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特許7550074流体噴霧プレートの製造方法および流体噴霧プレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】流体噴霧プレートの製造方法および流体噴霧プレート
(51)【国際特許分類】
   F02M 61/18 20060101AFI20240905BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F02M61/18 360D
B23K1/00 330Z
F02M61/18 360A
F02M61/18 360B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021022120
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124381
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】乙部 鉄太郎
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-029827(JP,A)
【文献】特開2002-361478(JP,A)
【文献】特開平09-295134(JP,A)
【文献】特開2010-240724(JP,A)
【文献】特開平05-240129(JP,A)
【文献】米国特許第05933700(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00-71/04
B23K 1/00- 3/08
31/02
33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面にろう材が形成された第1シートを取得する第1シート取得工程と、
少なくとも片面に不働態膜形成処理により形成された不働態膜を有する第2シートを取得する第2シート取得工程と、
流体移動を調整する機能溝を前記第1シートに形成する機能溝形成工程と、
前記第1シートの前記ろう材が形成された面と前記第2シートの前記不働態膜が形成された面とを当接させて接合する接合工程と、
流体を噴霧させる噴霧孔を前記第2シートに形成する噴霧孔形成工程とを有し、
前記機能溝の底面に前記不働態膜が残ることを特徴とする、流体噴霧プレートの製造方法。
【請求項2】
前記不働態膜形成処理は、金属膜を形成する処理であり、
前記不働態膜は、前記金属膜の表面に形成されたものである
ことを特徴とする、請求項1に記載の流体噴霧プレートの製造方法。
【請求項3】
前記金属膜を構成する金属は、クロムまたはチタンを含む金属であることを特徴とする、請求項2に記載の流体噴霧プレートの製造方法。
【請求項4】
前記接合工程は、
前記ろう材が形成された面とは反対の面から前記第1シートを押圧する第1の電極と、
前記第1シートと接触する面とは反対の面から前記第2シートを押圧する第2の電極とに電圧を印加し、前記第1シートと前記第2シートとを接合することを特徴とする、請求項1に記載の流体噴霧プレートの製造方法。
【請求項5】
前記接合工程は、前記ろう材の融解と前記不働態膜の破壊とにより接合することを特徴とする、請求項4に記載の流体噴霧プレートの製造方法。
【請求項6】
燃料流体の流体移動を調整する機能溝を有する第1シートと、
前記第1シートの前記機能溝により流体移動が調整された燃料流体を噴霧させるための噴霧孔を有する第2シートと、
前記第1シートと前記第2シートとをろう材により溶接する接合部と、
前記第2シートの前記第1シート側に設けられ、前記第1シートおよび前記第2シートとは異なる金属で構成された金属膜とを有し、
前記機能溝の底面に前記金属膜が残ることを特徴とする、流体噴霧プレート。
【請求項7】
前記接合部は、前記金属膜の少なくとも一部が前記ろう材とともに合金化することを特徴とする、請求項6に記載の流体噴霧プレート。
【請求項8】
前記ろう材は、ニッケルとリンとの合金であり、
前記金属膜は、クロムを含む金属である
ことを特徴とする、請求項7に記載の流体噴霧プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴霧プレートの製造方法および流体噴霧プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の原材料である帯状体に対し、長手方向に沿って各種加工を施すことにより、部品等を製造することが知られている。
例えば特許文献1には、金属製の薄膜を準備し、薄膜に同一の開口幾何学形状を設け、センタリング装置を用いて個々の薄膜を重ね合わせ、ろう接などの接合法を使用して薄膜を結合して、多数の円形プレートを備えた孔付きディスクバンドを形成し、孔付きディスクバンドから孔付きディスクもしくは円形プレートを個別化する方法ステップを行うことを特徴とする噴射弁用の孔付きディスクの製法が開示されている。
