(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ウェハコネクタ及び嵌合コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/514 20060101AFI20240905BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240905BHJP
H01R 13/64 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01R13/514
H01R13/639 Z
H01R13/64
(21)【出願番号】P 2019211791
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-11-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】林 達也
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/204021(WO,A1)
【文献】特開2013-188056(JP,A)
【文献】特開平10-106670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウェハコネクタを受容する複数の受容空洞を画成する嵌合コネクタであって、
各前記受容空洞で受けた前記ウェハコネクタのラッチ部と係合する被係合部を備え、
前記ラッチ部を解除距離だけ移動させることで前記ウェハコネクタが前記嵌合コネクタからラッチ解除され、複数の前記受容空洞のうち少なくとも第1の前記受容空洞及び第2の前記受容空洞のそれぞれに受容された2つの前記ウェハコネクタについて、第1の前記ウェハコネクタの前記ラッチ部が第1の前記受容空洞で移動したときの第1の前記解除距離が、第2の前記ウェハコネクタの前記ラッチ部が第2の前記受容空洞で移動したときの第2の前記解除距離と異なり、
第1の前記受容空洞は、前記嵌合コネクタの第1の側壁に隣接して配置された端部側の前記受容空洞であり、
第2の前記受容空洞は、前記第1の側壁、及び前記第1の側壁に対向する第2の側壁から離間した中央側の前記受容空洞である、嵌合コネクタ。
【請求項2】
第1の前記受容空洞の被係合部の形状が第2の前記受容空洞の被係合部の形状と異なることにより、第1の前記解除距離が第2の前記解除距離と異なる、請求項
1に記載の嵌合コネクタ。
【請求項3】
前記ウェハコネクタは、前記ラッチ部を有する可撓性アームを備え、
第1の前記ウェハコネクタを第1の前記受容空洞で受容するときの第1の前記受容空洞の被係合部と前記可撓性アームとの間隔をt1とし、
第2の前記ウェハコネクタを第2の前記受容空洞で受容するときの第2の前記受容空洞の被係合部と前記可撓性アームとの間隔をt2としたときに、
t2がt1と異なる、請求項
1に記載の嵌合コネクタ。
【請求項4】
t2の値がゼロである、請求項
3に記載の嵌合コネクタ。
【請求項5】
前記ウェハコネクタの端子と当接する複数のコンタクトを備え、前記複数のコンタクトは複数の前記受容空洞内に配置されている、請求項
1に記載の嵌合コネクタ。
【請求項6】
複数のウェハコネクタを受容する複数の受容空洞を画成する嵌合コネクタであって、
前記受容空洞は、
互いに対向する側壁に隣接する端部側の受容空洞と、
一対の前記端部側の受容空洞の間に配置された中央側の受容空洞と、を含んでおり、
各前記受容空洞は、前記ウェハコネクタを受容し、前記ウェハコネクタのラッチ部と係合する被係合部を備え、
前記被係合部は互いに対向する側壁に沿って延びており、各前記端部側の前記被係合部の幅p1と、各前記中央側の前記被係合部の幅p2との関係がp1<p2を満たす、嵌合コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、ウェハコネクタ及び嵌合コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、積層型のウェハコネクタ及び嵌合コネクタについては種々のものが知られている。特許文献1は、第1のハウジングと、第2のハウジングと、カバーとを備えた多段コネクタを記載する。多段コネクタは、第1のハウジング、第2のハウジング及びカバーが互いに積層された状態で箱形の相手側コネクタに入り込む。カバーは相手側コネクタに係合するロック片を有し、多段コネクタはカバーのロック片の係合によって相手側コネクタと嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した多段コネクタ等の積層型のウェハコネクタにおいては、挿抜の作業性の向上が求められている。しかしながら、前述した多段コネクタでは、第1のハウジング及び第2のハウジングではなく、カバーが相手側コネクタに係合するため、第2のハウジングにカバーを装着しなければ相手側コネクタへの嵌合を行うことができない。また、前述の多段コネクタでは、第1のハウジング又は第2のハウジング単体では相手側コネクタへの挿抜を行うことができず、挿抜を行う場合には必ずカバーが必要であるため、この点でも挿抜を容易に行うことができない。従って、挿抜の作業性を向上させることができるウェハコネクタ及び嵌合コネクタが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態に係るウェハコネクタは、嵌合コネクタに電気的に嵌合する積層型のウェハコネクタであって、内部に端子を受容する空洞を画成する電気絶縁性のウェハと、係合部を有すると共に、ウェハと一体形成され、ウェハコネクタを嵌合コネクタにラッチ係合するラッチ係合位置、及びウェハコネクタを嵌合コネクタからラッチ解除するラッチ解除位置の間を移動する可撓性アームを有するラッチ係合部材と、を備え、第1のウェハコネクタが、第2の可撓性アームを有する第2のラッチ係合部材を備える第2のウェハコネクタに積層されるときに、第1のウェハコネクタの第1の係合部が第2のウェハコネクタの第2の係合部に係合した状態で第1の可撓性アームがラッチ係合位置とラッチ解除位置の間を移動すると、第2の可撓性アームもラッチ係合位置とラッチ解除位置の間を移動する。
【0006】
