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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ベルト型搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/64 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B65G15/64
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021137653
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023031893
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ティタントゥイ
(72)【発明者】
【氏名】田村 崇
(72)【発明者】
【氏名】山中 亮輝
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-310212(JP,A)
【文献】特開平04-335493(JP,A)
【文献】特開平04-204680(JP,A)
【文献】特開2004-026351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転可能なローラ間に巻回された無端ベルトを有するベルト型搬送装置であって、
無端ベルトが幅方向へ蛇行するのを規制する蛇行規制部材がローラの軸方向における両端部に設けられ、
蛇行規制部材はローラの外周面よりも径方向における外側へ張り出した環状の部材であり、
無端ベルトがローラの外周面から浮き上がるのを防止する浮き上り防止部材がローラの軸方向における両蛇行規制部材間に配設され、
浮き上り防止部材は無端ベルトが走行方向においてローラの外周面に当接し始める当接開始箇所に臨んでおり、且つ、ローラの外周面に対向するとともにローラと同心円の円弧状に形成された浮き上り防止面を有し、
無端ベルトの厚さ方向における浮き上り防止部材と無端ベルトとの間にベルト導入用隙間が形成され、
ベルト導入用隙間は、少なくともローラの軸方向における外側において、無端ベルトの走行方向における上流側が下流側よりも広く、上流側から下流側へ次第に狭くなり、
浮き上り防止面は、無端ベルトの走行方向において、ベルト導入用隙間の下流側に位置し、
無端ベルトは浮き上り防止面とローラの外周面との間に挟まれながら走行することを特徴とするベルト型搬送装置。
【請求項2】
ベルト導入用隙間は、ローラの軸方向における浮き上り防止部材の全範囲にわたって、無端ベルトの走行方向における上流側が下流側よりも広く、上流側から下流側へ次第に狭くなっていることを特徴とする請求項1に記載のベルト型搬送装置。
【請求項3】
ベルト導入用隙間は浮き上り防止部材の底面と無端ベルトとの間に形成され、
無端ベルトの走行方向における浮き上り防止部材の底面の上流側端部の高さは、少なくともローラの軸方向における外側において、蛇行規制部材の上端部の高さよりも上方に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト型搬送装置。
【請求項4】
浮き上り防止部材はローラの軸方向において一対設けられ、
無端ベルト上に供給されて無端ベルトの走行方向における下流側へ搬送される搬送対象物を一対の浮き上り防止部材間に案内する案内部材が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルト型搬送装置。
【請求項5】
ローラの外周面に対する浮き上り防止部材の取付位置をローラの径方向において変更することにより、浮き上り防止部材とローラの外周面との間隔を調節する間隔調節部材が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のベルト型搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回転自在なローラ間に巻回された無端ベルトを有するベルト型搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のベルト型搬送装置としては、図16図17に示すように、一方のローラ101と他方のローラ(図示省略)との間に無端ベルト102が巻回され、一方のローラ101の両端には、無端ベルト102の蛇行を規制するためのフランジ103が設けられている。フランジ103の外径は一方のローラ101の外径よりも大きく設定されている。
【0003】
また、無端ベルト102を一方のローラ101の上方から押圧して無端ベルト102に発生するうねりを抑止する押え部材104が、ホルダー105を介して、一方のローラ101の軸方向における両フランジ103間に配設されている。