また、例えば特許文献2には、シートAとシートBとに、各種の孔を形成する抜き工程と、打ち抜きがなされたシートAとシートBとを、ろう材を挟んで重ねる重ね工程と、重ねられたシートAとシートBとを電極ヘッドを用いて接合する接合工程と、接合されたシートに対して噴霧孔を形成する噴霧孔形成工程と、噴霧孔が形成されたシートから外形を打ち抜く打ち抜き工程と、打ち抜かれた燃料噴霧オリフィスプレートを取り出す取り出し工程と、を有する流体噴霧プレートの製造方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2000-517025号公報
【文献】特表2020-029827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2枚のシートを重ねて最終的にオリフィスプレートなどの流体噴霧プレートを製造すると、溝を有する流体噴霧プレートの製造が、シートを切削して製造する場合に比べて簡易に行える。
ここで、溝や孔を有するシートをろう材により接合する場合、溶融したろう材が溝や孔の内部に染み出し、残ることがある。この溝や孔の内部に残ったろう材は、流体の流れや体積の制御を不安定にする恐れがある。
【0005】
本発明に記載の製造方法は、2枚のシートを重ね合わせて形成される流体噴霧プレートについて、溶融しシートを接合するろう材だけをシートの表面に形成した場合と比較して、溝や孔へのろう材の染み出しを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、片面にろう材が形成された第1シートを取得する第1シート取得工程と、少なくとも片面に不働態膜形成処理により形成された不働態膜を有する第2シートを取得する第2シート取得工程と、流体移動を調整する機能溝を前記第1シートに形成する機能溝形成工程と、前記第1シートの前記ろう材が形成された面と前記第2シートの前記不働態膜が形成された面とを当接させて接合する接合工程と、流体を噴霧させる噴霧孔を前記第2シートに形成する噴霧孔形成工程と、を有し、前記機能溝の底面に前記不働態膜が残ることを特徴とする、流体噴霧プレートの製造方法である。
請求項2に記載された発明は、前記不働態膜形成処理は、金属膜を形成する処理であり、前記不働態膜は、前記金属膜の表面に形成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の流体噴霧プレートの製造方法である。
請求項3に記載された発明は、前記金属膜を構成する金属は、クロムまたはチタンを含む金属であることを特徴とする、請求項2に記載の流体噴霧プレートの製造方法である。
請求項4に記載された発明は、前記接合工程は、前記ろう材が形成された面とは反対の面から前記第1シートを押圧する第1の電極と、前記第1シートと接触する面とは反対の面から前記第2シートを押圧する第2の電極と、に電圧を印加し、前記第1シートと前記第2シートとを接合することを特徴とする、請求項1に記載の流体噴霧プレートの製造方法である。
請求項5に記載された発明は、前記接合工程は、前記ろう材の融解と前記不働態膜の破壊とにより接合することを特徴とする、請求項4に記載の流体噴霧プレートの製造方法である。
請求項6に記載された発明は、燃料流体の流体移動を調整する機能溝を有する第1シートと、前記第1シートの前記機能溝により流体移動が調整された燃料流体を噴霧させるための噴霧孔を有する第2シートと、前記第1シートと前記第2シートとをろう材により溶接する接合部と、前記第2シートの前記第1シート側に設けられ、前記第1シートおよび前記第2シートとは異なる金属で構成された金属膜と、を有し、前記機能溝の底面に前記金属膜が残ることを特徴とする、流体噴霧プレートである。
請求項7に記載された発明は、前記接合部は、前記金属膜の少なくとも一部が前記ろう材とともに合金化することを特徴とする、請求項6に記載の流体噴霧プレートである。
請求項8に記載された発明は、前記ろう材は、ニッケルとリンとの合金であり、前記金属膜は、クロムを含む金属であることを特徴とする、請求項7に記載の流体噴霧プレートである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の流体噴霧プレートの製造方法によれば、2枚のシートを重ね合わせて形成される流体噴霧プレートについて、溶融しシートを接合するろう材だけをシートの表面に形成した場合と比較して、溝や孔へのろう材の染み出しを抑制する。
請求項2記載の流体噴霧プレートの製造方法によれば、シートの表面に直接不働態膜を形成する場合と比較して、好適な不働態膜が形成されたシートを容易に取得できる。
請求項3記載の流体噴霧プレートの製造方法によれば、他の金属により金属膜を構成した場合と比較して、溝や孔へのろう材の染み出しを抑制する。
請求項4記載の流体噴霧プレートの製造方法によれば、電極によりシートが押圧されない場合と比較して、2枚のシートの接合強度が向上する。
請求項5記載の流体噴霧プレートの製造方法によれば、不働態膜の破壊が起こらない場合と比較して、2枚のシートの接合強度が向上する。
