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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】IoT機器
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240905BHJP
   G08B 21/08 20060101ALI20240905BHJP
   H04L 43/00 20220101ALI20240905BHJP
   H04L 67/00 20220101ALI20240905BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H04Q9/00 311K
G08B21/08
H04L43/00
H04L67/00
H04M11/00 301
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020207064
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022094182
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】巖 憲介
(72)【発明者】
【氏名】本間 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-191100(JP,A)
【文献】特開2015-179952(JP,A)
【文献】特開2021-175115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00-11/10
H04Q9/00-9/16
H04L43/00
H04L67/00
G05B23/00-23/02
G06F13/00
G08B21/00-21/24
F24H15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互に通信する外部サーバに機器状態を示す機器状態値を送信し、前記外部サーバと前記ネットワークを介して相互に通信する情報端末により実行される第一アプリケーションソフトウェアおよび第二アプリケーションソフトウェアに前記機器状態値を提供するIoT機器であって、
前記第一アプリケーションソフトウェアに使用される第一機器状態値と、前記第一アプリケーションソフトウェアおよび前記第二アプリケーションソフトウェアにより使用される第二機器状態値と、を含む前記機器状態値が、変化したか否かを判定する判定部と、
前記第一アプリケーションソフトウェアに前記第一機器状態値および前記第二機器状態値を提供することを要求する第一通知を前記外部サーバより受信する第一受信部と、
前記第二アプリケーションソフトウェアに前記第二機器状態値を提供することを要求する第二通知を前記外部サーバより受信する第二受信部と、
前記判定部が変化したと判定した前記機器状態値が前記第二機器状態値であり、かつ前記第二受信部が前記第二通知を受信したと判定した場合、前記第一通知の受信の有無に関わらず、前記第二機器状態値を前記外部サーバに送信する送信部と、を備えるIoT機器。
【請求項2】
前記第一アプリケーションソフトウェアは、前記IoT機器を提供する事業者から提供されるアプリケーションソフトウェアであり、
前記第二アプリケーションソフトウェアは、前記IoT機器を提供する事業者以外の事業者から提供されるアプリケーションソフトウェアである、請求項1記載のIoT機器。
【請求項3】
前記第一通知は、前記第一アプリケーションソフトウェアが起動している場合に通知され、
前記第二通知は、前記第二アプリケーションソフトウェアが前記IoT機器から前記第二機器状態値を取得する設定がなされた場合に通知される、請求項1または2記載のIoT機器。
【請求項4】
ネットワークを介して相互に通信する外部サーバに機器状態を示す機器状態値を送信し、前記外部サーバと前記ネットワークを介して相互に通信する情報端末の連携先アプリケーションソフトウェアに前記機器状態値を提供するIoT機器であって、
前記連携先アプリケーションソフトウェアは、前記IoT機器を提供する事業者以外の事業者から提供されるアプリケーションソフトウェアであり、
前記IoT機器は、
前記連携先アプリケーションソフトウェアに提供される連携時機器状態値と、前記連携時機器状態値以外の非連携時機器状態値と、を含む前記機器状態値が、変化したか否かを判定する判定部と、
前記連携先アプリケーションソフトウェアが前記IoT機器から前記連携時機器状態値を取得する設定がなされた旨の通知を前記外部サーバより受信する受信部と、
