(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】擬似餌
(51)【国際特許分類】
A01K 85/18 20060101AFI20240905BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A01K85/18
A01K85/00 301B
(21)【出願番号】P 2020213711
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】502109267
【氏名又は名称】株式会社デュエル
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイエリックユンハ
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-058144(JP,A)
【文献】実開平06-009459(JP,U)
【文献】実開昭59-107866(JP,U)
【文献】登録実用新案第3102853(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0066822(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0269113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/18
A01K 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、前記ボディの外面の一部の領域であって別途の餌を添える餌添付領域と、前記餌を前記餌添付領域に保持する保持手段と、を有し、
前記保持手段が、前記ボディの前後方向に間隔を開けて設けられた少なくとも2つ及び前記餌添付領域を挟んで幅方向両側に設けられた少なくとも2つの掛止突起と、前記幅方向両側の掛止突起に掛止することにより前記餌添付領域に被さり且つ前記餌を前記餌添付領域に押さえつける押さえ部材と、を有し、
前記押さえ部材が、枠部と、前記枠部の内側において開口を有しつつ前記枠部に連設された複数の架橋部と、を有し、伸縮可能な弾性体から形成され且つ前記ボディに対して着脱可能である、擬似餌。
【請求項2】
前記押さえ部材が、
前記ボディから取り外した状態で平坦状を成している、請求項1に記載の擬似餌。
【請求項3】
前記枠部の幅方向一方側には、前記掛止突起の頭部の外周長よりも小さい内周長を有し且つ前記係止突起に嵌め入れる孔部が形成され、前記枠部の幅方向反対側には、前記掛止突起の頭部の外周長よりも大きい開口が形成されている、請求項1または2に記載の擬似餌。
【請求項4】
前記餌添付領域の一部に、前記餌に係合する尖状凸部が設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の擬似餌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別途の餌を取り付けて使用する擬似餌に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボディと、ボディの上面に前後方向に沿って設けられた、生餌としての生魚が取り付けられる平坦部と、平坦部の前端部分であってボディの前部上面に設けられたヘッドカバーと、を有するエギ(擬似餌)が開示されている。
この特許文献1に記載の擬似餌は、ヘッドカバーに生餌の頭部を挿入しつつ生餌を平坦部に載せ、輪ゴム、針金、釣り糸などの紐状部材を生餌を含むボディに巻き付けることによって使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、生餌に紐状部材を巻き付けることは面倒である上、紐状部材を適度な強さで巻き付けることが難しいという問題点がある。具体的には、紐状部材を生餌に対して強く巻き付けると、生餌が紐状部材で分断される又は半切状態となることがあり、使用中に、生餌の全部又は一部が脱落するおそれがある。一方、紐状部材を生餌に弱く巻き付けると、使用中に、生餌がボディから抜け落ちるおそれがある。このような点を防止するためには、紐状部材を適度な強さで生餌に巻き付ける必要があるが、その加減が難しく、特に、初心者によってはより困難である。