請求項6記載の流体噴霧プレートによれば、溝や孔の内部に残ったろう材による流体の制御への影響を軽減することができる。
請求項7記載の流体噴霧プレートによれば、金属膜がろう材とともに合金化していない場合と比較して、2枚のシートの接合強度が向上する。
請求項8記載の流体噴霧プレートによれば、異なる種類のろう材および金属膜を用いた場合と比較して、2枚のシートの接合強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)、(b)は、第1シートおよび第2シートの製造方法を示した図である。
図2】燃料噴霧オリフィスプレートの製造方法を示した図である。
図3】(a)、(b)は、抜き工程による加工後のシートを示した図である。
図4】重ね工程にて、第1シートと第2シートとが重ね合わされた状態を示した図である。
図5】第1シートと第2シートとを接合する接合工程について説明するための図である。
図6】(a)は本実施の形態が適用されない比較例、(b)は本実施の形態が適用される例における接合状態を示した図である。
図7】(a)、(b)は、本実施の形態が適用される燃料噴霧オリフィスプレートの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態では、図示しない内燃機関のシリンダ内に、渦状に燃料を噴霧するために用いられる燃料噴霧オリフィスプレート100(後述する図7(a)、(b)参照)を例とし、その製造方法および構成に関する説明を行う。なお、燃料噴霧オリフィスプレートは、流体噴霧プレートの一例である。
【0010】
〔燃料噴霧オリフィスプレートの製造方法〕
図1図6を用いて、本実施の形態が適用される燃料噴霧オリフィスプレートの製造方法について説明する。
図1(a)、(b)は、燃料噴霧オリフィスプレートの製造に用いられる第1シートおよび第2シートの製造方法を示す図である。ここで図1(a)は、片面にろう材の層が形成された第1シート20を準備する第1シート形成工程210を示した図である。また、図1(b)は、表面に金属膜が形成された第2シート30を取得する第2シート形成工程310を示した図である。
【0011】
〔第1シート形成工程〕
図1(a)に示す第1シート形成工程210では、ロール状に巻かれた処理前の部材であるシート10aを準備する準備工程211と、シート10aの一方の面に保護膜216を付ける保護膜形成工程212と、シート10aにろう材21の層を形成するメッキ処理工程213と、保護膜216を剥離する保護膜剥離工程214と、片面にろう材21が形成されたシート10aをロール状に巻いて第1シート20として巻き取る巻き工程215とを有している。
【0012】
準備工程211にて準備されるシート10aは、導電材である金属の板材であり、腐食が無く、加工し易く、世の中に広く普及されていて廉価であるもの、といった観点から、ステンレス鋼を採用することができる。例えばSUS304がロール状に巻かれた状態で準備される。シート10aとしては、燃料噴霧オリフィスプレート100に形成されるスワール溝の深さを決定するものとして、好ましい厚さのものが選定される(後述)。なお、メッキ処理工程213に入る前にて、良好なメッキ面を得るために脱脂を兼ねた洗浄や活性化処理が行われる。
【0013】
保護膜形成工程212では、準備工程211にて準備されたシート10aの一方の面に、保護膜216が付加される。この保護膜216としては、例えばポリエステルを基材とするフィルムであって貼り付け面に粘着剤が付与されているもの等が用いられる。
【0014】
メッキ処理工程213では、保護膜216が一方の面に付けられたシート10aを、ニッケルメッキ浴217に通し、保護膜216が形成されていない他方の面にろう材21を形成する。無電解ニッケルに求められるパラメータとしては、その後の抵抗接合を考慮して、
・ 抵抗値が高いことで溶解が優先的に起こること、
・ 融点が低いこと、
・ 数μmの膜厚でよいこと、
などが求められる。この抵抗と融点とに関して、ニッケル・リンのメッキを用いることが好ましい。なお、リンのパーセンテージが高く、純度が低下するほど、抵抗値が高くなり、融点が低くなる。一般の無電解ニッケルメッキ液は、リンの濃度により幾つかのランクに分類されているが、本実施形態では、例えばリン濃度の高い、10~13%の高リンタイプが用いられる。
このように、ニッケルメッキ浴217では、例えば次亜リン酸塩を還元剤としたメッキ浴が用いられ、形成されるろう材21としては、Ni-P合金のメッキ膜で構成される。なお、以下では、無電解Ni-Pメッキを、単に「無電解ニッケルメッキ」と呼ぶ場合がある。
【0015】
保護膜剥離工程214では、メッキ処理工程213を経由し、ろう材21が形成されたシート10aの一方の面から、保護膜216を剥離する。
【0016】
その後、巻き工程215では、片面にろう材21が形成されたシート10aを巻き取り、第1シート20が形成され、取得される。なお、このように形成して取得される第1シート20の無電解ニッケルメッキ層の厚さは、例えば1~5μmである(後述)。
