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特許7550116掘削機械の稼働範囲設定システムおよびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】掘削機械の稼働範囲設定システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
E02F9/26 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021118920
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2023014767
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2024-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山越 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】菊澤 遼平
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-157409(JP,A)
【文献】特開2021-068948(JP,A)
【文献】国際公開第2012/164712(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/189030(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削機械の周囲の実画像の情報を取得する周囲情報取得部と、
ユーザーインターフェース部と、
前記周囲情報取得部により取得された前記実画像の情報に基づいて周囲画像を生成し、前記周囲画像と、前記掘削機械の稼働範囲を規制する仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像とを前記ユーザーインターフェース部に表示するコントローラとを備えた、掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項2】
前記周囲画像は、前記ユーザーインターフェース部の上部領域に表示され、
前記設定ガイダンス画像は、前記表示部の下部領域に表示される、請求項1記載の掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項3】
前記掘削機械を上面視した上面モデル画像を記憶する記憶部をさらに備え、
前記ユーザーインターフェース部は、前記周囲画像とともに前記上面モデル画像を表示する、請求項1または2に記載の掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記掘削機械の先端部の第1位置を第1点として設定を受け付け、
前記掘削機械の先端部の第2位置を第2点として設定を受け付け、
前記設定を受け付けた前記第1点と第2点とを含み、地面に垂直な平面を仮想壁として設定する、請求項1記載の掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項5】
前記掘削機械は、バケットを有する作業機を備え、
前記先端部は、前記バケットの刃先である、請求項4に記載の掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項6】
前記周囲画像は、前記上面モデル画像を中心とする俯瞰画像である、請求項3に記載の掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項7】
前記設定ガイダンス画像は、前記仮想壁の設定を促すために、前記掘削機械の姿勢と仮想壁との位置関係を表した画像とメッセージとを含む、請求項1に記載の掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項8】
前記ユーザーインターフェース部には、前記上面モデル画像を取り囲むように目安線が重畳して表示される、請求項3に記載の掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項9】
前記仮想壁は、前記掘削機械の左側および右側のいずれかに設定される、請求項1記載の掘削機械の稼働範囲設定システム。
【請求項10】
掘削機械の周囲の実画像の情報を取得するステップと、
取得された前記実画像の情報に基づいて周囲画像を生成するステップと、
前記周囲画像と、前記掘削機械の稼働範囲を規制する仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像とをユーザーインターフェース部に表示するステップとを備えた、掘削機械の稼働範囲設定システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、掘削機械の稼働範囲の設定に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルや電動ショベル等の掘削機械は、作業機の動作や旋回体の旋回動作により周囲の障害物と干渉する事故を防止する必要がある。
【0003】
従来より、掘削機械の所定の高さを稼働範囲として作業機の動作を制限するものや、車両本体の運転室との干渉を防止するために所定の範囲を稼働範囲として作業機の動作を制限する種々の方式が提案されている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-52383号公報
【文献】特開2019-157409号公報
【文献】国際公開第2021/060534号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
掘削機械の稼働範囲を設定する際には、掘削機械と掘削機械の周囲にある物体との距離感を正確に取らなければ、不適切な掘削機械の稼働範囲を設定するおそれがある。
【0006】
掘削機械と当該物体との距離を取りすぎた稼働範囲を設定した場合には、掘削機械の作業効率が落ちる可能性がある。
【0007】
本開示の目的は、簡易な方式で掘削機械の稼働範囲を設定することが可能な掘削機械の稼働範囲設定システムおよびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に従う掘削機械の稼働範囲設定システムは、掘削機械の周囲の実画像の情報を取得する周囲情報取得部と、ユーザーインターフェース部と、周囲情報取得部により取得された実画像の情報に基づいて周囲画像を生成し、周囲画像と、掘削機械の稼働範囲を規制する仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像とをユーザーインターフェース部に表示するコントローラとを備える。
【0009】
本開示のある局面に従う掘削機械の稼働範囲システムの制御方法は、掘削機械の周囲の実画像の情報を取得するステップと、取得された実画像の情報に基づいて周囲画像を生成するステップと、周囲画像と、掘削機械の稼働範囲を規制する仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像とをユーザーインターフェース部に表示するステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の掘削機械の稼働範囲設定システムおよびその制御方法は、簡易な方式で掘削機械の稼働範囲を設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に基づく掘削機械の外観図である。
図2】実施形態に基づく掘削機械100を模式的に説明する図である。
図3】実施形態に基づく掘削機械100の制御系の構成を示す概要ブロック図である。
図4】実施形態に基づくコントローラ26の構成を示すブロック図である。
図5】実施形態に基づく表示装置44に表示される画面の一例である。
図6】実施形態に基づく表示装置44に表示される仮想壁の設定画面400の一例について説明する図である。
図7】実施形態に基づく表示装置44に表示される仮想壁の設定画面402の一例について説明する図である。
図8】実施形態に基づく表示装置44に表示される仮想壁の設定画面404の一例について説明する図である。
図9】実施形態に基づく表示装置44に表示される仮想壁の設定確認画面408の一例について説明する図である。
図10】実施形態に基づくコントローラ26の表示制御処理について説明するフロー図である。
図11】実施形態に基づく仮想壁設定部107の仮想壁位置設定処理の詳細について説明するフロー図である。
図12】実施形態の変形例2に基づく掘削機械の稼働範囲設定システムについて説明する図である。
