(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】織機及び複数層織物を織る方法
(51)【国際特許分類】
D03D 41/00 20060101AFI20240905BHJP
D03C 9/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
D03D41/00 Z
D03C9/02 A
D03C9/02 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021028361
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2024-01-25
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516221270
【氏名又は名称】ストーブリ・バイロイト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・イグナッツィ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・シュナーベル
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-25467(JP,A)
【文献】特表2018-524489(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/107715(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 41/00
D03C 9/02
D03C 3/00-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のたて糸及び複数のよこ糸を備える複数層織物(1、201、401)を織る織機(2)であって、よこ糸は異なる長さであり、
1本のよこ糸を、織機(2)のよこ糸軸線(Y90)に沿ってピックアップ位置(P94)にてピックすることと、
ピックアップ位置(P94)からよこ糸軸線(Y90)に沿ってよこ糸をたて糸の開口内に引くことと、
よこ糸をよこ糸軸線(Y90)に沿って所与位置(P91)にて解放することと
のために作られている挿入手段(90)と、
よこ糸軸線(Y90)に沿って、主たて糸(12)を案内することと、主ハーネス幅(W11)を画定することとのために作られている主ヘドル(11)と、
主ヘドル(11)を垂直経路に沿って動かすために作られている、ジャカード型の主開口機構(15)と、
を備える織機(2)において、
織機(2)が
第1補助たて糸(22)を案内することと、よこ糸軸線(Y90)に沿って第1クランプ領域(W21)を画定することとのために作られている第1補助ヘドル(21)の1組であって、第1クランプ領域(W21)が主ハーネス幅(W11)の範囲内に配置されている、第1補助ヘドル(21)の1組と、
第1補助ヘドル(21)を動かすために作られている第1補助開口機構(25)と
を備えることと、
織機(2)が、第1ピックにて、
主開口機構(15)に動かされる主ヘドル(11)によって主たて糸(12)の主開口(14)を開くことと、挿入手段(90)による第1よこ糸(100)の挿入のために第1補助開口機構(25)に動かされる第1補助ヘドル(21)によって第1補助たて糸(22)の第1補助開口(24)を開くことと、
挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を第1クランプ領域(W21)を通って引いた後かつ主開口(14)がまだ開いている間、第1クランプ領域(W21)に第1補助たて糸(22)で第1よこ糸(100)をクランプするために、第1補助開口機構(25)に動かされる第1補助ヘドル(21)によって、第1補助開口(24)を閉じることと
のために作られている
ことを特徴とする、織機(2)。
【請求項2】
第1補助開口機構(25)は、挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を主開口(14)内にまだ引いている間に第1よこ糸(100)をクランプするため第1補助開口(24)を閉じるために作られている、請求項1に記載の織機(2)。
【請求項3】
織機(2)が、
第2補助たて糸(32)を案内することと、よこ糸軸線(Y90)に沿って第2クランプ領域(W31)を画定することとのために作られている第2補助ヘドル(31)の組であって、第2クランプ領域(W31)は主ハーネス幅(W11)の範囲内に配置されている、第2補助ヘドル(31)の組と、
第2補助ヘドル(31)を動かすように作られている第2補助開口機構(35)と、
を備え、
第1クランプ領域(W21)がピックアップ位置(P94)と第2クランプ領域(W31)との間に配置されて、
織機(2)が、第1ピックにて、
挿入手段(90)による第1よこ糸(100)の挿入のため、第2補助開口機構(35)に動かされる第2補助ヘドル(31)によって第2補助たて糸(32)の第2補助開口を開くことと、
挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を第2クランプ領域(W31)を通って引いた後かつ主開口(14)がまだ開いている間、第2クランプ領域(W31)で第2補助たて糸(32)により第1よこ糸(100)をクランプするために、第2補助開口機構(35)に動かされる第2補助ヘドル(31)によって第2補助開口を閉じることとのために作られている、請求項1又は2に記載の織機(2)。
【請求項4】
第1補助開口機構(25)は、挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を第2クランプ領域(W31)内に引いている間、第1よこ糸(100)をクランプするため第1補助開口(24)を閉じるために作られている、請求項3に記載の織機(2)。
【請求項5】
織機(2)は、第1補助開口機構(25)を支持する桁(85、86)を備え、第1補助開口機構(25)は、よこ糸軸線(Y90)に平行に、桁(85、86)に沿った位置に調整可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の織機(2)。
【請求項6】
第1補助開口機構(25)が、
第1補助ヘドル(21)の中の主補助ヘドルを、主反復運動に従って動かす、主アクチュエータ(81)と、
第1補助ヘドル(21)の中の副補助ヘドルを、主反復運動と反対の副反復運動に従って動かす、副アクチュエータ(82)と
を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の織機(2)。
【請求項7】
第1補助開口機構(25)は、固定子(83)及びプーリー(84)を備える少なくとも1つのアクチュエータ(81、82)を備え、
各プーリー(84)は、少なくとも1つの第1補助ヘドル(21)を動かすように作られている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の織機(2)。
【請求項8】
各プーリーは3つの第1補助ヘドル(21)を動かすように作られている、請求項7に記載の織機(2)。
【請求項9】
主開口機構(15)は、
選択可能な複数のフックであって、各フックが少なくとも1つの主ヘドル(11)を駆動する、選択可能な複数のフックと、
選択可能な複数のフックを上方の位置と下方の位置との間で駆動する、複数のブレードと、
ブレードを駆動する主軸と
を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の織機(2)。
【請求項10】
複数のたて糸及び複数のよこ糸を備える複数層織物(1、201、401)を織機(2)によって織る方法であって、よこ糸は異なる長さであり、織機(2)は
1本のよこ糸を、織機(2)のよこ糸軸線(Y90)に沿ってピックアップ位置(P94)にてピックすることと、
ピックアップ位置(P94)からよこ糸軸線(Y90)に沿ってよこ糸をたて糸の開口内に引くことと、
よこ糸をよこ糸軸線(Y90)に沿って所与位置(P91)にて解放することと
のために作られている挿入手段(90)と、
よこ糸軸線(Y90)に沿って、主たて糸(12)を案内することと、主ハーネス幅(W11)を画定することとのために作られている主ヘドル(11)と、
主ヘドル(11)を垂直経路に沿って動かすために作られている、ジャカード型の主開口機構(15)と、
を備える、前記方法において
織機(2)が
第1補助たて糸(22)を案内することと、よこ糸軸線(Y90)に沿って第1クランプ領域(W21)を画定することとのために作られている第1補助ヘドル(21)の1組であって、第1クランプ領域(W21)が主ハーネス幅(W11)の範囲内に配置されている、第1補助ヘドル(21)の1組と、
第1補助ヘドル(21)を動かすために作られている第1補助開口機構(25)と
を備えることと、
前記方法が、第1ピックにて、
主開口機構(15)に動かされる主ヘドル(11)によって主たて糸(12)の主開口(14)を開くことと、挿入手段(90)による第1よこ糸(100)の挿入のために第1補助開口機構(25)に動かされる第1補助ヘドル(21)によって第1補助たて糸(22)の第1補助開口(24)を開くこと(S1)と、
挿入手段(90)によって第1よこ糸(100)をピックアップ位置(P94)にてピックすること(S2)と、
挿入手段(90)によって、ピックアップ位置(P94)から主開口(14)の中及び第1補助開口(24)の中に、第1よこ糸(100)を引くこと(S3)と、
挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を第1クランプ領域(W21)を通って引いた後かつ主開口(14)がまだ開いている間、第1クランプ領域(W21)で第1補助たて糸(22)により第1よこ糸(100)をクランプするために、第1補助開口機構(25)に動かされる第1補助ヘドル(21)によって、第1補助開口(24)を閉じること(S4)と、
挿入手段(90)によって第1よこ糸(100)を解放すること(S5)と、
主ヘドル(11)によって主開口(14)を閉じること(S6)と
を備えることを特徴とする、複数層織物(1、201、401)を織る方法。
【請求項11】
第1ピックの間、第1補助開口機構が、
挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を第1クランプ領域(W21)を通って引いた後と、
挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を主開口(14)内にまだ引いている間と
に、第1よこ糸(100)をクランプする第1補助開口(24)を閉じる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
織機(2)が、
第2補助たて糸(32)を案内することと、よこ糸軸線(Y90)に沿って第2クランプ領域(W31)を画定することとのために作られている第2補助ヘドル(31)の組であって、第2クランプ領域(W31)は主ハーネス幅(W11)の範囲内に配置されている、第2補助ヘドル(31)の組と、
第2補助ヘドル(31)を動かすように作られている第2補助開口機構(35)と、
を備え、
第1クランプ領域(W21)がピックアップ位置(P94)と第2クランプ領域(W31)との間に配置されて、
前記方法が、第1ピックにて、
第2補助開口機構(35)に動かされる第2補助ヘドル(31)によって第2補助開口を開くこと(S7)であって、第1よこ糸(100)を挿入手段(90)で引くことは第1よこ糸(100)を第2補助開口内に引くことを備える、第2補助開口を開くこと(S7)と、
主開口(14)がまだ開いている間に挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を第2クランプ領域(W31)を通って引いた後かつ挿入手段(90)が第1よこ糸(100)を解放する前、第2クランプ領域(W31)で第2補助たて糸(32)を持って第1よこ糸(100)をクランプするために、第2補助開口機構(35)に動かされる第2補助ヘドル(31)によって第2補助開口を閉じること(S9)と、
