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特許7549921耕うん同時畝立て播種機及び耕うん同時畝立て播種方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】耕うん同時畝立て播種機及び耕うん同時畝立て播種方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 49/06 20060101AFI20240905BHJP
   A01C 7/08 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A01B49/06
A01C7/08 310Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023086574
(22)【出願日】2023-05-26
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】523032490
【氏名又は名称】今井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】今井 俊之
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第5457899(JP,B2)
【文献】特開2011-139670(JP,A)
【文献】実開昭62-080508(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 49/06
A01C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタにロータリ耕耘装置が昇降自在に装着され、このロータリ耕耘装置に複数の播種機が装着され、前記播種機に回動自在に枢支された平行リンクの後端には揺動フレームが枢結されると共に、前記平行リンクの対角線上には付勢バネが介装され、下方に回動するように付勢された前記揺動フレームに付設された作溝ディスクと覆土ディスクと鎮圧輪が、畝表面の凹凸に従って、平行リンクが下方に付勢された状態で回動しながら上下動する耕うん同時畝立て播種機において、前記複数の播種機は少なくとも中央の播種機と、その中央の播種機の左右に配置される播種機を含み、その中央の播種機と、その中央の播種機の左右に配置される播種機それぞれの平行リンクの対角ピン間を繋ぐワイヤを設け、前記中央の播種機の前記ワイヤを前記トラクタの昇降駆動ユニットによる3点リンク機構の昇降駆動を操作する操作機構に連結すると共に、前記中央の播種機と、その中央の播種機の左右に配置される播種機それぞれの平行リンクの対角ピン間を繋ぐワイヤをセンサに結線し、そのセンサに配線された信号ケーブルを前記トラクタに配置されるモニタに配線してなり、前記センサは中央の播種機と、その中央の播種機の左右に配置される播種機それぞれの平行リンクの上下作動ポジションを検知して前記モニタに表示することができることを特徴とする耕うん同時畝立て播種機。
【請求項2】
前記モニタでは複数の播種機それぞれの各平行リンクの上下作動ポジションがレベルメータで表示される請求項1記載の耕うん同時畝立て播種機。
【請求項3】
前記平行リンクが上がった状態では前記レベルメータの表示が上昇し、前記平行リンクが下がった状態では前記レベルメータの表示が下降する動きとした請求項2記載の耕うん同時畝立て播種機。
【請求項4】
前記センサは摺動子を摺動自在に収納したスライド式の可変抵抗器であり、前記摺動子が前記ワイヤに固定され、前記スライド式の可変抵抗器の抵抗体の両端の端子から 定電圧をかけ、前記抵抗体上を動く摺動子につながった端子との 電圧比(%)で摺動子の位置を検出する請求項1記載の耕うん同時畝立て播種機。
【請求項5】
前記中央の播種機に取り付けられたワイヤは前記センサを介して前記操作機構のオートワイヤへ接続されて前記トラクタ側への引張り力が付勢される請求項1記載の耕うん同時畝立て播種機。
【請求項6】
前記操作機構は前記トラクタの昇降駆動ユニットに駆動連結されるオートワイヤを操作子に締結してなり、前記操作子に前記平行リンクの対角のピン間を繋ぐワイヤが締結される請求項1記載の耕うん同時畝立て播種機。
【請求項7】
前記ロータリ耕耘装置がアップカットロータリを備える請求項1記載の耕うん同時畝立て播種機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタによって牽引されるロータリ耕耘装置の後部に播種機を装着した耕うん同時畝立て播種機及びこれを用いる耕うん同時畝立て播種方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、重粘土質土壌での麦・大豆等の安定栽培を可能とする湿害軽減技術である「耕うん同時畝立て播種」法が開発され、実施化されている。
【0003】
