる。
【0103】
また、セパレータ14aは、一端が霧化タンク11の天面11dに接続される接続部14ac(第一接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てるエッジ部14ae(第一エッジ部)を有するよう、斜め下方に傾斜して配設される。そして、送風機13から供給される搬送エアを霧化タンク11内の外周側を通過させるべく、内方から外方に向けて突出して配設されている。
【0104】
セパレータ14aのこのような構造により、送風口11bから下向きに供給された搬送エアは、セパレータ14aの配設方向にしたがって流れの向きを斜め下方に変化させ、霧化タンク11の一端側の側面とセパレータ14aのエッジ部14aeとの間に形成される間隙を通過して霧化タンク11の液層付近の底部に至る。底部に至った搬送エアは他端側の側面に向かって方向を転換し、液面近傍を霧化タンク11の他端側の側面に向かって流通する。そして、霧化タンク11の他端側の側面近傍で向きを上方に転換し、天面11dに形成された送出口11cに向けて流れる。また、一部の搬送エアは、霧化タンク11の一端側の側面とセパレータ14aの他端部との間に形成される間隙を通過した後、セパレータ14aにおける液柱を受ける側の面に回り込んでから、霧化タンク11内に旋回流を形成し、送出口11cから流出する。
【0105】
このようにして、送風口11bから下向きに供給された搬送エアは、セパレータ14aの配設方向にしたがって霧化タンク11の内部でゆるやかな旋回流を形成し、一部は液柱を受ける側の面に回り込んでから、一部は霧化タンク11内の外周側を通過したうえで、送出口11cから送出される。
【0106】
そして、送風口11bから供給された搬送エアが霧化タンク11内の外周側を通過してゆるやかな旋回流を形成するため、旋回流の発生に伴う遠心力の効果によって、微細な粒子とさらに微細な微粒子とに分離され、微粒子のみが搬送エアに搬送される。
【0107】
さらに、第一実施形態においては、送風口11bと送出口11cとが、霧化タンク11の天面11dであってセパレータ14aを挟んで互いに逆側における箇所に設けられる。
【0108】
そのため、セパレータ14aを挟んだ旋回流を形成することができ、旋回流による遠心分離の効果を高めることができる。
【0109】
このようにして、第一実施形態における微粒子化ユニット10は、送風機13とセパレータ14aが協働することによって、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に生成して送出することができる。
【0110】
また、第一実施形態においては、セパレータ14bは、一端が霧化タンク11の天面に接続される接続部14bc(第二接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向他端側、つまり、セパレータ14aが配設される側とは逆側の側面と所定の間隔を隔てるエッジ部14be(第二エッジ部)を備えるよう、セパレータ14aとは逆方向の斜め下方に向けて配設される。
【0111】
そして、セパレータ14bは送出口11cの下方で、かつ、幅方向他端側の超音波振動子12c、12fの上方に配設されている。そのため、超音波振動子12c、12fによって発生した液柱に含まれる粒径の大きな液滴がセパレータ14bの下面に接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に浮遊する。
【0112】
このとき、搬送エアの圧力はセパレータ14aとの接触によって低下しているため、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。このようにして、セパレータ14b近傍で発生した粒子に関しても、粒径の小さな微粒子のみを選別して搬送することができる。
【0113】
また、送風口11bは霧化タンク11の天面11dにおいてセパレータ14aの接続部14acよりも幅方向一端側寄りで、かつ、エッジ部14aeよりも霧化タンク11の幅方向他端側寄りに設けられるとともに、送出口11cはセパレータ14bの接続部14bcよりも幅方向他端側に設けられることにより、霧化タンク11内に形成される旋回流はセパレータ14a及びセパレータ14bを挟んで霧化タンク11内全体にわたって形成される大きなものとなる。そのため、搬送エアの遠心力による微粒子の選定がより強化され、ブラウン運動を起こすことができる程度に微細な微粒子のみを確実に選別して送出することができる。
【0114】
特に、第一実施形態においては、常水から不純物を除去した精製水を微粒子化ユニット10で霧化するため、微細な不純物による影響を受けることなく、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子、すなわち、平均粒径0.1~1.0μm程度の微粒子を得ることができる。
【0115】
なお、
図3Bにおいては、送風口11bは霧化タンク11の天面において、セパレータ14aの接続部14acよりも幅方向一端側寄りで、かつ、エッジ部14aeよりも霧化タンク11の幅方向他端側寄りに設けられるものについて示したが、図示は省略するものの、送風口11bを霧化タンク11の幅方向一端側の側面において、セパレータ14aのエッジ部14aeよりも上方に配設してもよい。この場合においても、搬送エアがセパレータ14aに接触することに伴う圧力損失の効果と、エッジ部14aeを通って霧化タンク11内に大きな旋回流を形成する効果が得られるため、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを搬送することができる。
【0116】
〔ステップS140:精製水の噴霧〕
ステップS130において微粒子化ユニット10でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子となった精製水は、吹き出しユニット30から噴霧される(ステップS140)。
【0117】
このとき、精製水はブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子となっているため、噴霧された空間の隅々にまで行き届き、空間内に浮遊しているウイルスを不活化させ細菌ないし真菌を減少させることができる。特に、常水から不純物を除去した精製水を微粒子化しているため、不純物の影響を受けることなく空間内に均一に浮遊することができる。そのため、空間内の様々な場所に散在しているウイルスや細菌を精製水の微粒子が捕集して確実に不活化ないし減少させることができる。
【0118】
なお、精製度の高い精製水の微細な粒がウイルスを不活化するメカニズム、又は、細菌ないし真菌を減少させるメカニズムについては解明されていないものの、精製水の純度が高いほどウイルスや細菌の不活化効果が高くなることから、不純物が極めて少ない精製水の微粒子がウイルスや細菌に接触することで、水分子がウイルスや細菌を形成する細胞から電子を奪い、その結果、ウイルスや細菌を形成する細胞が不活化しているものと考えられる。水道水のような不純物が多く含まれる常水を超音波振動子で霧化したとしても、不純物を核として水の粒子の塊が安定的に形成されるため、水分子が電子を奪う力が強くないものと考えられる。
【0119】
そして、図示は省略するが、霧化タンク11内の液位が下がると、タンクユニット20から精製水の供給を行う。
【0120】
霧化タンク11内の液位が所定の液位まで下がったことを液位センサ15が検知すると、制御ユニット50が電磁弁を開放状態とし精製水供給ポンプ41を作動して、タンクユニット20から霧化タンク11内へ精製水を供給する。霧化タンク11内の液位が所定の液位となるまで精製水が供給されると、制御ユニット50が電磁弁を閉塞状態とし精製水供給ポンプ41を停止して、タンクユニット20から霧化タンク11内への精製水の供給を停止する。このようなメカニズムにより、超音波振動子による精製水の霧化に伴い減少した精製水の分だけタンクユニット20から精製水が補充されるため、少しずつタンクユニット20から精製水が供給されることとなり、十分な時間をかけてタンクユニット20内の水処理手段1を通過させ、精製水の精製度を高めることができる。
【0121】
また、超音波振動による微粒子化を行うに際し、噴霧される微粒子の粒径は霧化タンク11内の液位に大きく依存するが、供給調整手段が霧化タンク11で消費された分だけ精製水を供給するよう調整することにより、霧化タンク11内の液位を所定範囲内に収めることができるため、超音波振動で微粒子化した際の粒径のばらつきを抑え所望の粒径にすることができ、ウイルス除去効果のある微細なミストのみを噴霧することができる。
【0122】
<第二実施形態>
次に、
図9~
図25を用いて、第二実施形態に係る噴霧手段3について説明する。
【0123】
[噴霧手段3の全体構成]
まず、
図9~12を用いて、第二実施形態に係る噴霧手段3の全体構成を説明する。
