(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】監視装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G05B23/02 301X
(21)【出願番号】P 2021055369
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光野 正志
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄介
(72)【発明者】
【氏名】鳥取 伸宏
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197777(JP,A)
【文献】特開2019-128704(JP,A)
【文献】特開平02-171998(JP,A)
【文献】特開2012-174102(JP,A)
【文献】特開2019-061565(JP,A)
【文献】特開2018-164159(JP,A)
【文献】特開2014-153736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の機器を監視する監視装置において、
分析対象の前記機器である対象機器を特定するための機器特定情報と、当該対象機器について分析すべき分析項目との指定を受け付ける入力部と、
前記入力部が受け付けた前記分析項目の分析に必要なデータ種別のデータを取得し、取得した前記データに基づいて前記対象機器の現在の機器状態を決定する機器状態決定部と、
前記機器状態決定部により決定された前記対象機器の前記機器状態に基づいて、当該対象機器の現在の状態を点数化した診断点数を算出し、算出した前記診断点数に基づいて前記対象機器の診断結果を決定する診断結果決定部と、
前記診断結果決定部が決定した前記対象機器の前記診断結果を可視化して提示する可視化部と
、
前記機器状態と、当該機器状態の原因との対応関係が格納されたデータベースと
を備え、
各前記原因には、当該原因に対応付けられた前記機器状態の深刻さに応じた点数がそれぞれ設定され、
前記機器状態決定部は、
前記対象機器が該当するすべての前記機器状態を当該対象機器の前記機器状態として決定し、
前記診断結果決定部は、
前記原因ごとに、当該原因に対応付けられた前記対象機器の前記機器状態の数と、当該原因に対して設定された前記点数とを乗算するようにして総合点を算出し、算出した前記原因ごとの前記総合点を合算するようにして前記対象機器の前記診断点数を算出し、算出した前記対象機器の前記診断点数に基づいて、それぞれ複数の監視対象の前記機器から構成される複数種類の各分類グループにおける当該対象機器の現在の状態を前記分類グループごとにそれぞれ順位付けし、
前記可視化部は、
前記診断結果決定部により順位付けされた前記分類グループごとの前記対象機器の順位又は当該分類グループ内で前記対象機器の順位が上位何パーセントであるかを表示する
ことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記機器状態決定部は、
前記データベースに登録されていない前記機器状態を前記対象機器の機器状態に決定したときには、当該機器状態の前記原因を、前記データベースに登録された前記機器状態及び前記原因の対応関係に基づいて推定する
ことを特徴とする請求項
1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記診断結果決定部は、
前記対象機器の現在の状態を点数化した診断点数と、当該対象機器の過去の状態を点数化した前記診断点数とに基づいて、前記対象機器の経年劣化の度合を経年劣化度として算出し、
前記可視化部は、
前記診断結果決定部により算出された前記対象機器の前記経年劣化度を可視化する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項4】
監視対象の機器を監視する監視装置により実行される監視方法であって、
分析対象の前記機器である対象機器を特定するための機器特定情報と、当該対象機器について分析すべき分析項目との指定を受け付ける第1のステップと、
受け付けた前記分析項目の分析に必要なデータ種別のデータを取得し、取得した前記データに基づいて前記対象機器の現在の機器状態を決定する第2のステップと、
決定した前記対象機器の前記機器状態に基づいて、当該対象機器の現在の状態を点数化した診断点数を算出し、算出した前記診断点数に基づいて前記対象機器の診断結果を決定する第3のステップと、
決定した前記対象機器の前記診断結果を可視化する第4のステップと
を備え
、
前記監視装置は、
前記機器状態と、当該機器状態の原因との対応関係が格納されたデータベースを有し、
各前記原因には、当該原因に対応付けられた前記機器状態の深刻さに応じた点数がそれぞれ設定され、
前記第2のステップでは、
前記対象機器が該当するすべての前記機器状態を当該対象機器の前記機器状態として決定し、
前記第3のステップでは、
前記原因ごとに、当該原因に対応付けられた前記対象機器の前記機器状態の数と、当該原因に対して設定された前記点数とを乗算するようにして総合点を算出し、算出した前記原因ごとの前記総合点を合算するようにして前記対象機器の前記診断点数を算出し、算出した前記対象機器の前記診断点数に基づいて、それぞれ複数の監視対象の前記機器から構成される複数種類の各分類グループにおける当該対象機器の現在の状態を前記分類グループごとにそれぞれ順位付けし、
前記第4のステップでは、
順位付けした前記分類グループごとの前記対象機器の順位又は当該分類グループ内で前記対象機器の順位が上位何パーセントであるかを表示する
ことを特徴とする監視方法。
【請求項5】
前記第2のステップにおいて、
前記データベースに登録されていない前記機器状態を前記対象機器の機器状態に決定したときには、当該機器状態の前記原因を、前記データベースに登録された前記機器状態及び前記原因の対応関係に基づいて推定する
ことを特徴とする請求項
4に記載の監視方法。
【請求項6】
前記第3のステップでは、
前記対象機器の現在の状態を点数化した診断点数と、当該対象機器の過去の状態を点数化した前記診断点数とに基づいて、前記対象機器の経年劣化の度合を経年劣化度として算出し、
前記第4のステップでは、
算出した前記対象機器の前記経年劣化度を可視化する
ことを特徴とする請求項
4に記載の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視装置及び方法に関し、例えば、産業用機器などの機器の状態を監視する監視装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、産業用機器のメンテナンス方法が、定期的にメンテナンスを行う時間基準保全から機器ごとの状態に合わせてメンテナンスを行う状態基準保存へと移行している。状態基準保全を行うためには対象機器を常に監視する必要があり、これに伴ってIoT(Internet of Things)クラウドを用いた遠隔監視サービスの普及が進んでいる。
【0003】
従来、機器を監視して障害予兆を検出する監視装置に関する技術として、特許文献1に開示された技術が知られている。この特許文献1には、監視対象システムについて異常が検出されなかった期間における当該監視対象システムの監視データを曜日、時間帯、日にち又は週数ごとに分類して記憶部に記憶し、記憶した監視データの曜日、時間帯、日にち又は週数ごとの分布をもとに許容範囲を設定し、監視対象システムから現在取得した監視データと、現在の日時が属する曜日、時間帯、日にち又は週数の監視データの分布に基づく許容範囲とを比較し、取得した監視データが許容範囲の上限又は下限を超える場合に監視対象システムの障害予兆を検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、かかる特許文献1には、監視対象のコンピュータシステムの稼働状況に応じた適切な閾値を用いて障害予兆を検出する処理を実現する技術が開示されているだけである。つまり、かかる特許文献1には、監視対象の機器の監視結果が閾値を超えたか否かで障害予兆を判断しているだけで、許容範囲内の機器の状態を判断する手法については考えられていない。しかしながら、産業用機器の状態基準保全を行うためには、障害の発生有無だけでなく、その機器の現在の状態を判断することが求められる。