(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】順位調整器
(51)【国際特許分類】
E05C 7/06 20060101AFI20240905BHJP
E05F 5/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E05C7/06
E05F5/12
(21)【出願番号】P 2024108190
(22)【出願日】2024-07-04
【審査請求日】2024-07-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年2月8日に、株式会社日の出製作所に「順位調整器」の説明動画のデータをインターネット経由で送信
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年2月8日に、大和電業株式会社に「順位調整器」の説明動画のデータをインターネット経由で送信
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年2月8日に、三共電機株式会社に「順位調整器」の説明動画のデータをインターネット経由で送信
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年2月9日に、三共電機株式会社に「順位調整器」を卸した
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524254763
【氏名又は名称】有限会社トキワ工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鴇澤 進一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和博
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-154501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0055752(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0363797(US,A1)
【文献】実開昭55-62784(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
E05F 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開き戸の吊元部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた構成に設けられて、前記第1の開き戸よりも後に前記第2の開き戸が閉まることがないようにする順位調整器であって、
前記第2の開き戸の戸先部分に設けられた枠状の受け座と、
前記第2の開き戸側に突出されて前記受け座と干渉しうる突出状態と、前記第1の開き戸側に引っ込められて前記受け座と干渉しないようにされた引っ込み状態と、の切り替えが可能なデッドボルトと、
前記デッドボルトを前記突出状態から前記引っ込み状態にするように付勢力を発揮する付勢部材と、
前記第1の開き戸が閉まる際に前記第1の開き戸の一部から押す力または引っ張る力を受けることで、前記付勢部材の付勢力に抗して前記デッドボルトを前記引っ込み状態から前記突出状態に押し出す押し出し部と、
を備え、
前記デッドボルトは、前記第2の開き戸が閉まった状態で前記突出状態になったときには、前記受け座の枠に通されることで前記第2の開き戸を閉まった状態に維持し、前記第2の開き戸が閉まっていない状態で前記突出状態になったときには、前記受け座の枠に干渉して前記第2の開き戸が閉まらないようにする、
順位調整器。
【請求項2】
請求項1に記載された順位調整器であって、
前記押し出し部または前記デッドボルトに一体に備えられた係合構造と、
前記係合構造に係合することで、前記押し出し部が前記第1の開き戸から受ける力を支持し、前記第1の開き戸が閉まる動きおよび前記デッドボルトが前記引っ込み状態から前記突出状態に押し出される動きを止めるストッパーと、
前記ストッパーを、前記係合構造に干渉しないように退避された退避位置から前記係合構造に係合可能な係合位置へと移動させるように付勢力を発揮するストッパー付勢部材と、
前記第2の開き戸が閉まる際に前記第2の開き戸の一部に押されることで、前記ストッパー付勢部材の付勢力に抗して前記ストッパーを前記係合位置から前記退避位置へと退避させる被押圧部と、
を備えている、
順位調整器。
【請求項3】
請求項1に記載された順位調整器であって、
前記押し出し部は、前記第1の開き戸によって開閉される第1の開閉領域と前記第2の開き戸によって開閉される第2の開閉領域とにまたがって設けられる押し出し部本体を、前記第1の開閉領域と前記第2の開閉領域との境界領域にて回動可能に支持した構成であり、かつ、前記第1の開閉領域にて前記第1の開き戸から受けた力を前記第2の開閉領域にて作用させることで前記デッドボルトを押し出す第1種のてことして機能する、
順位調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、順位調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