ところが、この耕うん同時畝立て播種を行う場合に、土の状態や耕起条件によって牽引車両の機体が上下動することは避けられず、同様に装着されたロータリも上下動し耕うん深さが一定とならないことに起因して、形成される畝高さが変動してしまい、播種機の高さや姿勢を適正に調整しても、播種機が畝表面の凹凸に追従しきれず、種子が繰り出されなかったり、播種深さが不均一となり作物の正常な生育が妨げられることがあった。この場合に適切な播種深さは3cm~5cmである。
【0004】
そこでこの様な事態を防止するために耕うん同時畝立て播種機を牽引するトラクタの座席でトラクタを直進運転させながら後方の形成される畝の形状ならびに播種機の高さや姿勢を監視する作業を行う場合には、危険でもあり、困難なだけでなく、機械作業後に手作業によって種子の追い播きや畝表面に露出した種子への覆土が必要となり、これが耕うん同時畝立て播種作業の生産性を大きく悪化させる原因ともなっていた。また播種深さを予め設定した3cm~5cmに維持するためには、播種作業中は調整時点の畝高さを持続させることが必要であり、そのためにはロータリの耕うん深さが一定になるよう監視しロータリの上げ下げを繰り返さなければならず、極めて困難であった。
【0005】
ロータリの耕うん深さを一定に保つ自動耕深制御の機構は各メーカのトラクタに標準装備されている現状であり、例えば特許文献1に示されている。これは主に水稲作における粗耕起や代掻き作業、畑作における播種前の耕起整地作業等に利用されており、ロータリ後部の均平板の上下動をトラクタに伝えることで自動耕深制御を実現している。一方、耕うん同時畝立て播種においてはロータリで畝を立てる即ち均平版を跳ね上げて作業することが必要であるため、そもそも均平版の上下動をトラクタに伝えることが前提として無く、したがってロータリにその機構が装備されていないもしくはその機構を機能させないよう取り外して運用する。現状において均平版を跳ね上げた状態で耕うん深さを一定にする対策としては、ロータリにゲージ輪や尾輪を装着し接地させ、ロータリの高さを地面に追従させる方法がとられている。しかし、土の状態や耕起条件によってゲージ輪や尾輪の地面への食い込み沈下量は安定せず、都度手作業で調整する必要があり、作業性の悪いものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020?191842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、シンプルな構成で耕うん同時畝立て播種に好適に適用され、特に播種深さを精密に制御して常に適正に保つことができる耕うん同時畝立て播種機及び耕うん同時畝立て播種方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の耕うん同時畝立て播種機はトラクタにロータリ耕耘装置が昇降自在に装着され、このロータリ耕耘装置に複数の播種機が装着され、前記播種機に回動自在に枢支された平行リンクの後端には揺動フレームが枢結されると共に、前記平行リンクの対角線上には付勢バネが介装され、下方に回動するように付勢された前記揺動フレームに付設された作溝ディスクと覆土ディスクと鎮圧輪が、畝表面の凹凸に従って、平行リンクが下方に付勢された状態で回動しながら上下動する耕うん同時畝立て播種機において、前記複数の播種機は少なくとも中央の播種機と、その中央の播種機の左右に配置される播種機を含み、その中央の播種機と、その中央の播種機の左右に配置される播種機それぞれの平行リンクの対角ピン間を繋ぐワイヤを設け、前記中央の播種機の前記ワイヤを前記トラクタの昇降駆動ユニットによる3点リンク機構の昇降駆動を操作する操作機構に連結すると共に、前記中央の播種機と、その中央の播種機の左右に配置される播種機それぞれの平行リンクの対角ピン間を繋ぐワイヤをセンサに結線し、そのセンサに配線された信号ケーブルを前記トラクタに配置されるモニタに配線してなり、前記センサは中央の播種機と、その中央の播種機の左右に配置される播種機それぞれの平行リンクの上下作動ポジションを検知して前記モニタに表示することができることを特徴とする。
【0009】
前記モニタでは複数の播種機それぞれの各平行リンクの上下作動ポジションがレベルメータで表示されるようにすることができる。
【0010】
前記平行リンクが上がった状態では前記レベルメータの表示が上昇し、前記平行リンクが下がった状態では前記レベルメータの表示が下降する動きとすることができる。
【0011】
前記センサは摺動子を摺動自在に収納したスライド式の可変抵抗器とすることができる。前記摺動子が前記ワイヤに固定され、前記スライド式の可変抵抗器の抵抗体の両端の端子から 定電圧をかけ、前記抵抗体上を動く摺動子につながった端子との 電圧比(%)で摺動子の位置を検出する様にすることができる。
【0012】
前記可変抵抗器の抵抗変化特性を前記摺動子のスライド量に対し前記摺動子に接続された端子の電圧が直線的に変化する特性とすることができる。
【0013】
前記中央の播種機に取り付けられたワイヤは前記センサを介して前記操作機構のオートワイヤへ接続されて前記トラクタ側への引張り力が付勢されるようにすることができる。
【0014】
前記中央の播種機の左右の播種機に取り付けられたワイヤには前記センサケース内側のスプリングによって引張り力が付勢される様にしても良い。
【0015】
