(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】机天板拡張器具
(51)【国際特許分類】
A47B 17/03 20060101AFI20240905BHJP
A47B 41/02 20060101ALI20240905BHJP
A47B 21/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A47B17/03
A47B41/02
A47B21/00 Z
(21)【出願番号】P 2021031288
(22)【出願日】2021-02-27
【審査請求日】2024-01-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.令和3年2月15日に株式会社内田洋行から発刊された「教育用品通販カタログUCHIDAS 2021Vol.15」にて公開 2.令和3年2月15日に株式会社内田洋行から発刊された「GIGA UCHIDA/S」にて公開 3.令和3年2月15日に株式会社内田洋行のウェブサイトである「教育用通販サイトUCHIDAS」にて公開[リンク先URL]http://www.uchidas.net/shop/g/g86177118/ http://www.uchidas.net/shop/g/g86177119/ (令和3年3月5日検索)
(73)【特許権者】
【識別番号】524029208
【氏名又は名称】株式会社ティーファブワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100181490
【氏名又は名称】金森 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】高松 基広
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-20526(JP,U)
【文献】特開2013-248354(JP,A)
【文献】特開2005-118508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0038164(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 17/03
A47B 41/02
A47B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
机の天板の面積を拡張させるために用いられる机天板拡張器具であって、
前記天板の長辺の長さと略同一の横幅と、前記天板の少なくとも奥行を所定距離延長させる程度の奥行幅と、少なくとも前記天板の厚さと略同一の厚さとを有する主拡張部と、
前記主拡張部の横幅方向の各端部に取付けられ得る一対の支持部と、を備え、
前記主拡張部の奥行方向の手前側に位置する後縁部に、前記天板の長縁部と嵌合され得る嵌合溝が設けられており、
前記支持部の内側に、前記主拡張部の前記端部に接続され得る接続部と、該接続部に対して並列に配置され、前記天板の横幅方向の側縁部に係合され得る係合溝とが設けられており、
前記嵌合溝は、前記天板の厚みと略同一の溝幅と、少なくとも前記天板の前記長縁部を把持し得る程度の深さとを有し、
前記係合溝は、前記嵌合溝の溝幅と略同一の溝幅と、少なくとも前記天板の前記側縁部を把持し得る程度の深さとを有する
机天板拡張器具。
【請求項2】
前記嵌合溝は、前記後縁部の少なくとも一部と、前記主拡張部の上面に対して略面一に連なるように前記後縁部から手前方向に延在してなる第1延在部と、前記後縁部の高さ方向における略中央部から手前方向に延在し、かつ、前記第1延在部に対して略平行に配置されてなる第2延在部とからなる
請求項1に記載の机天板拡張器具。
【請求項3】
前記係合溝は、前記支持部の上面に対して略面一に連なるように前記支持部の内縁部から前記主拡張部の横幅方向に対して略平行な方向に延在する第1係合部と、前記内縁部から前記主拡張部の横幅方向に対して略平行な方向に延在し、前記第1係合部に対して略平行に配置される第2係合部とからなり、
前記係合溝は、前記第1係合部と前記第2係合部との間に亘って前記内縁部に沿うようにして互いに並列に配置され得る複数の補強リブを有する