本開示の一形態に係る嵌合コネクタは、複数のウェハコネクタを受容する複数の受容空洞を画成する嵌合コネクタであって、各受容空洞で受けたウェハコネクタのラッチ部と係合する被係合部を備え、ラッチ部を解除距離だけ移動させることでウェハコネクタが嵌合コネクタからラッチ解除され、複数の受容空洞のうち少なくとも第1の受容空洞及び第2の受容空洞のそれぞれに受容された2つのウェハコネクタについて、第1のウェハコネクタのラッチ部が第1の受容空洞で移動したときの第1の解除距離が、第2のウェハコネクタのラッチ部が第2の受容空洞で移動したときの第2の解除距離と異なる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一形態によれば、挿抜の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る複数のウェハコネクタが嵌合されている複数の嵌合コネクタが基板上に配列された状態の例を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る積層型のウェハコネクタと嵌合コネクタを示す斜視図である。
【
図3】
図2の積層型のウェハコネクタ及び嵌合コネクタを
図2とは異なる方向から見た斜視図である。
【
図4】
図2の積層型のウェハコネクタ及び嵌合コネクタの縦断面図である。
【
図5】実施形態に係る嵌合コネクタを示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係る複数のウェハコネクタが積層された状態を示す斜視図である。
【
図7】
図6の複数のウェハコネクタのうちの第1のウェハコネクタと第2のウェハコネクタとを示す斜視図である。
【
図8】
図7の第1のウェハコネクタと第2のウェハコネクタとが積層された状態を示す斜視図である。
【
図9】
図6のウェハコネクタの係合部を切断した断面斜視図である。
【
図10】
図6のウェハコネクタの内部の端子を示す断面斜視図である。
【
図11】実施形態に係る嵌合コネクタの端部側の受容空洞に受容されたウェハコネクタのラッチ部と受容空洞の被係合部とを示す断面図である。
【
図12】実施形態に係る嵌合コネクタの中央側の受容空洞に受容されたウェハコネクタのラッチ部と受容空洞の被係合部とを示す断面図である。
【
図13】変形例に係る嵌合コネクタと積層型のウェハコネクタとを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る積層型のウェハコネクタと嵌合コネクタの実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張している場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0010】
まず、
図1を参照しながら、本実施形態に係る積層型のウェハコネクタ及び嵌合コネクタを備えるコネクタアセンブリ1について説明する。
図1に示されるように、例えば、コネクタアセンブリ1は、基板Bの上に配置されており、基板Bには複数のコネクタアセンブリ1が一方向に沿って並ぶように配置される。なお、複数のコネクタアセンブリ1は、例えば、格子状に並ぶように配置されてもよく、コネクタアセンブリ1の配置態様は特に限定されない。コネクタアセンブリ1は、基板Bに実装される嵌合コネクタ10と、嵌合コネクタ10に収容される複数の積層型のウェハコネクタ20とを備える。嵌合コネクタ10は、例えば、基板Bに実装される基板実装コネクタ(ボードマウントコネクタ)であり、ウェハコネクタ20は、積層型ワイヤマウントウェハコネクタである。
【0011】
例えば、嵌合コネクタ10は箱状とされており、箱状の嵌合コネクタ10の内部に複数の積層型のウェハコネクタ20が嵌合可能(挿抜可能)とされている。一例として、嵌合コネクタ10は、底部を有する有底箱状とされている。各ウェハコネクタ20は、例えば、板状とされており、複数の積層型のウェハコネクタ20がウェハコネクタ20の厚さ方向に積層された状態で嵌合コネクタ10に嵌合する。
【0012】
なお、以降の説明においては、嵌合コネクタ10に対するウェハコネクタ20の嵌合方向をX軸が伸びる方向(X軸方向)、嵌合コネクタ10において複数のウェハコネクタ20が並ぶ方向をZ軸が伸びる方向(Z軸方向)、X軸及びZ軸の双方に交差(例えば直交)する横方向をY軸が伸びる方向(Y軸方向)と称することがある。また、基板Bからコネクタアセンブリ1を見た方向を上、コネクタアセンブリ1から基板Bを見た方向を下と称することがある。例えば、X軸方向は基板Bの厚さ方向、並びに、基板B及びコネクタアセンブリ1が並ぶ方向に一致する。Y軸方向は、例えば、各ウェハコネクタ20の後述するチャネル42が並ぶ方向に一致する。また、Z軸方向は、例えば、複数の嵌合コネクタ10が並ぶ方向、又は複数のウェハコネクタ20が積層される方向に一致する。
【0013】
図2は、コネクタアセンブリ1を示す斜視図である。
図3は、
図2とは異なる方向からコネクタアセンブリ1を見た斜視図である。
図4は、コネクタアセンブリ1をX軸及びY軸の双方に延びる平面(XY平面)に沿って切断したコネクタアセンブリ1の断面図である。
図2~
図4に示されるように、嵌合コネクタ10の内部には、複数のウェハコネクタ20がZ軸に沿って配置されており、各ウェハコネクタ20は、複数の端子30と、端子30が収容される空洞41を有する電気絶縁性のウェハ40とを備える。空洞41は複数のチャネル42に区画されている。
【0014】
例えば、嵌合コネクタ10からは基板Bに挿入される複数のコンタクト11が延び出しており、各コンタクト11はX軸方向に沿って延びる棒状とされている。嵌合コネクタ10は、嵌合コネクタ10の底部18の底面18aにおいて下方(基板B側)に窪むと共に挿入部11aの拡張部11bが入り込む凹部10bと、コンタクト11の挿入部11aがX軸に沿って貫通する孔部10cとを有する。孔部10cに挿入部11aが挿通されると共に凹部10bに拡張部11bが入り込んだ状態でコンタクト11は嵌合コネクタ10に固定されている。
【0015】
