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特許7550050コップ状容器およびコップ状容器用積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】コップ状容器およびコップ状容器用積層体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240905BHJP
   B65D 3/06 20060101ALI20240905BHJP
   B65D 3/14 20060101ALI20240905BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20240905BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20240905BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20240905BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D3/06 B
B65D3/14 A
B32B15/08 F
B32B15/20
B32B7/022
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020210062
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2021102490
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2019233926
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】株式会社レゾナック・パッケージング
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(72)【発明者】
【氏名】苗村 正
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-117824(JP,A)
【文献】特開2007-210639(JP,A)
【文献】特開2014-097845(JP,A)
【文献】特開2001-073104(JP,A)
【文献】特開平09-025546(JP,A)
【文献】特開2014-037265(JP,A)
【文献】特開平03-215645(JP,A)
【文献】特開平02-274833(JP,A)
【文献】特開平04-074844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 3/00-3/14
B32B 15/08-15/20
B32B 7/022
C22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することによりテーパ筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器であって、
胴体用ブランクが、金属箔層と、金属箔層の両面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、紙層を有しておらず、胴体用ブランクの両端縁部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されており、
底体用ブランクが、金属箔層と金属箔層の両面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、紙層を有しておらず、胴体の下端部の内面および底体の垂下部の外面がこれらの面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されており、
胴体が、その下端開口縁部から底体の垂下部を包み込むように内方に折り返されて上方にのびる折り返し部をさらに有しており、胴体の折り返し部および底体の垂下部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されており、
胴体用ブランクおよび底体用ブランクの金属箔層が、それぞれ引張強さ:60~370MPa、0.2%耐力:25~370MPa、厚さ:40~200μmのアルミニウム箔よりなる、コップ状容
【請求項2】
前記アルミニウム箔が、質量比でSi:0.02~0.5%、Fe:0.05~1.7%、Cu:0.01~0.3%、Mn:1.5%以下、Mg:100ppm以下、Al:95%以上を含有している、請求項1のコップ状容
【請求項3】
前記アルミニウム箔が、加工硬化したものである、請求項1または2のコップ状容
【請求項4】
前記アルミニウム箔が、接着剤層を介して、前記熱融着性樹脂層を構成するフィルムに積層されている、請求項1~3のいずれか1つのコップ状容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばアイスクリームやヨーグルトのような食品や飲料等を内容物とするコップ状容器および同容器の材料として用いられる積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばアイスクリームやヨーグルト等の半固形状乳製品を充填包装するための容器として、紙製のコップ状容器、すなわち紙コップが一般に用いられている。
