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特許7550032筐体内に移動可能な質量体を備えたデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】筐体内に移動可能な質量体を備えたデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240905BHJP
   A63F 13/285 20140101ALI20240905BHJP
   A63F 13/245 20140101ALI20240905BHJP
   A63F 13/211 20140101ALI20240905BHJP
   A63F 13/812 20140101ALN20240905BHJP
   A63F 13/818 20140101ALN20240905BHJP
【FI】
G06F3/01 560
A63F13/285
A63F13/245
A63F13/211
A63F13/812 C
A63F13/818
A63F13/812 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020192712
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081272
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】香田 祐太
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0022065(US,A1)
【文献】特開2018-126340(JP,A)
【文献】特開2011-242386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A63F 13/285
A63F 13/245
A63F 13/211
A63F 13/812
A63F 13/818
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置される質量体と、
前記筐体内で前記質量体を移動させる移動機構と、
振動子と、
前記質量体の移動と、前記振動子の振動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記筐体内で前記振動子を移動可能である、
ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記移動機構は、前記筐体の長手方向に前記質量体を移動させる直動機構を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記移動機構は、前記質量体とともに前記振動子を移動させる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記移動機構は、
前記質量体を移動させる第1移動機構と、
前記振動子を移動させる第2移動機構と、を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記制御部は、
制御データを取得する制御データ取得部と、
制御データにもとづいて、前記移動機構のモータを制御するモータ制御部と、
制御データにもとづいて、前記振動子の振動を制御する振動制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
モーションセンサをさらに備え、
前記モータ制御部は、モーションセンサが検出したセンサデータにもとづいて生成された制御データにしたがって、前記移動機構のモータを制御する、
ことを特徴とする請求項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に移動可能な質量体を備えたデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、筐体と、筐体に結合される質量体と、筐体に対する質量体の位置を変更するために質量体に結合されるアクチュエータとを備える携帯コンピュータインタフェースを開示する。アクチュエータは、携帯コンピュータインタフェースの重心の変更を示す信号を受信すると、質量体の位置を変更する。特許文献1に開示された携帯コンピュータインタフェースは、ゲームの操作装置として利用され、ユーザに触覚フィードバックを与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-225155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゴルフや釣り等のゲームでは、プレイヤは長尺状のゲームコントローラを使用することで、現実の道具を使用する感覚でゲームを操作できる。このようなゲームコントローラに可動子および/または振動子を搭載し、現実の道具を模擬した挙動を示すように可動子および/または振動子を制御することで、ゲームの楽しみ方を広げることができると考えられる。
【0005】
