(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ポリウレタン/(メタ)アクリルに基づくホットメルト感圧接着性組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/14 20060101AFI20240905BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20240905BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240905BHJP
【FI】
C09J175/14
C09J11/08
C09J7/38
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020110317
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-06-19
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミショー, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】ウィーガンド, オーレリアン
(72)【発明者】
【氏名】フーケイ, ステファン
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-540709(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073979(WO,A1)
【文献】特表2003-508578(JP,A)
【文献】特開2002-211677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)以下の式(I):
[化学式20]
-X-(C=O)-C(R
v
)=CH
2
(I)
[式中、R
Vは、水素原子又はメチル
基を表し、Xは、-O-又は-NR’
N-を表し、R’
Nは、水素原子、又は1から20個の炭素原
子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキルラジカルを表す。]
の少なくとも二つの末端官能基Tを含む少なくとも一つのポリウレタン;
(b)以下の樹脂:
(b1)テルペン/フェノール樹脂;
(b2
)α-メチルスチレンの重合により生じる樹
脂;
(b3)主にC
9芳香族留分により生じるポリマー樹脂(少なくとも部分的に水素化されていてもよい)
から選択される少なくとも一つの粘着付与樹脂;及び
(c)少なくとも一つの重合防止剤;
を含むホットメルト感圧接着性組成物であって、
- ポリウレタン(a):粘着付与樹脂(b)の重量比が4:6から6:4の範囲であり;
- 前記ポリウレタン(a)が
、1.9
超の式(I)の官能基の平均官能価を有する、
ことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
ポリウレタン(a)の重量による全含有量が、組成物の全重量に対して、30重量%から70重量
%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の少なくとも二つの末端官能基Tを含むポリウレタン(a)が、以下の工程:
- E1)少なくとも二つのNCO末端官能基を含むポリウレタンを:
(r1)と表されるNCO/OHモル比が
、1超であるような量で;
i
)少なくとも一つのポリイソシアネートの;
ii
)少なくとも一つのポリオールとの重付加反応
により調製する工程;
及び
- E2)工程E1)の結果として形成された生成物を、(r2)と表されるOH/NCOモル比が、1.00以
下であるような量で、少なくとも一つの(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステル又は少なくとも一つの(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドと反応させる工程
を含む方法により調製される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
- (メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステルが、以下の式(II):
[化学式21]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチル
基を表し、R
AC
は一若しくは複数のヘテロ原子で分断されていてもよく、且つ/又は一
若しくは複数の二価の-N(R’’
N)-で分断されていてもよく、ここでR’’
Nは、1から22個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキルラジカル、-C(=O)O-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)O-、-NHC(=O)-NH-又は-C(=O)-基であり、且つ/又は置換されていてもよい、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状で、直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表す。]
を有し、
- (メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドが、以下の式(II’):
[化学式22]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチル
基を表し、R’
Nは、H又は1から22個の炭素原
子を含むアルキルラジカルを表し、R
AMは
、一若しくは複数のヘテロ原子で分断されていてもよく、且つ/又は一
若しくは複数の二価の-N(R’’
N)-で分断されていてもよく、ここでR’’
Nは、1から22個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキルラジカル、-C(=O)O-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)O-、-NHC(=O)-NH-又は-C(=O)-基であり、且つ/又は置換されていてもよい、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状で、直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表す。]
を有する、
請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
使用され得るポリオールが、数平均モル質量(Mn)が2,000から12,000g/mo
lの範囲であるものから選択される、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
工程E1)が、4000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するジオールの存在下、又は数平均分子量(Mn)が4000g/mol以上である一又は複数のジオールを含むポリオールの混合物の存在下で行われることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
使用されるすべてのジオールが、必然的に4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有することを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
工程E1)が
- 4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有する単一のジオールを用いて;又は
- 4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するジオール
とトリオール
との混合物を用いて
行われることを特徴とする、請求項3から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
工程E1)のポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネート、メタ-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、HDIアロファネート及びそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項3から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリウレタン(a)が、以下の工程:
- E1)少なくとも二つのNCO末端官能基を含むポリウレタンを、
i)トルエンジイソシアネート、メタ-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、HDIアロファネート、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つのジイソシアネートの;
ii)4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも一つのポリエーテルジオールとの、又は、4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエーテルジオール
とポリエーテルトリオールの混合物との重付加反応
により調製する工程;
- E2)工程E1)の結果として形成された生成物と、少なくとも一つの式(II-1-1):
CH
2=CH-C(=O)-O-CH
2-CH
2-OH
のアクリル酸のヒドロキシル化エステルを、OH/NCOモル比(r2と表される)が1.00以下であるような量で、反応させる工程
を含む方法により得られる、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
テルペン/フェノール樹脂(b1)が、少なくとも一つのフェノールとの反応が続
く、少なくとも一つのフリーデル・クラフツ触媒の存在下でのテルペン炭化水素の重合により得られるフェノール改質テルペン樹脂である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
粘着付与樹脂(b1)、(b2)及び(b3)以外の粘着付与樹脂を含まないことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の全重量に対して3重量%以下の重量含有量で
、少なくとも一つの重合防止剤(c)を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物の全重量に対して、0重量%から5重量
%のラジカル光開始剤を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリウレタン(a):粘着付与樹脂(b)の重量比が、45:55から55:45の範囲であ
ることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物であって、
(a)35重量%から65重量%の、上に規定されたポリウレタン、
(b)33重量%から60重量%の、上に規定された粘着付与樹脂(b)、
(c)少なくとも一つの重合防止剤;
(d)0重量%から3重量%のラジカル光開始剤、
(e)接着促進剤、レオロジー剤、チキソトロピー剤、可塑剤、乳白剤、顔料、染料及び充填剤から選択される、0重量%から20重量%の少なくとも一つの添加剤
を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物の調製のための方法であって、
(i)温度T3で、適切な場合は、一又は複数の重合防止剤(c)との混合物として、粘着付与樹脂(b)を溶融する工程、
(ii)不活性雰囲気下で、ポリウレタン(a)を導入及び混合する工程、
(iii)前記混合物をT3未満の温度T4に冷却する工程、その後、
(iv)前記混合物に、架橋ラジカル光開始剤(d)、及び適切な場合は接着促進剤、レオロジー剤、チキソトロピー付与剤、可塑剤、乳白剤、顔料、染料及び充填剤から選択される他の添加剤(e)を任意選択的に導入する工程
を含む、方法。
【請求項18】
自己接着性支持体の調製における、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項19】
以下:
(i’)
温度T5で10000mPa.s未満の粘度を有する液体を得るために、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物を温度T5に
予熱する工程、
(ii’)前記組成物を支持層上にコーティングする工程、その後、
(iii’)1秒から2分の
間の照射時間で、UVビーム又はeビーム下での照射により、前記組成物を架橋する工程
の工程を含む方法により得ることができる自己接着性支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン/(メタ)アクリルに基づくホットメルト感圧接着剤(HMPSA)組成物に関する。
【0002】
本発明は、該組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
感圧接着剤(PSA)は、それ自体でコーティングされた支持体上に、周囲温度で即時粘着性を与える物質である。この即時粘着性は、軽度の短い圧力の影響下で、すべての種類の基材への前記自己接着性支持体の瞬間接着を可能にする。剥離試験により通常評価されるその接着性により、前記自己接着性支持体は、その後、接着シールにより前記基材にしっかりと接着される。
【0004】
PSAは、例えば、情報(バーコード、名称、価格等)の表示の目的及び/又は装飾目的のために物品に接着される自己接着性ラベル等の自己接着性物品の製造において広く使用されている。PSAは、さまざまな用途の自己接着性テープの製造においても使用されている。例えば、日常生活で広く使用されている透明接着テープ以外にも、段ボール包装の形成・組立て;建築業界における塗装作業のための表面の保護;輸送業界における電気ケーブルの保守;両面接着テープによるフィットしたカーペットの接着が挙げられる。