前記判定部が変化したと判定した前記機器状態値が前記連携時機器状態値であり、かつ前記受信部が前記通知を受信したと判定した場合、前記連携時機器状態値を前記外部サーバに送信する送信部と、を備えるIoT機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して外部サーバと情報端末と通信可能なIoT機器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、風呂機能などを備える給湯装置がインターネットを介して外部のサーバなどに接続して、いわゆるIoT(Internet of Things)を利用することにより、スマートフォンなどの情報端末と連携し、ユーザの利便性を高めることが行われている。情報端末は、外出先から給湯装置を遠隔操作したり、使用状況や使用履歴などの情報を閲覧したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-191100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報端末で給湯装置の使用状況などを閲覧する場合、最新の情報が遅延なく情報端末に反映されることが好ましい。しかしながら、頻繁に外部のサーバと通信すると、給湯装置などのIoT機器のデータ通信量および処理負担が増加してしまう。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、負荷の低減およびユーザの使用感を両立できるIoT機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るIoT機器は、上述した課題を解決するために、ネットワークを介して相互に通信する外部サーバに機器状態を示す機器状態値を送信し、前記外部サーバと前記ネットワークを介して相互に通信する情報端末により実行される第一アプリケーションソフトウェアおよび第二アプリケーションソフトウェアに前記機器状態値を提供するIoT機器であって、前記第一アプリケーションソフトウェアに使用される第一機器状態値と、前記第一アプリケーションソフトウェアおよび前記第二アプリケーションソフトウェアにより使用される前記第二機器状態値と、を含む前記機器状態値が、変化したか否かを判定する判定部と、前記第一アプリケーションソフトウェアに前記第一機器状態値および前記第二機器状態値を提供することを要求する第一通知を前記外部サーバより受信する第一受信部と、前記第二アプリケーションソフトウェアに前記第二機器状態値を提供することを要求する第二通知を前記外部サーバより受信する第二受信部と、前記判定部が変化したと判定した前記機器状態値が前記第二機器状態値であり、かつ前記第二受信部が前記第二通知を受信したと判定した場合、前記第一通知の受信の有無に関わらず、前記第二機器状態値を前記外部サーバに送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るIoT機器においては、負荷の低減およびユーザの使用感を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る通信システムの一実施形態を示すシステム構成図。
図2】風呂給湯システムの機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図3】外部サーバの機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図4】情報端末の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図5】風呂給湯システムにより実行される機器状態値送信処理を説明するフローチャート。
図6】変化した機器状態値が起動・連携時情報であり、連携先アプリが連携中である場合の風呂給湯システム、外部サーバ、連携先サーバおよび情報端末間で実行される処理を説明するシーケンス図。
図7】変化した機器状態値が起動時情報であり、専用アプリが起動中である場合の風呂給湯システム、外部サーバ、連携先サーバおよび情報端末間で実行される処理を説明するシーケンス図。
図8】変化した機器状態値がログ等情報である場合の風呂給湯システム、外部サーバ、連携先サーバおよび情報端末間で実行される処理を説明するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るIoT機器の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
本発明に係るIoT機器においては、IoT機器、外部サーバおよび情報端末の間で通信するネットワークに、例えば、インターネットなどの情報通信網を適用できる。IoT機器としては、例えば、宅内に据え付けられる風呂給湯システム、空調システム、床暖房システムなどの住居設備を適用できる。外部サーバとしては、例えば、宅外に配置されネットワークに接続されたクラウドコンピューティングシステムを適用できる。情報端末としては、例えば、宅内および宅外で使用可能なスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどであり、無線または有線でネットワークに接続可能な機器を適用できる。以下の実施形態においては、IoT機器が風呂給湯システムである例を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るIoT機器としての風呂給湯システム10を含む通信システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【0012】