図9は第二実施形態に係る噴霧手段3の全体構成を示す斜視図であり、
図10は噴霧手段3の正面断面図であり、
図11は噴霧手段3の側断面図であり、
図12は噴霧手段3の内部構造を分解して示す模式図である。
【0124】
図9~12に示すように、第二実施形態の噴霧手段3は、精製水を霧化して微粒子を生成し搬送する微粒子化ユニット100と、貯留される常水を水処理して精製水を生成する水処理手段1を内部に備えるタンクユニット200と、微粒子化ユニット100で生成された微粒子を吹き出す吹き出しユニット300と、各機器の制御を行う図示しない制御ユニットと、それぞれのユニットを覆うカバー部材400と、タンクユニット200から微粒子化ユニット100への精製水の供給を行う供給手段と、タンクユニット200内に配設され水処理手段1として機能する水処理ユニット600によって構成される。
【0125】
また、第二実施形態においては、液体として常水を使用することを想定し、噴霧手段3は加湿器として、又は、空気中に浮遊するウィルスや細菌を減少させる除菌装置として使用される。
【0126】
このように構成された噴霧手段3においては、タンクユニット200に供給された常水がタンクユニット200内に配設された水処理ユニット600で浄化され精製水となり、精製水は供給手段によって微粒子化ユニット100に供給され、微粒子化ユニット100において霧化され、吹き出しユニット300から噴霧される。
【0127】
[微粒子化ユニット100の構成]
図10~
図18を使用して、第二実施形態に係る微粒子化ユニット100について説明する。
図13は霧化タンク110の分解状態を示す模式図であり、
図14は霧化タンク110の分解状態を示す正面断面図であり、
図15は霧化タンク110の分解状態を示す側面縦断面図である。
図16は第一霧化タンク部材111の詳細について示す模式図であり、
図16(a)は上方から見た斜視図であり、
図16(b)は下方から見た斜視図であり、
図16(c)は平面図であり、
図16(d)は底面図であり、
図16(e)は側面断面図であり、
図16(f)は正面断面図である。
図17は第二霧化タンク部材112の詳細について示す模式図であり、
図17(a)は上方から見た斜視図であり、
図17(b)は下方から見た斜視図であり、
図17(c)は立面図であり、
図17(d)は平面図である。
図18は第三霧化タンク部材113の詳細について示す模式図であり、
図18(a)は平面図であり、
図18(b)は側面断面図であり、
図18(c)は正面断面図である。なお、
図13及び
図18では、理解を助けるため、下部突出壁113bの記載を一部省略している。
【0128】
図10に示すように、微粒子化ユニット100は、液体を貯留可能で周囲を壁面で覆われた平面視略矩形状の霧化タンク110と、霧化タンク110の底部に配設され液体を霧化して微粒子を生成する超音波振動子120と、所定の回転数を保持可能な図示しない送風部材を備え、液体の微粒子を搬送するための搬送エアを霧化タンク110内に吐出する送風機130と、霧化タンク110内における霧化デバイス120の上方において、壁面のうち少なくとも一の壁面に向かって傾斜する傾斜面を備えるセパレータ140(第一セパレータ141及び第二セパレータ142)と、庇部材150とを備える。なお、本発明においては、
図9における左右方向を霧化タンク110の幅方向と称し、左方を幅方向一端側、右方を幅方向他端側と呼ぶ。
【0129】
霧化タンク110は、タンクユニット200から供給される精製水を貯留して霧化するためのものであり、平面視略矩形状で略直方体の形状を呈する。
【0130】
図12~
図15に示すように、第二実施形態に係る噴霧手段3の霧化タンク110は、三つの部材を組み合わせることによって構成される。霧化タンク110を構成する部材のうち、霧化タンク110の幅方向端部側における天面、前面の上部及び側壁面の上部を形成する中間部材となるのが第一霧化タンク部材111であり、幅方向中心側における天面及び後壁面の上部を形成する蓋部材となるのが第二タンク部材112であり、霧化タンク110の底面、前面の下部、側壁面の下部及び後壁面の下部を形成する土台となるのが第三霧化タンク部材113である。また、霧化タンク110の内部において、第一霧化タンク部材111は、本発明におけるセパレータ140として機能する第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115が取り付けられる。
【0131】
後述するように、中間部材となる第一霧化タンク部材111は、土台となる第三霧化タンク部材113の上方から、霧化タンク110の壁部を形成する下部突出壁部113bと上部突出壁部111bが合わさるよう、第三霧化タンク部材113に嵌め込まれ、図示しない締結部材によって接続される。
【0132】
蓋部材となる第二霧化タンク部材112は、第一霧化タンク部材111の上方から第一霧化タンク部材111に嵌め込まれることで接続されるよう構成されており、第一霧化タンク部材111に対して着脱自在となる。つまり、
図16に示すように、第一霧化タンク部材111は幅方向端部側の天面を画定する平面視略円形状のフランジ部111aを有しており、フランジ部111aの略中央には第二霧化タンク部材112が上方から挿入される取付孔111dが形成される。
【0133】
図16に示すように、第一霧化タンク部材111は、霧化タンク110の幅方向端部側における天面、前壁面の上部及び側壁面の上部を形成する中間部材となる部材であり、平面視略円形状のフランジ部111aと、フランジ部111aから略鉛直下方に突設され、霧化タンク110の前壁上部、側壁上部及び後壁上部を構成する上部突出壁111bとを備える。上部突出壁111bは、後壁上部の一部が後方に膨出する上部膨出壁部111cを備える。また、フランジ部111aの略中央には第二霧化タンク部材112が上方から挿入される取付孔111dが形成される。また、フランジ部111aの幅方向一端側には、送風口111eが形成されており、送風口111eの上方に配設される送風機130から吐出された搬送エアが送風口111eを通じて霧化タンク110内に流入する。また、フランジ部111aの幅方向他端側には送出口111fが形成されており、霧化タンク110内で霧化された微粒子が搬送エアとともに送出口111fから送出される。
【0134】
上部膨出壁部111c及び上部突出壁111bの下縁は、後述する第三霧化タンク部材113の下部膨出壁部112c及び下部突出壁112bの上縁に嵌合するよう形成されており、第一霧化タンク部材111と第三霧化タンク部材113を組み合わせることで、後壁の一部を除いた霧化タンク110が形成されるようになっている。なお、第一霧化タンク部材111と第三霧化タンク部材113は、上部突出壁111b及び上部膨出壁部111cと下部突出壁113b及び下部膨出壁部113cとを嵌合させたのち、図示しない締結具によって締結することで接続される。
【0135】
なお、
図16(b)及び
図16(f)に示すように、フランジ部111aの下面であって、送風口111e及び送出口111fの下方に対応する位置、すなわち、霧化タンク110の幅方向両端部には、後述する第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115を設置可能なセパレータ設置部111gが形成されている。セパレータ設置部111gは下端部に雄ネジが形成された複数の棒状部材からなり、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115に形成された設置孔114g、115gを棒状部材に貫通させた状態でネジ止めすることで、第一霧化タンク部材111に下方から第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115を設置することができる。
【0136】
図17に示すように、第二霧化タンク部材112は、幅方向中心側における天面及び後壁面の上部を形成する蓋部材となる部材であり、第一霧化タンク部材111の取付孔111dを覆う平面視略矩形状に形成された上方蓋部112aと、上方蓋部112aに隣接する後方下部において膨出壁部111cによって形成される膨出部と略同一の平面形状に形成された平板状の下方蓋部112bと、上方蓋部112aと下方蓋部112bを接続する鉛直壁112cとを備える。鉛直壁112cは、霧化タンク110における後壁面の上部を構成する。上方蓋部112aの下面には、それぞれ第一セパレータ141及び第二セパレータ142の一部となる第一上方セパレータ部材112d及び第二上方セパレータ部材112eを備える。第一上方セパレータ部材112d及び第二上方セパレータ部材112eは、幅方向の略中央部を起点として、幅方向に向けて下方に傾斜する。第一上方セパレータ部材112d及び第二上方セパレータ部材112eの下面がそれぞれ、本発明における第一傾斜面部及び第二傾斜面部として機能する。上方蓋部112aの上面における幅方向略中央部には、上方に突出する突状部112fを備える。また、下方蓋部112bの幅方向略中央部には、タンクユニット200のキャップ部材220が挿通する挿通孔112gが設けられる。第二霧化タンク部材112は第一霧化タンク部材111に対して、ねじなどの締結具を用いず上方からの取付孔111dへの嵌合のみによって、第一霧化タンク部材111に着脱可能に接続される。