【0017】
〔第2シート形成工程〕
図1(b)に示す第2シート形成工程310では、ロール状に巻かれた処理前の部材であるシート10bを準備する準備工程311と、シート10bの表面に金属膜31を形成するメッキ処理工程313と、シート10bに形成された金属膜31の表面に不働態膜32を形成する不働態膜形成工程314と、ロール状に巻いて第2シート30として巻き取る巻き工程315とを有している。
【0018】
準備工程311にて準備されるシート10bは、シート10aと同様の観点から、ステンレス鋼を採用することができる。例えばSUS304がロール状に巻かれた状態で準備される。シート10bとしては、燃料噴霧オリフィスプレート100における噴霧孔を形成するものとして、また、基材としての剛性を考慮して、好ましい厚さのものが選定される(後述)。なお、メッキ処理工程313に入る前にて、良好なメッキ面を得るために脱脂を兼ねた洗浄や活性化処理が行われる。
【0019】
メッキ処理工程313では、シート10bをクロムメッキ浴317に通し、シート10bの両面に金属膜31を形成する。このクロムメッキ浴317は、例えば、六価クロム(CrO3)のメッキ浴であり、この場合、金属膜31はクロムのメッキ膜で構成される。
【0020】
この金属膜31は、他の種類の金属により構成されても良い。金属膜31に対し求められるパラメータとしては、
・ 適宜処理することで表面に不働態膜を形成すること、
・ 形成する不働態膜の濡れ性が低いこと
などが挙げられる。
【0021】
不働態膜の形成および濡れ性を考慮すると、クロムまたはチタンを含む金属により金属膜31を構成することが好ましい。
クロムまたはチタンを含む金属は、空気や酸処理により表面が酸化し、不働態膜を形成することが知られている。クロムまたはチタンの表面での密度が高いほど緻密な不働態膜が形成され、濡れ性が低下するため、金属膜31におけるクロムまたはチタンの濃度は高い方が好ましく、クロムまたはチタン単独の金属膜31を形成することがより好ましい。
【0022】
不働態膜形成工程314では、シート10bに形成された金属膜31が空気に接触して酸化し、表面に不働態膜32が形成される。なお、金属膜31の表面に不働態膜32を形成する方法は、空気による酸化に限られるものではなく、酸処理による酸化等、他の手法を用いても良い。
【0023】
本実施の形態では、不働態膜形成処理の一例として、シート10bの上に金属膜31を形成し、この金属膜31の表面を酸化させることにより不働態膜32を形成した。しかしながら、不働態膜形成処理は、これに限られるものではない。金属膜31を設けず、シート10bの表面を酸処理等によって処理し、不働態膜32を形成してもよい。この場合、シート10bを好適な不働態膜を形成する金属、例えば、さらにクロム濃度の高い合金等により形成することで、濡れ性の低い不働態膜32が形成される。
【0024】
また、図1(b)に示す例では、第2シート30の両面に金属膜31および不働態膜32が形成される構成としたが、第2シート30の少なくとも片面に不働態膜32が形成されていてもよい。すなわち、重ね工程240において2枚のシートを重ね合わせた際に、第1シート20のろう材21が形成された面と、第2シート30の不働態膜32が形成された面とが向かい合う構成であればよく、第2シート30の、第1シート20のろう材21が形成された面と向かい合う少なくとも片面に、不働態膜32が形成されていればよい。
第2シート30の片面にのみ不働態膜32を形成する場合は、第1シート形成工程と同様に、メッキ処理工程313の前に保護膜形成工程を設けてシート10bの片面に保護膜を形成し、メッキ処理工程313の後に保護膜剥離工程を設ければよい。
ただし、この図1(b)に示す例のように、両面に金属膜31および不働態膜32が形成された構成とすることで、第2シート形成工程において保護膜形成工程および保護膜剥離工程を除くことができ、片面のみに金属膜31および不働態膜32が形成された構成と比べ、第2シート30の形成が容易になる。
【0025】
その後、巻き工程315では、両面に金属膜31および不働態膜32が形成されたシート10bを巻き取り、第2シート30が形成され、取得される。
【0026】
〔燃料噴霧オリフィスプレートの製造工程〕
図2は、ロール状の第1シート20とロール状の第2シート30とから、燃料噴霧オリフィスプレート100を製造する製造工程を示した図である。
図2に示す製造工程では、加工を施す板材であるシートを準備する準備工程220と、第1シート20と第2シート30とに、抜き型である金型231,235を用いて各種の孔を形成する抜き工程230とを有する。また、抜き工程230による打ち抜きがなされた第1シート20と第2シート30とを重ねる重ね工程240と、重ねられた第1シート20と第2シート30とを電極ヘッド251を用いて接合する接合工程250とを有する。さらに、接合工程250により接合されたシートに対して金型261によって噴霧孔を形成する噴霧孔形成工程260と、噴霧孔が形成されたシートから金型271を用いて外形を打ち抜く打ち抜き工程270と、打ち抜かれた燃料噴霧オリフィスプレート100を取り出す取り出し工程280と、を有する。打ち抜き工程270と取り出し工程280とを一つとして「取り出し工程」とすることもできる。本実施の形態が適用される燃料噴霧オリフィスプレートの製造工程では、ロール状に巻かれた金属シートを送り出し、巻き取る過程で加工を施す、所謂ロールtoロールを用いて、金属フープ材を面接合している。
