(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ICタグ
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20240905BHJP
G06K 19/02 20060101ALI20240905BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240905BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G06K19/077 156
G06K19/077 144
G06K19/077 280
G06K19/02
H01Q1/38
H01Q9/16
(21)【出願番号】P 2020535893
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2019031537
(87)【国際公開番号】W WO2020032220
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2018151346
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】島井 俊治
(72)【発明者】
【氏名】辻本 博文
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-212198(JP,A)
【文献】特開2017-220199(JP,A)
【文献】特開平03-052255(JP,A)
【文献】特開2013-222411(JP,A)
【文献】特開2009-116649(JP,A)
【文献】特開2009-129094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
H01Q 1/00-1/10
1/27-1/52
5/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向、及び当該長手方向と直交する短手方向に延びる外形を有するシート状のタグ本体と、
前記短手方向に沿って、前記タグ本体の上面、下面、及び両側面を一体的に覆うように配置されている補強部材と、
を備え、
前記タグ本体は、
前記タグ本体において、前記短手方向の中心からずれた位置に配置されている、ICチップと、
前記ICチップに格納される情報を電気的に送受信するアンテナと、
前記ICチップ及びアンテナを支持するシート状の基材と、
を備え、
前記補強部材には、前記長手方向に延びる少なくとも一対のスリットまたは溝が形成され、
前記一対のスリットまたは溝が、前記ICチップを前記短手方向に挟むように配置されており、いずれかの前記スリットまたは溝が、前記タグ本体の短手方向の中央付近に配置され、
前記補強部材は、前記基材のショアD硬度以下のショアD硬度を有する材料で形成され、少なくとも前記ICチップを覆うように配置される、ICタグ。
【請求項2】
前記補強部材の前記長手方向の長さが、前記短手方向の長さよりも短い、請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記タグ本体は、
前記基材との間で、前記ICチップ及びアンテナを覆うシート状のカバーと、
前記カバーと基材とを接着する粘着剤または接着剤と、
をさらに備えている、請求項1
または2に記載のICタグ。
【請求項4】
前記補強部材は、エラストマーにより形成されている、請求項1から
3のいずれかに記載のICタグ。
【請求項5】
前記エラストマーには、ガラス繊維が含有されている、請求項
4に記載のICタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICタグの1種として、プラスチックや紙からなるベースシート上に電波通信用のアンテナパターンとICチップが搭載された、種々のインレットが提案されている。そして、特許文献1には、インレットの上面及び下面に、繊維強化樹脂などの硬い材料で形成された補強部材を配置し、ICチップを保護するICタグが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなICタグは、補強部材が硬い材料で形成されているため、ICチップを保護することはできるものの、ICタグが曲げられたときには、曲げによって補強部材が割れるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ICチップを保護するとともに、補強部材の損傷を防止することができる、ICタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るICタグは、長手方向、及び当該長手方向と直交する短手方向に延びる外形を有するシート状のタグ本体と、前記短手方向に沿って、前記タグ本体の周囲を覆うように配置されている補強部材と、を備え、前記タグ本体は、ICチップと、前記ICチップに格納される情報を電気的に送受信するアンテナと、前記ICチップ及びアンテナを支持するシート状の基材と、を備え、前記補強部材は、前記基材のショアD硬度以下のショアD硬度を有する材料で形成され、少なくとも前記ICチップを覆うように配置される。
【0007】
上記ICタグにおいては、前記補強部材の前記長手方向の長さを、前記短手方向の長さよりも短くすることができる。
【0008】
上記ICタグにおいて、前記補強部材には、前記長手方向に延びる少なくとも1つのスリットまたは溝を形成することができる。
【0009】
上記ICタグにおいては、少なくとも一対の前記スリットまたは溝を形成することができ、前記一対のスリットまたは溝は、前記ICチップを前記短手方向に挟むように配置することができる。
【0010】