【0005】
自己接着性ラベル及び/又はテープの製造のために、PSAは多くの場合、大型の支持層(必要に応じ印刷可能なもの)の表面全体にわたる連続的なコーティングプロセスによって、以下では「単位面積当たりの重量」という用語で示されている量の割合(通常はg/m2で表す)で塗布されることが多い。支持層は、例えば、一又は複数の層を有するポリマー材料からなる紙又はフィルムである。支持層を覆う自己接着性組成物の層自体が、例えばシリコーンフィルムからなる保護非粘着層(剥離ライナーとして知られていることが多い)で覆われていてもよい。得られた多層系は通常、最大2mの幅と1mの直径を有する大きなリールの形に巻かれることによって包装され、保管及び輸送が可能になる。
【0006】
このような多層系は、次に、支持層の印刷可能な表面上への所望の情報及び/又は装飾要素を印刷、続いて所望の形状及びサイズへの切断を含む変換プロセスによってエンドユーザーが貼り付け可能な自己接着性ラベルに変換され得る。保護非粘着層は、支持層に接着したままである接着層を改質することなく、容易に除去され得る。非粘着性保護層から分離した後、ラベルは、手動で、又は自動包装ラインのラベリングマシンを活用して、コーティングする物品に貼り付けられる。
【0007】
このような多層系は、所定の幅と長さのロールとして切断及び包装することにより、自己接着性テープに変換することもできる。
【0008】
PSAは、その高い周囲温度粘着性により、コーティング対象の基材(又は物品)への(例えばラベルについてはビンへの、又はテープについては形成する梱包材への)自己接着性ラベル及び/又はテープの、高い工業生産率の達成に適した迅速な保持又は接着を可能にする。
【0009】
本特許出願に関連して、特定のカテゴリーのPSA:特に接着力、粘着性及び自己接着性に関してPSAと少なくとも同等の特性を有するホットメルト接着剤である、HMPSA又はホットメルト感圧接着剤に関心が向けられている。
【0010】
典型的には、これらの接着剤に基づく組成物は、周囲温度で固体又は実質的に固体であり、支持体上への堆積(又はコーティング)前に溶融される必要がある。塗布される組成物の冷却及び任意選択的に架橋の後、支持体は、有利には軽度且つ短い圧力の影響下で基材への瞬間接着を可能にする粘着性を有する接着シールでコーティングされる。
【0011】
-NCO末端基を含むポリウレタンに基づくホットメルト感圧接着性組成物が存在する。しかしながら、これらの組成物は、過剰に使用され、ポリウレタンの合成中に反応しなかったジイソシアネートモノマー(300g/mol未満のモル質量を有する)由来のモル質量の低いジイソシアネート化合物の残留量を含むことが多い。NCO末端基を有するポリウレタンに基づく先行技術の架橋性ホットメルト接着性組成物の大部分は、合成直後に得られたポリウレタンから調合され、このため、ポリウレタンの合成から生じた残留する(未反応の)ジイソシアネートモノマーの全部を含有することが観察された。最終的に、接着性組成物は、多かれ少なかれ有意な量のジイソシアネートモノマーを含み、これは、とりわけ、ヒト及びその環境に対する毒性のリスクを含む多くの問題をもたらし得る。これは、遊離ジイソシアネートモノマーの残留する含有量の存在が、水分の存在下で、芳香族の場合に健康に害を及ぼす可能性のある一級芳香族アミン(PAA)を生成し得るためである。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI、およそ168g/molに等しいモル質量を有する)又はイソホロンジイソシアネート(IPDI、およそ222g/molに等しいモル質量を有する)などの脂肪族ジイソシアネートについて、及びトルエンジイソシアネート(TDI、およそ174g/molに等しいモル質量を有する)又はジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、およそ250g/molに等しいモル質量を有する)などの芳香族ジイソシアネートについて、この制限含有量は、規制用語で製品の0.1重量%に設定された。これらのジイソシアネート及びそれらの対応するアミンの量は、標準的な条件下での実用的な試験を使用して、当業者によく知られる方法で評価することができる。
【0012】
アクリル、スチレン又はウレタンブロックコポリマーに基づく、紫外線により架橋され得るPSA接着性組成物も存在する。これらの組成物は、フィルムの処理及び形成中に特定の欠点を示す。アクリル系PSA系は、通常、コーティングプロセスを促進する、ホットメルト(HMPSA)タイプの接着系、溶媒に基づく接着系、又は水に基づく接着系である。溶媒に基づくPSA系は、蒸発しにくい揮発性有機化合物を含む。そのような問題点は、環境及び性能の要件により適用を制限する。遊離ヒドロキシル化(メタ)アクリルモノマーの大量又は残留含有量の存在はまた、接着性組成物の使用中、特に後者の塗布中に、毒物の放出を引き起こし、ヒトに対して肺経路(喘息)又は皮膚経路(アレルギー性接触皮膚炎)による刺激及び感作の問題を引き起こす可能性がある。モノマーに対するこの曝露に効果的に対抗するために、具体的な対策を講じる必要がある。例えば、皮膚とのあらゆる接触を防ぐための個別の保護対策(マスクと呼吸器、不透過性且つ耐薬品性、及び不透過性の衣服)並びに集団的な保護対策(施設の換気)を導入する必要がある。しかし、これは追加のコストと制約を引き起こし、経済的で収益性の高い工業的調製プロセスの提供に逆行する。さらに、食品用の包装のための接着フィルムの調製においてポリウレタン/(メタ)アクリルに基づく反応性接着剤を使用することが想定されるとき、これらの接着剤は、(メタ)アクリルモノマー及びジイソシアネートモノマーの含有量が低減されていることが望ましい。なぜなら、これらは、例えば、包装層を通って移動することができ、後者と接触する包装の内容物を汚染することができるためである。
【0013】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば2-ヒドロキシエチル アクリレート、2-ヒドロキシプロピル アクリレート、2-ヒドロキシエチル メタクリレート及び2-ヒドロキシプロピル メタクリレートについては、この制限的な含有量は、生成物の0.2重量%未満、優先的には生成物の0.02重量%未満に設定され、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、例えば(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド又は(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミドについては、この値は、生成物の0.1重量%未満に設定された。
【0014】
ポリウレタン/(メタ)アクリレートを含む接着性組成物の大部分は、したがって、完全には満足のいくものではない。特に上記の欠点により、規制の大部分は、特定の認可された制限を超える特定の化合物の含有量を含む任意の製品のラベル付けを必要とする。
【0015】
よって、上記の欠点の少なくとも一つを、少なくとも部分的に、克服することを可能にする、ポリウレタン/(メタ)アクリルに基づく利用可能なHMPSA組成物を作製する必要がある。
【0016】
特に、遊離又は残留(メタ)アクリルモノマー及びジイソシアネートモノマーの含有量が減少した、特にそれらの含有量が規制ラベルの閾値より低く、良好な接着材特性を有する感圧接着剤をもたらす、ポリウレタン/(メタ)アクリルに基づく利用可能なHMPSA組成物を作製する必要がある。
【発明の概要】
【0017】
A.組成物
本発明は:
(a)以下の式(I):
[化学式1]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、Xは、-O-又は-NR’
N-を表し、R’
Nは、水素原子、又は1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、優先的には1から8個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキルラジカルを表し、Xは、有利には-O-を表す。]
の少なくとも二つの末端官能基Tを含む少なくとも一つのポリウレタン;
(b)以下の樹脂:
(b1)テルペン/フェノール樹脂;
(b2)少なくとも一つのフェノールとの反応が続いてもよい、α-メチルスチレンの重合により生じる樹脂;
(b3)主にC
9芳香族留分により生じるポリマー樹脂(少なくとも部分的に水素化されていてもよい)
から選択される少なくとも一つの粘着付与樹脂;及び
(c)少なくとも一つの重合防止剤;
を含むホットメルト感圧接着性組成物であって、
-ポリウレタン(a):粘着付与樹脂(b)の重量比が4:6から6:4の範囲であり;
- 前記ポリウレタン(a)が、厳密に1.9超、好ましくは2以上の式(I)の官能基の平均官能価を有する
ことを特徴とする、組成物に関する。
【0018】
本特許出願では、別途記載がない限り、
- パーセンテージ形式で表された量は、重量/重量パーセンテージに対応する;
- ダルトン(Da)で表される、粘着付与樹脂の数平均モル質量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定され、カラムは、ポリスチレン基準(PS)で較正される;
- アルコール化合物又は粘着付与樹脂のヒドロキシル価は、生成物1グラム当たりのヒドロキシル官能基の数を表し、これは生成物1グラムあたりのヒドロキシル官能基の分析に使用される水酸化カリウム(KOH)のミリグラム数の同等数で表される;
- 23℃での粘度の測定は、ISO規格2555に従ってBrookfield粘度計を使用して行うことができる。典型的には、23℃で行われる測定は、粘度範囲に適したスピンドルを備え、回転速度が20回転/分(rev/min)のBrookfield RVT粘度計を使用して実施され得る。生成物の粘度は、好ましくは、前記生成物の製造の少なくとも24時間後に測定される。
- g/molで表される、ポリオールの数平均分子量(Mn)は、そのヒドロキシル価及び官能価から計算される。
【0019】
ポリウレタン(a)
好ましくは、式(I)の上記の末端官能基Tは、ポリウレタン主鎖の末端に見られる。
【0020】
組成物中のポリウレタン(a)の重量による全含有量は、組成物の全重量に対して、30重量%から70重量%、好ましくは35重量%から65重量%、より優先的には40重量%から60重量%の範囲であり得る。
【0021】
用語「式(I)の官能基の平均官能価」とは、ポリウレタン(a)1モルあたりの式(I)の官能基の平均数を意味するものと理解される。
【0022】
ポリウレタン(a)は、好ましくは、23℃で10000から100000mPa.s(ミリパスカル.秒)の範囲の粘度、より優先的には50000mPa.s未満の粘度を有する。
【0023】
少なくとも二つの末端官能基Tを含む上記のポリウレタン(a)は、少なくとも二つの-NCO末端官能基(好ましくは主鎖の末端)と、(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステル又は(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドから選択される少なくとも一つの化合物とを含むポリウレタンの反応により得ることができる。
【0024】
本発明に関連して、別途記載がない限り、用語「(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステル」は、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味し、そのエステル基は、少なくとも一つのヒドロキシル基により置換されていることが理解される。(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステルは、例えば、以下の式:
[化学式2]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、R
Oは、少なくとも一つのヒドロキシル基で置換される有機ラジカルを表す。]
で表すことができる。
【0025】
一実施態様によれば、(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステルは、以下の式(II):
[化学式3]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、R
ACは、2から240個の炭素原子を含み、且つ/又は一又は複数のヘテロ原子(例えばN、O又はS、特にO)で分断されていてもよく、且つ/又は一又は複数の二価の-N(R’’
N)-で分断されていてもよく、ここでR’’
Nは、1から22個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキルラジカル(第3級アミン)、-C(=O)O-(エステル)、-C(=O)NH-(アミド)、-NHC(=O)O-(カルバメート)、-NHC(=O)-NH-(尿素)又は-C(=O)-(カルボニル)基であり、且つ/又は置換されていてもよい、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状で、直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表す。]
を有する。
【0026】
好ましくは、(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステルは、以下の式:
[化学式4]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、R
AC1は、2から22個の炭素原子、好ましくは2から18個の炭素原子、優先的には2から14個の炭素原子、さらにより有利には2から6個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状、直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表す。];