「順位調整器」とは、第1の戸と第2の戸とが隣り合うように並べられた構成に設けられて、これらの戸が閉まる順番を規定する装置のことをいう。順位調整器に関しては、特に開き戸用のものについて種々の技術が開発されている(例えば下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された従来の順位調整器は、第1の開き戸の戸先部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた構成(いわゆる「観音開き」の構成)にしか適用できないものであった。
【0005】
本開示は、第1の開き戸の吊元部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた構成にて、第1の開き戸よりも後に第2の開き戸が閉まることがないようにする順位調整器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における1つの側面によると、第1の開き戸の吊元部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた構成に設けられて、第1の開き戸よりも後に第2の開き戸が閉まることがないようにする順位調整器が提供される。この順位調整器は、第2の開き戸の戸先部分に設けられた枠状の受け座を備えている。また、順位調整器は、第2の開き戸側に突出されて受け座と干渉しうる突出状態と、第1の開き戸側に引っ込められて受け座と干渉しないようにされた引っ込み状態と、の切り替えが可能なデッドボルトを備えている。また、順位調整器は、デッドボルトを突出状態から引っ込み状態にするように付勢力を発揮する付勢部材を備えている。また、順位調整器は、第1の開き戸が閉まる際に第1の開き戸の一部から押す力または引っ張る力を受けることで、付勢部材の付勢力に抗してデッドボルトを引っ込み状態から突出状態に押し出す押し出し部を備えている。デッドボルトは、第2の開き戸が閉まった状態で突出状態になったときには、受け座の枠に通されることで第2の開き戸を閉まった状態に維持する。また、デッドボルトは、第2の開き戸が閉まっていない状態で突出状態になったときには、受け座の枠に干渉して第2の開き戸が閉まらないようにする。
【0007】
上記の側面によれば、第2の開き戸が閉まった状態で第1の開き戸を閉めると、押し出し部によりデッドボルトが受け座の枠に通されることで第2の開き戸が閉まった状態に維持される。一方で、第2の開き戸が閉まっていない状態で第1の開き戸を閉めると、押し出し部により突出状態とされたデッドボルトが受け座の枠に干渉して、第2の開き戸が閉まらなくなる。これにより、上記の側面では、第1の開き戸の吊元部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた構成にて、第1の開き戸よりも後に第2の開き戸が閉まることがないようにすることができる。
【0008】
他の側面によると、順位調整器は、押し出し部またはデッドボルトに一体に備えられた係合構造を備えている。また、順位調整器は、係合構造に係合することで、押し出し部が第1の開き戸から受ける力を支持し、第1の開き戸が閉まる動きおよびデッドボルトが引っ込み状態から突出状態に押し出される動きを止めるストッパーを備えている。また、順位調整器は、ストッパーを、係合構造に干渉しないように退避された退避位置から係合構造に係合可能な係合位置へと移動させるように付勢力を発揮するストッパー付勢部材を備えている。また、順位調整器は、第2の開き戸が閉まる際に第2の開き戸の一部に押されることで、ストッパー付勢部材の付勢力に抗してストッパーを係合位置から退避位置へと退避させる被押圧部を備えている。
【0009】
上記の側面によれば、第2の開き戸が閉まっていない状態では、ストッパー付勢部材によりストッパーが係合位置に移動されて係合構造に係合することで、第1の開き戸が閉まる動きが止められる。一方で、第2の開き戸が閉まった状態では、ストッパーが係合構造に干渉しない退避位置に退避されているため、第1の開き戸が閉まる動きが止められることがない。これにより、上記の側面では、第1の開き戸の吊元部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた構成にて、第2の開き戸を先に閉めないと第1の開き戸が閉まらないようにすることができる。
【0010】
他の側面によると、押し出し部は、第1の開き戸によって開閉される第1の開閉領域と第2の開き戸によって開閉される第2の開閉領域とにまたがって設けられる押し出し部本体を、第1の開閉領域と第2の開閉領域との境界領域にて回動可能に支持した構成である。かつ、押し出し部は、第1の開閉領域にて第1の開き戸から受けた力を第2の開閉領域にて作用させることでデッドボルトを押し出す第1種のてことして機能する。
【0011】