【0027】
〔準備工程220〕
準備工程220は、第1シート取得工程と、第2シート取得工程とを含んで構成される。第1シート取得工程は、例えば図1(a)に示すような第1シート形成工程210にて片面にろう材21が形成された第1シート20を取得する。また、第2シート取得工程は、例えば図1(b)に示すような第2シート形成工程310にて不働態膜32が形成された第2シート30を取得する。なお、第2シート取得工程により取得される第2シート30は、前述のように、少なくとも第1シート20のろう材21が形成された面と対峙する片面に不働態膜32が形成されていればよい。
【0028】
〔抜き工程230〕
抜き工程230では、第1シート20と第2シート30とに各種の孔を形成する。第1シート20には金型231を用いて加工を施し、第2シート30には金型235を用いて加工を施している。
【0029】
図3(a)、(b)は、抜き工程230による加工後のシートを示した図であり、図3(a)は第1シート20に施される加工を示し、図3(b)は第2シート30に施される加工を示している。
図3(a)に示すように、第1シート20には、第2シート30や第1シート20に施される加工箇所を決定する基準位置となる基準孔27と、流体移動の調整、すなわち燃料流体に旋回を与えるための機能溝であるスワール溝23と、が、第1シート20への打ち抜きにより形成される。この基準孔27は、連続した帯材である第1シート20の、加工場所へのピッチ送りの基準になる。
【0030】
また、第1シート20には、第1シート20と第2シート30との接合領域の外端に沿って設けられる複数の溝部24と、隣接する溝部24の間にある接続部25とが、打ち抜きにより形成される。
この溝部24は、溝の内縁241と外縁242とを有している。
そして、接続部25は、複数の溝部24によって仕切られる内側のチップ形状が、ロール状の帯材である第1シート20から分離しないように設けられた「ブリッジ」である。このブリッジとなる接続部25は、分離を抑制するために数カ所、設けられ、図3(a)に示す例では、4箇所、形成されている。
【0031】
図3(b)に示すように、第2シート30には第1シート20と第2シート30との接合領域の外端に沿って設けられる複数の溝部34と、隣接する溝部34の間にある接続部35とが、打ち抜きにより形成される。
この溝部34の有する内縁341および外縁342の位置は、第1シート20と第2シート30とが重ね合わされた際、第1シート20の溝部24の有する内縁241および外縁242の位置とほぼ一致するよう設けられる。
そして、接続部35は、複数の溝部34によって仕切られる内側のチップ形状が、ロール状の帯材である第2シート30から分離しないように設けられた「ブリッジ」である。このブリッジとなる接続部35は、分離を抑制するために数カ所、設けられ、図3(b)に示す例では、4箇所、形成されている。また、接続部35は、第1シート20の接続部25とは重ならないように配置されている。
【0032】
また、第2シート30には、孔37が打ち抜きにより形成される。孔37は、第2シート30が第1シート20と重ね合わされた際に、第1シート20の基準孔27による孔を第2シート30にも連続させて貫通させ、その孔を塞がないように、重ね合わされた際の基準孔27の位置に合わせてその位置が決定されている。そして、孔37は、基準孔27よりも若干、大きい孔径で形成される。すなわち、基準孔27の外形は、孔37の外形に比べて小さい。
【0033】
〔重ね工程240〕
重ね工程240では、抜き工程230にて各種の孔が形成された第1シート20と第2シート30とが重ね合わされる。
図4は、重ね工程240にて、第1シート20と第2シート30とが重ね合わされた状態を示した図である。
なお、図4には、打ち抜き工程270にて打ち抜かれる燃料噴霧オリフィスプレート100の切断面101の位置が破線で示されている。
【0034】
図4では、紙面の表面側が第1シート20となり、裏面側が第2シート30となるように、重ね合わされている様子が示されている。この際、第1シート20と第2シート30とは、第1シート20のろう材21が形成された側の面と、第2シート30の金属膜31および不働態膜32が形成された側の面とが向かい合うように重ね合わせられる。