[化学式5]
[式中、
- rは、1から10、好ましくは2から5の範囲の整数であり、優先的には、rは5に等しく;
- sは、1から10の範囲の整数であり、好ましくは2に等しく;
- R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し;
- R
AC2は、2から22個の炭素原子、好ましくは2から18個の炭素原子、優先的には2から14個の炭素原子、さらにより有利には2から6個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状、直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表す。];
[化学式6]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、R
AC3は、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表し、tは、2から120、好ましくは1から10の範囲の整数であり、tはより優先的には、2又は3に等しい]
の一つを有する。
【0027】
式(II-1)のアクリル酸のヒドロキシル化エステル及びメタクリル酸のヒドロキシル化エステルの中でも、例えば、Sartomer、Cognis又はBASFから入手可能な2-ヒドロキシエチル アクリレート(HEA)、2-ヒドロキシプロピル アクリレート(HPA)、2-ヒドロキシブチル アクリレート(2-HBA)及び4-ヒドロキシブチル アクリレート(4-HBA)、Evonikから入手可能な2-ヒドロキシエチル メタクリレート(HEMA)及び2-ヒドロキシプロピル メタクリレート(HPMA)、Sigma-Aldrichから入手可能な2-ヒドロキシブチル メタクリレート(2-HBMA)及び4-ヒドロキシブチル メタクリレート(4-HBMA)が挙げられる。
【0028】
上の式(II-2)のアクリル酸及びメタクリル酸のヒドロキシル化エステルの中でも、例えば、Sartomerから入手可能なポリカプロラクトン アクリレート SR 495B(CAPA)、又はBASFから入手可能なヒドロキシエチルカプロラクトン アクリレート(HECLA)が挙げられる。
【0029】
上記の式(II-3)のアクリル酸及びメタクリル酸のエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体の中でも、例えば、日油株式会社により販売されるBlemmer(登録商標)AP-150、Blemmer(登録商標)AP-200、Blemmer(登録商標)AP-400、Blemmer(登録商標)AP-550、Blemmer(登録商標)AP-800、Blemmer(登録商標)AP-1000、Blemmer(登録商標)AE-90、Blemmer(登録商標)AE-150、Blemmer(登録商標)AE-200、Blemmer(登録商標)AE-350若しくはBlemmer(登録商標)AE-400、又はSartomerによるSR 604が挙げられる。
【0030】
好ましくは、(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステルは、上記の式(II-1)、より優先的には、以下の式(II-1-1)、(II-1-2)、(II-1-3)又は(II-1-4)の一つを有する:
- CH2=CH-C(=O)-O-CH2-CH2-OH (II-1-1):2-ヒドロキシエチル アクリレート;
- CH2=C(Me)-C(=O)-O-CH2-CH2-OH(II-1-2):2-ヒドロキシエチル メタクリレート;
- CH2=CH-C(=O)-O-CH2-CH(Me)-OH (II-1-3):2-ヒドロキシプロピル アクリレート;
- CH2=C(Me)-C(=O)-O-CH2-CH(Me)-OH (II-1-4):2-ヒドロキシプロピル メタクリレート。
【0031】
本発明に関連して、別途記載がない限り、用語「(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミド」は、アクリル酸アミド又はメタクリル酸アミドを意味し、そのアミド基は、少なくとも一つのヒドロキシル基により置換されていることが理解される。(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドは、例えば、以下の式:
[化学式7]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、R
Nは、少なくとも一つのヒドロキシル基で置換されている有機ラジカルを表し、R’
Nは、H、又は1から22の炭素原子、好ましくは1から18、優先的には1から14、さらにより有利には1から6の炭素原子を含むアルキルラジカルを含む。]
で表すことができる。
【0032】
一実施態様によれば、(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドは、以下の式(II’):
[化学式8]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、R’
Nは、上に規定される通りであり、R
AMは、好ましくは1から240個の炭素原子を含み、且つ/又は一又は複数のヘテロ原子(例えばN、O又はS、特にO)で分断されていてもよく、且つ/又は一又は複数の二価の-N(R’’
N)-基で分断されていてもよく、ここでR’’
Nは上に規定される通りであり、且つ/又は置換されていてもよい、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状で、直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表す。]
を有する。
【0033】
一実施態様によれば、(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドは、以下の式:
[化学式9]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、R’
Nは、上に規定される通りであり、R
AM1は、1から22個の炭素原子、好ましくは1から18個、優先的には1から14個、さらにより有利には1から6個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状で、直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表す。];
[化学式10]
[上式中、
- R’
Nは、上に規定される通りであり;
- r’は、1から10、好ましくは1から5の範囲の整数であり、優先的には、rは5に等しく;
- s’は、1から10の範囲の整数であり、好ましくは2に等しく;
- R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し;
- R
AM2は、2から22個の炭素原子、好ましくは2から18個、優先的には2から14個、さらにより有利には2から6個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状で、直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表す。];
[化学式11]
[式中、R
Vは、水素原子又はメチルラジカルを表し、R’
Nは、上に規定される通りであり、R
AM3は、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表し、t’は、2から120、好ましくは1から10の範囲の整数であり、t’はより優先的には、2又は3を表す。]
の一つを有する。
【0034】
好ましくは、(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドは、上記の式(II’-1)、特に、式(II’-1-1)から(II’-1-4)の一つを有する:
- CH2=CH-C(=O)-NH-CH2-CH2-OH (II’-1-1):(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド;
- CH2=C(Me)-C(=O)-NH-CH2-CH2-OH(II’-1-2):(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド;
- CH2=CH-C(=O)-NH-CH2-CH(Me)-OH(II’-1-3):(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド;
- CH2=C(Me)-C(=O)-NH-CH2-CH(Me)-OH(II’-1-4):(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド。
【0035】
好ましくは、式(I)の少なくとも二つの末端官能基Tを含む上記のポリウレタン(a)は、以下の工程:
- E1)(好ましくは主鎖の末端で)少なくとも二つのNCO末端官能基を含むポリウレタンを、(r1)と表されるNCO/OHモル比が、厳密に1超、好ましくは1.60から1.90の範囲、優先的には1.65から1.85の範囲であるような量で、
i)好ましくはジイソシアネート、トリイソシアネート、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つのポリイソシアネートの;
ii)好ましくはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオール、-OH末端基を有するポリマー、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つのポリオールとの重付加反応;
により調製する工程:及び
- E2)工程E1)の結果として形成された生成物を、(r2)と表されるOH/NCOモル比が、1.00以下、好ましくは0.75から1.00、優先的には0.80から0.90であるような量で、少なくとも一つの(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステル(好ましくは上記の式(II-1-1)又は(II-1-2)のもの)又は少なくとも一つの(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミド(好ましくは上記の式(II’-1-1)又は(II’-1-2)又は(II’-1-3)又は(II’-1-4)のもの)と、反応させる工程
を含む方法により調製される。
【0036】
優先的には、工程E2)は、上に規定される(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステル、好ましくは上記の式(II-1-1)又は(II-1-2)のもので行われる。
【0037】
本発明に関連して、別途記載がない限り、(r1)は、工程E1)の反応媒体に存在するポリイソシアネートとポリオールのすべてにより担持されるイソシアネート(NCO)基の数のヒドロキシル(OH)基の数に対するモル比に相当するNCO/OHモル比である。
【0038】
ポリイソシアネートの混合物から又は連続して付加された複数のポリイソシアネートから、NCO末端基を担持するポリウレタンが工程E1)の間に得られるとき、比(r1)の計算は、一方では、工程E1)の反応媒体に存在するポリイソシアネートのすべてにより担持されるNCO末端基を、他方では、工程E1)の反応媒体に存在するポリオールにより担持されるOH基を考慮する。
【0039】
本発明に関連して、別途記載がない限り、(r2)は、(特に、工程E1)の結果として反応しなかったNCO末端基及び場合によってはポリイソシアネートを有するポリウレタンに関して)工程E2)の反応媒体に存在するアルコールとイソシアネートのすべてによりそれぞれ担持されるヒドロキシル(OH)基の数のイソシアネート(NCO)基の数に対するモル比に相当するOH/NCOモル比である。
【0040】
工程E1)
ポリオール
本発明により使用され得るポリオールは、数平均モル質量(Mn)が2,000から12,000g/mol、好ましくは3,000から11,000g/mol、より優先的には4,000から10,000g/molの範囲であるものから選択され得る。
【0041】
好ましくは、それらのヒドロキシル官能価は、2から3の範囲であり、優先的には2である。
【0042】
本発明により使用され得るポリオールは、ポリオール1グラム当たり9から85ミリグラムのKOH(mg KOH/g)、好ましくは10から56mg KOH/g、優先的には11から42mg KOH/gの範囲の(平均)ヒドロキシル価(OHN)を示し得る。
【0043】
一実施態様によれば、2のヒドロキシル官能価を示すポリオールのヒドロキシル価は、9から56mg KOH/g、好ましくは10から37mg KOH/g、より優先的には11から37mg KOH/gの範囲である。
【0044】
一実施態様によれば、3のヒドロキシル官能価を示すポリオールのヒドロキシル価は、14から84mg KOH/g、好ましくは15から56mg KOH/g、より優先的には17から42mg KOH/gの範囲である。
【0045】
使用され得るポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、不飽和又は水素化ポリエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオール、-OH末端基を有するポリマー、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0046】
使用されるポリオールは、芳香族ポリオール、脂肪族ポリオール、アリール脂肪族及びそれらの化合物の混合物から選択され得る。
【0047】
本発明により使用され得るポリオールは、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びそれらの混合物から選択される。
【0048】