【0137】
図18に示すように、第三霧化タンク部材113は、霧化タンク110の底面、前壁面の下部、側壁面の下部及び後壁面の下部を形成する土台となる部材であり、平面視略円形状のベース部113aと、ベース部から略鉛直上方に突設され、霧化タンク110の前壁下部、側壁下部及び後壁下部を構成する下部突出壁113bとを備える。
図18(b)に示すように、下部突出壁113bは、後壁下部の一部が膨出する下部膨出壁部113cを備える。下部膨出壁部113cによって形成される領域には、後述するタンクユニット200の突出部212が挿入される。また、第三霧化タンク部材113には、後述する弁制御部材500が水平方向軸を中心に回動可能に配設され、下部膨出壁部113cによって形成される領域には、タンクユニット200の下端に位置するキャップ部材220が備える弁部材223に対して下方から当接されることでタンクユニット200から液体を霧化タンク110内に供給せしめ押上部520が配設される。また、下部突出壁113bの下部には、霧化タンク110内と連通して霧化タンク110内の液体を排出せしめるドレン配管113eが設けられる。さらに、第三霧化タンク部材113の底部には超音波振動子120を配設するためのスペースが設けられる。
【0138】
超音波振動子120は霧化タンク110の底部、具体的には第三霧化タンク部材113の底部に複数配設され、図示しない電源ユニットから供給される電力によって作動して超音波を発する。第二実施形態に係る超音波振動子120は、霧化タンク110の幅方向に2個の超音波振動子120が並設されており、霧化タンク110内の広範囲にわたって液体を霧化して微粒子を発生させる。超音波振動子120を作動させると、それぞれの超音波振動子120の上方に向けて液柱が発生する。
【0139】
送風機130は、図示しない制御ユニットからの信号に応じて回転数を制御可能な図示しない送風部材を備えており、霧化された液体を搬送するための搬送エアを送風口111eを通じて霧化タンク110内に供給するものであり、搬送エアを吐出する図示しない吐出口が霧化タンク110の送風口111eに接続され、下方に向けて送風可能に配設される。第二実施形態において、送風機130は図示しない電源ユニットから供給される電力によって駆動され、図示しない制御ユニットからの信号に応じて印加電圧を変化させることで回転数を制御する。
【0140】
次に、
図19~
図21を用いて、本発明におけるセパレータ140として機能する二枚の第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115について説明する。
図19はセパレータ140の全体構成について示す模式図であり、
図19(a)は霧化タンク110内部を底面側から見た模式図であり、
図19(b)はセパレータ140の正面断面図である。
図20は第一下方セパレータ部材114の詳細について示す模式図であり、
図20(a)は上方から見た斜視図であり、
図20(b)は下方から見た斜視図であり、
図20(c)は底面図である。
図21は第二下方セパレータ部材115の詳細について示す模式図であり、
図21(a)は上方から見た斜視図であり、
図21(b)は下方から見た斜視図であり、
図20(c)は底面図である。
【0141】
セパレータ140は、霧化タンク110の幅方向に互いに逆方向に傾斜する第一セパレータ141と第二セパレータ142とを含み、第一セパレータ141は上部部材となる第一上方セパレータ部材113dと下部部材となる第一下方セパレータ部材114によって構成され、第二セパレータ142は上部部材となる第二上方セパレータ部材113eと下部部材となる第二下方セパレータ部材115によって構成される。
【0142】
第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115はポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂によって形成された平面視略矩形状に形成された平板状の部材であり、その基本的機能は、第二霧化タンク部材112における第一上方セパレータ部材112d及び第二上方セパレータ部材112eと協働してセパレータ140として機能することで、超音波振動子120によって発生した液滴を大きな液滴と小さな微粒子とに分けることである。つまり、それぞれの超音波振動子120の上方に液柱が発生すると、液柱に含まれる粒径の大きな液滴はセパレータ140に衝突して下方に流れ霧化タンク110に貯留される液層に還流する。一方、液柱に含まれる粒径の小さな霧滴は、セパレータ140近傍に浮遊した状態となり、送風機130によって供給される搬送エアに伴い送出口112fへ搬送される。このように、セパレータ140の働きによって、超音波振動によって発生した粒径の大きな液滴と粒径の小さな霧滴とを分離することができる。
【0143】
そして、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115は、第一上方セパレータ部材112d及び第二上方セパレータ部材112eと協働してセパレータ140として機能するべく、それぞれ、第一上方セパレータ部材112d及び第二上方セパレータ部材112eの下縁と隙間が形成されないよう、第一霧化タンク部材111のセパレータ設置部111gに配設される。
【0144】
図20(a)及び
図20(b)に示すように、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115の下面には、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115がセパレータ設置部112gに設置された際に水平方向に対する傾斜面を成す第一下方傾斜面部114a及び第二下方傾斜面部115aが形成される。第一下方傾斜面部114a及び第二下方傾斜面部115aはそれぞれ、本発明における第一傾斜面部及び第二傾斜面部として機能する。
【0145】
第二実施形態において、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115は、傾斜面部114a、115aの下縁部の一部が霧化タンク110の側壁に当接する当接部114b、115bを備える。
図20(a)に示すように、当接部114b、115bは傾斜面部114a、115aの下縁部の両端部に形成される。両端部に設けられる当接部114b、115bの間には、傾斜面部114a、115aの一部を切り欠いた切り欠き部114c、115cが設けられており、切り欠き部114c、115cは、それぞれ、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115がセパレータ設置部111gに設置された際に壁面と傾斜面部114a、115a端部との間に形成される第一間隙部及び第二間隙部となる。このように、切り欠き部114c、115cを形成したことにより、傾斜面部114a、115aの下縁部であって、一対の当接部114b、115bの間の部位は、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115を第一霧化タンク部材111に設置した際に霧化タンク110の側壁と所定間隔を隔てるエッジ部114e、115eとなる。
【0146】
特に、霧化タンク110の幅方向一端側に設置される第一下方セパレータ部材114は送風機130の下方に位置するよう配設されており、第一下方セパレータ部材114における切り欠き部114c(本発明における第一間隙部)は、第下方一セパレータ部材114がセパレータ設置部111gに設置された際には、霧化タンク110の送風口111eの直下に位置し、搬送エアが流入する際の入口となる。
【0147】
また、霧化タンク110の幅方向他端側に設置される第二下方セパレータ部材115は送出口111fの下方に位置するよう配設されており、第二下方セパレータ部材115における切り欠き115c(本発明における第二間隙部)は、第二下方セパレータ部材115がセパレータ設置部111gに設置された際には、霧化タンク110の送出口111fの直下に位置し、搬送エア及び霧化された微粒子が流出する際の出口となる。
【0148】
また、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115には、それぞれの傾斜面部114a、115aから下方に向けて所定の高さだけ突出するとともに、当接部114b、115bよりも上部側から当接部114b、115bに向けて延設される案内部114d、115dが設けられている。