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、機器の現在の状態をユーザに分かり易く提示し得る監視装置及び方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、監視対象の機器を監視する監視装置において、分析対象の前記機器である対象機器を特定するための機器特定情報と、当該対象機器について分析すべき分析項目との指定を受け付ける入力部と、前記入力部が受け付けた前記分析項目の分析に必要なデータ種別のデータを取得し、取得した前記データに基づいて前記対象機器の現在の機器状態を決定する機器状態決定部と、前記機器状態決定部により決定された前記対象機器の前記機器状態に基づいて、当該対象機器の現在の状態を点数化した診断点数を算出し、算出した前記診断点数に基づいて前記対象機器の診断結果を決定する診断結果決定部と、前記診断結果決定部が決定した前記対象機器の前記診断結果を可視化して提示する可視化部と、前記機器状態と、当該機器状態の原因との対応関係が格納されたデータベースとを設け、各前記原因には、当該原因に対応付けられた前記機器状態の深刻さに応じた点数がそれぞれ設定され、前記機器状態決定部は、前記対象機器が該当するすべての前記機器状態を当該対象機器の前記機器状態として決定し、前記診断結果決定部は、前記原因ごとに、当該原因に対応付けられた前記対象機器の前記機器状態の数と、当該原因に対して設定された前記点数とを乗算するようにして総合点を算出し、算出した前記原因ごとの前記総合点を合算するようにして前記対象機器の前記診断点数を算出し、算出した前記対象機器の前記診断点数に基づいて、それぞれ複数の監視対象の前記機器から構成される複数種類の各分類グループにおける当該対象機器の現在の状態を前記分類グループごとにそれぞれ順位付けし、前記可視化部は、前記診断結果決定部により順位付けされた前記分類グループごとの前記対象機器の順位又は当該分類グループ内で前記対象機器の順位が上位何パーセントであるかを表示するようにした。
【0008】
また本発明においては、監視対象の機器を監視する監視装置により実行される監視方法であって、分析対象の前記機器である対象機器を特定するための機器特定情報と、当該対象機器について分析すべき分析項目との指定を受け付ける第1のステップと、受け付けた前記分析項目の分析に必要なデータ種別のデータを取得し、取得した前記データに基づいて前記対象機器の現在の機器状態を決定する第2のステップと、決定した前記対象機器の前記機器状態に基づいて、当該対象機器の現在の状態を点数化した診断点数を算出し、算出した前記診断点数に基づいて前記対象機器の診断結果を決定する第3のステップと、決定した前記対象機器の前記診断結果を可視化する第4のステップとを設け、前記監視装置は、前記機器状態と、当該機器状態の原因との対応関係が格納されたデータベースを有し、各前記原因には、当該原因に対応付けられた前記機器状態の深刻さに応じた点数がそれぞれ設定され、前記第2のステップでは、前記対象機器が該当するすべての前記機器状態を当該対象機器の前記機器状態として決定し、前記第3のステップでは、前記原因ごとに、当該原因に対応付けられた前記対象機器の前記機器状態の数と、当該原因に対して設定された前記点数とを乗算するようにして総合点を算出し、算出した前記原因ごとの前記総合点を合算するようにして前記対象機器の前記診断点数を算出し、算出した前記対象機器の前記診断点数に基づいて、それぞれ複数の監視対象の前記機器から構成される複数種類の各分類グループにおける当該対象機器の現在の状態を前記分類グループごとにそれぞれ順位付けし、前記第4のステップでは、順位付けした前記分類グループごとの前記対象機器の順位又は当該分類グループ内で前記対象機器の順位が上位何パーセントであるかを表示するようにした。
【0009】
本発明の分析装置及び方法によれば、対象機器の現在の状態を診断点数として可視化してユーザに提示することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機器の現在の状態をユーザに分かり易く提示し得る監視装置及び方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態による監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】機器特定情報データベースの構成例を示す図表である。
【
図4】分析項目データベースの構成例を示す図表である。
【
図5】機器情報データベースの構成例を示すブロック図である。
【
図6】警報/故障情報管理テーブルの構成例を示す図表である。
【
図7】稼働データ管理テーブルの構成例を示す図表である。
【
図8】状態・区分管理データベースの構成例を示す図表である。
【
図9】過去履歴情報データベースの構成例を示す図表である。
【
図10】診断結果テーブルの構成例を示す図表である。
【
図11】分析サーバに搭載された各プログラムの説明に供するブロック図である。
【
図12】順位付け処理部の出力例を示す図表である。
【
図13】順位付け処理部の出力例の変形例を示す図表である。
【
図14】分析結果表示画面の画面構成例を示す図である。
【
図17】機器状態診断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図18】機器状態決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図19】過去履歴比較処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図20】機器状態診断処理の説明に供する図表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
(1)本実施の形態による監視システムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態による監視システムを示す。この監視システム1は、空気圧縮機などの複数の監視対象の機器の状態を監視するシステムであり、1又は複数の工場等のサービス拠点2にそれぞれ設置された1又は複数の監視対象の機器3と、監視センタ4に設置された分析サーバ5とがインターネット等のネットワーク6を介して接続されて構成されている。
【0014】
各機器3は、それぞれ機器内温度や機器内圧力、周囲温度及びそれまでの累積の運転時間などの情報を稼働データとしてネットワーク6を介して定期的又は不定期に分析サーバ5に送信する。また機器3は、何らかの測定値が閾値以上となった場合や、故障が発生した場合、及び、修理や点検が行われた場合などに、その内容に応じた警報や通知をネットワーク6を介して分析サーバ5に送信する。
【0015】
分析サーバ5は、各機器3の機器状態を監視する機能を有するサーバ装置であり、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ11、補助記憶装置12、ネットワークインタフェース13、入力装置14及び出力装置15を備えて構成される。
【0016】
CPU10は、分析サーバ5の動作を統括的に制御するプロセッサである。またメモリ11は、不揮発性の記憶素子からなる図示しないROM(Read Only Memory)と、揮発性の記憶素子からなる図示しないRAM(Random Access Memory)とから構成される。ROMには、BIOS(Basic Input Output System)などの不変のプログラムが格納される。またRAMは、DRAM(Dynamic RAM)などから構成され、CPU10のワーキングメモリとして利用される。
【0017】
補助記憶装置12は、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの大容量かつ不揮発性の記憶装置から構成される。補助記憶装置12には、各種プログラムや、長期間保存すべき各種データが格納される。補助記憶装置12に格納されたプログラムやデータが分析サーバの起動時や必要時に補助記憶装置12からメモリ11にロードされ、メモリ11にロードされたプログラムをCPU10が実行することにより後述のような分析サーバ5全体としての各種処理が実行される。
【0018】
ネットワークインタフェース13は、例えばNIC(Network Interface Card)から構成され、ネットワーク6(
図1)を介した監視対象の各機器3との通信時におけるインターフェースとして機能する。
【0019】
入力装置14は、例えばマウスやキーボードなどから構成され、ユーザが分析サーバ5に対する各種の操作入力を行うために利用される。また出力装置15は、例えば液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ及び又はプリンタなどから構成され、必要な情報を表示又は印刷などにより出力するために利用される。なお入力装置14及び出力装置15は、これらが一体化したタッチパネルなどから構成されていてもよい。
【0020】
(2)本実施の形態による機器分析機能
次に、分析サーバ5に搭載された機器分析機能について説明する。この機器分析機能は、ユーザから分析対象とすべき機器(以下、これを対象機器と呼ぶ)3と、分析項目とを指定した分析実行指示が与えられた場合に、その対象機器3に対するその分析項目の分析処理を実行し、その分析結果を可視化してユーザに提示する機能である。本実施の形態の場合、かかる「分析項目」としては、例えば、対象機器3の現在の機器状態を診断する「機器状態診断」や、次のメンテナンスの時期を診断する「メンテナンス時期」などがある。
【0021】
