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  • 特許-航空管制無線システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】航空管制無線システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/06 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01S5/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021143391
(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公開番号】P2023036375
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】西田 順一
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-164062(JP,A)
【文献】特開2017-121926(JP,A)
【文献】特開2017-215164(JP,A)
【文献】特開平03-017586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0309291(US,A1)
【文献】長縄 潤一 ,TDOAを用いたADS-B位置検証における遅延の考慮,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会 ,Vol.118,No.239 ,p.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
G01S 19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の位置を把握する航空管制無線システムであって、
質問信号をADS-B信号により航空機に向けて送信する送信装置と、
時刻情報を取得可能で、航空機からのADS-B信号を受信する複数の受信装置と、を備え、
前記複数の受信装置にネットワークで接続し、前記受信装置での受信時刻を基に受信の時間差を算出し、前記受信装置の間の距離と前記時間差により前記航空機の位置を推定し、当該推定した位置に基づいて前記航空機のなりすましを検出する処理装置を有し、
前記送信装置が、ADS-B信号のモードA/Cによるサイドローブを抑圧する機能を用いて、前記航空機が応答できないADS-B信号を生成して送信し、
前記受信装置が、当該ADS-B信号に前記航空機から応答があると、前記航空機のなりすましとして検出し、前記処理装置に通知することを特徴とする航空管制無線システム。
【請求項2】
前記受信装置が、受信したADS-B信号の応答信号の内容が不適正である場合に、前記航空機のなりすましとして検出し、前記処理装置に通知することを特徴とする請求項1記載の航空管制無線システム。
【請求項3】
前記送信装置は、送信出力のビーム形成を可変にすることを特徴とする請求項1又は2記載の航空管制無線システム。
【請求項4】
前記処理装置は、得られた航空機の位置情報から当該位置に対応した送信出力のビームを形成するよう前記送信装置に指示し、
前記送信装置は、当該指示に従いビーム形成を変更することを特徴とする請求項3記載の航空管制無線システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の位置を認識する航空管制無線システムに係り、特に、悪意のある第三者の航空機に成りすますのを検出できる航空管制無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の航空管制無線システムは、航空機の位置を正確に把握することが重要であり、これまでは一次レーダにより、高出力の信号を照射して反射波を受信することで航空機の位置を把握している。
【0003】
しかしながら、一次レーダでは、どの航空機からのものであるかは識別できず、また高度などの航空機の情報を得ることができない。
そこで、近年は二次レーダにより、地上から航空機に搭載されたトランスポンダに対して質問し、航空機からの応答を受信することで、航空機の情報を得ることが考えられる。
【0004】
この信号のやり取りを行う仕組みがADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast/放送型自動従属監視)である。
ADS-Bは、航空機に搭載された機上装置が、航空機の航法装置によって得られた測位結果に基づく位置を含む航空機の情報を放送するものである。
【0005】
ADS-Bを使用した航空管制には多くのメリットがあるが、デメリットとして、暗号化されておらず、誰でも視聴することができるため、悪意の第三者がドローン等を利用して航空機になりすまして地上設備からの信号に応答することで、航空管制に支障をきたす可能性がある。
【0006】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特許第4203819号公報「SSRモードS地上局での不良トランスポンダ応答除去システム及び方法」(特許文献1)、特許第6177612号公報「航空機からの信号を用いた測位方法及び測位装置」(特許文献2)、特許第6790464号公報「位置照合装置、ADS-B通報取得装置及び位置照合方法」(特許文献3)がある。
