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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】光デバイスおよび発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/40 20060101AFI20240905BHJP
   H01S 5/0234 20210101ALI20240905BHJP
   H01S 5/22 20060101ALI20240905BHJP
   H01S 5/02212 20210101ALI20240905BHJP
   H01S 5/02345 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H01S5/40
H01S5/0234
H01S5/22
H01S5/02212
H01S5/02345
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021014594
(22)【出願日】2021-02-01
(65)【公開番号】P2022117852
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】川口 佳伸
(72)【発明者】
【氏名】神川 剛
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-199274(JP,A)
【文献】特開2002-340564(JP,A)
【文献】特開平07-135369(JP,A)
【文献】特開平07-193312(JP,A)
【文献】特開2003-264334(JP,A)
【文献】特開2013-016585(JP,A)
【文献】特開2011-199137(JP,A)
【文献】特開2011-204983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および前記上面に配された配線を有する基板と、
前記基板の前記上面に配された第1光半導体素子と、
前記第1光半導体素子に隣接して位置する第2光半導体素子および第3光半導体素子と、を備え、
前記第1光半導体素子は、前記第1光半導体素子の下端部に配され、それぞれが前記配線に接続している第1電極および第2電極を有しており
前記第2光半導体素子は、第1側面と、前記第1側面よりも前記第1光半導体素子から離れて位置する第2側面と、光が出射する第2出射点と、を有し、
前記第3光半導体素子は、第3側面と、前記第3側面よりも前記第1光半導体素子から離れて位置する第4側面と、光が出射する第3出射点と、を有し、
前記第1光半導体素子の幅は、前記第2光半導体素子の幅および前記第3光半導体素子の幅のそれぞれよりも小さく、
前記第2出射点は、前記第2側面よりも前記第1側面側に位置しており、前記第3出射点は、前記第4側面よりも前記第3側面側に位置している、光デバイス。
【請求項2】
前記基板と前記第2光半導体素子との間、および、前記基板と前記第3光半導体素子との間にそれぞれ位置し、前記第2光半導体素子および前記第3光半導体素子の幅方向における外側に延出する部分をそれぞれ有するパッドを備える、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記第1光半導体素子は、複数の半導体層を有しており、
前記第1電極は、前記半導体層の上面に接続して、前記下端部まで引き回されている、請求項1または2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記第2光半導体素子は、第3電極および第4電極を有しており、
前記基板は、前記第2光半導体素子が接続される第2配線を、さらに有しており、
前記第3電極または前記第4電極の少なくとも一方は、ボンディグワイヤを介して前記第2配線に電気的に接続している、請求項1~3のいずれか1つに記載の光デバイス。
【請求項5】
前記基板は、上方へ突出した凸部を有しており、
前記第1光半導体素子の厚みは、前記第2光半導体素子の厚みよりも小さく、
前記第1光半導体素子は、前記凸部上に実装されており、
前記第2光半導体素子は、前記凸部を除く領域に実装されている、請求項1~4のいずれか1つに記載の光デバイス。
【請求項6】
前記第1光半導体素子は、光が出射する第1出射点をさらに有しており、
前記第1出射点は、前記第2出射点の隣に位置している、請求項記載の光デバイス。
【請求項7】
前記第1光半導体素子の長さは、前記第2光半導体素子の長さよりも短く、
前記第1出射点は、前記第2出射点の隣に位置している、請求項記載の光デバイス。
【請求項8】
前記第2出射点は、前記凸部よりも上方に位置している、請求項5に記載の光デバイス。
【請求項9】
前記第3光半導体素子は、第1光半導体素子を挟んで前記第2光半導体素子の反対側に位置している、請求項1~のいずれかに記載の光デバイス。
【請求項10】
前記第3光半導体素子は、前記凸部を挟んで、前記第2光半導体素子の反対側に位置している、請求項5に記載の光デバイス。
【請求項11】
前記第3出射点は、前記凸部よりも上方に位置している、請求項10に記載の光デバイス。
【請求項12】