第1の開き戸の吊元部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた構成は、しばしば、第1の開き戸によって開閉される第1の開閉領域と第2の開き戸によって開閉される第2の開閉領域とを別個のスペースとして使用する際に採用される。ここで、上記の側面によれば、押し出し部がなす第1種のてこの回動中心部分(支点の部分)が、第1の開閉領域と第2の開閉領域との境界領域に位置される。これにより、押し出し部本体は、第1の開閉領域にて第1の開き戸から力を受ける部分(力点の部分)および第2の開閉領域にてデッドボルトを押し出す部分(作用点の部分)の動きが比較的大きくなり、境界領域での動きが比較的小さくなる。したがって、上記の側面によれば、第1の開閉領域と第2の開閉領域とをまたぐ押し出し部本体の動きを境界領域において小さく抑え、第1の開閉領域と第2の開閉領域とを別個のスペースとして使用しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、第1の開き戸の吊元部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた構成にて、第1の開き戸よりも後に第2の開き戸が閉まることがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態にかかる順位調整器が適用された盤用キャビネットを表した正面図である。
【
図2】
図1の盤用キャビネットを、その屋根の図示を省略した形で表した平面図である。
【
図6】
図3と同様の拡大図であり、第1の開き戸および第2の開き戸の両方が開いている状態を表す。
【
図8】
図3と同様の拡大図であり、第1の開き戸が閉められ、かつ第2の開き戸が開いている状態を表す。
【
図10】第2の実施形態にかかる順位調整器が適用された盤用キャビネットを表した正面図である。
【
図11】
図10の盤用キャビネットを、その屋根の図示を省略した形で表した平面図である。
【
図15】
図12と同様の拡大図であり、第1の開き戸が閉められ、かつ第2の開き戸が開いている状態を表す。
【
図16】順位調整器の変形例を表した要部拡大図である。
【
図17】順位調整器の変形例を表した要部拡大図である。
【
図18】順位調整器の変形例を表した要部拡大図である。
【
図19】順位調整器の変形例を表した要部拡大図である。
【
図20】順位調整器の変形例を表した要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示を実施するための形態について、図面を用いて説明する。以下の説明においては、「前」「後」「左」「右」「上」「下」の各方向を、
図1または
図10に示す盤用キャビネット90に正面から向かい合う使用者(図示省略)から見た方向によって定義する。
【0015】
〈盤用キャビネット〉
始めに、第1の実施形態にかかる順位調整器10が適用される盤用キャビネット90の構成について説明する。この盤用キャビネット90は、
図1および
図2に示すように、地面90Bの上に、構築物の壁90Aに沿った状態に設けられる、自立式の盤用キャビネットである。盤用キャビネット90は、制御盤、配電盤、または引込開閉器盤など(図示省略)のきょう体として使用することができる。本実施形態においては、盤用キャビネット90は、地面90Bに立設された基台95Bおよび2つの支持金具95Aにより、床95を地面90Bよりも高い位置に位置させた高床式の構成を有している。
【0016】
盤用キャビネット90は、左から右に向かって、第3の開き戸93、第1の開き戸91、第2の開き戸92をこの順で横に並べた構成を有している。第3の開き戸93は、その吊元部分93Aが盤用キャビネット90の左端部分に位置される左開きの開き戸である。第1の開き戸91は、その戸先部分91Bが第3の開き戸93の戸先部分93Bの右横に隣り合う右開きの開き戸であり、第3の開き戸93とともに「観音開き(両開き)」の構成をなす。言いかえると、第1の開き戸91は両開き戸における右側の開き戸であり、第3の開き戸93は両開き戸における左側の開き戸である。第2の開き戸92は、その戸先部分92Bが第1の開き戸91の吊元部分91Aの右横に隣り合う右開きの開き戸である。第2の開き戸92の吊元部分92Aは、盤用キャビネット90の右端部分に位置される。
【0017】
本実施形態においては、第1の開き戸91、第2の開き戸92、第3の開き戸93は、それぞれ、開閉のためのハンドル91C、92C、93Cを備えた、外開きの開き戸である。また、第1の開き戸91には、換気のためのルーバー91E、盤用キャビネット90の内部をのぞくためののぞき窓91F、および第1の開き戸91と第3の開き戸93とをロックするための錠91Gが設けられている。
【0018】
盤用キャビネット90の内部には、
図2に示すように、第1の開き戸91によって開閉される第1の開閉領域91D、第2の開き戸92によって開閉される第2の開閉領域92D、および第3の開き戸93によって開閉される第3の開閉領域93Dが設定されている。第3の開閉領域93Dと第1の開閉領域91Dとの境界領域90Cには障害物となるものは設けられておらず、これらの領域は1つのまとまったスペースを構成する。第1の開閉領域91Dと第2の開閉領域92Dとの境界領域90Dには、穴の開いた枠(
図5参照)をなす仕切り枠90Eが、間仕切りとして設置されている。
【0019】
本実施形態においては、第3の開閉領域93Dと第1の開閉領域91Dとの境界領域90Cには、この境界領域90Cを左右方向にまたぐように観音開き用順位調整器94Aが設置されている。この観音開き用順位調整器94Aは、「観音開き」の構成をなす第1の開き戸91および第3の開き戸93において、第1の開き戸91が閉まるまで第3の開き戸93が閉まらないようにする公知の順位調整器である。観音開き用順位調整器94Aは、障害物とならないよう(邪魔にならないよう)盤用キャビネット90の屋根94(