紙コップは、通常、それぞれ所定形状にカットされた紙製ブランクよりなる胴体と底体とを接合一体化することにより形成されている。より詳細には、胴体は、略扇形の胴体用ブランクの両端縁部どうしをオーバーラップさせて接合することにより筒状に成形するとともに、下端開口縁部に内方に折り返された折り返し部を形成し、上端開口縁部に外方にカールされたフランジ部を形成してなる。底体は、略円形の底体用ブランクをその外周部に垂下部が形成されるようにスカート成形してなる断面略逆U形のものである。そして、底体の垂下部が胴体の折り返し部に包み込まれて接合されることにより、胴体および底体が一体化されている。
胴体用および底体用の各ブランクは、例えば、一般原紙、耐酸紙、コート紙等よりなる紙層と、紙層の片面または両面に積層されたポリエチレン(PE)層とを有する積層体よりなる(例えば下記の特許文献1参照)。
【0003】
また、上記各ブランクの材料として、紙層およびポリエチレン(PE)層に加えてアルミニウム箔等よりなるバリア層を積層してなる積層体を使用した紙コップも知られている(例えば下記の特許文献2参照)。
【0004】
その他、アイスクリーム、ヨーグルト等の容器として、ポリプロピレン(PP)等のプラスチック成形体よりなるものも知られている(例えば下記の特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭58-30955号公報
【文献】特開2007-210639号公報
【文献】特開2007-176505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、紙コップは、生産性に優れ、安価に製造することが可能である反面、バリア性が低く、内容物の長期保存には適していなかった。
アルミニウム箔等のバリア層が付加された紙コップの場合、内容物の長期保存性は向上するが、紙層の端面から水が侵入しやすく、レトルト殺菌を行うことができなかった。
また、プラスチック製の容器の場合、製造設備のコストが高くつく上、内容物の長期保存には適していなかった。
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明者は、胴体用ブランクおよび底体用ブランクそれぞれの材料として、金属箔層とその両面のうち少なくとも一方の面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体を使用したコップ状容器を先に提案した(特願2019-106125号)。
上記のコップ状容器によれば、紙コップの製造設備を利用して安価に製造可能であって、内容物の長期保存性に優れており、アセプティック殺菌やレトルト殺菌を行うこともできる。
【0008】
ここで、上記のコップ状容器の場合、容器として要求される強度や、コップ状に成形するための成形性を確保するために、胴体用ブランクおよび底体用ブランクの材料となる積層体の構成が重要になると考えられる。
この発明の目的は、紙コップの製造設備を利用して安価に製造可能であって、内容物の長期保存性に優れており、アセプティック殺菌やレトルト殺菌も可能なコップ状容器として、その材料構成をより適正化することにより、強度や成形性に優れたものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0010】
1)胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器において、胴体用ブランクおよび底体用ブランクそれぞれの材料として用いられる積層体であって、
金属箔層と、金属箔層の両面のうち少なくとも一方の面に積層された熱融着性樹脂層とよりなり、
金属箔層が、引張強さ:60~370MPa、0.2%耐力:25~370MPa、厚さ:40~200μmのアルミニウム箔よりなる、コップ状容器用積層体。
【0011】
2)アルミニウム箔が、質量比でSi:0.02~0.5%、Fe:0.05~1.7%、Cu:0.01~0.3%、Mn:1.5%以下、Mg:100ppm以下、Al:95%以上を含有している、上記1)のコップ状容器用積層体。
【0012】
3)アルミニウム箔が、加工硬化したものである、上記1)または2)のコップ状容器用積層体。
【0013】
4)胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器であって、
胴体用ブランクが、金属箔層と、金属箔層の両面のうち少なくとも胴体の内側となる面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、胴体用ブランクの両端縁部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されており、
底体用ブランクが、金属箔層と金属箔層の両面のうち少なくとも底体の上側となる面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、胴体の下端部の内面および底体の垂下部の外面がこれらの面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されており、