前記第1光半導体素子の厚さは、5~50μmである請求項1~11のいずれかに記載の光デバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の光デバイスと、
前記光デバイスを搭載するパッケージと、を備える発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光デバイスおよび発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載の多波長半導体レーザ装置は、発光点がチップ端近傍に形成された青紫レーザダイオードと2波長レーザダイオードとを並べて実装することで、3つの発光点の間隔を近付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-16585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板上に複数の光半導体素子が搭載された光デバイスは、さらなる小型化のために、光半導体素子をさらに小型化し、複数の発光点をさらに近接させることが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の光デバイスは、上面および前記上面に配された配線を有する基板と、
前記基板の前記上面に配された第1光半導体素子および前記第1光半導体素子に隣接した第2光半導体素子と、を備え、
前記第1光半導体素子は、前記第1光半導体素子の下端部に配された、それぞれが前記配線に接続している第1電極および第2電極を有している。
【0006】
また本開示の発光装置は、上記の光デバイスと、
前記光デバイスを搭載するパッケージと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の光デバイスおよび発光装置は、さらなる小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態の光デバイスを示す斜視図である。
図2】光デバイスの平面図である。
図3A】光デバイスの正面図である。
図3B】第1光半導体素子近傍の拡大図である。
図4】第2実施形態の光デバイスを示す斜視図である。
図5】第1基板の平面図である。
図6】第1基板の正面図である。
図7】第2基板の平面図である。
図8A】第2基板の正面図である。
図8B】第1光半導体素子近傍の拡大図である。
図9】発光装置の例を示す斜視図である。
図10】発光装置の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示の光デバイスの実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の光デバイスを示す斜視図である。図2は、光デバイスの平面図である。図3Aは、光デバイスの正面図である。図3Bは、第1光半導体素子近傍の拡大図である。光デバイス100は、基板10と、第1光半導体素子11と、第2光半導体素子12と、を備える。
【0010】
基板10は、上面10aおよび上面10aに配された配線20を有する。第1光半導体素子11は、基板10の上面10aに配されており、第2光半導体素子12は、第1光半導体素子11に隣接している。第1光半導体素子11は、下端部に配された第1電極11aおよび第2電極11bを有しており、第1電極11aおよび第2電極11bのそれぞれが配線20に接続している。なお、光半導体素子が隣接する方向をx方向とし、基板10の厚さ方向をz方向とし、x方向およびz方向に直交する方向をy方向とする。
【0011】
本実施形態の光デバイス100は、さらに、第3光半導体素子13を備えていてよい。第3光半導体素子13は、第2光半導体素子12と同様に、第1光半導体素子11に隣接している。第3光半導体素子13は、第1光半導体素子11を挟んで第2光半導体素子12の反対側に位置している。
【0012】
本実施形態では、基板10の上面10aは、少なくとも1つの凹部10bを有しており、1つの凹部10bに第2光半導体素子12が搭載されている。第1光半導体素子11は、上面10aのうちの凹部10bを除く領域であって、凹部10bに隣接する搭載領域10cに搭載されており、第1光半導体素子11と、第2光半導体素子12とが、隣接している。第3光半導体素子13は、さらに別の凹部10bに搭載されている。第3光半導体素子13が搭載される凹部10bは、第1光半導体素子11の搭載領域10cを挟んで、第2光半導体素子12が搭載される凹部10bと反対側にあり、第1光半導体素子11と、第3光半導体素子13とが、隣接している。
【0013】
本実施形態では、例えば、基板10を平面視したとき、2つの凹部10bは、略同じ大きさの矩形状であり、これらの間に搭載領域10cが位置する。言い換えると、基板10は、2つの凹部10bの底面を基準として上方へ突出した凸部を有しており、この凸部上面が搭載領域10cとなる。また、上面10aは、平面視で、2つの凹部10bおよび搭載領域10cに隣接し、2つの凹部10bおよび搭載領域10cが並ぶ方向に平行に延びる接続領域10dを有する。接続領域10dには、例えば、外部回路と電気的に接続するための外部接続パッド21が配される。搭載領域10cと接続領域10dとは同じ高さで連なっていてよい。
【0014】