前記操作機構は前記トラクタの昇降駆動ユニットに駆動連結されるオートワイヤを操作子に締結してなり、前記操作子に前記平行リンクの対角のピン間を繋ぐワイヤが締結されるようにすることができる。
【0016】
前記ロータリ耕耘装置がアップカットロータリを備えるようにすることができる。
【0017】
前記アップカットロータリの耕うん爪軸をホルダー型にして爪配列を変更することで単条畝を成形し、1畝あたり1条の播種機を配置することで、畦幅を70~75cmとした大豆の普通栽培を行うようにできる。
【0018】
播種深さを予め設定された3cm~5cmに維持することができる。播種深さが3cm未満では土壌が乾燥しやすく発芽率が低下するという問題があり、一方播種深さが5cmを越えると、降雨後など地下水位が高い場合には畝立ての利点が活かせず、湿害による発芽不良や生育不良が発生しやすくなるという問題がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の耕うん同時畝立て播種機及び耕うん同時畝立て播種方法によればシンプルな構成で耕うん同時畝立て播種に好適に適用され、特に播種深さを精密に制御して常に適正に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一の実施の形態の耕うん同時畝立て播種機の側面図である。
図2図1に示す耕うん同時畝立て播種機の部分拡大正面図である。
図3図1に示す耕うん同時畝立て播種機の部分側面図である。
図4図1に示す耕うん同時畝立て播種機の他の部分側面図である。
図5図1に示す耕うん同時畝立て播種機の別の部分側面図である。
図6図1に示す耕うん同時畝立て播種機の部分側面図である。
図7図1に示す耕うん同時畝立て播種機のさらに別の部分側面図である。
図8図1に示す耕うん同時畝立て播種機のまた別の部分側面図である。
図9図1に示す耕うん同時畝立て播種機の部分斜視図である。
図10図1に示す耕うん同時畝立て播種機のまた別の部分斜視図である。
図11図1に示す耕うん同時畝立て播種機のまた別の部分側面図である。
図12図1に示す耕うん同時畝立て播種機のまた別の部分側面図である。
図13図1に示す耕うん同時畝立て播種機に関する説明図である。
図14図1に示す耕うん同時畝立て播種機のまた別の部分側面図である。
図15図1に示す耕うん同時畝立て播種機のまた別の部分側面図である。
図16図1に示す耕うん同時畝立て播種機のまた別の部分側面図である。
図17図1に示す耕うん同時畝立て播種機のまた別の部分側面図である。
図18】本発明の耕うん同時畝立て播種方法の一実施の形態の説明図である。
図19】本発明の耕うん同時畝立て播種方法の一実施の形態の他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
トラクタ1の後部に本発明の実施の形態に係わる耕うん同時畝立て播種機3を装着した場合の全体構成について、図1により説明する。
トラクタ1の後部にはロータリ耕耘装置2が昇降自在に装着され、このロータリ耕耘装置2の後部に、3条3台構成の播種機5から成る耕うん同時畝立て播種機3が装着されている。
【0022】
図1図3に示すように、3台の播種機5は、それぞれがロータリ耕耘装置2に連結されたツールバー25に装着されている。このツールバー25は左右方向に延設されており、播種機5では、前上部の嵌合体45がツールバー25に外嵌され、フックネジ46によって左右位置調節可能に固定されると共に、この嵌合体45からは播種フレーム47が垂設されている。この播種フレーム47の下部には平行リンク48・49の前部が回動自在に枢支され、この平行リンク48・49の後端には揺動フレーム50が枢結されると共に、平行リンク48・49の対角線上には付勢バネ51が介装され、揺動フレーム50は、常に下方に回動するように付勢されている。
【0023】
この揺動フレーム50の前面より下方には、作溝器である作溝ディスク52の支持杆53が突出され、この支持杆53の下端に作溝ディスク52の回転軸54が軸支されている。この作溝ディスク52は、前方が閉じた平面視V字状の2枚ディスクから構成されると共に、作溝ディスク52の外側には、支持杆53より後斜め下方に突出した掻き落とし板55が配設され、この掻き落とし板55によって、付着した土等を除去するようにしている。そして、作溝ディスク52後部の空間内には、播種ガイドパイプ56の先部が挿入され、作溝ディスク52間に播種できるようにしている。
【0024】
揺動フレーム50からは、作溝ディスク52後方で種子落下位置の後方に、覆土体である覆土ディスク57が突設支持されており、この覆土ディスク57によって種子が軽く覆土されるようにしている。更に、揺動フレーム50の後端からは支持杆58が後方に突出され、この支持杆58の後端に鎮圧輪59が軸支されており、この鎮圧輪59によって、覆土後の種子が鎮圧される。本実施の形態では、鎮圧輪59は駆動輪としても機能する構成となっており、この鎮圧輪59の回動軸は側方へ突出してチェーンケース60内に挿入され、このチェーンケース60内のスプロケット及びチェーンを介して、揺動フレーム50に横架した播種装置61の入力軸62が駆動されるようにしている。なお、鎮圧輪59の側部にはラグ59a・59a・・・が突設されており、畝44の上面に対して滑らないようにすると共に、スクレーパ63を付設して付着土を除去し、作業効率の向上を図るようにしている。