そこで本発明の目的は、ユーザに触覚フィードバックを与える新規のデバイスを提供することにある。デバイスはボタンなどの操作部材を有するゲームコントローラであってよいが、操作部材を有しないデバイスであってよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のデバイスは、筐体と、筐体内に配置される質量体と、筐体内で質量体を移動させる移動機構と、振動子と、質量体の移動と振動子の振動を制御する制御部とを備える。制御部は、筐体において振動子が振動する位置を変更可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、触覚フィードバックをユーザに与えるデバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例における情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】入力デバイスの内部構造の一例を示す図である。
図3】処理装置の機能ブロックを示す図である。
図4】情報処理装置の機能ブロックを示す図である。
図5】質量体の位置を示す図である。
図6】質量体の位置を示す図である。
図7】質量体の位置を示す図である。
図8】質量体の位置を示す図である。
図9】質量体の位置を示す図である。
図10】入力デバイスの内部構造の別の例を示す図である。
図11】入力デバイスの内部構造の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例における情報処理システム1の構成例を示す。情報処理システム1は、ゲームプログラムを実行する情報処理装置10と、出力装置12と、入力デバイス20とを備える。入力デバイス20は、ユーザがゲームに対する操作を入力する操作入力装置であり、情報処理装置10は、入力デバイス20から送信される操作データをもとにゲームプログラムを実行して、ゲーム画像およびゲーム音声を出力装置12から出力する。
【0010】
出力装置12は、情報処理装置10に有線ケーブルで接続されてよく、また無線LAN(Local Area Network)などにより無線接続されてもよい。出力装置12はテレビであってよいが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)であってもよい。
【0011】
実施例の入力デバイス20は、内蔵するバッテリで駆動され、管状の筐体22を有する棒状のゲームコントローラである。筐体22は円筒形状を有してよいが、多角筒形状を有してもよく、また長手方向において異なる断面を有してもよい。筐体22の表面には、操作ボタン24a、24b、24c、24d、24e(以下、特に区別しない場合には「操作ボタン24」と呼ぶ)が設けられる。筐体22の後端側は、ユーザが手で把持するグリップ部26を構成し、ユーザはグリップ部26を把持した状態で、操作ボタン24を親指で操作できる。なお操作ボタン24の裏面側には、人差し指で操作できる別の操作ボタンが設けられてもよい。
【0012】
入力デバイス20は情報処理装置10との間で無線通信可能な無線コントローラとして構成され、ユーザが操作ボタン24を操作すると、入力デバイス20は操作データを情報処理装置10に無線送信する。入力デバイス20と情報処理装置10は、Bluetooth(登録商標)プロトコルを用いて無線接続を確立してよい。なお入力デバイス20は、情報処理装置10とケーブルを介して接続される有線コントローラであってもよい。実施例の入力デバイス20は、グリップ部26を把持するユーザの手に触覚フィードバックを提供する構造を備える。
【0013】
図2は、入力デバイスの内部構造の一例を示す。図2において操作ボタン24の図示は省略している。入力デバイス20は、筐体22内に配置される質量体42と、筐体22内に配置される振動子44と、筐体22内で質量体42および振動子44を移動させる移動機構30と、処理装置40とを備える。移動機構30はモータ32およびボールねじ34を含み、筐体22の長手方向に可動子36を動かす直動機構であり、ボールねじ34の回転により、可動子36がボールねじ34の軸線上を移動する。図2に示す構造例で、質量体42と振動子44とが可動子36に固定されており、質量体42および振動子44は可動子36と一体に移動する。
【0014】
処理装置40は、筐体22内で質量体42を移動させて、入力デバイス20の重心位置を動的に変化させる。そのため質量体42は、重心位置の変化をユーザが感じ取れる程度の重さを有していればよい。可動子36が十分な重さを有していれば、質量体42を可動子36に取り付ける必要がなく、可動子36が質量体として機能してよい。
【0015】
処理装置40は、振動子44に電力を供給することで振動子44を振動させて、ユーザに衝撃を感じさせる。振動子44は、大きな振幅の振動を励起可能なボイスコイルモータであってもよい。振動子44に電力を供給するバッテリを可動子36に設けてもよく、この場合、バッテリを質量体42として利用することも可能である。
【0016】
図3は、処理装置40の機能ブロックを示す。処理装置40は、制御部60、無線通信モジュール80、モーションセンサ82および入力受付部84を備える。無線通信モジュール80は、情報処理装置10の無線通信モジュールとの間でデータを送受信する機能をもつ。制御部60は、入力デバイス20における各種処理を実行し、代表的には質量体42の移動と、振動子44の振動を制御し、筐体22において振動子44が振動する位置を変更可能とする。制御部60は、データ送信部62、制御データ取得部64、モータ制御部66および振動制御部68を有する。