【0007】
特許文献1には、SSRモードS地上局により航空機の監視を行う際に、航空機搭載のトランスポンダの整備不良等による不具合から起こる航空機からの応答による影響を地上局側で排除するシステムが示されている。
特許文献2には、航空機に搭載されるADS-Bから発せられる信号を用いて計測時の計測位置を決定することが示されている。
特許文献3には、誤った位置照合通知が放送されたことを地上側の装置により検知できることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4203819号公報
【文献】特許第6177612号公報
【文献】特許第6790464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の航空管制で説明したように、ADS-Bを利用した航空機の位置把握では、悪意のある第三者がドローン等を利用して航空機になりすますことによって航空管制に支障をきたす可能性があるという問題点があった。
【0010】
現在のADS-Bでは、なりすまし排除の仕組みはなく、航空機のトランスポンダの全てに暗号器を搭載するのは現実的ではないから、二次レーダによる航空管制への移行を遅らせることにもなるという問題点もある。
【0011】
尚、特許文献1~3には、悪意のある第三者がドローン等を使用して航空機になりすました場合を検出して航空管制の安全を確保する構成についての記載がない。
【0012】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、悪意の第三者によるなりすましを検出して排除し、航空管制の安全性を向上させる航空管制無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、航空機の位置を把握する航空管制無線システムであって、質問信号をADS-B信号により航空機に向けて送信する送信装置をと、時刻情報を取得可能で、航空機からのADS-B信号を受信する複数の受信装置と、を備え、複数の受信装置にネットワークで接続し、受信装置での受信時刻を基に受信の時間差を算出し、受信装置の間の距離と時間差により航空機の位置を推定し、当該推定した位置に基づいて航空機のなりすましを検出する処理装置を有し、送信装置が、ADS-B信号のモードA/Cによるサイドローブを抑圧する機能を用いて、航空機が応答できないADS-B信号を生成して送信し、受信装置が、当該ADS-B信号に航空機から応答があると、航空機のなりすましとして検出し、処理装置に通知することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記航空管制無線システムにおいて、受信装置が、受信したADS-B信号の応答信号の内容が不適正である場合に、航空機のなりすましとして検出し、処理装置に通知することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記航空管制無線システムにおいて、送信装置が、送信出力のビーム形成を可変にすることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記航空管制無線システムにおいて、処理装置が、得られた航空機の位置情報から当該位置に対応した送信出力のビームを形成するよう送信装置に指示し、送信装置が、当該指示に従いビーム形成を変更することを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記航空管制無線システムにおいて、ADS-B信号のモードA/Cによるサイドローブを抑圧する機能を用いて、送信装置が、航空機が応答できないADS-B信号を生成して送信し、ADS-B信号に航空機から応答があると、航空機のなりすましとして検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、質問信号をADS-B信号により航空機に向けて送信する送信装置と、時刻情報を取得可能で、航空機からのADS-B信号を受信する複数の受信装置と、を備え、複数の受信装置にネットワークで接続し、受信装置での受信時刻を基に受信の時間差を算出し、受信装置の間の距離と時間差により航空機の位置を推定し、当該推定した位置に基づいて航空機のなりすましを検出する処理装置を有し、送信装置が、ADS-B信号のモードA/Cによるサイドローブを抑圧する機能を用いて、航空機が応答できないADS-B信号を生成して送信し、受信装置が、当該ADS-B信号に航空機から応答があると、航空機のなりすましとして検出し、処理装置に通知する航空管制無線システムとしているので、悪意の第三者によるなりすましを検出して排除し、航空管制の安全性を向上させることができる効果がある。
【0019】
本発明によれば、処理装置が、得られた航空機の位置情報から当該位置に対応した送信出力のビームを形成するよう送信装置に指示し、送信装置が、当該指示に従いビーム形成を変更するものとしているので、航空機の位置に応じて変更された送信出力のビームにおいて質問信号への応答により、なりすましを検出できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本無線システムの構成概略図である。
図2】送信装置のビーム制御を示す概略図である。