実際上、分析サーバ5は、かかる分析実行指示が与えられると、指定された対象機器3と、指定された分析項目の分析を行うために必要なすべてのデータのデータ種別(以下、適宜、これを必要データ種別と呼ぶ)とをそれぞれ特定し、特定した各必要データ種別のデータをメモリ11に格納された後述のデータベースからそれぞれ取得する。
【0022】
そして分析サーバ5は、取得したデータに基づいて「機器状態診断」や「メンテナンス時期」などのユーザにより指定された分析項目に応じた分析処理を実行する。なお、以下の説明においては、ユーザにより指定された分析項目が「機器状態診断」である場合について説明する。
【0023】
かかる分析処理では、分析サーバ5は、まず、上述のようにして取得した各必要データ種別のデータに基づいて、対象機器3に発生した又は発生している各種の異常状態を検出する。このような異常状態としては、メンテナンス等により機器が長期停止状態にある「長期停止」や、機器内の温度が上限閾値よりも高い「機器温度 高」、機器内の温度が下限閾値よりも低い「機器温度 低」、機器内の圧力が上限閾値よりも高い「機器内圧力 高」、機器内の圧力が下限閾値よりも低い「機器内圧力 低」、警報の発報や故障の発生が過去にあった「警報/故障発生」などがある。分析サーバ5は、これらの異常状態の中から現在の対象機器3に当て嵌まるすべての異常状態をその対象機器3の機器状態として検出する。
【0024】
この後、分析サーバ5は、上述のようにして検出した対象機器3の各機器状態を、異常状態の発生原因となる「運転方法」、「設置環境」、「点検不備」及び「部品消耗」の4大原因にそれぞれ対応させた「運転方法」、「設置環境」、「点検不備」及び「部品消耗」の4つの区分(以下、これらの区分を診断区分と呼ぶ)のうちの対応する診断区分(つまり、その機器状態の発生原因に対応する診断区分)にそれぞれ振り分ける。
【0025】
また分析サーバ5は、診断区分ごとに、その診断区分に振り分けられた対象機器3の機器状態の数と、その診断区分について予め設定された点数とを乗算するようにして診断区分ごとの総合点をそれぞれ算出し、さらに各診断区分の総合点の合計値を、その対象機器3の現在の機器状態を表す診断点数として算出する。
【0026】
この場合において、各診断区分の点数は、その診断区分に振り分けられる機器状態(異常状態)の深刻さに応じて、かかる機器状態が深刻な状態であればあるほど大きくなるように設定される。従って、上述のように算出される対象機器3の診断点数は、その対象機器3の現在の状態が悪ければ悪いほど大きな値となる。つまり、かかる診断点数は、対象機器3の現在の状態の悪さの度合を表す指標であるということができる。
【0027】
この後、分析サーバ5は、上述のようにして算出した対象機器3の診断点数に基づいて、その対象機器3の状態の悪さの度合がある分類グループ内の全機器のうちで何位であるかといった順位付けを行う。本実施の形態の場合、かかる分類グループとして、同じ型式の機器群からなる分類グループと、同じ地域(例えば都道府県)内に存在する機器群からなる分類グループと、累積の運転時間が同程度の機器群からなる分類グループとの3つの分類グループが予め定義されており、分析サーバ5は、これらの分類グループごとに、対象機器3の状態の悪さの度合がその分類グループ内の全機器3のうちで何位であるかといった順位付けをそれぞれ行う。ただし、分類グループとしてこれらの分類グループに代えて又は加えて他の分類グループを定義してもよい。
【0028】
さらに分析サーバ5は、上述のように取得した各必要データ種目のデータに基づいて、対象機器について、「機器内温度」、「警報/故障回数」及び「フィルタの目詰まり状況」などの予め定められた又はユーザにより指定された幾つかの項目(以下、これを診断項目と呼ぶ)に対する診断を行う。
【0029】
そして分析サーバ5は、このような分類グループごとの順位付け結果や、各診断項目に対する診断結果をテキストやグラフなどに可視化して、出力装置15がディスプレイである場合にはその順位付け結果を表示し、出力装置15がプリンタである場合にはその順位付け結果をプリントアウトする。
【0030】
以上のような機器分析機能を実現するための手段として、分析サーバ5のメモリ11には、
図2に示すように、データベースとして機器特定情報データベース20、分析項目データベース21、機器情報データベース22、状態・区分管理データベース23、過去履歴情報データベース24及び診断結果データベース25が格納され、プログラムとしてデータ入力部30、機器状態決定部31、診断結果決定部32、データ出力部33及びデータ可視化部34が格納されている。
【0031】
機器特定情報データベース20は、分析サーバ5の監視対象の各機器3に関する各種情報が格納されたデータベースであり、
図3に示すように、機器名欄20A、製造番号欄20B、型式欄20C、設置先住所欄20D及び設置日欄20Eを備えたテーブル構造を有する。
図3の機器特定情報データベース20では、1つのレコード(行)が1つの監視対象の機器3に対応する。
【0032】
そして機器名欄20Aには、対応する機器3の機器名が格納される。また製造番号欄20Bには、その機器3の製造番号が格納され、型式欄20Cには、その機器3の型式が格納される。さらに設置先住所欄20Dには、その機器3の設置先の住所が格納され、設置日欄20Eには、その機器3がその住所に設置された日にちが格納される。
【0033】
従って、
図3の例の場合、例えば、「機器1」という機器名で「XXX1234」という製造番号が付与された「Model A」という型式の機器3は、「2015/8/15」に「××県〇〇市」に設置されたことが示されている。
【0034】
分析項目データベース21は、ユーザから指定された分析項目の分析処理を実行するに際してどのようなデータ種別のデータが必要となるかといった、分析項目ごとの必要データ種別が定義されたテーブルであり、
図4に示すように、分析項目欄21Aと、複数の必要データ種別欄21Bとを備えたテーブル構造を有する。
図4の分析項目データベース21では、1つのレコード(行)が1つの分析項目に対応する。
【0035】
そして分析項目欄21Aには、ユーザが指定可能な分析項目の項目名が格納され、各必要データ種別欄21Bには、それぞれその分析項目の分析処理を行うために必要なデータの1つの必要データ種別が格納される。各レコードの必要データ種別欄21Bは、そのレコードに対応する分析項目の分析処理を実行するために必須の必要データ種別の数だけ使用される。
【0036】
従って、
図4の例の場合、例えば、ユーザがある機器3を指定してその機器3について「機器状態診断」という分析項目の分析を行うよう指示した場合、その分析を行うためにその機器3に関する「警報/故障情報」、「稼働データ」及び「修理履歴情報」という3種類のデータ種別が必要データ種別であることが示されている。
【0037】
機器情報データベース22は、分析サーバ5が各機器3から取得した各種情報や、各機器3に関する各種情報を記憶保持するために利用されるデータベースであり、
図5に示すように、警報/故障情報管理テーブル26、稼働データ管理テーブル27、修理履歴管理テーブル28、保守履歴管理テーブル29などの各種テーブルから構成される。
【0038】
このうち、警報/故障情報管理テーブル26は、これまでに監視対象の各機器3から与えられた警報や、故障した旨の通知(以下、これを故障通知と呼ぶ)を管理するために利用されるテーブルであり、
図6に示すように、発生日時欄26A、製造番号欄26B、型式欄26C及び警報/故障内容欄26Dを備えて構成される。
図6の警報/故障情報管理テーブル26では、1つのレコード(行)が分析サーバ5が受信した1回の警報や故障通知に対応する。
【0039】
そして発生日時欄26Aには、対応する警報や故障通知を分析サーバ5が受信した日にちが格納され、製造番号欄26Bには、その警報や故障通知を送信してきた機器3の製造番号が格納される。また型式欄26Cには、その機器3の型式が格納され、警報/故障内容欄26Dには、対応する警報又は故障通知の具体的な内容が格納される。
【0040】
従って、
図6の例の場合、例えば、「2018/8/15」に「XXX1234」という製造番号で「Model A」という型式の機器3から「xx故障(xxが故障)」という通知が送信されてきたことが示されている。
【0041】
また稼働データ管理テーブル27は、各機器3から定期的又は不定期に送信されてくるその機器3の稼働状態を表す稼働データを管理するために利用されるテーブルであり、
図7に示すように、製造番号欄27A及び取得日時欄27Bと、複数の項目欄27C及び数値欄27Dの組とを備えて構成される。
図7の稼働データ管理テーブル27では、1つのレコード(行)が1つの機器3から1回に送信されてきた稼働データに対応する。
【0042】
そして製造番号欄27Aには、対応する稼働データを送信してきた機器3の製造番号が格納され、取得日時欄27Bには、その稼働データを取得した日時が格納される。また各項目欄27Cには、それぞれ「機器内温度」、「機器内圧力」、「周囲温度」又は「運転時間」といった対応する情報の種類が格納され、その項目欄27Cと対をなす数値欄27Dには、対応する種別の情報の実測値や実績値が格納される。