胴体用ブランクおよび底体用ブランクそれぞれを形成している積層体が、上記1)~3)のいずれか1つのコップ状容器用積層体よりなる、コップ状容器。
【発明の効果】
【0014】
上記1)のコップ状容器用積層体によれば、金属箔層が上記の引張強度、0.2%耐力および厚さを有するアルミニウム箔よりなるので、同積層体を胴体用ブランクおよび底体用ブランクの材料として用いることにより、強度および成形性に優れたコップ状容器を製造することができる。
ここで、「引張強さ」および「0.2%耐力」は、JIS Z2241-2011に規定された、5号試験片を使用した、圧延方向に並行方向の引張試験によるものである。
【0015】
上記2)のコップ状容器用積層体によれば、金属箔層と熱融着性樹脂層との接着性が向上するため、デラミネーションの発生が抑制される。
【0016】
上記3)のコップ状容器用積層体によれば、金属箔層として加工硬化された前記アルミニウム箔が使用されることにより剛性がより一層高められるので、同積層体を材料とする胴体用ブランクおよび底体用ブランクにより形成されたコップ状容器は、その胴体に凹み等の変形が発生し難く、保形性に優れている。
【0017】
上記4)のコップ状容器によれば、胴体用ブランクおよび底体用ブランクの材料として上記1)~3)のいずれかの積層体が用いられることにより、強度および成形性に優れたものとなされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施形態に係るコップ状容器の斜視図である。
図2図1のII-II線に沿う垂直断面図であって、同図中、一点鎖線Aで囲まれた部分は一点鎖線aで囲まれた部分を拡大して示したものであり、一点鎖線Bで囲まれた部分は一点鎖線bで囲まれた部分を拡大して示したものである。
図3】(a)は胴体用ブランクの材料とされる積層体の層構造を示す拡大断面図であり、(b)は底体用ブランクの材料とされる積層体の層構造を示す拡大断面図である。
図4】上記コップ状容器における胴体のオーバーラップ部を拡大して示す水平断面図である。
図5】(a)は胴体用ブランクの平面図であり、(b)は胴体用ブランクから成形された胴体の斜視図である。
図6】(a)は底体用ブランクの平面図であり、(b)は底体用ブランクから成形された底体の斜視図である。
図7】上記コップ状容器の製造工程の一部を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図1図7を参照して説明する。
なお、以下の説明において、「上下」は、コップ状容器、胴体、底体における上下(例えば図2,7の各上下)をいうものとし、また、「内」は、コップ状容器、胴体、底体における中心に近い側(例えば図4の上、図7の右)をいい、「外」は、コップ状容器、胴体、底体における中心から遠い側(例えば図4の下、図7の左)をいうものとする。
【0020】
図1および図2は、この発明の実施形態のコップ状容器(1)の全体構成を示すものであって、同容器(1)は、胴体用ブランク(20A)から成形された胴体(2)と、底体用ブランク(30A)から成形された底体(3)とを接合一体化してなる。
胴体(2)は、テーパ筒状のものであって、図5に示すように、扇形をした胴体用ブランク(20A)の両端縁部どうしをオーバーラップさせて接合することにより成形されている。したがって、胴体(2)には、その高さ方向に沿ってのびるオーバーラップ部(21)が存在する。
胴体(2)の下端開口縁部には、内方に折り返された折り返し部(22)が形成されている。
また、胴体(2)の上端開口縁部には、外方に折り曲げられたフランジ部(23)が設けられている。フランジ部(23)は、下方に折り返されてほぼ水平な2つ折りの偏平状に成形されている。なお、フランジ部は、図示以外の形態、例えば、3つ折りの偏平状に成形された形態や、下方にカールさせられて横断面略円弧状に成形された形態であってもよい。
底体(3)は、円形をした水平な底部(31)と、底部(31)の外周縁部から下方にのびた垂下部(32)とを有する断面略逆U形のものであって、図6に示すように、円形の底体用ブランク(30A)を絞り成形してなる。
そして、底体(3)の垂下部(32)の外面が胴体(2)の下端部(2a)の内面に接合されるとともに、胴体(2)の折り返し部(22)が垂下部(32)の内面に接合されることにより、胴体(2)および底体(3)が一体化されている(図2および図7参照)。
なお、図示は省略したが、胴体(2)の下端開口縁部に折り返し部(22)を形成せず、胴体(2)の下端部(2a)内面に底体(3)の垂下部(32)外面が接合されるのみの連結構造によって、胴体(2)と底体(3)とを一体化した構成とすることもできる。この構成によれば、底体(3)の成形時に垂下部(32)に若干のシワが発生していた場合でも、空気等を混入することなく、胴体(2)の下端部(2a)と底体(3)の垂下部(32)とを確実にシールすることができる。
