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特許7550132射出装置、射出成形機、およびノズルタッチ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】射出装置、射出成形機、およびノズルタッチ方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/22 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B29C45/22
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021183864
(22)【出願日】2021-11-11
(65)【公開番号】P2023071233
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2024-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】内海 聡
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/054522(WO,A1)
【文献】特開2018-122507(JP,A)
【文献】特開2016-135571(JP,A)
【文献】特開2004-306360(JP,A)
【文献】特開2014-91259(JP,A)
【文献】中国実用新案第211121717(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に射出ノズルが設けられている加熱シリンダと、
該加熱シリンダ内に設けられているスクリュと、
前記加熱シリンダを支持するとともに前記スクリュを駆動するようになっているスクリュ駆動装置と、
ノズルタッチ装置と、を備えた射出装置であって、
前記スクリュ駆動装置は、射出圧力を検出するロードセルが前記スクリュの軸の延長線から離間した位置に設けられ、
前記ノズルタッチ装置により前記射出ノズルを金型のスプルにタッチさせるとき、前記ロードセルの圧力が監視され、該圧力に基づいて前記射出ノズルと前記スプルのズレが検出されるようになっている、射出装置。
【請求項2】
前記射出装置は、射出成形機に対して追加的に接続されるようになっている射出装置サブユニットである、請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
前記ロードセルは前記スクリュ駆動装置において異なる2箇所以上に設けられている、請求項1または2に記載の射出装置。
【請求項4】
前記スクリュ駆動装置は、前記加熱シリンダをその端部において支持しているフロントプレートと、前記スクリュを回転可能に支持している中間プレートと、を備え、
前記ロードセルは前記フロントプレートに設けられている、請求項1~3のいずれかの項に記載の射出装置。
【請求項5】
前記スクリュ駆動装置は、前記加熱シリンダをその端部において支持しているフロントプレートと、前記スクリュを回転可能に支持している中間プレートと、を備え、
前記ロードセルは前記中間プレートに設けられている、請求項1~3のいずれかの項に記載の射出装置。
【請求項6】
金型を型締めする型締装置と、
射出材料を射出する射出装置と、を備えた射出成形機であって、
前記射出装置は先端に射出ノズルが設けられている加熱シリンダと、
該加熱シリンダ内に設けられているスクリュと、
前記加熱シリンダを支持するとともに前記スクリュを駆動するようになっているスクリュ駆動装置と、
ノズルタッチ装置と、を備え、
前記スクリュ駆動装置は、射出圧力を検出するロードセルが前記スクリュの軸の延長線から離間した位置に設けられ、
前記ノズルタッチ装置により前記射出ノズルを金型のスプルにタッチさせるとき、前記ロードセルの圧力が監視され、該圧力に基づいて前記射出ノズルと前記スプルのズレが検出されるようになっている、射出成形機。
【請求項7】
前記ロードセルは前記スクリュ駆動装置において異なる2箇所以上に設けられている、請求項6に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記スクリュ駆動装置は、前記加熱シリンダをその端部において支持しているフロントプレートと、前記スクリュを回転可能に支持している中間プレートと、を備え、
前記ロードセルは前記フロントプレートに設けられている、請求項6または7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記スクリュ駆動装置は、前記加熱シリンダをその端部において支持しているフロントプレートと、前記スクリュを回転可能に支持している中間プレートと、を備え、
前記ロードセルは前記中間プレートに設けられている、請求項6または7に記載の射出成形機。
【請求項10】
先端に射出ノズルが設けられている加熱シリンダと、
該加熱シリンダ内に設けられているスクリュと、
前記加熱シリンダを支持するとともに前記スクリュを駆動するようになっているスクリュ駆動装置と、
ノズルタッチ装置と、を備え、
射出圧力を検出するロードセルが、前記スクリュ駆動装置において前記スクリュの軸の延長線から離間した位置に設けられている射出装置において、