【0043】
従って、
図7の例の場合、例えば、「2019/5/13 9:00」に「XXX1234」という製造番号の機器3から送信されてきた稼働データにおいて、その機器3の「機器内温度1」は「85[℃]」、「機器内圧力1」は「0.63[MPa]」、「周囲温度」は「18[℃]」、累積の「運転時間」は「1050[時間]」であったことが示されている。なお、各機器3は複数個所において機器内温度や機器内圧力が計測されており、「機器内温度1」や「機器内圧力1」はその中の一ヶ所における機器内温度や機器内圧力を表すデータであることを意味している。
【0044】
修理履歴管理テーブル28は、各機器3の修理履歴の情報(修理履歴情報)を管理するために利用されるテーブルであり、保守履歴管理テーブル29は、各機器3の保守履歴の情報(保守履歴情報)を管理するために利用されるテーブルである。これら修理履歴管理テーブル28及び保守履歴管理テーブル29の具体的な構成の説明については省略する。
【0045】
状態・区分管理データベース23は、診断区分と、これら診断区分に属する代表的な機器状態と、診断区分ごとに予め設定された点数との対応関係を管理するために利用されるデータベースであり、
図8に示すように、機器状態欄23A、診断区分欄23B及び点数欄23Cを備えたテーブル構造を有する。
図8の状態・区分管理データベース23では、1つのレコード(行)が1つの診断区分に対応する。
【0046】
そして診断区分欄23Bには、対応する診断区分の名称(「運転方法」、「設置環境」、「点検不備」又は「部品消耗」)が格納され、機器状態欄23Aには、対応する診断区分に属する代表的な幾つかの機器状態(異常状態)が格納される。また点数欄23Cには、対応する診断区分に対して予め設定された点数が格納される。本実施の形態の場合、上述のようにより深刻な機器状態(異常状態)を引き起こす原因に対応する診断区分ほどより高い点数が設定される。
【0047】
従って、
図8の例の場合、「AA長期停止」、「BB長期停止」及び「データ未受信」といった機器状態(異常状態)は「運転方法」という診断区分に属しており、この「運転方法」という診断区分に対する点数として「1」点が設定されていることが示されている。
【0048】
過去履歴情報データベース24は、状態・区分管理データベース23(
図8)には登録されておらず、それまでに実行した
図17について後述する機器状態決定処理において対応付けられた機器状態及び診断区分の対応関係を後述の機器状態決定部31Bが管理するために利用するデータベースである。過去履歴情報データベース24は、
図9に示すように、機器状態欄24A、診断区分欄24B、分析項目欄24C及び複数の必要データ種別欄24Dを備えて構成される。
【0049】
そして機器状態欄24Aには、過去に実行された機器状態決定処理において対応付けられた機器状態及び診断区分のうちの機器状態が格納され、診断区分欄24Bには、かかる機器状態及び診断区分のうちの診断区分が格納される。また分析項目欄24Cには、そのときユーザが指定していた分析項目が格納され、各必要データ種別欄24Dには、その分析項目の分析を実行するために必要なデータのデータ種別(必要データ種別)がそれぞれ格納される。
【0050】
従って、
図9の例の場合、「A長期停止」という機器状態は、過去に実行された機器状態決定処理において「運転方法」という診断区分と対応付けられたことが示されている。また
図9では、その対応付けが行われたのは「機器状態診断」という分析項目の分析を行ったときであり、「A長期停止」という機器状態を検出するために「警報/故障情報」及び「稼働データ」というデータ種別のデータがそれぞれ必要であったことが示されている。
【0051】
診断結果データベース25は、各機器3についてそれぞれ算出した診断点数を蓄積及び管理するために利用されるテーブルである。ここでの説明では分析項目を「機器状態診断」として説明しているため、1つの機器3に対する「機器状態診断」を行うごとに
図10に示すような診断結果テーブル25Aが1つ作成されて、その機器3の製造番号と対応付けて診断結果データベース25に格納される。
【0052】
この診断結果テーブル25Aは、
図10に示すように、機器状態欄25AA、診断区分欄25AB、該当件数欄25AC、点数欄25AD及び診断点数欄25AEを備えて構成される。
【0053】
そして診断区分欄25ABには、各診断区分の名称(「運転方法」、「設置環境」、「点検不備」及び「部品消耗」)がそれぞれ格納される。また機器状態欄25AAには、分析により検出された対象機器3の各機器状態のうち、対応する診断区分に属するすべての機器状態がそれぞれ格納される。
【0054】
さらに該当件数欄25ACには、対象機器3について検出された対応する診断区分に属する機器状態の数が格納され、点数欄25ADには、対応する診断区分について設定された点数が格納される。さらに診断点数欄25AEには、対応する診断区分に属する機器状態の件数にその診断区分の点数を乗じて算出されたその診断区分についての診断点数が格納される。なお、診断結果テーブル25Aの最下段の診断点数欄25AEには、各診断区分の診断点数を合算して算出した、対象機器3の状態の悪さの度合を表すその対象機器3の診断点数が格納される。
【0055】
従って、
図10の例の場合、「XXX1234」という製造番号の対象機器3に対する機器状態診断において、「運転方法」という診断区分に属する機器状態は検出されず、「設置環境」という診断区分に属する機器状態として「周囲温度 低」という「1件」の機器状態、「点検不備」という診断区分に属する機器状態として「警報/故障発生」を含む合計「4件」の機器状態、「部品消耗」という診断区分に属する機器状態として「エレメント異常」を含む合計「3件」の機器状態がそれぞれ検出されたことが示されている。
【0056】
また
図10では、以上の結果として、「運転方法」という診断区分の診断点数は「0点」、「設置環境」という診断区分の診断点数は「2点」、「点検不備」という診断区分の診断点数は「12点」、「部品消耗」という診断区分の診断点数も「12点」であり、対象機器3の診断点数が「26点」であったことが示されている。
【0057】
一方、データ入力部30(
図2)は、ユーザにより入力された対象機器3を特定するための機器特定情報(ここでは製造番号)や、分析項目を受け付け、受け付けた製造番号及び分析項目に基づいて、必要な情報を機器特定情報データベース20(
図3)や分析項目データベース21(
図4)から取得して機器状態決定部31(
図2)に通知する機能を有するプログラムである。このデータ入力部30は、
図11に示すように、機能部として監視対象機器特定情報入力部30A及び分析項目入力部30Bを備えて構成される。
【0058】
監視対象機器特定情報入力部30Aは、機器特定情報データベース20(
図3)の各レコード(行)のうち、ユーザから指定された製造番号が製造番号欄20Bに格納されたレコードを検索し、この検索により検出したレコードの
図3について上述した機器名欄20A、型式欄20C、設置先住所欄20D及び設置日欄20Eにそれぞれ格納された対象機器3の機器名、型式、設置先住所及び設置日を機器特定情報データベース20から読み出して機器状態決定部31及び診断結果決定部32に通知する。
【0059】
例えば、
図3の例において、ユーザにより指定された対象機器の製造番号が「XXX1234」であった場合、かかる検索により機器名として「機器1」、型式として「Model A」、設置先住所として「××県○○市」、設置日として「2015/8/15」といった各情報がそれぞれ機器特定情報データベース20から読み出され、これらの情報が機器状態決定部31及び診断結果決定部32にそれぞれ通知される。
【0060】
また分析項目入力部30Bは、分析項目データベース21(
図4)のレコードのうち、ユーザから指定された分析項目が分析項目欄21A(
図4)に格納されたレコードを検索し、この検索により検出したレコードの各必要データ種別欄21B(
図4)にそれぞれ格納されたデータ種別を分析項目データベース21からすべて読み出し、これらのデータ種別と、ユーザから指定された分析項目とを機器状態決定部31に通知する。
【0061】
例えば、
図4の例において、ユーザにより指定された分析項目が「機器状態診断」であった場合、かかる検索により必要なデータのデータ種別として「警報/故障情報」、「稼働データ」及び「修理履歴情報」とった各情報が分析項目データベース21から読み出され、これらの情報が機器状態決定部31に通知される。
【0062】
機器状態決定部31は、データ入力部30の監視対象機器特定情報入力部30Aから通知された対象機器3の機器名、型式、設置先住所及び設置日と、分析項目入力部30Bから通知されたユーザにより指定された分析項目及びその分析項目の分析を実行するために必要な各データのデータ種別とに基づいて対象機器3の状態を決定する機能を有するプログラムである。この機器状態決定部31は、機能部として分析項目決定部31A及び機器状態決定部31Bを備えて構成される。