図1参照)に取り付けられる。
【0020】
〈第1の実施形態〉
続いて、第1の実施形態にかかる順位調整器10の構成について説明する。この順位調整器10は、
図3に示すように、第1の開き戸91の吊元部分91Aに第2の開き戸92の戸先部分92Bが横に隣り合うように並べられた構成に設けられる。また、順位調整器10は、
図8に示すように、第1の開き戸91が閉まった状態では第2の開き戸92が閉まることがないようにする。言いかえると、順位調整器10は、第1の開き戸91よりも後に第2の開き戸92が閉まることがないようにする。
【0021】
順位調整器10は、
図3に示すように、受け座10Aと、デッドボルト11Aと、付勢部材12と、押し出し部11と、ストッパー13と、被押圧部13Aと、ストッパー付勢部材14と、カンチレバー10Cとを備えている。
【0022】
受け座10Aは、第2の開き戸92の戸先部分92Bに、第2の開き戸92の幅方向(
図3では左右方向)を向いた状態に設けられた枠状の構成である。受け座10Aは、第2の開き戸92の戸先部分92Bにおける内部側(
図3では下側)の表面から、この表面に対しほぼ垂直に突出される。本実施形態においては、受け座10Aは、
図4に示すように、1つのアングル金具に切り出し加工を施すことで、カンチレバー10Bと一体に形成される。また、受け座10Aおよびカンチレバー10Bは、第2の開き戸92に一体に接合されることで、この第2の開き戸92の一部とされる。また、カンチレバー10Bは、受け座10Aの真下となる位置から、戸先部分92Bにおける内部側の表面に対しほぼ垂直(
図3参照)に突出される。
【0023】
押し出し部11は、
図3ないし
図5に示すように、軽溝形鋼に切り出し加工を施した構成の押し出し部本体11Bを備えている。押し出し部本体11Bは、その開口を後ろ側(
図3では上側)に向けた状態で、仕切り枠90Eにおける後ろ側の縁部(
図4参照)に係合される。これにより、押し出し部本体11Bは、第1の開閉領域91Dと第2の開閉領域92Dとにまたがって設けられることになる(
図3参照)。本実施形態においては、押し出し部本体11Bは、その左側の溝壁11H(
図5参照)が右側の溝壁11J(
図4参照)よりも上下方向に幅広となるように形成されている。
【0024】
押し出し部本体11Bにおける左側の溝壁11Hは、
図3および
図5に示すように、仕切り枠90Eの後ろ側の縁部から左側に突設された3本のシャフト12A(
図5参照)に対し、左右方向にスライド可能に係合される。3本のシャフト12Aは、それぞれが同じ長さであり、左端がねじの頭のような形状とされることで、押し出し部11の左側の溝壁11Hを抜け止めする。
【0025】
押し出し部本体11Bにおける右側の溝壁11Jには、
図3および
図4に示すように、デッドボルト11Aが右側に突出した状態に取り付けられる。本実施形態においては、デッドボルト11Aは前側に曲がったかぎ爪状(
図3参照)の金属板であり、その両板面を上下方向に向けた状態(
図4参照)に配設される。また、デッドボルト11Aは、押し出し部本体11Bにおける右側の溝壁11Jに対して、T継手をなすように溶接される。これにより、デッドボルト11Aの根元部分の周囲(押し出し部本体11Bにおける右側の溝壁11J)には、ストッパー13を係合可能な係合構造11C(
図4参照)が一体に設けられる。
【0026】
上記の各構成により、デッドボルト11Aは、
図3に示すように、押し出し部本体11Bの左右方向のスライドに伴い、この押し出し部本体11Bと一体にスライド移動する。これにより、デッドボルト11Aは、第2の開き戸92側に突出されて受け座10Aと干渉しうる突出状態(
図3の実線を参照)と、第1の開き戸91側に引っ込められて受け座10Aと干渉しないようにされた引っ込み状態(
図3の仮想線を参照)とに切り替えられる。
【0027】
付勢部材12は、3本のシャフト12A(
図5参照)のそれぞれに対し、その外周を取り巻くように配置される圧縮つるまきばねである。これらの付勢部材12は、それぞれ、仕切り枠90Eの後ろ側の縁部と押し出し部11の左側の溝壁11Hとの間に、押し縮められた状態にセットされる。これにより、各付勢部材12は、デッドボルト11Aを上記突出状態から上記引っ込み状態にするように、付勢力を常時発揮する。
【0028】
カンチレバー10Cは、第1の開き戸91の吊元部分91Aにおける内部側(
図3では下側)の表面から突出される。本実施形態のカンチレバー10Cは、第2の開き戸92側に曲がったかぎ爪状の金属板であり、その両板面を上下方向に向けた状態(
図5参照)に配設される。また、カンチレバー10Cは、吊元部分91Aにおける内部側の表面に一体に接合されることで、第1の開き戸91の一部とされる。
【0029】
カンチレバー10Cは、第1の開き戸91が閉まる際に、その先端が押し出し部本体11Bにおける左側の溝壁11Hに左側から当接し、この溝壁11Hを右側に押し込む。この押し込みは、上記付勢部材12の付勢力に抗して行われる。この構成により、押し出し部11は、第1の開き戸91が閉まる際に、第1の開き戸91の一部であるカンチレバー10Cから押す力を受ける。そして、押し出し部11は、付勢部材12の付勢力に抗してデッドボルト11Aを上記引っ込み状態から上記突出状態に押し出す。
【0030】
ストッパー13および被押圧部13Aは、