【0149】
第二実施形態においては、
図20(c)及び
図21(c)に示すように、案内部114d、115dが傾斜面部114a、115aのそれぞれの中心線に平行な軸線114p、115pに対して傾斜面部114a、115a上において所定角度θa、θb傾斜した向きに配設されている。
【0150】
また、案内部114d、115dの端部は、それぞれの当接部114b、115bにまで到達している。
【0151】
特に、第二実施形態における案内部114d、115dは、
図20(c)及び
図21(c)に示すように、傾斜面部114a、115aの法線方向から見て略V字状の形状を呈するよう形成され、案内部114d、115dにおける下部側の端部が二か所の当接部114b、115bの両方に当接する。
【0152】
なお、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115には、第一霧化タンク部材111のセパレータ設置部111gと係合する設置孔114g、115gが形成される。設置孔114g、115gにセパレータ設置部111gを係合させ図示しない締結具で締結するにより、第一下方セパレータ部材114及び第二下方セパレータ部材115を第一霧化タンク部材111に設置することができる。
【0153】
このように形成された第一下方セパレータ部材114が、第二霧化タンク部材112の第一上方セパレータ部材112dと協働することで、本発明におけるセパレータ140を構成する第一セパレータ141となる。
【0154】
同様に、第二下方セパレータ部材115が、第二霧化タンク部材112の第二傾斜上方セパレータ部材112eと協働することで、本発明におけるセパレータ140を構成する第二セパレータ142となる。
【0155】
第二実施形態に係る第一セパレータ141及び第二セパレータ142は、さらに、後述する機能を発揮できるよう、下記のように配設される。
【0156】
第二実施形態に係る第一セパレータ141は、送風口111eの下方であって、超音波振動子120のうち霧化タンク110の幅方向一端側に配設された超音波振動子120の上方に配設される。
【0157】
また、
図19(a)及び
図19(b)に示すように、第一セパレータ141は、一端が霧化タンク110の天面に接続される基端部141a(本発明における第一接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク110における幅方向一端側の側面との間に第一間隙部を形成するよう所定の間隔を隔てて配置されるエッジ部114e(本発明における第一エッジ部)を有するよう、霧化タンク110の幅方向一端側に向けて斜め下方に傾斜して配設される。
【0158】
第二セパレータ142は、送出口111fの下方であって、超音波振動子120のうち霧化タンク110の幅方向他端側に配設された超音波振動子120の上方に配設される。
【0159】
また、
図19(a)及び
図19(b)に示すように、第二セパレータ142は、一端が霧化タンク110の天面に接続される基端部142a(本発明における第二接続部)を有するとともに、他端が霧化タンクにおける幅方向他端側の側面との間に第二間隙部を形成するよう所定の間隔を隔てて配置されるエッジ部115e(本発明における第二エッジ部)を有するよう、第一セパレータ141とは逆方向、つまり、霧化タンク110の幅方向他端側に向けて斜め下方に傾斜して配設される。
【0160】
つまり、第一セパレータ141の端部の一部(第一エッジ部)が霧化タンク110の幅方向一端側の側面との間に第一間隙部を形成するよう一端側の側面から所定の間隔を隔てて配設され、第二セパレータ142の端部の一部(第二エッジ部)が霧化タンク110の幅方向他端側の側面との間に第二間隙部を形成するよう他端側の側面から所定の間隔を隔てて配設される。
【0161】
そして、送風口111eは第一セパレータ141の基端部141a(本発明における第一接続部)よりも幅方向一端側に設けられるとともに、送出口111fは第二セパレータ142の基端部142a(本発明における第一接続部)よりも幅方向他端側に設けられる。
【0162】
また、
図10に示すように、第二実施形態において、第二セパレータ142の端部と霧化タンク110の幅方向他端側の側面との間に形成される第二間隙部と送出口111fの間には蛇行経路MPが形成される。蛇行経路MPは、第二間隙部の上方かつ送出口111fの下方において、霧化タンクの幅方向他端部から幅方向一端側に向けて略水平に配設される庇部材150によって形成される。さらに、庇部材150の端部が第二セパレータ142のエッジ部115e(第二エッジ部)よりも霧化タンク110の幅方向一端側に位置するとともに、送出口111fは、庇部材150の端部よりも霧化タンク110の幅方向他端側に位置する。このようにして、第二間隙部と送出口111fの間に蛇行経路が形成される。
【0163】
また、第二実施形態においては、
図19(a)に示すように、霧化タンク110が平面視略矩形状の形状を呈し、第一セパレータ141及び第二セパレータ142が、ともに、平面視略矩形状に形成され、霧化タンク110は第一間隙及び第二間隙を除いて上方から前記第一セパレータ141及び第二セパレータ142に覆われる。
【0164】
[タンクユニット200及び水処理ユニット600の構成]
図22~24を用いて、タンクユニット200及び水処理ユニット600について説明する。
図22はタンクユニット200の詳細について示す模式図で、
図22(a)はタンクユニット200の側断面図であり、
図22(b)はタンクユニット200の斜視図であり、
図22(c)はタンクユニット200の背面図であり、
図22(d)はタンク本体210を下方から見た斜視図である。また、
図23はタンクユニット200を構成するキャップ部材220の構成を示す模式図で、
図23(a)はキャップ部材220の斜視図であり、
図23(b)はキャップ部材220の分解状態を示す斜視図であり、
図23(c)はキャップ本体221の正面断面図であり、
図23(d)は軸体222の斜視図であり、
図23(e)は弁部材223の正面図であり、
図23(f)は弁部材223が閉塞状態のキャップ部材220の内部構造を示す断面図であり、
図23(g)は弁部材223が開放状態のキャップ部材220の内部構造を示す断面図である。
図24は第二実施形態に係る水処理ユニット600について示す模式図で、
図24(a)はタンクユニット200内部に配設された水処理ユニット600を示す透視図であり、
図24(b)は水処理ユニットの斜視図である。
【0165】
タンクユニット200は、貯留される常水を水処理して精製水を生成する水処理手段1を内部に備えるとともに生成した精製水を霧化タンク110に供給するためのものであり、微粒子化ユニット100の上方に配置される。第二実施形態において、タンクユニット200はタンク本体210とキャップ部材220を備える。
【0166】
図22(a)~
図22(d)に示すように、タンク本体210は、上端が開放されるとともに下方に向けて縮径する筒状の形状を呈し液体を貯留させる貯留部211と、貯留部211の下端の一部から下方に向けて所定の長さだけ突出する突出部212と、突出部212の下端に形成され液体の出入り口となる略円筒形状の開口部213を有する。開口部213には外周に雄ネジ213aが設けられており、雌ネジ221bが設けられたキャップ部材220が螺着可能となる。
【0167】
図23(a)~
図23(e)に示すように、キャップ部材220は、略円筒状に形成され円筒の中心部に液体の流出口221aを備えるキャップ本体221と、キャップ本体221に対して長手方向に往復動可能に取り付けられる軸体222と、軸体222と一体に接続され流出口221aを開閉可能とする弁部材223と、を含む。なお、流出口221aを開閉可能とする弁部材223が、第二実施形態における供給手段として機能する。
【0168】
図23(c)に示すように、キャップ本体221は上半分が二重円筒に形成されており、内筒内の中心部に液体の流出口221aが形成される。また、外筒の内側には、タンク本体210の開口部213に形成された雄ネジ部213aに螺着可能な雌ネジ部221bが形成される。
【0169】
図23(d)に示すように、軸体222は、キャップ本体221の流出口221a内に挿通される略棒状の部材であり、下端には、流出口221aからの抜け止め防止の機能と押上部520に対する当接の機能を持つ拡径部222aを備える。また、軸体222の上部には弁部材223が係合される段部222bが形成される。段部222bに弁部材223が嵌合することにより、軸体222と弁部材223が一体となって作動する。
【0170】