嵌合コネクタ10は、開放端部12と、ウェハコネクタ20を受容する受容領域13とを有する。嵌合コネクタ10は、複数のウェハコネクタ20を受容する受容領域13を画定する。例えば、受容領域13は、箱形とされた嵌合コネクタ10の内部の領域であり、開放端部12は底部18(基板B)の反対側に開口する部位である。受容領域13において、例えば、複数のウェハコネクタ20がX軸に沿って嵌合コネクタ10に嵌合し、ウェハコネクタ20の内部の端子30は嵌合コネクタ10から延び出すコンタクト11に接続(接触)する。
【0016】
嵌合コネクタ10には、例えば、4個のウェハコネクタ20が嵌合する。複数のウェハコネクタ20のそれぞれは、嵌合コネクタ10に係合するラッチ係合部25を備える。嵌合コネクタ10は、ラッチ係合部25が係合する被係合部10dを有する。被係合部10dにラッチ係合部25が係合することによって嵌合コネクタ10に対するウェハコネクタ20の嵌合が行われる。
【0017】
嵌合コネクタ10の被係合部10dは、例えば、ラッチ係合部25が係合すると共にY軸方向に貫通する孔部10fを有する。例えば、Z軸方向に並ぶ複数のウェハコネクタ20の全てが被係合部10dに係合する。但し、Z軸方向に並ぶ複数のウェハコネクタ20のうち、一部のウェハコネクタ20のラッチ係合部25の係合態様と、残部のウェハコネクタ20のラッチ係合部25の係合態様とが互いに異なっていてもよい。
【0018】
図5は、嵌合コネクタ10を示す斜視図である。
図5に示されるように、コンタクト11は、前述した拡張部11bと、拡張部11bから挿入部11aの反対側に延びると共に端子30に入り込む棒状の端子接続部11cとを有する。また、嵌合コネクタ10は、Z軸方向に沿って並ぶ第1の側壁14及び第2の側壁15と、Y軸方向に沿って並ぶ第3の側壁16及び第4の側壁17とを有する。前述した嵌合コネクタ10の底部18、第1の側壁14、第2の側壁15、第3の側壁16及び第4の側壁17によって受容領域13が画成され、底部18の反対側に開放端部12が設けられる。
【0019】
受容領域13は、例えば、嵌合コネクタ10に嵌合するウェハコネクタ20ごとに仕切られている。嵌合コネクタ10は、ウェハコネクタ20を受容する複数の受容空洞13aを有し、複数の受容空洞13aは突部13bを介して互いに仕切られている。すなわち、突部13bのZ軸方向の一方側及び他方側のそれぞれに受容空洞13aが画成されている。突部13bは、例えば、第4の側壁17の内面から突出する突出面13cと、突出面13cの突出端においてX軸方向に延在する直線状の頂面13dと、突出面13cの開放端部12側の端部において頂面13dの幅が狭くなる方向に傾斜するテーパ面13fと、テーパ面13fの開放端部12側に位置する天面13gとによって形成される。
【0020】
底部18は、例えば、底部18のX軸方向の外側(下側、基板B側)に突出する複数の凸部18bと、基板Bに挿入される基板挿入部18cとを有する。例えば、基板挿入部18cは、嵌合コネクタ10の樹脂部分(一例として基板挿入部18c以外の部分)とは別の金属部分である。底部18は、例えば、矩形状とされており、底部18の四隅のそれぞれに凸部18bが設けられる。複数の凸部18bのそれぞれは、例えば、基板Bの上面に接触し、底部18の凸部18b以外の部分と基板Bの上面との間には隙間S1(
図1参照)が形成される。底部18は、例えば、Y軸方向に沿って並ぶ一対の基板挿入部18cを備えており、各基板挿入部18cが基板Bに挿入されることによって基板Bに嵌合コネクタ10が固定される。
【0021】
第3の側壁16は、X軸方向及びZ軸方向の双方に沿って延在する外面16aと、外面16aの底部18との反対側の端部からY軸方向の外側に傾斜する傾斜面16bと、16bの外面16aとの反対側の端部においてX軸方向及びZ軸方向の双方に延在する外面16cとを有する。外面16a、傾斜面16b及び外面16cは、例えば、共に平坦状とされている。
【0022】
傾斜面16b及び外面16cには、前述した被係合部10dが形成されている。被係合部10dは、例えば、傾斜面16b及び外面16cから嵌合コネクタ10の中央側に窪んだ位置に形成されている。一例として、被係合部10dの左右両側に外面16c及び傾斜面16bが形成され、被係合部10dの下側に傾斜面16bが形成される。被係合部10dは、例えば、X軸方向及びZ軸方向に沿って延びる壁部10gと、壁部10gをY軸方向に貫通する複数の孔部10fとを有する。
【0023】
一例として、壁部10gは、上方を向く天面10hと、天面10hから嵌合コネクタ10の内側且つ下側に斜めに傾斜する傾斜面10jとを有する。被係合部10dの天面10hは、第1の側壁14及び第2の側壁15のそれぞれの上端14a,15aから凹んでおり、この凹んだ部分には複数のラッチ係合部25の少なくとも一部が露出する。このように、被係合部10dの天面10hが第1の側壁14及び第2の側壁15のそれぞれの上端14a,15aから凹むと共に、当該凹む部分にラッチ係合部25の少なくとも一部が露出することにより、各ラッチ係合部25を指等で摘まみやすくすることができる。
【0024】
第1の側壁14、第2の側壁15及び第4の側壁17は、例えば、共に平板状とされている。第4の側壁17の上端17aの高さは、第1の側壁14の上端14aの高さ、及び第2の側壁15の上端15aの高さよりも低くなっている。第4の側壁17の上端17aの高さは、第3の側壁16における被係合部10dの天面10hの高さと略同一であってもよい。第4の側壁17の上端17aには、ウェハコネクタ20の後述する突出部26が突出する。
【0025】
図6は、積層された複数のウェハコネクタ20を示す斜視図である。
図7は、2つのウェハコネクタ20が互いに離間した状態を示す斜視図である。
図8は、2つのウェハコネクタ20が互いに係合した状態を示す斜視図である。
図6、
図7及び
図8に示されるように、例えば、板状とされた複数のウェハコネクタ20はZ軸方向に沿って積層される。前述したように、各ウェハコネクタ20は、端子30と電気絶縁性のウェハ40とを備える。ウェハ40は、例えば、X軸方向及びY軸方向に延びると共にZ軸方向に厚さを有する板状とされている。
【0026】