図13】実施形態の変形例3に基づく掘削機械の稼働範囲設定システムについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態について図面を参照しながら説明する。同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能は同じである。それらについての詳細な説明については繰り返さない。
【0013】
<掘削機械の全体構成>
図1は、実施形態に基づく掘削機械の外観図である。図1に示されるように、本開示の思想を適用可能な掘削機械として油圧により作動する作業機2を備える油圧ショベルを例に挙げて説明する。
【0014】
掘削機械100は、車両本体1と、作業機2とを備える。
車両本体1は、旋回体3と、運転室4と、走行装置5とを有する。
【0015】
旋回体3は、走行装置5の上に配置される。走行装置5は、旋回体3を支持する。旋回体3は、旋回軸AXを中心に旋回可能である。運転室4には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられる。オペレータは、運転室4において掘削機械100を操作する。走行装置5は、一対の履帯5Crを有する。履帯5Crの回転により、掘削機械100が走行する。走行装置5は、車輪(タイヤ)で構成されていてもよい。
【0016】
運転席4Sに着座したオペレータを基準として各部の位置関係について説明する。前後方向とは、運転席4Sに着座したオペレータの前後方向をいう。左右方向とは、運転席4Sに着座したオペレータを基準とした左右方向をいう。左右方向は、車両の幅方向(車幅方向)に一致する。運転席4Sに着座したオペレータに正面に正対する方向を前方向とし、前方向とは反対の方向を後方向とする。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したとき右側、左側をそれぞれ右方向、左方向とする。
【0017】
旋回体3は、エンジンが収容されるエンジンルーム9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトCWとを有する。旋回体3において、エンジンルーム9の前方に手すり19が設けられる。エンジンルーム9には、エンジン及び油圧ポンプなどが配置されている。
【0018】
作業機2は、旋回体3に支持される。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8と、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とを有する。
【0019】
ブーム6は、ブームピン13を介して旋回体3に接続される。アーム7は、アームピン14を介してブーム6に接続される。バケット8は、バケットピン15を介してアーム7に接続される。ブームシリンダ10は、ブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブーム6の基端部(ブームフート)と旋回体3とが接続される。ブーム6の先端部(ブームトップ)とアーム7の基端部(アームフート)とが接続される。アーム7の先端部(アームトップ)とバケット8の基端部とが接続される。バケット8は、バケットリンクBLを介してバケットシリンダ12と接続されている。ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12はいずれも、作動油によって駆動される油圧シリンダである。なお、本開示の実施形態においては、アタッチメントとしてバケット8を示すが、アタッチメントはブレーカやスケルトンバケット、法面作業用バケットなど他の形態のバケットであってもよい。
【0020】
ブーム6は、中心軸であるブームピン13を中心に旋回体3に対して回転可能である。アーム7は、ブームピン13と平行な中心軸であるアームピン14を中心にブーム6に対して回転可能である。バケット8は、ブームピン13およびアームピン14と平行な中心軸であるバケットピン15を中心にアーム7に対して回転可能である。
【0021】
図2は、実施形態に基づく掘削機械100を模式的に説明する図である。図2(A)には、掘削機械100の側面図が示される。図2(B)には、掘削機械100の背面図が示される。
【0022】
図2(A)および図2(B)に示されるように、ブーム6の長さLD1は、ブームピン13とアームピン14との距離である。アーム7の長さLD2は、アームピン14とバケットピン15との距離である。バケット8の長さLD3は、バケットピン15とバケット8の刃先8Aとの距離である。バケット8は、複数の刃を有し、バケット8の先端部を刃先8Aと称する。バケット8は、刃を有していなくてもよい。バケット8の先端部は、ストレート形状の鋼板で形成されていてもよい。
【0023】
掘削機械100は、ブームシリンダストロークセンサ16と、アームシリンダストロークセンサ17と、バケットシリンダストロークセンサ18とを有する。ブームシリンダストロークセンサ16はブームシリンダ10に配置される。アームシリンダストロークセンサ17はアームシリンダ11に配置される。バケットシリンダストロークセンサ18はバケットシリンダ12に配置される。ブームシリンダストロークセンサ16、アームシリンダストロークセンサ17およびバケットシリンダストロークセンサ18は総称してシリンダストロークセンサとも称する。
【0024】
ブームシリンダストロークセンサ16の検出結果に基づいて、ブームシリンダ10のストローク長さが求められる。アームシリンダストロークセンサ17の検出結果に基づいて、アームシリンダ11のストローク長さが求められる。バケットシリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて、バケットシリンダ12のストローク長さが求められる。
【0025】
ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12のストローク長さをそれぞれブームシリンダ長、アームシリンダ長およびバケットシリンダ長とも称する。ブームシリンダ長、アームシリンダ長、及びバケットシリンダ長を総称してシリンダ長データLとも称する。シリンダストロークセンサに限られず、例えば、ブームピン13、アームピン14、バケットピン15といった作業機2の関節部に回転センサや角度センサを設け、得られた検出結果からストローク長さを検出してもよい。ストローク長さは、姿勢情報に含まれる。
【0026】
掘削機械100は、掘削機械100の位置を検出可能な測位装置20を備えている。
測位装置20は、アンテナ21と、グローバル座標演算部23とを有する。
【0027】
アンテナ21は、たとえばGNSS(Global Navigation Satellite Systems:全地球航法衛星システム)用のアンテナである。アンテナ21は、たとえばRTK-GNSS(Real Time Kinematic-Global Navigation Satellite Systems)用アンテナである。
【0028】
アンテナ21は、旋回体3に設けられる。アンテナ21は、旋回体3の手すり19に設けられる。アンテナ21は、エンジンルーム9の後方向に設けられてもよい。旋回体3のカウンタウェイトにアンテナ21が設けられてもよい。アンテナ21は、受信した電波(GNSS電波)に応じた信号をグローバル座標演算部23に出力する。
【0029】
グローバル座標演算部23は、グローバル座標系におけるアンテナ21の設置位置P1を検出する。グローバル座標系は、作業エリアに設置した基準位置Prを元にした3次元座標系(Xg、Yg、Zg)である。基準位置Prは、作業エリアに設定された基準杭の先端の位置である。ローカル座標系とは、掘削機械100を基準とした、(X、Y、Z)で示される3次元座標系である。ローカル座標系の基準位置は、旋回体3の旋回軸(旋回中心)AXに位置する基準位置P2を示すデータである。アンテナ21は、車幅方向に互いに離れるように旋回体3に設けられた第1アンテナ21A及び第2アンテナ21Bを有する。グローバル座標演算部23は、第1アンテナ21Aの設置位置P1a及び第2アンテナ21Bの設置位置P1bを検出する。グローバル座標演算部23は、グローバル座標で表される基準位置データPを取得する。基準位置データPは、旋回体3の旋回軸(旋回中心)AXに位置する基準位置P2を示すデータである。基準位置データPは、設置位置P1を示すデータでもよい。グローバル座標演算部23は、2つの設置位置P1a及び設置位置P1bに基づいて旋回体方位データQを生成する。旋回体方位データQは、設置位置P1aと設置位置P1bとで決定される直線がグローバル座標の基準方位(例えば北)に対してなす角に基づいて決定される。旋回体方位データQは、旋回体3(作業機2)が向いている方位を示す。グローバル座標演算部23は、後述するコントローラ26に基準位置データP及び旋回体方位データQを出力する。基準位置データP及び旋回体方位データQは姿勢情報に含まれる。