を備える、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、第1ピックにて、第1よこ糸(100)をピックした後、よこ糸軸線(Y90)に沿って、第1クランプ領域(W21)から第2クランプ領域(W31)までの距離に等しい所与の長さで第1よこ糸(100)を切断すること(S8)をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1ピック後に実行される第2ピックにて、前記方法は
主開口機構(15)に動かされる主ヘドル(11)によって主開口(14)を開くことと、第1補助開口機構(25)に動かされる第1補助ヘドル(21)によって第1補助開口(24)を開くこと(S10)と、
挿入手段(90)によって、ピックアップ位置(P94)にて第2よこ糸(101)をピックすること(S11)と、
挿入手段(90)によって第2よこ糸(101)をピックアップ位置(P94)から主開口(14)の中及び第1補助開口(24)の中に引くこと(S12)と、
挿入手段(90)が第2よこ糸(101)を第1クランプ領域(W21)を通って引いた後かつ主開口(14)がまだ開いている間、第1クランプ領域(W21)内で第1補助たて糸(22)により第2よこ糸(101)をクランプするために第1補助開口機構(25)に動かされる第1補助ヘドル(21)によって第1補助開口(24)を閉じること(S13)と、
挿入手段(90)によって第2よこ糸(101)を解放すること(S14)と、
主ヘドル(11)によって主開口(14)を閉じること(S15)と
をさらに備え、
第1補助開口(24)を第2ピックにて開くことは、
第1ピックの間に第1よこ糸(100)の周りに交差された第1補助たて糸(22)のいずれも交差しないことを備え、それにより第2ピックの終わりに、第1補助たて糸(22)のいずれにも分離されることなく、第1よこ糸(100)及び第2よこ糸(101)がいっしょに積み重ねられる、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
織機(2)は、
第3補助たて糸(42)を案内し、よこ糸軸線(Y90)に沿って第3クランプ領域(W41)を画定するように構成されている第3補助ヘドル(41)の一組であって、第3クランプ領域が主ハーネス幅(W11)内に配置されている、第3補助ヘドル(41)の一組と、
第3補助ヘドル(41)を動かすために構成された第3補助開口機構(45)と、
を備え、
前記方法は、第1ピックの後に実行される中間ピックにおいて、
第1よこ糸(100)が主開口(14)の上又は下に配置されるように、主開口機構(15)に動かされる主ヘドル(11)により主開口(14)を開くこと(S16)と、
挿入手段(90)を用いて、ピックアップ位置(P94)で中間よこ糸(102)をピックすること(S17)と、
挿入手段(90)によって、中間よこ糸(102)をピックアップ位置(P94)から主開口(14)に引くこと(S18)と、
挿入手段(90)によって、中間よこ糸(102)を解放すること(S19)と、
主開口機構(15)に動かされる主ヘドル(11)によって、主開口(14)を閉じて、第1よこ糸(100)と中間よこ糸(102)が同じピック積み重ねに重ねられるようにすること(S20)と
さらにを備えて、前記方法は、中間ピックの後に実行される第3ピックにおいて、
中間よこ糸(102)が第1よこ糸(100)と主開口(14)との間に位置するように、主開口機構(15)により動かされる主ヘドル(11)によって主開口(14)を開くことと、第3補助開口機構(45)により動かされる第3補助ヘドル(41)によって、第3補助たて糸(42)の第3補助開口を開くこと(S21)と、
挿入手段(90)によって、ピックアップ位置(P94)で第3よこ糸(103)をピックすること(S22)と、
挿入手段(90)によって、第3よこ糸(103)をピックアップ位置(P94)から主開口(14)及び第3補助開口に引くこと(S23)と、
挿入手段(90)が第3よこ糸(103)を第3クランプ領域(W41)に引いた後かつ主開口(14)がまだ開いている間に、第3クランプ領域(W41)にある第3補助たて糸(42)で第3よこ糸(103)をクランプするために、第3補助開口機構(45)によって動かされる第3補助ヘドル(41)によって第3補助開口を閉じること(S24)と、
挿入手段(90)によって、第3よこ糸(103)を解放すること(S25)と、
主ヘドル(11)によって、主開口(14)を閉じて、それにより第1よこ糸(100)と、中間よこ糸(102)と、第3よこ糸(103)とが同じピック積み重ねに重ね合わされ、中間よこ糸(102)が第1よこ糸(100)と第3よこ糸(103)の間にあるようにすること(S26)と
さらにを備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、中間ピックの間、
よこ糸軸線(Y90)上で第1補助ヘドル(21)を維持することと、
よこ糸軸線(Y90)の下に第3補助ヘドル(41)を維持すること
とを備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、中間ピックにて、
第1補助開口機構(25)に動かされる第1補助ヘドル(21)によって第1補助開口(24)を開き、それにより、中間よこ糸(102)が挿入手段(90)によって第1補助開口(24)に挿入されることと、
第3補助開口機構(45)に動かされる第3補助ヘドル(41)によって第3補助開口を開き、それにより、中間よこ糸(102)が挿入手段(90)によって第3補助開口に挿入されることと
の少なくとも一方を備える、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、第1ピックにて、張力をかけられた第1補助たて糸(22)で第1よこ糸(100)をクランプするために第1補助開口(24)を閉じる一方で、第1補助たて糸(22)の張力を増加させることを備える、請求項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数層織物を織るための織機及び複数層織物を織る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たて糸とよこ糸を複数層のパターンで織り、立体プリフォームを作ることが知られている。このタイプのプリフォームは、ファンブレードなどのような三次元複合部品の製造に使用されることがある。
【0003】
特許文献1(EP3121317A1)は織物を織るための方法を開示し、この方法では、たて糸の開口(ひ口)によこ糸を引く際に、所定のグループのたて糸が挿入されているよこ糸周りの開口を閉じるためのやや閉じた位置に移動される。したがって、挿入されているよこ糸は、その並進運動中にこのグループの糸によって案内又はクランプされ、よこ糸が布の全幅と比較して比較的短い長さに切断された場合でも、よこ糸の正確かつ正確な位置決めを可能にする。
【0004】
しかしながら、この方法を実装するには、ヘドルを駆動するためにハーネス幅全体に沿って個々のアクチュエータを備える高度な織機を使用する必要がある。この型式の織機は複雑で高価である。さらに、糸のグループの唯一の役割は、よこ糸を誘導又はクランプすることによって織りを容易にすることであるが、この糸のグループは、完成した布に織り込まれたままである。したがって、完成した布に残るのに適して、よこ糸を破損せずに正しく誘導又はクランプするのに適した糸の選択は困難である。
【0005】
特許文献2(DE102015109785)は、3次元複合部品の製造に使用するための2次元織物を開示する。織物には、結合糸で結ばれた短縮された補強糸が含まれる。しかしながら、織りの際に補強糸が保持されないため、補強糸の配置が不十分になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第3121317号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015109785号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、前述の問題を解決し、製織中のよこ糸のクランプを可能にしながら、より単純な構造の新しい織り織機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、たて糸及びよこ糸を備える複数層織物を織る織機に関する。よこ糸は異なる長さであり、織機は、
1本のよこ糸を、織機のよこ糸軸線に沿ってピックアップ位置にてピックすることと、
ピックアップ位置にてよこ糸軸線に沿ってよこ糸をたて糸の開口内に引くことと、
よこ糸をよこ糸軸線に沿って所与位置にて解放することと
のために作られている挿入手段を備える。
織機は、よこ糸軸線に沿って、主たて糸を案内することと、主ハーネス幅を画定することとのために作られている主ヘドルを備える。織機は、主ヘドルを垂直経路に沿って動かすために作られている、ジャカード型の主開口機構を備える。織機は、第1補助たて糸を案内することと、よこ糸軸線に沿って第1クランプ領域を画定することとのために作られている第1補助ヘドルの1組であって、第1クランプ領域が主ハーネス幅の範囲内に配置されている、第1補助ヘドルの1組を備える。織機は、第1補助ヘドルを動かすために作られている第1補助開口機構を備える。織機は、第1ピックにて、
主開口機構に動かされる主ヘドルによって主たて糸の主開口を開くことと、挿入手段による第1よこ糸の挿入のために第1補助開口機構に動かされる第1補助ヘドルによって第1補助たて糸の第1補助開口を開くことと、
主開口がまだ開いている間に挿入手段が第1よこ糸を第1クランプ領域を通って引いた後、第1よこ糸を第1たて糸により第1クランプ領域にクランプするために、第1補助開口機構に動かされる第1補助ヘドルによって、第1補助開口を閉じることと
のために作られている。
【0009】
本発明の織機は、第1補助ヘドルを介して第1補助たて糸の位置決め専用とされ、主開口機構とは別構造として実装される第1補助開口機構を備えて実装される。
よって、第1補助開口機構及び第1補助ヘドルは、任意のピックでのよこ糸のクランプ専用であってよい。第1補助開口機構は、この目的のために特別に設計されている場合がある一方、主開口機構は一般的なままであってもよい。主開口機構は、主ヘドルを駆動する選択可能なフック及びブレードを備え機構として有利に実施可能であり、個々のヘドルアクチュエータを持つような機構よりも安価である。しかしながら、第1補助開口機構は、例えば、第1補助ヘドルを駆動する個々のアクチュエータを備えることによって、よこ糸クランプ要件により固有となり得る。
【0010】
別の実施形態では、最初はよこ糸クランプを達成できない既存の織機は、よこ糸クランプを可能にするために、補助開口機構及び第1補助ヘドルを追加して本発明による織り織機に改良されてもよい。
【0011】
本発明の追加の任意の特徴を以下に与える。
【0012】
好ましくは、第1補助開口機構は、挿入手段がまだ第1よこ糸を主開口に引いている間に、第1よこ糸をクランプするために第1補助開口を閉じるように作られている。
【0013】
好ましくは、織機は、第2補助たて糸を案内し、よこ糸軸に沿って第2クランプ領域を画定するように作られている一組の第2補助ヘドルを備え、第2クランプ領域は主ハーネス幅内に配置される。そして、第2補助ヘドルを動かすために構成された第2補助開口機構を備える。好ましくは、第1クランプ領域は、ピックアップ位置と第2クランプ領域との間に配置される。好ましくは、織機は、第1ピックにて、第2補助開口機構によって動かされる第2補助ヘドルによって、第1よこ糸を挿入するために、第2補助たて糸の第2補助開口を開くように作られている。挿入手段は、第1ピックにて、第2補助開口機構によって動かされる第2補助ヘドルによって第2補助開口を閉じるように作られていて、挿入手段が第2クランプ領域を通して第1よこ糸を引いた後かつ主開口がまだ開いている間に第2クランプ領域で第2補助たて糸で第1よこ糸をクランプする。
【0014】
好ましくは、第1補助開口機構は、挿入手段が第1よこ糸を第2クランプ領域に引いている間、第1よこ糸をクランプするために第1補助開口を閉じるように作られている。
【0015】
好ましくは、織機は、第1補助開口機構を支持する桁を備え、第1補助開口機構は、よこ糸軸線に平行に、桁に沿って位置を調整可能である。
【0016】