ウェハコネクタ20のウェハ40は、X軸方向に沿って並ぶ第1の端面43及び第2の端面44と、Y軸方向に沿って並ぶ第1の側面45及び第2の側面46と、Z軸方向に沿って並ぶ第1の基部47及び第2の基部48とを備える。第1の端面43及び第2の端面44は、互いに対向しており、第1の基部47及び第2の基部48は第1の端面43及び第2の端面44の間において延在する。また、第1の側面45及び第2の側面46は互いに対向しており、第1の基部47及び第2の基部48は第1の側面45及び第2の側面46の間において延在する。第1の基部47と第2の基部48との間には前述した空洞41が画成されている。
【0027】
第1の端面43は、挿入される外部端子を受ける部位であり、例えば、X軸方向を向くと共にY軸方向に長く延びる長方形状とされている。すなわち、第1の端面43は、Y軸方向に延びる長辺と、Z軸方向に延びる短辺とを有する長方形状とされている。一例として、第1の端面43は平面状とされている。第1の端面43には、例えば、Y軸方向に沿って並ぶ複数の空洞41の開口部41aが形成されている。一例として、各開口部41aは矩形状とされている。
【0028】
第2の端面44は、例えば、第1の端面43の反対側を向いており、嵌合コネクタ10から延びる複数のコンタクト11を受ける部位である。第2の端面44は、例えば、第1の端面43と同様、X軸方向を向くと共にY軸方向に長く延びる長方形状とされている。第1の側面45には、第1の端面43側の一端においてY軸方向に突出する突出部26が設けられる。第1の側面45は、例えば、X軸方向に長く延びる矩形状とされている。突出部26は、X軸方向及びY軸方向の双方に対して斜めに延びる傾斜面26aと、傾斜面26aと第1の端面43側との間に位置する頂面26bとを有する。
【0029】
第2の側面46は、例えば、第1の端面43からX軸方向に沿って延びている。第2の側面46には、第1の端面43との反対側(第2の端面44側)から突出する突出部46bと、突出部46bから第2の側面46に沿って延びるラッチ係合部25とが設けられる。第2の側面46は、例えば、X軸方向に沿った長辺、及びZ軸方向に沿った短辺を有する長方形状とされている。突出部46bは、第2の側面46からY軸方向及びZ軸方向に延びる側面46cと、側面46cの第2の側面46との反対側の端部においてX軸方向及びZ軸方向に延びる頂面46dとを有する。
【0030】
ラッチ係合部25はウェハ40に一体形成されている。ラッチ係合部25は、頂面46dに連続する板状の可撓性アーム27と、可撓性アーム27においてY軸方向外側に突出するラッチ部28と、可撓性アーム27の先端においてY軸方向外側に突出すると共に指等によってY軸方向に押圧される押圧部29とを備える。可撓性アーム27は、突出部46bの側面46cから第1の端面43に向かって延び出しており、可撓性アーム27の先端における押圧部29の反対側にはX軸方向及びY軸方向の双方に対して傾斜する傾斜面27aが形成されている。
【0031】
可撓性アーム27と側面46cとの間には、例えば、可撓性アーム27と側面46cとを互いに接続する湾曲面27bが形成されている。第2の側面46とラッチ係合部25(可撓性アーム27)との間には隙間S2が形成されている。押圧部29は、第2の側面46に向かって押圧される部位であり、押圧部29が押圧されると側面46cを起点として可撓性アーム27がY軸方向に撓み、可撓性アーム27のY軸方向への撓みによってラッチ部28の係合及び係合解除がなされる。
【0032】
ラッチ部28の係合及び係合解除は、例えば、一体化された複数のウェハコネクタ20において連動して行われる。
図6には、嵌合コネクタ10にウェハコネクタ20をラッチ係合するラッチ係合位置の状態を例示している。例えば、複数のウェハコネクタ20のラッチ係合部25は連動して撓むことによってラッチ係合位置とラッチ解除位置との間を移動する。ラッチ解除位置は、例えば
図6に示される状態よりも、複数のラッチ係合部25がより第2の側面46に接近するように複数のラッチ係合部25が撓んでいる状態を示している。なお、ラッチ係合部25によるラッチ係合位置及びラッチ解除位置の詳細については後述する。
【0033】
ラッチ部28は、側面46c(可撓性アーム27の基端)と押圧部29(可撓性アーム27の先端)との間に設けられている。ラッチ部28は、可撓性アーム27からX軸方向及びY軸方向の双方に対して傾斜するテーパ面28aと、テーパ面28aのY軸方向外側の端部においてX軸方向及びZ軸方向に沿って延びる頂面28bと、頂面28bのテーパ面28aとの反対側においてY軸方向及びZ軸方向に沿って延びる側面28cとを有する。側面28cは、被係合部10dの壁部10gの下面に対向する部位であり、頂面28b及びテーパ面28aは被係合部10dにラッチ係合して孔部10fから露出する部位である。
【0034】
押圧部29は、可撓性アーム27から延びる湾曲面29aと、湾曲面29aから延びる第1の突出面29bと、第1の突出面29bから延びる傾斜面29cと、頂面29dと、頂面29dの傾斜面29cとの反対側から延びる第2の突出面29eとを有する。湾曲面29aは、可撓性アーム27からX軸方向及びY軸方向の双方に対して傾斜している。第1の突出面29bは湾曲面29aの可撓性アーム27との反対側からY軸方向及びZ軸方向に延びており、傾斜面29cは第1の突出面29bの湾曲面29aとの反対側の端部からX軸方向及びY軸方向の双方に対して傾斜している。頂面29dは傾斜面29cの第1の突出面29bとの反対側に位置しており、第2の突出面29eは頂面29dの傾斜面29cとの反対側においてY軸方向及びZ軸方向に沿って延びている。頂面29dは指等が当てられる部位であり、頂面29dが指等によって押されることにより可撓性アーム27がウェハコネクタ20のY軸方向の中央側に撓む。
【0035】
第1の基部47は、例えば、他のウェハコネクタ20(ウェハ40)にZ軸方向に沿って対向する面47aと、面47aからウェハ40の厚さ方向に(Z軸方向に沿って)外向きに延びる突起47b及び係合部49bとを有する。面47aは、例えば、平坦状とされており、突起47bは円柱状とされている。係合部49bは、例えば、突起47bと同様、円柱状とされている。一例として、係合部49bの高さは、突起47bの高さよりも高い。しかしながら、突起47b及び係合部49bの形状は、円柱状に限られず、例えば、角柱状又は長円柱状等であってもよく、適宜変更可能である。