【0030】
掘削機械100は、掘削機械100の車両本体1の姿勢を検出可能な車体姿勢検出センサ32を備えている。車体姿勢検出センサ32は、IMU(Inertial Measurement Unit)24を含む。IMU24は、旋回体3に設けられる。IMU24は、運転室4の下部に配置される。旋回体3において、運転室4の下部に高剛性のフレームが配置される。IMU24は、そのフレーム上に配置される。IMU24は、旋回体3の旋回軸AX(基準位置P2)の側方(右側又は左側)に配置されてもよい。IMU24は、車両本体1の左右方向に傾斜する傾斜角θ4と、車両本体1の前後方向に傾斜する傾斜角θ5とを検出する。
【0031】
掘削機械100は、旋回角度センサ34を備えている。
掘削機械100は、ブームシリンダストロークセンサ16の検出結果に基づいて取得されたブームシリンダ長から、旋回体3の旋回軸AXに対するブーム6の傾斜角θ1を算出する。掘削機械100は、アームシリンダストロークセンサ17の検出結果に基づいて取得されたアームシリンダ長から、ブーム6に対するアーム7の傾斜角θ2を算出する。掘削機械100は、バケットシリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて取得されたバケットシリンダ長から、アーム7に対するバケット8の刃先8Aの傾斜角θ3を算出する。上記算出結果である作業機2の姿勢を示す傾斜角θ1、θ2、θ3と、車両本体1の姿勢を示す左右方向に傾斜する傾斜角θ4および車両本体1の前後方向に傾斜する傾斜角θ5と、基準位置データP、旋回体方位データQとに基づいて、掘削機械100のブーム6、アーム7およびバケット8の位置を特定することが可能となる。掘削機械100の稼働範囲を規制する仮想壁を設定するためのバケット先端位置を特定し、その座標を取得することが可能である。
【0032】
ブーム6の傾斜角θ1、アーム7の傾斜角θ2、及びバケット8の傾斜角θ3は、シリンダストロークセンサで検出されなくてもよい。ロータリーエンコーダのような回転センサや角度センサといった角度検出器でブーム6の傾斜角θ1が検出されてもよい。角度検出器は、旋回体3に対するブーム6の屈曲角度を検出して、傾斜角θ1を検出する。アーム7の傾斜角θ2がアーム7に取り付けられた角度検出器で検出されてもよい。バケット8の傾斜角θ3がバケット8に取り付けられた角度検出器で検出されてもよい。作業機に取り付けられたIMU24を介して姿勢情報を検出しても良い。各傾斜角(θ1、θ2、θ3、θ4、θ5)は姿勢情報に含まれる。
【0033】
図3は、実施形態に基づく掘削機械100の制御系の構成を示す概要ブロック図である。図3に示されるように、掘削機械100は、測位装置20と、車体姿勢検出センサ32と、旋回角度センサ34と、作業機姿勢検出センサ36と、周囲監視センサ38と、記憶部の一つである記憶装置40と、操作レバー42と、ユーザーインターフェース部の一つである表示装置44と、ユーザーインターフェース部の一つである入力装置46と、旋回モータ用電磁制御弁48と、旋回モータ62と、作業機用電磁制御弁50と、油圧シリンダ10,11,12と、走行モータ用電磁制御弁52と、走行モータ56と、エンジン54と、油圧ポンプ58と、作動油タンク60と、コントローラ26とを含む。
【0034】
図内の点線は機械結合あるいは油圧配管による接続を示す。実線は、信号線による接続を示す。
【0035】
コントローラ26は、掘削機械100全体を制御する装置であり、CPU(Central Processing Unit)である。
【0036】
測位装置20は、アンテナ21およびグローバル座標演算部23を含み、基準位置データPおよび旋回体方位データQを出力する。
【0037】
車体姿勢検出センサ32は、IMU42を含み、車両本体1の左右方向に傾斜する傾斜角θ4と、車両本体1の前後方向に傾斜する傾斜角θ5とを検出する。
【0038】
旋回角度センサ34は、掘削機械100の旋回中心AXに対する旋回体3の角度を検出する。
【0039】
作業機姿勢検出センサ36は、ブームシリンダストロークセンサ16と、アームシリンダストロークセンサ17と、バケットシリンダストロークセンサ18を含み、ブームシリンダ長、アームシリンダ長、バケットシリンダ長を検出する。
【0040】
周囲監視センサ38は、カメラおよび超音波センサ、レーダー、ライダー(Light Detection and Ranging)のうちの少なくとも1つを含み、掘削機械100の周囲の情報を計測する。周囲監視センサ38は、掘削機械100の周囲を撮像可能に設けられた複数のカメラを含み、掘削機械100の周囲を撮像した実画像の情報を取得する。周囲監視センサ38は、ステレオカメラを用いることにより実画像の情報として撮像した実画像の点群の位置情報を計測することも可能である。ステレオカメラに限らず、単眼のカメラと超音波センサー、レーダー、ライダーのいずれかを組み合わせて実画像の点群の位置情報を計測するようにしてもよい。
【0041】
記憶装置40は、各種プログラムおよびデータを格納する。記憶装置40は、コントローラ26がアクセス可能な任意の記憶装置(記憶媒体)である。記憶装置40は、例えばハードディスクやメモリ等の、コントローラ26に内蔵される記憶部であってもよいし、例えば光ディスクやカートリッジ等の、着脱可能な記憶媒体であってもよいし、これらの記憶部および記憶媒体の両方であってもよい。
【0042】
操作レバー42は、オペレータの掘削機械100に対する操作指示を受け付ける。操作レバー42は、作業機2を動作させるための作業機レバー、旋回体3を旋回させるための旋回レバーと走行装置5を動作させるための走行レバーを含む。操作レバー42は、運転席4Sの近傍に設けられている。
【0043】
ユーザーインターフェース部の一つである表示装置44は、ディスプレイでありオペレータに情報を提示する。表示装置44は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成され、運転席4Sの近傍に配置されている。
【0044】
ユーザーインターフェース部の一つである入力装置46は、表示装置44に設けられたタッチパネルや、設定トグルスイッチや入力ボタン等を含む。入力装置46と表示装置44は一体でもよいし別体でもよい。入力装置46と表示装置44が別体である場合は近接して配置されることが望ましい。入力装置46は、掘削機械100の側方(右側)に仮想壁を設定するための右側設定トグルスイッチ46Aと、掘削機械100の側方(左側)に仮想壁を設定するための左側設定トグルスイッチ46Bとを含む。後述する図8に示すように、入力装置46は、さらに、設定ガイダンス画面430に含まれるものであって、掘削機械100の前方に仮想壁を設定するための前方設定トグルスイッチ46C、上方設定トグルスイッチ46D、下方設定トグルスイッチ46E、左旋回設定トグルスイッチ46F、右旋回設定トグルスイッチ46Gを含んでもよい。各設定トグルスイッチは、仮想壁を設定するかしないかを選択し決定するものとして機能する。
【0045】
図8は、設定トグルスイッチの全てがオフの状態を示す。例えば、前方設定トグルスイッチ46Cをオンに設定することで、その時のバケット8の刃先8A位置(アタッチメントの先端部の位置)が算出され、刃先8Aと旋回体3の所定位置との距離に基づいた前方の位置に前方仮想壁が設定される。ここで、旋回体3の所定位置に代えて、走行装置5の所定位置を用いてもよい。また、上方設定トグルスイッチ46D、下方設定トグルスイッチ46Eのいずれか、あるいは両者をオンに設定することでその時のバケット8の刃先8Aの位置(アタッチメントの先端部の位置)が算出され、刃先8Aと旋回体3の所定位置との距離に基づいた上方あるいは下方の位置に上方仮想壁あるいは下方仮想壁が設定される。ここで、旋回体3の所定位置に代えて、走行装置5の所定位置を用いてもよい。なお、下方設定トグルスイッチ46Eをオンにした場合、表示装置44の画面を遷移させ、地面より下方の深さを数値入力可能なブランク画面と設定ボタンとが表示されるようにしてもよい。この場合、オペレータが、例えば、1.5といった数値を入力し、図6,7に示すような設定ボタン412を押すことで、走行装置5の下面より下の深さ1.5mの位置に下方仮想壁が設定される。左側設定トグルスイッチ46A、右側設定トグルスイッチ46Bをオンにした場合は、その操作だけでは仮想壁は設定されない。左側仮想壁、右側仮想壁の詳細な設定方法については後述する。
【0046】