【0063】
分析項目決定部31Aは、データ入力部30の分析項目入力部30Bから通知されたユーザにより指定された分析項目をそのとき実行すべき分析項目に決定する。そして分析項目決定部31Aは、決定した分析項目と、分析項目入力部30Bから通知されたその分析項目の分析を行うために必要な各データのデータ種別(必要データ種別)と、監視対象機器特定情報入力部30Aから通知された対象機器3の製造番号とを機器状態決定部31Bに通知する。
【0064】
従って、上述の例では、分析項目決定部31Aは、分析項目を「機器状態診断」に決定して決定結果を機器状態決定部31Bに通知すると共に、その分析項目の分析に必要なデータのデータ種別(必要データ種別)が「警報/故障情報」、「稼働データ」及び「修理履歴情報」であることを機器状態決定部31Bに通知する。
【0065】
機器状態決定部31Bは、分析項目決定部31Aから通知された機器番号を検索キーとして、機器情報データベース22内の対応する管理テーブル上で対象機器3に関連するデータをそれぞれ検索し、この検索により検出した各データを取得する。また機器状態決定部31Bは、取得した各データに基づいて対象機器3の各機器状態と、これらの各機器状態がそれぞれ属する診断区分とを決定し、決定した対象機器3の各機器状態と、各診断区分とを診断結果決定部32に通知する。さらに機器状態決定部31Bは、対象機器3の累積の運転時間を稼働データ管理テーブル27(
図7)から読み出して診断結果決定部32に通知すると共に、上述のようにして機器情報データベース22から取得した対象機器3に関連するデータを診断結果決定部32に通知する。
【0066】
従って、上述の例では、機器状態決定部31Bは、「警報/故障情報」が格納されている警報/故障情報管理テーブル26(
図6)上で対象機器3(製造番号が「XXX1234」の機器3)に関連するデータを検索すると共に、「稼働データ」が格納されている稼働データ管理テーブル27(
図7)上で対象機器3に関連するデータを検索し、さらに「修理履歴情報」が格納されている修理履歴管理テーブル28(
図5)上で対象機器3に関連するデータを検索する。また機器状態決定部31Bは、これらの検索により検出した各データに基づいて対象機器3の各機器状態と、これら機器状態がそれぞれ属する診断区分とを決定し、決定結果を診断結果決定部32に通知する。なお、機器状態決定部31のより具体的な処理内容については後述する。
【0067】
診断結果決定部32は、対象機器3の現在の機器状態を点数化し、対象機器3を各分類グループ(ここでは、「型式」、「地域」及び「運転時間」の各分類グループ)内でそれぞれ順位付けする機能を有するプログラムである。この診断結果決定部32は、機能部として診断点数決定部32A、分類処理部32B、順位付け処理部32C及び診断処理部32Dを備えて構成される。
【0068】
診断点数決定部32Aは、機器状態決定部31Bから通知された対象機器3の各機器状態と、これら機器状態ごとの診断区分とに基づき、状態・区分管理データベース23(
図8)や過去履歴情報データベース24(
図9)を参照して、現在の対象機器3の状態を点数化する。
【0069】
実際上、診断点数決定部32Aは、診断区分ごとに、その診断区分に属する対象機器3の機器状態の数をカウントし、カウント結果にその診断区分に対して予め設定された点数を乗算するようにしてその診断区分の診断点数をそれぞれ算出する。また診断点数決定部32Aは、このようにして算出した診断区分ごとの診断点数を合算するようにして、対象機器3の現在の機器状態を点数化する。そして診断点数決定部32Aは、このようにして算出した診断区分ごとの診断点数と、これらの合算値である対象機器3の診断点数とを、順位付け処理部32Cに通知すると共に、
図10について上述した診断結果テーブル25Aに記録して診断結果データベース25に格納する。
【0070】
分類処理部32Bは、データ入力部30の監視対象機器特定情報入力部30Aから通知された対象機器3の型式及び設置先住所と、機器状態決定部31の機器状態決定部31Bから通知された対象機器3の累積の運転時間とに基づいて、対象機器3が「型式」、設置先の「地域」及び累積の「運転時間」のそれぞれについてどの分類グループに属するかをそれぞれ判定する。
【0071】
実際上、分類処理部32Bは、「型式」については、監視対象機器特定情報入力部30Aから通知された対象機2器の型式に基づいて、その対象機器3が属する型式の分類グループを判定する。また分類処理部32Bは、設置先の「地域」については、監視対象機器特定情報入力部30Aから通知された対象機器3の設置先住所に基づいて、その対象機器3の設置先が属する地域の分類グループを判定する。さらに分類処理部32Bは、累積の「運転時間」については、機器状態決定部31Bから通知された運転時間が「0~100時間」「100~500時間」、「500~1000時間」、……といった運転時間の幾つかの分類グループのうちのどの分類グループに属するかを判定する。
【0072】
そして分類処理部32Bは、このようにして判定した対象機器の「型式」、設置先の「地域」及び累積の「運転時間」の各分類グループを順位付け処理部32Cに通知する。
【0073】
順位付け処理部32Cは、診断点数決定部32Aから通知された対象機器3の診断結果と、診断結果データベース25に登録された他の監視対象の機器3の診断結果(診断点数)とに基づいて、「型式」、「地域」及び「運転時間」のそれぞれの分類グループについて、対象機器3の現在の状態の悪さの度合がその分類グループ内において何番目であるかを順位付けする。このような順位付けは、分類グループごとに、その分類グループに属する各機器3を診断点数の大きさでソートし、診断点数が大きいものから順番に順位を付与することにより行うことができる。そして順位付け処理部32Cは、このような順位付け結果を
図12に示すようなフォーマットでデータ出力部33に出力する。また、順位付け処理部32Cは、これと併せて診断結果データベース25に格納されている過去(例えば6か月前や1年前)の自己の診断点数を読み出し、読み出した過去の自己の診断点数をかかる順位付け結果と共にデータ出力部33に出力する。
【0074】
なお、
図12は、「機器1」という機器が、1年前の診断点数が「15点」であったが現在の診断点数が「26点」であり、型式、設置先の地域及び運転時間がそれぞれ「Model 1」、「地域ア」及び「100~500[h]」の分類グループに分類され、同じ型式の機器3の中での状態の悪さの度合が「1位」、同じ地域内に設置された機器3の中での状態の悪さの度合が「2位」、同じ「100~500[h]」の運転時間の機器3の中での状態の悪さの度合が「1位」であると順位付けされたことを示している。
【0075】
ただし、例えば
図13に示すように、順位付け処理部32Cが、診断結果データベース25に格納された対象機器3の1年前の診断点数に基づいて、今回算出した対象機器3の診断点数と、1年前(又は数か月若しくは数年前)の対象機器3の診断点数との差を1年前(又は数か月若しくは数年前)と比べた対象機器3の経年劣化の度合を経年劣化度として算出し、算出した経年劣化度に基づいて各分類グループ内での対象機器3の順位付けを行うようにしてもよい。この場合には、各分類グループ内で機器3を経年劣化度の大きさでソートし、経年劣化度が大きいものから順番に順位を付与するようにして対象機器3のその分類グループ内での順位を算出するようにすればよい。
【0076】
診断処理部32Dは、機器状態決定部31の機器状態決定部31Bから通知された、機器情報データベース22(
図5)から取得された対象機器のデータに基づいて、予め定められた「機器温度」、「警報/故障の発生件数」及び「目詰まり状況」などの幾つかの診断項目に対する診断処理を実行する。このような診断処理部32Dによる診断処理の具体的な内容については後述する。診断処理部32Dは、かかる診断処理の処理結果をデータ出力部33に通知する。
【0077】
データ出力部33は、順位付け処理部32Cから通知された対象機器3の順位付け結果と、診断処理部32Dから通知された各診断項目に対する診断結果とをテキストなどの形式でデータ可視化部34に出力する。またデータ可視化部34は、データ出力部33から与えられた順位付け処理部32Cの順位付け処理結果及び診断処理部32Dの診断処理結果を所定フォーマットのレポートやグラフなどの形式で可視化して提示(表示又はプリント)する。
【0078】
なおデータ可視化部34は、入力装置14(
図2)を介してユーザにより設定された検索条件に基づいて機器特定情報データベース20(
図3)や機器情報データベース22(
図5)を検索し、検索条件に合致する機器3を検出してその情報を可視化することもできる。
【0079】
(3)各種画面の構成