【0004】
これによると、一方のローラ101と他方のローラとが回転することにより、無端ベルト102が一方向へ回動する。この際、無端ベルト102の幅方向Wにおける側縁部102aがフランジ103に当接することで、無端ベルト102の蛇行が規制される。また、押え部材104が上方から無端ベルト102に摺接して無端ベルト102を一方のローラ101の外周面に押圧することで、無端ベルト102のうねりが抑止される。
【0005】
尚、上記のようなベルト型搬送装置は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5017684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、無端ベルト102の走行方向Aにおける押え部材104の上流側端部104aは上方から無端ベルト102に当接しており、押え部材104の上流側端部104aと無端ベルト102との間に隙間は形成されていない。このため、図18に示すように、無端ベルト102の幅方向Wにおける側縁部102aが押え部材104よりも上流側でフランジ103に乗り上げた場合、この状態で、いきなり押え部材104が無端ベルト102を一方のローラ101の外周面に押圧するので、無端ベルト102が押え部材104と一方のローラ101の外周面との間に噛み込んでしまい、無端ベルト102の走行において過大な負荷が掛かるといった問題がある。このような場合、フランジ103が変形したり、無端ベルト102や押え部材104が損傷する虞があった。
【0008】
本発明は、無端ベルトの幅方向における側縁部が蛇行規制部材に乗り上げて、無端ベルトが浮き上り防止部材とローラの外周面との間に無理矢理に噛み込んでしまうのを防止することができるベルト型搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、複数の回転可能なローラ間に巻回された無端ベルトを有するベルト型搬送装置であって、
無端ベルトが幅方向へ蛇行するのを規制する蛇行規制部材がローラの軸方向における両端部に設けられ、
蛇行規制部材はローラの外周面よりも径方向における外側へ張り出した環状の部材であり、
無端ベルトがローラの外周面から浮き上がるのを防止する浮き上り防止部材がローラの軸方向における両蛇行規制部材間に配設され、
浮き上り防止部材は無端ベルトが走行方向においてローラの外周面に当接し始める当接開始箇所に臨んでおり、且つ、ローラの外周面に対向するとともにローラと同心円の円弧状に形成された浮き上り防止面を有し、
無端ベルトの厚さ方向における浮き上り防止部材と無端ベルトとの間にベルト導入用隙間が形成され、
ベルト導入用隙間は、少なくともローラの軸方向における外側において、無端ベルトの走行方向における上流側が下流側よりも広く、上流側から下流側へ次第に狭くなり、
浮き上り防止面は、無端ベルトの走行方向において、ベルト導入用隙間の下流側に位置し、
無端ベルトは浮き上り防止面とローラの外周面との間に挟まれながら走行するものである。
【0010】
これによると、ローラが回転することにより、無端ベルトが一方向へ回動し、無端ベルト上に供給された搬送対象物が無端ベルトの走行方向における上流側から下流側へ搬送される。
【0011】
この際、ベルト導入用隙間は上流側から下流側へ次第に狭くなっているため、無端ベルトの幅方向における側縁部が蛇行規制部材に乗り上げようとしても、無端ベルトの側縁部は、ベルト導入用隙間において、上流側から下流側へ走行するほど浮き上り防止部材によって徐々にローラの外周面に押圧されて修正される。
【0012】
このため、無端ベルトの側縁部が蛇行規制部材に乗り上げてしまうのを防止することができ、これにより、無端ベルトが浮き上り防止部材とローラの外周面との間に無理矢理に噛み込んでしまうのを防止することができる。
さらに、無端ベルトは、走行方向における浮き上り防止部材の上流側からベルト導入用隙間を通過した後、浮き上り防止面とローラの外周面との間に挟まれながら下流側へ走行する。
これにより、無端ベルトは、浮き上り防止面が形成されている範囲において、確実にローラの外周面に押圧され、無端ベルトの浮き上がりが防止される。
【0013】
本第2発明におけるベルト型搬送装置は、ベルト導入用隙間は、ローラの軸方向における浮き上り防止部材の全範囲にわたって、無端ベルトの走行方向における上流側が下流側よりも広く、上流側から下流側へ次第に狭くなっているものである。
【0014】
本第3発明におけるベルト型搬送装置は、ベルト導入用隙間は浮き上り防止部材の底面と無端ベルトとの間に形成され、
無端ベルトの走行方向における浮き上り防止部材の底面の上流側端部の高さは、少なくともローラの軸方向における外側において、蛇行規制部材の上端部の高さよりも上方に位置しているものである。