左旋回設定トグルスイッチ46F、右旋回設定トグルスイッチ46Gのいずれか、あるいは両者をオンにすることで、その時の旋回体3の旋回角度に基づいた走行装置5と旋回体3との相対角度が定められ、掘削機械100が旋回可能な稼働範囲が規制される。旋回角度は、旋回角度センサ34によって得ることができる。例えば、旋回体3が前方を向いた位置から反時計回りに30度旋回した状態で、左旋回設定トグルスイッチ46Fをオンにすると、旋回体3は前方を向いた位置から反時計回りに30度までしか旋回できないようになる。また、例えば、旋回体3が前方を向いた位置から時計回りに30度旋回した状態で、右旋回設定トグルスイッチ46Gをオンにすると、旋回体3は前方を向いた位置から時計回りに30度までしか旋回できないようになる。
【0047】
オペレータは、右側設定トグルスイッチ46Aをオンすることにより、掘削機械100の側方に仮想壁(右側仮想壁)を設定することが可能である。オペレータは、左側設定トグルスイッチ46Bをオンすることにより、掘削機械100の側方に仮想壁(左側仮想壁)を設定することが可能である。前述のように、右側仮想壁、左側仮想壁を設定する場合は、各トグルスイッチ(46A、46B)をオンにするだけでは仮想壁の設定は完了しない。
【0048】
一方、オペレータは、前述のように前方設定トグルスイッチ46Cをオンすることにより、その時点で掘削機械100の前方に仮想壁を設定することが完了できる。
【0049】
旋回モータ用電磁制御弁48は、油圧ポンプ58から作動油の供給を受けて、コントローラ26の指示に従って旋回モータ62に対して供給する作動油の供給量を調整する。
【0050】
旋回モータ62は、旋回モータ用電磁制御弁48を介して供給される作動油に従って回転し、旋回体3の旋回動作を実行する。
【0051】
作業機用電磁制御弁50は、油圧ポンプ58から作動油の供給を受けて、コントローラ26の指示に従って油圧シリンダであるブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とに供給する作動油の供給量を調整する。
【0052】
走行モータ用電磁制御弁52は、油圧ポンプ58から作動油の供給を受けて、コントローラ26の指示に従って走行モータ56に供給する作動油の供給量を調整する。
【0053】
走行モータ56は、走行モータ用電磁制御弁52を介して供給される作動油に従って回転し、走行装置5の走行動作を実行する。
【0054】
油圧ポンプ58は、エンジン54の駆動力を用いて駆動し、作動油を各部に供給する。
作動油タンク60は、作動油を貯蔵するタンクであり、旋回モータ62、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12、走行モータ56から排出された作動油を回収するとともに、油圧ポンプ58に作動油を供給する。
【0055】
実施形態においては、入力装置46として、ソフトウェアボタンによる設定トグルスイッチを含む構成について説明するが、ソフトウェアボタンによる設定トグルスイッチに限られず、機械的なものを含む他のスイッチあるいはボタンを用いて仮想壁の設定を可能としても良い。例えば、ソフトウェアボタンによる設定トグルスイッチとして、表示装置44のタッチパネルに表示されたソフトウェアボタンをオペレータが選択することにより仮想壁の設定を可能としても良い。
【0056】
<コントローラの構成>
図4は、実施形態に基づくコントローラ26の構成を示すブロック図である。
【0057】
実施形態に基づく掘削機械100は、コントローラ26により掘削機械の稼働範囲を設定する処理を実行する。コントローラ26は、掘削機械の稼働範囲の設定として稼働範囲を規制する仮想壁を設定する。コントローラ26は、記憶装置40に格納されているプログラムを実行することにより各種機能ブロックを実現する。記憶装置40に格納されているプログラムは、予め格納されているプログラムでも良いし、図示しないネットワークと接続されたサーバ等を介してダウンロードしたプログラムであってもよい。
【0058】
図4に示されるように、コントローラ26は、姿勢情報取得部102と、周囲情報取得部104と、設定入力受付部106と、表示制御部110と、仮想壁設定部107と、掘削制御部108とを含む。
【0059】
姿勢情報取得部102は、掘削機械100の姿勢情報を取得する。姿勢情報取得部102は、掘削機械100の姿勢情報として作業機2の姿勢を示す傾斜角θ1、θ2、θ3と、車両本体1の姿勢を示す左右方向に傾斜する傾斜角θ4および車両本体1の前後方向に傾斜する傾斜角θ5および旋回体3の角度を取得する。
【0060】
周囲情報取得部104は、掘削機械100の周囲の実画像の情報を取得する。周囲情報取得部104は、掘削機械100の周囲を撮像した実画像の情報を取得する。
【0061】
設定入力受付部106は、オペレータによる掘削機械100の周囲壁の設定の入力を受け付ける。設定入力受付部106は、オペレータによる右側設定トグルスイッチ46A、左側設定トグルスイッチ46Bのオンの入力をそれぞれ受け付ける。設定入力受付部106は、表示装置44に設けられたタッチパネルに対するオペレータによる入力を受け付ける。
【0062】
表示制御部110は、表示装置44に対する表示制御を実行する。
仮想壁設定部107は、掘削機械100の稼働範囲を規制する仮想壁の設定処理を実行する。
【0063】
掘削制御部108は、作業機2を制御して掘削対象物である土砂等をバケット8を用いて掘削する掘削動作を実行する。仮想壁が設定された場合、掘削制御部108は、仮想壁が設定された位置を超えて作業機2が動作しないように作業機2の稼働範囲に規制をかけて制御してもよい。例えば、掘削制御部108は、仮想壁が設定された位置を超えて作業機2が動作しようとした場合、作業機2の刃先8Aの現在位置と仮想壁との相対位置関係を演算し、演算された相対距離に応じて作業機2の動作を緩慢にしたり停止したりといった規制をかけて制御してもよい。また、作業機2に規制をかける制御とともに、図示を省略する警報装置によってオペレータに警告を通知するように制御してもよい。
【0064】
表示制御部110は、モデル画像生成部112と、周囲画像生成部114と、設定ガイダンス画像生成部116と、合成部118とを含む。
【0065】
モデル画像生成部112は、掘削機械100の上面モデル画像を生成する。本開示の実施の形態においては、上面モデル画像は、掘削機械100が正面を向いた状態の上面視を表した単一のグラフィックデータを記憶装置40に記憶しておき、モデル画像生成部112が記憶装置40から上面モデル画像を読みだして掘削機械100の上面モデル画像を生成する。
【0066】
モデル画像生成部112は、姿勢情報取得部102により取得された掘削機械100の姿勢情報に基づいて、逐次、掘削機械100の上面モデル画像を変化させたものを生成してもよい。あるいは、モデル画像生成部112は、掘削機械100の姿勢情報に基づいて、予め記憶装置40に記憶された複数のグラフィックデータを読み出して、姿勢情報に対応する一つのグラフィックデータを決定して掘削機械100の上面モデル画像320を生成してもよい。この場合、複数のグラフィックデータは、作業機2の姿勢や旋回体3の旋回角度の組み合わせによる複数のものを記憶装置40に記憶しておいてもよい。モデル画像生成部112は、掘削機械100の姿勢情報に基づいて掘削機械100のサイズの相似形である3次元モデルを生成し、当該3次元モデルを上面視した場合の上面モデル画像を生成してもよい。
【0067】
周囲画像生成部114は、掘削機械100の周囲画像を生成する。周囲画像生成部114は、周囲情報取得部104により取得された実画像の情報に基づいて周囲画像を生成する。周囲画像生成部114は、掘削機械100の周囲を撮像可能に設けられた複数のカメラの実画像データを取得し、当該複数の実画像データの画像編集処理を実行することにより掘削機械100を上面視した掘削機械100の周囲画像を生成することが可能である。周囲画像は、掘削機械100の上方から俯瞰した状態の画像として生成される。
【0068】
設定ガイダンス画像生成部116は、仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像を生成する。設定ガイダンス画像生成部116は、右側設定トグルスイッチ46A、左側設定トグルスイッチ46Bのいずれかのオンの入力の設定に従って、対応する仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像を生成する。例えば、設定ガイダンス画像生成部116は、右側設定トグルスイッチ46Aがオンされた場合には、右側仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像を生成する。設定ガイダンス画像生成部116は、左側設定トグルスイッチ46Bがオンされた場合には、左側仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像を生成する。