上記ICタグにおいて、前記タグ本体は、前記基材との間で、前記ICチップ及びアンテナを覆うシート状のカバーと、前記カバーと基材とを接着する粘着剤または接着剤と、をさらに備えることができる。
【0011】
上記ICタグにおいて、前記補強部材は、エラストマーにより形成することができる。
【0012】
上記ICタグにおいて、前記エラストマーには、ガラス繊維を含有することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るICタグによれば、ICチップを保護するとともに、補強部材の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るICタグの一実施形態を示す斜視図である。
【
図6】
図1のICタグの長手方向の曲げを示す側面図である。
【
図7】
図1のICタグの短手方向の曲げを示す側面図である。
【
図9】
図1のICタグの他の例を示す平面図である。
【
図10】
図1のICタグの他の例を示す平面図である。
【
図11】
図1のICタグの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<1.ICタグの概要>
以下、本発明に係るICタグの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るICタグの斜視図、
図2は
図1の平面図、
図3は
図2のA-A線断面図、
図4は
図2のB-B線断面図、
図5はインレットの平面図である。
図1~
図5に示すように、本実施形態に係るICタグは、長方形状に形成されたシート状の基材1と、この基材1上に配置されたICチップ2及びアンテナ3と、これらICチップ2及びアンテナ3を覆う矩形状に形成されたシート状のカバー4と、を有するインレット(タグ本体)10を備えている。そして、基材1とカバー4とは、粘着剤5によって接着されている。さらに、このICタグには、インレット10に取り付けられた補強部材6を備えている。以下、これら各部材について詳細に説明する。
【0016】
<1-1.基材及びカバー>
図3及び
図4に示すように、基材1とカバー4とは、同形状に形成されており、これらの間に粘着剤5が全面に亘って配置されている。すなわち、粘着剤5によって、ICチップ2及びアンテナ3が覆われ、基材1とカバー4との隙間からICチップ2やアンテナ3が露出しないようになっている。
【0017】
基材1及びカバー4を構成する材料は特には限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどで形成することができる。また、基材1及びカバー4の厚みは、例えば、25~200μmとすることが好ましく、25~100μmとすることがさらに好ましい。これら基材1及びカバー4を構成する材料は、透明のほか、着色された材料でも形成することができる。本実施形態では、透明の材料が用いられ、基材1またはカバー4を介してICチップ2及びアンテナ3が視認可能となっている。
【0018】
また、以下では、説明の便宜のため、
図2に示すように、基材1及びカバー4の長手方向の辺を第1辺101、第2辺102と称し、短手方向の辺を第3辺103、第4辺104と称することとする。したがって、これらの辺は、第1辺101,第3辺103,第2辺102,及び第4辺104の順で連結されている。
【0019】
<1-2.ICチップ及びアンテナ>
図5に示すように、ICチップ2は、メモリ機能を有する公知のものであり、特には限定されないが、例えば、アルミニウムや銅などの導体で形成されたアンテナ3と、電気的に接続されている。アンテナ3は、公知のアンテナを用いることができるが、例えば、ダイポールアンテナで構成することができる。本実施形態では、一例として、
図5に示すようなダイポールアンテナが用いられる。すなわち、このアンテナ3は、基材1の長手方向の中央付近に配置されたインピーダンス整合部31と、このインピーダンス整合部31から基材1の長手方向に延びる一対のダイポール部32と、を備えている。インピーダンス整合部31は、第1~第4辺を有する矩形の枠状に形成されている。より詳細には、インピーダンス整合部31の第1辺311は基材1の第1辺101に沿って配置され、第2辺312は、基材1の第2辺102からやや離れた位置に配置されている。すなわち、インピーダンス整合部31は、第1辺311,第3辺313,第2辺312,及び第4辺314がこの順で連結されている。そして、ICチップ2は、インピーダンス整合部31の第1辺311の中央付近に配置されている。
【0020】
ダイポール部32は、左右対称な形状であるため、一方のみ説明する。ダイポール部32は、インピーダンス整合部31における第1辺311から、基材1の第1辺101に沿って直線状に延びる第1部位321と、この第1部位321の端部に接続され、矩形波状に形成された第2部位322とを有している。
【0021】
このような、アンテナ3は、基材1の一方の面にエッチングやスクリーン印刷などで形成することができ、その後、ICチップ2をボンディングなどによりアンテナ3上に取り付けることができる。そして、以上のようなアンテナ3により、例えば、UHF帯の電波によってICチップ2に格納された情報を送受信することができる。なお、ICチップ2は、例えば、電子部品用の公知のフリップチップ実装などでアンテナ3に固定することもできる。
【0022】
<1-3.粘着剤>
粘着剤5は、例えば、天然ゴムや合成ゴムを主成分とするゴム系粘着剤により形成することができる。粘着剤5の厚さは、特には限定されないが、25~500μmであることが好ましく、25~100μmであることがさらに好ましい。ゴム系粘着剤として用いられる合成ゴムは、特には限定されないが、例えば、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、前記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(IIR)などを挙げることができる。
