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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】内燃機関用の電気作動弁アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F01L 25/08 20060101AFI20240905BHJP
   F01L 3/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F01L25/08
F01L3/10 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021504251
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 SE2019050713
(87)【国際公開番号】W WO2019245450
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】1800146-1
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518118437
【氏名又は名称】ヘドマン エリクソン パテント アーベー
【氏名又は名称原語表記】HEDMAN ERICSSON PATENT AB
【住所又は居所原語表記】Staringe Sateri,642 95 Flen,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ヘドマン、マッツ
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-236980(JP,A)
【文献】特表2006-503228(JP,A)
【文献】特開平11-030114(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0024749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 3/00- 7/18
F01L 11/00-11/06
F01L 15/00-35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2ストロークまたは4ストローク燃焼機関で、ソレノイド(A)、プランジャ(5)、およびばね(6)を含む弁アクチュエータを電気的に制御するための方法であって、
前記アクチュエータのばね(6)は、前記ソレノイドを作動させない時、前記プランジャをホームポジションに保ち、前記2ストロークまたは4ストローク燃焼機関は、対応する弁軸(11)および弁ばね(4)を有する弁ディスク(10)を有する少なくとも1つの自由に制御可能な機関弁を有する少なくとも1つのシリンダー(1)を有し、前記プランジャの下端と前記弁軸の上端との間に距離が設けられ、前記シリンダーにおける少なくとも1つの通路(2)を介して前記弁ディスクを有する前記弁軸の下部を通り過ぎた燃焼室(3)に対して、空気が供給されまたは排ガスが排気され、前記弁アクチュエータは前記機関弁を開放するために作動可能であり、
前記ソレノイドを作動後に前記機関弁の開放が開始され、その後前記プランジャを加速させることで、この下端を前記弁軸の前記上端に衝突させて、前記弁の初期開放を行い、前記プランジャの移動は、前記プランジャが前記ソレノイドにおけるこの停止部に達する時に前記移動が妨害されるまで継続し、前記機関弁の開放運動は、前記弁軸の上端が前記プランジャの下端から離れている間継続し、弁ばね力によって前記開放運動が停止するまで継続することで、前記機関弁は弁座の方へ戻り始める
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記機関弁が前記弁座に達する前に前記弁軸の前記上端が前記プランジャの前記下端に達することで、前記機関弁の閉止運動の制動が生じる
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機関弁が前記弁座に達する直前に、前記弁座に穏やかに戻ることが可能になるように前記機関弁の前記閉止運動を制動させるように短い時間で適応させる間に前記ソレノイドを作動させる
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
2ストロークまたは4ストローク燃焼機関における弁アクチュエータを電気的に制御し、かつ請求項1に記載の方法を実行するためのデバイスであって、