搭載領域10cは、第1光半導体素子11の平面視形状と同じ形状を有していてよい。配線20は、第1光半導体素子11の長さ方向に沿って延びている。配線20は、一端が搭載領域10cに位置しており、他端が接続領域10dに位置している。配線20は、第1光半導体素子11の長さ方向に沿って延びている。配線20の他端は、接続領域10dにおいて、外部接続パッド21と接続されている。配線20は、第1光半導体素子11の第1電極11aと接続する第1配線20aおよび第2電極11bと接続する第2配線20bを含む。外部接続パッド21は、第1配線20aと接続する第1パッド21aおよび第2配線20bと接続する第2パッド21bを含む。外部接続パッド21は、例えば、ボンディングワイヤなどを介して外部回路と電気的に接続することができる。
【0015】
第1光半導体素子11、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、例えば、複数の半導体層が積層された構造を有した半導体レーザ素子である。各素子は、例えば、p型電極、p型半導体層、活性層、n型半導体層、n型電極が積層された積層体を有している。また、各素子では、共振器長さ方向の両端面のうち一方の端面が出射面であり、他方の端面が反射面である。出射面の活性層の位置に光を出射する出射点がある。さらに各素子は、上記積層体を支持する支持基板を有していてもよい。この支持基板は、例えば、上記積層体が有する半導体層をエピタキシャル成長させる際の基板として活用されてもよい。
【0016】
各光半導体素子において、以下では、積層方向を厚さ方向と呼び、積層方向に直交する共振器長さ方向を単に長さ方向と呼び、共振器長さ方向に直交する方向を幅方向と呼ぶ。なお、第1光半導体素子11は、n型電極の第1電極11aおよびp型電極の第2電極11bが厚さ方向の片側に位置する片面電極構造である。第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、p型電極(第3電極)が厚さ方向の一方側に位置し、n型電極(第4電極)が厚さ方向の他方側に位置する両面電極構造である。
【0017】
本実施形態では、第1光半導体素子11は、第2光半導体素子12より幅が小さい。また、本実施形態では、第1光半導体素子11は、第2光半導体素子12より厚さも小さい。第1光半導体素子11は、第2光半導体素子12と同じ長さであってよい。例えば、第1光半導体素子11の幅は、10~100μmであり、第2光半導体素子12の幅は、100~1000μmである。例えば、第1光半導体素子11の厚さは、5~50μmであり、第2光半導体素子12の厚さは、50~300μmである。なお、第1光半導体素子11は、支持基板が除去されていることで、厚さが第2光半導体素子12より薄くても良い。言い換えれば、本実施形態では、第2光半導体素子12は支持基板を有しており、第1光半導体素子11は支持基板を有していない。なお、支持基板を全て除去する必要なく、一部のみ研磨して薄くしてもよい。基板の除去や研磨は研削研磨によるものや、犠牲層エッチングやELO成長マスクを利用した基板剥離など種々の方法を用いることができる。
【0018】
本実施形態では、第3光半導体素子13は、第2光半導体素子12と同様の大きさであってよい。本実施形態では、第1光半導体素子11は、第3光半導体素子13より幅が小さい。また本実施形態では、第1光半導体素子11は、第3光半導体素子13より厚さが小さい。例えば、第3光半導体素子13の幅は、100~1000μmであり、第3光半導体素子13の厚さは、50~300μmである。なお、第1光半導体素子11の厚さは、第3光半導体素子13より薄くてもよい。第1光半導体素子11は、支持基板が除去されていることで、厚さが第3光半導体素子13より薄くても良い。言い換えれば、本実施形態では、第3光半導体素子13は支持基板を有しており、第1光半導体素子11は支持基板を有していない。なお、支持基板を全て除去する必要なく、一部のみ研磨して薄くしてもよい。
【0019】
上記のとおり、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、それぞれ凹部10bに搭載され、第1光半導体素子11は、2つの凹部10bの間の凸部上面である搭載領域10cに搭載される。第2光半導体素子12および第3光半導体素子13との間に凸部が位置しており、第3光半導体素子13は、凸部を挟んで、第2光半導体素子12の反対側に位置している。これにより、第1光半導体素子11の厚さは小さいが、基板10に実装された状態では、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13との高さを同程度にすることができる。第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、いずれも光の出射点の位置が、厚さ方向の中央ではなく、一方側に偏在している。例えば、第2半導体素子12および第3半導体素子13は、支持基板を有していることから、支持基板が基板10側に位置するように実装されていれば、出射点の位置を偏在させることができる。
【0020】