【0025】
また、この播種装置61は種子ホッパ83を有し、この種子ホッパ83の直下には目皿タイプの繰出装置84が配設されている。この繰出装置84では、繰出ケース85内に形成された収納部86に円盤状の繰出回転体87が収納され、この繰出回転体87の中央には回転軸88の上端が装着されている。この回転軸88の下端にはベベルギア89が固設され、このベベルギア89は入力軸62に固設されたベベルギア90と噛合されており、鎮圧輪59から入力軸62に入力された動力が、ベベルギア89・90、回転軸88を介して繰出回転体87に伝達され、この繰出回転体87が回転駆動される。
【0026】
繰出回転体87には複数の図示せぬ搬送孔が穿孔されており、種子ホッパ83から流下してきた多数の種子91の一部は、回転する繰出回転体87の搬送孔内に入ると、収納部86に形成された繰出口86aまで搬送され、この繰出口86aに連通された播種ガイドパイプ56を通って、作溝ディスク52間に播種されるようにしている。
【0027】
以上の播種装置61によれば揺動フレーム50に付設された作溝ディスク52、覆土ディスク57、鎮圧輪59は、畝表面の凹凸に従って、平行リンク48・49が下方に付勢された状態で回動しながら上下動するので、播種作業においてトラクタ1の機体が上下動等しても、各々の条毎に、しかも畝表面に対して、略水平を保ちながら上下するため、播種深さを均一に保ち、しかも、播種装置61の繰出装置の駆動も確実に確保することができるとされている。
【0028】
図4及び図5は3台の各播種機5を示す。
その中で図4は平行リンク48・49が下がった状態を示し耕深が浅く低い畝になった時はこの状態になる。
また図5は平行リンク48・49が上がった状態を示し耕深が深く高い畝になった時はこの状態になる。すなわち播種機5は畝44に対し鎮圧輪59で乗っかっている(播種機5の自重を支えている)状態で、平行リンク48・49より後方の部分が畝44の高さに追従して上下する。種子は作溝ディスク52で開けられた溝に落ちる。作溝ディスク52は平行リンク48・49によって鎮圧輪59と一体的に上下するので、畝44に対し一定の深さで刺さり、種子の落ちる深さを適切に保つ。
しかし実際の播種作業においては、平行リンク48・49が追従できる範囲を超える畝44高さの変動が生じる。
【0029】
その原因としては、作業開始時に機械を適切に調整しても、圃場の柔らかさとか土の深さのばらつきによってトラクタ1本体やロータリ耕耘装置2が沈み込んだり、浮き上がったりしてロータリ耕耘装置2の耕深が変動し、ロータリ耕耘装置2の耕うん爪20・20・・・で耕うんされる土の量に過不足が生じる点を挙げることができる。
【0030】
特に圃場の柔らかい地点で調整した機械では、硬い地点にさしかかると、機械の沈み込みが減少し、ロータリ耕耘装置2の耕うん爪20・20・・・によって耕うんされる土の量が不足し、平行リンク48・49の下限よりも低い畝44になる事態が発生する。
一方、この様な事態の発生を防止するために播種機5を監視しながらトラクタ1を操縦する作業を行うことはオペレータの重い負担となる。
【0031】
これを防止するために本発明の実施の形態の耕うん同時畝立て播種機3によれば、3台の播種機5の中で中央の播種機5の平行リンク48・49の作動位置をトラクタ1の自動耕深システムに連動することで、確実な播種を可能にした。
具体的には図6に示すように本発明の実施の形態の耕うん同時畝立て播種機3の3台の播種機5の中で中央の播種機5には、平行リンク48・49の対角のピン101a、101b間を繋ぐ一体なインナーケーブルとアウターケーブルとからなるワイヤ102を設けた。
図7に示すように平行リンク48・49が下がった状態で、対角のピン101a、101b間を繋ぐインナーケーブルの長さ、すなわちピン101a、101b間の間隔は175mmと短くなっている。
図8に示すように平行リンク48・49が上がった状態では、対角のピン101a、101b間をつなぐインナーケーブルの長さ、すなわちピン101a、101b間の間隔は200mmとなる。これはインナーケーブルが25mm引き戻され、ピン101a、101b間の間隔が長くなったことを示し、その分、トラクタ1のオートワイヤを引っぱることとなる。
【0032】
一方、トラクタ1は昇降駆動ユニット(図示せず)を備え、この昇降駆動ユニットによって3点リンク機構(図示せず)を昇降駆動可能にされており、この3点リンク機構の昇降駆動に応じて、3点リンク機構に取り付けられたロータリ耕耘装置2が昇降する。
図9図10は、3点リンク機構に組み付けられるオートヒッチフレーム103を示し、このオートヒッチフレーム103には昇降駆動ユニットによる3点リンク機構の昇降駆動を操作する操作機構104が取り付けられる。
この操作機構104は昇降駆動ユニットに駆動連結されるオートワイヤ105をスプリング105aを介して操作子106に締結してなり、操作子106は軸部106aを軸心として回動可能にされている。
【0033】