図23(e)に示すように、弁部材223は、略円錐状に形成された当接部223aを備える。また、弁部材223の中心部に形成された図示しない挿通孔に軸体222の段部222bが係合する。挿通孔に段部222bを係合させるために、弁部材223を伸縮可能な可撓性を有する樹脂によって形成してもよいし、弁部材223を半割れの二つの部材によって形成してもよい。
【0171】
このように構成されたキャップ部材220によって、キャップ部材220をタンク本体210に螺着させた状態において、軸体222と弁部材223が、軸体222の軸方向に往復動可能となる。
【0172】
図23(g)に示すように、弁部材223がタンク本体210の内方側(第一位置)に位置するときには、当接部223aが流出口221aを開放するため、タンク本体210の中に貯留された液体が流出可能となり、
図23(f)に示すように、弁部材223がタンク本体210の外方側(第二位置)に位置するときには、当接部223aが流出口221aを閉塞するため、液体は流出不能となる。このようにして、弁部材223は、タンクユニット200の底部に設けられる流出口221aに対し上下方向に摺動することで当該流出口221aの閉塞状態と開放状態を切り替える。
【0173】
つまり、タンク本体210に液体が貯留されキャップ部材220が螺着された状態でタンク本体210の開口部213を下に向けたとしても、軸体222と弁部材223が第二位置に移動して当接部223aが流出口221aを閉塞するため、液体がタンクユニット200から漏れ出ることはない。
【0174】
このように形成されたタンクユニット200を噴霧手段3に組み付けるに際しては、第2霧化タンク部材112が第一霧化タンク部材111に嵌合され微粒子化ユニット100が組みあがった状態でタンクユニットを設置する。その際、タンク本体210の突出部212を上部膨出壁部111c及び下部膨出壁部113cによって形成される領域に挿入し、第二霧化タンク部材112の挿通孔112gにキャップ部材220を挿通させる。
【0175】
次に、
図22(a)及び
図24を用いてタンクユニット200に内蔵される水処理手段1として機能する水処理ユニット600について説明する。
【0176】
第二実施形態に係る水処理手段1は、上面に常水入口610を有し下面に精製水出口620を有する所定高さの筒状部材630に図示しないイオン交換樹脂などの水処理剤が充填されたカートリッジ式の水処理ユニット600によって形成される。水処理ユニット600はタンクユニット200内に組み込まれる。なお、常水入口610及び精製水出口620には、内部に充填される水処理剤が水処理ユニット600から流出することがないよう、メッシュ状のカバーが設けられていてもよい。また、水処理ユニット600の上面には、取り付けや取り外しの際に把持する取っ手640が設けられている。なお、精製水出口620がタンク本体210の貯留部211の底部より若干上方に位置するよう筒状部材630の高さが設定されている。
【0177】
このように構成された水処理ユニット600によると、上面に形成された常水入口610に常水が供給されると、筒状部材630内に充填された水処理剤によって徐々に常水が精製され、下面に形成された精製水出口620から精製水として流出する。
【0178】
タンクユニット200のタンク本体210における貯留部211の所定高さにおける内周面には、水処理ユニット600を嵌合して取り付けるために所定幅を有する略リング状に形成された嵌合部材230が、内周面に沿って全周にわたって設けられている。水処理ユニット600の外径は貯留部211の内径よりも若干小さく形成されており、水処理ユニット600の外周面が略リング状の嵌合部材230の内周に嵌合することで、水処理ユニット600がタンク本体210の貯留部211にほぼ隙間なく組み込まれる。
【0179】
嵌合部材230に水処理ユニット600が嵌合すると、
図22(a)に示すように、タンク本体210は嵌合部材230を境に常水入口610側の上部空間210Aと、精製水出口620側の下部空間210Bとに区画される。
【0180】
ここで、嵌合部材230の一部には上部空間210Aと下部空間210Bとを連通する図示しない貫通孔が形成され、貫通孔には上部空間210Aと下部空間210Bとを連通する連通パイプ240が挿通される。連通パイプ240は、上部空間210A、具体的にはタンクユニット200の略上端と、下部空間210B、具体的には、タンクユニット200の内周面と水処理ユニット600の外周面との間に形成される間隙を連通する。
【0181】
[吹き出しユニット300の構成]
図10に戻って、吹き出しユニット300について説明する。
【0182】
吹き出しユニット300は、微粒子化ユニット100で生成された微粒子を搬送エアとともに吹き出すためのものであり、噴霧手段3の天面に形成される噴霧口310と、霧化タンク110の送出口111fと噴霧口310を連通する送出管320によって構成される。
【0183】
送出管320は、第一霧化タンク部材111のフランジ部111aに平面視略矩形状に形成された送出口111fに接続され、筐体内の幅狭の空間を通ることができるよう、断面が扁平形状に形成されたパイプである。
【0184】
送出口111fから送出された微粒子及び搬送エアは、送出管320を通り噴霧口310から空間に噴霧される。
【0185】
[カバー部材400の構成]
カバー部材400は、
図9に示すように、全体として略円筒状に形成される噴霧手段3の側面を覆う周壁410と、噴霧手段3の天面の中央部に着脱可能に配設される略円形状の平板部材である蓋部材420と、蓋部材420の外周部を覆う天面壁430とによって構成される。
【0186】
図9に示すように、周壁410には、噴霧手段3を持ち運ぶ材に手をかける部位となるハンドル部411、噴霧手段3の運転状態と停止状態を切り替える電源スイッチ412、図示しないACアダプタのプラグが挿し込まれるDCジャック413、及び、霧化タンク110の内部と連通するドレン配管113eを開閉するドレンキャップ414が設けられる。
【0187】
蓋部材420は略円形状の平板部材であり、噴霧手段3の天面の外周部を覆う天面壁430の内側に着脱可能に載置される。蓋部材420を天面から取り外すことで、タンク本体210の上端における開放端が露出され、タンクユニット200に対しての常水の補給が可能となる。
【0188】
天面壁430には、吹き出しユニット300として機能する噴霧口310が形成される。
【0189】
[制御ユニットの構成]
制御ユニットは、送風機130の駆動や超音波振動子120の動作を制御するものであり、周知の回路やスイッチ等によって構成される。
【0190】
[弁制御部材500の構成]
図25を用いて、弁制御部材500について説明する。
図25は弁制御部材500の構成を示す模式図で、
図25(a)は弁制御部材500まわりの構成を示す模式図であり、
図25(b)は弁制御部材500が弁部材223を押し上げていない状態を示す模式図であり、
図25(c)は弁制御部材500が弁部材223を押し上げている状態を示す模式図である。なお、理解を助けるために、
図25(b)及び
図25(c)においては、キャップ部材220のみ断面を示している。
【0191】
弁制御部材500は、霧化タンク110内の液位の低下に応じて供給手段による供給を開始するとともに、霧化タンク110内の液位の上昇に応じて供給手段による供給を停止するためのものであり、
図25(a)に示すように、略水平方向に設置された回動軸510を隔てて一端側に弁部材223を下方から上方に向けて押上可能な押上部520と、他端側に霧化タンク110内に貯留される精製水中に浸漬されるフロート部530とを有する。
【0192】
このように構成された弁制御部材500が、第二実施形態における供給調整手段として機能し、霧化タンク110内の液位の低下に応じて供給手段による供給を開始するとともに、霧化タンク110内の液位の上昇に応じて供給手段による供給を停止する。
【0193】
つまり、霧化タンク110内の液位が十分な状態においては、
図25(b)に示すように、フロート部530に上向きの浮力がかかるためフロート部は持ち上げられている。この状態においては、回転軸510を隔ててフロート部530の反対側に設けられている押上部520は下方に位置している。そして、霧化タンク110内の精製水が消費され液位が下がると、
図25(c)に示すように、フロート部530に加わる浮力が低下してフロート部530が下方に傾動する。フロート部530が下方に傾動すると、回動軸510を隔ててフロート部530と反対側に設けられている押上部520が上方に傾動して軸体222を介して弁部材223を押し上げる。弁部材223が押し上がるとタンクユニット200底部の流出口221aが開放状態となり、タンクユニット200から霧化タンク110内へ精製水が供給される。ある程度まで精製水が供給されると、フロート部530に浮力が加わりフロート部530が上方に傾動する。フロート部530が上方に傾動すると押上部が下方に傾動して弁部材223から離れ、弁部材223は下方に摺動して流出口221aを閉塞する。このようなメカニズムにより、超音波振動子120による精製水の霧化に伴い減少した精製水の分だけタンクユニット200から精製水が補充されるため、少しずつタンクユニット200から精製水が供給されることとなり、十分な時間をかけてタンクユニット200内の水処理ユニット600を通過させ、精製水の精製度を高めることができる。