【0036】
ウェハコネクタ20(例えば第1のウェハコネクタ)の突起47b及び係合部49bは、例えば、他のウェハコネクタ20(例えば第2のウェハコネクタ)を結合させる部位である。第1の基部47は、例えば、複数の突起47bと、係合部49bとを有する。複数の突起47bは、例えば、第1の基部47のY軸方向の一端、及び第1の基部47のY軸方向の他端のそれぞれに配置されている。このように、突起47bが第1の基部47のY軸方向の一端、及び第1の基部47のY軸方向の他端のそれぞれに配置されていることにより、Y軸方向の両端部において他のウェハコネクタ20を強固に結合することが可能となる。
【0037】
例えば、Y軸方向の少なくとも一方の端部(一例として突出部26側の端部)において、複数の突起47bはX軸方向の一端、及びX軸方向の他端のそれぞれに配置されている。突起47bがX軸方向の一端、及びX軸方向の他端のそれぞれに配置されていることにより、X軸方向の両端部において他のウェハコネクタ20を強固に結合することが可能である。本実施形態では、Y軸方向の突出部26側(ラッチ係合部25の反対側)の端部においてX軸方向の両端部のそれぞれに2個の突起47bの組Cが配置されており、Y軸方向のラッチ係合部25側の端部であって且つ第2の端面44側の端部に2個の突起47bの組Cが配置されている。各組Cでは、2個の突起47bがX軸方向に沿って並ぶように配置されている。各突起47bは、面47aに対して上方に延びる外周面47cと、外周面47cの上端に位置するテーパ面47dと、テーパ面47dの上端に位置する頂面47eとを有する。
【0038】
係合部49bは、ラッチ係合部25に設けられる。例えば、係合部49bは、ラッチ係合部25の可撓性アーム27(一例として押圧部29)からZ軸方向に沿って突出している。係合部49bは、ウェハコネクタ20(例えば第1のウェハコネクタ)のラッチ係合部25を他のウェハコネクタ20(例えば第2のウェハコネクタ)のラッチ係合部25に結合させる部位である。
【0039】
係合部49bによって、複数のラッチ係合部25をラッチ係合位置及びラッチ解除位置に連動させることが可能となる。係合部49bは、例えば、可撓性アーム27のZ軸方向を向く側面27cから突出する第1のテーパ面49cと、第1のテーパ面49cからZ軸方向に延びる外周面49dと、外周面49dの第1のテーパ面49cとの反対側の端部において縮径する第2のテーパ面49fと、第2のテーパ面49fの外周面49dとの反対側においてZ軸方向を向く頂面49gとを有する。
【0040】
第2の基部48は、他のウェハコネクタ20(例えば第2のウェハコネクタ)にZ軸方向に沿って対向する面48aと、面48aからウェハ40の厚さ方向に窪むと共に前述した突起47bが挿入される開口部48bと、空洞41に通される端子30が係合する端子係合部48c,48fとを有する。端子係合部48c,48fは端子30が係合する貫通孔である。一例として、端子係合部48c,48fの形状は矩形状である。
【0041】
開口部48bは、ウェハ40に他のウェハコネクタ20のウェハ40を結合させる部位である。第2の基部48は、例えば、複数の開口部48bを有する。複数の開口部48bは、第2の基部48のY軸方向の一端、及び第2の基部48のY軸方向の他端のそれぞれに配置されている。例えば、第2の基部48のY軸方向の少なくとも一方の端部(一例として突出部26側の端部)において、開口部48bは、第2の基部48のX軸方向の一端、及び第2の基部48のX軸方向の他端のそれぞれに配置されている。
【0042】
本実施形態では、Y軸方向の突出部26側の端部であって且つX軸方向の両端部のそれぞれに開口部48bが配置されている。Y軸方向のラッチ係合部25側の端部であって且つ第2の端面44側の端部に開口部48bが配置されている。開口部48bは、例えば、X軸方向に長辺を有し、Y軸方向に短辺を有する長方形状とされている。開口部48bは、突起47bの外周面47cが当接する内側面48eを有する。内側面48eは、例えば、開口部48bの幅方向(Y軸方向)に沿って一対に設けられる。
【0043】
開口部48bの幅(一対の内側面48eの間隔)は、突起47bの外周面47cの直径と同程度とされている。従って、開口部48bに突起47bが押し込まれることにより、開口部48bの各内側面48eに外周面47cが当接して開口部48bに対する突起47bの結合が行われる。例えば、1つの開口部48bに組Cを成す2つの突起47bが挿入され、一対の内側面48eのそれぞれに2つの突起47bのそれぞれの外周面47cが当接する。このように、複数の突起47bに対して1つの開口部48bを有することにより、開口部48bの数を低減することができる。
【0044】
図9に示されるように、第2の基部48は、前述した第1の基部47の係合部49bと係合する係合部49hを有する。係合部49hは、例えば、第1の基部47に形成された係合部49bに係合される被係合部である。一例として、係合部49hは、他のウェハ40の係合部49bが挿入される穴であり、ラッチ係合部25に設けられる。例えば、係合部49hは、ラッチ係合部25の可撓性アーム27(一例として押圧部29)における側面27cとの反対側を向く側面27dに形成されている。係合部49hは、例えば、係合部49bの外周面49dが当接する内周面49jと、内周面49jの側面27d側に位置するテーパ面49kとを有する。一例として、内周面49jの径は外周面49dの径と同程度であり、この場合、係合部49hに係合部49bが強固に係合する。
【0045】
図10は、ウェハ40の内部構造を示す断面斜視図である。
図10に示されるように、ウェハ40の第2の端面44には、例えば、Y軸方向に沿って並ぶ複数の孔部44bが形成されており、各孔部44bは第2の端面44においてX軸方向に貫通すると共に空洞41に連通している。空洞41は端子30の後述する嵌合部32がX軸方向に沿って対向する底面41bを有する。
【0046】
空洞41の内部には、互いに離間して並ぶ複数の端子30が収容される。各端子30は、第1の端面43の隣接位置に配置されるワイヤ接続部31と、第2の端面44の隣接位置に配置される嵌合部32とを備える。ワイヤ接続部31は圧接部35と第1支持部36とを含んでおり、嵌合部32は第2支持部37とコンタクトアーム部38とを含んでいる。