図14は、上述した機器分析機能に基づく分析処理(ここでは機器状態診断処理)の処理終了後に分析サーバ5の出力装置15に表示され、及び又は、出力装置15からプリントアウトされる分析結果表示画面40の構成例を示す。この分析結果表示画面40は、かかる分析処理の処理結果を表示するための画面であり、対象機器名欄41、警報/故障履歴欄42、保守履歴欄43、診断結果表示欄44及びコメント欄45を備えて構成される。
【0080】
そして対象機器名欄41には、そのときの対象機器3の機器名が表示され、警報/故障履歴欄42には、かかる分析処理の実行途中で機器情報データベース22(
図5)の警報/故障情報管理テーブル26(
図6)から取得した、その対象機器3の警報の発報や故障の発生の履歴情報が表示される。また保守履歴欄43には、かかる分析処理の実行途中で保守履歴管理テーブル29(
図5)から取得した、その対象機器3に対する保守作業の実行履歴の情報(保守履歴情報)が表示される。
【0081】
診断結果表示欄44には、かかる機器状態診断処理による対象機器3の診断結果が表示される。実際上、診断結果表示欄44には、診断点数・経年劣化表示領域50と、1又は複数の順位表示領域51と、1又は複数の診断対象表示領域52と、これらの診断対象表示領域52にそれぞれ対応させた判定結果表示領域53とが設けられている。
【0082】
そして診断点数・経年劣化表示領域50には、上述のようにして算出した対象機器3の診断点数と、1年前及び6か月前の状態からの経年劣化度とがそれぞれ表示される。上述のように経年劣化度は、対象機器3の今回の診断点数から1年前や6か月前に算出した診断点数を減算することにより得られた数値である。
図14の例の場合、6か月前との比較では経年劣化度が「-5点」であるため、対象機器3の状態が6か月前に比べて改善しているのに対して、1年前との比較では経年劣化度が「5点」であるため、対象機器3の状態が1年前に比べて経年劣化していることが分かる。
【0083】
また順位表示領域51には、上述のようにして算出した各分類グループ内での対象機器3の順位が表示される。
図14では、「地域」として「A県」内の全機器3の中で対象機器3の状態の悪さの度合が「2位」であったことが示されている。ただし、この
図14に示すように、分類グループ内での対象機器3の順位ではなく、対応する分類グループ内における対象機器3の状態の悪さの度合が上位何%であるかを表示するようにしてもよい。
図14では、「同型式」の分類グループの全機器3の中で対象機器3の状態の悪さが「上位10%」であったことが示されている。
【0084】
診断対象表示領域52には、
図11について上述した診断結果決定部32の診断処理部32Dの判定対象となる幾つかの診断項目のうちの対応する診断項目における診断対象及びその診断対象に関する情報が表示される。
図14では、「診断項目A」の診断対象が「温度」であり、かかる「温度」に関連して、対象機器3の機器内温度の最高値が「89」、平均値が「67」であったことが示されている。
【0085】
また
図14では、「診断項目B」の診断対象が警報の発報件数や故障の発生件数(「発生件数」)であり、かかる「発生件数」に関連して、対象機器3の警報発報件数が「10」件、故障発生件数が「6」件であったことが示されている。さらに
図14では、「診断項目C」の診断対象が「目詰まり状況」であり、かかる「目詰まり状況」に関連して、対象機器3の吸込み圧力が「0.6」であったことが示されている。
【0086】
ただし、かかる診断項目としては、これ以外の診断項目を適用することができる。また診断項目をユーザが指定できるようにしてもよい。
【0087】
さらに判定結果表示領域53には、対応する診断対象表示領域52(その判定結果表示領域53の左側に設けられた診断対象表示領域52)に表示された診断対象について、診断結果決定部32(
図11)の診断処理部32D(
図11)が「A」~「D」の4段階で判定(評価)した判定結果が表示される。
図14では、「診断項目A」に対する判定結果が「D」、「診断項目B」に対する判定結果が「C」、「診断項目C」に対する判定結果が「B」であったことが示されている。
【0088】
なお、診断処理部32Dによるかかる判定は、機器状態を表す数値を、「A」段階、「B」段階、「C」段階及び「D」段階に対してそれぞれ設定した範囲と比較するようにして行われる。この際、各段階の範囲は、判定対象となる機器状態ごとにそれぞれ設定される。例えば、
図14では、「診断項目A」については、最高温度に対する「A」段階の範囲が「0~50℃」、「B」段階の範囲が「51~60℃」、「C」段階の範囲が「70~80℃」、「D」段階の範囲が「81℃~」に設定されているものとして、対象機器3の機器状態が「D」と判定されたことが例示されている。
【0089】
さらにコメント欄45には、対象機器3に対する上述のような機器状態診断の診断結果に基づくコメントが表示される。
【0090】
一方、
図15は、入力装置14を用いた所定操作により分析サーバ5の出力装置15に表示させ得る機器検索画面60の構成例を示す。この機器検索画面60は、所望する検索条件に合致する機器3を分析サーバ5に検索させるための画面である。
【0091】
この機器検索画面60は、検索条件設定領域61及び検索結果表示領域62を備えて構成される。そして検索条件設定領域61には、1又は複数の検索条件設定ボタン70と、検索条件追加ボタン71と、検索ボタン72とが設けられている。
【0092】
そして機器検索画面60では、検索条件設定ボタン70をクリック又はタップなどの押圧操作することによって、「型式」、「運転時間」及び「設置日」などのユーザが指定可能な複数の検索条件が掲載されたプルダウンメニュー73(73A)を表示させることができる。
【0093】
また機器検索画面60では、プルダウンメニュー73(73A)に表示された検索条件よりもさらに下層の検索条件が存在する検索条件(例えば、「設置場所」という検索条件に対する各「県」等の具体的な地域など)については、かかるプルダウンメニュー73(73A)の中からその検索条件を表す文字列を押圧操作することによって、その検索条件の下層の検索条件が複数の掲載されたプルダウンメニュー73(73B)を表示させることができる。機器検索画面60では、さらに下層の検索条件が存在する検索条件については、同様にしてさらに下層の検索条件が掲載されたプルダウンメニュー73を順次表示させることができる。
【0094】
かくしてユーザは、上述のようにして所望する検索条件が掲載された最下層のプルダウンメニュー73を表示させ、そのプルダウンメニュー73に掲載された所望する検索条件を押圧操作により選択することで、その検索条件を、機器3を検索する際の検索キーとして指定することができる。またユーザは、この後、検索ボタン72を押圧操作することにより、分析サーバ5にその検索条件(最後に押圧操作した検索条件)を検索キーとする検索を機器特定情報データベース20(
図3)上で実行させることができる。
【0095】
そして機器検索画面60では、このようにして分析サーバ5により実行された検索処理により検出された、かかる検索条件に合致する各機器3の設置場所や、製造番号及び設置日などの情報が検索結果表示領域62内に表形式で表示される。この際、検索結果表示領域62には、かかる検索により検出した各機器3について、稼働データ管理テーブル27(
図7)から取得した累積の運転時間も併せて表示される。
【0096】
なお機器検索画面60では、検索条件を複数設定することができる。例えば、
図16に示すように、2つの検索条件を設定する場合には、「検索条件1」という文字列が表記された検索条件設定ボタン70を押圧操作して最上層のプルダウンメニュー73(73A)を表示させた後に、上述のようにして1つの目の検索条件を設定する。また、この後、「検索条件2」という文字列が表記された検索条件設定ボタン70を押圧操作して最上層のプルダウンメニュー73(73A)を表示させた後に、上述のようにして2つの目の検索条件を設定し、この後、検索ボタン72を押圧操作する。この結果、これら2つの検索条件の双方を満たす機器3が検索されて、その検索結果が検索結果表示領域62に表示される。
【0097】
また機器検索画面60では、検索条件追加ボタン71を押圧操作するごとに検索条件設定ボタン70を1つずつ追加表示させることができる。これによりユーザは、所望する数の検索条件を設定することができ、これらの検索条件をすべて満たす機器3を機器特定情報データベース20(
図3)上で検索させることができる。
【0098】
(4)機器分析機能に関する各種処理の流れ
次に、かかる機器分析機能に関連して分析サーバ5において実行される各種処理の具体的な処理の流れについて説明する。なお、以下においては、各種処理の処理主体を「プログラム(……部)」や、そのプログラムの一部の機能(機能部)として説明するが、実際上は、分析サーバ5のCPU10(
図2)がそのプログラムに基づいてその処理を実行することは言うまでもない。
【0099】
(4-1)機器状態診断処理
図17は、対象機器3の製造番号と、分析項目とを指定した機器状態診断処理の実行指示がユーザから与えられた場合に分析サーバ5において実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【0100】