【0015】
これによると、無端ベルトの幅方向における側縁部が蛇行規制部材に乗り上げようとしても、無端ベルトの側縁部は、ベルト導入用隙間において、浮き上り防止部材によって徐々に且つ確実にローラの外周面に押圧されて修正される。
【0019】
本第発明におけるベルト型搬送装置は、浮き上り防止部材はローラの軸方向において一対設けられ、
無端ベルト上に供給されて無端ベルトの走行方向における下流側へ搬送される搬送対象物を一対の浮き上り防止部材間に案内する案内部材が備えられているものである。
【0020】
これによると、無端ベルト上に供給された搬送対象物は、無端ベルトの走行方向における下流側へ搬送され、案内部材によって一対の浮き上り防止部材間に案内される。これにより、搬送対象物が浮き上り防止部材と無端ベルトの表面との間に噛み込んでしまうのを防止することができる。
【0021】
本第発明におけるベルト型搬送装置は、ローラの外周面に対する浮き上り防止部材の取付位置をローラの径方向において変更することにより、浮き上り防止部材とローラの外周面との間隔を調節する間隔調節部材が備えられているものである。
【0022】
これによると、浮き上り防止部材が無端ベルトに摺接して摩耗し、浮き上り防止部材とローラの外周面との間隔が拡大しても、間隔調節部材を用いて浮き上り防止部材とローラの外周面との間隔を調節することにより、浮き上り防止部材とローラの外周面との間隔を最適な間隔に保つことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によると、無端ベルトの側縁部が蛇行規制部材に乗り上げてしまうのを防止することができ、これにより、無端ベルトが浮き上り防止部材とローラの外周面との間に無理矢理に噛み込んでしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるベルト型濃縮装置の構成を示す模式図である。
図2図1におけるX-X矢視図である。
図3図1におけるY-Y矢視図である。
図4図1に記載したベルト型濃縮装置の一部拡大図である。
図5図4におけるX-X矢視図である。
図6図4におけるY-Y矢視図である。
図7】同、ベルト型濃縮装置に設けられた浮き上り防止部材の側面図である。
図8図7におけるZ-Z矢視図である。
図9】同、ベルト型濃縮装置に設けられた堰止部材の拡大断面図である。
図10】同、ベルト型濃縮装置に設けられた浮き上り防止部材の作用を説明するための図であり、無端ベルトの側縁部の乗り上げ防止効果を示している。
図11】同、ベルト型濃縮装置に設けられた浮き上り防止部材の作用を説明するための図であり、無端ベルトの側縁部の皺を押し伸ばす効果を示している。
図12】本発明の第2の実施の形態におけるベルト型濃縮装置の一部拡大図であり、無端ベルトの側縁部の乗り上げ防止効果を示している。
図13】同、ベルト型濃縮装置に設けられた浮き上り防止部材の正面図である。
図14図13におけるX-X矢視図である。
図15図13におけるY-Y矢視図である。
図16】従来のベルト型搬送装置の一部拡大部である。
図17図16におけるX-X矢視図である。
図18】同、ベルト型搬送装置の無端ベルトの側縁部がフランジに乗り上げた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態において、図1図3に示すように、1は、透水性を有する回動自在な無端ベルト2で汚泥3(搬送対象物の一例)を搬送経路4に沿って搬送しながら重力濾過するベルト型濃縮装置であって、ベルト型搬送装置の一例である。
【0027】
無端ベルト2は、金属製のメッシュ状のベルトであり、表面と裏面とに連通する多数の微小な開孔部を有しており、複数の回転可能なローラ7,8間に巻回されている。このうち、始端側ローラ7は搬送経路4の始端側に設けられ、終端側ローラ8は搬送経路4の終端側に設けられている。これらローラ7,8はそれぞれ、支軸10を介して、左右一対のサイドフレーム12間に支持されている。尚、終端側ローラ8はモータ等の回転駆動装置(図示省略)によって強制的に回転駆動されるのに対して、始端側ローラ7は無端ベルト2を介して従動回転される。
【0028】
搬送経路4の始端部には、汚泥3を無端ベルト2上に供給する供給部14(例えば供給シュート等)が設けられている。また、搬送経路4の終端部には、汚泥3を無端ベルト2上から排出する排出部15(例えば排出シュート等)が設けられている。
【0029】
両サイドフレーム12間には、搬送経路4を走行方向Aへ走行する無端ベルト2を下方から支持する複数の支え板17が設けられている。
【0030】
また、両ローラ7,8間には、終端側ローラ8から始端側ローラ7へ戻る戻り経路18の無端ベルト2に向けて洗浄水19を噴射する洗浄装置20が設けられている。