また、胴体は、胴体用ブランク(20A)の両端縁部どうしを合掌状に重ね合わせて、これらの重なり合う面を構成している内側熱融着性樹脂層(202)どうしを熱融着して接合した態様のもの(図示略)であってもよい。この態様の場合、胴体用ブランク(20A)の外側熱融着性樹脂層(203)は省略することも可能である。また、この態様の場合、胴体の合掌部を一方の側に折り曲げて、胴体の外面に熱融着させるのが好ましい。これにより、胴体(2)を手で持つ際や、容器(1)に充填された液体を胴体(2)の上端開口縁部から飲用する際にも邪魔にならなくなる。
【0021】
胴体用ブランク(20A)は、図3(a)に示すように、金属箔層(201)と、金属箔層(201)の両面のうち胴体(2)の内側となる面に積層された熱融着性樹脂層(202)と、金属箔層(201)の両面のうち胴体(2)の外側となる面に積層された外側熱融着性樹脂層(203)とよりなる積層体(20)から形成されており、紙層を有していない。
また、底体用ブランク(30A)も、図3(b)に示すように、金属箔層(301)と、金属箔層(301)の両面のうち底体(3)の上側となる面に積層された上側熱融着性樹脂層(302)と、金属箔層(301)の両面のうち底体(3)の下側となる面に積層された下側熱融着性樹脂層(303)とよりなる積層体(30)から形成されており、紙層を有していない。なお、胴体(2)の下端開口縁部に折り返し部(22)を形成せず、胴体(2)の下端部(2a)内面に底体(3)の垂下部(32)外面が接合されるのみの連結構造とする場合には、底体用ブランク(30A)の下側熱融着性樹脂層(303)を省略することも可能である。
各積層体(20)(30)の厚さは、250μm未満とするのが好ましく、200μm未満とするのがより好ましい。各積層体(20)(30)の厚さを上記範囲とすることによって、ブランクの材料として厚さ250~400μm程度の積層体を使用する紙コップのように、胴体(2)のフランジ部(23)のうちオーバーラップ部(21)によって構成されている部分の段差が大きくなりすぎることや、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(32)との接合が安定しない、といった問題が確実に回避される。
【0022】
金属箔層(201)(301)は、内容物をガス、水蒸気、光等から保護するためのバリア層として機能するものである。
この発明において、金属箔層(201)(301)を構成する金属箔には、引張強さ:60~370MPa(好ましくは70~200MPa)、0.2%耐力:25~370MPa(好ましくは30~200MPa)、厚さ:40~200μm(好ましくは70~160μm)のアルミニウム箔が用いられる。アルミニウム箔の引張強さおよび0.2%耐力を上記範囲とすることで、成形加工性を損なわない範囲で容器として要求される十分な強度が得られる。また、アルミニウム箔の厚さを上記範囲とすることで、十分なバリア性と成形加工性を得ることができる。
上記アルミニウム箔は、好ましくは、質量比でSi:0.02~0.5%、Fe:0.05~1.7%、Cu:0.01~0.3%、Mn:1.5%以下、Mg:100ppm以下、Al:95質量%以上を含有するものとなされる。特に、Mgの含有量を100ppm以下(好ましくは10ppm以下)とすることで、金属箔層(201)(301)と熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)との接着性が高められ、デラミネーションの発生が効果的に抑制される。
具体的には、例えば、JIS H4140で分類されるA8000系(A8079H、A8021H等)、A1000系(A1060H、A1100H等)、A3000系(A3004H等)のアルミニウム箔が用いられる。
また、上記アルミニウム箔として、好ましくは、加工硬化された硬質材(質別:H)が用いられる。これにより、積層体(20)(30)の剛性がより一層高められ、容器の胴体に凹み等の変形が生じ難くなる。但し、上記アルミニウム箔として、軟質材(質別:O)を用いてもよく、その場合、優れた成形加工性が得られる。
【0023】
金属箔層(201)(301)を構成する上記アルミニウム箔の両面には、必要に応じて、化成処理などの下地処理を行う。具体的には、例えば、脱脂処理を行ったアルミニウム箔の表面に、
1)リン酸と、
クロム酸と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
2)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
3)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
上記1)~3)のうちのいずれかの水溶液を塗工した後、乾燥することにより、化成処理を施して、皮膜を形成する。
上記化成処理により金属箔層(201)(301)表面に形成される皮膜は、クロム付着量(片面当たり)を0.1mg/m~50mg/mとするのが好ましく、特に、2mg/m~20mg/mとするのが好ましい。
なお、アルミニウム箔として軟質材を使用する場合には、化成処理の前処理として、必ずしも脱脂処理を行うことを要しない。
【0024】
熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)は、容器(1)の内外面を構成するものであって、金属箔層(201)(301)を保護するとともに、積層体(20)(30)に成形性を付与する役割を担うものであり、また、胴体用ブランク(20A)の両端縁部どうしの接合や、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(32)との接合の際に熱融着層として機能するものである。
熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)は、通常、例えば、熱融着性を有するポリプロピレン(PP)フィルムやポリエチレン(PE)フィルム等の汎用性を有するポリオレフィン系フィルム、または、これらを貼り合わせた複合フィルムによって構成されるが、とりわけ、耐熱性や絞り成形性に優れている無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)が好適である。なお、熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)は、上記フィルムに代えて、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル、エポキシ樹脂やシェラック樹脂等のコート層により形成されていてもよい。
熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)の厚さは、5~80μmとするのが好ましく、10~60μmがより好ましい。熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)の厚さを上記範囲とすることによって、胴体用ブランク(20A)の両端縁部どうしの接合部や、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(32)との接合部において十分な接着強度を得ることができると共に、胴体(2)のフランジ部(23)上面のうちオーバーラップ(21)によって構成されている部分の段差を緩やかにすることができ、蓋材で封緘した際の密封性が良好となる。
【0025】
金属箔層(201)(301)を構成するアルミニウム箔と、熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)を構成するフィルムとの積層は、例えば、接着剤層(図示略)を介してドライラミネート法により行われる。接着剤層には、例えば、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン系接着剤が用いられる。
上記の接着剤層の存在により、例えば胴体(2)のオーバーラップ部(21)において、胴体用ブランク(20A)の両端縁部の熱融着性樹脂層(202)(203)が熱融着により減肉した場合でも、金属箔層(201)どうしが接触するのが回避されるので、シール性が保持される。また、上記の接着剤層があれば、熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)を透過する内容物が容器(1)に充填される場合であっても、金属箔層(201)(301)が腐食して内容物が漏れ出すのを回避することができる。
【0026】
なお、胴体用ブランク(20A)を構成する積層体(20)と、底体用ブランク(30A)を構成する積層体(30)とは、通常、同一のものが用いられるが、材質および/または厚さの異なるものとしてもよい。
【0027】
次に、上記積層体(20)(30)を使用して、コップ状容器(1)を形成する方法の一例を説明する。
まず、積層体(20)を所定サイズの扇形に打ち抜いて、胴体用ブランク(20A)を形成する(図5(a)参照)。
また、積層体(30)を所定サイズの円形に打ち抜いて、底体用ブランク(30A)を形成し(図6(a)参照)、このブランク(30A)を、金型(図示略)を用いて絞り成形加工することにより、底部(31)および垂下部(32)よりなる横断面略逆U形の底体(3)を成形する(図6(b)参照)。得られた底体(3)には、シワが生じていない。また、底体(3)の外面における底部(31)と垂下部(32)との間のコーナー部分は、角が出ている。
そして、略円錐台形の金型(図示略)の頂面に、底体(3)をその底部(31)上面が重なるようにセットしておいてから、上記金型の外周面に胴体用ブランク(20A)を巻き付けて、その両端縁部どうしをオーバーラップさせた後、同両端縁部の互いに重なり合う面を構成している内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)を熱融着させることにより、テーパ筒状の胴体(2)を成形する(図5(b)参照)。胴体用ブランク(20A)の両端縁部の熱融着は、通常、熱板を用いたヒートシールによって行われるが、高周波シールや超音波シール等によって行われてもよい。