図3および
図4に示すように、それぞれが長方形状の板材であり、隣り合った状態で一体化される。また、ストッパー13および被押圧部13Aは、その境界部分において左右方向に延びるシャフト13Bに軸支され、このシャフト13Bのまわりに回動することが可能とされる。本実施形態においては、ストッパー13および被押圧部13Aは、1枚の金属板に切り出し加工を施すことで形成される。また、ストッパー13は被押圧部13Aよりも小さく形成されることで、ストッパー13および被押圧部13Aに押し引きの力が作用していない状態において、被押圧部13Aよりも上側の位置に位置される。この位置は、押し出し部本体11Bが右側にスライドしているとき(
図6参照)にストッパー13が係合構造11Cに左側から係合する位置であるため、以下においては「係合位置」とも称する。
【0031】
ストッパー13が係合位置にあるときに、被押圧部13Aを前側に押し込むと、
図7に仮想線で示すように、ストッパー13は後方に倒れ込み、係合構造11Cよりも下側となる位置に移動する。この位置は、ストッパー13が係合構造11Cに干渉しないように退避された位置であるため、以下においては「退避位置」とも称する。
【0032】
ストッパー付勢部材14は、
図4に示すように、ストッパー13および被押圧部13Aを軸支するシャフト13Bに取り付けられたトーションばねである。このトーションばねは、その一端が仕切り枠90Eの後ろ側の縁部から右側に突設された突起14Aに下側から当接し、同じく他端が被押圧部13Aの板面に前側から当接する。この構成により、ストッパー付勢部材14は、ストッパー13を退避位置から係合位置へと移動させるように、付勢力を常時発揮する。
【0033】
ストッパー13は、
図6に示すように、係合位置にて係合構造11Cに係合することで、押し出し部11がカンチレバー10Cを介して第1の開き戸91から受ける力を支持し、この押し出し部11の左側へのスライド移動を止める。これにより、ストッパー13は、第1の開き戸91が閉まる動きおよびデッドボルト11Aが上記引っ込み状態から上記突出状態に押し出される動きを止める。
【0034】
被押圧部13Aは、
図7に示すように、ストッパー13が係合位置にある状態において第2の開き戸92を閉めようとした際に、この第2の開き戸92の一部であるカンチレバー10Bが後ろ側から当接される位置に位置される。このため、被押圧部13Aは、第2の開き戸92が閉まる際に、第2の開き戸92の一部であるカンチレバー10Bに押される。そして、被押圧部13Aは、ストッパー付勢部材14の付勢力に抗してストッパー13を係合位置から退避位置へと退避させる。
【0035】
上述した順位調整器10によれば、
図3および
図4に示すように、第2の開き戸92が閉まった状態で第1の開き戸91を閉めると、押し出し部11によりデッドボルト11Aが受け座10Aの枠に通される。これにより、第2の開き戸92が閉まった状態に維持される。
【0036】
また、順位調整器10によれば、第2の開き戸92が閉まっていない状態では、ストッパー付勢部材14によりストッパー13が係合位置に移動されて係合構造11Cに係合することで、第1の開き戸91が閉まる動きが止められる(
図6参照)。一方で、第2の開き戸92が閉まった状態では、ストッパー13が係合構造11Cに干渉しない退避位置に退避されているため、第1の開き戸91が閉まる動きが止められることがない(
図3および
図4を参照)。これにより、順位調整器10では、第1の開き戸91の吊元部分91Aに第2の開き戸92の戸先部分92Bが横に隣り合うように並べられた盤用キャビネット90の構成(
図2参照)にて、第2の開き戸92を先に閉めないと第1の開き戸91が閉まらないようにすることができる。
【0037】
なお、本実施形態の順位調整器10は、第2の開き戸92が閉まっていない状態で、第1の開き戸91を強制的に閉めることもできる。これは、例えば、使用者(図示省略)が被押圧部13Aを手で押し込んだ状態で第1の開き戸91および第3の開き戸93を閉め、これらの開き戸を錠91G(
図1参照)によってロックする操作によって実現することができる。この状態では、
図8および
図9に示すように、押し出し部11により突出状態とされたデッドボルト11Aが受け座10Aの枠に干渉して、第2の開き戸92が閉まらなくなる。これにより、順位調整器10では、第1の開き戸91の吊元部分91Aに第2の開き戸92の戸先部分92Bが横に隣り合うように並べられた盤用キャビネット90の構成(
図2参照)にて、第1の開き戸91よりも後に第2の開き戸92が閉まることがないようにすることができる。
【0038】
また、順位調整器10によれば、ストッパー13および被押圧部13Aが回動する方向と、デッドボルト11Aおよび押し出し部本体11Bがスライド移動する方向とが、直交あるいはねじれの位置関係となる。これにより、順位調整器10では、押し出し部本体11Bのスライド移動にともなってストッパー13および被押圧部13Aが回動して、ストッパー13がデッドボルト11Aの動きを止める機能が低下するおそれを減らすことができる。
【0039】
〈第2の実施形態〉
続いて、第2の実施形態にかかる順位調整器20の構成について説明する。第2の実施形態にかかる順位調整器20は、第1の実施形態にかかる順位調整器10から、いくつかのパーツの取り換えあるいは省略を行った実施形態である。したがって、上述した順位調整器10の説明にて登場した構成と共通するパーツあるいは構成については、これらのパーツあるいは構成に付した符号と同じ符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。