また、一般に、釣りに用いられる生餌は冷凍されており、それを半解凍状態で擬似餌に取り付け、その生餌付きの擬似餌を水中に入れている間に、生餌が完全に解凍される。生餌が完全に解凍されるとその体積が小さくなるため、生餌が擬似餌から抜け落ち易くなる。このため、生餌が解凍された後の状態も予測して紐状部材を巻き付けなければならず、従来の擬似餌は、生餌を取り付けるために熟練を要する。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、比較的簡単に別途の餌を取り付けることができ、且つ、使用中、その餌が脱落し難い擬似餌を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の擬似餌は、ボディと、前記ボディの外面の一部の領域であって別途の餌を添える餌添付領域と、前記餌を前記餌添付領域に保持する保持手段と、を有し、前記保持手段が、前記ボディの前後方向に間隔を開けて設けられた少なくとも2つ及び前記餌添付領域を挟んで幅方向両側に設けられた少なくとも2つの掛止突起と、前記幅方向両側の掛止突起に掛止することにより前記餌添付領域に被さり且つ前記餌を前記餌添付領域に押さえつける押さえ部材と、を有し、前記押さえ部材が、枠部と、前記枠部の内側において開口を有しつつ前記枠部に連設された複数の架橋部と、を有し、伸縮可能な弾性体から形成され且つ前記ボディに対して着脱可能である。
【0007】
本発明の好ましい擬似餌は、前記押さえ部材が、前記ボディから取り外した状態で平坦状を成している。
本発明の好ましい擬似餌は、前記枠部の幅方向一方側には、前記掛止突起の頭部の外周長よりも小さい内周長を有し且つ前記係止突起に嵌め入れる孔部が形成され、前記枠部の幅方向反対側には、前記掛止突起の頭部の外周長よりも大きい開口が形成されている。
本発明の好ましい擬似餌は、前記餌添付領域の一部に、前記餌に係合する尖状凸部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の擬似餌は、押さえ部材を掛止突起に掛けることにより、別途の餌を餌添付領域に簡単に取り付けることができる。前記押さえ部材によって保持された前記餌は、擬似餌の使用中に脱落することもない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図7】ボディに押さえ部材を装着する過程を示す斜視図。
【
図8】ボディに押さえ部材を用いて餌を取付けた状態の擬似餌を示す斜視図。
【
図12】変形例に係る掛止突起を有するボディの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
また、本明細書において、「前方」は、擬似餌に結び付けられたミチ糸を水中で引いた際に擬似餌が進む側を指し、「後方」は、前方と反対側を指し、前方と後方を結んだ方向を「前後方向」という。また、本明細書において、「上方」は、前後方向と直交し且つ使用時(水中)の擬似餌を基準にして水面に近い側を指し、「下方」は、上方と反対側、即ち、使用時の擬似餌を基準にして水底に近い側を指し、上方と下方を結んだ方向を「上下方向」という。さらに、本明細書において、「幅方向」は、上下方向及び前後方向と直交する方向をいう。
【0011】
[擬似餌]
図1及び
図2を参照して、本発明の擬似餌1は、別途の餌(不図示)を添える餌添付領域2Aを有するボディ2と、その別途の餌をボディ2に取り付ける保持手段と、を有する。前記別途の餌は、本発明の擬似餌ではない別の餌をいう。以下、別途の餌を単に「餌」と称する場合がある。前記餌は、生きている状態の餌(活き餌)、死んでいるが加工されていない餌、加工された餌などが挙げられる。
保持手段は、前記ボディ2に設けられた複数の掛止突起3と、前記餌をボディ2に取り付ける押さえ部材5と、を有する。
図1及び
図2では、押さえ部材5をボディ2から完全に取り外した状態の擬似餌1を示している。
【0012】
図3乃至
図5は、擬似餌1のうち、ボディ2のみを表した図である。
図1乃至
図5を参照して、ボディ2は、本体部21と、釣り糸連結部22と、重り部23と、釣り針24と、を有する。