より優先的には、本発明により使用され得るポリエーテルポリオールは、好ましくは、直鎖状又は分岐状のアルキレン部分が1から4個の炭素原子、優先的には2から3個の炭素原子を含む、ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオールから選択される。
【0049】
優先的には、本発明により使用され得るポリエステルポリオールは、好ましくは、ポリエステルジオール又はポリエステルトリオールから選択される。
【0050】
本発明により使用され得るポリオキシアルキレンポリオールの例として、2,000から12,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシプロピレンジオール又はトリオール(ポリプロピレングリコール(PPG)ジオール又はトリオールとも表される)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
上記のポリエーテルポリオールは、従来の方式で調製することができ、広く市販されている。それらは、塩基性触媒(例えば水酸化カリウム)又は二重金属/シアン化物錯体に基づく触媒の存在下で、対応するアルキレンオキシドの重合により得ることができる。
【0052】
ポリエーテルジオールの例として、既知の方法で二重金属/シアン化物錯体に基づく触媒の存在下で対応するアルキレンオキシドの重合により得られる、例えば、11,335g/mol付近の数平均モル質量及び9から11mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するAcclaim(登録商標)12200、8,057g/mol付近の数平均モル質量及び13から15mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するAcclaim(登録商標)8200、4020g/mol付近の数平均モル質量及び26.5から29.5mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するAcclaim(登録商標)4200などの、Acclaim(登録商標)の名称でBayerにより販売されるポリオキシプロピレンジオールが挙げられる。
【0053】
ポリエーテルトリオールの例として、ヒドロキシル価が48mg KOH/gである、DowによりVoranol(登録商標)CP3355の商品名で販売されるポリオキシプロピレントリオールが挙げられる。
【0054】
本発明によれば、ポリエステルポリオールは、2000から12000g/mol、好ましくは3000から11000g/mol、より優先的には4000から10000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0055】
ポリエステルジオール又はトリオールの例として、ヒマシ油由来の天然起源のポリエステルポリオール、及び以下:
- 例えば、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ブテンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、スクロース、グルコース、ソルビトール、ペンタエリスリトール、マンニトール、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、脂肪アルコール二量体、脂肪アルコール三量体、及びそれらの混合物などの、一又は複数の脂肪族(直鎖状、分岐状又は環状)又は芳香族ポリオールの、
- 1,6-ヘキサン二酸(アジピン酸)、ドデカン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、1,18-オクタデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、脂肪酸二量体、脂肪酸三量体及びこれらの酸の混合物、例えば無水マレイン酸又は無水フタル酸などの不飽和無水物、又は例えばカプロラクトンなどのラクトンなどの、一又は複数のポリカルボン酸又はそのエステル又は無水物誘導体と
の重縮合により生じるポリエステルポリオールも挙げられる。
【0056】
上記のポリエステルポリオールは、従来の方式で調製することができ、大部分は市販されている。
【0057】
ポリエステルポリオールの例として、例えば、ヒドロキシル官能価が2に等しい以下:
- リシノール酸などの一又は複数のヒドロキシ酸とジオールの重縮合により生じるエストリドポリオール(例えば、Vertellusから入手可能なおよそ2000g/molの数平均分子量(Mn)を有するPolycin(登録商標)D-2000、およそ3,000g/molの数平均分子量(Mn)を有するPolycin(登録商標)D-3000、及びおよそ4,000g/molの数平均分子量(Mn)を有するPolycin(登録商標)D-4,000が挙げられる)、
- Tone(登録商標)0240(およそ2,000g/molの数平均分子量(Mn)及びおよそ50℃の融点を有するポリカプロラクトンであり、Union Carbideにより販売される)、
- およそ3,500g/molの数平均分子量(Mn)を有し、およそ65℃の融点を有するDynacoll(登録商標)7381(Evonikにより販売)、
- アジピン酸のヘキサンジオールとの重縮合により生じ、およそ3,500g/molの数平均分子量(Mn)及びおよそ55℃の融点を有するDynacoll(登録商標)7360(Evonikにより販売)、
- およそ3,500g/molの数平均分子量(Mn)を有し、およそ85℃の融点を有するDynacoll(登録商標)7330(Evonikにより販売)、
- アジピン酸のヘキサンジオールとの重縮合によっても生じ、およそ5,500g/molの数平均分子量(Mn)及びおよそ57℃の融点を有するDynacoll(登録商標)7363(Evonikにより販売)、
- Dynacoll(登録商標)7250(Evonikにより販売):23℃で180Pa.sの粘度、5,500g/molに等しい数平均分子量(Mn)及び-50℃に等しいTgを有するポリエステルポリオール、
- Kuraray(登録商標)P-6010(クラレにより販売):23℃で68Pa.sの粘度、6,000g/molに等しい数平均分子量(Mn)及び-64℃に等しいTgを有するポリエステルポリオール、
- Kuraray(登録商標)P-10010(クラレにより販売):23℃で687Pa.sの粘度及び10,000g/molに等しい数平均分子量(Mn)を有するポリエステルポリオール
の生成物が挙げられる。
【0058】
本発明によれば、ポリエンポリオール及びそれらの対応する水素化又はエポキシ化誘導体は、2,000から12,000g/mol、好ましくは3,000から11,000g/mol、より優先的には4,000から10,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0059】
好ましくは、本発明により使用され得るポリエンポリオールは、水素化又はエポキシ化されていてもよい、ヒドロキシル末端基を含むブタジエン及び/又はイソプレンホモポリマー及びコポリマーから選択される。
【0060】
本発明に関連して、別途記載がない限り、用語ポリエンポリオールの「ヒドロキシル末端基」は、ポリエンポリオールの主鎖の末端に位置するヒドロキシル基を意味するものと理解される。
【0061】
上記の水素化誘導体は、ヒドロキシル末端基を含むポリジエンの二重結合の完全な又は部分的な水素化により得ることができ、したがって飽和又は不飽和である。
【0062】
上記のエポキシ化誘導体は、ヒドロキシル末端基を含むポリエンの主鎖の二重結合の化学選択的エポキシ化により得ることができ、したがってその主鎖に少なくとも一つのエポキシ基を含む。
【0063】
ポリエンポリオールの例として、エポキシ化されていてもよい、ヒドロキシル末端基を含む飽和又は不飽和ブタジエン及び/又はイソプレンホモポリマー及びコポリマー、例えばPoly BD(登録商標)又はKrasol(登録商標)の名称でCray Valleyにより販売されるものなどが挙げられる。
【0064】
ポリエンポリオールの例としては、以下のもの:
- ヒドロキシル末端基を含む飽和又は不飽和ブタジエンホモポリマージオール、例えばPoly BD(登録商標)R45HT(Mn=2,800g/mol)又はKrasol(登録商標)(Mn=2,400から3,100g/mol)の名称でCray Valleyにより販売されるものなど
- ヒドロキシル末端基を含む飽和又は不飽和イソプレンホモポリマージオール、例えばPoly IPTM(不飽和、Mn=2,000g/mol)又はEpolTM(飽和、Mn=2,600g/mol)の名称で出光興産により販売されるものなど
が挙げられる。
【0065】
本発明によれば、ポリカーボネートポリオールは、2,000から12000g/mol、好ましくは3,000から11000g/mol、より優先的には4,000から10000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0066】
ポリカーボネートジオールの例としては、以下のもの:
- 数平均分子量(Mn)が2000g/molに等しく、ヒドロキシル価がそれぞれ56mg KOH/gである、Novomerにより販売されるConverge(登録商標)Polyol 212-20、
- 数平均分子量(Mn)がそれぞれ2,000及び3,000g/molであり、ヒドロキシル価が56及び37mg KOH/gである、クラレにより販売されるPolyol C-2090及びC-3090
が挙げられる。
【0067】
ここではヒドロキシル価は、ポリオール1グラム当たりのヒドロキシル官能基の数を表し、本特許出願では、ヒドロキシル官能基の定量に使用される水酸化カリウム(KOH)のミリグラム当量数の形態で表される。
【0068】
本発明によれば、-OH末端基を有するポリマーは、厳密に1超のNCO/OHモル比をもたらすポリイソシアネート及びポリオールの量の、一又は複数のポリオールと一又は複数のポリイソシアネートとの間の重付加反応により得ることができる。反応は触媒の存在下で行われ得る。使用され得るポリオール及びポリイソシアネートは、典型的には-NCO末端基を有するポリウレタンの調製に使用されるもの、好ましくは本特許出願に記載されるものであり得る。
【0069】
好ましくは、ポリオールはポリエーテルポリオールである。
【0070】
好ましい実施態様によれば、工程E1)は、4000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するジオールの存在下、又は数平均分子量(Mn)が4,000g/mol以上である一又は複数のジオールを含むポリオールの混合物の存在下で行われる。さらにより好ましくは、使用されるすべてのジオールは、必然的に4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有する。
【0071】
好ましい実施態様によれば、工程E1)は、
- 4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有する単一のジオールを用いて;又は
- 4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するジオールと2,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するトリオールの混合物を用いて
行われる。
【0072】
ポリイソシアネート
工程E1)において本発明により使用され得るポリイソシアネートは、連続して負荷されるか又は混合物の形態で反応することができる。
【0073】
一実施態様によれば、使用され得るポリイソシアネートは、ジイソシアネートであり、好ましくは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、へプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’-HMDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサン ジイソシアネート(CHDI)、メチルシクロヘキサン ジイソシアネート、エチルシクロヘキサン ジイソシアネート、プロピルシクロヘキサン ジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサン ジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレン ジイソシアネート、1,5-ジイソシナート-2-メチルペンタン(MPDI)、1,6-ジイソシナート-2,4,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシナート-2,2,4-トリメチルヘキサン(TMDI)、4-イソシナートメチル-1,8-オクテン ジイソシアネート(TIN)、2,5-ビス(イソシナートメチル)ビシクロ[2.2.1]へプタン(2,5-NBDI)、2,6-ビス(イソシナートメチル)ビシクロ[2.2.1]へプタン(2,6-NBDI)、1,3-ビス(イソシナートメチル)シクロヘキサン(1,3-H6-XDI)、1,4-ビス(イソシナートメチル)シクロヘキサン(1,4-H6-XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)(特にm-キシリレンジイソシアネート(m-XDI))、トルエンジイソシアネート(特に2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI))、ジフェニルメタンジイソシアネート(特に4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)及び/又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI))、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(特にテトラメチル-メタ-キシリレンジイソシアネート)、HDIアロファネート、例えば以下の式(Y):