また、第1シート20の基準孔27と、第2シート30の孔37とは中心位置がほぼ一致するように配置されているが、基準孔27の外形は孔37の外形よりも小さく、すなわち径が小さく構成され、孔37が基準孔27を塞がない。その結果、次の接合工程250にて第1シート20と第2シート30とが接合された後には、基準孔27を基準として、後の工程である各種の抜き処理などが行なわれる。また、溝部24と溝部34とは重ね合わせによってほぼ位置が一致しているが、ブリッジとなる接続部25と接続部35との互いの位置は、ずれるように配置されている。本実施の形態では、互いに約45度、ずれている。
【0035】
〔接合工程250〕
接合工程250では、重ね工程240にて重ね合わされた第1シート20と第2シート30とが、第1の電極である電極ヘッド251aと第2の電極である電極ヘッド251bとによって上下から挟み込まれ、ろう材21により接合される。
【0036】
第1シート20の片面には、図1(a)に示す第1シート形成工程210等にて形成された無電解ニッケルメッキ層からなるろう材21が設けられている。また、第2シート30には、図1(b)に示す第2シート形成工程310等にて形成されたクロムメッキによる金属膜31が設けられ、その表面には不働態膜32が形成されている。図2および図4に示す重ね工程240にて、ろう材21、金属膜31および不働態膜32を介して重ね合わされた導電材である第1シート20と第2シート30とは、図5に示す電極ヘッド251a,251b(後述)によって上下から挟み込まれ、押圧される。この状態で高電流を流すことで、シート10a、シート10bよりも導通抵抗の高いろう材21に優先的に抵抗熱が加わって融解し、冷却による固化にて接合が完了する。
【0037】
この接合工程250にて行われる接合は「抵抗溶接」を前提としているが、一般の抵抗溶接に加えて、その溶融を加速させ、短時間で溶解と接合とを完了させるために、同材質シートの中間層として、接合溶融層としてのニッケル層を設け、それをろう材として機能するように構成している。より詳しくは、第1シート20に形成される無電解ニッケル層のろう材21を用いて抵抗接合を行なうことで、SUSより抵抗の高いニッケルを優先的にろう材として溶解接合させて接合を行っている。なお、SUSの融点は1400℃以上、無電解ニッケルの融点は890℃程度である。
【0038】
次に、図5および図6(a)、(b)を用いて、この接合工程250をより詳細に説明する。
図5は、本実施の形態における接合工程250を説明するための図であり、図2と同様に、側方から第1シート20と第2シート30、および電極ヘッド251a,251bを眺めている。
また、図6(a)、(b)は、電極ヘッド251a,251bが第1シート20および第2シート30に対し圧力と電流とをかけている状態を示した図である。図6(a)は、本実施の形態が適用されない比較例を示し、この第2シート30に不働態膜32が形成されていない場合の接合状態を示している。また、図6(b)は、本実施の形態が適用される例を示し、この第2シート30に不働態膜32が形成されている場合の接合状態を示している。図6(a)に示す比較例では、第1シート20に対し、シート10bが直接、重ね合わされている。
【0039】
まず、図5に示すように、重ね工程240にて重ね合わされた第1シート20と第2シート30との積層体に対し、第1シート20のろう材21が形成された面とは反対の面に電極ヘッド251aが接触する。同様に、第2シート30の第1シート20と接触する面とは反対の面に電極ヘッド251bが接触する。
この状態において、電極ヘッド251a先端の外縁と、電極ヘッド251b先端の外縁とを結んだ内側が、電極ヘッド間に挟まれた領域である電極領域61である。
【0040】
電極ヘッド251aと電極ヘッド251bとは、第1シート20および第2シート30へ夫々接触した後、さらに互いが接近する方向に移動し、積層体を予め定められた圧力で押圧した状態で、この移動を停止する。その後、電極ヘッド251aおよび電極ヘッド251bに対して予め定められた電圧を印加することで、電圧に対応する電流が積層体に流れる。
そして、この通電に伴い、電極領域61では、ろう材21の温度が上昇して融解し、少なくとも一部が液状になる。
【0041】
このとき、図6(a)に示す比較例のように、第2シート30の表面に不働態膜32が形成されていない場合には、融解したろう材21の一部がシート10bの構成するスワール溝23の底面を伝い、染み出し51を生じることがある。そして、この染み出し51が溝や孔の内部に残っていると、最終的に流体噴霧プレートとして用いる際に、流体の流れや体積の制御を不安定にする恐れがある。
【0042】
一方で、図6(b)に示すような本実施の形態が適用される例では、不働態膜形成処理により不働態膜32が形成されている。この不働態膜32の表面は、シート10bの表面に比べて濡れ性が低いため、融解したろう材21のような高極性の液体をはじく。
したがって、本実施の形態のように、第2シート30に不働態膜形成処理を行うことで、第2シート30の構成するスワール溝23の底面にて融解したろう材21がはじかれ、染み出し51の発生が抑制される。
【0043】