【0031】
無端ベルト2が幅方向Wへ蛇行するのを規制する蛇行規制鍔22(蛇行規制部材の一例)が、終端側ローラ8の軸方向Bにおける両端部に設けられている。蛇行規制鍔22は終端側ローラ8の外周面よりも径方向Cにおける外側へ張り出した円環状の部材であり、蛇行規制鍔22の外径は終端側ローラ8の外径よりも大きい。
【0032】
また、始端側ローラ7も、終端側ローラ8と同様に、軸方向Bにおける両端部に蛇行規制鍔22が設けられている。
【0033】
無端ベルト2が終端側ローラ8の外周面から浮き上がるのを防止する浮き上り防止部材24が、終端側ローラ8の軸方向Bにおける両蛇行規制鍔22間に一対配設されている。図4図6に示すように、これら両浮き上り防止部材24はそれぞれ、取付装置37を介してサイドフレーム12に取り付けられて、終端側ローラ8の上方に位置しており、無端ベルト2の走行方向Aにおいて無端ベルト2が終端側ローラ8の外周面に当接し始める当接開始箇所26に臨んでいる。
【0034】
各浮き上り防止部材24はそれぞれ、平面視において四角形をしており、前面28と後面29と左右両側面30,31と上面32と底面33とを有している。
【0035】
図7図8に示すように、各浮き上り防止部材24の底面33はそれぞれ傾斜面35と浮き上り防止面36とを有している。ここで、図4に示すように、終端側ローラ8の軸心39を通る鉛直線40と浮き上り防止部材24の底面33との交点をDとすると、傾斜面35は浮き上り防止部材24の前面28(すなわち無端ベルト2の走行方向Aにおける浮き上り防止部材24の上流側端部)から上記交点Dまでの範囲にわたって下向きに傾斜するように形成されている。
【0036】
これにより、図1図4図5に示すように、無端ベルト2の厚さT方向における浮き上り防止部材24の傾斜面35と無端ベルト2との間には、ベルト導入用隙間42が形成されている。ベルト導入用隙間42は、無端ベルト2の走行方向Aにおける上流側(すなわち浮き上り防止部材24の前面28側)が下流側(すなわち上記交点D側)よりも広く、上流側から下流側へ次第に狭くなっている。
【0037】
また、図4図5に示すように、無端ベルト2の走行方向Aにおける浮き上り防止部材24の傾斜面35(底面33)の上流側端部35aの高さH1は、蛇行規制鍔22の上端部22aの高さH2よりも上方に位置している。
【0038】
図4図7図8に示すように、浮き上り防止面36は、上記交点Dから浮き上り防止部材24の後面29(すなわち無端ベルト2の走行方向Aにおける浮き上り防止部材24の下流側端部)までの範囲にわたってベルト導入用隙間42の下流側に設けられており、終端側ローラ8の外周面に対向するとともに終端側ローラ8と同心円の円弧状に形成されている。
【0039】
無端ベルト2は、浮き上り防止面36と終端側ローラ8の外周面との間に挟まれて浮き上り防止面36に摺接しながら走行する。尚、図5図8に示すように、傾斜面35と浮き上り防止面36とベルト導入用隙間42とは、終端側ローラ8の軸方向Bにおける浮き上り防止部材24の全範囲にわたって形成されている。
【0040】
図5図6に示すように、取付装置37は、浮き上り防止部材24の上面32に取り付けられた取付板44と、サイドフレーム12に取り付けられた取付フレーム45と、複数枚のシムプレート46と、複数のボルト47およびナット48とを有している。
【0041】
取付板44は、サイドフレーム12に形成された切欠部49を通じて、サイドフレーム12の内側方から外側方へ延び出ている。また、取付板44と取付フレーム45とは上下方向において相対向している。シムプレート46は、浮き上り防止部材24と終端側ローラ8の外周面との間隔を調節する間隔調節部材の一例であって、取付板44と取付フレーム45との間に挿入されている。
【0042】
ボルト47は取付板44と取付フレーム45とシムプレート46とに挿通されており、取付板44と取付フレーム45とシムプレート46とはボルト47およびナット48によって締結されている。
【0043】
図1図2図9に示すように、無端ベルト2上に供給された汚泥3が無端ベルト2の外側方へ流れ落ちるのを堰き止める堰止部材52が、搬送経路4に沿って左右一対設けられている。堰止部材52は、L形状に曲げられた状態で無端ベルト2の側縁部の表面に上方から摺接するゴム製のシート53と、シート53が取り付けられる固定フレーム54とを有している。固定フレーム54は、搬送経路4に沿って無端ベルト2の左右両外側方に設けられたレール部材55に固定されている。これら両レール部材55は両サイドフレーム12の内側に設けられている。
【0044】