なお、本実施形態において、凹部10bへの搭載では、支持基板を凹部10bの底面に向けることで、出射点が高い位置、すなわち凹部10bの底面から離れた位置となる。第1光半導体素子11は、搭載領域10cに搭載されているので、第1光半導体素子11の出射点の高さ位置と、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の出射点の高さ位置とを、近付けることができる。なお、本実施形態では、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13はn型電極を基板10側に位置させるように実装させているが、p型電極を基板10側にして実装してもよい。この場合、活性層での発熱が基板に散逸しやすく放熱性が良くなり特性、信頼性が改善する。この際、第1光半導体素子11の発光点と揃えるために、浅い凹部としたり、凸部とする、あるいは搭載領域10cと同じ高さにしてもよい。
【0021】
第2光半導体素子12は、第1側面12aおよび第1側面12aよりも第1光半導体素子11から離れて位置した第2側面12bと、光が出射する第2出射点12cと、をさらに有しており、第2出射点12cは、第2側面12bよりも第1側面12a側に位置している。このような構造とするには、例えば、いわゆるリッジ導波路を用いればよい。リッジ導波路を第1側面12a側に設ければ、第2出射点12cが、第1側面12a側に位置することになる。言い換えれば、リッジ導波路の下方に位置した活性層の一部が発光するため、ここが出射点となる。以上より、第2光半導体素子12の第2出射点12cを、第1光半導体素子11に幅方向に近付けることができる。さらに、第3光半導体素子13も同様にして、リッジ導波路を用いれば、第3出射点13cを、第1光半導体素子11に幅方向に近付けることができる。具体的には、第3光半導体素子13は、第3側面13aおよび第3側面13aよりも第1光半導体素子11から離れて位置した第4側面13bと、光が出射する第3出射点13cと、をさらに有しており、第3出射点13cは、第4側面13bよりも第3側面13a側に位置している。
【0022】
凹部10bの底面には、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13のn型電極と接続する外部接続パッド(第2配線)22,23が設けられている。外部接続パッド22,23は、それぞれ第2光半導体素子12および第3光半導体素子13が搭載された状態で、幅方向外方に延出する部分を有している。この延出部分によって、例えば、ボンディングワイヤなどを介して外部回路と電気的に接続することができる。
【0023】
第2光半導体素子12および第3光半導体素子13のp型電極は、n型電極とは逆に、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の上面に位置している。具体的には、リッジ導波路の上面に配されている。第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の上面には、p型電極に接続された上面パッド24,25が設けられている。上面パッド24,25は、例えば、ボンディングワイヤなどを介して外部回路と電気的に接続することができる。また、基板10の接続領域10dに、外部接続パッド26,27を設けてもよい。第2光半導体素子12および第3光半導体素子13と外部接続パッド26,27とを、例えば、ボンディングワイヤなどを介して電気的に接続する。さらに、ボンディングワイヤなどを介して外部接続パッド26,27と外部回路と電気的に接続することができる。
【0024】
第1光半導体素子11は、片面電極構造であり、その構造上、第1電極11aと第2電極11bの高さ位置が異なる。高さ位置が異なる2つの電極に接続するために、例えば、図3Bに示すように、第1電極11aに接続する第1配線20aと、第2電極11bに接続する第2配線20bとの配線厚さを異ならせればよい。第1光半導体素子11を、片面電極構造とすることで、搭載領域10cを第1光半導体素子11の幅と同様の大きさにまで狭くすることができる。搭載領域10cが狭くなると、第2光半導体素子12を第1光半導体素子11に近付けて搭載させることができる。第1光半導体素子11の第1出射点11cと第2光半導体素子12の第2出射点12cとは、より近くで隣に位置している。第2光半導体素子12の第2出射点12cは、凸部上面の搭載領域10cよりも上方に位置する。同様に、第3光半導体素子13を第1光半導体素子11に近付けて搭載させることができる。第1光半導体素子11の第1出射点11cと第3光半導体素子13の第3出射点13cとは、より近くで隣に位置している。第3光半導体素子13の第3出射点13cは、凸部上面の搭載領域10cよりも上方に位置している。
【0025】
また、第1光半導体素子11は片面電極構造であるため、第2光半導体素子12のように素子上のパッド電極とボンディングワイヤを介して外部回路と電気的に接続する必要がない、いわゆるフリップチップ構造である。このため、第1光半導体素子11の幅が第2光半導体素子12に比べて、ボンディングワイヤが接続できない程度にまで小さくしても正常に動作させることができる。第1光半導体素子11の幅が狭いので、第2光半導体素子12と第3光半導体素子13の間に存在していても、第2光半導体素子12と第3光半導体素子13の出射点を近付けることができる。第2光半導体素子12と第3光半導体素子13との素子幅も狭くしてフリップチップ構造にしても良いが、この場合作製難易度が高くなり、歩留まりが低下したり、製造コストが高くなる。