好ましくは、第1補助開口機構は、主往復運動に従って、第1補助ヘドルの中の主補助ヘドルを動かす主アクチュエータを備える。そして第1補助開口機構は、調整可能な交点を持つ、主往復運動と反対の副往復運動に従って、第1補助ヘルドの中の副補助ヘルドを移動させる副アクチュエータを備える。
【0017】
好ましくは、第1補助開口機構は、固定子と固定子に対して回転して駆動されるプーリーとを備える少なくとも1つのアクチュエータを備える。そして、各プーリーは、第1補助ヘドルのうちの少なくとも1つ、好ましくは3つの第1補助ヘドルを動かすように構成されている。
【0018】
好ましくは、主開口機構は、選択可能なフック(複数)を備え、それぞれのフックは主ヘドルの少なくとも1つを駆動する。主開口機構は、上向きと下向きの位置の間で選択可能なフックを駆動するブレードを備える。そして主開口機構は、ブレードを駆動する主軸を備える。
【0019】
本発明はまた、複数のたて糸及び複数のよこ糸を備える複数層織物を織機によって織る方法に関し、よこ糸は異なる長さであり、織機は
1本のよこ糸を、織機のよこ糸軸線に沿ってピックアップ位置にてピックすることと、
ピックアップ位置にてよこ糸軸線に沿ってよこ糸をたて糸の開口内に引くことと、
よこ糸をよこ糸軸線に沿って所与位置にて解放することと
のために作られている挿入手段を備える。
織機は、よこ糸軸線に沿って、主たて糸を案内することと、主ハーネス幅を画定することとのために作られている主ヘドルを備える。織機は、主ヘドルを垂直経路に沿って動かすために作られている、ジャカード型の主開口機構を備える。織機は、第1補助たて糸を案内することと、よこ糸軸線に沿って第1クランプ領域を画定することとのために作られている第1補助ヘドルの1組であって、第1クランプ領域が主ハーネス幅の範囲内に配置されている、第1補助ヘドルの1組を備える。織機は、第1補助ヘドルを動かすために作られている第1補助開口機構を備える。
【0020】
この方法は、第1ピックにて、
主開口機構に動かされる主ヘドルによって主たて糸の主開口を開くことと、挿入手段による第1よこ糸の挿入のために第1補助開口機構に動かされる第1補助ヘドルによって第1補助たて糸の第1補助開口を開くことと、
挿入手段によって第1よこ糸をピックアップ位置にてピックすることと、
挿入手段によって、ピックアップ位置から主開口の中及び第1補助開口の中に、第1よこ糸を引くことと、
挿入手段が第1よこ糸を第1クランプ領域を通って引いた後かつ主開口がまだ開いている間、第1クランプ領域で第1たて糸により第1よこ糸をクランプするために、第1補助開口機構に動かされる第1補助ヘドルによって、第1補助開口を閉じることと、
挿入手段によって第1よこ糸を解放することと、
主ヘドルによって主開口を閉じることと
を備える。
【0021】
本発明の追加の任意の特徴を以下に与える。
【0022】
好ましくは、第1ピックの間、第1補助開口機構は、挿入手段が第1よこ糸を第1クランプ領域に引いた後、かつ挿入手段が第1よこ糸を主開口内にまだ引いている間に、第1よこ糸をクランプする第1補助開口を閉じる。
【0023】
好ましくは、織機は、
第2補助たて糸を案内することと、よこ糸軸線に沿って第2クランプ領域を画定することとのために作られている第2補助ヘドルの組であって、第2クランプ領域は主ハーネス幅の範囲内に配置されている、第2補助ヘドルの組と、
第2補助ヘドルを動かすように作られている第2補助開口機構とを備える。
好ましくは、第1クランプ領域(W21)がピックアップ位置(P94)と第2クランプ領域(W31)との間に配置されている。この場合、前記方法は、第1ピックにて、
挿入手段による第1よこ糸の挿入のため、第2補助開口機構に動かされる第2補助ヘドルによって第2補助たて糸の第2補助開口を開くことであって、挿入手段により第1よこ糸をひくことが、第1よこ糸を第2補助開口内に引くことを備える、第2補助たて糸の第2補助開口を開くこととと、
主開口がまだ開いている間に挿入手段が第1よこ糸を第2クランプ領域を通って引いた後かつ挿入手段が第1よこ糸を解放する前に、第2クランプ領域で第2補助たて糸を持って第1よこ糸をクランプするために、第2補助開口機構に動かされる第2補助ヘドルによって第2補助開口を閉じることとを備える。
【0024】
好ましくは、この方法は、前記第1ピックにおいて、第1よこ糸をピックした後、よこ糸軸線に沿って、第1クランプ領域から第2クランプ領域までの距離に等しい所与の長さで第1よこ糸を切断することをさらに備える。
【0025】
好ましくは、この方法は、第1ピック後に実行される第2ピックにて、
主開口機構に動かされる主ヘドルによって主開口を開くことと、第1補助開口機構に動かされる第1補助ヘドルによって第1補助開口を開くことと、
挿入手段によって、ピックアップ位置にて第2よこ糸をピックすることと、
挿入手段によって第2よこ糸をピックアップ位置から主開口の中及び第1補助開口の中に引くことと、
挿入手段が第2よこ糸を第1クランプ領域を通って引いた後かつ主開口がまだ開いている間、第1クランプ領域内で第1補助たて糸により第2よこ糸をクランプするために第1補助開口機構に動かされる第1補助ヘドルによって第1補助開口を閉じることと、
挿入手段によって第2よこ糸を解放することと、
主ヘドルによって主開口を閉じることと
をさらに備える。好ましくは、第1補助開口を第2ピックにて開くことは、第1ピックの間に第1よこ糸の周りに交差された第1補助たて糸のいずれも交差しないことを備え、それにより第2ピックの終わりに、第1補助たて糸のいずれによっても分離されることなく、第1よこ糸及び第2よこ糸がいっしょに積み重ねられる。
【0026】
好ましくは、織機は、
第3補助たて糸を案内し、よこ糸軸線に沿って第3クランプ領域を画定するように構成されている第3補助ヘドルの一組であって、第3クランプ領域が主ハーネス幅内に配置されている、第3補助ヘドルの一組と、
第3補助ヘドルを動かすために構成された第3補助開口機構と、
を備える。好ましくは、この方法は、第1ピックの後に実行される中間ピックにて、
第1よこ糸が主開口の上又は下に配置されるように、主開口機構によって動かされる主ヘドルにより主開口を開くことと、
挿入手段を用いて、ピックアップ位置で中間よこ糸をピックすることと、
挿入手段によって、中間よこ糸をピックアップ位置から主開口に引くことと、
挿入手段によって、中間よこ糸を解放することと、
主開口機構によって動かされる主ヘドルによって、主開口を閉じて、最初のよこ糸と中間よこ糸が同じピック積み重ねに重ねられるようにすることと
をさらに備える。好ましくは、この方法は、中間ピックの後に実行される第3ピックにて、
中間よこ糸が第1よこ糸と主開口との間に位置するように、主開口機構により動かされる主ヘドルによって主開口を開くことと、第3補助開口機構により動かされる第3補助ヘドルによって、第3補助たて糸の第3補助開口を開くことと、
挿入手段によって、ピックアップ位置で第3よこ糸をピックすることと、
挿入手段によって、第3よこ糸をピックアップ位置から主開口及び第3補助開口に引くことと、
挿入手段が第3よこ糸を第3クランプ領域に引き込んだ後であり、主開口がまだ開いている間に、第3クランプ領域にある第3補助たて糸で第3よこ糸をクランプするために、第3補助開口機構によって動かされる第3補助ヘドルによって第3補助開口を閉じることと、
挿入手段によって、第3よこ糸を解放することと、
主ヘドルによって、主開口を閉じて、それにより第1よこ糸と、中間よこ糸と、第3よこ糸とが同じピック積み重ねに重ね合わされ、中間よこ糸が第1よこ糸と第3よこ糸の間にあるようにすることとをさらに備える。
【0027】
好ましくは、この方法は、中間ピックの間、よこ糸軸線上で第1補助ヘドルを維持することと、よこ糸軸線の下に第3補助ヘドルを維持することとを備える。
【0028】
好ましくは、この方法は、中間ピックにおいて、
第1補助開口機構によって動かされる第1補助ヘドルによって第1補助開口を開き、それにより、中間よこ糸が挿入手段によって第1補助開口に挿入されることと、
第3補助開口機構によって動かされる第3補助ヘドルによって第3補助開口を開き、それにより、中間よこ糸が挿入手段によって第3補助開口に挿入されることとの少なくとも一方を、備える。
【0029】
好ましくは、この方法は、第1ピックで、張力をかけられた第1補助たて糸で第1よこ糸をクランプするために第1補助開口を閉じながら、第1補助たて糸の張力を増加させることを備える。
【0030】
本発明は、本発明の目的を限定することなく、添付の図に対応して例示的な例として与えられる以下の説明に基づいてよりよく理解されるであろう。添付の図は、以下のものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図4】
図4は、
図1から
図3の織機の一部の概略図であり、織機によって織られている複数層織物の部分的な縦断面を示す。
【
図5】
図5は、
図1から
図4の織り機の一部を合成した図であり、上部に織り機で織られている複数層織物の上面図を示し、底部に織物の横断面を示し、底部の織物は同じ縮尺で示され、方向Y1に沿って同じ座標に配置されている。
【
図7】
図7は、
図1から
図6の織機に実装され得る方法の連続するステップ間の、本発明による複数層織物の別の実施形態の概略透視図である。
【
図8】
図8は、
図1から
図6の織機に実装され得る方法の連続するステップ間の、本発明による複数層織物の別の実施形態の概略透視図である。
【
図9】
図9は、
図1から
図6の織機に実装され得る方法の連続するステップ間の、本発明による複数層織物の別の実施形態の概略透視図である。
【
図10】
図10は、
図1から
図6の織機に実装され得る方法の連続するステップ間の、本発明による複数層織物の別の実施形態の概略透視図である。
【
図11】
図11は、
図1から
図6の織機に実装され得る方法の連続するステップ間の、本発明による複数層織物の別の実施形態の概略透視図である。
【
図13】
図13は、本発明による複数層織物の別の実施形態の詳細の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1から
図3は、本発明による織機2を示す。この織機2は、たて糸とよこ糸を織り合わせて、連続糸を織り込んだ複数層織物1を形成するために使用されるものである。より具体的には
図4及び
図5に示されている。
【0033】
図4及び
図5に示されるように、複数層織物1は、
図4の断面に示される織りよこ糸と、
図5の断面に示されるたて糸とを備える。織物1は、たて糸方向X1と、よこ糸方向Y1と、層方向Z1とを画定する。たて糸は一般にたて糸方向X1に沿って配向される。よこ糸は一般によこ糸方向Y1に沿って配向される。
【0034】
複数層織物1は、テクニカル織物の品質認証のものであることがある。好ましくは、複数層織物1は、強化樹脂などを含浸させたプリフォームを備える、複合材料の三次元部品を製造するための三次元プリフォームを構成するように構成される。製造される部品は、ファンブレードなどであってよい。
【0035】
図4は、織り中の複数層織物1を示す。この状況では、未完成の織物1は、織り前3、すなわち、糸が織られている方向Y1に平行に向けられた前縁を備える。
【0036】
図4及び
図5に示されるように、複数層織物1は、方向X1及び方向Y1に平行に配向され、方向Z1に平行に分布する連続層を備え、各層は、織り込まれたよこ糸及びたて糸によって形成され、隣接する層は、その層のたて糸及びよこ糸のインターリーブによって交互に配置されている。
図4及び
図5の例では、織物1の層L0、層L1、層L2、層L3、層L4、層L5及び層L7がわかる。
【0037】
複数層織物1において、所与の層に含まれるよこ糸は、次の層に含まれるよこ糸の長さとは異なる長さを有してもよい。例えば、
図5に示すように、層L0のよこ糸100は、層L0の下の層L2のよこ糸よりも短くなっている。したがって、複数層織物1は、ニアネットプリフォームを構成するように成形可能である。
【0038】
複数層織物1は、方向Y1及び方向Z1に平行に配向され、方向X1に平行に分布する連続するピック積み重ねを備え、各ピック積み重ねは、織り込まれたよこ糸及びたて糸で作られ、隣接するピック積み重ねは、そのピック積み重ねのたて糸及びよこ糸のインターリーブによって交互に配置される。
図4にあるピック積み重ねP1は、6つの重ねられたよこ糸で構成される。ピック積み重ねP1は、織り前3にある。(ピック積み重ねP1に)連続するピック積み重ねP2が