またこの操作子106には平行リンク48・49の対角のピン101a、101b間を繋ぐ一体なインナーケーブルとアウターケーブルとからなるワイヤ102の一端が締結される。
本発明の実施の形態の耕うん同時畝立て播種機3では、3台の播種機5の中で中央の播種機5を以上のように構成した結果、図7に示すように平行リンク48・49が下がった状態で、対角のピン101a、101b間を繋ぐインナーケーブルの長さ、すなわちピン101a、101b間の間隔は175mmと短くなっている状態では操作子106を介してオートワイヤ105が引き戻され、トラクタ1が備える昇降駆動ユニットによって駆動される3点リンク機構に応じて、3点リンク機構に取り付けられたロータリ耕耘装置2は下降する。
ロータリ耕耘装置2が下降する結果、ロータリ耕耘装置2に装着された3台の播種機5の中で中央の播種機5は下降することで畝上面により鎮圧輪が押し上げられて平行リンクが上昇に転じ、対角のピン101a、101b間を繋ぐインナーケーブルの長さは長くなっていき、その分、トラクタ1のオートワイヤ105を引っぱり予め設定された耕耘深さに達すると自動耕深制御によりロータリ耕耘装置2の下降は停止する。
【0034】
一方、図8に示すように平行リンク48・49が上がった状態では、対角のピン101a、101b間をつなぐインナーケーブルの長さ、すなわちピン101a、101b間の間隔が長くなった状態では、その分、トラクタ1のオートワイヤ105を引っぱることになり、トラクタ1が備える昇降駆動ユニットによって駆動される3点リンク機構に応じて、3点リンク機構に取り付けられたロータリ耕耘装置2は上昇する。
ロータリ耕耘装置2が上昇する結果、ロータリ耕耘装置2に装着された播種機5は上昇することで付勢バネ51により鎮圧輪が押し下げられて平行リンクが下降に転じ、対角のピン101a、101b間を繋ぐインナーケーブルの長さは短くなっていき、その分、トラクタ1のオートワイヤ105は引き戻され予め設定された耕耘深さに達すると自動耕深制御によりロータリ耕耘装置2の上昇は停止する。
また以上のロータリ耕耘装置2の下降、上昇の程度はトラクタ1の備える昇降駆動ユニットの既存の調整ダイヤルで微調整することができる。
【0035】
以上のように、本発明の実施の形態の耕うん同時畝立て播種機3によれば、3台の播種機5の中で中央の播種機5とトラクタ1の自動耕深を連動させることにより、播種精度が大幅に向上する成果が得られる。
【0036】
しかし、トラクタ1の自動耕深へ連動するのは3台の播種機5の中で中央の播種機5のみであり、この中央の播種機5は連動により適切に動作するが、左右の他の2台の播種機5については畝高さが不足して種子が繰り出されなかったり、畝上に種子が露出する場合が生じる。そこで3台の播種機5の各平行リンク48・49の作動状態を運転台においてモニターで監視できるようにし、自動耕深の調整ダイヤルを手動で微調整することにより、3台の播種機5とも適切な耕耘深さで運行することを可能とすることができる。
【0037】
そのために本実施の形態の耕うん同時畝立て播種機3では、図1及び図11に示すように3台の播種機5の中で左右の播種機5について平行リンク48・49の対角のピン101a、101b間を繋ぐ一体なインナーケーブルとアウターケーブルとからなるワイヤ107を設ける。
【0038】
またロータリ耕耘装置2にセンサ108を配置し、このセンサ108にワイヤ102及びワイヤ107を結線する。
センサ108にワイヤ102及びワイヤ107を結線することによって3台の播種機5それぞれの各平行リンク48・49の上下作動ポジションを検知することができる。
【0039】
さらにこのセンサ108には信号ケーブル109が配線されており、その信号ケーブル109がトラクタ1の運転席に配置されるレベルメータであるモニタ110に配線される。このモニタ110にはトラクタ1のバッテリ111から給電することができる。
図1図2に示すように、モニタ110では3台の播種機5それぞれの各平行リンク48・49の上下作動ポジションがレベルメータ110で表示される。
【0040】
図12に3台の播種機5の中で中央の播種機5に結線されるワイヤ102が結線されるセンサ108aを示す。
図に示されるようにセンサ108aはスライド式の可変抵抗器112を備えており、可変抵抗器112は摺動子113を摺動自在に収納してなる。
【0041】
図13に3台の播種機5の中で左右の播種機5に結線されるワイヤ107が結線されるセンサ108bを示す。
図に示されるようにセンサ108bはセンサ108aと同様にスライド式の可変抵抗器112を備えており、可変抵抗器112は摺動子113を摺動自在に収納してなると共にワイヤ107の先端が結線されるスプリング112aを収納してなる。スプリング112aはワイヤ107を引っ張る方向に付勢するようにセンサ108b内側壁面に装着される。
【0042】
スライド式の可変抵抗器112によれば抵抗体の両端の端子(端子aと端子c)から 定電圧をかけ、抵抗体上を動く摺動子113につながった端子(端子b)との 電圧比(%)で摺動子113の位置を検出することができる。
【0043】