図2は、風呂給湯システム10の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0013】
図3は、外部サーバ30の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0014】
図4は、情報端末40の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0015】
通信システム1は、ネットワーク2を介して通信可能な風呂給湯システム10と、外部サーバ30と、情報端末40と、を備える。通信システム1においては、風呂給湯システム10がネットワーク2に接続して、いわゆるIoT(Internet of Things)を利用することにより、情報端末40と連携する。
【0016】
風呂給湯システム10は、宅内5で使用される。風呂給湯システム10は、外部サーバ30とネットワーク2を介して相互に通信し、主に機器状態を示す機器状態値を送信する。情報端末40は、宅内5および宅外6(外出先)で使用される。情報端末40は、外部サーバ30とネットワーク2を介して相互に通信を行う。情報端末40は、機器状態値に基づいて機器状態を表示する後述するアプリケーションソフトウェア(以下単に「アプリ」という。)を有する。情報端末40は、アプリを用いて風呂給湯システム10の運転の指示や設定の変更を指示したり、風呂給湯システム10の使用状況や使用履歴などの機器情報(機器状態値)を閲覧したりする。
【0017】
以下の説明においては、「宅内5」は、住宅の内部や、住宅の外部であって住宅の敷地内(住宅の外壁周辺など)を含む。「宅外6」は、宅内5以外の場所である。
【0018】
風呂給湯システム10は、給湯ユニット11と、給湯回路や風呂循環回路(図示せず)と、リモコン15と、を主に有する。
【0019】
給湯ユニット11は、貯湯タンクおよびヒートポンプを有する。給湯ユニット11は、給湯回路や風呂循環回路を介して浴室(風呂、浴槽)や台所に温水を供給したり、風呂循環回路を介して浴槽から供給される湯水を加温したりする。図2に示すように、給湯ユニット11は、給湯ユニット制御部12と、給湯ユニット記憶部13と、給湯ユニット通信部14と、を有する。給湯ユニット制御部12は、CPU(Central Processing Unit)を有し、給湯ユニット記憶部13に予め記憶されているプログラムに従って給湯ユニット11を電気的に制御する。給湯ユニット記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、給湯ユニット制御部12の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。給湯ユニット通信部14は、リモコン通信部20と接続され、給湯ユニット11とリモコン15とを双方向に通信可能にする。
【0020】
給湯回路や風呂循環回路は、浴室内の浴槽や、シャワー、カラン、台所のカランなどと接続され、貯湯タンクの湯水を浴室や台所に供給したり、浴槽の湯水を浴槽と貯湯タンクとの間で循環させたりする。給湯回路や風呂循環回路および給湯ユニット11は、温度センサ、流量センサ、水位センサ、などのセンサ類を有する。これらセンサ類から得られる情報は、主に給湯ユニット制御部12に供給され、リモコン15の表示に必要な情報や外部サーバ30が必要とする情報がリモコン制御部16に供給される。
【0021】
リモコン15は、浴室や台所に配置され、ユーザから各種指示を受け付けたり、情報を表示したりする。図2に示すように、リモコン15は、リモコン制御部16と、リモコン記憶部17と、リモコン入力部18と、リモコン表示部19と、リモコン通信部20と、を有する。
【0022】
リモコン制御部16は、CPU(Central Processing Unit)を有し、リモコン記憶部17に予め記憶されているプログラムに従ってリモコン15を制御する。例えば、リモコン制御部16は、リモコン入力部18または情報端末40を介して受け付けるユーザの指示に基づいて制御し、指示を実行する。具体的には、リモコン制御部16は、指示された給湯設定温度や、風呂設定温度、設定湯量などに基づいて給湯運転、風呂自動運転、風呂追いだき運転などを実行する。リモコン制御部16からの指示を受け付けた給湯ユニット制御部12は、センサ類から得られた情報に基づいて各種弁などの作動を制御する。
【0023】
リモコン記憶部17は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、リモコン制御部16の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。リモコン入力部18は、ユーザから指示を受け付ける、例えばボタン類である。リモコン表示部19は、ユーザに情報を表示する、例えばディスプレイである。リモコン通信部20は、有線または無線で他の機器とリモコン15とを通信可能に接続する。具体的には、リモコン通信部20は、上述の通り給湯ユニット通信部14と接続することにより、リモコン15と給湯ユニット11とを通信可能に接続する。また、リモコン通信部20は、ルータ3を介してリモコン15をネットワーク2に接続し、ネットワーク2を介して他の機器と所要の情報を送受信する。