[化学式12]
[式中、pは、1から2の範囲の整数であり、qは、0から9、好ましくは2から5の範囲の整数であり、Rは、1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、6から14個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、環状又はアクリルで、直鎖状又は分岐状の炭化水素鎖を表し、R
3は、2から4個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状の二価のアルキレン基、好ましくは二価のプロピレン基を表す。]を有するもの;及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0074】
好ましくは、上記の式(Y)のアロファネートは、上記のHDIアロファネート誘導体が、前記誘導体の重量に対して、12重量%から14重量%の範囲のイソシアネートNCO基の含有量を含むようにp、q、R及びR3が選択されるようなものである。
【0075】
本発明に使用されるポリウレタンの調製に使用され得るポリイソシアネートは、広く市販されている。例えば、およそ95%の純度を有する2,4-TDIに相当するVencorexにより販売されるScuranate(登録商標)TX、99重量%の純度を有する2,4-TDIに相当するVencorexにより販売されるScuranate(登録商標)T100、IPDIに相当するCovestroにより販売されるDesmodur(登録商標)、m-XDIに相当する三井化学により販売されるTakenateTM500、m-H6XDIに相当する三井化学により販売されるTakenateTM600、H12MDI,に相当するEvonikにより販売されるVestanat(登録商標)H12MDI、又は式(Y)のHDIアロファネート誘導体に相当するVencorexにより販売されるTolonate(登録商標)シリーズ、例えば、Tolonate(登録商標)X FLO 100が挙げられる。
【0076】
好ましい実施態様によれば、工程E1)のポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネート(特に、2,4-TDI異性体、2,6-TDI異性体又はそれらの混合物)、メタ-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)、イソホロンジイソシアネート、HDIアロファネート及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0077】
反応条件
前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの間の反応は、95℃未満、好ましくは65℃から80℃の範囲の反応温度T1で行われ得る。
【0078】
工程E1)の重付加反応は、少なくとも一つの反応触媒の存在下で行われても、不存在下で行われてもよい。
【0079】
工程E1)の重付加反応の間に使用され得る反応触媒は、少なくとも一つのポリイソシアネートの少なくとも一つのポリオールとの反応によるポリウレタンの形成に触媒作用を及ぼすための、当業者に知られる任意の触媒であり得る。工程E1)の反応媒体の重量に関して、0.3重量%までの範囲の量の触媒が使用され得る。特に、工程E1)の反応媒体の全重量に対して、0.02重量%から0.2重量%の触媒を使用することが好ましい。
【0080】
上記の工程E1)の結果として得られるポリウレタンは、以下の式(III):
[化学式13]
[式中、
- Bは、以下:
[化学式14]
の二つの式の一つを表すか、又は、
- D及びTは、飽和又は不飽和、脂肪族又は環状で、直鎖状又は分岐状の、2から66個の炭素原子を含み、一又は複数のヘテロ原子を含んでもよい炭化水素ラジカルを表し;
- R
1は、ポリイソシアネートから生じる二価基を表し;
- R
2は、ポリオールから生じる二価基を表し;
- nは、式-[OR
2]
n-のポリオールブロックの数平均モル質量(Mn)が、2,000から12,000g/mol、好ましくは3,000から11,000g/mol、より優先的には4,000から10,000g/molの範囲であるような、ゼロではない整数であり;
- fは、2.0から2.2の範囲であり得る整数又は非整数である、-NCO-末端ポリウレタンの平均官能価を表し;
- f、n及びmは、ポリウレタンのNCOのパーセンテージが、前記ポリウレタンの全重量に対して、0.4%から3%、優先的には0.6%から1.7%の範囲であるような整数である。]
を有し得る。
【0081】
特に、R
1は、以下:
- a)イソホロンジイソシアネート(IPDI)に由来する二価基:
[化学式15]
- 2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)に由来する二価基:
[化学式16]
- m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)に由来する二価基:
[化学式17]
- 4,4’-ジフェニルメタン ジイソシアネート(4,4’-MDI)及び2,4’-ジフェニルメタン ジイソシアネート(2,4’-MDI)に由来する二価基:
[化学式18]
- 以下の式:
[化学式19]
[上式中、
- pは、1から2の範囲の整数であり;
- qは、2から5の範囲の整数であり;
- Rは、6から14個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、環状又は脂肪族で、直鎖状又は分岐状の炭化水素鎖を表し;
- R
3は、二価のプロピレン基を表し;
- p、q、R及びR
3は、式(I)に相当するHDIアロファネート誘導体が、12重量%から14重量%の範囲のイソシアネートNCO基の含有量を含むように、選択される。]
のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)アロファネートに由来する二価基
の脂肪族又は芳香族の二価基の一つから選択される。
【0082】
工程E1)で得られたポリウレタンは、好ましくは、23℃で10,000から100,000mPa.s(ミリパスカル.秒)の粘度、より優先的には50,000mPa.s未満の粘度を有する。
【0083】
好ましい実施態様によれば、少なくとも二つのNCO末端官能基を含むポリウレタンは:
i)トルエンジイソシアネート、メタ-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、HDIアロファネート、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つのジイソシアネートの;
ii)4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも一つのポリエーテルジオールとの、又は4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエーテルジオールと有利には2,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエーテルトリオールの混合物との、
重付加反応E1)により得られる
【0084】
工程E2)
工程E2)の反応は、好ましくは無水条件下で、95℃未満、好ましくは65℃から80℃の範囲の反応温度T2で行われ得る。
【0085】
上記の式(II)の、好ましくは上記の(II-1)又は(II-2)又は(II-3)の(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステルは、純粋に、又は混合物の平均ヒドロキシル価が前記混合物の56から483mg KOH/gの範囲である、(メタ)アクリル酸の異なるヒドロキシル化エステルの混合物の形態で用いることができる。
【0086】
上記の式(II’)の、好ましくは上記の(II’-1)又は(II’-2)又は(II’-3)の(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドは、純粋に、又は混合物の平均ヒドロキシル価が前記混合物の56から487mg KOH/gの範囲である、(メタ)アクリル酸の異なるヒドロキシル化アミドの混合物の形態で用いることができる。
【0087】
工程E2)は、好ましくは、上記の式(II)、好ましくは上記の式(II-1)又は(II-2)又は(II-3)、特に上記の式(II-1-1)、(II-1-2)、(II-1-3)又は(II-1-4)、有利には上記の式(II-1-1)又は(II-1-2)の、少なくとも一つのアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシル化エステルを用いて行われる。
【0088】
工程E1)及びE2)に使用され得る反応触媒は、少なくとも一つのジイソシアネート、少なくとも一つのポリオール及び少なくとも一つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は一つのヒドロキシalkyl(メタ)アクリルアミドの反応によるポリウレタンの形成に触媒作用を及ぼすための、当業者に知られる任意の触媒であり得る。
【0089】
好ましくは、毒性の危険性を示さないか、又はほとんど示さない触媒から選択される一又は複数の触媒が使用される。特に、反応触媒は、以下:
- Borchi Kat(登録商標)315の名称でOM Groupにより販売されるビスマスネオデカノエート、又はK-Kat(登録商標)XC B221の名称でKing Industriesにより販売されるビスマスカルボキシレートなどのビスマスの有機金属誘導体、
- 例えば、Tib(登録商標)Kat 217の名称でTIB Chemicalsにより販売されるようなジオクチルスズジラウレート(DOTL)などの、ジブチルスズジラウレート以外の、スズの有機金属誘導体、
- Borchi Kat(登録商標)22の名称でOM Groupにより販売される、亜鉛カルボキシレートのような、亜鉛の有機金属誘導体、
- Tyzor(登録商標)Pitaの名称でDuPontにより販売される、チタンテトラブチレートTi(OCH2CH2CH2CH3)4又は、チタン エチル アセトアセテートなどの、チタンの有機金属誘導体、
- K-Kat(登録商標)A209の名称で販売されるジルコニウムキレート、ジルコニウムアセチルアセトネート(Zr(acac)4)及びジルコニウムテトラエタノレートZr(OCH2CH3)4などのジルコニウムの有機金属誘導体、
並びに
- それらの混合物
からなる群より選択される。
【0090】
工程E2)の反応媒体の全重量に関して、0.3重量%までの範囲の量の触媒が使用され得る。特に、工程E2)の反応媒体の全重量に対して、0.02重量%から0.3重量%の触媒を使用することが好ましい。
【0091】
好ましい実施態様によれば、上記のポリウレタン(a)は、以下の工程:
- E1)少なくとも二つのNCO末端官能基を含むポリウレタンを、
i)トルエンジイソシアネート、メタ-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、HDIアロファネート、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つのジイソシアネートの;
ii)4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも一つのポリエーテルジオールとの、又は4,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエーテルジオールと有利には2,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエーテルトリオールの混合物との、
重付加反応により調製する工程:
- E2)OH/NCOモル比(r2と表す)が1.00以下であるような量で、工程E1)の結果として形成された生成物の少なくとも一つの式(II-1-1)のアクリル酸のヒドロキシル化エステルと反応させる工程
を含む方法により得られる。
【0092】
粘着付与樹脂(b):
本発明により使用され得る粘着付与樹脂は、70℃から150℃の範囲、好ましくは5℃から130℃の範囲の軟化温度を有し得る。
【0093】
樹脂の軟化温度(又は軟化点)は、標準検査ASTM E 28-18に従って決定することができ、その原則は以下の通りである:直径およそ2cmの真鍮製リングに、溶融状態の検査樹脂が充填される。周囲温度に冷却した後、リング及び固体樹脂をグリセロールのサーモスタット制御槽に水平に配置され、その温度は、1分あたり5℃変化し得る。直径およそ9.5mmの鋼ボールを固体樹脂のディスクの中心に置く。軟化温度は、毎分5℃の速度で槽の温度が上昇している工程で、樹脂のディスクがボールの重さで25.4mmの高さになる温度である。
【0094】
接着性組成物は、組成物の全重量に対して、33重量%から60重量%、優先的には35重量%から55重量%の粘着付与樹脂(b)を含み得る。
【0095】
粘着付与樹脂(b1)
粘着付与樹脂(b1)は、テルペン/フェノール樹脂から選択される。
【0096】
テルペン/フェノール樹脂は、テルペン残留物及びフェノール残留物を含む樹脂を含む。
【0097】
テルペン/フェノール樹脂は、特に、以下を対象とする:
- テルペン及びフェノール化合物のコポリマー(テルペン/フェノールコポリマー樹脂)、及び
- フェノールで改質されたテルペン、そのホモポリマー又はコポリマー(フェノール改質テルペン樹脂)。
【0098】
好ましくは、テルペン/フェノール樹脂は、少なくとも一つのフェノールとの反応が続く、少なくとも一つのフリーデル・クラフツ触媒の存在下でのテルペン系炭化水素(例えばモノテルペンなど)の重合により得られるフェノール改質テルペン樹脂である。
【0099】
粘着付与樹脂(b1)は、100℃から125℃、好ましくは110℃から125℃、より優先的には115℃から120℃の範囲の軟化温度を示し得る。
【0100】
粘着付与樹脂(b1)は、470から700Da、好ましくは500から650Daの範囲の数平均モル質量Mnを示し得る。