前記ノズルタッチ装置により前記射出ノズルを金型のスプルにタッチさせるとき、前記ロードセルの圧力を監視して、該圧力に基づいて前記射出ノズルと前記スプルのズレを検出する、ノズルタッチ方法。
【請求項11】
前記射出装置は、射出成形機に対して追加的に接続されるようになっている射出装置サブユニットである、請求項10に記載のノズルタッチ方法。
【請求項12】
前記ロードセルは前記スクリュ駆動装置において異なる2箇所以上に設けられ、該2箇所以上の前記ロードセルの圧力を監視して前記射出ノズルと前記スプルのズレを検出する、請求項10または11に記載のノズルタッチ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出ノズルを金型のスプルにタッチさせて射出材料を射出する射出装置、そのような射出装置を備えた射出成形機、およびノズルタッチ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は金型を型締めする型締装置と、射出材料を溶融し射出する射出装置とを備えている。射出装置は加熱シリンダと、スクリュと、スクリュを駆動するスクリュ駆動機構と、ノズルタッチ装置とを備えている。加熱シリンダの先端には射出ノズルが設けられており、ノズルタッチ装置を駆動すると射出装置全体がスライドして射出ノズルを金型のスプルにタッチさせることができるようになっている。
【0003】
射出ノズルを金型のスプルにタッチさせるノズルタッチにおいて、射出ノズルの芯と金型のスプルの中心にズレが生じる、いわゆる芯ズレが発生しないようにする必要がある。スプルは球面状に形成されているので、芯ズレが生じた状態で射出ノズルをタッチすると、射出ノズルは球面にガイドされてズレが解消される方向にスライドする。したがって従来、ノズルタッチ時において射出ノズルの近傍に観察者を配置し、射出ノズルのスライドの有無を観察し、芯ズレの有無をチェックしている。しかしながら、観察者が必要であり作業コストがかかる。
【0004】
特許文献1には、色々なノズルタッチの異常を検出する検出方法が記載されている。この文献に記載の方法では、予め正常にノズルタッチをさせ、このときのタッチ力の変化を基準パターンとして記憶しておく。そして射出ノズルを金型のスプルにタッチさせるとき、そのタッチ力の変化を測定する。測定したタッチ力の変化を基準パターンと比較し、そのズレが許容範囲を超えているとき、ノズルタッチの異常であると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-91259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法は、観察者を必要とせず作業コストをかけずにノズルタッチを実施できる。さらに、特許文献1に記載の方法は、芯ズレだけでなく、射出ノズルと金型の間の異物の挟み込み、樹脂漏れ等の色々な異常を検出することができ、優れている。しかしながら、予め基準パターンを得る必要があり、事前の準備が必要であるという課題がある。
【0007】
本開示において、容易に芯ズレの有無を検出できる射出装置、射出装置、およびノズルタッチ方法を提案する。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
射出装置は加熱シリンダと、加熱シリンダに入れられているスクリュと、スクリュを駆動するスクリュ駆動装置と、ノズルタッチ装置とを備えている。スクリュ駆動装置は、射出時の射出圧力を検出するロードセルが設けられている。本開示は、このロードセルがスクリュの軸の延長線から離間した位置に設けられている。本開示に係る射出装置は、ノズルタッチ装置により射出ノズルを金型のスプルにタッチさせるとき、ロードセルの圧力が監視され、該圧力に基づいて射出ノズルとスプルのズレが検出されるようになっている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、容易に射出ノズルと金型のスプルとの芯ズレの有無を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る射出成形機とサブユニット射出装置の正面図である。
図2】本実施の形態に係るサブユニット射出装置を示す上面断面図である。
図3】本実施の形態に係るサブユニット射出装置を示す上面断面図である。
図4】金型と金型のスプルにタッチする射出ノズルを模式的に示す正面図である。
図5】本実施の形態に係るサブユニット射出装置の一部を示す上面断面図である。
図6】金型と金型のスプルにタッチする射出ノズルを模式的に示す正面図である。
図7】本実施の形態に係る射出装置を示す上面断面図である。
図8】本実施の形態に係る射出装置のスクリュ駆動装置を構成している、中間プレートを示す側面図である。
図9】本実施の第2の形態に係るサブユニット射出装置を示す上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0013】
本実施の形態を説明する。
<射出成形機>
図1には、本実施の形態に係る射出成形機1と、本実施の形態に係るサブユニット射出装置5とが示されている。本実施の形態に係る射出成形機1は横置き型の射出成形機1からなり、ベッドBに設けられている型締装置2と、射出材料を溶融して射出する射出装置3と、これらを制御するコントローラ4と、から概略構成されている。本実施の形態に係るサブユニット射出装置5は、型締装置2の側方に設けられている。