【0024】
ルータ3は、宅内5(リモコン15と通信可能な範囲内)に配置され、ルータ3と接続された風呂給湯システム10および情報端末40をネットワーク2に接続する。ルータ3は、無線LAN(Local Area Network)通信のアクセスポイントとしての機能を有する。なお、風呂給湯システム10および情報端末40は、有線でネットワーク2に接続されてもよい。
【0025】
外部サーバ30は、例えば、いわゆるクラウドコンピューティングを利用して実現され、ネットワーク2を介して風呂給湯システム10や情報端末40と接続される。図3に示すように、外部サーバ30は、サーバ制御部31と、サーバ記憶部32と、サーバ通信部33と、を有する。サーバ制御部31は、CPU(Central Processing Unit)を有し、サーバ記憶部32に予め記憶されているプログラムに従って外部サーバ30を制御する。サーバ記憶部32は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなり、サーバ制御部31の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。特に、サーバ記憶部32は、風呂給湯システム10から送信される風呂給湯システム10の使用状況、使用履歴などからなる機器状態値を適宜記憶する。
【0026】
サーバ通信部33は、外部サーバ30をネットワーク2に接続し、ネットワーク2を介して、風呂給湯システム10および情報端末40と所要の情報を送受信する。
【0027】
情報端末40は、宅内5および宅外6を含むユーザの任意の場所で使用可能な機器である。図4に示すように、情報端末40は、端末制御部41と、端末記憶部42と、端末入力部43と、端末表示部44と、端末通信部45と、移動体通信部46と、を有する。
【0028】
端末制御部41は、CPU(Central Processing Unit)を有し、端末記憶部42に予め記憶されているプログラムに従って情報端末40を制御する。端末記憶部42は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、端末制御部41の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。端末入力部43は、ユーザから指示を受け付ける、例えばタッチパネルやボタン類である。端末表示部44は、ユーザに情報を表示する、例えばディスプレイである。また、端末制御部41は、端末記憶部42に記憶されたプログラムに基づいて、アプリを実行する。
【0029】
情報端末40は、専用アプリ48(第一アプリケーションソフトウェア)と、連携先アプリ49(第二アプリケーションソフトウェア、連携先アプリケーションソフトウェア)と、を実行する。専用アプリ48および連携先アプリ49は、いずれも風呂給湯システム10より提供される所要の機器状態値を受け取り、端末表示部44を介してユーザに提示する。また、専用アプリ48および連携先アプリ49は、端末入力部43を介して受け付けた風呂給湯システム10を遠隔操作するための指示などを、風呂給湯システム10に供給する。
【0030】
専用アプリ48は、例えば、風呂給湯システム10を提供する事業者から提供されるアプリである。専用アプリ48は、端末入力部43を介して受け付けるユーザの指示により、起動し、終了する。また、専用アプリ48は、情報端末40のOS(Operating System)や他のアプリ(いわゆるタスクキラー)などから強制的に終了され得る。なお、アプリの起動中という場合は、端末表示部44上で表示したり端末入力部43で入力を受け付けたりできるフォアグラウンドで動作している場合と、マルチタスク機能によりバックグラウンドで動作している場合とを含む。
【0031】
専用アプリ48は、起動中であるか否かに関する情報を外部サーバ30を介して風呂給湯システム10に通知する。この通知のうち、起動中である旨の通知は、外部サーバ30が、風呂給湯システム10に、専用アプリ48に後述する起動時情報(第一機器状態値)および起動・連携時情報(第二機器状態値)を提供することを要求する通知(第一通知)となる。風呂給湯システム10は、起動中であるか否かに関する通知を受信すると、例えばリモコン記憶部17に起動中であること、またはないことを記憶する。
【0032】
専用アプリ48は、外部サーバ30より機器状態値を受信し使用する。具体的には、専用アプリ48は、起動中である場合には、情報のリアルタイム性が重視される機器状態値(後述する起動時情報など)が変化した場合には、その都度機器状態値を取得する。また、専用アプリ48は、ユーザからの指示(要求)などに基づいて、外部サーバ30に蓄積される、情報のリアルタイム性を重視しない機器状態値(後述するログ等情報)を取得する。
【0033】