ところで、第1シート20におけるろう材21は、予め定められた厚さで形成される。例えば、ろう材21の厚さが1μmを下回ると、通電した際に融解するろう材21の量が少なくなり、確実な接合が行われない恐れがある。また、ろう材21の厚さが5μmを超えて例えば10μm程度まで大きくなると、融解するろう材21の量が多すぎ、不働態膜32による効果が不足して染み出し51が生じる恐れがある。したがって、ろう材21の厚さは、好ましくは1μm以上10μm未満、さらに好ましくは1~5μmの範囲で形成される。
【0044】
また、図6(b)の状態において、電極ヘッド間に挟まれた領域における第1シート20と第2シート30とが接触する接触部61aでは、電極ヘッド251a,251bからの圧力および電流により、不働態膜32が破壊され、金属膜31が露出してろう材21と接触する。そして、金属膜31の少なくとも一部がろう材21とともに合金化し、合金化領域52(後述の図7(b)参照)を形成することで、第1シート20と第2シート30との間の接合強度が向上する。
本実施の形態においては、ろう材21をニッケルとリンとの合金、金属膜31をクロムによって夫々構成している。そのために、これら2つの材料は固溶性が良く、合金化し易い。その結果、他の材料の組み合わせに比べ、第1シート20と第2シート30との間の接合強度がより向上する。
【0045】
先述のようにして第1シート20と第2シート30との積層体に対する通電が行われた後、電圧の印加が停止される。さらに、電極ヘッド251a,251bが互いに遠ざかる方向に移動し、積層体の挟み込みを解除する。通電を停止するとろう材21の温度が低下し、融解していたろう材21が固化して接合部50(図7(b)にて後述)となる。
これにより、第1シート20と第2シート30とが、ろう接により接合される。
【0046】
〔噴霧孔形成工程260〕
噴霧孔形成工程260では、接合工程250によってろう付け接合された第1シート20および第2シート30のうち、第2シート30に対し、金型261を用いて噴霧孔36を形成する。
なお、本実施の形態では、噴霧孔36を4箇所に形成する(図7(a)参照)。得られた噴霧孔36のそれぞれの内周面は、例えば円筒形状を呈している。この4つの噴霧孔36は、一度にまとめて形成されるが、4つの噴霧孔36を、複数回に分けて順次形成するように構成してもよい。
【0047】
この噴霧孔形成工程260にて貫通孔である噴霧孔36を開けるのに際し、第1シート20と第2シート30とを、金型261を有するプレス機械の位置まで搬送する必要がある。搬送では、移動(非プレス加工時)と停止(プレス加工時)とが繰り返される。このとき、第1シート20と第2シート30とが接合された帯状体は、複数の基準孔27の各々に挿入されたパイロットピン(図示せず)を用いて、停止時すなわちプレス加工時の位置決めが行われる。噴霧孔36の加工位置は、機能溝であるスワール溝23の位置に合わせて設定される。複数の基準孔22とスワール溝23とは、抜き工程230にて、第1シート20上に正確な位置合わせがなされて形成されている。そのため、第1シート20に設けられた複数の基準孔27に合わせて、第2シート30に噴霧孔36を開けることで、第1シート20のスワール溝23に対して位置が定まった状態で、第2シート30に噴霧孔36が形成される。
【0048】
〔打ち抜き工程270および取り出し工程280〕
打ち抜き工程270では、第1シート20および第2シート30が接合された帯状体について、図2に示すように金型271を用いて外形を打ち抜く。打ち抜き工程270にて打ち抜かれる領域は、図4の破線で示す切断面101である。
この打ち抜き工程270では、接合工程250により接合され噴霧孔形成工程260にて噴霧孔が形成された第1シート20および第2シート30の帯状体を引き出すとともに、引き出された部位に対し、金型271を用いて順次プレス加工による打ち抜きを行うことで燃料噴霧オリフィスプレート100を作製する、という手順を繰り返し行う。なお、燃料噴霧オリフィスプレート100が打ち抜かれた帯状体(切断屑)は、再度ロール状に巻き取られ、その後廃棄される。
【0049】
打ち抜き工程270において、帯状体は、噴霧孔形成工程260と同じく、移動(非プレス加工時)と停止(プレス加工時)とを繰り返す。このとき、帯状体は、噴霧孔形成工程260と同じく、複数の基準孔27に挿入されたパイロットピン(図示せず)を用いて、停止時すなわちプレス加工時の位置決めが行われる。
【0050】
取り出し工程280では、以上のようにして製造された燃料噴霧オリフィスプレート100が取り出される。図7(a),(b)には、取り出し工程280にて取り出された燃料噴霧オリフィスプレート100が示されている。
【0051】
〔燃料噴霧オリフィスプレート100の構造〕
図7(a)、(b)は、上述の製造方法により製造され、本実施の形態が適用される一例としての燃料噴霧オリフィスプレート100の構成を説明するための図である。図7(a)は上面から燃料噴霧オリフィスプレート100を眺めた上面図、図7(b)は、図7(a)に示す上面図の断面BBを示した図である。
【0052】