【0023】
また、上記天然ゴム、合成ゴムに加えて、ゴム系粘着剤には、粘着付与剤を含んでいてもよい。粘着付与剤としては、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。粘着付与樹脂の使用量は、粘着性能を損なわない範囲で適宜選択できる。さらに、ゴム系粘着剤には、上述した成分以外に、必要に応じて軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれていてもよい。
【0024】
さらに、粘着剤5は、上記ゴム系粘着剤以外に、アクリル系、あるいはシリコーン系の粘着剤を用いることもできる。
【0025】
粘着剤5の代わりに、接着剤を用いてもよく、例えば、アクリル系熱硬化性樹脂、エステル系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂、またはポリイミド系熱硬化性樹脂を主成分とする硬化型接着剤で形成することができる。エポキシ系熱硬化性樹脂を主成分として採用する場合には、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などを用いることができる。その他のアクリル系熱硬化性樹脂、エステル系熱硬化性樹脂、及びポリイミド系熱硬化性樹脂を主性分とする場合であっても、特には限定されず、種々の材料を採用することができる。
【0026】
<1-4.補強部材>
次に、補強部材6について説明する。補強部材6は、ICチップ2を覆うように、インレット10の長手方向の中央付近に配置され平面視矩形状に形成されている。より詳細に説明すると、補強部材6は、インレット10を短手方向に沿って全周に亘って囲むように配置されている。すなわち、
図4に示すように、補強部材6は、基材1を覆う下面部と、カバー4を覆う上面部と、これらをインレット10の厚み方向において連結する一対の側面部と、を有しており、これらが一体的に形成されている。また、上面部及び下面部には、それぞれ長手方向に延びる3つのスリットが、それぞれ形成されている。すなわち、上面部には、カバー4の第1辺101に沿って延びる第1スリット61、カバー4の短手方向の中心付近に形成された第2スリット62、及びカバー4の第2辺102に沿って延びる第3スリット63が形成されている。下面部にも、同様に3つのスリット61~63が形成されている。
【0027】
そして、
図2に示すように、短手方向において、第1スリット61と第2スリット62との間に、上述したICチップ2が配置されるように構成されている。
【0028】
補強部材6は、基材1よりもショアD硬度が低い材料、または基材1とショアD硬度が同じ材料であれば特には限定されないが、例えば、熱可塑性のエラストマー又はゴム等の弾性体により形成することが出来る。具体的には、熱可塑性のエラストマーは、エステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブタジエン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどを用いることが出来る。一方、ゴムは、シリコーンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ウレタンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを用いることが出来る。また、このような補強部材6は、適度な柔軟性を有することが好ましく、例えば、ショアD硬度が80未満の材料を用いることが好ましく、75以下であればより好ましい。一方、基材1は、ショアD硬度が、例えば、80以上の材料で構成することが好ましい。この点については、カバー4も同様に構成することができる。但し、これはショアD硬度の具体的な一例であり、これには限定されないが、少なくとも補強部材6のショアD硬度が、基材1のショアD硬度以下であればよい。また、カバー4のショアD硬度も基材1と同じにしてもよいが、必ずしも同じでなくてもよい。
【0029】
また、耐熱性を向上するため、補強部材6を構成する材料に、ガラス繊維を含有させることもできる。例えば、エステル系エラストマーにガラス繊維を含有したものを補強部材6として用いることができる。
【0030】
補強部材6の製造方法は、特には限定されないが、例えば、インレット10を成形型に収容し、射出成形によってインレット10上に成形することができる。
【0031】
<2.特徴>
以上のように構成されたICタグは、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、短手方向において、インレット10の全周を覆うように、補強部材6が取り付けられている。すなわち、補強部材6は、インレット10の上面及び下面の加え、側面も覆うように形成されているため、カバー4が基材1から剥がれるのを防止することができる。また、上面または下面だけに補強部材が設けられているのに比べ、インレット10を曲げにくくすることもできる。そのため、例えば、ICチップ2や、ICチップ2とアンテナ3との接合部分など、曲げによって応力が集中しやすい箇所で、曲げによってICチップ2が破損したり、アンテナ3が断線するのを防止することができる。
【0032】
(2)補強部材6は、インレット10の短手方向に長く、長手方向に短く形成されているため、短手方向の曲げに比べ、
図6に示すような長手方向の曲げに対し、補強部材6を曲がりにくくすることができる。
【0033】
(3)一方、