【0026】
次に、本開示の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態の光デバイスを示す斜視図である。図5は、第1基板の平面図である。図6は、第1基板の正面図である。図7は、第2基板の平面図である。図8Aは、第2基板の正面図である。図8Bは、第1光半導体素子近傍の拡大図である。光デバイス200は、基板10Aと、第1光半導体素子11と、第2光半導体素子12と、を備える。本実施形態では、基板10Aが、第1基板101と第2基板102とを含む。第1基板101には、第2光半導体素子12が搭載され、第2基板102には、第1光半導体素子11が搭載される。第1基板101と第2基板102とは、それぞれに配された配線同士によって電気的に接続される。
【0027】
本実施形態の光デバイス200は、さらに、第3光半導体素子13を備えていてよい。第3光半導体素子13は、第2光半導体素子12と同様に、第1基板101に搭載されている。本実施形態の第1光半導体素子11、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、第1実施形態と同様に、例えば、p型電極、p型半導体層、活性層、n型半導体層、n型電極が積層された構造を有している。また、本実施形態では、第1光半導体素子11は、第2光半導体素子12より幅および厚さが小さく、第3光半導体素子13より幅および厚さが小さい。
【0028】
基板10Aの第2基板102は、下面102aおよび下面102aに配された配線20Aを有する。第1光半導体素子11は、第2基板102の下面102aに配されている。第1光半導体素子11は、その上面に配された第1電極11aおよび第2電極11bを有しており、第1電極11aおよび第2電極11bのそれぞれが配線20Aに接続している。
【0029】
基板10Aの第1基板101は、上面101aおよび上面101aに配された接続バンプ30を有する。接続バンプ30は、上面101aに立設されており、先端側で第2基板102の配線20Aと接続される。接続バンプ30は、基端側で、上面101aに配された外部接続パッド21Aと接続される。接続バンプ30は、第1接続バンプ30aおよび第2接続バンプ30bを有している。外部接続パッド21Aは、第1接続バンプ30aに接続される第1パッド21Aaと、第2接続バンプ30bに接続される第2パッド21Abとを有している。第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、第1基板101の上面101aに配されている。第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、例えば、第1接続バンプ30aと第2接続バンプ30bとの間に配される。
【0030】
第2基板102の下面102aにおいて、例えば、配線20Aは、第1光半導体素子11の幅方向外方に延びている。配線20Aは、第1光半導体素子11の第1電極11aと接続する第1配線20Aaおよび第2電極11bと接続する第2配線20Abを含む。第1配線20Aaおよび第2配線20Abは、例えば、それぞれ第2基板102の端部付近まで延びて、L字状に屈曲している。第1基板101と第2基板102とは、上面101aと下面102aとを対向させ、配線20Aの屈曲部分と第1基板101の接続バンプ30とを接続することで固定される。例えば、第1基板101が第2基板102の下方に位置するような位置関係では、接続バンプ30が、第2基板102を支持する。第1光半導体素子11は、第2基板102の配線20Aおよび第1基板101の接続バンプ30を介して、第1基板101の外部接続パッド21Aと接続される。詳細には、第1光半導体素子11の第1電極11aが、第1配線20Aaと接続し、第1接続バンプ30aを介して第1パッド21Aaと接続する。また、第1光半導体素子11の第2電極11bが、第2配線20Abと接続し、第2接続バンプ30bを介して第2パッド21Abと接続する。
【0031】
第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、対向する上面101aと下面102aとの間に配されている。接続バンプ30の高さは、第1基板101に搭載される第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の厚さより大きい。第1基板101の上面101aには、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13のn型電極と接続する外部接続パッド22,23が設けられている。外部接続パッド22,23は、それぞれ第2光半導体素子12および第3光半導体素子13が搭載された状態で、長さ方向外方に延出する部分を有している。この延出部分によって、例えば、ボンディングワイヤなどを介して外部回路と電気的に接続することができる。第2光半導体素子12および第3光半導体素子13のp型電極は、n型電極とは逆に、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の上面に位置しており、例えば、ボンディングワイヤなどを介して外部回路と電気的に接続することができる。