分析サーバ5では、かかる実行指示が与えられると、まず、データ入力部30の監視対象機器特定情報入力部30A(
図11)が、そのときユーザから指定された対象機器3の製造番号に基づいて当該対象機器3の機器名、型式、設置先住所及び設置日を機器特定情報データベース20(
図3)から読み出して機器状態決定部31(
図11)に通知する。また、これと併せて、データ入力部30の分析項目入力部30B(
図11)が、そのときユーザから指定された分析項目の分析に必要な各データのデータ種別を分析項目データベース21(
図4)から読み出して機器状態決定部31に通知する(S1)。
【0101】
機器状態決定部31の機器状態決定部31Bは、分析項目入力部30Bから通知された分析項目(ここでは「機器状態診断」)に基づいて、対象機器3の機器状態を決定する機器状態決定処理を実行する(S2)。機器状態決定処理の具体的な内容については、後述する。この機器状態決定処理により、対象機器3の各機器状態と、これらの機器状態がそれぞれ属する診断区分とがそれぞれ決定されて、これらの情報が診断結果決定部32(
図11)に通知される(S2)。
【0102】
続いて、診断結果決定部32の診断点数決定部32A(
図11)が、機器状態決定部31Bから通知された対象機器3の各機器状態及びこれら機器状態が属する診断区分に基づいて、診断区分ごとの診断点数を算出すると共に、算出した診断区分ごとの診断点数を合計することにより対象機器3の現在の状態の悪さの度合を表す対象機器の診断点数を算出する(S3)。
【0103】
次いで、診断結果決定部32の分類処理部32B(
図11)が、データ入力部30の監視対象機器特定情報入力部30Aから通知された対象機器3の機器名、型式、設置先住所及び設置日などの情報と、機器状態決定部31の機器状態決定部31Bから通知された対象機器3の運転時間とに基づいて、「型式」、「地域」及び「運転時間」のそれぞれについて、その対象機器3を対応する分類グループに分類する(S4)。
【0104】
さらに診断結果決定部32の順位付け処理部32C(
図11)が、「型式」、「地域」及び「運転時間」のそれぞれの分類グループの中で何番目に状態が悪いかを順位付けする(S5)。また、この後又はこれと並行して、診断結果決定部32の診断処理部32Dが、予め設定された各診断項目について対象機器3に対する判定処理を実行する(S6)。
【0105】
この後、データ可視化部34が、診断結果決定部32の順位付け処理部32C及び診断処理部32Dの各処理結果を、例えば
図14について上述した分析結果表示画面40にまとめて可視表示する(S7)。以上により、この機器状態診断処理が終了する。
【0106】
(4-2)機器状態決定処理
図18は、
図17について上述した機器状態診断処理のステップS2において機器状態決定部31(
図11)により実行される機器状態決定処理の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【0107】
実際上、
図17について上述した機器状態診断処理がステップS2に進むと、この
図18に示す機器状態決定処理が開始され、まず、機器状態決定部31の分析項目決定部31A(
図11)が、データ入力部30(
図11)の分析項目入力部30B(
図11)から通知されたユーザにより指定された分析項目(ここでは機器状態診断)に基づいて、そのとき実行すべき分析項目を機器状態診断に決定する。また分析項目決定部31Aは、決定した分析項目である機器状態診断と、分析項目入力部30Bから通知された機器状態診断を行うために必要な各データのデータ種別(ここでは「警報/故障情報」、「稼働データ」及び「修理履歴情報」)と、データ入力部30の監視対象機器特定情報入力部30A(
図11)から通知された対象機器の製造番号とを機器状態決定部31Bに通知する(S10)。
【0108】
機器状態決定部31Bは、分析項目決定部31Aから通知された上述の各情報に基づいて、機器状態診断を行うために必要な「警報/故障発生」、「稼働データ」及び「修理履歴」の各必要データ種別のデータを、機器情報データベース22(
図5)の警報/故障情報管理テーブル26(
図6)や、稼働データ管理テーブル27(
図7)又は修理履歴管理テーブル28(
図5)からそれぞれ取得する(S11)。
【0109】
続いて、機器状態決定部31Bは、ステップS11において、「警報/故障発生」、「稼働データ」及び「修理履歴」の少なくとも1つの必要データ種別のデータを取得できたか否かを判断する(S12)。
【0110】
この判断で否定結果を得ることは、対象機器3に当て嵌まる機器状態がない(つまり対象機器3に何らの異常状態も発生していない)ことを意味する。かくして、このとき機器状態決定部31Bは、この機器状態決定処理を終了して機器状態診断処理に戻る。因みに、この場合、対象機器3に当て嵌まる機器状態がないため、機器状態診断処理の次のステップS3では、対象機器の診断点数が「0」として算出されることになる。
【0111】
これに対して機器状態決定部31Bは、ステップS12の判断で肯定結果を得ると、ステップS11で取得したデータのうちの警報/故障情報管理テーブル26や、修理履歴管理テーブル28から取得したデータに基づいて、対象機器3の過去又は現在の機器状態として、警報の発報や故障の発生を表す機器状態や、修理が行われたという機器状態を検出できたか否かを判定する(S13)。
【0112】
また機器状態決定部31Bは、ステップS11で取得したデータのうちの稼働データ管理テーブル27から取得した稼働データに基づいて、対象機器3の過去又は現在の機器状態として、異常状態を検出できたか否かを判定する(S14)。
【0113】
例えば、ステップS11で稼働データ管理テーブル27から取得した稼働データに基づき認識される機器内温度が、当該機器内温度について予め設定された上限閾値以上であった場合や、当該機器内温度について予め設定された下限閾値以下であった場合には、その稼働データは異常状態を表すデータであるため、機器状態決定部31Bは、このような場合には異常状態を検出できたと判定する。
【0114】
またステップS11で稼働データ管理テーブル27から取得した稼働データに基づき認識される機器内温度と周囲温度との温度差が、当該温度差について予め設定された上限閾値以上であった場合や、当該温度差について予め設定された下限閾値以下であった場合には、その稼働データは異常状態を表すデータであるため、機器状態決定部31Bは、このような場合には異常状態を検出できたと判定する。
【0115】
さらにステップS11で稼働データ管理テーブル27から取得した稼働データに基づき認識される機器内圧力が、当該機器内圧力について予め設定された上限閾値以上であった場合や、当該機器内圧力について予め設定された下限閾値以下であった場合には、その稼働データは異常状態を表すデータであるため、機器状態決定部31Bは、このような場合には異常状態を検出できたと判定する。
【0116】
続いて、機器状態決定部31Bは、ステップS13又はステップS14で検出した機器状態(警報/故障発生若しくは修理に関する機器状態、又は、異常状態)の中からステップS16以降が未処理の機器状態を1つ選択し(S15)、選択した機器状態(以下、これを選択機器状態と呼ぶ)が状態・区分管理データベース23(
図8)に登録されているか否かを判断する(S16)。
【0117】
そして機器状態決定部31Bは、この判断で肯定結果を得ると、かかる選択機器状態と、状態・区分管理データベース23において選択機器状態と対応付けられている診断区分との組合せを記憶し、この後、ステップS19に進む。
【0118】
これに対して、機器状態決定部31Bは、ステップS16の判断で否定結果を得ると、過去履歴情報データベース24(
図9)に登録されている機器状態の中から選択機器状態に最も近い機器状態を抽出し
(S17)、抽出した機器状態と、その機器状態と過去履歴情報データベース24上で対応付けられている診断区分との組合せを記憶する(S18)。
【0119】
次いで、機器状態決定部31Bは、ステップS13又はステップS14で検出したすべての機器状態についてステップS16~ステップS18の処理を実行し終えたか否かを判断する(S19)。そして機器状態決定部31Bは、この判断で否定結果を得るとステップS15に戻り、この後、ステップS15で選択する機器状態をステップS16以降が未処理の該当する他の機器状態に順次切り替えながらステップS15~ステップS19の処理を繰り返す。
【0120】
そして機器状態決定部31Bは、やがてステップS13又はステップS14で検出したすべての機器状態についてステップS16~ステップS18の処理を実行し終えることによりステップS19で肯定結果を得ると、それまでにステップS18で組合せを記憶したすべての機器状態及び診断区分を、対象機器3の機器状態及び当該機器状態が属する診断区分に決定する(S20)。
【0121】
さらに機器状態決定部31Bは、ステップS20で決定した対象機器3の各機器状態及びその機器状態の診断区分の対応関係のうち、状態・区分管理データベース23(