図4に示されている。
【0039】
ヤーンパッケージを備えるクリール、又はたて糸ビームスタンド、又は他のたて糸配送ユニットは、織機2にたて糸を供給する。織機に供給するたて糸は、織り前3にて織物1に入る。たて糸配送ユニットは、織物1に対して方向X1と反対の方向に配置される。織機2によって織られた織物1を受け入れる布ビーム又は他の受容ユニットは、図示されていないが、配送ユニットに対する方向X1において、織物1の、織り前3の反対側の端部に実装される。
【0040】
織機2は、主ヘドル11と、
図4及び
図5に示される補助ヘドル21、31、41を含む補助ヘドルとを備える。主ヘドル11及び補助ヘドル21、31、41は、織り前3について、方向X1の反対方向に配置される。主ヘドル11は、たて糸配送ユニットによって供給された主たて糸12を織り前3に、特に垂直経路に沿って案内するように構成されている。補助ヘドルは、特に垂直経路に沿って、たて糸配送ユニットによって布に供給された補助たて糸を案内するように構成されている。主たて糸は「製品たて糸」と呼ばれることもある。補助たて糸は、「プロセスたて糸」又は「プロセス及び製品たて糸」と呼ばれることもある。
【0041】
特に、補助ヘドル21、31及び41は、それぞれ、
図4及び
図5に示される補助たて糸22、32及び42を案内する。この目的のために、各主ヘドル11は、このへドル11によって動かされる主たて糸12を受け入れる主アイレット13を備える。ヘドル21などの各補助ヘドルは、このヘドル21によって動かされるたて糸22のような補助たて糸を受け取る補助アイレット23のようなの補助アイレットを備える。
【0042】
主ヘドル11は、連続する織りピック中に主たて糸12の主開口14(主ひ口14)を連続的に開閉するために、方向Z1に平行な経路に沿って、ここでは垂直に、選択的に相互に移動可能である。
【0043】
主開口14を開くことは、主へドル11が各主たて糸12を交点位置から選択的に引き上げ又は引き下げることによって達成される。主開口14を閉じることは、主へドル11が主たて糸12を交点に選択的に引き戻すことによって達成される。各ピックにおいて、開いた主開口14は、前のピックとは異なる形状であってよい。すなわち、意図した織り方に応じて、引き上げられた主たて糸12と引き下げられた主たて糸12との異なる組み合わせを意味する場合がある。
【0044】
主ヘドル11は、
図5に概略的に示されているように、よこ糸軸線Y90に沿って主ハーネス幅W11に沿って分配されている。
【0045】
主ハーネス幅W11は、よこ糸軸線Y90に沿って、2つの両最側部の主ヘドル11の一方から他方まで、又は2つの両最側部の主たて糸12の一方から他方まで測定された距離に対応する。主ハーネス幅W11はまた、よこ糸方向Y1に平行に測定されるときの、織機2で織られる可能性のある織物の最大幅に対応する。
【0046】
よこ糸軸線Y90はよこ糸方向Y1に平行である。
図4に概略的に示されるように、布落下3は、よこ糸軸線Y90に対して方向X1に配置され、一方、よこ糸軸線Y90は、よこ糸方向Y1に平行であり、主ヘドル11に対して方向X1に配置される。
【0047】
主ヘドル11は、移動される、すなわち、
図1に見られる織機2の主開口機構15によって作動される。主ヘドル機構15は、ヘドル11に対して方向Z1に、すなわちヘドル11の上に配置される。作動すると、主ヘドル11は、織機2の主ハーネス16によって開口機構15に接続される。主ハーネス16は、複数のハーネスコード(通糸)を備えていて、各通糸は、ヘドル11の1つ又はグループを開口機構15に接続する。ハーネス16は、有利には、主開口機構15と主ヘドル11との間に挿入された主カンバー板(目板)17を備え、各主ヘドル11は、カンバー板17によって案内されるためにカンバー板17のそれぞれの開口を通過する。カンバー板17は、正しい位置決めを確実にし、ヘドル11の動きを案内するものである。カンバー板17は、好ましくは、方向Y1及びX1に平行に向けられる。
【0048】
主開口機構15はジャカード型である。換言すると、機構15は、他のヘドル11のシーケンス又はヘドル11のグループのシーケンスとは独立して、ユーザ定義の非反復シーケンスに従って、各主ヘドル11又は主ヘドル11のグループを作動できるようにする。好ましくは、主開口機構15は、機械式又は電子式のジャカード機である。一般に、この型式の開口機構は、リングベルの外形に従って主へドルを駆動することのみを可能にするか、少なくとも、上部位置、下部位置、場合によっては、固定された動きのパターンに従って、特に重ね合わせたレピアの適用の中間位置で、限られた数の異なる位置へのへドルの動きのプログラミングのみを可能にする。好ましい一実施形態では、主開口機構15は、選択可能なフック、各フック、又はフックの対を備え、単一の主ヘドル11又は主ヘドル11のグループを駆動する。各主ヘドル11又は主ヘドル11のグループは、1フックに、あるいは主ハーネス16のコードの1つを介してフックの1対に、吊り下げられる。フックは、例えば電磁的選択手段を介して、よこ糸方向Y1に平行な主開口機構15の2つの平行なブレード上に選択的に吊り下げられる。選択可能なフックを上向きと下向きの位置の間で駆動するために、各ブレードは反対の往復運動に従って作動する。主開口機構15はまた、ブレードを駆動するための共通の主軸又はアクチュエータを備える。主軸は織機の主軸と同期している。主開口機構15が主ヘドルを選択的に駆動するための単一のアクチュエータを備えたこの実施形態では、機構15は、いくつか個別のアクチュエータを介してヘドルを作動することになる開口機構よりも安価で複雑ではない。
【0049】
補助ヘドルは別々のセットで分配されている。例えば、補助ヘドルのセット21、補助ヘドルのセット31、及び補助ヘドルのセット41を備える、いくつかの補助ヘドルの8つのセットを織機2に実装可能である。好ましくは、補助ヘドルの各セットは、少なくとも3つの補助へドルを備える。好ましくは、補助ヘドルの各セットは、20未満、好ましくは10未満、好ましくは5未満、好ましくは正確に3つの補助ヘドルを備える。
【0050】
各セットについて、補助ヘドルは、方向Z1、ここでは垂直な方向に平行な経路に沿って相互に選択的に反復運動され、連続する各織りピック中に補助たて糸の補助開口を連続的に開閉する。各補助開口は、1セットの補助ヘドルにそれぞれ対応し、常に同じセットの補助たて糸に関係する。
図4に示されるように、補助ヘドル21は、補助たて糸22の補助開口24を開閉する。
【0051】
補助開口を開くことは、それぞれの補助ヘドルのセットによって達成される。これらの補助ヘドルは、このセットの各補助たて糸を交点の位置から選択的に引き上げたり引き下げたりする。補助開口の閉鎖は、このセットの補助ヘドルによって達成され、このセットの補助たて糸を選択的に交点に引き戻す。各ピックにおいて、所与のセットについて、開いた補助開口は、前のピックとは異なる形状であってよい。すなわち、意図の織り方に応じて、引き上げられた補助たて糸と引き下げられた補助たて糸の異なる組み合わせを意味することがある。
【0052】
各セットについて、補助ヘドルは、
図5に概略的に示されるように、よこ糸軸線Y90に沿ったクランプ領域に沿って分配されている。特に、補助ヘドル21は、クランプ領域W21を画定し、補助ヘドル31は、クランプ領域W31を画定する。補助ヘドル41は、クランプ領域W41を画定する。各クランプ領域に沿って、同じセットの補助へドルがグループ化されるため、各クランプ領域は、ハーネス幅W11のサイズの10分の1から1000分の1以下など、ハーネス幅W11と比較して小さくなる。好ましくは、各セットについて、補助ヘドルは互いに直接隣接している。各セットについて、クランプ領域は、よこ糸軸線Y90に沿って、2つの最遠部補助ヘドルの一方から他方まで、又はこのセットの2つの最遠部補助たて糸の一方から他方まで測定された距離に対応する。
【0053】
各クランプ領域は、主ハーネス幅W11内に完全に配置され、すなわち、主ハーネス幅W11の端部を超えて延在せず、主ハーネス幅W11のごく一部のみを覆う。クランプ領域は、互いに分離されていてもよく、重なる部分があっても、重ね合わせられていてもよい。例えば、クランプ領域W21は、よこ糸軸線Y90に沿ってクランプ領域W31から分離されている。クランプ領域W31及びW41は、よこ糸軸線Y90に沿って重ね合わせられている。
【0054】
セットごとに、補助ヘドルが動かされる、すなわち、織機2のそれぞれの補助開口機構によって作動される。補助開口機構は、主開口機構と同じ主制御ユニットで制御されるようにすることもあれば、織機2の主制御ユニットに同期される別の補助制御ユニットによって制御されるようにすることもある。
【0055】
図3に見えるように、補助ヘドル21は補助開口機構25によって動かされ、補助ヘドル31は補助開口機構35によって動かされ、補助ヘドル41は補助開口機構45によって動かされる。各セットについて、補助開口機構は、それが駆動する補助へドルに対してZ1方向に配置される。作動させるために、補助ヘドルは、セットにそれぞれ対応する織機2の補助ハーネスによって、当該セットの開口機構に接続されている。例えば、ヘドル21は補助ハーネス26によって駆動され、ヘドル31は補助ハーネス36によって駆動され、ヘドル41は補助ハーネス46によって駆動される。各補助ハーネスは複数の通糸を備えて、各通糸は、関係するセットの補助ヘドルの1つ又はグループを同じセットの開口機構に接続する。
図5に示されるように、主カンバー板17は、補助カンバー板27及び37を備える補助カンバー板と有利に組み合わされる。各セットについて、各補助ヘドルは、それによって案内されるために補助カンバー板の1つのそれぞれの開口を通過する。したがって、補助カンバー板は、補助へドルとその通糸の正しい配置とガイドを保証する。好ましくは、各補助ヘドルセットに、1つの補助カンバー板のみが充てられる。1つの補助カンバー板が複数の補助ヘドルセットに充てられる場合がある。例えば、補助ヘドル21は全て補助カンバー板27を通過し、補助ヘドル31及び41は全て補助カンバー板37のそれぞれの部分を通過する。ここで、カンバー板37はヘドル31及び41に共有されている。
【0056】
補助カンバー板の配置は、
図5に示すように、対応するクランプ領域の位置を画定する。例えば、補助カンバー板27は、軸線Y90に沿ってクランプ領域W21と同じ位置に配置される。
【0057】
図5に示すように、各補助カンバー板は、主カンバー板17の端部に取り外し可能に取り付けることもあれば、恒久的に取り付けることもある。この実施形態の利点は、補助へドルのセットの必要に応じて、補助カンバー板の追加及び/又は取り外し及び/又は位置調整を可能にすることである。代替的に、補助カンバー板を主カンバー板に統合してもよく、すなわち、全ての主及び補助ヘドルを単一の共通カンバー板に通すようにすることがある。
【0058】
図3に示されるように、各補助開口機構は、一次アクチュエータ81及び二次アクチュエータ82を好ましくは備えて、それらアクチュエータは別々の構造であり、互いに独立した作動を生成するように独立して作動されてもよく、そして他の開口機構のアクチュエータから独立して作動されるようにしてもよい。アクチュエータ81及び82のそれぞれは、好ましくは、電気サーボモーターである。詳細には、アクチュエータ81及び82のそれぞれは、好ましくは、電力供給と制御の下で、固定子83と回転子との電磁相互作用によって回転子に対して回転して駆動されるようにアクチュエータの回転子に取り付けられた固定子83及びプーリー84を備える。
【0059】
各プーリー84は、3つのそれぞれの補助へドルを駆動するために、少なくとも1つの補助通糸、好ましくは3つの通糸を駆動する。以下に説明するように、挿入されたよこ糸を十分にクランプするために重要な補助開口が駆動されるように、3つ又はそれ以上の補助へドルが補助機構の各アクチュエータによって駆動されることが好ましい。
【0060】
各セットについて、補助ヘドルは、一次アクチュエータ81によって駆動される一次補助ヘドルと、二次アクチュエータ82によって駆動される二次補助ヘドルとで構成される。例えば、