連携先アプリ49は、風呂給湯システム10を提供する事業者以外の事業者(連携先アプリ49を運営する事業者)から提供されるアプリであり、例えば、風呂給湯システム10を提供する事業者を含む複数の事業者から種々の情報を収集し、連携先アプリ49を介してユーザに一元的に閲覧させるアプリである。連携先アプリ49は、例えば、複数のスマートホーム機器(IoT機器)を事業者を越えて統合的に管理するプラットフォームアプリである。
【0034】
以下、連携先アプリ49が風呂給湯システム10から機器状態値を取得することを、「連携」という。連携先アプリ49が風呂給湯システム10と連携するための初期設定は、例えば専用アプリ48を介して外部サーバ30との間で行われる。連携の有無に関する情報は、外部サーバ30を介して風呂給湯システム10に通知される。また、連携の有無に関する情報は、連携先サーバ8(後述)にも通知される。連携中である旨の通知は、外部サーバ30が、風呂給湯システム10に、連携先アプリ49に起動・連携時情報(第二機器状態値)を提供することを要求する通知(第二通知)となる。風呂給湯システム10は、連携の有無に関する通知を受信すると、リモコン記憶部17などに連携中であること、またはないことを記憶する。
【0035】
連携先アプリ49は、外部サーバ30とは別途設けられる連携先サーバ8より、機器状態値を受信し使用する。連携先サーバ8は、機器状態値を、外部サーバ30を介して取得する。すなわち、風呂給湯システム10は、連携先アプリ49に提供する機器状態値を連携先サーバ8を介して提供する。連携先サーバ8は、例えば外部サーバ30とほぼ同様の装置構成を有するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0036】
風呂給湯システム10は、機器状態値の一部であって、連携先アプリ49に提供することが予め定められた機器状態値を連携先サーバ8に提供する。連携先アプリ49を運営する事業者は、連携先サーバ8に提供される機器状態値の中から、使用する機器状態値を任意に選択し、任意のタイミングで使用する。連携先アプリ49および連携先サーバ8は、風呂給湯システム10を提供する事業者以外の事業者により管理、運営される。このため、風呂給湯システム10が把握できる連携先アプリ49に関する事項は、限定的である。すなわち、風呂給湯システム10(外部サーバ30)は、機器状態値を連携先サーバ8に提供した後は、どのような機器状態値がどのようなタイミング使用されるのか、また連携先アプリ49が起動中であるか否か、などの情報は持ち得ず、風呂給湯システム10(風呂給湯システム10の事業者)にとっては、連携先アプリ49は統制外である。
【0037】
端末通信部45は、有線または無線で外部サーバ30および連携先サーバ8と情報端末40とを通信可能に接続する。具体的には、端末通信部45は、ルータを介して情報端末40をネットワーク2に接続し、ネットワーク2を介して外部サーバ30および連携先サーバ8と所要の情報を送受信する。端末通信部45が接続されるルータは、宅内5に配置されるルータ3と、宅外6に設置される任意のルータを含む。移動体通信部46は、情報端末40を移動体通信ネットワーク4を介して基地局に接続する。
【0038】
情報端末40の専用アプリ48および連携先アプリ49においては、機器状態値が変化するたびに遅延なく機器状態値に基づく表示が更新されるのがユーザに対しては好ましい。そのためには、風呂給湯システム10において機器状態値が変化するたびに、機器状態値が外部サーバ30に送信される必要がある。しかしながら、データ通信量や通信頻度が増加し、風呂給湯システム10、外部サーバ30および情報端末40の処理負担が増加してしまう。
【0039】
そこで、風呂給湯システム10は、外部サーバ30を介して得られる専用アプリ48および連携先アプリ49の状態、および生成される機器状態値の種類に応じて、外部サーバ30に機器状態値を送信するか否かを判断し、ユーザの使用感と負荷の低減とを両立するようにした。以下、具体的に、風呂給湯システム10により実行される機器状態値送信処理を説明する。
【0040】
図5は、風呂給湯システム10により実行される機器状態値送信処理を説明するフローチャートである。
図6は、変化した機器状態値が起動・連携時情報であり、連携先アプリ49が連携中である場合の風呂給湯システム10、外部サーバ30、連携先サーバ8および情報端末40間で実行される処理を説明するシーケンス図である。
図7は、変化した機器状態値が起動時情報であり、専用アプリ48が起動中である場合の風呂給湯システム10、外部サーバ30、連携先サーバ8および情報端末40間で実行される処理を説明するシーケンス図である。
図8は、変化した機器状態値がログ等情報である場合の風呂給湯システム10、外部サーバ30、連携先サーバ8および情報端末40間で実行される処理を説明するシーケンス図である。
【0041】
この機器状態値送信処理は、風呂給湯システム10の運転中において、繰り返し実行される。なお、以下の説明においては、説明の簡略化のため、リモコン制御部16が、給湯ユニット11を含む風呂給湯システム10の各部を統括的に制御するものとして説明する。
【0042】
ステップS1において、リモコン制御部16(判定部)は、風呂給湯システム10の機器状態値が変化したか否かを判定する。ここで、機器状態値は、3種類の情報を含む。