請求項1または2に記載の机天板拡張器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机天板拡張器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校等で使用されている教室用机が知られている。この教室用机の天板のサイズは、現在のJIS規格(S1021:2011)によれば、幅が600mm、650mm、700mm又は750mm、奥行が450mm又は500mmである。このうち幅が600mm若しくは650mmで奥行が450mmの天板の教室用机を採用している小中学校が大半を占めている。
【0003】
一人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するという目的の元に掲げられているGIGAスクール構想が知られている(文部科学省リーフレット「GIGAスクール構想の実現へ」参照)。これに伴い、例えば小中学校等の授業において、ノートパソコンやタブレット端末等(以下の説明では、これらの情報端末を代表して「ノートパソコン」を用いる。)の利用シーンが多くなってきている。この場合、教室用机の天板上には、教科書やノートなどに加え、ノートパソコンが置かれることになる。そして、一般には、教室用机の天板には、児童が座る手前側に教科書及びノート類が置かれ、奥側にノートパソコンが置かれることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】asondemita,“学校の「机が狭い問題」を解決しないとGIGAスクールのPCは文鎮化する?”,[online],令和2年10月19日,Hatena Blog,asondemita’s dialy,[令和3年2月19日検索],インターネット<URL:http://asondemita.hatenablog.com/entry/2020/10/19/081217>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、教室用机の天板の手前側に教科書やノートを拡げ、奥側にノートパソコンを載置する場合、天板の後縁等からノートパソコンがはみ出してしまう事象が発生している。これは、天板の面積(横幅×奥行)に対して、教科書、ノート及びノートパソコンが占める領域が大きい、言い換えれば、従来の教室用机の天板が、教科書やノートに加えてノートパソコンを載置する仕様(規格サイズ)でつくられていないことに起因する。
【0006】
かかる問題は、現状の教室用机を、その天板の面積が拡幅された教室用机に変更することによって解決されると考えられる。しかしながら、上記JIS規格の教室用机をほとんど採用している小中学校等において、すべての教室用机を、ノートパソコンを載置可能な十分な広さ(面積)の天板を備えた教室用机に変更するには、膨大なコストと時間が必要となり現実的ではない。
【0007】
そうすると、現在使用されている教室用机を使用しつつ、ノートパソコンを天板に載置する場合、天板の後縁からノートパソコンがはみ出してしまう事態を避けることは困難である。また、天板の後縁からノートパソコンをはみ出したままの状態では、児童が教科書等をずらしたような場合に、教科書がノートパソコンに接触し、ノートパソコンが天板から落下して破損するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の発明者は、極めて安価かつ簡単に教室用机の天板のサイズを拡張可能な器具として、MDF材(中密度繊維板)を加工してなる拡張器具を作製した(非特許文献1参照)。これによって、ノートパソコンが天板から落下するのを防止することができる。
【0009】
一方で、上記拡張器具によって天板のサイズが拡張され得るところ、天板の後縁から外側に拡張器具が突き出してしまう事象が発生する(非特許文献1参照)。この場合、その教室用机の後縁側を児童が通るときに、拡張器具と共にノートパソコンを引っ掛けてしまい、そのはずみでノートパソコンが落下するおそれがある。
【0010】
また、例えば小中学校等においては、給食やグループワークの際に教室用机の後縁側同士を密着させることがあるが、上記のような拡張器具が取り付けられた状態では、教室用机の後縁側同士をくっつける際に当該拡張器具が邪魔になってしまう。
【0011】
また、上記拡張器具のバリエーションの中に、使用する時以外には、邪魔になるため折り畳まれる構造(以下「折り畳み構造」という。)の拡張器具があるが、折り畳み構造の拡張器具は生徒が指を挟む可能性があり安全とは言えない。
【0012】
さらに、小中学校等の教育現場では、児童が教室用机を持って移動したり、2つの教室用机を2段重ねに積み上げたりすることがある。教室用机の後縁側に上記のような拡張器具が取り付けられた状態において、誤って教室用机を倒すと破損や児童が怪我をするおそれがある。そのため、教室用机を倒しても壊れにくい強度や机を2段重ねに積み上げ可能な構造が求められ得る。