前記アクチュエータは、ソレノイド(A)、プランジャ(5)、およびばね(6)を含み、前記アクチュエータの前記ばね(6)は、前記ソレノイドを作動させない時、前記プランジャをホームポジションに保つように配置され、前記2ストロークまたは4ストローク燃焼機関は、対応する弁軸(11)および弁ばね(4)を有する弁ディスク(10)を有する少なくとも1つの自由に制御可能な機関弁を有する少なくとも1つのシリンダー(1)を有し、前記プランジャの下端と前記弁軸の上端との間に距離が設けられ、前記シリンダーにおける少なくとも1つの通路(2)を介して前記弁ディスクを有する前記弁軸の下部を通り過ぎた燃焼室(3)に対して、空気が供給されまたは排ガスが排気され、前記弁アクチュエータは前記機関弁を開放するために作動し、
前記プランジャ(5)は、この下端が、前記ソレノイドの作動後、前記弁軸の前記上端に衝突して前記弁の初期開放を行うように位置付けられるように配置され、前記プランジャは前記ソレノイドに停止部を設けることで、前記プランジャが、前記停止部に達するまでこの開放運動を継続でき、この開放運動は前記弁軸の上端が前記プランジャの下端から離れている間継続するようにし、前記機関弁は、前記弁ばね(4)によってもたらされる力によって前記開放運動が停止するまで、前記プランジャが前記停止部に達した後、開放運動を継続するように配置される
ことを特徴とするデバイス。
【請求項5】
前記機関弁ばねは、外側の機械ばね(9)の中央空間に配置される短い機械ばね(4)を含み、前記短い機械ばね(4)は前記外側の機械ばね(9)と比較してばね定数がかなり高い
請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記短い機械ばね(4)は、前記外側の機械ばね(9)と比較して、かなり堅く、かつかなり高いばね定数を有する
請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
ばね座金(8)は、前記短い機械ばね(4)への前記機関弁の運動エネルギーを受けるように前記短い機械ばね(4)に衝突して制動させて、前記開放運動を閉止運動に変える
請求項5または6に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2または4ストローク機関におけるガス流を制御しかつ調節するための自由に制御可能な電気作動弁アクチュエータにおける方法および配置構成に関する。
【背景技術】
【0002】
自由に制御可能な弁によって、効率が増し、かつ排気をかなり低下させる、すなわち、排ガスをきれいにすることが可能になる。弁アクチュエータはまた、空気圧または油圧作動させることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は新しいアクチュエータ技術を提供することである。電気的に制御される電気機械式弁アクチュエータは、構成が簡易であり、エネルギー効率が良く、機関のシリンダーヘッドでの機関弁の開閉を迅速に行うことが可能である。この目的は、特許請求項の範囲で指定される特徴によって本発明によって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術は、ソレノイド、および、従来のやり方で、機関弁が開放される時に弁を閉止したままにし、かつここでは「水撃作用(hammer effect)」と呼ばれるものを使用する、機関弁ばねを使用することを伴う。
【0005】
機関弁を開放するためにソレノイドを使用する時の既知の問題は、該弁が、弁を閉止したままにする機械ばねである機関弁ばねの力を克服するために強力である必要があることである。高強度による1つの欠点は、機関弁ばねの閉止力を克服するものとなる可動鉄心であるプランジャが、大きくかつ重くなることである。鉄心および弁ばねの重量と合わせて弁ばねの力によって、弁が閉止されてから、弁が完全に開放された後再び閉止されるまでの期間を短く、すなわち、時間を短くすることができない。本発明は、鉄心の質量がこの期間中ほとんど関係がないことを特徴とする。鉄心の大部分が機関弁の運動の一部にならないため、期間をかなり短くすることが可能である。この技術では、鉄心の重量を利用し、この既知の欠点を「水撃作用」という利点に変える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】機関をオフにした初期位置、および、従来の弁ディスク10を通って燃焼室3に対して、空気を燃料と共にまたは燃料なしで供給する、または排ガスを排気するための通路2を有するシリンダーヘッド1の側部の部分切断図である。
