IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

<>
  • 特許-作業機械の運転室およびホイールローダ 図1
  • 特許-作業機械の運転室およびホイールローダ 図2
  • 特許-作業機械の運転室およびホイールローダ 図3
  • 特許-作業機械の運転室およびホイールローダ 図4
  • 特許-作業機械の運転室およびホイールローダ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】作業機械の運転室およびホイールローダ
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20240905BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E02F9/16 A
E02F9/16 C
B60H1/00 102F
B60H1/00 102C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021007253
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111671
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 拓志
(72)【発明者】
【氏名】村本 憲一
(72)【発明者】
【氏名】和田 啓史
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/078562(WO,A1)
【文献】特開2001-295319(JP,A)
【文献】特開平11-314514(JP,A)
【文献】特開2013-028197(JP,A)
【文献】特開2007-154444(JP,A)
【文献】特開2016-188019(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0241380(US,A1)
【文献】米国特許第04531453(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0203333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面を有するフロアプレートと、
前記フロアプレートの上に配置された運転席と、
前記運転席の前方に配置された空気調和装置と、を備え、
前記空気調和装置は送風機を含み、
前記送風機は、前記フロアプレートの前記下面よりも上方に位置する上端と、前記フロアプレートの前記下面よりも下方に位置する下端とを有する、作業機械の運転室。
【請求項2】
前記フロアプレートは、前記下面を有する平坦部と、前記平坦部よりも上方へ突き出した凸部とを含み、
前記送風機の前記上端は前記凸部の内部に位置する、請求項1に記載の作業機械の運転室。
【請求項3】
前記空気調和装置は、エバポレータを含み、
前記エバポレータは、前方から後方へ向かって下り勾配となるように傾斜している、請求項2に記載の作業機械の運転室。
【請求項4】
前記凸部は、前方から後方へ向かって下り勾配となる傾斜部を有する、請求項3に記載の作業機械の運転室。
【請求項5】
前記送風機は、駆動源と、前記駆動源に隣り合う羽根車とを有し、
前記フロアプレートは、平面視において前記駆動源と前記羽根車との双方に重畳する1つの貫通孔を有する、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の作業機械の運転室。
【請求項6】
前記羽根車の少なくとも一部は前記凸部内に配置されている、請求項5に記載の作業機械の運転室。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の運転室と、
前記運転室を支持する走行体と、
前記走行体に支持された作業機と、を備える、ホイールローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の運転室およびホイールローダに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置を有するホイールローダは、たとえば特開2007-154444号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1においては、空気調和装置の全体が運転室(キャブ)内に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-154444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、空気調和装置の全体が運転室内に配置されているため、空気調和装置に含まれる送風機のモータを交換する時に運転室前側における室内部品の全てを外す必要がある。このため空気調和装置の整備において多くの作業工数が発生し、整備性が悪くなる。