図3】サイドローブ抑圧機能を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る航空管制無線システム(本無線システム)は、時刻情報を取得可能で、航空機からのADS-B信号を受信する受信装置を複数備え、複数の受信装置にネットワークで接続し、受信装置での受信時刻を基に受信の時間差を算出し、受信装置の間の距離と受信の時間差により航空機の位置を推定し、当該推定した位置に基づいて航空機のなりすましを検出する処理装置を有するものであり、これにより、悪意の第三者によるなりすましを検出して排除し、航空管制の安全性を向上させることができるものである。
【0022】
本無線システムは、処理装置が、得られた航空機の位置情報から当該位置に対応した送信出力のビームを形成するよう送信装置に指示し、送信装置が、当該指示に従いビーム形成を変更するものであり、航空機の位置に応じて変更された送信出力のビームにおいて質問信号への応答により、なりすましを検出できるものである。
【0023】
なりすましの検出(判定)の方法は、第1に、航空機の位置を推定し、その位置が航空機として不適切である場合に判定し、第2に、ADS-B信号の質問信号に対する応答信号の内容が不適正である場合に判定し、第3に、ADS-B信号から取得された航空機の位置に向けてビーム制御されて形成されたビームで応答信号がない場合に判定し、第4に、サイドローブ抑圧機能を用いて、取得された航空機の位置から応答信号がないはずにも拘わらず、応答信号がある場合に判定する。詳細は、後述する。
【0024】
[本無線システム:図1
本無線システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本無線システムの構成概略図である。
本無線システムは、図1に示すように、受信装置1,2と、送信装置3と、処理装置4と、表示装置5とを基本的に有している。
【0025】
[本無線システムにおける各装置の概略]
本無線システムにおける受信装置1,2は、航空機からのADS-B信号を受信し、内部の高精度時刻サーバで付与された受信時刻の情報と共に上位装置となる処理装置4に送信する。
また、受信装置1,2は、送信装置3から航空機に送信された質問信号に対する応答信号を受信し、応答信号からなりすましを検出する。
【0026】
そして、受信装置1,2は、なりすましと判定した場合には、受信したADS-B信号と時刻情報を処理装置4に通知するが、その後は、なりすましと特定した航空機からのADS-B信号を処理装置4に通知するのを停止することもできる。これは、不要な通信を排除するためである。
【0027】
送信装置3は、ADS-B信号を用いて質問信号を航空機に送信する。
また、送信装置3は、質問信号の出力ビームの制御を行い、ビームの方向、ビーム出力の強弱を調整することで、ビーム範囲を可変としている。
具体的には、後述するように、送信ビームのメインローブの方向、大きさ、サイドローブの大きさも調整することで、なりすましを検出するものである。
【0028】
処理装置4は、受信装置1,2からのADS-B信号を受信し、受信時刻から時間差を算出して、当該時間差と2つの受信装置1,2の距離から航空機の位置を推定して、推定した位置に基づいて、その位置が航空機として不適切な場合は、航空機のなりすましを検出する。また、ADS-B信号により航空機の位置を取得し、推定した位置と相違する場合に、なりすましとして検出してもよい。
また、処理装置4は、受信装置1,2からのなりすましに関する情報を受信して外部記憶装置に記憶する。
更に、処理装置4は、航空機の情報、なりすましの情報を表示装置5に出力する。
【0029】
表示装置5は、航空機の情報、なりすましの情報を表示すると共に、送信装置3における送信ビームの制御を指示し、当該制御に関する情報を表示する。
【0030】
[本無線システムの各部の詳細]
本無線システムの各部について具体的に説明する。
[受信装置1,2]
受信装置1,2は、構成は同じであり、設置する場所が異なっている。2つの受信装置1,2は、航空機の位置を測定するには離れていることが望ましく、数キロ~100キロメートル程度離して設置するのがよい。受信装置1,2は同じ構成であるので、以下、受信装置1について説明し、受信装置2の説明は省略する。
【0031】
受信装置1は、無向性空中線(アンテナ)11と、高周波部12と、信号処理部13と、高精度時刻サーバ14と、ネットワーク装置15を備えている。
無向性空中線11でADS-B信号を受信し、高周波部12でフィルタにより不要波を除去して受信信号を増幅し、信号処理部13でADS-B信号を復調する。
【0032】
信号処理部13で応答信号からなりすましを検出することができる。
高精度時刻サーバ14で時刻情報が配信され、信号処理部13は高精度な時刻同期が可能となる。
ネットワーク装置15は、信号処理部13で復調された結果を上位の処理装置4に送信する。
尚、処理装置4でもなりすまし検知の機能を備えている。
受信装置1では、無向性空中線11を用いたが、受信装置2に示すように指向性空中線21を用いるようにしてもよい。
【0033】
[送信装置3]
送信装置3は、指向性空中線(アンテナ)31と、高周波部32と、信号処理部33と、ネットワーク装置35とを備えている。
ネットワーク装置35は、処理装置4から質問信号を受信し、信号処理部33で変調を行う。高周波部32で表示装置5から指定されたADS-B信号を送信する送信ビームの方向、大きさい(強さ)に従ってビーム形成の制御を行い、指向性空中線31から当該形成された送信ビームで質問信号を含むADS-B信号を航空機に向けて送信する。