ここで、ヒートシールは、例えば、内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)が無延伸ポルプロピレンフィルム(CPP)よりなる場合、シール温度:160~220℃、荷重:80~200kgf、シール時間:1~5秒の条件下で行われるのが好ましい。また、内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)がポリレチレンフィルム(PE)よりなる場合、シール温度:140~220℃、荷重:80~200kgf、シール時間:1~5秒の条件下で行われるのが好ましい。つまり、ヒートシールの場合、オーバーラップさせた胴体用ブランク(20A)の両端縁部の両側から、熱融着性樹脂層(202)(203)を構成する樹脂の融点よりも20~40℃高い温度で加熱しながら行うのが好ましい。
また、高周波シールは、例えば、出力:0.5~1.5kW、シール時間:3~5秒、コイルとの距離:0.5~15mm、荷重:100~200kgfの条件下で行われるのが好ましい。
次に、図7に示すように、胴体(2)の下端開口縁部を内側に折り返して、その折り返し部(22)を円盤状の回転金型(図示略)によって底体(3)の垂下部(32)に押し付けた後、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(32)との互いに重なり合う面を構成している内側熱融着性樹脂層(202)と上側熱融着性樹脂層(302)および下側熱融着性樹脂層(303)とを熱融着させることにより、胴体(2)と底体(3)とを接合一体化させる。これらの熱融着性樹脂層(202)(302)(303)どうしの熱融着も、通常、熱板等を用いたヒートシールによって行うが、その他、高周波シールや超音波シール等により行ってもよい。ヒートシールおよび高周波シールを行う際の好適な条件は、胴体(2)のオーバーラップ部(21)の熱融着の場合と同じである。
また、胴体(2)の上端開口縁部を、所定のカール成形金型(図示略)を用いて外方にカールさせるとともに上下方向に加圧して2つ折りの偏平状に成形することにより、フランジ部(23)を形成する(図7参照)。
こうして、図1および図2に示すコップ状容器(1)が得られる。
【0028】
図4を参照して、コップ状容器(1)の胴体(2)のオーバーラップ部(21)において、胴体用ブランク(20A)の両端縁部の互いに熱融着された内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)の合計厚さ(T1)が8~150μmであるのが好ましく、より好ましくは16~80μmとなされる。上記合計厚さ(T1)が8μm未満であると、オーバーラップ部(21)のシール性が不十分となるおそれがある。一方、上記合計厚さ(T1)が150μmを超えると、オーバーラップ部(21)のバリア性が損なわれるおそれがある。
また、胴体(2)のオーバーラップ部(21)において、胴体用ブランク(20A)の両端縁部の金属箔層(201)(201)どうしの厚さ方向から見た重なり幅(W1)が2~10mmであるのが好ましく、より好ましくは4~8mmとなされる。上記重なり幅(W1)が2mm未満であると、オーバーラップ部(21)のバリア性が損なわれるおそれがあり、また、シール幅が小さくなりすぎてシール性が不十分となるおそれがある。一方、上記重なり幅(W1)が10mmを超えると、必要以上にオーバーラップ部(21)の幅が大きくなってコストアップにつながり、さらに、オーバーラップ部(21)の内側部分(胴体用ブランク(20A)の一方の端縁部)と外側部分(胴体用ブランク(20A)の他方の端縁部)とにかかる応力の相違に起因して、オーバーラップ部(21)の内側部分にシワが入るなどの外観不良が発生するおそれがある。
また、胴体用ブランク(20A)の両端縁部どうしを合掌状に重ねて接合する態様の場合、胴体(2)の合掌部の幅(重なり代)は、好適には5~20mm、より好適には10~18mmとなされる。上記幅が5mm未満であると、合掌部のシール作業が困難になるおそれがある。一方、上記幅が20mmを超えると、必要以上に合掌部の幅が大きくなってコストアップにつながり、さらに、合掌部を胴体(2)の外面と重なるように一方の側に折り曲げて同外面に接合する際に合掌部にシワが入るなどの外観不良が発生するおそれがある。
【0029】
さらに、図4に示すように、胴体(2)の内側に位置する胴体用ブランク(20A)の内側端面が、胴体用ブランク(20A)の両端縁部の互いに重なり合う面を構成している内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)を熱融着する際に形成された内側樹脂溜まり部(R1)によって被覆されているのが好ましい。また、図示は省略したが、胴体(2)の外側に位置する胴体用ブランク(20A)の外側端面も、胴体用ブランク(20A)の両端縁部の互いに重なり合う面を構成している内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)を熱融着する際に形成された外側樹脂溜まり部によって被覆されていてもよい。