【0013】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、簡便に天板に取り付けられ、小中学校等における教室用机の一般的な使用を妨げることがなく、安全で、かつ、所望の耐久性が維持され得る机天板拡張器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、机の天板の面積を拡張させるために用いられる机天板拡張器具であって、天板の長辺の長さと略同一の横幅と、天板の少なくとも奥行を所定距離延長させる程度の奥行幅と、少なくとも天板の厚さと略同一の厚さとを有する主拡張部と、主拡張部の横幅方向の各端部に取付けられ得る一対の支持部と、を備え、主拡張部の奥行方向の手前側に位置する後縁部に、天板の長縁部と嵌合され得る嵌合溝が設けられており、支持部の内側に、主拡張部の端部に接続され得る接続部と、該接続部に対して並列に配置され、天板の横幅方向の側縁部に係合され得る係合溝とが設けられており、嵌合溝は、天板の厚みと略同一の溝幅と、少なくとも天板の長縁部を把持し得る程度の深さとを有し、係合溝は、嵌合溝の溝幅と略同一の溝幅と、少なくとも天板の側縁部を把持し得る程度の深さとを有する机天板拡張器具を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の机天板拡張器具によれば、簡便に天板に取り付けられ、小中学校等における教室用机の一般的な使用を妨げることがなく、安全で、かつ、所望の耐久性が維持され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を示す概略斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を構成する各部に分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を教室用机の後縁に取り付ける前の状態を示す装着前斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を教室用机の後縁に取り付けた後の状態を示す装着後斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を構成する主拡張部の概略斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を構成する支持部の概略斜視図(上視図)である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を構成する支持部の概略斜視図(下視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。また、本明細書に添付した図面においては、理解を容易にするために、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更したり、誇張したりしている場合がある。
【0018】
[机天板拡張器具の概略構成について]
図1Aは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を示す概略斜視図である。本実施形態における机天板拡張器具1は、主拡張部11と、一対の左支持部12
L及び右支持部12
Rとを有する(
図1A参照)。左支持部12
Lと右支持部12
Rとは左右対称に形成されており、主拡張部11の左右端部(側縁部)に取付けられ得る。本実施形態における机天板拡張器具1は、教室用机の天板の面積(とりわけ本実施形態においては机の奥行)を拡張するために用いられ得る。
【0019】
以下、本明細書において、机天板拡張器具1の前後縁部に沿う方向を机天板拡張基部1の「横幅方向」(矢印SDにより示される方向)とし、机天板拡張器具1の左右側縁部(端部)に沿う方向を机天板拡張器具1の「奥行方向」(矢印DPにより示される方向)とする(
図1A参照)。
【0020】
図1Bは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を構成する各部に分解した状態を示す分解斜視図である。左支持部12
Lは主拡張部11の左端部(左側縁部)に取付けネジ14
L1及び14
L2により取り付けられ、右支持部12
Rは主拡張部11の右端部(側縁部)に取付けネジ14
R1及び14