図7(a)に示すように、燃料噴霧オリフィスプレート100は、円形状、円板状を呈しており、表面且つ中央部には、第1シート20に形成されたスワール溝23が設けられている。そして、スワール溝23における4枚羽根の各々の羽根の内部には、第2シート30の表裏面すなわち厚さ方向に貫通する4つの貫通孔である噴霧孔36が設けられている。この燃料噴霧オリフィスプレート100の直径はφ10~φ20程度である。そして、切断面101により形成される外周面は、円筒形状を呈するようになっている。さらに、4つの噴霧孔36は同一の直径(例えば1mm程度)に設定されている。そして、噴霧孔36の内周面は、円筒形状を呈するようになっている。
【0053】
図7(b)に示すように、第1シート20と第2シート30との間には、ろう材21が溶解した後に固着した接合部50が存在し、この接合部50によって、第1シート20と第2シート30とが固着接合されている。
また、本実施の形態においては、接合部50と第2シート30との間に、金属膜31と不働態膜32とが存在する。さらに、金属膜31の一部がろう材21とともに合金化している合金化領域52が存在する。
【0054】
なお、この燃料噴霧オリフィスプレート100は、表面側すなわちスワール溝23が設けられている側に燃料噴霧装置が対向し、裏面側に内燃機関のシリンダが対向した状態で使用される。
【0055】
ここで、このスワール溝23の総凹み容積が、燃料の噴霧量と関わるため、対象とするシリンダの容積に合わせて最適な凹み容積が決定される。加えて、スワール溝23による「取り得る凹みの形状」が「平面積」となり、
平面積 × 深さ = 容積
である。上記の深さは、設計上、最適値として容積が決定された場合に、平面積の大きな凹みなら浅い溝となり、平面積の小さな凹みなら深い溝が必要となる。但し、燃料流体に旋回を与えるといった流体移動を調整する機能溝としては、ある程度の容積が必要であり、第1シート20の肉厚t1としては、最小値として0.15mm程度、最大値としては2mm程度である。
【0056】
また、第2シート30の肉厚t2は、噴霧孔36の長さに関係する。この噴霧孔36の長さが長くなると、折角、スワール溝23で特殊な対流を発生させても、孔を通過している最中に「単なる孔通過液体」になってしまうことから、肉厚t2は、薄い方が良いと言うこととなる。しかしながら、あまりに薄くなると、液圧そのもので変形してしまう問題が生じてしまう。そこで、適度な強度が保てる厚さは必要となる。第2シート30の肉厚t2としては、最小値として0.1mm程度、長期耐久性を考慮した場合の最大値としては0.5mm程度である。
【0057】
このように、スワール溝23による流体移動の調整と、噴霧孔36の流体噴霧機能とを考慮すると、第2シート30の肉厚t2は、第1シート20の肉厚t1よりも薄くなることが好ましい。例えば、第1シート20の肉厚t1として0.15mmが選択された場合には、第2シート30の肉厚t2として0.1mm程度が選定される。また、例えば、肉厚t1として2mm程度が選択された場合には、肉厚t2として0.5mm程度までが選定される。
【0058】
また、金属膜31の厚みと不働態膜32の濡れ性とは無関係であるため、金属膜31はできる限り薄くなるように構成してよい。本実施の形態のようにメッキ処理で金属膜31を形成する場合、金属膜31の厚みは1μm程度となる。
金属膜31をできる限り薄くなるよう構成することで、第2シート30の肉厚t2への影響が小さくなり、噴霧孔36の性能への影響を小さくすることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、ガソリンや軽油等の燃料を噴霧する燃料噴霧オリフィスプレート100を例として説明を行ったが、噴霧するのは燃料に限られるものではなく、各種流体の噴霧に用いることもできる。
【符号の説明】
【0060】
10a,10b…処理前のシート、20…第1シート、21…ろう材、23…スワール溝、24…溝部、25…接続部、27…基準孔、30…第2シート、31…金属膜、32…不働態膜、34…溝部、35…接続部、36…噴霧孔、37…孔、50…接合部、51…染み出し、52…合金化領域、61…電極領域、61a…接触部、100…燃料噴霧オリフィスプレート、101…切断面、210…第1シート形成工程、211…準備工程、212…保護膜形成工程、213…メッキ処理工程、214…保護膜剥離工程、215…巻き工程、216…保護膜、217…ニッケルメッキ浴、220…準備工程、230…抜き工程、231,235…金型、240…重ね工程、241…内縁、242…外縁、250…接合工程、251a,251b…電極ヘッド、260…噴霧孔形成工程、261…金型、270…打ち抜き工程、271…金型、280…取り出し工程、310…第2シート形成工程、311…準備工程、313…メッキ処理工程、314…不働態膜形成工程、315…巻き工程、317…クロムメッキ浴、341…内縁、342…外縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7