【0014】
<型締装置>
型締装置2はベッドB上に固定されている固定盤7と、ベッドB上をスライドする型締ハウジング8と、ベッドB上を同様にスライドする可動盤10とを備えている。固定盤7と型締ハウジング8は複数本、例えば4本のタイバー11、11、…によって連結されている。可動盤10は、固定盤7と型締ハウジング8の間でスライド自在になっている。型締ハウジング8と可動盤10の間には型締機構12が設けられている。型締機構12は直圧式の型締機構、つまり型締シリンダから構成してもよいが、本実施の形態においてはトグル機構から構成されている。
【0015】
固定盤7には、固定側金型14が設けられ、そして可動盤10には可動側金型15が設けられている。型締装置2は安全カバー17で覆われており、固定盤7、固定側金型14等は露出している。このような露出している固定側金型14に、その側方から本実施の形態に係るサブユニット射出装置5が接続されている。
【0016】
<射出装置>
射出成形機1の一部である射出装置3は、加熱シリンダ19と、この加熱シリンダ19に入れられているスクリュ20と、スクリュ20を駆動するスクリュ駆動装置22とから構成されている。加熱シリンダ19はその後端部近傍にホッパ23が、そして先端に射出ノズル24が設けられている。スクリュ駆動装置22と固定盤7の間にはノズルタッチ装置27が設けられている。ノズルタッチ装置27を駆動すると、射出装置3全体が固定盤7に近接する方向、あるいは離間する方向にスライドする。これによって射出ノズル24が固定側金型14にタッチし、あるいは固定側金型14から離間するようになっている。射出装置3を構成しているスクリュ駆動装置22については後で説明する。
【0017】
<サブユニット射出装置>
本実施の形態に係るサブユニット射出装置5は、図1に示されているように、走行可能な脚部29と、脚部29に載せられている台部30と、台部30に載せられている射出装置本体部31と、サブユニット射出装置5を制御するコントローラ32と、から構成されている。脚部29は図に示されていないがストッパを備えており、所望の位置で床に固定することができるようになっている。また脚部29には昇降装置33が設けられ、射出装置本体部31の高さを調整できるようになっている。
【0018】
図2には、サブユニット射出装置5の上面断面図が示されている。射出装置本体部31は、台部30の上に乗せられている。射出装置本体部31は、先端に射出ノズル34が設けられた加熱シリンダ35と、加熱シリンダ35内に設けられているスクリュ36と、スクリュ駆動装置38と、を備えている。スクリュ駆動装置38は台部30にスライド自在に設けられており、次に詳しく説明するが、加熱シリンダ35を支持していると共にスクリュ36を駆動するようになっている。台部30には接続部40、40が設けられており、固定側金型14に固定するようになっている。図には示されていないが、台部30とスクリュ駆動装置38の間にはノズルタッチ装置が設けられ、スクリュ駆動装置38を介して射出装置本体部31全体をスライドして、射出ノズル34を固定側金型14のスプル14aにタッチさせるようになっている。
【0019】
<スクリュ駆動装置>
スクリュ駆動装置38は、加熱シリンダ35が固定されているフロントプレート44と、フロントプレート44と平行に設けられている中間プレート45とを備えている。フロントプレート44と中間プレート45は2本のボールねじ機構46によって連結されている。詳しく説明すると、フロントプレート44には取付穴48、48が空けられている。ボールねじ機構46、46は、ボールねじ46a、46aとボールナット46b、46bとからなる。ボールナット46b、46bがフロントプレート44の取付穴48、48に設けられている。そして、ボールナット46bの一方はロードセル50に、そして他方はダミーロードセル51にそれぞれ固定され、これらロードセル50とダミーロードセル51とがフロントプレート44に固着されている。
【0020】
中間プレート45には貫通穴53、53が空けられている。これら貫通穴53、53に、ボールねじ46a、46aが軸方向の移動が規制された状態で回転可能に支持されている。これらボールねじ46a、46aにはプーリ57、57が設けられ、プーリ57、57にはタイミングベルト58が掛け回されている。中間プレート45には減速機55aを備えた射出モータ55が設けられ、一方のボールねじ46aを回転するようになっている。したがって、射出モータ55を駆動するとボールねじ46a、46aが同期して回転し、中間プレート45がフロントプレート44に近接する方向、あるいは離間する方向にスライドすることになる。
【0021】
中間プレート45には、スクリュ36をその後端部で支持するスクリュ支持部60が回転自在に設けられている。したがって、射出モータ55を駆動して中間プレート45をフロントプレート44に近接する方向にスライドさせるとスクリュ36が軸方向に駆動され射出材料が射出される。中間プレート45には減速機61aを備えた可塑化モータ61が設けられている。図には示されていないが、伝達機構を介してこの減速機61aの回転がスクリュ支持部60に伝達されてスクリュ36が回転するようになっている。すなわち射出材料を可塑化するようになっている。