【0047】
嵌合部32は、例えば、互いに対向すると共に可撓性を有するコンタクトアーム部38を有し、嵌合部32が嵌合コネクタ10のコンタクト11を受けるときに、押し広げられた一対のコンタクトアーム部38の間にコンタクト11が受容される。第2支持部37はコンタクトアーム部38のワイヤ接続部31側に設けられており、例えば、第2支持部37は互いに対向する一対のアーム部37aを有する。
【0048】
第1支持部36は、例えば、空洞41に挿入されると共にX軸方向に沿って延びるワイヤを受け入れる一対のアーム部36aを備える。例えば、一対のアーム部36aのX軸方向における位置は互いにずれている。すなわち、一対のアーム部36aのうちの一方は他方よりもX軸方向の端部側に位置する。圧接部35は、空洞41に挿入されたワイヤを端子30に電気的に接続させる部位である。圧接部35は、例えば、圧接部35がウェハ40の外部から空洞41に挿入されるワイヤを支持している状態で、当該ワイヤを端子30に導通する。
【0049】
次に、嵌合コネクタ10に対するウェハコネクタ20の嵌合構造について説明する。
図2に示されるように、Z軸方向に並ぶ複数のウェハコネクタ20のそれぞれのラッチ係合部25は嵌合コネクタ10の被係合部10dに係合する。例えば、Z軸方向に並ぶ複数のウェハコネクタ20のうち、Z軸方向の中央側に位置するウェハコネクタ20のラッチ係合部25は嵌合コネクタ10に深く係合し、Z軸方向の端部側に位置するウェハコネクタ20のラッチ係合部25は嵌合コネクタ10に浅く係合してもよい。一例として、Z軸方向に並ぶ4個のウェハコネクタ20のうち、Z軸方向の中央側に位置する2個のウェハコネクタ20のラッチ係合部25は嵌合コネクタ10に深く係合し、Z軸方向の端部側に位置する2個のウェハコネクタ20のラッチ係合部25は嵌合コネクタ10に浅く係合してもよい。
【0050】
図11は、Z軸方向の端部側に位置する第1のウェハコネクタ20A(ウェハ40A)の第1のラッチ係合部25が嵌合コネクタ10に係合しているラッチ係合位置の例を示す断面図である。
図12は、Z軸方向の中央側に位置する第2のウェハコネクタ20B(ウェハ40B)の第2のラッチ係合部25が嵌合コネクタ10に係合しているラッチ係合位置の例を示す断面図である。第1のウェハコネクタ20A及び第2のウェハコネクタ20B(ウェハ40A及びウェハ40B)のそれぞれの構成は、例えば、前述したウェハコネクタ20及びウェハ40のそれぞれの構成と同一である。
【0051】
第1のウェハコネクタ20A及び第2のウェハコネクタ20Bのそれぞれのラッチ係合部25は可撓性アーム27を有する。第1のウェハコネクタ20Aの第1の可撓性アーム27は、第1のウェハコネクタ20Aを嵌合コネクタ10にラッチ係合するラッチ係合位置、及び第1のウェハコネクタ20Aを嵌合コネクタ10からラッチ解除するラッチ解除位置との間を移動する。第2のウェハコネクタ20Bの第2の可撓性アーム27は、第2のウェハコネクタ20Bを嵌合コネクタ10にラッチ係合するラッチ係合位置、及び第2のウェハコネクタ20Bを嵌合コネクタ10からラッチ解除するラッチ解除位置との間を移動する。
【0052】
前述したように、第1のウェハコネクタ20Aと第2のウェハコネクタ20Bとは係合部49b及び係合部49hによって互いに連結されている。例えば、第1のウェハコネクタ20Aの第1の係合部49bが第2のウェハコネクタ20Bの第2の係合部49hに係合した状態で第1の可撓性アーム27がラッチ係合位置とラッチ解除位置の間を移動すると、第2の可撓性アーム27も連動してラッチ係合位置とラッチ解除位置の間を移動する。
【0053】
例えば、
図11及び
図12のそれぞれは、第1のウェハコネクタ20A及び第2のウェハコネクタ20Bのそれぞれのラッチ係合状態を示しており、ラッチ係合状態から可撓性アーム27を解除距離d1,d2だけ嵌合コネクタ10の中央側に移動させるとラッチ解除状態に遷移する。例えば、第1のウェハコネクタ20Aの解除距離d1は、第1のウェハコネクタ20Aのラッチ部28の外面(一例として頂面28b)と被係合部10dの内面(一例として壁部10gの内面)との距離である。
【0054】
この解除距離d1だけ可撓性アーム27を嵌合コネクタ10の中央側に撓ませたときの可撓性アーム27の位置がラッチ解除位置である。また、第2のウェハコネクタ20Bの解除距離d2は、解除距離d1同様、第2のウェハコネクタ20Bのラッチ部28の外面と被係合部10dの内面との距離である。そして、解除距離d2だけ可撓性アーム27を嵌合コネクタ10の中央側に撓ませたときの可撓性アーム27の位置がラッチ解除位置である。
【0055】
第1のウェハコネクタ20Aがラッチ解除位置とされている状態で嵌合コネクタ10から第1のウェハコネクタ20Aが引き上げられることにより、第1のウェハコネクタ20Aを嵌合コネクタ10から引き抜くことが可能である。また、前述したように、第2のウェハコネクタ20Bの可撓性アーム27は係合部49b及び係合部49hを介して第1のウェハコネクタ20Aの可撓性アーム27に連結されている。
【0056】
従って、第1のウェハコネクタ20Aがラッチ係合状態にあるときに第2のウェハコネクタ20Bもラッチ係合状態となり、第1のウェハコネクタ20Aがラッチ解除状態にあるときに第2のウェハコネクタ20Bもラッチ解除状態になる。従って、嵌合コネクタ10から第1のウェハコネクタ20Aを引き上げるときに第2のウェハコネクタ20Bも引き上げられるので、第1のウェハコネクタ20Aの引き抜きに伴って第2のウェハコネクタ20Bを同時に引き抜くことが可能となる。従って、1つのウェハコネクタ20をラッチ解除状態とするだけで全てのウェハコネクタ20を引き抜くことが可能となる。
【0057】
前述したように、第1のウェハコネクタ20Aの解除距離d1は、第2のウェハコネクタ20Bの解除距離d2と異なっており、例えば、解除距離d1は解除距離d2よりも小さい。本開示において、「解除距離」は、ラッチ係合状態からラッチ解除状態に遷移するときにラッチ係合部25(可撓性アーム27)が移動する距離を示しており、ラッチ係合部25による係合量を含んでいてもよい。本実施形態では、例えば、ウェハコネクタ20ごとに当該係合量が異なっている。この構成を実現させる例について説明する。嵌合コネクタ10は、前述したように、第1のウェハコネクタ20A及び第2のウェハコネクタ20Bのそれぞれを受容する複数の受容空洞13a(