【0032】
第2光半導体素子12および第3光半導体素子13は、いずれも光の出射点の位置が、厚さ方向の中央ではなく、一方側に偏在している。例えば、第2光半導体素子12の第2出射点12cおよび第3光半導体素子13の第3出射点13cは、第1基板101の上面101aから離れ、第2基板102の下面102aに近い位置にある。第2半導体素子12および第3半導体素子13は、支持基板を有していることから、支持基板が第1基板101側に位置するように実装されていれば、出射点の位置を第2基板102側に偏在させることができる。
【0033】
第1光半導体素子11は、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13に比べて厚さが小さく、第2出射点12cおよび第3出射点13cと第1出射点11cとを、厚さ方向において、近付けることができる。さらに、リッジ導波路を用いれば、第2光半導体素子12の第2出射点12cを、第1光半導体素子11に幅方向に近付けることができ、第3光半導体素子13も同様にして、第3出射点13cを、第1光半導体素子11に幅方向に近付けることができる。
【0034】
第2光半導体素子12および第3光半導体素子13と第2基板102の上面102aとが近づくほど、第2出射点12cおよびの第3出射点13cと第1出射点11cとが、厚さ方向において、近付くことになる。しかしながら、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の上面には、p型電極に接続された上面パッド24,25が設けられており、これら上面パッド24,25と第2基板102の上面102aの配線20Aとが近づくことになる。上面パッド24,25と配線20Aとの短絡を防止するために、例えば、配線20Aの表面に絶縁膜28を設けてもよい。絶縁膜28は、平面視で上面パッド24,25と配線20Aとが重なる部分において、配線20Aを被覆するように設けることができる。
【0035】
本実施形態では、第2出射点12cおよび第3出射点13cと第1出射点11cとを、厚さ方向において、近付けるために、第2光半導体素子12と第3光半導体素子13とを幅方向に間隔を空けて配置し、第2光半導体素子12と第3光半導体素子13との間に第1光半導体素子11が位置する構成としている。このような構成では、第1実施形態と同様に、第1出射点11cは、幅方向において、第2出射点12cの隣に位置している。また、第2光半導体素子12と第3光半導体素子13との幅方向の間隔を小さくし、第1光半導体素子11が、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の上方に位置するような構成とすることもできる。言い換えれば、平面視で、第1光半導体素子11が、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13と重なっている。このような構成では、第2出射点12cおよび第3出射点13cと第1出射点11cとが、厚さ方向において離れることになるが、第2出射点12cおよび第3出射点13cと第1出射点11cとを幅方向においてさらに近付けることができ、3つの出射点の相互の距離を近付けることができる。さらに、第2光半導体素子12と第3光半導体素子13との幅方向の間隔を小さくし、第1光半導体素子11が、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の前方に位置するような構成とすることもできる。言い換えれば、平面視で、第1光半導体素子11が、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13と重なっていない。このような構成では、第2出射点12cおよび第3出射点13cと第1出射点11cとが、長さ方向において前後に離れることになるが、第2出射点12cおよび第3出射点13cと第1出射点11cとを幅方向においてさらに近付けることができ、3つの出射点の相互の距離を近付けることができる。
【0036】
本実施形態のように第1光半導体素子11を第2光半導体素子12および第3光半導体素子13とは異なる基板に搭載することで、第1光半導体素子11の共振器長を短くすることが容易になる。第1光半導体素子11のような共振器長が短い光半導体素子は発光装置に適用した際に消費電力を小さくできるため、高い光出力を必要としないAR(拡張現実)グラスなどの用途に適している。
【0037】
基板10、第1基板101および第2基板102は、例えば、セラミック基板または有機基板、絶縁・半絶縁基板であってよい。セラミック基板で用いられるセラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化ケイ素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミック焼結体等が挙げられる。有機基板で用いられる有機材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。絶縁・半絶縁基板としては、Si基板、SiC基板が挙げられ、中でも加工性、放熱性、コストを考慮してSi基板が最も好ましい。
【0038】