図2】機関弁が、例えば、機関が始動される前に依然閉止位置にあることを示す図である。
図3】開放運動時の機関弁を示す図である。
図4】変更された完全開放位置における機関弁を示す図である。
図5】機関弁軸が、機関弁が通路2を閉ざすことになる時にこの初期位置の方への初期運動の前または初期運動時にプランジャに達することを示す図である。
図6】機関弁が、図1に示されるようなこの初期位置に戻ることを示す図である。
図7】プランジャがまた、ばね6による助けでこの初期位置に戻されることを示す図である。
図8】基本的に、短い機械ばね4が外側の機械ばね9内に設けられる中央空間に配置されることを除いて、図1図7と同じ方法を示す図である。
図9】基本的に、短い機械ばね4が外側の機械ばね9内に設けられる中央空間に配置されることを除いて、図1図7と同じ方法を示す図である。
図10】基本的に、短い機械ばね4が外側の機械ばね9内に設けられる中央空間に配置されることを除いて、図1図7と同じ方法を示す図である。
図11】基本的に、短い機械ばね4が外側の機械ばね9内に設けられる中央空間に配置されることを除いて、図1図7と同じ方法を示す図である。
図12】基本的に、短い機械ばね4が外側の機械ばね9内に設けられる中央空間に配置されることを除いて、図1図7と同じ方法を示す図である。
図13】基本的に、短い機械ばね4が外側の機械ばね9内に設けられる中央空間に配置されることを除いて、図1図7と同じ方法を示す図である。
図14】基本的に、短い機械ばね4が外側の機械ばね9内に設けられる中央空間に配置されることを除いて、図1図7と同じ方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明について、ここで、示される実施形態を参照して説明する。ここで、図1図14は、クランク角度を検出するための必要とされるセンサ、および、クランク角度を読み取り、かつ必要とされるソレノイドなどを制御するための電子機器を有するコンピュータ利用機関制御システムが既に存在しているとみなされるため、示される必要はない実施形態を概略的に示す。また、いずれのスパークプラグまたは燃料噴射器も示す必要はなく、シリンダー壁およびピストンによって取り囲まれる燃焼室も同様である。
【0008】
図1は、機関をオフにした初期位置、および、従来の弁ディスク10を通って燃焼室3に対して、空気を燃料と共にまたは燃料なしで供給する、または排ガスを排気するための通路2を有するシリンダーヘッド1の側部の部分切断図を示す。機関弁は弁軸11を有する弁ディスクから成る。機関弁はばね4を使用する従来のやり方で閉止されたままにし、従来のばね座金8はばねを一定のプレテンションで適所に保持する。鉄心またはプランジャ5を有するソレノイドAがさらに示される。ばね6は、ソレノイドAを作動させない時、プランジャ5をホームポジションに保つ。弁軸11の上端と、プランジャ5の下端との間に加速距離ともいう距離7がある。図には示されないが、プランジャが大質量を有することは理解されたい。プランジャがソレノイドに全体的にまたは部分的に存在する時、ソレノイドにあるプランジャの部分は、銅線が巻き付けられている。電気が巻線に供給される時、プランジャを引き寄せるまたははね返す磁場が生成される。この場合、プランジャは、周囲の磁場によって引き寄せられるが、依然本発明の範囲内にあるが対極にある可能性がある。プランジャは、ソレノイドに既存の停止部を設け、この停止部は、この力が最大になる自然停止部である。示されないが、このような停止部が存在することは理解されたい。
【0009】
図2は、機関弁が、例えば、機関が始動される前に依然閉止位置にあることを示す。ソレノイドAを作動させて、プランジャ5を加速させている間、距離7に沿って、プランジャ5が弁軸11の上端に当たる箇所まで移動することで、「水撃作用」として、プランジャの運動エネルギーはほとんど瞬間的に弁軸に伝達される。
【0010】
図3は、開放運動時の機関弁を示す。プランジャは、この運動エネルギーの大部分を機関弁に伝達しており、開放位置の方へのこの運動は重加速を受ける。プランジャの運動は、プランジャがソレノイドのこの自然停止部に達するまで別の短距離で継続する。
【0011】
図4は、変更された完全開放位置における機関弁を示す。この段階の移動質量のみが、軸を有する機関弁、ばね座金、およびばねからなる可能な限り低い質量であることは明らかである。可能な限り短い継続時間が実現される。ばねの移動質量がばね重量の約三分の一を構成するとみなされることは、一般的である。
【0012】
図5は、機関弁軸が、機関弁が通路2を閉ざすことになる時にこの初期位置の方への初期運動の前または初期運動時にプランジャに達することを示す。ソレノイドへのエネルギーの付加を短時間で適応させることで、機関弁の運動は遅くなり、それによって機関弁座に穏やかに戻ることが可能になる。