図7に示すようにインレット10の短手方向の曲げ、あるいはインレット10をねじるような曲げに対しては、長手方向の曲げに比べて補強部材6が曲がりやすくなるおそれがある。しかしながら、このような曲げに対しては、ICチップ2を挟むように第1及び第2スリット61,62が形成されているため、これらのスリット61,62が形成されている部分において補強部材6が曲がりやすくなる。その結果、ICチップ2が配置されている部分での曲げを抑制することができ、ICチップ2、あるいはICチップ2とアンテナ3との連結部分が破損するのを防止することができる。
【0034】
(4)補強部材6が硬い材料で形成されていると、例えば、
図6に示すような長手方向の曲げが生じたとき、
図8に示すように、短手方向の断面において、インレット10の角部(円が付された部、特に補強部材6の長手方向の両端部)付近に応力が集中しやすくなり、これによって補強部材6が割れるなど、損傷するおそれがある。これに対して、本実施形態では、補強部材6を基材1と同等または基材1よりも硬度の低い材料で形成しているため、上記のようなインレット10の角部による補強部材6の割れを防止することができる。
【0035】
(5)基材1及びカバー4をポリエチレンテレフタレートなどの耐薬品性の高い材料で形成すると、ICタグを、薬品を伴う環境で使用してもアンテナ3やICチップ2を保護することができる。なお、粘着剤5は、基材1とカバー4との間から露出するが、厚みが小さいため、問題になることはない。
【0036】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。そして、以下に示す複数の変形例は適宜組合わせることが可能である。
【0037】
<3-1>
アンテナ3は、種々のものを用いることができ、上記のようなダイポールアンテナを用いたもの以外に、パッチアンテナを用いたものでもよい。すなわち、アンテナ3の形状等は特には限定されず、種々の形態が可能である。また、ICタグの形状、つまり、基材1やカバー4の形状も特には限定されず、長手方向及びこれと直交する短手方向に延びる外形を有していれば、長方形以外の外形でもよい。また、基材1とカバー4とを同形状にしなくてもよい。
【0038】
<3-2>
補強部材6の構成は特には限定されず、種々の形態にすることができる。例えば、平面視の形状は、例えば、
図9に示すように、長手方向が長く、短手方向が短いものであってもよい。また、これに限定されず、平面視矩形状以外の円形状、楕円状、多角形状などにすることもできる。
【0039】
<3-3>
スリットの数、位置は特には限定されず、ICチップ2を挟むように2以上設けられていればよい。例えば、インレット10の上面のみ、または下面のみにスリットを設けることもできる。あるいは、例えば、
図9に示すように、補強部材6が、長手方向に長い形状であれば、一対のスリット60は、ICチップ2を挟んで長手方向に並ぶように配置されることが好ましい。すなわち、曲がりやすい方向に並ぶように、スリットを配置することが好ましい。
【0040】
また、
図10に示すように、曲がりやすい方向に延びるようにスリット60を1つ、あるいはそれ以上形成し、曲げを抑制するようにすることもできる。
【0041】
スリットのような補強部材6を貫通するもののほか、溝であってもよい。
【0042】
スリットや溝は、必須ではなく、設けないようにしてもよい。
【0043】
<3-4>
上記実施形態では、補強部材6は、主としてICチップ2を覆うように、インレット10の長手方向の中央付近に配置されているが、これに加え、インレット10のさらに多くの部分を覆うように形成されていてもよい。例えば、
図11に示すように、インレット10全体を覆うように、形成することもできる。この例では、
図1及び
図2に示す態様から、補強部材6を長手方向に延長し、インレット10全体を覆うようにしている。すなわち、この例では、補強部材6を、
図1及び
図2で示した中央部分60と、ここから長手方向に延長した延長部分600とで構成している。補強部材6の延長部分600は、インピーダンス整合部31の一部及びダイポール部32を覆うように配置されている。また、延長部分600には、長手方向に沿って所定間隔ごとに、短手方向に延びるスリット601が形成されている。これらスリット601は、インレット10の両面に形成することができる。このように、短手方向に延びるスリット601を形成することで、インレット10の全体が補強部材6に覆われていても、
図6のような曲げに対して、ICチップ2やアンテナ3を保護しつつ、柔軟に曲がることができる。すなわち、延長部分600は、スリット601が形成されている箇所で曲がりやすくなるため、特に、ICチップ2が配置されている中央部分60に曲げの力が及ぶのを抑制することができる。したがって、ICチップ2及びその周辺のアンテナ3が破損するのを防止することができる。
【0044】
なお、このような補強部材6の延長部分600の形態は一例であり、例えば、スリット601の数、向きは適宜変更することができる。あるいは、スリット601を設けないよいにしてもよい。また、延長部分600がインレット10の全体を覆うようにしなくてもよく、延長部分60を長手方向の一部にのみ配置することもできる。
【0045】
<3-5>
上記実施形態では、インレット10として、基材1とカバー4との間の全面に亘って、粘着剤5が塗布されているが、インレット10の構成は、これに限定されるものではない。例えば、基材1とカバー4の周縁にのみ粘着剤を塗布し、ICチップ2及びアンテナ3が粘着剤5によって囲まれるようにすることもできる。また、カバーを設けず、接着剤によって、基材1上のICチップ2とアンテナ3とを覆うようにしたインレットなど、種々のインレットを用いることができる。すなわち、インレットは、少なくとも、基材、ICチップ、アンテナを有していればよい。
【符号の説明】
【0046】
1 基材
2 ICタグ
3 アンテナ
4 カバー
5 粘着剤
6 補強部材
60~63 スリット
10 インレット(タグ本体)