【0005】
また空気調和装置に含まれる送風機を空気調和装置から分離して運転室の外に配置することが考えられる。しかし、この場合には送風機から空気調和装置における空気の吹出口までの通風経路が長くなり、風量確保が難しくなる。
【0006】
本開示の目的は、空気調和装置の整備と風量確保とが容易な作業機械の運転室およびホイールローダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の作業機械の運転室は、フロアプレートと、運転席と、空気調和装置とを備える。フロアプレートは下面を有する。運転席は、フロアプレートの上に配置されている。空気調和装置は、運転席の前方に配置されている。空気調和装置は送風機を含む。送風機は、フロアプレートの下面よりも上方に位置する上端と、フロアプレートの下面よりも下方に位置する下端とを有する。
【0008】
本開示のホイールローダは、上記の運転室と、その運転室を支持する走行体と、その走行体に支持された作業機とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、空気調和装置の整備と風量確保とが容易な作業機械の運転室およびホイールローダを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態における作業機械の例としてホイールローダの構成を示す概略側面図である。
図2図1に示す運転室の内部を示す側断面図である。
図3図2に示す空気調和装置の構成を拡大して示す側断面図である。
図4】フロアプレートにおける凸部の貫通孔から送風機の羽根車が見える様子を示す平面図である。
図5図4のV-V線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。
【0012】
明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。
【0013】
<ホイールローダの構成>
まず、本開示の一実施形態における作業機械の一例としてホイールローダの構成について図1を用いて説明する。
【0014】
なお本開示は、ホイールローダ以外に、油圧ショベル、ブルドーザ、クレーンなどの作業機械にも適用可能である。また以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」とは、運転室10内の運転席5に着座したオペレータを基準とした方向である。
【0015】
本明細書における側面視とは、運転席5に着座したオペレータを基準にして左右方向から見た視点を意味する。また本明細書における平面視とは、運転席5に着座したオペレータを基準にして上下方向から見た視点を意味する。平面視は、たとえばフロアプレート2(図2)の平坦部2Fにおける上面2Uに垂直な方向から見た視点である。
【0016】
図1は、一実施形態における作業機械の例としてホイールローダの構成を示す概略側面図である。図1に示されるように、本実施形態のホイールローダ50は、運転室10と、前部フレーム11と、後部車体12と、前輪13aと、後輪13bと、作業機20とを主に有している。前部フレーム11の両側部の各々には前輪13aが取付けられている。後部車体12の両側部の各々には後輪13bが取付けられている。
【0017】
前部フレーム11と後部車体12とは、センタピン(図示せず)により左右に作動自在に取付けられている。前部フレーム11と後部車体12とは、アーティキュレート構造を構成している。
【0018】
具体的には前部フレーム11と後部車体12とは、左右一対のステアリングシリンダ(図示せず)により連結されている。この左右一対のステアリングシリンダが伸縮することにより、前部フレーム11と後部車体12とはセンタピンを中心として左右に作動し、操向する。前部フレーム11、後部車体12、前輪13aおよび後輪13bによりホイールローダ50の走行体が構成されている。
【0019】
前部フレーム11の前方には作業機20が取付けられている。作業機20は、ホイールローダ50の走行体に支持されている。作業機20は、一対のブーム21と、バケット22と、一対のブームシリンダ23とを有している。
【0020】