【0017】
モーションセンサ82は、3軸加速度センサおよび3軸ジャイロセンサを有する。3軸加速度センサは、xyzの3軸方向の加速度成分を検出し、3軸ジャイロセンサは、xz平面、zy平面、yx平面における角速度を検出する。たとえばx軸は入力デバイス20の幅方向、y軸は入力デバイス20の高さ方向、z軸は入力デバイス20の長手方向(後端から前端に向かう方向)に設定されてよい。3軸加速度センサおよび3軸ジャイロセンサは、入力デバイス20の筐体22内に配置され、たとえば筐体22内の中央近傍の位置に配置されてよい。モーションセンサ82は、検出したセンサ値をデータ送信部62に供給する。データ送信部62は、所定の周期で、センサデータを、無線通信モジュール80から情報処理装置10に送信する。
【0018】
入力受付部84は、操作ボタン24の操作入力を受け付け、操作データをデータ送信部62に供給する。データ送信部62は、所定の周期で、操作データを、無線通信モジュール80から情報処理装置10に送信する。無線通信モジュール80と情報処理装置10の間の通信周期は、たとえばゲーム画像のフレームレートよりも短く設定されることが好ましい。
【0019】
図4は、情報処理装置10の機能ブロックを示す。情報処理装置10は、処理部100および無線通信モジュール102を備える。処理部100は、取得部110、ゲーム実行部120、運動解析部122、制御データ生成部124および出力処理部130を備え、取得部110は、操作データ取得部112およびセンサデータ取得部114を有する。
【0020】
実施例における情報処理装置10の処理機能は、CPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現され、ここではそれらの連携によって実現される構成を描いている。したがってこれらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者に理解されるところである。
【0021】
無線通信モジュール102は、入力デバイス20の無線通信モジュール80との間でデータを送受信する機能をもつ。無線通信モジュール102は、入力デバイス20から送信される各種データを受信し、取得部110に供給する。取得部110において、操作データ取得部112は、操作ボタン24の操作データを取得して、ゲーム実行部120に供給し、センサデータ取得部114は、モーションセンサ82で検出されたセンサデータを取得して、ゲーム実行部120および運動解析部122に供給する。
【0022】
ゲーム実行部120はゲームプログラムを実行し、操作データ取得部112から供給される操作データおよびセンサデータ取得部114から供給されるセンサデータを処理する。ゲームプログラムは操作データおよび/またはセンサデータにもとづき、仮想空間においてゲームキャラクタを動かす演算処理を行う。ゲーム実行部120は、レンダリング処理などを実行するGPU(Graphics Processing Unit)を含んで、ゲームの画像データを生成し、同時にゲーム音声データを生成する。出力処理部130は、生成されたゲーム画像およびゲーム音声を出力装置12から出力する。
【0023】
運動解析部122は、入力デバイス20のモーションセンサ82で検出されたセンサデータを解析して、入力デバイス20の姿勢、移動速度、姿勢変化の速度などの運動情報を導出する。制御データ生成部124は、導出された運動情報から、入力デバイス20における触覚フィードバックを生成するための制御データを生成する。なお制御データ生成部124は、運動情報以外に、ゲーム実行部120からの指示にもとづいて、制御データを生成してもよい。
【0024】
以下、ユーザがゴルフゲームのゲームコントローラとして入力デバイス20を使用する例を示す。ゴルフゲームでは、ユーザが入力デバイス20をゴルフクラブとして扱う。ゲーム実行部120は、モーションセンサ82が検出したセンサデータから、仮想的なゴルフクラブのスイング軌道およびヘッドスピードを算出して、ゲームキャラクタが仮想的なゴルフクラブをスイングするゲーム画像を生成する。
【0025】
このとき運動解析部122は、モーションセンサ82によるセンサデータを解析して、入力デバイス20の運動を算出する。制御データ生成部124は、入力デバイス20により導出された運動情報および/またはゲーム実行部120により生成される指示にもとづいて、入力デバイス20による触覚フィードバックを生成するための制御データ、具体的には質量体42を移動させる制御データおよび/または振動子44を振動させる制御データを生成する。
【0026】
図5は、バックスイング時のクラブの姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。以下、入力デバイス20において、手で把持する筐体22の後端側を「グリップ側」と呼び、他方の端部である前端側を「先端側」と呼ぶ。
【0027】
図5(a)は、バックスイング開始前のクラブ姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。バックスイング開始前、入力デバイス20は、鉛直下方向を向いている。このとき制御データ生成部124は、質量体42がグリップ側に位置するように制御データを生成し、無線通信モジュール102が制御データを入力デバイス20に送信する。