【0069】
合成部118は、上面モデル画像および周囲画像ならびに設定ガイダンス画像を合成して表示装置44に表示する。合成部118は、周囲画像に代えて、周囲監視センサ38がとらえた掘削機械100の周囲の中から一部を切出した部分周囲画像を合成して表示装置44に表示する。また、合成部118は、設定ガイダンス画像に代えて、当該部分周囲画像を合成して表示装置44に表示してもよい。なお、合成部118は、上面モデル画像は合成せずに、周囲画像ならびに設定ガイダンス画像のみを合成して表示装置44に表示してもよい。あるいは、合成部118は、上面モデル画像は合成せずに、部分周囲画像ならびに設定ガイダンス画像のみを合成して表示装置44に表示してもよい。仮想壁を設定しない通常時には、表示装置44の上部領域に上面モデル画像および周囲画像が合成表示され、表示装置44の下部領域に部分周囲画像が合成表示される。仮想壁を設定する設定時には、表示装置44の上部領域に上面モデル画像および周囲画像が合成表示され、表示装置44の下部領域に設定ガイダンス画像が合成表示される。
【0070】
図5は、実施形態に基づく表示装置44に表示される画面の一例である。図5には、通常時に表示装置44に表示される画面300が示されている。画面300は、仮想壁を設定しない通常時の画面である。
【0071】
表示装置44は、上部領域UAと、下部領域LAとに分割された画面300を示している。表示装置44は、上部領域UAと下部領域LAとを同時に表示可能である。
【0072】
画面300の上部領域UAには、掘削機械100を上面視した画像(上面モデル画像320)が表示される。掘削機械100の上面モデル画像320は、掘削機械100の上方から俯瞰した状態の画像となっている。画面300の下部領域LAには、作業機2の前方側に設けられたカメラで撮像された前方画像(単一画像330)が部分周囲画像として表示される。下部領域LAには、掘削機械100のオペレータ視点に変換された前方画像が部分周囲画像として表示されてもよい。このように、当該部分周囲画像は、作業機2の前方側に向くように、例えば、旋回体3の運転室4の天井の場所に設けられたカメラで撮像された画像であってもよいし、オペレータ視点となるように複数のカメラで撮像された画像の画像編集処理により作成した前方画像であってもよい。また、部分周囲画像は、前方側と異なる方向を撮影可能な場所に設置されたカメラで撮像されたものであってもよい。
【0073】
画面300の上部領域UAには、掘削機械100の上面モデル画像320と、掘削機械100の周囲の周囲画像310とが合成された状態で表示される。
【0074】
本開示の実施形態では、上面モデル画像320は、掘削機械100の上方から実際に撮像した画像ではなく、前述のように上面モデル画像320は、掘削機械100が正面を向いた状態の上面視を表した単一のグラフィックデータに基づいて表示された画像である。上面モデル画像320は、実際の掘削機械のサイズの相似形で表示されたモデル画像である。
【0075】
画面300には、仮想線L1~L3が表示されている。仮想線L1~L3は、掘削機械100との距離感を把握するための目安線である。当該仮想線L1~L3を非表示にすることも可能である。目安線ではなく、実際の距離を示す仮想線としてもよい。仮想線L1~L3は、上面モデル画像320を取り囲むように周囲画像310に重畳して表示される。
【0076】
図6は、実施形態に基づく表示装置44に表示される仮想壁の設定画面400の一例について説明する図である。図6は、仮想壁の設定画面400を示し、オペレータが左側設定トグルスイッチ46Bをオンした場合、その後、画面遷移された後の画面を示したものである。
【0077】
表示装置44は、上部領域UAと、下部領域LAとに分割された設定画面400を示している。設定画面400は、上部領域UAと下部領域LAとを同時に表示する。
【0078】
設定画面400の上部領域UAには、掘削機械100を上面視した画像(上面モデル画像320)が表示される。掘削機械100を上面視した画像は、掘削機械100の上方から俯瞰した状態の画像となっている。設定画面400の下部領域LAには、左側仮想壁を設定するための1点目の設定ガイダンス画像410が表示される。
【0079】
設定画面400の上部領域UAには、掘削機械100の上面モデル画像320と、掘削機械100の周囲の周囲画像310とが合成された状態で表示される。
【0080】
上面モデル画像320は、履帯モデル画像322と、作業機モデル画像324とを含む。
【0081】
下部領域LAには、設定ガイダンス画像410として、左側仮想壁の設定のイメージ画像IG1とともに、左側仮想壁を設定するためのメッセージMG1「現在のバケット先端位置を1点目として設定しますか?」が表示される。メッセージMG1の内容は、オペレータに、仮想壁の設定のやり方を導くような内容を示す手順内容でもよいし、オペレータに、現在の位置で仮想壁が設定されることについて確認を促す確認内容でもよい。設定画面400には、オペレータの操作入力を受付可能な設定ボタン412と、キャンセルボタン414とが設けられている。
【0082】
イメージ画像IG1は、仮想壁の設定を促すために、掘削機械の姿勢と仮想壁との位置関係を表した画像である。掘削機械の姿勢を表すイメージ画像IG1は、掘削機械100を上面からみたグラフィック画像であって、旋回体が反時計回りに所定の角度だけ旋回した場合の旋回体と作業機、走行装置を実線で示し、旋回体が、さらに反時計回りに所定の角度だけ旋回した場合の作業機を破線で表している。この場合、破線で表した作業機の表示はなくてもよい。さらに、イメージ画像IG1は、左側仮想壁LWを表す線状のグラフィック画像も同時に表示している。さらに、イメージ画像IG1は、左側仮想壁LWと作業機の先端部とが接する部分に点P1を表示させている。
【0083】
仮想壁設定部107は、設定入力受付部106によるオペレータの設定ボタン412の選択入力を受け付けることにより左側仮想壁を設定するためのバケット先端部に対応する1点目の座標を設定する。仮想壁の設定画面400は、1点目の設定を受け付けた場合に、次の仮想壁の設定画面に遷移する。
【0084】
オペレータがキャンセルボタン414を選択することにより仮想壁の設定処理がキャンセルされる。表示装置44の画面は遷移し、表示装置44には通常時の画面300が表示される。
【0085】
図7は、実施形態に基づく表示装置44に表示される仮想壁の設定画面402の一例について説明する図である。図7は、仮想壁の設定画面402を示し、オペレータが左側設定トグルスイッチ46Bをオンした場合、その後、画面遷移された後の画面を示したものである。
【0086】
表示装置44は、上部領域UAと、下部領域LAとに分割された設定画面402を示している。設定画面402は、上部領域UAと下部領域LAとを同時に表示する。
【0087】
設定画面402の上部領域UAには、掘削機械100を上面視した画像(上面モデル画像320)が表示される。掘削機械100を上面視した画像は、掘削機械100の上方から俯瞰した状態の画像となっている。設定画面402の下部領域LAには、左側仮想壁を設定するための2点目の設定ガイダンス画像420が表示される。
【0088】
設定画面402の上部領域UAには、掘削機械100の上面モデル画像320と、掘削機械100の周囲の周囲画像310とが合成された状態で表示される。
【0089】
上面モデル画像320は、履帯モデル画像322と、作業機モデル画像324とを含む。
【0090】
下部領域LAには、設定ガイダンス画像420として、左側仮想壁の設定のイメージ画像IG2とともに、左側仮想壁を設定するためのメッセージMG2「現在のバケット先端位置を2点目として設定しますか?」が表示される。メッセージMG2の内容は、オペレータに、仮想壁の設定のやり方を導くような内容を示す手順内容でもよいし、オペレータに、現在の位置で仮想壁が設定されることについて確認を促す確認内容でもよい。設定画面402には、設定ボタン412と、キャンセルボタン414とが設けられている。
【0091】