【0043】
第一機器状態値(非連携時機器状態値)は、専用アプリ48が起動中である場合に専用アプリ48に提供され、専用アプリ48が起動中である場合に使用される機器状態値である。第一機器状態値(以下、「起動時情報」という)は、連携先アプリ49には提供されない。起動時情報は、例えば、風呂の状態(湯はり中、保温中、自動湯張り予約中など)、沸き上げ運転の状態などに関する情報である。
【0044】
第二機器状態値(連携時機器状態値)は、専用アプリ48が起動中である場合に専用アプリ48に提供され、かつ連携先アプリ49が風呂給湯システム10と連携中である場合に連携先アプリ49に提供され得る機器状態値である。第二機器状態値(以下、「起動・連携時情報」という)は、専用アプリ48が起動中である場合および連携先アプリ49が連携中である場合に使用される。起動・連携時情報は、例えば、ユーザの入室・入浴状態(不在、入室中、入浴中)、入室・退室時刻、給湯設定温度、ふろ設定温度、貯湯タンクの貯湯量などに関する情報である。
【0045】
第三機器状態値(非連携時機器状態値)は、起動時情報および起動・連携時情報以外の機器状態値であり、外部サーバ30にログ情報として蓄積される値を含む機器状態値である。第三機器状態値(以下、「ログ等情報」という)は、風呂給湯システム10が定期的(例えば1日に1回や、1時間に1回、1ヶ月に1回など)に収集し、ユーザの使用傾向や使用履歴、また風呂給湯システム10の制御のための分析に使用するための情報である。ログ等情報は、具体的には、沸き上げ運転の時間や回数、1時間毎や1日毎、1カ月毎の給湯使用量などに関する情報である。また、ログ等情報は、専用アプリ48の起動の有無によらずに情報端末40に通知をすることが好ましい緊急性を要する情報である。緊急性を要する情報の一例としては、入浴中の事故を防止するための情報である、所定時間以上(長時間)の入浴の有無である。
【0046】
リモコン制御部16は、機器状態値が変化していないと判定した場合(ステップS1のNO)、機器状態値が変化するまで待機する。一方、リモコン制御部16は機器状態値が変化したと判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、変化した機器状態値が起動時情報であるか否かを判定する。
【0047】
リモコン制御部16は、変化した機器状態値が起動時情報ではないと判定した場合(ステップS2のNO)、ステップS3において、変化した機器状態値が起動・連携時情報であるか否かを判定する。リモコン制御部16は、変化した機器状態値が起動・連携時情報であると判定した場合(ステップS3のYES、図6のステップS15)、ステップS4において、風呂給湯システム10が連携先アプリ49と連携中であるか否かを判定する。
【0048】
ここで、連携中である場合(図6のステップS11)、上述したとおり、連携された旨の通知が連携先サーバ8および外部サーバ30に通知されている(図6のステップS12、S13)ため、外部サーバ30は、連携された旨の通知をさらに風呂給湯システム10(第二受信部、受信部)に通知しており(図6のステップS14)、風呂給湯システム10は、連携された旨をリモコン記憶部17などに記憶している。なお、ステップS11からステップS14は、連携が設定される際に実行される処理であり、図5の機器状態値送信処理が実行されるタイミングとは一致していない。
【0049】
リモコン制御部16(送信部)は、連携中であると判定した場合(ステップS4のYES)、ステップS5において、起動・連携時情報である機器状態値を外部サーバ30に送信する(図6のステップS16)。外部サーバ30は、例えば、専用アプリ48が起動中である場合には、起動・連携時情報を専用アプリ48(情報端末40)に送信する。すなわち、リモコン制御部16は、連携中であれば外部サーバ30に起動・連携時情報を提供し、専用アプリ48が起動中であるか否か(第一通知の受信の有無)については判断しない。外部サーバ30は、専用アプリ48が起動中である場合には、起動・連携時情報を専用アプリ48(情報端末40)に送信する。また、外部サーバ30は、連携先サーバ8にも起動・連携時情報を送信する(図6のステップS17)。外部サーバ30は、起動・連携時情報を受信した時点で連携先サーバ8に起動・連携時情報を送信してもよいし、連携先サーバ8から要求があった時点で連携先サーバ8に起動・連携時情報を送信してもよい。連携先サーバ8は、連携先アプリ49を運営する事業者の任意のタイミングで任意の機器状態値を連携先アプリ49(情報端末40)に送信する(図6のステップS18)。
【0050】
リモコン制御部16は、ステップS2において、変化した機器状態値が起動時情報であると判定した場合(ステップS2のYES、図7のステップS24)、およびステップS4において連携先アプリ49と連携中ではないと判定した場合(ステップS4のNO)、ステップS6において、専用アプリ48が起動中であるか否か判定する。
【0051】