トラクタ1のバッテリ(12V)から端子aにはプラス、端子cには同マイナスを結線したうえで、この摺動子113を播種機5から伸びるワイヤ102若しくはワイヤ107と接続しその動きによって摺動子113をスライドさせることにより、中央の播種機5の各平行リンク48・49の動作ポジションを端子c~端子b間の電圧の変化として検出することが可能となる。
本実施の形態ではワイヤ102若しくはワイヤ107の移動量実測値が25mmであったことから可変抵抗器112はその移動量をまかなえるストローク45mmのものを用いている。
また図14に示すように可変抵抗器112の抵抗変化特性はスライド量と端子c~端子b間の電圧変化が直線的に変化する特性(Bカーブ)のものとした。
【0044】
各平行リンク48・49が上がった状態ではレベルメータ110の表示が上昇し、平行リンク48・49が下がった状態ではレベルメータ110の表示が下降する動きとするため、ワイヤ102若しくはワイヤ107が引かれるに従って可変抵抗器112の端子c~端子b間の電圧が上がる方向にセンサ108を取り付ける。
【0045】
これによって各平行リンク48・49が上がっていく動きではワイヤ102若しくはワイヤ107が播種機側へ引っ張られる。これに対し、各平行リンク48・49が下がっていく動きではワイヤ102若しくはワイヤ107が戻る為にトラクタ側へ引っ張る力が必要となる。
【0046】
中央の播種機5に取り付けられるワイヤ102はセンサ108aを介してオートワイヤ105へ接続する。詳細には 図9図10に示したように、3点リンク機構に組み付けられるオートヒッチフレーム103には昇降駆動ユニットによる3点リンク機構の昇降駆動を操作する操作機構104が取り付けられ、この操作機構104は昇降駆動ユニットに駆動連結されるオートワイヤ105をスプリング105aを介して操作子106に締結してなり、この操作子106にワイヤ102の一端が締結される。したがってワイヤ102には引っ張り方向に付勢するスプリング105aによってトラクタ1側へのテンションがかかっている。
【0047】
これに対して左右の播種機5のワイヤ107についてはスプリング112aをセンサケース108b内に設置してテンションをかける機構としている。
摺動子113とワイヤ102若しくはワイヤ107を接続する方法として、摺動子113の幅に合致した内側径を有する筒状部材であるネジ規格M5の高ナット114を摺動子113に装着し、その高ナット114にワイヤ102若しくはワイヤ107の貫通孔115を設け、高ナット114の上部から止めネジ116でワイヤ102若しくはワイヤ107を固定してある。
【0048】
この固定方法により、摺動子113の最大スライド量45mmの内、どの領域の25mmを使って検知するのかを柔軟に調整できる様にすることができる。
例えば平行リンクが最も下がった状態でもレベルメータ110を1セグメントだけ点灯させておくだけの電圧を端子c~端子b間から出力する位置に固定することによって、レベルメータ110を通電確認表示として機能させることができる。
【0049】
またレベルメータ110は端子c~端子b間の電圧が何ボルトでフルスケールを点灯するかを調整することができる為、バッテリの最大電圧12Vが端子c~端子b間から出力されなくとも、25mmの移動量をフルスケールで表示することができる。したがって播種機の仕様変更などによってワイヤ102若しくはワイヤ107の移動量が現状の25mmではなく30mmになったとしても、25mmに達したときにレベルメーターが振り切れないよう調整することができる。
【0050】
図15は3台の播種機5の中で中央の播種機5に結線されるワイヤ102が結線されるセンサ108aのワイヤ102の移動に伴う摺動子113の位置変化を示す。
図上上方に示すワイヤ102がスプリング105aによってトラクタ1側へ引っ張られている状態は播種機5が図7に示す平行リンク48・49が下がった状態に対応し、図上下方に示すワイヤ102が播種機5側へ引っ張られている状態は播種機5が図8に示す平行リンク48・49が上がった状態に対応する。
その両方の状態間では摺動子113の摺動ストロークは25mmとなる。
【0051】
図16は3台の播種機5の中で左右の播種機5に結線されるワイヤ107が結線されるセンサ108bのワイヤ107の移動に伴う摺動子113の位置変化を示す。
図上上方に示すワイヤ107がスプリング112aによってセンサケース108b内壁側へ引っ張られている状態は播種機5が図7に示す平行リンク48・49が下がった状態に対応し、図上下方に示すワイヤ102が播種機5側へ引っ張られている状態は播種機5が図8に示す平行リンク48・49が上がった状態に対応する。
その両方の状態間では摺動子113の摺動ストロークは25mmとなる。
【0052】
図17はバッテリ111とレベルメータ110及びセンサ108a、108bの配線関係を示す。
図に示すように各レベルメータ110は10ポイントLED117,レベルメーター用IC118、回転型半固定抵抗119、フルスケール調整ネジ120を備える。またバッテリ111とレベルメータ110間にはヒューズ121、電源スイッチ122が配置される。
レこのレベルメータ110は、
1.フルスケールの電圧よりも2V以上高い電源電圧が必要