図4では、左側の補助ヘドル21は、一次補助ヘドルの1つであり、右補助ヘドル21は、ヘドル21のセットの二次補助ヘドルの1つである。各セットについて、一次補助ヘドルは、補助開口の一次側、例えば開口の上部を形成するための一次往復運動に従って駆動される。その一方で、二次補助ヘドルは二次往復運動に従って駆動され、補助開口の反対側、例えば開口の底部を形成する。二次往復運動は、一次往復運動とは反対である。一次及び二次補助へドルは2つの独立したアクチュエータ81及び82によって駆動されるので、それらの往復運動の交点は、必要に応じて織り中に調整されることがある。
【0061】
代替的に、各補助開口機構は、固定子及びプーリーを備える1つのアクチュエータのみを有するものとしてもよく、この場合のプーリーは、一次及び二次補助へドルを作動させる。この場合、織りの交点は固定された位置にある。
【0062】
代替的に、補助機構のアクチュエータによって駆動される第1補助ヘドルによって案内される第1補助たて糸は、主たて糸と補助開口を形成するようにしてもよく、その結果、補助たて糸を主たて糸に向かって移動させることができる。挿入手段がクランプ領域を通してよこ糸を引いた後、よこ糸をクランプ領域にクランプする。
【0063】
いずれの場合でも、織機2は、好ましくは、少数のアクチュエータと、主開口機構の主アクチュエータと、補助開口機構のためのより多くのアクチュエータとを備える。
【0064】
補助ハーネスの各通糸は、複数の補助ヘドルを駆動可能であるので、実際にはより多くの補助ヘドルが駆動されるが、各アクチュエータ81及び82に対して3つ未満の通糸が実装されるだろう。より一般的には、3つより多い又は少ない3つの補助通糸が、アクチュエータ81及び82のそれぞれによって駆動されることがある。また、3つより多い又は少ない補助へドルが、各アクチュエータ81及び82によって駆動されることがある。
【0065】
代替的に、アクチュエータ81又は82のプーリー84は、補助ハーネス通糸に接続された2つ以上の補助ヘドルを駆動する補助通糸を駆動し、その結果、プーリーは、同様の往復運動で補助たて糸を案内する一組の補助ヘドルを駆動する。例えば、非表示の上部プラスチック結合部は、補助ヘドルの対応する隣接する上側の両最側の対を受け入れるための2つのハウジングを備える。
【0066】
代替的に、2つ以上の補助ヘドルがアイレットの下に接続されていて、非表示の結合手段、例えば、補助ヘドルの対応する隣接する下側の最側部を受け入れるためのそれぞれの垂直受容溝を備えた下部プラスチック結合、及び1つの通糸を接続する溝があり、これにより、同様の戻り手段、例えば強い負荷のある戻り手段のよい効果を得られる。有利には、通糸は結び目で下部プラスチック結合部に接続され、補助ヘドルとアイレットの高さが必要に応じて設定される場合がある。
【0067】
ヘドルは、おもりや弾性手段などのよく知られた戻り手段、例えば、機械の下部にある固定枠部に接続された垂直ばねで後方に引き出される。
【0068】
別の代替案では、2つの隣接するばねを、表示されていない下部のプラスチック結合部に接続された単一のばねに置換可能である。
【0069】
図3に示されるように、織機は、好ましくは、方向Y1に平行に配向された2つの桁85及び86を備える。桁85及び86は、補助ハーネスの通糸に対して最小の角度が得られるように、好ましくは主ハーネス16の近くに配置される。より正確には、方向Y1に平行に、桁85及び86は、主ハーネス幅W11に対応して有利に配置される。桁85及び86は、好ましくは、主カンバー板17及び/又は補助カンバー板に対して方向Z1に配置される。桁85及び86は、旋回接続によって織機2の固定部分に有利に接続され、それにより、桁85及び86は、保守又は点検のために主ハーネス16から離れるように旋回可能である。
【0070】
各補助開口機構は、桁85と86のいずれかによって支持される。
図3に示すように、機構25と35は桁85によって支持され、機構45は桁86によって支持される。この例では、それぞれ桁は、それぞれ合計4つの補助開口機構を支持する。方向Y1に平行に、各補助開口機構は、補助ハーネスの通糸の最小角度が得られるように、関連する補助開口機構によって駆動される補助へドルによって定義されるクランプ領域にほぼ対応して配置される。
【0071】
織機2の使用では、各補助開口機構はその桁によって固定的に支持される。織りの前に、各補助開口機構の位置は、よこ糸軸線Y90に平行な開口機構の位置を調整するために、支持桁に沿って調整されるようにしてもよい。また、織りの前に、各補助開口機構を桁から取り外すか、追加の補助開口機構を桁に追加可能である。したがって、対応する補助ヘドルセットは、入手する布地に応じて、又は布地を操作するプロセスに応じて、織機2に都合よく取り外し又は追加可能である。したがって、補助ヘドルと開口機構は非常に用途が広い。また、既存の織機には、補助的な開口機構を簡単に設けられる。
【0072】
好ましくは、2つの補助開口機構35及び45は、補助カンバー板37を共有し、重ねられたクランプ領域W31及びW41を画定可能にするために、軸線Y90に沿った対応する位置で2つの桁85及び86にそれぞれ分散される。
図3及び
図5の例では、8つの補助開口機構は、よこ糸軸線Y90に平行に分散された4対の開口機構を実際画定する。各対について、補助開口機構の1つは桁85によって支持され、もう一方は桁86によって支持されている。各対について、補助開口機構のペアを駆動する補助へドルは、同じ補助カンバー板を共有し、重ねられたクランプ領域を画定する。したがって、この例では、4つのクランプ領域のみが画定される場合は、各クランプ領域は、2組の補助ヘドルに関連付けられるものである。この原則は、補助ヘドルと補助開口機構のセットの数に関係なく適用可能である。
【0073】
代替的に、全ての補助開口機構を支持する1つの桁のみを実装するようにしてもよい。代替的に、2つより多いの桁が、その上に補助開口機構の任意の適切な分布で実装されるようにしてもよい。
【0074】
織機2は、織物1を織るために、主及び補助たて糸の開いた主及び補助開口によこ糸を挿入するための単一のレピアシステム又は任意の他の適切な挿入手段90を備える。挿入手段90は、織機2のよこ糸軸線Y90に沿って配置される。この例では、挿入手段90は、
図5に概略的に示される、レピア91を備える単一のレピアシステムである。単一のレピアシステムの場合、単一のよこ糸が各ピックに挿入される。ダブル又はマルチレピアの場合、各ピックに複数の新しいよこ糸が平行に挿入されるだろう。
【0075】
挿入手段90は、各ピックで、すなわち各織りサイクルで、織り込まれる新しいよこ糸をよこ入れするように構成される。例えば、新しいよこ糸100は、よこ糸配送ユニット94から選択される。よこ糸100は、よこ糸軸線Y90に沿ったピックアップ位置P94でよこ入れされる。
図5に示されるように、ピックアップ位置P94は、主ハーネス幅W11の外側、すなわち、方向Y1において、主たて糸12の主開口14の横に位置している。よこ糸100をよこ入れするために、レピア91は、好ましくは、
図5に概略的に示される端部クランプ92を備えている。
【0076】
よこ糸配送ユニット94の例が
図1に示され、ピックアップ位置P94でよこ入れされる新しいよこ糸を配送するように構成されている。好ましくは、ユニット94は、異なるよこ糸パッケージを備えていて、各よこ糸パッケージは、炭素、ケブラー(登録商標)、アラミド又はガラスのような所与のタイプの強化繊維を有するよこ糸、又は異なる公称直径を有するよこ糸を備える。この場合、よこ糸配送ユニット94は、よこ糸選択部を備えてもよく、よこ糸選択部により、必要なよこ糸が各ピックでよこ入れされるようになる。
【0077】
挿入手段90は、よこ糸100の前端を軸線Y90の周りに開いたたて糸の開口を通して、よこ糸100の前端を方向Y1と反対の方向に平行移動させることによって、よこ糸軸線Y90に沿ってピックアップ位置P94からよこ糸100を引くように構成されている。
図5に示されるように、レピア91は、よこ糸100の前端を保持する端部クランプ92を用いて、方向Y1と反対の方向に引っ張られる。レピア91及びよこ糸100の軌道は、軸線Y90に沿っている。
【0078】
挿入手段90は、切断手段93を備え、切断手段93は、軸線Y90に沿って、主ハーネス幅W11の外側で、ピックアップ位置P94と同じ側に配置されている、はさみなどである。引かれたよこ糸100は、引きの間又は引き後に、切断手段93によって適切な長さで切断される。引き出されたよこ糸の長さは、よこ糸軸線Y90に沿ったレピア91の異なる位置で配送ユニット94から緯糸100を切断することにより、変わりうる。
【0079】
引き後、挿入手段90は、
図5に示す位置P91など、よこ糸軸線Y90に沿った所与の位置でよこ糸100を解放する。この所定の解放位置P91では、引き抜かれたよこ糸100は、主ハーネス幅W11内に完全に配置される。特に、よこ糸100の2つのよこ糸端部は、主ハーネス幅W11内に配置されている。よこ糸100を解放するために、端部クランプ92が開かれる。よこ糸100を解放することは、方向Y1に平行な、織物1におけるよこ糸100の将来の位置を決定する。
【0080】
よこ入れ、引き、解放のこれらのサブステップは、たて糸の開いている開口によこ糸を挿入するステップを構成する。
【0081】
織機2は、おさ95を有利に備える。おさ95は、非表示のスレーによって作動され、ヘドルと織り前3との間で移動可能である。
図4では、おさ95は、その初期位置が実線で示され、そのおさ打位置が破線で示されている。おさ95は、織物1に対して方向X1に沿ってよこ糸100の位置を設定するように、挿入されたよこ糸100を各ピックの終わりに織り前3に対して打ち込むように構成されている。
【0082】
図5に示されるように、織物1の各ピックの積み重ねは、織り込まれたよこ糸及び主たて糸12を含み、補助たて糸はない主部111を備える。換言すると、補助たて糸は、織物1の主部111に織り込まれていない。主部111は、主ヘドル11及び主開口機構15によって織られている。
【0083】
また、
図5に示されるものなど、織物1のピックの積み重ねの少なくともいくつかについて、織物1は、
図5に示されるクランプ部112、113、及び114のようなクランプ部を備える。各クランプ部は、主部111の隣にあり、(複数の)クランプ領域の1つにわたって形成されている。例えば、クランプ部112は、クランプ領域W21に形成され、クランプ部113は、クランプ領域W31に形成され、クランプ部114は、クランプ領域W41に形成される。各クランプ部は、織り込まれたよこ糸端部及び補助たて糸を含み、好ましくは主たて糸を持たない。特に、クランプ部112は、ヘドル21及び機構25によって補助たて糸22で織られ、クランプ部113は、糸32、ヘドル31及び機構35で織られ、一方、(クランプ)部114は、糸42、ヘドル41及び機構45で織られる。
【0084】
各クランプ部は、1つ又は複数の端部が主ハーネス幅W11の端に達しない場合、1つのよこ糸又はいくつかの連続するよこ糸の先端で形成される。換言すれば、よこ糸の少なくとも1つの端部について、よこ糸が主ハーネス幅よりも短い場合に、クランプ部が形成される。よこ糸のもう一方の端部が主ハーネス幅W11のもう一方の端部に達する場合、主部111の端部にクランプ部は形成されない。各クランプ部は、1つの層のみ、又は複数の連続する層に対して形成される。よこ糸の先端は、軸線Y90に沿って同じ位置、すなわち同一クランプ領域内に配置される。1つのクランプ部は、よこ糸軸線Y90に沿った同じ位置に位置する、連続するよこ糸のいくつかの端部を再グループ化可能である。
【0085】
2つのクランプ部を備える各層において、主部111は、クランプ部を超えて延在するのではなく、クランプ部の間のみに延在する。例えば、層L0において、クランプ部112及び113は、主部111の各側に織り込まれ、主部111は、クランプ部112と113との間にのみ延在する。
【0086】
1つのクランプ部のみを備える各層において、主部111は、主ハーネス幅W11の他端まで延在する。例えば、クランプ部115は、層L2の左端を形成し、一方、主部111は、クランプ部115から層L2の反対側の端部まで延在し、前記反対側の端部は、主ハーネス幅W11の端部に対応する位置にある。
【0087】
よこ糸がハーネス幅W11と同じ長さを持つ各層では、クランプ部は提供されず、主部は、当該層の一端から他端まで延在する。
【0088】