本体部21は、ボディ2の主要部であり、擬似餌1の外形をほぼ構成する。本体部21の形状は、対象魚(釣りの対象となる魚及び魚に類するものである。対象魚は、イカやタコなどを含む水中で生息する釣りの対象になるものの総称である)の種類によって適宜設定される。例えば、本体部21の形状は、小魚、昆虫、甲殻類などに似せた形状が挙げられる。図示例の本体部21(ボディ2)は、例えば、イカ(烏賊)を対象魚とするものであり、エビの外形を真似た形状に形成されている。イカはエビを好むため、エビの外形を真似た擬似餌1は、イカ釣り用として好適である。
本体部21の形成材料は特に限定されず、対象魚が擬似餌1に食いついても壊れない程度の機械的強度を有する材料が用いられる。このような材料としては、例えば、樹脂、木材、金属などが挙げられ、好ましくは樹脂が用いられる。特に、成形が容易であることから、ABS樹脂が好ましく用いられる。
本体部21は、中空状に形成されていてもよく、或いは、中実状に形成されていてもよい。図示例では、本体部21は、中空状に形成されている。また、本体部21の周囲には、生地211が貼り付けられている。
本体部21には、後述する掛止突起3の端部を嵌入する凹部212が形成されている。
【0013】
本体部21(ボディ2)の外面の一部の領域は、餌を添える餌添付領域2Aとされている。
餌添付領域2Aは、本体部21(ボディ2)の幅方向の一方側若しくはその反対側に、又は、本体部21(ボディ2)の上方若しくは下方に設けられていてもよい。
図示例では、本体部21(ボディ2)の上方の面の一部が、餌添付領域2Aとされている。
餌添付領域2Aは、全体的に略平坦状でもよく、或いは、略曲面状でもよい。餌を載せ易いことから、餌添付領域2Aは、図示例のように略平坦状の面であることが好ましい。
さらに好ましくは、前記餌添付領域2Aの一部に、餌に係合する尖状凸部25が設けられている。尖状凸部25は、餌添付領域2Aに添付した餌に係合することにより、餌のずれを防止する。尖状凸部25は、例えば、先の尖った点状の凸部からなり、餌添付領域2Aに少なくとも1箇所設けられている。図示例では、2つの尖状凸部25(第1及び第2の尖状凸部25,25)が設けられている。第1の尖状凸部25は、餌添付領域2Aの幅方向略中央部に設けられ、第2の尖状凸部25は、前記第1の尖状凸部25から前後方向に間隔を開けて設けられている。
【0014】
釣り糸連結部22は、例えば、本体部21の前方に設けられている。釣り糸連結部22は、釣り糸(ハリスなど)を結びつける部分であり、例えば、環状の金属からなる。
重り部23は、擬似餌1を水中において適度な深さに沈ませるためのウエイトである。重り部23の形成材料としては、例えば、鉛、銅、真鍮、タングステン、鉄などの金属類が挙げられる。
釣り針24は、例えば、本体部21の後方に設けられている。図示例では、傘状の釣り針24が本体部21の後方に固着されている。なお、このような固定式の釣り針24に代えて、本体部21の適宜な箇所に釣り針連結部を設け、この釣り針連結部にフック状の釣り針(例えばトレブルフックなど)を取り付けてもよい(図示せず)。また、釣り針24が設けられる位置は本体部21の後方に限られず、対象魚に応じてその位置を適宜変更することができる。
【0015】
前記ボディ2には、保持手段として掛止突起3が設けられている。
掛止突起3は、押さえ部材5をボディ2に取り付けるために、押さえ部材5を掛ける部分である。掛止突起3は、ボディ2の前後方向に間隔を開けて少なくとも2つ設けられ、さらに、ボディ2の餌添付領域2Aを挟んで幅方向両側に少なくとも2つ設けられている。従って、餌添付領域2Aを挟んで前後方向及び幅方向に間隔を開けて少なくとも一組一対(合計で少なくとも4つ)の掛止突起3が設けられている。各掛止突起3は、餌添付領域2Aの直近における幅方向両側に設けられている。
掛止突起3の数は、4つ以上であれば特に限定されないが、余りに多いと押さえ部材5をそれらに掛ける手間が増えることから、10以下が好ましく、8以下がより好ましい。
図示例では、6つの掛止突起3が設けられている。具体的には、ボディ2の幅方向の一方側において3つの掛止突起3が前後方向に間隔を開けて設けられ、且つ、ボディ2の幅方向の反対側において3つの掛止突起3が前後方向に間隔を開けて設けられている。
【0016】
各掛止突起3は、その端部を本体部21(ボディ2)の凹部212に嵌入することによってボディ2に取付けられている。必要に応じて、掛止突起3の端部と凹部212の間に、接着剤を介在させることにより、掛止突起3をボディ2に強固に固着できる。