イメージ画像IG2は、仮想壁の設定を促すために、掘削機械の姿勢と仮想壁との位置関係を表した画像である。イメージ画像IG2は、掘削機械100を上面からみたグラフィック画像であって、旋回体が所定の角度だけ旋回した場合の作業機を破線で示し、旋回体と作業機がさらに反時計回りに所定の角度旋回した場合の旋回体と作業機、走行装置を実線で表している。この場合、破線で表した作業機の表示はなくてもよい。さらに、イメージ画像IG2は、左側仮想壁LWを表す線状のグラフィック画像も同時に表示している。なお、イメージ画像IG2は、図6に示したイメージ画像IG1に対して以下の点も異なる。イメージ画像IG1において実線で示された旋回体と作業機が表す旋回状態よりも、さらに反時計回りに旋回した旋回状態をイメージ画像IG2の実線は表している。さらに、イメージ画像IG2は、左側仮想壁LWと作業機の先端部とが接する部分に点P2を表示させているが、点P2の位置は、図6に示した点P1と同様に、左側仮想壁LWが示す線上にはあるものの、点P2の位置は点P1の位置と異なる位置であって、点P1の位置より下の位置に点P2は表示されている。
【0092】
仮想壁設定部107は、設定入力受付部106によるオペレータの設定ボタン412の選択入力を受け付けることにより左側仮想壁を設定するためのバケット先端部に対応する2点目の座標を設定する。仮想壁設定部107は、左側仮想壁の設定のための1点目の座標および2点目の座標に基づいて左側仮想壁を設定する。
【0093】
オペレータがキャンセルボタン414を選択することにより2点目の仮想壁の設定処理がキャンセルされ、1点目の仮想壁の設定処理に戻る。仮想壁の設定画面402は、画面が遷移し表示装置44は仮想壁の設定画面400に戻る。
【0094】
仮想壁の設定画面において、掘削機械100の側方壁の一方である左側仮想壁を設定する場合について説明したが、掘削機械100の側方壁の他方である右側仮想壁を設定する場合についても同様である。
【0095】
図8は、実施形態に基づく表示装置44に表示される仮想壁の設定画面404の一例について説明する図である。図8は、仮想壁の設定画面404を示し、設定ガイダンス画像430には、オペレータが右側設定トグルスイッチ46A、左側設定トグルスイッチ46Bの他に前方設定トグルスイッチ46Cをオンオフ操作するために設定トグルスイッチが下部領域LAに表示されている。前方設定トグルスイッチ46Cだけでなく、オペレータが仮想壁を上方や下方に設定するための上方設定トグルスイッチ46Dや下方設定トグルスイッチ46E、さらにオペレータが旋回可能な稼働範囲を設定するための左旋回設定トグルスイッチ46Fや右旋回設定トグルスイッチ46Gを下部領域LAに表示してもよい。図8に示す設定ガイダンス画像430には、各設定トグルスイッチ(46C、46D、46D、46E、46F、46G)が独立して表示される。各設定トグルスイッチには、オンの位置あるいはオフの位置のいずれかを選択して設定できるような円形のトグルが表示されている。
【0096】
図6図7において、左側仮想壁LWや右側仮想壁RWを設定する場合、下部領域LAには、イメージ画像IG1やイメージ画像IG2、メッセージMG1やメッセージMG2を含む設定ガイダンス画像420が表示されたが、仮想壁を前方、上方、下方に設定する場合には、図8に示すような設定ガイダンス画像430が表示されるが、イメージ画像IG1やイメージ画像IG2、メッセージMG1やメッセージMG2に相当するようなものは表示されない。
【0097】
表示装置44は、上部領域UAと、下部領域LAとに分割された設定画面404を示している。設定画面404は、上部領域UAと下部領域LAとを同時に表示する。
【0098】
設定画面404の上部領域UAには、掘削機械100を上面視した画像(上面モデル画像320)が表示される。掘削機械100を上面視した画像は、掘削機械100の上方から俯瞰した状態の画像となっている。
【0099】
設定画面404の上部領域UAには、掘削機械100の上面モデル画像320と、掘削機械100の周囲の周囲画像310とが合成された状態で表示される。また、仮想線L1~L3が、上面モデル画像320を取り囲むように周囲画像310に重畳して表示される。
【0100】
上面モデル画像320は、履帯モデル画像322と、作業機モデル画像324とを含む。
【0101】
例えば、図8が表示装置44に表示された状態で、前方設定トグルスイッチ46Cをオンに操作した後、画面が遷移し、下部領域LAには、設定ガイダンス画像430として、前方仮想壁の設定のイメージ画像とともに、前方仮想壁を設定するためのメッセージ「現在のバケット先端位置によって前方仮想壁を設定しますか?」を表示させてもよい。設定画面404には、オペレータの操作入力を受付可能な設定ボタン412と、キャンセルボタン414とを設けてもよい。このように、仮想壁を前方に設定する場合に、掘削機械100を上面からみたグラフィック画像であって、作業機の向きが画面の上を指すようなイメージ画像を含む設定ガイダンス画像430を表示するようにしてもよい。
【0102】
仮想壁の設定画面として、掘削機械100の前方側の前方仮想壁を設定する場合について説明したが、掘削機械100の後方の後方仮想壁を設定したり、掘削機械100の上方側の上方仮想壁あるいは下方側の下方仮想壁を設定することも同様に可能である。本開示の実施形態においては、前方仮想壁、上方仮想壁、下方仮想壁、あるいは後方仮想壁を設定する場合は、オペレータは作業機2を所望の姿勢にした状態で、設定ガイダンス画像430に表示された各設定トグルスイッチをオンに操作するだけで仮想壁の設定を完了することができる。
【0103】
図9は、実施形態に基づく表示装置44に表示される仮想壁の設定確認画面408の一例について説明する図である。図9に示されるように、仮想壁の設定確認画面408は、左側仮想壁LWあるいは右側仮想壁RWの場合、仮想壁の設定のための2点目の設定入力を受け付けた場合に画面が遷移して表示される画面である。
【0104】
表示装置44は、上部領域UAと、下部領域LAとに分割された設定確認画面408を示している。設定確認画面408は、上部領域UAと下部領域LAとを同時に表示する。
【0105】
設定確認画面408の上部領域UAには、掘削機械100を上面視した画像(上面モデル画像320)が表示される。掘削機械100を上面視した画像は、掘削機械100の上方から俯瞰した状態の画像となっている。設定確認画面408の下部領域LAには、設定ガイダンス画像450が表示される。
【0106】
設定確認画面408の上部領域UAには、掘削機械100の上面モデル画像320と、掘削機械100の周囲の周囲画像310とが合成された状態で表示される。
【0107】
下部領域LAには、設定確認画面408に含まれる設定ガイダンス画像450には、掘削機械100の3次元モデルMDとともに、当該3次元モデルMDの周囲に設定可能な仮想壁のイメージ画像IWが表示される。また、設定された仮想壁の確認を促すメッセージMG3「仮想壁の設定が変更されました。」が表示される。設定確認画面408には、確認ボタン416が設けられている。
【0108】
仮想壁のイメージ画像IWの表示は以下のように行っても良い。例えば、掘削機械100の3次元モデルMDを基準として、設定された仮想壁を点滅させたり、設定された仮想壁に色を付けて表示させたりして、設定された仮想壁の箇所が分かるように表示してもよい。
【0109】
設定確認画面408の設定ガイダンス画像450には、旋回可能範囲画像CAのグラフィック画像を含めて表示してもよい。旋回可能範囲画像CAは、旋回体3に対する走行装置5の現在の向きと、設定された旋回角度の範囲、これらの関係を示す情報であり、図9のように、太線で示された円弧RRは、設定された旋回可能な角度範囲を示し、三角形の矢印TGは、旋回体3に対する走行装置5の現在の向きを示している。旋回可能な角度範囲は、前述のように、左旋回設定トグルスイッチ46Fや右旋回設定トグルスイッチ46Gのいずれか、あるいは両者をオンすることで設定される。
【0110】
設定ガイダンス画像450には、掘削機械100の簡易的な上面図を表したグラフィック画像である基準画像BGが同時に表示される。基準画像BGは、掘削機械100が前方正面に向いた時の上面図を表しており、基準画像BGが示す作業機3の方向と矢印TGの先端が示す方向との差を見て現在の旋回体3と走行装置5の相対位置関係(旋回角度)を把握することができる。
【0111】
オペレータが確認ボタン416を選択し確認ボタン416を押すことにより、設定確認画面408は次の画面に遷移する。確認ボタン416が押されると表示装置44には、通常時の画面300が表示される。つまり、オペレータが確認ボタン416を押すことは、設定あるいは変更された仮想壁についてオペレータが承認することを意味する。
【0112】