好ましくは、同じクランプ領域で重なり合うか又は重なる2つのクランプ部に関連する補助へドルであるが、方向Z1に対して織物1の反対側に関係する、補助へドル31及び41のような補助へドルは、ここでは同じ補助カンバー板、例えばカンバー板37を介して受けられている。好ましくは、補助開口機構25及び35のように織物1の上側のクランプ部に専用の補助開口機構は、上部桁85によって支持され、一方、補助開口機構45のように織物1の下側のクランプ部に専用の補助開口機構は、下側桁86によって支持されている。
【0089】
クランプ部は、主開口機構とは別の、補助ヘドルと補助開口機構により織られているので、主部とは別に、クランプ部の異なるタイプの糸、異なる織りパターン、及び/又は異なる織り変数の選択が容易である。有利なことに、安価なポリプロピレン糸を、主たて糸としてのみ使用できる高価なカーボンたて糸材料の使用に替えて、主たて糸のクランプ機能を最適化するための補助たて糸として使用できる。
【0090】
織機2は、複数層織物1を織る方法の実行を可能にする。
【0091】
織機2は、いくつかの連続するピックを実施するように構成され、各ピックは、織物1への追加のよこ糸の織りに対応する。
【0092】
連続するピックの中で、織機2は、
図4から
図6に示されるように、「第1ピック」として指定されたピックを実施するように構成される。
【0093】
主ヘドル11と補助ヘドル21及び31の動きの全体的形状を
図6に示す。
【0094】
図6では、横軸は主開口機構15の主軸の回転角θを表す。1回のピック中に、主軸は1回転する。すなわち、最初の開始時に0°(度)から回転し、第1ピックの最後に、360°まで回転する。
図6は、左側の第1ピックを含む、2つの連続するピック全体を示す。
【0095】
図6では、縦軸は方向Z1に平行な関連するヘドルの位置Zを表し、0は交点の位置を表する。
【0096】
図6において、曲線G11は、主ヘドル11を表す。曲線G21は、補助ヘドル21を表す。曲線G31は、補助ヘドル31を表す。線G100は、挿入手段90による開口へのよこ糸100の挿入を表す。線G100の始まりは、挿入手段がよこ糸100をちょうどピッキングした時間を表す。線G100の太さは、よこ糸100をクランプするための補助開口の構成を象徴的に表す。線G100の終わりは、ピックの終わりを表す。
【0097】
記号「IV」は、
図4と、
図5の上面図とに対応するタイミングを示す。
【0098】
補助ヘドル21及び31は軸線Y90上に配置され、その結果、クランプ領域W21は、クランプ領域W31とピックアップ位置P94との間に配置される。これらの2つのクランプ領域W21及びW31は、軸線Y90に沿って分けられ、それにより、いくつかの主たて糸12及び対応する主ヘドル11は、ヘドル21によって動かされる補助たて糸22とヘドル31によって動かされる補助たて糸32との間に配置される。
【0099】
図6の曲線G11に示されるように、θ=0°で開始される初期ステップS1の間に、主開口14は、主開口機構15によって動かされる主ヘドル11によって開かれる。主開口14の開口は、θ=180°で最大である。
図6の参照S1は、ステップS1の開始時刻を示している。
【0100】
ステップS1に続く別のステップS6で、ここでは、θ=180°で開始し、主開口14は主ヘドル11によって閉じられ、主開口機構15によって戻される。主開口14の閉じはθ=360°で達成される。主ヘドル11の開閉形状は、
図6に示されるように、好ましくはリングベル形状、すなわち正弦波形状である。
【0101】
図6の曲線G21に示されるように、θ=0°で開始されるステップS1の間に、補助開口24は、対応する補助開口機構25によって動かされる補助ヘドル21によって開かれる。θ=180°の前で、補助開口24を開くことが中断される。ここでは、補助開口24の開放は、およそθ=120°で中断される。この中断の角度値は、よこ糸軸線Y90に沿ったクランプ領域W21の位置に依存する。クランプ領域W21がピックアップ位置P94に近いほど、へドル21の開放を中断するための角度は小さくなる。ステップS1に続くがステップS6の前に実行されるステップであって、ここではθ=120°で開始される、別のステップS4で、補助開口24は、補助ヘドル21によって閉じられ、関連する補助開口機構25によって戻される。補助開口24の閉鎖は、主ヘドル11が主開口14の閉じを達成する前、又は主ヘドル11による主開口14の閉じを開始する前にも達成される。
【0102】
図6の曲線G31に示されるように、θ=0°で開始されるステップS7の間に、補助たて糸32の補助開口は、対応する補助開口機構35によって動かされる補助ヘドル31によって開かれる。この補助開口を開くことは、θ=180°の前に中断される。ここでは、この補助開口を開くことは、およそθ=160°で中断される。この角度値は、よこ糸軸線Y90に沿ったクランプ領域W31の位置に依存する。クランプ領域W31がピックアップ位置P94に近いほど、補助開口の開きを中断する角度が小さくなる。ステップS7に続くがステップS6の前に実行され、ここではθ=160°で開始されるステップS9にて、この補助開口は、補助ヘドル31によって閉じられ、関連する補助開口機構35によって戻される。この補助開口を閉じることは、主ヘドル11が主開口14の閉じを達成する前に達成されるか、あるいは主ヘドル11が主開口14の閉じを開始する前に達成される。補助たて糸32の補助開口の閉じは、補助開口24の閉鎖後に達成される。代替の1つでは、補助開口の開閉は180°後に行う。
【0103】
アクチュエータ81及び82を備える、これまでに定義した補助開口機構は、
図6に示される補助開口の開閉外形がリングベル外形とは相違するものを可能にする。したがって、補助ヘドルによる補助開口の閉鎖は、特に主開口が主ヘドルによって閉じられる前に、任意の所望のタイミングで達成可能である。補助開口を閉じるとは、交点の近くで、2本の補助たて糸が近づく、2本の補助たて糸を駆動する、又は2本の補助たて糸を引っ張ることを指す。補助開口内によこ糸が存在すると、よこ糸はクランプされる。よこ糸の厚さにもよるが、開口はよこ糸の周りでわずかに開いたままなので、開口は「半閉じ」である。「閉じ」という用語は、そのようなわずかな開き又は半開構成を含むことを意図することとする。
【0104】
前述のステップS1、S4、S6、S7及びS9の間、他の補助へドルは、層L0の織りを妨げないように、好ましくは閉じられ、交点から離れて置かれる。例えば、
図6の曲線G41が示すように、補助ヘドル41は、主開口14が完全に開いているときの下部主ヘドル11の最大位置よりも低い底部位置に配置され、それにより、対応する補助開口が閉じられ、主開口14の下に配置される。クランプ部115を形成する1つの補助ヘドルのような、他の補助へドルが提供される場合、それらはまた、曲線G51が示すように主開口14が完全に開いているとき、上部主へドル11の最大位置よりも高く配置されることがある。
【0105】
ヘドル及び開口機構によるステップS1、S4、S6、S7及びS9の実行と並行して、挿入手段90は、ピックアップ位置P94でよこ糸100をよこ入れするステップS2を実行するように構成される。例えば、このステップS2は、好ましくは100°で開始される。
【0106】
ステップS2の前に、好ましくは、配送ユニット94のよこ糸セレクターによる必要なよこ糸パッケージの選択のステップがあり、そこからよこ糸100が選択されなければならない。一実施形態では、開口がヘドルによって十分に開かれると、レピア91は、ステップS1の後、ステップS2の前に、よこ糸軸線Y90に沿って挿入手段90のアクチュエータによって迅速に移動され、ピックアップ位置P94に到達する。次に、ステップS2は、ピッキング、すなわち、端部クランプ92によるよこ糸100の捕捉を備える。ピッキングS2は、ヘドル21が開かれる少し前、すなわち、S4が開始される前に達成される。
【0107】
ピッキングS2の直後に、挿入手段90は、ピッキングされたよこ糸100をよこ糸軸線Y90に沿って方向Y1と反対の方向に引くステップS3を開始する。この目的のために、例えば、レピア91は、前記アクチュエータによって方向Y1と反対の方向に引っ張られ、したがって、端部クランプ92に引っ掛かったその先端によってよこ糸100を引っ張る。
【0108】
引きの間、よこ糸100は、最初にクランプ領域W21を通過する、すなわち、ヘドル21によって開かれた補助たて糸22の補助開口24に挿入される。よこ糸100が補助開口24を通過する間、閉じステップS4は、開口24が開始されるので、補助開口24は、よこ糸100の前端、したがってレピア91がクランプ領域W21から出るとすぐに閉じることが好ましい。したがって、補助開口24の閉鎖は、主開口14を閉じる前、及びよこ糸100が完全に引き抜かれる前に、クランプするように、すなわち、補助たて糸22を用いてクランプ領域W21でよこ糸100の並進を案内するように操作される。よこ糸100はクランプされていて、引きの間に正確に案内され、配置される。換言すると、よこ糸は、主開口が開いている間、又は開口が閉じられる前にも、固定される。換言すると、よこ糸は主開口が閉じる前に所定の位置に安定する。換言すると、補助たて糸22の補助開口24は、挿入手段がよこ糸を解放した後、主たて糸が一定時間主開口を閉じるように、ピック中の主たて糸12の動きを待ち構えている。これは、織物1内に挿入されたよこ糸の信頼できる位置を得るのに有利である。換言すると、挿入されたよこ糸は、クランプ領域の補助たて糸のため、織物内での伸ばされた状態にできる。
【0109】
張力をかけられた補助たて糸22でよこ糸100をより強力にクランプするために、補助開口24を閉じるときに補助たて糸22の張力を、好ましくは増加させる。張力の増加は、たて糸配送手段を介して得られてもよく、布梁又はプログラムされる可能性のある追加の機構を介して得られてもよい。
【0110】
よこ糸100の引きS3は、補助開口24が閉じられている間も継続し、それにより、よこ糸100は、補助たて糸22によってクランプされながら、クランプ領域W21とW31との間の開いた主開口14を通して挿入される。換言すると、挿入手段90が第1クランプ領域W21を通して第1よこ糸100を引いた後、挿入手段90がまだよこ糸を引いている間に、よこ糸100を補助たて糸22でクランプするため、補助開口機構25は、補助開口24を閉じる。
【0111】
好ましくは、補助開口機構25は、補助開口24を閉じるように構成されていて、これにより、よこ糸100がクランプ領域W31を通って引き出される間、よこ糸100がクランプ領域W21にクランプされる。
【0112】
よこ糸100の前端がクランプ領域W31に到達すると、補助たて糸32の第2補助開口が開いている。次に、引きステップS3は、よこ糸100をクランプ領域W31の第2補助開口に引き込むことを含む。よこ糸100が補助ヤーン32の補助開口を通過する間又は通過する前に、前記の補助開口を閉じるステップS9が開始され、それにより、補助ヤーン32の補助開口は、好ましくは、よこ糸100の前端が、よってレピア91が、クランプ領域W31から出ている。このステップS9は、
図4と、
図5の上部とに示す。したがって、主開口14の閉じの達成前、又は主開口14の閉じの開始前、及びよこ糸100が完全に引かれてクランプされる前に、すなわち、補助たて糸32を用いてクランプ領域W31でよこ糸100の並進を案内する前に、補助たて糸32の補助開口の閉じが操作される。よこ糸100は、両端部でクランプされ、引きの間に正確に案内され、配置される。クランプ領域W21の補助開口の閉じは、レピアがクランプ領域から引かれる少し前に起こるようにしてもよく、それにより、補助たて糸は、端部クランプがクランプ領域から引かれるとすぐによこ糸をクランプする。
【0113】
よこ入れS2の後、好ましくは引きステップS3の間に、よこ糸100を切断するステップS8は、切断手段93によって操作される。切断は、よこ糸100が、クランプ領域W21からクランプ領域W31まで延在する距離に等しい、すなわち主ハーネス幅W11よりも短い、所与の長さになるように操作される。したがって、クランプ領域W21及びW31の両方を通って引かれると、よこ糸100の各端部は、