【0028】
入力デバイス20において、無線通信モジュール80が制御データを受信し、制御データ取得部64が制御データを取得する。モータ制御部66は制御データにもとづいて、質量体42がグリップ側に位置するようにモータ32を制御する。なお情報処理装置10と入力デバイス20の間において、制御データが無線通信モジュール102から無線通信モジュール80に送信されて、制御データ取得部64により取得されるが、以下、この制御データの送受信についての説明は省略する。
【0029】
図5(b)は、バックスイング中のクラブ姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。クラブが水平方向を向いたとき、現実のゴルフプレイヤは、クラブを最も重く感じる。そこで制御データ生成部124は、入力デバイス20が図5(a)に示す姿勢(入力デバイス20が鉛直下方向を向いた姿勢)から水平方向を向くように回転していることを示す運動情報を運動解析部122から取得すると、質量体42がグリップ側から先端側に移動する制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42が先端側に徐々に移動するようにモータ32を制御する。これにより入力デバイス20が水平方向を向いたとき、質量体42が最も先端側に移動し、ユーザは、入力デバイス20を重く感じることになる。なお水平方向に向いた後、制御データ生成部124は、質量体42が先端側からグリップ側に徐々に移動する制御データを生成する。
【0030】
図5(c)は、トップ位置にあるクラブと、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。クラブがトップ位置に移動して、ダウンスイングに切り返す瞬間は、重心バランスが釣り合うため、現実のゴルフプレイヤはクラブを軽く感じる。そこで制御データ生成部124は、運動解析部122から入力デバイス20が停止した(トップ位置に到達した)ことを示す運動情報を取得すると、質量体42が最もグリップ側に移動する制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42がグリップ側に移動するようにモータ32を制御する。
【0031】
図6(a)は、ダウンスイング中のクラブ姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。ダウンスイング中、制御データ生成部124は、入力デバイス20が図5(c)に示す停止状態から逆向きに回転していることを示す運動情報を運動解析部122から取得すると、質量体42がグリップ側から先端側に移動する制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42が先端側に徐々に移動するようにモータ32を制御する。
【0032】
図6(b)は、インパクトの瞬間のクラブと、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。制御データ生成部124は、入力デバイス20が鉛直下方向を向いたことを示す運動情報を運動解析部122から取得すると、質量体42が最も先端側に移動する制御データを生成するとともに、振動子44を振動させる制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42が先端側に移動するようにモータ32を制御するとともに、振動制御部68は、制御データにもとづいて振動子44を振動させる。
【0033】
制御データ生成部124は、ゲームからの指示にもとづいて、振動子44を振動させる制御データを生成する。ゲームは、仮想空間におけるフェースとボールとの当たり方に応じて、振動子44の振動指示を決定してよい。ゲームは、ボールがフェースの芯にあたったときは、心地よい振動を生成させる振動指示を決定し、ボールがフェースの芯を外したときは、ノイズ混じりの不規則な振動を生成させる振動指示を決定して、打感を表現してもよい。入力デバイス20における仮想的なインパクト位置である先端で振動子44による衝撃を発生させることで、ユーザは、リアルに近い感覚を得ることができる。このように実施例の入力デバイス20では、制御部60が、筐体22において振動子44が振動する位置を変更可能であり、任意の位置で衝撃を発生させることができる。
【0034】
図7(a)は、フォロースルーにおけるクラブ姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。フォロースルー時、クラブが水平方向を向くまで、制御データ生成部124は、質量体42が先端側に位置し続ける制御データを生成する。インパクトの瞬間に、ボールがフェースの芯を外している場合、ゲームは、インパクト後も、振動子44を振動させる振動指示を制御データ生成部124に供給してよい。これにより制御データ生成部124は、振動子44を振動させる制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42が先端側に位置するようにモータ32を制御し、振動制御部68が制御データにもとづいて振動子44を振動させる。
【0035】