【0040】
順位調整器20は、第1の実施形態にかかる順位調整器10が適用される盤用キャビネット90と同種の盤用キャビネット90(
図10および
図11を参照)に適用することができる。
【0041】
順位調整器20は、第1の実施形態にかかる順位調整器10において左右方向にスライド移動される押し出し部本体11Bを備えた押し出し部11(
図3参照)の代わりに、左右方向に回動可能とされた押し出し部本体21Bを備えた押し出し部21(
図12参照)を備えている。
【0042】
押し出し部21は、
図12に示すように、デッドボルト21Aと、押し出し部本体21Bと、ちょうつがい21Dとを備えている。
【0043】
押し出し部本体21Bは、軽溝形鋼に対し切り出し加工を施した構成であり、その溝の開口を後ろ側(
図12では上側)に向けた状態で、仕切り枠90Eにおける後ろ側の縁部に係合される。これにより、押し出し部本体21Bは、第1の開閉領域91Dと第2の開閉領域92Dとにまたがって設けられることになる。本実施形態においては、押し出し部本体21Bは、その左側の溝壁21H(
図14参照)が右側の溝壁21J(
図13参照)よりも上下方向に幅広となるように形成されている。
【0044】
ちょうつがい21Dは、第1の開閉領域91Dと第2の開閉領域92Dとの境界領域90Dにて、押し出し部本体21Bを、仕切り枠90Eにおける後ろ側の縁部(
図13参照)に結合させる。これにより、押し出し部本体21Bは、境界領域90Dにて回動可能に支持された状態となる。
【0045】
押し出し部本体21Bにおける左側の溝壁21Hには、
図12および
図14に示すように、その底側から開口側に向かって延びる1本のスリット21Eが形成されている。このスリット21Eには、仕切り枠90Eの後ろ側の縁部から左側(
図14では紙面手前側)に突設された1本のシャフト22Aが遊嵌されている。このシャフト22Aには、スリット21Eからの抜け止めの構成は設けられていない。
【0046】
押し出し部本体21Bにおける右側の溝壁21Jには、
図12および
図13に示すように、デッドボルト21Aが右側(
図13では紙面手前側)に突出した状態に取り付けられる。本実施形態においては、デッドボルト21Aは直円柱状の金属棒であり、押し出し部本体21Bにおける右側の溝壁21Jに対して垂直に溶接される。
【0047】
上記の各構成により、デッドボルト21Aは、押し出し部本体21Bの回動に伴い、この押し出し部本体21Bと一体に移動する。これにより、デッドボルト21Aは、第2の開き戸92側に突出されて受け座20Aと干渉しうる突出状態(
図12の実線を参照)と、第1の開き戸91側に引っ込められて受け座20Aと干渉しないようにされた引っ込み状態(
図12の仮想線を参照)とに切り替えられる。
【0048】
シャフト22Aには、
図12に示すように、その外周を取り巻くように、圧縮つるまきばねである付勢部材22が配置される。この付勢部材22は、仕切り枠90Eの後ろ側の縁部と押し出し部21の左側の溝壁21Hとの間に、押し縮められた状態にセットされる。これにより、付勢部材22は、デッドボルト21Aを上記突出状態から上記引っ込み状態にするように、付勢力を常時発揮する。本実施形態においては、付勢部材22は、
図14に示すように、溝壁21Hに形成されたスリット21Eの幅よりも大径に形成され、このスリット21Eの縁部に係合されている。
【0049】
図12に示すカンチレバー10Cは、第1の開き戸91が閉まる際に、その先端が押し出し部本体21Bにおける左側の溝壁21Hに左側から当接し、この溝壁21Hを右側に押し込む。この押し込みは、上記付勢部材22の付勢力に抗して行われる。この構成により、押し出し部21は、第1の開き戸91が閉まる際に、第1の開閉領域91Dにおいて、第1の開き戸91の一部であるカンチレバー10Cから押す力を受ける。そして、押し出し部21は、カンチレバー10Cからの力を第2の開閉領域92Dにてデッドボルト21Aに作用させ、このデッドボルト21Aを上記引っ込み状態から上記突出状態に押し出す。すなわち、押し出し部21は、本開示における「第1種のてこ」として機能する。なお、カンチレバー10Cからの力によるデッドボルト21Aの押し出しは、付勢部材22の付勢力に抗して行われる。
【0050】
また、順位調整器20は、第1の実施形態にかかる順位調整器10においてカンチレバー10Bと一体に形成される受け座10A(
図4参照)の代わりに、カンチレバーに相当する構成のない受け座20A(
図13参照)を備えている。この受け座20Aは、カンチレバーに相当する構成を有していない点を除き、上述した受け座10Aと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0051】
また、順位調整器20は、第1の実施形態にかかる順位調整器10における、係合構造11C、ストッパー13、被押圧部13A、シャフト13B、ストッパー付勢部材14、および突起14A(
図4参照)の各構成に相当する構成を有していない。
【0052】
上述した順位調整器20によれば、
図12および