上記で説明したように、設定画面(400、402、404)の上部領域UAには、掘削機械100を上面視した画像(上面モデル画像320)が表示される。設定画面の下部領域LAには、仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像(410、420、430)が表示される。したがって、仮想壁を設定する際に、設定ガイダンス画像を確認しつつ、上方視点による掘削機械100の実際の周囲画像(310)を確認しながら仮想壁の設定が可能となる。つまり、掘削機械100の周囲に存在する物体と掘削機械100との相対位置関係を確認しながら仮想壁の設定が可能となる。仮に、オペレータが、掘削機械100の周囲を目視しながら仮想壁の設定をしようとすると運転室4からみて死角となる範囲は目視ができない。本開示の実施形態によれば、設定画面に、周囲画像が表示されるため、死角となる範囲にある物体の有無、物体との距離を確認しながら仮想壁の設定が可能となる。それゆえ、簡易な方式で掘削機械100の適切な稼働範囲を設定することが可能である。
【0113】
また、設定画面(400、402、404)の上部領域UAおよび下部領域LAには、掘削機械100を上面視した画像(上面モデル画像320)および仮想壁を設定するための設定ガイダンス画像(410、420、430)がそれぞれ表示される。仮想壁を設定する位置を決めるうえで参考となる上部領域UAに表示された情報を確認する必要があるが、仮想壁を設定する設定ガイダンス画像が下部領域LAに設けられることにより、オペレータの手や指等によりオペレータの視界を遮断することなく、上部領域UAを視認できる。それゆえ、オペレータは、上部領域UAに表示された周囲画像(310)が示す情報を常に確認しながら仮想壁の設定が可能となり、簡易な方式で掘削機械100の適切な稼働範囲を設定することが可能である。
【0114】
図10は、実施形態に基づくコントローラ26の表示制御処理について説明するフロー図である。図10に示されるように、姿勢情報取得部102は、姿勢情報を取得する(ステップS2)。姿勢情報取得部102は、掘削機械100の姿勢情報として作業機2の姿勢を示す傾斜角θ1、θ2、θ3と、車両本体1の姿勢を示す左右方向に傾斜する傾斜角θ4および車両本体1の前後方向に傾斜する傾斜角θ5および旋回体3の角度を取得する。
【0115】
次に、周囲情報取得部104は、周囲情報を取得する(ステップS4)。周囲情報取得部104は、掘削機械100の周囲を撮像した実画像の情報を取得する。なお、ステップS2の姿勢情報の取得とステップS4の周囲情報の取得の順番を入れ替えてもよい。
【0116】
次に、周囲画像生成部114は、周囲画像を生成する(ステップS6)。周囲画像生成部114は、周囲情報取得部104により取得された実画像の情報に基づいて周囲画像を生成する。
【0117】
設定ガイダンス画像生成部116は、設定ガイダンス画像を生成する(ステップS8)。
【0118】
次に、合成部118は、上面モデル画像、周囲画像および設定ガイダンス画像を合成した合成画像を生成する(ステップS10)。
【0119】
次に、表示装置44は、合成部118が合成した合成画像を表示する(ステップS12)。具体的には、表示装置44は、図6図8で説明した設定画面400~404あるいは図9で説明した設定確認画面408を表示する。
【0120】
次に、設定入力受付部106は、仮想壁の設定入力が有るか否かを判断する(ステップS14)。設定入力受付部106は、例えば、オペレータによる右側設定トグルスイッチ46A、左側設定トグルスイッチ46Bのオンの入力を受け付けたか否かを判断する。ステップS14の判断は、右側設定トグルスイッチ46A、左側設定トグルスイッチ46Bのうちいずれかのオンの入力を受け付けた否かの判断でよい。ステップS14の判断は、前方設定トグルスイッチ46C、上側設定トグルスイッチ46D、下側設定トグルスイッチ46Eのいずれかのオンの入力を受け付けた否かの判断を含めてもよい。
【0121】
オペレータによって、前方設定トグルスイッチ46Cのオンの入力、上側設定トグルスイッチ46Dのオンの入力、下側設定トグルスイッチ46Eのオンの入力のいずれかがあった場合は、ステップS16を飛ばし、仮想壁の位置設定が完了(ステップS18においてYES)したものとされ、ステップS20へと進む。
【0122】
一方、オペレータが、右側設定トグルスイッチ46A、左側設定トグルスイッチ46Bのいずれかをオンにした場合は、仮想壁位置設定処理としてステップS16(図11に示すフロー)に進む。
【0123】
ステップS14において、設定入力受付部106は、左側仮想壁あるいは右側仮想壁の設定入力があると判断した場合(ステップS14においてYES)には、設定ガイダンス画像生成部116に指示し、仮想壁位置設定処理を実行する(ステップS16)。
【0124】
図11に示す仮想壁位置設定処理の詳細については、後述するが、設定ガイダンス画像生成部116は、例えば、オペレータによる右側設定トグルスイッチ46Aのオンの入力を受け付けたと判断した場合には、右側仮想壁の設定のイメージ画像とともに、右側仮想壁を設定するためのメッセージ画像を含む設定ガイダンス画像を生成する。設定ガイダンス画像生成部116は、例えば、オペレータによる左側設定トグルスイッチ46Bのオンの入力を受け付けたと判断した場合には、左側仮想壁の設定のイメージ画像とともに、左側仮想壁を設定するためのメッセージ画像を含む設定ガイダンス画像を生成する。いずれの設定ガイダンス画像も掘削機械100の周囲画像310を含む画像とともに設定画面に表示される。
【0125】
また、設定ガイダンス画像生成部116は、設定画面において設定ボタン412が選択された場合にも仮想壁の設定入力を受け付けたと判断して設定ガイダンス画像を生成する。設定ガイダンス画像生成部116は、キャンセルボタン414あるいは確認ボタン416が選択された場合には、1つ前の設定ガイダンス画像を生成あるいは設定ガイダンス画像の生成を終了する。
【0126】
次に、コントローラ26は、オペレータが掘削機械100の作業機2あるいは旋回体3を操作して、所定の仮想壁の位置設定が完了したか否かを判断する(ステップS18)。なお、ステップS2の姿勢情報取得は、ステップS18の前にはじめて実行されてもよい。ステップS18において、コントローラ26は、所定の仮想壁の位置設定が完了していないと判断した場合(ステップS18においてNO)には、ステップS2に戻り上記処理を繰り返す。
【0127】
ステップS20において、コントローラ26は、掘削機械100の稼働が停止したと判断した場合(ステップS20においてYES)には、処理を終了する(エンド)。例えば、コントローラ26は、オペレータによるエンジン停止の指示が有った場合には、稼働が停止したと判断する。
【0128】
一方、ステップS20において、コントローラ26は、掘削機械100の稼働が終了しないと判断した場合(ステップS20においてNO)には、ステップS2に戻り上記処理を繰り返す。掘削機械100は、設定されている仮想壁に従って作業機2の稼働範囲が規制され制御される。
【0129】
一方、ステップS14において、設定入力受付部106は、仮想壁の設定入力がないと判断した場合(ステップS14においてNO)には、ステップS2に戻り上記処理を繰り返す。その際、表示装置44は、図5で説明した通常時の画面300を表示する。
【0130】
図11は、実施形態に基づく仮想壁設定部107の仮想壁位置設定処理の詳細について説明するフロー図である。すなわち、図11は、図10に示した、ステップS14で仮想壁設定の入力があった場合(ステップS14においてYES)であって、仮想壁位置設定処理を実行し、ステップS18における所望の仮想壁の位置設定を完了するまでの処理を説明するものである。この場合、ステップS22は、図10の仮想壁設定入力の有無を判断するステップS14に相当する。また、図11は、仮想壁が左側仮想壁LWあるいは右側仮想壁RWのいずれかについて仮想壁の設定を実行させる場合のフロー図を示している。図11に示されるように、設定入力受付部106は、いずれかの設定トグルスイッチがオンか否かを判断する(ステップS22)。具体的には、設定入力受付部106は、オペレータによる入力装置46の右側設定トグルスイッチ46A、左側設定トグルスイッチ46Bの操作を受け付ける。設定入力受付部106は、オペレータによる入力装置46の右側設定トグルスイッチ46A、左側設定トグルスイッチ46Bの操作に従うオンあるいはオフの情報を仮想壁設定部107に出力する。
【0131】
仮想壁設定部107は、設定トグルスイッチがオンである場合には仮想壁の設定を開始する(ステップS24)。仮想壁設定部107は、オペレータによる入力装置46の右側設定トグルスイッチ46Aのスイッチ操作がオンである場合には、右側仮想壁の設定処理を開始する。仮想壁設定部107は、オペレータによる入力装置46の左側設定トグルスイッチ46Bのスイッチ操作がオンである場合には、左側仮想壁の設定処理を開始する。
【0132】