第1光半導体素子11の出射光の色、第2光半導体素子12の出射光の色および第3光半導体素子13の出射光の色はそれぞれ異なっていてよい。例えば、第1光半導体素子11の出射光が青色光であり、第2光半導体素f子12の出射光が赤色光である。第3光半導体素子13の出射光は、例えば、緑色光である。第2光半導体素子12は、例えば、ガリウムひ素(GaAs)系半導体で構成される。第1光半導体素子11および第3光半導体素子13は、例えば、窒化ガリウム(GaN)系半導体で構成される。
【0039】
図9は、発光装置の例を示す斜視図である。図9に示す発光装置1は、上記の光デバイス100と、光デバイス100を搭載するパッケージ300と、を備える。本例のパッケージ300は、いわゆるTO-CAN型のパッケージである。ステム301に設けられたヒートブロック302に、光デバイス100が搭載されている。例えば、光デバイス100の外部接続パッド21などとピン303とがボンディングワイヤ(不図示)によって電気的に接続される。発光装置1は、さらに保護キャップなどを備えていてよい。ピン303を介して駆動電流が供給されると、光デバイス100の第1光半導体素子11、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13からそれぞれ光が出射される。
【0040】
図10は、発光装置の他の例を示す斜視図である。図10に示す発光装置2は、上記の光デバイス100と、光デバイス100を搭載するパッケージ304と、を備える。本例のパッケージ304は、表面実装型のパッケージである。パッケージ304は、ケース305と、ケース305の側壁を貫通するピン306と、を有する。ケース305内に光デバイス100が収納されており、例えば、光デバイス100の外部接続パッド21などとピン306とがボンディングワイヤ(不図示)によって電気的に接続される。ケース305の側壁には、光取り出し口307が設けられている。ピン306を介して駆動電流が供給されると、光デバイス100の第1光半導体素子11、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13からそれぞれ光が出射される。出射された光は、光取り出し口307から装置外部へと取り出される。
【0041】
発光装置1,2は、例えば、投影システムの光源として用いることができる。発光装置1,2から出射された光は、走査ミラーで反射されて、スクリーンに照射される。走査ミラーは、例えば、反射角度を変更することで、発光装置1,2からの出射光がスクリーン上に投影される位置をずらすことができる。投影位置をスクリーン上で連続的にずらすことでスクリーンにカラー画像を表示させることができる。光デバイス100は、第1光半導体素子11、第2光半導体素子12および第3光半導体素子13の各出射点が、相互に近接しているので、例えば、出射光を制御するためのレンズまたはミラーなどの光学系の部品点数を減らしたり、各部品を小型化することができる。
【0042】
本開示において「上面」、「下面」などの名称は、説明の便宜上、記載している名称に過ぎず、これによって、使用時の光デバイスの向きを何ら特定するものではない。例えば、光デバイス使用時に「上面」が如何なる方向に向いた状態であってもよい。
【0043】
また本開示において「第1」および「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」および「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1基板は、第2基板と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。「第1」および「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠、大きい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0044】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1,2 発光装置
10,10A 基板
10a 上面
10b 凹部
10c 搭載領域
10d 接続領域
11 第1光半導体素子
11a 第1電極
11b 第2電極
11c 第1出射点
12 第2光半導体素子
12a 第1側面
12b 第2側面
12c 第2出射点
13 第3光半導体素子
13c 第3出射点
20,20A 配線
20Aa 第1配線
20Ab 第2配線
20a 第1配線
20b 第2配線
21,21A 外部接続パッド
21Aa 第1パッド
21Ab 第2パッド
21a 第1パッド
21b 第2パッド
22,23 外部接続パッド
24,25 上面パッド
26,27 外部接続パッド
28 絶縁膜
30 接続バンプ
30a 第1接続バンプ
30b 第2接続バンプ
100 光デバイス
101 第1基板
101a 上面
102 第2基板
102a 下面
200 光デバイス
300 パッケージ
301 ステム
302 ヒートブロック
303 ピン
304 パッケージ
305 ケース
306 ピン
307 光取り出し口
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10