後部車体12にはエンジン室が配置されている。エンジン室には、エンジンユニット(エンジン、排気処理構造体など)が収納されている。エンジン室の上方はエンジンフード12aにより覆われている。
【0021】
運転室10は、エンジン室(エンジンフード12a)の前方に配置されている。運転室10は、オペレータが内部に入ってホイールローダ50を操作するための空間を構成している。運転室10は、ホイールローダ50の走行体に支持されている。運転室10の内部には、オペレータが着座するための運転席5が配置されている。
【0022】
<運転室10の構成>
次に、運転室10の構成について図2を用いて説明する。
【0023】
図2は、図1に示す運転室の内部を示す側断面図である。図2に示されるように、本実施形態の運転室10は、空気調和装置1と、フロアプレート2と、複数のピラー3a、3bと、屋根部分4と、運転席5と、フロントコンソール6と、ステアリング7と、操作ペダル8とを主に有している。
【0024】
複数のピラー3a、3bは、フロアプレート2に取り付けられ、フロアプレート2から上方に立ち上がっている。複数のピラー3a、3bは、たとえば左右1対のフロントピラー3aと、左右1対のリアピラー3bとを含んでいる。
【0025】
フロントピラー3aとリアピラー3bとの各々の上端部には、梁部材(図示せず)が接続されている。屋根部分4は、この梁部材に接続されることにより運転室10の上部に配置されている。
【0026】
左右一対のフロントピラー3aの間には、たとえば前窓FWと、フロントパネルFPとが配置されている。左右一対のリアピラー3bの間には、たとえば後窓RWと、リアパネルRPとが配置されている。フロントピラー3aとリアピラー3bとの間には、たとえば横窓SWなどが配置されている。フロントパネルFPおよびリアパネルRPは外装パネルである。前窓FW、後窓RWおよび横窓SWの各々は、たとえばガラスよりなる透明部材を有している。
【0027】
フロアプレート2、複数のピラー3a、3b、屋根部分4、窓FW、RW、SWおよび外装パネルFP、RPにより取り囲まれた空間が、運転室10の内部空間を構成している。運転室10の内部空間は、フロアプレート2と、複数のピラー3a、3bと、屋根部分4と、窓FW、RW、SWと、外装パネルFP、RPとにより運転室10の外部空間と仕切られている。
【0028】
運転室10の内部空間には、運転席5が配置されている。運転席5は、フロアプレート2上であって屋根部分4の下方に位置している。
【0029】
運転席5の前方に、空気調和装置1、フロントコンソール6、ステアリング7および操作ペダル8の各々が配置されている。フロントコンソール6、ステアリング7および操作ペダル8の各々は、フロアプレート2上であって、運転室10の内部空間に配置されている。空気調和装置1は、フロントコンソール6の下方であって、ステアリング7および操作ペダル8の前方に配置されている。
【0030】
フロアプレート2は、平坦部2Fと、凸部2Pとを有している。平坦部2Fは、平板形状を有している。平坦部2Fは、互いに対向する上面2Uと下面2Lとを有している。上面2Uは運転室10の室内空間に位置し、下面2Lは運転室10の室外空間に位置している。本明細書においては平坦部2Fの上面2Uおよび下面2Lのそれぞれをフロアプレート2の上面2Uおよび下面2Lとも称する。
【0031】
リアパネルRPには、外気吸引口10aが設けられている。外気吸引口10aは、リアパネルRPを貫通しており、たとえば複数のスリット10aaよりなっている。外気吸引口10aは、たとえば運転席5の座部よりも後方に位置している。
【0032】
空気調和装置1は、室外ダクト9aおよび室内ダクト9bを通じて外気吸引口10aから吸引された空気を取り込む。室外ダクト9aは、空気調和装置1に接続されている。室外ダクト9aは運転室10の外部であって、フロアプレート2の下方に配置されている。室外ダクト9aは、室内ダクト9bに接続されている。これにより室外ダクト9aの通風経路と室内ダクト9bの通風経路とは互いに繋がっている。
【0033】
室内ダクト9bは運転室10の内部空間であってフロアプレート2上に位置している。室内ダクト9bは、リアパネルRPに設けられた外気吸引口10aに通じるようにリアパネルRPに取り付けられている。これにより室内ダクト9bの通風経路は外気吸引口10aを通じて運転室10の外部空間と繋がっている。
【0034】
<空気調和装置1の構成>
次に、空気調和装置1の構成について図3を用いて説明する。
【0035】
図3は、図2に示す空気調和装置の構成を拡大して示す側断面図である。図3に示されるように、空気調和装置1は、たとえば送風機1aと、エバポレータ1bと、ヒータコア1cと、ケース1dとを有している。