R2により取り付けられる(
図1B参照)。
【0021】
左支持部12Lと右支持部12Rとを主拡張部11に取付ける方法としては、上記の取付けネジ14R1及び14R2による方法に限定されるものではなく、構造物同士を互いに接続可能にし得る公知の接続技術であればよい。また、主拡張部11と、左支持部12L及び右支持部12Rとは、本実施形態のように物理的に分離可能な別々の構成でなくてもよく、主拡張部11と、左支持部12L及び右支持部12Rとが一体成形されてなるものであってもよい。
【0022】
符号13
L1、13
L2、13
R1、13
R2で示される各部材は、左支持部12
Lに設けられる固定用穴(12
LS1、12
LS2)及び右支持部12
Rに設けられる固定用穴(12
RS1、12
RS2)を介して机天板拡張器具1を教室用机に固定させるために用いられる固定用ネジである(
図1B参照)。なお、ここでの「固定」とは、主拡張部11に、左支持部12
L及び右支持部12
Rが取り付けられた状態の机天板拡張器具1を教室用机の天板に装着したときに、机天板拡張器具1と教室用机の天板との間にすき間が生じるような場合に、机天板拡張器具1にがたつきが出ないようにすることを意味する。
【0023】
机天板拡張器具1の材質としては、例えばABS樹脂等のプラスチック材料が好適に採用され得るところ、これに限定されるものではなく、量産を目的としない限りにおいて例えばアルミニウム材料やスチール材料を採用してもよい。
【0024】
[机天板拡張器具の使用方法について]
図2Aは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を教室用机の後縁に取り付ける前の状態を示す装着前斜視図である。
図2Bは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を教室用机の後縁に取り付けた後の状態を示す装着後斜視図である。
【0025】
本実施形態における机天板拡張器具1が好適に装着され得る教室用机としては、奥行きが450mm、横幅が600mm若しくは650mmの天板を有し(JISS1021:2011参照)、板厚が18mm~20mm程度である教室用机が挙げられる。以下の説明では、かかるサイズの教室用机Dを例として用いる。
【0026】
図2Aに示されるように、本実施形態における机天板拡張器具1を使用する際には、教室用机Dの天板DTの奥行方向の前方に位置する長縁部DT
Eに机天板拡張器具1の溝(嵌合溝11
Z及び係合溝12
Z)をはめ込ませるようにして取り付ける(
図2A参照)。これにより、教室用机Dの天板DTの面積とりわけ奥行を簡便に拡張させることができる(
図2B参照)。
【0027】
[主拡張部について]
図3Aは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を構成する主拡張部の概略斜視図である。主拡張部11は、教室用机Dの天板DTの長辺の長さと略同一幅の横幅と、天板DTの奥行を所定距離延長させる程度の奥行幅と、天板DTの厚みを含む所望の高さとを有する。主拡張部11において、その上面から見た場合の形状が略長方形状である。なお、主拡張部11の横幅や奥行幅や高さは、教室用机Dの天板DTのサイズに応じて適宜設定され得る。
【0028】
図3Bは、
図3AにおけるA-A’切断部端面図である。主拡張部11の断面あるいは左右端部(側縁部)の形状は略台形であり、主拡張部11は断面視中空構造である。主拡張部11における奥行方向における一方の端部を前縁部11
EFとし、他方の端部を後縁部11
EBとすると、前縁部11
EF及び後縁部11
EBの各上端が拡張部11
Fに連続しており、前縁部11
EF及び後縁部11
EBの各下端が底面部11
Bに連続している。
【0029】
後縁部11EBの高さは前縁部11EFの高さの約2倍である。これに起因し、主拡張部11の高さは前縁部11EFから後縁部11EBにかけて次第に大きくなっている。なお、本発明における主拡張部11の断面形状としては略台形に限定されるものではなく、例えば略長方形状等でもよい。すなわち、後縁部11EBの高さと前縁部11EFの高さとが略同一であってもよく、主拡張部11の高さも均一であってよい。
【0030】
主拡張部11は、机天板拡張器具1を教室用机Dに装着させた際に天板DTの拡張面をなす拡張部11
Fと、教室用机Dの前方長縁部DT
Eに嵌合される嵌合溝11
Zと、落下防止壁11
Gとを有する(
図3A参照)。
【0031】
主拡張部11は、横幅方向に沿って、前縁と後縁との略中央に補強用のリブ11