各掛止突起3は、軸部31と、軸部31の端に形成された頭部32と、を有する。掛止突起3の軸部31は、押さえ部材5が引っ掛かる部分であり、掛止突起3の頭部32は、引っ掛けた押さえ部材5が不用意に脱落しないようにする部分である。頭部32は、軸部31の径外方向に突出されている。
前記頭部32の外周長32Wは、前記軸部31の外周長31Wよりも大きい。なお、前記頭部32の外周長32W及び軸部31の外周長31Wは、図示例のように頭部32が円盤状及び軸部31が円柱状である場合には、頭部32の直径及び軸部31の直径を意味する。図示しないが、頭部32及び軸部31が円形状(円盤状及び円柱状)でない場合には、前記頭部32の外周長32W及び軸部31の外周長31Wは、それぞれの円相当径をいう。また、頭部32の外周長32W及び軸部31の外周長31Wが軸方向において均等でない場合には、前記頭部32の外周長32W及び外軸部31の外周長31Wは、それぞれ、その最大値をいう。
掛止突起3の軸部31を幅方向と略平行にして、各掛止突起3は、ボディ2の側方に突出されている。
【0017】
図1、
図2及び
図6を参照して、押さえ部材5は、餌を餌添付領域2Aに押さえつけるための部材である。押さえ部材5は、その部材の一部分を幅方向両側の掛止突起3に掛止することによって餌添付領域2Aに被さり、餌添付領域2Aに載せられた餌を押さえつける。換言すると、押さえ部材5の一部分を、餌添付領域2Aを挟んで設けられた幅方向両側の掛止突起3にそれぞれ掛止することにより、押さえ部材5がボディ2の幅方向に架け渡される。餌添付領域2Aの幅方向に架け渡された押さえ部材5によって、餌が餌添付領域2Aに保持される。
【0018】
押さえ部材5は、例えば、枠部51と、前記枠部51の内側において開口53を有しつつ前記枠部51に連設された複数の架橋部52と、を有する。枠部51と架橋部52は、一体的に形成されていてもよく、或いは、それぞれ別体からなり且つ接着剤などの適宜な接合手段によって接合されていてもよい。図示例では、枠部51と架橋部52は、一体的に形成されている。
また、押さえ部材5の形成材料は、特に限定されない。押さえ部材5をボディ2に装着し易く且つ餌に十分に密着して餌を保持できることから、押さえ部材5は、伸縮可能な弾性体から形成されていることが好ましい。前記弾性体としては、ゴム(ゴムには、熱可塑性エラストマーなどの各種エラストマーも含まれる)、スプリングバネなどが挙げられるが、所望の形状に簡単に形成できることから、ゴムが好ましい。
ゴムとしては、特に限定されず、例えば、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレン(CR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴムなどのゴム類;ポリエチレン系エラストマーなどのオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー、酢酸ビニル系エラストマー、シリコーン系エラストマーなどのエラストマー類;などが挙げられる。
【0019】
枠部51は、所定幅の帯が略額縁状に繋がった形状であり、その枠部51の外形は、平面視略矩形状(略長方形状)に形成されている。具体的には、枠部51は、押さえ部材5をボディ2に装着した際にボディ2の前後方向に沿って延在する左右一対の横帯511と、押さえ部材5をボディ2に装着した際にボディ2の幅方向に沿って延在する一対の縦帯512と、からなり、前記横帯511と縦帯512が連設されて平面視で略額縁状に形成されている。枠部51の幅51W(横帯511及び縦帯512の幅)は、特に限定されないが、余りに小さいと餌に食い込み過ぎるおそれがあることから、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。
枠部51の幅方向一方側には、掛止突起3に嵌め入れる孔部54が形成されている。つまり、枠部51の一方の横帯511には、掛止突起3に嵌め入れる孔部54が形成されている。前記孔部54は、幅方向一方側に設けられた掛止突起3に対応してそれぞれ設けられている。図示例のように、ボディ2の幅方向の一方側において3つの掛止突起3が間隔を開けて設けられている場合、枠部51の一方の横帯511に、前記間隔を開けて3つの孔部54が形成される。