【0036】
送風機1aは、運転室10の内気および外気を空気調和装置1内に取り入れ、エバポレータ1b(またはエバポレータ1bおよびヒータコア1c)に送った後に運転室10の内部空間に送出する。エバポレータ1bは、送風機1aから送られた空気を冷やす働きをする。またヒータコア1cは、送風機1aから送られた空気を温める働きをする。空気調和装置1により、運転室10の内部空間における空気が調和される。
【0037】
送風機1aは、たとえばブロアである。送風機1aは、羽根車1aaと、駆動源1abと、ケース1acとを有している。駆動源1abは、たとえばモータである。駆動源1abの回転軸RSは、羽根車1aaに固定されている。駆動源1abの駆動力が回転軸RSを介在して羽根車1aaに伝達される。これにより羽根車1aaが回転し、運転室10の内気および外気が空気調和装置1内に取り入れられる。
【0038】
送風機1aの羽根車1aaおよび駆動源1abはケース1acの内部に収納されている。ケース1acは、室外ダクト9aに接続されている。これにより送風機1aは、外気吸引口10a(図2)、室内ダクト9b(図2)および室内ダクト9aを通じて運転室10の外部から空気を取り込むことが可能である。
【0039】
エバポレータ1bおよびヒータコア1cはケース1dの内部に収納されている。ケース1dは、上端に吹出口1da、1dbを有している。吹出口1da、1dbは、空気調和装置1にて調和された空気を空気調和装置1の外部へ吹出す部分である。吹出口1da、1dbの各々は、ケース1dを貫通し、ケース1d内の通風経路とケース1d外の通風経路とを繋いでいる。
【0040】
ケース1d内の通風経路には、エバポレータ1bとヒータコア1cとが配置されている。ケース1d内の通風経路において、エバポレータ1bはヒータコア1cよりも上流側に配置されている。ケース1d内の通風経路は、エバポレータ1bを通過した後の空気がヒータコア1cを通過して吹出口1da、1dbへ達する第1経路と、ヒータコア1cを通過せずに吹出口1da、1dbへ達する第2経路とを有している。エバポレータ1bを通過した後の空気の経路を第1経路および第2経路のいずれかに切り替える切替装置SDが設けられている。
【0041】
ヒータコア1cは、エバポレータ1bの上方に配置されている。平面視において、ヒータコア1cの全体は、エバポレータ1bと重畳するように配置されている。エバポレータ1bおよびヒータコア1cの各々は、側面視において、前方から後方へ向かって下り勾配となるように傾斜している。
【0042】
側面視において、平坦部2Fの上面2Uに対するエバポレータ1bの傾斜角度α1は、平坦部2Fの上面2Uに対するヒータコア1cの傾斜角度α3よりも大きい。傾斜角度α1、α3の各々は鋭角である。
【0043】
傾斜角度α1は、たとえばエバポレータ1bの下面と平坦部2Fの上面2Uとのなす角度である。傾斜角度α3は、たとえばヒータコア1cの下面と平坦部2Fの上面2Uとのなす角度である。
【0044】
ケース1acは、フロアプレート2の下方に位置している。ケース1acはフロアプレート2の下面2Lに取り付けられている。ケース1dは、フロアプレート2の上方に位置している。ケース1dは、平坦部2Fの上面2Uに取り付けられている。
【0045】
フロアプレート2の凸部2Pは、平坦部2Fよりも上方へ突き出している。凸部2Pは、ケース1acとケース1dとが取り付けられるフロアプレート2の部分に設けられている。凸部2Pは、ケース1acとケース1dとにより上下方向に挟み込まれている。
【0046】
送風機1aの少なくとも一部は、凸部2Pの上方に突き出した空間内に配置されている。送風機1aは、フロアプレート2の下面2Lよりも上方に位置する上端UEを有している。送風機1aは、フロアプレート2の下面2Lよりも下方に位置する下端LEを有している。
【0047】
<フロアプレート2の凸部2Pの構成>
次に、上記フロアプレート2における凸部2Pの構成について図3図5を用いて説明する。
【0048】
図4は、フロアプレートにおける凸部の貫通孔から送風機の羽根車が見える様子を示す平面図である。図5は、図4のV-V線に沿う断面図である。
【0049】
図3に示されるように、凸部2Pは、上端部2Paと、傾斜部2Pbと、側部2Pcとを有している。上端部2Paは、フロアプレート2の平坦部2Fよりも上方に位置し、平坦部2Fと平行方向に延在している。
【0050】
側部2Pcは、平坦部2Fに対して上方に立ち上がっている。側部2Pcは、平坦部2Fの上面2Uに対して略垂直な方向に延びている。側部2Pcの下端は平坦部2Fに接続されている。側部2Pcの上端は上端部2Paの前端に接続されている。