図13に示すように、第2の開き戸92を閉めてから(第2の開き戸92が閉まった状態で)第1の開き戸91を閉めると、押し出し部21によりデッドボルト21Aが受け座20Aの枠に通される。これにより、第2の開き戸92が閉まった状態に維持される。
【0053】
一方で、第2の開き戸92が閉まっていない状態で第1の開き戸91を閉めると、
図15に示すように、押し出し部21により突出状態とされたデッドボルト21Aが受け座20Aの枠に干渉して、第2の開き戸92が閉まらなくなる。これにより、順位調整器20では、第1の開き戸91の吊元部分91Aに第2の開き戸92の戸先部分92Bが横に隣り合うように並べられた盤用キャビネット90の構成(
図11参照)にて、第1の開き戸91よりも後に第2の開き戸92が閉まることがないようにすることができる。
【0054】
また、順位調整器20によれば、押し出し部21がなす第1種のてこの回動中心部分(支点の部分、ちょうつがい21Dの部分)が、第1の開閉領域91Dと第2の開閉領域92Dとの境界領域90Dに位置される。これにより、押し出し部本体21Bは、第1の開閉領域91Dにて第1の開き戸91から力を受ける部分(力点の部分)および第2の開閉領域92Dにてデッドボルト21Aを押し出す部分(作用点の部分)の動きが比較的大きくなり、境界領域90Dでの動きが比較的小さくなる。したがって、順位調整器20によれば、第1の開閉領域91Dと第2の開閉領域92Dとをまたぐ押し出し部本体21Bの動きを境界領域90Dにおいて小さく抑え、第1の開閉領域91Dと第2の開閉領域92Dとを別個のスペースとして使用しやすくすることができる。
【0055】
〈その他の実施形態〉
以上、本開示を実施するための形態について、上述した第1および第2の実施形態によって説明した。しかしながら、当業者であれば、本開示の目的を逸脱することなく種々の代用、手直し、変更が可能であることは明らかである。すなわち、本開示を実施するための形態は、本明細書に添付した特許請求の範囲の精神および目的を逸脱しない全ての代用、手直し、変更を含みうるものである。例えば、本開示を実施するための形態として、以下のような各種の形態を実施することができる。なお、以下の説明においては、上述した第1および第2の実施形態の説明にて登場した構成と共通するパーツあるいは構成について、これらのパーツあるいは構成に付した符号と同じ符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略している。
【0056】
(1)本開示の適用対象は、
図1または
図10に示す盤用キャビネット90に限定されない。すなわち、本開示の実施形態にかかる順位調整器は、第1の開き戸の吊元部分に第2の開き戸の戸先部分が横に隣り合うように並べられた、種々の構成に適用することができる。このような構成には、例えば、第1の開き戸および第2の開き戸の両方が片開き戸である構成や、3枚以上の片開き戸が横に並ぶ構成などが含まれうる。3枚以上の片開き戸が横に並び、かつこれらの片開き戸が右開き戸または左開き戸で統一されている場合には、各片開き戸の間に本開示の順位調整器を1つずつ適用してもよい。この場合、横に並ぶ複数の片開き戸を右から順に(あるいは左から順に)閉めていかないと、閉めることができない片開き戸が出てくる構成を実現することができる。また、本開示の順位調整器は、その具体的な形状および大きさを適宜変更することで、ドアや窓などの任意の建具ならびにロッカーなどの任意の収納家具に適用することもできる。ここで、本開示の順位調整器の適用対象が、通路の途中にて内部建具としてのドアを横に並べた構成である場合、通路には前後の区別がないので、各ドアについて「内開き」「外開き」「左開き」「右開き」の区別をつけることができない。
【0057】
(2)本開示において、ストッパーが係合される係合構造は、押し出し部の押し出し部本体に一体に設けられるものに限定されない。例えば、本開示においては、後方に開口した溝31Cが一体に形成されたデッドボルト31Aを押し出し部本体11Bの溝壁11Jから突出させ、このデッドボルト31Aの溝31Cを、ストッパー33が係合される係合構造とした構成(
図16参照)を採用してもよい。
【0058】
(3)本開示において、ストッパーおよび被押圧部が回動する方向は、左右方向(第1の開き戸および第2の開き戸が並ぶ方向)に延びるシャフトのまわりとなる方向に限定されない。例えば、本開示においては、ストッパー13および被押圧部13Aを前後方向に延びるシャフト43Bに軸支して、このシャフト43Bのまわりにストッパー13および被押圧部13Aを回動させる構成(
図17参照)を採用してもよい。この構成は、例えば、被押圧部13Aを押すカンチレバー40Bを、先細りのテーパー面を有する形状(例えば円錐形状)とすることで実現できる。
【0059】
(4)本開示において、第1の開き戸が閉まる際に押し出し部が第1の開き戸から受ける力は、第1の開き戸の一部として設けられたカンチレバーが押し出し部を押す力に限定されない。
【0060】
例えば、本開示においては、押し出し部51を、第1の開き戸91の板面から押す力を受けて動作するトグル機構とした構成(
図18参照)を採用してもよい。
図18に示すトグル機構では、デッドボルト51Aは、左右方向に延びる軸状の固定リンク51Gに係合する筒状部材であり、固定リンク51Gに沿って左右方向にスライド移動する。固定リンク51Gにてデッドボルト51Aよりも左側となる部分には、ピンジョイント(図示省略)によりシャフト52Aが回動可能に取り付けられる。シャフト52Aは、固定リンク51Gとの間に取り付けられた付勢部材52(