【0022】
コントローラ32には、図2に示されているようにロードセル50と射出モータ55と可塑化モータ61とが接続されている。なお、サブユニット射出装置5(図1参照)は射出成形機1と連携して駆動させる必要があるので、サブユニット射出装置5のコントローラ32は、射出成形機1のコントローラ4と信号線で接続されている。
【0023】
<射出圧力の検出>
本実施の形態に係るノズルタッチ方法は、次に説明するようにロードセル50で検出される圧力に基づいて射出ノズル34と、固定側金型14のスプル14aの芯ズレを検出する。ロードセル50は、次のように、本来は射出時の射出圧力を検出するためのものである。すなわち、射出時には射出モータ55を駆動する。そうすると図3に示されているように、ボールねじ46a、46aが回転し、ボールナット46b、46bに対してボールねじ46a、46aが軸方向に移動して中間プレート45がスライドされる。スクリュ支持部60を介して符号62で示されているように、スクリュ36前方に駆動される。加熱シリンダ35内の射出材料の圧力によりスクリュ36に押力63が作用する。この押力63が中間プレート45、ボールねじ46a、ボールナット46bを介してロードセル50に作用する。ロードセル50に引張力64が作用する。すなわち射出圧力が検出される。
【0024】
<本実施の形態に係るノズルタッチ方法>
本実施の形態に係るノズルタッチ方法を説明する。コントローラ32は、ロードセル50において検出される圧力の監視を開始する。コントローラ32は、図示されないノズルタッチ装置を駆動して射出装置本体部31を固定側金型14方向に駆動する。やがて射出ノズル34が固定側金型14のスプル14aにタッチする。もし、射出ノズル34の軸心がスプル14aの中心と一致していれば、射出ノズル34と加熱シリンダ35を介してフロントプレート44にタッチ力が作用しても、ロードセル50において圧力はほとんど検出されない。射出装置本体部31の前後進中はフロントプレート44と中間プレート45は互いの距離が変化しないので、ロードセル50に圧力が作用しないからである。
【0025】
しかしながら射出ノズル34の軸心が、図4に示されているようにスプル14aの中心からずれている場合、つまり芯ズレが発生している場合、射出ノズル34の先端はスプル14aの凹面にタッチした後に、凹面にガイドされて横方向にずれる。つまり、図4に示されているように、射出ノズル34には横方向の力66が作用する。そうすると、図5に示されているように加熱シリンダ35とフロントプレート44にモーメント66が作用する。このモーメント66によりロードセル50において引張力69による圧力が検出される。すなわち、ロードセル50にあたかも射出圧力が検出されたかのように、圧力が検出される。これによりコントローラ32は、芯ズレが発生していると判断する。
【0026】
なお、このようにロードセル50において芯ズレの発生を検出することができるのは、モーメント66の発生をロードセル50で検出することができるからである。ロードセル50はスクリュ36の軸の延長線から離間した位置に配置されているからである。
【0027】
図6に示されているように、スプル14aの中心に対して、射出ノズル34の軸心が反対方向にずれているとき、図5においてモーメント66は反対の回転方向に作用する。この場合には、ロードセル50において圧縮力が作用する。そうすると、ロードセル50にはマイナスの大きさの射出圧力が作用したかのようにマイナスの圧力が検出される。コントローラ32は、芯ズレが発生していると判断する。
【0028】
このようにコントローラ32は、ロードセル50において圧力が検出されるとき、芯ズレが発生していると判断することができ、圧力の正負に応じてズレの方向も検出することができる。さらには圧力の大きさに基づいてズレの大きさを評価することもできる。
【0029】
<本実施の形態に係る射出装置のスクリュ駆動装置>
本実施の形態に係る射出成形機1(図1参照)を構成している射出装置3も、本実施の形態に係るノズルタッチ方法を実施することができ、射出ノズル24と固定側金型14の図示されないスプルとの芯ズレを検出することができる。射出装置3のスクリュ駆動装置22について説明する。
【0030】
射出装置3のスクリュ駆動装置22は、図7に示されているように、フロントプレート71と、フロントプレート71と間隔を空けて平行に設けられているリアプレート72と、フロントプレート71とリアプレート72の間に設けられている中間プレート73とを備えている。フロントプレート71とリアプレート72は、複数本のガイドロッド75、75によって連結されている。中間プレート73はガイドロッド75、75によってガイドされてスライド自在になっている。図8には中間プレート73が示されているが、本実施の形態においてガイドロッド75、75は2本になっている。
【0031】