図5に示すように、クランプ領域W21及びW31の1つに配置される。よこ糸100は、好ましくは、クランプ領域W21及びW31を超えて延在しないか、あるいはわずかに超えて延在するだけである。したがって、よこ糸の経済性が得られる。それとは関係なく、よこ糸100は、クランプ領域W21及びW31の両方の端部でクランプされているので、精度よくかつ正確に配置されている。
【0114】
代替的に、よこ糸を所定の長さに切断し、引きステップの前にマガジンに保管することもある。
【0115】
引きS3が終了し、よこ糸100がよこ糸軸線Y90に沿って必要な位置にある、すなわち、よこ糸100の前端が位置P91にあると、挿入手段90は、ステップS5で、好ましくは、主開口14はS6で閉じ始めるが、主開口14が完全に閉じる前である。解放は、好ましくは、補助たて糸32の補助開口が完全に閉じられた後に操作され、したがって、よこ糸100は、領域W31にクランプされる。この目的のために、端部クランプ92が開かれる。解放ステップS5の後、主開口14が完全に閉じる前に、例えば、レピア91が主ハーネス幅W11から完全に外側になるまで、レピア91を方向Y1に引くことによって、挿入手段90が主ハーネス幅W11から引き出される。
【0116】
よこ糸100は、挿入手段90が引かれた後、主開口14が完全に閉じられる前に、おさ95によっておさ打ちされる。
【0117】
第1ピックの終わりに、クランプ部112がクランプ領域W21に形成され、クランプ部113が領域W31に形成され、主部111の一部が、層L0のためクランプ部112と113との間に形成される。
【0118】
次に、
図5に示す層L1のように連続する層と、同じピック積み重ね又は連続するピック積み重ねとに対して、同じパターンによる連続するピックが、挿入される別のよこ糸を用いて実行されることがある。形成される層が2つのクランプ部を備える場合、他の補助ヘドルが離れて配置されている間、2組の補助ヘドルが上で説明されたように連続的に開閉される。
図5の層L2のクランプ部115のように、層が1つのクランプ部のみを備えるべきである場合、1組の補助ヘドルのみが連続して開閉され、他の補助ヘドルは離れて配置される。層が例えば層L3のようにクランプ部を欠くべきである場合、全ての補助へドルは離れて配置される。
【0119】
詳細には、層L0と同じピック積み重ねの層L1を織り、層L0の直後に連続する場合、「第2ピック」と呼ぶ第1ピックの後に直後に連続するピックが有利に実行される。2番目のピックは
図6に示され、θ=360°からθ=720°までである。
図6において、線G101は、よこ糸100の開口への挿入を表す。第2ピックは、第1ピック中に実行されたステップと同様のステップで構成され、以下に要約される。
【0120】
この第2ピックは、主開口14を開くステップS10を備える。主開口14は、第1ピックとは異なるパターンで開かれるので、層L1のよこ糸101は、同じピック積み重ねの同じピック積み重ねの下に挿入され得る。より正確には、主開口14は、よこ糸100の下で開く。したがって、織物1の主部111において、よこ糸100及び101は、層L0及びL1を区切る主たて糸12によって分離されている。
【0121】
ステップS10はまた、補助ヘドル21及び31によって補助たて糸22及び32の補助開口を開くことを含む。
【0122】
第2ピックは、ステップS11を含み、挿入手段90は、ステップS10の開始後に挿入手段90が開口を通って移動した後、ピックアップ位置P94で第2よこ糸101をピックし、第2ピックは、ステップS12を含み、挿入手段90は、よこ糸101をピックアップ位置P94から主開口に引き、補助たて糸22及び32の再開された2つの補助開口に引く。ステップS13において、補助たて糸22の補助開口は、よこ糸101がクランプ領域W21を通過した後、よこ糸101がまだ引き出されている間、好ましくはよこ糸101が第2クランプ領域W31に到達する前に、補助ヘドル21によって閉じられる。現時点では、主の開口はまだ開いている。代替的に、主開口がまだ部分的に開いているように、閉じ始める場合がある。ステップS13’にて、よこ糸101がクランプ領域W31を通過した後、補助たて糸32の補助開口は、補助ヘドル31によって閉じられる。現時点では、主の開口はまだ開いている。代替的に、主の開口がまだ部分的に開いているように、閉じ始める場合がある。主開口はステップS15で閉じ始め、好ましくは両方の補助開口が完全に閉じた後、θ=720°で閉じる。主開口が閉じられる前及び補助開口が閉じられた後、第2ピックは、よこ糸101が軸線Y90に沿って所与の位置に達したときに挿入手段90が第2よこ糸101を解放するステップS14を備える。よこ糸101の挿入後、よこ糸101は、よこ糸100と同じピック積み重ね内で、おさ95によっておさ打ちされ、織り前3に運ばれる。
【0123】
図示の例では、以下に記載するように第2ピックは第1ピックと異なる。第2ピックにより、織物1で、よこ糸100と101のそれぞれの第1端部がクランプ部112に捉えられることと、よこ糸100と101のそれぞれの第2端部がクランプ部113に捉えられることとなる。以下説明するように、補助開口が第1ピックの終わりに交差せず、第2ピックの終わりに交差するという点で、第1ピックと第2ピックとは互いに異なる。
【0124】
ステップS10で、たて糸22及び32の補助開口が開かれ、第1ピック中によこ糸100の周りで交差した補助たて糸が交差しないようになり、それにより、よこ糸100は、よこ糸100が一時的に、第1層内でよこ糸100をつなげる補助たて糸から解放される。換言すると、
図6に示すように、一次及び二次補助たて糸は、第1ピックから第2ピックに反転されない。しかしながら、よこ糸100は、好ましくは、層L0の主たて糸12によって織物1内に織り込まれたままであり、全第2ピックの間、第1ピックの間によこ糸100の周りで交差した少なくともいくつかの主たて糸12は、第2ピックでも交差したままである。よこ糸101の挿入後、おさ95は、よこ糸101をよこ糸100に対しておさ打ちする。したがって、クランプ部112と113において、補助たて糸は、同じピック積み重ねに一緒に積み重ねられたよこ糸100及び101を分離しない。したがって、同じクランプ部112と113が、異なる層及び同じピック積み重ねの2つのよこ糸の先端をクランプするために使用される。これは、よこ糸100と101の関係する先端が同じクランプ領域、例えばクランプ領域W21に配置される場合に可能である。
【0125】
詳細には、層L0及びL1の重ね合わされた第1よこ糸100及び第2よこ糸101が見える
図5の断面で層L3を織るために、先に言及した第1ピックと第2ピックに続いて、「中間ピック」と呼ばれる別のピックが実行される。
【0126】
この中間ピックは、ステップS16において、主開口機構15によって動かされる主ヘドル11による主開口14の開口部を備える。この開口部は、既に織り込まれたよこ糸100が、新たに開かれている主開口14の上に配置されるように行われる。この目的のために、中央のピックで開かれた主開口14は、第1及び第2ピックを備える同じピック積み重ねに対して実行された前のピックとは異なる形状を有する。例えば、層L1内のよこ糸101を捉える全ての主たて糸12は、主ヘドル11によって上方に移動され、その結果、主開口14は、よこ糸100及び101のつながりを解くことなく、これらの主たて糸12の下で開かれる。中間ピックの間に、ステップS20で、主開口機構15によって動かされた主へドル11が主開口14を閉じ、それにより、中間ピックの終わりに、主開口が完全に閉じられる。
【0127】
層L3はクランプ部を必要としないため、中間ピック中は全ての補助開口が閉じられる。特に、層L3は、補助ヘドル21及び31に関係する層L0及び/又はL1の下に配置され、層L3はこれらの補助ヘドルに関係しないので、これらの補助ヘドルは全てよこ糸軸線Y90から離れて配置される、すなわちよこ糸軸線Y90上に維持される。特に、層L3が補助ヘドル41に関係する層L7の上に配置され、層L3がこれらの補助ヘドル41に関係しないので、これらの補助ヘドルは全てよこ糸軸線Y90から離れて配置される、すなわちよこ糸軸線Y90の下に維持される。特には、層L7の下の層専用の全ての補助へドルは、中間ピックの間は、又は連続する中間ピックの間は、よこ糸軸線Y90の下に維持される。
【0128】
ステップS17は、主開口14が開き始めた後、ピックアップ位置P94で「中間よこ糸」と呼ばれるよこ糸102をピッキングすることを備える挿入手段90によって実行される。さらなるステップS18において、挿入手段90によって、中間よこ糸102は、よこ糸軸線Y90に沿って、ピックアップ位置P94から開いた主開口14に引き込まれる。引きは、よこ糸102の前端まで実行される。主ハーネス幅W11の反対側の端に達する。ある時点で、よこ糸102は、よこ糸102が主ハーネス幅W11に等しい長さを有するように切断される。よこ糸102がよこ糸軸線Y90に沿って必要な位置に到達すると、挿入手段90は、ステップS19でよこ糸102を解放する。挿入手段90の引き後、よこ糸102は、主開口14が完全に閉じられる前におさ打ちされる。
【0129】
中間ピックの終わりに、よこ糸100、101、及び102は、
図1に示されるように、同じピック積み重ねに重ね合わされ、織物1の異なる層、それぞれ層L0、L1、及びL3に配置される。層L3では、このピックの積み重ねでは、クランプ部は形成されず、主部111は、ハーネス幅W11全体を占める。
【0130】
上に開示した中間ピックと同様の中間ピックを、同じパターンに従って層を織るために実装し得る。この場合は、中間よこ糸は、同じピック積み重ねにおいて、よこ糸100の下ではなくよこ糸100の上に重ねられる。この場合、中間ピック中に、ステップS16で、よこ糸100が主開口14の上ではなく主開口14の下に配置されるように、主開口14が開かれる。
【0131】
層L0の第1ピック、層L3の中間ピックの後に、よこ糸103を織り込むことによって、同じピック積み重ね内に層L7を形成するための第3のピックを実施可能である。
【0132】
第3のピックは、クランプ部114と116の形成のため、ステップS21において、主ヘドル11により主開口14を開くことと、補助たて糸42の補助開口を備える2つの補助開口を補助ヘドル41により開くこととを含む。これらの主開口及び補助開口は、中間よこ糸102がよこ糸100及び101と開放開口との間に配置されるように開いていて、よこ糸103が織られると、よこ糸102はよこ糸101とよこ糸103との間に配置され、よこ糸100、101、102、及び103は、同じピック積み重ねに重ね合わされる。ステップS22において、挿入手段90は、ピックアップ位置P94でよこ糸103をピックする。ステップS23において、挿入手段90は、よこ糸103をピックアップ位置P94から主開口及び補助開口に引く。引いている間、各補助開口は、引かれているよこ糸103を通過した後かつ主開口14を閉じる前に、閉じられる。特に、糸42の補助開口は、補助開口によって動かされる第3の補助ヘドル41によって閉じられる。補助開口機構45は、挿入手段90がクランプ領域W41を通してよこ糸103を引いた後、主開口14がまだ開いている間に、クランプ領域W41にて補助たて糸42でよこ糸103をクランプするためのものである。よこ糸103がよこ糸軸線Y90に沿ってその必要な位置に達すると、両方の補助開口を閉じた後、挿入手段90は、ステップS25で前記のよこ糸103を解放する。第1及び第2補助開口の閉じは、レピア91の通過、特に端部クランプ92の通過に対応する。補助たて糸のクランプ操作は、レピア軸に沿った端部クランプ92の位置に従う。ピックの終わりに、主開口14は閉じられる。完成した織物1では、
図5の下部に示されるように、緯糸100、101、102、及び103が同じピック積み重ねに重ね合わされ、よこ糸102は、よこ糸100とよこ糸103との間にある。
【0133】
一実施形態では、中間ピック又は任意の他のピックなどのピックの1つにて、この方法は、補助開口24を開くことを含んでよく、それにより、このピックの挿入されたよこ糸、例えば、中間よこ糸102は、挿入手段90により補助開口24に挿入される。この場合、よこ糸100及び102の両方が、補助たて糸22によって分離されているかどうかにかかわらず、織物1の同じクランプ部に織り込まれる。これは、
図5の層L5とL6の場合であり、ここでは