2.フルスケール調整範囲は1.3V~7V
という仕様である。
以上の1.に関しては
バッテリ111の電圧が12Vなので、可変抵抗にかける電圧は10V以下とする必要がある。
また、可変抵抗器112の端子a~端子cの抵抗値は10KΩであることから3.3KΩのカーボン抵抗123を可変抵抗器112に付設することで、可変抵抗器112に9Vの電圧がかかるようにした。
以上の2.に関しては
可変抵抗のストローク45mmの内25mmの約55%の範囲で摺動子113を動かすようにして、9V×0.55≒5Vとして、7V以内に収まるようにした。この場合にレベルメータ110の10ポイントLED117が1セグメント点灯する位置にスライド開始位置をシフトしても、そこから25mmスライドさせフルスケールの表示を行っても問題は生じない。
【0053】
また本実施の形態に係わる耕うん同時畝立て播種機3にあっては、ロータリ耕耘装置2はアップカットロータリ方式とされている。
図18に示すようにアップカットロータリ方式による耕うん同時畝立て播種は一般的なロータリによる耕うん作業が、土壌を上から下に耕うん(「ダウンカット」または 「正転」と称する)する方法で行われているのに対し(図18(a))、アップカットロータリは、土壌を下から上に耕うん(「アップカット」または「逆転」と称する)する作業機である(図18(b))。
このアップカットロータリは、砕土性に優れるとともに、粗い土塊が下層に、細かい土塊が表層に分布する特長がある(図18(b))。
【0054】
単条畝では播種機5の間隔は、作型によるが概ね60cm~80cmで2条~4条のそれぞれに独立した畝を立てて播種を行う。
本実施の形態に係わる耕うん同時畝立て播種機3は、この形態において畝毎に畝高さが異なってしまうことがある為、これに対する対策を行ったものである。
畝毎に畝高さが異なるケースで最も発生しやすいのは、麦作後に事前整地なく播種をするときで、麦作の為に付けられた排水溝と大豆の畝立てが重なった場合である。
これは排水溝は地面が凹んでいるため、排水溝を埋め戻しさらに畝を盛り上げるために必要となる土が不足することが原因である。したがって事前整地で排水溝が埋め戻されていればこの問題は生じない。
排水溝の方向と大豆播種の進行方法は同一であるため、圃場の端から端まで(30aの標準区画では100m)オペレータが気づかなければずっと低い畝になることがあり、種が地表に露出したり、鎮圧輪が接地せず種が繰り出されないことが発生し、その条を延々と手直ししなければならない。その他にも麦刈取りのコンバイン作業でクローラーによって土が掘り起こされていることがあり同様に低い畝になることがあるが、短い距離であるため影響は比較的少なく大きな負担にはなっていない。
図19(a)(b)に麦と大豆の畝の断面形状模式図を示す。
図に示す圃場では、麦は畝幅4.5m毎に排水溝があり、大豆は畝間隔75cmの単条畝である。
トラクターの運転で全く蛇行させないことは困難であり、排水溝も蛇行していることが多い。このため排水溝と大豆の畝の重なりも特定の畝に固定化されるものではなく刻々と変化して図19(b)に示すような地面が凹んでいる排水溝で埋め戻しさらに畝を盛り上げるために必要となる土が不足する状態が生じる。こうした状況変化を後ろを振り返り監視しながらの播種作業は非常に困難で作業者の負担も大きい。
そこでモニタを監視することによって低い畝が発生したことを把握できれば、自動耕深を微調整しロータリ耕耘装置2を下げることでロータリ耕耘装置2の爪がより多く土をかき寄せ、また播種機5も下がり、作溝ディスクが適切な深さで播種溝を作り、また鎮圧輪が空転することなく種が繰り出されるようにすることができる。
【0055】
また耕うん同時畝立て播種は、アップカットロータリによる耕うんと、耕うん爪軸後方のスクリーンによって、高い砕土率が得られ、砕土率は、特に表層付近で高い特長がある(図18右)。これによって大豆の種子近傍の土塊が細かく、作物の出芽に好適な条件となり、苗立率が高まる。
【0056】
また本実施の形態に係わる耕うん同時畝立て播種機3では、砕土性に優れるアップカットロータリを用いることで、通常のダウンカットロータリでは作業ができないような過湿な圃場条件でも播種作業が可能で、このため、大豆の播種時期に降雨があっても、降雨後に比較的速やかに作業を開始することができ、計画的な播種作業が可能である。
【0057】
加えて本実施の形態に係わる耕うん同時畝立て播種機3では耕うん同時畝立て播種によって、作物を高い位置に生育させるとともに、畝間での表面排水が可能であり、作物を高い位置に生育させることで、出芽や初期生育が優れる。また、生育期間中の土壌水分を低く保つことができ、出芽後の生育も優れる特長があり、また、畝間への表面排水により、降雨時の播種条での湛水を抑えることができる。これらの効果により、耕うん同時畝立て播種では湿害が軽減され、作物の苗立率が高まるとともに、生育が優れ、多収となる。
【0058】