【0051】
傾斜部2Pbは、平坦部2Fに対して上方に立ち上がっている。傾斜部2Pbは、前方から後方に向かって下り勾配となるように傾斜している。傾斜部2Pbの後端(下端)は平坦部2Fに接続されている。傾斜部2Pbの前端(上端)は上端部2Paの後端に接続されている。
【0052】
側面視において、平坦部2Fの上面2Uに対する傾斜部2Pbの傾斜角度α2は、平坦部2Fの上面2Uに対するエバポレータ1bの傾斜角度α1と略同一であることが好ましい。傾斜角度α2は鋭角である。また傾斜角度α2は、たとえば傾斜部2Pbの上面と平坦部2Fの上面2Uとのなす角度である。
【0053】
上端部2Paには、1つの貫通孔THが設けられている。貫通孔THは、上端部2Paを貫通している。貫通孔THは、送風機1aにより送られる空気を運転室10の外部から内部へ通すための孔である。貫通孔THを通過して運転室10の外部から内部へ入った空気はエバポレータ1bを通過する。
【0054】
図4に示されるように、送風機1aは、たとえば2つの羽根車1aaを有している。2つの羽根車1aaは、駆動源1abを左右方向に挟み込むように配置されている。2つの羽根車1aaの各々は、駆動源1abの回転軸RSに接続されている。2つの羽根車1aaの一方に接続される回転軸RSと2つの羽根車1aaの他方に接続される回転軸RSとは同心となるように互いに同じ軸線上に配置されている。2つの回転軸RSの各々は、左右方向に延びている。
【0055】
貫通孔THは、平面視においてたとえば四角形状を有している。具体的には、貫通孔THは、平面視において、2つの羽根車1aaと駆動源1abとが並ぶ方向(左右方向)に長く、前後方向に短い長方形状を有している。
【0056】
貫通孔THは、平面視において、駆動源1abおよび羽根車1aaの双方に重畳する。具体的には1つの貫通孔THは、平面視において駆動源1abおよび2つの羽根車1aaに重畳する。平面視において、1つの貫通孔THの範囲内に駆動源1abの少なくともロータの全体および2つの羽根車1aaの全体が位置している。
【0057】
平面視における貫通孔THの左右方向の寸法W1は、2つの羽根車1aaおよび駆動源1abの各々の左右方向の寸法を合計した寸法W2よりも大きい。平面視において貫通孔THの左右方向の端縁と羽根車1aaの左右方向の端縁との間には、寸法WSの隙間がある。
【0058】
平面視における貫通孔THの前後方向の寸法L1は、羽根車1aaの前後方向の寸法L2よりも大きい。
【0059】
傾斜部2Pbは、上端部2Paの後端の左右方向全体に接続されている。側部2Pcは、上端部2Paの前端の左右方向全体に接続されている。
【0060】
図5に示されるように、送風機1aの上端UEは、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも上方に位置している。送風機1aの上端UEはケース1acの上端である。
【0061】
送風機1aの少なくとも一部は凸部2Pの内部空間内に位置し、これにより送風機1aの上端UEは凸部2Pの内部空間に位置している。凸部2Pの内部空間とは、凸部2Pによりフロアプレート2の平坦部2Fよりも上方に突き出した空間であって、平坦部2Fの下面2Lの高さ位置P1と上端部2Paの下面の高さ位置との間の空間を意味する。送風機1aの上端UEは、貫通孔TH内に位置していてもよく、場合によっては貫通孔THよりも上方に位置していてもよい。
【0062】
羽根車1aaの少なくとも一部および駆動源1abの少なくとも一部は、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも上方に位置しており、凸部2Pの内部空間内に位置している。羽根車1aaの上端の高さ位置P2Uは、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも上方に位置しており、凸部2Pの内部空間内に位置している。駆動源1abの上端の高さ位置P3Uは、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも上方に位置しており、凸部2Pの内部空間内に位置している。駆動源1abがたとえばモータである場合、モータに含まれるステータの一部はフロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも上方に位置しており、凸部2Pの内部空間内に位置している。
【0063】
送風機1aの少なくとも一部は凸部2Pの内部空間外に位置している。送風機1aの下端LEは凸部2Pの内部空間外に位置しており、フロアプレート2の下面2Lよりも下方に位置している。