【0194】
[噴霧手段3の運転方法]
このように構成された噴霧手段3を運転する方法について説明する。
【0195】
まず、まず、噴霧手段3において微粒子化及び噴霧を行うに先立ち、噴霧手段3のタンクユニット200に常水を補給する。常水の補給に当たっては、蓋部材420を噴霧手段3の天面から取り外し、タンクユニット200の上端における開放端を露出させる。その状態で、露出した開放端からタンク本体210内に常水を充填する。常水の充填が完了したら再び蓋部材420を取り付ける。
【0196】
タンクユニット200に常水が補給されると、タンクユニット200内に設けられている水処理ユニット600(水処理手段1)によって常水中の不純物が除去され、精製水が生成される。このとき、タンクユニット200に供給された常水が水処理ユニット600上面の常水入口610から筒状部材630内に流入し、筒状部材630内に充填された水処理剤によって常水の精製が行われ、精製が完了して精製水となって水処理ユニット600下面の精製水出口620から流出する。ここで、筒状部材630の中に水処理剤が充填されているため、水処理ユニット600の上面に配設された常水入口610から流入した常水は時間をかけて水処理剤で浄化され、十分な精製度の精製水となって水処理ユニット600の下面に設けられた精製水出口620から流出する。
【0197】
霧化タンク110内に精製水が貯留されていない状態あるいは液位が十分に低い状態においては、弁制御部材500のフロート部530に印加される浮力が小さいため、フロート部530は下方に傾斜した状態となる。そのため、回動軸510を隔ててフロート部530と反対側に位置する押上部520は上方に傾斜した状態となり、押上部520がタンクユニット200の弁部材223を押し上げる。弁部材223が押し上げられると、
図23(c)に示すように、タンクユニット200底部の流出口221aが開放状態となり、タンクユニット200から霧化タンク110内へ精製水が供給される。
【0198】
このとき、タンクユニット200の底部に設けられたキャップ部材220の軸体222の拡径部222aが押上部に当接して軸体222及び弁部材223が第一位置まで押し上げられ、流出口221aが開放状態となる。その結果、タンク本体210内に貯留された液体が流出口221aを介して霧化タンク110内に供給される。
【0199】
ここで、
図10及び
図11に示すように、タンク本体210は水処理ユニットが嵌合される嵌合部材230を境に常水入口610側の上部空間210Aと、精製水出口620側の下部空間210Bとに区画されており、下部空間210Bから精製水が流出しようとしても、上部空間210Aの圧力が陰圧となり滞留してしまうことがある。実施形態2に係る除菌システムにおいては、上部空間210Aと下部空間210Bを連通する連通パイプ240が設けられているため、水処理ユニット600に水処理剤が充填されていても、上部空間210Aと下部空間210Bとの圧力差がなくなり、滞留することなくタンクユニット200から精製水を流出させることができる。
【0200】
タンクユニット200から霧化タンク110にある程度まで精製水が供給されると、フロート部530に加わる浮力によりフロート部530が上方に傾動する。フロート部530が上方に傾動すると押上部520が下方に傾動して弁部材223の押上を解除し、弁部材223は下方に摺動して流出口221aを閉塞してタンクユニット200からの霧化タンク110への精製水の供給が停止する(
図23(b))。
【0201】
このように、水処理手段1において常水の処理を行うことで、常水中に存在するカルシウム分などの無機物、リグニンやタンニンなどの有機物、コロイドなどの微粒子、及び、藻類やバクテリアなどの微生物が除去され、不純物の含有量が極めて少ない精製水が生成される。
【0202】
霧化タンク110内に精製水が貯留された状態で電源スイッチ412を操作して運転状態とすると、超音波振動子120及び送風機130が作動する。
【0203】
超音波振動子120の作動に伴い、各超音波振動子120の上方には液柱が立ち上がる。液柱には大小様々な粒径を有する粒子が含まれるが、液柱が接触するように超音波振動子120の上方において斜め下方に傾斜して配設されたセパレータ140に対し、液柱に含まれる粒径の大きな液滴が接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に浮遊する。
【0204】
また、送風機130の作動に伴い、搬送エアが送風口111eから下方に向けて供給され、空中に浮遊する粒径の小さな霧滴を搬送して、送出口111fから送出させる。
【0205】
このとき、霧化タンク110の幅方向一端側に設けられた第一セパレータ141は、送風口111eの下方で、かつ、幅方向一端側の超音波振動子120の上方に配設されているため、送風機130から供給される搬送エアが直接液面や液柱に到達することが防止されるとともに、液面から立ち上がる液柱や液滴が送風口111eから流入し直接送風機130に到達することが防止される。そのため、液剤の霧化や搬送エアの供給がお互いを妨げることなく機能し、それにより、粒子の粒径の選別の性能が担保される。
【0206】
また、送風機130から供給された搬送エアは第一セパレータ141の一側の面に衝突し、第一セパレータ141の一側の面に沿って流動するため、その際に圧力損失が発生し、粒子を搬送するための圧力が低下する。搬送エアの圧力が低下するため、第一セパレータ141及び第二セパレータ142に衝突することで液滴と小さな粒子とに分離された液剤から、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。
【0207】
また、第一セパレータ141の一側の面に沿って流動した搬送エアが、エッジ部114eと霧化タンク110の一端側の側面との間の第一間隙部から流出する際に、第一セパレータ141の他側の面、つまり液柱が接触する領域には負圧の領域が形成されるが、その負圧領域においては搬送エアの圧力が一層低下するため、粒径の非常に小さな微粒子以外は搬送することができず、下方の液面に落下することになる。そのため、ブラウン運動を起こすことができる程度に粒径の小さな微粒子のみが搬送エアによって下流側に搬送される。
【0208】
このようなメカニズムによって、単にセパレータで液柱を受けるよりも微細な粒子を搬送エアによって搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能な噴霧手段3を提供することができる。
【0209】
また、第一セパレータ141は、一端が霧化タンク110の天面に接続される基端部141a(本発明における第一接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク110における幅方向一端側の側面との間に第一間隙部を形成するよう所定の間隔を隔てて配置されるエッジ部114e(第一エッジ部)を有するよう、斜め下方に傾斜して配設される。そして、送風機130から供給される搬送エアを霧化タンク110内の外周側を通過させるべく、内方から外方に向けて突出して配設されている。
【0210】
第一セパレータ141のこのような構造により、送風口111eから下向きに供給された搬送エアは、第一セパレータ141の配設方向にしたがって流れの向きを斜め下方に変化させ、霧化タンク110の幅方向一端側の側面と第一セパレータ141のエッジ部114eとの間に形成される第一間隙部を通過して霧化タンク110の液層付近の底部に至る。底部に至った搬送エアは他端側の側面に向かって方向を転換し、液面近傍を霧化タンク110の他端側の側面に向かって流通する。そして、霧化タンク110の他端側の側面近傍で向きを上方に転換し、天面に形成された送出口111fに向けて流れる。また、一部の搬送エアは、霧化タンク110の一端側の側面と第一セパレータ141の他端部との間に形成される第一間隙部を通過した後、第一セパレータ141の液柱を受ける側の面に回り込んでから、霧化タンク110内に旋回流を形成し、送出口111fから流出する。
【0211】
このようにして、送風口111eから下向きに供給された搬送エアは、第一セパレータ141の配設方向にしたがって霧化タンク110の内部でゆるやかな旋回流を形成し、一部は液柱を受ける側の面に回り込んでから、一部は霧化タンク110内の外周側を通過したうえで、送出口111fから送出される。
【0212】
そして、送風口111eから供給された搬送エアが霧化タンク110内の外周側を通過してゆるやかな旋回流を形成するため、旋回流の発生に伴う遠心力の効果によって、微細な粒子とさらに微細な微粒子とに分離され、微粒子のみが搬送エアに搬送される。
