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  • 特許-ベントナイト混合率の推定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ベントナイト混合率の推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/24 20060101AFI20240905BHJP
   E02D 3/00 20060101ALI20240905BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20240905BHJP
   G21F 1/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01N33/24 E
E02D3/00 102
G21F9/36 541E
G21F1/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020068200
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021165646
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】千々松 正和
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 歩夢
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-004619(JP,A)
【文献】特開2018-128372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0123738(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/24
E02D 1/00-3/115
G21F 1/00-7/06
G21F 9/00-9/36
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベントナイト混合土のベントナイト混合率の推定方法であって、
ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土の含水比と水分ポテンシャルとを測定する測定工程と、
前記測定した含水比および水分ポテンシャルの値を、予め求めた、ベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式および式(1)
補正含水比Wc(%)=含水比W(%)/ベントナイト混合率Cm (1)
に当てはめて前記ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土のベントナイト混合率を推定する推定工程と、
を有し、
前記相関式が、
ベントナイト混合率が既知であって、且つ前記ベントナイト混合率が異なる複数の既知ベントナイト混合土について含水比が異なる複数の試料を作成したうえで該複数の試料について含水比と水分ポテンシャルの測定を行い、
前記複数の試料について前記測定で得られた水分ポテンシャルの値と、同じく前記測定で得られた前記複数の試料の含水比の値を前記既知のベントナイト混合率で除して得られた前記補正含水比の値と、の関係に基づいて作成されたものであり、
前記ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土に混合された土の粒径および前記ベントナイト混合率が既知であって、且つ前記ベントナイト混合率が異なる複数の既知ベントナイト混合土に混合された土の粒径が、共に3.9μm以上2mm以下の範囲にあることを特徴とするベントナイト混合率の推定方法。
【請求項2】
前記相関式が、1MPa以上100MPa以下の水分ポテンシャルの値の範囲で用いられることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト混合率の推定方法。
【請求項3】
前記ベントナイト混合土の用途が、放射性廃棄物の処分施設の人工バリア材料用途であることを特徴とする請求項1または2に記載のベントナイト混合率の推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベントナイト混合土のベントナイト混合率の推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベントナイトは膨潤性が高く遮水性が高いので、これを砂や土と混合したベントナイト混合土が産業廃棄物処分場や放射性廃棄物の処分施設などにおいて人工バリア材料として用いられる。
【0003】
人工バリア材料として用いられる場合、ベントナイト混合土に求められる透水性や膨潤性などの物性を規定し、管理することが理想であるが、この物性は直接測定することができないか、あるいはその測定が困難であるので、ベントナイト混合率、密度および水分量等を測定、管理することで上記物性を担保させることとしている。
【0004】
非特許文献1は、ベントナイト混合率の測定方法として、i)メチレンブルー(MB)吸着量測定、ii)電気伝導度測定、iii)細粒分含有率測定、iv)粘度測定、v)沈降試験、vi)近赤外線分光測定等が検討されたことを開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】中島貴弘、山田淳夫、木村誠、千々松正和著、「ベントナイト混合土の品質管理方法(混合率)に関する検討」、公益社団法人土木学会 第67回年次学術講演会講演概要集、CS13-010、第19~20頁、2012年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1のベントナイト混合率の測定方法によれば、i)メチレンブルー(MB)吸着量測定、iii)細粒分含有率測定およびv)沈降試験が比較的測定精度が高い方法であるが、測定に手間を要するという問題がある(i)MB吸着量測定については、測定に熟練度も要求される)。vi)近赤外線分光測定は簡単に測定を実施することができるが、精度のバラツキが大きい。さらに、iv)粘度測定(ファンネル粘度測定)はよく使われる方法であるが、ファンネル粘度が大きくなる領域ではベントナイト混合率との相関が失われ、測定精度が低下する。