図5参照)を画成し、各受容空洞13aで受けた第1のウェハコネクタ20A及び第2のウェハコネクタ20Bのそれぞれのラッチ部28と係合する被係合部10dを備える。
【0058】
第1のウェハコネクタ20Aを受容する第1の受容空洞13aの被係合部10dの幅p1が、第2のウェハコネクタ20Bを受容する第2の受容空洞13aの被係合部10dの幅p2と異なっていてもよい。例えば、第1の受容空洞13aの被係合部10dを構成する壁部10gの幅p1が第2の受容空洞13aの被係合部10dを構成する壁部10gの幅p2より狭くてもよい。幅p1が幅p2よりも小さいことによって、解除距離d1が解除距離d2よりも短い構成が実現される。なお、第1の受容空洞13aは嵌合コネクタ10のZ軸方向の端部側に位置する受容空洞13aを示しており、第2の受容空洞13aは嵌合コネクタ10のZ軸方向の中央側に位置する受容空洞13aを示している。
【0059】
また、第1のウェハコネクタ20Aを第1の受容空洞13aで受容するときの第1の受容空洞13aの被係合部10dと可撓性アーム27との間隔t1が、第2のウェハコネクタ20Bを第2の受容空洞13aで受容するときの第2の受容空洞13aの被係合部10dと可撓性アーム27との間隔t2とは異なっていてもよく、例えば、間隔t1が間隔t2より広くてもよい。間隔t1が間隔t2より広いことによって、解除距離d1が解除距離d2よりも短い構成が実現される。なお、間隔t2はゼロであってもよく、この場合、第2のウェハコネクタ20Bの可撓性アーム27と被係合部10dとが接触した状態となる。
【0060】
次に、本実施形態に係るウェハコネクタ20及び嵌合コネクタ10の作用効果について説明する。例えば、
図7及び
図8に示されるように、本実施形態に係るウェハコネクタ20では、第1のウェハコネクタ20の第1の係合部49bが第2のウェハコネクタ20の第2の係合部49hに係合した状態で第1の可撓性アーム27がラッチ係合位置とラッチ解除位置の間を移動すると、第2の可撓性アーム27もラッチ係合位置とラッチ解除位置の間を移動する。従って、複数のウェハコネクタ20の間で複数の可撓性アーム27を連動させることができるので、一つのウェハコネクタ20の可撓性アーム27を押すだけで全てのウェハコネクタ20をラッチ解除状態に遷移させることができる。従って、嵌合コネクタ10から複数のウェハコネクタ20を纏めて容易に引き抜くことができる。更に、第1のウェハコネクタ20の第1の係合部49bを第2のウェハコネクタ20の第2の係合部49hに係合することで複数のウェハコネクタ20を一体化することができるので、一体化させた複数のウェハコネクタ20を容易に嵌合コネクタ10に挿入することができる。従って、嵌合コネクタ10に対する複数のウェハコネクタ20の挿抜を容易に行うことができる。
【0061】
第1の係合部49bは凸部であると共に第2の係合部49hは凹部であってもよい。また、第1の係合部が凹部であると共に第2の係合部が凸部であってもよい。この場合、第1の係合部及び第2の係合部の構成を簡易にすることができる。
【0062】
ウェハ40は、ウェハ40から外向きに延びる少なくとも1つの突起47bを有してもよい。第2のウェハコネクタ20に第2のウェハコネクタ20が積層されるときに、少なくとも1つの突起47bが第2のウェハコネクタ20の少なくとも1つの開口部48bに挿入されてもよい。少なくとも1つの突起47bが少なくとも1つの開口部48bに挿入されることにより、第1のウェハコネクタ20と第2のウェハコネクタ20との相対的な回転が抑制されてもよい。この場合、開口部48bに突起47bが挿入されることにより、嵌合方向(X軸方向)へのウェハコネクタ20の滑りを抑制することができる。更に、複数のウェハコネクタ20の間の係合を強固にすることができる。
【0063】
積層された第1のウェハコネクタ20及び第2のウェハコネクタ20が嵌合コネクタ10に嵌合し、第1のウェハコネクタ20及び第2のウェハコネクタ20が嵌合コネクタ10にラッチ係合してもよい。そして、積層された第1のウェハコネクタ20及び第2のウェハコネクタ20のうちの一方が嵌合コネクタ10からラッチ解除されると、積層された第1のウェハコネクタ20及び第2のウェハコネクタ20の他方も嵌合コネクタ10からラッチ解除されてもよい。この場合、複数のウェハコネクタ20の嵌合コネクタ10へのラッチ係合、及び複数のウェハコネクタ20の嵌合コネクタ10からのラッチ解除が、複数のウェハコネクタ20の間で連動して行われるので、挿抜を一層容易に行うことができる。
【0064】
ウェハ40は、互いに対向する第1の側面45及び第2の側面46の間において延在すると共に、互いに対向する第1の端面43及び第2の端面44の間において延在する第1の基部47及び第2の基部48を有してもよい。ラッチ係合部25は第2の側面46から延びていてもよい。また、空洞41は、第1の基部47、第2の基部48、第1の側面45、第2の側面46、第1の端面43及び第2の端面44の間に画成されていてもよい。ウェハ40は、第1の端面43に画成される少なくとも1つの開口部41aに挿入された外部端子を受けてもよい。そして、第2の端面44は、嵌合コネクタ10と嵌合する少なくとも1つの孔部44bを画成し、孔部44bを経由した嵌合コネクタ10のコンタクト11を受けてもよい。
【0065】
図5、
図11及び
図12に示されるように、本実施形態に係る嵌合コネクタ10は、複数のウェハコネクタ20を受容する複数の受容空洞13aを画成し、各受容空洞13aで受けたウェハコネクタ20のラッチ部28と係合する被係合部10dを備える。そして、ラッチ部28を解除距離d1,d2だけ移動させることでウェハコネクタ20が嵌合コネクタ10からラッチ解除される。
【0066】