次に、仮想壁設定部107は、仮想壁の1点目の設定入力が有るか否かを判断する(ステップS26)。仮想壁設定部107は、左側仮想壁の設定の場合に、仮想壁の設定画面400において、オペレータが設定ボタン412を選択したか否かを判断する。オペレータは、設定ガイダンス画像410(図6参照)を見ながら作業機2あるいは旋回体3を動作させ、左側仮想壁の設定のための1点目として設定すべきと判断する位置に作業機2を操作させた後に、設定ボタン412を選択する。設定ボタン412が選択されると仮想壁の1点目(図6に示す点P1に相当)の設定入力があったことになる。
【0133】
ステップS26において、仮想壁設定部107は、1点目の設定入力が有ると判断した場合(ステップS26においてYES)には、仮想壁を設定するための1点目を設定する。仮想壁設定部107は、仮想壁の設定画面400において設定ボタン412を選択した際の掘削機械100のバケット先端位置(例えば、バケット刃先8Aの位置である先端部)を1点目の座標として設定する。
【0134】
次に、仮想壁設定部107は、2点目の設定入力が有るか否かを判断する(ステップS30)。例えば、仮想壁設定部107は、左側仮想壁の設定の場合に、仮想壁の設定画面402において、オペレータが設定ボタン412を選択したか否かを判断する。オペレータは、設定ガイダンス画像410(図7参照)を見ながら作業機2あるいは旋回体3を動作させ、左側仮想壁の設定のための2点目として設定すべきと判断する位置に作業機2を操作させた後に、設定ボタン412を選択する。設定ボタン412が選択されると仮想壁の2点目(図7に示す点P2に相当)の設定入力があったことになる。
【0135】
ステップS30において、仮想壁設定部107は、2点目の設定入力が有ると判断した場合(ステップS30においてYES)には、仮想壁を設定するための2点目を設定する(ステップS32)。仮想壁設定部107は、仮想壁の設定画面402において設定ボタン412を選択した際の掘削機械100のバケット先端位置(例えば、バケット刃先8Aの位置である先端部)を2点目の座標として設定する。
【0136】
次に、仮想壁設定部107は、1点目および2点目を含み、かつ、地面に垂直な平面を仮想壁として設定する(ステップS34)。仮想壁設定部107は、1点目および2点目を含む平面として、掘削機械100が位置する地面を基準に2点を含む地面に垂直な平面を仮想壁として設定することが可能である。
【0137】
そして、仮想壁設定部107は、処理を終了する(リターン)。すなわち、図10のステップS18に進む。
【0138】
一方、ステップS22において、設定入力受付部106は、設定トグルスイッチがオンでないと判断した場合(ステップS22においてNO)には、オフの情報を仮想壁設定部107に出力する。
【0139】
仮想壁設定部107は、設定トグルスイッチがオフである場合には仮想壁の設定をリセットする(ステップS36)。仮想壁設定部107は、オペレータによる入力装置46の右側設定トグルスイッチ46Aのスイッチ操作がオフである場合には、右側仮想壁の設定をリセットする。仮想壁設定部107は、オペレータによる入力装置46の左側設定トグルスイッチ46Bのスイッチ操作がオフである場合には、左側仮想壁の設定をリセットする。
【0140】
そして、仮想壁設定部107は、処理を終了する(リターン)。すなわち、図10のステップS18に進む。
【0141】
当該処理により、オペレータは、周囲画像(310)が示す情報を常に確認しながら仮想壁の設定が可能となり、簡易な方式で掘削機械100の適切な稼働範囲を設定することが可能である。
【0142】
(変形例1)
実施形態の変形例1においては、仮想壁の位置を容易に把握可能な方式について説明する。
【0143】
具体的には、合成部118は、設定された仮想壁の位置情報に基づいて仮想壁のイメージ画像をさらに合成して表示装置44に表示してもよい。表示装置44に表示される通常時の画面において、掘削機械100を上面視した画像に対して、設定された仮想壁のイメージ画像をさらに合成して表示してもよい。設定された仮想壁のイメージ画像は、例えば線で表現されたものでもよい。これによりオペレータは掘削作業をする際にどこの位置に仮想壁を設定したかを容易に把握することが可能である。
【0144】
仮想壁の種類毎に色付けして、設定されている仮想壁が、右側仮想壁、左側仮想壁、前方仮想壁のいずれであるのかを容易に把握するようにしてもよい。これによりオペレータは例えば掘削作業をする際にどの仮想壁がどの位置にあるかを容易に把握することが可能である。
【0145】
合成部118は、上部領域UAに限られず、下部領域LAの画像に対して仮想壁のイメージ画像を合成して表示するようにしてもよい。
【0146】
掘削機械100は、仮想壁のイメージ画像を表示装置44に表示するか否かを切り替える切替スイッチ、ソフトウェアボタン等をさらに含むようにしてもよい。
【0147】
(変形例2)
図12は、実施形態の変形例2に基づく掘削機械の稼働範囲設定システムについて説明する図である。図12に示されるように、実施形態の変形例2に基づく掘削機械の稼働範囲システム1000は、ネットワークNと、サーバ200と、掘削機械100とを含む。
【0148】
稼働範囲設定システム1000は、掘削機械100がネットワークNを介してサーバ200と通信可能に設けられている。上記の実施形態においては、掘削機械100において掘削機械の稼働範囲を設定する処理を実行する場合について説明した。実施形態の変形例2に従う掘削機械の稼働範囲システム1000は、掘削機械100の各種センサ等で取得した情報をネットワークNを介してサーバ200に送信し、サーバ200において掘削機械の稼働範囲を設定する処理を実行する。具体的には、図4で説明したコントローラ26の機能の全部あるいは一部をサーバ200で実行させるようにしてもよい。掘削機械100は、サーバ200と連携して処理することにより掘削機械100のコントローラ26の処理負荷を軽減することが可能である。
【0149】
(変形例3)
図13は、実施形態の変形例3に基づく掘削機械の稼働範囲設定システムについて説明する図である。図13に示されるように、実施形態の変形例3に基づく掘削機械の稼働範囲システム2000は、掘削機械100と、当該掘削機械100と通信可能な携帯端末250とを含む。実施形態の変形例2と同様に、掘削機械100の各種センサ等で取得した情報を携帯端末250に送信し、携帯端末250において掘削機械の稼働範囲を設定する処理を実行する。具体的には、掘削機械100を遠隔操作可能な携帯端末250に、図4で説明したコントローラ26の機能を実装することも可能である。当該構成により、携帯端末250に設けられた表示装置およびタッチパネルを用いて掘削機械100の稼働範囲を簡易に設定することが可能となる。サーバ200をさらに組み合わせた掘削機械の稼働範囲システムとしてもよい。本開示のコントローラ26の機能を実行するためのアプリケーションプログラムを提供するようにしてもよい。
【0150】
上記の実施形態では、掘削機械の油圧ショベルを挙げているが、今回開示された実施形態は、油圧ショベルに限らず、機械式のロープショベル、電動ショベル、ホイールローダ等の他の種類の掘削機械にも適用可能である。また、油圧ショベルは、履帯を有した油圧ショベルに限らず、タイヤ式油圧ショベルであってもよい。
【0151】
以上、本開示の実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0152】
1 車両本体、2 作業機、3 旋回体、4 運転室、4S 運転席、5 走行装置、5Cr 履帯、6 ブーム、7 アーム、8 バケット、8A 刃先、9 エンジンルーム、10 ブームシリンダ、11 アームシリンダ、12 バケットシリンダ、13 ブームピン、14 アームピン、15 バケットピン、16 ブームシリンダストロークセンサ、17 アームシリンダストロークセンサ、18 バケットシリンダストロークセンサ、19 手すり、20 位置検出装置、21 アンテナ、23 グローバル座標演算部、26 コントローラ、32 車体姿勢検出センサ、34 旋回角度センサ、36 作業機姿勢検出センサ、38 周囲監視センサ、40 記憶装置、42 操作レバー、44 表示装置、46 入力装置、46A 右側設定トグルスイッチ、46B 左側設定トグルスイッチ、46C 前方設定トグルスイッチ、48 旋回モータ用電磁制御弁、50 作業機用電磁制御弁、52 走行モータ用電磁制御弁、54 エンジン、56 走行モータ、58 油圧ポンプ、60 作動油タンク、62 旋回モータ、100 掘削機械、102 姿勢情報取得部、104 周囲情報取得部、106 設定入力受付部、107 仮想壁設定部、108 掘削制御部、110 表示制御部、112 モデル画像生成部、114 周囲画像生成部、116 設定ガイダンス画像生成部、118 合成部、200 サーバ、250 携帯端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13