【0007】
上記課題を鑑みた本願発明の目的は、測定に手間も熟練度も要することなく、精度の高いベントナイト混合率の推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、鋭意検討の結果、ベントナイト混合土の、ベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式に高い相関関係があることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の前記目的は、ベントナイト混合土のベントナイト混合率の推定方法であって、
ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土の含水比と水分ポテンシャルとを測定する測定工程と、前記測定した含水比および水分ポテンシャルの値を、予め求めた、ベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式に当てはめて前記ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土のベントナイト混合率を推定する推定工程と、を有し、前記相関式が、ベントナイト混合率が既知であって、且つ前記ベントナイト混合率が異なる複数の既知ベントナイト混合土について含水比が異なる複数の試料を作成したうえで該複数の試料について含水比と水分ポテンシャルの測定を行い、前記複数の試料について前記測定で得られた水分ポテンシャルの値と、同じく前記測定で得られた前記複数の試料の含水比の値を前記既知のベントナイト混合率で除して得られた前記補正含水比の値と、の関係に基づいて作成されたものであることを特徴とするベントナイト混合率の推定方法によって達成される。
【0010】
また、本発明のベントナイト混合率の推定方法は、前記相関式を、1MPa以上100MPa以下の水分ポテンシャルの値の範囲で用いることが好ましい。
【0011】
さらに、好ましくは、前記ベントナイト混合土の用途が、放射性廃棄物の処分施設の人工バリア材料用途である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のベントナイト混合率の推定方法によれば、予めベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式を求めておき、この相関式にベントナイト混合土の含水比と水分ポテンシャルとを測定して当てはめることでベントナイト混合率が未知のベントナイト混合土のベントナイト混合率を求めることが可能となる。補正含水比と水分ポテンシャルとの間には高い相関があり、且つ、ベントナイト混合土の含水比と水分ポテンシャルは測定に熟練度及び手間を要求しないので、測定に手間も熟練度も要することなく、精度の高いベントナイト混合率の推定方法がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)各ベントナイトA混合土の水分ポテンシャルPと含水比Wの測定値をプロットしたグラフであり、(b)各ベントナイトB混合土の水分ポテンシャルPと含水比Wの測定値をプロットしたグラフである。
図2】(a)ベントナイトA混合土の水分ポテンシャルPと補正含水比Wcをプロットしたグラフであり、(b)ベントナイトB混合土の水分ポテンシャルPと補正含水比Wcをプロットしたグラフである。
図3】(a)ベントナイトA混合土の水分ポテンシャルPと補正含水比Wcの値から最小二乗法により作成した回帰曲線および(b)ベントナイトB混合土の水分ポテンシャルPと補正含水比Wcの値から最小二乗法により作成した回帰曲線である。
図4図2(a)のプロットを図1(a)のプロットに重ねたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<ベントナイト混合率の推定方法>
本発明のベントナイト混合土のベントナイト混合率の推定方法は、ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土の含水比と水分ポテンシャルとを測定する測定工程と、測定した含水比および水分ポテンシャルの値を、予め求めた、ベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式に当てはめてベントナイト混合率未知のベントナイト混合土のベントナイト混合率を推定する推定工程と、を有する。
【0015】
[1.測定工程]
本工程では、上記のとおり、ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土の含水比と水分ポテンシャルとを測定する。
【0016】
ベントナイト混合土とは、ベントナイトと土との混合物をいう。ベントナイトは、モンモリロナイトを主成分として、石英、クリストバライトなどのケイ酸鉱物を副成分として含む粘性土であり、たとえば、クニミネ工業社、日本ベントナイト工業社、ホージュン社などから市販されているベントナイト製品を用いることができる。
【0017】