【0013】
図6は、機関弁が、図1に示されるようなこの初期位置に戻ることを示す。しかしながら、プランジャは依然弁軸と接触している。
【0014】
図7は、プランジャがまた、ばね6による助けでこの初期位置に戻されることを示す。
【0015】
図8図14は、基本的に、短い機械ばね4が外側の機械ばね9内に設けられる中央空間に配置されることを除いて、図1図7と同じ方法を示す。ばね4は、堅さがかなり小さくなって(弱くなって)いるように示されるばね9より、かなり堅く(強力であり)、かつかなり大きいばね定数を有する。この配置構成の目的は、かなり短い継続時間を提供することである。プランジャが弁軸に当たる時、図9に示されるように、距離7はなくなり、機関弁は、図2にあるように生じる時よりもかなり速い速度で移動する。ばね座金8がばね4に衝突する時、機関弁の運動エネルギーの大部分は、図11のように、ばね4に伝達されることで、開放運動を迅速に停止させ、かつこの運動は、図12のように、閉動作に変わる。機関弁は、必ずしも、ここで示されるように、機械ばねによって構成される必要はないどころか、別のタイプのばねによって構成可能であるばね4にはね返されると言える。
【0016】
2ストロークまたは4ストローク燃焼機関で、ソレノイド(A)、プランジャ(5)、およびばね(6)を含む弁アクチュエータを電気的に制御するための方法の第1の実施形態において、機関は、対応する弁軸(11)および弁ばね(4)を有する弁ディスク(10)を有する少なくとも1つの自由に制御可能な機関弁を有する少なくとも1つのシリンダー(1)を有する。ここで、プランジャの下端と弁軸の上端との間に距離(7)が設けられ、シリンダーにおける少なくとも1つの通路(2)を介して弁ディスクを有する弁軸の下部を通り過ぎた燃焼室(3)に対して、空気が供給されまたは排ガスが排気され、該弁アクチュエータは機関弁を開放するために作動可能である。該方法は、ソレノイドを作動後に機関弁の開放が開始され、その後プランジャを加速させることで、この下端を弁軸の上端に衝突させて、弁の初期開放を行うことを特徴とする。
【0017】
第2の実施形態では、プランジャの移動が、プランジャがソレノイドにおけるこの停止部に達する時にこの移動が妨害されるまで継続し、機関弁の開放運動が、弁ばね力によってこの運動が停止するまで継続することで、機関弁が弁座の方へ戻り始めることをさらに特徴とする、第1の実施形態による方法が提供される。
【0018】
第3の実施形態では、機関弁が弁座に達する前に弁棒の上端がプランジャの下端に達することで、閉止運動の制動が生じることをさらに特徴とする、第2の実施形態による方法が提供される。
【0019】
第4の実施形態では、機関弁が弁座に達する直前に、弁ディスクが、適した速度で、例えば、弁座がすすだらけにならないほど十分な高速で、また同時に、弁ディスクおよび弁座を摩耗させ過ぎない十分な低速で、弁座に当たるように機関弁の運動を制動させるように短い時間で適応させる間に、ソレノイドを作動させることをさらに特徴とする、第3の実施形態による方法が提供される。
【0020】
2ストロークまたは4ストローク燃焼機関における弁アクチュエータを電気的に制御し、かつ方法の第1の実施形態による方法を実行するためのデバイスの第1の実施形態では、該デバイスは、機関弁がソレノイドの作動後に最初に開放するように構成されることで、その後プランジャを加速させることによって、この下端を弁軸の上端に衝突させて弁の初期開放を行うことを特徴とする。
【0021】
第2の実施形態では、短い機械ばね(4)が外側の機械ばね(9)の空間に配置され、ばね(4)がばね(9)と比較してばね定数がかなり高いことをさらに特徴とする、第1の実施形態によるデバイスが提供される。
【0022】
第3の実施形態では、ばね(4)が、ばね(9)と比較して、かなり堅く、かつかなり大きいばね定数を有することをさらに特徴とする、第1の実施形態によるデバイスが提供される。
【0023】
第4の実施形態では、ばね座金(8)が、ばね(4)への機関弁の運動エネルギーを受けるようにばね(4)に衝突して制動させて、この運動を閉止運動に変えることをさらに特徴とする、第2または第3の実施形態によるデバイスが提供される。
【0024】
本発明は説明した実施形態に限定されないが、以下の特許請求の範囲内で修正を行うことができる。上述した実施形態はさらに、いかなる方法によっても組み合わせ可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14