Rを有する(
図3B参照)。これにより、仮に拡張部11
Fに応力Gがかかっても主拡張部11が破損し難くなる。
【0032】
さらに、主拡張部11は、左端部(左側縁部)から右端部(側縁部)に亘って、上述の取付けネジ14
L1及び14
L2、並びに、取付けネジ14
R1及び14
R2によって左支持部12
L及び右支持部12
Rを取り付けるための取付穴11
SB及び11
SFを有する(
図3A参照)。なお、各取付穴については、左支持部12
L及び右支持部12
Rが上記各取付けネジを用いることなく主拡張部11に取付けられ得る限りにおいて、本発明における効果を発揮する上では必須の構成ではない。
【0033】
上面視略長方形状である拡張部11Fのサイズとしては、教室用机Dの天板DTのサイズが上述のサイズ(奥行:450mm、横幅:650mm)の場合、奥行幅が100mm、横幅が約520mmであるのが好ましい。一方で、教室用机Dの天板DTの奥行や横幅に応じて、拡張部11Fの奥行幅や横幅は適宜設定され得る。
【0034】
嵌合溝11
Zは、後縁部11
EBの少なくとも一部と、第1延在部11
Tと、第2延在部11
Mとから構成されている(
図3A参照)。第1延在部11
Tは、主拡張部11の拡張部11
F(上面)に対して略面一に連なるように主拡張部11の後縁部11
EBの上部から手前方向に延在している(
図3A参照)。第1延在部11
Tには、後縁部11
EB側から手前側先端にかけて緩やかに傾斜が設けられている(
図3B参照)。この傾斜は、本実施形態における机天板拡張器具1を教室用机Dの天板DTに装着して使用する場合に、天板DTにノートパソコン等を安定して載置するために設けられ得る。
【0035】
第2延在部11Mは、後縁部11EBの略中央部の高さ方向における略中央部から手前方向に延在し、第1延在部11Tと略平行に配置されている。第1延在部11Tと第2延在部11Mとにより嵌合溝11Zが形成され得る。また、本実施形態において、第1延在部11Tの奥行方向の幅は、第2延在部11Mの奥行方向の幅の約2倍に設定されているが、これに限定されるものではなく、机Dや天板DTの構造に応じて適宜設定され得る。嵌合溝11Zは、教室用机Dの天板DTの厚みと略同一の溝幅と、天板DTの長縁部DTEを把持し得る程度の深さを有する。本実施形態における嵌合溝11Zの深さは約10mmに設定されているところ、これに限定されるものではなく、教室用机Dの天板DTの上記長縁部DTE等のサイズに応じて適宜設定され得る。また、本実施形態における嵌合溝11Zの溝幅は、一般的に使用されている教室用机Dの天板DTの板厚である18mm~20mmに合わせて設定されているが、これに限定されるものではなく、上記板厚に応じて適宜設定され得る。
【0036】
落下防止壁11Gは、本実施形態における机天板拡張器具1を教室用机Dの天板DTに装着させて、天板DT及び机天板拡張器具1の拡張部11Fにノートパソコン等を載置した場合に、ノートパソコンが机上から落下しないようにするための防御壁である。
【0037】
また、嵌合溝11Zを構成する後縁部11EBが主拡張部11の横幅方向に亘って連続して存在している。これにより、嵌合溝11Zに天板Dを嵌合させて机天板拡張器具1を使用する際に、例えば教室用机Dが誤って後方に転倒したような場合でも、前縁部11EFが床から受けた衝撃を、後縁部11EBが均一に天板DTの長縁部DTEに伝えるため、机天板拡張器具1が壊れにくい構造が実現され得る。
【0038】
[支持部について]
図4Aは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を構成する支持部の概略斜視図(上視図)である。
図4Bは、本発明の実施形態に係る机天板拡張器具を構成する支持部の概略斜視図(下視図)である。なお、左側の支持部12
Lと右側の支持部12
Rは、左右対称形状であることから、以下では、左側の支持部12
Lについて説明し、右側の支持部12
Rについての説明を省略する。
【0039】
支持部12
Lは、上面部12
LFと、上面視が略L字状の外縁部12
OEと、底面部12
LBとからなり、奥行方向手前側の断面視形状が略コの字形状をなしている(
図4A及び
図4B参照)。また、外縁部12
OEは上面部12
LFを境界に上方に突出しており、該突出した部分が落下防止用の防御壁12
LGをなしている(
図4A参照)。なお、防御壁12
LGの奥側のコーナーや手前側端部12
LGFには丸み処理が施されている。これにより、机天板拡張器具1が取り付けられた机Dを使用する生徒等がケガをしないようにすることができる。