【0064】
羽根車1aaの少なくとも一部および駆動源1abの少なくとも一部は、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも下方に位置しており、凸部2Pの内部空間外に位置している。羽根車1aaの下端の高さ位置P2Lは、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも下方に位置しており、凸部2Pの内部空間外に位置している。駆動源1abの下端の高さ位置P3Lは、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも下方に位置しており、凸部2Pの内部空間外に位置している。
【0065】
回転軸RSは、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも下方に位置しており、凸部2Pの内部空間外に位置している。回転軸RSは、フロアプレート2の下面2Lの高さ位置P1よりも上方に位置し、凸部2Pの内部空間内に位置していてもよい。
【0066】
送風機1aの上端部が平坦部2Fの上面2Uよりも上方に位置し、送風機1aの下端部が平坦部2Fの下面2Lよりも下方に位置している。これにより送風機1aは、フロアプレート2における平坦部2Fの延在方向と交差するように配置されている。2つの羽根車1aaおよび駆動源1abの各々は、フロアプレート2における平坦部2Fの延在方向と交差するように配置されている。
【0067】
<空気調和装置の取付状態>
次に、本実施形態における空気調和装置1の取付状態について図3を用いて説明する。
【0068】
図3に示されるように、空気調和装置1のケース1dは、平坦部2Fの上面2Uに締結部材(たとえばネジ部材など)により取り付けられている。ケース1dは、フロアプレート2の上面に取り付け・取り外し自在に配置されていればよく、凸部2Pに取り付けられていてもよい。
【0069】
一方、送風機1aのケース1acは、フロアプレート2の下面2Lに締結部材(たとえばネジ部材など)より取り付けられている。ケース1acは、フロアプレート2の下面に取り付け・取り外し自在に配置されていればよく、凸部2Pに取り付けられていてもよい。
【0070】
ケース1acとケース1dとは互いに異なるパーツから構成されており、かつ互いに分離可能である。このためケース1acとケース1dとは互いに別個にフロアプレート2に対して取り付け・取り外し可能である。
【0071】
ケース1dは、フロアプレート2の上方であって、運転室10の内部空間に配置されている。このためケース1dをフロアプレート2から取り外すためには、運転室10の内部空間から取り外す必要がある。
【0072】
一方、送風機1aのケース1acは、フロアプレート2の下方に配置されている。このためフロアプレート2の下方からケース1acを取り外すことができる。つまり送風機1aを運転室10の外部から取り外すことができ、運転室10の内部空間から取り外す必要はない。
【0073】
また空気調和装置1がフロアプレート2に取り付けられた状態において、貫通孔THの真上にエバポレータ1bが位置している。エバポレータ1bは、平面視において貫通孔THと重畳するように配置されている。このため送風機1aをフロアプレート2から取り外した際に、フロアプレート2の下方から貫通孔THを通じてエバポレータ1bの清掃が容易となる。
【0074】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0075】
本実施形態によれば、図3に示されるように、送風機1aは、フロアプレート2の下面2Lよりも上方に位置する上端UEを有している。このため送風機1aの上端UEがフロアプレート2の下面2Lよりも下方に位置する場合と比較して、送風機1aを空気調和装置1の吹出口1da、1dbの近くに配置することができる。これにより送風機1aから吹出口1da、1dbまでの通風経路が短くなるため、吹出口1da、1dbから吹き出す風量を増大させることが可能となる。
【0076】
また送風機1aは、フロアプレート2の下面2Lよりも下方に位置する下端LEを有している。このためフロアプレート2の下側から送風機1aを交換することができる。これにより送風機1aの交換時に運転室10の内部空間内の部品を取り外す必要がなくなるため、整備が容易となる。
【0077】
以上より本実施形態によれば、空気調和装置1の整備と風量確保とが容易となる。
【0078】