【0101】
粘着付与樹脂(b1)は、40から160mg KOH/gの範囲、好ましくは50から155mg KOH/gの範囲、より優先的には90から150mg KOH/g.の範囲のヒドロキシル価を有し得る。
【0102】
テルペン/フェノール樹脂(b1)の中でも、例えば、およそ630Daに等しいモル質量を有し、118℃の軟化温度を有し、135から150mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、DRTから入手可能なDertophene(登録商標)H150が挙げられる。
【0103】
粘着付与樹脂(b2)
粘着付与樹脂(b2)は、少なくとも一つのフェノールとの反応が続いてもよい、α-メチルスチレンの重合により生じる樹脂である。
【0104】
粘着付与樹脂(b2)は、75℃から120℃の範囲、より優先的には90℃から110℃の範囲の軟化温度を有し得る。
【0105】
粘着付与樹脂(b2)は、650から1800Da、好ましくは750から1,050Da、より優先的には950から1,020Daの範囲の数平均モル質量を有し得る。
【0106】
粘着付与樹脂(b2)は、4から50mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有し得る。
【0107】
粘着付与樹脂(b2)は、1.2から1.8の範囲、好ましくは1.4から1.7の多分散性指数を有し得る。
【0108】
テルペン/フェノール樹脂(b2)の中でも、例えば、Kratonから販売されるSylvares(登録商標)520 AMS(940Daの数平均分子量(Mn)、75℃の軟化温度及びおよそ39mg KOH/gのヒドロキシル価を有する);Kratonから入手可能なSylvares(登録商標)525 AMS(およそ1,770Daの数平均分子量(Mn)、94℃の軟化温度及びおよそ4mg KOH/gのヒドロキシル価を有する);及びKratonから入手可能なSylvares(登録商標)540 AMS(およそ880Daの数平均モル質量(Mn)、76℃の軟化温度及びおよそ56mg KOH/gのヒドロキシル価を有する)が挙げられる。
【0109】
粘着付与樹脂(b3)
粘着付与樹脂(b3)は、主にC9芳香族留分により生じるポリマー樹脂(少なくとも部分的に水素化されていてもよい)である。
【0110】
粘着付与樹脂(b3)は、特に、石油留分により生じる主に9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素の混合物の重合により得られる。
【0111】
粘着付与樹脂(b3)は、70℃から110℃の範囲、より優先的には80℃から110℃の範囲の軟化温度を有し得る。
【0112】
粘着付与樹脂(b3)は、400から1050Da、好ましくは450から850Da、より優先的には500から650Daの範囲の数平均モル質量を有し得る。
【0113】
粘着付与樹脂(b3)は、1.2から1.6の範囲、好ましくは1.3から1.5の多分散性指数を有し得る。
【0114】
テルペン/フェノール樹脂(b3)の中でも、例えば、Eastmanから入手可能なPicco(登録商標)AR-85(520Daの数平均分子量(Mn)、85℃の軟化点及びゼロのヒドロキシル価を有する);及びEastmanから入手可能なPicco(登録商標)AR-100(600Daの数平均分子量(Mn)、100℃の軟化点及びゼロのヒドロキシル価を有する)が挙げられる。
【0115】
好ましくは、組成物は、モノアルコール類又はポリオール類(例えばグリセロールなど)によって水素化、二量体化、重合又はエステル化されている、天然由来のロジン又は変性ロジン(例えば、松の樹液から抽出されたロジン、木の根から抽出されたウッドロジンなど)及びそれらの誘導体を含まない。
【0116】
さらにより好ましくは、組成物は、上記の粘着付与樹脂b1、b2及びb3以外の粘着付与樹脂を含まない。
【0117】
好ましくは、組成物は、少なくとも一つの粘着付与樹脂(b1)を含む。
【0118】
重合防止剤(c)
本発明による組成物は、組成物の全重量に対して3重量%以下の重量含有量で、好ましくは組成物の全重量に対して0.005重量%から2重量%の範囲の重量含有量で、少なくとも一つの重合防止剤(c)を含み得る。
【0119】
重合防止剤(c)は、典型的には、酸化防止剤であり、特に、特定の出発材料、例えば粘着付与樹脂に対する熱、光又は残留触媒の作用によって形成されやすい酸素との反応から生じる分解から組成物を保護することを可能にする。重合防止剤は、製造中に、及び貯蔵中の包装作業において、組成物を安定させ、(メタ)アクリレート官能基の非制御の重合を防ぐために、及び組成物の使用中の重合を調節するために導入される。
【0120】
ラジカル重合防止剤(c)は、好ましくは、立体障害の第一級フェノール化合物(特にメチル及び/又はtert-ブチル基で置換されている)、亜リン酸塩、ヒドロキニン、フェノール、アミン、フェノールアミン、フェノチアジン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0121】
立体障害第一級フェノール化合物の中でも、例えば、BASFのIrganox(登録商標)1076(オクタデシル 3-(3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、BASFのIrganox(登録商標)1010(ペンタエリスリトール テトラキス(3-(3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)又はBASFのIrganox(登録商標)245(エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3-(5-(tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-m-トリロイル)プロピオネート)が挙げられる。
【0122】
亜リン酸塩の中でも、例えば、BASFにより販売されるIrgafos(登録商標)168(トリス(2,4-ジ(tert-ブチル)フェニル)ホスファイト)が挙げられる。
【0123】
ラジカル光開始剤(d)
本発明による組成物は、紫外線(UV)放射下又は電子ビーム(eビーム)の放射下で、重合又は架橋され得る。
【0124】
一実施態様によれば、組成物がUV放射下で重合又は架橋されるとき、該組成物は少なくとも一つのラジカル光開始剤(d)を含む。
【0125】
別の実施態様によれば、本発明による組成物は、それらが電子ビーム(eビーム)エネルギーで架橋されるとき、いずれのラジカル光開始剤も含まない。
【0126】
本発明による組成物は、組成物の全重量に対して、0重量%から5重量%、好ましくは0重量%から3重量%、さらにより優先的には0.1重量%から2重量%、さらにより有利には0.5重量%から1.5重量のラジカル光開始剤を含み得る。
【0127】
ラジカル光開始剤(d)は、当業者に知られる任意のラジカル光開始剤であり得る。UV/可視放射下では、ラジカル光開始剤は、光重合反応の開始に関与するラジカルを生成し、特に光重合反応の効率を高めることを可能にする。ラジカル光開始剤は、当然、選択した放射を効率的に吸収する能力に従って、使用する光源に応じて選択される。例えば、UV/可視吸収スペクトルから適切なラジカル光開始剤を選択することが可能となる。有利には、ラジカル光開始剤は、可視領域の近くのゾーンで放射する照射源での作業に適している。有利には、UV又は可視放射線の源は、LED又は放電ランプであり得る。例えば、Hg/Xeランプであり得る。自然光も使用され得る。
【0128】
好ましくは、前記少なくとも一つのラジカル光開始剤(d)は:
- 以下:
- アセトフェノン及びアルコキシアセトフェノンのファミリー、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン及び2-ジエチル-2-フェニルアセトフェノンなど;
- ヒドロキシアセトフェノンのファミリー、例えば、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン及び2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシプロポキシ)-2-メチルプロピオフェノンなど;
- アルキルアミノアセトフェノンのファミリー、例えば、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4-モルホリノブチロフェノン及び2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-4-モルホリノブチロフェノンなど;
- ベンゾインエーテルのファミリー、例えば、ベンゾイン メチル エーテル及びベンゾイン イソプロピル エーテル;
- ホスフィン オキシドのファミリー、例えば、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン オキシド(TPO)、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン オキシド(TPO-L)及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスフィン オキシド(BAPO)など;
より選択されるI型のラジカル光開始剤、
- 以下:
- ベンゾフェノンのファミリー、例えば、4-フェニルベンゾフェノン、4-(4’-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン又は1-[4-[(4-ベンゾイルフェニル)チオ]フェニル]-2-メチル-2-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1-プロパノンなど;
- チオキサントンのファミリー、例えば、イソプロピルチオキサントン(ITX)、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン及び1-クロロ-4-イソプロピルチオキサントンなど;
- キノンのファミリー、例えば、2-エチルアントラキノンを含むアントラキノン、及びカンフルキノンなど;
- ベンゾイルホルメート エステルのファミリー、例えばメチル ベンゾイルホルメートなど;
- メタロセンのファミリー、例えば、フェロセン、ビス(エータ5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタン及び(クメン)(シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェートなど;
- ジベンジリデン ケトンのファミリー、例えば、p-ジメチルアミノ ケトン;
- クマリンのファミリー、例えば、5-メトキシ-及び7-メトキシクマリン、7-ジエチルアミノクマリン及びN-フェニルグリシン クマリンなど;
より選択されるII型のラジカル光開始剤、
- 染料のファミリーのラジカル光開始剤、例えば、トリアジン、フルオロン、シアニン、サフラニン、4,5,6,7-テトラクロロ-3’,6’-ジヒドロキシ-2’,4’,5’,7’-テトラヨード-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン、ピリリウ及びチオピリリウム、チアジン、フラビン、ピロニン、オキサジン又はローダミンなど;
- 並びにこれらの混合物
からなる群より選択される。
【0129】
さらにより好ましくは、ラジカル光開始剤(d)は、上記のI型のラジカル光開始剤から選択される。
【0130】
例えば、UV又は可視放射の源がLEDであるとき、ラジカル光開始剤は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン オキシド又は例えばLambsonからSpeedcure(登録商標)TPO(CAS:75980-60-8)の商標名で入手可能なTPO、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート又は例えばLambsonからSpeedcure(登録商標)TPO-L(CAS:84434-11-7)の商標名で入手可能なTPO-L、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン オキシド又は例えばBASFからIrgacure(登録商標)819(CAS:162881-26-7)の商標名で入手可能なBAPO、例えばBASFからIrgacure(登録商標)369の商標名で入手可能な、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン(CAS:119313-12-1)、例えばBASFからIrgacure(登録商標)907の商標名で入手可能な、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン(CAS:71868-10-5)、例えばBASFからIrgacure(登録商標)184の商標名で入手可能な、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニル ケトン(CAS:947-19-3)、2-イソプロピルチオキサントン又は例えばSpeedcure(登録商標)2-ITXの商標名で入手可能なITX (CAS:5495-84-1)、又はそれらの混合物から選択され得る。
【0131】
本発明によるラジカル光開始剤(d)は、優先的には液体である。
【0132】
添加剤(e)
本発明による組成物は、架橋性接着剤の特性を損なわないために適切に選択された一又は複数の添加剤(e)を含み得る。例えば、接着促進剤、レオロジー剤、チキソトロピー付与剤、可塑剤、乳白剤、顔料、染料、充填剤及びそれらの混合物が挙げられる。これらの添加剤は、接着性組成物に一般的に使用されるものから選択され得る。
【0133】
好ましくは、本発明による組成物は、可塑剤を含まない。
【0134】
接着性組成物
好ましくは、本発明による組成物は、大気圧で250℃未満の沸点を有する有機溶媒、例えば、酢酸エチル、キシレン、トルエン又はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を含まない。