上記の内側樹脂溜まり部(R1)および外側樹脂溜まり部は、胴体用ブランク(20A)のオーバーラップされた両端縁部どうしを熱融着する際、これらの互いに重なり合う面を構成している内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)の一部が溶融し、溶融した樹脂が、熱融着時の加圧力によってオーバーラップ部(21)の幅方向に押し出されることにより形成される。また、内側樹脂溜まり部(R1)は、胴体用ブランク(20A)の内側端面を構成する内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)や、内側端面に近接する内側熱融着性樹脂層(202)の一部が溶融した樹脂によっても形成され、外側樹脂溜まり部は、胴体用ブランク(20A)の外側端面を構成する内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)や、外側端面に近接する外側熱融着性樹脂層(203)の一部が溶融した樹脂によっても形成されると考えられる。
これらの樹脂溜まり部(R1)は、例えば、熱融着時のシール条件(シール温度、加圧力、シール時間、シール範囲等)を制御したり、胴体用ブランク(20A)の構成等を適宜設定したりすることによって形成することができる。
【0030】
この実施形態のコップ状容器(1)によれば、以下のような効果が奏される。
a)胴体用ブランク(20A)および底体用ブランク(30A)のそれぞれが、金属箔層(201)(301)およびその両面に積層された熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)よりなる積層体(20)(30)から形成されているので、紙コップの製造設備を利用して安価に製造することができる。
b)各ブランク(20A)(30A)の材料とされる積層体(20)(30)が金属箔層(201)(301)を有しているので、内容物の長期保存性に優れている。
c)紙コップと比べて胴体用ブランク(20A)の厚さが小さくなるため、胴体(2)のフランジ部(23)上面のうちオーバーラップ部(21)によって構成されている部分の段差を小さくすることができ、したがって、容器(1)のフランジ部(23)上面に蓋材をシールする際にシール不良が起こりにくい。また、アセプティック(無菌)充填を行う場合に、フランジ部(23)上面の上記段差に殺菌液が残りにくくなる。
d)底体(3)が底体用ブランク(30A)を絞り成形してなるので、底体(3)にシワが発生せず、したがって、従来の紙コップのように底体(3)の垂下部(32)と胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)との接合不良が生じたり、バリア性の低下を招いたりするおそれがない。
e)紙コップと比べて胴体用ブランク(20A)および底体用ブランク(30A)の厚さが小さくなるため、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(32)とを安定的に接合することができる。
f)紙コップと比べて底体(3)の外面における底部(31)と垂下部(32)との間のコーナー部分の曲率半径(アール)を小さくすることができるので、アセプティック(無菌)充填を行う場合に、コップ状容器(1)の底体(3)上面と胴体(2)内面との境界部分に殺菌液が残りにくくなる。
g)各ブランク(20A)(30A)の材料とされる積層体(20)(30)が紙層を有しないものであるので、レトルト殺菌を支障なく行うことができる。
h)各ブランク(20A)(30A)の材料とされる積層体(20)(30)の金属箔層(201)(301)が、所定範囲の引張強さ、0.2%耐力および厚さを有するアルミニウム箔によって構成されているので、優れた強度および成形性を有している。また、アルミニウム箔の特定の組成により、金属箔層(201)(301)と熱融着性樹脂層(202)(203)(302)(303)との接着性が向上し、デラミネーションの発生が抑制される。さらに、金属箔(201)(301)層として加工硬化されたアルミニウム箔を使用した場合、各ブランク(20A)(30A)の剛性がさらに高められるので、コップ状容器(1)の胴体(2)に凹み等の変形が発生し難く、保形性に優れている。
i)胴体(2)のオーバーラップ部(21)において、胴体(2)の内側に位置する胴体用ブランク(20A)の内側端面が、胴体用ブランク(2)の両端縁部の熱融着性樹脂層(202)(203)どうしを熱融着する際に形成された内側樹脂溜まり部(R1)によって被覆されている場合には、内容物に晒されることがないので、同内側端面のデラミネーションや腐食による劣化が効果的に抑制され、また、衛生面でも好ましい。また、胴体(2)のオーバーラップ部(21)において、胴体(2)の外側に位置する胴体用ブランク(20A)の外側端面が、胴体用ブランク(2)の両端縁部の熱融着性樹脂層(202)(203)どうしを熱融着する際に形成された外側樹脂溜まり部によって被覆されている場合には、同外側端面のデラミネーションや腐食による劣化が効果的に抑制される。
【実施例
【0031】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
<コップ状容器用積層体の作製>
まず、以下の表1および表2に示す実施例1~8および比較例1~3のアルミニウム箔を用意した。