ここで、起動中である場合(図7のステップS21)、上述したとおり、起動中である旨の通知が外部サーバ30に通知されている(図7のステップS22)ため、外部サーバ30は、起動中である旨の通知をさらに風呂給湯システム10(第一受信部)に通知しており(図7のステップS23)、風呂給湯システム10は、起動中である旨をリモコン記憶部17などに記憶している。なお、ステップS21からステップS23は、起動された際に実行される処理であり、図5の機器状態値送信処理が実行されるタイミングとは一致していない。
【0052】
リモコン制御部16は、起動中であると判定した場合(ステップS6のYES)、ステップS5に進み、起動時情報である機器状態値を外部サーバ30に送信する(図7のステップS25)。また、外部サーバ30は、専用アプリ48(情報端末40)に起動時情報を送信する(図7のステップS26)。
【0053】
リモコン制御部16は、ステップS3において、変化した機器状態値が起動・連携時情報ではないと判定した場合、すなわち、変化した機器状態値がログ等情報であると判定した場合(ステップS3のNO、図8のステップS31)、ステップS5に進み、ログ等情報である機器状態値を外部サーバ30および連携先サーバ8に送信する(図8のステップS32、S33)。外部サーバ30は、例えば図8に示すように、専用アプリ48がユーザよりログ等情報を要求する指示を受け付け(ステップS34)、外部サーバ30にログ等情報の要求が送信された場合(ステップS35)に、ログ等情報を専用アプリ48に送信する(ステップS36)。また、連携先サーバ8は、連携先アプリ49がユーザよりログ等情報を要求する指示を受け付け(ステップS37)、連携先サーバ8にログ等情報の要求が送信された場合(ステップS38)に、ログ等情報を連携先アプリ49に送信する(ステップS39)。また、連携先サーバ8に送信されるログ等情報は、連携先アプリ49に送信される以外にも、例えば連携先アプリ49を運営する事業者によって、風呂給湯システム10の使用状況の分析やユーザへの種々のサービスの提供に使用されてもよい。
【0054】
リモコン制御部16は、起動時情報および起動・連携時情報のように、専用アプリ48の起動の有無または連携先アプリ49の連携の有無によらず、ログ等情報を通信抑制の対象とすることなく送信する。一方、リモコン制御部16は、専用アプリ48が起動中ではないと判定した場合(ステップS6のNO)、起動時情報または起動・連携時情報である機器状態値は情報端末40で使用されないため、不要な通信を低減すべく機器状態値を送信することなく、処理を終了する。以上で、機器状態値送信処理は終了する。
【0055】
このような風呂給湯システム10は、負荷の低減とユーザの使用感を両立できる。すなわち、風呂給湯システム10は、機器状態値が変化した場合、常時外部サーバ30に送信することなく、機器状態値が変化したタイミングにおいて専用アプリ48または連携先アプリ49が必要な情報を、必要なタイミングにだけ送信する。その結果、通信システム1は、風呂給湯システム10、外部サーバ30、および情報端末40の通信やそれに伴う処理により発生する負荷を低減でき、またユーザのアプリの使用感も向上できる。
【0056】
すなわち、風呂給湯システム10は、専用アプリ48が必要とする起動時情報は、専用アプリ48が起動していない場合には送信しないことにより、通信負荷などを削減できる。また、風呂給湯システム10は、専用アプリ48および連携先アプリ49が必要とする起動・連携時情報は、連携先アプリ49と連携しておらず、かつ専用アプリ48が起動していない場合には、送信しないことにより、通信負荷などを削減できる。
【0057】
すなわち、専用アプリ48が起動していない場合には、連携先アプリ49との連携の有無を判断することにより、起動・連携時情報の送信の要否を判断する。これにより、風呂給湯システム10の事業者は、統制外である連携先アプリ49(連携先サーバ8)に機器状態値を提供することをサービスとして許容した場合であっても、機器状態値の種類によらずに一律に送信するのではなく、実際に連携先アプリ49と連携中であるか否かを判断するため、判断しない場合に比べて通信負荷などを削減できる。また、風呂給湯システム10は、連携中である場合であっても、リアルタイム性が要求されるものと、そうでないものとを区別して必要な機器状態値のみを送信するため、通信負荷などを低減できる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 通信システム
2 ネットワーク
3 ルータ
4 移動体通信ネットワーク
5 宅内
6 宅外
8 連携先サーバ
10 風呂給湯システム
11 給湯ユニット
12 給湯ユニット制御部
13 給湯ユニット記憶部
14 給湯ユニット通信部
15 リモコン
16 リモコン制御部
17 リモコン記憶部
18 リモコン入力部
19 リモコン表示部
20 リモコン通信部
30 外部サーバ
31 サーバ制御部
32 サーバ記憶部
33 サーバ通信部
40 情報端末
41 端末制御部
42 端末記憶部
43 端末入力部
44 端末表示部
45 端末通信部
46 移動体通信部
48 専用アプリ
49 連携先アプリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8