これら一対の堰止部材52は、無端ベルト2の走行方向Aにおける下流端部に、一対の案内部材57を有している。図2に示すように、これら一対の案内部材57は、無端ベルト2上に供給されて下流側へ搬送される汚泥3を一対の浮き上り防止部材24間に案内するものであって、シート53と固定フレーム54とを有しており、下流側(後端部側)ほど両案内部材57間の間隔が次第に縮小するように傾斜している。一対の案内部材57の下流側端部(後端部)間の間隔Eは一対の浮き上り防止部材24間の間隔Fよりも狭く設定されている。
【0045】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0046】
図1に示すように、回転駆動装置によって終端側ローラ8を回転駆動することにより、無端ベルト2が一方向へ回動するとともに始端側ローラ7が従動回転する。汚泥3を供給部14から無端ベルト2上に供給することにより、汚泥3は、搬送経路4に沿って走行方向Aにおける上流側から下流側へ搬送されながら重力濾過され、排出部15から排出される。この際、汚泥3から離脱した離脱水は無端ベルト2の開孔部を通って下方へ排出されるため、汚泥3が脱水濃縮される。
【0047】
上記のように無端ベルト2が回動している際、図4に示すように、浮き上り防止部材24と無端ベルト2との間のベルト導入用隙間42が上流側から下流側へ次第に狭くなっているため、図10に示すように、無端ベルト2の幅方向Wにおける側縁部2aが蛇行規制鍔22に乗り上げようとしても、無端ベルト2の側縁部2aは、ベルト導入用隙間42において、上流側から下流側へ走行するほど浮き上り防止部材24の傾斜面35によって徐々に終端側ローラ8の外周面に押圧されて修正される。
【0048】
このため、無端ベルト2の側縁部2aが蛇行規制鍔22に乗り上げてしまうのを防止することができ、これにより、無端ベルト2が浮き上り防止部材24と終端側ローラ8の外周面との間に無理矢理に噛み込んでしまうのを防止することができ、一対の蛇行規制鍔22によって無端ベルト2の蛇行を確実に規制することができる。
【0049】
また、無端ベルト2は、図4に示すように、ベルト導入用隙間42を通過した後、浮き上り防止面36と終端側ローラ8の外周面との間に挟まれながら下流側へ走行する。
【0050】
これにより、無端ベルト2は、浮き上り防止面36が形成されている範囲において、確実に終端側ローラ8の外周面に押圧され、無端ベルト2の浮き上がりが防止される。
【0051】
また、図11に示すように、無端ベルト2の側縁部2aに、山なりに隆起した皺59が発生しても、無端ベルト2の側縁部2aの皺59は、ベルト導入用隙間42において、上流側から下流側へ走行するほど浮き上り防止部材24の傾斜面35によって徐々に終端側ローラ8の外周面に押圧される。これにより、無端ベルト2の側縁部2aの皺59が無端ベルト2の幅方向Wに押し伸ばされて平坦化される。
【0052】
また、図2図9に示すように、汚泥3は一対の堰止部材52間に供給された状態で無端ベルト2によって搬送されるので、汚泥3が無端ベルト2の外側方へ流れ落ちようとするのを堰き止めることができる。さらに、搬送経路4の下流側において、無端ベルト2上の汚泥3は、一対の案内部材57によって一対の浮き上り防止部材24間に案内される。これにより、汚泥3が浮き上り防止部材24の底面33と無端ベルト2の表面との間に噛み込んでしまうのを防止することができる。
【0053】
また、図5に示すように、取付装置37のボルト47およびナット48を取り外し、シムプレート46の枚数を増加させることにより、取付板44と共に浮き上り防止部材24が上昇し、浮き上り防止部材24の底面33と終端側ローラ8の外周面との間隔が拡大する。反対に、シムプレート46の枚数を減少させることにより、取付板44と共に浮き上り防止部材24が下降し、浮き上り防止部材24の底面33と終端側ローラ8の外周面との間隔が縮小する。このように、シムプレート46の枚数を増減することによって、浮き上り防止部材24の底面33と終端側ローラ8の外周面との間隔を調節することができる。
【0054】
これにより、浮き上り防止部材24の浮き上り防止面36が無端ベルト2に摺接して摩耗し、浮き上り防止面36と終端側ローラ8の外周面との間隔が最適な間隔より拡大しても、シムプレート46の枚数を減少させることにより、取付板44と共に浮き上り防止部材24を下降させて、浮き上り防止面36と終端側ローラ8の外周面との間隔を最適な間隔に保つことができる。
(第2の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、図5に示すように、ベルト導入用隙間42を終端側ローラ8の軸方向Bにおける浮き上り防止部材24の全範囲(全幅)にわたって形成しているが、以下に説明する第2の実施の形態では、図12図15に示すように、ベルト導入用隙間42を、浮き上り防止部材24の全範囲(全幅)ではなく、終端側ローラ8の軸方向Bにおける外側のみに形成している。
【0055】