また本実施形態によれば、図3に示されるように、フロアプレート2は、下面2Lを有する平坦部2Fと、平坦部2Fよりも上方へ突き出した凸部2Pとを有している。送風機1aの上端UEは凸部2Pの内部に位置している。これにより送風機1aから吹出口1da、1dbまでの通風経路が短くなるため、吹出口1da、1dbから吹き出す風量を増大させることが可能となる。
【0079】
また本実施形態によれば、図3に示されるように、エバポレータ1bは、前方から後方へ向かって下り勾配となるように傾斜している。これによりエバポレータ1bが傾斜せずに前後方向に延在する場合と比較して、エバポレータ1bが占有する空間の前後方向の寸法を短くできる。このためエバポレータ1bを有する空気調和装置1の前後方向のサイズを小さくでき、運転室10の内部空間の前方に空間の余裕が生じる。
【0080】
また本実施形態によれば、図3に示されるように、凸部2Pは、前方から後方へ向かって下り勾配となる傾斜部2Pbを有している。これにより傾斜部2Pbを直立させる場合と比較して、傾斜部2Pbがエバポレータ1bとの干渉を避けつつ、凸部2Pの内部空間を拡げることができる。
【0081】
また本実施形態によれば、図4に示されるように、フロアプレート2は、平面視において駆動源1abと羽根車1aaとの双方に重畳する1つの貫通孔THを有している。このように1つの貫通孔THが駆動源1abと羽根車1aaとの双方に重畳するように大きく設けられているため、送風機1aを取り外した後に貫通孔THを通じて運転室10内の清掃、整備などが容易となる。
【0082】
たとえばエバポレータ1bが目詰まりを起こすと、送風機1aの風量および性能が低下する。このためエバポレータ1bの清掃が必要となる。しかしエバポレータ1bの清掃のためにエバポレータ1bを運転室10から取り外すと、多くの作業工数が発生する。
【0083】
これに対して本実施形態では上記のとおりフロアプレート2に大きな貫通孔THが設けられる。これによりエバポレータ1bを運転室10から取り外すことなく、フロアプレート2の下方から貫通孔THを通じてエバポレータ1bの清掃が容易となる。このためエバポレータ1bの清掃に要する作業工数が少なくなり、エバポレータ1bの清掃性が向上する。
【0084】
また本実施形態によれば、図5に示されるように、羽根車1aaの少なくとも一部は凸部2P内に配置されている。これにより羽根車1aaから吹出口1da、1dbまでの通風経路が短くなるため、吹出口1da、1dbから吹き出す風量を増大させることが可能となる。
【0085】
なお本実施形態においては、フロアプレート2が凸部2Pを有する構成について説明したが、フロアプレート2が凸部2Pを有していなくてもよい。この場合、たとえばフロアプレート2が送風機用貫通孔を有し、送風機1aがこの送風機用貫通孔に挿入された状態で運転室10に取り付けられてもよい。送風機1aがこの送風機用貫通孔に挿入された状態において、送風機1aの上端UEがフロアプレート2の下面2Lよりも上方に位置し、送風機1aの下端LEがフロアプレート2の下面2Lよりも下方に位置していればよい。この状態で送風機1aがフロアプレート2の下方から運転室10に取り付け・取り外しできるように構成されていればよい。
【0086】
また羽根車1aaおよび駆動源1abの各々の全体が凸部2Pの内部空間内に配置されていてもよい。また駆動源1abがモータである場合、モータのロータ全体が凸部2Pの内部空間内に配置されていてもよい。
【0087】
また前窓FW、後窓RWおよび横窓SWの各々に用いられる透明部材の材質はガラスに限定されず、アクリルなどの他の透明な材質であってもよい。
【0088】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1 空気調和装置、1a 送風機、1aa 羽根車、1ab 駆動源、1b エバポレータ、1c ヒータコア、1ac,1d ケース、1da,1db 吹出口、2 フロアプレート、2F 平坦部、2L 下面、2P 凸部、2Pb,IS1,IS2 傾斜部、2Pc 側部、2U 上面、3a フロントピラー、3b リアピラー、4 屋根部分、5 運転席、6 フロントコンソール、7 ステアリング、8 操作ペダル、9a 室外ダクト、9b 室内ダクト、10 運転室、10a 外気吸引口、10aa スリット、11 前部フレーム、12 後部車体、12a エンジンフード、13a 前輪、13b 後輪、20 作業機、21 ブーム、22 バケット、23 ブームシリンダ、50 ホイールローダ、FP フロントパネル、FW 前窓、LE 下端、RP リアパネル、RW 後窓、SD 切替装置、SG サイドガラス、SP サイドパネル、SW 横窓、TH 貫通孔、UE 上端。
図1
図2
図3
図4
図5