複数の受容空洞13aのうち少なくとも第1の受容空洞13a及び第2の受容空洞13aのそれぞれに受容された2つのウェハコネクタ20について、第1のウェハコネクタ20Aのラッチ部28が第1の受容空洞13aで移動したときの第1の解除距離d1が、第2のウェハコネクタ20Bのラッチ部28が第2の受容空洞13aで移動したときの第2の解除距離d2と異なっていてもよい。このように、複数のウェハコネクタ20の間で第1の解除距離d1と第2の解除距離d2とが異なる場合であっても、複数のラッチ部28は連動して係合及び係合解除を行うので、嵌合コネクタ10に対する挿抜を容易に行うことができる。
【0067】
第1の受容空洞13aの被係合部10dの形状が第2の受容空洞13aの被係合部10dの形状と異なることにより、第1の解除距離d1が第2の解除距離d2と異なっていてもよい。「被係合部の形状が異なる」とは、前述した幅p1及び幅p2が互いに異なる場合に限られず、例えば、被係合部が部分的にテーパとされたり、当該テーパの度合いを異ならせたりする場合等も含んでいる。また、ウェハコネクタ20は、ラッチ部28を有する可撓性アーム27を備え、第1のウェハコネクタ20Aを第1の受容空洞13aで受容するときの第1の受容空洞13aの被係合部10dと可撓性アーム27との間隔をt1とし、第2のウェハコネクタ20Bを第2の受容空洞13aで受容するときの第2の受容空洞13aの被係合部10dと可撓性アーム27との間隔をt2としたときに、t2がt1と異なっていてもよい。更に、t2の値はゼロであってもよい。
【0068】
嵌合コネクタ10は、ウェハコネクタ20の端子30と当接する複数のコンタクト11を備え、複数のコンタクト11は複数の受容空洞13a内に配置されていてもよい。また、前述した第1の受容空洞13aは、嵌合コネクタ10の第1の側壁14に隣接して配置された端部側の受容空洞13aであってもよいし、第2の受容空洞13aは、第1の側壁14、及び第1の側壁14に対向する第2の側壁15から離間した中央側の受容空洞13aであってもよい。
【0069】
また、受容空洞13aは、互いに対向する側壁(例えば第1の側壁14及び第2の側壁15)に隣接する端部側の受容空洞13aと、一対の端部側の受容空洞13aの間に配置された中央側の受容空洞13aと、を含んでいてもよい。各受容空洞13aは、ウェハコネクタ20を受容し、ウェハコネクタ20のラッチ部28と係合する被係合部10dを備えていてもよい。更に、被係合部10dは互いに対向する側壁に沿って延びていてもよく、各端部側の被係合部10d(壁部10g)の幅p1と、各中央側の被係合部10dの幅p2との関係がp1<p2を満たしてもよい。この場合、端部側の被係合部10dに対するラッチ部28のラッチ係合を、中央側の被係合部10dに対するラッチ部28のラッチ係合よりも浅くできる。また、中央側のラッチ係合部25の係合量が端部側のラッチ係合部25の係合量よりも大きいので、係合量が大きい中央側のラッチ係合部25を操作したときに係合量が小さい端部側のラッチ係合部25の解除をしやすくすることができる。更に、押圧部29を押すことによってラッチ係合部25の解除を容易に行うことができる。よって、中央側のラッチ係合部25の押圧部29を押すことによって全てのウェハコネクタ20を更に容易に引き抜くことができる。
【0070】
以上、本開示に係るウェハコネクタ及び嵌合コネクタの実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係るウェハコネクタ及び嵌合コネクタの各部の形状、大きさ、数、材料、配置態様及び係合等の態様は、前述した実施形態に限定されず適宜変更可能である。例えば、嵌合コネクタ10、ウェハコネクタ20、端子30及びウェハ40のそれぞれの形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述の実施形態に限られず適宜変更可能である。
【0071】
例えば、
図13に示されるように、変形例に係るコネクタアセンブリ51の嵌合コネクタ10は、第3の側壁16において突出する凸部19を備えていてもよい。この場合、例えば、第3の側壁16の外面16aに、嵌合コネクタ10の外方(Y軸方向外側)に突出する凸部19が形成されている。一例として、凸部19は、外面16aの中央を含む領域において矩形状に突出する。凸部19は、嵌合コネクタ10の被係合部10d(ラッチ係合部25)の下方に設けられていてもよい。
【0072】
このように、凸部19を設けることにより、凸部19を、嵌合コネクタ10に嵌合するウェハコネクタ20の嵌合位置を指で探るときの目印として機能させることができる。すなわち、ラッチ係合部25の下方に位置する凸部19を有する場合、凸部19を手探りで探せば対象のウェハコネクタ20を容易に見つけ出すことができる。また、凸部19を手探りで認識することによって基板B上のコネクタアセンブリ1の位置を容易に認識することができ、対象のウェハコネクタ20を容易に見つけ出すことができる。
【0073】
また、前述の実施形態では、1個の嵌合コネクタ10に4個のウェハコネクタ20が嵌合する例について説明した。しかしながら、1個の嵌合コネクタに嵌合するウェハコネクタの数は2個、3個又は5個以上であってもよく適宜変更可能である。更に、前述の実施形態では、コネクタアセンブリ1の嵌合コネクタ10が基板マウントコネクタである例について説明した。しかしながら、本開示に係る嵌合コネクタは、基板マウントコネクタ以外のコネクタであってもよく、例えば、一の電気コネクタと他の電気コネクタとを互いに接続する中継コネクタであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…嵌合コネクタ、10b…凹部、10c,10f,44b…孔部、10d…被係合部、11…コンタクト、12…開放端部、13a…受容空洞(第1の受容空洞、第2の受容空洞)、14…第1の側壁、15…第2の側壁、16…第3の側壁、17…第4の側壁、18b,19…凸部、20,20A,20B…ウェハコネクタ(第1のウェハコネクタ、第2のウェハコネクタ)、25…ラッチ係合部、26…突出部、27…可撓性アーム、28…ラッチ部、29…押圧部、30…端子、40…ウェハ、41…空洞、41a…開口部、43…第1の端面、44…第2の端面、45…第1の側面、46…第2の側面、47…第1の基部、47b…突起、48…第2の基部、48b…開口部、49b,49h…係合部(第1の係合部、第2の係合部)、d1,d2…解除距離、p1,p2…幅、t1,t2…間隔。