必要に応じて、枠部51の反対側の横帯511(枠部51の幅方向反対側)にも、掛止突起3に嵌める孔部が形成されていてもよい(図示せず)。押さえ部材5をボディ2に装着し易くなるので、(枠部51の反対側の横帯511には孔部54を形成せず)枠部51の幅方向反対側は、図示例のように、横帯511のままであることが好ましい。この場合、前記枠部51の反対側の横帯511が画成する開口53(
図1、
図2及び
図6において、反対側の横帯511が画成する開口に、符号53aを付している)は、掛止突起3の頭部32の外周長32Wよりも十分に大きいことが好ましい。かかる開口53aに臨む横帯511は、容易に掛止突起3を越えることができ、掛止突起3に容易に引っ掛けることができる。
【0020】
前記孔部54の内周長54Wは、特に限定されない。掛止突起3の軸部31に嵌め入れた孔部54が当該軸部31から抜け難くする観点から、孔部54の内周長54Wは、掛止突起3の頭部32の外周長32Wよりも小さいことが好ましい。弾性体からなる押さえ部材5においては孔部54の内周長54Wを伸長させることができるので、前記孔部54の内周長54Wの下限値は、軸部31の外周長31Wよりも小さくてもよい。ただし、余りに小さいと孔部54を軸部31に嵌め入れる際に、孔部54を大きく伸長させなければならないので、この点を考慮すると、孔部54の内周長54Wは、軸部31の外周長31Wと同じ又はそれより少し小さい若しくは少し大きいことが好ましい。なお、孔部54の内周長54Wは、孔部54の直径であり、孔部54が円形状でない場合には、前記孔部54の内周長54Wは、円相当径をいう。
具体的には寸法を例示すると、軸部31の外周長31W:約5mm、頭部32の外周長32W:約6mm、孔部54の内周長54W:約4mmなどを例示できる。もっとも、この具体的な寸法に限定されるわけではない。
【0021】
架橋部52は、枠部51の内側に配置され、架橋部52の端が枠部51の内端に連設されている。例えば、架橋部52は、所定幅の帯からなる。架橋部52の幅52Wは、特に限定されないが、余りに小さいと餌に食い込み過ぎるおそれがあることから、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。
複数の架橋部52が枠部51の内側において開口53を有しつつ連設されている。つまり、複数の架橋部52が、それぞれ独立して、又は、一部分において連設された状態で、枠部51の内側に連設されている。前記開口53は、隣接する架橋部52の間、及び/又は、架橋部52と枠部51の間に形成された開放部分をいう。
複数の架橋部52が、枠部51の内側において開口53を有しつつ前記枠部51の横帯511及び縦帯512に連設されていることにより、その複数の架橋部52が、枠部51内において恰も網目状を成している。なお、この恰も網目状という用語は、規則的な網目状の他、不規則な網目状を含む意味である。不規則な網目状としては、図示のように、開口53の形状、大きさ及び配置が異なり且つ架橋部52の幅が異なる網目状が挙げられる。
【0022】
ゴムからなる押さえ部材5は、例えば、ゴムの成形品、シートの打ち抜き加工(切り抜き加工を含む)などによって形成できる。簡易に形成できることから、押さえ部材5は、前記ゴムシートの打抜き加工品を用いることが好ましい。
押さえ部材5の厚み5Wは、特に限定されず、例えば、0.1mm~1.5mmであり、好ましくは0.15mm~0.8mmである。
【0023】
[擬似餌の使用]
本発明の擬似餌1は、例えば、次のようにして使用される。
図7に示すように、ボディ2の幅方向一方側の複数の掛止突起3に、押さえ部材5の複数の孔部54(対応する孔部54)をそれぞれ嵌め入れる。孔部54を掛止突起3の軸部31に装着することにより、押さえ部材5から手を離しても、押さえ部材5の一方側の横帯511がボディ2から離れることがない。
次に、ボディ2の餌添付領域2Aに餌9を載せる。餌9としては、上述のように、生きている状態の餌(活き餌)、死んでいるが加工されていない餌、加工された餌などが挙げられる。活き餌としては、小エビ、小イワシなどが挙げられる。死んでいるが加工されていない餌としては、冷凍や冷蔵で保存された、キビナゴ、イカナゴ、イワシ、ドジョウ、オキアミ、アサリ、魚の切り身などが挙げられる。加工された餌としては、いわゆる人工エサ、いわゆるワーム類(軟質樹脂などを魚などの形状に形成したもの)などが挙げられる。図示例では、冷凍のキビナゴ(餌9)を半解凍し、そのキビナゴを餌添付領域2Aに載せた状態を表している(なお、餌9は二点鎖線で表している)。