ベントナイトと混合される土としては、粒径3.9μm以上2mm以下の範囲の土を用いることができ、好ましくは粒径50μm以上2mm以下の範囲の土を用いることができる。粒径3.9μm以上とすることでベントナイト混合土から粘土が排除され、後述する相関式の確度を高めることができる。
【0018】
ベントナイトと混合される土は、例えば、コンクリート骨材用の山砂、珪砂、川砂等が挙げられる。
【0019】
ベントナイト混合率はベントナイト混合土に占めるベントナイトの質量割合であり、ベントナイト混合率の測定において、混合されるベントナイトおよび土は絶乾後のものを用いるものとする。
【0020】
含水比は、混合土に含まれる水の質量を混合土の乾燥質量で除して、混合土に含まれる水分の割合を示したものであり、JIS A1203:2009に従って測定される。
【0021】
土壌の水分ポテンシャルとは、土壌に含まれる水の化学ポテンシャルを指し、水の表面張力や土粒子の吸着力によるマトリックポテンシャル成分、溶質を含むことによる浸透ポテンシャル成分、そして重力ポテンシャル成分から構成されている。水分ポテンシャルは、冷却鏡法による水分ポテンシャル測定器であるWP4C(アイネクス社販売)などにより簡便に測定することができる(以上、測定工程)。
【0022】
[2.推定工程]
本工程では、[1.測定工程]で測定した含水比および水分ポテンシャルの値を、予め求めた、ベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式に当てはめてベントナイト混合率未知のベントナイト混合土のベントナイト混合率を推定する。
【0023】
(2-1)ベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式の作成
ベントナイトは水を容易に取り込むが、混合される土はベントナイトと比較して水を取り込む力が弱く、したがって、含水比を一定にした場合に、ベントナイト混合土の水分ポテンシャルはベントナイトの混合率に依存することから、ベントナイト混合土のベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式が高い相関を有するものと考えられる。
【0024】
ベントナイト混合土のベントナイト混合率で補正した補正含水比と水分ポテンシャルとの相関式は、ベントナイト混合率が既知であって、且つ前記ベントナイト混合率が異なる複数の既知ベントナイト混合土について含水比が異なる複数の試料を作成したうえで該複数の試料について含水比と水分ポテンシャルの測定を行い、前記複数の試料について前記測定で得られた水分ポテンシャルの値と、同じく前記測定で得られた前記複数の試料の含水比の値を前記既知のベントナイト混合率で除して得られた前記補正含水比の値と、の関係に基づいて作成されたものである。
【0025】
ベントナイト混合率が既知であって、且つ前記ベントナイト混合率が異なる複数の既知ベントナイト混合土としては、ベントナイトの混合率違いで2以上のベントナイトの混合率が既知の既知ベントナイト混合土を、好ましくはベントナイトの混合率違いで3以上のベントナイトの混合率が既知の既知ベントナイト混合土を用意する。
【0026】
これらベントナイト混合率が異なる2以上の既知ベントナイト混合土から、含水比を変更した試料を複数準備する。含水比を変更した試料は2以上であり、好ましくは3以上、より好ましくは4以上準備する。
【0027】
なお、相関式の作成に用いる既知ベントナイト混合土のベントナイトおよび土は、混合比を除き、上記ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土のベントナイトおよび土と同じであることが、ベントナイト混合率の推定精度を高める観点から好ましい。
【0028】
次に、含水比を変更した各試料について、含水比と水分ポテンシャルを測定する。この測定は、上記[1.測定工程]で述べた測定方法に従ってなされる。
【0029】
後述する実施例では、ベントナイトAについて、ベントナイト混合率25%、50%、75%、100%の4つのベントナイト混合土について、含水比0~50%の間で各ベントナイト混合土について各9個の試料を調整し、含水比と水分ポテンシャルを測定しており、測定結果は図1(a)に示される。
【0030】
次に、測定された含水比の値を既知のベントナイト混合率で除して、以下の式(1)で示す補正含水比の値を得る。
【0031】
各試料について、補正含水比Wc(%)を横軸とし、水分ポテンシャルPを縦軸としたグラフは図2(a)に示されるが、ここでは、図2(a)のプロットを図1(a)に重ねた図を図4に示す。
【0032】
図4に示すように、各試料の含水比と水分ポテンシャルのプロットが、ベントナイト混合率で補正された補正含水比と水分ポテンシャルのプロットとすることで右方向に移動し、一つの曲線上に並ぶ相関関係を示すことから、この補正含水比と水分ポテンシャルとの関係から相関式を作成することができる。
【0033】
相関式は、例えば、補正含水比と水分ポテンシャルのデータから最小二乗法により作成した回帰直線や回帰曲線を示す相関式として得ることができる。
【0034】
なお、図2(a)では横軸を補正含水比Wc(%)とし、縦軸を水分ポテンシャルPとしているが、縦軸と横軸を入れ替えてもよい。
【0035】
後述する実施例では、ベントナイト混合土Aについて相関式(A)が、ベントナイト混合土Bについて相関式(B)が、それぞれ得られている。
【0036】
また、補正含水比と水分ポテンシャルの相関の高さの観点から、相関式は、水分ポテンシャルPが0.2MPa以上300MPa以下の範囲で、好ましくは1MPa以上100MPa以下の範囲で用いることが好ましい。
【0037】
(2-2)ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土のベントナイト混合率の推定