図18ではばね)により、その先端のローラー51Fを第1の開き戸91と干渉する位置(
図18の実線を参照)に位置させる。ローラー51Fが設けられるシャフト52Aの先端とデッドボルト51Aとの間には、シャフト51Bがかけ渡される。このシャフト51Bは、シャフト52Aの先端およびデッドボルト51Aに対してそれぞれピンジョイント(図示省略)により回動可能に取り付けられる。第1の開き戸91が閉まる際には、ローラー51Fが第1の開き戸91の板面から押す力を受ける。そして、押し出し部51は、付勢部材52の付勢力に抗してデッドボルト51Aを引っ込み状態(
図18の実線を参照)から突出状態(
図18の仮想線を参照)に押し出す。
【0061】
また、本開示においては、押し出し部61を、第1の開き戸91の板面から押す力を受けて動作する固定両スライダークランク機構とした構成(
図19参照)を採用してもよい。
図19に示す固定両スライダークランク機構では、デッドボルト61Aは、左右方向に延びる軸状の固定リンク61Gに係合する筒状部材であり、固定リンク61Gに沿って左右方向にスライド移動する。付勢部材62は、前後方向に延びるシャフト62Aの外周を取り巻くように配置される圧縮つるまきばねであり、このシャフト62Aの後端部分に前後方向にスライド移動可能に係合される筒状部材61Fを、第1の開き戸91と干渉する位置(
図19の実線を参照)に位置させる。筒状部材61Fとデッドボルト61Aとの間には、シャフト61Bがかけ渡される。このシャフト61Bは、筒状部材61Fおよびデッドボルト61Aに対してそれぞれピンジョイント(図示省略)により回動可能に取り付けられる。第1の開き戸91が閉まる際には、筒状部材61Fが第1の開き戸91の板面から押す力を受ける。そして、押し出し部61は、付勢部材62の付勢力に抗してデッドボルト61Aを引っ込み状態(
図19の実線を参照)から突出状態(
図19の仮想線を参照)に押し出す。
【0062】
また、本開示においては、押し出し部は、第1の開き戸と連結部材(具体的には線状部材または帯状部材)で繋がれて、第1の開き戸が閉まる際に引っ張る力を受ける構成であってもよい。この構成は、例えば、第1の開き戸において連結部材が繋がれる部分を、押し出し部において連結部材が繋がれる部分よりも、第1の開き戸が閉まる際の回動の向きで見て上流側に位置させることで実現できる。この技術思想を上述した第2の実施形態に適用した変形例を
図20に示す。
図20の変形例では、押し出し部本体21Bにおける左側の溝壁21Hの先端と、第1の開き戸91における吊元部分91Aの内部側の角とを、ワイヤーからなる連結部材70Cで繋いでいる。ここで、第1の開き戸91における内部側の表面には、この表面から突出されるカンチレバーは設けられていない。なお、上記の技術思想は、上述した第1の実施形態にも適用可能である(図示省略)。
【符号の説明】
【0063】
10 順位調整器
10A 受け座
10B カンチレバー
10C カンチレバー
11 押し出し部
11A デッドボルト
11B 押し出し部本体
11C 係合構造
11H 溝壁
11J 溝壁
12 付勢部材
12A シャフト
13 ストッパー
13A 被押圧部
13B シャフト
14 ストッパー付勢部材
14A 突起
20 順位調整器
20A 受け座
21 押し出し部
21A デッドボルト
21B 押し出し部本体
21D ちょうつがい
21E スリット
21H 溝壁
21J 溝壁
22 付勢部材
22A シャフト
31A デッドボルト
31C 溝
40B カンチレバー
43B シャフト
51 押し出し部
51A デッドボルト
51B シャフト
51F ローラー
51G 固定リンク
52 付勢部材
52A シャフト
61 押し出し部
61A デッドボルト
61B シャフト
61F 筒状部材
61G 固定リンク
62 付勢部材
62A シャフト
70C 連結部材
90 盤用キャビネット
90A 壁
90B 地面
90C 境界領域
90D 境界領域
90E 仕切り枠
91 第1の開き戸
91A 吊元部分
91B 戸先部分
91C ハンドル
91D 第1の開閉領域
91E ルーバー
91F のぞき窓
91G 錠
92 第2の開き戸
92A 吊元部分
92B 戸先部分
92C ハンドル
92D 第2の開閉領域
93 第3の開き戸
93A 吊元部分
93B 戸先部分
93C ハンドル
93D 第3の開閉領域
94 屋根
94A 観音開き用順位調整器
95 床
95A 支持金具
95B 基台
【要約】
【課題】第1の開き戸の吊元に第2の開き戸の戸先が隣り合う構成にて、第1の開き戸よりも後に第2の開き戸が閉まることをなくす。
【解決手段】順位調整器は、第2の開き戸の戸先部分にある枠状の受け座と、突出状態と引っ込み状態とを切り替え可能なデッドボルトと、デッドボルトを付勢する付勢部材を備える。順位調整器は、第1の開き戸が閉まる力でデッドボルトを引っ込み状態から突出状態に押し出す押し出し部を備える。デッドボルトは、第2の開き戸が閉まった状態で突出状態になると、受け座の枠に通されて第2の開き戸を閉まった状態に維持する。デッドボルトは、第2の開き戸が閉まっていない状態で突出状態になると、受け座の枠に干渉して第2の開き戸が閉まらないようにする。
【選択図】
図15