、層L5のよこ糸及び層L6のよこ糸の両方がクランプ部116に織り込まれる。別の実施形態では、たて糸42の補助開口を開くことを含んでよく、それにより、挿入された中間よこ糸102は、挿入手段90によってたて糸42の補助開口に挿入される。この場合、層L7のよこ糸及びよこ糸102は、織物1の同じクランプ部に織り込まれる。
【0134】
織物1が、できあがったか、又は少なくとも部分的にできたとき、クランプ部は、ニアネットプリフォームを容易に得るために主部111から切り離されることがある。よって、織物1の主部111の最終的な構造及び形状は、主部111の製造を支援するために使用されるクランプ部とは独立して設計可能である。
【0135】
次に、
図7から
図12の実施形態については、テクニカルファブリックの複数層織物201は、
図1から
図6の実施形態の1つと同様の織機で織られている。
図1から
図6の実施形態と同様の特徴を示すために同じ用語が使用される。この特定の実施形態では、織機2は、挿入手段90として、単一のレピアシステムに替えてダブルレピアシステムを有し、それにより、2つの重ねられたよこ糸が、織物201の両側で、同じピック積み重ねの各ピックに挿入されるようにしてもよい。しかしながら、
図7から
図12で開示されている方法は、
図1から
図6と同様に、各ピックに1つのよこ糸のみが挿入される場合にも適用できる。
【0136】
図7に示されるように、織物201は、織り込まれたよこ糸及びたて糸を備える。簡略化のために、よこ糸とたて糸の一部のみを示す。織物201は、織り込まれた主たて糸及びよこ糸を備える主部311を備える。布201はまた、よこ糸及び補助たて糸322を備えるクランプ部312と、よこ糸及び補助たて糸332を備えるクランプ部313とを備える。クランプ部312は、よこ糸軸線Y290に沿ってクランプ領域W221上に延在する。全体が主ハーネス幅W211内に配置されている。クランプ部312は、同じクランプ領域W221上に延在するように、クランプ部313と重ね合わされている。
図1から
図6の実施形態のように、主たて糸は主ヘドルによって動かされ、補助たて糸322は、対応する補助開口機構を備えた第1セットの補助ヘドルによって動かされ、補助たて糸332は、主ヘドルによって動かされる。対応する補助開口機構を備えた、2番目のセットの補助へドルによって移動される。
【0137】
図7から
図12のこの実施形態では、製織は、
図1から
図6の第1ピックと同様の第1ピックを備えてよい。第1ピックにおいて、2つのよこ糸301が挿入手段によって平行に挿入され、各よこ糸301は、それぞれのレピアによってそれぞれのピックアップ位置でピックされ、それぞれのよこ糸軸線Y290に沿ってたて糸の開いた開口に引かれる。好ましくは、2つの軸線Y290は、方向Z1及びY1に平行な同じ平面に配置される。
【0138】
たて糸については、第1ピックで、主たて糸の2つの重ねられた主開口314が、織機の主ヘドルによって開かれる。各主開口314は、挿入されたよこ糸301の1つの挿入専用である。よって、各主開口314は、それぞれのよこ糸軸線Y290の1つの周りに開いている。開口314は、
図6に部分的にのみ示されている。特に、軸線Y290の間の開口314の主なたて糸は示されていない。第1ピックでは、補助たて糸の2つの重ねられた補助開口も、補助ヘドルのそれぞれのセットによって開かれる。詳細には、補助たて糸322の補助開口324は、クランプ領域W221に沿って配置された一組の補助ヘドルによって軸線Y290の周りに開かれ、補助たて糸332の補助開口334は、クランプ領域W221に沿って配置された別の補助ヘドルのセットによって他の軸線Y290の周りに開かれる。挿入されたよこ糸301の層の間の層に関する主たて糸は、開口314、324、及び334から離れて、例えば、もし主たて糸が同じ積み重ねにない場合は、主たて糸がそれら開口に干渉しないところである主たて糸がない垂直軸に沿った中間位置に、前記開口の間に配置される。それにより、主たて糸は、クランプ領域W211のクランプ部の一部ではない。有利なことに、クランプ部は主織物と結合していないので、織り後に簡単に切断及び除去可能である。
【0139】
図7に示されるように、挿入手段は、それぞれの補助開口324又は334を通して、及びそれぞれの主開口314を通して、各よこ糸302を引く。
【0140】
図8に示すように、よこ糸301がクランプ領域W221を通過すると、補助開口324及び334は、主開口314を閉じる前に、対応する補助へドルによって閉じられ、その結果、よこ糸301がクランプされる。一方のよこ糸301は、開口324を閉じることによって補助たて糸322によってクランプされ、他方のよこ糸301は、開口334を閉じることによって補助たて糸332によってクランプされる。よこ糸301がよこ糸に沿った最終的な所定の位置になったら軸線Y290、それらは両方とも挿入手段によって解放されます。挿入手段を引き抜いた後、主開口314が閉じられ、よこ糸301が織物201の織り前におさ打ちされる。第1ピックが達成される。
【0141】
図9から
図11は、
図7から
図8に示す第1ピックの後で、第1ピックと2番目のピックの間にピックがない第1ピックの好ましくは直後に実行される2番目のピックに関するものである。
【0142】
第2ピックにおいて、2つの追加のよこ糸302が挿入手段によって平行に挿入され、各よこ糸302は、2つのそれぞれのレピアによって2つのそれぞれのピックアップ位置でピックされ、2つのそれぞれのよこ糸軸線Y290に沿って、たて糸の開いている開口に引かれる。
【0143】
たて糸については、第2ピックで、この方法は、主たて糸の重ねられた主開口314を開くことを含む、横軸線Y290の周りに開口を開くことを備える。各主開口314は、1つの対応するよこ糸の挿入のために軸線Y290の周りにそれぞれ開かれる。開口を開くことはまた、2つのよこ糸302を挿入するために、それぞれクランプ領域W221に重ねられた補助開口324及び334を開くことを備える。この第2ピックにおいて、補助開口324は、次のパターンに従って開かれる。このパターンでは、上部よこ糸301の周りで交差した補助たて糸322は交差せず、クランプ領域W221の補助開口を閉じることによってクランプされた、織り前に配置されたよこ糸301の先端を解放する。同様に、補助開口334は、補助開口を閉じることによってクランプされた下部よこ糸302の端部を解放するために、下部よこ糸302の周りで交差した補助たて糸332が交差しないパターンに従って開かれる。好ましくは、よこ糸301は、非図示の主なたて糸の少なくともいくつかによって織り前に付いたままであり、それらは、織り前でそれらの周りを交差したままである。例えば、これは、第1ピックでの主開口314の閉じがよこ糸301の周りで主たて糸を交差させる場合と、第2ピックでの主開口314のパターンが第1ピックで異なる場合とに得られる。換言すると、これ(織り前によこ糸が付いて残っている状態)は、いくつかの主たて糸の垂直位置を、第1ピックと次の第2ピックの間でよこ糸軸に対して変えるときに得られる。
【0144】
図9に示されるように、挿入手段は、それぞれの補助開口324又は334を通し、そしてそれぞれの主開口314を通して、各よこ糸302を引く。
【0145】
図10に示すように、緯糸302がクランプ領域W221を通過すると、補助開口324及び334は、主開口314を閉じる前に、対応する補助ヘドルによって閉じられ、その結果、よこ糸302はそれぞれクランプされる。補助たて糸322及び補助たて糸332によって、補助たて糸322は第2ピックの開始時に交差されていないので、上部よこ糸302及び302は、補助たて糸によって分離されることなく一緒に捉えられる。同様に、補助たて糸332は、第2ピックの開始時に交差されていないので、下側のよこ糸301及び302は、補助たて糸によって分離されることなく、一緒に捉えられる。上部よこ糸301及び302は、クランプ部を備えた最終織物の同じ開口の開口部に織り込まれている、又は結合されている。下部よこ糸301及び302は、クランプ部を備えた最終布の同じ開口の開口部に織り込まれている、又は結合されている。
【0146】
よこ糸302がよこ糸軸線Y290に沿ってそれらの最終的な所定の位置に引かれると、それらは両方とも挿入手段によって解放される。挿入手段を引き抜いて主開口314を閉じた後、よこ糸302は、織物201の織り前におさ打ちされる。
図11及び
図12に示されるように、上部よこ糸301及び302は、任意の補助たて糸によって分離され、それらを取り囲む交差した補助たて糸322によってのみ結ばれる。同様に、下側のよこ糸301及び302は、補助たて糸によって分離されることなく一緒に積み重ねられ、それらを取り囲む交差した補助たて糸332によってのみ結ばれる。織物の主部の織り方に応じて、よこ糸301及び302は、補助たて糸によって分離されていないため、単一のピック積み重ねに統合可能である。場合によっては、これにより、方向X1に平行に、織物のクランプ部が主部に比べて長すぎたり短すぎたりして織物に内部応力が発生し、織物のセルビッジ部分が部分的に裂けるおそれの増大を避けられる。
【0147】
図7から
図12の実施形態では、2本のよこ糸が各ピックに挿入される。ただし、
図1から
図6の場合、各ピックに1つのよこ糸のみが挿入される場合、又は各ピックに3つ以上のよこ糸が同時に挿入される場合にも、同様の手順を適用できる。
【0148】
図13は、布地401のそれぞれの層L1及びL2に分散された2つのクランプ部512及び513を備える、織物401の別の実施形態を示す。クランプ部512及び513は、それぞれ、織り込まれた補助たて糸522及び532を備える。4本のよこ糸501、502、503、504のグループは、補助たて糸によって分離されることなく、クランプ部512及び513で一緒に積み重ねられる。これは、よこ糸301及び302のような4つのよこ糸が積み重ねられるまで、
図7から
図12の実施形態について開示された一連のステップを繰り返すことによって得られる。この布は、単一又は2つの重ねられた、又はそれ以上の挿入手段を備えた織機で得ることができる。有利なことに、シェニールボビンによって提供されるような太よこ糸又は弾性よこ糸は、クランプ部にクランプ可能である。有利なことに、方向X1に平行に織物401を織り込む間のクランプ部512及び513の巻き取りは、布ビームへの布地401の巻き取りとほぼ同じである。
【0149】
織物401はまた、層L1及びL2の両方で延在する主部511を備える。クランプ部512及び513は、主部511に対してずらして示されているので、主部511は全体が見える。
【0150】
各層L1及びL2について、よこ糸501、502、503及び504は、主部511内に延在し、主部511の主たて糸412と織り合わされている。また、主部511は、2つの層L1及びL2を一緒に結合するように、層L1のよこ糸502及び層L2のよこ糸501とで織られた結合たて糸412Aを備える。
【0151】
一実施形態では、織物のよこ糸の片側は、各ピックでよこ糸軸に沿って局所的に配置され、その結果、よこ糸の第1よこ糸端部は、よこ糸軸に沿って局所的に配置されるが、よこ糸の第2よこ糸端部は、ピックアップ側の反対側のハーネス側のセルビッジ装置によって駆動される追加のたて糸にクランプされるか、あるいはピックアップ側のハーネス側のセルビッジ装置によって駆動される追加のたて糸によってクランプされる。
【0152】
織機は、主開口を閉じる前に局所的なよこ糸をクランプするためのセルビッジ装置を備えることがある。このセルビッジ装置は、上に開示された補助開口機構及び関連する補助ヘドルのセットと同じ構造を有してよい。それ以外の場合、セルビッジ装置は従来の構造であってよい。すなわち、織機によって機械的に駆動され、主開口を閉じる前によこ糸をクランプするためにハーネスの側面に配置されるものである。
【0153】
織機は、よこ糸軸線に沿ったクランプ領域の異なる数及び/又は配置を得るために、補助開口機構、補助ヘドルセットの、相当数及び/又は配置を装備するであろう。
【0154】
一実施形態では、複数層織物のクランプ部の1つは、布のいくつかの層が補助たて糸によって織り込まれ、複数層が方向Y1及びZ1に平行な平面において狭くなる外形を有するように、縦方向に複数層織物の輪郭にしたがうことがある。
【0155】
特定の実施形態の文脈で上に開示された任意の特徴が、技術的に可能である場合、他の開示された実施形態において実施されることがある。