【0040】
上面部12
LFと外縁部12
OEと底面部12
LBとからなる支持部12
Lの内部に、主拡張部11の左側の端部(側縁部)に接続される接続部12
LCNと、接続部12
LCNとに対して並列に配置され、天板DTの横幅方向の側縁部に係合され得る係合溝12
Zとが形成されている(
図4A、
図4B参照)。
【0041】
底面部12
LBは手前側底面部12
LB1と奥側底面部12
LB2とで構成されており、支持部12
Lの側面視において、奥側底面部12
LB2が、手前側底面部12
LB1と連続する境界部12
LCから後縁側端部にかけて傾斜している(
図4A参照)。この傾斜により、支持部12
Lを主拡張部11に接続する際に、主拡張部11の底面部11
Bに好適に接続され得る。
【0042】
接続部12
LCNは、奥側底面部12
LB2と、この奥側底面部12
LB2に対応する上面部12
LFと、外縁部12
OEとに囲まれてなり、接続部12
LCN内に、補強ブロック12
LMが設けられている(
図4A、
図4B参照)。これにより、支持部12
Lの上面部12
LFにかかる応力を分散させることができる。なお、補強ブロック12
LMの一部が上面部12
LF及び底面部12
LBの各端面より外方に突出している。これにより、接続部12
LCNを介して支持部12
Lを主拡張部11に接続させやすくすることができる。また、接続部12
LCNには、上述の取付けネジ14
L1、14
L2が挿入され得るネジ穴12
LH1、12
LH2が設けられている。
【0043】
係合溝12
Zは、手前側底面部(第2係合部)12
LB1と、この手前側底面部12
LB1に対応する上面部12
LF(第1係合部12
LT)と、外縁部12
OEとに囲まれてなり、主拡張部11の嵌合溝11
Zと略同一幅の溝幅と、天板DTの側縁部を把持し得る程度の深さとを有する(
図4A、
図4B参照)。すなわち、係合溝12
Zの溝幅は天板DTの厚さと略同一であり、係合溝12
Zの深さとしては約20mmに設定され得る。
【0044】
第1係合部12
LTは、支持部12
Lの上面部12
LFに対して略面一に連なるように支持部12
Lの内縁部から主拡張部11の横幅方向に対して略平行な方向に延在する(
図4A参照)。第2係合部12
LB1は、支持部12
Lの内縁部から主拡張部11の横幅方向に対して略平行な方向に延在し、第1係合部12
LTに対して略平行に配置されている(
図4A参照)。また、第1係合部12
LTの手前内側のコーナー12
LTRは丸み処理が施されている。これにより、机天板拡張器具1が取り付けられた机Dを使用する生徒等がケガをしないようにすることができる。
【0045】
係合溝12
Zは、第1係合部12
LTと第2係合部12
LB1はとの間に亘って支持部12
Lの内縁部に沿うように複数の補強リブ12
LRを有する(
図4B参照)。複数の補強リブ12
LRは、支持部12
Lの内縁部において互いに並列に配置されている(
図4B参照)。
【0046】
支持部12L(支持部12R)の上記構成により、支持部12L及び支持部12Rが主拡張部11に接続されてなる机天板拡張器具1を机Dの天板DTに装着させて使用する場合に、机天板拡張器具1が天板DTに強固に装着され得ると共に、机天板拡張器具1に(例えば45kg程度の)負荷がかけられたとしても、壊れない程度の所望の耐久性が発揮され得る。
【0047】
また、上述の本実施形態における机天板拡張器具1は、例えば折り畳み構造の拡張器具等のような生徒が誤って指等を挟むおそれのある構造と異なり、教室用机Dの天板DTに装着されている状態において、主拡張部11の嵌合溝11Zや支持部12の係合溝12Zを介して天板DTの長縁部DTEに略すき間なくはまり込む、簡便な構造であるため、その使用時に生徒が誤って指等を挟むおそれがなく安全である。
【0048】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。上述の本実施形態においては、主として教室用机の天板を例として用いて机天板拡張器具について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば事務用机の天板や会議用机の天板などにも本発明の机天板拡張器具を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…机天板拡張器具
11…主拡張部
11Z…嵌合溝
12L,12R…支持部
12Z…係合溝