【0135】
好ましくは、接着性組成物において、ポリウレタン(a):粘着付与樹脂(b)の重量比は、45:55から55:45の範囲であり、優先的には50:50に等しい。
【0136】
一実施態様によれば、本発明による組成物は、以下:
(a)35重量%から65重量%の、上に規定されたポリウレタン、
(b)33重量%から60重量%の、上に規定された粘着付与樹脂(b)、
(c)少なくとも一つの重合防止剤;
(d)0重量%から3重量%のラジカル光開始剤、
(e)接着促進剤、レオロジー剤、チキソトロピー付与剤、可塑剤、乳白剤、顔料、染料及び充填剤から選択される、0重量%から20重量%の少なくとも一つの添加剤
を含む。
【0137】
本発明による組成物は、80℃で1,000から50,000mPa.sの範囲の粘度、好ましくは80℃で4,000から25,000mPa.sの範囲の粘度を有し得る。
【0138】
本発明による組成物は、40℃から160℃までさまざまである温度で50,mPa.sから500,000mPa.s、好ましくは60℃から100℃までさまざまである温度で600mPa.sから100,000mPa.s、優先的には60℃から100℃までさまざまである温度で1,200mPa.sから50,000mPa.s、有利には60℃から100℃の範囲の温度で1,200mPa.sから10,000mPa.sの範囲、例えば60℃から100℃の範囲の温度で1,200mPa.sから5,000mPa.sの範囲の粘度を有し得る。
【0139】
この粘度は、毎分20回転の回転速度でナンバー27のスピンドルを備えた、BrookfieldブランドのThermoselタイプの加熱モジュールと結合したBrookfield RVT粘度計を使用して、80℃で測定され得る。
【0140】
本発明による組成物は、有利には以下:
- 前記組成物の全重量に対して、0.1重量%以下の残留ポリイソシアネートモノマーの含有量(工程E1により生じる)、特にジイソシアネートモノマーの含有量;及び/又は
- 前記組成物の全重量に対して、0.2重量%以下、優先的には0.02重量%以下の、(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステル又は(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドの含有量(工程E2により生じる)
を有し、
重量パーセントは、前記組成物の全重量に対する。
【0141】
遊離ジイソシアネートモノマーの濃度を決定するための分析方法の原理は、イソシアネート NCO基とアミン(1-(2-メトキシフェニル)ピペラジン又はPPZ)の特定の反応に基づき、安定した尿素誘導体が形成される。これらの誘導体は、PPZがアセトニトリルに入った0.02mol/l溶液を使用する試料の希釈/溶解による接着剤試料の調製中に得られる。分析される試料に存在するイソシアネートから形成されるPPZ誘導体は、続いて、254nmで動作する紫外(UV)検出器を備えた、2から3の範囲のpHで0.2重量%の重硫酸テトラブチルアンモニウム水溶液を使用して緩衝化した水とアセトニトリルの混合物を含む移動相勾配を有する逆相C18高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムにより定量的に決定される。これらの化合物は、クロマトグラフピークの保持時間及び表面積を、既知の性質と濃度のジイソシアネートモノマーの反応によって得られる標準PPZ誘導体の保持時間と表面積と比較することによって、同定及び定量化される。
【0142】
(メタ)アクリル酸の残留ヒドロキシル化エステルの濃度又は(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化アミドの濃度は、高速液体クロマトグラフィーシステムにより、例えば、Waters AcquityのUPLC装置を使用して、測定され得る。試料は、10mlの容量のアセトニトリル/水(又はメタノール/水)混合物中0.2gの希釈により調製され得る。調製された試料は、続いて、30℃のカラム温度で、アセトニトリル(又はメタノール)とオルトリン酸が添加されたH3PO4の混合物を含む移動相勾配を有する逆相C18 UPLCにより定量的に決定される。この化合物は、クロマトグラフピークの保持時間及び表面積を、既知の性質と濃度の(メタ)アクリル酸のヒドロキシル化エステル(又はヒドロキシル化アミド)の反応によって得られる誘導体の保持時間と表面積と比較することによって、同定及び定量化される。
【0143】
好ましくは、組成物は、組成物の全重量に対して、厳密に0.5重量%未満、優先的には0.1重量%未満、さらにより優先的には0.01重量%未満の(メタ)アクリレートモノマーの全含有量((メタ)アクリル酸の残留ヒドロキシル化エステル又はヒドロキシル化アミドは別とする)を含む。(メタ)アクリレートモノマーの中でも、アルコキシル化テトラヒドロフルフリル アクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリル アクリレート、カプロラクトンアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル アクリレート、2-フェノキシエチル アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソオクオチルアクリレート、2-オクチル アクリレート、2-エチルヘキシル アクリレート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0144】
B.組成物を調製するための方法
本発明の別の主題は、以下:
- 上に規定するポリウレタン(a)を調製する工程;
- 前記ポリウレタン(a)と組成物の他の化合物を混合する工程
を含む上記の組成物を調製するための方法に関する。
【0145】
本発明による好ましい別の形態によれば、本発明による組成物を調製するための方法は、以下:
(i)温度T3で、適切な場合は、一又は複数の重合防止剤(c)との混合物として、粘着付与樹脂(b)を溶融する工程、
(ii)不活性雰囲気下で、ポリウレタン(a)を導入及び混合する工程、
(iii)前記混合物をT3未満の温度T4に冷却する工程、その後、
(vi)前記混合物に、架橋ラジカル光開始剤(d)及び適切な場合は他の添加剤(e)を導入する任意選択的な工程
を含む。
【0146】
工程(i)は、粘着付与樹脂の軟化温度以上の温度T3で、樹脂混合物の場合は、使用される樹脂の最高軟化温度以上の温度T3で、生じ得る。特に、温度T3は、150℃未満、好ましくは130℃以下の温度である。
【0147】
好ましくは、温度T3は、70℃から150℃、より優先的には75℃から130℃の範囲である。
【0148】
工程(ii)において、ポリウレタン(a)の付加は分割して行われ得る。これは、導入されるポリウレタンの全量が、かなりの量のポリウレタンの導入に関連して、混合物の温度が過度に大きく低下して反応媒体が固化するのを防ぐために、必要なだけ多くの部分に分割され得るためである。
【0149】
該方法は、最適な無水条件下で機能するように、先述の工程(i)から(iv)のそれぞれの間に、減圧下で脱水する工程を含み得る。各脱水工程は、10から50ミリバール(mbar)の減圧下、1時間30分から3時間、好ましくは2時間から3時間にわたって行われ得る。
【0150】
工程(iii)は、通常、温度T3より低い温度T4で生じる。好ましくは、温度T4は、45℃から90℃、より優先的には70℃から80℃の範囲である。
【0151】
C.使用
本発明は、自己接着性支持体の調製における上記の接着性組成物の使用に関する。
【0152】
本発明の別の主題は、以下:
(i’)T5で10000mPa.s未満の粘度を有する液体を得るために、上に規定する組成物を温度T5に余熱する工程、
(ii’)前記組成物を支持層上にコーティングする工程、その後、
(iii’)1秒から2分の間、優先的には1秒から1分の間の照射時間で、UVビーム又はeビーム下での照射により、前記組成物を架橋する工程
の工程を含む方法により得ることができる自己接着性支持体である。
【0153】
工程(i’)は、70℃から150℃の範囲の温度T5、好ましくは75℃から130℃の範囲の温度T5で行われ得る。
【0154】
支持層のコーティングの工程(ii’)は、既知のコーティング装置、例えば、ローラーを備えたリップノズル若しくはカーテンタイプのノズル、又はフィルム引出具若しくはフィルムアプリケーターとしても知られる手動コーティング装置により行うことができる。それは、20から100g/m2の範囲であり得る組成物の単位面積あたりの重量を用いる。
【0155】
支持層に使用され得る材料は、例えば、一又は複数の層を有するポリマー材料の紙又はフィルムである。例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)支持体が挙げられる。
【0156】
工程(iii’)の架橋に要する時間は、広範囲、例えば1秒間から2秒間であり得る。
【0157】
このUV架橋工程は、本発明により使用されるポリウレタンのポリマー鎖間で、及び紫外線の作用下で、三次元ポリマーネットワークの形成をもたらす炭素タイプの結合を作り出す効果を有する。このように架橋された接着性組成物は感圧接着剤であり、それは、それでコーティングされた支持層上に望ましい接着性と粘着性を付与する。
【0158】
そして、架橋組成物でコーティングされる支持層の基材への適用後に形成される接着性シールは、有利には、-60℃から+160℃に及ぶ温度範囲内で前記支持層の接着を提供する。
【0159】
本発明による自己接着性支持体は、PSA層を覆う保護非粘着層も含む可能性があり、前記保護層は簡潔に積層される。
【0160】
本発明はまた、自己接着性ラベル及び/又はテープの製造における上に規定される自己接着性支持体の使用にも関する。
【0161】
自己接着性ラベルの製造に必要な接着性組成物の単位面積当たりの重量は、20から100g/m2の範囲、好ましくは50g/m2付近であり得る。自己接着性テープの製造に必要なそれは、2から1,000g/m2、好ましくは15から250g/m2に及ぶはるかに広い範囲内で変動し得る。
【0162】
本発明の文脈において、「xからyの間」又は「xからyの範囲」という用語は、境界x及びyを含む区間を意味する。例えば、「0%~25%の間」の範囲には、特に値0%と25%が含まれる。
【0163】
次に、本発明を以下の実施例で説明するが、これらの実施例は純粋に例示として与えられており、その範囲を限定するために解釈されるべきではない。
【実施例】
【0164】
以下の原料を使用した:
- Desmodur(登録商標)T 100:99.5重量%のNCO官能基を示し、95重量%の2,4-TDI異性体を含むトルエンジイソシアネート(TDI)(Covestroから入手可能);
- Voranol(登録商標)P 2000:250から270mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価OHNを示す二官能性ポリプロピレン グリコール(Dowから入手可能);
- Voranol(登録商標)CP 3355:48mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価OHNを示す三官能性ポリプロピレン グリコール(Dowから入手可能);
- Acclaim(登録商標)4200:26.5から29.5mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価OHNを示す二官能性ポリプロピレン グリコール(Covestroから入手可能);
- Acclaim(登録商標)8200:13から15mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価OHNを示す二官能性ポリプロピレン グリコール(Covestroから入手可能);
- HEA:BASFから入手可能な、98.5重量%の純度を示し、250±50ppmのHQMEを含有する2-ヒドロキシエチル アクリレート;
- Borchi Kat(登録商標)315:ビスマスネオデカノエートに基づく触媒(Borchersから入手可能);
- Dertophene(登録商標)H150:およそ630Daに等しいモル質量、118℃の軟化温度及び135から150mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、DRTから入手可能なテルペン/フェノールタイプ粘着付与樹脂;
- Sylvalite(登録商標)RE 100:およそ1700Daに等しい分子量及び100℃の軟化温度を有する、Arizona Chemicalから入手可能な、ペンタエリスリトールのエステルとトールオイルロジンタイプの粘着付与樹脂;
- Speedcure(登録商標)TPO-L:Lambsonから入手可能なエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート(CAS:84434-11-7)。
【0165】
A.(メタ)アクリル官能基Tを含むポリウレタンの調製
ポリオールを、NCO末端基を有するポリウレタンの合成に使用されるポリイソシアネートと反応させる前に、乾燥させる。実施例1から4に使用するジイソシアネート及びジオールの量は、およそ1.65から1.75の範囲の(r1)と表されるNCO/OHモル比に相当する。
【0166】
得られた実施例1から3の官能基Tを含むポリウレタンPのそれぞれについて、ポリウレタンの合成の媒体中のNCOの含有量を、NF規格T52-132に従って定量的に決定する。測定された値は、試料100gに対して、重量パーセントで表される。
【0167】
得られた実施例1から3の官能基Tを含むポリウレタンのそれぞれについて、ポリウレタンの合成の媒体に存在する未反応のジイソシアネートモノマーの重量含有量を、上記のUV検出器を備えたHPLC(逆相C18、移動相:2.5に等しいpHで0.2重量%の重硫酸テトラブチルアンモニウム水溶液で緩衝化されたアセトニトリル水溶液、検出波長:254nm)の方法により測定する。測定した値は重量パーセントで表し、続いて、(メタ)アクリル末端官能基Tを有するポリウレタンの全重量に関連づける。実施例1から3のポリマーのそれぞれにおける残留ジイソシアネートモノマーの含有量は0.02重量%未満であり、優先的には、GC又はHPLCにより0.01重量%の閾値で検出されない。