中間プレート73とリアプレート72は、4本のボールねじ機構77、77、…によって連結されている。図7には2本のボールねじ機構77、77しか示されていないが、図8に示されているように、ボールねじ機構77、77、…は4本設けられている。リアプレート72には図7に示されているように貫通穴79、79、…が空けられており、ボールねじ機構77、77、…のボールねじ77a、77a、…が軸方向の移動が規制された状態で回転可能に支持されている。そして中間プレート73には取付穴80、80、…が空けられて、取付穴80、80、…にボールねじ機構77、77、…のボールナット77b、77b、…が入れられている。
【0032】
4個のボールナット77b、77b、…には、図8に示されているように対角線に配置している2個のボールナット77b、77bにロードセル82、82が、そして他の2個のボールナット77b、77bにダミーロードセル83、83がそれぞれ設けられている。そしてロードセル82、82、ダミーロードセル83、83が中間プレート73に固着されている。
【0033】
リアプレート72には2個の射出モータ85、85が設けられており、動力伝達機構86、86によってボールねじ77a、77a、…が回転するようになっている。したがって射出モータ85、85を駆動すると中間プレート73とスクリュ20とが軸方向に駆動される。中間プレート73にはスクリュ20と連結しているスクリュ支持部88が回転可能に設けられている。中間プレート73には2個の可塑化モータ89、89が設けられており、動力伝達機構90によりスクリュ支持部88を介してスクリュ20を回転するようになっている。
【0034】
図8には射出ノズル24が点線で示されているが、射出ノズル24は上下左右に芯ズレする可能性がある。この実施の形態に係る射出装置3は、4本のボールねじ機構77、77、…のうち対角線に位置する2本のボールねじ機構77、77に対応してロードセル82、82が設けられているので、上下方向の芯ズレと、左右方向の芯ズレとを検出することができる。
【0035】
<第2の実施の形態に係るサブユニット射出装置>
本実施の形態は色々な変形が可能である。図9には第2の実施の形態に係るサブユニット射出装置5‘が示されている。このサブユニット射出装置5’は、スクリュ駆動装置38‘が変形されており、ボールねじ機構46、46のボールナット46b、46bが中間プレート45’に設けられている。したがって、ロードセル50は中間プレート45‘に設けられている。この第2の実施の形態に係るサブユニット射出装置5’も、ノズルタッチ時に射出ノズル34と固定側金型14のスプル14aの間に芯ズレが発生していると、加熱シリンダ35とフロントプレート44とにモーメントが作用する。そうすると一方のボールねじ機構46に引っ張り力が、他方のボールねじ機構46に押力が作用し、ロードセル50において正負いずれかの圧力が検出される。すなわち芯ズレを検出することができる。
【0036】
<他の変形>
上で説明した第1、第2の実施の形態に係るサブユニット射出装置5、5‘(図2図9参照)は、いずれも2本のボールねじ機構46、46の一方にロードセル50が、そして他方にダミーロードセル51が設けられている。しかしながら、2本のボールねじ機構46、46のいずれにもロードセル50を設けてもよい。つまり2個のロードセル50、50をフロントプレート44に設けてもよいし、中間プレート45に設けてもよい。このようにすると、より正確に芯ズレを検出することができる。本実施の形態に係る射出装置3は、図7図8に示されているように、4本のボールねじ機構77、77、…を備え、それらのうちロードセル82、82が設けられているのは2本のボールねじ機構77、77だけであるように説明した。しかしながら、他の2本のボールねじ機構77、77にもダミーロードセル83、83に換えてロードセル82、82を設けるようにしてもよい。
【0037】
ところで、図1によって説明した本実施の形態に係るサブユニット射出装置5は、本実施の形態に係る射出成形機1の型締装置2の側方に設けられているように説明した。しかしながら、サブユニット射出装置5は、型締装置2の上方に設けるようにする場合もある。このような場合においても、当然に本実施の形態に係るノズルタッチ方法を実施することができる。
【0038】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 コントローラ
5 サブユニット射出装置 7 固定盤
8 型締ハウジング 10 可動盤
11 タイバー 12 型締機構
14 固定側金型 14a スプル
15 可動側金型 17 安全カバー
19 加熱シリンダ 20 スクリュ
22 スクリュ駆動装置 23 ホッパ
24 射出ノズル 27 ノズルタッチ装置
29 脚部 30 台部
31 射出装置本体部 32 コントローラ
33 昇降装置 34 射出ノズル
35 加熱シリンダ 36 スクリュ
38 スクリュ駆動装置 40 接続部
44 フロントプレート 45 中間プレート
46 ボールねじ機構 46a ボールねじ
46b ボールナット 48 取付穴
50 ロードセル 51 ダミーロードセル
53 貫通穴 55 射出モータ
57 プーリ 58 タイミングベルト
60 スクリュ支持部 61 可塑化モータ
71 フロントプレート 72 リアプレート
73 中間プレート 75 ガイドロッド
77 ボールねじ機構 77a ボールねじ
77b ボールナット 79 貫通穴
80 取付穴 82 ロードセル
83 ダミーロードセル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9