【0213】
さらに、第二実施形態においては、送風口111eと送出口111fとが、霧化タンク110の天面110aであって第一セパレータ141を挟んで互いに逆側における箇所に設けられる。
【0214】
そのため、第一セパレータ141を挟んだ旋回流を形成することができ、旋回流による遠心分離の効果を高めることができる
【0215】
このようにして、第二実施形態における微粒子化ユニット100は、送風機130と第一セパレータ141が協働することによって、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に生成して送出することができる。
【0216】
また、第二実施形態においては、第二セパレータ142は、一端が霧化タンク110の天面に接続される基端部141a(第二接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク110の幅方向他端側、つまり、第一セパレータ141が配設される側とは逆側の側面との間に第二間隙部を形成するよう所定の間隔を隔てて配置されるエッジ部115e(第二エッジ部)を備えるよう、第一セパレータ141とは逆方向の斜め下方に向けて配設される。
【0217】
そして、第二セパレータ142は送出口111fの下方で、かつ、幅方向他端側の超音波振動子120の上方に配設されている。そのため、超音波振動子120によって発生した液柱に含まれる粒径の大きな液滴が第二セパレータ142の下面に接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に浮遊する。
【0218】
このとき、搬送エアの圧力は第一セパレータ141との接触によって低下しているため、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。このようにして、第二セパレータ142近傍で発生した粒子に関しても、粒径の小さな微粒子のみを選別して搬送することができる。
【0219】
また、送風口111eは霧化タンク110の天面110aにおいて第一セパレータ141の基端部141aよりも幅方向一端側に設けられるとともに、送出口111fは第二セパレータ142の基端部142aよりも幅方向他端側に設けられることにより、霧化タンク110内に形成される旋回流は第一セパレータ141及び第二セパレータ142を挟んで霧化タンク110内全体にわたり幅方向一端側から他端側に向けて形成される大きなものとなり、第二間隙部を介して送出口111fに至る。そのため、搬送エアの遠心力による微粒子の選定がより強化され、ブラウン運動を起こすことができる程度に微細な微粒子のみを確実に選別して噴霧することができる。
【0220】
また、第二実施形態の噴霧手段3によれば、第二間隙部と送出口111fとの間に蛇行経路MPが形成されるため、セパレータ140自体の分離能力と霧化タンク110内に形成される旋回流で分離しきれなかった粒子を蛇行経路MP上でさらに選別することができ、送出される粒子のうちブラウン運動を起こすことができる程度に微細な微粒子の割合を高めることができる。
【0221】
そして蛇行経路MPが、第二間隙部の上方かつ送出口111fの下方において、霧化タンク110の幅方向他端部から幅方向一端側に向けて略水平に配設される庇部材150によって形成されるため、流路自体の構造に変更を加えることなく、微細な微粒子の割合を高めることが可能な蛇行経路MPを形成することができる。
【0222】
さらに、庇部材150の端部が第二エッジ部よりも霧化タンク110の幅方向一端側に位置するため、第二間隙を通過した微粒子及び搬送エアは、庇部材150の下面に沿って霧化タンク110の幅方向一端側に流れる。そのため、霧化タンク110の下部において幅方向他端側に向けて形成された大きな旋回流を反転させるこができ、セパレータ140及び旋回流により分離しきれなかった粒子を分離することができる。さらに、送出口112fが庇部材150の端部よりも霧化タンク110の幅方向他端側に位置するため、庇部材150の端部を通過した微粒子及び搬送エアは、再び霧化タンク110の幅方向他端側に流れ、送出口111fから送出される。そのため、端部の位置を工夫するだけで流れに二度の反転を起こさせることができ、簡単な構成でも分離機能を強化して微細な微粒子の割合を高めることが可能な蛇行経路MPを形成することができる。
【0223】
また、霧化タンク110が平面視略矩形状の形状を呈し、第一セパレータ141及び第二セパレータ142が、ともに、平面視略矩形状に形成され、霧化タンク110は第一間隙及び第二間隙を除いて上方から第一セパレータ141及び第二セパレータ142に覆われるため、超音波振動子120によって霧化された粒子はほぼ例外なく第一セパレータ141及び第二セパレータ142により大きな粒子と微粒子に分離される。また、搬送エアは第一間隙から第一セパレータ141の下方領域に流入して第二間隙から第二セパレータ142の上方領域に流出するほか、ショートパスが形成されないため、霧化タンク110内に形成される旋回流の強さを保持することができ、微粒子の分離機能を強化することができる。
【0224】
また、第二実施形態の噴霧手段3によれば、霧化タンク110の底部において液体を霧化して微粒子を生成する超音波振動子120と、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、液体の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口111eから霧化タンク110内に吐出する送風機130と、霧化タンク110に設けられ、微粒子を搬送エアとともに送出する送出口111fと、霧化タンク110内における超音波振動子120の上方において、壁面のうち少なくとも一の壁面に向かって傾斜する傾斜面113d、113e、114a、115aを備えるセパレータ140を備えるため、ブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を生成することができる。
【0225】
また、セパレータ140は、傾斜面114a、115aの一部を壁面のいずれかに当接させる当接部114b、115bと、傾斜面114a、115aから下方に向けて所定高さだけ突出するとともに、当接部114b、115bよりも上部側から当接部114b、115bに向けて延設される案内部114d、115dを備えるため、セパレータ140の下面に衝突した粒子は、案内部114d、115dに沿って当接部114b、115bに向かって流れ、当接部114b、115bから壁面を流下して液溜まりに還流される。そのため、セパレータ140で分離されなかった液体が直接液溜まりに落下することが抑制され、液溜まりに落下する際の騒音を抑制することができる。
【0226】
また、案内部114d、115dが傾斜面114a、115aの傾斜軸114p、115pに対して傾斜面114a、115a上において所定角度θa、θb傾斜した向きに配設されるため、傾斜軸114p、115pに平行に配設された場合と比して傾斜面114a、115aの広い領域において付着する液体を案内面に沿って当接部に向かって流すことができる。
【0227】
また、案内部114d、115dの端部が当接部114b、115bに到達するため、案内部114d、115dを伝う液体が案内部114d、115dの端部から当接部114b、115bを介して壁面に流れることができ、傾斜面114a、115aから液溜まりへの落下を確実に防止することができる。
【0228】
また、当接部114b、115bが傾斜面114a、115aの下縁部に設けられるため、案内部114d、115dが傾斜面114a、115aの傾斜に沿って下縁部まで延設される。そのため、傾斜面114a、115aを傾斜に沿って伝う液体の多くを案内部114d、115dを用いて当接部114b、115bに至らせることができる。
【0229】
また、当接部114b、115bが傾斜面下縁部の両端部に形成され、二か所の当接部114b、115bの間に空隙が形成されるため、搬送エアや微粒子が空隙を通過することができる。そのため、他の箇所に搬送エアや微粒子が通過可能な流路を設ける必要がなく、平面視で略全面にセパレータの傾斜面114a、115aを配することができ、霧化された粒子の選別機能を損なうことなく、液滴の落下に伴う騒音を防止することができる。
【0230】
また、案内部114d、115dが傾斜面114a、115aの法線方向から見て略V字状の形状を呈するよう形成され、案内部114d、115dにおける下部側の端部が二か所の当接部114b、115bの両方に当接するため、傾斜面114a、115aのほぼ全面域において付着する液体を当接部に流下させることができ、液的な落下に伴う騒音をほぼ確実に防止することができる。
【0231】