【0168】
実施例1:ポリウレタン P1の調製
6.52gのDesmodur(登録商標)T 100を反応器に導入し、40℃で加熱する。88.90gのAcclaim(登録商標)4200(すなわち、r1=1.68及びf=2)を続いて導入し、混合温度が80℃を超えないように注意する。混合温度が安定したとき、混合物をおよそ1時間80-85℃に加熱する。反応の終わりに、媒体中のNCO官能基の重量パーセントをモニタリングし、この割合は、理論上はおよそ1.28重量%であるべきである。反応が完了したとき、混合物を70℃に冷却し、0.12gのHQME、4.36gの2-ヒドロキシエチル アクリレート(すなわちr2=0.81)及び0.13gのBorchi Kat(登録商標)315を導入する。媒体中のNCO官能基の重量パーセントをモニタリングしながら(この割合は、理論上、およそ0.24%であるべきである)、及び赤外線(IR)で可視のOH官能基がもはや存在しなくなるまで、混合物を70℃で6から8時間保持する。
【0169】
ポリウレタンの(メタ)アクリル末端官能基Tの含有量は0.2400meq/gである。
【0170】
ポリウレタンP1中の上記の式(I)の官能基Tの平均官能価は、2に等しい。
【0171】
実施例2:ポリウレタン P2の調製
6.81gのDesmodur(登録商標)T 100を反応器に導入し、40℃で加熱する。続いて、今度は5.29gのVoranol(登録商標)CP 3355及びその後82.97gのAcclaim(登録商標)4200(すなわち、r1=1.70及びf=2.07)を導入し、混合温度が80℃を超えないように注意する。混合温度が安定したとき、混合物をおよそ1時間80-85℃に加熱する。反応の終わりに、媒体中のNCO官能基の重量パーセントをモニタリングし、この割合は、理論上はおよそ1.35重量%であるべきである。反応が完了したとき、混合物を70℃に冷却し、0.12gのHQME、4.70gの2-ヒドロキシエチル アクリレート(すなわちr2=0.80)及び0.10gのBorchi Kat(登録商標)315を導入する。媒体中のNCO官能基の重量パーセントをモニタリングしながら(この割合は、理論上、およそ0.26%であるべきである)、及び赤外線(IR)で可視のOH官能基がもはや存在しなくなるまで、混合物を70℃で6から8時間保持する。
【0172】
ポリウレタンの(メタ)アクリル末端官能基Tの含有量は0.2499meq/gである。
【0173】
ポリウレタンP2中の上記の式(I)の官能基Tの平均官能価は、2.07に等しい。
【0174】
実施例3:ポリウレタン P3の調製
3.94gのDesmodur(登録商標)T 100を反応器に導入し、40℃で加熱する。続いて、今度は5.59gのVoranol(登録商標)CP 3355及びその後87.55gのAcclaim(登録商標)8200(すなわち、r1=1.70及びf=2.13)を導入し、混合温度が80℃を超えないように注意する。混合温度が安定したとき、混合物をおよそ1時間80-85℃に加熱する。反応の終わりに、媒体中のNCO官能基の重量パーセントをモニタリングし、この割合は、理論上はおよそ0.78重量%であるべきである。反応が完了したとき、混合物を70℃に冷却し、0.12gのHQME、2.70gの2-ヒドロキシエチル アクリレート(すなわちr2=0.80)及び0.10gのBorchi Kat(登録商標)315を導入する。媒体中のNCO官能基の重量パーセントをモニタリングしながら(この割合は、理論上、およそ0.15%であるべきである)、及び赤外線(IR)で可視のOH官能基がもはや存在しなくなるまで、混合物を70℃で6から8時間保持する。
【0175】
ポリウレタンの(メタ)アクリル末端官能基Tの含有量は0.1462meq/gである。
【0176】
ポリウレタンP3中の上記の式(I)の官能基Tの平均官能価は、2.13に等しい。
【0177】
粘度の測定
末端官能基Tを含むポリウレタンP1からP3の粘度を、23℃で混合物の粘度を測定することにより推定する。この測定は、20回転/分(rev/min)の回転速度でナンバー6のスピンドルを有するBrookfield RVT粘度計を使用して反応終了の24時間後に(D+1)23℃で行う。測定した値をミリパスカル.秒(mPa.s)で表し、表1に記録した。
[表1]
【0178】
B.ホットメルト感圧接着性組成物の調製
精製工程を施さずに上で得た実施例1から3の(メタ)アクリル末端官能基Tを含むポリウレタン/(メタ)アクリルP1からP3より、組成物1Aから5Aを調製した。
【0179】
実施例1A、3A及び4Aは、それぞれ実施例1、2及び3で得られたポリウレタン/(メタ)アクリルP1、P2及びP3と、およそ630Daに等しいモル質量、118℃の軟化温度及び135から150mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するDRTから入手可能な(b1)型の粘着付与樹脂Dertophene(登録商標)H150とを含む本発明による接着性組成物を説明する。
【0180】
実施例2Aは、実施例1で得られたポリウレタン/(メタ)アクリルP1を含むがポリウレタンP1:粘着付与樹脂の重量比が4:6から6:4の範囲外である比較組成物に対応する。
【0181】
実施例5Aは、実施例1で得られたポリウレタン/(メタ)アクリルP1を含むが本発明のものとは異なる粘着付与樹脂を有する比較組成物に対応する。
【0182】
実験プロトコル:
まず、減圧下で粘着付与樹脂及び酸化防止剤をガラス反応器中に導入して組成物1Aを調製し、粘着付与樹脂の軟化点以上且つ130℃以下の温度T3に加熱する。その後、樹脂が十分溶融したら、減圧を止め、前の実施例1で得られたポリウレタン/(メタ)アクリルP1の半分を窒素下で導入する。混合物を一定して撹拌しながら温度T3に維持する。添加後、混合物を減圧下で少なくとも2時間撹拌したままにし、その後、再度減圧を止め、混合物を温度T3で撹拌しながら、もう半分のポリウレタン/(メタ)アクリルP1を窒素下で導入する。続いて、媒体を温度T4、およそ80℃に冷却し、減圧を止め、その後、ラジカル光開始剤Speedcure(登録商標)TPO-Lを激しく撹拌しながら窒素雰囲気下で導入する。添加後、減圧を再開し、混合物をさらに10分間撹拌した。
【0183】
得られた接着性組成物を、100℃のオーブンで予備乾燥した水密アルミカートリッジに保管する。
【0184】
実施例1Aに適用した実験プロトコルを実験2Aから5Aについて同じように繰り返し、表2に示す原料を考慮する。
[表2]
【0185】
特性評価:
得られた異なる接着性組成物1Aから5Aについて、以下の測定を同様に行う:
- 接着性組成物の粘度を、毎分20回転の回転速度でナンバー27のスピンドルを備えたBrookfieldブランドのThermoselタイプの加熱モジュールと結合したBrookfield RVT粘度計を使用して、80℃で測定する。この粘度は、ミリパスカル.秒で表す。
- さらに、各接着性組成物の一般的な外観を視覚的に評価した(可視光)。接着性組成物1Aから5Aはすべて透明である。
【0186】
【0187】
C.測定
50g/m2の割合で、架橋接着性組成物を用いてコーティングされたPET支持層の調製:
50μmの厚さと20cmx40cmの大きさを有するポリエチレンテレフタレート(PET)の長方形シートを支持層として使用する。
【0188】
得られた組成物1Aを70℃から150℃、好ましくは100℃から120℃の範囲の温度T5に余熱し、カートリッジに導入し、ここからストランドは押し出され、その幅に平行なシートの端部近くに堆積される。
【0189】
その後、このストランドに含まれる組成物をシートの表面全体に分配し、実質的に一定の厚さの均一な層を得る。このために、シートの端から反対側の端に移動するフィルム引出具(フィルムアプリケーターともいう)を利用する。したがって、単位面積当たりの重量が50g/m2に相当する組成物の層(厚さおよそ50μm)を堆積させる。
【0190】
その後、長方形で同じ寸法のシリコーンフィルムからなる保護滑り止め層に積層させる。
【0191】
その後、このようにコーティングされたPET/シリコーンフィルムの錯体を好ましくは1分間UVビーム(水銀ランプ)下に置く。
【0192】
このようにして得られたPET支持層は、以下に記載の試験に供される。
【0193】
適用した実験プロトコル及び組成物1Aを使用して得られた多層系について行った試験を、実施例2Aから5Aについて同じように繰り返した。
【0194】
ステンレス鋼のシートの180°剥離試験:
接着性は、FINAT Technical Handbook、第6版、2001で公開されたFINAT試験方法No.1に記載の通り、ステンレス鋼のシートの180°剥離試験によって評価される。FINATは、自己接着性ラベルメーカー及びコンバータのための国際連盟である。本試験の原理は以下の通りである:
上で得られた架橋組成物でコーティングされたPET支持層から、長方形ストリップ(25mmx150mm)の形態の試験片を切り取る。この試験片を、その長さの2/3にわたって(非粘着性保護層の対応する部分を除去した後)、1キロのローラーを二回通すことにより、脱脂したステンレス鋼のシートからなる基材に接着させ。得られた集合体を周囲温度で15分間おく。その後、集合体を、長方形のストリップの自由な方の端部から、180°の角度及び毎分300mmの分離速度でストリップを剥離又は引き離すことができる引張試験装置に置く。該装置は、これらの条件下でストリップを引き離すのに必要な力を測定する。結果を1センチメートルあたりのニュートン(N/cm)で表し、以下の表4に示す。
【0195】
さらに、引き離した表面の状態により、破損相を視覚的に測定する。接着シールのすべてがPET支持層に接着結合されたままであることが観察されたとき、接着不良について「AF」と記録する。接着シールが破損し、一部についてはPET支持層に接着結合され、他方については基材に接着結合されたままであることが観察されたとき、凝集破壊について「CF」と記録する。結果を表4に示す。
【0196】
タック試験(ループ試験としても知られる):
FINAT No.9法に記載の「ループ」タック試験によりタックを評価し、その原理は以下の通りである:
上で得られた架橋組成物でコーティングされたPET支持層から、長方形ストリップ(25mmx150mm)の形態の試験片を切り取る。保護非粘着層のすべてを除去した後、このストリップの2つの端部を接合させてループを形成し、その接着層は外側を向いている。2つの接合端部を、垂直軸に沿って300mm/分の変位速度を課すことができ、往復する可能性がある引張試験装置の可動ジョーに置く。垂直位置に置かれたループの下部を、初めに、1辺の長さがおよそ25mmの正方形領域にわたって25mm×30mmのガラスの水平シートと接触させる。この接触が生じると、ジョーの変異の方向が逆になる。タックとは、ループがシートから完全に離れるのに必要な力の最大値である。結果を1平方センチメートルあたりのニュートン(N/cm2)で表し、以下の表4に示す。
【0197】
さらに、引き離した表面の状態により、破損相を視覚的に測定する。接着不良について「AF」と記録する:特に、接着シールのすべてがPET支持層に接着結合されたままであることが観察される。凝集破壊について「CF」と記録する:特に、接着シールが破損し、一部についてはPET支持層に接着結合され、他方については基材に接着結合されたままであることが観察される。結果を表4に示す。
【0198】
静的せん断により接着シールが破損する温度
静的せん断により接着シールが破損する温度の決定の試験により、接着性の温度維持を評価する。この試験は、せん断接着破壊温度(又はSAFT)試験という名称でも知られている。
【0199】
UV照射下での接着剤の架橋後に、長方形ストリップの形態の試験片(25mm×75mm)をそれぞれPET/接着剤(50g/m2)/剥離ライナーマルチレイヤーから切り取る。保護層(又は剥離ライナー)のすべてを除去した後、接着ストリップの端部に位置する1辺が25mmの正方形部分をステンレス鋼のシートに接着させる。適切な支持体により、このように得られた試験シートを23℃のオーブン中実質的に垂直な位置に置き、50mmの長さのストリップの非接着結合部分をシートの下に配置する。23℃で熱平衡に達した後、自由に残ったストリップの部分は0.5kgの重りに結合し、その後、装置全体が試験継続時間を通してオーブンに残る。続いて、1分あたり0.4℃オーブンの温度が上昇するPSTC-17試験法に従って、SAFT値を測定する。この応力の影響下での接着シールの破損に続いてストリップがシートから落ちる温度を記録する。
【0200】
本試験では、接着剤が常に170℃の温度に耐えるかを調べた。
[表4]
【0201】
よって、本発明による実施例1A、3A及び4Aから得られる接着剤のすべては、接着力及びタックに関して、満足のいく接着性能をもたらす。さらに、剥離試験の結果として及びループタック試験の結果として得られた値はそれぞれ厳密に2N/cm2超であり、これは、自己接着性を得るために所望される最小値である。
【0202】
さらに、実施例1A、3A及び4Aの組成物は、組成物2A及び5Aとは異なり、有利には、良好な温度耐性(SAFT 170℃)を示す。
【0203】
比較例2A及び5Aについては、これらの組み合わせ条件は満たされず、実際、得られた接着剤は、あまり効果的ではなく、自己接着に適さない。
【0204】
組成物1Aは、粘着付与樹脂の性質において、比較組成物5Aとは異なる。組成物1Aは、組成物5Aで得られたものよりも良好な接着及びタック、並びに高温耐性の特性を示す接着剤をもたらす。
【0205】
組成物1Aは、ポリウレタンP1:粘着付与樹脂b)の重量比において、比較組成物2Aとは異なる。組成物1Aは、組成物2Aで得られたものよりも良好な接着及びタック、並びに高温耐性の特性を示す接着剤をもたらす。