餌添付領域2Aには尖状凸部25が設けられているので、載せられた餌9は尖状凸部25によって位置決めされる。
最後に、押さえ部材5の枠部51の幅方向反対側(反対側の横帯511)を指先で摘まみ、幅方向反対側の掛止突起3に引っ掛ける。掛止突起3が、ボディ2の前後方向に間隔を開けて3つ以上設けられている場合には、最前方及び最後方の掛止突起以外の掛止突起3(図示例では、真ん中の掛止突起3)に押さえ部材5を引っ掛けることができる。その後、押さえ部材5の枠部51の幅方向反対側(反対側の横帯511)を、最前方及び最後方の掛止突起3に引っ掛けることにより、
図8及び
図9に示すように、押さえ部材5をボディ2に装着できる。押さえ部材5の枠部51の幅方向反対側を、先ず最前方及び最後方の掛止突起3以外の掛止突起3に引っ掛けた後、最前方及び最後方の掛止突起3に引っ掛けることにより、押さえ部材5を歪めることなく、綺麗に装着できる。
また、押さえ部材5の枠部51の反対側は、(孔部を有さず)横帯511であるので、掛止突起3に容易に引っ掛けることができる。
【0024】
図8及び
図9を参照して、ボディ2の餌添付領域2Aに載せられた餌9には、押さえ部材5が被さっている。つまり、餌9は、餌添付領域2Aと押さえ部材5の間に挟持されており、特に、押さえ部材5が弾性体からなるので、十分に挟持されている。このため、餌9を取り付けた擬似餌1を水中に投入して使用しても、その餌9がボディ2から脱落することがない。なお、押さえ部材5は、開口53を有するので、その開口53から餌9が露出するので、対象魚に餌9をアピールできる。
本発明の擬似餌1は、別途の餌9を餌添付領域2Aに簡単に取り付けることができる。特に、押さえ部材5が弾性体からなる場合、押さえ部材5の装着も容易であり且つ装着後に押さえ部材5によって餌9が確実に餌添付領域2Aに保持されるようになる。
【0025】
[変形例]
次に、本発明の変形例を説明するが、その説明に於いては、主として上述の実施形態と異なる構成及び効果について説明し、同様の構成などについては、用語又は符号をそのまま援用し、その構成の説明を省略する場合がある。
図10及び
図11は、様々な変形例に係る押さえ部材5を示している。
押さえ部材5は、
図10(a)に示すような開口53を有するものでもよい。また、押さえ部材5は、
図10(b)及び(c)に示すように、ボディ2の幅方向及び前後方向に延在する架橋部52が枠部51の内側に連設されたものでもよい。さらに、押さえ部材5は、
図11(a)及び(b)に示すように、ボディ2の幅方向に延在する架橋部52のみが枠部51の内側に連設されたものでもよい。さらに、押さえ部材5は、
図11(c)に示すように、ゴムシートなどのシート材の面内に複数の平面視略円形状などの開口53が形成されることによって、枠部51及び架橋部52が形成されているものでもよい。
また、
図11(d)に示すように、押さえ部材5は、枠部51と、前記枠部51の内側に規則的な網目状のネット521(架橋部52の一態様)が連設されているものでもよい。このネットは、ゴム紐のような弾性体から形成されていてもよく、或いは、組紐やモノフィラメントなどの非弾性の紐状体から形成されていてもよい。
【0026】
また、上記実施形態では、掛止突起3の頭部32は、軸部31の軸周り全体において径外方向に突出されているが、例えば、
図12に示すように、掛止突起3の頭部32が、軸部31の軸周りのうち一部分から突出されていてもよい。
図12の掛止突起3は、軸部31が四角柱状であり、頭部32が、軸部31の端から下方に向かって突出されている。
【0027】
さらに、上記実施形態では、本体部21(ボディ2)に凹部212を形成し、この凹部212に掛止突起3の軸部31を嵌め入れることによってボディ2に掛止突起3が取付けられているが、これに限定されない。例えば、
図13に示すように、本体部21(ボディ2)に凸部213を形成し、この凸部213に掛止突起3の軸部31を取付けてもよい。この場合、掛止突起3の軸部31の内部に、前記凸部213に嵌め入れる凹部313が形成される。
【符号の説明】
【0028】
1 擬似餌
2 ボディ
2A 餌添付領域
25 尖状凸部
3 掛止突起
31 掛止突起の軸部
32 掛止突起の頭部
5 押さえ部材
51 押さえ部材の枠部
52 押さえ部材の架橋部
53 押さえ部材の開口
9 別途の餌