図8)に登録されていない機器状態及びその診断区分の対応関係が存在する場合には、その機器状態及び診断区分の対応関係を過去履歴情報データベース24(
図9)に登録する(S21)。そして機器状態決定部31Bは、この後、この機器状態決定処理を終了する。
【0122】
(4-3)過去履歴比較処理
図19は、
図18について上述した機器状態決定処理のステップS17における機器状態決定部31Bの具体的な処理内容を示す。機器状態決定部31Bは、機器状態決定処理のステップS17に進むと、この
図19に示す過去履歴比較処理を開始し、まず、機器状態決定処理(
図18)のステップS15で選択した機器状態(選択機器状態)が過去履歴情報データベース24(
図9)に登録されているか否かを判断する(S30)。
【0123】
機器状態決定部31Bは、この判断で肯定結果を得ると、選択機器状態と、過去履歴情報データベース24において選択機器状態と対応付けられている診断区分とを対応付ける(S38)。そして機器状態決定部31Bは、この後、この過去履歴比較処理を終了して機器状態決定処理に戻る。よって、この場合には、このとき対応付けられた選択機器状態と、診断区分との組合せが続くステップS18で記憶されることになる。以下においても同様である。
【0124】
これに対して、機器状態決定部31Bは、ステップS30の判断で否定結果を得ると、以下のステップS31~ステップS37により状態・区分管理データベース23(
図8)又は過去履歴情報データベース24(
図9)に登録されている機器状態の中から内容的に選択機器状態に最も近い機器状態を推定する。
【0125】
具体的に、機器状態決定部31Bは、まず、選択機器状態が警報/故障又は修理に関する機器状態であるか否かを判断する(S31)。そして機器状態決定部31Bは、この判断で肯定結果を得ると、選択機器状態の具体的な内容(警報/故障/修理内容)を確認し(S32)、状態・区分管理データベース23又は過去履歴情報データベース24に登録されている機器状態の中からその選択機器状態と状態が最も近い機器状態を抽出する(S37)。さらに機器状態決定部31Bは、ステップS37で抽出した機器状態と過去履歴情報データベース24上で対応付けられていた診断区分を抽出機器状態の診断区分として対応付け(S38)、この後、この過去履歴比較処理を終了して機器状態決定処理に戻る。
【0126】
例えば、
図20の1段目に示す例のように、選択機器状態が「A長期停止」であり、過去履歴情報データベース24に登録されている機器状態のうちで「A長期停止」に最も近い機器状態が「B長期停止」であった場合、機器状態決定部31Bは、選択機器状態である「A長期停止」に対して、過去履歴情報データベース24において「B長期停止」という機器状態に対応付けられていた「運転方法」という診断区分を対応付けることになる。
【0127】
これに対して機器状態決定部31Bは、ステップS31の判断で否定結果を得ると、選択機器状態が温度に関する機器状態であるか否かを判断する(S33)。そして機器状態決定部31Bは、この判断で肯定結果を得ると、選択機器状態の具体的な内容(温度の具体的な異常状態)を確認し(S34)、状態・区分管理データベース23又は過去履歴情報データベース24に登録されている機器状態の中からその選択機器状態と内容的に最も近い機器状態を抽出する(S37)。さらに機器状態決定部31Bは、ステップS37で抽出した機器状態と過去履歴情報データベース24上で対応付けられていた診断区分を抽出機器状態の診断区分として対応付け(S38)、この後、この過去履歴比較処理を終了して機器状態決定処理に戻る。
【0128】
例えば、
図20の2段目に示す例のように、選択機器状態が「吐出温度 高」であり、過去履歴情報データベース24に登録されている機器状態のうちでその「吐出温度 高」に最も近い機器状態が「吐出温度 低」であった場合、機器状態決定部31Bは、選択機器状態である「吐出温度 高」に対して、過去履歴情報データベース24において「吐出温度 低」という機器状態に対応付けられていた「設置環境」という診断区分を対応付けることになる。
【0129】
また
図20の3段目に示す例のように、抽出機器状態が「機器内温度2 故障」であり、過去履歴情報データベース24に登録されている機器状態のうちでその「機器内温度2 故障」に最も近い機器状態が「機器内温度1 警報」であった場合、機器状態決定部31Bは、選択機器状態である「機器内温度2 故障」に対して、過去履歴情報データベース24において「機器内温度1 警報」に対応付けられていた「点検不備」という診断区分を対応付けることになる。
【0130】
一方、機器状態決定部31Bは、ステップS33の判断で否定結果を得ると、選択機器状態が圧力に関する機器状態であるか否かを判断する(S35)。そして機器状態決定部31Bは、この判断で肯定結果を得ると、選択機器状態の具体的な内容(圧力の具体的な異常状態)を確認し(S36)、状態・区分管理データベース23又は過去履歴情報データベース24に登録されている機器状態の中からその選択機器状態と内容的に最も近い機器状態を抽出する(S37)。さらに機器状態決定部31Bは、ステップS37で抽出した機器状態と過去履歴情報データベース24上で対応付けられていた診断区分を抽出機器状態の診断区分として対応付け(S38)、この後、この過去履歴比較処理を終了して機器状態決定処理に戻る。
【0131】
例えば、
図20の4段目に示す例のように、抽出機器状態が「機器内圧力1 低下」であり、過去履歴情報データベース24に登録されている機器状態のうちでその「機器内圧力1 低下」に最も近い機器状態が「機器内圧力 低下」であった場合、機器状態決定部31Bは、選択機器状態である「機器内圧力1 低下」に対して、過去履歴情報データベース24において「機器内圧力 低下」に対応付けられていた「部品消耗」という診断区分を対応付けることになる。
【0132】
これに対して、機器状態決定部31Bは、ステップS35の判断で否定結果を得ると、状態・区分管理データベース23又は過去履歴情報データベース24に登録されている機器状態の中から選択機器状態に内容的に最も近い機器状態を抽出する(S37)。そして機器状態決定部31Bは、ステップS37で抽出した機器状態と状態・区分管理データベース23又は過去履歴情報データベース24上で対応付けられていた診断区分を選択機器状態の診断区分として対応付け(S38)、この後、この過去履歴比較処理を終了して機器状態決定処理に戻る。
【0133】
(5)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態の監視システム1では、対象機器3の現在の状態を診断点数として点数化して可視化するため、この診断点数に基づいて対象機器3の現在の状態を分かり易くユーザに提示することができる。
【0134】
また本監視システム1では、かかる診断点数に基づいて、対象機器3の分類グループにおける順位をも表示するため、他の機器3との比較による対象機器3の状態をユーザが客観的に把握することができる。
【0135】
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を産業用機器を監視対象とする監視システム1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、産業用機器以外の機器を監視対象とする種々の監視システムに広く適用することができる。
【0136】
また上述の実施の形態においては、本実施の形態の機器分析機能を1つの分析サーバ5に搭載するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる機器分析機能をネットワークを介して相互に接続された複数のコンピュータ装置に分散させて搭載し、これらのコンピュータ装置が連携して本実施の形態による機器分析機能を実現するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、産業用機器などの機器の状態を監視する監視装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0138】
1……監視システム、3……機器、5……分析サーバ、10……CPU、20……機器特定情報データベース、21……分析項目データベース、22……機器情報データベース、23……状態・区分管理データベース、24……過去履歴情報データベース、25……診断結果データベース、26……警報/故障情報管理テーブル、27……稼働データ管理テーブル、28……修理履歴管理テーブル、29……保守履歴管理テーブル、30……データ入力部、30A……監視対象機器特定情報入力部、30B……分析項目入力部、31……機器状態決定部、31A……分析項目決定部、31B……機器状態決定部、32……診断結果決定部、32A……診断点数決定部、32B……分類処理部、32C……順位付け処理部、33……データ出力部、34……データ可視化部、40……機器検索画面、60……分析結果表示画面。