この場合、浮き上り防止部材24の底面33は傾斜面35と浮き上り防止面36と平坦面71とを有している。傾斜面35は、図14に示すように浮き上り防止部材24の前面28から終端側ローラ8の軸心39を通る鉛直線40と底面33との交点Dまでの範囲にわたって下向きに傾斜しているとともに、図13に示すように終端側ローラ8の軸方向Bにおいて外側の側面31から反対の内側の側面30に近付くほど下向きに傾斜している。
【0056】
これにより、図12図14に示すように、無端ベルト2の厚さT方向における浮き上り防止部材24の傾斜面35と無端ベルト2との間には、ベルト導入用隙間42が形成されている。ベルト導入用隙間42は、無端ベルト2の走行方向Aにおける上流側が下流側よりも広く、図14に示すように上流側から下流側へ次第に狭くなっているとともに、図12に示すように外側の側面31から反対の内側の側面30に近付くほど次第に狭くなっている。
【0057】
また、平坦面71は、終端側ローラ8の軸方向Bにおいて傾斜面35の下端部から内側の側面30までの範囲にわたって形成されているとともに、浮き上り防止部材24の前面28から上記交点Dまでの範囲にわたって形成されている。
【0058】
また、浮き上り防止面36は、上記交点Dから浮き上り防止部材24の後面29までの範囲にわたって、傾斜面35と平坦面71との下流側に設けられている。
【0059】
これによると、無端ベルト2が回動している際、図14に示すように、浮き上り防止部材24と無端ベルト2との間のベルト導入用隙間42が上流側から下流側へ次第に狭くなっているため、図12に示すように、無端ベルト2の幅方向Wにおける側縁部2aが蛇行規制鍔22に乗り上げようとしても、無端ベルト2の側縁部2aは、ベルト導入用隙間42において、上流側から下流側へ走行するほど浮き上り防止部材24の傾斜面35によって徐々に終端側ローラ8の外周面に押圧されて修正される。
【0060】
このため、無端ベルト2の側縁部2aが蛇行規制鍔22に乗り上げてしまうのを防止することができ、これにより、無端ベルト2が浮き上り防止部材24と終端側ローラ8の外周面との間に無理矢理に噛み込んでしまうのを防止することができ、一対の蛇行規制鍔22によって無端ベルト2の蛇行を確実に規制することができる。
【0061】
上記各実施の形態では、ベルト型搬送装置の一例として、図1に示すように、下水処理工程等において発生した汚泥3を搬送しながら脱水するベルト型濃縮装置1を挙げたが、汚泥3に限定されるものではなく、スラリー状物質(搬送対象物の一例)を搬送しながら脱水するものであってもよい。また、ベルト型濃縮装置1に限定されるものではなく、例えば、金属部品(搬送対象物の一例)等を無端ベルト2で搬送しながら焼結する焼結炉用の搬送装置、食品(搬送対象物の一例)等を無端ベルト2で搬送しながら加熱調理するオーブン用の搬送装置、物品(搬送対象物の一例)を搬送しながら洗浄や水切りを行う洗浄装置用の搬送装置等であってもよい。
【0062】
上記各実施の形態では、無端ベルト2は金属製のメッシュ状のベルトであるが、このようなベルトに限定されるものではなく、ベルト自体にある程度の柔軟性があって蛇行規制鍔22に乗り上げる虞のあるものであれば合成樹脂製等の無端ベルトであってもよい。
【0063】
上記各実施の形態では、蛇行規制鍔22は、始端側ローラ7および終端側ローラ8の両端部に、各ローラ7,8に一体的に固定された状態で設けられているが、各ローラ7,8の回転に伴って回転しないように、各ローラ7,8とは独立して設けられてもよい。
【0064】
上記各実施の形態では、図4に示すように、無端ベルト2が浮き上り防止部材24の浮き上り防止面36と終端側ローラ8の外周面との間に挟まれて浮き上り防止面36に摺接しながら走行するように、浮き上り防止部材24を固定しているが、このような浮き上り防止部材24の固定態様のみに限定されるものではなく、平時の場合に無端ベルト2と浮き上り防止面36との間に多少の隙間が形成されるように、浮き上り防止部材24を固定してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 ベルト型濃縮装置(ベルト型搬送装置)
2 無端ベルト
3 汚泥(搬送対象物)
7,8 ローラ
22 蛇行規制鍔(蛇行規制部材)
22a 上端部
24 浮き上り防止部材
26 当接開始箇所
33 底面
35a 上流側端部
36 浮き上り防止面
42 ベルト導入用隙間
46 シムプレート(間隔調節部材)
57 案内部材
A 走行方向
B 軸方向
C 径方向
H1 上流側端部の高さ
H2 上端部の高さ
T 無端ベルトの厚さ
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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