【0034】
[処理装置4]
処理装置4は、中央処理装置41と、外部記憶装置42と、ネットワーク装置43とを備えている。
中央処理装置41は、受信装置1,2から受信した航空機の情報について情報処理を行い、航空機のなりすましの検出処理も行う。特に、2つの受信装置1,2からのADS-B信号の受信の時間差と2つの受信装置1,2の距離(直線距離)に基づいて航空機の位置を推定して、なりすましか否かの判定を行う。つまり、推定した位置が航空機の位置として適切であれば、なりすましではないと判定し、不適切であれば、なりすましと判定する。
また、中央処理装置41は、表示装置5からの設定により送信装置3での送信ビームフォーミングのパラメータ等を生成して送信装置3に送信する。
【0035】
外部記憶装置42は、航空機の情報を記憶するもので、なりすましの情報も記憶され、その後に分析等に利用される。
ネットワーク装置43は、受信装置1,2のネットワーク装置15,25に接続し、更に送信装置3のネットワーク装置35に接続し、データの送受信を行う。
【0036】
[送信装置3のビーム制御:図2
次に、送信装置3のビーム制御について図2を参照しながら説明する。図2は、送信装置のビーム制御を示す概略図である。
送信装置3は、図2に示すように、ビームフォーミングについて、ビーム出力の強弱(大小)を制御できるものである。図2では、高出力でビーム範囲が広い場合と、中出力でビーム範囲が狭い場合を示している。
また、送信装置3は、ビーム出力の幅(図2ではビームの縦方向の長さ)と方向(向き)も制御できる。
【0037】
図2に示すように、ビームを高出力から中出力にすることで、例えば、悪意のある第三者は質問信号を受信できなくするようにできる。
そして、処理装置4は、受信したADS-B信号から得られた航空機の位置情報を基に、送信装置3で、ビームフォーミングを変更(可変)して質問信号を送信するサーチを行えば、航空機が応答した位置情報が正しいかどうかを検証でき、なりすましを判別できる。
【0038】
[サイドローブ抑圧機能:図3
次に、ADS-B信号のサイドローブ抑圧機能について図3を参照しながら説明する。図3は、サイドローブ抑圧機能を示す説明図であり、図3(1)がサイドローブの方向における航空機の位置を示し、図3(2)が航空機Aの受信信号レベルを示し、図3(3)が航空機Bの受信レベルを示すものである。
図3(1)では、メインローブの方向に航空機Aが位置し、航空機Bはサイドローブ方向に位置している。航空機Bのトランスポンダは、メインローブP1,P3のパルスより強いサイドローブP2を受信することで、応答しない。
【0039】
ADS-B信号には、「モードA/C」があり、このモードは、サイドローブの信号で航空機のトランスポンダが反応しないように、P2(サイドローブ)の位置にパルスを送出するものがある。このパルスを発生すると、サイドローブの信号で受信しても航空機は応答しない。
【0040】
ここで、メインローブP1,P3の方向に位置する航空機Aの受信信号レベルは、図3(2)に示すようになり、航空機Aのトランスポンダに反応する。
航空機Bの受信信号レベルは、図3(3)に示すように、P2の位置のパルスが、P1,P3のパルスに比べて大きいため、航空機Bのトランスポンダは応答せず、航空機Aだけが応答する。
【0041】
この仕組みを使用して、なりすましの検出を行う。
具体的には、取得できた航空機の位置に対して、モードA/CでP2のパルスが大きく受信できるようADS-B信号を生成して送信する。航空機の位置が正しいのであれば、航空機はP2のパルスによってトランスポンダに応答しないはずであるが、悪意のある第三者の偽りの位置であれば、応答してしまい、なりすましを検出できる。
従って、サイドローブ抑圧機能を実現するには、送信装置3でのADS-B信号の生成・送信方法を制御する必要がある。
【0042】
[実施の形態の効果]
本無線システムによれば、時刻情報を高精度時刻サーバ14,24で取得し、航空機からのADS-B信号を受信する受信装置1,2を備え、受信装置1,2にネットワークで接続し、受信装置1,2での受信時刻を基に受信の時間差を算出し、受信装置1,2の間の距離と受信の時間差により航空機の位置を推定し、当該推定した位置に基づいて航空機のなりすましを検出する処理装置4を有するものとしているので、悪意の第三者によるなりすましを検出して排除し、航空管制の安全性を向上させることができる効果がある。
【0043】
本無線システムは、処理装置4が、得られた航空機の位置情報から当該位置に対応した送信出力のビームを形成するよう送信装置3に指示し、送信装置3が、当該指示に従いビーム形成を変更するものとしているので、航空機の位置に応じて変更された送信出力のビームにおいて質問信号への応答により、なりすましを検出できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、悪意の第三者によるなりすましを検出して排除し、航空管制の安全性を向上させる航空管制無線システムに好適である。
【符号の説明】
【0045】
1…受信装置、 2…受信装置、 3…送信装置、 4…処理装置、 5…表示装置、 11…無向性空中線、 12,22,32…高周波部、 13,23,33…信号処理部、 14,24…高精度時刻サーバ、 15,25,35,43…ネットワーク装置、 21,31…指向性空中線、 41…中央処理装置、 42…外部記憶装置
図1
図2
図3