次に、上記(2-1)の項目で得られた相関式に[1.測定工程]で測定した含水比および水分ポテンシャルの値を当てはめることで、ベントナイト混合率Cmを算出(推定)する。
【0038】
具体的には、例えば、相関式(A)に水分ポテンシャルの値を当てはめることで補正含水比Wcの値が算出され、この補正含水比の値と含水比の値とを以下の式(1)
補正含水比Wc(%)=含水比W(%)/ベントナイト混合率Cm (1)
に代入することで、ベントナイト混合率Cmが算出(推定)されることとなる(以上、推定工程)。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のベントナイト混合率の推定方法は、放射性廃棄物の処分施設の人工バリア材料用途で使用されるベントナイト混合土のベントナイト混合率の推定に、埋設処分された廃棄物の覆土としてのベントナイト混合土のベントナイト混合率の推定に、およびその他止水材として用いられるベントナイト混合土のベントナイト混合率の推定に使用することができる。
【実施例
【0040】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
<1.相関式の作成>
(1)ベントナイト混合土の調整
ベントナイトA(クニゲルV1、クニミネ工業社製)と珪砂(三河珪砂6号、三河珪石株式会社製)とを、それぞれ以下の表1の質量比で混合し、ベントナイトA混合土を得た。
【0042】
同様に、ベントナイトB(クニボンドRW、クニミネ工業社製)と珪砂(三河珪砂6号、三河珪石株式会社製)とを、それぞれ以下の表1の質量比で混合し、ベントナイトB混合土を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
(2)調整した各ベントナイト混合土の水分ポテンシャルPおよび含水比Wの測定
表1の各ベントナイト混合土について、水の含有割合を変えてそれぞれ9個の試験体を作成した。この各試験体の含水比Wおよび水分ポテンシャルPを測定し、得られた測定値について、含水比Wを横軸、水分ポテンシャルPを縦軸としてプロットし、各ベントナイト混合土について含水比Wと水分ポテンシャルPとの関係を示すグラフを作成した。このグラフを図1に示す。
【0045】
図1に示すように、ベントナイト混合土は、ベントナイト混合率Cmに応じて、含水比Wと水分ポテンシャルPとの間に一定の関係を示すように見えた。
【0046】
なお、含水比Wの測定は赤外線水分計(FD-720、ケツト科学研究所製)により行い、水分ポテンシャルPの測定は冷却鏡法による水分ポテンシャル測定装置(WP4C、アイネクス社製)により行った。
【0047】
(3)補正含水比Wcと水分ポテンシャルPとの相関式の作成
次に、各試験体の含水比Wの測定された値をその試験体のベントナイト混合率Cmで除した補正含水比Wcの値を求め、全ての試験体について、この補正含水比Wcの値を横軸と、対応する水分ポテンシャルPの値を縦軸としてプロットし、全てのベントナイト混合土について補正含水比Wcと水分ポテンシャルPとの関係を示すグラフを作成した。このグラフを図2に示す。
【0048】
図2に示すように、補正含水比Wcと水分ポテンシャルPとの間に高い相関関係があることが示された。
【0049】
次に、図2のグラフから横軸と縦軸を入れ替えたグラフを作成し、図3に示すとともに、相関式を作成し、同時に決定係数(R二乗値)を求めた。それぞれ、相関式及び決定係数(R二乗値)を以下に示す。
【0050】
ベントナイト混合土Aの相関式(A)
Wc(W/Cm)=40.432P-0.337 (A)
(R=0.9822)
ベントナイト混合土Bの相関式(B)
Wc(W/Cm)=61.08P-0.272 (B)
(R=0.971)
したがって、ベントナイト混合土Aおよびベントナイト混合土Bについて作成した相関式が高い相関を有することが示された。
【0051】
<2.相関式を用いたベントナイト混合率の推定>
次に、上記<1.相関式の作成>で作成した相関式を用いて推定したベントナイト混合土のベントナイト混合率Cmが実際のベントナイト混合土のベントナイト混合率Cmと整合するかどうか、以下に検討した。
【0052】
ベントナイトA(クニゲルV1、クニミネ工業社製)と珪砂(三河珪砂6号、三河珪石株式会社製)とを、ベントナイトA:珪砂=70:30の質量比で混合した70%ベントナイトA混合土を調整した。
【0053】
同様に、ベントナイトB(クニボンドRW、クニミネ工業社製)と珪砂(三河珪砂6号、三河珪石株式会社製)とを、ベントナイトB:珪砂=70:30の質量比で混合した70%ベントナイトB混合土を調整した。
【0054】
70%ベントナイトA混合土および70%ベントナイトB混合土について、赤外線水分計(FD-720、ケツト科学研究所製)により含水比Wを測定し、水分ポテンシャル測定装置(WP4C、アイネクス社製)により水分ポテンシャルPの測定を行った。測定結果を以下の表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
70%ベントナイトA混合土の含水比W及び水分ポテンシャルPの値を相関式(A)、70%ベントナイトB混合土の含水比W及び水分ポテンシャルPの値を相関式(B)にそれぞれ代入した結果、混合率はそれぞれ、69.4%(70%ベントナイトA混合土)、70.9%(70%ベントナイトB混合土)と算出された。
【0057】
これらの算出値は70%ベントナイトA混合土及び70%ベントナイトB混合土のベントナイトの混合率Cmと非常に近い値であり、したがって、ベントナイト混合率未知のベントナイト混合土のベントナイト混合率Cmを、含水比Wと水分ポテンシャルPを測定し、上記相関式に当てはめることで精度高く推定できることが示された。
図1
図2
図3
図4