さらに加えて本実施の形態に係わる耕うん同時畝立て播種機3では耕うん同時畝立て播種を行うことによって、未耕起圃場に1工程で播種しても、高い砕土と前作残渣等のすき込み性が得られるという特徴が有る。播種時間のみを比較する場合、アップカットロー タリを用いて行う耕うん同時畝立て播種は、播種前に耕起整地作業を行いダウンカットロータリを用いる従来の畝立て播種よりも長時間を要する。しかし、アップカットロータリを用いて行う耕うん同時畝立て播種は播種前の耕起整地作業を省略できるため、耕起から播種の一連の作業に要する時間は、従来の畝立て播種よりも短くなる。
一方、耕うん同時畝立て播種において播種前の耕起整地作業を省略した場合には、未整地であるがゆえに播種前に耕起整地作業を行った場合と比較し、畝高さを安定させるには耕うん深さの細かな調整が必要で、その点でオペレータの熟練度が必要となる。
特に圃場の柔らかい地点で調整した機械では、硬い地点にさしかかると、機械の沈み込みが減少し、ロータリ耕耘装置2の耕うん爪20・20・・・が土を十分にかき寄せず低い畝となり、平行リンク48・49の下限よりも低い畝44になる事態が発生する。
こうなると、鎮圧輪59が空中に浮いてしまい、鎮圧輪59の回転に連動した種子の繰出装置が動作せず、種子を出さずに空走する事態となる。
また耕深が深すぎると、畝立ての土の量が過大となるため畝幅が広くなり、畝間の谷部分まで土で埋まり、排水性が悪化すると共に播種機も下方向に押し付けられた低い位置で牽引されることとなり、湿害の原因となる。
しかし本実施の形態に係わる耕うん同時畝立て播種機3では播種機5の平行リンク48・49の対角のピン101a、101b間を繋ぐ一体なインナーケーブルとアウターケーブルとからなるワイヤ102が設けられ、このワイヤ102の一端はトラクタ1の昇降駆動ユニットに駆動連結されるオートワイヤ105が締結される操作子106に締結される結果、以下のような機構でオペレータの熟練度を補うことができる。
図7に示すように平行リンク48・49が下がった状態で、対角のピン101a、101b間を繋ぐインナーケーブルの長さ、すなわちピン101a、101b間の間隔は175mmと短くなっている状態では操作子106を介してオートワイヤ105が引き戻され、トラクタ1が備える昇降駆動ユニットによって駆動される3点リンク機構に応じて、3点リンク機構に取り付けられたロータリ耕耘装置2が下降する結果、ロータリ耕耘装置2に装着された播種機5は下降することで畝上面により鎮圧輪が押し上げられて平行リンクが上昇に転じ、対角のピン101a、101b間を繋ぐインナーケーブルの長さは長くなっていき、その分、トラクタ1のオートワイヤ105を引っぱり予め設定された耕耘深さに達すると自動耕深制御によりロータリ耕耘装置2の下降は停止する。
【0059】
一方、図8に示すように平行リンク48・49が上がった状態では、対角のピン101a、101b間をつなぐインナーケーブルの長さ、すなわちピン101a、101b間の間隔が長くなった状態では、その分、トラクタ1のオートワイヤ105を引っぱることになり、トラクタ1が備える昇降駆動ユニットによって駆動される3点リンク機構に応じて、3点リンク機構に取り付けられたロータリ耕耘装置2が上昇する結果、ロータリ耕耘装置2に装着された播種機5は上昇することで付勢バネ51により鎮圧輪が押し下げられて平行リンクが下降に転じ、対角のピン101a、101b間を繋ぐインナーケーブルの長さは短くなっていき、その分、トラクタ1のオートワイヤ105は引き戻され予め設定された耕耘深さに達すると自動耕深制御によりロータリ耕耘装置2の上昇は停止する。以上のロータリ耕耘装置2の下降、上昇の程度はトラクタ1の備える昇降駆動ユニットの既存の調整ダイヤルで微調整することができる。
【0060】
以上のように本実施の形態に係わる耕うん同時畝立て播種機3によれば圃場条件が変化しても畝立て高さを自動的に一定に保つことを可能とし、播種深さを予め設定された3cm~5cmに維持することを可能とする結果、作物の発芽を確実にすることができる。
【符号の説明】
【0061】
3・・・播種機、48・49・・・平行リンク、101a、101b・・・ピン、102、107・・・ワイヤ、1・・・トラクタ、2・・・ロータリ耕耘装置、103・・・オートヒッチフレーム、104・・・操作機構、105・・・オートワイヤ、106・・・操作子。
【要約】      (修正有)
【課題】シンプルな構成で耕うん同時畝立て播種に好適に適用され、特に畝立ての高さと播種深さを予め設定された範囲に維持して常に適正に保つことができる耕うん同時畝立て播種機及び耕うん同時畝立て播種方法を提供する。
【解決手段】3台の播種機5の中で左右の播種機5について平行リンク48・49の対角のピン101a、101b間を繋ぐ一体なインナーケーブルとアウターケーブルとからなるワイヤ107を設ける。またロータリ耕耘装置2にセンサ108を配置し、このセンサ108にワイヤ102及びワイヤ107を結線する。センサ108にワイヤ102及びワイヤ107を結線することによって3台の播種機5それぞれの各平行リンク48・49の上下作動ポジションを検知することができる。さらにこのセンサ108には信号ケーブル109が配線されており、その信号ケーブル109がトラクタ1の運転席に配置されるモニタ110に配線される。
【選択図】図1
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