ここで、表1中、合金番号はJIS H4140に規定されたものを示しており、各成分の含有量(質量比)を示す数字のうち「0」は検出限界以下であることを示している。また、表2中、質別のカッコ内はJIS H0001に規定された質別記号を示している。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
上記実施例1~8および比較例1~3の各アルミニウム箔の化成処理が施された両面に、それぞれ2液硬化型ウレタン系接着剤を約3g/m塗布して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をドライラミネートした。
そして、接着剤を硬化させるために所定のエージング処理を行うことにより、コップ状容器用積層体を得た。
【0036】
<コップ状容器の作製>
そして、得られた各積層体を所定形状に打ち抜いて、胴体用ブランクおよび底体用ブランクを成形した(図3,4参照)。
次いで、胴体用ブランクおよび底体用ブランクを用いて、前述した実施形態と同一の工程により、図1および図2に示すコップ状容器を作製した。
得られたコップ状容器は、厚さ30~250μmのアルミニウム箔を使用しているので、酸素や水蒸気の透過がほとんど無い、バリア性の良好な容器である。
尚、コップ状容器の寸法は下記の通りとした。
・コップ状容器上部の開口部の内径:65mm
・コップ状容器下部の内径:50mm
・フランジ部の幅:4mm
・コップ状容器の高さ:95mm
・コップ状容器の脚部(折り返し部(22))の高さ:6mm
・胴体のオーバーラップ部の幅(重なり代):8mm
【0037】
<コップ状容器の成形性・保形性および積層体のラミネート強度の検証>
上記実施例1~8および比較例1~3のアルミニウム箔を使用した積層体を材料として形成した各コップ状容器について、以下の要領で成形性、保形性およびラミネート強度の検証を行った。
【0038】
まず、コップ状容器の成形性については、(1)底体の垂下部の表面に成形に伴うシワが生じていないか、(2)胴体の2つ折りされた偏平状のフランジ部の成形が良好に行われているか、(3)胴体の折り返し部全体が底体の垂下部内面に沿って熱融着されているか、の3つの項目を目視で観察した。
そして、3つの項目を全て満たしている場合を「〇」とし、1つでも項目を満たしていない場合を「×」とする判定基準に基づいて評価した。
【0039】
保形性については、10名のモニターに、200ccの水を入れて台の上に置いた各コップ状容器を、台から20cmの高さまで素手で持ち上げてもらい、10秒間保持した後で台に戻した時の各コップ状容器の胴体の外観を目視で観察した。
そして、各容器の胴体に凹みが発生したモニターの人数が0~1人である場合を「〇」とし、2~4人である場合を「△」とし、5人以上である場合を「×」とする判定基準に基づいて評価した。
【0040】
ラミネート強度については、まず、上記実施例1~8および比較例1~3の各アルミニウム箔を使用して得られた各コップ状容器用積層体から、幅15mm×長さ150mmの試験体を切り出し、この試験体の長さ方向の一端から10mm内方に入った位置までの領域においてアルミニウム箔と一方のCPPフィルムとの間で剥離させた。
次いで、各試験体に対して、オートクレーブにて120℃×30分の条件でレトルト処理を行い、レトルト処理後のアルミニウム箔とCPPフィルムとの間の剥離強度を、以下の方法で測定した。すなわち、JIS K6854-3(1999年)に準拠して、島津製作所製ストログラフ(AGS-5kNX)を使用して、一方のチャックでアルミニウム箔の一端部を挟着固定し、他方のチャックで前記CPPフィルムの剥離した一端部を挟着固定して、引張速度100mm/分でT型剥離させた時の剥離強度を測定し、この測定値が安定した時点での値を「ラミネート強度(N/15mm幅)」とした。
そして、測定結果が5N/15mmより強い場合を「〇」とし、1~5N/mmの場合を「△」とし、1N/mm未満の場合を「×」とする判定基準に基づいて評価した。
【0041】
各項目についての評価結果を、以下の表3にまとめて示す。
【0042】
【表3】
【0043】
上記表3から明らかなように、実施例1~3,5,7,8では、全ての項目について良好な結果を示しており、また、実施例4,6も、一部の項目が「△」であるが、概ね良好な結果を示している。
一方、比較例1~3の場合、少なくともいずれかの項目で不良な結果を示している。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明は、例えば流動状食品や飲料等を内容物とするコップ状容器として好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
(1):コップ状容器
(2):胴体
(2a):胴体の下端部
(21):オーバーラップ部
(23):フランジ部
(20A):胴体用ブランク
(20):積層体
(201):金属箔層
(202):内側熱融着性樹脂層
(203):外側熱融着性樹脂層
(3):底体
(31):底部
(32):垂下部
(30A):底体用ブランク
(30):積層体
(301):金属箔層
(302):上側熱融着性樹脂層
(303):下側熱融着性樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7