図7(b)は、フォロースルー終了時のクラブ姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。制御データ生成部124は、運動解析部122から入力デバイス20が停止した(フォロースルーが終了した)ことを示す運動情報を取得すると、質量体42が最もグリップ側に移動する制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42がグリップ側に移動するようにモータ32を制御する。
【0036】
次に、ユーザが釣りゲームのゲームコントローラとして入力デバイス20を使用する例を示す。釣りゲームでは、ユーザが入力デバイス20を釣り竿として扱う。
【0037】
図8は、ユーザがキャスティングするときの入力デバイス20の姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。
図8(a)は、キャスティング開始前の入力デバイス20の姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。キャスティング開始前、制御データ生成部124は、質量体42がグリップ側に位置するように制御データを生成し、無線通信モジュール102が制御データを入力デバイス20に送信する。
【0038】
入力デバイス20において、無線通信モジュール80が制御データを受信し、制御データ取得部64が制御データを取得する。モータ制御部66は制御データにもとづいて、質量体42がグリップ側に位置するようにモータ32を制御する。なお情報処理装置10と入力デバイス20の間において、制御データが無線通信モジュール102から無線通信モジュール80に送信されて、制御データ取得部64により取得されるが、以下、この制御データの送受信についての説明は省略する。
【0039】
図8(b)は、キャスティング中の入力デバイス20の姿勢と、入力デバイス20における質量体42の位置の関係を示す。制御データ生成部124は、入力デバイス20がキャスティングの動きをしていることを示す運動情報を運動解析部122から取得すると、質量体42がグリップ側から先端側に移動する制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42が先端側に移動するようにモータ32を制御する。入力デバイス20の動きが停止したとき、質量体42が最も先端側に移動する。
【0040】
質量体42が最も先端側に移動した後、ゲームは、先端を細かく振動させる振動指示を制御データ生成部124に供給する。これにより制御データ生成部124は、振動子44を振動させる制御データを生成する。入力デバイス20において振動制御部68は、制御データにもとづいて、入力デバイス20の先端に位置する振動子44を振動させる。これによりユーザは、釣り竿の先端から糸がでていく感触を得ることができる。
【0041】
図9(a)は、仕掛けが着水したときの入力デバイス20における質量体42の位置を示す。ゲームは、仕掛けが着水するタイミングで、質量体42をグリップ側に移動させる移動指示を制御データ生成部124に供給する。これにより制御データ生成部124は、質量体42をグリップ側に移動させる制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42がグリップ側に移動するようにモータ32を制御する。このときゲームは、仕掛けが着水したときの衝撃を提示するために、振動子44を振動させる振動指示を制御データ生成部124に供給し、制御データ生成部124が、振動子44を振動させる制御データを生成してもよい。
【0042】
図9(b)は、魚がかかったときの入力デバイス20における質量体42の挙動を示す。ゲームは、魚がかかると、先端を大きく振動させる振動指示を制御データ生成部124に供給する。これにより制御データ生成部124は、質量体42を先端側に移動させる制御データを生成するとともに、振動子44を振動させる制御データを生成する。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42が先端側に移動するようにモータ32を制御し、振動制御部68は、制御データにもとづいて振動子44を振動させる。
【0043】
図9(c)は、釣り糸を巻き上げるときの入力デバイス20における質量体42の挙動を示す。釣り糸の巻き上げ中、ゲームは、魚の引きに合わせて質量体42を前後に移動させる移動指示を制御データ生成部124に供給する。このときゲームは、振動子44を振動させる振動指示もあわせて制御データ生成部124に供給してもよい。入力デバイス20においてモータ制御部66は、制御データにもとづいて質量体42をボールねじ34の中間位置で前後に往復移動させるようにモータ32を制御し、振動制御部68は、制御データにもとづいて振動子44を振動させる。
【0044】
釣りゲームにおいては制御データ生成部124が、ゲームからの移動指示および/または振動指示にもとづいて制御データを生成することで、入力デバイス20が、ゲームの状況に応じた触覚フィードバックをユーザに提供できる。
【0045】
図10は、入力デバイスの内部構造の別の例を示す。図10において操作ボタン24の図示は省略している。入力デバイス20aは、筐体22内に配置される質量体42と、筐体22内に配置される振動子44と、筐体22内で質量体42および振動子44を移動させる移動機構30と、処理装置40とを備える。