そして、第一霧化タンク部材111の天面には第二霧化タンク部材112が嵌合される取付孔111dが設けられるため、第一霧化タンク部材111から第二霧化タンク部材112を容易に着脱することができる。このとき、霧化タンク110は、霧化タンク110の天面の一部を画定するとともにセパレータ140の下部部材となる下方セパレータ部材114、115を備える第一霧化タンク部材111と、霧化タンク110の天面の他部を画定するとともに下方セパレータ部材114、115と協働してセパレータ140を形成する上方セパレータ部材112d、112eを備える第二霧化タンク112とを備えるため、第二霧化タンク部材112を第一霧化タンク部材111から取り外すことにより、霧化タンク110の一部が開放され、開放された下方セパレータ部材114、115回りを容易に清掃することができる。また、第二霧化タンク部材112は取り外すことができるため、第二霧化タンク部材112に形成された上方セパレータ部材112d、112eも容易に清掃することができる。
【0232】
また、霧化タンク110の底面を含む土台となる第三霧化タンク部材113が第一霧化タンク部材111と締結手段を用いて接続されるため、霧化タンク110の下部においては気密は保持しつつ、天面においては第二霧化タンク部材112を第一霧化タンク部材111から容易に着脱することができ、気密性と清掃の容易性を両立させることができる。
【0233】
特に、第一霧化タンク部材111の上部突出壁111b下縁と第三霧化タンク部材113の下部突出壁113b上縁を嵌合させたうえで締結手段によって接続するため、霧化タンク110の壁面の気密を保持することができる。
【0234】
また、微粒子化ユニット100での霧化が進むと、霧化タンク110内における精製水の液位が下降する。すると、弁制御部材500のフロート部530に加わる浮力が減少し、
図25(c)に示すように、フロート部530が下方に傾動する。フロート部530が下方に傾動すると、回動軸510を隔ててフロート部530と反対側に設けられている押上部520が上方に傾動して軸体222を介して弁部材223を押し上げる。弁部材223が押し上がるとタンクユニット200底部の流出口221aが開放状態となり、タンクユニット200から霧化タンク110内へ精製水が供給される。ある程度まで精製水が供給されると、フロート部530に浮力が加わり、
図25(b)に示すように、フロート部530が上方に傾動する。フロート部530が上方に傾動すると押上部520が下方に傾動して弁部材223の押上を解除し、弁部材223は下方に摺動して流出口221aを閉塞する。このようなメカニズムにより、超音波振動子120による精製水の霧化に伴い減少した精製水の分だけタンクユニット200から精製水が補充されるため、少しずつタンクユニット200から精製水が供給されることとなり、十分な時間をかけてタンクユニット200内の水処理手段を通過させ、精製水の精製度を高めることができる。
【0235】
また、超音波振動による微粒子化を行うに際し、噴霧される微粒子の粒径は霧化タンク110内の液位に大きく依存するが、供給調整手段が霧化タンク110で消費された分だけ精製水を供給するよう調整することにより、霧化タンク110内の液位を所定範囲内に収めることができるため、超音波振動で微粒子化した際の粒径のばらつきを抑え所望の粒径にすることができ、ウイルス除去効果のある微細なミストのみを噴霧することができる。
【0236】
<実施例1>
所定の容積を有しウイルス検液を散布した試験用チャンバー内に、本発明に係る除菌システムによって不純物を除去した精製水の微粒子化及び噴霧を行い、浮遊ウイルスの減少率を測定した(試験方法はJEMA(一般社団法人日本電機工業会)の基準に準拠)。ウイルス検液はチャンバー内に10分かけて噴霧し、その後、チャンバー内を攪拌ファンの利用により2分間の攪拌を行った。その後、200mLの精製水の噴霧を10分かけて行い、精製水の噴霧開始から120分間における浮遊ウイルスの減少率を時系列で測定した。本実施例は精製水として脱イオン水を用いた。比較例として、不純物除去を行わない水道水を実施例1で用いたものと同じ機材により超音波振動によって微粒子化し、同じチャンバー内に噴霧を行った(表1)。
【表1】
【0237】
本発明に係る除菌システムを用いて不純物を除去した精製水(脱イオン水)を、超音波振動により平均粒径0.1~1.0μmとなるよう微粒子化したものを噴霧した場合、120分後にはチャンバー内のウイルスを99.9%除去できることが確認できた(
図26及び
図27)。
【0238】
一方、水道水を微粒子化して噴霧した場合には、120分後には95%の減少となったが、これは、ウイルス検液のみ散布して放置した場合における自然減少によるものと大差はなく、水道水を微粒子化して噴霧したとしてもウイルス除去効果は無いとの結果に至った。この結果は、水道水には消毒用の塩素系薬剤など水以外の不純物が多く含まれており、不純物を核として水の粒子の塊が安定的に形成されるため、水分子が電子を奪う力が強くないためであると考えられる(
図26及び
図27)。
【0239】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0240】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0241】
この発明の除菌システムは、不特定多数の人が往来する駅や商業施設、オフィスビルのような建物内や、スタジアムや畜舎などの屋外の施設まで、ウイルスや細菌が浮遊する種々の施設に適用することができる。
【符号の説明】
【0242】
1 水処理手段
2 第一実施形態に係る噴霧手段
10 微粒子化ユニット
11 霧化タンク
11a 流入口
11b 送風口
11c 送出口
11d 天面
12 霧化デバイス
12a、b・・・ 超音波振動子
13 送風機
14a、b セパレータ
15 液位センサ
16 停止センサ
20 タンクユニット
20A 上部空間
20B 下部空間
21 上タンク
21a 流入口
22 下タンク
22a 接続口
23 連通パイプ
30 吹き出しユニット
31 吹き出し部材
32 噴霧口
40 供給ユニット
41 精製水供給ポンプ41
42 精製水供給管
50 制御ユニット
60 据付ユニット
61 下部ベース
62 柱状部材
63 トップ部材
64 脚部
70 電源ユニット
80 カバー部材
90 水処理ユニット(水処理手段)
91 常水入口
92 精製水出口
93 筒状部材
94 取っ手
3 第二実施形態に係る噴霧手段
100 微粒子化ユニット
110 霧化タンク
111 第一霧化タンク部材
112 第二霧化タンク部材
113 第三霧化タンク部材
114 第一下方セパレータ部材
114a 第一下方傾斜面部(第一傾斜面部)
114b 当接部
114c 切り欠き部
114d 案内部
114d 案内部
114e エッジ部
114g 設置孔
115 第二下方セパレータ部材
115a 第二下方傾斜面部(第二傾斜面部)
115b 当接部
115c 切り欠き部
115d 案内部
115e エッジ部
115g 設置孔
120 超音波振動子
130 送風機
140 セパレータ
150 庇部材
200 タンクユニット
210 タンク本体
210A 上部空間
210B 下部空間
211 貯留部
212 突出部
213 開口部
220 キャップ部材
221 キャップ本体
221a 流出口
222 軸体
222a 拡径部
223 弁部材
230 嵌合部材
240 連通パイプ
300 吹き出しユニット
310 噴霧口
320 送出管
400 カバー部材
410 下部ベース
420 蓋部材
500 弁制御部材(供給調整手段)
510 回動軸
520 押上部
530 フロート部
600 水処理ユニット(水処理手段)
610 常水入口
620 精製水出口
630 筒状部材
640 取っ手
【要約】
【課題】噴霧手段に常水を供給するだけで十分な精製度の精製水を生成しつつ、精製水を滞ることなく霧化タンクに供給して噴霧することが可能な除菌システムを提供する。
【解決手段】本発明の除菌システムは、噴霧手段は、貯留される常水を水処理して精製水を生成する水処理手段を内部に備えるタンクユニットと、タンクユニットから供給される精製水を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内で精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が配設された霧化デバイスとを備え、水処理手段は、上面に常水入口を有し下面に精製水出口を有する所定高さの筒状部材に水処理剤が充填された水処理ユニットによって形成され、タンクユニットの内周面には、水処理ユニットを嵌合して取り付ける嵌合部材が当該内周面に沿って設けられ、嵌合部材によって常水入口側の上部空間と精製水出口側の下部空間とが区画されるとともに、上部空間と下部空間とを連通する連通パイプを備える。
【選択図】
図10