【0046】
移動機構30は、質量体42を移動させる第1移動機構30aと、振動子44を移動させる第2移動機構30bとを有する。第1移動機構30aは、モータ32aおよびボールねじ34aを含む直動機構であり、ボールねじ34aの回転により、可動子36aがボールねじ34aの軸線上を移動する。第2移動機構30bは、モータ32bおよびボールねじ34bを含む直動機構であり、ボールねじ34bの回転により、可動子36bがボールねじ34bの軸線上を移動する。
【0047】
図2に示す入力デバイス20との相違点として、入力デバイス20aにおいては、質量体42と振動子44とが、それぞれ別個の移動機構により移動可能とされる。これにより制御部60は、質量体42による重心位置の動的な変化と、振動子44による振動発生位置とを、独立して制御できる。このように制御部60は、筐体22において振動子44が振動する位置を変更可能であり、任意の位置で衝撃を発生させることができる。
【0048】
たとえば野球ゲームにおいて、ユーザは入力デバイス20aをバットとして使用する。ゲームは、ボールが当たったバット上の位置に応じて、振動子44が振動する位置を定めた振動指示を制御データ生成部124に供給する。なおゲームは、振動の振幅等や、振動時間の長さなどを、ボールが当たったバット上の位置に応じて定めてよい。制御データ生成部124は、ゲームにより指定された位置で振動子44を振動させる制御データを生成する。これによりモータ制御部66が、モータ32bを制御して、振動子44を振動位置に移動させ、振動制御部68が、当該位置に移動した振動子44を振動させることができる。
【0049】
図11は、入力デバイスの内部構造の別の例を示す。図11において操作ボタン24の図示は省略している。入力デバイス20bは、筐体22内に配置される質量体42と、筐体22内に配置される複数の振動子44a、44b、44c、44d、44e、44fと、筐体22内で質量体42を移動させる移動機構30と、処理装置40とを備える。移動機構30はモータ32およびボールねじ34を含む直動機構であり、ボールねじ34の回転により、可動子36がボールねじ34の軸線上を移動する。図11に示す構造例で、質量体42が可動子36に固定されており、質量体42は可動子36と一体に移動する。
【0050】
図2に示す入力デバイス20との相違点として、入力デバイス20bにおいては、複数の振動子44a、44b、44c、44d、44e、44fが筐体22の長手方向に異なる位置に取り付けられている。複数の振動子44a、44b、44c、44d、44e、44fを、筐体22の長手方向にほぼ隙間無く設けることで、制御部60は、長手方向の任意の位置を振動させることができる。
【0051】
たとえばソードファイトのゲームにおいて、ユーザは、入力デバイス20をソード(剣)として使用するが、ゲームは、相手の剣が当たった位置に応じて、振動子44の振動位置を定めた振動指示を制御データ生成部124に供給する。なおゲームは、振動の振幅等や、振動時間の長さなどを、相手の剣の威力や、剣の当たった位置等に応じて定めてよい。制御データ生成部124は、ゲームにより指定された位置に設けられた振動子44を振動させる制御データを生成する。これにより振動制御部68は、剣が当たった位置に応じた振動子44を振動させることができる。
【0052】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。上記実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例において振動子44は筐体22内に配置されているが、筐体22の外側に配置されてもよい。
【0053】
実施例において運動解析部122は、ゲームプログラムとは異なる機能部として説明したが、ゲームプログラムにおける一つの機能であってもよい。また運動解析部122は入力デバイス20における制御部60に設けられて、モーションセンサ82のセンサデータを解析してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・情報処理システム、10・・・情報処理装置、20,20a,20b・・・入力デバイス、22・・・筐体、26・・・グリップ部、30・・・移動機構、30a・・・第1移動機構、30b・・・第2移動機構、32,32a,32b・・・モータ、34,34a,34b・・・ボールねじ、36,36a,36b・・・可動子、40・・・処理装置、42・・・質量体、44,44a,44b,44c,44d,44e,44f・・・振動子、60・・・制御部、62・・・データ送信部、64・・・制御データ取得部、66・・・モータ制御部、68・・・振動制御部、80・・・無線通信モジュール、82・・・モーションセンサ、84・・・入力受付部、100・・・処理部、102・・・無線通信モジュール、110・・・取得部、112・・・操作データ取得部、114・・・センサデータ取得部、120・・・ゲーム実行部、122・・・運動解析部、124・・・制御データ生成部、130・・・出力処理部。
図1
図2
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図9
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図11